IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日精株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-機械式駐車装置 図1
  • 特許-機械式駐車装置 図2
  • 特許-機械式駐車装置 図3
  • 特許-機械式駐車装置 図4
  • 特許-機械式駐車装置 図5
  • 特許-機械式駐車装置 図6
  • 特許-機械式駐車装置 図7
  • 特許-機械式駐車装置 図8
  • 特許-機械式駐車装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20220517BHJP
   E04H 6/18 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
E04H6/42 Z
E04H6/42 H
E04H6/18 603
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018223159
(22)【出願日】2018-11-29
(65)【公開番号】P2020084664
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2020-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 愼一
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝幸
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-017412(JP,A)
【文献】特開2002-250146(JP,A)
【文献】特開2014-237977(JP,A)
【文献】実開昭59-175554(JP,U)
【文献】特開2012-092511(JP,A)
【文献】登録実用新案第3178886(JP,U)
【文献】特開2014-177755(JP,A)
【文献】特開2012-151934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00-6/44
H02J 7/00-7/12,
7/34-7/36
B25J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車が乗り込み可能な乗降室と、前記乗降室にあって前記電気自動車の進入方向に配置される充電用トレーと、前記充電用トレーに設けられ充電用プラグ接続部を備える充電用接続器とを有し、前記充電用トレー上に搭載した前記電気自動車の給電端子を充電用ケーブルを介して前記充電用プラグ接続部に接続した状態で充電スペースへ移動して駐車しながらバッテリーの充電を行う機械式駐車装置において、
前記充電用接続器は、立上げたときに上側となる位置に前記充電用プラグ接続部が取り付けられる可倒式の支柱を備え、
前記支柱は、前記充電用トレーにおける前記電気自動車の進入方向に交差する方向に可倒され、前記支柱を前記充電用トレーの収納部に収納した状態で、前記支柱の上面と前記充電用トレーの上面とがフラットにされて前記電気自動車が走行可能な車路の一部とされ、
前記乗降室は、当該乗降室に位置した前記充電用トレーの周囲の床に、車いすが通行可能なスペースを有する作業エリアを備え、前記乗降室の床と前記充電用トレーとの間の隙間、および前記乗降室の床面と前記充電用トレーの上面との段差を所定寸法以下にすることを特徴とする機械式駐車装置。
【請求項2】
前記支柱は、立上げ状態で、車いす利用者が車いすに乗ったまま充電作業を行い得る高さ位置に前記充電用プラグ接続部を有することを特徴とする請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記支柱の立上げおよび収納を行う駆動装置を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
前記乗降室に、先端に前記支柱に設けられる係合部に係合するフック部を有する補助具が設置され、前記支柱を立上げるときに、車いす利用者が前記係合部に前記フック部を係合させて前記補助具を引くことで前記支柱が立ち上がる構成とされることを特徴とする請求項1又は2に記載の機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車状態で電気自動車のバッテリー充電を行う機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機械式駐車装置にあっては、駐車車両である電気自動車を搭載する充電用トレーを充電スペースに収納した駐車状態で、電気自動車のバッテリーの充電を行うものが知られており、このような機械式駐車装置では、充電用トレーに充電用プラグ接続部を構成している。一方、この充電用トレーを移動させて格納することになる充電スペースには電源側の給電端子を配置しており、トレー上に電気自動車を搭載した状態で、運転手等の利用者がバッテリーに接続されている給電プラグを充電用プラグ接続部に接続する作業を行い、その後、充電スペースへと移動されてきた充電用トレーの停止位置で、前述した充電用プラグ接続部と電源側の給電端子間を電気的に接続して充電回路を形成するように構成している。
【0003】
そして、従来、電気自動車のバッテリーに接続した給電プラグを充電用トレー上に設けた充電用プラグ接続部に接続する作業を行いやすくするものとして、「トレーに立設した支柱の上部に、斜め下方を向いて差し込み口を有した充電用プラグ接続部を取り付け、充電用プラグ接続部よりも下方に位置する部分の支柱に接続ケーブルの触れ止めを行う保持手段を設けた」、ものが開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-177756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した特許文献1に記載されるものは、充電用プラグ接続部を支柱に設けて利用者の利便性の向上を図ったものであるが、車いす利用者の利用については特に考慮されていなかった。すなわち、駐車状態で電気自動車のバッテリー充電を行うものにあっては、充電用プラグ接続部を充電用トレー上に設けるため何らかの突起があり、バリアフリーの基準を満たすことができなかった。
【0006】
本発明の目的は、駐車状態で電気自動車のバッテリー充電を行うものにあって、車いす利用者の利便性の向上を図ることのできる機械式駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様に係る機械式駐車装置は、電気自動車が乗り込み可能な乗降室と、前記乗降室にあって前記電気自動車の進入方向に配置される充電用トレーと、前記充電用トレーに設けられ充電用プラグ接続部を備える充電用接続器とを有し、前記充電用トレー上に搭載した前記電気自動車の給電端子を充電用ケーブルを介して前記充電用プラグ接続部に接続した状態で充電スペースへ移動して駐車しながらバッテリーの充電を行う機械式駐車装置において、前記充電用接続器は、立上げたときに上側となる位置に前記充電用プラグ接続部が取り付けられる可倒式の支柱を備え、前記支柱を収納した状態で、前記充電用トレーの上面をフラットにするとともに、前記乗降室の床と前記充電用トレーとの間の隙間、および前記乗降室の床面と前記充電用トレーの上面との段差を所定寸法以下にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の機械式駐車装置によれば、駐車状態で電気自動車のバッテリー充電を行うものにあって、車いす利用者の利便性の向上を図ることができる。なお、前述した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態による機械式駐車装置を示す縦断面図である。
図2】機械式駐車装置の充電用トレーおよび乗降室の平面図である。
図3】充電用トレーおよび乗降室の縦断面図である。
図4】充電用接続器の支柱を立上げた状態を示す説明図である。
図5】車いす利用者が乗降室で作業をしている状態を示す平面図である。
図6】本発明の第2の実施形態による機械式駐車装置を示す平面図である。
図7】補助具および支柱を示す説明図である。
図8】車いす利用者が乗降室で作業をしている状態を示す平面図である。
図9】補助具を用いて支柱を立上げる手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一または類似の構成には同じ符号を付して繰り返しの説明は省略する。
【0011】
図1は、本発明の第1の実施形態による機械式駐車装置を示す縦断面図である。
【0012】
機械式駐車装置は、充電用トレー1と、降室2と、出入口扉3と、昇降装置4とを有している。機械式駐車装置の出入口には、操作盤や出入口扉3などが設けられており、操作盤の操作などによって駐車車両が電気自動車と判別された場合には、充電用トレー1が降室2に準備される。一方、電気自動車でないと判定された場合は、一般車両用トレーが準備される。充電用トレー1が準備されると降室2の出入口扉3が開放される。そこで、運転手は電気自動車を運転して降室2内に入り、充電用トレー1上に電気自動車を乗り込ませる。
その後、運転手が電気自動車から降りて降室2の出入口扉3を閉じる操作を行うと、出入口扉3が閉じられ、昇降装置4が作動して充電用トレー1を所定の格納階へと移動する。次いで、昇降装置4から電気自動車を搭載した充電用トレー1を降ろし、後述する駆動装置によって充電用トレー1を所定の格納エリアへと移動する。この格納エリアとしては、充電用トレー1に搭載された電気自動車を駐車中にバッテリーを充電する充電スペースと、充電を行わない電気自動車や一般車両を保管する保管スペースとを有している。
昇降装置4は、複数本のガイドレール5と、このガイドレール5に沿って移動可能な昇降台6と、昇降台6を駆動する駆動装置7などを有する一般的な構成であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0013】
図2は、機械式駐車装置の充電用トレーおよび乗降室の平面図、図3は、充電用トレーおよび乗降室の縦断面図である。
【0014】
機械式駐車場装置は、出入口8と、操作盤9と、充電用接続器10と、駆動装置11と、支柱検出器12と、駆動装置操作ボタン13とを有している。
【0015】
充電用トレー1は、平板状の長方形に形成され、電気自動車である駐車車両Aは、入庫時に充電用トレー1上に前進して乗り込む。また、充電用トレー1の底部には、充電スペースや保管の床側に設けられる案内用レールフレームに沿って走行移動するローラ14が設けられている。
【0016】
乗降室2は、建屋における駐車車両Aが出入りする階床に設けられ、駐車車両Aを格納する格納階床と昇降装置4によって連絡されている。また、乗降室2は、乗降室2に位置した充電用トレー1の周囲に、車いすが通行可能なスペースを有する作業エリア15が設けられている。さらに、乗降室2の床と充電用トレー1との間の隙間、および乗降室2の床面と充電用トレー1の上面との段差は、所定寸法以下に設定され、バリアフリーの基準を満たしたものとなっている。
【0017】
出入口8は、乗降室2の一面に形成される開口であり、駐車車両Aが乗降室2内に入庫したり、乗降室2内から出庫するためのものであり、この出入口8に、開閉可能な出入口扉3が設置されている。
【0018】
操作盤9は、係員または駐車車両Aの運転手等により操作されるものであり、駐車車両Aを充電する場合は、所定の操作を行い、駐車しながらバッテリーの充電を行うための充電用トレー1を呼び出す。
【0019】
充電用接続器10は、充電用トレー1にあって、駐車車両Aの進入方向に対して前側側方および後方側方に配置されており、例えば、駐車車両Aに付属される充電用ケーブルの一端に設けられる接続器側プラグが接続可能な充電用プラグ接続部16と、起立させたときに上側となる位置に充電用プラグ接続部16が設けられる可倒式の支柱17とを有している。なお、充電用トレー1には、支柱17を折りたたんだときに支柱17を収納可能な収納部が設けられており、この収納部は、充電用トレー1の上面より下方に形成され、支柱17を折りたたんだときに、支柱17が充電用トレー1の上面から出張らないようになっている。また、支柱17には、収納部の上面を覆うカバーが備えられており、カバーは、支柱17の長手方向に沿うように支柱17の一方の側面に取り付けられており、支柱17を折りたたんだ状態で収納部の上面を覆い、充電用トレー1の上面と略同一面となって充電用トレー1をフラットにする。
【0020】
駆動装置11は、乗降室2の床下に配置されるモーターやアーム等で構成され、充電用トレー1が乗降室2に位置した状態で、駆動装置操作ボタン13が操作されると、支柱17を立上げたり、収納したりするものである。
【0021】
支柱検出器12は、例えば、乗降室2の左右の側壁にあって、支柱17と対向する位置に設置されるレーザーセンサーからなっており、支柱17が立上がっているかどうかを検出するものである。すなわち、支柱17が立上っていると、支柱17によりレーザーの受光が妨げられ、支柱17の立上げ状態を検出するようになっている。
【0022】
駆動装置操作ボタン13は、充電用接続器10近傍の乗降室2壁面に配置され、駆動装置11を操作するためのものである。すなわち、充電用トレー1の前側側方に設けられる充電用接続器10を操作するための駆動装置操作ボタン13と、充電用トレー1の後方側方に設けられる充電用接続器10を操作するための駆動装置操作ボタン13との2つが設けられている。そして、係員または駐車車両Aの運転手等は、駆動装置操作ボタン13を操作し、駆動装置11により支柱17を立上げたり、収納したりする。
【0023】
図4は、充電用接続器の支柱を立上げた状態を示す説明図である。
【0024】
支柱17は、立上げ状態で充電用プラグ接続部16が車いす利用者の操作しやすい高さ位置となる高さ寸法H1を有している。
【0025】
また、詳細な図示は省略しているが、電気自動車の給電端子に他端を接続する充電用ケーブルと、建屋における電源との間には、少なくとも2箇所の電気的な接続部を構成している。その一つは、充電用ケーブルと充電用プラグ接続部16間の電気的な接続部であり、充電用トレー1上に駐車車両Aを搭載した際に運転手等の作業者によって接続作業が行われるものである。他の1つは、充電用トレー1のトレー側接触子と、充電用トレー1を移動して充電スペースへ格納したときトレー側接触子に対応する位置の充電スペース側に設けられた固定側接触子とによって形成した電気的な接触部である。
充電用プラグ接続部16を使用した前者の電気的な接続部を完成させた後、充電用トレー1を移動して充電スペースへ格納すると、充電用トレー1の位置によって機械的にトレー側接触子と固定側接触子との接触が完成し、電気自動車のバッテリーが建屋の電源に接続されたことになる。
【0026】
次に、車いす利用者が電気自動車の駐車車両を駐車しながらそのバッテリーの充電を行う場合について説明する。
【0027】
図5は、車いす利用者が乗降室で作業をしている状態を示す平面図である。
駐車車両Aの運転手である車いす利用者は操作盤9を操作して、駐車しながらバッテリーの充電を行う利用であることを選択する。この操作盤の操作により制御装置は、充電用トレー1を選択し、降室2の昇降台上に充電用トレー1を準備する。充電用トレー1が降室2の昇降台6上に準備されると、降室2の出入口扉3を開く。充電用トレー1を呼び出した時点で、充電用接続器10の支柱17は、収納されている。この状態で運転手は駐車車両Aを前進させ、図2および図3に示すように、充電用トレー1上に搭載する。
【0028】
このように駐車車両Aを充電用トレー1上に搭載すると支柱検出器12からレーザーが照射され、支柱17の状態の監視が開始される。この後、駐車車両Aの運転手は、図5に示すように、車外に出て、車いすを利用しながら充電の準備を行う。すなわち、例えば、給電端子が駐車車両Aの前方にある車種の場合、乗降室2の奥側の壁面にある駆動装置操作ボタン13を操作する。これに応じて駆動装置11は、充電用トレー1の前側に設けられる充電用接続器10の支柱17を立上げ、充電可能状態とする。このとき、駐車車両Aの前方の充電用接続器10を使用するか、後方に位置する充電用接続器10を使用するかは、給電端子が駐車車両Aのどの位置にあるかによる。このように充電用接続器10の支柱17を起立させると、支柱検出器12のレーザーの受光が支柱17により妨げられる。これに応じて図示しない制御装置は、支柱17が起立状態にあることを検出し、例えば、案内装置により充電用接続器10の使用手順や充電に係る注意事項を案内する。
【0029】
次いで、駐車車両Aの運転手は、充電に係る案内を見聞きしながら、駐車車両Aに搭載される図示しない充電用ケーブルを取り出し、図4に示すように、充電用ケーブルの一端に設けられる接続器側プラグを充電用プラグ接続部16に接続するとともに、接続ケーブルの他端に設けられる車側プラグを駐車車両Aの給電端子に接続する。前述したようなバッテリーを充電するための作業を運転手は車いすに乗りながら行うが、充電用トレー1の周囲に、車いすが通行可能なスペースを有する作業エリア15が設けられていることや、乗降室2の床と充電用トレー1との間の隙間、および乗降室2の床面と充電用トレー1の上面との段差が、所定寸法以下に設定され、バリアフリーの基準を満たしたものとなっていること、また、支柱17を折りたたんだ状態で充電用トレー1上面がフラットであることから、作業を円滑かつ安全に行うことができる。
【0030】
運転手は、充電用ケーブルの接続を完了した後、操作盤9を操作して充電用トレー1を所定位置に格納するための操作を行う。すると、機械式駐車装置が作動して、この充電用トレー1を特定の充電スペースへと移動させる。そして、充電用トレー1が充電スペースまで移動すると、トレー側接触子が対を成す固定側接触子に接触子に接触する。このトレー側接触子と固定側接触子との接触部は、充電スペースへと移動されてくる前に既に完成されていた充電用プラグ接続部16と接続器側プラグとの接触部に対して直列に接続されて、建屋の電源に接続されたことになり充電回路が形成される。従って、充電スペースに充電用トレー1が格納されると、電気自動車は駐車されながらバッテリーの充電状態となる。
【0031】
出庫時、駐車車両Aの運転手は操作盤9を操作して充電用トレー1を呼び出す。充電用トレー1が乗降室2に呼び出されると、支柱検出器12から再びレーザーが照射され、支柱17の状態の監視が開始される。充電用トレー1が呼び出された時点で、支柱17は起立しており、これによって、支柱検出器12のレーザーの受光が支柱17により妨げられ、制御装置は、支柱17が立上げ状態にあることを検出する。これに応じ、例えば、案内装置により支柱17を格納することや、取り外した接続ケーブルを忘れずに車両に収めることを促すことを案内する。乗降室2に再び入室した車いす利用者である運転手は、充電用ケーブルの一端に設けられる接続器側プラグを充電用プラグ接続部16から取り外すとともに、接続ケーブルの他端に設けられる車側プラグを駐車車両Aの給電端子から取り外し、接続ケーブルを収納する。次いで、駆動装置操作ボタン13を操作する。これに応じて駆動装置11は、立上っている充電用接続器10の支柱17を折りたたんで収納する。この状態で運転手は駐車車両Aを後退させて充電用トレー1上から退いて出庫する。
【0032】
以上説明したように本発明の機械式駐車装置によれば、電気自動車が乗り込み可能な乗降室と、乗降室2にあって電気自動車の進入方向に配置される充電用トレー1と、充電用トレー1に設けられ充電用プラグ接続部16を備える充電用接続器10とを有し、充電用トレー1上に搭載した電気自動車の給電端子を充電用ケーブルを介して充電用プラグ接続部16に接続した状態で充電スペースへ移動して駐車しながらバッテリーの充電を行う機械式駐車装置において、充電用接続器10は、立上げたときに上側となる位置に充電用プラグ接続部16が取り付けられる可倒式の支柱17を備え、支柱17を収納した状態で、充電用トレー1の上面をフラットにするとともに、乗降室2の床と充電用トレー1との間の隙間、および乗降室2の床面と充電用トレー1の上面との段差を所定寸法以下にすることを特徴とする。
【0033】
このような構成によれば、支柱17を収納した状態で、充電トレー1を含め乗降室2の床をフラットにし、これによって、バリアフリーの基準を満たし、車いす利用者や年配者にとって利用しやすい駐車装置を実現することができる。
【0034】
また、本発明は、乗降室2は、乗降室2に位置した充電用トレー1の周囲に、車いすが通行可能なスペースを有する作業エリア15を備えることを特徴としている。
【0035】
このような構成によれば、車いす利用者は充電に係る準備を容易に行うことができる。
【0036】
また、本発明は、支柱17は、立上げ状態で充電用プラグ接続部16が車いす利用者の操作しやすい高さ位置となる高さ寸法H1を有することを特徴とする。
【0037】
このような構成によれば、車いす利用者は充電用ケーブルの充電用プラグ接続部16への接続作業を容易に行うことができる。
【0038】
また、本発明は、支柱17の立上げおよび収納を行う駆動装置11を設けたことを特徴とする。
【0039】
このような構成によれば、利用者は支柱17の立上げおよび収納を自力で行うことを要さないことから、例えば、車いす利用者であっても支柱17の立上げおよび収納を容易に行うことができる。
【0040】
次に、補助具により支柱17を立上げる構造のものについて説明する。
【0041】
図6は、本発明の第2の実施形態による機械式駐車装置を示す平面図である。なお、前述した第1の実施形態に示すものと同一または類似の構成には同じ符号を付して繰り返しの説明は省略する。
【0042】
第2の実施形態による機械式駐車装置は、乗降室2に、支柱17を立上げるときに車いす利用者により用いられる補助具20が設置されている。この補助具20は、充電用接続器10近傍の乗降室2壁面に配置され、支柱17を立上げるときに車いす利用者により用いられるものである。すなわち、充電用トレー1の前側側方に設けられる充電用接続器10の支柱17を立上げる際に用いられる補助具20と、充電用トレー1の後方側方に設けられる充電用接続器10の支柱17を立上げる際に用いられる補助具20との2つが設けられている。
【0043】
図7は、補助具および支柱を示す説明図である。
【0044】
支柱17には、その上面に、補助具20が係合される係合部21が設けられている。車いす利用者が支柱17を立上げる場合、補助具20の先端に備えられる図示しないフック部を支柱17の係合部21に係合し、この状態で補助具20を引くことにより、支柱17を立上げるようになっている。
【0045】
ここで、車いす利用者が補助具20を用いて支柱17を立上げ、電気自動車の駐車車両を駐車しながらそのバッテリーの充電を行う場合について説明する。図8は、車いす利用者が乗降室で作業をしている状態を示す平面図、図9は、補助具を用いて支柱を立上げる手順を示す説明図である。
【0046】
車いすを利用する駐車車両Aの運転手は、駐車車両Aを前進させ、充電用トレー1上に搭載する。この後、運転手は、図8に示すように、車外に出て、車いすを利用しながら充電の準備を行う。まず、例えば、給電端子が駐車車両Aの前方にある車種の場合、乗降室2の奥側の壁面にある補助具20を手に取り、支柱17の立上げ作業を行う。すなわち、図9の(a)に示すように、充電用トレー1の前側側方に設けられる充電用接続器10に近づき、次いで、図9の(b)に示すように、補助具20の先端に備えられる図示しないフック部を支柱17の係合部21に係合し、この状態で補助具20を引くことにより、支柱17を立上げる。この後、駐車車両に搭載される図示しない充電用ケーブルを取り出し、図9の(c)に示すように、充電用ケーブルの一端に設けられる接続器側プラグを充電用プラグ接続部16に接続するとともに、接続ケーブルの他端に設けられる車側プラグを駐車車両Aの給電端子に接続する。この後の流れは前述した第1の実施形態に示すものと同等であることから説明を省略する。
【0047】
以上説明したように本発明の機械式駐車装置によれば、乗降室2に、支柱17を立上げるときに車いす利用者により用いられる補助具20を設置したことを特徴とする。
【0048】
このような構成によれば、車いす利用者は、補助具20を用いて車いすに乗ったまま支柱17の立上げを行うことができる。また、前述したような電動駆動式の駆動装置11を設けることを要さないことから、低コストで車いす利用者へのサービス性の向上を図ることができる。
【0049】
以上、本発明の機械式駐車装置の実施形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明の機械式駐車装置は、前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 充電用トレー
2 乗降室
4 昇降装置
9 操作盤
10 充電用接続器
11 駆動装置
12 支柱検出器
13 駆動装置操作ボタン
15 作業エリア
16 充電用プラグ接続部
17 支柱
20 補助具
21 係合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9