(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】データ処理方法、データ処理装置、および、データ処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20220517BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
(21)【出願番号】P 2018020797
(22)【出願日】2018-02-08
【審査請求日】2020-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100104695
【氏名又は名称】島田 明宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121348
【氏名又は名称】川原 健児
(74)【代理人】
【識別番号】100114247
【氏名又は名称】奥田 邦廣
(74)【代理人】
【識別番号】100148459
【氏名又は名称】河本 悟
(72)【発明者】
【氏名】猶原 英司
(72)【発明者】
【氏名】秋田 正史
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-042005(JP,A)
【文献】特開2012-123521(JP,A)
【文献】特開2001-273336(JP,A)
【文献】特開2005-142467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/3065
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置における物理量の測定結果に基づき時系列データを求めるサンプリングステップと、
前記時系列データと基準データとを比較することにより、前記時系列データの評価値を求める評価値計算ステップと、
前記サンプリングステップで用いられるサンプリング周期を前記時系列データごとに制御するサンプリング周期制御ステップとを備え、
前記サンプリング周期制御ステップは、初期状態では前記サンプリングステップで用いられるすべてのサンプリング周期を正常周期に制御し、前記時系列データの評価値が異常であるときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記正常周期よりも短い異常周期に制御し
、
前記サンプリング周期制御ステップは、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御するときに、前記時系列データに関連づけられた他の時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御することを特徴とする、データ処理方法。
【請求項2】
前記サンプリング周期制御ステップは、前記時系列データの種類を相互に関連づけて記憶する要因関連テーブルを用いて、前記他の時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御することを特徴とする、請求項1に記載のデータ処理方法。
【請求項3】
基板処理装置における物理量の測定結果に基づき時系列データを求めるサンプリングステップと、
前記時系列データと基準データとを比較することにより、前記時系列データの評価値を求める評価値計算ステップと、
前記サンプリングステップで用いられるサンプリング周期を前記時系列データごとに制御するサンプリング周期制御ステップとを備え、
前記サンプリング周期制御ステップは、
前記時系列データの種類に対応づけて正常周期と異常周期を記憶するサンプリング周期定義テーブルを用いて、初期状態では前記サンプリングステップで用いられるすべてのサンプリング周期を正常周期に制御し、前記時系列データの評価値が異常であるときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記正常周期よりも短い異常周期に制御
し、
前記サンプリング周期定義テーブルは、前記時系列データの種類に対応づけて自動復帰フラグをさらに記憶し、
前記サンプリング周期制御ステップは、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御したときの原因が解消され、かつ、前記サンプリング周期定義テーブルに記憶された前記時系列データに対応した自動復帰フラグが有効のときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記正常周期に制御することを特徴とする、データ処理方法。
【請求項4】
前記サンプリング周期制御ステップは、前記基板処理装置においてアラームが発生したときには、前記アラームに関連づけられた時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御することを特徴とする、請求項1
~3のいずれかに記載のデータ処理方法。
【請求項5】
前記サンプリング周期制御ステップは、前記時系列データの値が予め定めた閾値を超えたときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御することを特徴とする、請求項1
~3のいずれかに記載のデータ処理方法。
【請求項6】
前記サンプリング周期制御ステップは、前記時系列データのばらつきが予め定めた許容値を超えたときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御することを特徴とする、請求項1
~3のいずれかに記載のデータ処理方法。
【請求項7】
前記サンプリングステップは、前記基板処理装置で得られた測定データから前記サンプリング周期制御ステップで制御されたサンプリング周期でデータを抽出することにより、前記時系列データを求めることを特徴とする、請求項1
~3のいずれかに記載のデータ処理方法。
【請求項8】
前記基準データは、他の時系列データであることを特徴とする、請求項1
~3のいずれかに記載のデータ処理方法。
【請求項9】
基板処理装置における物理量の測定結果に基づき時系列データを求めるサンプリング部と、
前記時系列データと基準データとを比較することにより、前記時系列データの評価値を求める評価値計算部と、
前記サンプリング部で用いられるサンプリング周期を前記時系列データごとに制御するサンプリング周期制御部とを備え、
前記サンプリング周期制御部は、初期状態では前記サンプリング部で用いられるすべてのサンプリング周期を正常周期に制御し、前記時系列データの評価値が異常であるときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記正常周期よりも短い異常周期に制御
し、
前記サンプリング周期制御部は、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御するときに、前記時系列データに関連づけられた他の時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御することを特徴とする、データ処理装置。
【請求項10】
前記時系列データの種類を相互に関連づけて記憶する要因関連テーブルをさらに備え、
前記サンプリング周期制御部は、前記要因関連テーブルを用いて、前記他の時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御することを特徴とする、請求項
9に記載のデータ処理装置。
【請求項11】
基板処理装置における物理量の測定結果に基づき時系列データを求めるサンプリング部と、
前記時系列データと基準データとを比較することにより、前記時系列データの評価値を求める評価値計算部と、
前記サンプリング部で用いられるサンプリング周期を前記時系列データごとに制御するサンプリング周期制御部と
、
前記時系列データの種類に対応づけて正常周期と異常周期を記憶するサンプリング周期定義テーブルとを備え、
前記サンプリング周期定義テーブルは、前記時系列データの種類に対応づけて自動復帰フラグをさらに記憶し、
前記サンプリング周期制御部は、
前記サンプリング周期定義テーブルを用いて、初期状態では前記サンプリング部で用いられるすべてのサンプリング周期を正常周期に制御し、前記時系列データの評価値が異常であるときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記正常周期よりも短い異常周期に制御
し、
前記サンプリング周期制御部は、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御したときの原因が解消され、かつ、前記サンプリング周期定義テーブルに記憶された前記時系列データに対応した自動復帰フラグが有効のときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記正常周期に制御することを特徴とする、データ処理装置。
【請求項12】
前記サンプリング周期制御部は、前記基板処理装置においてアラームが発生したときには、前記アラームに関連づけられた時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御することを特徴とする、請求項
9~11のいずれかに記載のデータ処理装置。
【請求項13】
前記サンプリング周期制御部は、前記時系列データの値が予め定めた閾値を超えたときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御することを特徴とする、請求項
9~11のいずれかに記載のデータ処理装置。
【請求項14】
前記サンプリング周期制御部は、前記時系列データのばらつきが予め定めた許容値を超えたときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御することを特徴とする、請求項
9~11のいずれかに記載のデータ処理装置。
【請求項15】
前記サンプリング部は、前記基板処理装置で測定された測定データから前記サンプリング周期制御部で制御されたサンプリング周期でデータを抽出することにより、前記時系列データを求めることを特徴とする、請求項
9~11のいずれかに記載のデータ処理装置。
【請求項16】
基板処理装置における物理量の測定結果に基づき時系列データを求めるサンプリングステップと、
前記時系列データと基準データとを比較することにより、前記時系列データの評価値を求める評価値計算ステップと、
前記サンプリングステップで用いられるサンプリング周期を前記時系列データごとに制御するサンプリング周期制御ステップとを、
コンピュータにCPUがメモリを利用して実行させ、
前記サンプリング周期制御ステップは、初期状態では前記サンプリングステップで用いられるすべてのサンプリング周期を正常周期に制御し、前記時系列データの評価値が異常であるときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記正常周期よりも短い異常周期に制御
し、
前記サンプリング周期制御ステップは、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御するときに、前記時系列データに関連づけられた他の時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御することを特徴とする、データ処理プログラム。
【請求項17】
基板処理装置における物理量の測定結果に基づき時系列データを求めるサンプリングステップと、
前記時系列データと基準データとを比較することにより、前記時系列データの評価値を求める評価値計算ステップと、
前記サンプリングステップで用いられるサンプリング周期を前記時系列データごとに制御するサンプリング周期制御ステップとを、
コンピュータにCPUがメモリを利用して実行させ、
前記サンプリング周期制御ステップは、
前記時系列データの種類に対応づけて正常周期と異常周期を記憶するサンプリング周期定義テーブルを用いて、初期状態では前記サンプリングステップで用いられるすべてのサンプリング周期を正常周期に制御し、前記時系列データの評価値が異常であるときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記正常周期よりも短い異常周期に制御し、
前記サンプリング周期定義テーブルは、前記時系列データの種類に対応づけて自動復帰フラグをさらに記憶し、
前記サンプリング周期制御ステップは、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御したときの原因が解消され、かつ、前記サンプリング周期定義テーブルに記憶された前記時系列データに対応した自動復帰フラグが有効のときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記正常周期に制御することを特徴とする、データ処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルデータ処理に関し、特に、基板処理装置で測定されたデータの処理方法、処理装置、および、処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
機器や装置の異常を検出する方法として、機器や装置の動作状態を示す物理量(例えば、長さ、角度、時間、速さ、力、圧力、電圧、電流、温度、流量など)をセンサなどを用いて測定し、測定結果を時系列順に並べて得られた時系列データを分析する方法が知られている。機器や装置が同じ条件で同じ動作を行う場合、異常がなければ、時系列データは同様に変化する。そこで、同様に変化する複数の時系列データを相互に比較して異常な時系列データを検出し、これを分析して異常の発生箇所や原因を特定することができる。
【0003】
半導体基板(以下、基板という)の製造工程では、複数の基板処理装置を用いて一連の処理が実行される。基板処理装置は、基板に対して一連の処理のうち特定の処理を行う複数の処理ユニットを含んでいる。各処理ユニットは、基板に対して予め定めた手順(レシピと呼ばれる)に従い処理を行う。このとき各処理ユニットにおける測定結果に基づき、時系列データが得られる。得られた時系列データを分析することにより、異常が発生した処理ユニットや異常の原因を特定することができる。
【0004】
本願発明に関連して、特許文献1には、所定のサンプリング周期で計測器から測定データを収集するときに、基板処理装置の状態に応じてサンプリング周期を切り替えるデータ収集方法が記載されている。特許文献2には、複数の時系列データを複数のグループに分類し、各グループの異常度と各グループ内での時系列データの異常度とを求め、グループまたは時系列データを異常度に基づきランキングした結果を表示するデータ処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-42005号公報
【文献】特開2017-83985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたデータ収集方法には、サンプリング周期を切り替えるタイミングが適切でないために、基板処理装置で異常が発生する前に詳細なデータを取得できないという問題がある。
【0007】
それ故に、本発明は、基板処理装置で異常が発生する前に詳細なデータを取得できるデータ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の局面は、データ処理方法であって、
基板処理装置における物理量の測定結果に基づき時系列データを求めるサンプリングステップと、
前記時系列データと基準データとを比較することにより、前記時系列データの評価値を求める評価値計算ステップと、
前記サンプリングステップで用いられるサンプリング周期を前記時系列データごとに制御するサンプリング周期制御ステップとを備え、
前記サンプリング周期制御ステップは、初期状態では前記サンプリングステップで用いられるすべてのサンプリング周期を正常周期に制御し、前記時系列データの評価値が異常であるときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記正常周期よりも短い異常周期に制御し、
前記サンプリング周期制御ステップは、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御するときに、前記時系列データに関連づけられた他の時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御することを特徴とする。
本発明の第2の局面は、本発明の第1の局面において、
前記サンプリング周期制御ステップは、前記時系列データの種類を相互に関連づけて記憶する要因関連テーブルを用いて、前記他の時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御することを特徴とする。
本発明の第3の局面は、データ処理方法であって、
基板処理装置における物理量の測定結果に基づき時系列データを求めるサンプリングステップと、
前記時系列データと基準データとを比較することにより、前記時系列データの評価値を求める評価値計算ステップと、
前記サンプリングステップで用いられるサンプリング周期を前記時系列データごとに制御するサンプリング周期制御ステップとを備え、
前記サンプリング周期制御ステップは、前記時系列データの種類に対応づけて正常周期と異常周期を記憶するサンプリング周期定義テーブルを用いて、初期状態では前記サンプリングステップで用いられるすべてのサンプリング周期を正常周期に制御し、前記時系列データの評価値が異常であるときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記正常周期よりも短い異常周期に制御し、
前記サンプリング周期定義テーブルは、前記時系列データの種類に対応づけて自動復帰フラグをさらに記憶し、
前記サンプリング周期制御ステップは、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御したときの原因が解消され、かつ、前記サンプリング周期定義テーブルに記憶された前記時系列データに対応した自動復帰フラグが有効のときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記正常周期に制御することを特徴とする。
【0009】
本発明の第4の局面は、本発明の第1~3のいずれかの局面において、
前記サンプリング周期制御ステップは、前記基板処理装置においてアラームが発生したときには、前記アラームに関連づけられた時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御することを特徴とする。
【0010】
本発明の第5の局面は、本発明の第1~3のいずれかの局面において、
前記サンプリング周期制御ステップは、前記時系列データの値が予め定めた閾値を超えたときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御することを特徴とする。
【0011】
本発明の第6の局面は、本発明の第1~3のいずれかの局面において、
前記サンプリング周期制御ステップは、前記時系列データのばらつきが予め定めた許容値を超えたときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御することを特徴とする。
【0016】
本発明の第7の局面は、本発明の第1~3のいずれかの局面において、
前記サンプリングステップは、前記基板処理装置で得られた測定データから前記サンプリング周期制御ステップで制御されたサンプリング周期でデータを抽出することにより、前記時系列データを求めることを特徴とする。
【0017】
本発明の第8の局面は、本発明の第1~3のいずれかの局面において、
前記基準データは、他の時系列データであることを特徴とする。
【0018】
本発明の第9の局面は、データ処理装置であって、
基板処理装置における物理量の測定結果に基づき時系列データを求めるサンプリング部と、
前記時系列データと基準データとを比較することにより、前記時系列データの評価値を求める評価値計算部と、
前記サンプリング部で用いられるサンプリング周期を前記時系列データごとに制御するサンプリング周期制御部とを備え、
前記サンプリング周期制御部は、初期状態では前記サンプリング部で用いられるすべてのサンプリング周期を正常周期に制御し、前記時系列データの評価値が異常であるときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記正常周期よりも短い異常周期に制御し、
前記サンプリング周期制御部は、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御するときに、前記時系列データに関連づけられた他の時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御することを特徴とする。
本発明の第10の局面は、本発明の第9の局面において、
前記時系列データの種類を相互に関連づけて記憶する要因関連テーブルをさらに備え、
前記サンプリング周期制御部は、前記要因関連テーブルを用いて、前記他の時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御することを特徴とする。
本発明の第11の局面は、データ処理装置であって、
基板処理装置における物理量の測定結果に基づき時系列データを求めるサンプリング部と、
前記時系列データと基準データとを比較することにより、前記時系列データの評価値を求める評価値計算部と、
前記サンプリング部で用いられるサンプリング周期を前記時系列データごとに制御するサンプリング周期制御部と、
前記時系列データの種類に対応づけて正常周期と異常周期を記憶するサンプリング周期定義テーブルとを備え、
前記サンプリング周期定義テーブルは、前記時系列データの種類に対応づけて自動復帰フラグをさらに記憶し、
前記サンプリング周期制御部は、前記サンプリング周期定義テーブルを用いて、初期状態では前記サンプリング部で用いられるすべてのサンプリング周期を正常周期に制御し、前記時系列データの評価値が異常であるときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記正常周期よりも短い異常周期に制御し、
前記サンプリング周期制御部は、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御したときの原因が解消され、かつ、前記サンプリング周期定義テーブルに記憶された前記時系列データに対応した自動復帰フラグが有効のときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記正常周期に制御することを特徴とする。
【0019】
本発明の第12の局面は、本発明の第9~11のいずれかの局面において、
前記サンプリング周期制御部は、前記基板処理装置においてアラームが発生したときには、前記アラームに関連づけられた時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御することを特徴とする。
【0020】
本発明の第13の局面は、本発明の第9~11のいずれかの局面において、
前記サンプリング周期制御部は、前記時系列データの値が予め定めた閾値を超えたときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御することを特徴とする。
【0021】
本発明の第14の局面は、本発明の第9~11のいずれかの局面において、
前記サンプリング周期制御部は、前記時系列データのばらつきが予め定めた許容値を超えたときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御することを特徴とする。
【0026】
本発明の第15の局面は、本発明の第9~11のいずれかの局面において、
前記サンプリング部は、前記基板処理装置で測定された測定データから前記サンプリング周期制御部で制御されたサンプリング周期でデータを抽出することにより、前記時系列データを求めることを特徴とする。
【0027】
本発明の第16の局面は、データ処理プログラムであって、
基板処理装置における物理量の測定結果に基づき時系列データを求めるサンプリングステップと、
前記時系列データと基準データとを比較することにより、前記時系列データの評価値を求める評価値計算ステップと、
前記サンプリングステップで用いられるサンプリング周期を前記時系列データごとに制御するサンプリング周期制御ステップとを、
コンピュータにCPUがメモリを利用して実行させ、
前記サンプリング周期制御ステップは、初期状態では前記サンプリングステップで用いられるすべてのサンプリング周期を正常周期に制御し、前記時系列データの評価値が異常であるときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記正常周期よりも短い異常周期に制御し、
前記サンプリング周期制御ステップは、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御するときに、前記時系列データに関連づけられた他の時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御することを特徴とする。
本発明の第17の局面は、データ処理プログラムであって、
基板処理装置における物理量の測定結果に基づき時系列データを求めるサンプリングステップと、
前記時系列データと基準データとを比較することにより、前記時系列データの評価値を求める評価値計算ステップと、
前記サンプリングステップで用いられるサンプリング周期を前記時系列データごとに制御するサンプリング周期制御ステップとを、
コンピュータにCPUがメモリを利用して実行させ、
前記サンプリング周期制御ステップは、前記時系列データの種類に対応づけて正常周期と異常周期を記憶するサンプリング周期定義テーブルを用いて、初期状態では前記サンプリングステップで用いられるすべてのサンプリング周期を正常周期に制御し、前記時系列データの評価値が異常であるときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記正常周期よりも短い異常周期に制御し、
前記サンプリング周期定義テーブルは、前記時系列データの種類に対応づけて自動復帰フラグをさらに記憶し、
前記サンプリング周期制御ステップは、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記異常周期に制御したときの原因が解消され、かつ、前記サンプリング周期定義テーブルに記憶された前記時系列データに対応した自動復帰フラグが有効のときには、前記時系列データを求めるときのサンプリング周期を前記正常周期に制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
上記第1、第9または第16の局面によれば、時系列データと基準データを比較して得られる評価値が異常であるときに、時系列データを求めるときのサンプリング周期を短くすることにより、時系列データごとにサンプリング周期を好適なタイミングで切り替えて、基板処理装置で異常が発生する前に詳細なデータを取得することができる。
また、ある時系列データを求めるときのサンプリング周期を短くするときに、関連する他の時系列データを求めるときのサンプリング周期を短くすることにより、相互に関連する複数の時系列データについて詳細なデータを一緒に取得することができる。
上記第2または第10の局面によれば、要因関連テーブルを用いることにより、他の時系列データを求めるときのサンプリング周期を容易に制御することができる。
上記第3、第11または第17の局面によれば、時系列データと基準データを比較して得られる評価値が異常であるときに、時系列データを求めるときのサンプリング周期を短くすることにより、時系列データごとにサンプリング周期を好適なタイミングで切り替えて、基板処理装置で異常が発生する前に詳細なデータを取得することができる。
また、サンプリング周期定義テーブルを用いることにより、時系列データを求めるときのサンプリング周期を容易に制御することができる。
また、自動復帰フラグを記憶したサンプリング周期定義テーブルを用いることにより、時系列データの特性に応じて、時系列データを求めるときのサンプリング周期を自動的に正常周期に制御することができる。
【0029】
上記第4または第12の局面によれば、基板処理装置においてアラームが発生したときに、発生したアラームに関連づけられた時系列データを求めるときのサンプリング周期を短くして詳細なデータを取得することができる。
【0030】
上記第5または第13の局面によれば、基板処理装置の故障の予兆として時系列データの値が閾値を超えたときに、時系列データを求めるときのサンプリング周期を短くして詳細なデータを取得することができる。
【0031】
上記第6または第14の局面によれば、時系列データのばらつきが許容値を超えたときに、時系列データを求めるときのサンプリング周期を短くして詳細なデータを取得することができる。
【0036】
上記第7または第15の局面によれば、基板処理装置で得られた測定データからデータを抽出することにより、所望の時系列データを求めることができる。
【0037】
上記第8の局面によれば、基準データとして他の時系列データを用いることにより、時系列データについて好適な評価値を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の実施形態に係るデータ処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す基板処理装置の概略構成を示す図である。
【
図3】
図1に示すデータ処理装置における時系列データをグラフ化して示す図である。
【
図4】
図1に示すデータ処理装置として機能するコンピュータの構成例を示すブロック図である。
【
図5A】
図1に示すデータ処理装置のサンプリング周期定義テーブルを示す図である。
【
図5B】
図1に示すデータ処理装置の他のサンプリング周期定義テーブルを示す図である。
【
図5C】
図1に示すデータ処理装置の他のサンプリング周期定義テーブルを示す図である。
【
図5D】
図1に示すデータ処理装置の他のサンプリング周期定義テーブルを示す図である。
【
図6】
図1に示すデータ処理装置の要因関連テーブルを示す図である。
【
図7】
図1に示すデータ処理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図8】
図1に示すデータ処理装置によるスコアエラーに基づくサンプリング周期制御の詳細を示すフローチャートである。
【
図9A】
図1に示すデータ処理装置において正常周期を用いた求めた時系列データをグラフ化して示す図である。
【
図9B】
図1に示すデータ処理装置において異常周期を用いて求めた時系列データをグラフ化して示す図である。
【
図10】
図1に示すデータ処理装置によるアラームに基づくサンプリング周期制御の詳細を示すフローチャートである。
【
図11】
図1に示すデータ処理装置による時系列データの値に基づくサンプリング周期制御の詳細を示すフローチャートである。
【
図12】
図1に示すデータ処理装置による時系列データのばらつきに基づくサンプリング周期制御の詳細を示すフローチャートである。
【
図13A】
図1に示すデータ処理装置の実装形態の第1例を示す図である。
【
図13B】
図1に示すデータ処理装置の実装形態の第2例を示す図である。
【
図13C】
図1に示すデータ処理装置の実装形態の第3例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るデータ処理方法、データ処理装置、および、データ処理プログラムについて説明する。本実施形態に係るデータ処理方法は、典型的にはコンピュータを用いて実行される。本実施形態に係るデータ処理プログラムは、コンピュータを用いてデータ処理方法を実施するためのプログラムである。本実施形態に係るデータ処理装置は、典型的にはコンピュータを用いて構成される。データ処理プログラムを実行するコンピュータは、データ処理装置として機能する。
【0040】
図1は、本発明の実施形態に係るデータ処理装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すデータ処理装置10は、サンプリング部11、データ記憶部12、スコア計算部13、結果表示部14、指示入力部15、複数のサンプリング周期定義テーブル16、要因関連テーブル17、および、サンプリング周期制御部18を備えている。データ処理装置10は、基板処理装置20に接続して用いられる。
【0041】
基板処理装置20は複数の処理ユニット25を含み、各処理ユニット25では処理ユニット25の動作状態を示す複数の物理量(例えば、長さ、角度、時間、速さ、力、圧力、電圧、電流、温度、流量など)が測定される。基板処理装置20は、各処理ユニット25で得られた測定データをデータ処理装置10に対して出力する。
【0042】
サンプリング部11は、基板処理装置20における物理量の測定結果に基づき時系列データ7を求める。より詳細には、サンプリング部11は、基板処理装置20で得られた測定データからある時間間隔(以下、サンプリング周期という)でデータを抽出することにより、時系列データ7を求める。サンプリング周期制御部18は、サンプリング部11で用いられるサンプリング周期を時系列データ7ごとに制御する。データ記憶部12は、サンプリング部11で求めた時系列データ7と、時系列データ7の期待値データである基準データ8とを記憶する。基準データ8には、例えば、多数の時系列データの中で期待値データとして最適と判断された他の時系列データが使用される。
【0043】
スコア計算部13は、データ記憶部12に記憶された時系列データ7について評価値(以下、スコアという)を求める。スコア計算部13は、データ記憶部12から時系列データ7と対応する基準データ8とを読み出し、両者を比較することによりスコアを求める。スコア計算部13は、時系列データ7の評価値を求める評価値計算部として機能する。結果表示部14は、時系列データ7のスコアに基づく画面を表示する。
【0044】
基板処理装置20は、データ処理装置10に対して、基板処理装置20でアラームが発生したか否かを示すアラーム信号を出力する。指示入力部15には、利用者(基板処理装置20のオペレータ)からの指示が入力される。サンプリング周期定義テーブル16は、時系列データの種類に対応づけて、少なくとも正常周期と異常周期を記憶する。要因関連テーブル17は、処理ユニット25ごとに、時系列データの種類を相互に関連づけて記憶する。サンプリング周期定義テーブル16と要因関連テーブル17の詳細は後述する。
【0045】
サンプリング周期制御部18には、データ記憶部12に記憶された時系列データ7、スコア計算部13で求めたスコア、基板処理装置20から出力されたアラーム信号、および、指示入力部15を用いて入力された利用者からの指示が入力される。サンプリング周期制御部18は、これらの入力に基づき、サンプリング周期定義テーブル16と要因関連テーブル17を用いて、サンプリング部11で用いられるサンプリング周期を時系列データ7ごとに制御する。サンプリング周期制御部18は、初期状態ではサンプリング部11で用いられるすべてのサンプリング周期を正常周期に制御し、時系列データ7のスコアが異常であるときには、時系列データ7を求めるときのサンプリング周期を正常周期よりも短い異常周期に制御する。
【0046】
図2は、基板処理装置20の概略構成を示す図である。基板処理装置20は、インデクサ部21と処理部22を備えている。インデクサ部21は、複数のカセット保持部23とインデクサロボット24を含んでいる。処理部22は、複数の処理ユニット25と基板搬送ロボット26を含んでいる。カセット保持部23には、複数の基板を収容するカセット(図示せず)が載置される。インデクサロボット24は、カセットから基板を取り出す動作と、カセットに基板を入れる動作とを行う。処理ユニット25は、基板に対して処理を行うための空間(以下、チャンバーという)を有する。チャンバーは、処理ユニット25と1対1に対応する。チャンバーの内部では、例えば、処理液を用いて基板を洗浄するなどの処理が行われる。基板搬送ロボット26は、処理ユニット25に基板を搬入する動作と、処理ユニット25から基板を搬出する動作とを行う。処理ユニット25の個数は、例えば24個である。この場合、例えば、4個の処理ユニット25を積層したタワー構造体が、基板搬送ロボット26の周囲の6箇所に設けられる。
【0047】
インデクサロボット24は、カセット保持部23に載置されたカセットから処理対象の基板を取り出し、取り出した基板を基板受け渡し部27を介して基板搬送ロボット26に渡す。基板搬送ロボット26は、インデクサロボット24から受け取った基板を対象の処理ユニット25に搬入する。基板に対する処理が終了すると、基板搬送ロボット26は、対象の処理ユニット25から基板を取り出し、取り出した基板を基板受け渡し部27を介してインデクサロボット24に渡す。インデクサロボット24は、基板搬送ロボット26から受け取った基板を対象のカセットに入れる。インデクサ部21と処理部22の制御は、基板処理装置20の制御部(図示せず)によって行われる。
【0048】
以下、処理ユニット25が1枚の基板に対して行う処理を「単位処理」という。単位処理の実行中に、処理ユニット25では、センサなどを用いて複数の物理量が測定される。サンプリング部11は、処理ユニット25で測定された測定データに基づき、時系列データ7を求める。基板処理装置20が1回の単位処理を行うと、複数の時系列データ7が得られる。時系列データ7をグラフ化して示すと、例えば
図3に実線で示すようになる。対応する基準データ8をグラフ化して示すと、例えば
図3に破線で示すようになる。
図3に示す例では、時系列データ7は、基準データ8と比べて立ち上がり時に遅れている。
【0049】
図4は、データ処理装置10として機能するコンピュータの構成例を示すブロック図である。
図4に示すコンピュータ30は、CPU31、メインメモリ32、記憶部33、入力部34、表示部35、通信部36、および、記録媒体読み取り部37を備えている。メインメモリ32には、例えば、DRAMが使用される。記憶部33には、例えば、ハードディスクが使用される。入力部34には、例えば、キーボード38やマウス39が含まれる。表示部35には、例えば、液晶ディスプレイが使用される。通信部36は、有線通信または無線通信のインターフェイス回路である。基板処理装置20との間の通信は、通信部36を用いて行われる。記録媒体読み取り部37は、プログラムなどを記録した記録媒体40のインターフェイス回路である。記録媒体40には、例えば、CD-ROMなどの非一過性の記録媒体が使用される。なお、以上に述べたコンピュータ30の構成は一例に過ぎず、任意のコンピュータを用いてデータ処理装置10を構成することができる。
【0050】
以下、コンピュータ30がデータ処理装置10として機能する場合について説明する。この場合、記憶部33は、データ処理プログラム41と基準データ8を記憶する。データ処理プログラム41と基準データ8は、例えば、サーバや他のコンピュータから通信部36を用いて受信したものでもよく、記録媒体40から記録媒体読み取り部37を用いて読み出したものでもよい。データ処理プログラム41を実行するときには、データ処理プログラム41と基準データ8はメインメモリ32に複写転送される。CPU31は、メインメモリ32を作業用メモリとして利用して、メインメモリ32に記憶されたデータ処理プログラム41を実行することにより、基板処理装置20から出力された測定データに基づき時系列データ7を求める処理、時系列データ7のスコアを求める処理、スコアに基づき時系列データ7を求めるときのサンプリング周期を制御する処理などを行う。このときコンピュータ30は、データ処理装置10として機能する。
【0051】
データ処理装置10は、
図5A~
図5Dに示す4個のサンプリング周期定義テーブル16a~16dと、
図6に示す要因関連テーブル17とを備えている。データ処理装置10と基板処理装置20が動作を開始する前に、サンプリング周期定義テーブル16a~16dと要因関連テーブル17には、図面に記載したデータが予め記憶されている。
【0052】
図7は、データ処理装置10の動作を示すフローチャートである。データ処理装置10は、CPU31がメインメモリ32を利用してデータ処理プログラム41を実行することにより、
図7に示す処理を行う。
【0053】
図7に示すように、サンプリング周期制御部18は、まず、サンプリング部11で用いられるすべてのサンプリング周期を正常周期に制御する(ステップS101)。ステップS101において、サンプリング周期制御部18は、すべての時系列データ7について、時系列データ7を求めるときのサンプリング周期をサンプリング周期定義テーブル16a~16dに記憶された正常周期に設定する。
【0054】
データ処理装置10がステップS101を実行した後、基板処理装置20は基板に対する処理を開始する。基板処理装置20が1回の単位処理を行うと、複数の測定データが得られる。複数の測定データは、基板処理装置20からデータ処理装置10に対して出力される。データ処理装置10は、基板処理装置20から複数の測定データが出力されるたびに、ステップS102~S110を実行する。
【0055】
サンプリング部11には、単位処理を行ったときに得られた複数の測定データが入力される(ステップS102)。次に、サンプリング部11は、ステップS102で入力された複数の測定データに基づき、複数の時系列データ7を求める(ステップS103)。ステップS103において、サンプリング部11は、基板処理装置20から出力された複数の測定データから時系列データ7ごとに制御されたサンプリング周期でデータを抽出することにより、時系列データ7を求める。
【0056】
次に、データ記憶部12は、ステップS103で求めた複数の時系列データ7を記憶する(ステップS104)。次に、スコア計算部13は、データ記憶部12に記憶された複数の時系列データ7のスコアを求める(ステップS105)。ステップS105において、スコア計算部13は、各時系列データ7と対応する基準データ8とを比較することによりスコアを求める。次に、結果表示部14は、ステップS105で求めたスコアに基づく画面を表示する(ステップS106)。結果表示部14が表示する画面は、時系列データ7のスコアに基づく限り任意でよい。
【0057】
次に、サンプリング周期制御部18は、スコアエラーに基づくサンプリング周期制御を行う(ステップS110)。
図8は、スコアエラーに基づくサンプリング周期制御の詳細を示すフローチャートである。ステップS110において、サンプリング周期制御部18は、スコアの状態が変化した時系列データ7(スコアが正常から異常に、または、その逆に変化した時系列データ)について、
図8に示す処理を行う。以下、ステップS110で処理される時系列データをSQ1という。
【0058】
図5Aに示すサンプリング周期定義テーブル16aは、時系列データの種類に対応づけて、正常周期、異常周期、および、自動復帰フラグを記憶している。正常周期は、正常時のサンプリング周期をmsec(ミリ秒)単位で示す。異常周期は、異常時のサンプリング周期をmsec単位で示す。異常周期は、正常周期よりも短い。異常周期は、例えば、正常周期の1/3以下に設定される。自動復帰フラグは、TRUEまたはFALSEの値を取る。値TRUEは自動復帰が有効であることを示し、値FALSEは自動復帰が無効であることを示す。
【0059】
図8において、サンプリング周期制御部18は、まず、時系列データSQ1のスコアが異常か否か(スコアエラーが発生したか否か)を判断し、Yesの場合にはステップS112へ進み、Noの場合にはステップS115へ進む(ステップS111)。
【0060】
ステップS111でYesの場合、サンプリング周期制御部18は、時系列データSQ1を求めるときのサンプリング周期が正常周期か否かを判断し、Yesの場合にはステップS113へ進む(ステップS112)。この場合、サンプリング周期制御部18は、時系列データSQ1を求めるときのサンプリング周期を異常周期に制御する(ステップS113)。ステップS113において、サンプリング周期制御部18は、サンプリング周期定義テーブル16aから時系列データSQ1の種類に対応した異常周期を読み出し、次回以降に時系列データSQ1を求めるときのサンプリング周期を読み出した異常周期に設定する。
【0061】
次に、サンプリング周期制御部18は、必要に応じて他のサンプリング周期を異常周期に制御する(ステップS114)。
図6に示す要因関連テーブル17は、処理ユニット25ごとに、時系列データ7の種類を相互に関連づけて記憶している。時系列データSQ1に対応した処理ユニット25がPUであり、要因関連テーブル17の処理ユニットPUの欄に時系列データSQ1の種類が記憶されている場合には、サンプリング周期制御部18は、ステップS114において、当該欄に記憶された他の時系列データを求めるときのサンプリング周期を異常周期に制御する。
【0062】
ステップS111でNoの場合、サンプリング周期制御部18は、時系列データSQ1を求めるときのサンプリング周期が異常周期か否かを判断し、Yesの場合にはステップS116へ進む(ステップS115)。この場合、サンプリング周期制御部18は、自動復帰を行うか否かを判断し、Yesの場合にはステップS118へ進み、Noの場合にはステップS117へ進む(ステップS116)。ステップS116において、サンプリング周期制御部18は、サンプリング周期定義テーブル16aから時系列データSQ1の種類に対応した自動復帰フラグを読み出し、自動復帰フラグがTRUEの場合にはステップS118へ進み、それ以外の場合にはステップS117へ進む。
【0063】
ステップS116でNoの場合、サンプリング周期制御部18は、復帰指示が入力されたか否かを判断し、Yesの場合にはステップS118へ進む(ステップS117)。時系列データSQ1を求めるときのサンプリング周期が異常周期に制御された場合、利用者は、スコアエラーの状態を確認したり、スコアエラーの状態を回復するための操作を行ったりした後、指示入力部15を用いて復帰指示を入力する。利用者が入力した復帰指示は、サンプリング周期制御部18の内部に保持される。ステップS117において、サンプリング周期制御部18は、復帰指示が既に入力されていた場合にはステップS118へ進む。
【0064】
ステップS116またはS117でYesの場合、サンプリング周期制御部18は、時系列データSQ1を求めるときのサンプリング周期を正常周期に制御する(ステップS118)。ステップS118において、サンプリング周期制御部18は、サンプリング周期定義テーブル16aから時系列データSQ1の種類に対応した正常周期を読み出し、次回以降に時系列データSQ1を求めるときのサンプリング周期を読み出した正常周期に設定する。
【0065】
次に、サンプリング周期制御部18は、必要に応じて他のサンプリング周期を正常周期に制御する(ステップS119)。時系列データSQ1に対応した処理ユニット25がPUであり、要因関連テーブル17の処理ユニットPUの欄に時系列データSQ1の種類が記憶されている場合には、サンプリング周期制御部18は、ステップS119において、当該欄に記憶された他の時系列データを求めるときのサンプリング周期を正常周期に制御する。サンプリング周期制御部18は、ステップS114またはS119を行った後、もしくは、ステップS112、S115またはS117でNoと判断した後に、ステップS110を終了する。
【0066】
例えば、ある時系列データを求めるときの正常周期が300msec、異常周期が100msecであるとする。
図9Aは、正常周期を用いて求めた時系列データをグラフ化して示す図である。利用者は、
図9Aに示すグラフを見ても、時系列データの小さな変化を認識することができない。データ処理装置10では、時系列データのスコアが異常である場合、サンプリング周期制御部18は時系列データを求めるときのサンプリング周期を異常周期(100msec)に制御する。
図9Bは、異常周期を用いて求めた時系列データをグラフ化して示す図である。利用者は、
図9Bに示すグラフを見たときに、時系列データの小さな変化を容易に認識することができる。
【0067】
サンプリング周期制御部18は、
図8に示すサンプリング周期制御に加えて、
図10~
図12に示すサンプリング周期制御を行う。
図10~
図12に示すサンプリング周期制御は、
図7に示す処理を行っている間に所定の条件が成立したときに行われる。
【0068】
図10は、アラームに基づくサンプリング周期制御の詳細を示すフローチャートである。上述したように、データ処理装置10には、基板処理装置20でアラームが発生したか否か示すアラーム信号が入力される。サンプリング周期制御部18は、発生状況が変化したアラーム(「あり」から「なし」に、または、その逆に変化したアラーム)について、
図10に示す処理を行う。以下、ステップS120で処理されるアラームをAL、アラームALに関連づけられた時系列データをSQ2という。
【0069】
図5Bに示すサンプリング周期定義テーブル16bは、アラームの種類に対応づけて、時系列データの種類、正常周期、異常周期、および、自動復帰フラグを記憶している。サンプリング周期定義テーブル16bは、時系列データの種類に対応づけて、アラームの種類、正常周期、異常周期、および、自動復帰フラグを記憶しているとも言える。
【0070】
図10において、サンプリング周期制御部18は、まず、アラームALが発生したか否か(アラームが発生したか解消したか)を判断し、Yesの場合にはステップS122へ進み、Noの場合にはステップS125へ進む(ステップS121)。
【0071】
ステップS121でYesの場合、サンプリング周期制御部18は、アラームALに対応づけられた時系列データSQ2を求めるときのサンプリング周期が正常周期か否かを判断し、Yesの場合にはステップS123へ進む(ステップS122)。この場合、サンプリング周期制御部18は、時系列データSQ2を求めるときのサンプリング周期を異常周期に制御する(ステップS123)。ステップS123において、サンプリング周期制御部18は、サンプリング周期定義テーブル16bからアラームALおよび時系列データSQ2の種類に対応した異常周期を読み出し、次回以降に時系列データSQ2を求めるときのサンプリング周期を読み出した異常周期に設定する。次に、サンプリング周期制御部18は、
図8に示すステップS114と同様に、要因関連テーブル17を参照して、必要に応じて他のサンプリング周期を異常周期に制御する(ステップS124)。
【0072】
ステップS121でNoの場合、サンプリング周期制御部18は、時系列データSQ2を求めるときのサンプリング周期が異常周期か否かを判断し、Yesの場合にはステップS126へ進む(ステップS125)。この場合、サンプリング周期制御部18は、自動復帰を行うか否かを判断し、Yesの場合にはステップS128へ進み、Noの場合にはステップS127へ進む(ステップS126)。ステップS126において、サンプリング周期制御部18は、サンプリング周期定義テーブル16bからアラームALおよび時系列データSQ2の種類に対応した自動復帰フラグを読み出し、自動復帰フラグがTRUEの場合にはステップS128へ進み、それ以外の場合にはステップS127へ進む。
【0073】
ステップS126でNoの場合、サンプリング周期制御部18は、復帰指示が入力されたか否かを判断し、Yesの場合にはステップS128へ進む(ステップS127)。アラームALが発生した場合、利用者は、アラームALの原因を調査したり、アラームALを解除するための操作を行ったりした後、指示入力部15を用いて復帰指示を入力する。ステップS127において、サンプリング周期制御部18は、復帰指示が既に入力されていた場合にはステップS128へ進む。
【0074】
ステップS126またはS127でYesの場合、サンプリング周期制御部18は、時系列データSQ2を求めるときのサンプリング周期を正常周期に制御する(ステップS128)。ステップS128において、サンプリング周期制御部18は、サンプリング周期定義テーブル16bからアラームALおよび時系列データSQ2の種類に対応した正常周期を読み出し、次回以降に時系列データSQ2を求めるときのサンプリング周期を読み出した正常周期に設定する。次に、サンプリング周期制御部18は、
図8に示すステップS119と同様に、要因関連テーブル17を参照して、必要に応じて他のサンプリング周期を正常周期に制御する(ステップS129)。サンプリング周期制御部18は、ステップS124またはS129を行った後、もしくは、ステップS122、S125またはS127でNoと判断した後に、ステップS120を終了する。
【0075】
図11は、時系列データの値に基づくサンプリング周期制御の詳細を示すフローチャートである。
図5Cに示すサンプリング周期定義テーブル16cは、部品の種類に対応づけて、時系列データの種類、上限値、上限比率、下限値、下限比率、正常周期、異常周期、および、自動復帰フラグを記憶している。サンプリング周期定義テーブル16cは、時系列データの種類に対応づけて、部品の種類、上限値、上限比率、下限値、下限比率、正常周期、異常周期、および、自動復帰フラグを記憶しているとも言える。サンプリング周期制御部18は、値と閾値との大小関係が変化した時系列データ7(値が「閾値を超えていない」から「閾値を超えている」に、または、その逆に変化した時系列データ)について、
図11に示す処理を行う。以下、ステップS130で処理される時系列データをSQ3という。
【0076】
上限値は、時系列データの上限値を示す。上限比率は、時系列データの上限値に対する時系列データの上側閾値の割合を百分率で示す。下限値は、時系列データの下限値を示す。下限比率は、時系列データの下限値に対する、時系列データの下側閾値と時系列データの下限値との差の比率を百分率で示す。例えば、
図5Cに示すサンプリング周期定義テーブル16cの部品「温度センサ」の欄には、上限値60℃、上限比率90%、下限値15℃、および、下限比率20%が記憶されている。この場合、時系列データの上側閾値は60×90/100=54℃であり、下側閾値は15×(100+20)/100=18℃である。
【0077】
図11において、サンプリング周期制御部18は、まず、時系列データSQ3の値が閾値を超えたか否かを判断し、Yesの場合にはステップS132へ進み、Noの場合にはステップS135へ進む(ステップS131)。ステップS131において、サンプリング周期制御部18は、サンプリング周期定義テーブル16cから時系列データSQ3の種類に対応した上限値、上限比率、下限値、および、下限比率を読み出し、時系列データSQ3の値が(上限値×上限比率)を超えている場合、または、時系列データSQ3の値が{下限値×(1+下限比率)}未満の場合にはステップS132へ進み、それ以外の場合にはステップS135へ進む。
【0078】
ステップS131でYesの場合、サンプリング周期制御部18は、時系列データSQ3を求めるときのサンプリング周期が正常周期か否かを判断し、Yesの場合にはステップS133へ進む(ステップS132)。この場合、サンプリング周期制御部18は、時系列データSQ3を求めるときのサンプリング周期を異常周期に制御する(ステップS133)。ステップS133において、サンプリング周期制御部18は、サンプリング周期定義テーブル16cから時系列データSQ3の種類に対応した異常周期を読み出し、次回以降に時系列データSQ3を求めるときのサンプリング周期を読み出した異常周期に設定する。次に、サンプリング周期制御部18は、
図8に示すステップS114と同様に、要因関連テーブル17を参照して、必要に応じて他のサンプリング周期を異常周期に制御する(ステップS134)。
【0079】
ステップS131でNoの場合、サンプリング周期制御部18は、時系列データSQ3を求めるときのサンプリング周期が異常周期か否かを判断し、Yesの場合にはステップS136へ進む(ステップS135)。この場合、サンプリング周期制御部18は、自動復帰を行うか否かを判断し、Yesの場合にはステップS138へ進み、Noの場合にはステップS137へ進む(ステップS136)。ステップS136において、サンプリング周期制御部18は、サンプリング周期定義テーブル16cから時系列データSQ3の種類に対応した自動復帰フラグを読み出し、自動復帰フラグがTRUEの場合にはステップS138へ進み、それ以外の場合にはステップS137へ進む。
【0080】
ステップS136でNoの場合、サンプリング周期制御部18は、復帰指示が入力されたか否かを判断し、Yesの場合にはステップS138へ進む(ステップS137)。時系列データSQ3を求めるときのサンプリング周期が異常周期に制御された場合、利用者は、時系列データSQ3に対応する部品を交換したり、調整したりした後、指示入力部15を用いて復帰指示を入力する。ステップS137において、サンプリング周期制御部18は、復帰指示が既に入力されていた場合にはステップS138へ進む。
【0081】
ステップS136またはS137でYesの場合、サンプリング周期制御部18は、時系列データSQ3を求めるときのサンプリング周期を正常周期に制御する(ステップS138)。ステップS138において、サンプリング周期制御部18は、サンプリング周期定義テーブル16cから時系列データSQ3の種類に対応した正常周期を読み出し、次回以降に時系列データSQ3を求めるときのサンプリング周期を読み出した正常周期に設定する。次に、サンプリング周期制御部18は、
図8に示すステップS119と同様に、要因関連テーブル17を参照して、必要に応じて他のサンプリング周期を正常周期に制御する(ステップS139)。サンプリング周期制御部18は、ステップS134またはS139を行った後、
もしくは、ステップS132、S135また
はS137でNoと判断した後に、ステップS130を終了する。
【0082】
図5Cに示すサンプリング周期定義テーブル16cの部品「PLCバッテリー」の欄には、下限値300mV、下限比率50%、正常周期5000msec、および、異常周期500msecが記憶されている。なお、PLCは、プログラマブルコントローラ(Programmable Controller )の略語である。時系列データを求めるときのサンプリング周期は、ステップS101において、5000msecに制御される。時系列データの下側閾値は、300×(100+50)/100=450である。したがって、PLCバッテリー値が450mV未満になると、時系列データを求めるときのサンプリング周期は500msecに設定される。
【0083】
図12は、時系列データのばらつきに基づくサンプリング周期制御の詳細を示すフローチャートである。
図5Dに示すサンプリング周期定義テーブル16dは、時系列データの種類に対応して、標準偏差、正常周期、異常周期、および、自動復帰フラグを記憶している。標準偏差は、時系列データのばらつきの許容値を示す。サンプリング周期制御部18は、ばらつきと許容値との大小関係が変化した時系列データ7(ばらつきが「許容値を超えていない」から「許容値を超えている」に、または、その逆に変化した時系列データ)について、
図12に示す処理を行う。以下、ステップS140で処理される時系列データをSQ4という。
【0084】
図12において、サンプリング周期制御部18は、まず、時系列データSQ4のばらつきが許容値を超えたか否かを判断し、Yesの場合にはステップS142へ進み、Noの場合にはステップS145へ進む(ステップS141)。ステップS141において、サンプリング周期制御部18は、サンプリング周期定義テーブル16dから時系列データSQ4の種類に対応した標準偏差を読み出し、時系列データSQ4のばらつきが標準偏差を超えている場合にはステップS142へ進み、それ以外の場合にはステップS145へ進む。
【0085】
ステップS141でYesの場合、サンプリング周期制御部18は、時系列データSQ4を求めるときのサンプリング周期が正常周期か否かを判断し、Yesの場合にはステップS143へ進む(ステップS142)。この場合、サンプリング周期制御部18は、時系列データSQ4を求めるときのサンプリング周期を異常周期に制御する(ステップS143)。ステップS143において、サンプリング周期制御部18は、サンプリング周期定義テーブル16dから時系列データSQ4の種類に対応した異常周期を読み出し、次回以降に時系列データSQ4を求めるときのサンプリング周期を読み出した異常周期に設定する。次に、サンプリング周期制御部18は、
図8に示すステップS114と同様に、要因関連テーブル17を参照して、必要に応じて他のサンプリング周期を異常周期に制御する(ステップS144)。
【0086】
ステップS141でNoの場合、サンプリング周期制御部18は、時系列データSQ4を求めるときのサンプリング周期が異常周期か否かを判断し、Yesの場合にはステップS146へ進む(ステップS145)。この場合、サンプリング周期制御部18は、自動復帰を行うか否かを判断し、Yesの場合にはステップS148へ進み、Noの場合にはステップS147へ進む(ステップS146)。ステップS146において、サンプリング周期制御部18は、サンプリング周期定義テーブル16dから時系列データSQ4の種類に対応した自動復帰フラグを読み出し、自動復帰フラグがTRUEの場合にはステップS148へ進み、それ以外の場合にはステップS147へ進む。
【0087】
ステップS146でNoの場合、サンプリング周期制御部18は、復帰指示が入力されたか否かを判断し、Yesの場合にはステップS148へ進む(ステップS147)。時系列データSQ4を求めるときのサンプリング周期が異常周期に制御された場合、利用者は、時系列データ7のばらつきを許容値以内にするための操作を行った後、指示入力部15を用いて復帰指示を入力する。ステップS147において、サンプリング周期制御部18は、復帰指示が既に入力されていた場合にはステップS148へ進む。
【0088】
ステップS146またはS147でYesの場合、サンプリング周期制御部18は、時系列データSQ4を求めるときのサンプリング周期を正常周期に制御する(ステップS148)。ステップS148において、サンプリング周期制御部18は、サンプリング周期定義テーブル16dから時系列データSQ4の種類に対応した正常周期を読み出し、次回以降に時系列データSQ4を求めるときのサンプリング周期を読み出した正常周期に設定する。次に、サンプリング周期制御部18は、
図8に示すステップS119と同様に、要因関連テーブル17を参照して、必要に応じて他のサンプリング周期を正常周期に制御する(ステップS149)。サンプリング周期制御部18は、ステップS144またはS149を行った後、もしくは、ステップS142、S145またはステップS147でNoと判断した後に、ステップS140を終了する。
【0089】
以上に示すフローチャートにおいて、サンプリング部11が行うステップS102およびS103は、サンプリングステップに該当する。スコア計算部13が行うステップS105は、評価値計算ステップに該当する。サンプリング周期制御部18が行うステップS101、S110、S120、S130およびS140は、サンプリング周期制御ステップに該当する。
【0090】
図13A~
図13Cは、それぞれ、データ処理装置10の実装形態の第1~第3例を示す図である。第1~第3例では、基板処理装置20の外部にコンピュータ30が設けられ、コンピュータ30がCPU31を用いてデータ処理プログラム41を実行することにより、データ処理装置10の全部または一部が実現される。
【0091】
図13Aに示す第1例は、
図1に記載したものと同じである。第1例では、基板処理装置20の外部に設けられたコンピュータ30が、データ処理装置10として機能する。基板処理装置20では、アナログ信号のサンプリング(アナログ信号の標本化と量子化)が固定のサンプリング周期で行われる。サンプリング部11で用いられるサンプリング周期にかかわらず、基板処理装置20からコンピュータ30には同じ量の測定データが出力される。コンピュータ30によって実現されるサンプリング部11は、基板処理装置20から出力された測定データからサンプリング周期制御部18で制御されたサンプリング周期でデータを抽出することにより、時系列データ7を求める。
【0092】
図13Bに示す第2例では、データ処理装置10のうちサンプリング部11は基板処理装置20に含まれ、他の部分はコンピュータ30によって実現される。基板処理装置20では、アナログ信号のサンプリングが固定のサンプリング周期で行われる。サンプリング周期制御部18は、基板処理装置20に含まれるサンプリング部11に対して、時系列データ7を求めるときのサンプリング周期を示す制御信号CS1を出力する。サンプリング部11は、基板処理装置20で測定された測定データから制御信号CS1が示すサンプリング周期でデータを抽出することにより、時系列データ7を求める。サンプリング部11で求めた時系列データ7は、コンピュータ30に対して出力される。基板処理装置20からコンピュータ30には、サンプリング部11で用いられるサンプリング周期に応じた量の時系列データ7が出力される。
【0093】
図13Cに示す第3例では、データ処理装置10のうちサンプリング部11は基板処理装置20に含まれ、他の部分はコンピュータ30によって実現される。サンプリング周期制御部18は、基板処理装置20に含まれるサンプリング部11に対して、時系列データ7を求めるときのサンプリング周期を示す制御信号CS1を出力する。サンプリング部11は、基板処理装置20の内部でアナログ信号のサンプリング(アナログ信号の標本化と量子化)を制御信号CS1が示すサンプリング周期で行うことにより、時系列データ7を求める。サンプリング部11で求めた時系列データ7は、コンピュータ30に対して出力される。基板処理装置20からコンピュータ30には、サンプリング部11で用いられるサンプリング周期に応じた量の時系列データ7が出力される。
【0094】
第1~第3例のいずれでも、サンプリング部11は基板処理装置20における物理量の測定結果に基づき、時系列データ7を求める。データ処理装置10は、第1~第3例のいずれの形態に実装されていてもよい。
【0095】
本実施形態に係るデータ処理方法は、基板処理装置20における物理量の測定結果に基づき時系列データ7を求めるサンプリングステップ(S102、S103)と、時系列データ7と基準データ8とを比較することにより、時系列データ7の評価値(スコア)を求める評価値計算ステップ(S105)と、サンプリングステップで用いられるサンプリング周期を時系列データ7ごとに制御するサンプリング周期制御ステップ(S101、S110、S120、S130、S140)とを備えている。サンプリング周期制御ステップは、初期状態ではサンプリングステップで用いられるすべてのサンプリング周期を正常周期に制御し(S101)、時系列データ7の評価値が異常であるときには、時系列データ7を求めるときのサンプリング周期を正常周期よりも短い異常周期に制御する(S113)。このように時系列データ7と基準データ8を比較して得られる評価値が異常であるときに、時系列データ7を求めるときのサンプリング周期を短くすることにより、時系列データ7ごとにサンプリング周期を好適なタイミングで切り替えて、基板処理装置20で異常が発生する前に詳細なデータを取得することができる。
【0096】
サンプリング周期制御ステップは、基板処理装置20においてアラームが発生したときには、アラームに関連づけられた時系列データ7を求めるときのサンプリング周期を異常周期に制御する(S123)。したがって、基板処理装置20においてアラームが発生したときに、発生したアラームに関連づけられた時系列データ7を求めるときのサンプリング周期を短くして詳細なデータを取得することができる。サンプリング周期制御ステップは、時系列データ7の値が予め定めた閾値を超えたときや、時系列データ7のばらつきが予め定めた許容値を超えたときにも、時系列データ7を求めるときのサンプリング周期を異常周期に制御する(S133、S143)。したがって、基板処理装置20の故障の予兆として時系列データ7の値が閾値を超えたときや、時系列データ7のばらつきが許容値を超えたときに、時系列データ7を求めるときのサンプリング周期を短くして詳細なデータを取得することができる。
【0097】
サンプリング周期制御ステップは、時系列データ7を求めるときのサンプリング周期を異常周期に制御するときに、時系列データ7に関連づけられた他の時系列データを求めるときのサンプリング周期を異常周期に制御する(S114、S124、S134、S144)。したがって、相互に関連する複数の時系列データ7について詳細なデータを一緒に取得することができる。サンプリング周期制御ステップは、時系列データ7の種類を相互に関連づけて記憶する要因関連テーブル17を用いて、他の時系列データを求めるときのサンプリング周期を異常周期に制御する。したがって、他の時系列データを求めるときのサンプリング周期を容易に制御することができる。
【0098】
サンプリング周期制御ステップは、時系列データ7の種類に対応づけて正常周期と異常周期を記憶するサンプリング周期定義テーブル16を用いて、時系列データ7を求めるときのサンプリング周期を制御する。したがって、時系列データ7を求めるときのサンプリング周期を容易に制御することができる。サンプリング周期定義テーブル16は、時系列データ7の種類に対応づけて自動復帰フラグを記憶し、サンプリング周期制御ステップは、時系列データ7を求めるときのサンプリング周期を異常周期に制御したときの原因が解消され、かつ、サンプリング周期定義テーブル16に記憶された時系列データ7に対応した自動復帰フラグが有効のときには、時系列データ7を求めるときのサンプリング周期を正常周期に制御する(S118、S128、S138、S148)。したがって、時系列データ7の特性に応じて、時系列データ7を求めるときのサンプリング周期を自動的に正常周期に制御することができる。
【0099】
サンプリングステップは、基板処理装置20で測定された測定データから、サンプリング周期制御ステップで制御されたサンプリング周期でデータを抽出することにより、時系列データ7を求めてもよい。また、基準データ8として他の時系列データを用いることにより、時系列データ7について好適な評価値を求めることができる。
【0100】
本実施形態に係るデータ処理装置10およびデータ処理プログラム41は、上記のデータ処理方法と同様の特徴を有し、同様の効果を奏する。本実施形態に係るデータ処理方法、データ処理装置10、および、データ処理プログラム41によれば、時系列データごとにサンプリング周期を好適なタイミングで切り替えて、基板処理装置20で異常が発生する前に詳細なデータを取得することができる。
【0101】
なお、以上に述べたデータ処理方法では、サンプリング周期制御ステップにおいて、ステップS101およびS110に加えて、ステップS120、S130およびS140を行うこととした。しかし、サンプリング周期制御ステップにおいて、ステップS120、S130およびS140を必ずしもすべて行う必要はない。変形例に係るデータ処理方法では、サンプリング周期制御ステップにおいて、ステップS120、S130およびS140を全く行わなくてもよく、あるいは、ステップS120、S130およびS140の中から任意に選択したものだけを行ってもよい。変形例に係るデータ処理装置およびデータ処理プログラムについても、これと同様である。
【符号の説明】
【0102】
7…時系列データ
8…基準データ
10…データ処理装置
11…サンプリング部
12…データ記憶部
13…スコア計算部
14…結果表示部
15…指示入力部
16…サンプリング周期定義テーブル
17…要因関連テーブル
18…サンプリング周期制御部
20…基板処理装置
25…処理ユニット
30…コンピュータ
31…CPU
32…メインメモリ
40…記録媒体
41…データ処理プログラム