(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】亜鉛含有層状物質を有するパーソナルケア組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/27 20060101AFI20220517BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20220517BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20220517BHJP
A61K 8/58 20060101ALI20220517BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20220517BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20220517BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
A61K8/27
A61K8/37
A61K8/46
A61K8/58
A61K8/73
A61K8/81
A61Q5/02
(21)【出願番号】P 2018543366
(86)(22)【出願日】2017-03-03
(86)【国際出願番号】 US2017020602
(87)【国際公開番号】W WO2017152018
(87)【国際公開日】2017-09-08
【審査請求日】2018-08-16
【審判番号】
【審判請求日】2020-09-14
(32)【優先日】2016-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ アンソニー スタウディゲル
【合議体】
【審判長】井上 典之
【審判官】冨永 みどり
【審判官】進士 千尋
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-515330(JP,A)
【文献】特表2008-534625(JP,A)
【文献】特表2006-515331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルケア組成物であって、
a)2%~50%の洗浄性界面活性剤と、
b)抗ふけ活性物質と、
c)カチオン性ポリマーと、
d)
塩基性炭酸亜鉛と、
e)シリコーンと、
f)結晶構造化剤と
を含み、
前記
塩基性炭酸亜鉛は、0.5μm~4μmの範囲の粒径を有し、
毛髪への結晶構造化剤の付着に対するシリコーンの付着の比が5より大き
く、
前記塩基性炭酸亜鉛は、無水アンモニア及び二酸化炭酸からなる溶液を加熱し、90℃~150℃で容器中に亜鉛灰を添加して、亜鉛-アンモニア-炭酸塩錯体を生成させる工程と、溶液を亜鉛末で固化し、スラリーを形成する工程と、該スラリーを濾過し、第1の沈殿を除去して第1の濾液を生成する工程と、第1の濾液のpHを10以上に調整し、第1の濾液中の鉄を含む第2の沈殿を形成する工程と、第1の濾液を濾過し、第2の沈殿を除去して第2の濾液を生成する工程と、第2の濾液のpHを10未満に調整し、炭酸亜鉛を含む第3の沈殿を形成する工程と、炭酸亜鉛を洗浄、乾燥、及び粉砕する工程とを含む方法によって製造される
パーソナルケア組成物。
【請求項2】
前記組成物が、5マイクロメートルの、
酸性工程によって製造される塩基性炭酸亜鉛を含む組成物と比較するとき、毛髪への結晶構造化剤の付着を少なくとも30%減少させる、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項3】
前記結晶構造化剤が、脂肪族アルコール、トリヒドロキシステアリン、ラウリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、エライジン酸、アラキドン酸、ミリストレイン酸、及びパルミトレイン酸、エチレングリコールジステアレート、プロピレングリコールイソステアレート、プロピレングリコールオレエート、グリセリルイソステアレート、グリセリルオレエート、プロピレングリコールジラウレート、及びポリグリセリルジイソステアレート、エチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールジステアレート、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸セチル、ベヘン酸ラウリル、ステアリン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸モノイソプロパノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミドステアレート、ステアリルジメチルアミンオキシド、N,N-ジヒドロカルビルアミド安息香酸及びその可溶性塩、N,N-ジ(水素添加)C16、C18及びタローアミド安息香酸、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項4】
前記結晶構造化剤がエチレングリコールジステアレートである、
請求項3に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項5】
前記組成物が、5マイクロメートルの
、酸性工程によって製造される塩基性炭酸亜鉛を含む組成物と比較するとき、毛髪へのシリコーンの付着を2倍に増加させる、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項6】
前記
塩基性炭酸亜鉛が、0.8μm~3.5μmの範囲の粒径を有する、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項7】
前記
塩基性炭酸亜鉛が、1μm~2.5μmの範囲の粒径を有する、
請求項1または2に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項8】
毛髪へのエチレングリコールジステアレートの付着に対するシリコーンの付着の比が10より大きい、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項9】
毛髪へのエチレングリコールジステアレートの付着に対するシリコーンの付着の比が20より大きい、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項10】
前記組成物が、毛髪1グラム当たり300~3000μgの範囲で毛髪への炭酸亜鉛の付着をもたらす、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項11】
前記組成物が、1mg/cm
2~15mg/cm
2の範囲で頭皮への炭酸亜鉛の付着をもたらす、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項12】
前記抗ふけ活性物質が、ピリチオン塩又はピリチオンの金属塩からなる群から選択される、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項13】
前記抗ふけ活性物質がジンクピリチオンである、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項14】
前記パーソナルケア組成物が、アゾール、オクトピロックス、硫化セレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される抗ふけ活性物質を更に含む、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項15】
前記カチオン性ポリマーが、カチオン性グアーポリマー、カチオン性非グアーガラクトマンナンポリマー、カチオン性タピオカポリマー、アクリルアミドモノマーとカチオン性モノマーとのカチオン性コポリマー、合成非架橋カチオン性ポリマー、カチオン性セルロースポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪へのシリコーンの付着を増加させるとともに、構造化剤の付着を減少させ、それによって消費者の毛髪コンディショニングを改善させるとともに、毛髪に対する清潔感の改善のために蓄積残留物を減少させる、粒径を減少させた亜鉛含有層状物質を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のヘアケア組成物、特に抗ふけ微粒子を含むこのような組成物では、頭皮及び毛髪繊維の両方に一部の微粒子の付着をもたらす。有効な抗ふけシャンプーは、ジンクピリチオンと炭酸亜鉛との組み合わせを含み得る。典型的な炭酸亜鉛微粒子は、5~7μmのD50を有する粒径分布を有し得る。この大きさの粒子は毛髪に付着し、これは清潔な毛髪の感触を感じるのに悪影響を及ぼすことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、毛髪の感触における抗ふけ微粒子の影響を最小限に抑える必要がある。驚いたことに、本発明は、炭酸亜鉛の粒径の減少が、毛髪へのシリコーンの付着を増加させ、それによって消費者の毛髪コンディショニング体験を改善するとともに、毛髪へのエチレングリコールジステアレートの付着などの、付着が非常に大量になると毛髪に対する蓄積、残留、及び清潔感の欠如を生じる、構造化剤の付着を減少させることを実証している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態では、パーソナルケア組成物を開示し、このパーソナルケア組成物は、約2%~50%の洗浄性界面活性剤と、抗ふけ活性物質と、カチオン性ポリマーと、亜鉛含有層状物質と、を含み、この亜鉛含有層状物質は、約0.5μm~4μmの範囲の粒径を有し、結晶構造化剤の付着に対するシリコーンの付着の比が約5より大きい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】酸性工程により製造された、5~7μmのD
50まで粉砕された塩基性炭酸亜鉛Aの小型プレートレットの画像である。
【
図2】塩基性工程により製造された、5~7μmのD
50まで粉砕された塩基性炭酸亜鉛Bの小型プレートレットの画像である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
特に指定がない限り、本明細書において使用する全ての百分率及び比率は、組成物全体の重量によるものとする。特に指示がない限り、全ての測定は周囲条件で実施されるものと理解され、「周囲条件」とは、約25℃、約1気圧、及び相対湿度約50%における条件を意味する。全ての数値範囲は、より狭い範囲を含む。区切られた上下の範囲限界は組み合わせ可能であり、明示的に区切られていない更なる範囲を作る。
【0007】
本発明の組成物は、本明細書に記載の必須成分及び任意選択的成分を含む、それらから本質的になる、又はそれらからなることができる。本明細書で使用するとき、「から本質的になる」とは、組成物又は構成成分が、追加成分を含み得ることを意味するが、追加成分が、特許請求される組成物又は方法の基本的かつ新規の特性を実質的に変えない場合に限る。
【0008】
組成物に関連して使用される「塗布する」又は「塗布」は、本発明の組成物を毛髪などのケラチン性組織上に塗布する又は広げることを意味する。
【0009】
「皮膚科学的に許容可能な」は、記載される組成物又は構成成分が、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などがなく、ヒトの皮膚組織と接触して使用するのに好適であることを意味する。
【0010】
「安全かつ有効な量」は、有益な効果を有意に誘導するのに十分な化合物又は組成物の量を意味する。
【0011】
本発明では、インビボ/インビトロの美容及び有効性性能に関する複数の性能ベクトルにわたって、いくつかのシャンプー組成物中で、異なる粒径を有する3種類の炭酸亜鉛物質を評価する。更に、シャンプーにおけるその性能に関する更なる洞察と、結果として生じる消費者体験とについて、組成物及び材料の形態学的特性をよりよく理解するために、炭酸亜鉛の物理的及び化学的評価を行う。本発明は、炭酸亜鉛の粒径が減少すると、毛髪繊維へのシリコーンの付着が増加し、同時にエチレングリコールジステアレート(EGDS)構造化剤の付着が減少することを実証する。また、酸性工程により製造された炭酸亜鉛は、塩基性工程により製造された炭酸亜鉛に比べて結晶サイズが小さく、したがって粒子表面積が大きい。表面積の増加は、ジンクピリチオン(ZPT)とともに頭皮に付着した場合に、炭酸亜鉛の相乗作用効果を最大にする能力をもたらす。
【0012】
炭酸亜鉛の製造方法:塩基性炭酸亜鉛は、無水アンモニア及び二酸化炭酸からなる溶液を加熱し、90℃~150℃で容器中に亜鉛灰を添加し、亜鉛-アンモニア-炭酸塩錯体を生成することにより調製され得る。溶液を亜鉛末で固化し、スラリーを形成する。スラリーを濾過し、第1の沈殿を除去して第1の濾液を生成する。第1の濾液のpHを10以上に調整し、第1の濾液中の鉄を含む第2の沈殿を形成する。第1の濾液を濾過し、第2の沈殿を除去して第2の濾液を生成する。このとき、必要に応じてマグネシウムを添加する。第2の濾液のpHを10未満に調整し、炭酸亜鉛を含む第3の沈殿を形成する。炭酸亜鉛を洗浄、乾燥、及び粉砕する。(米国特許第6,555,075号、Nip)炭酸亜鉛を洗浄すると、炭酸亜鉛はスラリー組成物として存在するため、乾燥する必要がある。乾燥工程は、水分を除去して粉砕を可能にするために、ベーカリー型オーブン、噴霧乾燥、又は同様の技術によることができる。粉砕工程は、ジェット粉砕、ピン粉砕、ハンマー粉砕、又は同様の技術により達成され得る。
【0013】
シャンプーの製造方法:シャンプー組成物は、一般的に、組成物の製造に関し当該技術分野において既知である従来法により調製される。このような方法は、典型的に、加熱、冷却、真空の適用等を用いて又は用いずに、成分を1つ以上の工程で混合して比較的均一な状態にすることを含む。組成物は、安定性(物理的安定性、化学的安定性、光安定性)及び/又は活性物質の送達を最適化するように調製される。シャンプー組成物は、単相又は2相以上であってよい。ZPTなどの不溶性抗ふけ活性物質は、水性分散体としてシャンプー組成物中に添加され得る。塩基性炭酸亜鉛は、適切な粒径の粉末又は水性分散体のいずれかとして添加され得る。好ましくは、塩基性炭酸亜鉛は、pH6.7~7.3を有する組成物中に添加される。ヘアケア製剤分野の当業者の技術範囲内での本発明の他の修正は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解されよう。本明細書における全ての部、比率(%)、及び比は、特に指定しない限り、重量基準である。特定の成分は、供給元から希釈溶液として供給され得る。記載される量は、特に指定しない限り、活性物質の重量%を表す。
【0014】
【0015】
炭酸亜鉛の形態:
観察した全試料について、その供給源に関係なく、個々の粒子は、凝集したより小さなナノ粒子であるように見える。全体的な個々の結晶サイズ及び形状は、製造工程により左右される。形態は、製造工程及び機械的な粒径減少の範囲にわたって変化しないまま残る。
【0016】
塩基性炭酸亜鉛Aは、プレートレット形態で存在し、平均直径D50が5μmである(
図2)。粒径を1マイクロメートルまで減少させるのに必要な粉砕は、板状ナノ粒子を挽き砕き、それらの出現を減少させるように見える。プレートは、微細で薄い塩基性炭酸亜鉛Bとは対照的に厚く見える。塩基性炭酸亜鉛Bの場合、粉砕は、凝集体からなるナノ粒子の形態を分離するように見えなかった(
図1)。微細なプレートと高度に凝集した不規則な粒子形態との組み合わせを示すことが実証される。より大きな粒子を形成するように凝集した非常に小さなプレートは、塩基性炭酸亜鉛Bの顕著な形態であるように見える。
【0017】
亜鉛層状物質の体積平均粒径
本明細書に記載の組成物、処方、及び方法のために、有効な粒径は、レーザー/光散乱粒径分布計器及び方法(例えば、Horiba LA-950)を使用して決定されるような体積中位径である。同様に、「D90」は、粒子の90体積%がより小さな直径を有し、それに対して10体積%がより大きな直径を有する、体積加重径であり、「D10」は、粒子の10体積%がより小さな直径を有し、それに対して90体積%がより大きな直径を有する、体積加重径である。
【0018】
亜鉛層状物質の量(0.5g(+/-0.1g))を150mLの1%ポリオキシエチレンC12~14エーテル(例えば、LA-7)に分散させ、磁気撹拌棒を使用して5分間混合する。分散液を2分間循環させ、標準実験室温度で2分間の超音波処理後に粒子の体積加重値を測定する。測定条件は、90%+/-2%の透過率、2分間の超音波処理、及び1.26の相対屈折率である。
【0019】
理論に束縛されるものではないが、本発明は、第1の態様による方法の特徴を有することが見出されており、他の態様及び他の関連構成要素についても同様に、本明細書において以下に詳細に記述する。本明細書に記載されている組成物の全ての構成要素は、本明細書に記載しされている必須構成要素と物理的及び化学的に適合性があるべきであり、又は、過度に製品の安定性、審美性又は性能を損なわないものでなければならない。
【0020】
付着ポリマー
本発明の一実施形態では、シャンプー組成物は、カチオン性付着ポリマーも含み得る。これらのカチオン性付着ポリマーは、(a)カチオン性グアーポリマー、(b)カチオン性非グアーポリマー、(c)カチオン性タピオカポリマー、(d)アクリルアミドモノマーとカチオン性モノマーとのカチオン性コポリマー、及び/又は(e)洗浄性界面活性剤と加え合わせた際にリオトロピック液晶を形成する又はしない、合成非架橋カチオン性ポリマー、(f)カチオン性セルロースポリマー、のうちの少なくとも1つを含みうる。更に、カチオン性付着ポリマーは、付着ポリマーの混合物であってよい。
【0021】
(1)カチオン性グアーポリマー
本発明の一実施形態によると、シャンプー組成物は、カチオン置換されたガラクトマンナン(グアー)ガム誘導体であるカチオン性グアーポリマーを含む。これらのグアーガム誘導体の調製に用いられるグアーガムは典型的に、グアープラントの種から天然に産出される物質として得られる。グアー分子自体は、交互に位置するマンノース単位上の単員ガラクトース単位が一定の間隔で分枝する直鎖状マンナンである。マンノース単位は、β(1-4)グリコシド結合によって互いに結合している。ガラクトース分岐は、α(1-6)結合によって生じる。グアーガムのカチオン性誘導体は、ポリガラクトマンナンのヒドロキシル基と反応性四級アンモニウム化合物との間の反応によって得られる。グアー構造上のカチオン性基の置換の程度は、上述の必要なカチオン電荷密度を提供するのに十分でなくてはならない。
【0022】
一実施形態では、カチオン性グアーポリマーは、約2,500,000g/mol未満の重量平均分子量を有し、約0.05meq/g~約2.5meq/gの電荷密度を有する。一実施形態では、カチオン性グアーポリマーは、1,500,000g/mol未満、又は約150,000~約1,500,000g/mol、又は約200,000~約1,500,000g/mol、又は約300,000~約1,500,000g/mol、又は約700,000,000~約1,500,000g/molの重量平均分子量を有する。1つの実施形態では、カチオン性グアーポリマーは、約0.2~約2.2meq/g、又は約0.3~約2.0meq/g、又は約0.4~約1.8meq/g、又は約0.5meq/g~約1.7meq/gの電荷密度を有する。
【0023】
一実施形態では、カチオン性グアーポリマーは、約1,000,000g/mol未満の重量平均分子量を有し、約0.1meq/g~約2.5meq/gの電荷密度を有する。一実施形態では、カチオン性グアーポリマーは、900,000g/mol未満、又は約150,000~約800,000g/mol、又は約200,000~約700,000g/mol、又は約300,000~約700,000g/mol、又は約400,000~約600,000g/mol、又は約150,000~約800,000g/mol、又は約200,000~約700,000g/mol、又は約300,000~約700,000g/mol、又は約400,000~約600,000g/molの重量平均分子量を有する。1つの実施形態では、カチオン性グアーポリマーは、約0.2~約2.2meq/g、又は約0.3~約2.0meq/g、又は約0.4~約1.8meq/g、又は約0.5meq/g~約1.5meq/gの電荷密度を有する。
【0024】
一実施形態では、本組成物は、組成物の総重量の約0.01重量%~約0.7重量%未満、約0.04重量%~約0.55重量%、約0.08重量%~約0.5重量%、約0.16重量%~約0.5重量%、約0.2重量%~約0.5重量%、約0.3重量%~約0.5重量%、又は約0.4重量%~約0.5重量%のカチオン性グアーポリマー(a)を含む。
【0025】
カチオン性グアーポリマーは、四級アンモニウム化合物から形成することができる。1つの実施形態では、カチオン性グアーポリマーを形成するための四級アンモニウム化合物は、次の一般式1に適合する。
【0026】
【化1】
式中、R
3、R
4、及びR
5は、メチル又はエチル基であり、R
6は、次の一般式2のエポキシアルキル基のいずれかである:
【0027】
【化2】
又は、R
6は、次の一般式3のハロヒドリン基である:
【0028】
【化3】
式中、R
7は、C
1~C
3アルキレンであり、Xは、塩素又は臭素であり、Zは、Cl-、Br-、I-、又はHSO
4-などのアニオンである。
【0029】
1つの実施形態では、カチオン性グアーポリマーは次の一般式4に適合する。
【0030】
【化4】
式中、R
8は、グアーガムであり、R
4、R
5、R
6、及びR
7は、上の定義と同様であり、Zは、ハロゲンである。一実施形態では、カチオン性グアーポリマーは式5に適合する。
【0031】
【0032】
好適なカチオン性グアーポリマーとしては、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドなどのカチオン性グアーガム誘導体が挙げられる。一実施形態では、カチオン性グアーポリマーは、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである。グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドの具体的な例としては、Rhone-Poulenc Incorporatedから市販されているJaguar(登録商標)シリーズ、例えば、Rhodiaから市販されているJaguar(登録商標)C-500が挙げられる。Jaguar(登録商標)C-500は、0.8meq/gの電荷密度及び500,000g/molの分子量を有する。Jaguar(登録商標)C-17は、約0.6meq/gのカチオン電荷密度、及び約2,200,000g/molの分子量を有し、Rhodia Companyから入手可能である。Jaguar(登録商標)C 13Sは、2,200,00g/molの分子量、及び約0.8meq/gのカチオン電荷密度を有する(Rhodia Companyから入手可能)。他の好適なグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドは、約1.1meq/gの電荷密度、及び約500,000g/molの分子量を有し、ASIから入手可能であるグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、並びに約1.5meq/gの電荷密度、及び約500,000g/molの分子量を有し、ASIから入手可能であるグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである。他の好適なグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドは、約0.7meq/gの電荷密度及び約600,000g/molの分子量を有し、Rhodiaから入手可能であるHi-Care 1000;約0.7meq/gの電荷密度及び約425,000g/molの分子量を有し、ASIから入手可能であるN-Hance 3269及びN-Hance 3270;約0.8の電荷密度及び約1,100,000g/molの分子量を有し、ASIから入手可能であるN-Hance 3196である。AquaCat CG518は、約0.9meq/gの電荷密度及び約50,000g/molの分子量を有し、ASIから入手可能である。約1.1meq/gの電荷密度及び約800,000の分子量を有するホウ酸塩(ホウ素)を含まないグアーであるBF-13、及び約1.7meq/gの電荷密度及び約800,000の分子量を有するホウ酸塩(ホウ素)を含まないグアーであるBF-17は、いずれもASIから入手可能である。
【0033】
(2)カチオン性非グアーガラクトマンナンポリマー
本発明のシャンプー組成物は、モノマー対モノマー基準でマンノースのガラクトースに対する比が2:1超であるガラクトマンナンポリマー誘導体を含み、当該ガラクトマンナンポリマー誘導体は、カチオン性ガラクトマンナンポリマー誘導体、及び正味の正電荷を有する両性ガラクトマンナンポリマー誘導体からなる群から選択される。本明細書で使用するとき、用語「カチオン性ガラクトマンナン」は、カチオン性基が付加されたガラクトマンナンポリマーを指す。用語「両性ガラクトマンナン」は、ポリマーが正味の正電荷を有するようにカチオン性基及びアニオン性基が付加されたガラクトマンナンポリマーを指す。
【0034】
ガラクトマンナンポリマーは、マメ科植物の種子の内胚乳に存在する。ガラクトマンナンポリマーは、マンノースモノマーとガラクトースモノマーとの組み合わせから構成される。ガラクトマンナン分子は、特定のマンノース単位上の単員ガラクトース単位が一定の間隔で分枝した直鎖状マンナンである。マンノース単位は、β(1-4)グルコシド結合によって互いに結合されている。ガラクトース分岐は、α(1-6)結合によって生じる。マンノースモノマーとガラクトースモノマーとの比は、植物種によって様々であり、気候の影響も受ける。本発明の非グアーガラクトマンナンポリマー誘導体は、モノマー対モノマー基準で2:1より大きいマンノースとガラクトースとの比を有する。好適なマンノースとガラクトースとの比は、約3:1より大きくてもよく、マンノースとガラクトースとの比は約4:1より大きくてもよい。マンノースとガラクトースとの比の分析は、当該技術分野において周知であり、典型的には、ガラクトース含量の測定に基づく。
【0035】
非グアーガラクトマンナンポリマー誘導体の調製に用いられるガムは典型的には、植物の種又はマメなどの天然物質として得られる。様々な非グアーガラクトマンナンポリマーの例としては、タラガム(マンノース3部/ガラクトース1部)、イナゴマメ又はカロブ(マンノース4部/ガラクトース1部)、及びカッシアガム(マンノース5部/ガラクトース1部)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
本発明の一実施形態では、非グアーガラクトマンナンポリマー誘導体は、約1,000~約10,000,000、及び/又は約5,000~約3,000,000の分子量を有する。
【0037】
本発明のシャンプー組成物は、カチオン電荷密度が約0.5meq/g~約7meq/gのガラクトマンナンポリマー誘導体を含む。本発明の一実施形態では、ガラクトマンナンポリマー誘導体は、約1meq/g~約5meq/gのカチオン電荷密度を有する。ガラクトマンナン構造へのカチオン性基の置換度は、必要なカチオン電荷密度をもたらすのに十分でなければならない。
【0038】
本発明の一実施形態では、ガラクトマンナンポリマー誘導体は非グアーガラクトマンナンポリマーのカチオン性誘導体であり、これは、ポリガラクトマンナンポリマーのヒドロキシル基と反応性四級アンモニウム化合物との反応によって得られる。カチオン性ガラクトマンナンポリマー誘導体の形成に使用する好適な四級アンモニウム化合物としては、上記で定義された一般式1~5に適合するものが挙げられる。
【0039】
上記の試薬から形成されるカチオン性非グアーガラクトマンナンポリマー誘導体は、次の一般式6により表される:
【0040】
【化6】
式中、Rはガムである。カチオン性ガラクトマンナン誘導体は、ガムヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドであることができ、これは、より具体的には、下記の一般式7によって表すことができる。
【0041】
【0042】
本発明の別の実施形態では、ガラクトマンナンポリマー誘導体は、正味の正電荷を有する両性ガラクトマンナンポリマー誘導体であり、これはカチオン性ガラクトマンナンポリマー誘導体がアニオン基を更に含む場合に得られる。
【0043】
本発明の一実施形態では、カチオン性非グアーガラクトマンナンは、約4:1より大きいマンノースとガラクトースとの比、約100,000~約500,000及び/又は約150,000~約400,000の分子量、並びに約1meq/g~約5meq/g及び/又は2meq/g~約4meq/gのカチオン電荷密度を有し、カッシアという植物から得られる。
【0044】
本発明のシャンプー組成物は、組成物の少なくとも約0.05重量%のガラクトマンナンポリマー誘導体を含有する。本発明の一実施形態では、シャンプー組成物は、その組成物の重量比で、ガラクトマンナンポリマー誘導体を約0.05%~約2%含む。
【0045】
(3)カチオン変性デンプンポリマー
本発明のシャンプー組成物は、水溶性カチオン変性デンプンポリマーを含む。本明細書で使用するとき、用語「カチオン変性デンプン」とは、デンプンがより小さい分子量に分解される前にカチオン性基が付加されたデンプン、又はデンプンの変性後にカチオン性基が付加されて所望の分子量に達したデンプンを指す。用語「カチオン変性デンプン」の定義には、両性変性デンプンも含まれる。用語「両性変性デンプン」とは、カチオン性基及びアニオン性基が付加されたデンプン加水分解物を指す。
【0046】
本発明のシャンプー組成物は、組成物の約0.01~約10重量%、及び/又は約0.05~約5重量%の範囲のカチオン変性デンプンポリマーを含む。
【0047】
本発明で開示されるカチオン変性デンプンポリマーは、結合窒素の百分率が約0.5%~約4%である。
【0048】
本発明のシャンプー組成物で用いるカチオン変性デンプンポリマーの分子量は約850,000~約15,000,000、及び/又は約900,000~約5,000,000である。本明細書で使用するとき、用語「分子量」は、重量平均分子量を指す。重量平均分子量は、Waters 600E HPLCポンプ、及びPolymer Laboratories PL Gel MIXED-A GPCカラム(パーツ番号1110-6200、600×7.5mm、20μm)を備えたWaters 717オートサンプラーを、55℃のカラム温度、1.0mL/分の流量(0.1%の臭化リチウムを有するジメチルスルホキシドからなる移動相)で使用するゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)によって、並びに直列に配置された(0.066のdn/dcを用いて)Wyatt DAWN EOS MALLS(マルチアングルレーザ光散乱検出器)及びWyatt Optilab DSP(干渉屈折計)検出器を使用し、いずれも検出器温度50℃として、Polymer Laboratories narrow dispersed Polysaccharide standard(Mw=47,300)を使って作成された方法で、200μlの注入量で測定することができる。
【0049】
本発明のシャンプー組成物は、約0.2meq/g~約5meq/g、及び/又は約0.2meq/g~約2meq/gの電荷密度を有するカチオン変性デンプンポリマーを含む。このような電荷密度を得るための化学修飾としては、デンプン分子にアミノ基及び/又はアンモニウム基を付加することが挙げられるが、これらに限定されない。これらのアンモニウム基の非限定的な例としては、ヒドロキシプロピルトリモニウムクロライド、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウムクロライド、ジメチルステアリルヒドロキシプロピルアンモニウムクロライド、及びジメチルドデシルヒドロキシプロピルアンモニウムクロライドなどの置換基を挙げることができる。Solarek,D.B.,Cationic Starches in Modified Starches:Properties and Uses,Wurzburg,O.B.,Ed.,CRC Press,Inc.(Boca Raton,Fla.),1986,pp 113~125を参照のこと。カチオン性基は、より小さな分子量に分解される前にデンプンに付加されてもよく、又は、カチオン性基は、このような変性の後に付加されてもよい。
【0050】
本発明のカチオン変性デンプンポリマーは、概して、約0.2~約2.5のカチオン性基の置換度を有する。本明細書で使用するとき、カチオン変性デンプンポリマーの「置換度」とは、置換基によって誘導体化された各無水グルコース単位のヒドロキシル基数の平均値である。各無水グルコース単位は、置換に利用できる3個の可能なヒドロキシル基を有し、可能な最大置換度は3である。置換度は、無水グルコース単位1モル当たりの置換基のモル数として、モル平均基準で表される。置換度は、当該技術分野において周知のプロトン核磁気共鳴分光法(「.sup.1H NMR」)法を使用して求めることができる。好適な.sup.1H NMR法としては、「Observation on NMR Spectra of Starches in Dimethyl Sulfoxide,Iodine-Complexing,and Solvatingin Water-Dimethyl Sulfoxide」,Qin-Ji Peng and Arthur S.Perlin,Carbohydrate Research,160(1987),57~72;及び「An Approach to the Structural Analysis of Oligosaccharides by NMR Spectroscopy」,J.Howard Bradbury and J.Grant Collins,Carbohydrate Research,71,(1979),15~25に記載されているものが挙げられる。
【0051】
化学修飾前のデンプン源は、塊茎、マメ科植物、穀草及び穀物などの様々な供給源から選択することができる。この供給源のデンプンの非限定的な例としては、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ワキシーコーンスターチ、オートムギデンプン、キャッサバデンプン、もち麦、もち米(waxy rice)デンプン、グルテン状ライススターチ、もち米(sweet rice)デンプン、アミオカ、バレイショデンプン、タピオカデンプン、オートムギデンプン、サゴデンプン、もち米、又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0052】
本発明の一実施形態では、カチオン変性デンプンポリマーは、分解されたカチオン性トウモロコシデンプン、カチオン性タピオカ、カチオン性ポテトデンプン、及びこれらの混合物から選択される。別の実施形態では、カチオン変性デンプンポリマーは、カチオン性コーンスターチ及びカチオン性タピオカである。
【0053】
デンプンは、より小さな分子量へと分解する前又は修飾した後に、1以上の追加の修飾を施してもよい。例えば、これらの修飾には、架橋、安定化反応、リン酸化反応、及び加水分解を挙げることができる。安定化反応としては、アルキル化及びエステル化を挙げることができる。
【0054】
本発明のカチオン変性デンプンポリマーは、加水分解デンプンの形態(例えば、酸、酵素、又はアルカリ分解)、酸化デンプンの形態(例えば、過酸化物、過酸、次亜塩素酸塩、アルカリ、又はその他いずれかの酸化剤)、物理的/機械的に分解させたデンプンの形態(例えば、加工装置のサーモメカニカルエネルギー投入によるもの)、又はこれらの組み合わせによって組成物に添加することができる。
【0055】
デンプンの最適な形状は、水に容易に溶解して、実質的に透明な水溶液(600nmの透過率(%)が80以上)を形成する形状である。組成物の透過率は、紫外可視(UV/VIS)吸光度測定法によって測定される。この測定法は、関連する指示事項に従って、Gretag Macbeth Colorimeter Color i 5を用いて、サンプルのUV/VIS光の吸収率又は透過率を測定する。600ナノメートルの光波長が、化粧品組成物の透明度を特徴づけるのに適していることが示されている。
【0056】
本発明の組成物で用いるのに好適なカチオン変性デンプンは、公知のデンプン供給業者から入手可能である。同様に、本発明での使用に適しているのは、当該技術分野において周知のカチオン変性デンプンに更に誘導体化することができる非イオン性変性デンプンである。他の好適な変性デンプンの出発物質は、本発明での使用に好適なカチオン変性デンプンポリマーを製造するために、当該技術分野において周知であるように、四級化されてもよい。
【0057】
デンプン分解方法:本発明の一実施形態では、粒状デンプンを水に混合することによって、デンプンスラリーを調製する。温度を、約35℃まで上昇させる。その後、過マンガン酸カリウムの水溶液を、デンプンを基準に約50ppmの濃度で添加する。水酸化ナトリウムによってpHを約11.5まで上昇させ、スラリーを十分に攪拌して、デンプンが沈殿しないようにする。次に、デンプンベースで過酸化物濃度が約1%になるまで、水で希釈した過酸化水素の約30%溶液を加える。続いて、追加の水酸化ナトリウムを加えることによって、pHを約11.5に戻す。この反応は、約1~約20時間かけて完了する。次に、混合物を、希塩酸で中和する。分解したデンプンを、濾過によって回収してから、洗浄、乾燥する。
【0058】
(4)アクリルアミドモノマーとカチオン性モノマーとのカチオン性コポリマー
本発明の一実施形態によれば、シャンプー組成物は、アクリルアミドモノマーとカチオン性モノマーとのカチオン性コポリマーであって、約1.0meq/g~約3.0meq/gの電荷密度を有するコポリマーを含む。一実施形態では、カチオン性コポリマーは、アクリルアミドモノマーとカチオン性モノマーとの合成カチオン性コポリマーである。
【0059】
一実施形態では、カチオン性コポリマーは以下のものを含む。
【0060】
(i)次式AMのアクリルアミドモノマー:
【0061】
【化8】
式中、R
9は、H、又はC
1~4アルキルであり、R
10及びR
11は独立して、H、C
1~4アルキル、CH
2OCH
3、CH
2OCH
2CH(CH
3)
2、及びフェニルからなる群から選択されるか、ともにC
3~6シクロアルキルを形成する。
【0062】
(ii)次式CMに適合するカチオン性モノマー:
【0063】
【化9】
式中、kは1であり、v、v’、及びv”はそれぞれ独立して、1~6の整数であり、wは、0、又は1~10の整数であり、X
-はアニオンである。
【0064】
一実施形態では、式CMに適合するとともに、式中のkが1であり、vが3であり、wが0であり、zが1であり、X-がCl-であるカチオン性モノマーは、下記の構造を形成する。
【0065】
【0066】
上の構造は、ジクワット(diquat)と称されてもよい。別の実施形態では、カチオン性モノマーは、下記のように、式CMに適合するとともに、式中のv及びv”がそれぞれ3であり、v’が1であり、wが1であり、yが1であり、X-がCl-である。
【0067】
【0068】
上記の構造は、トリクワット(triquat)と称してもよい。
【0069】
一実施形態では、アクリルアミドモノマーは、アクリルアミド又はメタクリルアミドである。
【0070】
一実施形態では、カチオン性コポリマー(b)は、アクリルアミドと1,3-プロパンジアミニウム,N-[2-[[[ジメチル[3-[(2-メチル-1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロピル]アンモニオ]アセチル]アミノ]エチル]2-ヒドロキシ-N,N,N’,N’,N’-ペンタメチル-トリクロリドとのコポリマーであるAM:TRIQUATである。AM:TRIQUATは、ポリクオタニウム76(PQ76)としても知られている。AM:TRIQUATは、1.6meq/gの電荷密度を有し、1,100,000g/molの分子量を有し得る。
【0071】
代替の実施形態では、カチオン性コポリマーは、アクリルアミドモノマー及びカチオン性モノマーであり、カチオン性モノマーは、以下からなる群から選択される:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジテルチオ(ditertio)ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド;エチレンイミン、ビニルアミン、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン;トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートメチルサルフェート、ジメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートベンジルクロリド、4-ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウムエチルアクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルアミドクロリド、トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、及びこれらの混合物。
【0072】
一実施形態において、カチオン性コポリマーは、塩化トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレート、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートメチル硫酸塩、塩化ベンジルジメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレート、塩化4-ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウムエチルアクリレート、塩化トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルアミド、塩化トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミド、塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウム、及びこれらの混合物を含むカチオン性モノマーからなる群から選択されるカチオン性モノマーを含む。
【0073】
一実施形態において、カチオン性コポリマーは水溶性である。一実施形態において、カチオン性コポリマーは、(1)(メタ)アクリルアミド、及び(メタ)アクリルアミドに基づくカチオン性モノマー、及び/又は加水分解に対して安定なカチオン性モノマーのコポリマーと、(2)(メタ)アクリルアミド、カチオン性(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマー、及び(メタ)アクリルアミドに基づくモノマー、並びに/又は加水分解に対して安定なカチオン性モノマーのターポリマーと、から形成される。カチオン性(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーは、第四級化窒素原子を含む(メタ)アクリル酸のカチオン化エステルであってもよい。1つの実施形態において、四級化窒素原子を含む(メタ)アクリル酸のカチオン化エステルは、アルキル基及びアルキレン基内のC1~C3で四級化されたジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートである。一実施形態において、四級化窒素原子を含む(メタ)アクリル酸のカチオン化エステルは、塩化メチルで四級化されたジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートのアンモニウム塩からなる群から選択される。1つの実施形態では、四級化窒素原子を含む(メタ)アクリル酸のカチオン化エステルは、アクリル酸ジメチルアミノエチルであり、これはアルキルハライド、又は塩化メチル又は塩化ベンジル又は硫酸ジメチル(ADAME-Quat)で四級化される。一実施形態では、カチオン性モノマーは、(メタ)アクリルアミドを主成分とする場合、アルキル基及びアルキレン基内のC1~C3で四級化されたジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドである、又はアルキルハライドで、若しくは塩化メチル若しくは塩化ベンジル若しくはジメチル硫酸塩で四級化されたジメチルアミノプロピルアクリルアミドである。
【0074】
一実施形態では、(メタ)アクリルアミドを主成分とするカチオン性モノマーは、アルキル基及びアルキレン基内のC1~C3で四級化されたジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドである。一実施形態では、(メタ)アクリルアミドを主成分とするカチオン性モノマーは、アルキルハライドで、特に塩化メチル若しくは塩化ベンジル若しくはジメチル硫酸塩で四級化されたジメチルアミノプロピルアクリルアミドである。
【0075】
一実施形態では、カチオン性モノマーは、加水分解に対して安定なカチオン性モノマーである。ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド以外に、加水分解に対して安定なカチオン性モノマーは、OECD加水分解試験に対して安定であるとみなされる全てのモノマーでありうる。一実施形態では、カチオン性モノマーは加水分解に対して安定であり、当該加水分解に対して安定なカチオン性モノマーは、塩化ジアリルジメチルアンモニウム、及び水溶性カチオン性スチレン誘導体からなる群から選択される。
【0076】
一実施形態では、カチオン性コポリマーは、アクリルアミドと、塩化メチルで四級化された2-ジメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレート(ADAME-Q)と、塩化メチルで四級化された3-ジメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミド(DIMAPA-Q)とのターポリマーである。一実施形態では、カチオン性コポリマーは、アクリルアミド及びアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩化物から形成される。このアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩化物は、約1.0meq/g~約3.0meq/gの電荷密度を有する。
【0077】
一実施形態では、カチオン性コポリマーは、約1.1meq/g~約2.5meq/g、又は約1.1meq/g~約2.3meq/g、又は約1.2meq/g~約2.2meq/g、又は約1.2meq/g~約2.1meq/g、又は約1.3meq/g~約2.0meq/g、又は約1.3meq/g~約1.9meq/gの電荷密度を有する。
【0078】
一実施形態では、カチオン性コポリマーは、約100,000g/mol~約2,000,000g/mol、又は約300,000g/mol~約1,800,000g/mol、又は約500,000g/mol~約1,600,000g/mol、又は約700,000g/mol~約1,400,000g/mol、又は約900,000g/mol~約1,200,000g/molの分子量を有する。
【0079】
一実施形態では、カチオン性コポリマーは、トリメチルアンモニオプロピルメタクリルアミドクロリド-N-アクリルアミドコポリマーであり、これは、AM:MAPTACとしても知られている。AM:MAPTACは、約1.3meq/gの電荷密度及び約1,100,000g/molの分子量を有し得る。一実施形態では、カチオン性コポリマーはAM:ATPACである。AM:ATPACは、約1.8meq/gの電荷密度及び約1,100,000g/molの分子量を有し得る。
【0080】
(5)カチオン性合成ポリマー
本発明の一実施形態によると、シャンプー組成物は、
i)1以上のカチオン性モノマー単位、また所望により
ii)負電荷を有する1以上のモノマー単位、及び/又は
iii)非イオン性モノマーから形成され得るカチオン性合成ポリマーを含む。
ここで、結果として得られるコポリマーの電荷は正である。これらの3種のモノマーの比は「m」、「p」及び「q」で表され、ただし、「m」は、カチオン性モノマーの数であり、「p」は、負電荷を有するモノマーの数であり、「q」は、非イオン性モノマーの数である。
【0081】
一実施形態において、カチオン性ポリマーは、以下の構造を有する、水溶性又は分散性で、非架橋型の合成カチオン性ポリマーであり、
【0082】
【化12】
式中、Aは次のカチオン性部分のうちの1以上のものであってよく、
【0083】
【化13】
式中、@は、アミド、アルキルアミド、エステル、エーテル、アルキル、又はアルキルアリールであり、
Yは、C1~C22アルキル、アルコキシ、アルキリデン、アルキル、又はアリールオキシであり、
Ψは、C1~C22のアルキル、アルキルオキシ、アルキルアリール又はアルキルアリールオキシであり、
Zは、C1~C22のアルキル、アルキルオキシ、アリール又はアリールオキシであり、
R1は、H、C1~C4の直鎖又は分枝鎖のアルキルであり、
sは、0又は1であり、nは、0又は≧1であり、
T及びR7は、C1~C22アルキルであり、
X
-は、ハロゲン、ヒドロキシド、アルコキシド、サルフェート又はアルキルサルフェートである。
【0084】
上記の構造中、負電荷を有するモノマーは、R2’がH、C1~C4の直鎖又は分枝状アルキルであり、R3が下記のとおりであることによって定義される。
【0085】
【化14】
式中、Dは、O、N、又はSであり、
Qは、NH
2、又はOであり、
uは、1~6であり、
tは、0~1であり、
Jは、元素P、S、Cを含有する酸化官能基である。
【0086】
上記の構造中、非イオン性モノマーは、R2”がH、直鎖又は分枝鎖のC1~C4アルキルであることと、R6が直鎖又は分岐鎖のアルキル、アルキルアリール、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルアリールオキシであることと、βが下記の定義どおりであることによって定義される。
【0087】
【化15】
式中、G’及びG”は互いに独立して、O、S、又はN-Hであり、Lは、0又は1である。
【0088】
カチオン性モノマーの例として、アミノアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アミノアルキル(メタ)アクリルアミド;少なくとも1つの二級、三級、若しくは四級アミン官能基、又は窒素原子含有複素環基を含むモノマー、ビニルアミン又はエチレンイミン;ジアリルジアルキルアンモニウム塩;これらの混合物、これらの塩、及びこれらに由来するマクロモノマーが挙げられる。
【0089】
カチオン性モノマーの更なる例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジテルチオ(ditertio)ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、エチレンイミン、ビニルアミン、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートメチルサルフェート、ジメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートベンジルクロリド、4-ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウムエチルアクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルアミドクロリド、トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0090】
好適なカチオン性モノマーとしては、式-NR3
+(式中、Rは、同じであるか、又は異なるものであり、水素原子、1~10個の炭素原子を含むアルキル基、又はベンジル基を表す)の四級アンモニウム基を含み、任意選択的にヒドロキシル基を有するとともに、アニオン(対イオン)を含むものが挙げられる。アニオンの例は、塩化物、臭化物などのハロゲン化物、サルフェート、ヒドロサルフェート、アルキルサルフェート(例えば、1~6個の炭素原子を含む)、ホスフェート、シトレート、ホルメート、及びアセテートである。
【0091】
好適なカチオン性モノマーとしては、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートメチルサルフェート、ジメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートベンジルクロリド、4-ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウムエチルアクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルアミドクロリド、トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0092】
更なる好適なカチオン性モノマーとしては、トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリドが挙げられる。
【0093】
負電荷を有するモノマーの例としては、ホスフェート又はホスホネート基を含むαエチレン性不飽和モノマー、αエチレン性不飽和モノカルボン酸、αエチレン性不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル、αエチレン性不飽和ジカルボン酸のモノアルキルアミド、スルホン酸基を含むαエチレン性不飽和化合物、及びスルホン酸基を含むαエチレン性不飽和化合物の塩が挙げられる。
【0094】
負電荷を有する好適なモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸の塩、ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸の塩、α-アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、α-アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸の塩、2-スルホエチルメタクリレート、2-スルホエチルメタクリレートの塩、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の塩、及びスチレンスルホネート(SS)が挙げられる。
【0095】
非イオン性モノマーの例としては、酢酸ビニル、αエチレン性不飽和カルボン酸のアミド、αエチレン性不飽和モノカルボン酸と水素化又はフッ素化アルコールとのエステル、ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート(すなわちポリエトキシル化(メタ)アクリル酸)、αエチレン性不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル、αエチレン性不飽和ジカルボン酸のモノアルキルアミド、ビニルニトリル、ビニルアミンアミド、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、及びビニル芳香族化合物が挙げられる。
【0096】
好適な非イオン性モノマーとしては、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、2-エチル-ヘキシルアクリレート、2-エチル-ヘキシルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、及び2-ヒドロキシエチルメタクリレートが挙げられる。
【0097】
合成カチオン性ポリマーと結合するアニオン性対イオン(X-)は、そのポリマーが、水、シャンプー組成物、又はシャンプー組成物のコアセルベート相に溶解可能又は分散可能なままであるとともに、その対イオンが、シャンプー組成物の必須成分と物理的にも化学的にも相溶性である、又は製品の性能、安定性、若しくは審美性を著しく損なわない限り、いずれの既知の対イオンであってもよい。このような対イオンの非限定例としては、ハロゲン化物(例えば、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素)、サルフェート及びメチルサルフェートが挙げられる。
【0098】
一実施形態では、本明細書に記載されるカチオン性ポリマーは、傷んだ毛髪、特に化学処理をした毛髪に、F層の代わりとなる疎水性層を形成することを助ける。微視的に薄いF層は天然の耐候性を提供しつつ、水分の封じ込めを助け、更なるダメージを防ぐ。化学的な処理により、毛髪のキューティクルはダメージを受け、防御作用を持つF層は毛髪から剥がれ落ちてしまう。F層が剥がれ落ちるにつれ、毛髪は親水性が増すようになる。化学処理をした毛髪に、リオトロピック液晶を適用すると、その毛髪の疎水性が向上し、外観も触感も、未処理の毛髪のようになることが分かっている。いずれの理論にも拘束されるものではないが、リオトロピック液晶複合体は疎水性の層又は膜を形成し、天然のF層が毛髪を保護するのと同様に、この層又は膜が毛髪繊維をコーティングして毛髪を保護すると考えられる。疎水層は、毛髪を、一般的には未処理の毛髪のようなより健康的な状態に戻す。リオトロピック液晶は、本明細書に記載する合成カチオン性ポリマーをシャンプー組成物の前述のアニオン性洗浄性界面活性剤成分と合わせることにより形成される。合成カチオン性ポリマーの電荷密度は比較的高い。カチオン電荷密度が比較的高い一部の合成ポリマーは、主としてそれらの異常な線形の電荷密度のためにリオトロピック液晶を形成しないことに留意されたい。このような合成カチオン性ポリマーは、国際公開第94/06403号(Reichら)に記載されている。本明細書に記載されている合成ポリマーは、傷んだ毛髪においてコンディショニング性能を向上させる安定したシャンプー組成物に配合できる。
【0099】
リオトロピック液晶を形成しうるカチオン性合成ポリマーは、約2meq/gm~約7meq/gm、及び/又は約3meq/gm~約7meq/gm、及び/又は約4meq/gm~約7meq/gmのカチオン電荷密度を有する。いくつかの実施形態では、カチオン電荷密度は約6.2meq/gmである。このポリマーは、約1,000~約5,000,000、及び/又は約10,000~約2,000,000、及び/又は約100,000~約2,000,000の分子量を更に有する。
【0100】
本発明の別の実施形態では、有益剤の増強されたコンディショニング性能と付着性能を提供するが必ずしもリオトロピック液晶を形成しないカチオン性合成ポリマーは、約0.7meq/gm~約7meq/gm、及び/又は約0.8meq/gm~約5meq/gm、及び/又は約1.0meq/gm~約3meq/gmのカチオン性電荷密度を有する。このポリマーは、約1,000~約5,000,000、約10,000~約2,000,000、及び約100,000~約2,000,000の分子量を更に有する。
【0101】
カチオン性ポリマーの濃度は、シャンプー組成物の約0.025重量%~約5重量%、約0.1重量%~約3重量%、及び/又は約0.2重量%~約1重量%の範囲である。
【0102】
(6)カチオン性セルロースポリマー
好適なカチオン性セルロースポリマーは、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースの塩であり、当業界(CTFA)ではポリクオタニウム10と呼ばれており、Dwo/Amerchol Corp.(Edison,N.J.,USA)より、Polymer LR、JR及びKGシリーズのポリマーとして入手可能である。カチオン性セルロースの他の好適な種類としては、当業界(CTFA)ではポリクオタニウム24と呼ばれる、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースのポリマー性四級アンモニウム塩が挙げられる。これらの物質は、Dow/Amerchol Corpより、Polymer LM-200の商標名で入手可能である。カチオン性セルロースの他の好適な種類としては、当業界(CTFA)ではポリクオタニウム67と呼ばれている、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシド及びトリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースのポリマー性四級アンモニウム塩が挙げられる。これらの物質は、Dow/Amerchol Corp.から、SoftCAT Polymer SL-5、SoftCAT Polymer SL-30、Polymer SL-60、Polymer SL-100、Polymer SK-L、Polymer SK-M、Polymer SK-MH、及びPolymer SK-Hという商品名で入手可能である。
【0103】
一実施形態では、本シャンプー組成物は、複数のカチオン性コンディショニングポリマーを含む。一実施形態によれば、2つのカチオン性コンディショニングポリマーが存在する場合、第1のカチオン性コンディショニングポリマー対第2のカチオン性コンディショニングポリマーの重量比は、約1000:1~約2:1である。一実施形態では、第1のカチオン性コンディショニングポリマー対第2のカチオン性コンディショニングポリマーの重量比は、約1000:1~約4:1である。一実施形態では、第1のカチオン性コンディショニングポリマー対第2のカチオン性コンディショニングポリマーの重量比は、約800:1~約4:1、約500:1~約4:1、約100:1~約5:1、約100:1~約6:1、約50:1~約6.5:1、約50:1~約7:1、約50:1~約8.3:1、又は約50:1~約16.7:1である。
【0104】
本組成物は抗ふけ活性物質を含み、その抗ふけ活性物質は抗ふけ活性物質の微粒子であり得る。一実施形態では、抗ふけ活性物質は、ピリジンチオン塩;炭酸亜鉛;ケトコナゾール、エコナゾール、及びエルビオールなどのアゾール;硫化セレン;粒子状硫黄;サリチル酸などの角質溶解剤;及びこれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、抗ふけ微粒子はピリジンチオン塩である。このような抗ふけ微粒子は、組成物の成分と物理的及び化学的に適合しなければならず、別段に製品の安定性、審美性又は性能を過度に損なわせてはならない。
【0105】
ピリジンチオン微粒子は、本発明の組成物において用いられる好適な微粒子の抗ふけ活性物質である。一実施形態では、抗ふけ活性物質は、1-ヒドロキシ-2-ピリジンチオン塩であり、微粒子形態である。一実施形態において、ピリジンチオン抗ふけ微粒子の濃度は、本組成物の約0.01重量%~約5重量%、又は約0.1重量%~約3重量%、又は約0.1重量%~約2重量%の範囲である。一実施形態では、ピリジンチオン塩は、亜鉛、スズ、カドミウム、マグネシウム、アルミニウム及びジルコニウムなどの重金属から形成されるものであり、一般的には亜鉛、典型的には、1-ヒドロキシ-2-ピリジンチオンの亜鉛塩(「ジンクピリジンチオン」又は「ZPT」として知られている)、一般的にはプレートレット粒子形態の1-ヒドロキシ2-ピリジンチオン塩である。一実施形態では、プレートレット状粒子形態の1-ヒドロキシ-2-ピリジンチオン塩は、約20μm以下、又は約5μm以下、又は約2.5μm以下の平均粒径を有する。他のカチオン(例えば、ナトリウム)から形成される塩類もまた好適であり得る。ピリジンチオン抗ふけ活性物質は、例えば、米国特許第2,809,971号、同第3,236,733号、同第3,753,196号、同第3,761,418号、同第4,345,080号、同第4,323,683号、同第4,379,753号、及び同第4,470,982号に記載されている。
【0106】
一実施形態では、組成物は、ピリチオンの多価金属塩から選択される抗ふけ活性物質に加えて、1種又は2種以上の抗真菌及び/又は抗細菌活性物質を更に含む。ある実施形態では、抗細菌活性物質は、コールタール、硫黄、炭、ウィットフィールド軟膏、カステラーニ塗布剤、塩化アルミニウム、ゲンチアナバイオレット、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)、シクロピロックスオラミン、ウンデシレン酸及びその金属塩、過マンガン酸カリウム、硫化セレン、チオ硫酸ナトリウム、プロピレングリコール、ビターオレンジ油、尿素調製物、グリセオフルビン、8-ヒドロキシキノリンシロキノール、チオベンダゾール、チオカルバメート、ハロプロジン、ポリエン、ヒドロキシピリドン、モルホリン、ベンジルアミン、アリルアミン(テルビナフィン等)、茶木油、クローブリーフ油、コリアンダー、パルマローザ、ベルベリン、タイムレッド、桂皮油、ケイ皮アルデヒド、シトロネル酸、ヒノキトール、イヒチオールペール、Sensiva SC-50、Elestab HP-100、アゼライン酸、リチカーゼ、ヨードプロピニルブチルカルバメート(IPBC)、オクチルイソチアザリノン等のイソチアザリノン、及びアゾール、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、抗細菌剤は、イトラコナゾール、ケトコナゾール、硫化セレン、コールタール、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0107】
一実施形態では、アゾール抗細菌剤は、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ビフォナゾール、硝酸ブタコナゾール、クリンバゾール、クロトリマゾール、クロコナゾール、エベルコナゾール、エコナゾール、エルビオール、フェンチコナゾール、フルコナゾール、フルチマゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ラノコナゾール、メトロニダゾール、ミコナゾール、ネチコナゾール、オモコナゾール、硝酸オキシコナゾール、セルタコナゾール、硝酸サルコナゾール、チオコナゾール、チアゾール、及びこれらの混合物からなる群から選択されるイミダゾールである。あるいは、アゾール抗細菌剤は、テルコナゾール、イトラコナゾール、及びこれらの混合物からなる群から選択されるトリアゾールである。アゾール抗細菌活性物質は、本組成物中に存在するとき、組成物の総重量の約0.01重量%~約5重量%、又は約0.1重量%~約3重量%、又は約0.3重量%~約2重量%の量で含まれる。一実施形態では、アゾール抗細菌活性物質は、ケトコナゾールである。一実施形態では、唯一の抗細菌活性物質がケトコナゾールである。
【0108】
本発明はまた、抗細菌活性物質の組み合わせを含んでもよい。一実施形態では、抗細菌活性物質の組み合わせは、オクトピロックスとジンクピリチオン、パインタールと硫黄、サリチル酸とジンクピリチオン、サリチル酸とエルビオール、ジンクピリチオンとエルビオール、ジンクピリチオンとクリムバゾール、オクトピロックスとクリムバゾール、サリチル酸とオクトピロックス、及びこれらの混合物からなる組み合わせの群から選択される。
【0109】
一実施形態では、組成物は、有効な量の亜鉛含有層状物質を含む。一実施形態において、本組成物は、組成物の総重量の約0.001重量%~約10重量%、又は約0.01重量%~約7重量%、又は約0.1重量%~約5重量%の亜鉛含有層状物質を含む。
【0110】
亜鉛含有層状物質は、結晶の成長が主に二次元で生じたものであってもよい。層構造は、全ての原子が明確な層に組み込まれているものだけではなく、ギャラリーイオン(gallery ion)と呼ばれる、層間にイオン又は分子があるものとすることが慣例的である(A.F.Wellsの「Structural Inorganic Chemistry」Clarendon Press,1975)。亜鉛含有層状物質(Zinc-containing layered material、ZLM)は、亜鉛を層に組み込んでいてもよく、及び/又はギャラリーイオンの構成成分であってもよい。以下のZLMのクラスは、一般的分野における比較的一般的な例を代表するものであり、この定義に適合する、より広範囲の物質に関して限定的であることを意図するものではない。
【0111】
多くのZLMが鉱物として天然に存在する。一実施形態において、ZLMは、水亜鉛土(炭酸水酸化亜鉛)、塩基性炭酸亜鉛、水亜鉛銅鉱(炭酸水酸化亜鉛銅)、亜鉛孔雀石(炭酸水酸化銅亜鉛)、及びこれらの混合物からなる群から選択される。亜鉛を含有する関連鉱物が組成物中に含まれていてもよい。粘土性鉱物(例えば、フィロシリケート)等のアニオン性層の種がイオン交換された亜鉛ギャラリーイオンを含有する、天然のZLMもまた存在し得る。これら天然物質は全て、合成によって得ることもでき、又は組成物中においてその場で、若しくは製造プロセスの間に形成することもできる。
【0112】
必ずしもそうではないが、多くの場合合成である、ZLMの別の一般的なクラスは、層状複水酸化物である。一実施形態では、ZLMは、式[M2+
1-xM3+
x(OH)2]x+Am-
x/m・nH2O(式中、二価イオン(M2+)の一部又は全ては、亜鉛イオンである)に一致する層状複水酸化物である(Crepaldi,EL,Pava,PC,Tronto,J,Valim,JB J.Colloid Interfac.Sci.2002,248,429~42)。
【0113】
ヒドロキシ複塩と呼ばれる、更に別のクラスのZLMを調製することもできる(Morioka,H.,Tagaya,H.,Karasu,M,Kadokawa,J,Chiba,KInorg.Chem.1999,38,4211~6)。一実施形態では、ZLMは、式[M2+
1-xM2+
1+x(OH)3(1-y)]+An-
(1=3y)/n・nH2Oに一致するヒドロキシ複塩であり、2つの金属イオン(M2+)は同一であっても異なっていてもよい。金属イオンが同一であって亜鉛で表される場合、式は、[Zn1+x(OH)2]2x+ 2x A-・nH2Oに簡素化される。この後者の式は、ヒドロキシ塩化亜鉛及びヒドロキシ硝酸亜鉛等の物質を表す(x=0.4である場合)。一実施形態では、ZLMは、ヒドロキシ塩化亜鉛及び/又はヒドロキシ硝酸亜鉛である。これらはまた、二価のアニオンで一価のアニオンを置き換える、水亜鉛土にも関連する。また、これらの物質は、組成物中においてその場で、又は製造プロセスの間に形成することができる。
【0114】
一実施形態において、本組成物は塩基性炭酸亜鉛を含む。塩基性炭酸亜鉛の市販供給源としては、塩基性炭酸亜鉛(Cater Chemicals:Bensenville,IL,USA)、炭酸亜鉛(Shepherd Chemicals:Norwood,OH,USA)、炭酸亜鉛(CPS Union Corp.:New York,NY,USA)、炭酸亜鉛(Elementis Pigments:Durham,UK)、及び炭酸亜鉛AC(Bruggemann Chemical:Newtown Square,PA,USA)が挙げられる。塩基性炭酸亜鉛は、商業的には、「炭酸亜鉛」、「炭酸亜鉛塩基」、又は「ヒドロキシ炭酸亜鉛」と呼ばれる場合もあるが、天然の水亜鉛土に似た物質からなる合成物である。理想的な化学量論は、Zn5(OH)6(CO3)2により表されるが、実際の化学量論的比は僅かに変化することがあり得、またその他の不純物が結晶格子内に組み込まれる場合がある。
【0115】
亜鉛含有層状物質及びピリチオン又はピリチオンの多価金属塩を有する実施形態では、亜鉛含有層状物質とピリチオン又はピリチオンの多価金属塩の比は、約5:100~約10:1、又は約2:10~約5:1、又は約1:2~約3:1である。
【0116】
抗ふけ活性物質の頭皮への付着は、少なくとも約9.80665E-5Pa(1マイクログラム/cm2)である。抗ふけ活性物質が頭皮に到達し、そこで確実にその作用を発揮できるようにすることを考慮すれば、抗ふけ活性物質の頭皮上への付着量は重要である。一実施形態では、頭皮への抗ふけ活性物質の付着は、少なくとも約0.00014709975Pa(1.5マイクログラム/cm2)、又は少なくとも約0.00024516625Pa(2.5マイクログラム/cm2)、又は少なくとも約0.0002941995Pa(3マイクログラム/cm2)、又は少なくとも約0.000392266Pa(4マイクログラム/cm2)、又は少なくとも約0.000588399Pa(6マイクログラム/cm2)、又は少なくとも約0.0006864655Pa(7マイクログラム/cm2)、又は少なくとも約0.000784532Pa(8マイクログラム/cm2)、又は少なくとも約0.000784532Pa(8マイクログラム/cm2)、又は少なくとも約0.000980665Pa(10マイクログラム/cm2)である。頭皮上への抗ふけ活性物質の付着量は、熟練の美容師が従来の洗浄プロトコルに従い、個人の毛髪を抗ふけ活性物質含有の組成物、例えば、本発明による組成物で洗浄することによって測定される。次いで、表面に開放端ガラスシリンダを保持できるよう毛髪を頭皮の領域上で分けて、同時に抽出溶液のアリコートを添加し撹拌した後、抗ふけ活性物質の内容物を回収し、HPLCのような従来の方法論に基づいて分析定量する。
【0117】
本組成物は化粧品として許容可能なキャリアを含む。一実施形態において、キャリアは水性キャリアである。このキャリアの量及び化学的性質は、他の構成成分との適合性、及び当該製品の他の所望の特性に応じて選択される。一実施形態において、キャリアは水、及び低級アルキルアルコールの水溶液からなる群から選択される。一実施形態において、キャリアは、一価アルコールが1~6個の炭素を有する低級アルキルアルコールである。一実施形態において、キャリアはエタノール及び/又はイソプロパノールである。一実施形態において、化粧用として許容可能なキャリアは、化粧用として許容可能な水性キャリアであり、約20%~約95%、又は約60%~約85%の濃度で存在する。
【0118】
本組成物は界面活性剤を含む。本界面活性剤は、組成物に洗浄性能を提供する目的で含まれている。一実施形態において、界面活性剤はアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双極性イオン界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態において、界面活性剤はアニオン性界面活性剤である。一実施形態において、本組成物は、組成物の総重量の約5重量%~約50重量%、又は約8重量%~約30重量%、又は約10重量%~約25重量%の界面活性剤を含む。
【0119】
洗浄性界面活性剤
シャンプー組成物は、組成物にクリーニング性能をもたらす、1種又は2種以上の洗浄性界面活性剤を含み得る。1種又は2種以上の洗浄性界面活性剤は更に、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、若しくは双性イオン性界面活性剤、又はこれらの混合物を含んでもよい。洗浄性界面活性剤の種々の例及び説明が、米国特許第6,649,155号、米国特許出願公開第2008/0317698号、及び米国特許出願公開第2008/0206355号に記述されており、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。
【0120】
シャンプー組成物中の洗浄性界面活性剤の成分の濃度は、所望のクリーニング及び泡立ち性能を提供するのに十分でなければならず、一般に、約2重量%~約50重量%、約5重量%~約30重量%、約8重量%~約25重量%、約10重量%~約20重量%、約5重量%、約10重量%、約12重量%、約15重量%、約17重量%、約18重量%、又は約20重量%の範囲である。
【0121】
本組成物で用いるのに好適なアニオン性界面活性剤は、アルキル及びアルキルエーテルサルフェートである。他の好適なアニオン性界面活性剤は、有機硫酸反応生成物の水溶性の塩である。更に他の好適なアニオン性界面活性剤は、イセチオン酸でエステル化されかつ水酸化ナトリウムで中和された脂肪酸の反応生成物である。他の同様なアニオン性界面活性剤は、米国特許第2,486,921号、同第2,486,922号、及び同第2,396,278号に記載されており、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。
【0122】
シャンプー組成物に使用される代表的なアニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリルモノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ココイル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナトリウムココイルイセチオネート及びこれらの組み合わせが挙げられる。更なる実施形態では、アニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム又はラウレス硫酸ナトリウムである。
【0123】
本明細書のシャンプー組成物における使用に好適な両性又は双性イオン性界面活性剤としては、シャンプー又は他のパーソナルケア洗浄における使用が既知のものが包含される。そのような両性界面活性剤の濃度は、約0.5重量%~約20重量%、及び約1重量%~約10重量%の範囲である。好適な双性イオン性又は両性界面活性剤の非限定的な例が、米国特許第5,104,646号及び同第5,106,609号に記載されており、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。
【0124】
シャンプー組成物における使用に適した両性洗浄性界面活性剤としては、脂肪族二級及び三級アミンの誘導体として大まかに記載される界面活性剤が挙げられ、ここで脂肪族ラジカルは直鎖又は分枝鎖であることができ、脂肪族置換基の1つが約8~約18個の炭素原子を有し、1つはアニオン性基、例えばカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、又はホスホネートを含有する。本発明のシャンプー組成物に用いられる代表的な両性洗浄性界面活性剤には、ココアンホアセテート、ココアンホジアセテート、ラウロアンホアセテート、ラウロアンホジアセテート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0125】
このシャンプー組成物における使用に適した双性イオン性洗浄性界面活性剤としては、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物の誘導体として大まかに記載される界面活性剤が挙げられ、ここで脂肪族ラジカルは直鎖又は分枝鎖であり得、脂肪族置換基の1つが約8~約18個の炭素原子を有し、1つはアニオン性基、例えばカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートを含有する。別の実施形態では、ベタインなどの双性イオンが選択される。
【0126】
シャンプー組成物における使用に適したその他のアニオン性、双性イオン性、両性、又は任意の追加の界面活性剤の非限定的な例は、McCutcheon「Emulsifiers and Detergents,1989 Annual」M.C.Publishing Co.発行、及び米国特許第3,929,678号、同第2,658,072号、同第2,438,091号、同第2,528,378号に記載されており、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。
【0127】
一実施形態において、共界面活性剤は、双極性イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物から選択される。一実施形態において、界面活性剤はアニオン性界面活性剤であり、本組成物は共界面活性剤を更に含み、この共界面活性剤は双極性イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、共界面活性剤は、コカミド、コカミドメチルMEA、コカミドDEA、コカミドMEA、コカミドMIPA、ラウラミドDEA、ラウラミドMEA、ラウラミドMIPA、ミリスタミドDEA、ミリスタミドMEA、PEG-20コカミドMEA、PEG-2コカミド、PEG-3コカミド、PEG-4コカミド、PEG-5コカミド、PEG-6コカミド、PEG-7コカミド、PEG-3ラウラミド、PEG-5ラウラミド、PEG-3オレアミド、PPG-2コカミド、PPG-2ヒドロキシエチルコカミド、及びこれらの混合物からなる群から選択される非イオン性界面活性剤である。一実施形態において、共界面活性剤は双極性イオン界面活性剤であり、この双極性イオン界面活性剤は、ラウリルヒドロキシスルタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココ-ベタイン、ココ-ヒドロキシスルタイン、ココ-スルタイン、ラウリルベタイン、ラウリルスルタイン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0128】
シャンプーゲルマトリックス
本明細書に記載されるシャンプー組成物は、シャンプーゲルマトリックスを含んでよい。シャンプーゲルマトリックスは、(i)シャンプーゲルマトリックスの重量を基準にして、約0.1重量%~約20重量%、あるいは、約0.5重量%~約14重量%、あるいは約1重量%~約10重量%、あるいは約6重量%~約8重量%の1種又は2種以上の脂肪族アルコールと、(ii)シャンプーゲルマトリックスの重量を基準にして、約0.1重量%~約10重量%の1種又は2種以上のシャンプーゲルマトリックス界面活性剤と、(iii)シャンプーゲルマトリックスの重量を基準にして、約20重量%~約95重量%、あるいは約60重量%~約85重量%の水性キャリアと、を含む。
【0129】
本明細書において有用な脂肪族アルコールは、約10~約40個の炭素原子、約12~約22個の炭素原子、約16~約22個の炭素原子、又は約16~約18個の炭素原子を有するものである。これらの脂肪族アルコールは、直鎖又は分枝鎖アルコールであってよく、かつ飽和又は不飽和であってよい。脂肪族アルコールの非限定的な例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及びこれらの混合物が挙げられる。セチルアルコールとステアリルアルコールとを約20:80~約80:20の比で混合したものが好適である。
【0130】
シャンプーゲルマトリックス界面活性剤は、本明細書のA項に記載された洗浄性界面活性剤のいずれかであってよい。
【0131】
水性キャリアは、水、又は水と有機溶媒との相溶性混合物を含み得るが、1つの態様では、他の構成成分の微量成分として組成物中に偶発的に組み込まれる場合を除き、最小限の又は非常に低い濃度の有機溶媒しか有さない水を含み得る。
【0132】
本明細書で有用な水性キャリアとしては、水、及び低級アルキルアルコールと多価アルコールとの水溶液が挙げられる。本明細書で有用な低級アルキルアルコールは、1~6個の炭素を有する一価アルコール、一態様では、エタノール及びイソプロパノールである。本明細書で有用な例示的な多価アルコールとしては、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、及びプロパンジオールが挙げられる。
【0133】
構造化剤
一実施形態では、本組成物は、組成物の約0.05重量%~約5重量%の範囲の濃度で存在する場合に組成物の相安定性に寄与する、結晶構造化剤(又は懸濁剤)を更に含み得る。
【0134】
好適な結晶構造化剤としては、脂肪酸又はそのエステル誘導体、脂肪族アルコール、トリヒドロキシステアリン(Elementis.からThixcinの商品名で入手可能)が挙げられる。使用可能な脂肪酸の非限定的な例は、ラウリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、エライジン酸、アラキドン酸(arichidonic acid)、ミリストレイン酸、及びパルミトレイン酸などのC10~C22の酸である。エステル誘導体としては、エチレングリコールジステアレート、プロピレングリコールイソステアレート、プロピレングリコールオレエート、グリセリルイソステアレート、グリセリルオレエート、プロピレングリコールジラウレート、及びポリグリセリルジイソステアレートが挙げられる。好ましいのは、エチレングリコールステアレート(モノステアレート及びジステアレート(EGDS)の両方)であるが、特に約7%未満のモノステアレートを含有するジステアレートである。他のエステル誘導体としては、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸セチル、ベヘン酸ラウリルなどの、長鎖脂肪酸の長鎖エステルが挙げられ得る。
【0135】
有用なことが見出されている他の構造化剤は、約16~約22個の炭素原子、好ましくは約16~約18個の炭素原子を有する、脂肪酸のアルカノールアミドである。好ましいアルカノールアミドは、ステアリン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸モノイソプロパノールアミド、及びステアリン酸モノエタノールアミドステアレートである。更に別の好適な非アシル誘導体懸濁剤は、ステアリルジメチルアミンオキシドなどのアルキル(C16~22)ジメチルアミンオキシドである。構造化剤として用いるのに好適な他の長鎖アシル誘導体としては、N,N-ジヒドロカルビルアミド安息香酸及びその可溶性塩(例えば、Na、K)、特に、この分類のN,N-ジ(水素添加)C16、C18及びタローアミド安息香酸種が挙げられ、これらはStepan Company(Northfield,Illinois,USA)から市販されている。
【0136】
コンディショニング剤
ヘアケア組成物は、1種以上のコンディショニング剤を含んでもよい。コンディショニング剤としては、毛髪に特定のコンディショニング効果を与えるために使用される物質が挙げられる。本発明のヘアケア組成物に有用なコンディショニング剤は、典型的には、乳化液体粒子を形成する非水溶性の水分散性不揮発性液体を含む。ヘアケア組成物において用いるのに好適なコンディショニング剤は、一般に、シリコーン、有機コンディショニングオイル、若しくはこれらの組み合わせを特徴とするコンディショニング剤、又は他の方法で水性界面活性剤マトリックス中に液体分散粒子を形成するコンディショニング剤である。
【0137】
1つ以上のコンディショニング剤が、組成物の重量に基づき約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約8重量%、及び約0.2重量%~約4重量%存在する。
【0138】
シリコーンコンディショニング剤
本発明の組成物は、1種又は複数種のシリコーンコンディショニング剤を含有し得る。シリコーンの例としては、ジメチコン、ジメチコノール、環状シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、及び、アミノ基、四級アンモニウム塩基、脂肪族基、アルコール基、カルボン酸基、エーテル基、エポキシ基、糖又は多糖類基、フッ素変性アルキル基、アルコキシ基、又はかかる基の組み合わせなどの様々な官能基を有する変性シリコーンが挙げられる。かかるシリコーンは、水性(又は非水性)製品キャリア中で可溶性又は不溶性であり得る。不溶性液体シリコーンの場合、ポリマーは、液滴サイズ約10nm~約30マイクロメートルの乳化形態であってもよい。
【0139】
有機コンディショニング物質
本発明の組成物のコンディショニング剤は、単独か、上記のシリコーンのような他のコンディショニング剤と組み合わせるかのいずれかで、油又はロウなどの有機コンディショニング物質も少なくとも1つ含んでよい。有機物質は、非ポリマー、オリゴマー、又はポリマーであってよい。この有機物質は、油又はロウの形態であってよく、配合物に、そのまま付加しても、予備乳化した形態で付加してもよい。有機コンディショニング物質のいくつかの非限定例としては、i)炭化水素油;ii)ポリオレフィン、iii)脂肪族エステル、iv)フッ素化コンディショニング化合物、v)脂肪族アルコール、vi)アルキルグルコシド及びアルキルグルコシド誘導体、vii)四級アンモニウム化合物、viii)CTFA名称がPEG-20 200、PEG-400、PEG-600、PEG-1000、PEG-2M、PEG-7M、PEG-14M、PEG-45Mであるもの、及びこれらの混合物などの、最大約2,000,000の分子量を有するポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール;が挙げられる。
【0140】
【0141】
【0142】
【0143】
【表3】
(1)グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド:CD=0.8meq./グラム、MW=500,000;供給元Solvay
(2)グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド:CD=0.8meq./グラム、MW=425,000;供給元ASI
(3)ラウレス硫酸ナトリウム(3Mエチレンオキシド)、28%活性物質、供給元:P&G
(4)ラウレス硫酸ナトリウム(1Mエチレンオキシド)、26%活性物質、供給元:P&G
(5)ラウリル硫酸ナトリウム、29%活性物質、供給元:P&G
(6)PQ-76、MW=1,000,000;CD=1.6meq./グラム;AM:TRIQUAT比=95:5、供給元Solvay
(7)AM/APTACコポリマー(分子量1,100,000g/mol;電荷密度1.8meq/g)、供給元ASI
(8)PQ-10、MW=2,000,000;CD=1.25meq./グラム;Polymer JR30M、供給元Dow Chemical
(9)Amphosol HCA(Stepan Company製)
(10)Ninol COMF(Stepan Company製)
(11)エチレングリコールジステアレート、供給元:Goldschmidt Chemical
(12)Viscasil 330M(Momentive Performance Materials製)、粘度330,000cSt(センチストーク)。
(13)ジンクピリチオン(Lonza製)
(14)
酸性工程により製造された、5~7μmのD
50まで粉砕された塩基性炭酸亜鉛Aの
小型プレートレット。
(15)
酸性工程により製造された、2.5μmのD
50まで粉砕された塩基性炭酸亜鉛Aの
小型プレートレット。
(16)
酸性工程により製造された、1μmのD
50まで粉砕された塩基性炭酸亜鉛Aの
小型プレートレット。
(17)
塩基性工程により製造された、5~7μmのD
50まで粉砕された塩基性炭酸亜鉛Bの
大型プレートレット。
(18)塩基性工程により製造された、2.5μmのD
50まで粉砕された塩基性炭酸亜鉛Bの
大型プレートレット。
(19)
塩基性工程により製造された、1μmのD
50まで粉砕された塩基性炭酸亜鉛Bの
大型プレートレット。
(20)オクトピロックス(Clariant製)
(20)硫化セレンUSP(Eskay Fine Chemicals製)
(22)Kathon CG(Akzo Nobel製)
【0144】
方法の概要:
ヘアピースの処理方法
櫛でとかし、濡らして軽く水分を除いたヘアピースに、シャンプー製品(毛髪1g当たり0.1cc)を塗布する。ヘアピースを50~60回(30秒にわたって)しごき、固定「シャワー」すすぎを用いてすすぎ、水分を除く。2回目について、製品の塗布、並びにしごき、すすぎ、及び水分の除去を繰り返す。ヘアピースをヒートボックスで30分間乾燥する。
【0145】
この方法に用いられる標準的な水温は、37.5℃+/-1.5℃(100°F+/-3°F)であり、水の硬度は、0.1グラム/リットル(g/L)(7グレイン/ガロン(gpg))に調整される。水流は、5.7リットル/分(L/m)+/-0.95L/m(1.5ガロン/分(gpm)+/-0.25gpm)に調整される。
【0146】
ヘアピースは、いずれか所望の種類の付着量の測定のために準備される。
【0147】
シリコーンの付着
(ii)シリコーンの付着の測定
ヘアピースの処理方法により処理されたヘアピースに付着したシリコーンを、適切な溶媒で抽出する。抽出物を次に原子吸着/放出検出装置に導入し、適切な波長で測定する。装置により返された吸着/放出値を、次に、試験下で十分に特性評価された、重量既知のシリコーン化合物標準により得られた外挿検量線により、毛髪に付着したシリコーン化合物の実際の濃度(ppm)に変換する。
【0148】
炭酸亜鉛の抽出方法:
ヘアピースの処理方法により処理されたヘアピースに付着した炭酸亜鉛を、0.05M EDTA中の20%エタノール混合液で抽出する。抽出物の一部を窒素下で乾燥させ、イットリウム内部基準を用いた誘導結合プラズマ-発光分光法による全亜鉛分析用に希硝酸溶液に溶解する。エタノール/EDTA抽出物の別の部分を、アセトニトリル中の2,2-ジチオジピリジン溶液を添加することにより、ジンクピリチオンのHPLC分析用に調製する。誘導体化試料を、リン酸:アセトニトリル(80:20)移動相を用いたC18カラムでHPLCにより分析する。全亜鉛とジンクピリチオン含量から得られた亜鉛との差として、炭酸亜鉛の量を計算する。
【0149】
消費者の製品使用試験方法
米国及び中国の年齢範囲18~65歳の男性及び女性パネラーが本使用試験に参加する。独立した市場調査提供業者が試験を実施し、データを収集する。調査パネラーは、提供業者のオンラインデータベースからの任意の参加者であり、民族性の範囲、毛髪の種類及び長さ、所得水準、世帯規模、並びに米国オンライン人口内の地理的地域を代表する。採用基準としては、最低シャンプー頻度が週3回(以上)、かつ直近3ヶ月において頭皮の健康が気になったか又は抗ふけシャンプーを使用したことが挙げられる。
【0150】
パネラーは、自身の通常製品の代わりに4週間使用するための試験シャンプーが提供される。パネラーは、試験期間を通して自身の典型的なシャンプー使用習慣に従う。シャンプーの用量及び使用頻度は、パネラーが決定する。試験製品は、無地の白色パッケージで提出され、「抗ふけシャンプー」試験製品として簡単にラベル表示されている。ブランドも効果背景も提供されない。試験期間を通して、パネラーは、自身の通常のコンディショナー及びスタイリング製品を使用し、自身の典型的な乾燥及びスタイリング習慣に従うことが認められている。
【0151】
試験期間の終了時に、各パネラーは、自己記入式オンライン調査に記入する。試験参加者は、全体的かつ一連のヘアケア関連効果について、標準的な5段階の「悪い~極めて良い」の基準[100=極めて良い、75=非常に良い、50=良い、25=どちらでもない、0=悪い]で「抗ふけシャンプー」試験を評価するように求められる。各「抗ふけシャンプー」試験の記入評価の総ベースサイズは、女性300人である。次に、90%信頼度及び80%検出力で標準的な統計試験を使用して全データを分析する。
【0152】
ToF-SIMS表面付着測定方法:
ヘアピースの処理方法により処理されたヘアピース由来の個々の毛髪繊維を、飛行時間型二次イオン質量分析法(ToF-SIMS)を用いて分析し、毛髪表面上の活性物質の表面付着量を評価する。ToF-SIMSは、毛髪表面の最外部3nmの半定量的な質量スペクトル分析を提供する。
【0153】
個々の毛髪繊維は、ToF-SIMSのサンプルホルダー上に直接配置され、表面スペクトル分析用の高真空システム内に送られる。各毛髪試料について、~50×50μmの面積を毛髪繊維に沿って選択し、1つの毛髪処理につき少なくとも5本のランダムに選択された毛髪繊維を使用して統計結果(平均及び標準偏差)を示す。質量スペクトルから得られる特性信号(ポジティブモード及びネガティブモード分析)は、毛髪表面に付着したそれぞれの活性物質を表すように一意に選択される。各測定で全イオン強度に対して特性信号のピーク強度を正規化し、線維サイズの差及び時々の機器のばらつきを回避することにより、半定量的な付着分析を実現する。
【0154】
逆ガスクロマトグラフィー法を用いた炭酸亜鉛表面積の測定:
ZnCO3試料を長さ30cm×直径3mmのカラムに装填する。試料を最初に30℃で1時間、オーブンで乾燥する。炭化水素であるオクタンから得られるヘッドスペースを、30℃及び無湿度でカラムに注入し、保持率を測定する。オクタンの保持率から表面積(SA)を決定する。
【0155】
XPS
X線光電子分光法(XPS)は、物質内に存在する元素の1000分の1の範囲の元素組成、実験式、化学状態、及び電子状態を測定する、表面感受性定量的分光技術である。XPSスペクトルは、物質をX線ビームで照射しながら、同時に運動エネルギーと分析中の物質の上面0~10nmから逃げる電子数とを測定することにより得られる。XPSは、高真空(P~1E-9キロパスカル(10-8ミリバール))又は超高真空(UHV;P<1E-10キロパスカル(10-9ミリバール))状態を必要とするが、現在の開発領域は、試料を数十ミリバールの圧力で分析する周囲圧力XPSである。
【0156】
XPS付着測定:ZnCO3粒子試料の薄層を両面粘着テープで覆われたSiウェハ片上に被覆し、次いでX線光電子分光法(XPS)を用いて分析する。XPSは、試料表面の最外部10nmにおける定量的な元素組成情報(H及びHeを除く)を提供する。Siウェハ表面を被覆した粒子は、高真空システム内でポンプダウンされる(分析用の典型的な真空レベルは、1.3(-1.1)~1.3(1.2)kPa(10(-8)~10(-9)トル)である)。各試料検体において分析用粒子表面上の5点をランダムに選択し、平均及び標準偏差を報告して、粒子試料の元素組成を示す。各元素の主な光電子放出ピーク(例えば、C1s、O1s、Si2p、Zn2pなど)は、以下の式に基づく適切な感度因子を用いて補正した後、半定量用に使用される。
【0157】
【数1】
正規化ピーク面積=ピーク面積/(感度因子×エネルギー補償係数)
【0158】
ICP
誘導結合プラズマ-原子発光分光法(ICP-AES)は、誘導結合プラズマ-発光分光法(ICP-OES)としても知られており、プラズマ中で加熱された原子及び原子種から放出される元素固有のスペクトルを測定する。
【0159】
この方法は、プラズマの同時光学系及び軸方向又は半径方向の視野を使用して、多元素測定用に広く利用される特性化技術である。装置は、光学的分光法により特性発光スペクトルを測定する。試料を霧化し、得られたエアロゾルをプラズマトーチに移送する。高周波誘導結合プラズマにより、元素固有の発光スペクトルが生成される。スペクトルは格子分光計により分光され、発光ラインの強度が感光デバイスによりモニターされる。微量元素の定量にはバックグラウンド補正が必要である。分析時に試料における分析物ラインに隣接してバックグラウンドを測定する必要がある。分析ラインの片側又は両側でバックグラウンド強度測定用に選択される位置は、分析物ラインに隣接するスペクトルの複雑さにより決定されるであろう。1つの分析モードにおいて、使用される位置は、スペクトル干渉が可能な限りないべきであり、測定される分析物の波長で生じるのと同じバックグラウンド強度の変化を反映するべきである。バックグラウンド補正の測定が実際には分析結果の質を下げる、ラインブロードニングの場合には、バックグラウンド補正を必要としない。
【0160】
準備
それぞれの分析がうまくいくように、最初に酸で安定化した水に分析用試料を適切に温浸する。各調製の最終結果は、分析溶媒中の均質な分析物溶液を得ることである。
【0161】
分析
試料溶液は、蠕動ポンプを介してICP装置に注入される。溶液は、プラズマトーチに移送されるエアロゾルに霧化される。試料溶液中の金属イオンは、高周波誘導結合アルゴンプラズマ中で高熱にさらされる。元素は、格子によって分離される特性スペクトルを放出する。発光ラインの強度は、感光デバイスによりモニターされる。未知の試料の金属イオン濃度は、装置の外部校正と比較することで決定される。
【0162】
Brunauer-Emmett_Teller(BET)表面積法を用いた炭酸亜鉛表面積の測定:
炭酸亜鉛試料は、加熱しながら同時に試料上にガスを排出又は流通させ、遊離した不純物を除去することにより調製される。その後、調製した試料を液体窒素で冷却し、所定の圧力で吸着されたN2ガスの体積を測定することにより分析する。
【0163】
ZnCO3粉末の比表面積は、固体表面上のガスの物理的吸着により、及び表面上の単分子層に相当する吸着質ガスの量を算出することにより決定される。物理的吸着は、吸着質ガス分子と試験粉末の吸着表面積との比較的弱い力(ファン・デル・ワールス力)により生じる。測定は、通常、液体窒素の温度で行われる。ガス吸着量は、容積式又は連続式流れ手順により測定され得る。
【0164】
光沢の測定:
ヘアピースの処理方法により処理されたヘアピース由来の毛髪を、円筒形の毛髪ホルダーに配置し、撮像センサーに提供する。正面反射、裏面反射、及び拡散反射を表す画像を、「米国特許出願公開第2011/0075144(A1)号」に記載の方法を用いて取得する。正面及び裏面反射画像を加算して、鏡面反射画像を生成する。得られた鏡面反射及び拡散画像を以下のように解析する。
1.毛髪部分内の所望の領域を描画する。
2.この所望の領域から、ラインプロファイルを抽出し、このラインプロファイルでは、画素列が各3(RGB)色チャネル内で平均化され、最終的には3色チャネルが各画素列について平均化され、各画素列を表す単一の強度値を得る。
3.各ラインプロファイルの測定基準には、以下のものが挙げられる。
○曲線下面積(AUC)
○1/2の高さにおける幅(W)
【0165】
次に、光沢パラメータをReich Robbinsの光沢式1に挿入し、各ヘアピースの総光沢量を算出する。
【0166】
【数2】
1.C.Reich and C.R.Robbins,Light scattering and shine measurements of human hair:A sensitive probe of the hair surface,J.Soc.Cosmet.Chem.,44,221~234(1993)。
【0167】
結果
分析:
炭酸亜鉛の粒子形状及び粒径減少(5~7μmから2.5μm及び1μmの両方へ)に関していくつかの予期せぬ効果がある。
【0168】
比較データ:独立変数
以下の大規模ベース消費者データは、同じシャンプー組成物における2.5μmの炭酸亜鉛及び0.5%のシリコーン濃度減少に関する意外な統計的消費者嗜好を示す。消費者の回答は、同じ組成物で処理されたヘアピースのTOF-SIMS分析により裏付けられ、この分析はシリコーンの付着増加及び望ましくないEGDSの付着減少を示す。更に、2.5μmの炭酸亜鉛を有し、シリコーン濃度を減少させた組成物は、2.7%のシリコーンを有する5μm及び2.5μmの両方の炭酸亜鉛組成物に対して統計的に毛髪ボリュームの増加を示す(表I、表II、及び表III参照)。
【0169】
また、1μmの炭酸亜鉛組成物で処理された毛髪が、5μmの炭酸亜鉛を含む同じ組成物より統計的に多くの毛髪光沢を生じることが見出されたことも驚くべきことである(表IV参照)。
【0170】
【0171】
【0172】
シリコーン(75、149、及び223)及びEGDS(255、283)の特性信号ピーク強度は、各測定において総イオン強度に正規化される。
【0173】
【0174】
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
【0180】
実施例/組み合わせ
A.パーソナルケア組成物であって、
a)約2%~50%の洗浄性界面活性剤と、
b)抗ふけ活性物質と、
c)カチオン性ポリマーと、
d)亜鉛含有層状物質と、を含み、この亜鉛含有層状物質は、約0.5μm~4μmの範囲の粒径を有し、結晶構造化剤の付着に対するシリコーンの付着の比が約5より大きい、パーソナルケア組成物。
B.組成物が、5マイクロメートルの亜鉛含有層状物質を含む組成物と比較するとき、毛髪への結晶構造化剤の付着を少なくとも30%減少させる、A項によるパーソナルケア組成物。
C.組成物が、5マイクロメートルの亜鉛含有層状物質を含む組成物と比較するとき、毛髪への結晶構造化剤の付着を少なくとも40%減少させる、A~B項によるパーソナルケア組成物。
D.組成物が、5マイクロメートルの亜鉛含有層状物質を含む組成物と比較するとき、毛髪への結晶構造化剤の付着を少なくとも50%減少させる、A~C項によるパーソナルケア組成物。
E.結晶構造化剤が、脂肪族アルコール、トリヒドロキシステアリン、ラウリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、エライジン酸、アラキドン酸、ミリストレイン酸、及びパルミトレイン酸、エチレングリコールジステアレート、プロピレングリコールイソステアレート、プロピレングリコールオレエート、グリセリルイソステアレート、グリセリルオレエート、プロピレングリコールジラウレート、及びポリグリセリルジイソステアレート、エチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールジステアレート、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸セチル、ベヘン酸ラウリル、ステアリン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸モノイソプロパノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミドステアレート、ステアリルジメチルアミンオキシド、N,N-ジヒドロカルビルアミド安息香酸及びその可溶性塩、N,N-ジ(水素添加)C16、C18及びタローアミド安息香酸、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、A~D項によるパーソナルケア組成物。
F.結晶構造化剤がエチレングリコールジステアレートである、A~E項によるパーソナルケア組成物。
G.組成物が、5マイクロメートルの亜鉛含有層状物質を含む組成物と比較するとき、毛髪へのシリコーンの付着を2倍に増加させる、A~F項によるパーソナルケア組成物。
H.亜鉛含有層状物質が、約0.8μm~約3.5μmの範囲の粒径を有する、A~G項によるパーソナルケア組成物。
I.亜鉛含有層状物質が、約1μm~約2.5μmの範囲の粒径を有する、A~H項によるパーソナルケア組成物。
J.毛髪へのエチレングリコールジステアレートの付着に対するシリコーンの付着の比が約10より大きい、A~I項によるパーソナルケア組成物。
K.毛髪へのエチレングリコールジステアレートの付着に対するシリコーンの付着の比が約20より大きい、A~J項によるパーソナルケア組成物。
L.組成物が、毛髪1グラム当たり約300~約3000μgの範囲で毛髪への炭酸亜鉛の付着をもたらす、A~K項によるパーソナルケア組成物。
M.組成物が、約1mg/cm2~約15mg/cm2の範囲で頭皮への炭酸亜鉛の付着をもたらす、A~L項によるパーソナルケア組成物。
N.抗ふけ活性物質が、ピリチオン塩又はピリチオンの金属塩からなる群から選択される、A~M項によるパーソナルケア組成物。
O.抗ふけ活性物質がジンクピリチオンである、A~N項によるパーソナルケア組成物。
P.パーソナルケア組成物が、アゾール、オクトピロックス、硫化セレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される抗ふけ活性物質を更に含む、A~O項によるパーソナルケア組成物。
Q.カチオン性ポリマーが、カチオン性グアーポリマー、カチオン性非グアーガラクトマンナンポリマー、カチオン性タピオカポリマー、アクリルアミドモノマーとカチオン性モノマーとのカチオン性コポリマー、合成非架橋カチオン性ポリマー、カチオン性セルロースポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される、A~P項によるパーソナルケア組成物。
R.A~Q項の組成物を毛髪に塗布する、毛髪の平滑化を実現する方法。
S.A~R項の組成物を毛髪に塗布する、毛髪の光沢を実現する方法。
T.A~S項の組成物を毛髪に塗布する、毛髪のボリュームを実現する方法。
【0181】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に指定がない限り、そのような各寸法は、記載された値、及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図している。例えば「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0182】
相互参照される又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本願に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全容が本願に援用される。いかなる文献の引用をも、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような任意の発明を教示、示唆、又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することにより本明細書に援用された文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0183】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。