(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】広告システム、コンピュータプログラム及び広告方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20220517BHJP
【FI】
G06Q30/02 438
G06Q30/02 398
(21)【出願番号】P 2018224967
(22)【出願日】2018-11-30
【審査請求日】2020-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】神谷 尚保
(72)【発明者】
【氏名】稗圃 泰彦
【審査官】竹下 翔平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-092385(JP,A)
【文献】特開2016-065938(JP,A)
【文献】特開2004-227162(JP,A)
【文献】特開2002-259841(JP,A)
【文献】特開2002-297994(JP,A)
【文献】特開2011-086069(JP,A)
【文献】特開2002-288521(JP,A)
【文献】特開2015-109031(JP,A)
【文献】特開2013-205868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定道路区間の利用傾向情報に基づいて前記特定道路区間の広告対価予想値を算出する広告対価予想値算出部と、
前記広告対価予想値を報知する広告対価予想値報知部と、
車外に向けて広告する車載装置を備える車両の走行計画情報を端末装置から受信する走行計画情報受信部と、を備え、
前記特定道路区間は、前記走行計画情報に対応する道路区間であり、
前記広告対価予想値報知部は、前記広告対価予想値を当該端末装置へ送信する、
広告システムであって、
個人情報データベースと、位置情報データベースと、利用道路推定部と、道路利用傾向把握部と、広告決定部と、広告配信部と、をさらに備え、
前記個人情報データベースは、移動端末群の各端末を保有する各個人の個人属性情報を格納し、
前記位置情報データベースは、前記移動端末群の各端末の位置情報の履歴を格納し、
前記利用道路推定部は、前記位置情報データベースに格納されている前記移動端末群の各端末の位置情報と予め設定された地図情報とを比較してマップマッチングを行い、前記移動端末群の各端末が存在した道路区間を時間帯ごとに推定し、
前記道路利用傾向把握部は、前記利用道路推定部の推定結果を使用して時間帯ごと且つ道路区間ごとに通行者数を算出し、前記個人情報データベースを使用して時間帯ごと且つ道路区間ごとに通行者の個人属性分布を算出し、
前記広告決定部は、前記端末装置から受信した走行計画情報に対応する道路区間の時間帯ごとの通行者の個人属性分布に基づいて、広告情報データベースから配信先の前記車載装置へ配信する広告情報を決定し、
前記広告配信部は、前記広告決定部が決定した広告情報を配信先の前記車載装置へ配信する、
広告システム
であり、
前記広告対価予想値算出部は、次式により前記特定道路区間の広告対価予想値を算出する、
特定道路区間の広告対価予想値=「特定道路区間の広告料単価」×「特定道路区間の走行予想時間」×「配信される広告情報に関する特定道路区間の所望ユーザ属性の通行比率に対応する広告料倍率」、
広告システム。
【請求項2】
車外に向けて広告する車載装置を備える車両の走行実績情報を端末装置から受信する走行実績情報受信部と、
特定道路区間の利用傾向情報及び前記走行実績情報に基づいた広告対価確定値を算出する広告対価確定値算出部と、
前記広告対価確定値を当該端末装置へ送信する広告対価確定値送信部と、
をさらに備える請求項1に記載の広告システム。
【請求項3】
前記利用傾向情報は、前記特定道路区間の時間帯ごとの通行者数及び通行者の個人属性分布を含む情報である、
請求項1又は2のいずれか1項に記載の広告システム。
【請求項4】
前記広告対価予想値算出部は、車外に向けて広告を表示する車載表示装置を備える車両に対して、前記車載表示装置の表示画面サイズをさらに加味して前記広告対価予想値を算出する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の広告システム。
【請求項5】
コンピュータに、
特定道路区間の利用傾向情報に基づいて前記特定道路区間の広告対価予想値を算出する広告対価予想値算出ステップと、
前記広告対価予想値を報知する広告対価予想値報知ステップと、
車外に向けて広告する車載装置を備える車両の走行計画情報を端末装置から受信する走行計画情報受信ステップと、を実行させ、
前記特定道路区間は、前記走行計画情報に対応する道路区間であり、
前記広告対価予想値報知ステップは、前記広告対価予想値を当該端末装置へ送信する、コンピュータプログラムであって、
コンピュータに、
移動端末群の各端末を保有する各個人の個人属性情報を個人情報データベースに格納する個人情報格納ステップと、
前記移動端末群の各端末の位置情報の履歴を位置情報データベースに格納する位置情報格納ステップと、
前記位置情報データベースに格納されている前記移動端末群の各端末の位置情報と予め設定された地図情報とを比較してマップマッチングを行い、前記移動端末群の各端末が存在した道路区間を時間帯ごとに推定する利用道路推定ステップと、
前記利用道路推定ステップの推定結果を使用して時間帯ごと且つ道路区間ごとに通行者数を算出し、前記個人情報データベースを使用して時間帯ごと且つ道路区間ごとに通行者の個人属性分布を算出する道路利用傾向把握ステップと、
前記端末装置から受信した走行計画情報に対応する道路区間の時間帯ごとの通行者の個人属性分布に基づいて、広告情報データベースから配信先の前記車載装置へ配信する広告情報を決定する広告決定ステップと、
前記広告決定ステップが決定した広告情報を配信先の前記車載装置へ配信する広告配信ステップと、
をさらに実行させるためのコンピュータプログラム
であり、
前記広告対価予想値算出ステップは、次式により前記特定道路区間の広告対価予想値を算出する、
特定道路区間の広告対価予想値=「特定道路区間の広告料単価」×「特定道路区間の走行予想時間」×「配信される広告情報に関する特定道路区間の所望ユーザ属性の通行比率に対応する広告料倍率」、
コンピュータプログラム。
【請求項6】
特定道路区間の利用傾向情報に基づいて前記特定道路区間の広告対価予想値を算出する広告対価予想値算出部と、
前記広告対価予想値を報知する広告対価予想値報知部と、
車外に向けて広告する車載装置を備える車両の走行計画情報を端末装置から受信する走行計画情報受信部と、を備え、
前記特定道路区間は、前記走行計画情報に対応する道路区間であり、
前記広告対価予想値報知部は、前記広告対価予想値を当該端末装置へ送信する、
広告システムであって、
個人情報データベースと、位置情報データベースと、利用道路推定部と、道路利用傾向把握部と、広告決定部と、広告配信部と、をさらに備える広告システムにおいて、
前記個人情報データベースは、移動端末群の各端末を保有する各個人の個人属性情報を格納し、
前記位置情報データベースは、前記移動端末群の各端末の位置情報の履歴を格納し、
前記利用道路推定部は、前記位置情報データベースに格納されている前記移動端末群の各端末の位置情報と予め設定された地図情報とを比較してマップマッチングを行い、前記移動端末群の各端末が存在した道路区間を時間帯ごとに推定し、
前記道路利用傾向把握部は、前記利用道路推定部の推定結果を使用して時間帯ごと且つ道路区間ごとに通行者数を算出し、前記個人情報データベースを使用して時間帯ごと且つ道路区間ごとに通行者の個人属性分布を算出し、
前記広告決定部は、前記端末装置から受信した走行計画情報に対応する道路区間の時間帯ごとの通行者の個人属性分布に基づいて、広告情報データベースから配信先の前記車載装置へ配信する広告情報を決定し、
前記広告配信部は、前記広告決定部が決定した広告情報を配信先の前記車載装置へ配信する、
広告方法
であり、
前記広告対価予想値算出部は、次式により前記特定道路区間の広告対価予想値を算出する、
特定道路区間の広告対価予想値=「特定道路区間の広告料単価」×「特定道路区間の走行予想時間」×「配信される広告情報に関する特定道路区間の所望ユーザ属性の通行比率に対応する広告料倍率」、
広告方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告システム、コンピュータプログラム及び広告方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザに貸し出される自動車の外に対して広告する車載機を備え、店舗の周辺エリアで自動車に当該店舗の店舗広告を広告させ、広告実績に基づく広告手数料を利用して自動車の利用料金を割り引く広告システムが特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来の広告システムでは、自動車が走行する道路によって店舗広告の効果に大小の違いがある場合、自動車が効果の小さい道路を走行する可能性があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、車外に向けて広告する車載装置を備える車両のユーザに対して、広告の効果がより大きい道路を走行するように促すことを図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、特定道路区間の利用傾向情報に基づいて前記特定道路区間の広告対価予想値を算出する広告対価予想値算出部と、前記広告対価予想値を報知する広告対価予想値報知部と、車外に向けて広告する車載装置を備える車両の走行計画情報を端末装置から受信する走行計画情報受信部と、を備え、前記特定道路区間は、前記走行計画情報に対応する道路区間であり、前記広告対価予想値報知部は、前記広告対価予想値を当該端末装置へ送信する、広告システムであって、個人情報データベースと、位置情報データベースと、利用道路推定部と、道路利用傾向把握部と、広告決定部と、広告配信部と、をさらに備え、前記個人情報データベースは、移動端末群の各端末を保有する各個人の個人属性情報を格納し、前記位置情報データベースは、前記移動端末群の各端末の位置情報の履歴を格納し、前記利用道路推定部は、前記位置情報データベースに格納されている前記移動端末群の各端末の位置情報と予め設定された地図情報とを比較してマップマッチングを行い、前記移動端末群の各端末が存在した道路区間を時間帯ごとに推定し、前記道路利用傾向把握部は、前記利用道路推定部の推定結果を使用して時間帯ごと且つ道路区間ごとに通行者数を算出し、前記個人情報データベースを使用して時間帯ごと且つ道路区間ごとに通行者の個人属性分布を算出し、前記広告決定部は、前記端末装置から受信した走行計画情報に対応する道路区間の時間帯ごとの通行者の個人属性分布に基づいて、広告情報データベースから配信先の前記車載装置へ配信する広告情報を決定し、前記広告配信部は、前記広告決定部が決定した広告情報を配信先の前記車載装置へ配信する、広告システムであり、前記広告対価予想値算出部は、次式により前記特定道路区間の広告対価予想値を算出する、特定道路区間の広告対価予想値=「特定道路区間の広告料単価」×「特定道路区間の走行予想時間」×「配信される広告情報に関する特定道路区間の所望ユーザ属性の通行比率に対応する広告料倍率」、広告システムである。
(2)本発明の一態様は、車外に向けて広告する車載装置を備える車両の走行実績情報を端末装置から受信する走行実績情報受信部と、特定道路区間の利用傾向情報及び前記走行実績情報に基づいた広告対価確定値を算出する広告対価確定値算出部と、前記広告対価確定値を当該端末装置へ送信する広告対価確定値送信部と、をさらに備える上記(1)の広告システムである。
(3)本発明の一態様は、前記利用傾向情報は、前記特定道路区間の時間帯ごとの通行者数及び通行者の個人属性分布を含む情報である、上記(1)又は(2)のいずれかの広告システムである。
(4)本発明の一態様は、前記広告対価予想値算出部は、車外に向けて広告を表示する車載表示装置を備える車両に対して、前記車載表示装置の表示画面サイズをさらに加味して前記広告対価予想値を算出する、上記(1)から(3)のいずれかの広告システムである。
【0007】
(6)本発明の一態様は、車外に向けて広告する車載装置を備える車両の走行計画情報を広告対価算出装置へ送信し、前記走行計画情報に対応する道路区間の広告対価予想値を前記広告対価算出装置から受信する広告対価予想値取得部と、前記広告対価予想値を報知する端末報知部と、を備える端末装置である。
(7)本発明の一態様は、車外に向けて広告する車載装置を備える車両の走行実績情報を前記広告対価算出装置へ送信し、前記走行実績情報に基づいた広告対価確定値を前記広告対価算出装置から受信する広告対価確定値取得部、をさらに備える上記(6)の端末装置である。
【0008】
(8)本発明の一態様は、広告対価算出装置と端末装置とを備え、前記端末装置は、車外に向けて広告する車載装置を備える車両の走行計画情報を前記広告対価算出装置へ送信し、前記走行計画情報に対応する道路区間の広告対価予想値を前記広告対価算出装置から受信する広告対価予想値取得部と、前記広告対価予想値を報知する端末報知部と、を備え、前記広告対価算出装置は、前記端末装置から前記走行計画情報を受信する走行計画情報受信部と、前記受信した前記走行計画情報に対応する前記道路区間の利用傾向情報に基づいて前記道路区間の広告対価予想値を算出する広告対価予想値算出部と、前記広告対価予想値を前記端末装置へ送信する広告対価予想値報知部と、を備える、広告対価算出システムである。
【0009】
本発明の一態様は、コンピュータに、特定道路区間の利用傾向情報に基づいて前記特定道路区間の広告対価予想値を算出する広告対価予想値算出ステップと、前記広告対価予想値を報知する広告対価予想値報知ステップと、車外に向けて広告する車載装置を備える車両の走行計画情報を端末装置から受信する走行計画情報受信ステップと、を実行させ、前記特定道路区間は、前記走行計画情報に対応する道路区間であり、前記広告対価予想値報知ステップは、前記広告対価予想値を当該端末装置へ送信する、コンピュータプログラムであって、コンピュータに、移動端末群の各端末を保有する各個人の個人属性情報を個人情報データベースに格納する個人情報格納ステップと、前記移動端末群の各端末の位置情報の履歴を位置情報データベースに格納する位置情報格納ステップと、前記位置情報データベースに格納されている前記移動端末群の各端末の位置情報と予め設定された地図情報とを比較してマップマッチングを行い、前記移動端末群の各端末が存在した道路区間を時間帯ごとに推定する利用道路推定ステップと、前記利用道路推定ステップの推定結果を使用して時間帯ごと且つ道路区間ごとに通行者数を算出し、前記個人情報データベースを使用して時間帯ごと且つ道路区間ごとに通行者の個人属性分布を算出する道路利用傾向把握ステップと、前記端末装置から受信した走行計画情報に対応する道路区間の時間帯ごとの通行者の個人属性分布に基づいて、広告情報データベースから配信先の前記車載装置へ配信する広告情報を決定する広告決定ステップと、前記広告決定ステップが決定した広告情報を配信先の前記車載装置へ配信する広告配信ステップと、をさらに実行させるためのコンピュータプログラムであり、前記広告対価予想値算出ステップは、次式により前記特定道路区間の広告対価予想値を算出する、特定道路区間の広告対価予想値=「特定道路区間の広告料単価」×「特定道路区間の走行予想時間」×「配信される広告情報に関する特定道路区間の所望ユーザ属性の通行比率に対応する広告料倍率」、コンピュータプログラムである。
【0010】
本発明の一態様は、特定道路区間の利用傾向情報に基づいて前記特定道路区間の広告対価予想値を算出する広告対価予想値算出部と、前記広告対価予想値を報知する広告対価予想値報知部と、車外に向けて広告する車載装置を備える車両の走行計画情報を端末装置から受信する走行計画情報受信部と、を備え、前記特定道路区間は、前記走行計画情報に対応する道路区間であり、前記広告対価予想値報知部は、前記広告対価予想値を当該端末装置へ送信する、広告システムであって、個人情報データベースと、位置情報データベースと、利用道路推定部と、道路利用傾向把握部と、広告決定部と、広告配信部と、をさらに備える広告システムにおいて、前記個人情報データベースは、移動端末群の各端末を保有する各個人の個人属性情報を格納し、前記位置情報データベースは、前記移動端末群の各端末の位置情報の履歴を格納し、前記利用道路推定部は、前記位置情報データベースに格納されている前記移動端末群の各端末の位置情報と予め設定された地図情報とを比較してマップマッチングを行い、前記移動端末群の各端末が存在した道路区間を時間帯ごとに推定し、前記道路利用傾向把握部は、前記利用道路推定部の推定結果を使用して時間帯ごと且つ道路区間ごとに通行者数を算出し、前記個人情報データベースを使用して時間帯ごと且つ道路区間ごとに通行者の個人属性分布を算出し、前記広告決定部は、前記端末装置から受信した走行計画情報に対応する道路区間の時間帯ごとの通行者の個人属性分布に基づいて、広告情報データベースから配信先の前記車載装置へ配信する広告情報を決定し、前記広告配信部は、前記広告決定部が決定した広告情報を配信先の前記車載装置へ配信する、広告方法であり、前記広告対価予想値算出部は、次式により前記特定道路区間の広告対価予想値を算出する、特定道路区間の広告対価予想値=「特定道路区間の広告料単価」×「特定道路区間の走行予想時間」×「配信される広告情報に関する特定道路区間の所望ユーザ属性の通行比率に対応する広告料倍率」、広告方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車外に向けて広告する車載装置を備える車両のユーザに対して、広告の効果がより大きい道路を走行するように促すことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る広告対価算出システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係る端末装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態に係る広告対価算出方法の例を示すシーケンスチャートである。
【
図4】一実施形態に係る広告対価算出方法の算出パラメータの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係る広告対価算出システムの構成例を示すブロック図である。
図1に示される広告対価算出システムは、車載装置2と、広告対価算出装置3と、を備える。車載装置2は、自動車等の車両に搭載される装置である。車載装置2と広告対価算出装置3とは、携帯電話ネットワークや無線LAN(Local Area Network)等の無線通信ネットワークを介して、相互に通信を行う。
【0014】
車載装置2は外部広告表示部201を備える。外部広告表示部201は、広告対価算出装置3から配信される広告情報を、車載装置2が搭載された車両の車外に向けて表示する。外部広告表示部201が広告情報を表示することによって、当該広告情報は車載装置2が搭載された車両の周辺に存在する人に視認されるので、車載装置2が搭載された車両の車外に向けて広告することができる。例えば、車載装置2が搭載された車両が存在する道路上に存在する人(例えば後続車両の乗車者や通行者など)に対して、当該車載装置2の外部広告表示部201が表示する広告情報により広告することができる。なお、車載装置2は、広告情報を音声により車外に向けて再生するものであってもよい。
【0015】
図1において、移動端末群1は、例えばスマートフォンやタブレット型のコンピュータ(タブレットPC)等の携帯通信端末装置から構成される。移動端末群1の各端末は、車両11-1、11-2、・・・、11-nの内部に存在したり、又は、人12-1、12-2、・・・、12-mが持ち歩いたりする。
【0016】
道路利用情報提供装置30は、個人情報データベース(個人情報DB)301と、位置情報データベース(位置情報DB)302と、利用道路推定部303と、道路利用傾向把握部304とを備える。
【0017】
個人情報DB301は、移動端末群1の各端末を保有する各個人の個人属性情報を格納するデータベースである。個人情報DB301は、例えば、端末保有者の性別、年齢、住所などの個人属性情報を格納する。
【0018】
位置情報DB302は、移動端末群1の各端末の位置情報の履歴を格納するデータベースである。位置情報DB302は、例えば、端末がGPS(Global Positioning System)によって取得したGPS情報を、当該GPS情報の取得時刻に関連付けて格納する。GPS情報は、端末の位置を示す位置情報を含む情報である。
【0019】
利用道路推定部303は、位置情報DB302に格納されている移動端末群1の各端末の位置情報と、予め設定された地図情報と、を比較してマップマッチングを行い、移動端末群1の各端末が存在した道路区間を時間帯ごとに推定する。道路区間とは、道路上の区間であって、ある道路(例えば、国道1号)の始点から終点までの間の全区間又は一部区間のことを言う。マップマッチングは、例えばGPS情報のように誤差を含んでいる可能性のある位置情報が示す位置を、地図情報を用いて道路上の位置になるように補正する処理である。マップマッチングは、例えばカーナビゲーションシステムなどで利用されている。
【0020】
なお、移動端末群1のうち道路沿いの建物内に存在している端末を単位時間あたりの端末の移動平均量などを基に判別し、判別された端末は、道路沿いの建物内に存在していると判別された期間には道路上に存在していないと判定してもよい。また、道路上に存在している端末の移動手段の種別を移動速度などを基に判別してもよい。端末の移動手段として、例えば、人(歩行)、自転車、自動車などが挙げらえる。
【0021】
道路利用傾向把握部304は、利用道路推定部303の推定結果を使用して、時間帯ごと且つ道路区間ごとに端末数(通行者数)を算出する。本実施形態では、端末数を通行者数に利用する。また、道路利用傾向把握部304は、個人情報DB201を使用して、時間帯ごと且つ道路区間ごとに、通行者の個人属性分布を算出する。通行者の個人属性分布として、例えば、性別、年齢、居住地域などの分布が挙げらえる。
【0022】
道路利用情報提供装置30は、各道路区間の利用傾向情報を広告対価算出装置3へ送信する。ある道路区間の利用傾向情報は、当該道路区間の時間帯ごとの通行者数及び通行者の個人属性分布を含む情報である。
【0023】
[広告対価算出装置]
広告対価算出装置3は、広告情報データベース(広告情報DB)305と、規則・規範データベース(規則・規範DB)306と、広告決定部307と、広告配信部308と、広告料予想値算出部309と、広告料予想値通知部310と、走行状況把握部311と、広告料確定値算出部312と、広告料確定値通知部313と、を備える。
図1に示される広告対価算出装置3の各機能は、広告対価算出装置3が備えるCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)がコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、広告対価算出装置3として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。
【0024】
広告情報DB305は、車載装置2に配信される候補の複数の広告情報を格納するデータベースである。広告情報として、例えば、新製品の発売情報、製品の割引情報、映画の公開情報などが挙げられる。広告情報は、画像(静止画像又は動画像)であってもよく、又は、テキストであってもよい。また、広告情報に対して配信期間を設定し、配信期間内の広告情報のみを配信するようにしてもよい。
【0025】
規則・規範DB306は、道路区間に関連付けて当該道路区間に適用される規則・規範情報を格納するデータベースである。規則・規範情報として、例えば、広告表示が禁止されている道路区間の情報が挙げられる。また規則・規範情報として、動画広告が禁止である道路区間や停車中にのみ広告表示が可能な道路区間等、広告方法ごとに設けられた広告制限の情報が挙げられる。
【0026】
広告決定部307は、広告対価算出装置3が車載装置2から受信した位置情報、各道路区間の利用傾向情報及び規則・規範DB306の規則・規範情報に基づいて、広告情報DB305から当該車載装置2へ配信する広告情報を決定する。広告配信部308は、広告決定部307が決定した広告情報を、配信先の車載装置2の外部広告表示部201へ配信する。広告情報の配信は、広告対価算出装置3が配信先の車載装置2から位置情報を受信したタイミングに対してリアルタイムに実行される。
【0027】
広告料予想値算出部309は、特定道路区間の利用傾向情報に基づいて当該特定道路区間の広告料予想値を算出する。また、広告料予想値算出部309は、時間帯ごとに、特定道路区間の広告料予想値を算出してもよい。広告料予想値は、特定道路区間で広告することに対する対価(広告対価)の予想値の例である。本実施形態では、広告対価の一例として広告料(金銭)を適用する。広告対価として、広告料(金銭)以外のもの、例えば、商品やサービスの購入金額の割引等に使用可能な特典ポイントを適用してもよい。広告料予想値の算出方法は後述する。広告料予想値通知部310は、特定道路区間の広告料予想値を車載装置2へ送信する。
【0028】
なお、特定道路区間は、車載装置2から受信した走行計画情報に対応する道路区間であってもよい。走行計画情報は、例えば、カーナビゲーションシステムが決定した、出発地から目的地に至る走行経路候補を示す情報である。走行計画情報は、複数の走行経路候補を示す情報であってもよい。例えば、特定道路区間は、走行計画情報が示すいずれかの走行経路候補に含まれる道路区間である。
【0029】
走行状況把握部311は、車載装置2から位置情報を受信する。走行状況把握部311は、車載装置2から受信した位置情報で示される位置の履歴に基づいて、当該車載装置2が搭載された車両が走行した道路区間や走行速度などの走行状況を時刻と関連付けた走行状況情報を取得する。車載装置2から受信した位置情報は、当該車載装置2が搭載された車両の走行実績情報の例である。走行状況把握部311は走行実績情報受信部に対応する。
【0030】
広告料確定値算出部312は、特定道路区間の利用傾向情報及び車載装置2が搭載された車両の走行状況情報に基づいて、広告料確定値を算出する。広告料確定値は、広告対価の確定値の例である。広告料確定値通知部313は、当該広告料確定値を当該車載装置2へ送信する。
【0031】
[車載装置]
車載装置2は、外部広告表示部201と、広告料予想値取得部202と、位置計測部203と、広告料確定値取得部204と、表示部205と、ナビゲーション部206と、操作部207とを備える。
【0032】
外部広告表示部201は、広告対価算出装置3から配信される広告情報を、車載装置2が搭載された車両の車外に向けて表示する。外部広告表示部201として、デジタルサイネージを利用してもよい。
【0033】
広告料予想値取得部202は、車載装置2が搭載された車両の走行計画情報を広告対価算出装置3へ送信し、当該走行計画情報に対応する道路区間の広告料予想値を広告対価算出装置3から受信する。本実施形態の一例として、走行計画情報は、ナビゲーション部206が決定した走行経路候補を示す情報である。走行計画情報は、ナビゲーション部206が決定した複数の走行経路候補を示す情報であってもよい。ナビゲーション部206は、カーナビゲーションシステムの機能を備えるものである。
【0034】
位置計測部203は、現在位置を計測する。位置計測部203は、例えばGPSを利用して現在位置を示す位置情報を取得する。位置計測部203が取得した位置情報は、ナビゲーション部206及び広告料確定値取得部204へ通知される。
【0035】
広告料確定値取得部204は、車載装置2が搭載された車両の走行実績情報を広告対価算出装置3へ送信し、当該走行実績情報に基づいた広告対価確定値を広告対価算出装置3から受信する。本実施形態の一例として、走行実績情報は、位置計測部203が取得した位置情報である。位置計測部203が取得した位置情報は、車載装置2が搭載された車両の位置を示す情報であって、当該車両が走行した経路等の走行実績を示すものである。
【0036】
表示部205は、液晶表示装置等の表示デバイスから構成され、データ表示を行う。操作部207は、キーボード、テンキー、マウス等の入力デバイスから構成され、ユーザの操作に応じたデータ入力を行う。表示部205及び操作部207として、データ入力とデータ表示の両方が可能なタッチパネルを備えてもよい。
【0037】
広告料予想値取得部202は、広告対価算出装置3から受信した広告料予想値を表示部205に表示させる。例えば、広告料予想値取得部202は、ナビゲーション部206が表示部205に表示させたカーナビゲーション画面上の走行経路候補に対応付けて当該走行経路候補に対応する道路区間の広告料予想値を、当該カーナビゲーション画面上に表示させてもよい。なお、広告料予想値取得部202は、広告料予想値を音声により報知してもよい。
【0038】
広告料確定値取得部204は、広告対価算出装置3から受信した広告料確定値を表示部205に表示させる。例えば、広告料確定値取得部204は、ナビゲーション部206が表示部205に表示させたカーナビゲーション画面上の走行経路の履歴に対応付けて該当する広告料確定値を、当該カーナビゲーション画面上に表示させてもよい。なお、広告料確定値取得部204は、広告料確定値を音声により報知してもよい。
【0039】
[端末装置]
図2を参照して本実施形態に係る端末装置20を説明する。
図2は、本実施形態に係る端末装置の構成例を示すブロック図である。
図2において
図1の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
図2に示される端末装置20は、広告料予想値取得部202と、位置計測部203と、広告料確定値取得部204と、表示部205と、ナビゲーション部206と、操作部207とを備える。
図2の例では、端末装置20は、
図1に示される車載装置2の構成のうち、外部広告表示部201以外の構成を備える。
図2に示される端末装置20の各機能は、端末装置20が備えるCPUがコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0040】
端末装置20として、例えば、外部広告表示部201を備える自動車が備えるカーナビゲーションシステムを利用してもよい。又は、端末装置20として、外部広告表示部201を備える自動車内に存在するスマートフォンやタブレットPC等の携帯通信端末装置を利用してもよい。
【0041】
[広告対価算出方法]
図3を参照して本実施形態に係る広告対価算出方法を説明する。
図3は、本実施形態に係る広告対価算出方法の例を示すシーケンスチャートである。
【0042】
(ステップS1) 端末装置20の広告料予想値取得部202は、車載装置2が搭載された車両の走行計画情報を広告対価算出装置3へ送信する。ここでの一例として、走行計画情報は、ユーザが端末装置20のカーナビゲーションシステム機能(ナビゲーション部206)により決定した、出発地から目的地に至る複数の走行経路候補を示す情報である。
【0043】
(ステップS2) 広告対価算出装置3の広告料予想値算出部309は、端末装置20から受信した走行計画情報が示す走行経路候補毎に、それぞれ、走行経路候補に対応する道路区間の利用傾向情報に基づいて当該道路区間の広告対価予想値を算出する。
【0044】
(ステップS3) 広告対価算出装置3の広告料予想値通知部310は、当該算出された複数の道路区間の広告対価予想値を端末装置20へ送信する。
【0045】
(ステップS4) 端末装置20の広告料予想値取得部202は、広告対価算出装置3から受信した複数の道路区間の広告料予想値を表示部205に表示させる。このとき、広告料予想値取得部202は、ナビゲーション部206が表示部205に表示させたカーナビゲーション画面上の各走行経路候補に対応付けて、該当する道路区間の広告料予想値を、当該カーナビゲーション画面上に表示させてもよい。ユーザは、各走行経路候補を走行した場合に得られる広告料の予想値を認識する。これにより、ユーザに対して、広告料予想値が高い方の走行経路候補を走行するように促す効果が得られる。なお、走行経路候補が一つであった場合であっても、ユーザは、当該走行経路候補を走行すれば広告料予想値の広告料が得られることを認識するため、ユーザに対して当該走行経路候補を走行するように促す効果が得られる。
【0046】
(ステップS5) 端末装置20の広告料確定値取得部204は、車載装置2が搭載された車両の走行実績情報を広告対価算出装置3へ送信する。ここでの一例として、走行実績情報は、位置計測部203が取得した位置情報である。
【0047】
(ステップS6) 広告対価算出装置3の走行状況把握部311は、端末装置20から受信した位置情報で示される位置の履歴に基づいて、当該端末装置20が搭載された車両が走行した道路区間や走行速度などの走行状況を時刻と関連付けた走行状況情報を取得する。広告料確定値算出部312は、当該走行状況情報で示される車両が走行した道路区間の利用傾向情報及び当該走行状況情報に基づいて、広告料確定値を算出する。
【0048】
(ステップS7) 広告対価算出装置3の広告料確定値通知部313は、当該算出された広告料確定値を端末装置20へ送信する。
【0049】
(ステップS8) 端末装置20の広告料確定値取得部204は、広告対価算出装置3から受信した広告料確定値を表示部205に表示させる。このとき、広告料確定値取得部204は、ナビゲーション部206が表示部205に表示させたカーナビゲーション画面上の走行経路の履歴に対応付けて該当する広告料確定値を、当該カーナビゲーション画面上に表示させてもよい。ユーザは広告料確定値を認識する。
【0050】
[広告料予想値算出方法]
図4を参照して本実施形態に係る広告料予想値算出方法について例を挙げて説明する。
図4は、本実施形態に係る広告対価算出方法の算出パラメータの例を示す図である。
【0051】
(広告料予想値算出方法の例1)
広告料予想値算出方法の例1では、特定道路区間の通行者数に基づいて当該特定道路区間の広告料予想値を算出する。特定道路区間の利用傾向情報は、当該特定道路区間の時間帯ごとの通行者数を含む情報である。広告料予想値算出部309は、特定道路区間の利用傾向情報に含まれる通行者数に基づいて当該特定道路区間の広告料予想値を算出する。また、広告料予想値算出部309は、時間帯ごとに、特定道路区間の利用傾向情報に含まれる通行者数に基づいて当該特定道路区間の広告料予想値を算出してもよい。
【0052】
特定道路区間の通行者数が多いほど、当該特定道路区間において広告の視認者数が多くなって広告効果がより大きくなると考えられる。そこで、単位時間あたりの広告料単価が通行者数に応じて変わる広告料ランクを予め定める。
図4に、1分(単位時間)あたりの広告料単価の例が示される。
図4の例では、1時間あたりの通行者数が1000人未満の道路区間は「ランク1」で広告料単価「1円/分」、1時間あたりの通行者数が1000人以上2000人未満の道路区間は「ランク2」で広告料単価「2円/分」、1時間あたりの通行者数が2000人以上5000人未満の道路区間は「ランク3」で広告料単価「3円/分」、1時間あたりの通行者数が5000人以上10000人未満の道路区間は「ランク4」で広告料単価「4円/分」、1時間あたりの通行者数が10000人以上の道路区間は「ランク5」で広告料単価「5円/分」である。
【0053】
広告料予想値算出方法の例1の広告料予想値算出式の例を次式(1)に示す。
特定道路区間の広告料予想値=「特定道路区間の広告料単価」×「特定道路区間の走行予想時間」 ・・・(1)
特定道路区間の広告料単価は、特定道路区間の利用傾向情報に含まれる通行者数に対応する広告料単価である。特定道路区間の走行予想時間は、当該特定道路区間を走行するのにかかる時間(走行時間)の予想値である。特定道路区間の走行予想時間として、例えば、端末装置20から受信した走行計画情報で示される時間を使用してもよい。又は、特定道路区間の走行予想時間として、当該特定道路区間の走行時間の実績の統計値(例えば平均値)を使用してもよい。特定道路区間の走行時間の実績の統計値は、当該特定道路区間の利用傾向情報に含められる。
【0054】
(広告料予想値算出方法の例2)
広告料予想値算出方法の例2では、広告料予想値算出方法の例1に加えてさらに広告内容の視認のし易さを加味して、特定道路区間の広告料予想値を算出する。
【0055】
広告内容の視認のし易さの指標として、例えば、外部広告表示部201の画面サイズの大きさが挙げられる。外部広告表示部201の画面サイズとして例えばデジタルサイネージの画面サイズが大きいほど、広告内容が視認し易いと考えられる。そこで、外部広告表示部201の画面サイズが大きいほど、広告料が多くなるように広告料ランクを予め定める。
図4に、画面の大きさに対応する広告料倍率の例が示される。
図4の例では、32インチ未満の画面サイズは「ランク1」で倍率「1.0」、32インチ以上42インチ未満の画面サイズは「ランク2」で倍率「1.2」、42インチ以上46インチ未満の画面サイズは「ランク3」で倍率「1.5」、46インチ以上55インチ未満の画面サイズは「ランク4」で倍率「1.8」、55インチ以上の画面サイズは「ランク5」で倍率「2.0」である。
【0056】
広告料予想値算出方法の例2の広告料予想値算出式の例を次式(2)に示す。
特定道路区間の広告料予想値=「特定道路区間の広告料単価」×「特定道路区間の走行予想時間」×「画面の大きさに対応する広告料倍率」 ・・・(2)
【0057】
広告内容の視認のし易さの他の指標として、例えば、車両の走行速度が挙げられる。車両の走行速度が遅いほど、広告内容が視認し易いと考えられる。そこで、車両の走行速度が遅いほど、広告料が多くなるように広告料ランクを予め定める。
図4に、平均走行速度に対応する広告料倍率の例が示される。
図4の例では、時速50km以上の平均走行速度は「ランク1」で倍率「1.0」、時速20km以上時速50km未満の平均走行速度は「ランク2」で倍率「1.5」、時速20km未満の平均走行速度は「ランク3」で倍率「2.0」である。
【0058】
広告料予想値算出方法の例2の広告料予想値算出式の例を次式(3)に示す。
特定道路区間の広告料予想値=「特定道路区間の広告料単価」×「特定道路区間の走行予想時間」×「特定道路区間の平均走行速度に対応する広告料倍率」 ・・・(3)
特定道路区間の平均走行速度として、例えば、端末装置20から受信した走行計画情報で示される平均走行速度を使用してもよい。又は、特定道路区間の平均走行速度として、当該特定道路区間の走行速度の実績の平均値を使用してもよい。特定道路区間の走行速度の実績の平均値は、位置情報DB302に格納される移動端末群1の各端末の位置情報の履歴のうち、車両11-1、11-2、・・・、11-nの内部に存在する各端末の位置情報の履歴を使用して算出される情報であって、当該特定道路区間の利用傾向情報に含められる。
【0059】
なお、画面の大きさに対応する広告料倍率と特定道路区間の平均走行速度に対応する広告料倍率との両方を使用した次式(4)を使用して、特定道路区間の広告料予想値を算出してもよい。
特定道路区間の広告料予想値=「特定道路区間の広告料単価」×「特定道路区間の走行予想時間」×「画面の大きさに対応する広告料倍率」×「特定道路区間の平均走行速度に対応する広告料倍率」 ・・・(4)
【0060】
(広告料予想値算出方法の例3)
広告料予想値算出方法の例3では、広告料予想値算出方法の例1又は例2に加えてさらに個人属性情報の統計値を加味して、特定道路区間の広告料予想値を算出する。
【0061】
例えば、配信される広告がオークション形式で選択される場合、広告料が高額でも出稿したい広告があれば、ユーザにより高い広告料を支払うことができる。例えば、20代から30代の女性を対象とする化粧品広告の広告料単価が高く、当該化粧品広告が配信される広告に選択される場合、20代から30代の女性の通行比率が高いほど、広告料が多くなるように広告料ランクを定める。
図4に、所望ユーザ属性の通行比率に対応する広告料倍率の例が示される。
図4の例では、20%未満の通行比率は「ランク1」で倍率「1.0」、20%以上50%未満の通行比率は「ランク2」で倍率「1.5」、50%以上の通行比率は「ランク3」で倍率「2.0」である。所望ユーザ属性の通行比率に対応する広告料倍率は予め定められる。
【0062】
広告料予想値算出方法の例3の広告料予想値算出式の各例を次式(5),(6),(7),(8)に示す。
【0063】
特定道路区間の広告料予想値=「特定道路区間の広告料単価」×「特定道路区間の走行予想時間」×「配信される広告に関する特定道路区間の所望ユーザ属性の通行比率に対応する広告料倍率」 ・・・(5)
特定道路区間の通行者の個人属性分布は、当該特定道路区間の利用傾向情報に含められる。
【0064】
特定道路区間の広告料予想値=「特定道路区間の広告料単価」×「特定道路区間の走行予想時間」×「画面の大きさに対応する広告料倍率」×「配信される広告に関する特定道路区間の所望ユーザ属性の通行比率に対応する広告料倍率」 ・・・(6)
【0065】
特定道路区間の広告料予想値=「特定道路区間の広告料単価」×「特定道路区間の走行予想時間」×「特定道路区間の平均走行速度に対応する広告料倍率」×「配信される広告に関する特定道路区間の所望ユーザ属性の通行比率に対応する広告料倍率」 ・・・(7)
【0066】
特定道路区間の広告料予想値=「特定道路区間の広告料単価」×「特定道路区間の走行予想時間」×「画面の大きさに対応する広告料倍率」×「特定道路区間の平均走行速度に対応する広告料倍率」×「配信される広告に関する特定道路区間の所望ユーザ属性の通行比率に対応する広告料倍率」 ・・・(8)
【0067】
上述した広告料予想値算出方法の例1,例2,例3のいずれが使用されてもよい。なお、広告料確定値の算出方法は、広告料予想値算出方法と同様である。但し、広告料確定値の算出には、車載装置2が搭載された車両の走行状況情報が使用される。具体的には、特定道路区間の走行予想時間の代わりに、特定道路区間の走行時間の実績が使用される。特定道路区間の平均走行速度には、特定道路区間の平均走行速度の実績が使用される。また、特定道路区間の通行者の個人属性分布は、過去の統計値であってもよく、又は、広告料確定値の算出対象の期間の実績値であってもよい。
【0068】
[広告対価算出システムの変形例]
広告対価算出システムは、Webサイトを利用するものであってもよい。例えば、ユーザが広告料予想値を問合せるための広告料問合せWebサイトを設けてもよい。ユーザは、端末装置により広告料問合せWebサイトにアクセスして、所望の道路区間に対する広告料予想値を問合せる。広告対価算出装置3の広告料予想値通知部310は、当該問合せに応じて、当該道路区間に対する広告料予想値を広告料問合せWebサイトにより回答する。当該回答の広告料予想値は時間帯別であってもよい。
【0069】
また、ユーザ全般に対して、特定道路区間に対する広告料予想値を報知する広告料広報Webサイトを設けてもよい。当該特定道路区間として、例えば、広告主が広告してほしい道路区間が挙げられる。特定道路区間に対する広告料予想値は、時間帯別であってもよい。ユーザは、端末装置により広告料広報Webサイトにアクセスして、特定道路区間に対する広告料予想値を閲覧する。
【0070】
また、広告料確定値についても、Webサイトにより報知するように構成してもよい。
【0071】
上述した実施形態によれば、特定道路区間の利用傾向情報に基づいて算出された当該特定道路区間の広告対価予想値が報知される。これにより、広告の効果がより大きい道路区間に対してより高額の広告料予想値をユーザに報知できるので、車外に向けて広告する車載装置を備える車両のユーザに対して、広告の効果がより大きい道路を走行するように促す効果が得られる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0073】
例えば、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0074】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0075】
1…移動端末群、2…車載装置、3…広告対価算出装置、20…端末装置、30…道路利用情報提供装置、201…外部広告表示部、202…広告料予想値取得部、203…位置計測部、204…広告料確定値取得部、205…表示部、206…ナビゲーション部、207…操作部、301…個人情報データベース、302…位置情報データベース、303…利用道路推定部、304…道路利用傾向把握部、305…広告情報データベース、306…規則・規範データベース、307…広告決定部、308…広告配信部、309…広告料予想値算出部、310…広告料予想値通知部、311…走行状況把握部、312…広告料確定値算出部、313…広告料確定値通知部