(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 11/00 20060101AFI20220517BHJP
G11C 7/18 20060101ALI20220517BHJP
G11C 13/00 20060101ALI20220517BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
G11C11/00 100
G11C7/18
G11C13/00 480B
G11C16/04 180
(21)【出願番号】P 2021099965
(22)【出願日】2021-06-16
【審査請求日】2021-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】511062254
【氏名又は名称】ウィンボンド エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】矢野 勝
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特許第6723402(JP,B1)
【文献】特開2014-116516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 11/00
G11C 7/18
G11C 13/00
G11C 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一基板上に、抵抗変化型メモリ構造を有する第1のメモリセルアレイと、NOR型フラッシュメモリ構造を有する第2のメモリセルアレイとが形成されたメモリセルアレイと、
前記メモリセルアレイの列方向に延在し、第1および第2のメモリセルアレイによって共有される複数のグローバルビット線と、
第1のメモリセルアレイまたは第2のメモリセルアレイの選択されたメモリセルに読み書きを行う読み書き制御部とを有し、
前記読み書き制御手段は、選択グローバルビット線に充電された書込み電圧を用いて前記選択メモリセルにセット書込み電圧を印加する、半導体記憶装置。
【請求項2】
半導体記憶装置はさらに、第1のメモリセルアレイと第2のメモリセルアレイとの境界に、前記複数のグローバルビット線を選択的に第1のメモリセルアレイに接続する接続手段を含み、
前記接続手段は、選択グローバルビット線に充電された電圧に基づき前記セット書込み電圧を選択メモリセルに印加する、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記書込み制御手段は、選択グローバルビット線を充電した後、当該選択グローバルビット線をフローティング状態にし、
前記接続手段は、フローティング状態の選択グローバルビット線をローカルビット線に電気的に接続する、請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記接続手段は、1つのグローバルビット線を複数のローカルビット線との間にそれぞれ接続された複数のトランジスタを含み、
前記接続手段は、選択されたトランジスタをオンすることで選択グローバルビット線を選択されたローカルビット線に接続し、
前記トランジスタは、前記セット書込み電圧を生成する、請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記選択されたトランジスタのゲートには、前記セット書込み電圧を生成するためのクランプ電圧が印加され、前記選択グローバルビット線に充電される電圧は前記クランプ電圧よりも大きい、請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記メモリセルは、可変抵抗素子と当該可変抵抗素子に接続されたアクセストランジスタとを含み、前記アクセストランジスタのゲートがワード線に接続され、
前記アクセストランジスタがオンしたとき前記可変抵抗素子に前記セット書込み電圧が印加される、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記読み書き制御手段は、選択メモリセルにリセット書込みを行うとき、ソース線にリセット書込み電圧を印加し、選択グローバルビット線にGNDレベルを印加する、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
同一基板上に、抵抗変化型メモリ構造を有する第1のメモリセルアレイと、NOR型フラッシュメモリ構造を有する第2のメモリセルアレイとが形成されたメモリセルアレイと、前記メモリセルアレイの列方向に延在し、第1および第2のメモリセルアレイによって共有される複数のグローバルビット線とを含む半導体記憶装置の書込み方法であって、
第1のメモリセルアレイの選択メモリセルにセット書込みと行う場合、選択グローバルビット線を充電し、その後、選択グローバルビット線に充電された電圧を用いて選択メモリセルにセット書込み電圧を印加する、書込み方法。
【請求項9】
選択グローバルビット線を選択ローカルビット線との間に接続されたトランジスタをオフにした状態で選択グローバルビット線を充電し、その後、当該トランジスタをオンし、選択グローバルビット線を選択ローカルビット線に電気的に接続することで選択メモリセルに前記セット書込み電圧を印加する、請求項8に記載の書込み方法。
【請求項10】
前記トランジスタのゲートには、前記セット書込み電圧を生成するためのクランプ電圧が印加され、前記選択グローバルビット線に充電される電圧は前記クランプ電圧よりも大きい、請求項9に記載の書込み方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NOR型フラッシュメモリと抵抗変化型メモリとを集積させた半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
NOR型フラッシュメモリは、ビット線とソース線との間に1つのメモリセルを配置し、メモリセルへのランダムアクセスが可能な不揮発性メモリである。また、その集積度の向上を図るために、仮想接地方式や多値方式を採用している(例えば、特許文献1)。
【0003】
一方、NOR型フラッシュメモリに代わる不揮発性メモリとして、可変抵抗素子を利用した抵抗変化型メモリがある。抵抗変化型メモリは、可変抵抗素子にパルス電圧を印加し、可変抵抗素子を可逆的かつ不揮発的に高抵抗状態または低抵抗状態にすることでデータを記憶する(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-192346号公報
【文献】特許6810725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
NOR型フラッシュメモリでは、高集積化が進んでいるが、書込みや消去のために比較的大きな電圧を必要とし、低電力化は必ずしも十分ではない。他方、抵抗変化型メモリは、NOR型フラッシュメモリのような消去を必要とせず、低電圧でデータを書き換えることが可能であるが、抵抗変化型メモリのメモリセルのサイズがNOR型のメモリセルには到底及ばず、集積度を上げるとコストパフォーマンスが低下する。このようにNOR型フラッシュメモリと抵抗変化型メモリは、それぞれ一長一短を有している。
【0006】
本発明は、低電力化および高集積化が可能な半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る半導体記憶装置は、同一基板上に、抵抗変化型メモリ構造を有する第1のメモリセルアレイと、NOR型フラッシュメモリ構造を有する第2のメモリセルアレイとが形成されたメモリセルアレイと、前記メモリセルアレイの列方向に延在し、第1および第2のメモリセルアレイによって共有される複数のグローバルビット線と、第1のメモリセルアレイまたは第2のメモリセルアレイの選択されたメモリセルに読み書きを行う読み書き制御部とを有し、前記読み書き制御手段は、選択グローバルビット線に充電された書込み電圧を用いて前記選択メモリセルにセット書込み電圧を印加する。
【0008】
ある態様では、半導体記憶装置はさらに、第1のメモリセルアレイと第2のメモリセルアレイとの境界に、前記複数のグローバルビット線を選択的に第1のメモリセルアレイに接続する接続手段を含み、前記接続手段は、選択グローバルビット線に充電された電圧に基づき前記セット書込み電圧を選択メモリセルに印加する。ある態様では、前記書込み制御手段は、選択グローバルビット線を充電した後、当該選択グローバルビット線をフローティング状態にし、前記接続手段は、フローティング状態の選択グローバルビット線をローカルビット線に電気的に接続する。ある態様では、前記接続手段は、1つのグローバルビット線を複数のローカルビット線との間にそれぞれ接続された複数のトランジスタを含み、前記接続手段は、選択されたトランジスタをオンすることで選択グローバルビット線を選択されたローカルビット線に接続し、前記トランジスタは、前記セット書込み電圧を生成する。ある態様では、前記選択されたトランジスタのゲートには、前記セット書込み電圧を生成するためのクランプ電圧が印加され、前記選択グローバルビット線に充電される電圧は前記クランプ電圧よりも大きい。ある態様では、前記メモリセルは、可変抵抗素子と当該可変抵抗素子に接続されたアクセストランジスタとを含み、前記アクセストランジスタのゲートがワード線に接続され、前記アクセストランジスタがオンしたとき前記可変抵抗素子に前記セット書込み電圧が印加される。ある態様では、前記読み書き制御手段は、選択メモリセルにリセット書込みを行うとき、ソース線にリセット書込み電圧を印加し、選択グローバルビット線にGNDレベルを印加する。
【0009】
本発明の書込み方法は、同一基板上に、抵抗変化型メモリ構造を有する第1のメモリセルアレイと、NOR型フラッシュメモリ構造を有する第2のメモリセルアレイとが形成されたメモリセルアレイと、前記メモリセルアレイの列方向に延在し、第1および第2のメモリセルアレイによって共有される複数のグローバルビット線とを含む半導体記憶装置のものであって、第1のメモリセルアレイの選択メモリセルにセット書込みと行う場合、選択グローバルビット線を充電し、その後、選択グローバルビット線に充電された電圧を用いて選択メモリセルにセット書込み電圧を印加する。
【0010】
ある態様では、選択グローバルビット線を選択ローカルビット線との間に接続されたトランジスタをオフにした状態で選択グローバルビット線を充電し、その後、当該トランジスタをオンし、選択グローバルビット線を選択ローカルビット線に電気的に接続することで選択メモリセルに前記セット書込み電圧を印加する。ある態様では、前記トランジスタのゲートには、前記セット書込み電圧を生成するためのクランプ電圧が印加され、前記選択グローバルビット線に充電される電圧は前記クランプ電圧よりも大きい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、メモリセルアレイが抵抗変化型メモリ構造を有する第1のメモリセルアレイと、NOR型フラッシュメモリ構造を有する第2のメモリセルアレイとを含むようにしたので、半導体記憶装置の高集積化と低電力化を図ることができる。さらに本発明では、グローバルビット線に充電した電圧を利用して抵抗変化型メモリのセット書込みを行うことで消費電力の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例に係る不揮発性メモリの全体構成を示す図である。
【
図2A】本発明の実施例に係るメモリセルアレイの構成を示す模式図である。
【
図2B】本発明の実施例に係るメモリセルアレイの構成を示す模式図である。
【
図3】本発明の実施例に係るNOR型メモリセルアレイの一部の回路図である。
【
図4】本発明の実施例に係る抵抗変化型メモリセルアレイの一部の回路図である。
【
図5】本発明の実施例に係るNOR型メモリセルアレイの概略部分断面図である。
【
図6】本発明の実施例に係る抵抗変化型メモリセルアレイの概略部分断面図である。
【
図7】本発明の実施例に係る抵抗変化型メモリの書込み動作を説明するフローである。
【
図8】本発明の実施例に係る抵抗変化型メモリの各部の動作波形例を示す図である。
【
図9】本発明の実施例に係る抵抗変化型メモリの動作時にバイアス電圧の一例を示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明に係る半導体記憶装置は、NOR型フラッシュメモリと抵抗変化型メモリとを組み合わせた不揮発性メモリに関する。好ましい態様では、NOR型フラッシュメモリの構造を有するメモリセルアレイと抵抗変化型メモリの構造を有するメモリセルアレイとが共通の基板上に集積される。
【実施例】
【0014】
次に、本発明の実施例に係る不揮発性メモリの詳細について説明する。
図1は、本実施例に係る不揮発性メモリ100の全体構成を示すブロック図である。同図に示すように、不揮発性メモリ100は、例えば、シリコン等の基板上に、メモリセルアレイ110、アドレスバッファ120、セクタ/ゲート選択回路130、ワード線デコーダ140、Yデコーダ150、入出力回路160および読み書き制御部170などを集積して構成される。各部は、アドレス、データ、制御信号等を送受可能な内部バス等によって接続される。同図には、主要な構成を示しており、電圧生成回路等は省略してある。
【0015】
メモリセルアレイ110は、NOR型フラッシュメモリの構造を有する第1のメモリセルアレイ(以下、NOR型アレイと称す)110Aと、抵抗変化型メモリの構造を有する第2のメモリセルアレイ(以下、抵抗変化型アレイと称す)110Bとを含む。NOR型アレイ110Aは、抵抗変化型アレイ110Bに比較して高集積化が可能であり、抵抗変化型アレイ110Bは、NOR型アレイ110Aに比較して低電力動作が可能である。
【0016】
図2Aは、メモリセルアレイの構成を模式的に示した平面図である。メモリセルアレイ110は、列方向にNOR型アレイ110Aと抵抗変化型アレイ110Bとを含む。NOR型アレイ110Aや抵抗変化型アレイ110Bのメモリサイズは特に限定されないが、例えば、NOR型アレイ110Aは16MBであり、抵抗変化型アレイ110Bは1Mbである。
【0017】
NOR型アレイ110Aは、列方向に消去単位である複数のセクタ(またはブロック)0、1、・・・Pを含み、各セクタは、セクタ内を列方向に延在するローカルビット線LBLを選択するためのLBL選択ゲート110Dを含む。NOR型アレイ110Aの最後のセクタPと抵抗変化型アレイ110Bとの間にエントリーゲート110Cが形成される。エントリーゲート110Cは、抵抗変化型アレイ110B内を列方向に延在するローカルビット線を選択するとともに、NOR型アレイ110Aがアクセスされるとき抵抗変化型アレイ110BをNOR型アレイ110Aから隔離する。
【0018】
メモリセルアレイ110の列方向に複数のグローバルビット線GBL0、1、2、・・・、m(総称するときグローバルビット線GBL)が形成される。グローバルビット線GBLは、NOR型アレイ110Aの各セクタのLBL選択ゲート110Dに接続されるとともに、エントリーゲート110Cに接続され、つまり、グローバルビット線GBLは、NOR型アレイ110Aおよび抵抗変化型アレイ110Bによって共有される。
【0019】
図2Bは、
図2Aの平面図にワード線、選択信号線を表した平面図である。複数のワード線がメモリセルアレイ110の行方向に形成される。セクタ0の行方向にはワード線WL00~WL0nが形成され、セクタ1の行方向にはワード線WL10~1nが形成され、同様にセクタPの行方向にはワード線WLP0~Pnが形成され、抵抗変化型アレイ110Bの行方向にワード線WLQ0~Qjが形成される。
【0020】
セクタ0のLBL選択ゲート110Dにはセクタ/ゲート選択回路130からの4ビットの選択信号線SEL_0[0:3]が供給され、セクタ1のLBL選択ゲート110Dには選択信号線SEL_1[0:3]が供給され、同様にセクタPのLBL選択ゲート110Dには選択信号線SEL_P[0:3]が供給され、エントリーゲート110Cには選択信号線SEL_Q[0:3]が供給される。後述するように、セクタ/ゲート選択回路130は、行アドレスの一部(上位ビット)によりNOR型アレイ110Aのセクタまたは抵抗変化型アレイ110Bを選択し、選択されたセクタまたは抵抗変化型アレイ110Bに対応するLBL選択ゲート110Dに選択信号線を供給し、あるいはエントリーゲート110Cに選択信号線を供給する。
【0021】
図3に、セクタ0の一部の回路構成を示し、
図4に、エントリーゲート110Cと抵抗変化型アレイ110Bの一部の回路構成を示す。
図3に示すように、LBL選択ゲート110Dは、1つのグローバルビット線GBLを4つのローカルビット線LBL0~LBL3に分割するように、行方向に延在する。つまり、m本のグローバルビット線GBLは、LBL選択ゲート110Dによってm×4本に分割される。
【0022】
1つのグローバルビット線GBLと4つのローカルビット線LBL0~LBL3との間には、並列に接続された4つのNMOSトランジスタQ0、Q1、Q2、Q3が形成される。トランジスタQ0の各ゲートには、行方向に延在する選択信号線SEL0が共通に接続され、トランジスタQ1の各ゲートには、行方向に延在する選択信号線SEL1が共通に接続され、トランジスタQ2の各ゲートには、行方向に延在する選択信号線SEL2が共通に接続され、トランジスタQ3の各ゲートには、行方向に延在する選択信号線SEL3が共通に接続される。
【0023】
セクタ/ゲート選択回路130は、行アドレスの上位ビットに従いセクタを選択し、かつ列アドレスに従い選択したセクタのLBL選択ゲート110Dに接続された選択信号線SEL_0[0:3]のいずれかをHレベルに駆動し、残りをLレベルに駆動する。例えば、選択信号線SEL0がHレベルに駆動され、残りの選択信号線SEL1~SEL3がLレベルに駆動され、これにより、LBL選択ゲート110Dのm個のトランジスタQ0がオンし、m本のグローバルビット線GBLが対応するm個のローカルビット線LBL0に選択的に接続され、他方、トランジスタQ1~Q3がオフし、ローカルビット線LBL1~LBL3は、グローバルビット線から切り離される。
【0024】
各セクタ内には、複数のメモリセルが行列状に形成される。列方向に隣接するメモリセルのドレイン領域が共通に接続され、このドレイン領域がローカルビット線に接続される。また、行方向のメモリセルの各ゲートは、行方向のワード線に共通に接続され、行方向のメモリセルの各ソース領域が行方向のソース線に共通に接続される。例えば、メモリセルMC0、MC1のゲートは、ワード線WL00、01に接続され、メモリセルMC0、MC1の共通のドレイン領域がローカルビット線LBL0に接続され、メモリセルMC0のソース領域がソース線SL00に接続され、メモリセルMC1のソース領域がソース線SL01に接続される。セクタ/ゲート選択回路130は、列アドレスに従い選択されたセクタのソース線を選択し、読み書き制御部170の制御により選択したソース線に動作電圧を印加する。
【0025】
メモリセルは、例えば、基板表面上に電荷をトラップするための蓄積領域として機能する酸化膜-窒化膜-酸化膜(ONO)を含み、その上にポリシリコンまたは金属等の導電性のゲートを含む。メモリセルは、例えば、ソース/ドレイン領域間に電流が流されたときに生じるホットエレクトロンをONO膜にトラップすることでデータをプログラムすることができる。但し、それ以外にも、ファウラーノルドハイム(FN)トンネリングにより電荷をONO膜にトラップさせてもよい。トラップされた電荷は、例えばFNトンネリングやホットホール注入により消去することができる。
【0026】
図5に、メモリセルMC0、MC1の列方向の概略断面を示す。P型のシリコン基板またはPウエル領域200内に、フィールド酸化膜またはトレンチアイソレーションにより形成されたアクティブ領域内にメモリセルMC0、MC1が形成される。メモリセルMC0、MC1のゲートは、行方向のワード線WL00、WL01を構成する。メモリセルMC0、MC1のドレイン領域は共通であり、当該ドレイン領域は、ビアコンタクトV0を介して列方向のローカルビット線LBL0に電気的に接続される。メモリセルMC0、MC1のソース領域は、ビアコンタクトV1を介して行方向のソース線SL00、SL01に電気的に接続される。上記の例では、ソース線が基板上の導電層によって形成されたが、これに限らず、基板内の埋め込み拡散領域によってソース線を形成するようにしてもよい。この場合、行方向のメモリセルの各ソース領域が共通に接続される。
【0027】
また、メモリセルMC0と隣接するアクティブ領域に、LBL選択ゲート110DのトランジスタQ0が形成される。トランジスタQ0のゲートは、行方向の選択信号線SEL0を構成し、ドレイン領域がビアコンタクトV2を介して列方向のグローバルビット線GBL0に電気的に接続され、ソース領域がビアコンタクトV0を介してローカルビット線LBL0に電気的に接続される。
【0028】
LBL選択ゲート110Dによって形成された複数のローカルビット線LBL0~LBL3は、セクタ0の最後のメモリセルWL0n-1とWL0nとの共通ドレイン領域に接続され、そこで終端する。他のセクタ1~Pもセクタ0と同様に構成される。
【0029】
次に、エントリーゲート110Cについて説明する。エントリーゲート110Cは、
図2A、
図2Bに示すように、NOR型アレイ110Aの最後のセクタPと抵抗変化型アレイ110Bとの境界に形成される。エントリーゲート110Cは、LBL選択ゲート110DのトランジスタQ0~Q3とゲート幅、ゲート長が同じサイズのトランジスタQ0~Q3を含んで構成されが、LBL選択ゲート110Dと異なり、1つのグローバルビット線GBLを2つのローカルビット線LBL0、LBL1に分割するように、グローバルビット線GBLに接続される。
【0030】
図4に、エントリーゲート110Cと抵抗変化型アレイ110Bの一部の回路構成を示す。エントリーゲート110Cは、1つのグローバルビット線GBLと4つの犠牲ローカルビット線S_LBL0~S_LBL3との間に並列に接続されたトランジスタQ0~Q3を含む。トランジスタQ0~Q3のゲートには、セクタ/ゲート選択回路130からの選択信号線SEL_Q[0:3]が接続される。
【0031】
犠牲ローカルビット線S_LBL0とこれに隣接する犠牲ローカルビット線S_LBL1とを短絡することでローカルビット線LBL0が形成され、犠牲ローカルビット線S_LBL2とこれに隣接する犠牲ローカルビット線S_LBL3とを短絡することでローカルビット線LBL1が形成される。
【0032】
このような構成により、抵抗変化型アレイ110Bのローカルビット線LBL0/LBL1のピッチは、NOR型アレイ110Aのローカルビット線LBL0/LBL1、LBL2/LBL3のピッチの2倍となる。また、エントリーゲート110Cでは、1つのローカルビット線に2つのトランジスタが並列に接続されるため、抵抗変化型アレイ110Bの1つのローカルビット線に供給できる電流は、NOR型アレイ110Aの1つのローカルビット線に供給できる電流の2倍になる。抵抗変化型アレイ110Bのローカルビット線間のピッチをNOR型アレイ110Aよりも大きくするのは、抵抗変化型のメモリセルのサイズがNOR型メモリセルのサイズまで小さくすることが難しいためである。また、抵抗変化型アレイ110Bのローカルビットに供給する電流を大きくするのは、NOR型メモリセルを流れる最大電流(例えば、チャネルホットエレクトロン電流)に比べて抵抗変化型メモリセルを流れる最大電流がその倍近くになり得るためである。
【0033】
抵抗変化型アレイ110Bには、複数のメモリセルが行列状に形成される。1つのメモリセルは、1つのアクセストランジスタと1つの可変抵抗素子を含んで構成される。行方向のアクセストランジスタの各ゲートは、行方向のワード線に共通に接続され、列方向に隣接する一対のアクセストランジスタのソース領域が共通に対応するソース線に接続され、アクセストランジスタのドレイン領域に可変抵抗素子の一方の電極が接続され、可変抵抗素子の他方の電極がローカルビット線に接続される。例えば、メモリセルMC0、MC1のゲートは、ワード線WLQ0、Q1に接続され、メモリセルMC0、MC1の共通のソース領域がソース線SLQ0に接続され、メモリセルMC0のドレイン領域が可変抵抗素子を介してローカルビット線LBL0に接続され、メモリセルMC1のドレイン領域が可変抵抗素子を介してローカルビット線LBL0に接続される。
【0034】
可変抵抗素子は、例えば、酸化ハフニウム(HfOx)等の遷移金属の薄膜酸化物から構成され、書込みパルス電圧の極性および大きさによってセットまたはリセットされる。可変抵抗素子は、例えば、ビット線側からソース線側に向けて電流を流したとき低抵抗状態にセットされ、ソース線側からビット線側に向けて電流を流したとき、高抵抗状態にリセットされる。
【0035】
図6に、メモリセルMC0、MC1の列方向の概略断面を示す。P型のシリコン基板またはPウエル領域200内に、フィールド酸化膜またはトレンチアイソレーションにより形成されたアクティブ領域内にメモリセルMC0、MC1が形成される。メモリセルMC0、MC1のアクセストランジスタのゲートは、行方向のワード線WLQ0、WLQ1を構成し、アクセストランジスタの共通のソース領域は、ビアコンタクトV1を介して行方向のソース線SLQ0に電気的に接続される。メモリセルMC0のアクセストランジスタのドレイン領域は、ビアコンタクトV1を介して可変抵抗素子VR0に接続され、さらに可変抵抗素子VR0は、ビアコンタクトV3を介して列方向のローカルビット線LBL0に電気的に接続される。メモリセルMC1のアクセストランジスタのドレイン領域は、ビアコンタクトV1を介して可変抵抗素子VR1に接続され、さらに可変抵抗素子VR1は、ビアコンタクトV3を介してローカルビット線LBL0に電気的に接続される。
【0036】
メモリセルMC0と隣接するアクティブ領域に、エントリーゲート110CのトランジスタQ0が形成される。トランジスタQ0のゲートは、行方向の選択信号線SEL0を構成し、ドレイン領域がビアコンタクトV2を介してグローバルビット線GBL0に電気的に接続され、ソース領域がビアコンタクトV0を介してローカルビット線LBL0に電気的に接続される。
【0037】
メモリセルアレイ110は、多層配線構造によって形成されるが、
図5、
図6に示すように、抵抗変化型アレイ110Bおよびエントリーゲート110Cは、NOR型アレイ110Aと互換性のある構成であることが理解される。
【0038】
再び
図1を参照する。アドレスバッファ120は、図示しないアドレスバスからアドレスを受け取り、受け取った行アドレスと列アドレスをセクタ/ゲート選択回路130およびYデコーダ150に提供する。セクタ/ゲート選択回路130は、行アドレスに基づきセクタまたはエントリーゲート110Cを選択し、列アドレスに基づき選択されたセクタまたはエントリーゲート110Cの選択信号線SEL0~SEL3をHレベルまたはLレベルで駆動する。さらにセクタ/ゲート選択回路130は、列アドレスに従い、選択されたセクタまたは抵抗変化型アレイ110Bのソース線に動作電圧を印加する。この動作電圧は、読み書き制御部170によって制御される。
【0039】
Yデコーダ150は、列アドレスに基づきグローバルビット線GBL0~GBLmを選択する。選択されたグローバルビット線GBLには、読み書き制御部150の制御に従い、読出し電圧、プログラム電圧、消去電圧などが印加される。
【0040】
ワード線デコーダ140は、アドレスバッファ120から行アドレスを受け取り、受け取った行アドレスのデコード結果に基づきワード線WLを選択する。選択ワード線には、読み書き制御部170の制御に従い、読出し電圧、プログラム(書込み)電圧、消去電圧などが供給される。なお、NOR型アレイ110Aのセクタ内のメモリセルのデータを全て消去する場合には、セクタ内の全てのワード線が選択される。
【0041】
入出力回路160は、メモリセルアレイ110から読み出されたデータを外部端子に出力したり、外部端子から受け取ったデータをメモリセルに書き込む。さらに外部端子から受け取ったアドレスをアドレスバッファ120に提供し、コマンドを読み書き制御部170へ提供する。
【0042】
読み書き制御部170は、例えば、ステートマシンあるいはマイクロコントローラ、センスアンプS/A、書込みアンプW/A等を含み、不揮発性メモリ100の全体の動作を制御する。読み書き制御部170は、入出力回路160から受け取ったコマンドを解読し、解読結果に基づき読出し、書込み、消去を行う。
【0043】
読み書き制御部170は、NOR型フラッシュメモリに使用されるコマンドにより抵抗変化型アレイ110Bの読み書きを制御するようにしてもよい。但し、抵抗変化型メモリには、消去の概念が存在しないので、読み書き制御部170は、行アドレスから抵抗変化型アレイ110Bがアクセスされたことを認識し、かつ消去コマンドを受け取った場合には、抵抗変化型アレイ110Bが全てのメモリセルがデータ「1」になるようなデータの書き換えを行う。勿論、ユーザーは、NOR型アレイ110Aをアクセスする場合にはそこで使用するコマンド、抵抗変化型アレイ110Bをアクセスする場合にはそこで使用するコマンドを区別して不揮発性メモリ100に入力するようにしてもよい。
【0044】
次に、本実施例の不揮発性メモリ100の動作について説明する。
[読出し動作]
外部端子から読出しコマンドよびアドレスが入力されると、ワード線デコーダ140は、行アドレスに従いワード線を選択し、セクタ/ゲート選択回路130は、行アドレスに基づきセクタまたはエントリーゲート110Cを選択し、選択したセクタのLBL選択ゲート110Dの選択信号線SEL0~SEL3またはエントリーゲート110Cの選択信号線SEL0~SEL3を駆動し、かつ列アドレスに従いソースSLを選択する。Yデコーダ150は、列アドレスに従いグローバルビット線を選択する。セクタ/ゲート選択回路130は、NOR型アレイ110Aへのアクセスが行われる期間中、エントリーゲート110Cを非選択とし(選択信号線SEL0~SEL3は全てLレベル)、抵抗変化型アレイ110BをNOR型アレイ110Aから切り離す。
【0045】
例えば、
図3に示すメモリセルMaが選択される場合、選択ワード線WL01に読出し電圧が印加され、ソース線SL01にGNDが供給される。また、LBL選択ゲート110Dは、選択信号線SEL2をHレベルに駆動し、トランジスタQ2をオンさせ、Yデコーダ150は、グローバルビット線GBL0を選択し、読み書き制御部170は、グローバルビット線GBL0に読出し電圧を印加する。メモリセルMaは、記憶したデータに応じた閾値によりオン/オフし、センスアンプは、グローバルビット線GBL0の電圧または電流を感知する。
【0046】
また、
図4に示すメモリセルMbが選択される場合、選択ワード線WLQ1に読出し電圧が印加され、アクセストランジスタがオンされ、セクタ/ゲート選択回路130によって選択されたソース線SLQ0にGNDが供給される。また、セクタ/ゲート選択回路130は、エントリーゲート110Cの選択信号線SEL2をHレベルに駆動し、トランジスタQ2をオンさせ、Yデコーダ150は、グローバルビット線GBL0を選択し、読み書き制御部170は、グローバルビット線GBL0に読出し電圧を印加する。可変抵抗素子が低抵抗状態または高抵抗状態によりグローバルビット線GBL0からソース線SLQ0に流れる電流が異なり、この電圧または電流がセンスアンプによって感知される。
【0047】
[書込み動作]
読み書き制御部170は、NOR型アレイ110AのメモリセルMaにデータ「0」を書き込む場合には、選択ワード線WL02に書込み電圧を印加し、選択されたグローバルビット線GBL0に書込み電圧を印加し、選択されたソース線SL01にGNDを印加する。一方、抵抗変化型アレイ110BのメモリセルMbにデータ「0」を書き込む場合には、選択ワード線WLQ2に書込み電圧を印加してアクセストランジスタをオンさせ、選択されたグローバルビット線GBL0に書込み電圧を印加し、選択されたソース線SLQ1にGNDを印加する。なお、抵抗変化型アレイ110Bへの書込み動作の詳細については後述する。
【0048】
[消去動作]
NOR型アレイ110Aのセクタの消去を行う場合、当該セクタの全てのワード線が選択され、選択したワード線にGNDに印加される。また、セクタ/ゲート選択回路130は、選択されたLBL選択ゲート110DのトランジスタQ0~Q3を全てオフにし、ローカルビット線LBL0~LBL3をフローティング状態にし、選択したセクタ内の全てのソース線に消去電圧を印加する。これにより、セクタ内の全てのメモリセルのゲートとソース領域間に高電圧が印加され、メモリセル内の電子がソース側に抜け、メモリセルの閾値が下がり、データが「1」となる。
【0049】
一方、アドレスが抵抗変化型アレイ110Bである場合、ワード線デコーダ140は、抵抗変化型アレイ110Bの全ワード線を選択し、全てのアクセストランジスタをオンさせる。エントリーゲート110Cは、トランジスタQ0~Q3の全てをオンさせ、全てのローカルビット線LBL0、LBL1をグローバルビット線GBLに接続する。読み書き制御部170は、全ての可変抵抗素子にデータ「1」を書き込むべくグローバルビット線GBLにGNDを印加し、セクタ/選択ゲート130は、ソース線SLQ1~SLQkに書込み電圧を印加する。
【0050】
このように本実施例によれば、メモリセルアレイ110上にNOR型アレイ110Aと抵抗変化型アレイ110Bとを集積させた場合に、NOR型アレイ110Aと抵抗変化型アレイ110Bとの境界にエントリーゲート110Cを設けることで、NOR型アレイ110Aが動作しているときにグローバルビット線GBLなどを介して望ましくない電圧によるストレスが抵抗変化型アレイ110Bに影響を及ぼすのを防止することができる。
【0051】
また、NOR型アレイ110Aと抵抗変化型アレイ110Bとを搭載することで、NOR型アレイ110Aによる高集積化の長所と抵抗変化型アレイ110Bによる低電力動作の長所とを併せ持つことができる。
【0052】
上記実施例では、LBL選択ゲート110Dは、1つのグローバルビット線を4つのローカルビット線に分割したが、これは一例であり、1つのグローバルビット線から分割されるローカルビット線の数は任意である。また、エントリーゲート110Cにより分割されるローカルビット線間のピッチは、LBL選択ゲート110Dによって分割されるローカルビット線間のピッチの2倍としたが、これは一例であり、エントリーゲート110Cにより分割されるローカルビット線間のピッチがLBL選択ゲート110のものよりも大きければよい。さらにエントリーゲート110CのトランジスタのサイズとLBL選択ゲートのトランジスタのサイズを等しくしたが、これは一例であり、エントリーゲート110Cのトランジスタのゲート幅をLBL選択ゲート110Dのものよりも大きくしてもよい。
【0053】
次に、本実施例による抵抗変化型アレイ110Bの書込み動作について説明する。抵抗変化型メモリの可変抵抗素子は、例えば、酸化ハフニウム(HfOx)等の遷移金属の薄膜酸化物から構成され、書込みパルス電圧の極性および大きさによってセットまたはリセットされる。セット書込みパルスが印加されると、可変抵抗素子の電極間にはフィラメントのような電流経路が形成され、可変抵抗素子は低抵抗状態(LRS)となる。他方、極性の異なるリセット書込みパルスが印加されると、可変抵抗素子の電極間のフィラメントが破断ないし低減され、可変抵抗素子は高抵抗状態(HRS)となる。
【0054】
このような可変抵抗素子の動作電流特性として、可変抵抗素子をセットするとき、セット書込みパルスの印加時間が長くなると可変抵抗素子に電流が流れ過ぎ、可変抵抗素子がリセット状態に戻ってしまうことが知られている。これは、電極間に形成されたフィラメントに電流が流され続けることで、フィラメントが破断されてしまうためである。従って、理想的には、可変抵抗素子がセットされるや否や速やかにセット書込み電圧の印加が停止されることが望ましい。可変抵抗素子をリセットする場合にも、リセット後にリセット書込み電圧が印加され続けるとセット状態に戻ってしまうことがあり、それ故、可変抵抗素子がリセットされるや否や速やかにリセット書込み電圧の印加が停止されることが望ましい。
【0055】
従来のセット書込みでは、予め規定されたパルス幅を持つセット書込みパルス電圧をローカルビット線に印加するが、可変抵抗素子が低抵抗状態になるタイミングにパルス幅を一致させることは容易ではない。そこで、本実施例では、従来のようにセット書込みパルス電圧を印加するのではなく、セット動作のプリセット中に、選択グローバルビット線に電圧を充電しておき、その後のセット動作において、選択グローバルビット線に充電した電圧を利用して可変抵抗素子のセット書込みを行う。
【0056】
図7に、本実施例の抵抗変化型メモリの書込み動作のフローを示す。読み書き制御部170は、外部からコマンドを受け取ると(S100)、当該コマンドが抵抗変化型アレイ110Bへのセット書込みか否かを判定する(S110)。セット書込み以外のコマンドであれば、読み書き制御部170は、通常通りの方法でそのコマンドを実施する(S120)。
【0057】
セット書込みコマンドの場合、読み書き制御部170は、プリセット動作として書込みアンプ(W/A)から選択グローバルビット線GBLに書込み用充電電圧Vpを充電する(S130)。このとき、エントリーゲート110C、LBL選択ゲート110Dの全てのトランジスタQ0~Q3はオフであり、選択グローバルビット線GBLは抵抗変化型アレイ110B、NOR型アレイ110Aから切り離されている。
【0058】
複数のグローバルビット線GBLの各々の一方の端部には書込みアンプが接続され、書込みアンプは、選択グローバルビット線GBLに書込み用充電電圧Vpを一定期間供給し、選択グローバルビット線GBLを書込み用充電電圧Vpに充電する(グローバルビット線の電圧VGBL=Vp)。選択グローバルビット線GBLの電圧VGBL(=Vp)は、可変抵抗素子に印加するセット書込み電圧VSETよりも大きい。メモリセルアレイ110の列方向にNOR型アレイ110Aと抵抗変化型アレイ110Bとを集積したことでグローバルビット線GBLの列方向の配線長が大きくなり、それに応じて容量も大きくなる。それ故、グローバルビット線GBLは、可変抵抗素子にセット書込みを行うのに十分な電力を充電することが可能である。
【0059】
選択グローバルビット線GBLの充電後、読み書き制御部170は、書込みアンプを選択グローバルビット線GBLから切り離し(例えば、書込みアンプとグローバルビット線との間に接続されたトランジスタをオフする)、選択グローバルビット線GBLをフローティング状態にする(S140)。こうして選択グローバルビット線GBLに充電された電圧VGBLは、その後、セット書込み時の電流源として使用される。
【0060】
次に、読み書き制御部170は、エントリーゲート110Cの選択されたトランジスタをオンさせ(S150)、選択グローバルビット線GBLを選択ローカルビット線LBLに電気的に接続する。このとき、選択されたトランジスタのゲートには、セット書込み電圧VSET+Vth(トランジスタの閾値)の電圧が印加され、このトランジスタは、セット書込み電圧VSETを生成するためのクランプト機能を有する。これにより、これにより、選択ローカルビット線LBLの電圧VLBL=セット書込みVSETとなる。
【0061】
一方、ワード線デコーダ140は、選択ワード線WLに書込み電圧を印加し、選択メモリセルのアクセストランジスタをオンさせ、セクタ/ゲート選択回路130は、選択メモリセルに対応する選択ソース線にGNDを供給する。こうして、選択メモリセルの可変抵抗素子にはバイアス電圧としてセット書込み電圧(VLBL=VSET)が印加される。可変抵抗素子は、セット書込み電圧VSELにより高抵抗状態(HRS)から低抵抗状態(LRS)に遷移し、セット書込みが終了する(S160)。可変抵抗素子が低抵抗状態(LRS)に遷移すると、選択グローバルビット線GBLの残りの電圧は、低抵抗状態の可変抵抗素子を介して選択ソース線に一気に放電される(S170)。
【0062】
このように、可変抵抗素子が低抵抗状態に遷移したことに応答して概ね自律的に選択グローバルビット線GBLに充電された電圧が放電されるので、可変抵抗素子のセット後に、従来の書込みパルスのときのように必要以上に継続的に可変抵抗素子に電流が流されるのが回避される。その結果、セット後の可変抵抗素子に流す電流を減少させ、セット書込みの信頼性を向上させることができる。同時にセット書込みの無駄な消費電流を抑制することができる。
【0063】
次に、
図4に示す選択メモリセルMbにセット書込みを行うときの各部の動作波形例を
図8に示す。
図9は、抵抗変化型メモリの各動作時のバイアス電圧の一例を示すV
LBL=選択ローカルビット線LBLの電圧、V
GBL=選択グローバルビット線GBLの電圧、V
SL=選択ソース線SLの電圧、V
WL=選択ワード線の電圧)
【0064】
図8において、時刻t1~T2は、プリセット期間、t3~t5は、セット書込み期間である。読み書き制御部170の書込みアンプは、時刻t1からt2の期間、選択グローバルビット線GBL0に書込み用充電電圧Vpを充電する。書込み用充電電圧Vpは、例えば、5Vである。
【0065】
次に、時刻t2で、読み書き制御部170は、書込みアンプを選択グローバルビット線GBL0を切断し、選択グローバルビット線GBL0をフローティング状態にする。
【0066】
次に、時刻t3で、読み書き制御部170は、エントリーゲート110CのトランジスタQ2をオンさせる。トランジスタQ2のゲートには、セット書込み電圧VSET+Vthが印加される。セット書込み電圧VSETは、例えば、2Vである。これによりローカルビット線LBL1の電圧VLBLとして、セット書込み電圧VSETが供給される。一方、選択ワード線WLQ2には、選択ワード線の電圧VWLとして書込み電圧VWRITEが供給され、選択メモリセルMbのアクセストランジスタがオンされる。書込みパルス電圧VWRITEは、例えば2Vである。非選択ワード線にはGNDが印加され、非選択メモリセルのアクセストランジスタはオフである。また、選択ソース線SLQ1の電圧VSLとしてGNDが印加される。非選択ソース線はフローティングである。
【0067】
こうして、選択メモリセルMbの可変抵抗素子にはセット書込み電圧VSETのバイアス電圧が印加される。可変抵抗素子は、このバイアス電圧の印加により、時刻t4で高抵抗状態(HRS)から低抵抗状態(LRS)に遷移する。可変抵抗素子が低抵抗状態になったことで、選択グローバルビット線GBL0の残りの電圧がローカルビット線LBL1、可変抵抗素子、アクセストランジスタを介して選択ソース線SLQ1に放電される。その後、時刻t5で、選択ワード線WLQ2の電圧VWLがGNDになり、セット書込み動作が終了する。選択メモリセルMbのセット書込みに要する時間は、プリセットを含めて、おおよそ100ns以下である。
【0068】
選択メモリセルMbのリセット書込みでは、プリセットとして選択グローバルビット線GBL0にGNDレベルが供給される。その後のリセット書き込み動作で、エントリーゲート110CのトランジスタQ2がオンし、ローカルビット線LBL1がGNDレベルになる。選択ワード線WLQ2には、書込み電圧VR_WRITE(例えば、3V)が印加され、選択ソース線SLQ1にはソース電圧VSLとしてリセット書込み電圧VRESET(例えば、2V)が印加される。
【0069】
こうして、選択メモリセルMbの可変抵抗素子には、選択ソース線SLQ1から選択グローバルビット線GBL0に向けて電流が流れ、可変抵抗素子が低抵抗状態(LRS)から高抵抗状態(HRS)に遷移する。可変抵抗素子が高抵抗状態になると、ローカルビット線LBL1の電圧VLBLがGNDレベルに低下し、トランジスタQ2が非導通になり、選択グローバルビット線GBL0がフローティング状態になる。選択メモリセルMbのリセット書込みに要する時間は、プリセットを含めてもおおよそ100ns以下である。このようにリセット書込みもまた可変抵抗素子が高抵抗状態に遷移したことに応答して概ね自律的に終了リセット書込み動作を終了させることができる。
【0070】
このように本実施例の書込み方法によれば、グローバルビット線に電圧を充電しておき、この充電した電圧を利用してセット書込みを行うようにしたので、セット書込み時間を自律的に制御し、セット書込みの信頼性を向上させることができる。また、チャージポンプを用いて外部供給電圧から所望の内部電圧を生成する場合には、無駄なチャージポンプ動作を減少させることが期待でき、このことは、一度に行えるセット/リセット書込みのビット数の増加を可能にする。
【0071】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
100:不揮発性メモリ
110:メモリセルアレイ
110A:NOR型アレイ(第1のメモリセルアレイ)
110B:抵抗変化型アレイ(第2のメモリセルアレイ)
110C:エントリーゲート
110D:セクタ選択ゲート
120:アドレスバッファ
130:ゲート選択回路
140:ワード線デコーダ
150:Yデコーダ
160:入出力回路
170:読み書き制御部
【要約】
【課題】 低電力化および高集積化が可能な半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】 本発明の不揮発性半導体メモリ100は、基板上に、NOR型フラッシュメモリの構造を有するNOR型アレイ110Aと、抵抗変化型メモリの構造を有する抵抗変化型アレイ110Bとが形成されたメモリセルアレイ110を含む。読み書き制御部170は、抵抗変化型アレイ110Bの選択メモリセルにセット書込みと行う場合、選択グローバルビット線GBLを充電し、その後、選択グローバルビット線GBLに充電された電圧を用いて選択メモリセルにセット書込み電圧を印加する。
【選択図】
図1