IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】平面状のパッドアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/04 20060101AFI20220517BHJP
   A61N 1/44 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
A61N1/04
A61N1/44
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019555862
(86)(22)【出願日】2018-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-27
(86)【国際出願番号】 DE2018100388
(87)【国際公開番号】W WO2018219383
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-02-08
(31)【優先権主張番号】102017111902.7
(32)【優先日】2017-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512158435
【氏名又は名称】シノギー・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】CINOGY GmbH
【住所又は居所原語表記】Max-Naeder-Str. 15, 37115 Duderstadt, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】バンドケ、ディルク
(72)【発明者】
【氏名】ハーンル、ミルコ
(72)【発明者】
【氏名】トルトビグ、レオンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ストーク、カール-オット
(72)【発明者】
【氏名】リッケ、メラニー
【審査官】小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0157870(US,A1)
【文献】特表2014-523771(JP,A)
【文献】特表2014-505553(JP,A)
【文献】国際公開第2014/119349(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/04
A61N 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の誘電体(102)に埋め込まれ、高電圧信号を供給可能であり、かつ全面が遮蔽されている平面状の電極アセンブリ(112)を備える、パッドアセンブリの当接側(109)に誘電体バリアプラズマを生成するように形成されたパッドアセンブリであって、前記パッドアセンブリが長手方向(L)に幅を有して延在し、サイズに応じて適応可能である平面状のパットアセンブリにおいて、
前記パッドアセンブリが、前記パッドアセンブリの前記幅にそれぞれ1つの誘電体部分と、それぞれ少なくとも1つの電極部分とを有する同じ構造の複数の部分(101,501,601)を長手方向(L)に具備し、
複数の前記部分(101,501,601)の前記電極部分は、前記長手方向(L)に互いに連結し、かつ全長の長さを有する電極アセンブリ(112)を形成することと、
当接面のサイズを前記長手方向(L)で小さくするために、前記長手方向(L)に対して横断方向に延びる目標分離線(103)で少なくとも1つの前記部分(101,501,601)を隣接する前記部分(101,501,601)から切り離し可能であることと、
残された前記部分(101)において前記目標分離線(103)を覆うために絶縁部材(116,516)が設けられていることと、を特徴とする平面状のパッドアセンブリ。
【請求項2】
同じ構造の複数の前記部分(101)は、前記長手方向(L)に同じ長さを有することを特徴とする、請求項1に記載のパッドアセンブリ。
【請求項3】
前記電極アセンブリ(112)は、互いに絶縁される少なくとも2つの電極面(113)を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のパッドアセンブリ。
【請求項4】
前記絶縁部材(516)は、互いに絶縁される少なくとも2つの電極面(513a~513d)のための接続アセンブリを有することを特徴とする、請求項3に記載のパッドアセンブリ。
【請求項5】
前記パッドアセンブリは、その全長にわたって複数の前記部分(101)により形成されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のパッドアセンブリ。
【請求項6】
前記絶縁部材(116)は、前記電極アセンブリ(112)へ高電圧信号を供給するための供給アセンブリ(117)を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のパッドアセンブリ。
【請求項7】
前記パッドアセンブリは、端部分(524)を除いて全長にわたって複数の前記部分(501)により形成されていることと、前記端部分(524)は、前記電極アセンブリ(512)へ高電圧信号を供給するための供給アセンブリ(517)を含むことと、を特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のパッドアセンブリ。
【請求項8】
前記供給アセンブリ(117)は、前記高電圧信号を生成するための制御回路(119)を有することを特徴とする、請求項6に従属する請求項7に記載のパッドアセンブリ。
【請求項9】
前記供給アセンブリ(417)はさらにバッテリ(423)を含み、前記制御回路(419)が前記バッテリの電圧から前記高電圧信号を生成することを特徴とする、請求項8に記載のパッドアセンブリ。
【請求項10】
前記当接側(609)において測定可能な少なくとも1つのパラメータのための、少なくとも1つのセンサ信号を出力するセンサ(625)が複数の前記部分(601)に設けられていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のパッドアセンブリ。
【請求項11】
前記誘電体(102)は、切り離しを容易にする材料脆弱部(108)を前記目標分離線(103)上に有することを特徴とする、請求項1~1のいずれか一項に記載のパッドアセンブリ。
【請求項12】
前記材料脆弱部(108)は、前記誘電体(102)の、電極面(113)が存在しない領域において少なくとも部分的に貫通穴(108b)であることを特徴とする、請求項1に記載のパッドアセンブリ。
【請求項13】
前記誘電体(102)と前記電極アセンブリ(112)とは、前記当接側(109)を非平坦性に適合させるために、可撓性に形成されていることを特徴とする、請求項1~1のいずれか一項に記載のパッドアセンブリ。
【請求項14】
前記誘電体(102)の前記幅は、前記パッドアセンブリの長さにわたって一定であることを特徴とする、請求項1~1のいずれか一項に記載のパッドアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面状の誘電体に埋め込まれ、高電圧信号を供給可能であり、かつ遮断されない電流に対して全面が遮蔽されている少なくとも1つの平面状の電極アセンブリを備える、パッドアセンブリの当接側に誘電体バリアプラズマを生成するように形成された平面状のパッドアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
このような平面状のパッドアセンブリは欧州特許第2723447B1号明細書から知られている。誘電体が中央領域を有し、この中央領域から螺旋状の複数の巻きから形成されたストリップがパッドアセンブリの縁部領域を形成する。誘電体の当接側におけるパッドアセンブリの作用載置面を大きさに関して基材に適合させるために、工具を用いて螺旋状に形成されたストリップを適当な箇所で切断することができ、それにより当接面が所望のとおりに小さくされる。このようにすることで必要な大きさの誘電バリアプラズマ場を、パッドアセンブリを用いて形成することができ、例えば人または動物の体の皮膚面に作用させることができる。その際、皮膚または他の処置されるべき表面は、その表面を有する体が十分に導電性である場合に対向電極として機能することができる。パッドアセンブリと処置されるべき表面、特に皮膚との間の中空空間においてプラズマを生成するために十分な高い電圧が電極に供給される。処置されるべき表面に電極が当接する場合に、定められた中空空間が創成されるようにするために、誘電体は、その当接面に突起または格子またはそれに類する形態の構造を備えていてもよく、この構造の上面が処置されるべき面に当接するように形成されており、かつ当接点間、当接面間、または当接線間に、誘電体バリアプラズマ放電を行うことができる十分な中空中間空間を形成する。
【0003】
例えばストリップを鋏で切断して短くした後、その切断エッジに、例えば刃付きコンタクトを用いて、電極をなす電気導体との接触をもたらす絶縁接触要素が被せられる。外部で生成された高電圧信号が接触要素を介して電極に伝送される。ストリップを一周よりも多く螺旋状に巻いてパッドアセンブリを形成することにより、作用当接面を特殊な使用事例に適合させることが可能になるが、当接アセンブリが若干不安定になる。さらに、例えば実質的に円形ではなく細長く形成された創傷を処置しようとする場合、当接面の適合性が限界に達する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】欧州特許第2723447B1号明細書
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明は、安定性及び非円形の処置面への適合性に関して公知の種類の平面状のパッドアセンブリを改善するという課題にもとづいている。
【0006】
上記の課題を解決するために、冒頭で述べた種類の平面状のパッドアセンブリは、パッドアセンブリが長手方向に幅を有して延在し、かつパッドアセンブリの幅にそれぞれ1つの誘電体部分と、それぞれ少なくとも1つの電極部分とを有する同じ構造の複数の部分を長手方向に具備し、部分の電極部分は、長手方向に互いに連結し、かつ全長にわたって延在する電極アセンブリを形成することと、当接面を長手方向に小さくするために、長手方向に対して横向きに延びる目標分離線で少なくとも1つの部分を隣接する部分から切り離し可能であることと、残された隣接する部分における目標分離線が絶縁部材で覆われていることと、を特徴とする。
【0007】
本発明によれば、場合によっては設けられている粘着延長部を除いてパッドアセンブリの幅に相当する誘電体の幅を有する同じ構造の部分が連結する平面状のパッドアセンブリという根本的に新しい構造が提案される。1つの部分または複数の部分を切り離し可能であることによって、パッドアセンブリの長さをそれぞれの使用事例に適合させることができる。その際、幅は不変である。目標分離線に沿って1つの部分を切り離すことによって、縁部分となった、残された部分には関連する電極部分が、目標分離線における分離面内に突出し、例えばプラズマ処置を行う人員によって直接触れられるかもしれない。このことは、本発明によるパッドアセンブリが残された部分における目標分離線を絶縁部材で覆うことによって回避される。したがって、この絶縁部材も同様に誘電体の幅にわたって、すなわちパッドアセンブリの当接面の幅にわたって延在する。
【0008】
本発明によるパッドアセンブリは、特に創傷、特に手術による創傷を処置するために有意義である。パッドアセンブリは、創傷カバーとして皮膚に載置され、相応に一体成形された粘着タブで貼り付けて固定することができる。その場合、創傷パッドを取り除かなくても、創傷領域における細菌を殺すため、及び/または組織における微小循環を高めるために有意義な時間間隔でプラズマ処置を行うことができる。複数の除去可能な部分を有する本発明による構成によって、パッドアセンブリの長さを例えば手術による切開の長さに適合させることができる。
【0009】
通常、特に製造技術上の理由から、部分を一定幅にすることが合目的的であるが、部分の幅は必ずしも同一である必要はない。また特定の応用分野については、部分の幅が一端に向かってまたは両端に向かって減少することも有意義であり得る。
【0010】
通常の場合、パッドアセンブリの長手方向は直線である。しかしながら複数の部分を有するパッドアセンブリがわずかな曲線を形成することがないわけではない。その際、パッドアセンブリの両端が互いに90°の角度、殊に互いに<60°の角度をなす。したがって、一端を通って延びる直線からの逸脱が他端において90°未満、殊に60°未満でなければならない。
【0011】
長手方向に対して横向きに延びる部分間の目標分離線が長手方向に対して直角であることが好ましい。しかしこれは強制ではない。なぜなら、部分の、目標分離線によってなる直線としてのそれぞれの端が斜めに延びることがないわけではないからである。さらに、目標分離線が、互いに角度をなす複数の直線的な部分から形成されていることが可能であり、それにより部分の境界が、例えば矢の形に形成されていてもよい。同様にパッドアセンブリの端を丸くすることを可能にするために、目標分離線をわずかな曲線に形成することも可能である。
【0012】
製造技術上好ましい一実施形態では、同じ構造の部分がそれぞれ1つの同じ長さを長手方向に有する。したがって、これらの部分は、同じ構造の他に同じ形状及び/または寸法を有してもよい。
【0013】
誘電体に埋め込まれた電極アセンブリは、それ自体公知の仕方で互いに絶縁された少なくとも2つの電極面によって形成されていてもよい。電極面は、ストリップ状の面として、パッドアセンブリの長さ全体にわたって延在する。その際、互いに絶縁された電極面に同一の高電圧電位を印加することが可能であり、それによりパッドアセンブリが載置された処置されるべき表面が、プラズマ形成のための対向電極として機能する。両方の電極面に逆の極性の高電圧信号が、特に急速に減衰する交流電圧パルスの形態で印加され、かつ処置されるべき表面が中間電位(接地電位)である場合にも同じことが当てはまる。
【0014】
しかしこれに代えて、両電極を電極及び対向電極として使用することも可能であり、それによりプラズマ場が電極面間の表面的にのみ形成される。
【0015】
一実施形態では、目標分離線を覆う絶縁部材が、互いに絶縁された少なくとも2つの電極面のための接続アセンブリを有する。この接続によって、電極に直接手が届くことを回避するために絶縁部材が目標分離線に適切に載せられているかどうかを検査することが可能である。2つの電極面の接続は、例えば抵抗測定アセンブリによって容易に検査することができる。それによって、目標分離線の先端面に入り込む電極面を絶縁部材が確実に覆う場合にのみ、制御部が高電圧信号もしくは高電圧パルスを電極アセンブリへ送ることを許可することが可能である。
【0016】
本発明の一実施形態では、パッドアセンブリは、その全長にわたって部分によって形成されており、すなわち同じ構造の部分のみからなる。この事例では、有利にも電極アセンブリへの高電圧信号の供給を、電極アセンブリに高電圧信号を供給するための供給アセンブリを含む絶縁部材によって行うことができる。
【0017】
その際、高電圧信号が外部機器によって生成されて供給アセンブリへ送られる場合、供給アセンブリは、電極アセンブリの単なる接触部であってもよい。
【0018】
別の一実施形態では、供給アセンブリは、高電圧信号を生成するための制御回路を含む。この事例では、供給アセンブリに、高電圧である必要のない普通の供給電圧を供給するだけで十分であり得る。
【0019】
さらに、供給アセンブリが、高電圧信号を生成するための制御回路の他にバッテリも含み、制御回路がバッテリの電圧から高電圧信号を生成することが可能である。この実施形態では、パッドアセンブリは自給自足であり、外部端子をもはや必要としない。その場合、バッテリを有する供給アセンブリは、末端部分または絶縁部材において実現される。
【0020】
さらに別の実施形態では、当接側において測定可能な少なくとも1つのパラメータのための少なくとも1つのセンサ信号を出力するためのセンサがパッドアセンブリの各部分に設けられてもよい。このようなパラメータの測定は、特に、処置されるべき表面としての皮膚に適用する場合に有意義であり得る。それにより、皮膚の赤らみ、皮膚の局所的発熱、pH値の変化等々を決定することが可能である。創傷パッドの場合、このような測定によって局所的感染を早期に発見することができ、それにより感染の細菌低減効果によって対処するプラズマ処置を開始することができる。
【0021】
供給アセンブリにセンサ信号のための評価アセンブリが含まれていてもよい。しかしこれに代えて、センサ信号を直接センサで検知すること、またはセンサから伝送ケーブルを用いて、またはワイヤレスで対応する受信機器へ伝送することも可能である。ワイヤレス伝送は、例えばBluetooth(登録商標)標準規格による近距離通信システムで行うことが有利である。評価装置は、センサ信号を評価するため、場合によってはアラームを発するために用いられる。さらに、プラズマを用いる処置をセンサ信号の評価によって制御することができる。
【0022】
パッドアセンブリの個々の部分の切り離しを、誘電体が切り離しを容易にする材料脆弱部を目標分離線上に有することによって補助することができる。材料脆弱部は、切込み及び他の凹部であってもよいが、貫通穴であってもよい。しかし貫通穴は、高電圧が供給される電極から直接電流が流れる危険を冒さないために、電極面のない誘電体の領域にのみ設けることが許される。
【0023】
基本的に、パッドアセンブリが載置される処置されるべき表面の非平坦性に当接側を適合させるために、誘電体と電極アセンブリとを可撓性に形成することが知られている。特に、皮膚領域にある創傷を含めた皮膚を処置するために、パッドアセンブリを可撓性に形成することは合目的的である。
【0024】
本発明によるパッドアセンブリは、さらに、それ自体公知の仕方で、誘電体において載置側から上に向かって通り抜けるように形成されている多数の貫通開口部を備えていてもよく、その際、電極アセンブリは、貫通開口部の領域内に突出せず、それにより貫通開口部が、途切れない誘電体内壁を有する連続した通路を形成し、それによりこの領域においても電極アセンブリから直接電流が流れることが不可能にされている。
【0025】
以下、図面に示される実施例をもとにして本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】パッドアセンブリの第1の実施形態による上面図、下面図(当接側)、水平断面図、及び垂直断面図である。
図2】パッドアセンブリの第2の実施形態による図1と同じ図である。
図2A図2d)による垂直断面の3つの部分の拡大図である。
図3】パッドアセンブリの第3の実施形態による図1と同じ図である。
図4】パッドアセンブリの第4の実施形態による下面図、水平断面図、及び垂直断面図である。
図5】パッドアセンブリの第5の実施形態による図1と同じ図である。
図6】パッドアセンブリの第6の実施形態による図1と同じ図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示される第1実施形態は、図1a)の上面図において、パッドアセンブリが6つの実質的に同じ部分101からなることを明らかにする。これらの部分は、上面図に図示される実施例では矩形に形成されている誘電体102を上側にそれぞれ有する。部分101の誘電体102はすべて同じ幅を有し、かつ目標分離線103を介して長手方向Lに互いに連結されている。目標分離線103は長手方向Lに対して垂直に延びている。
【0028】
幅方向において、各部分101の誘電体102には両側にそれぞれ1つのフィルム状の翼部104が一体成形されており、フィルム状の翼部は、下側で付着粘着剤によりコーティングされており、処置されるべき表面、特に人の皮膚にパッドアセンブリを固定するために用いられる。
【0029】
図1の左端に位置する部分101は、付加的にさらに別のフィルム状の翼部105を有し、したがってさらに別のフィルム状の翼部は、この部分101に長手方向Lに連結している。遮蔽を改善するために、翼部105は絶縁ウェブ106を介して部分101の誘電体102に連結されている。すべての部分101の誘電体102は、翼部104、105及び絶縁ウェブ106とともに同一材料からなる一体構造をなす。各部分101の誘電体102は、規則的に配置された複数の貫通穴107を有し、パッドアセンブリを創傷パッドとして使用する場合にこれらの貫通穴を通して創傷分泌物を吸い出すことができる。別の適用事例では、液状またはガス状の治癒剤または手当剤を、貫通開口部107を通して処置されるべき表面の領域へ導入することができる。
【0030】
目標分離線103は、刻み線108aの形態及び貫通開口部108bの形態の材料脆弱部108を有している。この材料脆弱部によって、誘電体102に適した材料では引きちぎることにより、すなわち工具を用いることなく部分101を目標分離線103に沿って切り離すことが可能である。しかし切り離すために、例えば鋏が使用される場合も、予定された目標分離線103に沿って切り離すために設けられた材料脆弱部が役に立つ。
【0031】
図1b)は、パッドアセンブリの下からの、すなわち当接側109の図を示す。当接側109では、誘電体が均等な格子を形づくる、かつ互いに垂直に立つウェブ110の形態で形成されている。ウェブ110は同じ高さに成形されており、ウェブの自由(下)エッジにより当接面を形成し、かつ側方から下方へ、すなわち当接側109へ向かって開いたチャンバ111を画定する。チャンバ111は上に向かって誘電体102の連続した層によって画定され、この層において、各チャンバ111には中心に貫通開口部107が位置する。チャンバ111は空のままであってもよいし、または例えば治癒物質及び/または手当物質が部分的に充填されていてもよい。
【0032】
したがって、ウェブ110は、表面を処置するための、特に皮膚を処置するためのプラズマを形成することができるチャンバ111内に中空容積を形成するためのスペーサをなす。
【0033】
図1c)は、図1d)にプロットされているB-B線に沿う水平断面を示す。水平断面は、誘電体102の材料によって全面が包囲されている電極アセンブリ112の俯瞰を可能にする。図1に示される電極アセンブリ112は、ただ1つの電極としてただ1つのまとまった電極面113を形成する平面状の導電層である。この面は、貫通開口部108bとして形成された材料脆弱部108の領域に切欠部114を有している。さらに電極面113が、貫通開口部107の領域に同様に、誘電体102の貫通開口部107の直径より大きい直径の貫通開口部115を有することが見て取れる。それによると、電極面113は、貫通開口部107の内壁の領域にまで延在しない。したがって、この貫通開口部は、途切れることなく誘電体102の材料からなる内壁によって画定される。
【0034】
図1d)は、誘電体102の構成を同様に明確に示す縦断面を示す。図1d)に示された垂直断面の形状は図1c)においてA-A切断線によって明確に示されている。
【0035】
図1による実施例では、部分101から形成されたパッドアセンブリが絶縁部材116によって完成される。この絶縁部材は、図1の最も右に示された最後の部分101の目標分離線103に絶縁ハウジングとして被さり、それにより部分101の目標分離線103の端面内に突出する電極面113が絶縁部材116によって確実に絶縁して覆われる。この実施形態では、絶縁部材116が、供給線118を介して高電圧信号を電極アセンブリ112へ伝送する供給アセンブリ117を含む。この場合、供給アセンブリ117は、マイクロコントローラ120と、信号形成段121と、高電圧を形成するための変圧器段122とを有する制御部119を含む。この実施形態では、交流電圧または直流電圧であり得る供給電圧が外部から供給アセンブリ117に供給される。
【0036】
図2に示される実施形態は図1による実施形態に略相当し、したがって以下において相違のみが説明される。図1による実施形態のために使用される参照符号1xxが、さらなる実施形態では同一の構成要素xxを用いて2xxとして維持される。それ以外の実施形態についても、これらの参照符号が同じ様に使用される。図2による実施形態では、電極アセンブリ212がそれぞれパッドアセンブリの長さにわたって延在する互いに絶縁された2つの電極面213a、213bからなる。絶縁部材216における供給アセンブリ217は、供給線218a、218bを介して2つの電極面213a、213bにそれぞれ高電圧信号を供給する2つの変圧器を有する変圧器段122を含む。その際、高電圧信号は、同一の形態を有するが、互いに逆の極性が与えられ、したがって例えば電極面213aに正の高電圧パルスが供給され、それと同時に電極面213bに同じ大きさの負の高電圧パルスが供給される。このようにすることで、処置されるべき表面が両方の高電圧パルスのための接地電極として作用するにもかかわらず、当接側209の電極面間に大きな電界差が生じる。このようにすることでチャンバ211におけるプラズマ形成の効率が改善される。
【0037】
図2Aは、5:1のスケールで細部A、B、Cとして示される細部部分に印を付けた図2d)による縦断面を含む。縦断面は、図2c)にプロットされるA-A切断線に沿って延びる。
【0038】
図2による実施例に略相当する図3に示される実施例では、互いに絶縁され、それぞれパッドアセンブリの長さにわたって延在する4つの電極面313a、313b、313c、313dが設けられている。この事例では、それぞれの供給線318を介して電極面313a、313bに一方の極性の高電圧信号が供給され、電極面313c、313dに逆の極性の高電圧信号が供給される。このアセンブリでも処置されるべき表面が対向電極として利用される。
【0039】
図4に示される実施形態では、図の上からの俯瞰の同じ外観の図が省略され、ここには図4b)、図4c)、図4d)のみがある。この実施形態は図3による実施形態に相当する。図3に示される実施形態とは異なり、供給アセンブリ417が、マイクロコントローラ420と信号形成段421と変圧器段422の他に、さらに3つのバッテリ423を含む制御部419を有している。バッテリ423によって、制御部419のその他の素子が高電圧信号を形成するために必要とされるエネルギーを自給自足で賄うことができ、それにより外側からエネルギーを引き込む必要がない。
【0040】
図5に示される第5実施例は、機能に関して図4に示される第4実施例に相当する。供給アセンブリ517は、図4による第4実施例とは異なり、ここでは絶縁部材にではなく、この実施例では部分501と同じ大きさを有する端部分524に設けられているが、供給アセンブリ517とバッテリ523を有する制御部519とを備えている。この事例では、長手方向に配置された翼部505が端部分524に位置する。したがって部分501の可能な切り離しは他端から行われる。最後の部分501の目標分離線503の先端面内へ延在する電極面513a、513b、513c、513dは、ここでは(図示されない)接続アセンブリにより電極面513a、513b、513c、513dのうちの少なくとも2つを互いに接続する幅狭の絶縁部材516によって覆われ、このことから制御部519が信号を生成する。この信号は、パッドアセンブリの端部に絶縁部材516が適切に配置されていることを特徴付けるものであり、それにより高電圧信号を生成するための開始信号として用いることができる。したがって電極面513a、513b、513c、513dのための高電圧信号は、最後の部分501の端部における露出した目標分離線503が絶縁部材516によって適切に覆われることが確保されて初めて生成される。
【0041】
図5d)は、末端部分524において、制御部519が誘電体502の拡大された材料集積部に埋め込まれている、好ましくは流し込み成形により埋め込まれていることを明らかにする。
【0042】
図6に示される第6実施形態は図3に示される実施形態に相当するが、電極面613b、613cを互いに絶縁する誘電体ストリップ内にセンサ625を有し、これらのセンサを用いて、処置されるべき表面、特に皮膚表面または創傷表面のパラメータを測定及び表示するか、あるいは制御部619におけるマイクロコントローラ620に伝送することができる。したがって、例えば皮膚層における血液の酸素飽和度を非接触で測定し、酸素飽和度が閾値を下回る場合に、プラズマ処置を開始することが可能である。同様に、温度、感染による赤らみ、pH値等々の他のパラメータを決定及び評価し、場合によっては表示することができる。
【0043】
その際、センサが、物理反応または化学反応にもとづいて測定パラメータの変化または超過の兆候を明確に示す場合に、センサ自体を表示要素として用いることができる。この事例において、センサ反応は、直接視覚的に知覚されてもよいし、または電気的に評価装置へ伝送されてもよい。これに代えて、機能及び/または評価のために電圧供給を必要とするセンサ625を使用することができる。
【0044】
必要ならば、供給アセンブリ617からセンサ625に供給電圧が供給されてもよく、センサは、センサ信号を(例えばBluetooth標準規格による)近距離通信を介してワイヤレスで評価段へ伝送するように形成されていてもよい。
【0045】
すべての実施形態において、誘電体102、202、...は絶縁プラスチック、特に流し込み成形可能なシリコンによって形成される。電極面113、213、...は、同様に、誘電体102、202、...の材料と相容性のある、すなわち特にシリコンであってもよい流し込み成形可能なプラスチックによって形成されるのが有利である。その際、導電性電極面としての特性は、それ自体は非導電性である基材プラスチックへの導電性添加物によって実現される。しかし当然のことながら、電極面を金属導電性フィルムによって実現することも可能である。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 平面状の誘電体(102)に埋め込まれ、高電圧信号を供給可能であり、かつ遮断されない電流に対して全面が遮蔽されている平面状の電極アセンブリ(112)を備える、パッドアセンブリの当接側(109)に誘電体バリアプラズマを生成するように形成された、平面状のパッドアセンブリにおいて、前記パッドアセンブリが長手方向(L)に幅を有して延在し、かつ前記パッドアセンブリの前記幅にそれぞれ1つの誘電体部分と、それぞれ少なくとも1つの電極部分とを有する同じ構造の複数の部分(101)を長手方向(L)に具備し、複数の前記部分(101)の前記電極部分は、前記長手方向(L)に互いに連結し、かつ全長にわたって延在する電極アセンブリ(112)を形成することと、当接面のサイズを前記長手方向(L)で小さくするために、前記長手方向(L)に対して横断方向に延びる目標分離線(103)で少なくとも1つの前記部分(101)を隣接する前記部分(101)から切り離し可能であることと、残された前記部分(101)において前記目標分離線(103)が絶縁部材(116)により覆われていることと、を特徴とする平面状のパッドアセンブリ。
[2] 同じ構造の複数の前記部分(101)は、前記長手方向(L)に同じ長さを有することを特徴とする、[1]に記載のパッドアセンブリ。
[3] 前記電極アセンブリ(112)は、互いに絶縁される少なくとも2つの電極面(113)を有することを特徴とする、[1]または[2]に記載のパッドアセンブリ。
[4] 前記絶縁部材(516)は、互いに絶縁される少なくとも2つの電極面(513a~513d)のための接続アセンブリを有することを特徴とする、[3]に記載のパッドアセンブリ。
[5] 前記パッドアセンブリは、その全長にわたって複数の前記部分(101)により形成されていることを特徴とする、[1]~[4]のいずれか一項に記載のパッドアセンブリ。
[6] 前記絶縁部材(116)は、前記電極アセンブリ(112)へ高電圧信号を供給するための供給アセンブリ(117)を含むことを特徴とする、[1]~[5]のいずれか一項に記載のパッドアセンブリ。
[7] 前記パッドアセンブリは、端部分(524)を除いて全長にわたって複数の前記部分(501)により形成されていることと、前記端部分(524)は、前記電極アセンブリ(512)へ高電圧信号を供給するための供給アセンブリ(517)を含むことと、を特徴とする、[1]~[4]のいずれか一項に記載のパッドアセンブリ。
[8] 前記供給アセンブリ(117)は、前記高電圧信号を生成するための制御回路(119)を有することを特徴とする、[5]~[7]のいずれか一項に記載のパッドアセンブリ。
[9] 前記供給アセンブリ(417)はさらにバッテリ(423)を含み、前記制御回路(419)が前記バッテリの電圧から前記高電圧信号を生成することを特徴とする、[8]に記載のパッドアセンブリ。
[10] 前記当接側(609)において測定可能な少なくとも1つのパラメータのための、少なくとも1つのセンサ信号を出力するセンサ(625)が複数の前記部分(601)に設けられていることを特徴とする、[1]~[9]のいずれか一項に記載のパッドアセンブリ。
[11] 前記センサ信号のための評価アセンブリが前記供給アセンブリ(617)に含まれていることを特徴とする、[10]に記載のパッドアセンブリ。
[12] 前記誘電体(102)は、切り離しを容易にする材料脆弱部(108)を前記目標分離線(103)上に有することを特徴とする、[1]~[11]のいずれか一項に記載のパッドアセンブリ。
[13] 前記材料脆弱部(108)は、前記誘電体(102)の、電極面(113)が存在しない領域において少なくとも部分的に貫通穴(108b)であることを特徴とする、[12]に記載のパッドアセンブリ。
[14] 前記誘電体(102)と前記電極アセンブリ(112)とは、前記当接側(109)を非平坦性に適合させるために、可撓性に形成されていることを特徴とする、[1]~[13]のいずれか一項に記載のパッドアセンブリ。
[15] 前記誘電体(102)の前記幅は、前記パッドアセンブリの長さにわたって一定であることを特徴とする、[1]~[14]のいずれか一項に記載のパッドアセンブリ。
図1
図2a)】
図2b)】
図2c)】
図2d)】
図2A
図3
図4
図5
図6