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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】回路体と導電体との接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/04 20060101AFI20220517BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20220517BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
H01R4/04
H05K1/03 650
H05K1/03 670
H05K1/02 J
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019200732
(22)【出願日】2019-11-05
(65)【公開番号】P2021077449
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 喜章
(72)【発明者】
【氏名】雄鹿 達也
(72)【発明者】
【氏名】中川 真理子
(72)【発明者】
【氏名】安田 知司
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-045508(JP,A)
【文献】特開2002-135945(JP,A)
【文献】特開2002-093995(JP,A)
【文献】特開2020-013765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/04
H05K 1/03
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線パターンが設けられたフレキシブル基板から構成される回路体と、
前記回路体の実装面に取り付けられる平板状の接続部を有する導電体と、
を備えた、回路体と導電体との接続構造であって、
前記配線パターンは、
前記接続部と交差する方向に延び且つ前記交差する方向における前記接続部の長さよりも長い複数の被接続部を有し、導電性の接着剤を用いて、前記接続部と前記被接続部との間を導通させた状態にて前記導電体に接続され
前記接続部は、前記被接続部が有する前記交差する方向の長さが前記接続部より長い平面における前記交差する方向の両端を除いた部分に、前記接着剤によって接着されている、
回路体と導電体との接続構造。
【請求項2】
請求項1に記載の接続構造において、
前記接続部は、幅が均一な矩形の形状を有し、
前記被接続部は、幅が均一な矩形の形状を有する、
回路体と導電体との接続構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の接続構造において、
前記導電体は、複数の前記接続部を有する、
回路体と導電体との接続構造。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の接続構造において、
前記回路体は、前記配線パターンを覆う絶縁層と、前記被接続部を露出するように前記絶縁層に設けられる開口部と、を有し、
前記接続部は、前記開口部の内側に配置される、
回路体と導電体との接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル基板から構成される回路体と、平板状の接続部を有する導電体と、の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、配線パターンが設けられたフレキシブル基板(Flexible Printed Circuits:FPC)が、各種の電子機器の間を繋ぐ配線などとして用いられている。フレキシブル基板は、一般に、所定形状の配線パターン(即ち、回路)を構成する薄膜状の導体層を絶縁性のフィルムによって挟んだ構造を有し、特に電気的特性を維持したまま柔軟に湾曲などの変形が可能である点に特徴がある。
【0003】
フレキシブル基板を実際に用いるにあたり、従来のフレキシブル基板の一つは、フレキシブル基板の配線パターンと、IGBT等の電子素子と、をボンディングワイヤを用いて接続するようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-093995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のフレキシブル基板とは異なり、導電性の接着剤を用いて、フレキシブル基板が有する配線パターンにバスバ等の平板状の導電体を接続する場合がある。この種の接着剤は、一般に、基材となる熱硬化性樹脂に導電性のフィラー(金属粒など)を分散させた構成を有する。そして、硬化前の接着剤を配線パターンとバスバとの間に挟んだ状態で配線パターンに向けてバスバを押し付けると、配線パターンとバスバとの間に一部のフィラーを挟み込みながら、基材と残りのフィラーとが配線パターンとバスバとの間から押し出される。この状態で外部から加熱を施せば、配線パターンとバスバとがフィラーを介して導通された状態で基材が硬化する。これにより、配線パターンとバスバとが接合されることになる。
【0006】
上述した接合の原理上、導電性の接着剤を用いる場合、配線パターンとバスバとがフィラーを挟み込むことになる範囲(換言すると、配線パターンとバスバとの接触面積)の大きさが、両者の間の導電性(即ち、接触抵抗値の大小)に影響を及ぼすことになる。よって、例えばフレキシブル基板を用いて伝送される信号の品質向上などの観点から、配線パターンとバスバとの接触面積が出来る限り設計上の大きさに一致するように、配線パターンとバスバとを適正に接続することが望ましい。
【0007】
本発明の目的の一つは、フレキシブル基板から構成される回路体と、平板状の接続部を有する導電体と、を適正に接続可能な回路体と導電体との接続構造、の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係る回路体と導電体との接続構造は、下記[1]~[4]を特徴としている。
[1]
配線パターンが設けられたフレキシブル基板から構成される回路体と、
前記回路体の実装面に取り付けられる平板状の接続部を有する導電体と、
を備えた、回路体と導電体との接続構造であって、
前記配線パターンは、
前記接続部と交差する方向に延び且つ前記交差する方向における前記接続部の長さよりも長い複数の被接続部を有し、導電性の接着剤を用いて、前記接続部と前記被接続部との間を導通させた状態にて前記導電体に接続され
前記接続部は、前記被接続部が有する前記交差する方向の長さが前記接続部より長い平面における前記交差する方向の両端を除いた部分に、前記接着剤によって接着されている、
回路体と導電体との接続構造であること。
[2]
上記[1]に記載の接続構造において、
前記接続部は、幅が均一な矩形の形状を有し、
前記被接続部は、幅が均一な矩形の形状を有する、
回路体と導電体との接続構造であること。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載の接続構造において、
前記導電体は、複数の前記接続部を有する、
回路体と導電体との接続構造であること。
[4]
上記[1]~上記[3]の何れか一つに記載の接続構造において、
前記回路体は、前記配線パターンを覆う絶縁層と、前記被接続部を露出するように前記絶縁層に設けられる開口部とを有し、
前記接続部は、前記開口部の内側に配置される、
回路体と導電体との接続構造であること。
【0009】
上記[1]の構成の接続構造によれば、回路体の配線パターンが、導電体の接続部と交差する方向に延びる被接続部を有する。よって、接続部と被接続部とを導電性の接着剤を用いて接続する際、両者(即ち、接続部と被接続部と)が互いに平行である場合に比べ、両者の相対位置が設計された位置と相違しても(即ち、位置ズレが生じても)、両者の接触面積の変動が小さいことになる。
【0010】
より詳細には、仮に両者が平行であると、接続部および被接続部の幅や長さ(太さ)及び位置ズレの方向によっては、位置ズレが生じたときに両者の接触面積が増減する可能性がある。一例として、両者が平行であり且つ両者の幅および長さが同程度である場合、両者が完全に重複していれば、接触面積は、両者の幅と長さの積(=幅×長さ)に相当する。しかし、例えば、幅方向の位置ズレが生じると、両者が重複する範囲が小さくなるにつれて、接触面積が小さくなる。これに対し、本構成の接続構造のように、両者が交差し且つ交差方向における接続部の長さ(幅)よりも被接続部の長さが長ければ(図3等を参照)、幅方向の位置ズレが生じても、両者が重複する範囲の大きさ(即ち、接触面積)が実質的に維持される。幅方向とは異なる方向(例えば、斜め方向)の位置ズレが生じた場合も同様である。したがって、本構成の接続構造は、フレキシブル基板から構成される回路体と、平板状の接続部を有する導電体と、を適正に接続することができる。
【0011】
上記[2]の構成の接続構造によれば、導電体の接続部は幅が均一な矩形の形状を有し、且つ、配線パターンの被接続部は幅が均一な矩形の形状を有する。よって、接続部および被接続部がそのような形状を有さない場合(例えば、接続部や被接続部の幅が場所によって大小するような不均一な形状を有する場合)に比べ、両者の間の位置ズレが生じた際の接触面積の変動が小さくなる。
【0012】
なお、接続部や被接続部の幅が「均一」であるとは、導電体や配線パターンの製造時に不可避的に生じ得る公差(いわゆる製造ばらつき)の範囲内において、それらの幅が均一であることを表す。換言すると、接続部や被接続部の幅が設計上で(例えば、設計図面に示される幅の数値が)均一であることを表す。
【0013】
上記[3]の構成の接続構造によれば、導電体と配線パターンとが、複数の接続部を介して複数の箇所で接続される。換言すると、複数の箇所において、導電体が配線パターンに支持されることになる。よって、導電体が配線パターンに1箇所で支持される場合に比べ、配線パターンに対する導電体の姿勢の乱れ(例えば、フレキシブル基板の実装面に対する導電体の接続部の傾きのバラツキ)が生じ難い。その結果、そのような導電体の姿勢の乱れに起因する接続不良などが生じることが抑制される。
【0014】
上記[4]の構成の接続構造によれば、回路体の絶縁層に設けられた開口部の内側に収まるように、導電体の接続部が配置される。よって、開口部の周縁(即ち、絶縁層が存在する場所と存在しない場所との間の段差)に接続部が乗り上げることがなく、配線パターンに対する導電体の姿勢の乱れが生じ難い。その結果、導電体と配線パターンとの接続不良などが生じることが抑制される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、フレキシブル基板から構成される回路体と、平板状の接続部を有する導電体と、を適正に接続可能な回路体と導電体との接続構造、を提供できる。
【0016】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施形態に係る回路体と導電体との接続構造を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す接続構造の平面図である。
図3図3は、図2のB部の拡大図である。
図4図4は、図2のA-A断面図である。
図5図5は、図4のC-C断面におけるD部の拡大図である。
図6図6(a)は、変形例に係る図3に対応する図であり、図6(b)は、図6(a)のE部の拡大図である。
図7図7は、他の変形例に係る図1に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る回路体2と導電体3との接続構造1について説明する。以下、説明の便宜上、図1等に示すように、「前後方向」、「幅方向」、「上下方向」、「前」、「後」、「上」、及び「下」を定義する。「前後方向」、「幅方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。前後方向及び幅方向はそれぞれ、帯状に延びる回路体2の延在方向及び幅方向と一致する。
【0019】
接続構造1は、図1及び図2に示すように、配線パターンが設けられたフレキシブル基板(Flexible Printed Circuits:FPC)から構成される回路体2と、回路体2の絶縁層13に設けられる開口部18に取り付けられる平板状の接続部33を有する導電体3と、を備える。接続構造1は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車などに搭載される駆動用電源としての電池集合体(複数の単電池が積層配置された電池モジュール)と、各種の制御機器(ECU等)と、の間を接続する経路上において用いられる。以下、接続構造1を構成する各部品の構成について順に説明する。
【0020】
まず、回路体2について説明する。回路体2は、帯状に延びるFPCから構成されている。具体的には、回路体2は、図4に示すように、第1絶縁層11と、第1絶縁層11の上に位置する第2絶縁層12と、第2絶縁層12の上に位置する第3絶縁層13と、からなる3層の薄膜状の絶縁層を備える。第1絶縁層11と第2絶縁層12との間には、薄膜状の下側導体層14が介在し、第2絶縁層12と第3絶縁層13との間には、薄膜状の上側導体層15が介在している。本例では、下側導体層14と上側導体層15が、本発明の「配線パターン」を構成している。典型的には、第1~第3絶縁層11~13は、ポリイミドで構成され、下側導体層14及び上側導体層15は、銅で構成されている。なお、第1~第3絶縁層11~13は、ポリイミドに代えて、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)から構成されてもよい。
【0021】
第1絶縁層11と第2絶縁層12の間における下側導体層14以外の領域、及び、第2絶縁層12と第3絶縁層13の間における上側導体層15以外の領域には、樹脂製の接着層16が介在している。下側導体層14と上側導体層15とは、両者間に位置する第2絶縁層12によって大部分が互いに絶縁されている一方で、第2絶縁層12を複数箇所にて上下方向にそれぞれ貫通する複数の導電性の接続部17(図1も参照)を介して、電気的に接続されている。以上のように、回路体2は、3層の絶縁層11~13の内部に2層の導体層14,15が埋設された積層構造を有している。
【0022】
図1及び図2に示すように、回路体2の前端部の上面には、第3絶縁層13及びその下側に隣接する接着層16が除去されて露出した第2絶縁層12を底面とする矩形凹形状の開口部18が形成されている。開口部18の内部(の第2絶縁層12の上面)には、上側導体層15の一部として、矩形状の第1導体部19が、開口部18の中央部に設けられている。
【0023】
更に、開口部18の内部には、上側導体層15の一部として、第1導体部19から前方に所定距離だけ離れた位置から幅方向に延びる帯状(矩形状)の第2導体部21と、第2導体部21の幅方向両端部から後方に延びる一対の帯状(矩形状)の第3導体部22と、が設けられている。一対の第3導体部22は、第1導体部19から所定距離だけ幅方向に離れている。即ち、第2導体部21及び一対の第3導体部22からなるU字状の導体部は、第1導体部19を所定距離だけ離れて3方向から囲うように位置している。なお、第1導体部19と第2導体部21とは、後述するように、チップヒューズ40を介して電気的に接続される。
【0024】
更に、開口部18の内部には、上側導体層15の一部として、一対の第3導体部22それぞれの後方側領域から、前後方向に間隔を空けて並ぶように幅方向外側に向けて延びる複数の被接続部23が設けられている。各被接続部23は、幅(前後方向の寸法)が均一な帯状(矩形状)の形状を有する。前後方向に隣接する被接続部23の間隔A1(図3参照)は、本例では20μmである。複数の被接続部23には、後述するように、導電体3の接続部33が導電性の接着剤50を介して電気的に接続される。以上、回路体2について説明した。
【0025】
次いで、導電体3について説明する。導電体3は、図1及び図2に示すように、本例では、断面が矩形状のバスバであって、幅方向に直線状に延びる本体部31と、本体部31の一端部から連続する矩形枠状の枠体部32と、からなる。枠体部32は、上下方向に延びる矩形筒状の形状を有するということもできる。
【0026】
枠体部32を構成する4辺のうち、幅方向に対向し且つ前後方向に延びる2辺に対応するそれぞれの部分を、特に、接続部33と呼ぶ。各接続部33は、上方からみて、幅(幅方向の寸法)が均一な帯状(矩形状)の形状を有する。各接続部33は、前後方向及び上下方向に延びる平板状の形状を有するということもできる。各接続部33の幅A2(幅方向の寸法、図3参照)は、被接続部23の幅方向の延在長さよりも短い。導電体3は、典型的は、アルミニウムで構成されている。以上、導電体3について説明した。
【0027】
次いで、図1及び図2に示す接続構造1を得るための回路体2と導電体3との組み付けについて説明する。まず、導電体3の枠体部32の下面(矩形枠状の平面)に、流動性を有する状態にある導電性の接着剤50を塗布する。接着剤50は、図5に示すように、熱硬化性樹脂からなる基材51の中に導電性の多数のフィラー(金属粒など)52を分散させた構成を有している。
【0028】
次いで、導電体3の枠体部32を、回路体2の開口部18の底面に向けて、各接続部33が対応する複数の被接続部23の幅方向両端部を除いた箇所の上面に重なるように、押さえ用の圧子(図示省略)などを用いて、下方に押し付ける。本例では、このとき、図3に示すように、接続部33の軸線L1と、被接続部23の軸線L2とのなす角度θは、本例では、90°となっている。なお、図3に示す領域Sの各々では、接続部33と被接続部23とが上下方向において重なっている。この領域Sでは、後述するように、接着剤50内のフィラー52を介して接続部33と被接続部23とが電気的に接続される。そのため、領域Sの大きさは、接続部33と被接続部23との接触抵抗値の大きさに影響を及ぼすことになる。このような観点から、以下、便宜上、領域Sの大きさを、接続部33と被接続部23との「接触面積」と称呼する。図6に示す領域Sについても、同様である。
【0029】
これにより、図5に示すように、接続部33と被接続部23との間に接着剤50内のフィラー52を残しながら、接続部33と被接続部23との間から接着剤50内の基材51及び残りのフィラー52が押し出される。次いで、例えば、圧子で導電体3を押さえた状態を維持しながら、その圧子に内蔵したヒータを昇温させることで、導電体3を介して接着剤50を加熱する。これにより、熱硬化性の樹脂から構成されている基材51が硬化する。この結果、接続部33と複数の被接続部23とが互いに接着されると共にフィラー52を介して電気的に接続される。同様の原理により、導電体3の枠体部32における複数の被接続部23との接続箇所以外の箇所も、接着剤50により開口部18の底面(第2絶縁層12の上面)に接着される。以上により、導電体3の回路体2への組み付けが完了する。
【0030】
次いで、チップヒューズ40を、第1導体部19と第2導体部21とを跨ぐように配置し、上記と同様の接着剤50を用いて、第1導体部19と第2導体部21とにそれぞれ接着固定する。チップヒューズ40の接着固定には、ハンダを用いてもよい。この結果、チップヒューズ40の両端部の電極のうち一方が第1導体部19に接着されると共にフィラー52を介して電気的に接続され、チップヒューズ40の両端部の電極のうち他方が第2導体部21に接着されると共にフィラー52を介して電気的に接続される。以上より、図1及び図2に示す接続構造1が完成する。この接続構造1では、回路体2における上側導体層15の一部である第1導体部19が、チップヒューズ40、第2導体部21、第3導体部22、被接続部23、接続部33を介して、導電体3の本体部31と電気的に接続されている。
【0031】
<作用・効果>
以上、本実施形態に係る接続構造1によれば、回路体2の配線パターンが、導電体3の接続部33と交差する方向に延びる被接続部23を有する。よって、接続部33と被接続部23とを導電性の接着剤50を用いて接続する際、接続部33と被接続部23とが互いに平行である場合に比べ、両者の間の位置ズレが生じても、両者の接触面積の変動が小さいことになる。一例として、図3に示すように接続部33と被接続部23とが配置されている場合、接続部33に幅方向(図3に示すL2方向)の位置ズレが生じても、接続部33と被接続部23とが重複する範囲の大きさ(即ち、接触面積)が実質的に維持される。なお、本説明から理解されるように、幅方向とは異なる方向(例えば、図3にL1方向とL2方向との間の斜め方向)の位置ズレが生じた場合も、上記同様、接続部33と被接続部23との接触面積が実質的に維持されることになる。したがって、本実施形態に係る接続構造1は、フレキシブル基板から構成される回路体2と、平板状の接続部33を有する導電体3と、を適正に接続することができる。
【0032】
更に、接続構造1によれば、導電体3の接続部33は幅(幅方向の寸法)が均一な矩形の形状を有し、且つ、配線パターンの被接続部23は幅(前後方向の寸法)が均一な矩形の形状を有する(例えば、図3を参照)。よって、接続部33および被接続部23がそのような形状を有さない場合に比べ、両者の間の位置ズレが生じた際の接触面積の変動を小さくすることができる。
【0033】
更に、接続構造1によれば、導電体3と配線パターンとが、複数の接続部33を介して複数の箇所で接続される。よって、導電体3と配線パターンとの接続箇所が1箇所である場合に比べ、配線パターンに対する導電体3の姿勢の乱れ(傾き)が生じ難い。その結果、導電体3の傾きに起因する導電体3と配線パターンとの接続不良などが生じることを抑制できる。
【0034】
更に、接続構造1によれば、配線パターンの被接続部23と、導電体3の接続部33と、が交差する角度θ(接続部33の軸線L1と、被接続部23の軸線L2とのなす角度θ、図3参照)が90°である。これにより、接続部33と被接続部23との接触面積を適度な大きさにしながら、両者の間の位置ズレが生じた場合における両者の接触面積の変動を小さくすることができる。
【0035】
更に、接続構造1によれば、回路体2に設けられた開口部18の内側に収まるように、導電体3の接続部33が配置される。よって、開口部18の周縁などにおいて接続部33が回路体2の絶縁層(具体的には、第3絶縁層13)に乗り上げることがなく、配線パターンに対する導電体3の傾きが生じ難い。その結果、導電体3の傾きに起因する導電体3と配線パターンとの接続不良などが生じることを抑制できる。
【0036】
更に、接続構造1によれば、配線パターンが有する複数の被接続部23は、互いに20μmの間隔を開けて配置される。これにより、接続部33と被接続部23との接触面積を出来る限り大きくしながら、接着剤50を用いた接合の際、被接続部23同士の間の隙間から接着剤50の基材51や余分なフィラー52を適正に押し出すように逃すことができる。よって、接続部33と被接続部23との接合が容易になる。
【0037】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0038】
上記実施形態では、接続部33の軸線L1と被接続部23の軸線L2とのなす角度θが90°となっている(図3参照)。これに対し、図6に示すように、接続部33の軸線L1と、被接続部23の軸線L2と、が平行でない限り(即ち、角度θがゼロ以上であれば)、角度θは90°と異なっていてもよい。これにより、角度θがゼロである場合と比べて、被接続部23と接続部33との接触面積を大きくすることができる。
【0039】
更に、上記実施形態では、回路体2の複数の被接続部23が延びる方向が、幅方向(回路体2の延在方向と直交する方向)と一致している(図1参照)。これに対し、図7に示すように、回路体2の複数の被接続部23が延びる方向が、前後方向(回路体2の延在方向と一致する方向)と一致していてもよい。この場合、図7に示すように、導電体3の枠体部32における前後方向に対向し且つ幅方向に延びる2辺に対応するそれぞれの部分を接続部33として使用することで、接続部33の軸線L1と被接続部23の軸線L2とのなす角度θが90°に維持され得る。
【0040】
更に、上記実施形態では、導電体3における矩形枠状の枠体部32の一部が、導電体3の接続部33として使用されている。これに対し、導電体3における矩形枠状の形状以外の形状(例えば、U字状、L字状、I字状の形状)を有する部分の一部が、導電体3の接続部33として使用されていてもよい。
【0041】
ここで、上述した本発明に係る回路体と導電体の接続構造1の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
配線パターンが設けられたフレキシブル基板から構成される回路体(2)と、
前記回路体(2)の実装面に取り付けられる平板状の接続部(33)を有する導電体(3)と、
を備えた、回路体と導電体との接続構造(1)であって、
前記配線パターンは、
前記接続部(33)と交差する方向に延び且つ前記交差する方向における前記接続部(33)の長さよりも長い複数の被接続部(23)を有し、導電性の接着剤(50)を用いて、前記接続部(33)と前記被接続部(23)との間を導通させた状態にて前記導電体(3)に接続される、
回路体と導電体との接続構造(1)。
[2]
上記[1]に記載の接続構造(1)において、
前記接続部(33)は、幅が均一な矩形の形状を有し、
前記被接続部(23)は、幅が均一な矩形の形状を有する、
回路体と導電体との接続構造(1)。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載の接続構造(1)において、
前記導電体(3)は、複数の前記接続部(33)を有する、
回路体と導電体との接続構造(1)。
[4]
上記[1]~上記[3]の何れか一つに記載の接続構造(1)において、
前記回路体(2)は、前記配線パターンを覆う絶縁層(11,12,13)と、前記被接続部(23)を露出するように前記絶縁層に設けられる開口部(18)とを有し、
前記接続部(33)は、前記開口部(18)の内側に配置される、
回路体と導電体との接続構造(1)。
【符号の説明】
【0042】
1 接続構造
2 回路体
3 導電体
11~13 第1~第3絶縁層(絶縁層)
18 開口部
23 被接続部
33 接続部
50 接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7