(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】近接配置された双極子微小電極を備えるカテーテルスパイン組立体
(51)【国際特許分類】
A61B 5/287 20210101AFI20220517BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20220517BHJP
A61M 25/06 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
A61B5/287 200
A61B18/14
A61M25/06 556
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017020143
(22)【出願日】2017-02-07
【審査請求日】2020-02-07
(32)【優先日】2016-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シュバユ・バス
(72)【発明者】
【氏名】マリオ・エイ・ソリス
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-144159(JP,A)
【文献】特表平08-504333(JP,A)
【文献】特表2014-506171(JP,A)
【文献】国際公開第2015/130829(WO,A1)
【文献】米国特許第05938694(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0271135(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0366508(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/287
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気生理学カテーテルであって、
細長い本体と、
遠位電極組立体であって、
複数のスパインであって、各スパインが、自由遠位端及び前記細長い本体の遠位端から延在する近位端を有する、複数のスパインと、
少なくとも1つのスパイン上のフレキシブルパネルであって、前記
フレキシブルパネルは、前記スパインの表面に適合する基板と、少なくとも一対の微小電極と、各微小電極用のトレースと、各微小電極用のはんだ付けパッドとを有し、各トレースが、それぞれの微小電極及びそれぞれのはんだ付けパッドを電気的に結合する、フレキシブルパネルと、を含む、遠位電極組立体と、
を備え、
前記基板は、第1の層、第2の層、及び、第3の層を含み、
前記第1の層は、前記第2の層が存在する側の反対側を向いた第1の表面、及び、前記第2の層が存在する側を向いた第2の表面を有し、前記第2の層は、前記第1の層が存在する側を向いた第1の表面、及び、前記第3の層が存在する側を向いた第2の表面を有し、前記第3の層は、前記第2の層が存在する側を向いた第1の表面、及び、前記第2の層が存在する側の反対側を向いた第2の表面を有し、
前記少なくとも一対の微小電極は、第1の一対の微小電極および第2の一対の微小電極を含み、
前記第1の一対の微小電極および前記第2の一対の微小電極は、前記第1の層
の前記第1の表面上に配置され、前記第1の一対の微小電極を第1の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合させる第1の一対のトレースは、前記第2の層
の前記第1の表面上に配置され、前記第2の一対の微小電極を第2の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合させる第2の一対のトレースは、前記第3の層
の前記第1の表面上に配置され、
前記第1の層には、前記第1の一対の微小電極および前記第1の一対のトレースを電気的に結合させるため
、前記第1の層の前記第1の表面から前記第2の表面まで貫通する第1の一対の貫通孔、及び、前記第2の一対の微小電極および前記第2の一対のトレースを電気的に結合させるため
、前記第1の層の前記第1の表面から前記第2の表面まで貫通する第2の一対の貫通孔が形成されており、前記第2の層には、前記第2の一対の微小電極および前記第2の一対のトレースを電気的に結合させるため
、前記第2の層の前記第1の表面から前記第2の表面まで貫通する第3の一対の貫通孔、及び、
前記第1の一対のトレースを前記第1の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合させるため、前記第2の層の前記第1の表面から前記第2の表面まで貫通する第4の一対の貫通孔が形成されて
おり、
前記第3の層には、前記第2の一対のトレースを前記第2の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合させるため、前記第3の層の前記第1の表面から前記第2の表面まで貫通する第5の一対の貫通孔、及び、前記第1の一対のトレースを前記第1の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合させるため、前記第3の層の前記第1の表面から前記第2の表面まで貫通する第6の一対の貫通孔が形成されており、
前記第1の一対のはんだ付けパッド、及び、前記第2の一対のはんだ付けパッドは、前記第3の層の前記第2の表面上に配置され、
前記第1の一対のはんだ付けパッド、及び、前記第2の一対のはんだ付けパッドそれぞれに、前記細長い本体内を通って延びる第1の一対のリード線および第2の一対のリード線が電気的に結合されており、
前記第1の一対のトレースが、前記第1の一対の貫通孔、前記第2の層の前記第1の表面上、前記第4の一対の貫通孔、及び、前記第6の一対の貫通孔を通り、前記第1の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合されることで、前記第1の一対の微小電極が、前記第1の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合されている前記第1の一対のリード線に電気的に結合され、
前記第2の一対のトレースが、前記第2の一対の貫通孔、前記第3の一対の貫通孔、前記第3の層の前記第1の表面上、及び、前記第5の一対の貫通孔内を通り、前記第2の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合されることで、前記第2の一対の微小電極が、前記第2の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合されている前記第2の一対のリード線に電気的に結合される、
カテーテル。
【請求項2】
前記第1の一対のはんだ付けパッド、及び、前記第2の一対のはんだ付けパッドのそれぞれは、前記第3の層が存在する側を向いた第1の表面、及び、前記第3の層が存在する側の反対側を向いた第2の表面を有し、前記第1の一対のはんだ付けパッド、及び、前記第2の一対のはんだ付けパッドのそれぞれの前記第1の表面は、前記第3の層の前記第2の表面上に配置され、
前記第1の一対のはんだ付けパッドの前記第1の表面に前記第1の一対のトレースが電気的に結合され、前記第1の一対のはんだ付けパッドの前記第2の表面に前記第1の一対のリード線が電気的に結合され、
前記第2の一対のはんだ付けパッドの前記第1の表面に前記第2の一対のトレースが電気的に結合され、前記第2の一対のはんだ付けパッドの前記第2の表面に前記第2の一対のリード線が電気的に結合される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記少なくとも一対の微小電極が、50~300μm(50~300ミクロン)の範囲の空間間隙距離によって分離されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記少なくとも一対の微小電極の各微小電極が、50~300μm(50~300ミクロン)の範囲の幅を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
各微小電極が50μm(50ミクロン)の幅を有する、請求項
4に記載のカテーテル。
【請求項6】
各微小電極が、トレースの電気接続用に構成される拡大部分を有する、請求項
5に記載のカテーテル。
【請求項7】
各スパインが円形断面を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
各スパインが矩形断面を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記少なくとも一対の微小電極が前記スパイン上を横方向に延在する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記フレキシブルパネルが、前記細長い本体に位置する少なくとも1つのはんだ付けパッチを有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
電気生理学カテーテルであって、
細長い本体と、
遠位電極組立体であって、
複数のスパインであって、各スパインが、自由遠位端及び前記細長い本体の遠位端から延在する近位端を有する、複数のスパインと、
少なくとも1つのスパイン上のフレキシブルパネルであって、前記
フレキシブルパネルは、前記スパインの外表面に適合する基板と、一対の微小電極と、それぞれの微小電極及びそれぞれのはんだ付けパッドを電気的に結合するトレースと、を有し、前記一対の微小電極が、前記スパインの周りで少なくとも部分的に円周方向に巻き付けられており、前記一対の微小電極が、50~300μm(50~300ミクロン)の範囲の空間間隙距離によって分離されている、フレキシブルパネルと、を含む、遠位電極組立体と、
を備え、
前記基板は、第1の層、第2の層、及び、第3の層を含み、
前記第1の層は、前記第2の層が存在する側の反対側を向いた第1の表面、及び、前記第2の層が存在する側を向いた第2の表面を有し、前記第2の層は、前記第1の層が存在する側を向いた第1の表面、及び、前記第3の層が存在する側を向いた第2の表面を有し、前記第3の層は、前記第2の層が存在する側を向いた第1の表面、及び、前記第2の層が存在する側の反対側を向いた第2の表面を有し、
前記少なくとも一対の微小電極は、第1の一対の微小電極および第2の一対の微小電極を含み、
前記第1の一対の微小電極および前記第2の一対の微小電極は、前記第1の層
の前記第1の表面上に配置され、前記第1の一対の微小電極を第1の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合させる第1の一対のトレースは、前記第2の層
の前記第1の表面上に配置され、前記第2の一対の微小電極を第2の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合させる第2の一対のトレースは、前記第3の層
の前記第1の表面上に配置され、
前記第1の層には、前記第1の一対の微小電極および前記第1の一対のトレースを電気的に結合させるため
、前記第1の層の前記第1の表面から前記第2の表面まで貫通する第1の一対の貫通孔、及び、前記第2の一対の微小電極および前記第2の一対のトレースを電気的に結合させるため
、前記第1の層の前記第1の表面から前記第2の表面まで貫通する第2の一対の貫通孔が形成されており、前記第2の層には、前記第2の一対の微小電極および前記第2の一対のトレースを電気的に結合させるため
、前記第2の層の前記第1の表面から前記第2の表面まで貫通する第3の一対の貫通孔、及び、
前記第1の一対のトレースを前記第1の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合させるため、前記第2の層の前記第1の表面から前記第2の表面まで貫通する第4の一対の貫通孔が形成されて
おり、
前記第3の層には、前記第2の一対のトレースを前記第2の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合させるため、前記第3の層の前記第1の表面から前記第2の表面まで貫通する第5の一対の貫通孔、及び、前記第1の一対のトレースを前記第1の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合させるため、前記第3の層の前記第1の表面から前記第2の表面まで貫通する第6の一対の貫通孔が形成されており、
前記第1の一対のはんだ付けパッド、及び、前記第2の一対のはんだ付けパッドは、前記第3の層の前記第2の表面上に配置され、
前記第1の一対のはんだ付けパッド、及び、前記第2の一対のはんだ付けパッドそれぞれに、前記細長い本体内を通って延びる第1の一対のリード線および第2の一対のリード線が電気的に結合されており、
前記第1の一対のトレースが、前記第1の一対の貫通孔、前記第2の層の前記第1の表面上、前記第4の一対の貫通孔、及び、前記第6の一対の貫通孔を通り、前記第1の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合されることで、前記第1の一対の微小電極が、前記第1の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合されている前記第1の一対のリード線に電気的に結合され、
前記第2の一対のトレースが、前記第2の一対の貫通孔、前記第3の一対の貫通孔、前記第3の層の前記第1の表面上、及び、前記第5の一対の貫通孔内を通り、前記第2の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合されることで、前記第2の一対の微小電極が、前記第2の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合されている前記第2の一対のリード線に電気的に結合される、
カテーテル。
【請求項12】
前記第1の一対のはんだ付けパッド、及び、前記第2の一対のはんだ付けパッドのそれぞれは、前記第3の層が存在する側を向いた第1の表面、及び、前記第3の層が存在する側の反対側を向いた第2の表面を有し、前記第1の一対のはんだ付けパッド、及び、前記第2の一対のはんだ付けパッドのそれぞれの前記第1の表面は、前記第3の層の前記第2の表面上に配置され、
前記第1の一対のはんだ付けパッドの前記第1の表面に前記第1の一対のトレースが電気的に結合され、前記第1の一対のはんだ付けパッドの前記第2の表面に前記第1の一対のリード線が電気的に結合され、
前記第2の一対のはんだ付けパッドの前記第1の表面に前記第2の一対のトレースが電気的に結合され、前記第2の一対のはんだ付けパッドの前記第2の表面に前記第2の一対のリード線が電気的に結合される、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記スパインが円形断面を有する、請求項
11に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記スパインが矩形断面を有する、請求項
11に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記スパインが組織表面を接触するように構成される平坦面を有する、請求項
11に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記一対の微小電極が前記平坦面上に配置されている、請求項
15に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記一対の微小電極の全体が前記平坦面内にある、請求項
15に記載のカテーテル。
【請求項18】
各微小電極が50~300μm(50~300ミクロン)の範囲の幅を有する、請求項
11に記載のカテーテル。
【請求項19】
電気生理学カテーテルであって、
細長い本体と、
遠位電極組立体であって、
複数のスパインであって、各スパインが、自由遠位端及び前記細長い本体の遠位端から延在する近位端を有し、各スパインが、前記
遠位電極組立体の長手方向軸に向かって予め形成された内向きの湾曲を有する、複数のスパインと、
少なくとも1つのスパイン上のフレキシブルパネルであって、前記
フレキシブルパネルは、前記スパインの外表面に適合する基板と、一対の微小電極と、それぞれの微小電極及びそれぞれのはんだ付けパッドを電気的に結合するトレースと、を有し、前記一対の微小電極が、前記スパインの周りで少なくとも部分的に円周方向に巻き付けられており、前記一対の微小電極が、50~300μm(50~300ミクロン)の範囲の空間間隙距離によって分離されている、フレキシブルパネルと、を含む、遠位電極組立体と、
を備え、
前記基板は、第1の層、第2の層、及び、第3の層を含み、
前記第1の層は、前記第2の層が存在する側の反対側を向いた第1の表面、及び、前記第2の層が存在する側を向いた第2の表面を有し、前記第2の層は、前記第1の層が存在する側を向いた第1の表面、及び、前記第3の層が存在する側を向いた第2の表面を有し、前記第3の層は、前記第2の層が存在する側を向いた第1の表面、及び、前記第2の層が存在する側の反対側を向いた第2の表面を有し、
前記少なくとも一対の微小電極は、第1の一対の微小電極および第2の一対の微小電極を含み、
前記第1の一対の微小電極および前記第2の一対の微小電極は、前記第1の層
の前記第1の表面上に配置され、前記第1の一対の微小電極を第1の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合させる第1の一対のトレースは、前記第2の層
の前記第1の表面上に配置され、前記第2の一対の微小電極を第2の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合させる第2の一対のトレースは、前記第3の層
の前記第1の表面上に配置され、
前記第1の層には、前記第1の一対の微小電極および前記第1の一対のトレースを電気的に結合させるため
、前記第1の層の前記第1の表面から前記第2の表面まで貫通する第1の一対の貫通孔、及び、前記第2の一対の微小電極および前記第2の一対のトレースを電気的に結合させるため
、前記第1の層の前記第1の表面から前記第2の表面まで貫通する第2の一対の貫通孔が形成されており、前記第2の層には、前記第2の一対の微小電極および前記第2の一対のトレースを電気的に結合させるため
、前記第2の層の前記第1の表面から前記第2の表面まで貫通する第3の一対の貫通孔、及び、
前記第1の一対のトレースを前記第1の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合させるため、前記第2の層の前記第1の表面から前記第2の表面まで貫通する第4の一対の貫通孔が形成されて
おり、
前記第3の層には、前記第2の一対のトレースを前記第2の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合させるため、前記第3の層の前記第1の表面から前記第2の表面まで貫通する第5の一対の貫通孔、及び、前記第1の一対のトレースを前記第1の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合させるため、前記第3の層の前記第1の表面から前記第2の表面まで貫通する第6の一対の貫通孔が形成されており、
前記第1の一対のはんだ付けパッド、及び、前記第2の一対のはんだ付けパッドは、前記第3の層の前記第2の表面上に配置され、
前記第1の一対のはんだ付けパッド、及び、前記第2の一対のはんだ付けパッドそれぞれに、前記細長い本体内を通って延びる第1の一対のリード線および第2の一対のリード線が電気的に結合されており、
前記第1の一対のトレースが、前記第1の一対の貫通孔、前記第2の層の前記第1の表面上、前記第4の一対の貫通孔、及び、前記第6の一対の貫通孔を通り、前記第1の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合されることで、前記第1の一対の微小電極が、前記第1の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合されている前記第1の一対のリード線に電気的に結合され、
前記第2の一対のトレースが、前記第2の一対の貫通孔、前記第3の一対の貫通孔、前記第3の層の前記第1の表面上、及び、前記第5の一対の貫通孔内を通り、前記第2の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合されることで、前記第2の一対の微小電極が、前記第2の一対のはんだ付けパッドに電気的に結合されている前記第2の一対のリード線に電気的に結合される、
カテーテル。
【請求項20】
前記第1の一対のはんだ付けパッド、及び、前記第2の一対のはんだ付けパッドのそれぞれは、前記第3の層が存在する側を向いた第1の表面、及び、前記第3の層が存在する側の反対側を向いた第2の表面を有し、前記第1の一対のはんだ付けパッド、及び、前記第2の一対のはんだ付けパッドのそれぞれの前記第1の表面は、前記第3の層の前記第2の表面上に配置され、
前記第1の一対のはんだ付けパッドの前記第1の表面に前記第1の一対のトレースが電気的に結合され、前記第1の一対のはんだ付けパッドの前記第2の表面に前記第1の一対のリード線が電気的に結合され、
前記第2の一対のはんだ付けパッドの前記第1の表面に前記第2の一対のトレースが電気的に結合され、前記第2の一対のはんだ付けパッドの前記第2の表面に前記第2の一対のリード線が電気的に結合される、請求項19に記載のカテーテル。
【請求項21】
前記フレキシブルパネルが、長手方向部分、少なくとも遠位横方向部分、及び近位ベース部分を有し、前記トレースが前記長手方向部分に配置されており、前記一対の微小電極が前記遠位横方向部分に配置されており、前記はんだ付けパッドが前記近位ベース部分に配置されている、請求項
19に記載のカテーテル。
【請求項22】
前記少なくとも1つのスパインは、前記一対の微小電極が上に配置されている平坦面を有する、請求項
19に記載のカテーテル。
【請求項23】
前記少なくとも1つのスパインが、矩形断面を有する、請求項
19に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気生理学カテーテル、特に、分画された信号のより一層正確及び個別の感知を提供する電極構成を備える心臓電気生理学カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
電極カテーテルは、長年にわたり医療現場で一般的に使用されている。電極カテーテルは心臓内の電気的活動を刺激及びマッピングし、異常な電気的活動が見られる部位をアブレーションするために用いられる。
【0003】
使用にあたり、電極カテーテルは、主要な静脈又は動脈、例えば大腿静脈の中に挿入され、次いで対象となる心室の中に案内される。カテーテルが心臓内に配置された後、心臓内の異常な電気的活動の場所が特定される。
【0004】
位置特定の1つの技術は電気生理学的マッピング手順を含み、この手順によって導電性の心臓内組織から生じる電気信号が組織的に監視され、それらの信号のマップが形成される。医師は、そのマップを解析することによって、妨害する電気経路を確認することができる。導電性心組織からの電気信号をマッピングするための従来の方法は、その遠位先端上にマッピング電極が搭載された電気生理学カテーテル(電極カテーテル)を、経皮的に導入することである。カテーテルは、これらの電極を心内膜に接触させて設置するように操作される。心内膜における電気信号を監視することによって、不整脈の原因である異常な導電性組織部位を正確に示すことができる。
【0005】
カテーテルに搭載された環状電極による感知のために、環状電極からの信号を送信するリード線が、カテーテル制御ハンドルの遠位端において適切なコネクタに電気的に接続され、それは、ECG監視システム及び/又は適切な3-D電気生理学的(EP)マッピングシステム、例えば、カリフォルニア州アーウィンデールのBiosense Webster社から入手可能なCARTO、CARTO XP又はCARTO 3等に電気的に接続される。
【0006】
近接配置された電極対は、心臓の特定領域の治療を試みる際に非常に重要であり得る、遠距離場の信号に対する近距離場の電位のより正確な検出を可能にする。例えば、近距離場の肺静脈電位は極めて小さい信号であり、一方で心房は、肺静脈に極めて近接する場所にあり、遙かに大きい信号を提供する。したがって、カテーテルが肺静脈の領域内に配置される場合であっても、信号が、小さく、(肺静脈から)近い電位、又はより大きく、(心房から)より遠い電位のいずれであるかを、電気生理学者が判定することは、困難である場合がある。近接配置された双極子により、医師は、遠距離場の信号をより正確に除去し、局所組織における電気的活動をより正確に読み取ることが可能になる。したがって、近接配置される電極を有することによって、肺動脈電位を有する心筋組織の場所を、正確に標的とすることが可能であるため、臨床医は、特定の組織に治療を施すことが可能になる。更には、近接配置される電極により、医師は、電気信号によって、心門/複数の心門の正確な解剖学的場所を判定することが可能になる。
【0007】
しかしながら、近接して、かつ正確に配置される環状電極を有するカテーテルの製造及び組み立ては、多くの課題を提起する場合がある。隣接する電極間の間隔における正確さ及び一貫性は、カテーテルの製造及び組み立てに重要となる。従来方法では、各環状電極を封止するためにポリウレタンのような粘着剤を用いる場合が多く、それは、隣接する電極又は電極対の間にマージンを作り出し、電極がどの程度近接して互いに配置され得るかを制限する場合がある。一般的に、このような従来方法を用いて、電極対の間隔を1.0mm以上にすることができる。しかし、より小さな間隔、特に0.2又は0.1mmの間隔は達成し難い。このような小さな間隔の場合、隣接する電極が、電極公差規格のために、又はポリウレタンのような医療グレード粘着剤が適用される際、若しくは医療エポキシが硬化している際の組み立ての間に電極が移動するために、接触する危険性がある。
【0008】
更に、リード線を環状電極に取り付ける従来方法はまた、隣接する環状電極の間に間隔公差を通常必要とする。このような取付方法では、鋭角となることが多く、リード線が環状電極に達するために延びなければならず、分離又は破損をもたらすストレスを生じる場合がある。
【0009】
フレックス回路としてもまた既知であるフレキシブルエレクトロニクスは、ポリイミド、PEEK又は透明導電性ポリエステルフィルムのようなフレキシブルプラスチック基板に電子装置を取り付けることによって電子回路を組み立てる技術である。更に、フレックス回路は、ポリエステルにスクリーン印刷された銀回路であり得る。フレキシブルプリント回路(FPC)は、フォトリソグラフィ技術を用いて作製される。フレキシブルフォイル回路又はフレキシブルフラットケーブル(FFC)を作製する別の方法は、PETの2つの層の間に非常に薄い(0.07mm)銅ストリップをラミネートすることである。通常0.05mm厚であるこれらPET層は、熱硬化性である粘着剤で塗布され、積層工程の間に活性化される。片面フレキシブル回路は、フレキシブル誘導体フィルムに金属或いは導電性(金属充填)ポリマーのいずれかで作製された単一導体層を有する。コンポーネント終端機能は、片面からのみアクセス可能である。コンポーネントリードを、通常、はんだ付けによる相互連結のために通過することができるように、孔がベースフィルムに形成されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、ノイズ及び/又は遠距離場の信号の検出を最小限にするため、非常に近接して配置される双極子微小電極対(bipole microelectrode pairs)を備える電気生理学カテーテルが必要とされている。また、電極間の非常に近い間隔が精度及び正確さの向上とともに容易に、かつ一貫して達成され得る、このようなカテーテルの製造及び組み立ての方法も必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、遠距離場の信号を含む望ましくないノイズの検出を最小限として複数の場所で同時に信号を検出するために組織表面領域上に柔軟に広がることが可能な複数の分岐スパインに、非常に近接配置された双極子微小電極を担持している遠位電極組立体を備える電気生理学カテーテルに関する。
【0012】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、細長い本体と、フレキシブル微小電極パネルを備える少なくとも1つのスパインを有する遠位電極組立体とを含む。スパインは自由遠位端を有し、パネルはスパインの外面に適合する基板と、少なくとも一対の微小電極と、各微小電極用のトレースと、各微小電極用のはんだ付けパッドとを有し、各トレースはそれぞれの微小電極及びそれぞれのはんだ付けパッドを電気的に結合する。
【0013】
いくつかの詳細な実施形態では、双極子対の隣接する微小電極は、約200μm(約200ミクロン)以下を含む、約300μm(約300ミクロン)以下の空間間隙距離によって分離されている。いくつかの詳細な実施形態では、空間間隙距離は、約50~100μm(約50~100ミクロン)の範囲である。いくつかの詳細な実施形態では、空間間隙距離は、約50μm(約50ミクロン)である。
【0014】
いくつかの詳細な実施形態では、各微小電極は、約300μm(約300ミクロン)の幅、約200μm(約200ミクロン)の幅、又は約100μm(約100ミクロン)の幅を有する。
【0015】
いくつかの詳細な実施形態では、各微小電極は、トレースの電気的接続を覆うように構成された拡大部分を有する。
【0016】
いくつかの詳細な実施形態では、各スパインは、円形断面を有する。
【0017】
いくつかの詳細な実施形態では、各スパインは、矩形断面を有する。
【0018】
別の実施形態では、カテーテルは、細長い本体と、複数の分岐するスパイン及び少なくとも1つのスパイン上のフレキシブルパネルを有する遠位電極組立体とを有し、パネルはスパインの外面に適合する基板と、一対の微小電極と、それぞれの微小電極及びそれぞれのはんだ付けパッドを電気的に結合するトレースとを有し、一対の微小電極はスパインの周りで少なくとも部分的に円周方向に巻き付けられており、一対の微小電極は、約50~200μm(約50~200ミクロン)の範囲の空間間隙距離によって分離されている。
【0019】
詳細な実施形態では、スパインは、組織表面に接触するように構成された平坦面を有し、一対の微小電極は、平坦面上に配置されている。
【0020】
詳細な実施形態では、一対の微小電極の全体は、平坦面内にある。
【0021】
詳細な実施形態では、各微小電極は、約50~200μm(約50~200ミクロン)の範囲の幅を有する。
【0022】
更なる実施形態では、カテーテルは、細長い本体と、遠位電極組立体とを有し、遠位電極組立体は、各スパインが自由遠位端及び組立体の長手方向軸に向かって予め形成された内向きの湾曲を有する複数のスパインと、少なくとも1つのスパイン上のフレキシブルパネルとを有し、パネルは、スパインの外面に適合する基板と、一対の微小電極と、それぞれの微小電極及びそれぞれのはんだ付けパッドを電気的に結合するトレースとを有し、一対の微小電極はスパインの周りで少なくとも部分的に円周方向に巻き付けられており、一対の微小電極は、約50~300μm(約50~300ミクロン)、50~200μm(50~200ミクロン)、又は50~100μm(50~100ミクロン)の範囲の空間間隙距離によって分離されている。
【0023】
いくつかの詳細な実施形態では、フレキシブルパネルは、長手方向部分、少なくとも遠位横方向部分、及び近位ベース部分を有し、トレースは長手方向部分に配置されており、一対の微小電極は遠位横方向部分に配置されており、はんだ付けパッドは遠位ベース部分に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明のこれらの特徴及び利点並びに他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を添付図面と併せて考慮することによってより充分な理解がなされるであろう。選択された構造及び特徴が、残りの構造及び特徴をより見やすくするために、特定の図面では示されていないことを理解されたい。
【
図1】一実施形態による、本発明のカテーテルの側面図である。
【
図2】
図1の2-2線に沿ったカテーテルのカテーテル本体の端部断面図である。
【
図3】
図1の3-3線に沿ったカテーテルの偏向部の端部断面図である。
【
図4】一実施形態による一部を切り取った本発明のカテーテルの偏向部及び遠位電極組立体との間の接合部の斜視図である。
【
図5】一実施形態による本発明の遠位電極組立体の斜視図である。
【
図6】一実施形態による、組み立て中のフレキシブル微小電極パネル及びスパインの詳細図である。
【
図7】一実施形態によるフレキシブル微小電極パネルの部分分解斜視図である。
【
図8】組織表面と接触する
図5の遠位電極組立体の側面図である。
【
図9】別の実施形態による、フレキシブル微小電極パネルを備えるスパインの詳細図である。
【
図10】別の実施形態による、組織表面と接触する遠位電極組立体の側面図である。
【
図11】
図9の実施形態によるスパインを備える遠位電極組立体の部分分解斜視図である。
【
図12A】異なる実施形態による微小電極の配置の上平面図である。
【
図12B】異なる実施形態による微小電極の配置の上平面図である。
【
図12C】異なる実施形態による微小電極の配置の上平面図である。
【
図12D】異なる実施形態による微小電極の配置の上平面図である。
【
図13】一実施形態によるスパイン支持部材の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1を参照すると、本発明のいくつかの実施形態では、カテーテル10は、カテーテル本体12、中間偏向部14、遠位電極組立体15、及びカテーテル本体12の近位の制御ハンドル16を含む。遠位電極組立体15は、複数のスパイン42を含み、各スパインは、少なくとも一対の近接配置された双極子微小電極85を担持し、一対の微小電極はそれらの間が約200μm(約200ミクロン)以下である分離空間間隙距離を有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、カテーテル本体12は、
図2に示されるように、単一の、軸性すなわち中心内腔18を有する、細長い管状の構造を含む。カテーテル本体12は、可撓性、すなわち屈曲可能であるが、その長さに沿って実質的に非圧縮性である。カテーテル本体12は、任意の好適な構造を有していてもよく、任意の好適な材料で作製することができる。本発明において好ましい構造の1つは、ポリウレタン又はPEBAXで作製された外壁17を備える。外壁17には高強度鋼、ステンレス鋼等の編組メッシュが埋め込まれていることによってカテーテル本体12のねじり剛性が高められているため、制御ハンドル16が回転させられると、カテーテル10の偏向部14がこれに応じて回転する。
【0027】
カテーテル本体12の外径は、重要ではないが、好ましくは約8フレンチ以下、より好ましくは約7フレンチである。同様に、外壁17の厚さは、重要ではないが、中心内腔18が、例えば1つ又は2つ以上の引張りワイヤ、電極リード線、灌流管材、及び任意の他のワイヤ及び/又はケーブルを含むコンポーネントを収容できるように十分に薄い。外壁17の内面は、ポリイミド又はナイロンなどの任意の適切な材料から作製され得る補強管20で裏打ちされる。補強管20は、編組された外壁17とともに高いねじれ安定性を提供すると同時に、カテーテルの壁厚を最小化し、したがって中心内腔18の直径を最大化する。補強管20の外径は、外壁17の内径とほぼ同じか、又はそれよりも僅かに小さい。ポリイミド管系は、非常に薄い壁を有し得る一方で、依然として非常に良好な剛性を提供するため、現時点で補強管20に好ましい。これにより、強度及び剛性を犠牲にすることなく中心内腔18の直径が最大化される。当業者に理解されるように、カテーテル本体の構造は、所望に応じて変更され得る。例えば、補強管は排除されてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、中間偏向部は、
図3に示すように、例えば、軸外内腔21、22、23及び24、並びに軸上内腔25等の複数の内腔を有する管材19のより短い部を含む。いくつかの実施形態では、管材19は、カテーテル本体12よりも可撓性である、適切な非毒性材料で作製される。管材19に適した材料は、編組ポリウレタン、すなわち編組の高強度鋼、ステンレス鋼等のメッシュが埋め込まれたポリウレタンである。偏向部14の外径は、カテーテル本体12の外径と同様である。内腔のサイズは重要ではなく、特定の用途に応じて変更できる。
【0029】
様々なコンポーネントは、カテーテル10を通って延在する。いくつかの実施形態では、コンポーネントは、遠位電極組立体15用のリード線30、偏向部14を偏向する1つ又は2つ以上の引張りワイヤ32A及び32B、偏向部14の遠位端又はその近傍に収納される電磁位置センサ36用のケーブル34、及びガイドワイヤ管材38を含む。これらのコンポーネントは、
図2に示すように、カテーテル本体12の中心内腔18を通過する。
【0030】
偏向部14では、異なるコンポーネントが、
図3に示すように管材19の異なる内腔を通過する。いくつかの実施形態では、リード線30は第1の内腔21を通過し、第1の引張りワイヤ32Aは第2の内腔32を通過し、ガイドワイヤ管材38は第3の内腔23を通過し、ケーブル34は第4の内腔24を通過し、第2の引張り34Bは第5の内腔25を通過する。第2の内腔22及び第4の内腔24は、互いに半径方向に対向し、中間偏向部14の両方向の偏向を供給する。
【0031】
偏向部14の遠位は、遠位電極組立体15であり、中間偏向部14の管材19の遠位端に取り付けられた短い管材の形態である取付ステム46を含む。(これに関し、カテーテル10が偏向部14を有していない場合、取付ステム46が、カテーテル本体12の遠位端に取り付けられることを理解されたい。)ステム46は、様々な部品を収納する中心内腔48を有する。中間部14とステム46は、接着剤などにより取り付けられる。ステム46は、ニチノールを含む、任意の好適な材料から構成されてよい。
図4に示すように、ステム46は、電磁位置センサ36と、引張りワイヤ32A及び32Bのための遠位固定具を含む、様々なコンポーネントを収納する。
【0032】
開示された実施形態において、遠位固定具は、1つ又は2つ以上のワッシャ、例えば、遠位ワッシャ50D及び近位ワッシャ50Pを備え、それぞれのワッシャが、複数の貫通孔を有し、この貫通孔は、偏向部14とステム46との間のコンポーネントの通過を可能にし、カテーテル10の長手方向軸40に対するこれらのコンポーネントの軸方向の位置合わせを維持する。貫通孔は、管材19の第2の内腔22及び第4の内腔24とそれぞれ軸方向に位置合わせし、引張りワイヤ32A及び32Bの遠位端をそれぞれ受容している、孔52及び54を含む。引張りワイヤは、孔52及び54を通過する遠位Uベンド部とともに単一の引張部材を形成してもよいことが理解される。引張りワイヤのUベンド部によって及ぼされるワッシャ50D及び50Pの張力によって、ワッシャは、偏向部14の管材19の遠位端に対して強固かつ不動に当接され、Uベンド部を遠位に固定する。
【0033】
各ワッシャは、第1の内腔21と軸方向に位置合わせされ、偏向部14からステム46の内腔48内へのリード線30の通過を可能にする貫通孔51を含む。各ワッシャはまた、管材19の第5の内腔25と軸方向に位置合わせされ、偏向部14から、電磁位置センサ36が収納されているステム46の内腔48へのセンサケーブル34の通過を可能にする貫通孔55も含む。各ワッシャは、第3の内腔23と軸方向に位置合わせされ、偏向部14からステム45の内腔48へのガイドワイヤ管材38の通過を可能にする軸上貫通孔53を更に含む。マーカーバンド又は環状電極27は、当該技術分野において周知のように、中間偏向部14の遠位端又はその近傍でカテーテルの外面に担持されてもよい。
【0034】
図4に示すように、ステム46の遠位端から、遠位電極組立体15の細長いスパイン42が延在する。各スパインは、支持部材43、各スパイン42に沿って延在する非導電性被覆44を有する。各スパインは、ステム46の内腔48の中へ近位に延在する近位部分を有する。スパインの非導電性被覆44はまた、内腔48に近位に延在してもよい。各スパイン42は、隣接するスパイン42から等半径方向距離でステム46の遠位開口部の周りに均等に配置されてもよい。例えば、5つのスパインの場合、各スパインは、隣接するスパインから約72°で離間してもよい。ポリウレタンなどの適切な粘着剤は、スパイン42及びそれらの非導電性被覆44の近位端をポットして固定するのに用いられてもよい。適切な粘着剤は、ガイドワイヤ管材38の遠位端を開放したままとするように形成されるステム46の遠位端を封止する。
【0035】
各スパイン支持部材43は、形状記憶を有する材料、すなわち、力が行使されると、その本来の形状から離れて一時的に直線状に伸ばすか又は屈曲させることができ、かつ力が行使されないか、又は取り除かれると、実質的に本来の形状に戻ることが可能である材料で作製される。支持部材に好適な材料は、ニッケル/チタン合金である。そのような合金は、典型的には、約55%のニッケル及び約45%のチタンを含むが、約54%~約57%のニッケルを含み、残部をチタンとすることができる。ニッケル/チタン合金は、ニチノールであり、耐久性、強度、耐食性、電気抵抗及び温度安定性とともに、優れた形状記憶性を有する。非導電性被覆44は、任意の好適な材料で製造することが可能であり、好ましくは、ポリウレタン又はPEBAXなどの生体適合性プラスチックから製造される。
【0036】
スパイン42に担持された微小電極85用のリード線30は、カテーテル本体12及び非導電性シース60によって保護された偏向部14を通って延在する。遠位電極組立体15に向かって、リード線30は、
図4に示すように、ポリチューブ68を通って延在する。リード線30はポリチューブ68の遠位端で分岐し、それらのそれぞれのスパイン42に向かって延在する。
【0037】
図5及び
図6に示すように、各スパイン42は、スパイン42の外面に付着され、スパイン42の形状に適合するパネル80の形態のフレキシブル微小電極部材を含む。フレキシブル電極パネル80は、
図7に最も良く示されるように、例えばポリイミド又はPEEK等の適切な材料で構築された生体適合性のフレキシブルプラスチック基板81、及び少なくとも一対の近接配置された微小電極85であって、微小電極間が間隙空間Sで分離された微小電極を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、基板81は、略細長であり、長手方向(より薄い「T」)部分82、長手方向部分82を略垂直角で横断する少なくとも1つの遠位横方向(より幅広い「W」)部分83、及び長手方向部分82よりも僅かに大きい横方向寸法を有する近位(幅の狭い「LW」)ベース部分84を備える(T、W及びLWは
図7に示される)。長手方向部分82は、スパイン42の長さに沿って延在するように構成されており、横方向部分83は、スパイン42の遠位部分の周りを円周方向に巻き付けるように構成されている。ベース部分84は、スパイン42の近位端部分に配置されており、したがって取付ステム46の内腔48内に保護されている。はんだ付けパッチ88はベース部分84上にあり、各リード線30ごとにその遠位端は、それぞれのはんだ付けパッチ88にはんだ付けされている。したがって、はんだ付けパッチ88は、取付ステム46の内腔48内に保護及び絶縁されている。1つのスパイン部材42のみが
図4において明瞭化のために示され、またポリチューブ68が管材19から延在する全てのスパイン部材42の近位端を受容するのに適切に寸法を合わせられてもよいことが理解され、本発明のいくつかの実施形態では、複数のスパイン部材42は、約2~8つの範囲あってもよい。
【0039】
別の実施形態では、適宜又は所望に応じて、ベース部分84が偏向部14、カテーテル本体12、又は制御ハンドル16の更に近位に置かれるように、最も近位の長手方向部分82は、著しく細長くされてもよい。
【0040】
各横方向部分83の外面上に、薄く細長い微小電極85(微小電極ストリップ)のそれぞれの対が、横方向部分83と整列して付着されるか供給され、各微小電極は、横方向部分83がスパイン42の周りを円周方向に巻き付けられる場合に、環状微小電極R(
図6)を一般的に形成する。基板の表面領域被覆率及び/又は厚さの量は、スパイン42の可撓性に影響を及ぼすが、長手方向部分82は、横方向部分83と同じ幅であってもよいことが理解される。
【0041】
いくつかの実施形態では、一対の各微小電極を分離する空間間隙距離Sは、約50~300μm(約50~300ミクロン)の範囲である。いくつかの実施形態では、空間間隙距離は、約100~200μm(約100~200ミクロン)の範囲である。いくつかの実施形態では、空間間隙距離は、約50μm(約50ミクロン)である。更にいくつかの実施形態では、各微小電極自体は、約50~100μm(約50~100ミクロン)の範囲の幅Wを有してもよい。近接配置された微小電極85の少なくとも1つの対は、各スパイン42に供給される。例示された実施形態では、各スパインは、合計8つの微小電極用に4対の双極子対を担持する。
【0042】
いくつかの実施形態では、パネル80は、約8.0cmの長さを有し、長手方向部分82は約5.0cmの長さと約1.0mm以下の幅を有し、ベース部分84は約3.0cmの長さと約1.2mmの幅を有する。微小電極の各対は、約5.0mmの距離によって微小電極の隣接対から離間されており、各微小電極は、約50μm(約50ミクロン)の幅と約2.56mmの長さを有する。
【0043】
いくつかの実施形態では、基板81は、複数の層、例えば、第1又は外部層81a、第2又は中間層81b、及び第3又は内部層81cを含み、それぞれは第1の表面91及び第2の表面92を有する。文字「a」、「b」及び「c」は、基板81の層81a、81b及び81cの対応する特徴を指示することが理解される。微小電極85は、外部層81aの第1の表面91aに適用されるか堆積され、層81aに形成される貫通孔86aを覆い、対応する微小電極85と第3の層81cのベース部分84cの第2の表面92cに担持されるはんだ付けパッド88との間で、第2の層81bの長手方向部分82bの第1の表面91bに沿って延在する電気トレース87b用のコネクションアクセスを供給する。追加のトレース87cは、第3の層81cの第1の表面91cに沿って走行する。貫通孔86b、89b(図示せず)及び89cは、層81b及び81cに形成され、より近位の微小電極85、及びより近位のはんだ付けパッド(
図7に図示せず)に電気トレース87b及び87c用のコネクションアクセスを供給する。複数の層81は、微小電極85とはんだ付けパッド88を接続する複数のトレース87を収容するために、その上で利用可能な表面とスペースの量に依存することが理解される。層が増加することで、スパインの可撓性が減少される場合があることも理解される。したがって、複数の微小電極を収容する複数の層は、組織表面への適合を可能にするが、基板厚の増加により減少するスパインの可撓性と釣り合う。
図7の例示された実施形態では、基板81は3つの層を有し、各層81は4つのトレースを担持している。各微小電極85用に1つの対応するトレース87及び1つの対応するはんだ付けパッド88があることが理解される。各リード線30は、対応するはんだ付けパッドにはんだ付けされている。これに関して、トレースは、必要に応じて又は適宜、異なるように、異なるパターンで、及び/又は異なる層に配置されてもよいことも理解される。
【0044】
図5及び
図6に示すように、基板81は、スパイン42に沿って長手方向に延在する長手方向部分82及びスパイン42の周りを円周方向に巻き付けられる横方向部分83で、スパイン42の非導電性被覆44に付着される。これに関して、横方向部分83、及びより重要には微小電極85の横方向寸法又は幅Wは、スパイン42の周囲に相当し、微小電極の対向端85Eは、スパイン42に担持された環状微小電極Rとして一般的に形成し機能するため、互いに触れるか、少なくとも近接することができる。
図5の例示される実施形態では、基板の設置側面は、微小電極がスパインの周りに巻き付くのに十分に長い点において重要でないことが理解されるが、基板81は、組織を接触するのに適合されるスパインの前向き又は遠位側面に付着される。以下で更に記述される別の実施形態では、設置側面は、スパイン42の周りのより小さい円周方向接触のために所望に応じて又は適宜、横方向寸法Wが調整され減少される点において、より重要である。
【0045】
図5に示すように、各スパイン42は、僅かに内向きに湾曲して予め形成され、遠位電極組立体15は、開いた傘に似ている概ね僅かに凹状構成を有する。この予め形成された構成は、
図8に示すように、カテーテルが組織表面に対して遠位に前進される際に、各スパイン42がその全長に概ね沿って組織表面93を係合することを可能にする。予め形成された構成がない場合、カテーテルが組織表面に対して遠位に押される際に、遠位電極組立体15は、外向きにひっくり返りやすく(強風下で裏返しになる傘のように)、組織と接触しなくなる場合がある。
【0046】
図8に示すように、微小電極の端85Eは、組織表面と接していない場合があり、それは微小電極を露出し、望ましくないノイズ、例えば遠距離場信号を検知する。したがって、
図9及び
図11は、組織接触用のより大きな平坦面を供給し、ノイズ及び遠距離場信号への微小電極の露出を最小限とする、別の実施形態の遠位電極組立体117を示す。遠位電極組立体17と遠位電極組立体117との間の同様のコンポーネントは、本明細書での説明を容易にするために同様の参照番号で指示されることが理解される。
【0047】
図6のスパイン42はより円形断面を有するが、
図9のスパイン142はより大きな平坦面100を供給する、より矩形断面を有し、パネル180の形態にあるフレキシブル微小電極部材が上に選択的に適用され得るか、又は付着され得る。有利には、微小電極185の全体(それらの端180Eを含む)は、
図10に示すように、平坦面100の表面領域に限定され、したがって概ね微小電極185の全体は、平坦面100が組織193と接する場合に組織と接触している。
【0048】
支持部材143は、より大きな平坦面100を供給するため、熱収縮非導電性被覆144を採択した矩形断面を有する。いくつかの実施形態では、
図11に示されるパネル180は、パネル80用に上述された対応物と同様の構造を有する、基板181、微小電極185、トレース187及びはんだ付けパッド188(図示せず)を有する。基板181は、複数の層、例えば、第1すなわち外部層181a、第2すなわち中間層181b、及び第3すなわち内部層181cを含み、各々は第1の表面191及び第2の表面192を有する。しかしながら、1つの違いとして、基板181は、横方向部分を欠き、平坦面100の横方向寸法に相当するか、それ以下である横方向寸法Wを有する長手方向部分182を備え、その結果、基板181は、平坦面100に限定されたままである。微小電極185は、細長く薄い。貫通孔186を収容する一方で一対の隣接する微小電極185間を最小空間間隙Sとするため、微小電極185は、
図11に示すように、拡大部分又は端189を有し、拡大部分又は端189は、貫通孔186にわたり覆うように貫通孔186よりは大きい寸法にされ、トレース187b及び187cが微小電極185に接続され得る。一実施形態では、微小電極は約50μm(約50ミクロン)の幅を有し、拡大部分189は約100μm(約100ミクロン)の幅を有する。
【0049】
微小電極の拡大部分又は端189は、
図11に示すように、右(「右手側微小電極」185Rを形成する)に、又は左(「左手側微小電極」185Lを形成する)に延在してもよい。対は、
図11に示すように、右手側微小電極185R及び左手側微小電極185L、又は
図12B及び
図12Cに示すように、2つの右手側微小電極185R-185R、又は
図12A及び
図12Dに示すように、2つの左手側微小電極185L-185Lを含んでもよい。対の微小電極は、任意のフォーメーションに配置されることができ、例えば、左右対称の対(
図11)、上下逆の対(
図12A、
図12B、
図12C、及び
図12D)、横並びの対(
図11、
図12A及び
図12B)、又は積み重ねられた対(
図12C及び
図12D)が挙げられる。いずれの場合にも、拡大部分端は、互いに離れて外向きに曲げられ、隣接する直線縁部の間に画定される空間間隙距離は最小限となり得る。
【0050】
図7に関して上述されるように、
図9及び
図11の微小電極185は、第1の層181aの長手方向部分182aの前面191aに同様に付着され、はんだ付けパッド188は、第3の層181cのベース部分184cの第2の表面192cに付着される。トレース187b及び187cは、第2及び第3の層181b及び181cそれぞれに沿って走行する。貫通孔186a、189b及び189cは、層181a、181b及び181cにそれぞれ形成され、微小電極185及びはんだ付けパッド188へのコネクションアクセスをトレースに供給する(図示せず)。更に、複数の層181は、微小電極185とはんだ付けパッド188を連結する複数のトレース187を収容するため、その上で利用可能な表面及び空間の量に依存し、この収容は、基板の厚さの増加がスパイン42の可撓性を減少させる場合があることを理解した上でスパイン142の所望する可撓性と釣り合うことが理解される。
図9及び
図11の例示された実施形態では、各層181は、8つの微小電極及び8つのはんだ付けパッドを提供する合計8つのトレース用の4つのトレースを収容する。
【0051】
遠位電極組立体115が開いた傘に似た全体的に僅かに凹状構成を有するように、各スパイン142が僅かに内向き湾曲を備えて予め形成される場合、
図8に示すように、平坦面100及びその上の微小電極185は、完全に係合して組織表面と接触することができ、裏返しになることなく、ノイズ及び遠距離場信号への微小電極の露出を最小限にする。基板181は、スパイン142の前向き又は遠位側面に選択的に付着され、平坦面100は、ノイズ及び遠距離場信号への微小電極185の露出が最小限の状態で組織表面に接するように適合している。
【0052】
図9に示すように、平坦面100に沿うX寸法がそれに直交するY寸法よりも大きい矩形断面を備えるスパイン142を有する遠位電極組立体115もまた、ステム146の遠位端の僅かに遠位に位置する最大撓み又は分岐Dの領域(
図10を参照)で、スパインへのねじれ及びストレスを最小限にするのに特に適切である。
【0053】
必要及び所望に応じて、任意の所与されたスパインは、上述のように、同じ又は異なる実施形態の1つ又は2つ以上のフレキシブル電極パネルを担持し得ることが理解される。
【0054】
いくつかの実施形態では、スパイン支持部材43/143は、
図13に示すように、単一の細長い中空シリンダ又は管90から形成され、無処置の近位円筒形部分102(遠位電極組立体のステム46/146を形成し得る)、及び複数の支持部材43として機能し、それらの間の空間間隙によって分離される、形成された細長い拡張部又は指状部106を備える遠位部分104を備え、空間間隙は、シリンダ90の側壁の長手方向カット、又はシリンダ90の側壁から細長い長手方向ストリップ105を、例えばレーザカッティングなどで除去することより形成される。各指状部106は、
図5に示すように、その近位端又はその近傍で分岐又は外向きに広がり、僅かな内向き湾曲を有するように成形される。
【0055】
示された実施形態では、カテーテル本体12の中心内腔18及び偏向部14の第1の内腔21を通って延びるリード線30は、保護シース60に取り囲まれ、カテーテル内の他のコンポーネントとの接触を防いでもよい。保護シース60は、任意の好適な材料、好ましくはポリイミドから作製されてもよい。当業者により認識されるように、保護シースは、所望の場合、除外されてもよい。
【0056】
微小電極85は、白金又は金、好ましくは白金とイリジウムの組み合わせなど、任意の好適な固体導電材料で作ることができる。近接配置された微小電極対は、心房細動の治療を試みる際に非常に有用である、遠距離場の心房信号に対する近距離場の肺静脈電位のより精度の高い検出を可能にする。具体的には、近距離場の肺静脈電位は極めて小さい信号であり、一方で心房は、肺静脈に極めて近接する場所にあり、遙かに大きい信号を提供する。したがって、マッピングアレイが肺静脈の領域内に配置される場合であっても、信号が、小さく、(肺静脈から)近い電位、又はより大きく、(心房から)より遠い電位のいずれであるかを、医師が判定することは、困難である場合がある。近接配置される双極子電極により、医師は、近接する信号を検査しているのか、又は遠方の信号を検査しているのかを、より正確に判定することを可能にする。したがって、近接配置される微小電極を有することによって、肺静脈電位を有する心筋組織の場所を、より良好に標的とすることが可能であるため、医師は、特定の組織に治療を施すことが可能になる。更には、近接配置される微小電極により、医師は、電気信号によって、心門/複数の心門の解剖学的場所を良好に判定することが可能になる。
【0057】
上記したように、電磁位置センサ36は、
図4に示されるようにステム46の内腔48内に収容されている。センサケーブル34は、位置センサの近位端から、ワッシャ50D及び50Pの貫通孔55(図示せず)、偏向部14の管材19の第5の内腔25(
図3を参照)、及びカテーテル本体12の中心内腔18(
図2を参照)を通って延在する。ケーブル34は、当該技術分野において周知のように、制御ハンドル16におけるPCボードへ取り付けられる。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の遠位電磁位置センサは、例えば、スパイン42の1つ又は2つ以上の遠位部分等、遠位電極組立体に収納されてもよい。
【0058】
図3及び
図4に示されるように、引張りワイヤ32A及び32Bは(2つの別個の引張部材であるか、又は単一の引張部材の一部であるかにかかわらず)、中間部14の二方向偏向のために設けられている。引張りワイヤは、サム制御ノブ又は偏向制御ノブ11に応答する制御ハンドル16内の機構によって作動される(
図1参照)。適切な制御ハンドルは、米国特許第6,123,699号、第6,171,277号、第6,183,435号、第6,183,463号、第6,198,974号、第6,210,407号及び第6,267,746号に記載され、これらの全開示は、参考として本明細書に組み込まれる。引張りワイヤ32A及び32Bは、カテーテル本体12の中心内腔18を通って延び(
図2参照)、偏向部14の管材19の第2の内腔22及び第4の内腔24をそれぞれ通って延びる(
図3参照)。それらは、ワッシャ50D及び50Pの孔52及び54それぞれを通って延びる(
図4参照)。引張りワイヤが単一の引張部材の一部である場合、単一の引張部材は、引張りワイヤの遠位端を固定する遠位ワッシャ50Dの遠位面にUベンドを有する。この点において、Uベンドは、短い保護管材70を通って延びる。或いは、引張りワイヤが別個の引張部材である場合、それらの遠位端は、当該技術分野で知られており、その内容全体が本明細書に参考として組み込まれている、例えば、米国特許第8,603,069号に記載されているように、Tバーを介して固定されてもよい。いずれにせよ、引張りワイヤは、ステンレス鋼又はニチノールといった任意の好適な金属で製造されてもよく、それぞれは、好ましくは、TEFLON等でコーティングされる。コーティングによって引張りワイヤに潤滑性が付与される。引張りワイヤは、好ましくは直径が約0.02~約0.03センチメートル(約0.006~約0.010インチ)の範囲である。
【0059】
図3に示されるように、圧縮コイル66は、各引張りワイヤ32A及び32Bを包む関係でカテーテル本体12の中心内腔18内に据えられる。各圧縮コイル66は、カテーテル本体12の近位端から中間部14の近位端まで延びる。圧縮コイル66は、任意の好適な金属、好ましくはステンレス鋼で製造される。各圧縮コイル66は、可撓性、すなわち、屈曲性をもたらすが、圧縮に耐えるように、それ自体に密に巻かれる。圧縮コイル66の内径は、好ましくはその引張りワイヤの直径よりも僅かに大きい。各引張りワイヤ上のTEFLONコーティングは、引張りワイヤがその圧縮コイル内で自由に摺動することを可能にする。
【0060】
圧縮コイル66は、その近位端で、近位接着部(図示せず)によってカテーテル本体12の外壁17に固定され、その遠位端で、遠位接着部(図示せず)によって中間部14に固定される。両方の接着部は、ポリウレタン接着剤などを含んでもよい。接着剤は、カテーテル本体12の側壁と管材19との間に作製された孔を通って注射器などによって塗布されてもよい。かかる孔は、例えば、永続的な孔を形成するために十分に加熱された、側壁を穿孔する針などにより形成されてよい。次いで、接着剤は、孔を通って圧縮コイル66の外表面へ導入され、外側の周囲に毛管現象で広がり、圧縮コイルの全周に接着部が形成される。
【0061】
中間部14の第2の内腔22及び第4の内腔24内では、各引張りワイヤ32A及び32Bは、プラスチック、好ましくはTEFLON製の引張りワイヤシース39を通って延び(
図3)、偏向部14が偏向するとき、引張りワイヤが、偏向部14の管材19の側壁を切断することを防止する。
【0062】
上記の説明は、現時点における本発明の好ましい実施形態を参照して示したものである。本発明が属する当業者であれば、本発明の原理、趣旨、及び範囲を有意に逸脱することなく、説明された構造に改変及び変更が実施されてもよいことを理解するであろう。一実施形態に開示される全ての特徴又は構造は、必要に応じて、又は適宜、他の任意の実施形態の他の特徴の代わりに又はそれに加えて援用することが可能である。本発明の特徴は、開示される電気生理学カテーテルを含めた医療デバイス内部で、挿入、除去、若しくは張力を必要とする、引張りワイヤ、収縮ワイヤ、又は任意の他の対象物の直線運動を増大させるために適用可能であることが理解されよう。当業者には理解されるように、図面は必ずしも縮尺通りではない。したがって、上記の説明は、添付図面に記載及び例示される精密な構造のみに関連するものとして読まれるべきではなく、むしろ以下の最も完全で公正な範囲を有するとされる特許請求の範囲と一致し、かつそれらを補助するものとして読まれるべきである。
【0063】
〔実施の態様〕
(1) 電気生理学カテーテルであって、
細長い本体と、
遠位電極組立体であって、
複数のスパインであって、各スパインが、自由遠位端及び前記細長い本体の遠位端から延在する近位端を有する、複数のスパインと、
少なくとも1つのスパイン上のフレキシブルパネルであって、前記パネルは、前記スパインの表面に適合する基板と、少なくとも一対の微小電極と、各微小電極用のトレースと、各微小電極用のはんだ付けパッドとを有し、各トレースが、それぞれの微小電極及びそれぞれのはんだ付けパッドを電気的に結合する、フレキシブルパネルと、を含む、遠位電極組立体と、
を備える、カテーテル。
(2) 前記少なくとも一対の微小電極の微小電極が、約50~300μm(約50~300ミクロン)の範囲の空間間隙距離によって分離されている、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記少なくとも一対の微小電極の各微小電極が、約50~300μm(約50~300ミクロン)の範囲の幅を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(4) 各微小電極が約50μm(約50ミクロン)の幅を有する、実施態様3に記載のカテーテル。
(5) 各微小電極が、トレースの電気接続用に構成される拡大部分を有する、実施態様4に記載のカテーテル。
【0064】
(6) 各スパインが円形断面を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(7) 各スパインが矩形断面を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(8) 前記少なくとも一対の微小電極が前記スパイン上を横方向に延在する、実施態様1に記載のカテーテル。
(9) 前記フレキシブルパネルが、前記細長い本体に位置する少なくとも1つのはんだ付けパッチを有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(10) 電気生理学カテーテルであって、
細長い本体と、
遠位電極組立体であって、
複数のスパインであって、各スパインが、自由遠位端及び前記細長い本体の遠位端から延在する近位端を有する、複数のスパインと、
少なくとも1つのスパイン上のフレキシブルパネルであって、前記パネルは、前記スパインの外表面に適合する基板と、一対の微小電極と、それぞれの微小電極及びそれぞれのはんだ付けパッドを電気的に結合するトレースと、を有し、前記一対の微小電極が、前記スパインの周りで少なくとも部分的に円周方向に巻き付けられており、前記一対の微小電極が、約50~300μm(約50~300ミクロン)の範囲の空間間隙距離によって分離されている、フレキシブルパネルと、を含む、遠位電極組立体と、
を備える、カテーテル。
【0065】
(11) 前記スパインが円形断面を有する、実施態様10に記載のカテーテル。
(12) 前記スパインが矩形断面を有する、実施態様10に記載のカテーテル。
(13) 前記スパインが組織表面を接触するように構成される平坦面を有する、実施態様10に記載のカテーテル。
(14) 前記一対の微小電極が前記平坦面上に配置されている、実施態様13に記載のカテーテル。
(15) 前記一対の微小電極の全体が前記平坦面内にある、実施態様13に記載のカテーテル。
【0066】
(16) 各微小電極が約50~300μm(約50~300ミクロン)の範囲の幅を有する、実施態様10に記載のカテーテル。
(17) 電気生理学カテーテルであって、
細長い本体と、
遠位電極組立体であって、
複数のスパインであって、各スパインが、自由遠位端及び前記細長い本体の遠位端から延在する近位端を有し、各スパインが、前記組立体の長手方向軸に向かって予め形成された内向きの湾曲を有する、複数のスパインと、
少なくとも1つのスパイン上のフレキシブルパネルであって、前記パネルは、前記スパインの外表面に適合する基板と、一対の微小電極と、それぞれの微小電極及びそれぞれのはんだ付けパッドを電気的に結合するトレースと、を有し、前記一対の微小電極が、前記スパインの周りで少なくとも部分的に円周方向に巻き付けられており、前記一対の微小電極が、約50~300μm(約50~300ミクロン)の範囲の空間間隙距離によって分離されている、フレキシブルパネルと、を含む、遠位電極組立体と、
を備える、カテーテル。
(18) 前記フレキシブルパネルが、長手方向部分、少なくとも遠位横方向部分、及び近位ベース部分を有し、前記トレースが前記長手方向部分に配置されており、前記一対の微小電極が前記遠位横方向部分に配置されており、前記はんだ付けパッドが前記遠位ベース部分に配置されている、実施態様17に記載のカテーテル。
(19) 前記少なくとも1つのスパインは、前記一対の微小電極が上に配置されている平坦面を有する、実施態様17に記載のカテーテル。
(20) 前記少なくとも1つのスパインが、矩形断面を有する、実施態様17に記載のカテーテル。