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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】自動車ドア用ロック
(51)【国際特許分類】
   E05B 83/24 20140101AFI20220517BHJP
   E05B 83/16 20140101ALI20220517BHJP
   E05B 85/26 20140101ALI20220517BHJP
   B62D 25/12 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
E05B83/24 Z
E05B83/16 E
E05B85/26
B62D25/12 N
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019535437
(86)(22)【出願日】2017-08-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 DE2017100647
(87)【国際公開番号】W WO2018050148
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-03-04
(31)【優先権主張番号】102016117281.2
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510222604
【氏名又は名称】キーケルト アクツィーエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】スターム, クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ドロステ, ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ショルツ, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】シッファー, ホルガー
【審査官】芝沼 隆太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0319848(US,A1)
【文献】実開昭62-73066(JP,U)
【文献】実開昭60-51270(JP,U)
【文献】実開昭62-46765(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
E05F 15/00-15/79
B62D 25/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ラッチ(4)と、少なくとも2つのレバー(14,15)を介して自動車本体に連結されるボンネットにおけるラッチホルダブラケット(6)と相互作用する爪部(5)とから実質的に成るロック機構(4,5)を備えた自動車ドア用ロックにおいて、
自動車本体内側に設けられた解除要素(10)が備えられた、前記ボンネット(2)の為のアンロック/開放機構(10,11)を備え、前記解除要素(10)は、前記ボンネット(2)を開ける為に2回作動される、自動車ドア用ロックであって、
前記ロック機構(4,5)は、前記解除要素(10)の少なくとも1回の作動の後、ラッチホルダブラケット(6)が依然として捕捉された状態でプリラチェット位置をとり、前記ボンネット(2)は、その長手方向の運動によって、前記プリラチェット位置から開けられ、
前記2つのレバー(14,15)のうち少なくとも一つは、旋回点(18)が備えられ、前記旋回点(18)は、バネ(16)の力に抗して調整でき、
前記解除要素(10)は、その第1作動中、前記ロック機構(4,5)が前記プリラチェット位置をとるように前記爪部(5)に作用し、その第2作動中、前記バネ(16)の力に抗して調整可能な前記旋回点(18)を解除することを特徴とする、自動車ドア用ロック。
【請求項2】
前記プリラチェット位置から開ける為に、前記ボンネット(2)は、操作者によって前記長手方向に押す又は引っ張ることによって作用されることを特徴とする、請求項1に記載の自動車ドア用ロック。
【請求項3】
前記ボンネット(2)の長手方向の前記運動は、車両の前記長手方向に対応することを特徴とする、請求項1または2に記載の自動車ドア用ロック。
【請求項4】
前記ボンネット(2)は、少なくとも一つのヒンジ(14,15,16)によって回転できるように自動車本体に関節式に繋がれ、前記ヒンジ(14,15,16)は、バネ力に抗して前記長手方向に前記ボンネット(2)の運動を可能にすることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の自動車ドア用ロック。
【請求項5】
前記ヒンジ(14,15,16)は、関節式に繋がれた少なくとも2つのレバー(14,15)を介して前記自動車本体に連結されることを特徴とする、請求項4に記載の自動車ドア用ロック。
【請求項6】
前記関節式に繋がれた2つのレバー(14,15)のうち少なくとも一つは、任意に固定でき、解除できることを特徴とする、請求項5に記載の自動車ドア用ロック。
【請求項7】
前記旋回点(18)は、前記ボンネット(2)の前記長手方向で調整できるように設計されることを特徴とする、請求項6に記載の自動車ドア用ロック。
【請求項8】
前記解除要素(10)は、それぞれの爪部(4,5)が前記プリラチェット位置をとるように、その第1作動および第2作動中、前記爪部または複数の爪部(5)に作用することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の自動車ドア用ロック。
【請求項9】
前記プリラチェット位置から開ける為の前記ボンネット(2)の長手方向の前記運動は、前記爪部(5)が前記回転ラッチ(4)において、前記ボンネット(2)上の外形部(20)によって、プリラチェット位置(12)から持ち上げられることに対応することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の自動車ドア用ロック。
【発明の詳細な説明】
【説明】
【0001】
本発明は、回転ラッチおよび爪部から実質的に成るロック機構を備えた自動車ドア用ロック、特に、自動車ボンネット用ロックに関する。ロック機構は、ボンネット用アンロック/開錠機構を更に有する、ボンネット上のラッチホルダブラケットと相互作用し、自動車本体の内部に設けられた解除要素を備える機構を特徴とする。好ましくは、ボンネットを開ける為に、解除要素を2回作動させることが必要である。
【0002】
自動車ドア用ロック、特に、自動車ボンネット用ロックは、実用的に多数が使用され、通常、回転ラッチおよび爪部から構成されるロック機構に加えて、回転ラッチ用フックを有する。このため、DE 199 38 687 B4に詳細に記載されているように、いわゆるキャッチフックロックについても言及している。ボンネット、結果としてロック機構の閉鎖位置では、ロック機構に加えてキャッチフックが、ロック用ボルトを所定位置で確実に固定する。これにより、いわば2倍の安全性が得られる。
【0003】
そのような自動車ドア用ロックを開けるには、アンロック/開錠機構の解除要素のうち少なくとも一つの解除要素が必要である。このため、解除要素は、自動車本体内側のループとして設計可能である。ボーデンケーブルは、解除要素の作用を用いて爪部が回転ラッチとの係合から持ち上げられるように、連結要素として解除要素に連結されてもよい。これによってロック機構は開錠されるが、ロック用ボルトは、依然として、キャッチフックの助けを借りて固定されている。そのため、ボンネットを開けるため、操作者は、車両を離れ、ラッチが開錠状態のとき、ロック用ボルト又はラッチホルダブラケットが解除されるようにボンネットおよび車両本体の間のスロットを通してキャッチフックを旋回させ、ボンネットを開けることが必要である。そのようなアプローチは、快適性のため、益々、批判されている。
【0004】
このため、一般的なDE 10 2012 212 542 A1は、第1ボンネット用ラッチおよび第2ボンネット用ラッチを提案する。車両本体内側の解除要素の助けを借りて、第1自動車ボンネット用ラッチが解除要素の第1作動でアンロックされ、その後、第2自動車ボンネット用ラッチが解除要素の第2作動でアンロックされる。これは、車両の内側から行われるので、特に、快適である。
【0005】
しかしながら、現状技術において、操作者が、前述したように、解除要素で2回作用させること、これが、ボンネットを開ける為に必要であるという問題がある。ボンネットが開けられていない場合でも、操作者は依然として車両で走り去ることができる。最悪のシナリオでは、これによりが制御できずに揺動して開き、突然、前方視界を妨げる可能性があり、これは相当に安全上の危険性を意味する。本発明は、ここで、全体的な改善策を提供することを意図する。
【0006】
本発明は、単純設計で安全性を向上させるように、そのような自動車ドア用ロックを更に開発する技術的課題に基づく。
【0007】
この技術的課題を解決するため、同一型式の自動車ドア用ロックは、本発明の範囲において、解除要素の少なくとも1回の作動の後、ロック機構は、ロック用ボルト又はラッチホルダブラケットが依然として捕捉された状態で、プリラチェット位置をとり、ボンネットは、長手方向の運動によってプリラチェット位置から開けられる。
【0008】
このように、本発明は、解除要素の1回又は好ましくは2回の作動によって、自動車ドア用ロックのロック機構がプリラチェット位置をとることを常にもたらし、或いは、生じさせることを確実にする。このプリラチェット位置において、爪部は回転ラッチのプリラチェット部に下がっている。ロック用ボルト又はラッチホルダブラケットは、依然として捕捉されたままである。この結果、そのような場合であっても、自動車は、期待されている安全性を損なうことなく、原則として、移動可能である。プリラチェット位置の捕捉は、センサ又はスイッチによって更に問い合わせることができることが理解される。対応したセンサ又はスイッチ信号は、現在、自動車の内部で、光学的および/または音響的に表示可能である。しかしながら、原則として、自動車の制御ユニットの為の信号は、当該信号から導かれ、これは、車両の運転を妨げる。いずれの場合であっても、本発明の範囲において、安全性を明らかに高めることが可能であり、運転者が車両を基本的に運転できるけれども、ボンネット及び特にフロントボンネットは、依然として、適切に固定されている。
【0009】
原則として、ボンネットは、自動車の本体上のフラップ要素または本体内のフラップ要素でもよい。これは、車両ドア、後部扉/トランク用ラッチ、蓋、給油アクチュエータをも含む。これは、そのようなアプローチが好ましいけれども、本発明に基づく自動車ドア用ロックが、ボンネットを固定する為に排他的に使用されるわけではなく、従って、自動車フロントボンネット用ラッチとして使用されることを意味する。
【0010】
ボンネットをプリラチェット位置から開けるため、操作者は、長手方向でボンネットを押す又は引っ張ることによって作用させる。長手方向におけるボンネットの前述した運動は、車両の長手方向又はX方向の運動と一般的に対応する。実際、車両の長手方向は、通常、X方向によって識別され、Y方向は車両の横断方向と対応する。車両の垂直軸の方向は、Z方向として識別される。いずれの場合でも、操作者は、ボンネットを長手方向に、又は、車両のX方向又は長手方向に移動させることができる。
【0011】
このため、ボンネットは、少なくとも一つのヒンジによって、車両本体にヒンジ付けされている。ヒンジは、通常、バネ力に抗して、ボンネットを当該長手方向に移動することを可能にする。そのため、この点で実現される少なくとも一つのバネの力は、引っ張り又は押すことによって、ボンネットが長手方向でバネ力に抗して移動可能であることを確実にするが、力が省略されると初期位置に戻る。
【0012】
詳しくは、ヒンジは、少なくとも2つの関節式(articulated)レバーを介して、車両本体に連結されてもよい。多くの場合、2つの関節式レバーのうちの少なくとも一つに、旋回点が備えられ、これが、前述したバネの力に抗して調整可能である。旋回点は、必要に応じて、固定可能であり、解除可能である。これは、アンロック/開錠機構の一部として、自動車または自動車本体の内側の解除要素によって行うことができる。この状況において、旋回点は、ボンネットの長手方向または車両の長手方向で、本質的に調整可能である。
【0013】
このように、解除要素は、それが作動される最初に、爪部に作用することができるので、ロック機構はプリラチェット位置をとる。その2回目の作動において、解除要素は、それから、バネの力に抗して調整可能な旋回点を解除する。これは、解除要素の2回の作動の後にのみ、操作者が始める運動によって、その長手方向にボンネット又はフロントボンネットを開けることができることを意味する。これが最大の安全性を確実にする理由は、ボンネット又はフロントボンネットの為のヒンジの調整可能な旋回点が、通常操作中は固定されるので、意図することなく調整することができないからである。
【0014】
しかしながら、解除要素が、その1回目の作動および2回目の作動で爪部に作用することも可能である。たとえば、互いに離間された2つの車両ドア用ロックを用いてボンネットが車両本体に固定されている場合、このように進めることが必要であってもよい。この場合、解除要素の1回目の操作は、第1自動車ドア用ロックを開けさせる。その後、解除要素の2回目の作動は、2つの独立した自動車用ロックまたは爪部が作用するという結果を有する。その結果、それぞれの自動車ドア用ロック又は両方の自動車ドア用ロックは、各々が、それぞれのプリラチェット位置にある。そのため、ボンネットは、依然として固定され、たとえば、気流または他の手段によって、意図することなく持ち上げられない。
【0015】
プリラチェット位置から開ける為の、長手方向におけるボンネットの運動は、一般的に、自動車ドア用ロックの内側のロック機構の爪部が回転ラッチのプリラチェット位置から持ち上げられることに対応する。たとえば、これは、ボンネットにおける外形部が爪部と相互作用するように、詳細に実施可能であり、実現可能である。押す又は引っ張る前述した作用の向きの、操作者によるボンネットの長手方向の運動によって、当該外形部は、ボンネットで又はボンネット内側で爪部と接触するようになり、それが回転ラッチにおけるプリラチェット部から持ち上げられることを確実にする。次に、ラッチが開錠され、ボンネットが、望まれるように開けられる。ボンネットが開けられると、爪部は、バネ懸架の下に初期位置まで戻り、ボンネットが実質的に閉じられると、最初に、爪部はプリラチェット位置に直ちに下がることができ、その後、回転ラッチのメインラチェット部に下がることができる。そのため、ボンネットを閉じるとき、有用な機能が与えられる。
【0016】
この状況において、たとえボンネットを閉じる操作者が、ボンネットをゆっくりと下に置き、プリラチェット部が現状技術で依然として達成されていない場合であっても、爪部が回転ラッチのプリラチェット部に少なくとも係合するように当該設計を行うことが可能である。これが可能であるのは、本発明の範囲において、ボンネットが車両本体から懸架された位置にあるときのように、プリラチェット位置で保持可能であるからである。そのため、ボンネットをプリラチェット位置まで移動させるバネの設計は、それに応じて選択可能である。
【0017】
本発明によると、回転ラッチは、プリラチェット位置から開錠位置まで、基本的にバネ力で装着される必要がないことから、これは、逆に、これは、ボンネットが閉じられているとき、ロック用ボルト又はラッチホルダブラケットが、それがそうだったように、力をかけずに回転ラッチをプリラチェット位置まで少なくとも揺動できることに対応し、これは、バネの反力を克服する必要がないことを意味する。これは、安全性が更に大幅に向上したことに相当する。
【0018】
その結果、単純設計で、特に安全な操作を保証する自動車ドア用ロックが利用可能にされる。実際には、たとえば、運転者が、ボンネットを開けたまま、又は、ボンネットを開けたまま、それを先に所定位置で固定することなく、走り去ることは、最早、可能ではない。むしろ、本発明によると、ボンネット又は当該フロントボンネットは、ロック機構のプリラチェット位置で少なくとも保持される。そのため、ボンネット又はフロントボンネットの制御できない持ち上げを信頼性良く防止することができ、これは、現状の技術では、以前に不可能であった。これらが基本的な利点である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下、単に例示的な実施形態を示す図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
図1図1は、ボンネットを備えたフロント領域の自動車を示し、発明された自動車フロントボンネットは、様々な機能的な位置でラッチする。
図2図2は、ボンネットを備えたフロント領域の自動車を示し、発明された自動車フロントボンネットは、様々な機能的な位置でラッチする。
図3図3は、ボンネットを備えたフロント領域の自動車を示し、発明された自動車フロントボンネットは、様々な機能的な位置でラッチする。
図4図4は、閉鎖された時の自動車ドア用ロックを詳細に示す。
図5図5は、プリラチェット位置における、図4に従う対象物を示す。
【0020】
【詳細な説明】
【0021】
図1図3は、ボンネット2を備えたフロント領域又はフロント領域だけが見られる自動車1を示す。フロントボンネット2は、自動車ドア用ロックを用いて自動車本体に固定されるが、例示的に実施形態において、これは、自動車フロントボンネット用ラッチ3であり、限定されるものではない。この自動車ドア用ロックおよび自動車フロントボンネット用ラッチ3の内部および詳細は、この実施例の場合、図4図5において、異なる機能位置で示されている。これらの説明図は、当該自動車ドア用ロックが、回転ラッチ4および爪部5から成るロック機構4,5を本質的に備えていることを示す。
【0022】
ロック機構4,5は、ボンネットまたはフロントボンネット2に配置されたラッチホルダブラケット6またはロックボルトと相互作用する。回転ラッチ4は、ラッチケース8内で、軸7を中心として旋回できるように置かれている。同様のことが、軸または回転軸9の画定の下でラッチプレート8に装着されている爪部5に当てはまる。一方では回転ラッチ4の、他方では爪部5の2つの軸7,9は、関連付けられたボルトまたはショルダスタッドを用いて画定され、これらは、各々がラッチプレート8に連結されている。
【0023】
更なる基本構造は、ボンネット2の為のアンロック/開放機構10,11を含み、これらは、図1の大部分で見られる。ボンネット2の為のアンロック/開放機構10,11には、車両本体内側に設けられた解除要素10が備えられている。幾つかの解除要素が組み込まれることも可能である。解除要素10は、機械的または電気的に動作してもよい。例示的実施形態は、機械的変形例を示す。
【0024】
この場合、解除要素10は、連結手段11(この場合はケーブルまたはボーデンケーブルを介して)自動車ドア用ロックまたは自動車フロントボンネット用ロック3に機械的に結合されている。実際、この地点に設けられた連結手段11またはボーデンケーブルは、図4に表示されたような爪部5で動作する。解除要素10の作動は、例示的実施形態によると、連結手段11またはボーデンケーブルが引張力を用いて作用され、その結果、連結手段11の端部に連結された爪部5も、それに作用する引張力を受けることに対応する。これは、図4に表示されるように、例示的実施形態の爪部5を、その軸9を中心として反時計廻りに旋回させる。
【0025】
図4の範囲内において、爪部4,5の閉錠位置から始めて、これは、爪部5が回転ラッチのメインラチェット部12から持ち上げられることをもたらす。回転ラッチ4は、第1アーム4a、第2アーム4bを備えたフォーク状ラッチとして設計されている。2つのアーム4a、4bは、互いに分離されており、これらの間にスロット4cを画定し、ここに、ラッチホルダブラケット6が捕捉される。アーム4aは、メインラチェットアーム4aであるが、アーム4bは、プリラチェット部13を備えたプリラチェットアーム4bとして設計されている。
【0026】
図4による回転ラッチから閉錠位置の爪部5が持ち上げられるとすぐに、明示されていないバネは、回転ラッチ4が、その軸7を中心として時計廻りに旋回されることを確実にする。解除要素10は1回だけ作動され、その後、バネによって直ちに補助されて初期位置まで戻ることから、爪部5は、解除要素10の旋回運動およびメインラチェット部12の解除の後、プリラチェット位置13に下がることができる。次に、図5によるプリラチェット位置に到達する。
【0027】
図5によるプリラチェット位置からボンネット2を開けるため、例示的実施形態のボンネット2は、図1の二重矢印によって表示されるように、操作者または車両運転者によって、長手方向に押す又は引っ張ることにより作用される。これは、解除要素10による初期作用の後、ロック機構5が、そのプリラチェット位置で変更されないことを意味する。この場合、爪部5は、プリラチェット位置13に下げられており、その結果、ラッチホルダブラケット6だけでなく連結されたボンネット2も固定するので、ラッチホルダブラケット6は、依然として回転ラッチ4に捕捉されたままである。次に、ボンネット2を開けるため、ボンネット2は、図5による長手方向において、プリラチェット位置から移動される。長手方向は、X方向の矢印によって、図3にも追加で示されている。車両の長手方向は、これに対応する。対照的に、Y方向は、車両の横断方向を示す。同様に描かれているのは、Z方向または高軸方向である。
【0028】
ボンネット2は、車両の長手のX方向に前述した運動を行えるように、少なくとも一つのヒンジ14,15,16によって、回転できるように車両本体にヒンジ付けされている。ヒンジ14,15,16は、ヒンジ14,15,16のコンポーネントとして、バネ16の力に抗して、ボンネット2の長手方向運動を可能にする。実際、ヒンジ14,15,16は、バネ懸架式ヒンジ14,15,16である。詳細には、2つの関節式レバー14,15と、既に言及されたバネ16とを示す。
【0029】
2つの関節式レバー14,15は、各々が、一方ではボンネット2の端部に連結され、他方では、連結プレート17に連結されているので、結果として、車両本体に連結されている。一つの関節式レバー14の少なくとも一つの旋回点18が調整できるように設計されている。旋回点18の調整は、既に言及された圧縮に対応する。その結果、2つの関節式レバー14,15のうちの一つは、対応するバネ16の力に抗して調整可能である。さらに、当該旋回点18は、固定され、解除されてもよい。これは、全体的に図3に示されているが、これによって、旋回する爪部19は、旋回点18の固定および解除を提供してもよく、旋回点18は、解除要素10を用いて作用される連結手段11、或いは、解除要素10に対する他の連結手段に連結されている。したがって、爪部19を作動させて解除要素10を使用でき、それにより、旋回点18は、移動させることができ、バネ16によって作用させることができる。
【0030】
旋回点18は、ボンネット2の長手方向で、本質的に調整することができる。したがって、ボンネットに対して長手方向またはX方向に操作者が始める動作は、図3に表示されるように旋回点18が移動することを確実にする。同時に、他の第2の関節式レバー15が旋回する。その結果、ボンネット2は、全体が開けられるように長手方向に移動できる。
【0031】
ボンネット2が長手方向またはX方向に移動すると、ボンネット2の外形部20が爪部5に係合する。中央に配置された自動車フロントボンネット用ラッチ3だけが示されている図1による説明図とは対照的に、前述した実施例では、2つの自動車ドア用ロックまたは自動車フロントボンネット用ロック3は、各々が、ボンネットまたはフロントボンネットの左右に配置されている。いずれの場合でも、ボンネット2の内側にある外形部20は、前述したボンネット2の長手方向運動中にラッチ4、5の爪部5に抗して外形部20がX方向に移動することを確実にする。爪部4,5は、図5によるプリラチェット位置にあるので、ボンネット2の運動は、爪部4,5の直接開錠につながる。これは、回転ラッチ4において爪部5がプリラチェット位置13から持ち上げられるからである。
【0032】
次に、ラッチホルダブラケット6は、ロック機構4,5から完全に自由になり、図2に示されるように、ボンネット2を開けることができる。全体の処理は、自動車本体の内側12の解除要素10が、第1作動において、第1自動車フロントボンネット用ラッチ3の爪部に作用し、第2作動において、第2のフロントボンネット用ラッチ3の爪部5に作用するものである。結果として、解除要素が2回作動された後、両方の自動車ボンネット用ロック3は、それらのプリラチェット位置にある。フロントボンネット2が長手方向又はX方向に移動されるとすぐに、爪部5は、フロントボンネット2によって回転ラッチ4から持ち上げられるので、ボンネット2を開けることができる。
【0033】
しかしながら、たとえば、中央の自動車フロントボンネット用ラッチ3の場合、ロック機構4,5は、解除要素10の第1作動によって、図5によるプリラチェット位置に移動する。その後、解除要素10の第2作動は、旋回点18が爪部19から解除されることを確実にしてもよい。他方、最初に説明された変形例において、旋回点18は、ボンネット2の長手方向で一般的に自由に調整可能であり、爪部19は、全く設けられていない。いずれの場合であっても、この変形例において、解除要素10の第2作動は、旋回点18が解除されることを確実にする。これが意味することは、ボンネット2における外形部20が回転ラッチ4から爪部5を持ち上げるように、その後、操作者が長手方向又はX方向でボンネット2に作用できることである。両方の場合、爪部5はプリラチェット位置13から移動され、ラッチホルダブラケット6は完全に解除される。ボンネット2を開けることができる。
図1
図2
図3
図4
図5