(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】半導体メモリ
(51)【国際特許分類】
H01L 27/11521 20170101AFI20220517BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20220517BHJP
H01L 27/11568 20170101ALI20220517BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20220517BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20220517BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20220517BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20220517BHJP
H01L 27/11551 20170101ALI20220517BHJP
H01L 27/11578 20170101ALI20220517BHJP
【FI】
H01L27/11521
G11C16/04 130
H01L27/11568
H01L29/78 371
H01L29/78 618B
H01L29/78 613B
H01L27/11551
H01L27/11578
(21)【出願番号】P 2018045813
(22)【出願日】2018-03-13
【審査請求日】2020-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2017051456
(32)【優先日】2017-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】手塚 勉
(72)【発明者】
【氏名】荒井 史隆
(72)【発明者】
【氏名】池田 圭司
(72)【発明者】
【氏名】上田 知正
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 信美
(72)【発明者】
【氏名】田中 千加
(72)【発明者】
【氏名】三浦 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】澤部 智明
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-211537(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0149004(US,A1)
【文献】国際公開第2011/142458(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/11521
G11C 16/04
H01L 27/11568
H01L 21/336
H01L 29/786
H01L 27/11551
H01L 27/11578
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビット線と、
ソース線と、
前記ビット線から前記ソース線へ向かう第1の方向に延在し、酸化物半導体層を含むピラーと、
前記第1の方向に沿って配置され、前記ピラーの側面に対向する第1、第2及び第3の導電層と、
前記第1の導電層と前記ピラーとの第1の交差部に配置され、前記酸化物半導体層内に配置された電荷格納層を含むメモリセルと、
前記第2の導電層と前記ピラーとの第2の交差部に配置された第1のトランジスタと、 前記第3の導電層と前記ピラーとの第3の交差部に配置された第2のトランジスタと、 を具備し、
前記酸化物半導体層の前記第1の方向における第1の端部は、前記ソース線に接触し、 前記酸化物半導体層の前記第1の方向における第2の端部は、前記ビット線から電気的に分離される、
半導体メモリ。
【請求項2】
ビット線と、
ソース線と、
前記ビット線から前記ソース線へ向かう第1の方向に延在し、酸化物半導体層を含むピラーと、
前記第1の方向に沿って配置され、前記ピラーの側面に対向する第1及び第2の導電層と、
前記第1の導電層と前記ピラーとの第1の交差部に配置され、前記酸化物半導体層内に配置された電荷格納層を含むメモリセルと、
前記第2の導電層と前記ピラーとの第2の交差部に配置された第1のトランジスタと、 を具備し、
前記酸化物半導体層の前記第1の方向における第1の端部は、前記ソース線に接触し、 前記酸化物半導体層の前記第1の方向における第2の端部は、前記ビット線から電気的に分離される、
半導体メモリ。
【請求項3】
前記酸化物半導体層は、前記第2の交差部を経由して、前記第1の交差部から前記ソース線に延在し、
前記第1のトランジスタのチャネル領域は、前記酸化物半導体層内に配置されている、 請求項1又は2に記載の半導体メモリ。
【請求項4】
前記ピラーは、前記第1の方向に延在する半導体層を含み、
前記メモリセルのチャネル領域は、前記半導体層内に配置され、
前記半導体層の前記第1の方向における第3の端部は、前記ソース線に接触し、
前記半導体層の前記第1の方向における第4の端部は、前記ビット線に接触する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体メモリ。
【請求項5】
前記ソース線は、前記第1及び第2の導電層を覆う第1の絶縁層上に設けられ、
前記酸化物半導体層は、前記ソース線の底部と前記第1の絶縁層の上部との間に設けられている、
請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の半導体メモリ。
【請求項6】
前記ソース線に接続されたコンタクト部と、
前記ピラー内に設けられた半導体層と、
をさらに具備し、
前記第2の導電層は、前記第1の導電層と前記ソース線との間に位置し、
前記コンタクト部は、前記第2の交差部を経由して、前記ソース線から前記第1の導電層と前記第2の導電層との間の領域まで、前記ピラー内を延在し、
前記半導体層は、前記第1の交差部を経由して、前記ビット線から前記コンタクト部まで延在する、
請求項1、2、3及び5のうちいずれか1項に記載の半導体メモリ。
【請求項7】
前記第2の導電層は、p型半導体を含み、
前記第1の導電層は、前記p型半導体と異なる材料を含む、
請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の半導体メモリ。
【請求項8】
前記ピラーと前記第2の導電層との間に設けられた第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層と前記第2の導電層との間に設けられた酸化物層と、
をさらに具備し、
前記酸化物層の酸素原子の数密度は、前記第2の絶縁層の酸素原子の数密度より大きい、
請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の半導体メモリ。
【請求項9】
前記ピラーと前記第2の導電層との間に設けられた電荷トラップ層と、
前記電荷トラップ層と前記ピラーとの間に設けられた第2の絶縁層と、
前記電荷トラップ層と前記第2の導電層との間に設けられた第3の絶縁層と、
をさらに具備する請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の半導体メモリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体メモリに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報端末やインターネット、クラウドなどで取り扱われるデータ量が爆発的に増加している。それに伴いメモリデバイスの大容量化、ビットコストの低減が求められている。
【0003】
理想的なメモリデバイスは、高速性、高記憶密度及び低ビットコストの不揮発性半導体メモリである。現状では、全ての要求を満たすメモリデバイスは存在せず、用途によって適したメモリデバイスが、ユーザーに提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2001-527297号公報
【文献】特開2007-073969号公報
【文献】特開2011-258303号公報
【文献】特開2013-214729号公報
【文献】特開2013-251533号公報
【文献】特開2015-128192号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】Hiroki Inoue et al., IEEE JOURNAL OF SOLID-STATE CIRCUITS, VOL. 47, NO. 9, pp.2258-2265, SEPTEMBER 2012.
【文献】Takanori Matsuzaki et al., ECS Transactions, 64 (14) 101-111 (2014).
【文献】Yoshimitsu Yamauchi et al., Japanese Journal of Applied Physics 52 (2013) 094101.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
不揮発性を有し、ランダムアクセスが可能な半導体メモリの製造コストを低減する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の半導体メモリは、ビット線と、ソース線と、前記ビット線から前記ソース線へ向かう第1の方向に延在し、酸化物半導体層を含むピラーと、前記第1の方向に沿って配置され、前記ピラーの側面に対向する第1、第2及び第3の導電層と、前記第1の導電層と前記ピラーとの第1の交差部に配置され、前記酸化物半導体層内に配置された電荷格納層を含むメモリセルと、前記第2の導電層と前記ピラーとの第2の交差部に配置された第1のトランジスタと、前記第3の導電層と前記ピラーとの第3の交差部に配置された第2のトランジスタと、を含み、前記酸化物半導体層の前記第1の方向における第1の端部は、前記ソース線に接触し、前記酸化物半導体層の前記第1の方向における第2の端部は、前記ビット線から電気的に分離される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態の半導体メモリの基本例を説明するための鳥瞰図。
【
図2】第1の実施形態の半導体メモリの基本例を説明するための上面図。
【
図3】第1の実施形態の半導体メモリの基本例を説明するための断面図。
【
図4】第1の実施形態の半導体メモリの基本例を説明するための回路図。
【
図5】第1の実施形態の半導体メモリの基本動作を説明するための図。
【
図6】第1の実施形態の半導体メモリの基本動作を説明するための図。
【
図7】第1の実施形態の半導体メモリの基本動作を説明するための図。
【
図8】第1の実施形態の半導体メモリの具体例を説明するためのブロック図。
【
図9】第1の実施形態の半導体メモリの具体例を説明するための等価回路図。
【
図10】第1の実施形態の半導体メモリの具体例を説明するための鳥瞰図。
【
図11】第1の実施形態の半導体メモリの具体例を説明するための断面図。
【
図12】第1の実施形態の半導体メモリの具体例を説明するための断面図。
【
図13】第1の実施形態の半導体メモリの具体例を説明するための波形図。
【
図14】第1の実施形態の半導体メモリの変形例を説明するための断面図。
【
図15】第1の実施形態の半導体メモリの変形例を説明するための図。
【
図16】第1の実施形態の半導体メモリの変形例を説明するための断面図。
【
図17】第1の実施形態の半導体メモリの変形例を説明するための図。
【
図18】第2の実施形態の半導体メモリの基本例を説明するための断面図。
【
図19】第2の実施形態の半導体メモリの構成例を説明するための回路図。
【
図20】第2の実施形態の半導体メモリの構造例を説明するための上面図。
【
図21】第2の実施形態の半導体メモリの構造例を説明するための断面図。
【
図22】第2の実施形態の半導体メモリの構造例を説明するための断面図。
【
図23】第2の実施形態の半導体メモリの動作例を説明するための波形図。
【
図24】第2の実施形態の半導体メモリの基本例を説明するための断面図。
【
図25】第2の実施形態の半導体メモリの構成例を説明するための回路図。
【
図26】第2の実施形態の半導体メモリの構造例を説明するための上面図。
【
図27】第2の実施形態の半導体メモリの構造例を説明するための断面図。
【
図28】第2の実施形態の半導体メモリの構造例を説明するための断面図。
【
図29】第2の実施形態の半導体メモリの動作例を説明するための波形図。
【
図30】第2の実施形態の半導体メモリの変形例を説明するための断面図。
【
図31】第2の実施形態の半導体メモリの変形例を説明するための断面図。
【
図32】第2の実施形態の半導体メモリの変形例を説明するための回路図。
【
図33】第2の実施形態の半導体メモリの構造例を説明するための上面図。
【
図34】第2の実施形態の半導体メモリの変形例を説明するための断面図。
【
図35】第2の実施形態の半導体メモリの変形例を説明するための回路図。
【
図36】第2の実施形態の半導体メモリの構造例を説明するための上面図。
【
図37】第2の実施形態の半導体メモリの変形例を説明するための断面図。
【
図38】第3の実施形態の半導体メモリの構造例を説明するための断面図。
【
図39】第4の実施形態の半導体メモリの構造例を説明するための断面図。
【
図40】第5の実施形態の半導体メモリの構造例を説明するための断面図。
【
図41】第5の実施形態の半導体メモリの変形例を説明するための断面図。
【
図42】第5の実施形態の半導体メモリの変形例を説明するための断面図。
【
図43】第6の実施形態の半導体メモリの構造例を説明するための鳥瞰図。
【
図44】第6の実施形態の半導体メモリの構造例を説明するための上面図。
【
図45】第6の実施形態の半導体メモリの構造例を説明するための断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
図1乃至
図45を参照して、実施形態の半導体メモリについて、説明する。以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については、同一符号を付す。また、以下の実施形態において、区別化のために数字/英字が参照符号の末尾に付された構成要素(例えば、ワード線WLやビット線BL、各種の電圧及び信号など)が相互に区別されない場合、末尾の数字/英字が省略された表記が用いられる。
【0010】
[1]第1の実施形態
図1乃至
図17を参照して、第1の実施形態の半導体メモリについて、説明する。
【0011】
(1) 基本例
図1乃至
図7を参照して、本実施形態の半導体メモリの基本例について、説明する。
【0012】
<構造>
図1乃至
図3を参照して、本実施形態の半導体メモリの基本例の構造について、説明する。
【0013】
図1は、本実施形態の半導体メモリの制御単位を示す鳥瞰図である。
本実施形態の半導体メモリは、複数の制御単位(基本素子)MUを含む。本実施形態の半導体メモリ1内において、
図1の制御単位MUは、データを記憶するための基本的な構成要素として用いられる。各制御単位MUは、1ビット以上のデータを、記憶(保持)できる。以下において、制御単位MUは、メモリユニットとよばれる。
【0014】
図1に示されるように、メモリユニットMUは、複数の導電層(配線)SGX,SGY,WL及びピラーPLRから構成される。
【0015】
メモリユニットMUは、ソース線SLとしての導電層とビット線BLとしての導電層との間に、設けられている。メモリユニットMUのZ方向に関する一端において、ソース線SLが、ピラーPLRの上部上に設けられている。メモリユニットMUのZ方向に関する他端において、ビット線BLが、ピラーPLRの下部下に設けられている。メモリユニットMUの一端が、ビット線BLに接続され、メモリユニットMUの他端が、ソース線SLに接続されている。
【0016】
複数の導電層SGX,SGY,WLは、基板90の表面に対してZ方向に積層されている。Z方向に隣り合う導電層SL,SGX,SGY,WL,BL間に、絶縁層(図示せず)が設けられている。この絶縁層によって、各導電層SL,SGX,SGY,WL,BLは、電気的に分離されている。
【0017】
複数の導電層SGX,SGY,WL(及び絶縁層)を含む積層体に対して、ソース線SLは、積層体の上端側(最上層)に位置し、ビット線BLは、積層体の下端側(最下層)に位置している。導電層SGXは、ソース線SLより1つ下層に位置している。導電層WLは、ビット線BLより1つ上層に位置している。導電層SGYは、導電層SGXと導電層WLとの間に設けられている。
【0018】
導電層SGXは、例えば、X方向に延在する。導電層SGY,WLは、X方向にほぼ直交するY方向に延在する。尚、Z方向は、X方向とY方向とから形成される2次元平面にほぼ直交する方向である。
【0019】
導電層WLは、メモリユニットMUにおいて、ワード線WLとして用いられる。導電層SGX,SGYは、メモリユニットMUにおいて、カットオフゲート線として用いられる。後述のように、ビット線BL、ソース線SL及びワード線WLの制御に加えて、カットオフゲート線SGX,SGYの制御によって、メモリユニットMUにおけるデータの書き込み及びデータの保持が、制御される。
【0020】
ピラーPLRは、複数の導電層SGX,SGY,WLの積層体内に、設けられている。ピラーPLRは、導電層SLと導電層BLとの間において、Z方向に延在している。ピラーPLRは、複数の導電層SGX,SGY,WL内をZ方向に貫通している。ピラーPLRの上端は、導電層SLの底面に接触している。ピラーPLRの下端は、導電層BLの上面に接触している。ピラーPLRは、X-Y平面に平行な方向(断面)においてピラーPLRの中心からピラーPLRの外周部(X方向又はY方向)に向かって、複数の層が積層された構造を有する。
【0021】
メモリユニットMUは、複数の素子MC,SX,SYを含む。
【0022】
各素子MC,SX,SYは、導電層WL,SGX,SGYとピラーPLRとの交差位置に設けられている。
【0023】
素子MCは、Y方向に延在する導電層WLとピラーPLRとの交差位置に、設けられている。素子MCは、メモリユニットMUにおけるデータ保持部として機能する。素子MCは、ピラーPLR内に含まれる酸化物半導体層を用いて、データを保持(記憶)できる。
例えば、素子MCは、積層ゲート構造の電界効果トランジスタである。
以下では、素子MCは、メモリセルMCとよばれる。
【0024】
素子SXは、X方向に延在する導電層SGXとピラーPLRとの交差位置に、設けられている。素子SXは、ピラーPLRと導電層SGXとから形成された電界効果トランジスタである。素子SXは、X方向に関してメモリセルMCのデータ保持状態を制御するための素子として機能する。また、素子SXは、データの書き込み時において、X方向に関してメモリユニットMUを選択するための選択素子として機能する。
【0025】
素子SYは、Y方向に延在する導電層SGYとピラーPLRとの交差位置に、設けられている。素子SYは、ピラーPLRと導電層SGYとから形成された電界効果トランジスタである。素子SYは、Y方向に関してメモリセルMCのデータ保持状態を制御するための素子として機能する。また、素子SYは、データの書き込み時において、Y方向に関してメモリユニットMUを選択するための選択素子として機能する。
以下では、素子SX,SYは、カットオフトランジスタSX,SYとよばれる。
【0026】
メモリユニットMUにおいて、カットオフトランジスタSX,SY及びメモリセルMCは、Z方向に沿って、ピラーPLRの側面上に配置されている。
【0027】
図2及び
図3は、本実施形態の半導体メモリのメモリユニットMUの断面構造を示している。
図2は、メモリユニットMUの平面構造を示す上面図である。
図3は、メモリユニットMUの断面構造を示す図である。
図2において、X方向とY方向とからなる平面に沿う断面が示されている。
【0028】
図2及び
図3に示されるように、ピラーPLRは、導電層SGX,SGY,WL(及び絶縁層)内に形成されたホール(貫通孔)内に、形成される。例えば、ピラーPLRは、円柱状の構造を有している。
この場合において、
図2に示されるように、ピラーPLRは、Z方向を中心軸として同心円状に配置された複数の層(膜)を含む。導電層WL(及び導電層SGX,SGY及び絶縁層)とピラーPLRの中心部(軸部)60との間に、複数の層61,62,63,64が設けられている。
【0029】
層(軸部)60は、円柱状の構造を有する。層60は、絶縁体からなる。例えば、層60の材料は、酸化シリコンである。
【0030】
層61は、層60の側面(X-Y平面に平行な方向の面、以下では、外周面ともよぶ)上に設けられている。層61は、層60と層62との間に設けられている。層61は、円筒状の構造を有する。
【0031】
層61は、半導体層である。以下では、層61を、半導体層61とよぶ。
半導体層61の材料は、多結晶シリコン(Si)、多結晶ゲルマニウム(Ge)、多結晶シリコンゲルマニウム(SiGe)、酸化物半導体(例えばInGaZnO)、及び、2次元半導体材料(例えば、MoS2又はWSe2)などから選択される。尚、これらの材料からなる膜のうち少なくとも2つを含む積層膜、例えば、シリコンとゲルマニウムとの積層膜、又は、複数の2次元半導体材料の積層膜が、半導体層61に用いられてもよい。
【0032】
層62は、層61の側面(外周面)上に設けられている。層62は、層61と層63との間に設けられている。層62は、円筒状の構造を有する。
【0033】
層62は、絶縁体からなる。以下では、層62は、絶縁層ともよばれる。例えば、絶縁層62の材料は、酸化シリコン、酸窒化シリコン、高誘電率材料(例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、又は、酸化ジルコニウム)などから選択される。絶縁層62は、これらの材料の混合物膜、又は、積層膜でもよい。
【0034】
絶縁層62の膜厚は、1nmから10nm程度の範囲に設定される。例えば、絶縁層62の膜厚は、3nmから7nmの範囲内の厚さであることが好ましい。
【0035】
層63は、層62の側面(外周面)上に設けられている。層63は、層62と層64との間に設けられている。層63は、円筒状の構造を有する。
【0036】
層63は、酸化物半導体からなる。以下では、層63は、酸化物半導体層63とよばれる。
酸化物半導体層63の材料は、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)などの酸化物、又は、それらの酸化物の混合物(化合物)である。例えば、酸化物半導体層63の材料は、InGaZnO、及びInGaSnOなどである。尚、酸化物半導体層63に用いられる材料が、半導体層61に用いられてもよい。
【0037】
酸化物半導体層63の膜厚は、1nmから15nm程度の範囲に設定される。例えば、酸化物半導体層63の膜厚は、3nmから10nmの範囲内の厚さであることが好ましい。
【0038】
層64は、層63の側面(外周面)上に設けられている。層64は、層63と導電層WL(及び、導電層SGX,SGY及び絶縁層)との間に設けられている。
【0039】
層64は、絶縁体からなる。以下では、層64のことを、絶縁層ともよぶ。
絶縁層64は、絶縁層62と同じ材料が用いられる。絶縁層64の膜厚は、絶縁層62の膜厚と同程度に設定される。但し、絶縁層64の材料は、絶縁層62の材料と異なる材料でもよい。また、絶縁層64の膜厚は、絶縁層62の膜厚と異なる厚さでもよい。
【0040】
尚、層61,62,63,64の膜厚は、X-Y平面に対して平行な方向に関する厚さである。
【0041】
図3に示されるように、ビット線BLとしての導電層80は、基板90上に設けられている。
【0042】
ワード線WLとしての導電層81、カットオフゲート線SGYとしての導電層82、及びカットオフゲート線SGXとしての導電層83は、ビット線BL上方に積層されている。
【0043】
導電層81,82,83は、絶縁層(図示せず)に覆われている。導電層81,82,83は、例えば、ポリシリコン、金属、及び、導電性化合物(例えば、シリサイド)のうち少なくとも1つを含む単層膜又は積層膜である。
【0044】
ソース線SLとしての導電層84は、絶縁層を介して、導電層83上方に設けられている。
【0045】
ピラーPLRの半導体層61において、半導体層61のZ方向における一端(底部)は、導電層80に直接接触する。半導体層61のZ方向における他端(上部)は、導電層84に直接接触する。例えば、ピラーPLRの底部において、半導体層61が、導電層80と絶縁層60との間に設けられている。絶縁層60のZ方向における底部は、半導体層61に接触している。
【0046】
導電層80,83,84は、X方向に延在し、導電層81,82は、Y方向に延在する。
【0047】
ピラーPLRの酸化物半導体層63(OS)において、酸化物半導体層63のZ方向における底部は、導電層80上の絶縁層89に接触する。絶縁層89は、導電層80と酸化物半導体層63との間に、設けられている。絶縁層89によって、酸化物半導体層63は、導電層80から分離されている。酸化物半導体層63のZ方向における上部は、導電層84に直接接触する。
【0048】
絶縁層89内に、貫通孔(開口部)が設けられている。絶縁層89の孔内に、絶縁層60及び半導体層61が、設けられている。例えば、絶縁層89の孔内において、絶縁層62は、絶縁層89の側面と半導体層61の側面との間に設けられている。絶縁層89の孔内において、酸化物半導体層63及び絶縁層64は、設けられていない。
【0049】
絶縁層62のZ方向における底部は、例えば、導電層80に接触する。絶縁層64のZ方向における底部は、例えば、絶縁層89に接触する。各絶縁層62,64のZ方向における上部は、導電層84に接触する。
【0050】
メモリセルMCは、導電層81とピラーPLRとの交差部分の近傍の部材から構成される。例えば、メモリセルMCは、酸化物半導体層63からなる電荷格納層を含む積層ゲート構造の電界効果トランジスタである。
導電層81は、ワード線WLとして用いられるとともに、トランジスタ(メモリセル)MCの制御ゲート電極として用いられる。例えば、ワード線WLは、コントロールゲート線ともよばれる。
【0051】
酸化物半導体層63における導電層81に対向する部分CSが、メモリセルMCの電荷格納層(以下では、フローティングゲートともよぶ)CSとして用いられる。酸化物半導体層63の部分CSは、メモリセルMCのデータ保持部として機能する。
【0052】
半導体層61は、トランジスタMCのチャネル領域として用いられる。絶縁層62は、トランジスタMCのゲート絶縁膜として用いられる。絶縁層64は、導電層81から酸化物半導体層63を分離するためのブロック層として機能する。絶縁層64は、導電層(ゲート電極)81と酸化物半導体層(電荷格納層)63との間におけるゲート絶縁膜として、用いられる場合もある。
【0053】
例えば、メモリセルMCは、酸化物半導体層63内に電荷(電子)が蓄積されていない状態(空乏状態)である場合に、ノーマリオン型トランジスタの特性を示すように、構成されている。このため、半導体層61は、n型半導体層又は高濃度のn型半導体層(n+型半導体層)である。
【0054】
以下の説明において、メモリセルMCにおける半導体層61の部分を、センス部又は読み出し部とよぶ場合もある。メモリセルMCにおける半導体層61をチャネル領域として用いるトランジスタ部を、センストランジスタ又は読み出しトランジスタとよぶ場合もある。
【0055】
カットオフトランジスタSYは、導電層82とピラーPLRとの交差部分の近傍の部材から構成される。
【0056】
導電層82は、カットオフゲート線SGYとして用いられるとともに、トランジスタSYのゲート電極として用いられる。トランジスタSYにおける酸化物半導体層63は、ソース線SLと電荷格納層CSとの間におけるトランジスタSYのチャネル領域として用いられる。トランジスタSYにおける絶縁層64は、酸化物半導体層63内のチャネル領域に対するゲート絶縁膜として用いられる。
【0057】
トランジスタSYにおける半導体層61は、ソース線SLとビット線BLとの間におけるトランジスタSYのチャネル領域として用いられる。トランジスタSYにおける絶縁層62は、半導体層61に対するゲート絶縁膜として用いられる。
【0058】
カットオフトランジスタSXは、導電層81とピラーPLRとの交差部分の近傍の部材から構成される。
【0059】
導電層81は、カットオフゲート線SGXとして用いられるとともに、トランジスタSXのゲート電極として用いられる。トランジスタSXにおける酸化物半導体層63は、ソース線SLと電荷格納層CSとの間におけるトランジスタSXのチャネル領域として用いられる。トランジスタSXにおける絶縁層64は、酸化物半導体層63内のチャネル領域に対するゲート絶縁膜として用いられる。
【0060】
トランジスタSXにおける半導体層61は、ソース線SLとビット線BLとの間におけるトランジスタSXのチャネル領域となる。トランジスタSXにおける絶縁層62は、半導体層61に対するゲート絶縁膜として用いられる。
【0061】
本実施形態の半導体メモリにおいて、メモリユニットMU内の酸化物半導体層63は、メモリセルMCとソース線SLとの間で連続している膜である。
【0062】
以下において、説明の明確化のため、トランジスタSX,SYにおける半導体層61を用いたチャネル領域(電流経路)を、第1の電流経路とよび、トランジスタSX,SYにおける酸化物半導体層63を用いたチャネル領域(電流経路)を、第2の電流経路とよぶ場合もある。尚、トランジスタSX,SYにおける半導体層61内に形成されるチャネルは、トランジスタSX,SYの動作に応じて、寄生的なチャネルとなる場合がある。
【0063】
カットオフトランジスタSX,SYは、メモリセルMCに対するデータの書き込み動作時に、オン状態に設定される。カットオフトランジスタSX,SYは、書き込み動作時においてメモリユニットMU(メモリセル)を選択するとともに、ソース線SLと電荷格納層CSとの間の電荷の移動経路となる。
【0064】
カットオフトランジスタSX,SYは、メモリセルMCに対するデータ保持動作及びデータの読み出し動作時に、オフ状態に設定される。カットオフトランジスタSX,SYは、データ保持状態及び読み出し動作時におけるメモリセルMCの電荷格納層CSとソース線SLとの間の電荷の移動を遮断する。これによって、電荷格納層CSを、電気的にフローティングな状態に設定できる。
【0065】
尚、カットオフトランジスタSX,SYは、セルトランジスタ、転送ゲートトランジスタ又はセレクトトランジスタとよばれる場合もある。カットオフゲート線SGX,SGYは、ワード線、転送ゲート線又はセレクトゲート線とよばれる場合もある。
【0066】
例えば、本実施形態の半導体メモリにおけるメモリセル(メモリユニット)のセルサイズ(X-Y平面における面積)は、4F2程度である。“F”は、リソグラフィによって形成可能な最小寸法(最小線幅)を示している。
尚、本実施形態の半導体メモリにおける上述のメモリユニットMUは、周知の膜堆積技術、リソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、形成できる。
【0067】
図4は、本実施形態の半導体メモリにおけるメモリユニットの構成を回路的に示した図である。
図4に示されるように、メモリセルMCの一端(ソース/ドレインの一方)は、ビット線BLに接続されている。メモリセルMCの他端は、ソース線SLに接続されている。
【0068】
メモリセルMCの電荷格納層CSは、トランジスタSX,SYの電流経路としての酸化物半導体層OSを経由して、ソース線SLに接続される。これによって、電荷格納層CSとソース線SLとの接続(導通状態)は、トランジスタSX,SYのオン/オフによって、制御される。
【0069】
<原理及び動作>
図5乃至
図7を用いて、本実施形態の半導体メモリにおけるメモリユニット(メモリセル)の原理について説明する。
【0070】
図5は、本実施形態の半導体メモリにおけるメモリユニット(メモリセル)の特性を説明するための図である。
図5において、グラフの横軸は、メモリセル(トランジスタ)のゲート電圧に対応し、グラフの縦軸は、メモリセルのドレイン電流に対応している。
図5において、特性線(実線)A1は、メモリセルの電荷格納層内に電子が格納されている状態(蓄積状態)におけるトランジスタのV-I特性を示している。特性線(破線)A2は、メモリセルの電荷格納層内に電子が格納されていない状態(空乏状態)におけるトランジスタのV-I特性を示している。
【0071】
上述のように、メモリセルMCは、電荷格納層(酸化物半導体層)63内に電荷が格納されていない状態(空乏状態)において、ノーマリオン型のトランジスタである。それゆえ、特性線A2に示されるように、電荷格納層63内に電荷が格納されていない状態のメモリセルMCは、負の閾値電圧Va1を有する。
【0072】
ノーマリオン型のメモリセルMCのゲート電圧が0Vである場合に、メモリセルMCは、オン状態である。この場合において、メモリセルMCは、電流値I1のドレイン電流を出力する。
【0073】
特性線A1に示されるように、電荷格納層63内に電荷が格納されている状態(蓄積状態)のメモリセルMCは、閾値電圧の値が上昇する。電荷格納層63内の電荷量を制御することによって、メモリセルMCは、ノーマリオフ型のトランジスタに変わる。
【0074】
例えば、ノーマリオフ型のメモリセルMCのゲート電圧が0Vである場合に、メモリセルMCは、オフ状態である。この場合において、メモリセルMCのドレイン電流は、実質的に0になる。蓄積状態の電荷格納層を有するメモリセルMCは、0Vより高い電圧値Va2を有するゲート電圧が印加されることによって、オン状態になる。これによって、蓄積状態の電荷格納層を有するメモリセルMCは、ドレイン電流を出力する。
【0075】
この結果として、ドレイン電流の大きさ(又はメモリセルのオン/オフ状態)とデータとが関連づけられることによって、メモリセルMCが、“1”データを保持しているか、“0”データを保持しているか、判別できる。
【0076】
例えば、電荷格納層63が空乏状態に設定されたメモリセルMCに対して、“0”データが割り付けられ、電荷格納層63が蓄積状態に設定されたメモリセルMCに対して、“1”データが割り付けられる。
この場合において、0Vのゲート電圧が読み出し電圧として、メモリセルMCの制御ゲート電極(ワード線WL)に印加されることによって、ドレイン電流の大きさに基づいて、メモリセルMC内のデータが、“1”データであるか“0”データであるかが判定できる。
【0077】
このように、メモリセルMCの酸化物半導体層63の電荷格納層CS内の電荷(電子)の有無に応じて、メモリセルMCの閾値電圧が変わる。この結果として、メモリセルMCのゲートにある大きさの読み出し電圧が印加された場合において、電荷格納層CS内の電荷量に応じて、ドレイン電流の大きさが、変わる。
このような特性を利用して、本実施形態の半導体メモリにおけるメモリセルMCは、1ビット以上のデータを記憶できる。
【0078】
図6は、本実施形態の半導体メモリにおけるメモリユニット(メモリセル)に対する書き込み動作を説明するための模式図である。
【0079】
図6に示されるように、書き込み動作時において、メモリセルMCの電荷格納層CS内に、電荷が格納される。
【0080】
本実施形態の半導体メモリにおいて、例えば、電子(e-)は、オン状態のカットオフトランジスタSX,SYにおける酸化物半導体層63内に形成されたチャネル(蓄積層)を経由して、ソース線SLから電荷格納層CSに供給される。
【0081】
本実施形態において、メモリセルMCの電荷格納層CSに対する電子の供給(又は電子の放出)は、電荷格納層CSの層面(酸化物半導体膜63の膜面)に対して平行な方向から実行される。尚、本実施形態において、電荷格納層CSの層面は、Z方向に対して実質的に平行な面である。
【0082】
電荷を電荷格納層63内に格納(蓄積)する場合において、メモリセルMCの制御ゲート電極81(ワード線WL)に、例えば、正の電圧VWRが印加される。これによって、メモリセルMCは、オン状態に設定される。
【0083】
本実施形態の半導体メモリにおいて、選択されたメモリユニットMUに対する書き込み動作時において、カットオフトランジスタSX,SYのゲート電極82,83(カットオフゲート線SGX,SGY)に、トランジスタSX,SYのオン電圧Vonが印加される。
これによって、トランジスタSX,SYの酸化物半導体層63内に、チャネルが形成される。
【0084】
メモリセルMCの電荷格納層CSは、トランジスタSX,SYの酸化物半導体層63内のチャネルを介して、ソース線SLに電気的に接続される。ソース線SLにある電圧値VXの電圧(例えば、0V、又は、電圧VWRより小さい正電圧)が、印加されている。例えば、ビット線BLに、ソース線SLと同じ大きさの電圧が印加されている。
【0085】
ソース線SLと電荷格納層63との接続によって、電子(e-)が、メモリセルMCの制御ゲート電極81に対向する電荷格納層63内に誘起される。
【0086】
制御ゲート電極81に電圧VWRが印加された状態で、カットオフトランジスタSX,SYのゲート電極82,83に、トランジスタSX,SYのオフ電圧(例えば、0Vの電圧)が、印加される。ゲート電極82,83に対する0Vの電圧の印加によって、ゲート電極82,83に対向する酸化物半導体層63の部分において、チャネルは消失する。それゆえ、カットオフトランジスタSX,SYにおいて、酸化物半導体層63からなるチャネル領域は、空乏状態に設定される。
【0087】
これによって、メモリセルMCにおける電荷が蓄積された状態の電荷格納層CSは、ソース線SLから電気的に分離される。
【0088】
オフ状態のカットオフトランジスタSX,SYによって、電荷格納層CSからソース線SLへの電子の漏れが、防止される。
【0089】
電荷格納層CSがソース線SLから電気的に分離された後、メモリセルMCの制御ゲート電極81は、電気的にフローティングな状態に設定される。また、ソース線SL及びビット線BLに、0Vが印加される。
【0090】
これによって、メモリセルMCは、電子が電荷格納層CS内に格納(蓄積)された状態を、維持する。
【0091】
電荷格納層CS内に電荷が格納されることによって、メモリセルMCは、ノーマリオフ型のトランジスタとなる。
【0092】
メモリセルMCの電荷格納層CSを空乏状態に設定する場合において、カットオフトランジスタSX,SYの酸化物半導体層63内におけるチャネル発生時に、0Vの電圧VWRが、メモリセルMCの制御ゲート電極(ワード線)に印加される。
【0093】
これによって、メモリセルMCの電荷格納層CS内に、電子が誘起されること無しに、電子が電荷格納層CSから放出される。この結果として、メモリセルMCの電荷格納層63は、空乏状態に設定される。
【0094】
以上のように、本実施形態の半導体メモリにおいて、メモリセルMCに対するデータの書き込みが、実行される。
【0095】
このように、電荷格納層CS内に電子が格納されている状態及び電荷格納層CS内に電子が格納されていない状態が得られることによって、メモリセルMCは、1ビットのデータを保持することができる。
【0096】
図7を用いて、本実施形態の半導体メモリにおけるメモリセルのデータ保持状態について説明する。
図7は、本実施形態の半導体メモリにおけるメモリセルMCのデータ保持状態におけるバンドギャップ状態を示す模式図である。
図7において、メモリセルMCとカットオフトランジスタSX,SYとの位置関係に基づいて電荷格納層に用いられる酸化物半導体の伝導帯下端のエネルギーEcと価電子帯上端のエネルギーEvのバンドエネルギーの状態が示される。
【0097】
図7に示されるように、メモリセルMC及びカットオフトランジスタSX,SYが、連続した酸化物半導体層OS上に設けられている。
【0098】
電子(e-)が、電荷格納層CSに蓄積されている場合、メモリセルMCにおける酸化物半導体層OSのエネルギーEcは、フェルミレベルEfより低下する。
【0099】
電荷格納層CSに用いられた酸化物半導体のバンドギャップ(エネルギーEcとエネルギーEvとの差)は、シリコンのバンドギャップの3倍程度の大きさを有する。例えば、InGaZnOのバンドギャップは、3.5eV程度である。
【0100】
このため、メモリセルの電荷格納層CS内に電子(e-)が格納されていたとしても、酸化物半導体における伝導帯及び価電子帯との間におけるバンド間トンネルによる電子のリークは、無視できるほど小さい。
【0101】
それゆえ、カットオフトランジスタSX,SYの両方がオンされない限り、メモリセルMCの電荷格納層CS内の電子は、酸化物半導体層OS内に保持され、ソース線SLに放出されない。
【0102】
そのため、本実施形態の半導体メモリにおいて、メモリセルMCの電荷格納層CSが、他の部材から孤立したフローティングゲート電極でなくとも、メモリセルMCは、実質的に不揮発にデータを保持できる。
【0103】
(2) 具体例
図8乃至
図13を参照して、本実施形態の半導体メモリの具体例について、説明する。
【0104】
<回路構成>
図8は、本実施形態の半導体メモリの構成例を示すブロック図である。
図8に示されるように、本実施形態の半導体メモリ1は、ホストデバイス9に電気的に接続されている。ホストデバイス9は、例えば、メモリコントローラ又はプロセッサ(例えば、CPU)などである
半導体メモリ1は、ホストデバイス9からの要求又は命令によって、動作する。ホストデバイス9は、半導体メモリ1の外部に設けられている。尚、半導体メモリ1が、ホストデバイス9の内部に設けられていてもよい。
【0105】
ホストデバイス9は、半導体メモリ1を動作させる際に、コマンド、アドレス及び各種の制御信号を半導体メモリ1に送信する。
ホストデバイス9は、半導体メモリ1の書き込み動作時において、書き込みコマンドと共に、書き込むべきデータ(記憶すべきデータ)を、半導体メモリ1に送信する。ホストデバイス9は、半導体メモリ1の読み出し動作時において、読み出しコマンドに対するレスポンスとして、半導体メモリ1から読み出されたデータを、受信する。
【0106】
本実施形態の半導体メモリ1は、メモリセルアレイ10、デコーダ11、ロウ制御回路12、カラム制御回路13、書き込み/読み出し回路14、入出力回路15、電圧生成回路16及びシーケンサ17を含む。
【0107】
メモリセルアレイ10は、複数のメモリユニットMUを含む。
【0108】
メモリセルアレイ10は、1つ又は複数のサブアレイからなる。サブアレイは、複数(例えば、256本から4096本)のビット線、複数(例えば、256本から4096本)のソース線SL及び複数(例えば、8本から512本)のワード線WLを含む。
【0109】
メモリセルアレイ10が1以上のサブアレイを含む場合、サブアレイは複数(例えば、256本から4096本)の第1のカットオフゲート線SGX、及び、複数(例えば、8本から512本)のカットオフゲート線SGYを含む。
【0110】
デコーダ11は、ホストデバイス9から供給されたアドレスをデコードする。デコーダ11によって、メモリセルアレイ10のロウアドレス、及び、メモリセルアレイ10のカラムアドレスが、デコードされる。
【0111】
ロウ制御回路12は、デコーダ11によるアドレスのデコード結果に基づいて、メモリセルアレイ10のロウを制御する。ロウ制御回路12によって、メモリセルアレイ10内のX方向に関して、デコードされたロウアドレスに対応するメモリユニットMUが、選択される。例えば、ロウ制御回路12は、ワード線ドライバ(ワード線選択回路)などを含む。
【0112】
カラム制御回路13は、デコーダ11によるアドレスのデコード結果に基づいて、メモリセルアレイ10のカラムを、制御する。カラム制御回路13によって、メモリセルアレイ10内のY方向に関して、デコードされたカラムアドレスに対応するメモリユニットMUが選択される。例えば、カラム制御回路13は、ビット線ドライバ(ビット線選択回路)などを含む。
【0113】
書き込み/読み出し回路14は、書き込みコマンド及び読み出しコマンドに基づいて、メモリセルアレイ10内の選択されたメモリユニットMUに対するデータの書き込み及び読み出しを、行う。例えば、書き込み/読み出し回路14は、書き込みドライバ(及びシンカ)、読み出しドライバ、及び、センスアンプなどを含む。
【0114】
入出力回路15は、半導体メモリ1の内部インターフェイスとして、機能する。入出力回路15は、ホストデバイス9からのデータ、コマンド、制御信号及びアドレスを受ける。入出力回路15は、メモリセルアレイ10からのデータを、ホストデバイス9へ送る。
例えば、入出力回路15は、データ、コマンド、信号及びアドレスを一時的に保持可能なラッチ回路を含んでいる。
【0115】
電圧生成回路16は、書き込み動作及び読み出し動作に用いられる各種の電圧を生成する。電圧生成回路16は、生成した電圧を、ロウ制御回路12、カラム制御回路13及び書き込み/読み出し回路14に、供給する。
【0116】
シーケンサ17は、コマンド及び制御信号に基づいて、ホストデバイス9から要求/命令された動作を実行するように、半導体メモリ1内の各回路10~16の動作を制御する。
【0117】
例えば、本実施形態の半導体メモリ1は、酸化物半導体を電荷格納層(メモリ膜)に用いたランダムアクセスメモリである。
【0118】
図9は、本実施形態のランダムアクセスのメモリセルアレイの等価回路図である。
図9において、
図4で説明された内容と実質的に同じ内容に関する説明は、省略される。
【0119】
図9において、図示の簡略化のため、メモリセルアレイ内のm×n個のメモリユニットのうち、2×2に配列されたメモリユニットMUが、図示されている。m及びnは、2以上の自然数である。
【0120】
図9に示されるように、メモリセルアレイ10内において、複数(ここでは、4個)のメモリユニットMUは、X方向及びY方向に沿って、配列されている。
【0121】
メモリユニットの個数に対応するように、複数(ここでは、2本)のソース線SL(SL<0>,SL<1>)が、メモリセルアレイ10内に設けられている。各ソース線SLに、X方向に配列された複数(ここでは、2つ)のメモリユニットMUの一端が接続されている。
【0122】
メモリユニットMUの個数に対応するように、複数(ここでは、2本)のビット線BL(BL<0>,BL<1>)が、メモリセルアレイ10内に設けられている。各ビット線BLに、X方向に配列された複数(ここでは、2つ)のメモリユニットMUの他端が接続されている。
【0123】
メモリユニットMUの個数に対応するように、複数(ここでは、2本)のカットオフゲート線SGX(SGX<0>,SGX<1>)が、メモリセルアレイ10内に設けられている。各カットオフゲート線SGXは、X方向に配列された複数(ここでは、2つ)のメモリユニットMUにおけるカットオフトランジスタSXのゲートに、接続されている。
【0124】
メモリユニットMUの個数に対応するように、複数(ここでは、2本)のカットオフゲート線SGY(SGY<0>,SGY<1>)が、メモリセルアレイ10内に設けられている。各カットオフゲート線SGYは、Y方向に配列された複数(ここでは、2つ)のメモリユニットMUにおけるカットオフトランジスタSYのゲートに、接続されている。
【0125】
メモリユニットMUの個数に対応するように、複数(ここでは、2本)のワード線WL(WL<0>,WL<1>)が、メモリセルアレイ10内に設けられている。各ワード線WLは、Y方向に配列された複数(ここでは、2つ)のメモリユニットMUにおけるメモリセルMCのゲートに、接続されている。
【0126】
上述のように、メモリセルMCの電荷格納層(酸化物半導体層)CSは、トランジスタSX,SYの酸化物半導体層63のチャネル領域を経由して、ソース線SLに接続されている。
【0127】
<構造例>
図10乃至
図12を用いて、本実施形態の半導体メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ)におけるメモリセルアレイの構造例について、説明する。
【0128】
図10は、本実施形態の半導体メモリのメモリセルアレイの構造例を示す鳥瞰図である。
図11及び
図12は、本実施形態の半導体メモリのメモリセルアレイの構造例を示す断面図である。
図11は、メモリセルアレイのX方向に沿う断面構造を示している。
図12は、メモリセルアレイのY方向に沿う断面構造を示している。
【0129】
図10乃至
図12において、
図9と同様に、m×n個のメモリユニットのうち、2×2個のメモリユニットが、図示されている。
尚、
図10乃至
図12の説明において、
図1乃至
図3で説明された内容と実質的に同じ内容に関する説明は、省略する。
【0130】
図10乃至
図12に示されるように、メモリセルアレイ10内において、複数のメモリユニットMUが、X方向及びY方向に沿って、半導体基板91上の基板(絶縁層)90上方に、配列されている。
【0131】
複数のビット線BL(BL<0>,BL<1>)は、基板(絶縁層)90上に配置されている。各ビット線BLは、X方向に延在する。複数のビット線BLは、Y方向に沿って配列されている。
【0132】
1つのビット線BL上に、X方向に配列された複数(ここでは、2個)のメモリユニットMUが、配置されている。
【0133】
複数のソース線SL(SL<0>,SL<1>)は、メモリユニットMUの上方に、配置されている。
各ソース線SLは、X方向に配列された複数のメモリユニットMU上に、配置されている。
【0134】
例えば、ソース線SLは、ソース線コンタクト87を介して、ピラーPLRの半導体層(例えば、n+型多結晶Si層)61に接続されている。
半導体層61は、ソース線SLからビット線BLに向かって延在している。
酸化物半導体層(例えば、InGaZnO層)63は、絶縁層89の上面からソース線SLに向かって、Z方向に延在している。酸化物半導体層63は、絶縁層89によって、ビット線BLから分離されている。
【0135】
酸化物半導体層63は、ソース線SLに直接接触している。例えば、酸化物半導体層63は、絶縁層(層間絶縁膜)99Aの上面とソース線SLの底面との間に設けられている。ソース線SLの底面が、絶縁層99A上方において、酸化物半導体層63に接触する。これによって、酸化物半導体層63の端部のみがソース線SLに接触している場合に比べて、ソース線SLと酸化物半導体層63との接触面積が増大する。この結果として、本実施形態のメモリデバイスは、ソース線SLと酸化物半導体層63との間の電気抵抗を低減でき、書き込み動作時におけるソース線SLと電荷格納層CSとの間における電子の移動を高速化できる。
【0136】
例えば、X方向に隣り合うメモリユニットMU間において、酸化物半導体層63は、連続している。Y方向に隣り合うメモリユニットMUの酸化物半導体層63は、分離されている。尚、Y方向に隣り合うメモリユニットMU間で、酸化物半導体層63が連続していてもよい。例えば、絶縁層64が、酸化物半導体層63と絶縁層99Aの上面との間に、設けられている。
【0137】
ワード線WL(WL<0>,WL<1>)としての導電層81及びカットオフゲート線SGY(SGY<0>,SGY<1>)としての導電層82はY方向に延在する。導電層81及び導電層82は、Y方向に配列された複数のピラーPLRと、交差する。
カットオフゲート線SGX(SGX<0>,SGX<1>)としての導電層83は、X方向に延在する。導電層83は、X方向に配列された複数のピラーPLRと交差する。
【0138】
例えば、メモリセルアレイ10の下方の半導体基板(半導体領域)91上に、複数の電界効果トランジスタ(例えば、MOSトランジスタ)Tr及び金属配線INTが、配置されてもよい。電界効果トランジスタTrは、半導体メモリ1内における各回路11~17に用いられる。
【0139】
トランジスタTrは、半導体基板91内のウェル領域910上に配置されている。
トランジスタTrのゲート電極911は、ゲート絶縁膜912を介して、2つのソース/ドレイン領域913,914間のチャネル領域上に設けられている。
【0140】
例えば、金属配線INTは、トランジスタTrのソース/ドレイン領域913,914上のコンタクトCPを介して、トランジスタTrに電気的に接続されている。金属配線INTによって、複数のトランジスタTr、及び、トランジスタTrとメモリユニットMUとが、電気的に接続されている。
【0141】
図11及び
図12において、トランジスタTrは、プレーナ構造のトランジスタである。但し、FinFET又は埋め込みゲート構造トランジスタのような、3次元構造の電界効果トランジスタが、メモリセルアレイ10下方の半導体基板91上に、設けられてもよい。
【0142】
<動作例>
図13を用いて、本実施形態の半導体メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ)の動作例について、説明する。
図13は、本実施形態のランダムアクセスメモリの動作例を説明するためのタイミングチャートである。
【0143】
以下において、カットオフトランジスタのオフ電圧は、酸化物半導体層内にチャネルが発生しない電圧値である。カットオフトランジスタのオン電圧は、酸化物半導体層内にチャネルが発生する電圧値である。尚、カットオフトランジスタのオフ電圧及びオン電圧の電圧値は、トランジスタの特性に応じて、異なる。
【0144】
以下において、動作の対象として選択されたメモリユニット及びメモリセルは、選択ユニット及び選択セルとそれぞれよばれる。これに対して、選択されないメモリユニット及びメモリセルは、非選択ユニット及び非選択セルとそれぞれよばれる。
【0145】
(a) 書き込み動作
書き込み動作時において、ホストデバイス9は、書き込みコマンド、各種の制御信号、データの書き込み対象を示すアドレス、及び、メモリセルに書き込むべきデータ(以下では、書き込みデータとよぶ)を、ランダムアクセスメモリ1に転送する。
【0146】
ランダムアクセスメモリ1は、コマンド及び制御信号に基づいて、アドレスに示される選択ユニット(選択セル)に対して、データの書き込みを実行する。
【0147】
シーケンサ17は、コマンド及び制御信号に基づいて、ランダムアクセスメモリ1内の各回路の動作を制御する。ロウ制御回路12及びカラム制御回路13は、デコーダ11におけるアドレスのデコード結果に基づいて、メモリセルアレイ10内の各配線の活性化及び非活性化を行う。書き込み/読み出し回路14は、入出力回路15からの書き込みデータに基づいて、メモリセルアレイ10内の配線(例えば、選択ワード線)に印加する電圧を、決定する。例えば、書き込み/読み出し回路14内において、書き込みドライバが駆動される。
【0148】
これによって、メモリセルアレイ10内の各配線に、書き込み動作のための各種の電圧が、印加される。
【0149】
図13に示されるように、書き込み動作時において、非選択ワード線WLx、非選択ソース線SLx、非選択ビット線BLx、及び、非選択カットオフゲート線SGXx,SGYxに、0Vの電圧が印加される。
【0150】
これによって、非選択のメモリセルMCは、非活性化される。非選択のメモリユニットMUにおいて、2つのカットオフトランジスタSX,SYのうち少なくとも1つは、オフ状態に設定される。それゆえ、非選択ユニットMUにおいて、非選択セルMCの電荷格納層CSは、オフ状態のカットオフトランジスタSX,SYによって、ソース線SLから電気的に分離される。
【0151】
例えば、選択ソース線SLs及び選択カットオフゲート線SGXsに接続された非選択ユニットMUにおいて、非選択カットオフゲート線SGYxに接続されたトランジスタSYが、オフ状態である。それゆえ、選択ソース線SLsに電圧が印加され、且つ、選択カットオフゲート線SGXsにオン電圧が印加されたとしても、オフ状態のカットオフトランジスタSYによって、非選択セルの電荷格納層CSは、選択ソース線SLsから電気的に分離される。
【0152】
例えば、選択ワード線WLs及び選択カットオフゲート線SGYsに接続された非選択のメモリユニットMUにおいて、非選択カットオフゲート線SGXxに接続されたトランジスタSXが、オフ状態である。それゆえ、選択カットオフゲート線SGYsにオン電圧が印加されたとしても、オフ状態のカットオフトランジスタSYによって、非選択セルの電荷格納層CSは、選択ソース線SLsから電気的に分離される。
【0153】
このように、本実施形態のランダムアクセスメモリにおいて、ロウ方向及びカラム方向の選択/非選択に関して、カットオフゲート線SGX,SGYの制御によって、非選択セルに対する誤動作を防止できる。
【0154】
尚、カットオフトランジスタSX,SYの半導体層61内の寄生チャネルを抑制するために、負電圧Vngが、非選択カットオフゲート線SGXx、SGYxに印加されてもよい。また、例えば、非選択ワード線WLxは、非選択セルに対するデータの誤書き込みを防止するために、電気的にフローティングな状態に設定されてもよい。
【0155】
時刻t1において、選択ユニット(選択セル)において、選択カットオフゲート線SGXs,SGYsに、オン電圧Vonが印加される。これによって、選択ユニット内におけるカットオフトランジスタSX,SYのチャネル領域に、チャネルが形成される。連続した酸化物半導体層63によって、メモリセルMCの電荷格納層CSは、チャネルを経由して、ソース線SLに電気的に接続される。
【0156】
選択ソース線SLsに、ある電圧値VXのソース線電圧VSLが印加される。例えば、選択ビット線BLsに、ある電圧値VXが印加される。
書き込み動作時において、選択ソース線SLsと選択ビット線BLsとの間に電流が流れることを防止するために、選択ビット線BLsの電位は、選択ソース線SLsの電位と同じに設定されることが好ましい。尚、非選択ビット線SLxの電位は、非選択ソース線SLxの電位と同じであることが好ましい。
【0157】
選択ワード線WLsに、ある電圧値の書き込み電圧VWRが、印加される。例えば、1ビットのデータを記憶するメモリセルにおいて、“0”データの書き込みのために、書き込み電圧VWRの電圧値は、0Vに設定される。0Vの書き込み電圧VWRによって、電子が、メモリセルMCにおける酸化物半導体層63内の電荷格納層CSからソース線SLに排出される。
【0158】
“1”データの書き込みのために、書き込み電圧VWRは、0Vより十分大きいある電圧値V1に設定される。電圧値V1の書き込み電圧VWRによって、選択ソース線SLからの電子が、オン状態のトランジスタSG,SYの酸化物半導体層63内のチャネルを経由して、メモリセルMCにおける酸化物半導体層63内の電荷格納層CS内に、供給(誘起)される。
【0159】
選択ワード線WLsに対する書き込み電圧VWRの印加の後、時刻t2において、0Vの電圧(トランジスタSX,SYのオフ電圧Voff)が、選択カットオフゲート線SGXs,SGYsに印加される。トランジスタSX,SYにおいて、酸化物半導体層63内のチャネルが、消失する。オフ状態のトランジスタSX,SYによって、電荷格納層CSは、ソース線SLから電気的に分離される。
【0160】
これによって、選択セルMCの電荷格納層CSの空乏状態又は蓄積状態が、保持される。
【0161】
上述のように、メモリセルMCの電荷格納層CS内の電子量に応じて、選択セルの閾値電圧(オン電圧)は、変わる。電子が保持された電荷格納層CSを有するメモリセルMCの閾値電圧は、電子が保持されない電荷格納層CSを有するメモリセルMCの閾値電圧より、高くなる。例えば、電荷格納層CS内に電子が格納されている場合、メモリセルMCは、ノーマリオフ型のトランジスタとなる。電荷格納層CS内に電子が格納されていない場合、メモリセルMCは、ノーマリオン型のトランジスタとなる。
【0162】
以上のように、本実施形態のランダムアクセスメモリにおいて、選択セルに対する書き込み動作が完了する。
【0163】
例えば、シーケンサ17は、書き込み動作の完了を、ホストデバイス9に通知できる。
【0164】
(b) データ保持動作
本実施形態のランダムアクセスメモリにおいて、書き込み動作が完了した後、選択ユニットの動作は、データ保持動作となる。
【0165】
図13に示されるように、データ保持動作において、時刻t2において、選択カットオフゲート線SGXs,SGYsの電位は、0Vに設定される。選択ワード線WLsは、電気的にフローティング状態に設定される。これによって、選択セル内の電荷格納層CS内の電子の発散(リーク)、又は、電荷格納層CSに対する電子の侵入が、防止される。
このように、メモリセルMCのデータの保持状態が、継続される。
【0166】
(c) 読み出し動作
読み出し動作時において、ホストデバイス9は、読み出しコマンド、各種の制御信号、及び、データの読み出し対象を示すアドレスを、ランダムアクセスメモリ1に転送する。
【0167】
ランダムアクセスメモリ1は、コマンド及び制御信号に基づいて、アドレスに示されるメモリユニット(メモリセル)に対して、データの読み出しを実行する。
【0168】
シーケンサ17は、コマンド及び制御信号に基づいて、ランダムアクセスメモリ1内の各回路の動作を制御する。ロウ制御回路12及びカラム制御回路13は、アドレスのデコード結果に基づいて、メモリセルアレイ10内の各配線の活性化及び非活性化を行う。書き込み/読み出し回路14は、センスアンプ及び読み出しドライバなどを、活性化する。
【0169】
これによって、メモリセルアレイ10内の各配線に、読み出し動作のための各種の電圧が、印加される。
【0170】
図13に示されるように、読み出し動作時において、非選択ワード線WLx、非選択ソース線SLx、及び、非選択ビット線BLxに、0Vの電圧が、印加される。
【0171】
例えば、n+型半導体層61が、カットオフトランジスタSX,SYにおける寄生的なチャネルになる場合、非選択ユニットMUにおいて、非選択のカットオフゲート線SGXx,SGYxに、ある大きさの負電圧Vngが印加されてもよい。
【0172】
これによって、カットオフトランジスタSX,SYのゲート電極82,83に対向するn+型半導体層61の部分が、空乏化される。この結果として、電流が、非選択ユニットMUにおけるビット線とソース線との間に流れるのを、実質的に抑制できる。尚、0Vの電圧が、非選択カットオフゲート線SGXx,SGYxに、印加されてもよい。
【0173】
書き込み動作時と同様に、非選択ユニットMUにおいて、2つのカットオフトランジスタSX,SYのうち少なくとも1つは、オフ状態に設定される。それゆえ、読み出し動作時における非選択ユニット及び非選択セルの誤動作は、防止される。
【0174】
このように、データの読み出し時において、非選択ユニットMU及び非選択セルMCは、非活性化される。
【0175】
時刻t3において、選択メモリユニットMUおいて、選択カットオフゲートSGXs、SGYsに、0Vの電圧が、印加される。これによって、選択ユニットMU内のカットオフトランジスタSX,SYは、酸化物半導体層63のチャネル領域に関して、オフ状態に設定される。読み出し動作時において、選択セルMC内の電荷格納層CSは、オフ状態のカットオフトランジスタSX,SYによって、選択ソース線SLsから電気的に分離されている。
【0176】
選択ビット線BLsに、ある電圧値(例えば、正の電圧値)VYのビット線電圧VBLが、印加される。選択ソース線SLsは、例えば、電気的にフローティング状態に設定される。
【0177】
ある正電圧値V2のワード線電圧VRDが、選択ワード線WLsに、印加される。選択セルMCの制御ゲート電極に、電圧VRDが印加される。尚、読み出し電圧VRの電圧値V2は、0Vでもよい。
【0178】
これによって、読み出し電圧VRDが印加された選択セルMCの動作に応じて、電流(読み出し電流)が、選択ソース線SLと選択ビット線BLとの間のn+型半導体層61内に、流れる。
【0179】
ある読み出し電圧VDRに対する読み出し電流の大きさは、選択セルMCの電荷格納層CS内の電子量に応じて変わる。
例えば、選択セルMCの電荷格納層CS内に電子が格納されている場合における読み出し電流の電流値は、選択セルMCの電荷格納層CS内に電子が格納されていない場合における読み出し電流の電流値より小さくなる。尚、電荷格納層内の電子量に応じた読み出し電流の電流値のマージンが確保されるように、読み出し電圧VRDの電圧値V2が適宜設定される。
【0180】
書き込み/読み出し回路14のセンスアンプが、読み出し電流(又は、選択ソース線SLsの電位)をセンスし、ある参照値と比較する。又は、センスアンプが、読み出し電流の有無をセンスする。
これによって、選択セルMC内のデータが、“1”データであるか“0”データであるか判別される。
【0181】
このように、本実施形態のランダムアクセスメモリにおいて、選択ソース線SLsと選択ビット線BLsとの間に流れる電流の大小関係(ソース線とビット線との間の抵抗値の大小関係)に基づいて、選択セル内に記憶されているデータを読み出すことができる。
【0182】
時刻t4において、0Vの電圧が、選択ワード線WLs、選択カットオフゲート線SGXs,SGYs、非選択カットオフゲート線SGXx,SGYx、選択ソース線SLs、及び、選択ビット線BLsに印加される。また、
シーケンサ17は、メモリセルから読み出しデータを、ホストデバイス9へ転送する。
【0183】
以上のように、本実施形態のランダムアクセスメモリにおいて、選択セルに対する読み出し動作が完了する。
【0184】
(3) 変形例
図14乃至
図17を用いて、本実施形態の半導体メモリの変形例について、説明する。
【0185】
<例1>
図14及び
図15を用いて、本実施形態の半導体メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ)の変形例の一例について説明する。
【0186】
図14は、本実施形態のランダムアクセスメモリの変形例の構造を示す断面図である。
【0187】
図14に示されるように、ソース線コンタクト87xが、導電層81~83及び絶縁層を含む積層体の孔内に設けられてもよい。例えば、ソース線コンタクト87は、ピラーPLR内(絶縁層62からなる円筒内)を延在する。
【0188】
例えば、ソース線コンタクト87xの底部は、導電層(カットオフゲート線)82の底部と導電層(ワード線)81の上部との間の位置(高さ)に、設けられている。
【0189】
導電層82及び導電層83は、ソース線コンタクト87xの側面に対向している。導電層81は、ソース線コンタクト87xに対向しない。
【0190】
導電層82,83とソース線コンタクト87xとの間において、2つの絶縁層62,64に挟まれた酸化物半導体層63が、設けられている。導電層82とソース線コンタクト87xとの間、及び、導電層83とソース線コンタクト87xとの間に、半導体層61xは存在しない。
【0191】
半導体層61x及び絶縁層60xの上部は、導電層82の底部と導電層81の上部との間の位置に、設けられている。半導体層61x及び絶縁層60xの上部は、ソース線コンタクト87xの底部に接触する。
【0192】
図14の構造を有するメモリユニットMUは、ノーマリオフ型のトランジスタを、メモリセルMCに用いることができる。この場合、低濃度のn型半導体層(n
-型半導体層)、又は、p型半導体層が、半導体層61xに用いられる。
【0193】
図15は、
図14のメモリセルの特性を説明するための図である。
図15において、グラフの横軸は、トランジスタ(メモリセル)のゲート電圧に対応し、グラフの縦軸は、トランジスタのドレイン電流に対応している。
図15において、特性線(実線)B1は、メモリセルの電荷格納層内に電荷が格納されている状態(蓄積状態)におけるトランジスタのV-I特性を示している。特性線(破線)B2は、メモリセルの電荷格納層内に電荷が格納されていない状態(空乏状態)におけるトランジスタのV-I特性を示している。
【0194】
図15に示されるように、ノーマリオフ型のメモリセルMCは、0Vのゲート電圧の印加時において、オフ状態である。0Vより高い正電圧がゲート電極に印加されることによって、ノーマリオフ型のメモリセルMCは、オン状態になる。
【0195】
図15の特性線B1,B2に示されるように、
図14の構造を有するメモリユニットMUによって、ノーマリオフ型のトランジスタがメモリセルMCに用いられた場合においても、電荷格納層CSにおける電子の有無(蓄積状態/空乏状態)に応じて、メモリセルMCの閾値電圧Vz1,Vz2及びドレイン電流の大きさは、変わる。
これによって、メモリセルMCは、1ビット以上のデータを保持できる。
【0196】
本例のように、メモリセルMCのチャネル領域となる半導体層61xに、n+型半導体層を用いずともよい場合、非選択セルのカットオフトランジスタSX,SYにおけるn+半導体層内の寄生チャネルの発生を抑制するために、負電圧のゲート電圧を用いなくともよくなる。
【0197】
これによって、本変形例のメモリユニットを用いたランダムアクセスメモリは、負電圧の生成及び制御のための回路を削減でき、ランダムアクセスメモリのチップ内の回路構成を簡素化できる。
【0198】
この結果として、本変形例のランダムアクセスメモリは、製造コストを低減できる。
【0199】
<例2>
図16を用いて、本実施形態の半導体メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ)の変形例の一例について説明する。
【0200】
図16は、本実施形態のランダムアクセスメモリの変形例の構造を示す断面図である。
【0201】
図16に示されるように、メモリセルアレイ10内において、複数のメモリユニットMUが、Z方向に積層されてもよい。
【0202】
図16のメモリセルアレイ10は、第1のアレイ層100と第2のアレイ層101とを含む。
【0203】
第1のアレイ層100内において、複数のメモリユニットMUAが2次元に配列されている。第2のアレイ層101内において、複数のメモリユニットMUBが2次元に配列さ
れている。第2のアレイ層101は、Z方向において第1のアレイ層100上に設けられている。
【0204】
積層された2つのメモリユニットMUA,MUBは、ソース線SLを共有する。
【0205】
メモリユニットMUBのメモリセルMCb及びトランジスタSXb,SYbは、ソース線SL上に積層されている。メモリユニットMUBのビット線BLbは、メモリセルMCb及びトランジスタSXb,SYbの上方に設けられている。メモリユニットMUAに対するビット線BLaは、絶縁層90上に設けられている。
【0206】
メモリユニットMUBの素子MCb,SXb,SYbのZ方向における積層順序は、メモリユニットMUAの素子MCa,SXa,SYaのZ方向における積層順序と反対である。
【0207】
メモリユニットMUBにおいて、メモリセルMCの下方(基板側)に、2つのカットオフトランジスタSXb,SYbが設けられている。カットオフトランジスタSYbは、メモリセルMCbとカットオフトランジスタSXbの間に設けられている。
【0208】
メモリユニットMUBにおいて、酸化物半導体層63は、絶縁層89Zによって、ビット線BLbから電気的に分離されている。
メモリユニットMUBにおいて、半導体層61の上部は、ビット線コンタクト87Zを介して、ビット線BLbに電気的に接続されている。メモリユニットMUBにおいて、半導体層61の底部は、ソース線SLに接触している。
【0209】
尚、メモリユニットMUA及び各素子MCa,SXa,SYaの構造は、
図3、
図12及び
図13などで説明した構造と実質的に同じである。
【0210】
Z方向に積層されたメモリユニットがビット線を共有するように、複数のメモリ層が積層されてもよい。この場合において、各メモリ層内に、ソース線が設けられている。
【0211】
本例のランダムアクセスメモリは、複数のメモリユニットがZ方向に積層されることよって、メモリセルアレイ10の記憶密度を向上でき、単位面積当たりの製造コスト(ビットコスト)を低減できる。
【0212】
<例3>
図17を用いて、本実施形態の半導体メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ)の変形例の一例について説明する。
【0213】
酸化物半導体層からなる電荷格納層を有するメモリセルを含む半導体メモリにおいて、書き込み動作時における書き込み電圧の大きさを制御することによって、メモリセルMCは、2ビット以上のデータを記憶できる。
【0214】
図17は、本実施形態のランダムアクセスメモリにおける2ビット以上のデータを保持するメモリセルを説明するための図である。
図17において、グラフの横軸は、電荷格納層内における電荷量に対応し、グラフの縦軸は、電荷量に対するメモリセルの存在確率に対応する。
【0215】
図17において、メモリセルMCが2ビットのデータを記憶する例が示されている。
メモリセルMCが2ビットのデータ(“00”、“01”、“10”及び“11”)を記憶する場合、電荷格納層CSの電荷量に応じた4つの分布(電荷格納状態)D1,D2,D3,D4が、2ビットのデータに関連付けられる。
【0216】
書き込み電圧VWRに4つ電圧値が用いられることによって、メモリセルMC内に、2ビットのデータが、書き込まれる。メモリセルMCは、書き込み電圧VWRの大きさに応じて、4つの状態のうちいずれか1つに設定できる。
【0217】
書き込み電圧VWRの大きさに応じて、電荷格納層CS内に誘起される電子量が、変わる。書き込み電圧VWRが0Vである場合において、電荷格納層CS内の電子量は、“11”データの記憶状態に対応する分布D1に設定される。
【0218】
書き込み電圧VWRの大きさが、電圧値V1である場合において、電荷格納層CS内の電子量は、“00”データの記憶状態に対応する分布D4に設定される。
【0219】
書き込み電圧の電圧値が、“00”データを書き込むための電圧値V1より小さくされることによって、電荷格納層CS内に蓄積される電子量は、分布D1より多く、且つ、分布D4より少ない量に、設定できる。
【0220】
例えば、書き込み電圧VWRの大きさが、電圧値V1の3分の1程度である場合において、電荷格納層CS内の電子量は、“10”データの記憶状態に対応する分布D2に設定される。
【0221】
書き込み電圧VWRの大きさが、電圧値V1の3分の2程度である場合において、電荷格納層CS内の電子量は、“01”データの記憶状態に対応する分布D3に設定される。
【0222】
読み出し動作時において、読み出し電圧VRの印加に対して、メモリセルMCのドレイン電流の大きさが、変わる。ドレイン電流の大きさを、ある参照値と比較することによって、メモリセルMC内の2ビットのデータを、判別できる。
【0223】
書き込み動作時における選択ソース線SLの電圧値VXの大きさを制御することよって、メモリセルに供給される電子量が、制御されてもよい。
【0224】
尚、読み出し動作時に制御ゲート電極に印加された複数の電圧値に対してメモリセルMCがオンするか否かに応じて、メモリセルMCのデータが、判別されてもよい。
【0225】
メモリセルMCに3ビットのデータが書き込まれる場合、書き込み電圧に8つの電圧値が用いられる。
【0226】
このように、書き込み電圧の電圧値が細分化されることによって、メモリセルMCは、2ビット以上のデータを記憶できる。
【0227】
(4) まとめ
第1の実施形態の半導体メモリは、酸化物半導体層が電荷格納層に用いられたメモリセルを含むメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ)である。
【0228】
キャパシタを用いたDRAMは、読み出し動作後及びデータ保持時において、データの信頼性を維持するためのリフレッシュ動作が、実行される。DRAMは、リフレッシュ動作に起因する消費電力の増大の問題を、有する。
【0229】
また、DRAMを用いたシステムにおいて、システムのスリープ時に、DRAM内から不揮発メモリへのデータの退避動作、動作の再開時におけるデータロードなどのように、DRAMが揮発性メモリであること起因する余計な動作が発生する。これに伴って、システムのコストが増大する可能性がある。
【0230】
本実施形態の半導体メモリは、比較的大きいバンドギャップを有する酸化物半導体層内に電荷を蓄積することによって、データを記憶する。これによって、本実施形態の半導体メモリは、メモリセルからの電子のリークを抑制でき、メモリセルのデータリテンション特性を向上できる。それゆえ、本実施形態の半導体メモリは、リフレッシュ動作の実行を削減できる。この結果として、本実施形態の半導体メモリは、消費電力を低減できる。
【0231】
本実施形態の半導体メモリは、データの記憶に用いられる制御単位の面積を低減できる。また、本実施形態の半導体メモリは、メモリセル内の保持されるデータを多値化できる。これらの結果として、本実施形態の半導体メモリは、ビットコストを低減できる。
【0232】
また、本実施形態の半導体メモリは、高い電圧を用いずに、メモリの書き込み動作/読み出し動作を実現できるため、メモリセルの膜の劣化を抑制できる。
【0233】
以上のように、本実施形態の半導体メモリは、高い性能を有する半導体メモリを提供できる。また、本実施形態の半導体メモリは、メモリのコストを低減できる。
【0234】
[2]第2の実施形態
図18乃至
図37を参照して、第2の実施形態の半導体メモリについて、説明する。
【0235】
(1)第1の例
図18乃至
図23を用いて、第2の実施形態の半導体メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ)の第1の例について説明する。
【0236】
<基本例>
図18を用いて、本実施形態のランダムアクセスメモリの基本例について説明する。
【0237】
図18は、本実施形態のランダムアクセスメモリのメモリユニットの基本構造を示す断面図である。
図18において、メモリユニットを覆う層間絶縁膜の図示は、省略する。
【0238】
図18に示されるように、本実施形態のランダムアクセスメモリにおいて、メモリユニットMUZの構成素子MCZ,SZは、基板90上に2次元に配置されている。
【0239】
半導体層61Zは、基板(例えば、半導体基板)90上方に設けられている。半導体層61Zは、例えば、Y方向に延在する。半導体層61Zは、積層ゲート構造のメモリセルMCZのチャネル領域として用いられる。
【0240】
酸化物半導体層(例えば、InGaZnO層)63Zは、絶縁層62Zを介して、半導体層61Z上方に設けられている。酸化物半導体層63Zは、例えば、Y方向に延在する。
酸化物半導体層63Zは、コンタクト85Cによって、半導体層61Zに電気的に接続されている。
【0241】
メモリセルMCZの制御ゲート電極(導電層)81Z、及び、カットオフゲートトランジスタSZのゲート電極(導電層)82Zは、絶縁層64Zを介して、酸化物半導体層63Zの上方に設けられている。例えば、絶縁層64Zは、制御ゲート電極81Zと電荷格納層CSとの間のブロック絶縁膜として機能する。絶縁層64Zは、ゲート電極82Zと酸化物半導体層63Zとの間のゲート絶縁膜として、機能する。
【0242】
制御ゲート電極81Z及びゲート電極82Zは、Y方向に並んでいる。例えば、制御ゲート電極81Z及びゲート電極82Zは、X方向に延在する。制御ゲート電極81Zは、ワード線WLとして用いられる。ゲート電極82Zはカットオフゲート線SZとして用いられる。X方向は、基板表面に対して平行方向においてY方向と直交する方向である。
【0243】
ビット線BLとしての導電層80Zは、ビット線コンタクト85Aを介して、酸化物半導体層63ZのX方向の一端に電気的に接続されている。ビット線コンタクト85Aは、酸化物半導体層63Zの上面上に設けられている。ビット線BLは、酸化物半導体層63Z及びコンタクト85Cを介して、半導体層61Zに電気的に接続されている。または、ビット線コンタクト85Aは、酸化物半導体層63Z内を貫通して半導体層61Zに達し、酸化物半導体層63Zと半導体層61Zとに電気的に接続されていてもよい。
【0244】
ソース線SLとしての導電層84Zは、ソース線コンタクト85Bを介して、半導体層61ZのX方向の他端に電気的に接続されている。
【0245】
ソース線コンタクト85Bは、半導体層61Zの上面上に設けられている。ソース線コンタクト85Bの配置位置は、ビット線コンタクト85Aの配置位置よりもX方向にずれた位置に設定されてもよい。
【0246】
ソース線コンタクト85Bは、層間絶縁膜(図示せず)によって、酸化物半導体層63Zから分離されている。
【0247】
例えば、バックゲート電極65が、絶縁層60Zを介して、半導体層61Zの下方に設けられている。バックゲート電極65は、例えば、X方向に延在する。絶縁層60Zは、バックゲート電極65と半導体層61Zとの間のゲート絶縁膜(以下では、バックゲート絶縁膜ともよぶ)として用いられる。
【0248】
バックゲート電極65が設けられることによって、メモリセル(センストランジスタ)MCZにおける半導体層61Z内に形成されるチャネルの電位の制御が、安定化される。
【0249】
この結果として、メモリセルMCZからのデータの読み出しの精度を、向上できる。
メモリセルMCZが2ビット以上のデータを保持する場合に、バックゲート電極65によるチャネルの電位の安定化は、さらに有効である。
【0250】
図18のメモリユニットMUZにおいて、メモリセルMCZの第1の端子(ソース)は、ソース線SLに接続され、メモリセルMCZの第2の端子(ドレイン)は、ビット線BLに接続される。
【0251】
カットオフトランジスタSZの一方の端子は、電極又は配線を介することなしにメモリセルMCZの電荷格納層CSに連続的に接続されている。カットオフトランジスタSZの他方の端子は、ビット線BLに接続されている。例えば、電荷格納層CSを含む酸化物半導体層63Zが、カットオフトランジスタSZのチャネル領域として用いられる。
【0252】
半導体層61Zの材料は、第1の実施形態における半導体層61の材料と同じ材料を用いることができる。半導体層61Zは、例えば、n型ポリシリコン層である。
酸化物半導体層63Zの材料は,第1の実施形態における酸化物半導体層63の材料と同じ材料を用いることができる。
【0253】
半導体層61Z及び酸化物半導体層63Zの材料が、第1の実施形態の層61,63と同じ材料である場合、層61Z,63Zの膜厚は、層61,63の膜厚の範囲と実質的に同じ範囲内の値が、用いられてもよい。
【0254】
<具体例>
図19乃至
図22を用いて、本実施形態のランダムアクセスメモリの第1の例のより具体的な例について、説明する。
【0255】
(a)回路例
図19は、本実施形態のランダムアクセスメモリにおけるメモリセルアレイの回路構成を示す等価回路図である。尚、
図19において、図示の簡略化のため、メモリセルアレイ内のm×n個のメモリユニットのうち、2×2個のメモリユニットが図示されている。
【0256】
図19に示されるように、X方向に配列された複数のメモリユニットMUZにおいて、複数のメモリセルMCZの制御ゲート電極は、共通のワード線WL(WL<0>,WL<1>)に接続されている。
【0257】
X方向に配列された複数のメモリユニットMUZにおいて、複数のカットオフトランジスタSZのゲート電極は、共通のカットオフゲート線SGZ(SGZ<0>,SGZ<1>)に接続されている。
【0258】
また、X方向に配列された複数のメモリユニットMUZにおいて、バックゲート電極は、共通のバックゲート線BGL(BGL<0>,BGL<1>)に接続されている。
【0259】
Y方向に配列された複数のメモリユニットMUZの一端は、共通のビット線BL(BL<0>,BL<1>)に接続されている。Y方向に配列された複数のメモリユニットMUZの他端は、共通のソース線SLに接続されている。例えば、X方向に隣り合う2つのメモリユニットMUZは、同じソース線SLに接続されている。
【0260】
メモリセルMCZの第1の端子は、ソース線SLに接続されている。メモリセルMCZの第2の端子及びカットオフトランジスタSZの端子(チャネル領域の一端)は、ビット線BLに接続されている。
【0261】
各メモリユニットMUZにおいて、メモリセルMCZの電荷格納層CSは、カットオフトランジスタSZのチャネル領域を介して、ビット線BLに接続されている。
【0262】
例えば、
図19のような2×2のメモリユニットMUZが、1つの単位として、メモリセルアレイ10内に、2次元に配列される。
【0263】
(b)構造例
図20乃至
図22は、本実施形態のランダムアクセスメモリにおけるメモリセルアレイの構造例を示す図である。
【0264】
図20は、本実施形態のランダムアクセスメモリにおけるメモリセルアレイの上面図を示している。
図21は、本実施形態のランダムアクセスメモリにおけるメモリセルアレイのY方向に沿う断面図を示している。
図22は、本実施形態のランダムアクセスメモリにおけるメモリセルアレイのX方向に沿う断面図を示している。
図20乃至
図22において、図示の簡略化のため、メモリセルアレイ内のm×n個のメモリユニットのうち、2×2個のメモリユニットが図示されている。
【0265】
図20乃至
図22に示されるように、Y方向に隣り合うメモリユニットMUZは、1つの半導体層61Zを共有する。半導体層61Zは、2つのメモリユニットMUZ間で、Y方向において連続している。X方向に隣り合う半導体層61Zは、電気的に分離されている。
【0266】
2つの酸化物半導体層63Zが、1つの半導体層61Z上方に、設けられている。各酸化物半導体層63Zと半導体層61Zとの間には、絶縁層62Zが設けられている。
【0267】
2つの酸化物半導体層63Zの間の領域において、ソース線コンタクト85Bが、設けられている。ビット線コンタクト85A及びソース線コンタクト85Bは、例えば、Y方向に関して、同一直線上に配列されている。
【0268】
ワード線WLとしての導電層81Z、カットオフゲート線SGZとしての導電層82Z及びバックゲート線BGLとしての導電層65は、X方向に配列された複数のメモリユニットMUZに共有されるように、X方向に延在する。バックゲート線BGLは、Z方向に関して、絶縁層60Zを介して、複数の半導体層61Zと交差する。
【0269】
Y方向に隣り合う2つのワード線WLは、2つのカットオフゲート線SGZ間に、レイアウトされている。2つのワード線WL間に、ソース線コンタクト85Bが配置されている。X方向に延在するワード線WLは、絶縁層62Zを介して、複数の酸化物半導体層63Zと交差する。
【0270】
メモリセルMCZ及びカットオフトランジスタSZの配列は、Y方向に隣り合うメモリユニットMUZ(半導体層61Zを共有するメモリユニットMUZ)において、互いに反
対である。
【0271】
ビット線BLとしての導電層80Z、及び、ソース線SLとしての導電層84Zは、Y方向に配列された複数のメモリユニットMUZに共有されるように、主として、Y方向に延在する。
【0272】
X方向に隣り合う2つのビット線BL間に、ソース線SLが配置されている。
例えば、ビット線BL及びソース線SLは、同じ配線レベル内に設けられている。本実施形態において、配線レベルとは、基板表面に対して垂直方向(Z方向)の位置(高さ)を示している。
【0273】
ビット線BL及びソース線SLは、Z方向に関して、半導体層61Z及び酸化物半導体層63Zと上下に重ならない位置に配置されている。
【0274】
ビット線BL及びソース線SLは、半導体層61Z上のコンタクト85A,85Bの上面からX方向に延在する部分によって、酸化物半導体層63Zと上下に重ならない位置に引き出されている。
【0275】
尚、
図14の半導体メモリと同様に、基板90下方の半導体基板(図示せず)上に、半導体メモリ1の各回路を形成するトランジスタが、設けられてもよい。
【0276】
(c)動作例
図23を用いて、本実施形態のランダムアクセスメモリの動作例について、説明する。
【0277】
図23は、本実施形態のランダムアクセスメモリの動作例を示すタイミングチャートである。
例えば、本実施形態のランダムアクセスメモリにおいて、書き込み動作は、X方向に配列された複数のメモリユニット(共通の選択ワード線に接続されたメモリセル)に対して、一括に実行できる。
【0278】
図23に示されるように、選択ワード線WLs及び選択カットオフゲート線SGZsに、トランジスタのオン電圧Vonが、印加される。例えば、バックゲート線BGLs,BGLxに、0Vの電圧が、印加される。
【0279】
非選択カットオフゲート線SGZxに、例えば、0Vのオフ電圧Voffが印加される。これによって、非選択ユニットにおけるカットオフトランジスタSZは、オフ状態に設定される。非選択セルMCZの電荷格納層CSは、オフ状態のカットオフトランジスタSZによって、ビット線BLs,BLzから電気的に分離されている。例えば、非選択ワード線WLxは、非選択セルに対するデータの誤書き込みを防止するために、電気的にフローティングな状態に設定されてもよい。
【0280】
例えば、本実施形態において、書き込むべきデータに応じて、選択ビット線BLsの電位が制御される。これによって、共通の選択ワード線WLsに接続されたメモリセルMCZに対して、メモリセル毎に、データを書き分けることができる。
電子が電荷格納層CS内に蓄積される場合、選択ビット線BLsに、0Vの電圧が、書き込み電圧VWRとして、印加される。これとは反対に、電子が電荷格納層CS内から排除される場合、選択ビット線BLsに、0Vより大きい電圧値(正の電圧値)VAが、書き込み電圧VWRとして印加される。例えば、電圧値VAは、1Vから5V程度の値である。
【0281】
この後、選択カットオフゲート線SGZsに、オフ電圧Voffが印加され、カットオフトランジスタSZが、オフ状態に設定される。
この後、選択ワード線WLsが、電気的にフローティング状態に設定される。これによって、選択セルMCZは、データ保持状態に設定され、電荷格納層CSの蓄積状態又は空乏状態を維持する。
【0282】
尚、
図17で説明した例と同様に、本実施形態において、選択ビット線BLに印加される書き込み電圧の電圧値を、制御することによって、1つのメモリセルMCが2ビット以上のデータを記憶できる。例えば、ビット線BLに印加される書き込み電圧VWRに、4つの電圧値(例えば、0V、(1/3)×VA、(2/3)×VA、及び、VA)が用いられることによって、1つのメモリセルMCが、2ビットのデータを記憶できる。
書き込み電圧VWRに用いられる電圧値がさらに細分化されることに行って、1つのメモリセルMCが、3ビット以上のデータを記憶できる。
【0283】
読み出し動作において、選択カットオフゲート線SGZsに、0Vの電圧が印加される。これによって、選択ユニットMU内のカットオフトランジスタSZは、オフ状態に設定される。
選択ワード線WLsは、電気的にフローティングな状態に設定される。但し、選択ワード線WLsに、0Vの電圧が印加されてもよい。
【0284】
尚、非選択ワード線WLx、非選択カットオフゲート線SGZx、非選択ビット線BLx、非選択バックゲート線BGLx、及び、非選択ソース線SLxに、0Vの電圧が印加される。非選択カットオフゲート線SGZxに、負電圧Vngが印加されてもよい。
【0285】
選択ビット線BLs及び選択バックゲート線BGLsに、電圧値VBの読み出し電圧VRDが、印加される。選択ソース線SLは、電気的にフローティングな状態に設定される。
【0286】
選択ビット線BLsと選択ソース線SLとの間に流れる電流が、センスされる。これによって、選択セルMCZ内のデータが、判別される。
【0287】
尚、選択ワード線WLに、読み出し電圧VRが印加されることによって、選択セルMCZからのデータの読み出しが、実行されてもよい。この場合、選択ワード線WLsに印加される読み出し電圧VRDの電圧値は、ある一定の電圧値に、設定される。
【0288】
(2)第2の例
図24乃至
図28を用いて、第2の実施形態の半導体メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ)の第2の例について説明する。
尚、本例において、上述の第1の例と重複する説明は、省略される。
【0289】
<基本例>
図24を用いて、本実施形態のランダムアクセスメモリの第2の例の基本例について説明する。
【0290】
図24に示されるように、本例のメモリユニットMUは、配線(注入線)ILが、コンタクト85Dを介して、酸化物半導体層63Zに接続されている。
コンタクト85Dは、酸化物半導体層63Zの上面上に設けられている。
【0291】
電荷格納層CSは、カットオフトランジスタSZのチャネル領域を介して、注入線ILに接続される。
【0292】
図24のメモリユニットMUZにおいて、ビット線BLは、酸化物半導体層63Zに接続されない。ビット線BLと酸化物半導体層63Zとの間に、絶縁層(図示せず)が設けられている。絶縁層によって、ビット線BLが酸化物半導体層63Zから分離されている。
【0293】
本例において、電荷格納層CSに対する電子の供給/放出は、ビット線BL(又はソース線)からではなく、注入線ILから実行される。
【0294】
注入線ILとしての導電層86Zは、例えば、導電層80Z,84Zより上方の配線レベル内に設けられている。
【0295】
<具体例>
図25乃至
図28を用いて、本実施形態のランダムアクセスメモリの第2の例のより具体的な例について、説明する。
【0296】
(a) 回路構成
図25は、本実施形態のランダムアクセスメモリにおけるメモリセルアレイの回路構成を示す等価回路図である。
【0297】
図25に示されるように、注入線IL(IL<0>,IL<1>)は、Y方向に配列された複数のメモリユニットMUZに共通に接続されている。
【0298】
X方向に配列された複数のメモリユニットMUZは、互いに異なる注入線ILに接続されている。
【0299】
ビット線BLは、Y方向に並ぶメモリセルMCZに接続されている。ビット線BLは、カットオフトランジスタSZに接続されない。
【0300】
(b) 構造
図26乃至
図28は、本実施形態のランダムアクセスメモリにおけるメモリセルアレイの構造例を示す図である。
【0301】
図26は、本実施形態のランダムアクセスメモリにおけるメモリセルアレイの上面図を示している。
図27は、本実施形態のランダムアクセスメモリにおけるメモリセルアレイのY方向に沿う断面図を示している。
図28は、本実施形態のランダムアクセスメモリにおけるメモリセルアレイのX方向に沿う断面図を示している。
【0302】
図26乃至
図28に示されるように、注入線ILとしての導電層86Zは、Y方向に延在する。導電層86Zは、導電層80Z及び導電層84Zが設けられた配線レベルより上方の配線レベル内に設けられている。
【0303】
注入線ILは、半導体層61Z及び酸化物半導体層63ZとZ方向に関して上下に重なる位置に設けられている。注入線ILは、ビット線BLとソース線SLとの間の領域内に、レイアウトされている。
【0304】
注入線ILは、コンタクト85Dを介して、酸化物半導体層63Zに接続される。コンタクト85Dは、酸化物半導体層63Zの上面上に設けられている。
【0305】
注入線ILは、カットオフトランジスタSZのチャネル領域を経由して、電荷格納層CSに電気的に接続されている。
例えば、コンタクト85Dは、ビット線コンタクト85Aに、Y方向に関して隣り合う。
ビット線コンタクト85Aは、半導体層61Zの上面上に設けられている。ビット線BLは、ビット線コンタクト85Aを介して、半導体層61Zに接続されている。
【0306】
コンタクト85D、ビット線コンタクト85A及びソース線コンタクト85Bは、Y方向に関して同一直線上に配列されている。
【0307】
(c) 動作
図29を用いて、本実施形態のランダムアクセスメモリの動作例について、説明する。
【0308】
図29は、本実施形態のランダムアクセスメモリの動作例を示すタイミングチャートである。
図29に示されるように、書き込み動作時において、選択ビット線BLsの電位は、選択ソース線SLsと同じ電位(例えば、0V)に設定される。
【0309】
選択ワード線WLs及び選択カットオフゲート線SGZに、メモリセルMCZ及びトランジスタSZのオン電圧Vonが、それぞれ印加される。
【0310】
選択セルの電荷格納層CSの電荷の蓄積又は排除のために、選択された注入線ILsの電位が制御される。電荷格納層CS内に電子が蓄積される場合、0Vの書き込み電圧VWRが、注入線ILに印加される。電荷格納層CS内の電子が排除される場合、電圧値VA(例えば、1V~5V)の書き込み電圧VWRが、選択注入線ILsに印加される。
尚、書き込み動作時において、非選択の注入線ILxに、0Vが印加される。
【0311】
この後、選択カットオフゲート線SGZsに、トランジスタSZのオフ電圧(例えば、0V)が印加される。選択ワード線WLsは、電気的にフローティング状態に設定される。0Vの電圧が、選択注入線ILsに印加される。
【0312】
本例におけるデータの保持及びデータの読み出しは、
図23の例と実質的に同じである。但し、データの保持及びデータの読み出し時において、選択セル及び非選択セルの注入線ILs,ILxの電位は、0Vに設定されている。
【0313】
(3)変形例
図30乃至
図37を参照して、本実施形態のランダムアクセスメモリの変形例について、説明する。
【0314】
<変形例1>
図30は、本実施形態のランダムアクセスメモリの変形例の一例を示す断面図である。
【0315】
図30に示されるように、メモリユニットMUZに対して、バックゲート電極(及びバックゲート線)は、設けられなくともよい。
【0316】
尚、
図24の半導体メモリにおいても、バックゲート電極(及びバックゲート線)が、削除されてもよい。
【0317】
バックゲート電極の形成工程を削減できる結果として、
図30のランダムアクセスメモリは、製造コストを低減できる。また、
図30のランダムアクセスメモリは、メモリセルの面積(例えば、2F
2程度)を削減できる。
【0318】
<変形例2>
図31は、本実施形態のランダムアクセスメモリの変形例の一例を示す断面図である。
【0319】
図31に示されるように、絶縁層上の半導体層がメモリセルのチャネル領域に用いられる代わりに、基板(例えば、半導体基板)90A内の半導体領域92が、メモリセルMCのチャネル領域に、用いられてもよい。
【0320】
半導体領域92は、例えば、p型シリコン領域(ウェル領域)である。
半導体領域92と酸化物半導体層63Zとの間に、絶縁膜(ゲート絶縁膜)62Xが設けられている。
【0321】
半導体領域92内に、メモリセル(センストランジスタ)MCのソース/ドレイン領域67A,67Bが、設けられている。ソース/ドレイン領域67A,67Bは、例えば、高濃度のn型シリコン領域(n+型シリコン領域)である。
【0322】
一方のソース/ドレイン領域67Aは、コンタクト85A,85C及び酸化物半導体層63Zを介して、ビット線BLに接続されている。ソース/ドレイン領域67Aは、カットオフトランジスタSZの下方の領域まで延在している。ゲート電極82Zは、ソース/ドレイン領域67Aの上方に、配置されている。
【0323】
他方のソース/ドレイン領域67Bは、コンタクト85Bを介して、ソース線SLに接続されている。
【0324】
制御ゲート電極81Zは、2つのソース/ドレイン領域67A,67B間の半導体領域(チャネル領域)上方に、配置されている。
【0325】
例えば、絶縁層98が、基板90A内の素子分離領域内に設けられている。絶縁層98によって、半導体領域92が、区画される。これによって、半導体領域92を共有しないメモリユニットMUZが、電気的に分離される。
【0326】
例えば、半導体領域92に対する電圧の印加によって、メモリセルMCZのチャネル領域に対して、バックバイアス(基板バイアス)を印加することができる。
【0327】
尚、
図24のような注入線ILが酸化物半導体層63Zに接続された半導体メモリが、半導体基板90Aの半導体領域92を用いた構造を有していてもよい。
【0328】
本例のように、半導体基板90Aの半導体領域92を用いて、メモリユニットMUZが形成されることによって、メモリユニットの構成部材の形成工程を削減できる。この結果として、
図31のランダムアクセスメモリは、製造コストを低減できる。
【0329】
<変形例3>
図32乃至
図34は、本実施形態のランダムアクセスメモリの変形例を示す図である。
【0330】
図32は、本実施形態のランダムアクセスメモリの変形例の一例を示す等価回路図である。
図32に示されるように、本実施形態のランダムアクセスメモリにおいて、ソース線SLの延在方向が、ワード線WL(及びカットオフゲート線)の延在方向(ここでは、X方向)と平行な方向であってもよい。ソース線SLは、X-Y平面においてビット線BLの延在方向(ここでは、Y方向)と交差する方向に、延在する。
【0331】
図33は、本実施形態のランダムアクセスメモリの変形例の一例を示す上面図である。
図34は、
図33のランダムアクセスメモリのY方向に沿う断面図である。
図33及び
図34に示されるように、ソース線SLは、X方向に配列された複数のメモリユニットMUZに共通に接続される。
【0332】
例えば、ソース線SLは、ビット線BLが設けられた配線レベルより下方の配線レベル内に設けられている。ソース線SLとしての導電層84Zは、ワード線WLとしての導電層(メモリセルの制御ゲート電極)81Z及びカットオフゲート線SGZとしての導電層(トランジスタSZのゲート電極)82Zの配線レベルと同じ配線レベル内に設けられている。尚、ソース線SLは、ビット線BLが設けられた配線レベルより上方の配線レベル内に設けられてもよい。
【0333】
ビット線BLは、Z方向において半導体層61Zに上下に重なる位置に設けられている。ビット線BLの下方に、メモリセルMCZ及びカットオフトランジスタSZが、配置されている
図32乃至
図34のランダムアクセスメモリは、読み出し動作時において、非選択セル(センストランジスタ)のソースとドレインとの間のリーク電流が、選択セルの読み出し電流に悪影響を及ぼすのを低減できる。
【0334】
この結果として、本変形例のランダムアクセスメモリは、データの読み出しの精度及びデータの信頼性が向上する。
【0335】
また、本変形例のランダムアクセスメモリにおいて、ビット線BLがメモリセル(センストランジスタ)MCZ及びカットオフトランジスタSZの上方に配置できる。この結果として、X方向に関してメモリユニットMUZの面積を縮小できる。
【0336】
<変形例4>
図35乃至
図37は、本実施形態のランダムアクセスメモリの変形例を示す図である。
【0337】
図35は、本実施形態のランダムアクセスメモリの変形例の一例を示す等価回路図である。
図35に示されるように、本実施形態のランダムアクセスメモリにおいて、注入線が設けられた場合であっても、ソース線SLの延在方向が、ワード線WL(及びカットオフゲート線)の延在方向(ここでは、X方向)と平行な方向であってもよい。
ソース線SLは、X-Y平面において注入線ILの延在方向と交差する方向に延在する。
【0338】
図36は、本実施形態のランダムアクセスメモリの変形例の一例を示す上面図である。
図37は、
図36のランダムアクセスメモリのY方向に沿う断面図である。
【0339】
例えば、ソース線SLは、ビット線BL及び注入線ILが設けられた配線レベルより下方の配線レベル内に設けられている。注入線ILとしての導電層86Zは、ビット線BLとしての導電層80Zが設けられた配線レベルと同じ配線レベル内に設けられている。
【0340】
注入線ILは、Z方向において酸化物半導体層63Zと重なる位置に設けられている。
【0341】
ビット線BLは、Z方向において酸化物半導体層63Zと重ならない位置に設けられている。
【0342】
本例のランダムアクセスメモリは、
図32乃至
図34の例と同様に、非選択セルのソースとドレインとの間のリーク電流の悪影響を低減できるため、データの読み出しの精度及び信頼性を向上できる。
【0343】
(4)まとめ
第2の実施形態の半導体メモリにおいて、メモリユニットMUZのメモリセルMCZ及びカットオフトランジスタSZが、基板90上に2次元に配置される。
本実施形態の半導体メモリは、第1の実施形態の半導体メモリと同様の効果を得ることができる。
【0344】
また、本実施形態のように、メモリユニットMUZのメモリセルMC及びカットオフトランジスタSZが、基板上に2次元に配置されることによって、比較的簡易なプロセスによって、半導体メモリを形成できる。
この結果として、本実施形態の半導体メモリは、ビットコストを低減できる。
【0345】
[3]第3の実施形態
図38を参照して、第3の実施形態の半導体メモリについて、説明する。
【0346】
図38は、本実施形態の半導体メモリのメモリセルストリングの構造を示す断面図である。
【0347】
カットオフトランジスタSX,SYのゲート電極(カットオフゲート線)の材料は、メモリセルMCの制御ゲート電極(ワード線)の材料と異なってもよい。
【0348】
図38において、カットオフトランジスタSXのゲート電極83aの材料及びカットオフトランジスタSYのゲート電極82aの材料は、p型半導体(例えば、p
+型ポリシリコン)である。
【0349】
メモリセルMCの制御ゲート電極81の材料は、n型半導体(例えば、n+型ポリシリコン)である。尚、制御ゲート電極81の材料は、金属(例えば、タングステン)、又は、導電性化合物(例えば、シリサイド)でもよい。
【0350】
酸化物半導体層(例えば、n型酸化物半導体層)63とp+型シリコン層82a,83aとの間の仕事関数の差は、酸化物半導体層63とn+型シリコン層との間の仕事関数の差より大きい。
【0351】
それゆえ、カットオフトランジスタSX,SYのゲート電極82a,83aがp+型シリコンから形成されることによって、カットオフトランジスタSX,SYのしきい値電圧は、n+型シリコンのゲート電極を有するカットオフトランジスタのしきい値電圧に比較して、上昇する。
【0352】
例えば、n型酸化物半導体層のチャネル領域を有するカットオフトランジスタSX,SYがp型シリコンのゲート電極83a,82aを有する場合、カットオフトランジスタSX,SYのしきい値電圧は、1Vより大きくなる。
【0353】
これによって、本実施形態において、カットオフトランジスタSX,SYのオフリークが低減される。
この結果として、本実施形態の半導体メモリにおいて、メモリセルMCのデータリテンション特性は、向上する。
【0354】
尚、
図38の例のカットオフトランジスタにおけるp型半導体を用いたゲート構造が、第1の実施形態の半導体メモリのカットオフトランジスタに適用されてもよい。
【0355】
また、第2の実施形態の半導体メモリのカットオフトランジスタにおいて、カットオフトランジスタSZのゲート電極に、p型半導体層が用いられてもよい。
【0356】
以上のように、第3の実施形態の半導体メモリは、メモリの信頼性を向上できる。
【0357】
[4]第4の実施形態
図39を参照して、第4の実施形態の半導体メモリについて、説明する。
【0358】
図39は、本実施形態の半導体メモリのメモリセルストリングの構造を示す断面図である。
【0359】
本実施形態において、
図39に示されるように、カットオフトランジスタSX,SYのゲート絶縁膜は、第1の酸素密度を有する層(例えば、酸化物層)64と、第1の酸素密度と異なる第2の酸素密度を有する層(例えば、酸化物層)68とを含む。
【0360】
例えば、カットオフトランジスタSX,SYのゲート絶縁膜は、酸化シリコン層64と高誘電率絶縁層68との積層構造を有する。
【0361】
カットオフトランジスタSX,SYにおいて、高誘電率絶縁層(例えば、高誘電率酸化物層)68は、酸化シリコン層64とゲート電極82,83との間に設けられている。
【0362】
高誘電率絶縁層68に用いられる材料の酸素原子の数密度が、酸化シリコンの酸素原子の数密度より高いことが、望ましい。
例えば、高誘電率絶縁層68の材料は、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、及び、酸化タンタルなどの中から選択される少なくとも1つの材料である。高誘電率絶縁層68の材料は、ハフニウム、アルミニウム及びタンタルなどのうち少なくとも2つの元素を含む酸化物(二元又は三元酸化物)でもよい。
【0363】
例えば、メモリセルMCのゲート電極81と酸化物半導体層63との間の絶縁層は、酸化シリコン層64の単層構造を有する。尚、メモリセルMCのゲート電極81と絶縁層64との間に、高誘電率絶縁層68が設けられてもよい。
【0364】
酸化シリコン層64と高誘電率絶縁層68との積層構造において、ダイポールが、酸化シリコン層64と高誘電率絶縁層68との界面(境界近傍の領域)に、形成される。例えば、界面における高誘電率体絶縁層68の側の部分が正に帯電し、界面における酸化シリコン層64の側の部分が負に帯電するように、高誘電率絶縁層68の材料が選択される。選択された高誘電率絶縁層68が、酸化シリコン層64上に配置される。
【0365】
これによって、本実施形態において、カットオフトランジスタSX,SYのしきい値電圧が、上昇する。
【0366】
この結果として、本実施形態の半導体メモリにおいて、カットオフトランジスタSX,SYのオフリークの低減によって、メモリセルMCのデータリテンション特性は、向上する。
【0367】
尚、
図39の例のカットオフトランジスタにおける高誘電体絶縁層を含むゲート絶縁膜の構造が、第1の実施形態の半導体メモリのカットオフトランジスタに適用されてもよい。
【0368】
また、第2の実施形態の半導体メモリのカットオフトランジスタSZにおいて、ゲート電極と酸化物半導体層との間のゲート絶縁膜が、
図39に相当する積層構造を有していてもよい。
【0369】
以上のように、第4の実施形態の半導体メモリは、メモリの信頼性を向上できる。
【0370】
[5]第5の実施形態
図40乃至
図42を参照して、第5の実施形態の半導体メモリについて、説明する。
【0371】
図40乃至
図42に示されるように、本実施形態の半導体メモリにおいて、カットオフトランジスタSX,SYは、MONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Semiconductor)構造を有する。
【0372】
図40は、本実施形態の半導体メモリのメモリセルストリングの構造を示す断面図である。
【0373】
図40に示されるように、電荷トラップ層71が、ゲート電極81,82,83と酸化物半導体層63との間に設けられている。電荷トラップ層71は、例えば、窒化シリコン膜である。
【0374】
絶縁層72が、電荷トラップ層71とゲート電極81,82,83との間に設けられている。絶縁層72は、酸化シリコン層である。電荷トラップ層71は、2つの絶縁層(例えば、2つの酸化シリコン層)64,72の間に設けられている。
【0375】
電荷トラップ層71は、ピラーPLRの延在方向に沿って、延在する。電荷トラップ層71は、ピラーPLRの側面上において、トランジスタSX,SYとメモリセルMCとの間で連続している。電荷トラップ層71は、複数のトランジスタSX,SY及びメモリセルMCで、共通化されている。但し、電荷トラップ層71は、酸化物半導体層63、ビット線BL及びソース線SLから電気的に分離されている。
【0376】
例えば、本実施形態の半導体メモリの製造後のテスト工程、又は、半導体メモリの出荷時(又は半導体メモリの出荷後)において、カットオフトランジスタSXのゲート電極83に対向する位置における電荷トラップ層71、及び、カットオフトランジスタSYのゲート電極82に対向する位置における電荷トラップ層71に、電荷が注入される。
【0377】
所定の制御電圧が、電荷トラップ層71に対する電荷注入のために、ゲート電極82,83に印加される。
【0378】
制御電圧の印加によるトンネル効果によって、酸化物半導体層63内の電荷が、電荷トラップ層71内に注入される。
電荷トラップ層71は、注入された電荷を、トラップ準位内に保持する。
【0379】
これによって、カットオフトランジスタSX,SYのしきい値電圧(オン電圧)は、上昇する。尚、半導体メモリの動作時におけるカットオフトランジスタSX,SYのオン電圧は、電荷トラップ層71に対する電荷の注入するための制御電圧より低い。
【0380】
電荷トラップ層71は、所定の電圧がカットオフトランジスタSX,SYに印加されるまで、電荷の保持を継続できる。
【0381】
カットオフトランジスタSX,SYに対する電荷トラップ層71に対する電荷の注入時(所定の制御電圧の印加時)において、電荷トラップ層71に対する電荷の注入が生じる電圧は、メモリセルMCの制御ゲート電極81に、印加されない。それゆえ、カットオフトランジスタSX,SYのしきい値電圧の制御(調整)時において、電荷トラップ層71に対する電荷の注入に起因するメモリセルMCのしきい値電圧の上昇は、生じない。
【0382】
【0383】
図41に示されるように、各カットオフトランジスタSX,SY及び各メモリセルMCが、互いに独立した電荷トラップ層71aを、有していてもよい。
【0384】
【0385】
図42に示されるように、電荷トラップ層71aは、カットオフトランジスタSX,SYに対してのみ設けられてもよい。
【0386】
カットオフトランジスタSXのゲート電極83と酸化物半導体層63との間、及び、カットオフトランジスタSYのゲート電極82と酸化物半導体層63との間に、電荷トラップ層71及び絶縁層72が、設けられている。
【0387】
メモリセルMCにおいて、制御ゲート電極81は、絶縁層64に直接接触する。
【0388】
図41及び
図42によって、メモリセルMCにおいて、電荷トラップ層による電荷のトラップに起因した意図しないしきい値電圧の上昇は、抑制できる。
【0389】
尚、
図40乃至
図42のカットオフトランジスタにおける電荷トラップ層を含むゲート構造が、第1の実施形態の半導体メモリに適用されてもよい。
【0390】
また、第2の実施形態の半導体メモリにおけるカットオフトランジスタSZ及びメモリセルMCが、
図40乃至
図42のうちいずれか1つに相当するゲート構造を有していてもよい。
【0391】
以上のように、第5の実施形態の半導体メモリは、メモリの信頼性を向上できる。
【0392】
[6] 第6の実施形態
図43乃至
図45を参照して、第6の実施形態の半導体メモリについて、説明する。
【0393】
図43は、本実施形態の半導体メモリの、制御単位を示す鳥瞰図である。
図43に示されるように、本実施形態の半導体メモリは、X方向に延在するカットオフゲート線SGXを含まない。ビット線BL、カットオフゲート線SGY及びワード線WLが、同じ方向(例えば、Y方向)に延在する。ソース線SLは、基板表面に対して平行、且つビット線の延在方向に交差する方向(ここでは、X方向)に延在する。
【0394】
図44及び
図45を用いて、本実施形態の半導体メモリのメモリユニットMUの構造について、より具体的に説明する。
【0395】
図44は、本実施形態の半導体メモリにおける、メモリユニットMUの平面構造を示す上面図である。
図44において、X方向とY方向とからなる平面に沿う断面が示されている。
図45は、本実施形態の半導体メモリにおける、メモリユニットMUの断面構造を示す図である。
【0396】
図44及び
図45に示されるように、第1の実施形態の半導体メモリと同様に、例えば、円柱状のピラーPLRは、導電層SGY,WL(及び絶縁層)内に形成されたホール内に、形成される。
【0397】
ピラーPLRは、Z方向を中心軸として同心円状に配置された複数の層(膜)を含む。導電層WL(及び導電層SGY及び絶縁層)とピラーPLRの中心部(軸部)60との間に、複数の層61,62,63,64が設けられている。
【0398】
層61は、層(例えば、円柱状の絶縁体)60の側面(X-Y平面に平行な方向の面、外周面)上に設けられている。円筒状の層(例えば、半導体層)61は、層60と層62との間に設けられている。半導体層61の材料は、多結晶Si、多結晶Ge、多結晶SiGe、酸化物半導体(例えば、InGaZnO)、及び、2次元半導体材料(例えば、MoS2又はWSe2)などから選択される。尚、これらの材料からなる膜のうち少なくとも2つを含む積層膜、例えば、SiとGeとの積層膜、又は、複数の2次元半導体材料の積層膜が、半導体層61に用いられてもよい。
【0399】
円筒状の層(例えば、絶縁層)62は、層61の側面上に設けられている。層62は、層61と層63との間に設けられている。例えば、絶縁層62の材料は、酸化シリコン、酸窒化シリコン、高誘電率材料などから選択される。絶縁層62は、これらの材料の混合物膜、又は、積層膜でもよい。
【0400】
絶縁層62の膜厚は、1nmから10nm程度の範囲に設定される。例えば、絶縁層62の膜厚は、3nmから7nmの範囲内の厚さであることが好ましい。
【0401】
円筒状の層(酸化物半導体層)63は、層62の側面上に設けられている。層63は、層62と層64との間に設けられている。
【0402】
酸化物半導体層63の材料は、In、Ga、Zn、及び、Snなどの酸化物、又は、それらの酸化物の混合物(化合物)である。例えば、酸化物半導体層63の材料は、InGaZnO、及びInGaSnOなどである。尚、酸化物半導体層63に用いられる材料が、半導体層61に用いられてもよい。
【0403】
酸化物半導体層63の膜厚は、1nmから15nm程度の範囲に設定される。例えば、酸化物半導体層63の膜厚は、3nmから10nmの範囲内の厚さであることが好ましい。
【0404】
層(例えば、絶縁層)64は、層63の側面上に設けられている。層64は、層63と導電層WL(及び、導電層SGY及び絶縁層)との間に設けられている。
【0405】
絶縁層64は、絶縁層62と同じ材料が用いられる。絶縁層64の膜厚は、絶縁層62の膜厚と同程度に設定される。但し、絶縁層64の材料は、絶縁層62の材料と異なる材料でもよい。また、絶縁層64の膜厚は、絶縁層62の膜厚と異なる厚さでもよい。
【0406】
図45に示されるように、基板90上方において、ワード線WLとしての導電層81、及び、カットオフゲート線SGYとしての導電層82は、ビット線BLとしての導電層80上方に積層されている。
【0407】
導電層81,82は、絶縁層99Aに覆われている。導電層81,82は、例えば、ポリシリコン、金属、及び、導電性化合物(例えば、シリサイド)のうち少なくとも1つを含む単層膜又は積層膜である。
【0408】
ソース線SLとしての導電層84は、絶縁層を介して、導電層82上方に設けられている。
【0409】
ピラーPLRの半導体層61において、半導体層61のZ方向における一端(底部)は、導電層80に直接接触する。半導体層61のZ方向における他端(上部)は、導電層84に直接接触する。例えば、ピラーPLRの底部において、半導体層61が、導電層80と絶縁層60との間に設けられている。絶縁層60のZ方向における底部は、半導体層61に接触している。
【0410】
導電層84は、X方向に延在し、導電層80,81,82は、Y方向に延在する。
【0411】
ピラーPLRの酸化物半導体層63において、酸化物半導体層63のZ方向における底部は、導電層80上の絶縁層89に接触する。絶縁層89は、導電層80と酸化物半導体層63との間に、設けられている。絶縁層89によって、酸化物半導体層63は、導電層80から分離されている。酸化物半導体層63のZ方向における上部は、導電層84に直接接触する。
【0412】
絶縁層89内に、貫通孔(開口部)が設けられている。絶縁層89の孔内に、絶縁層60及び半導体層61が、設けられている。例えば、絶縁層89の孔内において、絶縁層62は、絶縁層89の側面と半導体層61の側面との間に設けられている。絶縁層89の孔内において、酸化物半導体層63及び絶縁層64は、設けられていない。
【0413】
絶縁層62のZ方向における底部は、例えば、導電層80に接触する。絶縁層64のZ方向における底部は、例えば、絶縁層89に接触する。各絶縁層62,64のZ方向における上部は、導電層84に接触する。
【0414】
本変形例の半導体メモリの書き込み動作において、0Vの電圧が、選択されたソース線SLに印加され、電圧値Voff以上の正バイアスの電圧が、非選択のソース線に、印加される。
【0415】
これによって、X方向に延在するカットオフゲート線がメモリユニットに設けられなくとも、非選択セルは、電荷格納層(酸化物半導体層63)内のキャリアの保持を継続できる。
【0416】
図43乃至
図45に示される複数のメモリユニットMUが、第1の実施形態の半導体メモリのメモリユニットのように(
図8乃至
図12参照)、各配線BL,WL,SGY,SLを共有して、メモリセルアレイ10内に、マトリクス状に配置される。
【0417】
尚、本実施形態において、酸化物半導体層を含むピラーの構造は、
図3(及び
図11,
図12)に示されるように、ビット線とソース線との間で延在していてもよい。
【0418】
本実施形態において、カットオフトランジスタのゲート電極の材料は、
図38に示されるように、p型半導体(例えば、p型ポリシリコン)でもよい。
【0419】
本実施形態において、カットオフトランジスタのゲート絶縁膜は、
図39に示されるように、積層構造(例えば、高誘電絶縁膜を含む構造)を有してもよい。
【0420】
本実施形態において、カットオフトランジスタは、
図40乃至
図42に示されるように、MONOS構造のゲート構造を有してもよい。
【0421】
本実施形態において、メモリユニットに対して、Y方向に延在するカットオフゲート線は設けられ、X方向に延在するカットオフゲート線は設けられない。
【0422】
これによって、本実施形態の半導体メモリは、メモリユニットに対するカットオフゲート線の数が、削減される。したがって、本実施形態の半導体メモリは、半導体メモリのコストを、低減できる。
【0423】
[7]その他
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0424】
1:半導体メモリ、MC:メモリセル、SX,SY,SZ:カットオフトランジスタ、60,60Z:半導体層、63,63Z:酸化物半導体層、CS:電荷格納層。