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<図1>
  • 特許-ツールプリセッタ 図1
  • 特許-ツールプリセッタ 図2
  • 特許-ツールプリセッタ 図3
  • 特許-ツールプリセッタ 図4
  • 特許-ツールプリセッタ 図5
  • 特許-ツールプリセッタ 図6
  • 特許-ツールプリセッタ 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】ツールプリセッタ
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/00 20060101AFI20220517BHJP
【FI】
B23Q17/00 C
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018023001
(22)【出願日】2018-02-13
(65)【公開番号】P2019136827
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591033755
【氏名又は名称】エヌティーツール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】村井 貞之
(72)【発明者】
【氏名】江坂 秀一
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-073448(JP,U)
【文献】実開平07-020206(JP,U)
【文献】特開2004-001157(JP,A)
【文献】特開2005-262419(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0214673(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具を挟持するテーパコレットと、
前記テーパコレットを収納すると共に、収納した前記テーパコレットを縮径すると共に軸方向下方に向かって押し付けるナットを有する工具ホルダーと、
前記工具ホルダーを保持するテーパ部を備えた主軸部と、
筒状であり、前記主軸部の下端部に設けられ、上縁部の内周側にテーパ部を有する案内部と、
上縁部に、外側に向かって張り出した張出部を有するとともに、前記案内部内に当該案内部の内周壁に摺動可能に収納され、前記張出部と前記案内部が有するテーパ部との位置関係に応じて開閉するクランプ爪部が上縁部に設けられたクランプ部材と、
前記主軸部に設けられたブレーキディスクと、
前記ブレーキディスクの回転を停止させる回転停止部と、
前記回転停止部の制御部と、
を有するツールプリセッタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ツールプリセッタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工具を竪型姿勢でセットする主軸部(スピンドル本体)を備え、その主軸部を任意の回転位置で固定するためのロック手段を備えたツールプリセッタが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1におけるロック手段は、雄ねじ部を有する押付けロッドの先端部が主軸部の外周面に押し付けられることで主軸部を任意の回転位置で固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平4-73448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ツールプリセッタに、ドリル等の工具をセットする場合、テーパコレットを用いて工具を保持する工具ホルダーが用いられる場合がある。テーパコレットは、工具ホルダー内に収容され、工具ホルダーの上部に装着されるナットによって締め付けられることで縮径し、その中心部に設置された工具を固定する。ナットの締め付けは、例えば、工具の高さ位置の調整時に行われる。ツールプリセッタにおいて工具の高さ位置を調整するためには、工具の状態を検出するためのセンサーやカメラ等に対し、工具を所定の回転位相でセットすることが求められる場合がある。このため、工具ホルダーが装着される主軸部は、任意の回転位置で固定できることが望ましい。従来のツールプリセッタが備えるロック手段は、主軸部を任意の回転位置で固定することができる。しかしながら、ナット締付作業時の締付トルクは大きく、工具ホルダーを主軸部に装着した状態でナットの締め付けを行うと、従来のロック手段を用いても、主軸部を任意の回転位置に固定しておくことが困難であることが想定される。
【0005】
そこで、本明細書開示のツールプリセッタは、ナット締付作業時に、主軸部を任意の回転位置で固定することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示されたツールプリセッタは、工具を挟持するテーパコレットと、前記テーパコレットを収納すると共に、収納した前記テーパコレットを縮径すると共に軸方向下方に向かって押し付けるナットを有する工具ホルダーと、前記工具ホルダーを保持するテーパ部を備えた主軸部と、筒状であり、前記主軸部の下端部に設けられ、上縁部の内周側にテーパ部を有する案内部と、上縁部に、外側に向かって張り出した張出部を有するとともに、前記案内部内に当該案内部の内周壁に摺動可能に収納され、前記張出部と前記案内部が有するテーパ部との位置関係に応じて開閉するクランプ爪部が上縁部に設けられたクランプ部材と、前記主軸部に設けられたブレーキディスクと、前記ブレーキディスクの回転を停止させる回転停止部と、前記回転停止部の制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本明細書開示のツールプリセッタによれば、ナット締付作業時に、主軸部を任意の回転位置で固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態のツールプリセッタの概略構成を模式的に示す説明図である。
図2図2は枠体に設置された主軸部周辺を拡大して示す説明図である。
図3図3は工具ホルダーを、その一部を断面として示す説明図である。
図4図4は工具ホルダーの上端部に装着されるナットの周辺を拡大して示す説明図である。
図5図5(A)は工具ホルダーの主軸部へのクランプを解除した状態を示す説明図であり、図5(B)は工具ホルダーを主軸部へクランプした状態を示す説明図である。
図6図6は実施形態のツールプリセッタにおける工具装着作業の一例を示すフローチャートである。
図7図7は他の実施形態のツールプリセッタが備える枠体に設置された主軸部周辺を拡大して示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては細部が省略されて描かれている場合もある。以下の説明におけるX軸方向及びZ軸方向は、図1に示す方向に設定されているものとする。本実施形態において、Z軸方向は、鉛直方向と一致しており、X軸方向は、Z軸方向と直交しており、水平面に含まれている。
【0010】
(実施形態)
まず、図1を参照して、実施形態のツールプリセッタ100について説明する。ツールプリセッタ100は、基台101にX軸方向に沿って延びるように設けられた第1レール部102上を移動可能に設けられた第1スライダ部103を備える。第1スライダ部103には、Z軸方向に沿って立設されたコラム104が設けられている。コラム104には、Z軸方向に沿って延びる第2レール部105が設けられている。第2レール部105には、Z軸方向に移動する第2スライダ部106が設けられている。第2スライダ部106には、アーム部107を介してカメラ108及び光源109が装着されている。カメラ108と光源109とは対向させて配置されており、カメラ108と光源109との間に配置される工具34の装着状態を検出する。工具34については、後に詳説する。
【0011】
ツールプリセッタ100の基台101には、枠体10が固定されている。図2を参照すると、枠体10は、中空円筒形状を有しており、軸受11、12を介して主軸部13を回転可能に支持している。主軸部13は、中空円筒形状を有しており、その内周側にZ軸方向に沿って下方に向かうほど内径が小径となるテーパ部13aを備えている。テーパ部13aには、後述する工具ホルダー30が保持される。主軸部13の上縁部には、上方に向かって突出したドライブキー13bが設けられている。
【0012】
主軸部13の下端部には、筒状の案内部14が設けられている。案内部14の上縁部にはテーパ部14aが設けられている。テーパ部14aの内径は、Z軸方向に沿って下方に向かうほど小径となっている。案内部14の内側には、クランプ部材15が案内部14の内周壁に摺動可能に収納されている。クランプ部材15の上縁部には、一対のクランプ爪部15aが設けられている。一対のクランプ爪部15aは、クランプ部材15の弾性によって接近及び離間することができ、これにより、後に説明する係合部36に係合し、把持することができる。それぞれのクランプ爪部15aは、その外側に張出部15bを備えている。この張出部15bがテーパ部14aよりも上方に位置しているときには、クランプ爪部15aは、離間して開いた状態となる。これに対し、クランプ部材15が案内部14内で下方に移動すると、張出部15bがテーパ部14aに接触し、これに伴って、クランプ爪部15aが接近し、クランプ爪部15aは閉じた状態となる。
【0013】
クランプ部材15の下端部には、連結部材16を介して牽引軸部材17が設けられている。牽引軸部材17は、Z軸方向下方に移動可能に設けられており、この牽引軸部材17を作動させることで、クランプ部材15を下方に移動させ、クランプ爪部15aを閉じる。
【0014】
主軸部13には、ブレーキディスク18が取り付けられている。ブレーキディスク18は、主軸部13の下端に取付ボルト19によって取り付けられている。ブレーキディスク18と主軸部13との間には、回り止めピン20が装着されている。これにより、ブレーキディスク18は、主軸部13と一体化され、主軸部13とともに回転する。
【0015】
枠体10の下端部には、ブレーキシリンダ21が取り付けられている。ブレーキシリンダ21には、圧縮空気導入部22が設けられると共に、この圧縮空気導入部22内に圧縮空気が導入されることでブレーキディスク18に押しけられるブレーキシュー23が組み込まれている。本実施形態におけるブレーキシュー23はブレーキディスク18を挟持するように配置されている。ブレーキシリンダ21は、取付ボルト24によって、枠体10の下端部に取り付けられている。ブレーキシリンダ21と枠体10との間には、回り止めピン25が装着されている。これにより、ブレーキシリンダ21は、枠体10と一体化されている。ブレーキシリンダ21、圧縮空気導入部22及びブレーキシュー23は、ブレーキディスク18の回転を停止させる回転停止部として機能する。
【0016】
ブレーキシュー23は、圧縮空気によってブレーキディスク18に押し付けられることで主軸部13を任意の回転位置で固定する。ブレーキシュー23は、ブレーキディスク18に押し付けられ、その回転を停止し、ブレーキディスク18及び主軸部13を固定状態とすることができればよい。本実施形態のブレーキシュー23は、ブレーキディスク18を挟持することで、より強力にブレーキディスク18及び主軸部13を固定することができる。
【0017】
図3及び図4を参照すると、工具ホルダー30は、その下端側に、Z軸方向に沿って下方に向かうほど外径が小径となっている外側テーパ部31を備えている。外側テーパ部31は、主軸部13が備えるテーパ部13aに保持される。外側テーパ部31の上側には、フランジ部31aが設けられている。フランジ部31aには、ドライブ溝37が設けられている。ドライブ溝37には、工具ホルダー30が主軸部13に保持され、クランプされた状態となるときに、ドライブキー13bが挿入される。これにより、工具ホルダー30と主軸部13とは、一体となって回転する状態となる。
【0018】
工具ホルダー30は、上部にナット32を備えるとともに、ナット32の装着部分の下側にコレット収納部33を備えている。コレット収納部33には、テーパコレット(以下、「コレット」と称する)50が収納されている。
【0019】
コレット収納部33の内径は、Z軸方向に沿って下方に向かうほど小径となっている。一方、コレット50は、周方向に複数の部分に分割されており、中心部に工具34を挿入した状態で縮径されることで、工具34を狭持する。コレット50は、下部テーパ部50aと、上部テーパ部50bとを有する。下部テーパ部50aの外径は、Z軸方向に沿って下方に向かうほど小径となっている。上部テーパ部50bの外径は、Z軸方向に沿って下方に向かうほど大径となっている。下部テーパ部50aは、コレット50がコレット収納部33内に収納されたときに、コレット収納部33の内周壁に接触する。上部テーパ部50bは、ナット32の内側に接触する。このような状態でナット32が締め付けられると、図4に示すように、ナット32は、コレット50を縮径するとともに、コレット50を軸方向(Z軸方向)下方に向かって押し付ける。コレット50が縮径すると、工具34がコレット50に狭持される。また、コレット50が軸方向下方に向かって押し付けられることで、下部テーパ部50aがコレット収納部33の内周壁に密着し、コレット50、ひいては、工具34が工具ホルダー30に固定された状態となる。本実施形態の工具34は、ドリルであるが、リーマ等、その他の工具であってもよい。
【0020】
工具ホルダー30の下部テーパ部50aには、下方に向かって延びるプルスタッドボルト35が設けられている。プルスタッドボルト35の下端には、プルスタッドボルト35の軸部の外径よりも外径が大きい係合部36が設けられている。係合部36は、クランプ部材15が備えるクランプ爪部15aによって狭持される。
【0021】
ここで、図5(A)及び図5(B)を参照して、工具ホルダー30の主軸部13へのクランプが解除された状態と、工具ホルダー30が主軸部13へクランプされた状態について説明する。図5(A)を参照すると、クランプ部材15の張出部15bがテーパ部14aよりも上方に位置している。この状態では、クランプ爪部15aは、離間して開いた状態となっており、クランプ爪部15aは、係合部36と係合していない。このため、工具ホルダー30は、主軸部13へのクランプが解除された状態となっている。一方、図5(B)に示すように、牽引軸部材17を下方に引かれ、クランプ部材15が下方に移動すると、張出部15bが案内部14のテーパ部14aに接触する。これに伴って、クランプ爪部15aが接近し、クランプ爪部15aは閉じた状態となって係合部36に係合される。クランプ爪部15aが係合部36に係合した状態で牽引軸部材17がさらに下方に引かれると、外側テーパ部31が主軸部13のテーパ部13aに密着し、工具ホルダー30が、主軸部13にクランプされた状態となる。
【0022】
つぎに、再び図1及び図2を参照すると、ツールプリセッタ100は、回転停止部の一部として機能するブレーキシリンダ21の制御部40を備える。制御部40は、圧縮空気源を含み、圧縮空気を圧縮空気導入部22へ導入するための経路及び制御弁を含んでいる。制御部40は、主軸部13を固定したいときに制御弁を開いて圧縮空気を圧縮空気導入部へ送り込み、ブレーキシュー23でブレーキディスク18を挟持する。これにより、主軸部13は、任意の回転位置で固定される。主軸部13は、ブレーキディスク18がブレーキシュー23で狭持されている間、固定状態が維持される。
【0023】
つぎに、図6を参照して、実施形態のツールプリセッタ100における工具装着作業の一例について説明する。まず、ステップS1では、工具34が挿入されたコレット50を収納した工具ホルダー30を主軸部13にセットする。工具ホルダー30は、牽引軸部材17を下方に引くことで主軸部13にクランプされる。
【0024】
ステップS1に引き続いて行われるステップS2では、コレット50の仮締め、具体的には、ナット32の仮締めを行う。つぎに、ステップS3において、カメラ108を工具34の高さ位置(突き出し量)を測定する位置に移動させる。
【0025】
ステップS3に引き続いて行われるステップS4では、切れ刃位相を割り出す。ここで、切れ刃位相とは、カメラ108に対し、工具34の刃先が最高点を示す位相である。切れ刃位相は、カメラ108によって工具34を撮影することによって得られる工具34の高さの測定値を監視しながら主軸部13を回転させることで割り出す。
【0026】
ステップS4に引き続いて行われるステップS5では、切れ刃を目標高さに調整する。ここで、切れ刃の目標高さは、ステップS7で行われるコレット50の締め付けによる切れ刃高さの変化を考慮して行う。ナット32によってコレット50を締め付けると、工具34は、下方に引き込まれ、工具長が変動する。この工具長の変動量は、工具34のシャンク径や用いられるコレット50の種類、ナット32の締付トルクの影響を受ける。このため、用いられた工具34及びコレット50と、予め定めた締付トルクに応じた変動量を調査しておき、その変動量を考慮して切れ刃の高さを調整する。
【0027】
ステップS5に引き続いて行われるステップS6では、制御部40によってブレーキシリンダ21を作動させてブレーキシュー23によってブレーキディスク18を挟持し、主軸部13を固定する。このとき、工具34の刃先は、カメラ108に対して最高点を示し、カメラ108に対する切れ刃位相は維持されている。
【0028】
ステップS6に引き続いて行われるステップS7では、ナット32によってコレット50の締め付けが行われる。このとき、ブレーキディスク18はブレーキシュー23によって狭持され、主軸部13は、固定されているため、切れ刃位相は維持される。このため、その状態で切れ刃高さの測定をすることができる。ステップS8において、カメラ108による撮影によって取得された画像を用いて切れ刃高さの測定、確認が行われる。
【0029】
ステップS9では、切れ刃高さが公差内であるか否かを判定する。ステップS9でYESと判定したときは、ツールプリセッタ100における工具装着作業は完了する。一方、ステップS9でNOと判定したときは、ステップS10において、コレット50の締め付けを解除し、その後、ステップS9でYESと判定されるまでステップS3からの処理を繰り返す。
【0030】
このように、本実施形態のツールプリセッタ100は、ブレーキシリンダ21を作動させることでカメラ108に対する切れ刃位相を維持した状態で主軸部13を固定することができる。このため、ナット32の締付作業時に切れ刃位相を維持することができる。
【0031】
仮に、主軸部13の外周面にロッドの先端部を押し付ける形式の回転停止部を採用すると、ナット32の締付作業における締付トルクに耐えることができず、主軸部13が回転してしまうことが想定される。主軸部13が回転すると切れ刃位相がずれることになるので、切れ刃高さを測定するために、再度、切れ刃位相を割り出さなければならない。
【0032】
また、仮に、ナット32の締付トルクに対抗できるように、主軸部13の外周壁にロッドが挿し込まれる挿込穴を設けた構成とすることも考えられるが、このような構成も以下のような不都合が考えられる。
【0033】
主軸部13を固定するために、挿込穴は、主軸部13の外周壁に少なくとも一つ設けられていればよいが、このような形態では、主軸部13を任意の回転位置で固定することができない。主軸部13を任意の回転位置で固定することができないと、ツールプリセッタ100における工具装着作業の工程が増す。本実施形態であれば、切れ刃を目標高さに調整するステップS5に引き続いて、ブレーキシリンダ21を作動させ、主軸部13を固定することができる(ステップS6)。これに対し、ロッドを挿込穴に挿し込むことで主軸部13を固定する形態であると、ロッドを挿込穴に挿し込むことができる位置まで主軸部13を回転させなければならない。さらに、コレット50の締め付けを行った後、再度、切れ刃位相の割り出しを行わなければならない。ロッドを挿込穴に挿し込むことができる位置まで主軸部13を回転させたことで切れ刃位相がずれてしまうからである。
【0034】
本実施形態のツールプリセッタ100によれば、主軸部13を任意の回転位置で固定することができるので、切れ刃位相を維持した状態で主軸部13を固定することができる。この結果、ツールプリセッタ100における工具装着作業を簡略化し、作業時間を短縮することができる。
【0035】
本実施形態のブレーキディスク18は、圧縮空気によってブレーキシュー23を作動させるが、油圧によってブレーキシューを作動させるようにしてもよい。また、図7に示すように、電磁ブレーキ71によって回転が停止され、固定状態とされるブレーキディスク68を採用してもよい。ブレーキディスク68は、主軸部13の下端に取付ボルト69によって取り付けられている。ブレーキディスク68と主軸部13との間には、回り止めピン70が装着されている。これにより、ブレーキディスク68は、主軸部13と一体化され、主軸部13とともに回転する。
【0036】
枠体10の下端部には、電磁ブレーキ71が取り付けられている。電磁ブレーキ71は、コイル部72を備えており、コイル部72に通電されると、磁力が生じ、ブレーキディスク68の回転を停止させる。このような形態であっても、主軸部13を任意の回転位置で固定することができる。ブレーキディスク68は、コイル部72が生じさせる磁力によって吸着される性質を有していればよく、鉄等の強磁性体により形成されていることが望ましい。電磁ブレーキは、従来高知の種々の形態のものを採用することができる。
【0037】
上記実施形態は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
【符号の説明】
【0038】
10 枠体
13 主軸部
15 クランプ部材
18、68 ブレーキディスク
21 ブレーキシリンダ
22 圧縮空気導入部
23 ブレーキシュー
24 取付ボルト
25 回り止めピン
30 工具ホルダー
32 ナット
33 コレット収納部
34 工具
50 コレット
71 電磁ブレーキ
100 ツールプリセッタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7