(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】内部プレート固定装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/80 20060101AFI20220517BHJP
【FI】
A61B17/80
(21)【出願番号】P 2018565759
(86)(22)【出願日】2017-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2017062653
(87)【国際公開番号】W WO2017215896
(87)【国際公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-05-07
(32)【優先日】2016-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510090807
【氏名又は名称】オーソフィックス ソチエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴェントゥリーニ、ダニエーレ
(72)【発明者】
【氏名】マーニ、マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ザッカリア、アンドレア
【審査官】白川 敬寛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0216565(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0277176(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0161816(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0033008(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56
A61B 17/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
早期骨端閉鎖の介入のための内部骨プレート
の固定装置(1)であって、
骨の骨端に対応するように適合される第1部分(23)
を備え、
骨幹端に対応するように適合される第2部分(24)
をさらに備え、前記第1部分(23)と前記第2部分(24)とを結合する、狭まった中央部分(15)とをさらに備える、二葉型であるか、または8の字形状を有する骨プレート(2)を備え、
前記第1部分(23)および前記第2部分(24)のそれぞれは、対応するねじをそれぞれ受容する少なくとも1つの貫通孔(3、4)を備え、前記ねじは、前記骨プレート(2)を前記骨に固定するように構成され、
前記骨プレート(2)は、略一定の厚さを有して平坦であり、
前記骨プレート(2)の厚さ(s)は、前記骨プレート(2)の長手方向の最大の延在部分の長さ(L)の8分の1よりも小さく、前記骨プレート(2)の厚さ(s)は、1.5~2.3mmの範囲内で選択され、
前記骨プレート(2)は、互いに対向する表面(6、7)により画定され、前記対向する表面(6、7)は、互いに平行であり、前記骨プレート(2)の長手方向軸を横断す
る単一の窪み(8)を有し、
前記窪み(8)は、前記対向する表面(6、7)の一方(6)にのみ形成され、前記窪み(8)は、アーチ型であり、狭まった前記中央部分(15)に形成され、前記窪み(8)は、前記骨の成長軟骨組織を受容するように構成され、前記窪み(8)の底部での前記骨プレート(2)の減少した厚さは、1.3~1.7mmの範囲内で選択される、固定装置(1)。
【請求項2】
前記厚さ(s)は、2.1mmに等しく選択される、請求項
1記載の固定装置。
【請求項3】
前記窪み(8)の底部
での前記骨プレート(2)の
前記減少した厚さ(s’)は、1.5mmに等しく選択される、請求項
1記載の固定装置。
【請求項4】
前記骨プレート(2)は、二葉型、かつ、略8の字型である、請求項1記載の固定装置。
【請求項5】
前記骨プレート(2)を一時的に固定するためのガイドケーブルを受容するために、前記骨プレート(2)を貫通する第3の孔(9)を、結合する前記中央部分(15)に少なくとも備える、請求項1記載の固定装置。
【請求項6】
前記
貫通孔(3、4)のそれぞれは、前記窪み(8)とは反対
の表面(7)に、固定ねじ(5)の頭部(10)を傾斜して収納するための、カップ状の受座(12)へのアクセスを提供する円形開口部(11)を提供する、請求項1記載の固定装置。
【請求項7】
前記カップ状の受座(12)の底部に、円筒形の孔(22)が開口し、前記固定ねじ(5)のステム(18)を収容するように設計され、前記カップ状の受座(12)内および前記円筒形の孔(22)内でテーパ状である少なくとも1つの溝部(14)が、前記骨プレート(2)の少なくとも1つの先端部(20、21)へと向かって前記カップ状の受座(12)の底部に設けられる、請求項
6記載の固定装置。
【請求項8】
前記溝部(14)は、前記円筒形の孔(22)の軸に対して傾斜している軸を有する円筒形または円錐形の孔である、請求項
7記載の固定装置。
【請求項9】
前記骨プレート(2)は、丸くなった上部および下部周縁部(15)を有する、請求項1記載の固定装置。
【請求項10】
前記カップ状の受座(12)は、前記固定ねじ(5)の対応する頭部(10)を、前記貫通孔(3、4)の軸(Y)に沿って、または前記軸(Y)に対して、所定の角度(β)、傾斜して受容する、請求項
6記載の固定装置。
【請求項11】
前記
固定ねじ(5)が、その軸(Z)が孔(3、4)の前記軸(Y)に対して傾斜した状態で挿入されると、ねじ(5)の頭部(10)の少なくとも
一部が、前記円形開口部(11)の下方の前記カップ状の受座(12)内に収納される、請求項
10記載の固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟組織による被覆が乏しい解剖学的領域における接合の手段として使用するための内部プレート固定装置に関し、骨に固定するためのねじを受容するために、少なくとも一対の貫通孔が設けられた骨プレートを備えたタイプである。
【0002】
本発明は、限定されないが、骨折接合の治療または骨の変形の治療の患者に対する耐久性を向上させることを意図した内部プレート固定装置に関し、軟組織による被覆の乏しい解剖学的領域の骨端における、そのようなプレートの皮下への適用を提供する。
【0003】
本発明は、小児整形外科の分野たとえば、小児患者の変形した長骨の端部における早期骨端閉鎖の介入治療のために有用に適用されてもよく、以下の説明は、限定する意図はないが、この部門の文脈に沿ってなされている。
【背景技術】
【0004】
本発明の特定の分野においては、膝、肘および背骨を含む、充分な厚さの軟組織のない特定の解剖学的領域における、骨固定プレートの耐久性が低いことによるいくつかの課題が知られている。
【0005】
たとえば、これらのプレートを、関節の近くに位置する骨端で使用すると、骨に固定するためのねじの頭部のプレートからの突起部により、局所炎症を引き起こすことがある。
【0006】
骨プレートは、固定ねじによって位置決めされ、固定ねじは、骨プレートを、骨の変形の凸状の領域において骨端および骨幹端に対して締める。プレートの骨幹端部分および骨端軟骨部分の両方は、実際には、固定ねじを収納するために適した少なくとも1つの貫通孔を有する。
【0007】
先行技術において、侵襲性の介入治療をさらに必要とすることなく、固定ねじにより骨に固定され、成長軟骨組織による圧縮を避けるために拡がり、骨端軟骨および骨の自然成長過程を慎重にガイドする特定の8の字形状のプレートが知られている。
【0008】
固定ねじは、その角度を変化させ、骨成長の過程にゆっくりと適応するように、それぞれの孔の中で緩く拘束される。実際に、骨端軟骨の組織の成長中には、固定ねじは、進行性の角度方向の拡がりを決定する引きずり動作の影響を受ける、すなわち、2つのねじは、骨端軟骨を通過する正中面に対し外側方向に傾斜する。
【0009】
先行技術に現在採用されている解決策は、骨の成長を制御する、具体的には、骨の変形を修正するためのプレート固定装置に関する、特許文献1に記載されている。この装置は、第1の平面、第2の平面およびそれらをつなぐ中間ランプにより画定される階段状の外形を有する骨プレートを備え、骨に固定するためのねじを受容するためのねじ孔が各平面に存在する。
【0010】
特定の患者または骨の解剖学的輪郭に応じて使用される、アーチまたは隆起状の中間部分を特徴とする、このプレートの変形例も記載されている。このようにして、たとえば、非対称性、または解剖学的変形の成長を修正するために、小児期の患者に移植される場合、修正期間中の骨の骨端軟骨への過負荷または損傷が回避される。
【0011】
軟組織による被膜の乏しい解剖学的領域においてこれらプレートの耐久性を向上させるために、「一体型座金(integrated wacher)」と定義される、固定ねじのための貫通孔の位置の骨に向かってプレートの厚さを局所的に増大させる解決策が用いられる。このようにして、プレートの上部外形に対するねじの頭部の突出部が、減少され得るが、移植の段階の間のみである。
【0012】
先行技術に採用されている他の解決策は、特許文献2に記載されており、骨成長期にある患者の、長骨の角度方向および回転性の変形を再調整する移植に関する。
【0013】
そのような骨の整列のための移植物は、ガイドワイヤ、プレートおよび2つの骨取付具を備える。具体的には、骨固定具がプレートの孔を通過して骨に設置されると同時に、ガイドワイヤを用いて、成長軟骨組織が特定され、移植物を用いて骨端軟骨の両側の骨の断片を接続させる。移植物は、移植物が設置される骨端軟骨の側の骨成長の体積を部分的に制限する、つまり、成長する方向およびその結果の整列が制御された方法で達成されるように新しい骨組織の骨端軟骨の成長を促進するように設計される。
【0014】
先行技術において知られる移植物は、上で示した技術的課題を部分的には解決するが、たとえば、プレートを骨に固定するねじの頭部の過度の突起が、面倒を引き起こし、基本的に軟組織を欠く解剖学的領域においてそのようなプレートを耐えがたくさせるなど、いくつかの制限がある。
【0015】
この要旨においては、特許文献3に開示されるもののような、8の字形状のプレートを想定できず、具体的には組織修復縫合プレートに関する構造を採用することは不可能である。そのようなプレートは、骨折の治療には適さず、骨の凹部状の部分への移植中に屈曲される弱体化部分、または切欠き部36を提供する。
【0016】
特許文献4に、骨ねじのねじ状頭部を受容するための複数の貫通ねじ孔を含む細長い骨プレートに関する別の解決策が開示されている。このプレートは、長骨の骨折のために適合され、早期骨端閉鎖の介入治療のためではない。
【0017】
さらに、先行技術に採用される、成長軟骨組織が押しつぶされることを防止するためのプレートの構成は、プレート自体の強度に影響を与え、比較的もろくさせ得ることがある。
【0018】
本発明の根本的な技術的課題は、軟組織による被覆の乏しい解剖学的領域に適用された場合のそのような装置の耐久性を向上させるためであり、成長軟骨組織による横方向の圧縮を回避するような構造的および機能的特性を特徴とする、プレートおよびねじで構成される接合の手段を考案することである。
【0019】
本発明の付加的な目的は、その移植段階の全期間のある程度の強度を保証する、単純かつ経済的な構造を備える固定装置を提供することである。
【0020】
本発明の付加的な目的は、対応するプレートが筋層または軟組織による被覆が乏しい骨端に位置する場合でさえも、骨固定ねじの頭部の起こりうる突出を患者に対しより許容できるものにすることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【文献】米国特許第8,273,111号明細書
【文献】米国特許出願公開第2004/0111089号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0005729号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/223852号明細書
【発明の概要】
【0022】
本発明は、添付の請求項においてクレームされる内部骨プレート固定装置に関する。好ましい実施形態が、独立請求項に明記される。
【0023】
本発明の基本的な解決案は、中央に位置し、成長軟骨組織を受容することが可能である窪みを形成するプレートの可撓性を実質的に変えないまま、プレート自体の中に形成されるカップ状または半球形のハウジング受座内におけるねじの頭部の沈み込みを大きくさせることを可能にする、早期骨端閉鎖の介入治療に適切な厚さのプレートを提供することである。
【0024】
この解決案に基づき、技術的課題は、軟組織による被覆が乏しい解剖学的領域または骨端における接合の手段として使用するための内部骨プレート固定装置であって、一対の部分を備えた二葉型の、または8の字形状を有する骨プレートを備えるタイプであり、前記一対の部分は、骨の骨端および骨幹端それぞれに対応するように適合され、狭まった中央部分によって結合され、前記一対の部分のそれぞれには、前記骨に固定するための対応するねじを受容する、少なくとも1つの貫通孔が形成され、前記骨プレートは、大体一定の厚さを有して平坦であり、互いに対向する表面により画定され、前記骨プレートの長手方向軸を横断する、前記表面の一方にのみ形成される単一の凹部または窪みと平行であり、前記プレートの厚さは、その長手方向の最大の延在部分(L)の8分の1よりも小さい、固定装置により解決される。
【0025】
基本的には、この厚さは、1.5~2.3mmの範囲内で選択される。
【0026】
より具体的には、厚さは、少なくとも5%の機械加工公差で、2.1mmに等しく選択される。
【0027】
なお、窪みは、アーチ型であり、結合する中央部分に形成され、窪みにおけるプレートの厚さは、1.3~1.7mmの範囲内で選択される。
【0028】
より具体的には、窪みに対応する厚さは、常に少なくとも5%の機械加工公差で、1.5mmに等しく選択される。
【0029】
上述の寸法のすべては、少なくとも5%の機械加工公差を有することが理解される。
【0030】
本発明の骨プレートは、二葉型、かつ、略8の字形状である。
【0031】
プレートは、一時的に固定するためのガイドケーブルを受容するために、第3の孔を、結合する中央部分に少なくとも含む。
【0032】
さらに、プレートの丸みを帯びた突出部分の孔のそれぞれは、窪みとは反対の表面に、対応する固定ねじの頭部を傾斜して収納するための、カップ状または半球形の受座へのアクセスをもたらす円形開口部を有する。
【0033】
カップ状受座の底部に、円筒形の孔が開口し、対応する固定ねじのステムを収容することを意図しており、一方で、カップ状受座へと、および円筒形の孔内でテーパ状となる少なくとも1つの溝部が、プレートの先端部へと向かってカップ状受座の底部に設けられている。
【0034】
溝部は、円筒形の孔の軸に対し傾斜している軸を有する円筒形または円錐形の孔により得られる。
【0035】
本発明の内部プレート固定装置の特徴および利点は、添付の図面を参照し、例示的かつ非制限の例として提供される実施形態の説明から明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明に従い作製された内部骨プレート固定装置の概略斜視図を示す。
【
図2】
図1の固定装置の別の視点からの概略斜視図を示す。
【
図4】
図3に示されているプレートの底面図を示す。
【
図5】本発明による固定装置の詳細の部分側面図を示す。
【
図6】
図1の固定装置を固定するためのねじの側面断面図を示す。
【
図7】本発明による内部固定装置の使用中の概略斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
これらの図面および特に
図1の例を参照して、参照符号1は、低度または中程度の軟組織による被覆を有する解剖学的領域におけるそのようなプレートの耐久性を向上させる骨プレート2用の内部固定装置を全体的かつ概略的に示す。
【0038】
本発明の固定装置1は、専用ではないが、骨の骨端軟骨に亘り固定装置を適用することによる、骨片または骨折の解決のための、または小児期および/または青年期の患者の長骨の奇形のケアのための、整形外科での使用に特に適している。
【0039】
そのような骨プレート2は、好ましくは、硬質かつ生体適合性の材料(たとえばチタン)製であり、横方向よりも顕著である長手方向に亘り延びる、厚さが均一の、二葉型の8の字形状である。
【0040】
骨プレート1は、ほぼ一定の厚さで平坦であり、対向して平行な2つの表面6および7を提供し、そのうちの1つは、骨の表面と接触するように構成される。単純にするために、本明細書の以下の部分では、第1の表面を骨プレート2の底面6と記載し、その反対の第2の表面を上面7と記載する。本明細書において用いられる、および下方もしくは上方、またはより低いもしくはより高い、または類似の表現などの表示を含む位置に関する言及のいずれも、常に前述の表面の向きを参照する。
【0041】
8の字形状の骨プレート2は、小児期の患者の長骨、たとえば、本発明の固定装置1の適用により修正されるべき、角度変形を示す骨の骨端および骨幹端にそれぞれ対応するように適合される第1部分23および第2部分24を備える。
【0042】
8の字形状のその2つの部分は、骨プレート2の単一の局所的に狭まったまたはテーパ状の部分を提供する中央結合部分15により相互接続される。この結合部分15は、骨プレート2の最初の移植を、接続部分15が、骨端と骨幹端との中間で成長中の骨端軟骨を覆うように配置されるように、ガイドワイヤ(図示されず)により容易にするように適合されるガイド貫通孔9を有する。
【0043】
骨プレート2は、接合部15の中心を通る横方向平面に対し、左右対称の形状を有する。
【0044】
結合部分15の中心を通って横方向平面から最大の距離に配置された第1部分23に属する領域および第2部分24に属する領域は、骨プレート2の第1先端部20および第2先端部21をそれぞれ画定する。
【0045】
固定ねじ5を受容するように構成された第1貫通孔3は第1部分23を横切る。
【0046】
さらに、対応する固定ねじ5を受容するように構成された第2貫通孔4は第2部分24を横切る。
【0047】
骨プレート2は、丸みを帯びた、下面6および上面7の周縁部25を有する。
【0048】
好ましい実施形態では、
図6にその全体を見ることができる固定ねじ5は、長手方向軸Xに沿って方向付けされ、ステムの端部に設けられた、好ましくは球形の頭部10を備える。ステムは、頭部の近位に非ねじ状部分18、三角形の外形のねじ山を有する、その先のねじ状部分19、および最後に、頭部10の反対にねじ穴加工先端部(self-threading tip)27を有する。ステムを、頭部10内の六角形状キャビティ26にまで開口する内部ガイドカニューレ17が横切る。
【0049】
前述のように骨プレート2は左右対称であるため、第1部分23の貫通孔3および第2部分24の貫通孔4は、同等かつ反対である。単純にするため、孔3、4のうちの1つのみの内部構造をさらに説明し、そのような説明は、左右対称に両方の孔に適用され、同様に、同一の参照番号が、孔3、4の同一の左右対称の構造に用いられる。
【0050】
孔4は、固定ねじ5の頭部10を傾斜して収納するための、好ましくは半球形の、カップ状受座12を備える。
【0051】
前述のカップ状受座12の底部にまで開口する円筒形の孔22は、前述の固定ねじ5のステム18を収容するためのものである。
【0052】
円筒形の孔22内でカップ状受座12にテーパ状に形成された1つの溝部14は、プレート2の先端部21に向かって、下面6に向かって、カップ状受座12の底部に設けられる。
【0053】
カップ状受座12は、頭部10を内部に収納して、ねじ5のステム18に完全な運動の自由を与える、頭部10との球状の係合を画定する。具体的には、固定ねじ5は、これにより、骨プレート2に対し長手方向の平面において、骨端軟骨を通過する正中面から離れる方向に結合点または端部に達するまで傾斜することが可能になる。
【0054】
カップ状受座12は、具体的には、固定ねじ5の頭部10を孔4および出口部分22に挿入することを可能にするように構成される、好ましくは円形の入力部分11を備え、出口部分22は、カップ状受座12内で固定ねじ5の頭部10を保持することを可能にするために入口部分11の断面に対して少なくとも局所的に縮小したサイズである。
【0055】
前述のように、カップ状受座12は、好ましくは、半球状であり、軸Yは骨プレート2に対し直交であり、入口部分11の中心を実質的に通過する。
【0056】
円筒形の孔22は、カップ状受座12に同軸に延び、出口部分の直径と同等の直径を有する。
【0057】
溝部14は、カップ状受座12内へとテーパ状になり、それによって中心結合部分15から離れるように移動しながら、出口部分の下方向拡大部分を画定している。
【0058】
溝部14は、たとえば、カップ状受座12に向かってテーパ状である、円筒形または円錐形の傾斜した孔によって提供されてもよい。円筒形または円錐形の孔であるそのような溝部14は、固定ねじ5のステムの非ねじ状上部部分18の直径よりも大きいまたは等しいサイズであり、貫通孔4の軸Yに対し角度β傾斜した軸Zを有するねじ外径を有し得る。孔14は、カップ状受座12の横方向外周部にまで開口し、下方向および外方向、すなわち、先端部20または21のそれぞれに向かって、プレートの下面6に達するまで延びる。孔14は、その延在部分全体に沿って、円筒形の孔22と連絡したままである。
【0059】
この傾斜した円筒形の孔を有する溝部14は、先端部20、21にて、カップ状受座12を囲繞する領域を、ドリル作業により材料の機械加工をすることにより提供される。
【0060】
有利に、本発明によると、骨プレート2は、先行技術の解決に関して強固である厚さ「s」を有する。
【0061】
より具体的には、プレート2の厚さ「s」は、先端部20から先端部21までのその長手方向における最大の延在部分Lの8分の1よりも小さい。厚さ「s」は、2つの均等部分23および24の厚さを指す。
【0062】
厚さ「s」は、長手方向における最大の延在部分Lの8分の1~12分の1の範囲内で選択することができる。
【0063】
好ましい実施形態では、そのような厚さ「s」は、少なくとも5%の機械加工公差で、1.5~2.3mmの範囲内から選択できる。
【0064】
より具体的には、厚さ「s」は、2.1mmに等しく選択される。
【0065】
さらに、前述の窪み8におけるプレートの厚さ「s」は、1.3~1.7mmの範囲で変化し、また、この場合では、機械加工公差が少なくとも5%である。
【0066】
好ましい実施形態では、そのような厚さ「s」は、プレート2の厚さが2.1mmに等しい場合、1.5mmに等しく選択される。
【0067】
本発明の内部骨プレート固定装置の使用法を次に説明する。
【0068】
比較的に非侵襲性の切開が、移植を受ける患者の肌および肉に行われると、2つの丸みを帯びた突出部分23および24がそれぞれ、治療される骨の骨端および骨幹端と接触するように、骨プレートを、骨端軟骨を覆うように位置決めすることが可能である。
【0069】
骨端軟骨の軟骨組織に挿入され、プレート2の結合の中心部分の貫通孔9を通過する保持ワイヤが、プレート2をその位置に固定することを一時的であっても可能にする。
【0070】
頭部10がカップ状受座12に達し、カップ状受座12と接触して設置され、およびカップ状部分12の軸Yが固定ねじ5の軸と一致するまで、固定ねじ5が最初に、骨の骨端軟骨および骨幹端の対応する部分に貫入するように内部で孔3、4に挿入される。
【0071】
プレート2の厚さ「s」がより大きいと、それぞれハウジング受座12内にねじ5の頭部を、ほとんどねじを含んで、最初に収容することが可能になる。
【0072】
骨端軟骨の組織が成長する間、固定ねじ5は、全体の治療の経過中における角度方向の拡がり、すなわち、骨プレート2に対し長手方向の平面を超え、結合部分15から離れる固定ねじ5の回転を決定する引きずり動作の影響を受ける。
【0073】
溝部14の存在により、結合部分15から離れて、すなわち、先端部20または21のそれぞれにおいて、固定ねじ5のステムと孔3、4の下端との間における終端接点の達成が確実になる。
【0074】
このようにして、溝部14が無い場合に生じるであるものよりも大きな固定ねじ5の角度方向の広がりが提供および決定され、固定装置1の全体、すなわち、骨プレート2および締めねじ5が治療の全期間にわたり、骨成長に従うことが可能になる。
【0075】
本発明の骨プレートの厚さ「s」がより大きいと、骨端軟骨の組織の成長によって、ねじの最大の角度方向の逸脱が起こっても、すべての既知の解決策に対して、一段と容易に、固定ねじ5の頭部10を収納および隠すことが可能になる。
【0076】
有利に、既に説明した骨プレートは、移植部位を囲繞する軟組織を有する部分をすりむくことを回避するように、隆起のない、均一の厚さの平坦構成を有する。
【0077】
さらに有利に、骨プレートの前述の構成は、複雑かつ高価な製造方法を必要としない。
【0078】
さらに、本発明による骨プレートを構成する硬質材料を使用することにより、軟質の構成材料を用いる装置の場合よりも、装置の、応力に対するより大きな抵抗力がもたらされることが認められる。
【0079】
本発明による骨プレートは、技術的課題を解決し、固定ねじの破損を防止すること、一度の外科手術により骨の変形の完全な修正を確実にすることを含む、多数の利点を達成する。
【0080】
溝部の存在により、固定ねじが予期される終端位置に達することを防止すること、したがって治療の終了前にねじを位置変更することを回避することが可能になる。