IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立ビークルエナジー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-二次電池モジュール 図1
  • 特許-二次電池モジュール 図2
  • 特許-二次電池モジュール 図3
  • 特許-二次電池モジュール 図4
  • 特許-二次電池モジュール 図5
  • 特許-二次電池モジュール 図6
  • 特許-二次電池モジュール 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】二次電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6551 20140101AFI20220517BHJP
   H01M 50/20 20210101ALI20220517BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20220517BHJP
   H01M 10/667 20140101ALI20220517BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20220517BHJP
【FI】
H01M10/6551
H01M50/20
H01M10/613
H01M10/667
H01M10/658
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018010209
(22)【出願日】2018-01-25
(65)【公開番号】P2019129077
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】505083999
【氏名又は名称】ビークルエナジージャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 航
(72)【発明者】
【氏名】西森 独志
(72)【発明者】
【氏名】多田 明徳
(72)【発明者】
【氏名】坂部 啓
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/068922(WO,A1)
【文献】特開2019-016564(JP,A)
【文献】特開2018-190607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6551
H01M 50/20
H01M 10/613
H01M 10/667
H01M 10/658
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池と、
基板と、前記基板上に設けられた電子部品と、
前記二次電池、前記基板および前記電子部品を収容する筐体を有する二次電池モジュールにおいて、
前記二次電池モジュールは、前記二次電池と熱的に接触して、前記二次電池モジュールの外部に露出した二次電池放熱部と、前記電子部品と熱的に接触して前記二次電池モジュールの外部に露出した電子部品放熱部を有し、
前記二次電池放熱部と、電子部品放熱部とは前記二次電池放熱部および前記電子部品放熱部よりも熱伝導率の低い固定部材により隔てられ、
前記二次電池は、前記二次電池と熱的に接触しており、
前記二次電池モジュールは、前記電子部品と接触して前記電子部品を収容する第二の筐体を有し、
前記二次電池放熱部は、前記筐体のうち前記二次電池モジュール外部に露出した部分であり、
前記電子部品放熱部は、前記第二の筐体のうち前記二次電池モジュール外部に露出した部分であり、
前記第二の筐体は前記筐体に収容され、
前記筐体は開口部を有し、
前記第二の筐体は前記開口部から前記二次電池モジュールの外部に露出した露出部を有し、前記露出部が前記電子部品放熱部である二次電池モジュール。
【請求項2】
請求項において、
前記電子部品は、半導体または、コイル、キャパシタ、のいずれかである二次電池モジュール。
【請求項3】
請求項において、
前記電子部品は、DC/DCコンバータを形成する部品である二次電池モジュール。
【請求項4】
請求項において、
前記筐体の内部には、前記基板が設けられた支持部材が設けられた二次電池モジュール。
【請求項5】
請求項において、
前記支持部材は、前記二次電池とDC/DCコンバータとの間に位置し、前記筐体と接続された二次電池モジュール。
【請求項6】
請求項において、
前記筐体内には前記二次電池が設けられた空間と、前記DC/DCコンバータが設けられた空間があり、前記二次電池が設けられた空間と、前記DC/DCコンバータが設けられた空間は、前記支持部材により分離されている二次電池モジュール。
【請求項7】
請求項または請求項において、
前記二次電池が熱的に接続される前記筐体の面と、前記開口部が設けられた面は異なる面である二次電池モジュール。
【請求項8】
請求項において、
前記固定部材は、樹脂材料、ゴム材料の少なくともいずれかである二次電池モジュール。
【請求項9】
請求項において、
前記支持部材の前記二次電池側の面には、前記二次電池を制御する回路が設けられた二次電池モジュール。
【請求項10】
請求項において、
前記露出部は、前記二次電池モジュール外部側にフィン形状を有する二次電池モジュール。
【請求項11】
二次電池と、
基板と、前記基板上に設けられた電子部品と、
前記二次電池、前記基板および前記電子部品を収容する筐体を有する二次電池モジュールにおいて、
前記二次電池モジュールは、前記二次電池と熱的に接触して、前記二次電池モジュールの外部に露出した二次電池放熱部と、前記電子部品と熱的に接触して前記二次電池モジュールの外部に露出した電子部品放熱部を有し、
前記二次電池放熱部と、電子部品放熱部とは前記二次電池放熱部および前記電子部品放熱部よりも熱伝導率の低い固定部材により隔てられ、
前記二次電池は、前記二次電池と熱的に接触しており、
前記二次電池モジュールは、前記電子部品と接触して前記電子部品を収容する第二の筐体を有し、
前記二次電池放熱部は、前記筐体のうち前記二次電池モジュール外部に露出した部分であり、
前記電子部品放熱部は、前記第二の筐体のうち前記二次電池モジュール外部に露出した部分であり、
前記第二の筐体の露出部は、前記第二の筐体を収納する第一の筐体の底面と略同一高さとなるように設けられている二次電池モジュール。
【請求項12】
二次電池と、
基板と、前記基板上に設けられた電子部品と、
前記二次電池、前記基板および前記電子部品を収容する筐体を有する二次電池モジュールにおいて、
前記二次電池モジュールは、前記二次電池と熱的に接触して、前記二次電池モジュールの外部に露出した二次電池放熱部と、前記電子部品と熱的に接触して前記二次電池モジュールの外部に露出した電子部品放熱部を有し、
前記二次電池放熱部と、電子部品放熱部とは前記二次電池放熱部および前記電子部品放熱部よりも熱伝導率の低い固定部材により隔てられ、
前記二次電池は、前記二次電池と熱的に接触しており、
前記二次電池モジュールは、前記電子部品と接触して前記電子部品を収容する第二の筐体を有し、
前記二次電池放熱部は、前記筐体のうち前記二次電池モジュール外部に露出した部分であり、
前記電子部品放熱部は、前記第二の筐体のうち前記二次電池モジュール外部に露出した部分であり、
前記第二の筐体の表面および前記第二の筐体を収納する第一の筐体の露出している表面に冷却構造を固定した二次電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境規制を背景に車載用二次電池への需要が高まっている。この中で、リチウムイオン二次電池は一般に、鉛電池やニッケル水素電池などに比べて放電電位が高いため、小型・高エネルギー密度化が可能であるため有望視されている。さらに、車両で用いられる電力としては、主にモータ等を駆動させる高電圧の回路と、ヘッドライトやウインカー等の電装品を駆動させる低電圧の回路があるため、二次電池から得られる電圧をDC/DCコンバータによって任意の電圧に変換して供給している。一般的に二次電池とDC/DCコンバータは独立した電気部品として車両に搭載されているが、さらなる効率向上や小型化を実現するため、二次電池とDC/DCコンバータを一体化し、複数の電圧を出力する二次電池モジュールが求められている。
【0003】
しかし、二次電池とDC/DCコンバータはそれぞれジュール発熱によって温度が上昇するため、それぞれの発熱により一体型二次電池モジュールの温度上昇をより大きくする恐れがある。特にリチウムイオン二次電池は温度が高い状態が続くと電池の劣化が早まり、特性が低下する。このため、DC/DCコンバータによる発熱が電池の温度上昇に影響しないようにする技術が求められている。これらの課題に対して、例えば電池と電子部品で発生した熱を効率的に取り除く構造が検討されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、電池群および電気・電子ユニット部のいずれか一方およびその他方をそれぞれ冷却する第1および第2の冷却ファンが備えられた技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、バッテリケースとヒートシンクとに挟着され、このヒートシンクとの挟着部分の面積よりバッテリケースとの挟着部分の面積が大きい放熱板と、を備えた電池モジュールに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-24510号公報
【0007】
【文献】特開2004-79219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1のように冷却ファンを電池モジュール内に設けた場合、構造が大型化し、また、通気口が必要になるため電池モジュールを密閉することができない。
【0009】
また、特許文献2のような構造では、放熱板を介してある程度電子部品の熱は放熱されるものの、電池モジュール内部を通って二次電池に熱が伝わり二次電池の温度を上昇させる可能性がある。
【0010】
本発明は、電池モジュールの大型化を極力抑えつつ、電子部品から二次電池への熱移動を抑制することができる電池モジュールの構造を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する手段の一例は以下である。
【0012】
二次電池と、基板と、前記基板上に設けられた電子部品と、前記二次電池、前記基板および前記電子部品を収容する筐体を有する二次電池モジュールにおいて、前記二次電池モジュールは、前記二次電池と熱的に接触して、前記二次電池モジュールの外部に露出した二次電池放熱部と、前記電子部品と熱的に接触して前記二次電池モジュールの外部に露出した電子部品放熱部を有し、前記二次電池放熱部と、電子部品放熱部とは前記二次電池放熱部および前記電子部品放熱部よりも熱伝導率の低い固定部材により隔てられた二次電池モジュール。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、電池モジュールの大型化を極力抑えつつ、電子部品から二次電池への熱移動を抑制した電池モジュールの構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例1の二次電池モジュールの断面斜視図
図2】実施例1を説明する断面図
図3】実施例2を説明する断面図
図4】実施例3を説明する断面図
図5】実施例4を説明する断面図
図6】実施例5を説明する断面図
図7】実施例6を説明する断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下発明を実施するための形態の例を実施例により説明する。
【0016】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1の二次電池モジュールの断面斜視図、図2は、図1のA-A’断面を上面から見た断面図である。
【0017】
二次電池モジュール1は、複数の角型電池5を積層させた電池群11と、DC/DCコンバータ6とDC/DCコンバータ6を支持する支持部材8とDC/DCコンバータ6を収納する第二の筐体4と、それらを収納する第一の筐体2および第一の筐体を密閉する筐体蓋3を有する。
【0018】
第一の筐体2は、角形電池5が接した面と、この反対側の面であってDC/DCコンバータ6が設けられた側の面を有する。
【0019】
電池群11は、例えば幅広面と幅狭面を有するリチウムイオン二次電池等の角型電池5が幅広面を対向させて積層したものである。電池群11は角型電池5を積層し、固縛部材7により第一の筐体2の側面に押圧され、接触するように配置される。角形電池5は、正極端子15と負極端子16を有しており、角形電池は、これらが設けられた幅狭と、この面の反対側の幅狭面である底面を有しており、底面が第一の筐体2に接した状態で二次電池モジュール1に収容されている。角形電池5にて発生した熱は、底面からから第一の筐体へ伝わる。第一の筐体2は二次電池モジュール1の外部に露出しているため、ここから熱は二次電池モジュールの外部へ放熱される。この構造において第一の筐体は二次電池放熱部として機能する。角形二次電池5と第一の筐体2とは直接接触していてもよく、その他熱的に接触している状態でもよい。ここで熱的に接触している状態とは、樹脂材料やゴム材料等の断熱材を介さずに直接的、または間接的に接続された状態である。
【0020】
二次電池モジュール1は、この電池群11を制御する制御基板、配線、リレー、ヒューズを有しており、これらは、支持部材8に設けられている。
【0021】
支持部材8は、例えば板状の部材であり第一の筐体の中央部で、DC/DCコンバータ6と電池群11の間に位置している。支持部材8は、第一の筐体2に例えばボルトにて固定されている。また、支持部材8は、電池群11側の面と、DC/DCコンバータ6側の面を有している。電池群11を制御する制御基板、配線、リレー、ヒューズは、電池群11側の面に設けられている。
【0022】
第一の筐体2の、角形電池5が接した面の反対側の面にはDC/DCコンバータ6が設けられている。
【0023】
DC/DCコンバータ6は、コイル、キャパシタ、半導体などの電子部品6bが基板6aに配置される構成となっている。DC/DCコンバータ6は、第二の筐体4に収容されており、基板6aや電子部品6bは第二の筐体に熱的に接触している。第一の筐体2は、角形電池5が接した面の反対側の面に開口部10を有している。第二の筐体4は凸形状を有しており、この凸形状の露出部4aは、開口部10から第一の筐体2の外部へ露出している。露出部4aは、第一の筐体2の表面と略同一面となる高さとなっており、周囲空気へ露出している。
【0024】
このように第二の筐体4は、露出部4aにより二次電池モジュール1の外部に露出しているため、DC/DCコンバータ6が有する電子部品6bで発生した熱はここから二次電池モジュールの外部へ放熱される。この構造において第二の筐体は電子部品放熱部として機能する。電子部品6bとと第二の筐体4とは直接接触していてもよく、その他熱的に接触している状態でもよい。ここで熱的に接触している状態とは、樹脂材料やゴム材料等の断熱材を介さずに直接的、または間接的に接続された状態である。ここで、電子部品6bと第二の筐体4を密着させるため、電子部品6bと第二の筐体4の間に熱伝導率の高いシートやグリースを配置し、放熱経路の熱抵抗を低減する構造としてもよい。
【0025】
支持部材8の電池群11とは反対側の面には、DC/DCコンバータ6の基板6aと、第二の筐体4が固定されている。第二の筐体4は例えばボルトによって支持部材8に固定されている。
【0026】
第二の筐体4と第一の筐体2は、第二の筐体4と第一の筐体2に比べて熱伝導率の低い材質から成る固定部材9を介して固定、接続されている。固定部材9は第二の筐体4および第一の筐体2を構成する材質に比べ、熱伝導率の低い材質、すなわち断熱材料であれば用いることができ、かつ可撓性を有する材質であることがより望ましい。例えば樹脂材料やゴム材料を用いることができる。固定部材9により、第二の筐体4を第一の筐体2に押圧することで固定部材9が第二の筐体4と第一の筐体2に密着し、防水性、防塵性を有する二次電池モジュール1とすることができる。また、固定部材9が断熱性を有するため、角形電池5が熱的に接触する第一の筐体2の二次電池モジュール外部に露出した部分(二次電池放熱部)と、電子部品6aが熱的に接触する第二の筐体4のうち二次電池モジュール外部に露出した露出部4a(電子部品放熱部)とが熱的に遮断されるため、いずれか一方の温度が高い方から低い方への熱移動を防ぐことができる。
【0027】
上述した本実施の効果を以下まとめる。
(1)DC/DCコンバータの温度上昇の抑制
DC/DCコンバータ6を構成する基板6aや電子部品6bから発生する熱は第二の筐体4に伝わり、第二の筐体4の露出部4aから周囲空気へ放熱される。第二の筐体4が電子部品放熱部として作用するため、このように電子部品6bが熱的に接続した第二の筐体4の表面4aから直接放熱でき、基板6aおよび電子部品6bの温度上昇を効率的に抑制することができる。
(2)角形電池5の温度上昇の抑制
角型電池5で発生した熱は、第一の筐体2に伝わり、第一の筐体2の表面2aから周囲空気へ放熱される。第一の筐体2が二次電池放熱部として作用し、角型電池5で発生した熱を二次電池モジュール1外部へ逃がすことができる。
(3)電子部品放熱部と二次電池放熱部との間の熱移動の抑制
第二の筐体4と第一の筐体2は熱伝導率の低い固定部材9を介して接触しているため、電子部品6bと熱的に接続される第二の筐体4と電池分11と熱的に接続される第一の筐体2で熱の移動が起こりにくく、DC/DCコンバータ6の発熱が角型電池5に伝わり、電池温度が上昇することを抑制することができる。
【0028】
一般的に、リチウムイオン二次電池とDC/DCコンバータとではDC/DCコンバータの方が熱の発生が大きいため、角形電池5に接してDC/DCコンバータ6を設けた場合や、第一の筐体2、第1の筐体4を介して熱的に角形電池5に接してDC/DCコンバータ6が接している場合、DC/DCコンバータ6で発生した熱が角形電池5へ移動し、角形電池5の温度を上げる原因となる。DC/DCコンバータ6と熱的に接触して熱を外部へ逃がす第二の筐体4と、角形電池5と熱的接触して熱を外部へ逃がす第一の筐体2を直接繋ぐのではなく、熱伝導率の低い固定材9を介して接触させることにより、二次電池モジュール1の防水、防塵性を保ちながら、DC/DCコンバータ6から角型電池5へのの熱移動を防ぎ、それぞれの温度上昇を抑制することができる。これにより、電池性能の劣化を抑制しつつ、電子部品6bの過度な温度上昇を抑制することができるため、信頼性の高い二次電池モジュール1を供給することができる。
【0029】
また、第一の筐体2において、電池群11が接触した面と、前記開口部10が設けられた面が異なる面であることにより、距離を稼ぐことができるため、より熱の移動を防止することができる。好ましくは、図1,2のように第一の筐体2のそれぞれ対向した面に電池群11が接触した面と、前記開口部10が設けられることが好ましい。
【0030】
本実施例では、第一の筐体2に角型電池5を12個積層させた電池群11を2組配置した例を示したが、角型電池5の積層数および配置組数は限定されるものではない。
【0031】
また、角型電池5およびDC/DCコンバータ6の温度上昇を抑制するため、たとえば第二の筐体4の表面4aおよび第一の筐体2の露出している表面4aにヒートシンクを固定することで、角型電池5およびDC/DCコンバータ6の温度上昇を効率的に抑制することができる。ただし、冷却構造はヒートシンクに限らず、ファンを取り付けた空冷構造、水冷構造を固定してもよい。
【0032】
(実施例2)
本実施例は、DC/DCコンバータ6を収納する第二の筐体表面4aに表面積を拡大するフィン形状4bを設けた構造を用いた例である。フィン形状4b以外の構造は実施例1と同様である。
【0033】
図3は、実施例2の二次電池モジュール1断面図である。
【0034】
第二の筐体4は表面積を拡大するフィン形状部4bを有している。フィン形状部4bは、露出部4aに設けられており、開口部10から二次電池モジュール1外部に露出している。フィン形状部4bは、例えば複数の板状部が配列した形状を有しているが、他に表面積が高い公知のフィン形状を用いることもできる。フィン形状4bは第二の筐体4と一体で成形されることが望ましいが、フィン形状4bを別構造とし、第二の筐体4にボルト等で固定する構造としてもよい。また、第二の筐体4およびフィン形状4bは熱伝導率が高いことが望ましく、たとえばアルミや銅などの金属材料で形成するとよい。第二の筐体4は実施例1と同様に固定部材9を介して第一の筐体2の内壁面に押圧されている。
【0035】
上述した本実施の形態によれば、DC/DCコンバータ6で発生する熱は第二の筐体4に伝わり、フィン形状4bから効率的に周囲空気に放熱される。
【0036】
(実施例3)
実施例3は、DC/DCコンバータ6を形成する基板6aを分割し、第一の回路13を覆う第二の筐体4と第二の回路14を覆う第三の筐体12を設けた構造の例である。他の構造は実施例1と同様である。
【0037】
図4は、実施例3の二次電池モジュール1断面図である。
【0038】
DC/DCコンバータ6は、温度上限が異なる第一の回路13と第二の回路14を有している。第一の回路13と第二の回路14はそれぞれ基板に設けられており、基板は第一の回路基板13aと第二の回路基板14aとに分かれて設けられている。耐熱性が低く、温度上限が低い回路としては、例えばキャパシタが設けられた回路が上げられる。また、これと比較して温度上限が高い回路としては、コイルや半導体素子が上げられる。したがって、例えば、第一の回路13にコイルや半導体素子が設けられた回路、第二の回路14にキャパシタが設けられた回路を用いることができる。
【0039】
第一の回路13は、第二の筐体4により覆われ、第二の回路14は、第三の筐体12により覆われている。第一の回路13、第三の回路14は第一の筐体2に設けられた開口部からそれぞれ第二の筐体の露出部(露出部)4a、第三の筐体の露出部(第二の露出部)12aとして露出している。露出部4aと露出部12aは、第一の筐体2と固定部材9により隔てられている。
【0040】
温度上限の高い素子を有する第一の回路13と温度上限の低い素子を有する第二の回路14を分離し、それぞれの回路を異なる筐体4、12に収納し、固定部材9により隔てられることにより放熱経路を分離することで、一方から他方への熱移動を防ぐことができる。また、素子の温度上限に合わせた冷却構造を構築することができる。例えば温度上限の低い回路を覆う第二の筐体4は放熱面4aの面積が大きくなるように構築し、温度上限の高い回路14を覆う第三の筐体12の表面12aは面積を小さく抑えることで、電子部品6bの温度上限に合わせた冷却構造を実現することができる。
【0041】
(実施例4)
実施例4は、DC/DCコンバータ6を形成する基板6aを保持する支持部材8に凸部8aを設け、第二の筐体4に接触させた構造の例である。他の構造は実施例1と同様である。
【0042】
図5は、実施例4の二次電池モジュール1断面図である。
【0043】
支持部材8は、凸部8aを有しており、凸部8aは第二の筐体4に接触されている。支持部材8および凸部8aにより、第一の筐体2の内部空間が、電池群11が配置される空間と、DC/DCコンバータ6が配置される空間で分離されている。これにより、第一の筐体2内部の流体を介した電池群11とDC/DCコンバータ6の熱干渉を抑制することができる。さらに、電池群11のいずれかの角型電池5に異常が発生し、角型電池5に含まれていたガスや内部電解液が噴き出された場合に、DC/DCコンバータ6は電池群11とは異なる空間に配置されており、さらに第二の筐体4に収納されているため、電解液による基板6aの汚染を防ぐことができる。
【0044】
本実施例では、支持部材8に凸部8aを設けることで第一の筐体2の内部空間を分離したが、凸部8aは支持部材8と一体構造ではなくともよく、支持部材8と第一の筐体2および筐体蓋3の隙間と略同一形状の別部材を固定し、第一の筐体2と筐体蓋3と密着させてもよい。
【0045】
(実施例5)
実施例5は、DC/DCコンバータ6を形成する基板6aを第二の筐体4に固定し、第二の筐体4を第一の筐体2固定する構造の例である。明記しない他の構造は実施例1と同様である。
【0046】
図6は、実施例5の二次電池モジュール1断面図である。
【0047】
DC/DCコンバータ6は、第二の筐体4に固定しされ収納されている。第二の筐体4には、実施例1と同様に、第一の筐体に設けられた開口部10から露出する露出部4aを有する。第二の筐体4は露出部4aの反対側の面に第一の筐体底部15を有しており、DC/DCコンバータ6を形成する基板6aは、筐体底部15に設けられている。
【0048】
DC/DCコンバータ6に搭載される電子部品6aは、第二の筐体4の露出部4a側に接触されている。また、第二の筐体4と第一の筐体2の接触面には、固定部材9を設けられ、ボルトによって第二の筐体4を第一の筐体2に固定し、保持する構造となっている。
【0049】
上述した本実施の形態によれば、DC/DCコンバータ6で発生する熱は、第二の筐体4に伝わり、表面4aから放熱される。この構造では、DC/DCコンバータ6を第一の筐体2によって保持するため、支持部材8はDC/DCコンバータ6を支持する必要がなく、それ以外の電気部品を保持するように小型化することができ、二次電池モジュール1の体積増大を抑制することができる。
【0050】
(実施例6)
実施例6は、電池群11を収納する第一の筐体2において、筐体蓋3に対向する面である筐体底面2aに開口部10を設け、DC/DCコンバータ6を収納する第二の筐体4を第一の筐体2の底面側に露出させる構造の例である。
【0051】
図7は、実施例6の二次電池モジュール1断面図である。
【0052】
DC/DCコンバータ6は、第二の筐体4に固定しされ収納されている。第二の筐体4には、実施例1と同様に、第一の筐体に設けられた開口部10から露出する露出部4aを有する。第二の筐体4は、実施例6と同様に露出部4aの反対側の面に第一の筐体底部15を有しており、DC/DCコンバータ6を形成する基板6aは、筐体底部15に設けられている。
【0053】
開口部10は、第一の筐体2において筐体蓋3の反対側の面である第一の筐体底面2a側に設けられている。また、第一の筐体2において、角形電池5が接触する面も同様に第一の筐体底面2aであり、開口部10が設けられた面と角形電池5が接触する面は、第一の筐体2において、同一の面に設けられている。第二の筐体4の露出部4aは、第一の筐体2の底面2aと略同一高さとなるように設けられおり、第一の筐体底面2aと第二の筐体4の露出部4aは固定部材9により熱的に隔てられている。
【0054】
上述した本実施の形態によれば、電池群11の放熱経路である第一の筐体2における電池群11の放熱経路とDC/DCコンバータ6の放熱経路である第二の筐体4の表面4aが同一面に形成されることで、角型電池5とDC/DCコンバータ6の第一の筐体2による熱干渉を抑制しつつ、一つの冷却構造により、第二の筐体4と第一の筐体2を冷却でき、角型電池5とDC/DCコンバータ6の温度上昇を抑制することができる。
【0055】
冷却構造としては、たとえば水冷ジャケットを電池モジュール1の底面に配置することで、複数の角型電池5とDC/DCコンバータ6を冷却することができる。ただし、冷却構造は水冷に限らず、通風路やフィン構造により冷却する構造としてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…二次電池モジュール、2…第一の筐体(筐体)、2a…第一の筐体底面、3…筐体蓋、4…第二の筐体、4a…第二の筐体の露出部(露出部)、4b…フィン形状、5…角型電池(二次電池)、6…DC/DCコンバータ、6a…基板、6b…電子部品、7…固縛部材、8…支持部材、8a…支持部材凸部、9…固定部材、10…開口部、11…電池群、12…第三の筐体、12a…第三の筐体の露出部(第二の露出部)、13…第一の回路、13a…第一の回路基板、13b…電子部品、14…第二の回路、14a…第二の回路基板、14b…電子部品、15…第一の筐体底部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7