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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】撒き出し制御方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/85 20060101AFI20220517BHJP
   E02F 3/815 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
E02F3/85 D
E02F3/815 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018080655
(22)【出願日】2018-04-19
(65)【公開番号】P2019190039
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】黒沼 出
(72)【発明者】
【氏名】小熊 正
(72)【発明者】
【氏名】是永 明日香
(72)【発明者】
【氏名】林 和彦
(72)【発明者】
【氏名】長坂 亮一
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 健二郎
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-026586(JP,A)
【文献】特開昭58-026130(JP,A)
【文献】特開平11-222882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/85
E02F 3/815
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排土板を有する土木車両により、土砂山を崩し、計画経路に沿う走行方向に土砂を撒き出す際の、撒き出し制御方法であって、
撒き出し中に前記排土板が抱える土砂の有無を検知し、
土砂が無くなったことが検知されたときに、前記土木車両の走行を停止させ
前記排土板が抱える土砂の有無の検知は、前記排土板の上部に支持ブラケットを介して取付けられて前記排土板の前方かつ上方に配置されたセンサを用いて、前記排土板底面からの土砂高さを測定し、測定された土砂高さに基づいて土砂の有無を判定することにより行う、撒き出し制御方法。
【請求項2】
前記センサは、非接触式の距離センサを含んで構成され、
前記距離センサは、前記距離センサから前記排土板が抱える土砂までの距離を計測する、請求項1に記載の撒き出し制御方法。
【請求項3】
前記センサは、前記排土板が抱える土砂を計測範囲に含むように設置された二次元レーザスキャナを含んで構成される、請求項1に記載の撒き出し制御方法。
【請求項4】
前記センサは、前記排土板の内部を俯瞰及び撮影可能な位置に設置されて撮影対象の三次元形状を取得可能なデプスカメラを含んで構成される、請求項1に記載の撒き出し制御方法。
【請求項5】
前記センサは、前記排土板の内部を俯瞰及び撮影可能な位置に設置されて撮影対象の三次元形状を取得可能なステレオカメラを含んで構成される、請求項1に記載の撒き出し制御方法。
【請求項6】
前記センサは、前記排土板の前方かつ上方にて左右方向に互いに間隔を空けて複数配置されている、請求項1~請求項5のいずれか1つに記載の撒き出し制御方法。
【請求項7】
前記土木車両の走行を停止させた後、前記土木車両を次の計画経路に移動させる、請求項1~請求項6のいずれか1つに記載の撒き出し制御方法。
【請求項8】
前記土木車両が土砂有りの状態で走行した範囲を記憶し、出来形として管理する、請求項7に記載の撒き出し制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排土板を有する土木車両の撒き出し制御方法(あるいは管理方法)に関する。
【背景技術】
【0002】
ブルドーザに代表されるような、排土板(ブレード)を有して、土砂の掘削、運土、敷き均しなどを行う土木車両(土木機械)においては、運転席から排土板内部を目視できないことが多い。よって、どの程度の土砂を抱えているかを直接的に判断することができず、多くの場合はオペレータの経験によって判断している。
【0003】
そのために、未熟なオペレータにおいては、土砂を抱えていないことに気がつかずに走行してしまうといったことが生じ、作業効率の低下につながっている。
【0004】
遠隔操作などの無人化重機においては、遠方からの操作となるため、排土板内の土砂量を把握することは益々難しくなる。また、自動走行重機などの動作計画を行うにあたっては、土砂量の有無、数量をデジタルデータとして定量的に把握することが必要になる。
【0005】
一方、特許文献1には、以下の装置が記載されている。
これは、排土板の前方を撮影可能に車両前方位置に設置された前方監視装置(テレビカメラ)と、前方監視装置により撮影した画像を表示しうる画像表示装置(ディスプレイ)を車両の運転室内に設けたことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-146761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、排土板の前方をオペレータが視認できるものの、あくまでオペレータの判断に基づいて作業を進めるものであるため、撒き出し作業の自動化や遠隔操作への展開を考えると、なお改善の余地があった。
【0008】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたもので、撒き出し作業の自動化を促進できるように、排土板の抱える土砂の検知結果に基づいて、撒き出し作業を制御可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、排土板を有する土木車両により、土砂山を崩し、計画経路に沿う走行方向に土砂を撒き出す際の、撒き出し制御方法であって、撒き出し中に前記排土板が抱える土砂の有無を検知し、土砂が無くなったことが検知されたときに、前記土木車両の走行を停止させ、前記排土板が抱える土砂の有無の検知は、前記排土板の上部に支持ブラケットを介して取付けられて前記排土板の前方かつ上方に配置されたセンサを用いて、前記排土板底面からの土砂高さを測定し、測定された土砂高さに基づいて土砂の有無を判定することにより行う。
【0010】
前記土木車両の走行を停止させた後は、前記土木車両を次の計画経路に移動させるようにするとよい。
また、前記土木車両が土砂有りの状態で走行した範囲(土砂を抱えて走行した範囲)を記憶し、出来形として管理するとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、撒き出し中に排土板が抱える土砂が無くなったことが検知されたときに、土木車両の走行(前進)を停止させることにより、無駄な走行を無くして作業効率を改善すると共に、土砂山からの転落などを防止可能となる。
【0012】
また、土木車両の走行を停止させた後は、土木車両を後退させるなどして次の計画経路に移動させるようにすることで、土木車両の運行管理を行うことができる。
【0013】
また、土砂を抱えて走行した範囲を記憶することで、出来形管理が可能となり、これに基づいて、作業の進捗状況の把握を含む土木車両の運行管理の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態にて用いるブルドーザの正面図及び側面図
図2】距離センサを用いる場合の説明図
図3】二次元レーザスキャナを用いる場合の説明図
図4】複数の二次元レーザスキャナを用いる場合の説明図
図5】三次元形状取得可能なデプスカメラを用いる場合の説明図
図6】土砂高さを車両負荷から推定する場合の説明図
図7】撒き出し時の排土板底面からの土砂高さの変化を示す図
図8】撒き出し時の空荷判定→車両停止の説明図
図9】出来形管理の説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は本実施形態にて用いる土木車両(ブルドーザ)の正面図及び側面図である。
ブルドーザ1は、無端の履帯2により走行するトラクタ(車体)3の前面に排土板(ブレード)4が装備されている。
【0016】
履帯2は、支持フレーム5の前後端に軸支される前後車輪(スプロケット)6、6に掛け回されていて、その周回移動により、前後進可能である。
【0017】
排土板4は、その背面側の下部が、支持フレーム5の中間部に揺動可能に取付けられた揺動アーム7の先端にピン連結されている。
排土板4はまた、その背面側の上部が、揺動アーム7の中間部に揺動可能に取付けられて斜め上向きに配置されたチルトシリンダ8のロッド先端にピン連結されている。
【0018】
排土板4はまた、その背面側の上部が、トラクタ3の前部に揺動可能に取付けられて斜め下向きに配置されるリフトシリンダ9のロッド先端にピン連結されている。
尚、揺動アーム7、チルトシリンダ8及びリフトシリンダ9は、左右一対設けられる。
【0019】
従って、リフトシリンダ9の伸縮動作により排土板4を上下方向に移動させることができ、チルトシリンダ8の伸縮動作により排土板4の傾き角を調整することができる。
【0020】
排土板4の前面側の構造は、様々であるが、基本的には凹面形状で、下端に切刃を有し、左右両端縁に囲い片を有している。
【0021】
以上の構造により、トラクタ3の内部にて車両の運転を行うオペレータからは、排土板4の内部を直接確認することができない。
【0022】
ここにおいて、排土板4が抱える土砂(排土板4の底面からの土砂高さ)の検知のため、排土板4の上部に適当な支持ブラケットを介して取付けることにより、排土板4の前方かつ上方に、センサ10が下向きに配置される。センサ10は、左右方向の中央に1個、あるいは、左右方向に複数(例えば中央とその左右の計3個)配置される。
【0023】
上記センサ10の具体例を図2図5により説明する。
図2の例では、上記センサ10として、距離センサ11を用いている。距離センサ11としては、レーザ式、超音波式など、非接触式のものが利用される。
【0024】
距離センサ11は、当該距離センサ11から排土板4が抱える土砂までの距離(排土板4が抱える土砂が無いときは地表までの距離)に応じた信号を出力する。そして、距離センサ11に内蔵又は外付けの回路で、距離センサ11の出力値(土砂までの距離)を、排土板4の底面からの土砂高さHに変換する。尚、排土板4が抱える土砂が無い場合、土砂高さHはゼロ又はマイナス値となる。
【0025】
従って、距離センサ11を用いて検知される土砂高さHにより、排土板4が抱える土砂の有無の判定(空荷判定)を行うことができる。また、土砂高さHを基に、土砂量(土砂体積)の推定を行うことも可能であり、推定された土砂量から、排土板4が抱える土砂の有無の判定(空荷判定)を行うこともできる。
【0026】
距離センサ11は排土板4の直前の位置を検出するように向きを設定することを基本とするが、距離センサ11を斜め前方に傾けることで、より前方の位置における検出を図ることもできる。
【0027】
図3又は図4の例では、上記センサ10として、二次元レーザスキャナ12を用いている。
すなわち、排土板4の上部に支持ブラケットを介して取付けることにより、排土板4の前方かつ上方に、排土板4が抱える土砂を計測範囲に含むように、1~複数個の二次元レーザスキャナ(レーザレンジファインダ)12を設置している。
複数設置する場合は、土砂を排土板4の左右から計測する方法や、前後から計測する方法などをとることができる。
【0028】
従って、二次元レーザスキャナ12を用いて検知・推定される土砂高さや土砂量により、排土板4が抱える土砂の有無の判定(空荷判定)を行うことができる。
【0029】
図5の例では、上記センサ10として、三次元形状を取得可能なデプスカメラ13を用いている。
すなわち、排土板4の内部を俯瞰、撮影可能な位置に、リアルタイムに撮影対象の三次元形状を取得可能なセンサ、例えばデプスカメラ13を設置している。
これにより、排土板4が抱える土砂の三次元形状をリアルタイムに取得し、土砂の全体形状から精度良く、排土板4が抱える土砂の高さ、更には土砂量を検知・推定することができる。
【0030】
従って、デプスカメラ13を用いて検知・推定される土砂高さや土砂量により、排土板4が抱える土砂の有無の判定(空荷判定)を行うことができる。
【0031】
デプスカメラ13と同様に三次元形状を計測可能なセンサとして、ステレオカメラを使用してもよい。
【0032】
以上の他に、特許文献1で使用するようなカメラ映像を利用し、画像処理により排土板4に土砂がかっているかどうかを判定することで、土砂の有無を検出することも考えられる。
【0033】
排土板4が抱える土砂の高さ、更には土砂量の検知・推定は、ブルドーザ1の各種アクチュエータの負荷に基づいて行うことも可能である。
すなわち、図6に示すように、履帯2を駆動する車輪(スプロケット)6の油圧モータ(図示せず)や、排土板4のリフト動作やチルト動作を行う油圧シリンダ9、8にかかる負荷を検知し、該負荷に基づいて排土板4が抱える土砂の有無の判定(空荷判定)を行うことができる。
【0034】
具体的には、油圧モータや油圧シリンダに圧力センサを取付け、予め学習した無負荷時の圧力と、押土時の圧力との差から、土砂高さ(土砂量)を推定し、差がなくなったときに、空荷と判定する。
【0035】
次に無人のブルドーザ1の撒き出し制御について説明する。
無人のブルドーザ1は、予め定めた運行計画に基づき、あるいは遠隔の監視施設からの遠隔操作に基づき、土砂山の位置を知り、土砂山を崩して、計画経路に沿う走行方向に土砂を撒き出して行く。
【0036】
図7は、距離センサを用いた場合のブルドーザ1の撒き出し制御例を示すと同時に、撒き出し時の排土板4の底面からの土砂高さの変化を示している。
本例では、ブルドーザ1により、地表に設けられた土砂山を崩して、土砂を、地表から例えば400mmの高さに撒き出すものとする。従って、撒き出し設計高さHsは、400mmである。
【0037】
土砂山に突入する前の、地表上での停止時に、図7(a)に示すように、排土板4の底面を地表にセットし、このときの距離センサの出力値(距離センサと地表との距離)を排土板底面からの土砂高さHに変換したときに、土砂高さH=0となるように調整する。
【0038】
次に、図7(b)に示すように、排土板4を予め定められている最高位(地表からの排土板底面までの高さが例えば680mm)までリフトし、このときの距離センサの出力値を排土板底面から土砂高さHに変換したときに、土砂高さH=-680mmとなるように調整する。
【0039】
次に、図7(c)に示すように、排土板4底面を地表からの撒き出し設計高さHsである400mmの高さまで下降させる。このときのセンサ出力変換値(排土板底面からの土砂高さ)Hは、-400mmとなる。
【0040】
この後、ブルドーザ1を土砂山に向かって走行させると、図7(d)に示すように、排土板4が土砂山に当たった時点で、センサ出力変換値(排土板底面からの土砂高さ)Hが、0mmとなる。そして、図7(e)に示すように、土砂山に突入するに伴って、排土板4内及びその前方に土砂を抱えることで、センサ出力変換値(排土板底面からの土砂高さ)Hが、0mmを超えて、一気に大きくなる。
【0041】
ここにおいて、ブルドーザ1の本体は土砂山に乗り上がることで、地表より高くなるが、ブルドーザ1は、マシンコントロール(MC)システムを搭載し、本体の高さ位置にかかわらず排土板4の標高を一定に保持する機能を有しているため、排土板4の高さは一定に維持される。
【0042】
マシンコントロールシステムとは、自動追尾式のTS(トータルステーション)やGNSS(汎全地測位航法衛星システム)などの位置計測装置を用いて、土木車両の位置情報を計測し、施工箇所の設計データと現地盤データとの差分に基づき、排土板4の高さ・勾配を自動制御するシステムである。
【0043】
ブルドーザ1の前進による撒き出しの進行と共に、排土板4の抱える土砂は減少し、センサ出力変換値(排土板底面からの土砂高さ)Hは、減少する。
そして、最終的には、図7(f)に示すように、排土板4の抱える土砂がほぼゼロとなり、センサ出力変換値(排土板底面からの土砂高さ)Hは、ゼロ又はマイナス値となる。
【0044】
図8には、撒き出し作業の終了時点付近でのブルドーザ1の挙動を示している。
図8(A)は、撒き出し作業の途中であり、排土板4が土砂を抱えていて、排土板4の下端より上方に土砂が検出されている。この場合の排土板底面からの土砂高さHはプラス値である。このとき、排土板4が抱える土砂量をリアルタイムに推測することができるので、あと何mの撒き出しが可能かを知ることもでき、計画運転の目安にすることも可能である。
【0045】
図8(B)では、排土板4内に土砂が無く、排土板4の底面が地面に接地している状態である。この場合に排土板底面からの土砂高さHがゼロとなる。
図8(C)では、排土板4内に土砂が無く、排土板4の底面の下に空間がある(地面が排土板4の下端より低い)状態である。この場合の排土板底面からの土砂高さHはマイナス値である。
【0046】
従って、図8(B)又は図8(C)に示すように、土砂高さHが減少して、0mmになるか、マイナス値となると(あるいはプラス値であっても0mmに近づくと)、排土板4が抱える土砂が無くなったと判定(空荷判定)する。空荷判定された場合は、撒き出しを終了すべく、ブルドーザ1を停止させる。それ以上、ブルドーザ1を前進させると、土砂山から転落することになるからである。
【0047】
従って、無人走行の場合に、ブルドーザ1が高位の施工面から落下、転倒するリスクを事前検知し、安全に、かつ無駄に走行させることなく、停止させることができる。
但し、有人走行にも適用可能であり、土砂を抱えていないことを検出し、緊急停止させたり、オペレータに知らせることで、オペレータが無駄なく、次の作業に移ることが可能となる。
【0048】
また、ブルドーザ1の走行(前進)を停止させた後は、ブルドーザ1を後退させるなどして戻し、次の計画経路に移動させるようにすることで、連続的な撒き出し作業が可能となる。すなわち、土砂の有無を検出しつつ、動作計画に沿って、所定の施工エリアの撒き出し作業を自動化することができる。
【0049】
次に空荷判定→車両停止の制御による簡易的な出来形管理について、図9により、説明する。
ダムや造成などの盛立工事では、所定の設計高さまで土砂を撒き出すことが求められるため、排土板を設計高さに一定に保ちながら、土砂を押していく。
空荷と判定された地点までは所定の撒き出し高さで施工されていたと判断されることを利用し、空荷判定検出までの走行範囲を記憶し、重ねて、出来形とする。
【0050】
例えば、ディスプレイの画像上で、ブルドーザ1の施工範囲を適当なサイズのメッシュで表現し、空荷判定が検出されなかったメッシュに色を塗って表示することで、誰が見ても解るように、簡易に出来形や進捗を管理することができる。
【0051】
また、当該撒き出し範囲の出来形を隣接する範囲の撒き出し計画に利用することで、実際の撒き出し形状に即した計画を立てることができる。
【0052】
尚、図示の実施形態はあくまで本発明を例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。
尚、出願当初の請求項は以下の通りであった。
[請求項1]
排土板を有する土木車両により、土砂山を崩し、計画経路に沿う走行方向に土砂を撒き出す際の、撒き出し制御方法であって、
撒き出し中に前記排土板が抱える土砂の有無を検知し、
土砂が無くなったことが検知されたときに、前記土木車両の走行を停止させることを特徴とする、撒き出し制御方法。
[請求項2]
前記土木車両の走行を停止させた後、前記土木車両を次の計画経路に移動させることを特徴とする、請求項1記載の撒き出し制御方法。
[請求項3]
前記土木車両が土砂有りの状態で走行した範囲を記憶し、出来形として管理することを特徴とする、請求項2記載の撒き出し制御方法。
[請求項4]
前記排土板が抱える土砂の有無の検知は、前記排土板の前方かつ上方に配置したセンサを用いて、前記排土板底面からの土砂高さを測定し、測定された土砂高さに基づいて土砂の有無を判定することにより行うことを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか1つに記載の撒き出し制御方法。
[請求項5]
前記排土板が抱える土砂の有無の検知は、前記土木車両にかかる負荷を検知し、該負荷に基づいて土砂の有無を判定することにより行うことを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか1つに記載の撒き出し制御方法。
【符号の説明】
【0053】
1 ブルドーザ
2 履帯
3 トラクタ
4 排土板(ブレード)
5 支持フレーム
6 前後車輪
7 揺動アーム
8 チルトシリンダ
9 リフトシリンダ
10 センサ
11 距離センサ
12 二次元レーザスキャナ
13 デプスカメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9