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特許7074672拡張現実ニアアイウェアラブルディスプレイのためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】拡張現実ニアアイウェアラブルディスプレイのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20220517BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018531339
(86)(22)【出願日】2016-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-01-10
(86)【国際出願番号】 US2016067623
(87)【国際公開番号】W WO2017106873
(87)【国際公開日】2017-06-22
【審査請求日】2019-12-19
(31)【優先権主張番号】62/269,510
(32)【優先日】2015-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/381,459
(32)【優先日】2016-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507349503
【氏名又は名称】オステンド・テクノロジーズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】カイ,ジンボ
(72)【発明者】
【氏名】エル-ゴロウリー,フセイン・エス
(72)【発明者】
【氏名】ジョンカー,レジナルド
(72)【発明者】
【氏名】メイアーズ,マーティ
(72)【発明者】
【氏名】チュアン,チー-リー
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-331767(JP,A)
【文献】特開平06-098281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/02
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張現実ディスプレイシステムであって:
前記拡張現実ディスプレイシステムは、1つの光学レンズ素子であって、前記光学レンズ素子は、前記光学レンズ素子の内側表面上の第1の透過型回折光学素子と、前記第1の透過型回折光学素子の光学的相補物であり、前記光学レンズ素子の外側表面を透過した周囲環境からの光を補償する、前記光学レンズ素子の前記外側表面上の第2の透過型回折光学素子と、部分反射型回折光学素子と、を有する、前記光学レンズ素子と、
光学画像を出力するよう構成された発光型ディスプレイデバイスと、を備え;
前記発光型ディスプレイデバイスは、記第1の透過型回折光学素子へと光を配向するように構成され
前記第1の透過型回折光学素子へ配向された前記光は、前記部分反射型回折光学素子へ向けて回折され、前記部分反射型回折光学素子は、前記配向された前記光を前記光学画像として視認者のアイボックスへと部分的に反射するよう構成される、拡張現実ディスプレイシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年12月18日出願の米国仮特許出願第62/269,510号の優先権を主張するものであり、上記仮特許出願は、参照によりその全体が本出願に援用される。
【0002】
本開示の一態様は、概してウェアラブル電子機器に関し、より詳細には拡張現実(augmented reality:AR)ニアアイウェアラブルディスプレイに関する。
【背景技術】
【0003】
ウェアラブル光学電子装置は、集積回路及びディスプレイのサイズ、並びに関連するコストが縮小するに従って、一般化している。ウェアラブル光学電子装置は、多数の市販、軍事及び消費者向け用途を有する。従来のニアアイウェアラブルディスプレイによる解決策は、ユーザの快適さ又は審美性を考慮しない、煩わしく低解像度のアプローチを使用することが多い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書中の実施形態は、添付の図面の図において、限定ではなく例示として図示されており、これらの図では、同様の参照番号は同様の要素を示す。本開示中における、本発明の「ある(an)」又は「一(one)」実施形態に対する言及は、必ずしも1つの同一の実施形態に対するものではなく、これらの言及は「少なくとも1つ(at least one)」を意味していることに留意されたい。また、図面を簡潔にし、また図面の総数を低減するために、ある1つの所与の図を用いて本発明の2つ以上の実施形態の特徴を図示する場合があり、また、ある1つの所与の実施形態にとって、このような図中の全ての要素が必要なわけではない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、本明細書中のある実施形態による、ニアアイディスプレイ眼鏡のブリッジ部分の両側に埋め込まれた2つのイメージャ又は光変調器を説明するための、及び上記2つのイメージャから生成され、眼鏡レンズによって2つのアイボックス(eye‐box)へと再配向された、光の光線進路(ray trace)を説明するための、後方等角図である。
図2A-2B】図2A、2Bは、本明細書中のある実施形態による、ニアアイディスプレイの片側のイメージャから放出され、透過型回折光学素子(transmissive diffractive optical element:TDOE)によって眼鏡レンズへと配向され、続いて部分反射型回折光学素子(reflective diffractive optical element:RDOE)によって瞳孔へと反射され、網膜上に集束する光線を説明するための、光線進路の図である。
図3図3は、眼鏡フレームのブリッジ部分内に2つのイメージャが埋め込まれ、2つのイメージャから生成された光の光線進路が眼鏡レンズによって2つのアイボックスへと再配向される実施形態を説明するための、ARニアアイディスプレイの上面図である。
図4図4は、2つのイメージャが眼鏡フレームのブリッジ部分内に埋め込まれた実施形態を説明するための、ARニアアイディスプレイの側面図である。
図5図5は、本明細書中のある実施形態による、眼鏡フレームのブリッジ部分内に埋め込まれた2つのイメージャと、2つのイメージャから生成され、眼鏡レンズによって2つのアイボックスへと再配向された、光の光線進路とを説明するための、ARニアアイディスプレイの非透視等角断面図である。
図6図6は、本明細書中のある実施形態による、ARニアアイディスプレイの視認者が知覚する、形成された仮想画像の位置を示す光線進路を説明するための図である。
図7図7は、本明細書中のある実施形態による、ARニアアイディスプレイが形成する1対のアイボックスのサイズ及び位置を説明するための正面図である。
図8図8は、本明細書中のある実施形態による、イメージャが放出し、TDOEによってARニアアイディスプレイレンズへと配向され、続いてレンズ内に埋め込まれたRDOE層によって視認者のアイボックスへと反射される光線の光線進路を説明するための図である。
図9図9は、本明細書中の1つの例示的実施形態によるARニアアイディスプレイを説明するための概略図である。
図10図10は、本明細書中のある実施形態による、2つのイメージャが眼鏡フレームのブリッジ部分の両側に埋め込まれ、2つのイメージャがARニアアイディスプレイのアーム組立体に埋め込まれた実施形態を説明するため、及び上記4つのイメージャから生成され、眼鏡レンズによってARニアアイディスプレイの2つのアイボックスへと再配向された光の光線進路を説明するための、透視等角背面図である。
図11図11は、本明細書中のある実施形態による、眼鏡フレームのブリッジ部分内に埋め込まれた2つのイメージャ、及びARニアアイディスプレイのアーム組立体に埋め込まれた2つのイメージャ、及び上記4つのイメージャから生成され、眼鏡レンズによって2つのアイボックスへと再配向された光の光線進路を示す、1つの例示的実施形態によるARニアアイディスプレイを説明するための上面線図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
これより、添付の図面を参照していくつかの実施形態を説明する。態様が明示的に定義されていない場合は常に、本開示の範囲は図示されている複数の部分のみに限定されず、これらの部分は単に説明を目的としたものである。また、数多くの詳細を記載するものの、いくつかの実施形態はこれらの詳細を用いずに実践され得ることが理解される。他の例では、公知の回路、構造及び技法は、本説明の理解を不明瞭にしないよう、詳細に示されていない。
【0007】
本発明者らは、形状因子が小さく、また例えば美観上満足できるものである消費者向け眼鏡フレームでの使用に好適な、高解像度の拡張現実ニアアイウェアラブルディスプレイの必要を理解している。本明細書に記載の実施形態は、このような拡張現実ニアアイウェアラブルディスプレイを提供する。
【0008】
本明細書中の実施形態は、1つ又は複数の発光型ディスプレイ素子(本明細書ではイメージャ又は光変調器と呼ばれる)を備えてよく、これらは一般的な眼鏡フレームのブリッジ又はフレームに埋め込むことができる。本明細書に記載の実施形態の1つ又は複数のレンズは、透過型回折光学素子(TDOE)及び部分反射型回折光学素子(RDOE)を備えてよい。ディスプレイ出力はレンズ素子に向かって配向され、次に回折素子が上記出力を視認者のアイボックスに向けて配向する。
【0009】
一実施形態では、拡張現実(AR)ディスプレイシステム(本明細書ではARウェアラブルディスプレイと呼ばれる)を提供する能力を備えた、消費者向け眼鏡の一般的な(又は典型的な)見た目のセットとして構成できる、ニアアイウェアラブルディスプレイを開示する。一実施形態では、上記眼鏡は湾曲視認レンズを有する。
【0010】
一実施形態では、本開示のARウェアラブルディスプレイは、眼鏡の通常の(又は典型的な)見た目のセットのフレームシャーシ内に埋め込まれた、1つ又は複数の発光型マイクロピクセル光変調器を使用し、上記マイクロピクセル光変調器は、独立してアドレス指定できるフルカラー発光型マイクロピクセルのアレイと、上記発光型マイクロピクセルアレイを駆動するよう構成された電子回路とを備える、光電子半導体デバイスであり、これらは全て、眼鏡フレーム内に埋め込むために十分に小さい体積の単一の半導体チップ又はパッケージ内に集積される。
【0011】
本明細書中の実施形態は、上述の光変調式発光型ディスプレイ素子の使用に限定されないこと、並びにOLED又は好適な電気的及び光学的特徴を有する同様のディスプレイ素子といったいずれの様式の電子ディスプレイ素子を用いてよく、これらは本開示の実施形態に関するいずれの請求項の精神及び範囲内であることを明記しておく。
【0012】
1つの例示的実施形態では、ARウェアラブルディスプレイ眼鏡のフレーム内に埋め込まれた発光型マイクロピクセル光変調器デバイスは、量子フォトニックイメージャ(Quantum Photonic Imager)、即ち「QPI(登録商標)」イメージャをベースとしてよい。QPI(登録商標)は、 Ostendo Technologies, Inc.の登録商標である。H. El‐Ghorouryらが2010年3月19日に出願した米国特許第8,049,231号を参照されたい。これは、高解像度GaN‐GaAs積層ピクセルアレイの背面に集積された電源及び論理回路を有し、またピクセル積層体の上部に直接集積された超小型光学部品層を有する、超小型発光型固体光放出構造体技術である。この形態のイメージャは、極めて小さな体積しか占有しない、高電力効率ディスプレイを形成する。
【0013】
本明細書に記載の実施形態と共に使用するために好適な、例示的なQPIイメージャ(超小型発光型固体光放出ディスプレイ素子)としては、限定するものではないが、米国特許第7,623,560号;米国特許第7,829,902号;米国特許第8,567,960号;米国特許第7,767,479号;米国特許第8,049,231号;米国特許第8,243,770号に開示されているものが挙げられ、これらの特許はそれぞれ「Quantum Photonic Imagers and Methods of Fabrication Thereof」という名称であり、本出願人に譲渡されており、各特許の内容全体が参照により本出願に援用される。
【0014】
上述のQPIイメージャは、全ての必要なディスプレイ駆動回路構成を含む単一の発光型ディスプレイデバイスにおいて、高い輝度、非常に高速の光の多色強度、及び空間変調能力を特徴とする。本明細書に記載の実施形態の文脈において、用語「イメージャ」及び「光変調器デバイス」は、発光型マイクロスケール固体光(solid state light:SSL)放出ピクセルのアレイを備える光電子デバイスを包含することを意図したものである。このようなデバイスのSSL放出ピクセルは、発光ダイオード(LED)、又はレーザダイオード(LD)、又は発光型マイクロスケールピクセルアレイがその上に形成された若しくは埋め込まれたCMOS回路内に内包された駆動回路構成によってそのオン・オフ状態が制御されるいずれの固体光放出構造体であってよい。
【0015】
QPIイメージャの発光性マイクロスケールピクセルアレイ内のピクセルは、駆動CMOS回路構成によって空間、色、時間的に個々にアドレス指定可能であり、これによりQPIイメージャは、空間、色、時間的に変調された光を放出できる。QPIイメージャが放出する複数の色が、同一のピクセルアパーチャを共有すると有益である。QPIイメージャは、コリメートされた(又は非ランバート)光を、約±5°~約±45°の発散角度で放出する。QPIイメージャの発光性アレイを構成するピクセルのサイズは典型的にはおよそ5~20マイクロメートルであり、このデバイスの典型的な発光表面積は、およそ15~150平方ミリメートルとなる。QPIイメージャは、その発光性ピクセルアレイと上記イメージャの物理的縁部との間に最小の間隙を備えるように設計でき、これにより、多数のQPIイメージャを傾斜させて、任意のサイズの表示領域を生成できる。
【0016】
投影に関わる距離(投射距離)が比較的小さくなるため、QPIイメージャを用いて投影されたディスプレイを、大きな電力を必要とすることなく、極めて高輝度のものとすることができる。上述の米国特許のQPIイメージャの微小光学素子及び集束モジュールは明らかに、非直線状投影表面及び投射距離を考慮して設計される。当然のことながら、QPIイメージャを、イメージャ若しくは光変調器として、又はイメージャ若しくは光変調器内で使用することが理想的であるものの、本明細書中の実施形態はそのように限定されず、望ましい場合には、本開示のイメージャ若しくは光変調器として、又は本開示のイメージャ若しくは光変調器内で、他のイメージャを使用してもよい。
【0017】
図1に示すように、少なくとも2つの発光型マイクロピクセル光変調器デバイス110a、110bを、眼鏡フレーム100のブリッジ部分内に埋め込んでよく、少なくとも1つの上記デバイスが各側に存在し、また各デバイスは、その発光アパーチャ光軸が、それぞれの側の眼鏡レンズ120a、120bに向かって配向されるように位置決めされる。
【0018】
各光変調器デバイスの発光アパーチャは、発光型マイクロピクセル光変調器デバイスが眼鏡ブリッジ部分の体積範囲内に完全に埋め込まれた状態を維持しながら、マイクロピクセル光変調器の光軸を、それぞれの側の眼鏡レンズに向かって配向するのを補助する、光学「カバー」を含んでよい。一実施形態では、各光変調器デバイスに関連する光学カバーは、光変調器デバイス及びその光学カバーを眼鏡ブリッジ部分の体積範囲内に完全に埋め込むことができるよう、体積が小さい。一実施形態では、光変調器デバイスを眼鏡ブリッジ部分の体積範囲内に完全に埋め込むことができるような体積効率を達成するために、光学カバーを透過型回折光学素子(本明細書中では「TDOE」と呼ぶ)として提供してよい。光変調器デバイスを回折光学素子と組み合わせる、ここで議論される構成により、湾曲したレンズを有する眼鏡を備える拡張現実ウェアラブルディスプレイを提供できる。よって、顔に近接してフィットする眼鏡フレームを、拡張現実ニアアイデバイスとして提供できる。TDOE光学カバーを有する眼鏡フレームの一例を、図2A、2Bの例に示す。
【0019】
図2A及び2Bに移ると、眼鏡フレーム100と同様、眼鏡フレーム200は、光学レンズ220及び光変調器デバイス210を含む。図2A、2Bの実施形態では、光変調器デバイス210の発光アパーチャは、光変調器210の光軸を眼鏡レンズ220に向けて配向するのを補助するための、TDOE光学カバー215を含む。TDOE260は、レンズ220の、眼球230に対面する表面に堆積される。光変調器210から放出された光は、光学カバー215によってTDOE260に向かって配向され、次に、レンズ220の、周囲のシーンに対面する表面内に埋め込まれた、反射型回折光学素子(RDOE)250によって、部分的に反射される。RDOE250は、放出された光を眼球230の瞳孔に向かって反射し、これを網膜上に集束させる。図6は、ある例示的実施形態による、眼鏡フレーム600を装着したARニアアイディスプレイの視認者が知覚する、形成された仮想画像610の位置を示す。眼鏡フレーム600は例えば、図1に示す眼鏡フレーム100又は図2A、2Bに示す眼鏡フレーム200であってよい。
【0020】
図2A、2Bの実施形態に示すように、光学カバー215等のTDOE光学カバーは、各光変調器デバイス210(例えば110a、110b)に関連付けられる。TDOE光学カバー215は、各アレイ内の光変調器デバイス210の各ピクセルの主な光線を、所望の角度方向にマッピングするよう構成してよく、これにより、光変調器デバイスのピクセルから放出された主な光線は、レンズ220からの反射後に眼球230の中央を通過し、従って快適な視認に必要な瞳孔適合機能が達成される。このようにして、各光変調器デバイスから放出される光を、瞳孔に向かうように操作できる。図2A、2Bに示す光線は、可視光スペクトル内の様々な色を表し得る。
【0021】
更に、各光変調器デバイス(例えば210)に関連付けられた本記載のTDOE光学カバー215は、光変調器デバイスの各ピクセルから放出された主な光線を、所望の方向にマッピングすることが望ましく、これによって、網膜に投影された仮想画像の歪みを、光学歪み及び収差に関して十分に補正する。
【0022】
他の実施形態ではTDOE光学カバー215は任意であってよいことに留意されたい。例えば、光変調器デバイスの各ピクセルからの光錐が大きく、輝度のロールオフが許容可能なレベルである状況では、TDOE光学カバー215を省略してよい。
【0023】
各光変調器デバイス210に関連付けられたTDOE光学カバー215は、表面レリーフ又は体積レリーフナノインプリント技法を用いて実現してよい。一実施形態では、TDOE薄膜を、フォトリソグラフィプロセスを用いて実現してよい。一実施形態では、TDOE光学カバーの厚さは10~30マイクロメートル(例えば10、13、15、20又は30マイクロメートル)であってよい。一実施形態では、TDOE光学カバーは、ブラッグ格子(例えばファイバブラッグ格子)であってよい。一実施形態では、TDOEは、体積ホログラフィック格子を備える。一実施形態では、上記格子は複数の直線で構成される。一実施形態では、上記格子は直線状ではない。一実施形態では、上記格子によって生成される面は、平面ではない。例えば上記格子は、高次多項式からなってよい。一実施形態では、上記格子は均一でなく、傾斜している。例えば上記格子は局在化されていてよく、及び/又は自由形状であってよく、形状は、眼鏡レンズの曲率半径及びニアアイディスプレイの視野によって規定される。一実施形態では、上記格子の上部及び底部は対称である。一実施形態では、上記格子の複数の線は、レンズの視認面全体にわたって連続していない(例えば不均一である)。一実施形態では、TDOEは、眼鏡レンズの全表面を被覆しない。一実施形態では、上記格子の複数の線は、光学画像全体を横断しなくてよい。
【0024】
少なくとも図1、2A、2B、9に示すように、眼鏡のフレーム及びレンズ(例えば100、200)は、ヒトの前頭部の曲率半径と同一形状であってよく、光学カバーを通して光変調器デバイスのピクセルから放出された主な光線が、ヒトの眼の瞳孔と略共軸となる所定の位置において、眼鏡の湾曲したレンズと交差できるよう、十分な曲率半径を有する。図2A、2Bの実施形態では、TDOE光学カバー215を通して光変調器デバイス210のピクセルから放出された光線は、眼鏡フレーム200の湾曲したレンズに入射し、ニアアイディスプレイ装着者の瞳孔を名目上組み込んだニアアイディスプレイ200の視認アイボックスに向かって反射される。
【0025】
図2A、2Bの光線進路において更に示されているように、一実施形態では、ニアアイディスプレイのアイボックスの直径240は約16mmであってよく、これは、ディスプレイ装着者の瞳孔の公称位置に眼球のサッカード(即ちある点から別の点へと焦点を変化させる瞳孔の運動)のためのマージンを加えたものを収容するために十分なものである。図7は、例示的な一実施形態による、ARニアアイディスプレイによって形成される1対のアイボックス730a、730bのサイズ及び眼鏡フレーム200に対する位置を示す、眼鏡フレーム200の正面図である。
【0026】
図3は、2つのイメージャを含む実施形態の上面図であり、イメージャ310a、310bがそれぞれ眼鏡フレーム300のブリッジの一部分に埋め込まれている。眼鏡フレーム300は、眼鏡フレーム100又は眼鏡フレーム200と同様であってよい。図4は、この実施形態の側面図を示し、各イメージャ310(それぞれ310a、310b)が眼鏡フレーム300のブリッジの一部分に埋め込まれている。図5は、一実施形態による、眼鏡フレームのブリッジの部分に埋め込まれた2つのイメージャ510a、510bの詳細な図であり、上記眼鏡フレームは眼鏡フレーム100、200又は300と同様であってよく、光の光線進路は視認者のアイボックス520a、520bへと配向される。
【0027】
図8は、イメージャ810が放出する光の光線進路が、視認者の眼球に対面する表面上にTDOE層830を有するARニアアイディスプレイレンズ820に向かって配向される様子を示す。放出された光は次に、レンズ820内に埋め込まれたRDOE層840によって、視認者のアイボックスに向かって反射される。図8に示されている光線の束850(それぞれ850a、850b、850c)は、可視光スペクトル内の様々な色を表し得る。
【0028】
一実施形態では、レンズ820、光変調器デバイス810、TDOE830、RDOE840は、光線の束(850a、850b、850c)がそれぞれ、図8に示されている略同一の地点で出会うように構成され、これにより眼が視野を増大させることができる。図8の実施形態では、光変調器810のピクセルの放出角度は平坦であり、従ってTDOE光学カバー(図2A、2Bに図示)が不要となっていると想定している。
【0029】
図8は、光変調器デバイス810から放出された光のイメージング経路が眼鏡レンズ820と交差して眼へと戻る様子を示す。図8には、眼鏡レンズの前面を通って眼へと伝達される周囲環境からの光が図示されていない。これを補償するために、一実施形態では、上述のTDOE光学カバー830に加えて、眼鏡フレームは、眼鏡レンズ820の外側表面(例えば眼鏡レンズの、周囲環境に対面する表面)上に設けられた、別のTDOEを有する。この第2のTDOEは、第1のTDOE830の光学的相補物であってよい。例えば第2のTDOEは、第1のTDOE830とは逆の傾斜及び方向を有してよい。従って第2のTDOEは、レンズを通して伝達された光の光学的効果を打ち消すことができる。
【0030】
再び図2A、2Bを参照すると、一実施形態では、眼鏡フレーム200に対する眼球230の寸法(例えば角度、長さ)も決定してよい。直径240を含むアイボックスの寸法も決定される。これらの寸法を、眼鏡フレームのブリッジ上の光変調器デバイスの位置、及び選択された画像倍率と共に用いて、視野を算出する。光変調器デバイスが放出した光線は眼球内へと配向されてコリメートされるものと仮定して、光線及び眼鏡の表面の方向を考慮する。一実施形態では、上述の基準を用いて、TDOE及びRDOEを設計するためのパラメータを算出する。一実施形態では、最適化アルゴリズムを用いて上記パラメータを算出する。一実施形態では、光線眼鏡レンズの視認領域全体にわたるTDOE又はRDOEの特徴を包含又はサンプリングするために、多数の光線を追跡し、各位置における特徴を算出する。
【0031】
16mmのアイボックスを有する上述の例示的実施形態では、ニアアイディスプレイの全視野(field of view:FOV)はおよそ10°である。しかしながら、アイボックスのサイズを例えば8mmまで低減すると、ニアアイディスプレイのFOVは15°超まで増大する。なお、8mmのアイボックスは、ディスプレイ装着者の瞳孔の公称位置にサッカードを加えたものを収容するために十分な大きさである。
【0032】
ニアアイディスプレイ眼鏡の湾曲したレンズの反射性の態様は、眼鏡の湾曲したレンズ内に、図8の例においてRDOE840によって、及び図2A、2Bの例においてRDOE250によって示される部分反射型回折光学素子(RDOE)薄膜を埋め込むことによって、実現できる。眼鏡の湾曲したレンズ内へのDOEの埋め込みは、眼鏡の湾曲したレンズの片側上をコーティングした後、ポリマーの保護薄層で更にコーティングされる薄膜として、DOEを提供することによって実現できる。一実施形態では、RDOE薄膜を、眼鏡の視認用レンズの外側表面(例えばレンズの、周囲環境又はシーンに対面する表面)上に設ける。
【0033】
一実施形態では、ニアアイディスプレイの湾曲したレンズ内に埋め込まれたRDOE薄膜は、ニアアイディスプレイの湾曲したレンズを通して周囲環境を見ることができるようにするために十分な透過性を有し、これにより本実施形態のニアアイディスプレイは、AR性能を有する、光学的に「シースルーの」(optical see‐through:OST)拡張現実(AR)システムとなる。一実施形態では、RDOE薄膜は部分的に反射性である。一実施形態では、RDOEは30%の反射率特性を有してよい。一実施形態では、RDOEの反射率は20~60%であってよい。RDOEの反射率特性が高すぎると、ニアアイディスプレイ装着者による周囲環境の視認が限定される場合があることに留意されたい。しかしながら、RDOEは、光変調器デバイスから放出された光を効果的に反射するために十分な大きさの反射率特性を有していなければならない。従って一実施形態では、体積格子として実装されたRDOEを、シースルー光経路に対しては略透過性であるまま、光変調器デバイスからの光経路内の高反射率部品として挙動するように構成できる。この構成により、周囲シーンの輝度の効率が高まり、ほとんど低下しないことが保証される。
【0034】
ニアアイディスプレイの湾曲したレンズ内に埋め込まれたRDOE薄膜は、表面レリーフ又は体積レリーフナノインプリント技法を用いて実現してよい。一実施形態では、RDOE薄膜を、フォトリソグラフィプロセスを用いて実現してよい。一実施形態では、RDOE光学カバーの厚さは10~30マイクロメートル(例えば10、13、15、20又は30マイクロメートル)であってよい。一実施形態では、RDOE光学カバーは、ブラッグ格子であってよい。一実施形態では、RDOEは、体積ホログラフィック格子を備える。一実施形態では、上記格子は複数の直線で構成される。一実施形態では、上記格子は直線状ではない。一実施形態では、上記格子によって生成される面は、平面ではない。例えば上記格子は、高次多項式からなってよい。一実施形態では、上記格子は均一でなく、傾斜している。例えば上記格子は局在化されていてよく、及び/又は自由形状であってよく、形状は、眼鏡レンズの曲率半径及びニアアイディスプレイの視野によって規定される。一実施形態では、上記格子の上部及び底部は対称である。一実施形態では、上記格子の複数の線は、レンズの視認面全体にわたって連続していない(例えば不均一である)。一実施形態では、RDOEは、眼鏡レンズの全表面を被覆しない。一実施形態では、上記格子の複数の線は、光学画像全体を横断しなくてよい。
【0035】
光変調器デバイスから放出された光を装着者の眼に向かって配向するのに加えて、ニアアイディスプレイの湾曲したレンズ内に埋め込まれたRDOE薄膜は、ニアアイディスプレイ装着者が知覚する仮想画像の十分な補正を保証するために、光学的倍率及びチルト収差補正を提供してよい。
【0036】
一実施形態では、ニアアイディスプレイの、ナノインプリントされたTDOE及びRDOE層は、広域光を回折させるよう設計される。一実施形態では、ニアアイディスプレイの、ナノインプリントされたTDOE及びRDOE層は、可視光スペクトルを包含する広域光を回折させるよう設計される。
【0037】
DOEによって達成される回折角度は、典型的には波長に左右され、また、各光変調器デバイスに関連付けられたTDOE光学カバーを通って伝達される光、及びニアアイディスプレイの湾曲したレンズ内に埋め込まれたRDOEによって反射された光の、色分離を引き起こす。この色分離は、TDOE及びRDOEそれぞれを、可視スペクトルのある1つの部分帯域の光を回折させるよう設計された多層として実現することによって、緩和できる。
【0038】
本明細書中の実施形態のニアアイディスプレイの新規の特徴は、TDOE及びRDOEを用いて互いの色分離を補償する点である。この色分離補償アプローチでは、TDOE及びRDOEの両方を、可視光スペクトルの中央の波長、およそ550nmの波長をベースとして設計し、そしてTDOEの回折軸を、RDOEの対向する軸内となるように整列させ、これにより、550nm未満の波長の光をTDOEによってある方向に回折させた後で、RDOEによって、上記550nmの光の角度と同一の角度に向かって戻るように回折させる。同様の効果が、550nm超の波長を有する光に関しても発生する。この光はまず、TDOEによって、上記550nmの光の反対側において回折させられ、その後RDOEによって、上記550nmの光の角度と同一の角度に向かって戻るように回折させられる。
【0039】
本明細書中の実施形態のニアアイディスプレイの更なる新規の特徴は、光変調器デバイスを用いた補正をデジタル方式で実施して、色分離を補償するために、赤色及び青色ソース画像のデジタルワーピング及びスケーリングを利用する点である。
【0040】
本明細書中の実施形態のARニアアイウェアラブルディスプレイは更に、ARニアアイウェアラブルディスプレイの各レンズの入力画像アパーチャに結合された少なくとも1つの画像ソース(又はイメージャ)を備え、各イメージャは、複数の多色ピクセルを備えるデジタル画像を生成でき、また、ARニアアイウェアラブルディスプレイのレンズの入力画像アパーチャの面積及び必要な発散角度に概ね一致する光出力アパーチャを有する。
【0041】
1つ又は複数のイメージャを、ARニアアイウェアラブルディスプレイのレンズに光学的に結合することにより、単一ビュー画像又はマルチビュー光照射野画像を変調できる。ARウェアラブルディスプレイのレンズに光学的に結合されたイメージャは、ARウェアラブルディスプレイの視認者の視野を妨害する大きな突出を引き起こさずにレンズに結合できるよう、十分に小型である。
【0042】
一実施形態では、ARウェアラブルディスプレイのレンズに光学的に結合されたイメージャは、これを発光タイプとし、ARウェアラブルディスプレイの装着者の視野を妨げる突出をもたらす嵩高い光学素子を備える光学的インタフェース(又はリレー)を必要とすることなく、その発光表面から直接、レンズの入力画像アパーチャの面積及び必要な発散角度と概ね一致する画像を生成できるようにすることにより、必須のコンパクトさを達成する。
【0043】
ARウェアラブルディスプレイのレンズに光学的に結合されるイメージャは、約1~15ルーメンの範囲内においてデジタル方式で制御可能な輝度を有するビデオ画像を生成するよう構成してよい。一実施形態では、ARウェアラブルディスプレイのレンズに光学的に結合されるイメージャは、ARウェアラブルディスプレイの小型構成内に実用上統合できる最小の電力消費で、約1~15ルーメンの範囲内においてデジタル方式で制御可能な輝度を有するビデオ画像を生成するよう構成してよい。
【0044】
イメージャの制御可能な輝度レベルを用いて、ARウェアラブルディスプレイの動作モードに適合した適切な輝度レベルを生成できる。ARウェアラブルディスプレイのレンズに光学的に結合されたイメージャは、(変調されて入力アパーチャに結合されるピクセルの数及び境界に関して)デジタル制御可能な画像サイズ及び形状を生成でき、この制御可能な画像サイズ及び形状を用いて、可変制御サイズ及び形状を有する画像を、ARウェアラブルディスプレイのレンズの出口アパーチャに結合させる。
【0045】
一実施形態では、画像の輝度の均一性を、光変調器デバイスの励起によって制御してよい。
【0046】
図10、11に移ると、これらの図は、2つのイメージャ1100a、1100bがブリッジ部分の両側に埋め込まれ、2つのイメージャ1200a、1200bがARニアアイディスプレイのアーム組立体に埋め込まれた、実施形態を示す。図10、11はまた、眼鏡レンズによってARニアアイディスプレイ1000の2つのアイボックス1300a、1300b内へと再配向される、上記4つのイメージャから生成された光の光線進路を示す。
【0047】
よって、ARウェアラブルディスプレイのレンズに光学的に結合されたイメージャは、(上述のような)各レンズに対する少なくとも1つのイメージャ、又は各レンズの複数の入力画像アパーチャに連結された複数のイメージャとして構成してよく、後者に関して、各イメージャはレンズアパーチャの異なる領域に結合される。複数のイメージャを伴う実施形態では、複数のDOE特徴部分を用いてよく、例えば各イメージャに対して1つのDOEを用いてよい。これらのDOE特徴部分は、眼鏡レンズを覆う領域として分布してよく、又は空間的に重複若しくは混在していてもよい。
【0048】
一実施形態では、ARニアアイウェアラブルディスプレイの各レンズの複数の入力画像アパーチャに結合された複数のイメージャ(それぞれレンズアパーチャの異なる領域に結合される)と、上記複数のイメージャからレンズの部分領域を通る光経路との使用により、異なるイメージャから放出された光を、異なる複数の方向から視認者の各瞳孔に集束させ、ここで各部分領域に関連するイメージャは好ましくは、異なる視線からのビュー(perspective view)を変調し、これによりARニアアイウェアラブルディスプレイにマルチビュー光照射野を表示させることができる。
【0049】
ARニアアイウェアラブルディスプレイの各レンズの複数の入力画像アパーチャに結合された複数のマルチビュー光照射野イメージャの使用により、視認者の各瞳孔に十分な数のビュー(一実施形態では瞳孔1つに対して8~12個のビュー(ただし少なくとも6つのビューが水平視差に沿っている))を提供する光照射野を、いわゆる「輻輳調節矛盾(vergence accommodation conflict:VAC)」効果(これは視認者の深刻な不快感を引き起こすものであり、また従来技術のニアアイ自動立体ディスプレイにおいて典型的に発生するものである)を実質的に排除する程度まで変調でき、従って本開示のARニアアイウェアラブルディスプレイをVACフリーディスプレイとすることができる。
【0050】
ARニアアイウェアラブルディスプレイの各レンズの複数の入力画像アパーチャに結合された複数のイメージャの使用により、例えば1つの眼に対して100万ピクセルを実現するために、それぞれ500,000個の10マイクロメートルのピクセルを有する2つのイメージャを用いて、各ディスプレイレンズに光学的に結合されるイメージャの数を増加させることにより、又は例えば1つの眼に対して100万ピクセルという上述のものと同一のディスプレイ解像度を可能とするために、上述の例と同一の物理的サイズを有するものの100万個の5マイクロメートルのピクセルを有するイメージャを1つの眼に対して1つ用いて、イメージャのピクセルサイズを低減することにより、(視認者に対して表示されるピクセルの数という点で)ディスプレイの解像度を更に上昇させることができる。
【0051】
ARニアアイウェアラブルディスプレイの各レンズの複数の入力画像アパーチャに結合された複数のイメージャの使用により、1つの眼に対する高いピクセル解像度によって、視認者の各瞳孔に対して十分な数のビューを変調できるようになり、これにより、視認者に対するデジタルホログラフィック画像を変調できる。
【0052】
一実施形態によるARニアアイウェアラブルディスプレイは更に、1つの眼に対して少なくとも1つの眼追跡センサを備えてよく、この眼追跡センサの出力を用いて、各眼の角度位置(又は視角)、虹彩の直径、2つの瞳孔の間の距離を含むがこれらに限定されない、視認者の眼の複数の所定のパラメータが検出される。
【0053】
一実施形態によるARニアアイウェアラブルディスプレイの眼追跡センサは、1つの眼に対してイメージングを行うようにそれぞれ位置決めされた1対のミニチュアカメラであってよい。一実施形態では、ARニアアイウェアラブルディスプレイの眼追跡センサは、眼鏡のブリッジ部分等、眼の視野(FOV)を妨げない位置に配置してよい。
【0054】
一実施形態によるARニアアイウェアラブルディスプレイの眼追跡センサは、ARニアアイウェアラブルディスプレイの複数のディスプレイ部分領域にわたる輝度及び色均一性を検出するよう構成してよく、眼追跡センサが捕捉した画像を分析して、各ディスプレイ部分領域の輝度及び色が決定され、その後、決定された値を比較して、ARニアアイウェアラブルディスプレイの各レンズの複数の入力画像アパーチャに結合された複数のイメージャの輝度及び/又は色を、全ディスプレイアパーチャにわたる色及び輝度に従って調整することによって、所定の閾値、例えば10%以内で均一となるようにすることができる。
【0055】
当業者は、本明細書において議論した実施形態の精神及び範囲から逸脱することなく、多数の改変及び修正を実施してよい。従って、図示されている実施形態は例示のみを目的として記載されていること、及び図示されている実施形態は、本明細書に記載の実施形態を、本出願に対する優先権を主張するいずれの後続の出願のいずれの請求項によって定義されるように限定するものとして解釈してはならないことを理解しなければならない。
【0056】
例えば、いずれのこのような請求項の複数の要素がある特定の組み合わせで記載される場合があるという事実にもかかわらず、本開示の実施形態は、上で開示されている更に少ない、更に多い、又は異なる要素の他の組み合わせを、最初にはこのような組み合わせで請求されていない場合でさえ、含んでよいことを、はっきりと理解しなければならない。
【0057】
様々な実施形態を説明するために本明細書中で使用される語句は、その一般的に定義された意味だけでなく、本明細書中での特別な定義によって、一般的に定義された意味を超える構造、材料、又は行為を含むものとして理解するべきである。従って、本明細書の文脈において、ある要素が2つ以上の意味を含むものとして理解できる場合、後続の請求項における上記要素の使用は、本明細書及びその語句自体がサポートするあらゆる可能な意味を包括するものとして理解しなければならない。
【0058】
従って、本出願に対する優先権を主張するいずれの後続の出願のいずれの請求項の語句又は要素の定義は、逐語的に記載された要素の組み合わせだけでなく、略同一の結果を得るために略同一の方法で略同一の機能を実施するいずれの同等の構造、材料又は行為も含むものと定義するべきである。従ってこの意味において、以下の請求項中の要素のうちのいずれの1つに対して2つ以上の要素での置換を行うことができること、又はこのような請求項中の2つ以上の要素に対して単一の要素での置換を行うことができることが考えられる。
【0059】
以上において、複数の要素が特定の組み合わせで作用するものとして説明されている場合があり、また以下でそのように請求されている場合があるが、請求されている組み合わせからの1つ又は複数の要素を、場合によっては上記組み合わせから削除できること、及びこのような請求されている組み合わせから部分組み合わせ又は部分組み合わせの変形例を導くことができることを、はっきりと理解されたい。
【0060】
現時点で公知の又は将来考案される、いずれの以下で請求される主題からの、当業者から見て非現実的な変更は、同様にこのような請求項の範囲内であるものと明らかに考えられる。従って、現時点で又は将来において当業者に公知である明らかな置換は、定義されている要素の範囲内であるものとして定義される。
【0061】
よって、本出願に対する優先権を主張するいずれの後続の出願のいずれの請求項は、以上で具体的に例示及び説明されたもの、概念的に同等であるもの、明確に置換可能なもの、及び本明細書に記載の実施形態の基本的着想を本質的に援用するものを含むものとして理解するべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4
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図6
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図8
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図10
図11