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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】産業用ロボットの補正値算出方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/10 20060101AFI20220517BHJP
【FI】
B25J9/10 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018025686
(22)【出願日】2018-02-16
(65)【公開番号】P2019141919
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 隆之
(72)【発明者】
【氏名】田辺 智樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 一樹
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-306705(JP,A)
【文献】特開平05-038698(JP,A)
【文献】特開平07-164362(JP,A)
【文献】特開平09-309083(JP,A)
【文献】特開平11-254359(JP,A)
【文献】特開2003-048181(JP,A)
【文献】特開2005-028529(JP,A)
【文献】特開2006-318975(JP,A)
【文献】特開2007-152495(JP,A)
【文献】特開2009-107107(JP,A)
【文献】特開2014-034107(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0137751(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/06-19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用ロボットの動作を補正するための補正値を算出する産業用ロボットの補正値算出方法であって、
前記産業用ロボットは、本体部と、前記本体部に基端側が回動可能に連結される第1アーム部と前記第1アーム部の先端側に基端側が回動可能に連結される第2アーム部とを有するアームと、前記第2アーム部の先端側に回動可能に連結されるハンド基部と前記ハンド基部から水平方向の一方向に伸びるとともに搬送対象物が搭載されるハンドフォークとを有するハンドと、前記本体部に対して前記第1アーム部を回動させるための第1モータと、前記第1アーム部に対して前記第2アーム部を回動させるための第2モータと、前記第2アーム部に対して前記ハンド基部を回動させるための第3モータと、前記第1モータの回転量を検知するための第1エンコーダと、前記第2モータの回転量を検知するための第2エンコーダと、前記第3モータの回転量を検知するための第3エンコーダと、前記本体部に対する前記第1アーム部の回動方向における前記第1アーム部の原点位置を検知するための第1原点センサと、前記第1アーム部に対する前記第2アーム部の回動方向における前記第2アーム部の原点位置を検知するための第2原点センサと、前記第2アーム部に対する前記ハンド基部の回動方向における前記ハンド基部の原点位置を検知するための第3原点センサとを備え、
前記第1アーム部に対する前記第2アーム部の回動方向における前記第2アーム部の所定の基準位置を第1基準位置とし、前記第2アーム部に対する前記ハンド基部の回動方向における前記ハンド基部の所定の基準位置を第2基準位置とし、前記ハンド基部に対する前記ハンドフォークの長手方向に直交する方向における前記ハンドフォークの所定の基準位置を第3基準位置とし、前記本体部に対する前記第1アーム部の回動方向における前記第1アーム部の所定の基準位置を第4基準位置とすると、
前記産業用ロボットの補正値算出方法は、
前記第1基準位置で前記第2アーム部が停止するように前記第2原点センサの検知結果に基づいてまたは前記第2原点センサの検知結果と前記第2エンコーダの検知結果とに基づいて前記第2アーム部を停止させたときの前記第2アーム部の停止位置である第1停止位置から、前記第1基準位置に前記第2アーム部を位置決めするための第1位置決め治具によって前記第2アーム部が位置決めされる位置まで前記第2アーム部を回動させたときの前記第2エンコーダの検知結果と、前記第1停止位置に前記第2アーム部が停止しているときの前記第2エンコーダの値とに基づいて前記第1基準位置を特定する第1基準位置特定工程と、
前記第1基準位置特定工程後、前記第1基準位置特定工程で特定された前記第1基準位置に前記第2アーム部が配置されている状態で、前記第2基準位置で前記ハンド基部が停止するように前記第3原点センサの検知結果に基づいてまたは前記第3原点センサの検知結果と前記第3エンコーダの検知結果とに基づいて前記ハンド基部を停止させたときの前記ハンド基部の停止位置である第2停止位置から、前記第2基準位置に前記ハンド基部を位置決めするための第2位置決め治具によって前記ハンド基部が位置決めされる位置まで前記ハンド基部を回動させたときの前記第3エンコーダの検知結果と、前記第2停止位置に前記ハンド基部が停止しているときの前記第3エンコーダの値とに基づいて前記第2基準位置を特定する第2基準位置特定工程と、
前記第2基準位置特定工程後、前記第1基準位置特定工程で特定された前記第1基準位置に前記第2アーム部が配置され、かつ、前記第2基準位置特定工程で特定された前記第2基準位置に前記ハンド基部が配置されている状態で、前記第3基準位置に前記ハンドフォークを位置決めするための第3位置決め治具によって前記ハンドフォークを位置決めするハンドフォーク位置決め工程と、
前記ハンドフォーク位置決め工程後に、前記ハンドフォークの上面に取り付けられた位置決め部材によって前記ハンドフォークに対して検知用パネルが位置決めされるように前記ハンドフォークに前記検知用パネルを搭載するパネル搭載工程と、
前記ハンドフォーク位置決め工程後または前記パネル搭載工程後に、前記第4基準位置で前記第1アーム部が停止するように前記第1原点センサの検知結果に基づいてまたは前記第1原点センサの検知結果と前記第1エンコーダの検知結果とに基づいて前記第1アーム部を停止させたときの前記第1アーム部の停止位置である第3停止位置を基準にして前記第1モータを駆動制御し、前記第1基準位置特定工程で特定された前記第1基準位置を基準にして前記第2モータを駆動制御するとともに、前記第2基準位置特定工程で特定された前記第2基準位置を基準にして前記第3モータを駆動制御して、前記産業用ロボットを仮の基準姿勢にするロボット動作工程と、
前記ロボット動作工程後に、前記産業用ロボットを動作させて前記搬送対象物の受渡し位置に前記ハンドフォークを移動させるハンド移動工程と、
前記ハンド移動工程後に、所定の基準位置である第5基準位置と前記本体部に対する前記第1アーム部の回動方向における前記検知用パネルのエッジとの、前記本体部に対する前記第1アーム部の回動方向におけるずれ量に基づいて前記第1モータを制御するための補正値を算出する補正値算出工程とを備えることを特徴とする産業用ロボットの補正値算出方法。
【請求項2】
前記補正値算出工程では、前記第5基準位置に配置される1個のセンサで前記検知用パネルのエッジが検知されるまで前記第1アーム部を回動させたときの前記第1エンコーダの検知結果に基づいて前記補正値を算出することを特徴とする請求項1記載の産業用ロボットの補正値算出方法。
【請求項3】
前記補正値算出工程では、1個のカメラを用いて、前記第5基準位置と前記検知用パネルのエッジとの、前記本体部に対する前記第1アーム部の回動方向におけるずれ量を求めることを特徴とする請求項1記載の産業用ロボットの補正値算出方法。
【請求項4】
前記補正値算出工程では、前記本体部に対する前記第1アーム部の回動方向において前記第5基準位置と前記検知用パネルのエッジとが一致する位置で前記検知用パネルを位置決めするための第4位置決め治具によって前記検知用パネルが位置決めされる位置まで前記第1アーム部を回動させたときの前記第1エンコーダの検知結果に基づいて前記補正値を算出することを特徴とする請求項1記載の産業用ロボットの補正値算出方法。
【請求項5】
前記第2アーム部が前記第1基準位置にあるときには、前記第1アーム部と前記第2アーム部とが上下方向で重なり、
前記ハンド基部が前記第2基準位置にあるときには、前記第2アーム部と前記ハンドフォークとが上下方向で重なっていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の産業用ロボットの補正値算出方法。
【請求項6】
前記第1位置決め治具は、前記第1アーム部および前記第2アーム部のいずれか一方に固定される第1固定部材と、前記第1アーム部および前記第2アーム部のいずれか他方に形成される第1挿入穴と前記第1固定部材に形成される第1貫通穴とに挿入される第1ピンとを備えることを特徴とする請求項5記載の産業用ロボットの補正値算出方法。
【請求項7】
前記第2位置決め治具は、前記第1アーム部および前記ハンド基部のいずれか一方に固定される第2固定部材と、前記第1アーム部および前記ハンド基部のいずれか他方に形成される第2挿入穴と前記第2固定部材に形成される第2貫通穴とに挿入される第2ピンとを備えることを特徴とする請求項5または6記載の産業用ロボットの補正値算出方法。
【請求項8】
前記ハンドは、2本の前記ハンドフォークを備え、
前記第3位置決め治具は、2本の前記ハンドフォークおよび前記第2アーム部のいずれか一方に固定される第3固定部材と、2本の前記ハンドフォークおよび前記第2アーム部のいずれか他方に形成される第3挿入穴と前記第3固定部材に形成される第3貫通穴とに挿入される第3ピンとを備えることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の産業用ロボットの補正値算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ロボットの動作を補正するための補正値を算出する産業用ロボットの補正値算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス基板を搬送する産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の産業用ロボットは、有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)ディスプレイの製造システムに組み込まれて使用される水平多関節ロボットであり、ガラス基板が搭載されるハンドと、ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、アームの基端側が回動可能に連結される本体部とを備えている。
【0003】
アームは、基端側が本体部に回動可能に連結される第1アーム部と、第1アーム部の先端側に基端側が回動可能に連結される第2アーム部とを備えている。ハンドは、第2アーム部の先端側に回動可能に連結されるハンド基部と、ハンド基部に固定されるとともにガラス基板が搭載されるハンドフォークとを備えている。また、特許文献1に記載の産業用ロボットは、本体部に対して第1アーム部を回動させるためのモータと、第1アーム部に対して第2アーム部を回動させるためのモータと、第2アーム部に対してハンド基部を回動させるためのモータとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-139854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の産業用ロボットが有機ELディスプレイ等の製造システムに設置されると、産業用ロボットの動作プログラムを作成するために、一般に、産業用ロボットの教示作業が行われている。また、たとえば、製造システムに設置される産業用ロボットが交換されたり、産業用ロボットのモータが交換されたりすると、交換前の産業用ロボットの教示作業で教示された教示位置の座標に対して、交換後の産業用ロボットのロボット座標系がずれる。そのため、産業用ロボットが交換されたり、産業用ロボットのモータが交換されたりした場合にも、一般に、産業用ロボットの教示作業が再度行われている。
【0006】
一方で、交換前の産業用ロボットの教示作業で教示された教示位置の座標に対する交換後の産業用ロボットのロボット座標系のずれを補正すれば、煩雑な教示作業を再度行う必要がなくなる。そのため、本願発明者は、交換前の産業用ロボットの教示作業で教示された教示位置の座標に対する交換後の産業用ロボットのロボット座標系のずれを補正するための補正値を算出して、ずれを補正することを検討している。ずれを補正するための補正値を算出する際には、補正値を容易に算出できることが好ましい。
【0007】
そこで、本発明の課題は、交換前の産業用ロボットの教示作業で教示された教示位置の座標に対する交換後の産業用ロボットのロボット座標系のずれを補正するための補正値を比較的容易に算出することが可能な産業用ロボットの補正値算出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットの補正値算出方法は、産業用ロボットの動作を補正するための補正値を算出する産業用ロボットの補正値算出方法であって、産業用ロボットは、本体部と、本体部に基端側が回動可能に連結される第1アーム部と第1アーム部の先端側に基端側が回動可能に連結される第2アーム部とを有するアームと、第2アーム部の先端側に回動可能に連結されるハンド基部とハンド基部から水平方向の一方向に伸びるとともに搬送対象物が搭載されるハンドフォークとを有するハンドと、本体部に対して第1アーム部を回動させるための第1モータと、第1アーム部に対して第2アーム部を回動させるための第2モータと、第2アーム部に対してハンド基部を回動させるための第3モータと、第1モータの回転量を検知するための第1エンコーダと、第2モータの回転量を検知するための第2エンコーダと、第3モータの回転量を検知するための第3エンコーダと、本体部に対する第1アーム部の回動方向における第1アーム部の原点位置を検知するための第1原点センサと、第1アーム部に対する第2アーム部の回動方向における第2アーム部の原点位置を検知するための第2原点センサと、第2アーム部に対するハンド基部の回動方向におけるハンド基部の原点位置を検知するための第3原点センサとを備え、第1アーム部に対する第2アーム部の回動方向における第2アーム部の所定の基準位置を第1基準位置とし、第2アーム部に対するハンド基部の回動方向におけるハンド基部の所定の基準位置を第2基準位置とし、ハンド基部に対するハンドフォークの長手方向に直交する方向におけるハンドフォークの所定の基準位置を第3基準位置とし、本体部に対する第1アーム部の回動方向における第1アーム部の所定の基準位置を第4基準位置とすると、産業用ロボットの補正値算出方法は、第1基準位置で第2アーム部が停止するように第2原点センサの検知結果に基づいてまたは第2原点センサの検知結果と第2エンコーダの検知結果とに基づいて第2アーム部を停止させたときの第2アーム部の停止位置である第1停止位置から、第1基準位置に第2アーム部を位置決めするための第1位置決め治具によって第2アーム部が位置決めされる位置まで第2アーム部を回動させたときの第2エンコーダの検知結果と、第1停止位置に第2アーム部が停止しているときの第2エンコーダの値とに基づいて第1基準位置を特定する第1基準位置特定工程と、第1基準位置特定工程後、第1基準位置特定工程で特定された第1基準位置に第2アーム部が配置されている状態で、第2基準位置でハンド基部が停止するように第3原点センサの検知結果に基づいてまたは第3原点センサの検知結果と第3エンコーダの検知結果とに基づいてハンド基部を停止させたときのハンド基部の停止位置である第2停止位置から、第2基準位置にハンド基部を位置決めするための第2位置決め治具によってハンド基部が位置決めされる位置までハンド基部を回動させたときの第3エンコーダの検知結果と、第2停止位置にハンド基部が停止しているときの第3エンコーダの値とに基づいて第2基準位置を特定する第2基準位置特定工程と、第2基準位置特定工程後、第1基準位置特定工程で特定された第1基準位置に第2アーム部が配置され、かつ、第2基準位置特定工程で特定された第2基準位置にハンド基部が配置されている状態で、第3基準位置にハンドフォークを位置決めするための第3位置決め治具によってハンドフォークを位置決めするハンドフォーク位置決め工程と、ハンドフォーク位置決め工程後に、ハンドフォークの上面に取り付けられた位置決め部材によってハンドフォークに対して検知用パネルが位置決めされるようにハンドフォークに検知用パネルを搭載するパネル搭載工程と、ハンドフォーク位置決め工程後またはパネル搭載工程後に、第4基準位置で第1アーム部が停止するように第1原点センサの検知結果に基づいてまたは第1原点センサの検知結果と第1エンコーダの検知結果とに基づいて第1アーム部を停止させたときの第1アーム部の停止位置である第3停止位置を基準にして第1モータを駆動制御し、第1基準位置特定工程で特定された第1基準位置を基準にして第2モータを駆動制御するとともに、第2基準位置特定工程で特定された第2基準位置を基準にして第3モータを駆動制御して、産業用ロボットを仮の基準姿勢にするロボット動作工程と、ロボット動作工程後に、産業用ロボットを動作させて搬送対象物の受渡し位置にハンドフォークを移動させるハンド移動工程と、ハンド移動工程後に、所定の基準位置である第5基準位置と本体部に対する第1アーム部の回動方向における検知用パネルのエッジとの、本体部に対する第1アーム部の回動方向におけるずれ量に基づいて第1モータを制御するための補正値を算出する補正値算出工程とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の産業用ロボットの補正値算出方法では、第1基準位置特定工程において、第1アーム部に対する第2アーム部の回動方向における第2アーム部の基準位置である第1基準位置を第1位置決め治具を用いて特定し、第2基準位置特定工程において、第2アーム部に対するハンド基部の回動方向におけるハンド基部の基準位置である第2基準位置を第2位置決め治具を用いて特定し、ハンドフォーク位置決め工程において、ハンド基部に対するハンドフォークの長手方向に直交する方向におけるハンドフォークの基準位置である第3基準位置に第3位置決め治具によってハンドフォークを位置決めしている。また、本発明では、その後のロボット動作工程において、第1基準位置特定工程で特定された第1基準位置を基準にして第2モータを駆動制御するとともに、第2基準位置特定工程で特定された第2基準位置を基準にして第3モータを駆動制御して、産業用ロボットを仮の基準姿勢にしてから、ハンド移動工程において、搬送対象物の受渡し位置にハンドフォークを移動させている。
【0010】
また、本発明では、その後の補正値算出工程において、所定の第5基準位置と検知用パネルのエッジとの、本体部に対する第1アーム部の回動方向におけるずれ量に基づいて第1モータを制御するための補正値を算出している。すなわち、本発明では、第2アーム部、ハンド基部およびハンドフォークを所定の基準位置に合わせた状態で搬送対象物の受渡し位置にハンドフォークを移動させた後、第5基準位置と検知用パネルのエッジとの、本体部に対する第1アーム部の回動方向におけるずれ量に基づいて第1モータを制御するための補正値を算出している。
【0011】
そのため、本発明では、交換前の産業用ロボットのハンドフォークが搬送対象物の受渡し位置に移動したときに、交換前の産業用ロボットのハンドフォークに搭載された検知用パネルのエッジが配置される所定の位置を第5基準位置とすれば、第1モータを制御するための補正値を算出することで、交換前の産業用ロボットの教示作業で教示された教示位置の座標に対する交換後の産業用ロボットのロボット座標系のずれを補正するための補正値を算出することが可能になる。
【0012】
すなわち、本発明では、第5基準位置と検知用パネルのエッジとの、本体部に対する第1アーム部の回動方向におけるずれ量に基づいて補正値を算出することで、交換前の産業用ロボットの教示作業で教示された教示位置の座標に対する交換後の産業用ロボットのロボット座標系のずれを補正するための補正値を算出することが可能になる。したがって、本発明では、交換前の産業用ロボットの教示作業で教示された教示位置の座標に対する交換後の産業用ロボットのロボット座標系のずれを補正するための補正値を比較的容易に算出することが可能になる。
【0013】
本発明において、補正値算出工程では、たとえば、第5基準位置に配置される1個のセンサで検知用パネルのエッジが検知されるまで第1アーム部を回動させたときの第1エンコーダの検知結果に基づいて補正値を算出する。この場合には、比較的安価なセンサを使用して補正値を算出することが可能になる。なお、本発明では、補正値算出工程において、第5基準位置と検知用パネルのエッジとの、本体部に対する第1アーム部の回動方向におけるずれ量に基づいて補正値を算出すれば良いため、1個のセンサを用いて補正値を算出することが可能になる。
【0014】
また、本発明において、補正値算出工程では、たとえば、1個のカメラを用いて、第5基準位置と検知用パネルのエッジとの、本体部に対する第1アーム部の回動方向におけるずれ量を求めても良い。本発明では、補正値算出工程において、第5基準位置と検知用パネルのエッジとの、本体部に対する第1アーム部の回動方向におけるずれ量に基づいて補正値を算出すれば良いため、1個のカメラを用いて補正値を算出することが可能になる。
【0015】
さらに、本発明において、補正値算出工程では、たとえば、本体部に対する第1アーム部の回動方向において第5基準位置と検知用パネルのエッジとが一致する位置で検知用パネルを位置決めするための第4位置決め治具によって検知用パネルが位置決めされる位置まで第1アーム部を回動させたときの第1エンコーダの検知結果に基づいて補正値を算出しても良い。
【0016】
本発明において、たとえば、第2アーム部が第1基準位置にあるときには、第1アーム部と第2アーム部とが上下方向で重なり、ハンド基部が第2基準位置にあるときには、第2アーム部とハンドフォークとが上下方向で重なっている。
【0017】
本発明において、第1位置決め治具は、たとえば、第1アーム部および第2アーム部のいずれか一方に固定される第1固定部材と、第1アーム部および第2アーム部のいずれか他方に形成される第1挿入穴と第1固定部材に形成される第1貫通穴とに挿入される第1ピンとを備えている。この場合には、比較的簡易な構成で、第2アーム部を第1基準位置に位置決めすることが可能になる。
【0018】
本発明において、第2位置決め治具は、たとえば、第1アーム部およびハンド基部のいずれか一方に固定される第2固定部材と、第1アーム部およびハンド基部のいずれか他方に形成される第2挿入穴と第2固定部材に形成される第2貫通穴とに挿入される第2ピンとを備えている。この場合には、比較的簡易な構成で、ハンド基部を第2基準位置に位置決めすることが可能になる。
【0019】
本発明において、ハンドは、2本のハンドフォークを備え、第3位置決め治具は、たとえば、2本のハンドフォークおよび第2アーム部のいずれか一方に固定される第3固定部材と、2本のハンドフォークおよび第2アーム部のいずれか他方に形成される第3挿入穴と第3固定部材に形成される第3貫通穴とに挿入される第3ピンとを備えている。この場合には、比較的簡易な構成で、2本のハンドフォークを第3基準位置に位置決めすることが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明の産業用ロボットの補正値算出方法では、交換前の産業用ロボットの教示作業で教示された教示位置の座標に対する交換後の産業用ロボットのロボット座標系のずれを補正するための補正値を比較的容易に算出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの補正値算出方法によって補正値が算出される産業用ロボットの図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
図2図1に示す産業用ロボットが有機ELディスプレイの製造システムに組み込まれた状態を示す平面図である。
図3図1に示す産業用ロボットの構成を説明するためのブロック図である。
図4図1に示す産業用ロボットに第1位置決め治具、第2位置決め治具および第3位置決め治具が取り付けられた状態の図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
図5】(A)は、図4(B)のE部の拡大図であり、(B)は、(A)のF-F方向から第1位置決め治具等を示す図であり、(C)は、(A)のG部の拡大図である。
図6】(A)は、図4(B)のH部の拡大図であり、(B)は、(A)のJ-J方向から第2位置決め治具等を示す図であり、(C)は、(A)のK部の拡大図である。
図7】(A)は、図4(A)のL部の拡大図であり、(B)は、図4(B)のM部の拡大図であり、(C)は、(B)のN-N方向から第3位置決め治具等を示す図であり、(D)は、(B)のP部の拡大図である。
図8図1に示す産業用ロボットの補正値を算出する補正値算出工程での産業用ロボットの動作を説明するための図である。
図9】本発明の他の実施の形態にかかる補正値算出工程での産業用ロボットの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
(産業用ロボットの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの補正値算出方法によって補正値が算出される産業用ロボット1の図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。図2は、図1に示す産業用ロボット1が有機ELディスプレイの製造システム3に組み込まれた状態を示す平面図である。図3は、図1に示す産業用ロボット1の構成を説明するためのブロック図である。
【0024】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、搬送対象物である有機ELディスプレイ用のガラス基板2(以下、「基板2」とする。)を搬送するためのロボットである。このロボット1は、図2に示すように、有機ELディスプレイの製造システム3に組み込まれて使用される水平多関節ロボットである。製造システム3は、中心に配置されるトランスファーチャンバー4(以下、「チャンバー4」とする。)と、チャンバー4を囲むように配置される複数のチャンバー5~7とを備えている。
【0025】
チャンバー5は、基板2に対して所定の処理を行うためのプロセスチャンバーである。また、チャンバー6は、たとえば、製造システム3に供給される基板2が収容される供給用のチャンバー(ローダ)であり、チャンバー7は、たとえば、製造システム3から排出される基板2が収容される排出用のチャンバー(アンローダ)である。チャンバー4~7の内部は、真空になっている。チャンバー4の内部には、ロボット1の一部が配置されている。ロボット1を構成する後述のハンドフォーク18、19がチャンバー5~7の中に入り込むことで、ロボット1は、複数のチャンバー5~7の間で基板2を搬送する。
【0026】
図1に示すように、ロボット1は、基板2が搭載されるハンド8と、ハンド8が先端側に回動可能に連結されるアーム9と、アーム9の基端側が回動可能に連結される本体部10とを備えている。ハンド8およびアーム9は、本体部10の上側に配置されている。本体部10は、アーム9を昇降させる昇降機構と、昇降機構が収容されるケース体13とを備えている。ケース体13は、略有底円筒状に形成されている。ケース体13の上端には、円板状に形成されたフランジ14が固定されている。
【0027】
上述のように、ロボット1の一部は、チャンバー4の内部に配置されている。具体的には、ロボット1の、フランジ14の下端面よりも上側の部分がチャンバー4の内部に配置されている。すなわち、ロボット1の、フランジ14の下端面よりも上側の部分は、真空領域VRの中に配置されており、ハンド8およびアーム9は、真空チャンバー内(真空中)に配置されている。一方、ロボット1の、フランジ14の下端面よりも下側の部分は、大気領域ARの中(大気中)に配置されている。
【0028】
アーム9は、互いに回動可能に連結される第1アーム部15と第2アーム部16とを備えている。本形態のアーム9は、第1アーム部15と第2アーム部16との2個のアーム部によって構成されている。第1アーム部15の基端側は、本体部10に回動可能に連結されている。第1アーム部15の先端側には、第2アーム部16の基端側が回動可能に連結されている。第2アーム部16の先端側には、ハンド8が回動可能に連結されている。
【0029】
第2アーム部16は、第1アーム部15よりも上側に配置されている。また、ハンド8は、第2アーム部16よりも上側に配置されている。本体部10に対する第1アーム部15の回動中心と第1アーム部15に対する第2アーム部16の回動中心との距離は、第1アーム部15に対する第2アーム部16の回動中心と第2アーム部16に対するハンド8の回動中心との距離と等しくなっている。
【0030】
ハンド8は、第2アーム部16の先端側に回動可能に連結されるハンド基部17と、基板2が搭載されるハンドフォーク18、19とを備えている。本形態のハンド8は、2本のハンドフォーク18と、2本のハンドフォーク19とを備えている。ハンドフォーク18、19は、直線状に形成されている。ハンドフォーク18とハンドフォーク19とは同形状に形成されている。2本のハンドフォーク18は、互いに所定の間隔をあけた状態で平行に配置されている。ハンドフォーク18は、ハンド基部17から水平方向の一方向へ伸びている。2本のハンドフォーク19は、互いに所定の間隔をあけた状態で平行に配置されている。ハンドフォーク19は、ハンド基部17からハンドフォーク18と逆方向に伸びている。
【0031】
ハンドフォーク18、19は、ハンド基部17に固定されている。具体的には、ハンドフォーク18、19は、固定用のネジによってハンド基部17に固定されている。ハンドフォーク18、19には、固定用のネジが挿通される挿通穴が形成されている。この挿通穴は、ハンドフォーク18、19の長手方向に直交する方向を長手方向とする長穴であり、ハンドフォーク18、19の長手方向に直交する方向において、ハンド基部17に対するハンドフォーク18、19の固定位置を調整することが可能となっている。
【0032】
本形態では、1枚の基板2が2本のハンドフォーク18に搭載される。また、1枚の基板2が2本のハンドフォーク19に搭載される。ハンドフォーク18の上面には、搭載される基板2を位置決めするための位置決め部材が取り付けられている。ハンドフォーク19の上面にも、搭載される基板2を位置決めするための位置決め部材が取り付けられている。
【0033】
また、ロボット1は、本体部10に対して第1アーム部15を回動させるためのモータ21と、第1アーム部15に対して第2アーム部16を回動させるためのモータ22と、第2アーム部16に対してハンド基部17を回動させるためのモータ23と、モータ21の回転量を検知するためのエンコーダ24と、モータ22の回転量を検知するためのエンコーダ25と、モータ23の回転量を検知するためのエンコーダ26とを備えている(図3参照)。
【0034】
エンコーダ24は、モータ21に取り付けられている。エンコーダ25は、モータ22に取り付けられ、エンコーダ26は、モータ23に取り付けられている。モータ21およびエンコーダ24は、たとえば、本体部10の内部に配置されている。また、モータ22、23およびエンコーダ25、26は、たとえば、第1アーム部15の内部に配置されている。モータ21~23は、ロボット1の制御部27に電気的に接続されている。エンコーダ24~26も、制御部27に電気的に接続されている。本形態のモータ21は第1モータであり、モータ22は第2モータであり、モータ23は第3モータである。また、エンコーダ24は第1エンコーダであり、エンコーダ25は第2エンコーダであり、エンコーダ26は第3エンコーダである。
【0035】
さらに、ロボット1は、本体部10に対する第1アーム部15の回動方向における第1アーム部15の原点位置を検知するための原点センサ31と、第1アーム部15に対する第2アーム部16の回動方向における第2アーム部16の原点位置を検知するための原点センサ32と、第2アーム部16に対するハンド基部17の回動方向におけるハンド基部17の原点位置を検知するための原点センサ33とを備えている。本形態の原点センサ31は第1原点センサであり、原点センサ32は第2原点センサであり、原点センサ33は第3原点センサである。
【0036】
原点センサ31~33は、たとえば、近接センサである。あるいは、原点センサ31~33は、たとえば、発光素子と受光素子とを有する光学式のセンサである。原点センサ31~33は、制御部27に電気的に接続されている。本体部10と第1アーム部15との連結部である関節部において、原点センサ31は、本体部10および第1アーム部15のいずれか一方に固定され、本体部10および第1アーム15のいずれか他方には、第1アーム部15が原点位置にあるときに原点センサ31に検知される検知部材が固定されている。
【0037】
同様に、第1アーム部15と第2アーム部16との連結部である関節部において、原点センサ32は、第1アーム部15および第2アーム部16のいずれか一方に固定され、第1アーム部15および第2アーム16のいずれか他方には、第2アーム部16が原点位置にあるときに原点センサ32に検知される検知部材が固定されている。また、第2アーム部16とハンド基部17との連結部である関節部において、原点センサ33は、第2アーム部16およびハンド基部17のいずれか一方に固定され、第2アーム部16およびハンド基部17のいずれか他方には、ハンド基部17が原点位置にあるときに原点センサ33に検知される検知部材が固定されている。
【0038】
(産業用ロボットの補正値の算出方法)
図4は、図1に示すロボット1に位置決め治具36~38が取り付けられた状態の図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。図5(A)は、図4(B)のE部の拡大図であり、図5(B)は、図5(A)のF-F方向から位置決め治具36等を示す図であり、図5(C)は、図5(A)のG部の拡大図である。図6(A)は、図4(B)のH部の拡大図であり、図6(B)は、図6(A)のJ-J方向から位置決め治具37等を示す図であり、図6(C)は、図6(A)のK部の拡大図である。図7(A)は、図4(A)のL部の拡大図であり、図7(B)は、図4(B)のM部の拡大図であり、図7(C)は、図7(B)のN-N方向から位置決め治具38等を示す図であり、図7(D)は、図7(B)のP部の拡大図である。図8は、図1に示すロボット1の補正値を算出する補正値算出工程でのロボット1の動作を説明するための図である。
【0039】
ロボット1が製造システム3に設置されると、ロボット1の動作プログラムを作成するために、ロボット1の教示作業が行われる。また、たとえば、製造システム3に設置されるロボット1が交換されると、交換前のロボット1の教示作業で教示された教示位置の座標に対して交換後のロボット1のロボット座標系がずれるため、ロボット1の教示作業を再度行う必要が生じる。
【0040】
一方で、交換前のロボット1の教示作業で教示された教示位置の座標に対する交換後のロボット1のロボット座標系のずれを補正すれば、煩雑な教示作業を再度行う必要がなくなる。本形態では、ロボット1を交換した後に煩雑な教示作業を再度行わなくても良いように、製造システム3に設置されるロボット1が交換されると、交換前のロボット1の教示作業で教示された教示位置の座標に対する交換後のロボット1のロボット座標系のずれを補正するための補正値を算出する。すなわち、交換後のロボット1の動作を補正するための補正値を算出する。以下、この補正値の算出方法を説明する。
【0041】
以下の説明では、第1アーム部15に対する第2アーム部16の回動方向における第2アーム部16の所定の基準位置を第1基準位置とし、第2アーム部16に対するハンド基部17の回動方向におけるハンド基部17の所定の基準位置を第2基準位置とし、ハンド基部17に対するハンドフォーク18の長手方向に直交する方向におけるハンドフォーク18の所定の基準位置を第3基準位置とし、本体部10に対する第1アーム部15の回動方向における第1アーム部15の所定の基準位置を第4基準位置とする。
【0042】
本形態では、第2アーム部16が第1基準位置にあるときには、図4に示すように、第1アーム部15と第2アーム部16とが上下方向で重なっている。具体的には、第2アーム部16が第1基準位置にあるときには、上下方向から見たときに第1アーム部15の長手方向と第2アーム部16の長手方向とが一致するように、第1アーム部15と第2アーム部16とが上下方向で重なっている。また、本形態では、第1アーム部15に対する第2アーム部16の回動方向における第2アーム部16の原点位置と第1基準位置とが一致している。
【0043】
また、ハンド基部17が第2基準位置にあるときには、図4に示すように、第2アーム部16とハンドフォーク18とが上下方向で重なっている。具体的には、ハンド基部17が第2基準位置にあるときには、上下方向から見たときに第2アーム部16の長手方向とハンドフォーク18の長手方向とが一致するように、第2アーム部16とハンドフォーク18とが上下方向で重なっている。また、本形態では、第2アーム部16に対するハンド基部17の回動方向におけるハンド基部17の原点位置からハンド基部17が90°回動した位置が第2基準位置となっている。
【0044】
なお、第4基準位置は、本体部10に対する第1アーム部15の回動方向における第1アーム部15の原点位置と一致していても良いし、本体部10に対する第1アーム部15の回動方向における第1アーム部15の原点位置から第1アーム部15が所定角度回動した位置が第4基準位置となっていても良い。
【0045】
また、本形態では、第1基準位置に第2アーム部16を位置決めするための位置決め治具36と、第2基準位置にハンド基部17を位置決めするための位置決め治具37と、第3基準位置にハンドフォーク18を位置決めするための位置決め治具38とが使用される。本形態の位置決め治具36は第1位置決め治具であり、位置決め治具37は第2位置決め治具であり、位置決め治具38は第3位置決め治具である。なお、位置決め治具38は、ハンドフォーク19の長手方向に直交する方向におけるハンド基部17に対するハンドフォーク19の所定の基準位置にハンドフォーク19を位置決めする際にも使用される。
【0046】
図5に示すように、位置決め治具36は、第1アーム部15に固定される固定部材41と、ピン42とを備えている。固定部材41は、第1アーム部15の基端の側面に固定されている。固定部材41には、ピン42が挿入される貫通穴41aが形成されている。また、第2アーム部16の先端の側面には、ピン42が挿入される挿入穴16aが形成されている。固定部材41の貫通穴41aに挿入されたピン42が挿入穴16aに挿入されると、第2アーム部16が第1基準位置に厳密に位置決めされる。本形態の固定部材41は第1固定部材であり、ピン42は第1ピンであり、挿入穴16aは第1挿入穴であり、貫通穴41aは第1貫通穴である。
【0047】
図6に示すように、位置決め治具37は、第1アーム部15に固定される固定部材43、44と、ピン45とを備えている。固定部材43は、第1アーム部15の基端の側面に固定されている。固定部材44は、固定部材43の側面に固定されている。固定部材43には、固定部材41との干渉を防止するための溝部が形成されている。固定部材44の底面には、固定部材43に対する固定部材44の上下方向の位置を調整するためのネジ46の先端面が接触している。ネジ46は、固定部材43の下端面に固定されるネジ保持部材47に螺合している。
【0048】
固定部材44には、ピン45が挿入される貫通穴44aが形成されている。また、ハンド基部17の側面には、ピン45が挿入される挿入穴17aが形成されている。固定部材44の貫通穴44aに挿入されたピン45が挿入穴17aに挿入されると、ハンド基部17が第2基準位置に厳密に位置決めされる。本形態の固定部材43、44は第2固定部材であり、ピン45は第2ピンであり、挿入穴17aは第2挿入穴であり、貫通穴44aは第2貫通穴である。
【0049】
図7に示すように、位置決め治具38は、2本のハンドフォーク18に固定される固定部材48、49と、ピン50とを備えている。固定部材48は、2本のハンドフォーク18の上面に固定されている。固定部材49は、固定部材48の下面に固定されている。固定部材49には、ピン50が挿入される貫通穴49aが形成されている。また、第2アーム部16の基端の側面には、ピン50が挿入される挿入穴16bが形成されている。固定部材49の貫通穴49aに挿入されたピン50が挿入穴16bに挿入されると、2本のハンドフォーク18が第3基準位置に厳密に位置決めされる。本形態の固定部材48、49は第3固定部材であり、ピン50は第3ピンであり、挿入穴16bは第3挿入穴であり、貫通穴49aは第3貫通穴である。
【0050】
たとえば、製造システム3に設置されるロボット1が交換されると、まず、原点センサ32の検知結果に基づいて第2アーム部16を第1基準位置(原点位置)に回動させる。すなわち、第1基準位置で第2アーム部16が停止するように原点センサ32の検知結果に基づいて第2アーム部16を回動させて停止させる。
【0051】
また、原点センサ33の検知結果とエンコーダ26の検知結果とに基づいてハンド基部17を第2基準位置(原点位置から90°回動した位置)に回動させる。たとえば、原点センサ33の検知結果に基づいてハンド基部17を原点位置に回動させた後、エンコーダ26の検知結果に基づいてハンド基部17を原点位置から第2基準位置に回動させる。すなわち、第2基準位置でハンド基部17が停止するように原点センサ33の検知結果とエンコーダ26の検知結果に基づいてハンド基部17を回動させて停止させる。
【0052】
その後、固定部材41、43、44を第1アーム部15に固定し、固定部材48、49を2本のハンドフォーク18に固定する。なお、原点センサ32の検知結果に基づいて第1基準位置に回動した第2アーム部16は、厳密には、第1基準位置から若干ずれている。同様に、原点センサ33の検知結果とエンコーダ26の検知結果とに基づいて第2基準位置に回動したハンド基部17は、厳密には、第2基準位置から若干ずれている。
【0053】
その後、固定部材41の貫通穴41aに挿入されたピン42が挿入穴16aに嵌る位置まで第1アーム部15に対して第2アーム部16を回動させて挿入穴16aにピン42を挿入し、第1基準位置に第2アーム部16を厳密に位置決めする。また、そのときのモータ22の回動量をエンコーダ25で検知し、制御部27は、エンコーダ25での検知結果を用いて第2アーム部16の第1基準位置を特定する。
【0054】
すなわち、第1基準位置で第2アーム部16が停止するように原点センサ32の検知結果に基づいて第2アーム部16を停止させたときの第2アーム部16の停止位置である第1停止位置から、位置決め治具36によって第1基準位置に第2アーム部16が位置決めされる位置まで第2アーム部16を回動させたときのエンコーダ25の検知結果と、第1停止位置に第2アーム部16が停止しているときのエンコーダ25の値とに基づいて第1基準位置を特定する(第1基準位置特定工程)。
【0055】
その後、第1基準位置特定工程で特定された第1基準位置に第2アーム部16が配置されている状態で、固定部材44の貫通穴44aに挿入されたピン45が挿入穴17aに嵌る位置まで第2アーム部16に対してハンド基部17を回動させて挿入穴17aにピン45を挿入し、第2基準位置にハンド基部17を厳密に位置決めする。また、そのときのモータ23の回動量をエンコーダ26で検知し、制御部27は、エンコーダ26での検知結果を用いてハンド基部17の第2基準位置を特定する。
【0056】
すなわち、第1基準位置特定工程で特定された第1基準位置に第2アーム部16が配置されている状態で、第2基準位置でハンド基部17が停止するように原点センサ33の検知結果とエンコーダ26の検知結果に基づいてハンド基部17を停止させたときのハンド基部17の停止位置である第2停止位置から、位置決め治具37によってハンド基部17が位置決めされる位置までハンド基部17を回動させたときのエンコーダ26の検知結果と、第2停止位置にハンド基部17が停止しているときのエンコーダ26の値とに基づいて第2基準位置を特定する(第2基準位置特定工程)。
【0057】
その後、第1基準位置特定工程で特定された第1基準位置に第2アーム部16が配置され、かつ、第2基準位置特定工程で特定された第2基準位置にハンド基部17が配置されている状態で、固定部材49の貫通穴49aに挿入されたピン50が挿入穴16bに嵌る位置まで、ハンドフォーク18の長手方向に直交する方向へハンド基部17に対して2本のハンドフォーク18を移動させて挿入穴16bにピン50を挿入し、第3基準位置に2本のハンドフォーク18を位置決めする。
【0058】
すなわち、第1基準位置特定工程で特定された第1基準位置に第2アーム部16が配置され、かつ、第2基準位置特定工程で特定された第2基準位置にハンド基部17が配置されている状態で、位置決め治具38によって2本のハンドフォーク18を位置決めする(ハンドフォーク位置決め工程)。位置決めされたハンドフォーク18は、ネジによってハンド基部17に固定される。
【0059】
その後、少なくとも位置決め治具37、38を取り外すとともに、第2アーム部16に対してハンド基部17を180°回動させる。この状態で、固定部材48、49を2本のハンドフォーク19に固定する。また、固定部材49の貫通穴49aに挿入されたピン50が挿入穴16bに嵌る位置まで、ハンドフォーク19の長手方向に直交する方向へハンド基部17に対して2本のハンドフォーク19を移動させて挿入穴16bにピン50を挿入し、所定の基準位置に2本のハンドフォーク19を位置決めする。位置決めされたハンドフォーク19は、ネジによってハンド基部17に固定される。
【0060】
その後、2本のハンドフォーク18に検知用パネル52(図8参照)を搭載する(パネル搭載工程)。検知用パネル52は、後述の補正値算出工程において補正値を算出する際に使用されるパネルであり、たとえば、長方形の平板状に形成されている。検知用パネル52は、ハンドフォーク18の上面に取り付けられた位置決め部材によって位置決めされた状態で、2本のハンドフォーク18に搭載されている。
【0061】
その後、第4基準位置で第1アーム部15が停止するように原点センサ31の検知結果に基づいてまたは原点センサ31の検知結果とエンコーダ24の検知結果に基づいて第1アーム部15を停止させたときの第1アーム部15の停止位置である第3停止位置を基準にしてモータ21を駆動制御し、第1基準位置特定工程で特定された第1基準位置を基準にしてモータ22を駆動制御するとともに、第2基準位置特定工程で特定された第2基準位置を基準にしてモータ23を駆動制御して、ロボット1を仮の基準姿勢にする(ロボット動作工程)。
【0062】
すなわち、第3停止位置を基準にしてモータ21を駆動制御し、第1基準位置特定工程で特定された第1基準位置を基準にしてモータ22を駆動制御するとともに、第2基準位置特定工程で特定された第2基準位置を基準にしてモータ23を駆動制御して、ロボット1を仮の動作開始位置まで動作させる。本形態では、たとえば、第1アーム15が第3停止位置に停止し、第2アーム部16が第1基準位置に停止し、ハンド基部17が第2基準位置から90°回動した位置に停止している状態がロボット1の仮の動作開始位置となっている。また、本形態では、ロボット1の動作開始位置とロボット1のホームポジションとが一致している。ただし、ロボット1の動作開始位置とロボット1のホームポジションとがずれていても良い。
【0063】
なお、本体部10に対する第1アーム部15の回動方向における第1アーム部15の原点位置と第4基準位置とが一致している場合には、ロボット動作工程において、第4基準位置で第1アーム部15が停止するように原点センサ31の検知結果に基づいて第1アーム部15を回動させて停止させる。また、本体部10に対する第1アーム部15の回動方向における第1アーム部15の原点位置から第1アーム部15が所定角度回動した位置が第4基準位置となっている場合には、ロボット動作工程において、第4基準位置で第1アーム部15が停止するように、原点センサ31の検知結果とエンコーダ24の検知結果に基づいて第1アーム部15を回動させて停止させる。また、第3停止位置は、厳密には、第4基準位置から若干ずれている。また、ロボット動作工程の前までに、位置決め治具36、38は取り外されている。
【0064】
その後、ロボット1を動作させて基板2の受渡し位置にハンドフォーク18を移動させる(ハンド移動工程)。たとえば、図8(A)に示すように、チャンバー6の中の基板2の受渡し位置にハンドフォーク18を移動させる。具体的には、アーム9を伸ばして、チャンバー6の中の基板2の受渡し位置にハンドフォーク18を移動させる。その後、所定の基準位置である第5基準位置と検知用パネル52のエッジとの、本体部10に対する第1アーム部15の回動方向におけるずれ量に基づいてモータ21を制御するための補正値を算出する(補正値算出工程)。
【0065】
具体的には、ハンドフォーク18に検知用パネル52が搭載された交換前のロボット1を動作させて基板2の受渡し位置にハンドフォーク18を移動させたときに、本体部10に対する第1アーム部15の回動方向において検知用パネル52のエッジが配置される位置が第5基準位置となっている。また、第5基準位置には、1個のセンサ53が配置されている。センサ53は、たとえば、発光素子と受光素子とを有する光学式のセンサ、または、近接センサである。センサ53は、チャンバー6の内部に設置されている。
【0066】
補正値算出工程では、センサ53で検知用パネル52のエッジが検知されるまで(すなわち、本体部10に対する第1アーム部15の回動方向において、第5基準位置と検知用パネル52のエッジとが一致するまで)第1アーム部15を回動させたときのエンコーダ24の検知結果に基づいて制御部27が補正値を算出する。
【0067】
たとえば、図8(A)に示すように、チャンバー6の中の基板2の受渡し位置にハンドフォーク18を移動させたときに、第5基準位置に配置されるセンサ53と検知用パネル52のエッジとが、本体部10に対する第1アーム部15の回動方向においてずれている場合には、補正値算出工程において、図8(B)に示すように、センサ53で検知用パネル52のエッジが検知されるまで第1アーム部15を回動させる。また、そのときのエンコーダ24の検知結果に基づいて補正値を算出する。なお、検知用パネル52のエッジは、センサ53のオンオフが切り替わるときにセンサ53で検知される。
【0068】
その後、補正値算出工程で算出された補正値を反映させてモータ21を駆動制御し、第1基準位置特定工程で特定された第1基準位置を基準にしてモータ22を駆動制御するとともに、第2基準位置特定工程で特定された第2基準位置を基準にしてモータ23を駆動制御して、ロボット1を正規の動作開始位置に戻す。
【0069】
なお、本形態では、その後、ハンド基部17を180°回動させるとともに2本のハンドフォーク19に検知用パネル52を載せ換えてから、チャンバー6の中の基板2の受渡し位置にハンドフォーク19を移動させる。このとき、ハンドフォーク19に搭載された検知用パネル52のエッジがセンサ53で検知されない場合には、ハンドフォーク19に搭載された検知用パネル52のエッジがセンサ53で検知されるように、位置決め治具38を用いて、ハンドフォーク19の長手方向に直交する方向におけるハンド基部17へのハンドフォーク19の固定位置を調整する。
【0070】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、第1基準位置特定工程において位置決め治具36を用いて、第1アーム部15に対する第2アーム部16の回動方向における第2アーム部16の基準位置である第1基準位置を特定し、第2基準位置特定工程において位置決め治具37を用いて、第2アーム部16に対するハンド基部17の回動方向におけるハンド基部17の基準位置である第2基準位置を特定し、ハンドフォーク位置決め工程において位置決め治具38によって、ハンド基部17に対するハンドフォーク18の長手方向に直交する方向におけるハンドフォーク18の基準位置である第3基準位置にハンドフォーク18を位置決めしている。また、本形態では、その後のロボット動作工程において、第1基準位置特定工程で特定された第1基準位置を基準にしてモータ22を駆動制御するとともに、第2基準位置特定工程で特定された第2基準位置を基準にしてモータ23を駆動制御して、ロボット1を仮の基準姿勢にしてから、ハンド移動工程において、基板2の受渡し位置にハンドフォーク18を移動させている。
【0071】
また、本形態では、その後の補正値算出工程において、第5基準位置と検知用パネル52のエッジとの、本体部10に対する第1アーム部15の回動方向におけるずれ量に基づいてモータ21を制御するための補正値を算出している。すなわち、本形態では、第2アーム部16、ハンド基部17およびハンドフォーク18を所定の基準位置に合わせた状態で基板2の受渡し位置にハンドフォーク18を移動させた後、第5基準位置と検知用パネル52のエッジとの、本体部10に対する第1アーム部15の回動方向におけるずれ量に基づいてモータ21を制御するための補正値を算出している。
【0072】
また、本形態では、ハンドフォーク18に検知用パネル52が搭載された交換前のロボット1を動作させて基板2の受渡し位置にハンドフォーク18を移動させたときに、本体部10に対する第1アーム部15の回動方向において検知用パネル52のエッジが配置される位置が第5基準位置となっている。そのため、本形態では、補正値算出工程において、モータ21を制御するための補正値を算出することで、交換前のロボット1の教示作業で教示された教示位置の座標に対する交換後のロボット1のロボット座標系のずれを補正するための補正値を算出することが可能になる。
【0073】
すなわち、本形態では、第5基準位置と検知用パネル52のエッジとの、本体部10に対する第1アーム部15の回動方向におけるずれ量に基づいて補正値を算出することで、交換前のロボット1の教示作業で教示された教示位置の座標に対する交換後のロボット1のロボット座標系のずれを補正するための補正値を算出することが可能になる。したがって、本形態では、交換前のロボット1の教示作業で教示された教示位置の座標に対する交換後のロボット1のロボット座標系のずれを補正するための補正値を比較的容易に算出することが可能になる。
【0074】
また、本形態では、補正値算出工程において、第5基準位置と検知用パネル52のエッジとの、本体部10に対する第1アーム部15の回動方向におけるずれ量に基づいて補正値を算出すれば良いため、1個のセンサ53を用いて補正値を算出することが可能になる。また、本形態では、光学式のセンサまたは近接センサであるセンサ53を用いて補正値を算出することが可能になるため、比較的安価なセンサ53を使用して補正値を算出することが可能になる。
【0075】
(補正値算出工程の変形例1)
上述した形態において、センサ53の代わりに、1個のカメラを用いて、第5基準位置と検知用パネル52のエッジとの、本体部10に対する第1アーム部15の回動方向におけるずれ量を求めても良い。この場合には、たとえば、チャンバー6の内部の第5基準位置に対応する箇所に所定のマーキングが形成されており、カメラで撮影されたマーキングの位置と検知用パネル52のエッジとのずれ量を求めることで、第5基準位置と検知用パネル52のエッジとのずれ量を求める。また、たとえば、第5基準位置の座標が制御部27に予め記憶されており、カメラで撮影された検知用パネル52のエッジの座標と第5基準位置の座標とに基づいて、第5基準位置と検知用パネル52のエッジとのずれ量を求める。
【0076】
この場合には、本体部10に対して第1アーム部15を回動させなくても、第5基準位置と検知用パネル52のエッジとのずれ量を求めることが可能になる。また、この場合には、たとえば、カメラを用いて、第5基準位置と検知用パネル52のエッジとのずれ量を求めた後、求めたずれ量分、本体部10に対して第1アーム部15を回動させたときのエンコーダ24の検知結果に基づいて補正値を算出する。
【0077】
なお、この場合であっても、第5基準位置と検知用パネル52のエッジとの、本体部10に対する第1アーム部15の回動方向におけるずれ量に基づいて補正値を算出すれば良いため、1個のカメラを用いて補正値を算出することが可能になる。また、カメラの代わりに、光学式のラインセンサを用いて、第5基準位置と検知用パネル52のエッジとの、本体部10に対する第1アーム部15の回動方向におけるずれ量を求めても良い。この場合であっても、本体部10に対して第1アーム部15を回動させなくても、第5基準位置と検知用パネル52のエッジとのずれ量を求めることが可能になる。
【0078】
(補正値算出工程の変形例2)
図9は、本発明の他の実施の形態にかかる補正値算出工程でのロボット1の動作を説明するための図である。
【0079】
上述した形態では、補正値算出工程において、センサ53を用いて、本体部10に対する第1アーム部15の回動方向で第5基準位置と検知用パネル52のエッジとが一致する位置まで第1アーム部15を回動させているが、本体部10に対する第1アーム部15の回動方向において第5基準位置と検知用パネル52のエッジとが一致する位置で検知用パネル52(ハンドフォーク18に搭載された検知用パネル52)を位置決めするための第4位置決め治具を用いて、本体部10に対する第1アーム部15の回動方向で第5基準位置と検知用パネル52のエッジとが一致する位置まで第1アーム部15を回動させても良い。
【0080】
この場合、第4位置決め治具は、たとえば、ピン55と、ピン55が挿入される挿入穴56aが形成されるピン保持部材56とを備えている。ピン保持部材56は、チャンバー6の内部に設置されている。検知用パネル52には、ピン55が挿入される貫通穴52aが形成されている。検知用パネル52の貫通穴52aに挿入されたピン55がピン保持部材56の挿入穴56aに挿入されると、本体部10に対する第1アーム部15の回動方向において、第5基準位置と検知用パネル52のエッジとが一致する位置で、ハンドフォーク18に搭載された検知用パネル52が位置決めされる。
【0081】
この場合の補正値算出工程では、第4位置決め治具によって検知用パネル52が位置決めされる位置まで第1アーム部15を回動させたときのエンコーダ24の検知結果に基づいて補正値を算出する。たとえば、図9(A)に示すように、チャンバー6の中の基板2の受渡し位置にハンドフォーク18を移動させたときに、ピン保持部材56の挿入穴56aと検知用パネル52の貫通穴52aとが、本体部10に対する第1アーム部15の回動方向においてずれている場合には、補正値算出工程において、図9(B)に示すように、第4位置決め治具によって検知用パネル52が位置決めされる位置まで第1アーム部15を回動させる。また、そのときのエンコーダ24の検知結果に基づいて補正値を算出する。
【0082】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0083】
上述した形態において、ハンドフォーク18に検知用パネル52が搭載された交換前のロボット1を動作させて基板2の受渡し位置にハンドフォーク18を移動させたときに、本体部10に対する第1アーム部15の回動方向における検知用パネル52の一方のエッジが配置される位置と、検知用パネル52の他方のエッジが配置される位置との2箇所が第5基準位置となっていても良い。この場合には、2箇所の第5基準位置のそれぞれにセンサ53が配置されている。
【0084】
上述した形態において、第1アーム部15に対する第2アーム部16の回動方向における第2アーム部16の原点位置から第2アーム部16が所定角度回動した位置が第1基準位置となっていても良い。この場合には、製造システム3に設置されるロボット1が交換されると、第1基準位置で第2アーム部16が停止するように原点センサ32の検知結果とエンコーダ25の検知結果とに基づいて第2アーム部16を回動させて停止させる。
【0085】
また、上述した形態において、第2アーム部16に対するハンド基部17の回動方向におけるハンド基部17の原点位置と第2基準位置とが一致していても良い。この場合には、製造システム3に設置されるロボット1が交換されると、第2基準位置でハンド基部17が停止するように原点センサ33の検知結果に基づいてハンド基部17を回動させて停止させる。また、上述した形態において、ロボット動作工程の後にパネル搭載工程が行われても良い。
【0086】
上述した形態では、製造システム3に設置されたロボット1に対して、第1基準位置特定工程と第2基準位置特定工程とハンドフォーク位置決め工程とを行っているが、製造システム3に設置される前のロボット1に対して、第1基準位置特定工程と第2基準位置特定工程とハンドフォーク位置決め工程とを行っても良い。たとえば、ロボット1の組立工場において、ロボット1に対して、第1基準位置特定工程と第2基準位置特定工程とハンドフォーク位置決め工程とを行っても良い。
【0087】
また、組立工場から製造システム3までロボット1を搬送する際、長さの長いハンドフォーク18、19が搬送の支障とならないように、ハンドフォーク18、19を取り外した状態で、組立工場から製造システム3までロボット1を搬送する場合には、組立工場において、ロボット1に対して、第1基準位置特定工程と第2基準位置特定工程とを行い、製造システム3に設置された後のロボット1に対してハンドフォーク位置決め工程を行っても良い。
【0088】
上述した形態において、固定部材41は、第2アーム部16に固定されていても良い。この場合には、第1アーム部15の基端の側面に、ピン42が挿入される第1挿入穴としての挿入穴が形成されている。また、上述した形態において、固定部材44は、ハンド基部17に固定されていても良い。この場合には、第1アーム部15の基端の側面に、ピン45が挿入される第2挿入穴としての挿入穴が形成されている。さらに、上述した形態において、固定部材48、49は、第2アーム部16に固定されていても良い。この場合には、2本のハンドフォーク18に、ピン50が挿入される第3挿入穴としての挿入穴が形成されている。
【0089】
上述した形態において、ハンド8は、ハンドフォーク19を備えていなくても良い。また、上述した形態では、ロボット1によって搬送される搬送対象物は有機ELディスプレイ用の基板2であるが、ロボット1によって搬送される搬送対象物は、液晶ディスプレイ用のガラス基板であっても良いし、半導体ウエハ等であっても良い。また、上述した形態において、ロボット1は、大気圧となっている空間の中に配置されていても良い。
【符号の説明】
【0090】
1 ロボット(産業用ロボット)
2 基板(搬送対象物)
8 ハンド
9 アーム
10 本体部
15 第1アーム部
16 第2アーム部
16a 挿入穴(第1挿入穴)
16b 挿入穴(第3挿入穴)
17 ハンド基部
17a 挿入穴(第2挿入穴)
18 ハンドフォーク
21 モータ(第1モータ)
22 モータ(第2モータ)
23 モータ(第3モータ)
24 エンコーダ(第1エンコーダ)
25 エンコーダ(第2エンコーダ)
26 エンコーダ(第3エンコーダ)
31 原点センサ(第1原点センサ)
32 原点センサ(第2原点センサ)
33 原点センサ(第3原点センサ)
36 位置決め治具(第1位置決め治具)
37 位置決め治具(第2位置決め治具)
38 位置決め治具(第3位置決め治具)
41 固定部材(第1固定部材)
41a 貫通穴(第1貫通穴)
42 ピン(第1ピン)
43、44 固定部材(第2固定部材)
44a 貫通穴(第2貫通穴)
45 ピン(第2ピン)
48、49 固定部材(第3固定部材)
49a 貫通穴(第3貫通穴)
50 ピン(第3ピン)
52 検知用パネル
53 センサ
55 ピン(第4位置決め治具の一部)
56 ピン保持部材(第4位置決め治具の一部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9