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特許7074569アウトリガ装置の積載方法及び積載用治具
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  • 特許-アウトリガ装置の積載方法及び積載用治具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】アウトリガ装置の積載方法及び積載用治具
(51)【国際特許分類】
   E02D 7/14 20060101AFI20220517BHJP
   E02D 13/00 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
E02D7/14
E02D13/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018107704
(22)【出願日】2018-06-05
(65)【公開番号】P2019210703
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】武藤 啓志
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/061528(WO,A1)
【文献】特開平09-059978(JP,A)
【文献】実開昭60-032159(JP,U)
【文献】実開昭61-021786(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 7/14
E02D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体の後部に設けられ、該上部旋回体の幅方向に設けられるアウトリガブラケットと、該アウトリガブラケットの両側にそれぞれ水平方向に回動可能に設けられる一対のアウトリガビームと、該一対のアウトリガビームにそれぞれ設けられるアウトリガジャッキとを備えたアウトリガ装置の積載方法において、前記アウトリガブラケットに対して、前記一対のアウトリガビームを、輸送するトラックの輸送制限の幅を超えない角度に開いた状態に配置して固定した後、前記アウトリガ装置を前記上部旋回体から取り外し、次いで、前記アウトリガブラケットの下部に積載用治具を連結し、前記アウトリガ装置を、前記積載用治具と一対の前記アウトリガジャッキとで支持して、トラックの荷台に積載することを特徴とするアウトリガ装置の積載方法。
【請求項2】
下部走行体の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体の後部に設けられ、該上部旋回体の幅方向に設けられるアウトリガブラケットと、該アウトリガブラケットの両側にそれぞれ一直線上に固定される一対のアウトリガビームと、該一対のアウトリガビームにそれぞれ設けられるアウトリガジャッキとを備えたアウトリガ装置の積載方法において、前記アウトリガ装置を前記上部旋回体から取り外し、次いで、前記アウトリガブラケットの下部に積載用治具を連結し、前記アウトリガ装置を、前記積載用治具と一対の前記アウトリガジャッキとで支持して、トラックの荷台に積載することを特徴とするアウトリガ装置の積載方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアウトリガ装置の積載方法に使用される積載用治具であって、前記アウトリガブラケットの前記上部旋回体の幅方向中央部の下部に配置され、該アウトリガブラケットの前記上部旋回体の前後方向に突出する支持部材と、該支持部材に固着され、アウトリガブラケットの前記上部旋回体の幅方向中央部の下端に突設された連結用耳片に着脱可能に連結される連結部材とを備えていることを特徴とする積載用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウトリガ装置の積載方法及び積載用治具に関し、詳しくは、大型の杭打機のアウトリガ装置をトラックで輸送する際の積載方法及び積載用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大型の杭打機は、輸送の際には、下部走行体を分離した上部旋回体から、リーダ,バックステー,リーダブラケット,アウトリガ装置,カウンタウエイト等を取り外して、トラックやトレーラに積載してそれぞれ輸送していた(例えば、特許文献1及び2参照。)。また、上部旋回体からアウトリガ装置を取り外して輸送する際には、アウトリガビームを閉じた状態で積載して輸送するのが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-133670号公報
【文献】特開平9-177074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、大型の杭打機に用いられるアウトリガ装置では、上述のようにアウトリガ装置を閉じた状態で積載すると、トラックで輸送する際に輸送制限の幅を超えてしまうことがあり、トレーラで輸送せざるを得なくなりコストが嵩むことがあった。
【0005】
そこで本発明は、輸送コストの低減を図ることができるアウトリガ装置の積載方法及び積載用治具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のアウトリガ装置の積載方法は、下部走行体の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体の後部に設けられ、該上部旋回体の幅方向に設けられるアウトリガブラケットと、該アウトリガブラケットの両側にそれぞれ水平方向に回動可能に設けられる一対のアウトリガビームと、該一対のアウトリガビームにそれぞれ設けられるアウトリガジャッキとを備えたアウトリガ装置の積載方法において、前記アウトリガブラケットに対して、前記一対のアウトリガビームを、輸送するトラックの輸送制限の幅を超えない角度に開いた状態に配置して固定した後、前記アウトリガ装置を前記上部旋回体から取り外し、次いで、前記アウトリガブラケットの下部に積載用治具を連結し、前記アウトリガ装置を、前記積載用治具と一対の前記アウトリガジャッキとで支持して、トラックの荷台に積載することを特徴としている。
【0007】
また、本発明の積載用治具は、前記アウトリガブラケットの前記上部旋回体の幅方向中央部の下部に配置され、該アウトリガブラケットの前記上部旋回体の前後方向に突出する支持部材と、該支持部材に固着され、アウトリガブラケットの前記上部旋回体の幅方向中央部の下端に突設された連結用耳片に着脱可能に連結される連結部材とを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明のアウトリガ装置の積載方法によれば、アウトリガビームを開いた状態で安定性よく積載することができることから、アウトリガ装置を閉じた状態で積載していた従来よりも、積載幅を狭く抑えることができ、大型のアウトリガ装置であってもトラックで輸送することが可能となり、輸送コストの削減を図ることができる。
【0009】
また、積載用治具は、支持部材がアウトリガブラケットの車体前後方向に突出するとともに、連結部材がアウトリガブラケットの連結用耳片に連結されることから、アウトリガ装置を確実に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一形態例を示す積載用治具をアウトリガ装置に取付けて吊り上げる状態の正面図である。
図2図1のII-II断面図である。
図3】本発明の一形態例を示す積載用治具をアウトリガ装置に取付けて吊り上げる状態の側面図である。
図4】同じくトラックに積載された状態のアウトリガ装置の平面図である。
図5】同じく積載用治具の斜視図である。
図6】同じく杭打機の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図6は、本発明の一形態例を示すアウトリガ装置の積載方法及び積載用治具を示す図で、図6はアウトリガ装置を備えた杭打機を示している。杭打機11は、クローラ12aを備えた下部走行体12の上部に、旋回ベアリング13を介して上部旋回体14が旋回可能に設けられている。上部旋回体14の前部には、リーダなどの杭打用の作業装置(図示せず)が設けられ、上部旋回体14の後部には後端下部にアウトリガ装置15が、後部上方にはガントリ16がそれぞれ設けられている。
【0012】
アウトリガ装置15は、上部旋回体14の車体幅方向に設けられるアウトリガブラケット17と、該アウトリガブラケット17の両側にそれぞれ水平方向に回動可能に設けられた一対のアウトリガビーム18,18と、各アウトリガビーム18に設けられたアウトリガジャッキ19とを備えている。アウトリガブラケット17は、直方体状に形成された本体部17aと、該本体部17aの車体幅方向両端部から、車体幅方向外側に突出して、アウトリガビーム18を回動可能に連結する一対の連結部17bとを備えている。また、本体部17aの車体幅方向中央部の下端には、車体前後方向に突出する一対の連結用耳片17c,17cが、上面の四隅には、吊上げ片17dがそれぞれ設けられている。各連結部17bは、先端側が上下に分岐した二股状に形成され、アウトリガビーム18の基端部を挟み込んで、上下方向に挿通される支軸20によって水平方向に回動可能に連結される。
【0013】
各アウトリガビーム18は、基部側が前記支軸20を介して前記連結部17bにそれぞれ軸支され、先端側には前記アウトリガジャッキ19が、さらに、先端部にはバックステーの固定部18aがそれぞれ設けられている。
【0014】
アウトリガ装置15は、輸送時に上部旋回体14から取り外され、積載用治具21を用いてトラックに積載される。積載用治具21は、アウトリガブラケット17の車体幅方向中央部の下部に配置され、アウトリガブラケット17の車体前後方向に突出する支持部材21aと、該支持部材21aに固着され、連結用耳片17cに着脱可能に連結される連結部材21bとを備えている。支持部材21aは、チャンネル材で形成された一対の脚部21c,21cと、該脚部21c,21cを繋ぐ連結板21dとで形成されている。また、連結部材21bには、連結用耳片17c,17cと連結するための連結ピン22,22の挿通孔21e,21eを備えた挿通部21f,21fが突設されている。
【0015】
次に、杭打機11からアウトリガ装置15を分解して輸送する輸送手順について説明する。まず、作業状態の杭打機11を操作して、アウトリガビーム18を車体幅方向に張り出し、アウトリガブラケット17と一対のアウトリガビーム18,18とを、一直線状に開いた状態に配置して固定した後、吊上げ片17dにワイヤロープ23を架け渡し、アウトリガ装置15を吊上げながら、アウトリガ装置15を上部旋回体14から取り外す。次いで、アウトリガブラケット17の下方に積載用治具21を配置し、アウトリガブラケット17の連結用耳片17c,17cと、積載用治具21の連結部材21bの挿通部21f,21fの位置を合わせて連結ピン22,22で連結する。次に、クレーンでアウトリガ装置15とともに積載用治具21を吊り上げて、トラックの荷台に移送して積載し、積載用治具21と一対のアウトリガジャッキ19,19とでアウトリガ装置15を水平状体に支持して輸送する。
【0016】
本形態例では、上述のようにアウトリガ装置15を輸送する際に、アウトリガビーム18,18を開いた状態でトラックの荷台に安定性よく積載することができる。これにより、アウトリガ装置15を閉じた状態で積載していた従来よりも、積載幅を狭く抑えることができ、大型のアウトリガ装置であってもトラックで輸送することが可能となり、輸送コストの削減を図ることができる。また、積載用治具21は、アウトリガブラケット17の連結用耳片17c,17cに連結部材21bが着脱可能に設けられていることにより、積載用治具21をアウトリガブラケット17に確実に装着させることができ、また、支持部材21aがアウトリガブラケット17の車体前後方向に突出することから、アウトリガ装置15を安定した状態でトラックに積載することができる。
【0017】
なお、本発明は上述の形態例のように、アウトリガブラケットと一対のアウトリガビームとを一直線状に配置して固定した状態で輸送するものに限らず、アウトリガブラケットに対して、一対のアウトリガビームを、輸送するトラックの輸送制限の幅を超えない角度に開いた状態に配置して固定した状態で輸送するものでもよい。さらに、アウトリガ装置の輸送時に、予め、トラックの荷台に積載用治具を配置してから、アウトリガ装置を吊り上げてトラックの荷台に移送し、トラックの荷台で積載用治具を連結させることもできる。また、本発明は、杭打機に用いられるアウトリガ装置の輸送方法及び積載用治具に限らず、その他の建設機械に用いられるアウトリガ装置及び積載用治具の輸送方法にも適用することができる。
【符号の説明】
【0018】
11…杭打機、12…下部走行体、12a…クローラ、13…旋回ベアリング、14…上部旋回体、15…アウトリガ装置、16…ガントリ、17…アウトリガブラケット、17a…本体部、17b…連結部、17c…連結用耳片、17d…吊上げ片、18…アウトリガビーム、18a…固定部、19…アウトリガジャッキ、20…支軸、21…積載用治具、21a…支持部材、21b…連結部材、21c…脚部、21d…連結板、21e…挿通孔、21f…挿通部、22…連結ピン、23…ワイヤロープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6