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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】貯蔵安定性配合物
(51)【国際特許分類】
   A23K 20/105 20160101AFI20220517BHJP
   A23K 20/28 20160101ALI20220517BHJP
   A23K 30/00 20160101ALI20220517BHJP
   A23K 40/30 20160101ALI20220517BHJP
   A23K 50/10 20160101ALI20220517BHJP
【FI】
A23K20/105
A23K20/28
A23K30/00
A23K40/30 A
A23K50/10
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019542525
(86)(22)【出願日】2018-02-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 EP2018053337
(87)【国際公開番号】W WO2018149756
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2020-09-18
(31)【優先権主張番号】17156107.9
(32)【優先日】2017-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ブルナー, ドミニク ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】クラサドンテ, ローレ
(72)【発明者】
【氏名】ゴスシェック, クリスティーネ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィドニ, オリヴィア ブリジット
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-529842(JP,A)
【文献】特許第5984189(JP,B2)
【文献】特許第5786221(JP,B2)
【文献】特開昭60-214746(JP,A)
【文献】国際公開第2016/154581(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00 - 50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵安定性粉末状配合物であって、
(i)式(I)の化合物
【化1】

(式中、
nは1~15の整数であり、
は、H、C~Cアルキル、フェニル、-OH、-NH、-CN、-COOH、-O(C=O)R、-NHC(=O)R、SONHR、及び-ONOからなる群から選択され、
は、C~Cアルキル、フェニル、ピリジルであり、
但し、nが>3である場合に、炭化水素鎖に-O-又は-NH-が介在し得ることを条件とする)
を、前記粉末状配合物の全重量に対して少なくとも0.1重量%(wt%)、
(ii)前記粉末状配合物の全重量に対して、食用を0~40重量%、及び
iii)前記粉末状配合物の全重量に対して、≦320μmの粒径D(v,0.5)を有するシリカを少なくとも25重量%、
含む貯蔵安定性粉末状配合物。
【請求項2】
(iv)前記粉末状配合物の全重量に対して、水及び/又は増粘剤0~10重量%をさらに含む、請求項1に記載の貯蔵安定性粉末状配合物。
【請求項3】
(i)前記粉末状配合物の全重量に対して、式(I)の化合物2~20重量%、
(ii)前記粉末状配合物の全重量に対して、食用油10~45重量%、
(iii)前記粉末状配合物の全重量に対して、≦320μmのD(v,0.5)を有するシリカ少なくとも35重量%、及び
(iv)前記粉末状配合物の全重量に対して、水及び/又は増粘剤0~10重量%、
からなる、請求項1又は2に記載の貯蔵安定性粉末状配合物。
【請求項4】
前記増粘剤が、ゴム及び/又はセルロース誘導体からなる群から選択される、請求項2又は3に記載の貯蔵安定性粉末状配合物。
【請求項5】
nが3~9の整数であり、RがOH、COOH又は-ONOである、請求項1~のいずれか一項に記載の貯蔵安定性粉末状配合物。
【請求項6】
式(I)の前記化合物が、3-ニトロオキシプロパノール、9-ニトロオキシノナノール、5-ニトロキシペンタン酸、6-ニトロキシヘキサン酸、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミンジニトレート、1,4-ビス-ニトロオキシブタン及び1,5-ビス-ニトロオキシペンタンからなる群から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の貯蔵安定性粉末状配合物。
【請求項7】
前記食用油が、プロピレングリコール、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、中鎖トリグリセリド(MCT)及びグリセロール、並びにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の貯蔵安定性粉末状配合物。
【請求項8】
前記食用油がプロピレングリコールである、請求項1~7のいずれか一項に記載の貯蔵安定性粉末状配合物。
【請求項9】
(i)前記粉末状配合物の全重量に対して、3-ニトロオキシプロパノール2~12重量%、
(ii)前記粉末状配合物の全重量に対して、プロピレングリコール20~40重量%、
(iii)前記粉末状配合物の全重量に対して、≦320μmの粒径D(v,0.5)を有するシリカ少なくとも40重量%、及び
(iv)前記粉末状配合物の全重量に対して、水0~7重量%、
からなる、請求項1~8のいずれか一項に記載の貯蔵安定性粉末状配合物。
【請求項10】
前記シリカの粒径D(v,0.5)が、100~320μmの範囲で選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の貯蔵安定性粉末状配合物。
【請求項11】
前記シリカの粒径D(v,0.5)が、200~300μmの範囲で選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の貯蔵安定性粉末状配合物。
【請求項12】
前記シリカが、pH6~7の範囲で選択されるpHを示す、請求項1~11のいずれか一項に記載の貯蔵安定性粉末状配合物。
【請求項13】
ーティングを含有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の貯蔵安定性粉末状配合物。
【請求項14】
式(I)の前記化合物の保持率が、少なくとも80%である、請求項1~13のいずれか一項に記載の貯蔵安定性粉末状配合物。
【請求項15】
飼料製品における式(I)の前記化合物の保持率を高めるための、飼料製品における、請求項1~14のいずれか一項に記載の貯蔵安定性粉末状配合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、3-ニトロオキシプロパノール及びその誘導体の貯蔵安定性配合物、並びにかかる配合物の製造に関する。
【0002】
地球を取り巻く空気の温度が上昇しており、これは地球温暖化と呼ばれるプロセスである。この温暖化作用を低減する主な焦点の1つは、大気中に放出される温室効果ガスの量を減らすことである。温室効果ガスは、自然及び人工の両方の、いくつかの異なる供給源から放出されている;しかしながら、最も強調される2つの供給源は、農業及び化石燃料産業である。農業では、反芻動物、特にウシは、生体メタン形成の主な原因であり、反芻動物からのメタン形成を防ぐことによって、大気中のメタン濃度がほぼ安定化されると推定されている。
【0003】
3-ニトロオキシプロパノール及びその構造類似体は、宿主動物に有害であると考えられる方法で微生物の発酵に影響を及ぼすことなく、反芻動物におけるメタンの形成を低減するのに非常に効率的であることが報告されている(国際公開第2012/084629号パンフレット)。
【0004】
しかしながら、3-ニトロオキシプロパノール及びその構造類似体は、飼料産業で一般に使用される、珪藻土又はシリカなどの標準的担体システムにおいて、一般に従来の貯蔵条件下にて有効に維持されないことが判明している。
【0005】
したがって、上記の貯蔵問題を克服する製品形態、つまり貯蔵中の3-ニトロオキシプロパノールの蒸発を避け、且つさらに良好な流動性を有し、反芻動物用の飼料製品において一般に使用される他の成分と容易に混合することができる、製品形態を開発することが現在、必要とされている。
【0006】
意外なことに、3-ニトロオキシプロパノールは、従来の貯蔵条件下にてより大きな粒径を有するシリカと比較して、≦320μmの平均粒径を有するシリカにおいてより有効に保持されることが判明している。
【0007】
したがって第1実施形態において、本発明は、
(i)式(I)の化合物
【化1】

(式中、
nは1~15の整数であり、
は、H、C~Cアルキル、フェニル、-OH、-NH、-CN、-COOH、-O(C=O)R、-NHC(=O)R、SONHR、及び-ONOからなる群から選択され、
は、C~Cアルキル、フェニル、好ましくは2-ピリジルなどのピリジルであり、
但し、nが>3である場合に、炭化水素鎖に-O-又は-NH-が介在し得ることを条件とする)
を、粉末状配合物の全重量に対して少なくとも0.1重量%(wt%)、
(ii)粉末状配合物の全重量に対して、食用溶媒を0~40重量%、及び
(iii)粉末状配合物の全重量に対して、≦320μmの平均粒径D(v,0.5)を有するシリカを少なくとも25重量%、
含む粉末状配合物(I)に関する。
【0008】
本発明による組成物は貯蔵安定性であり、即ち、式(I)の化合物の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、最も好ましくは少なくとも87%の保持率を示すことは十分に理解される。
【0009】
本発明による配合物は粉末であり、製造プロセス並びに貯蔵条件に応じて、いくらかの水を含み得る。含水率は通常、配合物の全重量に対して7重量%未満である。したがって、本発明の更なる実施形態は、配合物の全重量に対して0~7重量%の水が存在する、上述の配合物に関する。
【0010】
本発明による配合物はさらに、飼料用途の粉末状配合物の製造に一般に使用される通例の添加剤を少量含有し得る。したがって、本発明の更なる実施形態は、配合物の全重量に対して0~5重量%の添加剤が存在する、本発明による配合物に関する。
【0011】
本発明のすべての実施形態において、すべての重量%を合計すると常に100となることは明らかである。しかしながら、例えば使用されるそれぞれの原料又はプロセスを介して導入される、例えば5重量%未満、好ましくは3重量%未満の量で少量の不純物又は添加剤が存在し得ることは除外することはできない。
【0012】
本発明のすべての実施形態における式(I)の特定の有利な化合物は、式(II)の化合物(式中、nは3~9の整数であり、Rは、OH、COOH又は-ONOであり、但し、nが4である場合に、炭化水素鎖に-NH-が介在し得ることを条件とする)であり、特に式(II)R-(CH-NH-(CH-ONO(II)の化合物などである。式(I)(式中、nが3~9の整数であり、RがOH、COOH又は-ONOである)の化合物がまたさらに好ましい。
【0013】
本発明のすべての実施形態における式(I)のさらに有利な化合物は、3-ニトロオキシプロパノール(CAS-No:100502-66-7)、9-ニトロオキシノナノール、5-ニトロキシペンタン酸(CAS74754-56-6)、6-ニトロキシヘキサン酸(CAS74754-55-5)、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミンジニトレート(CAS20830-49-3)、1,4-ビス-ニトロオキシブタン(CAS3457-91-8)及び1,5-ビス-ニトロオキシペンタン(CAS3457-92-9)である。本発明のすべての実施形態において、3-ニトロオキシプロパノールが最も好ましい。
【0014】
式(I)の化合物は好ましくは、760トルにて250℃未満の沸点、好ましくは760トルにて100~200℃の沸点を有する。
【0015】
本発明による化合物は公知であり、且つ市販されており、或いは例えば国際公開第2012/084629号パンフレットに開示のプロセスと同様に製造することができる。
【0016】
シリカは飼料及び食品産業における既知の担体材料であり、非晶質シリカの白色微小球(二酸化ケイ素とも呼ばれる)を意味し、非常に様々な粒径で入手可能である。本発明による特に適したシリカは、≦320μmの粒径を有する非晶質沈降シリカ、例えばIQE GroupからのIbersil D-250、EvonikからのSipernat2200又はSolvayからのTixosil68などである。
【0017】
好ましくは本発明のすべての実施形態において、本発明によるシリカは、100~320μmの範囲で、さらに好ましくは200~310μmの範囲で、最も好ましくは200~300μmの範囲で選択される平均(average)(平均(mean))粒径D(v,0.5)を有する。
【0018】
レーザー回折法(レーザー回折光散乱)による粒径分析についてISO13320-1に概説される推奨に従って、本明細書に示される粒径は、Malvern Master Sizer2000によって測定される。このレーザー回折測定中に、粒子は集束レーザービームを通過する。粒子は、そのサイズに反比例する角度で光を散乱する。次いで、散乱光の角強度(angular intensity)が一連の感光検出器によって測定される。角度に対する散乱強度のマップは、粒径の計算に使用される情報の主な供給源である。本発明によるシリカの測定には、乾燥粉末フィーダー(Malvern Scirocco)が使用された。
【0019】
有利なことに、本発明によるシリカはさらに、pH6~7の範囲で選択されるpH(蒸留水中の1%懸濁液として測定される)を示し、これがさらに、活性(active)の保持率を増加する。
【0020】
食用油という用語は、飼料用途において一般的に使用されている油を意味する。本発明のすべての実施形態において好ましい食用油は、プロピレングリコール、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、中鎖トリグリセリド(MCT)及びグリセロール並びにそれらの混合物である。本発明のすべての実施形態において、プロピレングリコールの使用が最も好ましい。
【0021】
本明細書で使用される添加剤という用語は、飼料用途の粉末状配合物の製造に一般に使用される添加剤、特に増粘剤など、例えば特にキサンタンゴム、カラヤゴム及び/又はエチル-セルロースなどのゴム又はセルロース誘導体を意味する。
【0022】
本発明の好ましい実施形態は、配合物(II)である配合物(I)であって、
(i)粉末状配合物の全重量に対して、式(I)の化合物を1~25重量%、及び
(ii)配合物の全重量に対して、少なくとも1種類の食用油を5~45重量%、及び
(iii)粉末状配合物の全重量に対して、≦320μmのD(v,0.5)を有するシリカを少なくとも30重量%、及び
(iv)粉末状配合物の全重量に対して、水及び/又は添加剤を0~10重量%、
含む配合物(I)である。
【0023】
本発明のさらに好ましい実施形態は、
(i)粉末状配合物の全重量に対して、式(I)の化合物2~20重量%、
(ii)粉末状配合物の全重量に対して、食用油10~45重量%、
(iii)粉末状配合物の全重量に対して、≦320μmのD(v,0.5)を有するシリカ少なくとも35重量%、及び
(iv)粉末状配合物の全重量に対して、水及び/又は添加剤0~10重量%、
からなる配合物(III)に関する。
【0024】
本発明の特に好ましい実施形態は、
(i)粉末状配合物の全重量に対して、式(I)の化合物2~15重量%、
(ii)粉末状配合物の全重量に対して、食用油20~40重量%、
(iii)粉末状配合物の全重量に対して、≦320μmのD(v,0.5)を有するシリカ少なくとも35重量%、及び
(iv)粉末状配合物の全重量に対して、水及び/又は添加剤0~5重量%、
からなる配合物(IV)に関する。
【0025】
本発明の非常に具体的な配合物は、
(i)粉末状配合物の全重量に対して、3-ニトロオキシプロパノール2~12重量%、
(ii)粉末状配合物の全重量に対して、プロピレングリコール20~40重量%、
(iii)粉末状配合物の全重量に対して、≦320μmのD(v,0.5)を有するシリカ少なくとも40重量%、及び
(iv)粉末状配合物の全重量に対して、水0~7重量%、
からなる配合物(V)である。
【0026】
一般に、本発明による粉末(配合物(I)、(II)、(III)、(IV)、(V))を製造するために、式(I)の化合物は任意選択的に、食用油中で希釈され、さらに任意選択的に、添加剤と混合され、本発明によるシリカ上に噴霧されるか、又は本発明によるシリカと混合される。
【0027】
式(I)の化合物は任意選択的に食用油の存在下にあり、さらに任意選択的に、添加剤と混合し、食品若しくは飼料製品の製造に適した有機溶媒、例えばジクロロメタン中に希釈し、シリカ上に噴霧するか、又はシリカと混合し、続いて有機溶媒を蒸発させることも可能である。
【0028】
本発明による粉末状配合物はさらに、ワックス又は脂肪などの当技術分野で通例のコーティングで被覆することができる。存在する場合、かかるコーティングは一般に、粉末形態の全重量に対して5~50重量%の量で適用される。有利なことに、コーティングは、滴点30~85℃を有する、少なくとも1種類のワックス及び/又は少なくとも1種類の脂肪を含む。
【0029】
本明細書で使用される材料の滴点は、その材料が標準化条件下にて融解し始めた時の温度(℃)を意味する。したがって、固体から液体へと物質の状態が変化するまで、材料が加熱される。滴点は、最初の滴(dropping)が材料から放出される時の温度である。滴点(Tropfpunkt)の決定は、DIN ISO2176標準規格に記載のように行われる。
【0030】
本発明の文脈においてコーティングとして使用するのに特に適したワックスとしては、長鎖アルキルからなる有機化合物、一般に脂肪酸と長鎖アルコールとのエステルである天然ワックス(植物、動物)、並びに官能基を欠いた長鎖炭化水素である合成ワックスが挙げられる。
【0031】
本発明の文脈においてコーティングとして使用するのに特に適した脂肪としては、有機溶媒に可溶性であり、水にほぼ不溶性である化合物の広範なグループ、例えば、一般にグリセロール及び脂肪酸のトリエステルである水素化脂肪(又は飽和脂肪)が挙げられる。適切な脂肪は、天然又は合成起源であり得る。水素化(飽和)脂肪を得るために、(多価)不飽和脂肪を水素化することが可能である。
【0032】
本発明によるコーティングとして使用される、ワックス及び脂肪の好ましい例は、モノステアリン酸グリセリン、カルナウバろう、カンデリラろう、サトウキビワックス、パルミチン酸、ステアリン酸、水素化綿実油、水素化パーム油及び水素化ナタネ油並びにそれらの混合物である。
【0033】
上記で開示されるすべての配合物(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)はそれ自体で、又は飼料製品中で使用することができる。
【0034】
さらに、上記に開示されるすべての配合物(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)は、飼料製品の製造においてそれ自体で使用することができる。
【0035】
別の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物の保持率を高めるように、本明細書に示すすべての優先及び定義を有する、≦320μmの平均粒径D(v,0.5)を有する、好ましくは100~320μmの範囲、さらに好ましくは200~310μmの範囲、最も好ましくは200~300μmの範囲で選択されるD(v,0.5)を有するシリカの使用に関する。好ましくは、保持率は、少なくとも80%、好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも87%である。特に好ましい実施形態において、シリカはさらに、pH6~7の範囲で選択されるpH(蒸留水中の1%懸濁液として測定される)を示し、これがさらに、活性の保持率を増加する。
【0036】
別の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物の蒸発及び/又は揮発をそれぞれ低減する方法、式(I)の化合物の保持率を向上させる方法であって、≦320μmの平均粒径D(v,0.5)を有する、好ましくは100~320μmの範囲、さらに好ましくは200~310μmの範囲、最も好ましくは200~300μmの範囲で選択されるD(v,0.5)を有するシリカと、本明細書に示すすべての定義及び優先を有する式(I)の化合物とを混合することを含む前記方法に関する。特に好ましい実施形態において、シリカはさらに、pH6~7の範囲で選択されるpH(蒸留水中の1%懸濁液として測定される)を示し、これがさらに、活性の保持率を増加する。またさらに好ましい実施形態において、この方法は、これらの配合物が、貯蔵の間ずっと活性を有効に保持するのに特に適しているため、本明細書に定義される配合物(I)、(II)、(III)、(IV)又は(V)の製造を含む。
【0037】
別の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物の蒸発及び/又は揮発をそれぞれ低減する方法、式(I)の化合物の保持率を向上させる方法であって、粉末状配合物(I)、(II)、(III)、(IV)又は(V)を製造する工程を含む前記方法に関する。好ましくは、粉末状配合物は、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、最も好ましくは少なくとも87%の保持率を示す。
【0038】
本明細書で使用される「保持率」とい用語は、12週間の貯蔵期間(開いた袋;25℃;相対湿度50%(r.H.))にわたっての、明細書に示すすべての定義及び優先を有する式(I)の化合物の保持率を意味する。
【0039】
更なる有利な実施形態において、本発明は、明細書に示すすべての定義及び優先を有する式(I)の化合物の、飼料製品における保持率を高める方法であって、飼料組成物に配合物(I)、(II)、(III)、(IV)又は(V)の形態で式(I)の化合物を添加する工程を含む前記方法に関する。
【0040】
更なる実施形態において、本発明は、式(I)の化合物を含み、飼料製品における式(I)の化合物の蒸発(揮発)をそれぞれ低減する、飼料製品の貯蔵安定性を高める方法であって、配合物(I)、(II)、(III)、(IV)又は(V)の形態で式(I)の化合物を飼料組成物に添加する工程を含む前記方法に関する。
【0041】
好ましくは、式(I)の化合物の量が、0.01~50g/kgの飼料製品の範囲、好ましくは0.02~25g/kgの飼料製品の範囲、最も好ましくは1~10g/kgの飼料製品の範囲であるように、飼料製品における配合物(I)、(II)、(III)、(IV)又は(V)の量が選択される。
【0042】
飼料製品という用語は、特に反芻動物の飼料組成物、並びに飼料添加剤を意味する。
【0043】
本発明は以下の実施例によって例証される。すべての温度は℃で示され、すべての部及びパーセンテージは重量に対する。
【0044】
[実施例]
粒径の決定:以下に記述される方法論は、回折光散乱技術に関してISO13320-1に概説される推奨に従う。様々なシリカ等級の粒径は、回折光散乱技術に関するISO13320-1の推奨に従って、Malvern Master Sizer2000によって測定された。25℃にて相対湿度35~55%に調節された材料約5グラムのアリコートを乾燥分散ユニット(Sirocco)のバイブレーター・ホッパー内にサンプリングする。振動供給率50%にてタイゴンチューブを使用して、製品が測定領域を通って30秒間流動するように、ディスペンサー注ぎ口のフロー開口部(flow aperture)を設定する。ディスペンサー圧力0.1バールで試料の測定を30秒間、スナップ30000で行う。試料は光の集束ビーム(赤色光のヘリウム・ネオンレーザー、及び青色光のソリッドステート光源)を通過し、光を散乱して、0.02~2000マイクロメートルの粒子の測定が可能となる。フラウンホーファー(Fraunhofer)近似を用いて、中位粒径(体積)D(v,50)が決定される。
【0045】
シリカのpH決定:それぞれのシリカ1%を含む蒸留水の溶液又は懸濁液を調製する。5分後、溶液又は懸濁液を磁気的に攪拌し、標準pH電極で室温にて測定する。
【0046】
配合物の製造:ビーカーに入れた、表1に示すシリカ等級の様々な種類80gに、プロピレングリコール中の20重量%の3-ニトロオキシプロパノール溶液80gを室温にて穏やかに攪拌しながら添加する。5分間攪拌した後、吸着を完了し、易流動性粉末が得られる。
【0047】
安定性の研究:それぞれの配合物5gを含有する2つのアルミニウム製バッグを制御雰囲気(相対湿度50%)下にて25℃にて開放状態で保管する。Agilent高性能液体クロマトグラフィー1260 Infinity systemを使用し、Aquasil C18、150×3mm、3μmカラムを用いて、且つ210nmにて検出して、HPLCによって3-ニトロオキシプロパノール濃度が決定された。カラムオーブンを23℃に設定し、自動サンプラーは温度制御されなかった。移動相は、移動相A(ミリQ水940mL+アセトニトリル60ml+メタンスルホン酸1mL)及び移動相B(ミリQ水800ml+アセトニトリル200ml+メタンスルホン酸1mL)からなり、流量0.4ml/分にて勾配モードで使用された(0分:B0%、15分:B0%、15.5分:B100%、21分:B100%、21.5分:B0%、25分:B0%(=ランの最後))。その結果(100%に設定された初期値に対する相対濃度)を表1に示す。
【0048】
【表1】