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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】ストレート型流量計センサ
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/66 20220101AFI20220517BHJP
【FI】
G01F1/66 101
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022517388
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(86)【国際出願番号】 JP2021047143
【審査請求日】2022-04-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000243364
【氏名又は名称】本多電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114605
【弁理士】
【氏名又は名称】渥美 久彦
(72)【発明者】
【氏名】村井 勇気
(72)【発明者】
【氏名】松下 尚孝
(72)【発明者】
【氏名】外村 啓真
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 克幸
(72)【発明者】
【氏名】石黒 裕也
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-154712(JP,A)
【文献】特開2018-077081(JP,A)
【文献】特開2019-158678(JP,A)
【文献】特開2006-337258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00- 9/02
G01F 15/00-15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】

流体が流れるストレートかつフッ素樹脂製の配管の軸線方向にオフセットして配置され、超音波の送受信が可能な一対の超音波振動子と、

前記一対の超音波振動子を収容して位置決め固定するケースと

を備えるストレート型流量計センサであって、

前記配管に外嵌され、前記配管の軸線方向から見たときの外形形状が多角形状をなす弾性部材と、

前記弾性部材を挟み込んで前記弾性部材の頂点部分を含む外周面を弾性部材中心に向けて押圧することにより、前記配管を前記ケースに固定する押圧固定部材と

を備えることを特徴とするストレート型流量計センサ。
【請求項2】

前記弾性部材は、前記配管におけるケース外領域に外嵌されていることを特徴とする請求項1に記載のストレート型流量計センサ。
【請求項3】

前記ケースの端面に突起が形成され、前記弾性部材と前記突起とが、前記押圧固定部材に挟み込まれることを特徴とする請求項2に記載のストレート型流量計センサ。
【請求項4】

前記弾性部材は、前記配管におけるケース内領域に外嵌されていることを特徴とする請求項1に記載のストレート型流量計センサ。
【請求項5】

前記押圧固定部材の外側面に突起が形成され、前記突起が前記ケースに挟み込まれることを特徴とする請求項2または4に記載のストレート型流量計センサ。
【請求項6】

前記押圧固定部材は、前記ケースとは別体で設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のストレート型流量計センサ。
【請求項7】

前記押圧固定部材は、前記ケースの一部に一体的に形成されていることを特徴とする請求項1,2または4に記載のストレート型流量計センサ。
【請求項8】

前記弾性部材は、偶数個の前記頂点部分を有する多角形状をなしていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のストレート型流量計センサ。
【請求項9】

前記弾性部材は、前記配管の軸線方向から見たときの外形形状が四角形状または六角形状をなすとともに、

前記押圧固定部材は、一対の分割片を組み合わせることによって構成され、前記一対の分割片同士の接合面には、前記弾性部材の前記頂点部分及び前記外周面に接触する複数の押圧面からなる弾性部材保持凹部が形成され、前記複数の押圧面のうち前記弾性部材保持凹部の開口縁に繋がるものは、前記接合面側を向くように傾斜しており、

前記一対の分割片により前記弾性部材を挟み込んだときに、前記接合面の延長上に前記配管の中心が位置した状態となる

ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のストレート型流量計センサ。
【請求項10】

前記突起は、前記ケースの端面または前記押圧固定部材の外側面において前記配管を包囲するように突設されたフランジ部であることを特徴とする請求項3または5に記載のストレート型流量計センサ。
【請求項11】

前記押圧固定部材は、一対の分割片を組み合わせることによって略円環状に構成された押圧固定リングであり、

前記一対の分割片は、両端部に第1接続部及び第2接続部をそれぞれ有しており、

前記第1接続部において、一方の前記分割片に突設された係合爪をもう一方の前記分割片に設けられた係合孔に係合させるとともに、前記第2接続部において、一方の前記分割片を挿通した締結部材をもう一方の前記分割片に螺着させることにより、前記一対の分割片が互いに接続されている

ことを特徴とする請求項9に記載のストレート型流量計センサ。
【請求項12】

前記押圧固定部材の外側面に、前記配管の周方向に延びる補強用のリブが突設されていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のストレート型流量計センサ。
【請求項13】

前記押圧固定部材は、前記弾性部材を内包していることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のストレート型流量計センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

本発明は、ストレート型流量計センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】

従来、超音波を用いた計測装置として、液体の流量計測を行う超音波流量計が種々提案されている。この超音波流量計では、液体が流れる配管の途中に流量計測管が設けられ、その流量計測管の上流側位置及び下流側位置にそれぞれ超音波センサが設置されている。そして、これらの超音波センサを用いて超音波を送受信し、上流側から下流側に伝播する超音波の伝播時間と下流側から上流側に伝播する超音波の伝播時間との時間差に基づいて、液体の流量が算出されるようになっている。
【0003】

この種の超音波流量計は、例えば、半導体製造装置において流れる各種の薬液や超純水の流量を計測するために使用される。特に薬液については、通常高温であってかつ腐蝕性を有している。そのため、耐薬品性や耐熱性に優れたPFA等のフッ素樹脂からなるストレートなチューブが、接液部の配管として選択されることがある。
【0004】

また、このようなPFA製チューブに対する超音波流量計としては、取り付け可能なクランプオン式が従来から存在する(例えば特許文献1を参照)。
【0005】

そして、この種のストレート型流量計センサとしては、液体が流れるストレートの配管の軸線方向にオフセットして配置され、超音波の送受信が可能な一対の超音波振動子と、一対の超音波振動子を収容して位置決め固定するケースとを備え、配管がケースを構成する一対のケース分割片により挟み込まれて保持固定されているものが従来提案されている(例えば特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】

【文献】特許第5927394号公報
【文献】特許第6789766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】

しかしながら、PFA製チューブは可撓性を有するので、ケースで直接挟み込んで保持固定しようとしても変形等が生じやすく、強固に保持することが難しい。それゆえ、ケースに対してPFA製チューブが軸線方向に位置ずれする可能性があり、このことが測定精度に影響を及ぼすおそれがあった。また、ケースとPFA製チューブとの界面に隙間が生じてそこから内部に水等が侵入する可能性があり、防水性が高いとは言い難いものであった。
【0008】

ここで、PFA製チューブをゴム等の弾性部材を介してケースに保持固定すればよいとも考えられるが、強固に保持できる具体的な構成は、従来提案されていない。
【0009】

本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐薬性や耐熱性に優れるとともにケースに対する配管の保持力に優れたストレート型流量計センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】

上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、流体が流れるストレートかつフッ素樹脂製の配管の軸線方向にオフセットして配置され、超音波の送受信が可能な一対の超音波振動子と、前記一対の超音波振動子を収容して位置決め固定するケースとを備えるストレート型流量計センサであって、前記配管に外嵌され、前記配管の軸線方向から見たときの外形形状が多角形状をなす弾性部材と、前記弾性部材を挟み込んで前記弾性部材の頂点部分を含む外周面を弾性部材中心に向けて押圧することにより、前記配管を前記ケースに固定する押圧固定部材とを備えることを特徴とするストレート型流量計センサをその要旨とする。
【0011】

従って、請求項1に記載の発明によると、押圧固定部材が配管に外嵌された弾性部材を挟み込んで押圧することにより、配管に密接する弾性部材を介して保持力が配管の外周面に作用する結果、配管がケースに保持固定される。ここで、弾性部材は配管の軸線方向から見たときの外形形状が多角形状をなしており、押圧固定部材はそのような多角形状の弾性部材の頂点部分を含む外周面を弾性部材中心に向けて押圧する。それゆえ、押圧固定部材からの押圧力が効率よく弾性部材に作用して弾性部材を圧縮し、これにより十分な保持力をもって配管がケースに強固に保持固定される。よって、配管の軸線方向への位置ずれを防止することができるとともに、ケースとの配管との隙間からの水等の浸入も防止することができる。
【0012】

請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記弾性部材は、前記配管におけるケース外領域に外嵌されていることをその要旨とする。
【0013】

従って、請求項2に記載の発明によると、弾性部材をケース内に内蔵しなくてもよいので、ケース自体を小型化することができる。
【0014】

請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記ケースの端面に突起が形成され、前記弾性部材と前記突起とが、前記押圧固定部材に挟み込まれることをその要旨とする。
【0015】

従って、請求項3に記載の発明によると、押圧固定部材が弾性部材とともに突起を挟み込むことで、配管がケースに対してより強固に保持固定される。
【0016】

請求項4に記載の発明は、請求項1において、前記弾性部材は、前記配管におけるケース内領域に外嵌されていることをその要旨とする。
【0017】

従って、請求項4に記載の発明によると、弾性部材がケース内に収容されて外部から見えなくなるので、突出部分が少なくて全体的にすっきりとしたデザインとすることができる。
【0018】

請求項5に記載の発明は、請求項1または2において、前記押圧固定部材の外側面に突起が形成され、前記突起が前記ケースに挟み込まれることをその要旨とする。
【0019】

従って、請求項5に記載の発明によると、ケースが弾性部材とともに突起を挟み込むことで、配管がケースに対してより強固に保持固定される。
【0020】

請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項において、前記押圧固定部材は、前記ケースとは別体で設けられていることをその要旨とする。
【0021】

従って、請求項6に記載の発明によると、ケースとは別の工程を経て作製することができるため、例えばケースと一体的に形成されたものと比較して、押圧に適した複雑な形状等にしやすいという利点がある。また、押圧力をケースのねじ締め力に依存しないので、例えば配管に高温の液体を流したときでも、ケースの熱変形が生じにくくなる。また、熱変形に起因する押圧力の低下といったリスクが解消される。
【0022】

請求項7に記載の発明は、請求項1,2または4において、前記押圧固定部材は、前記ケースの一部に一体的に形成されていることをその要旨とする。
【0023】

従って、請求項7に記載の発明によると、例えばケースと別体で形成されたものと比較して、部品点数を減らすことができるとともに、組立工数を減らすことが可能となる。
【0024】

請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項において、前記弾性部材は、偶数個の前記頂点部分を有する多角形状をなしていることをその要旨とする。
【0025】

従って、請求項8に記載の発明によると、例えば奇数個の頂点部分を有する多角形状をなすものに比べて、弾性部材自体及びそれに対応した形状の押圧固定部材を形成しやすいものとすることができる。また、対角線上の2方向から押圧力を加えられるので、効果的に押圧力を作用させることができる。
【0026】

請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項において、前記弾性部材は、前記配管の軸線方向から見たときの外形形状が四角形状または六角形状をなすとともに、前記押圧固定部材は、一対の分割片を組み合わせることによって構成され、前記一対の分割片同士の接合面には、前記弾性部材の前記頂点部分及び前記外周面に接触する複数の押圧面からなる弾性部材保持凹部が形成され、前記複数の押圧面のうち前記弾性部材保持凹部の開口縁に繋がるものは、前記接合面側を向くように傾斜しており、前記一対の分割片により前記弾性部材を挟み込んだときに、前記接合面の延長上に前記配管の中心が位置した状態となることをその要旨とする。

従って、請求項9に記載の発明によると、一対の分割片の弾性部材保持凹部に弾性部材を保持させ、この状態で分割片同士を接合することにより、複数の押圧面が弾性部材の頂点部分を含む外周面に接触する。その結果、弾性部材の頂点部分を含む外周面が弾性部材中心に向けて効率よく確実に押圧され、効果的に押圧力を作用させることができる。また、弾性部材保持凹部の開口付近に位置する押圧面が接合面側を向くように傾斜しているため、弾性部材保持凹部内に四角形状または六角形状をなす弾性部材を容易に保持させることができる。さらに、一対の分割片により弾性部材を挟み込んだときに、接合面の延長上に配管の中心が位置した状態となる構成は、設計しやすいことに加え、弾性部材に対して均等に押圧力を加えやすくなるという利点がある。
【0027】

請求項10に記載の発明は、請求項3または5において、前記突起は、前記ケースの端面または前記押圧固定部材の外側面において前記配管を包囲するように突設されたフランジ部であることをその要旨とする。
【0028】

従って、請求項10に記載の発明によると、このような形状のフランジ部を押圧固定部材が弾性部材とともに挟み込むことで、配管がケースに対してよりいっそう強固に保持固定される。
【0029】

請求項11に記載の発明は、請求項9において、前記押圧固定部材は、一対の分割片を組み合わせることによって略円環状に構成された押圧固定リングであり、前記一対の分割片は、両端部に第1接続部及び第2接続部をそれぞれ有しており、前記第1接続部において、一方の前記分割片に突設された係合爪をもう一方の前記分割片に設けられた係合孔に係合させるとともに、前記第2接続部において、一方の前記分割片を挿通した締結部材をもう一方の前記分割片に螺着させることにより、前記一対の分割片が互いに接続されていることをその要旨とする。
【0030】

従って、請求項11に記載の発明によると、一対の分割片により構成された押圧固定リング内に弾性部材を配置した状態で、第2接続部に設けた締結部材を締め付けることにより、弾性部材の中心方向に押圧力を効率よく確実に作用させることができる。
【0031】

請求項12に記載の発明は、請求項1乃至11のいずれか1項において、前記押圧固定部材の外側面に、前記配管の周方向に延びる補強用のリブが突設されていることをその要旨とする。
【0032】

従って、請求項12に記載の発明によると、配管の周方向に延びる補強用のリブにより押圧固定部材が補強される。その結果、締結部材で強く締めても押圧固定部材が変形しにくくなり、弾性部材を十分な押圧力で確実に押圧することができる。
【0033】

請求項13に記載の発明は、請求項1乃至12のいずれか1項において、前記押圧固定部材は、前記弾性部材を内包していることをその要旨とする。
【0034】

従って、請求項13に記載の発明によると、弾性部材が押圧固定部材に内包されることにより、押圧時に両端面方向への変形が抑制される結果、押圧力のロスが少なくなり、効率よく押圧力を中心方向に与えることができる。
【発明の効果】
【0035】

以上詳述したように、請求項1~13に記載の発明によると、耐薬性や耐熱性に優れるとともにケースに対する配管の保持力に優れたストレート型流量計センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】

図1】本発明を具体化した第1実施形態のストレート型流量計センサを示す斜視図。
図2】第1実施形態のストレート型流量計センサを示す一部分解斜視図。
図3】第1実施形態のストレート型流量計センサを示す一部分解縦断面図。
図4】第1実施形態の変形例のストレート型流量計センサにおける押圧固定リングの第1分割片を示す斜視図。
図5】上記押圧固定リングの第2分割片を示す斜視図。
図6】上記押圧固定リングの第1分割片及び第2分割片を示す斜視図。
図7】上記押圧固定リングの第1分割片及び第2分割片を示す斜視図。
図8】上記押圧固定リングの第1分割片及び第2分割片により弾性部材を挟み込むときの様子を説明するための概略図。
図9】上記押圧固定リングの第1分割片及び第2分割片により弾性部材を挟み込んだときの様子を説明するための概略図。
図10】第2実施形態のストレート型流量計センサを示す分解斜視図。
図11】第2実施形態のストレート型流量計センサを示す分解縦断面図。
図12】第3実施形態のストレート型流量計センサを示す分解斜視図。
図13】第3実施形態のストレート型流量計センサを示す分解横断面図。
図14】第4実施形態のストレート型流量計センサを示す分解斜視図。
図15】第4実施形態のストレート型流量計センサを示す分解横断面図。
図16】(a)~(d)は、別の実施形態における一対の分割片を示す概略図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】

[第1の実施形態]
【0038】

以下、本発明をストレート型流量計センサに具体化した第1の実施形態を図1図9に基づき詳細に説明する。
【0039】

図1図3は本実施形態のストレート型流量計センサ11の斜視図、図2は同じくその一部分解斜視図、図3は同じくその一部分解縦断面図である。
【0040】

図1図7等に示されるように、本実施形態のストレート型流量計センサ11は、ストレート形状の配管1に対して取り付け可能なクランプオン式の超音波流量計センサである。
【0041】

このストレート型流量計センサ11が取り付けられるストレート形状の配管1としては特に限定されないが、例えば耐薬品性や耐熱性に優れた樹脂材料によって形成されたチューブが好ましい。具体的にいうと、ここではPFA等からなる直径数mm程度のフッ素樹脂製チューブを配管1として用いている。
【0042】

図3等に示されるように、このストレート型流量計センサ11は、一対の超音波振動子33、ケース20、弾性部材としての四角ゴムブロック2、押圧固定部材としての押圧固定リング41等を備えている。また、配管1のケース内領域R2における所定箇所には、振動子収容ボックス31、一対の超音波振動子33及び一対のシュー32によって組み付けられたセンサモジュールが取り付けられている。
【0043】

一対のシュー32は、振動子支持体として機能する部材であって、超音波の送受信が可能な超音波振動子33を有している。一対のシュー32は、透過型のストレート型流量計センサ11を構成するために、配管1の外周面においてほぼ対向する位置関係で配置されている。また、一対のシュー32は、流体が流れるストレートの配管1に対して、超音波を斜めに入射させうる状態で超音波振動子33を支持しているとともに、配管1の軸線方向にオフセットして配置されている。超音波振動子33は円板状のセラミックス焼結体からなり、シュー32に対して接着支持されている。本実施形態では例えば2MHzの超音波を発生する超音波振動子33を用いているが、これ以外の周波数を発生するものであっても勿論よい。これらの超音波振動子33の超音波放射面は、ストレートの配管1の方向に傾いた状態で配置されている。
【0044】

振動子収容ボックス31は、矩形箱状の容器であって、一対のシュー32を自身の内部に収容してそれらを配管1に対する正しい位置に保持固定するための役割を果たしている。振動子収容ボックス31の内部空間には、配管1を両側から挟み込んで固定した状態の一対のシュー32が収容されている。その結果、超音波振動子33が振動子収容ボックス31及び配管1に対して位置ずれ不能に保持固定されている。
【0045】

図1図3に示されるように、ケース20は振動子収容ボックス31よりもやや大きい矩形箱状の容器であって、センサモジュールを構成する振動子収容ボックス31等を収容して保護する外側ケースとしての役割を果たしている。ケース20の形成材料は特に限定されないが、例えばPPS等の樹脂が使用される。このケース20は、ケース本体21と蓋部28とによって構成されている。
【0046】

ケース本体21は、上面側に開口する矩形箱状であって、その内部に収容空間22を有している。ケース本体21は一対の端面21a、21bを備えている。これらの端面21a、21bにおける外側面の中央部には、それぞれ配管挿通部が突設されている。配管挿通部の先端には、正面視で円形状のフランジ部25(突起)が一体形成されている。ケース本体21の内外を連通させる挿通孔23が形成されており、その挿通孔23には配管1の両端が挿通されている。配管挿通部のフランジ部25は、挿通された配管1の外周面を包囲している。ケース本体21の収容空間22における略中央部には、振動子収容ボックス31が固定配置されている。ケース本体21の開口には蓋部28が配置されるとともに、図示しないねじ等の締結部材を用いてその蓋部28がケース本体21に対して固定されている。
【0047】

図2図3に示されるように、弾性部材としての四角ゴムブロック2は中心孔3を有しており、配管1におけるケース外領域R1に外嵌されている。本実施形態の四角ゴムブロック2は、耐薬品性及び耐熱性がある材料、例えば硬質のフッ素ゴムを用いて形成されている。好適なフッ素ゴムとしては、例えばフッ化ビニリデン系(FKM)、テトラフルオロエチレン-プロピレン系(FEPM)、テトラフルオロエチレン-パープルオロビニルエーテル系(FFKM)のゴム等を挙げることができる。なお、本実施形態ではFKM系のゴムを用いて形成された四角ゴムブロック2を用いている。この四角ゴムブロック2は、配管1の軸線方向から見たときの外形形状が多角形状をなしており、本実施形態では一辺の長さが約9mmの正方形状をなしている。また、四角ゴムブロック2の軸線方向の長さは、十分な保持力を付与するために正方形の一辺の長さよりも長く設定され、本実施形態では例えば10mm~15mm程度に設定されている。四角ゴムブロック2は、配管挿通部の先端にあるフランジ部25に接触するようにして配置される。この場合、防水性を向上させるために、四角ゴムブロック2とフランジ部25との間に図示しないOリングを介在させてもよい。
【0048】

図1図3に示されるように、押圧固定部材としての押圧固定リング41は、略半円状かつ同形状の分割片42を一対組み合わせて接合することで構成され、全体として略円環状をなしている。これら分割片42は、耐熱性を有するPPS等の樹脂材料を用いて形成された樹脂成形品である。押圧固定リング41同士の接合面には、四角ゴムブロック2を保持するための弾性部材保持凹部40が形成されている。弾性部材保持凹部40は、その内側面に4つの押圧面44を有している。これらの押圧面44は、四角ゴムブロック2の頂点部分2b及び外周面2aに接触するようになっている。個々の分割片42の内側面には、略く字状をした2つの押圧面44がそれぞれ形成されている。分割片42は、押圧面44の両側に第1壁部43と第2壁部46とを備えている。また、押圧面44と第2壁部46との間には、フランジ部収容溝45が形成されている。第2壁部46の内縁部は配管挿通孔の一部を形成しており、フランジ部収容溝45の部分よりも窄まっている。第1壁部43の内縁部も配管挿通孔の一部を形成している。
【0049】

押圧固定リング41を構成する一対の分割片42は、四角ゴムブロック2とそれに当接した状態で配置されたフランジ部25とを挟み込んで位置ずれ不能に固定している。このとき、分割片42の第1壁部43が四角ゴムブロック2の一方の端面を覆い、第2壁部46が四角ゴムブロック2の他方の端面を覆う。即ち、押圧固定リング41は四角ゴムブロック2を内包した状態で保持する。押圧固定リング41の中央部に形成される矩形状中心孔の寸法は、四角ゴムブロック2の外形寸法よりも若干小さく、本実施形態では一辺の長さ約8mmの正方形となる。従って、その矩形状中心孔に配置された四角ゴムブロック2の主として頂点部分2bが、四角ゴムブロック2の中心に向けて押圧される。これにより配管1がケース20に固定されている。なお、一対の分割片42同士は任意の方法により互いに接合されることができ、例えば接着、溶着、かしめ等が採用可能であるほか、ねじ止め等も採用可能である。
【0050】

ここで、図4図9に基づいて本実施形態における変形例の押圧固定リング41について説明する。図4は押圧固定リング41の第1分割片42Aを示す斜視図、図5は同じく第2分割片42Bを示す斜視図である。図6図7は対向配置した第1分割片42A及び第2分割片42Bを示す斜視図である。図8図9は第1分割片42A及び第2分割片42Bにより四角ゴムブロック2を挟み込む前の状態を示す概略図、四角ゴムブロック2を挟み込んだ状態を示す概略図である。なお、先に挙げて説明した図1図3の押圧固定リング41と共通する構成については共通の部材番号を付す代わりに、詳細な説明を省略する。
【0051】

変形例の押圧固定リング41は、第1分割片42Aと第2分割片42Bとを組み合わせることによって略円環状に構成されている。なお、先に挙げて説明した図1図3の押圧固定リング41では、一対の分割片42の構造は基本的に同じであった。しかし、変形例の第1分割片42Aと第2分割片42Bとでは、構造が若干異なっている。第1分割片42A及び第2分割片42Bは、両端部に第1接続部C1及び第2接続部C2をそれぞれ有している。第1分割片42Aにおける第1接続部C1の側には係合突片51が形成され、その係合突片51には矩形状の係合孔52が設けられている。第1分割片42Aにおける第2接続部C2の側には、ボルト挿通孔47が形成されている。一方、第2分割片42Bにおける第1接続部C1の側には、第1分割片42Aが有する係合孔52に係合可能な係合爪53が突設されている。第2分割片42Bにおける第2接続部C2の側には、ボルト挿通孔47が形成されている。
【0052】

第1分割片42A及び第2分割片42Bの外側面には、配管1の周方向に延びるように、第1接続部C1から第2接続部C2にわたって補強用のリブ54が突設されている。補強用のリブ54の本数は特に限定されず任意であるが、複数本であることが好ましく、本実施形態ではそれぞれ3本突設されている。
【0053】

このように構成された変形例の押圧固定リング41は、次のようにしてケース20に取り付けられる。まず、第1分割片42Aと第2分割片42Bとを分離させるとともに、押圧面44が形成された内面側を対向させた状態で配置する(図8参照)。その際、第1分割片42Aと第2分割片42Bとの間に、あらかじめ四角ゴムブロック2が外嵌された配管1を配置する。このとき、ケース20側に設けられたフランジ部25に対して、四角ゴムブロック2の一方の端面を接触させる。また、四角ゴムブロック2の外周面2aを、第1分割片42A側の押圧面44、第2分割片42B側の押圧面44がある位置に対応させて配置する。加えて、四角ゴムブロック2の頂点部分2bを、第1分割片42A側において押圧面44同士が交差する部分、第2分割片42B側において押圧面44同士が交差する部分の位置に対応させて配置する。
【0054】

そして、第2分割片42Bに突設された係合爪53を第1分割片42Aに設けられた係合孔52に係合させるとともに、ボルト等の締結部材57を両方のボルト挿通孔47に挿通させて締め付ける(図9参照)。これにより、第1分割片42Aと第2分割片42Bとが互いに接続され、その間に配置された四角ゴムブロック2が両部材によって挟み込まれて押圧される。すると、配管1に密接する四角ゴムブロック2を介して保持力が配管1の外周面に作用する結果、配管1がケース20に保持固定される。四角ゴムブロック2は配管1の軸線方向から見たときの外形形状が正方形状をなしている。変形例の押圧固定リング41は、そのような正方形状の四角ゴムブロック2の頂点部分2bを含む外周面2aを中心に向けて押圧する。それゆえ、変形例の押圧固定リング41からの押圧力が効率よく四角ゴムブロック2に作用して四角ゴムブロック2を圧縮する。この圧縮作用により、十分な保持力をもって配管1がケース20に強固に保持固定される。この変形例においては、具体的にいうと配管1を軸線方向に10kgfの力で押してもずれない程度の十分な保持力が得られる。
【0055】

従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0056】

(1)本実施形態のストレート型流量計センサ11によれば、上述したように押圧固定リング41からの押圧力が効率よく四角ゴムブロック2に作用して四角ゴムブロック2を圧縮する。つまり、四角ゴムブロック2の中心孔3を縮径させる。この圧縮作用により、十分な保持力をもって配管1がケース20に強固に保持固定される。よって、配管1の軸線方向への位置ずれを防止することができるとともに、ケース20と配管1との間に隙間が生じにくくなり、そこからの水等の浸入も防止することができる。このため、防水性が向上する。なお、接液部がPFA等のフッ素樹脂からなるストレートなチューブで形成されているため、耐薬品性や耐熱性にも優れている。
【0057】

(2)本実施形態のストレート型流量計センサ11では、四角ゴムブロック2が配管1におけるケース外領域R1に外嵌され、そこに押圧固定リング41が取り付けられている。この構成によると、四角ゴムブロック2をケース20内に内蔵しなくてもよくなるので、ケース20自体を小型化することができる。
【0058】

(3)本実施形態のストレート型流量計センサ11では、ケース20の端面21a、21bに突起であるフランジ部25が形成され、四角ゴムブロック2とフランジ部25が押圧固定リング41に挟み込まれている。従って、配管1がケース20に対してより強固に保持固定される。
【0059】

(4)本実施形態のストレート型流量計センサ11では、押圧固定リング41がケース20とは別体で設けられているので、ケース20とは別の工程を経て作製することができる。このため、例えばケース20と一体的に形成されたものと比較して、押圧に適した複雑な形状等にしやすいという利点がある(図4図9に示す変形例を参照)。また、四角ゴムブロック2を保持固定するための押圧力をケース20に依存しなくてもよくなる。つまり、締結部材を用いてケース本体21に蓋部28を固定するときのねじ締め力の一部を上記押圧力として利用しなくてもよくなる。よって、例えば配管1に高温の液体を流したときでも、ケース20が熱変形しにくくなり、またそれに起因する押圧力の低下といったリスクが解消される。
【0060】

(5)本実施形態のストレート型流量計センサ11では、弾性部材として、4個の頂点部分2bを有する正面視正方形状の四角ゴムブロック2を用いている。従って、例えば奇数個の頂点部分2bを有する正面視多角形状のゴムブロックに比べて、弾性部材自体及びそれに対応した形状の押圧固定リング41を形成しやすいものとすることができる。また、対角線上の2方向から弾性部材中心に向かって押圧力を加えられるので、配管1等に対して効果的に押圧力を作用させることができる。
【0061】

(6)本実施形態のストレート型流量計センサ11における押圧固定リング41は、一対の同形状の分割片42、あるいは第1分割片42Aと第2分割片42Bとを組み合わせることによって略円環状に構成されている。特に変形例の押圧固定リング41では、第2分割片42Bに係合爪53が突設され、第1分割片42Aに係合孔52に設けられており、係合爪53が係合孔52に係合する。そして、締結部材を用いて第1分割片42Aと第2分割片42Bとが互いに接続される。従って、押圧固定リング41内に四角ゴムブロック2を配置した状態で締結部材を締め付けることにより、四角ゴムブロック2の中心方向に押圧力を効率よく確実に作用させることができる。また、押圧固定リング41の外側面に配管1の周方向に延びる補強用のリブ54が突設されているので、押圧固定リング41が補強されている。その結果、四角ゴムブロック2で強く締めても押圧固定リング41が変形しにくくなる。よって、四角ゴムブロック2を十分な押圧力で確実に押圧することができ、ひいては配管1の軸線方向への位置ずれをより確実に防止することができる。
【0062】

(7)本実施形態のストレート型流量計センサ11における押圧固定リング41は、略円環状をなしており、内側面が四角ゴムブロック2の頂点部分2b及び外周面2aに接触する4つの押圧面44からなる。従って、4つの押圧面44が四角ゴムブロック2における4つの頂点部分2b及び外周面2aにそれぞれ接触する。この接触により、四角ゴムブロック2の頂点部分2bを含む外周面2aが弾性部材中心に向けて効率よく確実に押圧される。また、押圧固定リング41は、四角ゴムブロック2を内包している。即ち、第1壁部43が四角ゴムブロック2の一方の端面に当接して覆うとともに、第2壁部46が四角ゴムブロック2の他方の端面に当接して覆っている。これにより、押圧固定リング41に押圧された時に、四角ゴムブロック2の両端面方向への変形が抑制される。その結果、押圧力のロスが少なくなり、効率よく押圧力を四角ゴムブロック2の中心方向に与えることができる。
【0063】

[第2の実施形態]
【0064】

以下、第2の実施形態のストレート型流量計センサ11Aを図10図11に基づき詳細に説明する。図10はこのストレート型流量計センサ11Aを示す分解斜視図、図11は同じくその分解縦断面図である。ここでは、第1の実施形態と同じ構成については共通の部材番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0065】

本実施形態のストレート型流量計センサ11Aは、ケース20、弾性部材としての四角ゴムブロック2、押圧固定部材としての押圧固定リング41等を備えている。また、配管1のケース内領域R2における所定箇所には、振動子収容ボックス、一対の超音波振動子及び一対のシューによって組み付けられたセンサモジュールが取り付けられているが、ここでは図示を省略している。
【0066】

このストレート型流量計センサ11Aでは、四角ゴムブロック2が配管1におけるケース内領域R2の離間した2箇所に外嵌されている。この点が第1の実施形態と異なっている。また、押圧固定リング41は、同形状をした一対の分割片42Cによって構成されている。これらの分割片42Cの内側面には、略く字状をした2つの押圧面44がそれぞれ形成されている。分割片42Cは、押圧面44の両側に第1壁部74と第2壁部72とを備えている。また、第1壁部72の外側面には配管挿通部73が設けられ、その配管挿通部73の先端には突起であるフランジ部71が形成されている。つまり本実施形態では、フランジ部71がケース20側にではなく、押圧固定リング41側に一体形成されている点が第1の実施形態と異なっている。
【0067】

また、このストレート型流量計センサ11Aにおけるケース20は、同じ構造を有する上側ケース部材61と下側ケース部材62とによって構成されている。上側ケース部材61は、その両側に端面61a、61bを備えている。それら端面61a、61bの中央部は半円状に切り欠かれており、そこには配管挿通孔の一部をなす凹部64が形成されている。この凹部64の外側にはフランジ部保持溝63が形成されている。凹部64はフランジ部保持溝63の部分よりも窄まっている。また、上側ケース部材61の内面において各々の端面61a、61bの近傍位置には、押圧固定リング41の外周面に接触して押圧力を与える押圧凹部65が形成されている。この押圧凹部65の内面は円弧状凹面となっている。下側ケース部材62は、その両側に端面62a、62bを備えている。そして下側ケース部材62も、上側ケース部材61と同様の構成(凹部64、フランジ部保持溝63、押圧凹部65)を備えている。
【0068】

このストレート型流量計センサ11Aは、以下のような手順で組み立てられる。まず、四角ゴムブロック2を配管1におけるケース内領域R2の離間した2箇所に外嵌させる。次に、各々の四角ゴムブロック2を一対の分割片42Cによって上下方向から挟み込む。そして、さらにこれを上側ケース部材61と下側ケース部材62との間に配置し、両者によって挟み込む。このとき、上側ケース部材61の押圧凹部65に一方の分割片42Cの外周面が接触し、下側ケース部材62の押圧凹部65に他方の分割片42Cの外周面が接触する。また、これら分割片42Cの有するフランジ部71は、フランジ部保持溝63に係合するように配置される。そして、上側ケース部材61と下側ケース部材62とが図示しない締結部材を用いて互いに締め付け固定される。
【0069】

上記構成のストレート型流量計センサ11Aの場合、上側ケース部材61と下側ケース部材62とを固定するための締め付け力が、押圧凹部65を介して一対の分割片42Cを閉じるための力として作用する。その結果、一対の分割片42C間に配置された四角ゴムブロック2が両部材によって挟み込まれて押圧される。従って、耐薬性や耐熱性に優れるとともに、ケース20に対する配管1の保持力に優れるため配管1の軸線方向への位置ずれを確実に防止することができるストレート型流量計センサ11Aを得ることができる。また、この構成であると、四角ゴムブロック2及び分割片42Cがケース20内に収容されて外部から見えなくなる。ゆえに、突出部分が少なくて全体的にすっきりとしたデザインとすることができる。また、ケース20を構成する上側ケース部材61と下側ケース部材62の間には、押圧固定リング41の外側面に突設されたフランジ部71も挟み込まれる。従って、配管1がケース20に対してより強固に保持固定される。
【0070】

[第3の実施形態]
【0071】

以下、第3の実施形態のストレート型流量計センサ11Bを図12図13に基づき詳細に説明する。図12はこのストレート型流量計センサ11Bを示す分解斜視図、図13は同じくその分解横断面図である。ここでは、第1、第2の実施形態と同じ構成については共通の部材番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0072】

本実施形態のストレート型流量計センサ11Bは、ケース20(上側ケース部材61及び下側ケース部材62)、弾性部材としての四角ゴムブロック2、押圧固定部材81等を備えている。また、配管1のケース内領域R2における所定箇所には、振動子収容ボックス、一対の超音波振動子及び一対のシューによって組み付けられたセンサモジュールが取り付けられているが、ここでは図示を省略している。
【0073】

このストレート型流量計センサ11Bでは、上側ケース部材61及び下側ケース部材62の構造が同一ではない点で、第2実施形態のものとは異なっている。上側ケース部材61は、その両側に端面61a、61bを備えている。それら端面61a、61bの中央部は半円状に切り欠かれており、そこには配管挿通孔の一部をなす凹部77が形成されている。下側ケース部材62は、その両側に端面62a、62bを備えている。それら端面62a、62bの中央部は半円状に切り欠かれており、そこには配管挿通孔の一部をなす凹部77が形成されている。ただし、この下側ケース部材62の内面側には、押圧固定部材としての押圧固定部78が一体形成されている。つまり、本実施形態のストレート型流量計センサ11Bは、ケース20と別体で形成された押圧固定部材と、ケース20と一体的に形成された押圧固定部材とをそれぞれ備えたものとなっている。これら押圧固定部78は下側ケース部材62の両端に配置され、そこには凹部77、押圧面44及び凹部79が形成されている。また、押圧面44を挟んでその両側にはボルト挿通孔75が形成されている。
【0074】

ケース20と別体で形成された本実施形態の押圧固定部材81は、第2実施形態にて示した分割片42Cに類する形状のものであって、その内側面には略く字状をした2つの押圧面44が形成されている。分割片42Cは一対の板状部83を有しており、それら板状部83にはそれぞれボルト挿通孔84が形成されている。
【0075】

このストレート型流量計センサ11Bは、以下のような手順で組み立てられる。まず、四角ゴムブロック2を配管1におけるケース内領域R2の離間した2箇所に外嵌させる。次に、各々の四角ゴムブロック2を、下側ケース部材62の押圧固定部78に嵌め込むようにしてセットする。この状態で四角ゴムブロック2に押圧固定部材81を被せるとともに、ボルト挿通孔75、84にボルトを挿通させて締め付ける。これにより四角ゴムブロック2が上下方向から挟み込まれて固定される。その後、上側ケース部材61に下側ケース部材62を被せて互いに固定する。
【0076】

そして、上記構成のストレート型流量計センサ11Bであっても、耐薬性や耐熱性に優れるとともに、ケース20に対する配管1の保持力に優れるため配管1の軸線方向への位置ずれを確実に防止することができるストレート型流量計センサ11Bを得ることができる。また、押圧固定部78がケース20の一部に一体的に形成されているため、ケース20と別体で形成されたものと比較して、部品点数を減らすことができる。また、組立工数を減らすことが可能となる。
【0077】

[第4の実施形態]
【0078】

以下、第4の実施形態のストレート型流量計センサ11Cを図14図15に基づき詳細に説明する。図14はこのストレート型流量計センサ11Cを示す分解斜視図、図15は同じくその分解横断面図である。ここでは、第1~第3の実施形態と同じ構成については共通の部材番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0079】

本実施形態のストレート型流量計センサ11Cは、ケース20(上側ケース部材61及び下側ケース部材62)、弾性部材としての四角ゴムブロック2を備えている。また、このストレート型流量計センサ11Cは、別体で形成された押圧固定部材81を全く備えておらず押圧固定部78のみを備えている点で、第3の実施形態のものとは異なっている。また、配管1のケース内領域R2における所定箇所には、振動子収容ボックス、一対の超音波振動子及び一対のシューによって組み付けられたセンサモジュールが取り付けられているが、ここでは図示を省略している。
【0080】

本実施形態のケース20を構成する下側ケース部材62は、ボルト挿通孔75がないことを除き、基本的に第3実施形態の下側ケース部材62と同一の構造を備えている。また、上側ケース部材61もこの下側ケース部材62と同じ構造を備えている。つまり、本実施形態の上側ケース部材61及び下側ケース部材62には、それぞれ押圧固定部78が一体形成されている。
【0081】

このストレート型流量計センサ11Cは、以下のような手順で組み立てられる。まず、四角ゴムブロック2を配管1におけるケース内領域R2の離間した2箇所に外嵌させる。次に、各々の四角ゴムブロック2を、下側ケース部材62及び上側ケース部材61の押圧固定部78にそれぞれ嵌め込むようにしてセットする。この状態で、下側ケース部材62及び上側ケース部材61を締結部材で締め付けて固定する。これにより四角ゴムブロック2が上下方向から挟み込まれて固定される。
【0082】

そして、上記構成のストレート型流量計センサ11Cであっても、耐薬性や耐熱性に優れるとともに、ケース20に対する配管1の保持力に優れるため配管1の軸線方向への位置ずれを確実に防止することができるストレート型流量計センサ11Cを得ることができる。また、押圧固定部78がケース20の一部に一体的に形成されているため、ケース20と別体で形成されたものと比較して、部品点数を減らすことができる。また、組立工数を減らすことが可能となる。
【0083】

なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0084】

・上記実施形態では、正面視で正方形状の四角ゴムブロック2を弾性部材として用いたが、これに限定されない。例えば、偶数個の頂点部分2bを有する多角形状をなすものとして、例えば正面視で六角形状のゴムブロックや、八角形状のゴムブロックなどを用いても勿論よい。
【0085】

図16(a)~(d)には、別の実施形態の押圧固定部材41が例示されている。図16(a)の押圧固定部材41は、一対の分割片42Dを組み合わせることによって構成されている。一対の分割片42D同士の接合面には、弾性部材保持凹部40が形成されている。弾性部材保持凹部40は、弾性部材である四角ゴムブロック2を保持するためのものであって、断面長方形状を呈している。この弾性部材保持凹部40は、四角ゴムブロック2の頂点部分2b及び外周面2aに接触する3つの押圧面44からなる。3つある押圧面44のうち弾性部材保持凹部40の開口縁に繋がる2つの押圧面44は、接合面側を向くように傾斜しておらず、接合面に対して垂直になっている。従って、弾性部材保持凹部40よりも若干大きいサイズの四角ゴムブロック2を用いた場合には、弾性部材保持凹部40内に四角ゴムブロック2を配置しにくいものとなる。
【0086】

これに対し、図16(b)の押圧固定部材41では、一対の分割片42E同士の接合面に形成された弾性部材保持凹部40は、四角ゴムブロック2の保持用であって断面二等辺三角形状を呈している。この弾性部材保持凹部40は、四角ゴムブロック2の頂点部分2b及び外周面2aに接触する2つの押圧面44からなる。これら2つの押圧面44は、弾性部材保持凹部40の開口縁に繋がっており、接合面側を向くように45°傾斜している。従って、弾性部材保持凹部40よりも若干大きいサイズの四角ゴムブロック2を用いた場合でも、弾性部材保持凹部40内に四角ゴムブロック2を配置しやすいものとなる。また、四角ゴムブロック2の頂点部分2bを含む外周面2aが弾性部材中心に向けて効率よく確実に押圧され、効果的に押圧力が作用する。なお、一対の分割片42Eを用いた場合、四角ゴムブロック2の主として頂点部分2bが、四角ゴムブロック2の中心に向けて押圧される。
【0087】

また、図16(c)の押圧固定部材41は、一対の分割片42Fを組み合わせることによって構成されている。一対の分割片42F同士の接合面には、弾性部材保持凹部40が形成されている。弾性部材保持凹部40は、弾性部材である六角ゴムブロック92を保持するためのものであって、五角形状を呈している。この弾性部材保持凹部40は、六角ゴムブロック92の頂点部分2b及び外周面2aに接触する3つの押圧面44からなる。4つある押圧面44のうち弾性部材保持凹部40の開口縁に繋がる2つの押圧面44は、接合面側を向くように傾斜しておらず、接合面に対して垂直になっている。従って、弾性部材保持凹部40よりも若干大きいサイズの六角ゴムブロック92を用いた場合には、弾性部材保持凹部40内に六角ゴムブロック92を配置しにくいものとなる。
【0088】

これに対し、図16(d)の押圧固定部材41では、一対の分割片42G同士の接合面に形成された弾性部材保持凹部40は、六角ゴムブロック92の保持用であって断面台形状を呈している。この弾性部材保持凹部40は、六角ゴムブロック92の頂点部分2b及び外周面2aに接触する3つの押圧面44からなる。これら3つの押圧面44のうちの2つは、弾性部材保持凹部40の開口縁に繋がっており、接合面側を向くように30°傾斜している。従って、弾性部材保持凹部40よりも若干大きいサイズの六角ゴムブロック92を用いた場合でも、弾性部材保持凹部40内に六角ゴムブロック92を配置しやすいものとなる。また、六角ゴムブロック92の頂点部分2bを含む外周面2aが弾性部材中心に向けて効率よく確実に押圧され、効果的に押圧力が作用する。なお、一対の分割片42Gを用いた場合、六角ゴムブロック92の主として外周面2aが、六角ゴムブロック92の中心に向けて押圧される。
【0089】

・上記実施形態では、押圧固定リング41は2分割された分割片42を組み合わせることによって略円環状に構成されていたが、これに限定されない。例えば、3分割された分割片42を組み合わせることによって、略円環状の押圧固定リング41を構成してもよい。
【符号の説明】
【0090】

1…配管

2…弾性部材としての四角ゴムブロック

2a…弾性部材の外周面

2b…弾性部材の頂点部分

11、11A、11B、11C…ストレート型流量計センサ

20…ケース

21a、21b…ケースの端面

25、71…突起としてのフランジ部

33…超音波振動子

40…弾性部材保持凹部

41…押圧固定部材としての押圧固定リング

42、42C、42D、42E、42F、42G、…分割片

42A…第1分割片

42B…第2分割片

44…押圧面

52…係合孔

53…係合爪

54…補強用のリブ

57…締結部材としてのボルト

81…押圧固定部材としての押圧固定部

C1…第1接続部

C2…第2接続部

R1…ケース外領域

R2…ケース内領域
【要約】

耐薬性や耐熱性に優れるとともにケースに対する配管の保持力に優れたストレート型流量計センサを提供する。このストレート型流量計センサ11は、一対の超音波振動子33と、それらを収容して位置決め固定するケース20と、弾性部材2と、押圧固定部材41とを備える。弾性部材2は、配管1に外嵌され、配管1の軸線方向から見たときの外形形状が多角形状をなす。押圧固定部材41は、弾性部材2を挟み込んでその頂点部分2bを含む外周面2aを弾性部材中心に向けて押圧することにより、配管1をケース20に固定する。選択図:図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16