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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】車両運転制限システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20220517BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/16 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018112892
(22)【出願日】2018-06-13
(65)【公開番号】P2019215733
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼田 善夫
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-245434(JP,A)
【文献】特表2001-510919(JP,A)
【文献】特開2018-62197(JP,A)
【文献】特開2011-192031(JP,A)
【文献】特開2017-91448(JP,A)
【文献】特開2013-114353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され前記車両の運転を規制する機能を有する車載器と、前記車両の外部に配置される外部サーバとを含む車両運転制限システムであって、
前記車載器は、前記規制の程度を表す制限ランクが、複数段階の中から選択的に指定可能に構成され、
前記外部サーバは、前記車載器における前記制限ランクを決定又は変更する機能と、第三者による通報を受け付けて前記制限ランクに反映する機能と、無線通信により前記車載器に対して指示を与える機能と、を含み、
前記車載器は、前記車両の走行の有無とは無関係に、前記外部サーバからの指示を受け付けて前記制限ランクの変更を許可する機能を含む、
ことを特徴とする車両運転制限システム。
【請求項2】
前記外部サーバは、前記車載器に対応付けて取得した情報に基づき、規制を強化する方向、および規制を緩和する方向への前記制限ランクの変更可否の条件を定期的に又は繰り返し識別し、前記条件を満たす場合には、前記制限ランクを変更するための指示を無線通信により前記車載器へリアルタイムで与える、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両運転制限システム。
【請求項3】
前記車載器は、着脱自在な所定の記録媒体から読み取ったデータを前記制限ランクの変更に反映する機能を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両運転制限システム。
【請求項4】
前記車載器は、前記車両上で撮影した運転者の画像に関連する情報を取得する機能を含み、
前記外部サーバは、前記車載器から取得した前記画像の情報に基づいて、挙動不審の有無を判定し、判定した結果を前記制限ランクの変更に反映する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両運転制限システム。
【請求項5】
前記車載器は、前記車両上で運転者の運転状況を監視して当該運転状況に関連する情報を取得する機能を含み、
前記外部サーバは、前記車載器から取得した前記運転状況の情報に基づいて、運転の良否を判定し、判定した結果を前記制限ランクの変更に反映する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両運転制限システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転制限システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両の運転に関しては、例えば運転者の個人的な癖に起因する荒い運転傾向、運転者の高齢化や飲酒等に起因する運転能力の低下などのため、交通事故が発生しやすくなることが一般的な社会現象として問題視されている。したがって、上記のように交通事故が発生しやすい状況においては、予め運転を制限することが望まれる。
【0003】
例えば、特許文献1の制御装置および運転安全性保護方法は、運転者の保護者が、運転者(保護対象者)の運転動作の制限を自ら設定し、また、この運転動作の制限に応じて運転動作の制御を行えるようにするための技術を示している。具体的には、車両を使用する使用者を識別する情報又は使用者が分類されるカテゴリを識別する情報と、使用者の行為又は使用者の運転時の車両状態と、その行為又は車両状態が検出された場合の動作制御方法とを規定した制御情報を制御情報格納部に格納する。ある運転者が車両を実際に運転する際には、使用者認証部において特定された運転者に対応する制御情報を参照して、車載検出部から供給される検出結果情報に対応する動作制御方法を特定し、動作制御部がその動作制御方法に基づいて車載装置の動作制御(駆動制御、警告報知、保護者への通報)などを行う。
【0004】
また、特許文献2の運転資格確認システムは、警告があったにもかかわらず乗務員が車両を運行してしまうことを抑制するための技術を示している。具体的には、PCは、アルコール検知器によるアルコール測定結果および免許読取装置による免許証の確認結果をメモリカードに記録する。デジタルタコグラフにメモリカードが挿入されると、デジタルタコグラフは、測定・確認の結果から、運転資格が有効でないと判断した場合、音声メッセージを発して警告する。また、PCは、アルコール測定結果および免許確認結果をスマートフォンに送信する。スマートフォンは、測定・確認の結果、運転資格が有効でないと判断した場合、一定時間、音声メッセージを発して警告し、さらに、デジタルタコグラフが記録を開始したことの通知を受けると、記録を停止するまで音声メッセージを発して警告し続ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-192031号公報
【文献】特開2013-140484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術においては、運転を実施する使用者毎に、保護者等が事前に制限状態を固定的に設定する必要がある。したがって、例えば使用者の運転能力が急激に変化したような場合には、必要な運転制限を実施することができない。また、使用者の運転能力が回復したような場合には、運転制限が過剰になる可能性がある。しかし、制限を解除するための操作は容易ではなく時間がかかる。
【0007】
また、特許文献2の技術では、使用者の飲酒時や、免許証の運転資格がない場合に運転制限を行うことができるが、それ以外の使用者の状態変化に対応して運転制限を変えることはできない。また、警告を発生するだけであるため、危険な状態であったとしても確実に運転を制限することはできない。また、使用者が運転を開始した後で、その使用者の状態が変化した場合に、運転を制限することができない。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両を運転する使用者の実際の状態に合わせた適切な運転制限を可能とする車両運転制限システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車両運転制限システムは、下記(1)~(5)を特徴としている。
(1) 車両に搭載され前記車両の運転を規制する機能を有する車載器と、前記車両の外部に配置される外部サーバとを含む車両運転制限システムであって、
前記車載器は、前記規制の程度を表す制限ランクが、複数段階の中から選択的に指定可能に構成され、
前記外部サーバは、前記車載器における前記制限ランクを決定又は変更する機能と、第三者による通報を受け付けて前記制限ランクに反映する機能と、無線通信により前記車載器に対して指示を与える機能と、を含み、
前記車載器は、前記車両の走行の有無とは無関係に、前記外部サーバからの指示を受け付けて前記制限ランクの変更を許可する機能を含む、
ことを特徴とする車両運転制限システム。
【0010】
(2) 前記外部サーバは、前記車載器に対応付けて取得した情報に基づき、規制を強化する方向、および規制を緩和する方向への前記制限ランクの変更可否の条件を定期的に又は繰り返し識別し、前記条件を満たす場合には、前記制限ランクを変更するための指示を無線通信により前記車載器へリアルタイムで与える、
ことを特徴とする上記(1)に記載の車両運転制限システム。
【0011】
(3) 前記車載器は、着脱自在な所定の記録媒体から読み取ったデータを前記制限ランクの変更に反映する機能を有する、
ことを特徴とする上記(1)に記載の車両運転制限システム。
【0012】
(4) 前記車載器は、前記車両上で撮影した運転者の画像に関連する情報を取得する機能を含み、
前記外部サーバは、前記車載器から取得した前記画像の情報に基づいて、挙動不審の有無を判定し、判定した結果を前記制限ランクの変更に反映する、
ことを特徴とする上記(1)に記載の車両運転制限システム。
【0013】
(5) 前記車載器は、前記車両上で運転者の運転状況を監視して当該運転状況に関連する情報を取得する機能を含み、
前記外部サーバは、前記車載器から取得した前記運転状況の情報に基づいて、運転の良否を判定し、判定した結果を前記制限ランクの変更に反映する、
ことを特徴とする上記(1)に記載の車両運転制限システム。
【0014】
上記(1)の構成の車両運転制限システムによれば、制限ランクが段階的に決定されるので、車両使用者の状況の変化に応じて適切な運転制限を行うことが可能になる。また、外部サーバが車載器の制限ランクを制御できるので、車両が既に走行を開始している状況であっても、遠隔操作の指示により運転制限を変更できる。更に、第三者による通報を受け付けて制限ランクに反映できるので、車両使用者がその管理者や家族等の管理下にない状況であっても、例えば車両使用者が異常な行動をした場合に、運転制限を変更できる。
【0015】
上記(2)の構成の車両運転制限システムによれば、車載器が車両使用者の運転制限を適切に変更するように、外部サーバがリアルタイムで制御できる。また、規制を緩和する方向への変更もできるので、車両使用者の運転能力低下が一時的なものであった場合に、過剰な運転制限を解除できる。
【0016】
上記(3)の構成の車両運転制限システムによれば、車載器が無線通信を利用できない状況であっても、車両利用者の管理者や家族が、記録媒体を用いて制限ランクを変更できる。
【0017】
上記(4)の構成の車両運転制限システムによれば、車両利用者が例えば運転前や運転中に挙動不審な動作を行ったような場合に、それを検知して制限ランクに反映し、運転制限を強化することが可能である。
【0018】
上記(5)の構成の車両運転制限システムによれば、車両利用者の運転中に運転操作の傾向が変化したような場合に、それを検知して制限ランクに反映し、運転制限を強化又は緩和することが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の車両運転制限システムによれば、車両を運転する使用者の実際の状態に合わせた適切な運転制限が可能である。すなわち、制限ランクが段階的に決定されるので、車両使用者の状況の変化に応じて適切な運転制限を行うことが可能になる。また、外部サーバが車載器の制限ランクを制御できるので、車両が既に走行を開始している状況であっても、遠隔操作の指示により運転制限を変更できる。更に、第三者による通報を受け付けて制限ランクに反映できるので、車両使用者がその管理者や家族等の管理下にない状況であっても、例えば車両使用者が異常な行動をした場合に、運転制限を変更できる。
【0020】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、車両運転制限システムの構成例を示すブロック図である。
図2図2は、制限ランクと制限内容との対応関係の具体例を示す模式図である。
図3図3は、外部サーバの主要な機能の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、車載器の動作例を示すフローチャートである。
図5図5は、外部サーバの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
<車両運転制限システムの構成例>
車両運転制限システムの構成例を図1に示す。
【0023】
図1に示した車両運転制限システムは、車載器10、外部サーバ30、および顧客PC40を含んでいる。車載器10は、管理対象の各車両にそれぞれ搭載され、車外の外部サーバ30との間で無線により通信できるように構成される。この車載器10は、例えば自動車を運転する能力や判断力の低下した高齢者や、無謀な運転をする若者など、家族、社内管理者等の関係者から見て運転の制限が必要な車両利用者を管理し制限するために利用される。
【0024】
外部サーバ30は、例えばデータセンターや、車両を管理する企業内の管理部門などに設置される。この外部サーバ30は、各車両に搭載された車載器10や、家庭内などに配置される顧客PC40との間で無線による通信ができるように構成されている。外部サーバ30の基本的な機能は、車両利用者の制限ランクを適切に調整することである。この制限ランクは、車両利用者に対応付けた外部サーバ30内の制限情報により管理される。
【0025】
詳細については後述するが、外部サーバ30の機能としては、運転管理者、家族等の関係者の意向を反映した運転制限、実際の運転状況に応じた運転制限(速度違反やアルコール検知の反映)、外部の第三者からの通報に応じた運転制限、画像認識結果により得られた挙動不審車両の履歴を反映した運転制限などがある。
【0026】
顧客PC(パーソナルコンピュータ等)40は、制限を必要とする特定の車両利用者の家族や、管理者の自宅や事務所内などに設置され、外部サーバ30との間で無線により通信できるように構成されている。また、図1の顧客PC40はカードリーダライタ41を備えている。カードリーダライタ41は、例えばSDカードのような記録媒体20に対してデータの書き込み及び読み出しのアクセスを行うことができる。
【0027】
記録媒体20は、カードリーダライタ41に対して着脱自在であり、車載器10の筐体に対しても着脱自在である。つまり、同じ記録媒体20の着脱および持ち運びにより、車載器10と顧客PC40との間でデータの転送を行うことができる。また、顧客PC40は記録媒体20の内容を書き換えることができる。また、車載器10により収集されたデータが記録媒体20に記録されている場合には、顧客PC40は記録媒体20を介して車載器10のデータを読み取ることができる。
【0028】
なお、顧客PC40が外部サーバ30を経由して車載器10との間で通信できる場合には、記録媒体20およびカードリーダライタ41は不要である。また、外部サーバ30が単独で各車両利用者の制限ランクを調整する場合には、顧客PC40を省略したシステムを構成してもよい。
【0029】
<車載器10の構成>
図1に示した例では、車載器10は、マイクロコンピュータ(CPU)11、認証部12、メモリ13、車両信号処理部14、位置検出部15、映像処理部16、アルコール検知部17、広域無線通信部18、アンテナ19、記録媒体20、表示部21、および外部出力部22を備えている。
【0030】
マイクロコンピュータ11は、予め組み込まれたソフトウェアのプログラムを実行することにより、車載器10に必要とされる制御機能を実現する。例えば、自車両上で様々な情報を収集して記録する機能、車両利用者(運転者)の情報を取得する機能、外部サーバ30との間で通信し車両利用者毎に制限ランクを管理する機能、制限ランクの状態を自車両の状態に反映する機能などがマイクロコンピュータ11に搭載される。
【0031】
認証部12は、車両利用者(運転者)個人を認証するデバイスであり、具体的には、運転免許証や社員証のような身分証の内容を読み取ることが可能なリーダライタである。なお、例えば車両毎に運転者が固定されているような場合には、車両や車載器10のIDにより運転者を特定できるので、認証部12を省略することもできる。
【0032】
メモリ13は、マイクロコンピュータ11のアクセスによりデータの書き込み及び読み出しが自在な半導体記憶デバイスであり、マイクロコンピュータ11が自車両上で収集又は生成した情報、外部サーバ30から受信した情報などを一時的に保持するために利用される。
【0033】
車両信号処理部14は、例えば車両側から入力される車速パルス信号、エンジン回転パルス信号、変速信号、アクセル開度信号、ブレーキ信号などを処理して、車両の最新の状態を表す情報をマイクロコンピュータ11に与えることができる。
【0034】
位置検出部15は、例えばGPS(Global Positioning System)受信器などにより構成され、自車両の現在位置(緯度/経度)を表す情報をマイクロコンピュータ11に与えることができる。
【0035】
映像処理部16は、自車両に搭載された車載カメラ(図示せず)が撮影した映像信号を処理することにより、フレーム毎の画像データを生成して記録したり、画像認識の結果を出力することができる。映像処理部16に入力される映像については、例えば自車両内の運転者の状況を撮影した内容や、自車両の進行方向前方の視界に映る道路等の風景を撮影した内容が想定される。例えば、自車両にドライブレコーダが搭載されている場合には、ドライブレコーダのカメラが撮影した映像を映像処理部16に入力してもよい。
【0036】
したがって、例えば自車両運転者の異常な行動、自車両運転者の異常な運転操作(例えば蛇行運転、走行レーンからのはみ出し運転、他車両への異常接近、道路の逆走)や、他車両の異常な運転行動などを表す映像の情報を映像処理部16で収集できる。
【0037】
アルコール検知部17は、運転開始前の運転者の呼気に含まれるアルコール成分の濃度を検知するセンサを内蔵している。すなわち、飲酒運転に該当する状態か否かを表す情報をマイクロコンピュータ11に与えることができる。
【0038】
広域無線通信部18は、アンテナ19を介して携帯電話などの広域無線通信サービスを提供する所定の無線基地局と無線接続する機能を有している。また、無線基地局を利用することにより、車載器10はインターネットを経由して外部サーバ30と接続することができる。
【0039】
記録媒体20は、例えばSDカードとして構成され、車載器10に設けられたスロット(図示せず)に着脱自在に接続されている。記録媒体20上の記憶領域は、例えば事前に定めた定数データの保存、車載器10が収集したデータの保存、顧客PC40等が作成した各種パラメータの受け渡し、収集したデータの転送などのために利用される。
【0040】
表示部21は、自車両の運転者から視認しやすい位置に配置されており、マイクロコンピュータ11からの指示に従い車載器10の動作状態やメッセージなどを表示する機能を有している。
【0041】
外部出力部22は、車載器10が自車両の運転制限に関する制御信号を車両側に与えるために利用される。具体的には、車両のドアロックを制御する信号、車両の走行速度を制限するための信号、警報音を制御するための信号、エンジン始動の可否を制御する信号などを外部出力部22から車両側に与えることが想定される。したがって、この車載器10を搭載する車両は、車載器10の外部出力部22が出力するそれぞれの信号に適切に対応するための機能を事前に備えておく必要がある。
なお、車載器10の電源については、自車両のエンジン始動の有無とは無関係に、駐車中であっても車両側から常に供給され、車載器10が常時動作するように構成されている。
【0042】
<制限ランクと制限内容との対応関係>
制限ランクと制限内容との対応関係の具体例を図2に示す。
【0043】
本実施形態では、車載器10、外部サーバ30、顧客PC40が扱うことの可能な制限ランクが「0」、「1」、「2」、および「3」の4種類のランクを有する場合を想定している。各ランクの機能は次の通りである。
【0044】
制限ランクの「0」は、運転の制限がない状態を表す。
制限ランクの「1」は、該当する車両利用者が実際に車両を使おうとする際に警報が鳴る、警報音が大きくなる、警報間隔が短くなるなどの機能実行を伴う状態を表す。
制限ランクの「2」は、該当する車両利用者が実際に車両を運転する際に、走行速度の上限が規制される状態を表す。
制限ランクの「3」は、該当する車両利用者が車両に乗り込もうとする際に車両ドアのロック解除を不可能にして鍵が開かない状態を表す。この場合、車両利用者が車両から降車した後で自動的にドアロックを実行し、その後の解錠を不可能にする。但し、車載器10の認証部12が事前に登録した家族や車両管理者を認証できた場合は、ドアロックの解錠を許可する。
【0045】
したがって、本実施形態ではそれぞれの車両利用者について、「0」、「1」、「2」、および「3」の4種類の制限ランクを使い分けることができる。つまり、同じ車両利用者に対して実際の状況に応じて段階的に適切な運転制限を行うことが可能になる。なお、このような制限ランクについては種類を必要に応じて増減してもよい。
【0046】
<外部サーバの構成例>
外部サーバ30の主要な機能の構成例を図3に示す。なお、外部サーバ30は図3に示した構成要素以外に、一般的なサーバと同様に、サーバの処理に必要なコンピュータ、記憶装置、通信装置などのハードウェアと基本的な制御のソフトウェアを搭載している。
【0047】
図3に示した外部サーバ30は、データベース31、通信機能32a、32b、32c、32d、32e、制限ランク制御機能33a、33b、33c、および33dを備えている。
【0048】
データベース31は、この外部サーバ30が管理対象とする各車両又はそれに搭載された各車載器10と、この車両を利用する車両利用者(運転者)を管理するための様々な情報を保持し車両利用者毎に、又は車両毎に個別に管理している。また、データベース31が管理する情報は、車両利用者毎の制御情報31aを含んでいる。この制御情報31aは、例えば図2に示した「制限ランク」の最新の値(0~3)を表すものである。
【0049】
通信機能32a~32dは、それぞれインターネット35を介して無線基地局36と接続されている。無線基地局36は、携帯電話のように広域の無線通信サービスを提供する公共の通信事業者の設備である。したがって、外部サーバ30はインターネット35および無線基地局36を利用して様々な通信相手と通信することができる。この通信相手の中には、各車両に搭載された車載器10、各家庭内の顧客PC40、第三者の所有する端末などが含まれる。
【0050】
通信機能32aは、監視対象の車両に搭載された特定の車載器10と外部サーバ30とが通信するための機能である。通信機能32aは、該当する車両利用者を特定する情報(利用者IDなど)に基づいてデータベース31から車載器10の接続先を表す情報を取得して、無線接続により車載器10と通信することができる。
【0051】
通信機能32bは、監視対象の車両利用者と対応付けられた特定の顧客PC40と外部サーバ30とが通信するための機能である。通信機能32bは、該当する車両利用者を特定する情報(利用者IDなど)に基づいてデータベース31から該当する顧客PC40の接続先を表す情報を取得して、無線接続により顧客PC40と通信することができる。
【0052】
通信機能32cは、関係者以外の第三者からの通報を外部クレームとして受信するための機能である。なお、外部クレームを受付可能な第三者の発信元を、事前に定めた人物や公共機関などに限定できるようにしてもよい。また、外部クレームを受け付ける際には、車両のナンバーを特定する情報を受信することにより、クレーム対象車両を特定できる。
【0053】
通信機能32dは、監視対象の車両に搭載された特定の車載器10から送信される画像や、他車両の車載カメラで撮影された画像、監視カメラなど公共設備で撮影された画像などの情報を受信するための機能である。
【0054】
通信機能32eは、外部サーバ30が管理している車両利用者毎の制限ランクの値を、制御情報31aとして該当する車両の車載器10へ送信する機能である。
【0055】
制限ランク制御機能33aは、通信機能32aが車載器10から受信した情報に基づき、実際の車両の運転状況を車両毎に監視して、その結果を「制限ランク」の値に反映する機能である。
【0056】
制限ランク制御機能33bは、通信機能32bが顧客PC40から受信した情報に基づき、当該車両利用者の関係者(管理者や家族)の定めた制限を、「制限ランク」の値に反映する機能である。
【0057】
制限ランク制御機能33cは、通信機能32cが受信した外部クレームを受け付けてデータベース31に登録し、この外部クレームを該当する車両を運転する車両利用者の「制限ランク」の値に反映する機能である。
【0058】
制限ランク制御機能33dは、通信機能32a、32dが受信した画像の認識結果に基づいて、該当車両の運転における異常な挙動や、車両利用者(運転者)の異常な挙動を自動的に検知し、その結果を該当する車両利用者の「制限ランク」の値に反映する機能である。
【0059】
<車載器の動作例>
車載器10の動作例を図4に示す。なお、図4に示した動作は例えば定期的に繰り返し実行される。
【0060】
車載器10のマイクロコンピュータ11は、車両信号処理部14から入力した様々な車両の信号に基づいて最新の車両の状態(車速等)を把握すると共に、位置検出部15からの情報に基づいて現在位置を把握する(S11)。また、記録媒体20が装着されている場合は、記録媒体20から情報を読み取る。
【0061】
車載器10のマイクロコンピュータ11は、車両利用者が自車両の運転を開始する前であれば、S12で認証部12を用いて運転免許証又は社員証等を読み取って車両利用者を特定し、更にアルコール検知部17を用いて現在の車両利用者の呼気に対するアルコールチェックを実施する。また、記録媒体20が車載器10に装着されている場合には、現在の車両利用者に対応する情報を記録媒体20から読み込む。また、記録媒体20上に制御情報31aが存在する場合には、この値を「制限ランク」の初期値とする。
【0062】
車載器10のマイクロコンピュータ11は、S13で広域無線通信部18を介して外部サーバ30との無線接続を確立し、外部サーバ30との間で必要な情報の転送を実施する。ここで、車載器10は外部サーバ30から自車両を運転している又は運転しようとしている利用者に対応付けられた制御情報31aを取得する。この制御情報31aの値は利用者の「制限ランク」を表すものであり、状況に応じて逐次更新される。
【0063】
車載器10のマイクロコンピュータ11は、S13で取得した制御情報31aの「制限ランク」に変化が発生したか否かをS14で識別し、変化した場合は次のS15でその変化を運転者に通知する。
【0064】
例えば、「制限ランク」が図2に示した「1」から「2」に変化した場合には、速度制限の規制を実施していることを運転者に知らせるために、例えば「最高速度が40km/hに制限されています」のようなメッセージを疑似音声の出力や、表示部21の画面表示により運転者に通知する。
【0065】
車載器10のマイクロコンピュータ11は、S16で制御情報31aの「制限ランク」を参照し、車両の運転制限の対象状態か否かを識別する。すなわち、図2に示した例であれば、「制限ランク」が「1」、「2」、「3」のいずれかの場合に運転制限を実施するためにS17に進む。
【0066】
そして、「制限ランク」が「1」の場合は、車載器10のマイクロコンピュータ11は、S17で外部出力部22を介して警報出力を制御する。また、「制限ランク」が「2」の場合は、自車両の最高速度を制限するための制御信号を外部出力部22から出力して車両側に与える。また、「制限ランク」が「3」の場合は、自車両のドアロックを制御する(降車後に鍵が開かない状態にする)ための制御信号を外部出力部22から出力して車両側に与える。
【0067】
<外部サーバの動作例>
外部サーバ30の動作例を図5に示す。
外部サーバ30のコンピュータは、通信機能32aを用いて各車両の車載器10との間で無線接続を確立し、該当する車両を利用している又は利用しようとしている利用者(運転者)を特定する情報(車両利用者IDなど)をS21で取得する。
【0068】
外部サーバ30のコンピュータは、通信機能32a、32dを用いて画像情報を逐次取得し、画像認識により車両や運転者の挙動不審(異常な動作)を検知した場合にはその履歴をデータベース31に登録する。また、制限ランク制御機能33dは、S22でデータベース31を参照し、該当する車両や運転者の挙動不審履歴の有無を識別する。そして、挙動不審履歴ありの場合は次のS23に進み、「制限ランク」を上げるべきか否かを識別する。
【0069】
例えば、「制限ランク」が「1」の状態で、追加された挙動不審履歴を検知したような場合は、制限ランク制御機能33dが「制限ランク」を「2」に上げて、この「制限ランク:2」を次のS24でデータベース31上の制御情報31aに反映する。なお、長い時間が経過して古くなった挙動不審履歴については、無視するか又はデータベース31から自動的に削除してもよい。
【0070】
なお、S24等でデータベース31の制御情報31aを更新する場合には、「制限ランク」を「0」-「1」-「2」-「3」と順番に段階的に変更することが想定されるが、特別な異常な状況を検知した場合には、例えば「0」から「3」に一気に「制限ランク」を変更する可能性もある。
【0071】
外部サーバ30のコンピュータは、通信機能32cにより第三者からの通報を外部クレームとして受信した場合には、車両や利用者を特定し、この情報を車両や利用者に対応付けた状態でデータベース31に登録する。また、制限ランク制御機能33cは、S25でデータベース31上の該当する外部クレームの有無を識別する。また、制限ランク制御機能33cが有効な外部クレームを発見した場合は、「制限ランク」を上げるべきか否かをS26で識別する。
【0072】
例えば、「制限ランク」が「0」の状態で、追加された外部クレームを検知したような場合は、制限ランク制御機能33cが「制限ランク」を「1」に上げて、この「制限ランク:1」を次のS27でデータベース31上の制御情報31aに反映する。なお、長い時間が経過して古くなった外部クレームについては、無視するか又はデータベース31から自動的に削除してもよい。
【0073】
各車両の車載器10が収集した車両の異常な運転状況を表す情報、例えばスピード違反、蛇行運転、走行レーンからのはみ出し運転、前方車両への異常接近、急加速、急減速などの情報は、車載器10から無線通信により逐次送信される。外部サーバ30のコンピュータは、車載器10から送信された運転状況を表す情報を通信機能32aにより取得し、データベース31に運転履歴として登録する。
【0074】
外部サーバ30の制限ランク制御機能33aは、データベース31上の運転履歴を参照して運転状況の良否(安全上問題のない運転か否か)を示す情報を生成する。そして、運転状況の良否を示す情報に変化があったか否かをS28で識別し、変化ありの場合は次のS29で「制限ランク」を変更すべきかどうかを判断する。
【0075】
例えば、「制限ランク」が「1」の状態で、運転状況が「良」から「否」に変化した場合には、制限ランク制御機能33aが「制限ランク」を「2」に上げて、この「制限ランク:2」を次のS30でデータベース31上の制御情報31aに反映する。また、「制限ランク」が「1」の状態で、運転状況が「否」から「良」に変化した場合には、制限ランク制御機能33aが「制限ランク」を「0」に下げて、この「制限ランク:0」を次のS30でデータベース31上の制御情報31aに反映する。
【0076】
関係者、すなわち監視対象となる車両利用者の家族や同じ社内の車両管理者等は、顧客PC40を用いて、顧客PC40上で制御情報31aを決定したり、制御情報31aを変更するための指示を出すことができる。また、顧客PC40が変更した制御情報31aのデータは、記録媒体20を介して物理的な移動により車載器10に転送することもできるし、無線通信により顧客PC40から外部サーバ30に送信することもできる。
【0077】
外部サーバ30のコンピュータは、通信機能32bを用いて、顧客PC40から送信された制御情報31aなどの情報を受信することができる。また、制限ランク制御機能33bは、関係者の制限として、顧客PC40から送信された情報の有無をS31で識別し、関係者の制限が存在する場合は次のS32で「制限ランク」を変更すべきかどうかを判断する。
【0078】
例えば、「制限ランク」が「2」の状態で、家族等が顧客PC40を用いて制限の強化を指示したような場合には、制限ランク制御機能33bが「制限ランク」を「3」に変更し、これをS33でデータベース31上の制御情報31aに反映する。また、「制限ランク」が「2」の状態で、車両管理者が顧客PC40を用いて制限の緩和を指示したような場合には、制限ランク制御機能33bが「制限ランク」を「1」に変更し、これをS33でデータベース31上の制御情報31aに反映する。
【0079】
通信機能32eは、例えばS24、S27、S30、S33のいずれかで制御情報31aの「制限ランク」が更新されたような場合には、更新後の「制限ランク」を含む情報を、あるいは「制限ランク」の上げ下げの指示を含む情報を車載器10へ送信する。図3の例では、通信機能32eが送信した情報は、通信機能32a、インターネット35、無線基地局36を経由して該当する車載器10へ送信される。
【0080】
<車両運転制限システムの変形の可能性>
図2に示した「制限ランク」の例では、ランクが最大の「3」に変更された場合に車両を使用不可能になるが、利用者が既に車両に乗車している状態では「制限ランク」を変更しても車両の利用を制限することはできない。そこで、例えば走行中に「制限ランク」が「3」に変更された場合には、車載器10が車両のエンジンなどを制御する信号を出力し、安全を確保した状態で徐々に減速しながら車両を停止するように制御してもよい。
【0081】
なお、図1に示した例では、外部サーバ30と顧客PC40とをそれぞれ個別に用意しているが、外部サーバ30と顧客PC40とを一体化してもよい。また、顧客PC40と同様の機能を有する複数の端末を外部サーバ30に接続できるように構成してもよい。これにより、家族と車両管理者とがそれぞれの意思を反映して「制限ランク」を変更することが可能になる。
【0082】
外部サーバ30に対して外部クレームを送信する機器については、携帯電話などの音声通話を行う機器であってもよいし、スマートフォンのような携帯端末であってもよい。音声通話で外部クレームの通報を受け付ける場合には、外部サーバ30に音声認識装置を接続して通報の内容を認識したり、自動応答システムで電話のトーン信号などを受信することにより、外部クレームの内容を把握可能になる。
【0083】
図1に示した車両運転制限システムにおいては、運転を制限するための専用の車載器10を各車両に搭載する場合を想定しているが、車載器10とこれ以外の既存の車載器とを組み合わせ一体化してもよい。例えば、ドライブレコーダ、デジタルタコグラフ、カーナビゲーション装置などに車載器10の機能を組み込んでシステムを構成してもよい。
【0084】
また、車載器10が車両から取り外し可能な構造になっている場合には、車載器10が接続されていない時は常に車両の運転を制限するように車両側で制御し、車載器10が接続されたときに「制限ランク」に応じて制限を解除するように制御してもよい。
【0085】
<車両運転制限システムの利点>
図1に示した車両運転制限システムを利用する場合には、例えば運転能力の低下した高齢者、無謀運転を行う若者、交通規則に違反する運転を繰り返す車両利用者などに対して、家族や車両管理者の意図を反映した指示により、又は外部サーバ30の自動的な判断により、運転中であっても運転を制限することが可能になる。しかも、段階的な制限ができるので、実際の利用者の状況に合わせて、適切に制限を強化したり緩和することができる。また、外部からの通報を受け付けて「制限ランク」に反映できるので、車両利用者の家族や管理者の監視できない地域や時間帯で車両が利用されている環境であっても、「制限ランク」の適切な変更ができる。また、画像認識の結果などに基づいて運転の状況を把握し、それを「制限ランク」に反映できるので、監視者が全く存在しない環境であっても適切に運転を制限できる。
【0086】
ここで、上述した本発明の実施形態に係る車両運転制限システムの特徴をそれぞれ以下[1]~[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 車両に搭載され前記車両の運転を規制する機能を有する車載器(10)と、前記車両の外部に配置される外部サーバ(30)とを含む車両運転制限システムであって、
前記車載器は、前記規制の程度を表す制限ランクが、複数段階の中から選択的に指定可能に構成され(図2参照)、
前記外部サーバは、前記車載器における前記制限ランクを決定又は変更する機能(通信機能32e)と、第三者による通報を受け付けて前記制限ランクに反映する機能(制限ランク制御機能33c)と、無線通信により前記車載器に対して指示を与える機能(通信機能32a,S34)と、を含み、
前記車載器は、前記車両の走行の有無とは無関係に、前記外部サーバからの指示を受け付けて前記制限ランクの変更を許可する機能(S13~S17)を含む、
ことを特徴とする車両運転制限システム。
【0087】
[2] 前記外部サーバは、前記車載器に対応付けて取得した情報(S21)に基づき、規制を強化する方向、および規制を緩和する方向への前記制限ランクの変更可否の条件を定期的に又は繰り返し識別し、前記条件を満たす場合には、前記制限ランクを変更するための指示を無線通信により前記車載器へリアルタイムで与える(図5参照)、
ことを特徴とする上記[1]に記載の車両運転制限システム。
【0088】
[3] 前記車載器は、着脱自在な所定の記録媒体(20)から読み取ったデータを前記制限ランクの変更に反映する機能(S11)を有する、
ことを特徴とする上記[1]に記載の車両運転制限システム。
【0089】
[4] 前記車載器は、前記車両上で撮影した運転者の画像に関連する情報を取得する機能(映像処理部16)を含み、
前記外部サーバは、前記車載器から取得した前記画像の情報に基づいて、挙動不審の有無を判定し、判定した結果を前記制限ランクの変更に反映する(S22~S24,制限ランク制御機能33d)、
ことを特徴とする上記[1]に記載の車両運転制限システム。
【0090】
[5] 前記車載器は、前記車両上で運転者の運転状況を監視して当該運転状況に関連する情報を取得する機能(車両信号処理部14)を含み、
前記外部サーバは、前記車載器から取得した前記運転状況の情報に基づいて、運転の良否を判定し、判定した結果を前記制限ランクの変更に反映する(S28~S30,制限ランク制御機能33a)、
ことを特徴とする上記[1]に記載の車両運転制限システム。
【符号の説明】
【0091】
10 車載器
11 マイクロコンピュータ
12 認証部
13 メモリ
14 車両信号処理部
15 位置検出部
16 映像処理部
17 アルコール検知部
18 広域無線通信部
19 アンテナ
20 記録媒体
21 表示部
22 外部出力部
30 外部サーバ
31 データベース
31a 制御情報
32a,32b,32c,32d,32e 通信機能
33a,33b,33c,33d 制限ランク制御機能
35 インターネット
36 無線基地局
40 顧客PC
41 カードリーダライタ
図1
図2
図3
図4
図5