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▶ アセンシア・ダイアベティス・ケア・ホールディングス・アーゲーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】リスク因子モニタリング
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/416 20060101AFI20220517BHJP
   G01N 27/327 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
G01N27/416 336G
G01N27/416 338
G01N27/416 336B
G01N27/327 353R
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019530087
(86)(22)【出願日】2017-12-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 IB2017057584
(87)【国際公開番号】W WO2018104835
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-11-30
(31)【優先権主張番号】62/430,232
(32)【優先日】2016-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516106184
【氏名又は名称】アセンシア・ダイアベティス・ケア・ホールディングス・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Ascensia Diabetes Care Holdings AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ホァン-ピン
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-540934(JP,A)
【文献】特開2013-242171(JP,A)
【文献】特開2012-247338(JP,A)
【文献】特開2004-028887(JP,A)
【文献】特開2016-065880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26-27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を電気化学的に分析する方法であって、
前記試料に、電極を介して、少なくとも1つの電位励起を有する入力信号を印加すること、
前記入力信号に対応する出力信号を測定すること、
前記出力信号に基づいて、前記試料中の検体の濃度を決定すること、
前記出力信号中の電流測定値の1つ以上のパルス内比、1つ以上のパルス間比、又は、それらの組み合わせに基づいて、前記検体以外の、前記試料中の少なくとも1つの種に関係付けられた少なくとも1つのリスク因子パラメータを決定すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記出力信号が、前記少なくとも1つの電位励起に対応する複数の電流測定値を含み、前記少なくとも1つのリスク因子パラメータの前記決定が、前記複数の電流測定値のうちの少なくとも1つの電流測定値、前記複数の電流測定値のうちの2つの電流測定値の比、又はそれらの組み合わせに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記2つの電流測定値が、前記複数の電流測定値の最後の電流測定値と、前記複数の電流測定値の最初の電流測定値である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複数の別個の試料に対して経時的に、前記印加するステップと、前記測定するステップと、前記濃度を決定するステップと、前記少なくとも1つのリスク因子パラメータを決定するステップを繰り返し、そして
患者プロファイル中で前記複数の試料に対する前記検体濃度と前記少なくとも1つのリスク因子パラメータとをログすること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのリスク因子パラメータの前記ログにおいて、少なくとも1つの傾向を決定し、前記少なくとも1つの傾向が、前記少なくとも1つの種に関係付けられた医学的症状の進行を示すこと、
をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの種が内在種である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記電極が、前記検体の、前記少なくとも1つの種の、又はそれらの組み合わせの酸化を促進する任意の試薬を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記電極が、前記検体の、前記少なくとも1つの種の、又はそれらの組み合わせの酸化を促進する試薬を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
患者プロファイルを生成する方法であって、
試薬を有する第1電極を介した第1入力信号を、試薬を欠く第2電極を介した第2入力信号と組み合わせることであって、
前記組み合わせることは、前記第1電極を介して、試料に印加することを含み、
前記第1入力信号は、少なくとも1つの電位励起と電位緩和を有して、前記第2電極を介して、前記試料に印加され、
前記第2入力信号は、前記第2入力信号の少なくとも1つの電位励起が、前記第1入力信号の少なくとも1つの電位励起と同時に発生されないように、少なくとも1つの電位励起と電位緩和を有し、
前記第1入力信号に対応する第1出力信号と、前記第2入力信号に対応する第2出力信号とを測定すること、
少なくとも前記第1出力信号と前記第2出力信号に基づいて、検体濃度を決定すること、そして
(1)前記第1出力信号、前記第2出力信号、又は、それらの組み合わせ中の電流測定値の1つ以上のパルス内比、又は、(2)前記第1出力信号及び前記第2出力信号中の電流測定値の1つ以上のパルス間比に基づいて、前記試料中の少なくとも1つの内在種に関係付けられた少なくとも1つのリスク因子パラメータを決定すること
を含む、方法。
【請求項10】
前記第2出力信号が、前記少なくとも1つの電位励起に対する少なくとも1つの応答を含み、前記少なくとも1つのリスク因子パラメータの前記決定が、前記少なくとも1つの応答に基づく、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2出力信号が、前記少なくとも1つの電位励起の第1の電位励起に対する少なくとも1つの応答と、前記少なくとも1つの電位励起の第2の電位励起に対する少なくとも1つの応答とを含み、前記少なくとも1つのリスク因子パラメータの前記決定が、前記少なくとも2つの応答に基づく、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1出力信号が、前記試料中の前記検体濃度に対応するか、前記第2出力信号が、前記試料中の前記検体濃度に対応しないか、または、それらの組み合わせである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記検体がグルコースであり、前記内在種が、尿酸、コレステロール、トリグリセリド、アセトアミノフェン、アスコルビン酸、ビリルビン、ドーパミン、ヘモグロビン、キシロース、及び3-ヒドロキシ酪酸のうちの1つ以上である、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
血糖モニタ装置で試料を分析する方法であって、
前記血糖モニタ装置の素地電極を介して、入力信号を前記試料に印加することであって、
前記入力信号は定電圧パルスを含み、
前記定電圧パルスに対応する電流測定値中の1つ以上のパルス内比に基づいて、前記試料中の少なくとも1つの内在種に関係付けられた少なくとも1つのリスク因子パラメータを決定すること、そして
前記血糖モニタ装置に記憶された患者プロファイル中で前記少なくとも1つのリスク因子パラメータをログすること、
を含む、方法。
【請求項15】
複数の別個の試料に対して経時的に、前記印加するステップと、前記決定するステップと、前記ログするステップを繰り返し、
前記少なくとも1つのリスク因子パラメータの前記ログにおける少なくとも1つの傾向を決定し、そして
前記少なくとも1つのリスク因子パラメータに対する少なくとも1つのログされた値が、医学的症状の進行、指示、又はこれらの組み合わせに関係付けられたしきい値を満たす表示を提供すること、
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、「INTERTWINED ELECTRICAL INPUT SIGNALS」と題する、2016年12月5日に出願された米国仮出願第62/430,232号の恩典及び優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の分野
本開示は、一般的に、全血試料のような血液試料中の内在種の存在を決定するための方法、システム、及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
血糖モニタ(BGM)システムを用いる糖尿病治療にとって、全血試料のような血液試料中のグルコース濃度を報告することは、それだけでは通常の慣行である。グルコース濃度の決定を改善すること以外、血液中の他の種、例えば干渉内在種や非干渉内在種に対しては注意が払われない。したがって、血液試料から抽出され得る付加的な情報が失われている。
【0004】
最近の糖尿病研究は、いくつかの内在種と、糖尿病症状に対するそれらの関係性を示している。例えば、最近の研究は、高い尿酸値が糖尿病の発症に繋がること、そして高い尿酸値は糖尿病を患う可能性を引き上げさえし得ることを示している。研究は、尿酸値とメタボリック症候群の間の強い繋がりも示しているが、これは、インスリン抵抗性(即ち、身体がインスリンに反応できず、身体が生成するインスリンを使用できない)に関連付けられた医学的症状の組み合わせであり、人が心臓病及び糖尿病を患う可能性を高める。他の研究は、糖尿病の人々の、高コレステロール及びトリグリセリドと、糖尿病症状の悪化との間の繋がりを示している。
【0005】
したがって、グルコース濃度の決定において使用される試料から内在種についての情報を提供する方法、システム、及び装置が必要とされる。
【発明の概要】
【0006】
概要
本開示の態様は、グルコース濃度のような検体濃度を決定するとともに、試料中の内在種についての1つ以上のパラメータ又はその濃度を報告することに関連付けられた装置、システム、及び方法を含む。内在種(即ち、人体において自然に存在する化学物質)は、例えば、尿酸、ドーパミン、トリグリセリド等を含み、血液試料中に存在する。装置、システム、及び方法は、検体濃度及び1つ以上のパラメータを経時的にログすることも含む。ログすることは患者プロファイリングを提供し、これは1より多い次元でデータを提供するので、試料が回収されたユーザについての長期的な健康を扱う付加的な治療行為を導くことができる。
【0007】
本開示の態様は、試料中の検体濃度の測定に関連して、試料に関係付けられたリスク因子パラメータを決定及びログするための装置、システム、及び方法をさらに含む。
【0008】
本開示のさらなる態様は、試料を電気化学的に分析する方法を含む。方法は、電極を介して入力信号を試料に印加することを含み、そこで入力信号は少なくとも1つの電位励起を有する。方法は、入力信号に対応する出力信号を測定することをさらに含む。方法は、出力信号に基づいて試料中の検体濃度を決定することも含む。方法は、検体以外の試料中の少なくとも1つの種に関係付けられた少なくとも1つのリスク因子パラメータを決定することをさらに含む。
【0009】
本開示のさらなる態様は、患者プロファイルを生成する方法を含む。方法は、試薬を有する第1電極を介した第1入力信号を、試薬を欠く又は異なる標的種のための特定の試薬を有する第2電極を介した第2入力信号と組み合わせることを含む。組み合わせることは、第1電極を介して、少なくとも1つの電位励起電位緩和を有する第1入力信号を試料に印加すること、及び、第2電極を介して、少なくとも1つの電位励起電位緩和を有する第2入力信号を試料に印加することを含む。さらに、このような印加は、第1入力信号の少なくとも1つの電位励起が、第2入力信号の少なくとも1つの電位励起と同時ではないように起きる。方法は、第1入力信号に対応する第1出力信号と、第2入力信号に対応する第2出力信号を測定することをさらに含む。方法は、少なくとも第1出力信号と第2出力信号に基づいて、検体濃度を決定することをさらに含む。方法は、少なくとも第2出力信号に基づいて、試料中の少なくとも1つの内在種に関係付けられた少なくとも1つのリスク因子パラメータを決定することも含む。
【0010】
本開示のさらなる態様は、血糖モニタ装置で試料を分析する方法を含む。方法は、血糖モニタ装置の素地電極を介して入力信号を試料に印加することを含み、そこで入力信号は定電圧パルスを含む。方法は、定電圧パルスに対応して、グルコース以外の試料中の少なくとも1つの内在種に関係付けられた少なくとも1つのリスク因子パラメータを決定することをさらに含む。方法は、血糖モニタ装置において記憶された患者プロファイル中で少なくとも1つのリスク因子パラメータをログすることも含む。
【0011】
本開示の態様は、上述された方法を実施又は実行するように構成された1つ以上の装置及びシステムをさらに含む。いくつかの態様において、1つ以上の装置と1つ以上のシステムの構成要素は、装置及び1つ以上の構成要素に、上述された方法の動作を実行させるコンピュータ読み取り可能な命令を含む。
【0012】
本開示のさらなる態様は、図面を参照してなされる様々な実施形様の詳細な説明の観点から当業者にとって明らかであり、図面の簡単な説明が以下で提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の態様による、バイオセンサシステムの概略図である。
図2】本開示の態様による、バイオセンサシステムに対する組み合わされた入力信号の印加を示すグラフである。
図3】本開示の態様による、バイオセンサシステムに対する組み合わされた入力信号の別の印加を示すグラフである。
図4】本開示の態様による、図2の第1及び第2入力信号に対応して測定された第1及び第2出力信号を示すグラフである。
図5A】本開示の態様による、グルコース濃度80mg/dLを有する血液試料に印加された、図3のMパルスの入力信号に対応して測定された出力信号を示すグラフである。
図5B】本開示の態様による、グルコース濃度80mg/dLを有する血液試料に印加された、図3のGパルスの入力信号に対応して測定された出力信号を示すグラフである。
図6】本開示の態様による、1つ以上のリスク因子パラメータを決定するのに使用される付加された量の尿酸を含有する血液試料の、G入力信号での図3におけるパルス系列にしたがった平均直流プロファイルを示すグラフである。
図7】本開示の態様による、1つ以上のリスク因子パラメータを決定するのに使用される尿酸を含有する図6からの試料の正規化された直流プロファイルを示すグラフである。
図8】本開示の態様による、尿酸研究からの尿酸に対する例示的なリスク因子パラメータを示す。
図9】本開示の態様による、3つのヘマトクリット値における尿酸研究からの電流iG3-4に対する血漿尿酸濃度との相関プロット、及び、電流に対するドナー研究から決定された尿酸濃度との相関プロットを示す。
図10】本開示の態様による、血漿尿酸濃度と、付加された全血中尿酸濃度との相関を示す。
図11】本開示の態様による、パラメータRG24及びRG34と、図8中と同じ実験室研究から付加された尿酸濃度との相関プロットを示す。
図12】本開示の態様による、パラメータRG34と、図9中の尿酸と同じ実験室ヘマトクリット研究及び同じドナー研究の試料から決定された血漿尿酸濃度との相関プロットを示す。
図13】本開示の態様による、1つ以上のリスク因子パラメータを決定するのに使用される4つの付加されたトリグリセリド値を含有する血液試料の、G入力信号での図3中のパルス系列にしたがった平均直流プロファイルを示すグラフである。
図14】本開示の態様による、1つ以上のリスク因子パラメータを決定するのに使用されるトリグリセリドを含有する図13からの血液試料の正規化直流プロファイルを示すグラフである。
図15】本開示の態様による、Beckmanの機器によって決定された血漿トリグリセリド濃度に対する、RG及びRG34のプロットを示す。
図16】本開示の態様による、1つ以上のリスク因子パラメータを決定するのに使用される4つの付加された3-ヒドロキシ酪酸値を含有する血液試料の、G入力信号での図3中のパルス系列にしたがった平均直流プロファイルを示すグラフである。
図17】本開示の態様による、1つ以上のリスク因子パラメータを決定するのに使用される3-ヒドロキシ酪酸値を含有する図16からの血液試料の正規化直流プロファイルを示すグラフである。
図18】本開示の態様による、2つのベースライングルコース濃度における、3-ヒドロキシ酪酸値のRG64応答曲線を示す。
図19】本開示の態様による、RG64及び正規化RG64値対付加された3-HBAを示す。
図20】本開示の態様による、3-ヒドロキシ酪酸に関するRG64応答のグルコース依存は除去されることになる正規化関数を示す。
図21】本開示の態様による、試料を電気化学的に分析するためのプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、様々な変更及び代替の形式が可能であり、いくつかの代表的な実施形態が図面で例として示されてきたが、本明細書において詳細に記載されるであろう。しかし本開示は、図示され記述された特定の形式に限定されるのを意図するものではないことを理解されたい。むしろ本出願は、添付の請求項によってさらに規定されるように、本開示の精神及び範囲内に入るすべての変更、均等物、及び代替物を包含する。
【0015】
詳細な説明
本開示は、多くの異なる形式での実施形態が可能であり、図面で示され、本発明及び概念の詳細な実施例において本明細書中で説明されるが、本開示は、本発明及び概念の原理の例示と考えられるべきであり、開示された実施例の広範な態様を図示された例に限定する意図はないことを理解されたい。本詳細な説明の目的のために、単数形は複数形を含み、(特に断らない限り)逆もまた同様である。用語「及び」と「又は」は、論理積及び論理和である。「すべての」という用語は「任意の及びすべての」を意味する。「任意の」という用語は「任意の及びすべての」を意味する。用語「含む」は、「限界なしに含む」を意味する。本詳細な説明及び添付の図面の目的について、コンマで区切られた数字又はハイフンで区切られた数字、但しそれ以外は同一、を含む以下に定義され且つ全体を通して使用される用語は、同一の用語を指し、そのような表記は交換可能である。例えば、iG1,1とiG1-1は同一である。
【0016】
本開示は、生物学的試料プロファイリングを提供する方法、システム、及び装置を含む。プロファイリングは、従来のグルコース濃度測定を含む。プロファイリングは、グルコースの他、血液試料中の1つ以上の内在種に関係付けられたパラメータ又はその濃度の決定も含む。(リスク因子パラメータとして以下で言及される)パラメータのプロファイリングは、単にグルコース濃度を提供することを超えて、試料が回収されたユーザの総計的な健康についてのより高い洞察を提供する。リスク因子パラメータは、以前は血液試料のグルコース濃度測定の間に不可能であったモニタリング、診断、及び/又は、医学的症状の検出を可能にする。
【0017】
内在種は、人体において自然に存在する化学物質である。このような内在種は、全血試料のような試料で見られる任意の内在種であり得る。例えば、このような内在種は、中でも、尿酸(UA)、コレステロール(CH)、トリグリセリド(TG)、アスコルビン酸(ASA)、ビリルビン(BRB)、ドーパミン(Dop)、ヘモグロビン(Hb)、乳酸(LA)、及び、3-ヒドロキシ酪酸又はベータヒドロキシ酪酸(3-HBA)(又は一般的にはケトン)であり得る。ここで使用されるとき、内在種は、アセトアミノフェン(AA)の場合のように、結果として体内に存在する種になる物質の摂取に基づいて人体に存在する種を指すこともある。ここで言及される内在種は、リスク因子とも呼ばれ得る。なぜなら内在種の存在だけで、又はある一定の値で、ある一定の医学的症状のリスク又は存在を示すからである。内在種の濃度の存在に関係付けられた1つ以上のパラメータは、リスク因子パラメータと呼ばれ得る。
【0018】
上記で簡単に議論されたように、内在種尿酸、トリグリセリド、及びコレステロールは普通に生じる内在種であり、尿酸は糖尿病への繋がりを示し、トリグリセリド及びコレステロールは、インスリン抵抗性及び糖尿病合併症への関連を示す。内在種3-HBAと乳酸は、それぞれ、過度な絶食と適度な運動によって誘発され得る。リスク因子パラメータ及び/又はこれらの内在種の濃度の決定は、血液試料のより全体的な像を提供し、グルコース濃度及び/又はパーセントヘマトクリット値だけでは提供できない情報を提供する。情報は、従来グルコース濃度だけでは容易に決定されなかった糖尿病管理が改善している又は悪化しているサインを含み得る。さらに、リスク因子パラメータを経時的にプロファイリングすることは、グルコース濃度のプロファイリング単独では容易に提供し得ないインスリン抵抗性などのような糖尿病に関連付けられた他の症状の洞察も提供できる。
【0019】
決定されたグルコース濃度とともに、内在種の決定された濃度又は1つ以上のリスク因子パラメータを報告することは、ユーザに全血試料のプロファイルを提供する。このプロファイリングは、ユーザに長期的な患者プロファイル解決策を提供し、これは他の患者情報とともに全血プロファイルを提供することを含み、糖尿病治療/管理に有益である進行性の変化又はその欠如を経時的に反映する。このような長期期間に渡って血糖モニタ装置又は遠隔装置(例えばクラウドベースのサービス、医療サービス、患者データベース等)のメモリ中でグルコース濃度とともに複数のリスク因子パラメータをログすることによって、様々な糖尿病又は糖尿病前症状を有する個々が、グルコース濃度値だけでは示せなかった異なるパターンを示し得る。
【0020】
本開示の焦点は、全血のような血液のサンプリングにあるが、生物学上の試料は、唾液、汗、尿、母乳などのような任意の生物学上の試料であり得る。さらに本開示は、主に生物学上の試料中の検体としてグルコース濃度の決定に関するが、生物学上の試料中の濃度が決定される検体は、グルコース以外の他の様々な検体であり得る。
【0021】
図1は、本開示の態様による、全血試料のような試料中の1つ以上の内在種の1つ以上のリスク因子パラメータを決定して、経時的にログされた複数のリスク因子パラメータを含むプロファイルを作成できるバイオセンサシステム100の概略図を示す。バイオセンサシステム100は、測定装置102と試験センサ104を含み、これらは携帯型装置や手持ち式装置などのような機器に実装され得る。測定装置102と試験センサ104は、電気化学的センサシステムなどを実装するように適応され得る。バイオセンサシステム100は、試料中の内在種の1つ以上のリスク因子パラメータとともに、グルコースのような試料中の1つ以上の検体濃度を決定するために利用され得る。バイオセンサシステム100はまた、バイオセンサシステム100のユーザのプロファイルを作成するために、グルコース濃度とリスク因子パラメータを経時的にログして追跡するように利用され得る。プロファイルは例えば、糖尿病治療管理についての情報を提供する。情報は、糖尿病治療管理を調節して、患者の健康についてより完全な見解を提供するのに使用され得るリスク因子パラメータに基づくリスク因子についての情報を含み得る。特定の構成が示される一方、バイオセンサシステム100は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、付加的な構成要素を有する又は有しないものを含む他の構成を有し得る。例えばいくつかの実施形態において、バイオセンサシステム100は、以下でさらに議論されるように、作用電極又は素地電極が欠けていることがある。
【0022】
試験センサ104は、容器108を形成する基部106と、開口部112を有するチャネル110を有する。容器108は、部分的に閉じた容積を画定する。容器108は、水膨潤性ポリマー又は多孔性ポリマーマトリックスのような液体試料の保持を助ける組成物を含み得る。試験センサ104は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、他の構成を有し得る。試験センサ104は、例えば、1~15マイクロリットル(μL)の体積のような、全血の単一の液滴を分析するように構成され得る。使用の際、液体を開口部112に導入することによって、分析のための液体試料が容器108に移される。液体試料は、チャネル110を通って流れ、それまで含まれていた空気を追い出して容器108を充填する。
【0023】
試験センサ104は、3つの電極、即ち作用電極114、対向電極116、及び素地電極118を含み得る。しかし、いくつかの態様において、試験センサ104は、作用電極114と対向電極116のみ又は素地電極118と対向電極116のみのような2つの電極、1つより多い作用電極114、1つより多い対向電極116、及び/又は1つより多い素地電極118を含む3つより多い電極のように異なる数の電極を含み得る。例として、限定的にではなく、試験センサ104は2つの対向電極116を含むことができ、この2つの対向電極116は、別々に、作用電極114及び素地電極118と対になっている。
【0024】
作用電極114は、1つ以上の酵素、結合剤、メディエータ、及び種等のような1つ以上の試薬を含み得る。1つ以上の試薬は、分析中に検体と反応して検体から電子を移動させ、したがって試料中の検体の酸化還元反応を促進する。測定装置102はその後、試験センサ104を通過する電流及び/又は電圧として電子を測定及び記録し、電流及び/又は電圧を試料の検体濃度の測定値に変換することができる。
【0025】
試薬に含まれる酵素又は類似する種は、酸化還元反応の間、第1の種から第2の種への電子移動を増強する。酵素又は類似する種は検体と反応して、発生した出力信号の一部分に特異性を提供し得る。メディエータが、酵素の酸化状態を維持するのに使用され得る。よって、酵素及びメディエータを有する作用電極114の場合において、作用電極114は、検体が電気化学的反応を受ける場所である。対向電極116は、反対の電気化学反応が起こる場所であり、これは作用電極114と対向電極116の間に電流が流れるのを可能にする。したがって、作用電極114で酸化が起こる場合、対向電極116で還元が起こる。
【0026】
試薬に含まれる結合剤は、カルボキシルメチルセルロース(CMC)、HEC(ヒドロキシルエチルセルロース)及び/又はポリエチレンオキシド(PEO)のような、様々なタイプ及び分子量のポリマーを含み得る。試薬を一緒に結合することに加えて、結合剤は、赤血球を濾過すること、それらを血糖モニタ装置の場合におけるような作用電極114の表面を被覆するのを防ぐ又は抑止することを支援できる。
【0027】
対照的に、素地電極118は、バイオセンサシステムの焦点である検体の酸化還元反応を促進する1つ以上の試薬は含まない。したがって、素地電極又は第2電極は、ここで記述され使用されるように、何も化学試薬が付加されていない電極、又は1つ以上の付加された不活性物質を有する電極であり得る。素地電極は、標的検体のための試薬を有するとして全体を通して記述された作用電極又は第1電極とは対照的に、標的検体用ではない付加された化学試薬も含み得る。したがって、「素地」と記述されるが、素地電極118は、作用電極114に含まれる検体の酸化還元反応を促進する、同じ又は同一の1つ以上の試薬を含まないだけである。素地電極118は、関心のある検体以外に、試料中の他種の酸化還元反応を促進する他の試薬を含み得る。代替的に、素地電極118は、その上又はその中に何の試薬も有しない単なる素地導体であり得る。
【0028】
素地電極118は、作用電極114上の1つ以上の試薬の効果が、素地電極118の電気的応答に影響を与えない又は影響を最小限にするように、作用電極114から上流に配置され得る。代替的に、いくつかの態様において、作用電極114と素地電極118は、実質的に化学的分離を有する別の容器108に配置され得る。したがって、バイオセンサシステム100の濃度決定の焦点である検体は、1つ以上の試薬を有する作用電極114に基づいて作用電極114に印加された電流又は電圧に反応する。検体は、1つ以上の試薬を有しない素地電極118に基づいて素地電極118に印加された電流又は電圧に対して反応しないか、又は最小限にしか反応しない。
【0029】
1つの実施形態において、電極114~118は、実質的に同一平面内又は複数平面内にあり得る。1つの実施形態で、電極114~118は、容器108を形成する基部106の表面上に配置され得る。1つの実施形態では、電極114~118は、容器108内に延在又は突出し得る。
【0030】
試験センサ104は、作用電極114、対向電極116、及び素地電極118に接続された導体を有する試料インターフェース120をさらに含む。第1出力信号又は作用出力信号のような出力信号は、作用電極114及び対向電極116に接続された導体のうちの1つ又は両方から測定され得る。第2出力信号又は素地出力信号のような別の出力信号は、対向電極116と素地電極118のうちの1つ又は両方から測定され得る。
【0031】
測定装置102は、センサインターフェース124とディスプレイ126とに接続された電気回路122を含む。電気回路122は、信号発生器130に接続されたプロセッサ128、オプションの温度センサ132、及び記憶媒体134を含む。ディスプレイ126は、アナログ又はデジタルであり得る。ディスプレイ126は、LCD(液晶ディスプレイ)、LED(発光デバイス)、OLED(有機発光デバイス)、真空蛍光、電気泳動ディスプレイ(ED)、又は数値を示すように適合された他のディスプレイを含み得る。別の電子ディスプレイが使用され得る。ディスプレイ126は、プロセッサ128と電気的に通信する。ディスプレイ126は、例えばプロセッサ128と無線通信しているとき、測定装置102から分離され得る。代替的に、ディスプレイ126は、例えば測定装置102が、遠隔計算装置、薬剤投与ポンプなどと電気通信するとき、測定装置102から取り外され得る。
【0032】
信号発生器130は、プロセッサ128に対応して、センサインターフェース124に1つ以上の電気入力信号を提供する。電気入力信号は、生体液の試料に電気入力信号を印加するために、センサインターフェース124によって試料インターフェース120に送信され得る。電気入力信号は、以下でさらに説明されるように、電位又は電流であり、一定であるか、可変であるか、又はその組み合わせであり得る。電気入力信号は、単一パルスとして、又は複数のパルス、系列、又はサイクルにおいて印加され得る。よって、電気入力信号は、第1及び第2入力信号を含み得る。信号発生器130はまた、発生器レコーダとして、センサインターフェース124からの1つ以上の出力信号を記録し得る。したがって、1つ以上の出力信号は、第1及び第2出力信号を含み得る。2つ以上の電極から組み合わされた入力信号として全体を通して概して開示されているが、信号発生器130は、複数の組み合わされた入力信号よりむしろ1つの入力信号を発生し得る。
【0033】
オプションの温度センサ132は、試験センサ104の容器108中の装置及び試料を含むバイオセンサシステムの温度を決定する。試料の温度は、出力信号から測定され計算されるか、又は周囲温度若しくはバイオセンサシステム100を実装する装置の温度の測定値と同一又は類似していると仮定され得る。温度は、サーミスタ、温度計、又は他の温度感知デバイスを使用して測定され得る。別の技術が試料温度を決定するのに使用され得る。
【0034】
記憶媒体134は、磁気メモリ、光学メモリ、又は半導体メモリ、別の電子記憶装置、などに類するものであり得る。記憶媒体134は、固定記憶装置、メモリカードのようなリムーバブル記憶装置、遠隔アクセスされるものなどであってもよい。記憶媒体は、検体濃度と1つ以上のリスク因子パラメータをログするのに使用され得る。
【0035】
電子プロセッサ128は、コンピュータ読み取り可能なソフトウェアコード及び記憶媒体134中に記憶されたデータを使用して、検体分析及びデータ処理を実行する。プロセッサ128は、センサインターフェース124における試験センサ104の存在に対応して検体分析及びデータ処理を開始し、ユーザ入力などに対応して試験センサ104への試料の印加を開始し得る。プロセッサ128は、電気入力信号をセンサインターフェース124に提供するように信号発生器130に指示する。プロセッサ128は、センサインターフェース124からの出力信号を受信する。出力信号のうちの少なくともいくつかは、試料に印加された入力信号に対応して発生される。他の出力信号が、試料の温度のような別の特徴に基づいて発生され得る。出力信号に対応して、プロセッサ128は、検体濃度と1つ以上のリスク因子パラメータを決定する。よって、検体濃度を決定するのに使用される同一の出力信号を含む出力信号に対応して、プロセッサ128は、試料中の1つ以上の内在種に関係付けられた1つ以上のリスク因子パラメータを決定できる。検体濃度及びリスク因子パラメータの決定は、出力信号の少なくとも一部分の関数である、バイオセンサシステム100において記憶された1つ以上の検体濃度相関と1つ以上のリスク因子相関とに基づく。
【0036】
バイオセンサシステム100を通して試験片に入力信号を印加することは、標的検体濃度とリスク因子パラメータについての情報を提供する。情報は、バイオセンサシステム100がプロファイルを生成させるために試料を分析するたびにログされ得、例えば記憶媒体134又は遠隔記憶媒体においてログされ得る。プロファイルは、検体濃度とリスク因子パラメータが経時的に追跡されるのを可能にする。したがって、プロファイルは、患者に改善されたヘルスケア管理を提供し、検体濃度単独で、又は検体濃度のログでさえ単独で提供できない洞察を提供できる。
【0037】
図2は、本開示の態様による、図1のシステム100のような電気化学的なバイオセンサシステムに対する例示的な組み合わされた入力信号を示すグラフである。組み合わされた入力信号は、ラベルM、G、及びHctによって表される3つの入力信号を含む。図1のバイオセンサシステム100に関して説明されるように、第1入力信号Mは、作用電極114と対向電極116に渡って印加される一定の電位(電圧)の電気パルス(又は単にパルス)を含む。しかしながら、第1入力信号は、ここで記述されるような作用電極と対向電極を有する任意のバイオセンサシステムへ印加され得る。いくつかの態様において、第1入力信号は、作用電極114を介して試料へ印加される信号に基づいて、作用入力信号として記述され得る。
【0038】
示されるように、第1入力信号Mは6つのパルスを含み、これらは、ここでM、M、M、M、M、及びMのように、グラフ上で左から右に現れる順序で呼ばれる。パルスMは電位0.5ボルト(V)を有し、パルスMは電位0、35Vを有し、そして残りのパルスMからMは電位0.25Vを有する。第1入力信号Mのパルスは、作用電極114を介して1つ以上の試薬へ印加されるので、第1入力信号Mのパルスは一般的に、メディエータ又は別の測定可能な種を通して直接又は間接のいずれかで試料中の検体を探り出す。しかしながら、いくつかの実施形態において、第1入力信号のパルスは、試料中の内在種も探り出すことができる。
【0039】
第2入力信号Gは、定電位のパルスも含む。しかし、図1のバイオセンサシステム100に関して記述されたように、第2入力信号Gのパルスは、素地電極118と対向電極116を渡って印加される。しかし、第2入力信号は、ここで記述される素地電極と対向電極を有する任意のバイオセンサシステムに印加され得る。いくつかの態様において、第2入力信号は素地電極118を介して印加されるので、第2入力信号は素地の入力信号として記述され得る。
【0040】
示されるように、第2入力信号Gは、4つのパルスを含み、これらは、ここでグラフ上で左から右へ現れる順番で、G、G、G、及びGと呼ばれる。パルスGは電位0.25Vを有し、パルスGは電位0.35Vを有し、パルスGは電位0.5Vを有し、パルスGは電位1.0Vを有する。素地電極118は、試料中の標的検体に対応する1つ以上の試薬を含まないので、素地電極118を介して印加された第2入力信号Gのパルスは、一般的に、試料中の作用電極114によって標的とされる標的検体を探り出さない。代わりに、素地電極118を介して印加された第2入力信号Gのパルスは、電気化学的検出窓に渡って、内在種のような試料中の別の種を探り出す。よって、素地電極118に基づく測定は、様々な電位で他の酸化可能な種に対して大抵敏感であるが、第1入力信号Mと作用電極114によって分析される標的検体については敏感ではない。しかしながら、作用電極114に基づく測定は、意図される検体のみでなく、電気化学的検出窓に渡って試料中の他の種を探り出すのに使用され得る。さらに、作用電極114と素地電極118に基づく測定は、電気化学的検出窓に渡って試料中の他の種を探り出すために、組み合わせて使用することができる。
【0041】
第3入力信号Hctは、全血試料の場合において試料のヘマトクリット値を決定するための単一のパルスである。図1のバイオセンサシステム100に関して記述されたように、第3入力信号Hctの単一パルスは、素地電極118と対向電極116と作用電極114との組み合わせに渡って印加された定電圧2.5Vである。代替的に、第3入力信号Hctの単一パルスは代わりに、作用電極114が開状態で、素地電極118と対向電極116とを渡って印加され得る。
【0042】
示されるように、第1及び第2入力信号のパルスは同時ではない(即ち、第1及び第2信号が同時に最大に電位励起されない、又は第1入力信号の最大電圧が第2入力信号のいかなる最大電圧とも重ならない)。さらに、第1入力信号の各パルスは、第1入力信号の次のパルスによって、第2入力信号の1パルス分だけ分離される。同時ではない第1及び第2入力信号のパルスと、第1入力信号のパルスを分離する第2入力信号のパルスとに基づいて、第1及び第2入力信号のパルスは組み合わされるとして記述される。
【0043】
電圧パルスを印加しないとき、作用電極114と素地電極118は、開回路状態にあり得る。よって、第1入力信号のパルスの間、素地電極118は開回路状態にあってもよく、第2入力信号のパルスの間、作用電極114は開回路状態であってもよい。
【0044】
示されるように、第1及び第2入力信号の各パルスに、電気的電位緩和又は単に電位緩和が続く。具体的には、第1入力信号の各パルスには、第1入力信号に対する入力電位なし(又は開回路)のような電位緩和がすぐに続き、第2入力信号の各パルスには、第2入力信号に対してゼロ電位(又は開回路)のような電位緩和が直ちに続く。同一入力信号のパルス間の間隔は、その特定の信号の電位緩和とみなされ得る。すべての入力信号のパルス間の間隔、即ちパルスがないところは、システム100の電位緩和とみなされ得る。よって、第1入力信号のパルスの後、第1入力信号の次のパルスまで、第1入力信号の電位緩和がある。図2に示されるように、第1入力信号のパルスの後、第2入力信号の次のパルスまで、システムの電位緩和がある。第1又は第2入力信号内の電位緩和が続くパルスの組み合わせは、デューティサイクルであり得る。第1及び第2入力信号は、したがって、電位緩和が続くパルスの複数のデューティサイクルを含み得る。
【0045】
電位緩和の間に作用電極114若しくは素地電極118が開状態にあるか、又は、作用電極114及び/若しくは素地電極118に渡ってゼロ電位が印加されるとして記述されているが、作用電極114及び素地電極118の電位緩和は、電極114及び118が開状態にあることを要求しない。いくつかの態様において、作用電極114と素地電極118を通過する電流は、閉状態における電流の少なくとも半分であり、依然として電位緩和期間にあると考えられ得る。代替的に、作用電極又は素地電極は、電極に印加される電位が場合によっては標的検体又は種の酸化還元電位よりも低いときに、電位緩和の期間又は状態にあると見なされ得る。代替的に、作用電極又は素地電極は、電流が電位励起最大値での電流の少なくとも半分に、又は電位励起最大値での電流の流れに対して少なくとも1桁に減少したときに、電位緩和の期間又は状態にあると見なされ得る。
【0046】
さらに、ここで記述され使用される電位緩和は、例えば開回路の場合では、関心ある電極が電位励起に対する入力信号を有しないことを意味し得る。電位緩和は、全体として、バイオセンサシステムがすべての電極に対する入力信号を有しないことも意味し得る。組み合わせの間、1つの電極は電位緩和にあり得るが、他の電極は電位励起にあり、逆もまた同様である。しかしながら、バイオセンサシステムは、両方の電極(又は、2より多い電極の場合にはすべての電極)が電位緩和になるまで、電位緩和になることができない。標的検体に対して加えられた化学試薬を有する作用電極について、その特定の電極に対する電位緩和は、測定可能な種が、外部作用、例えば電気化学的反応なしに、酵素活性化化学反応から発生されるインキュベーション時間である。標的検体に対して付加された化学試薬を有しない作用電極について、以下で詳細に議論するように、電極の電位緩和時間は、電極への信号の入力の間、すべての電気化学的活性種(酸化可能及び還元可能)が空乏層への拡散によって補充されたときである。
【0047】
各パルスならびに各電位緩和は幅を有し、それぞれパルス幅と電位緩和振幅とも呼ばれる。パルスと電位緩和の対は、デューティサイクルを定義する。各デューティサイクルについて、組み合わされたパルス幅と電位緩和振幅は、デューティサイクル幅又はデューティサイクル周期である。第1入力信号のパルスに対するパルス幅は、すべて同じ幅を有するか、すべて異なる幅を有するか、又は同じ幅と異なる幅の組み合わせを有し得る。同様に、第1入力信号の電位緩和に対する電位緩和振幅は、すべて同じ幅を有するか、すべて異なる幅を有するか、又は同じ幅と異なる幅の組み合わせを有し得る。第1入力信号のデューティサイクルのパルス幅と電位緩和振幅は、同じ幅であるか、又は異なる幅であり得る。加えて、第1入力信号のデューティサイクル幅又は周期は、同じ幅であるか、又は異なる幅であり得る。
【0048】
同様に、第2入力信号のパルスに対するパルス幅は、同じ幅を有するか、すべて異なる幅を有するか、又は同じ幅と異なる幅の組み合わせを有し得る。同様に、第2入力信号の電位緩和に対する電位緩和振幅は、すべて同じ幅を有するか、すべて異なる幅を有するか、又は同じ幅と異なる幅の組み合わせを有し得る。第2入力信号のデューティサイクルのパルス幅及び電位緩和振幅は、同じ幅であってもよく、又は異なる幅であってもよい。さらに、第2入力信号のデューティサイクルの幅又は周期は、同じ幅であるか、又は異なる幅であってもよい。再び、いくつかの態様にしたがうと、第1及び第2入力信号への最大電気エネルギーの印加は、同時ではないように起きる。強調されることは、本開示にしたがって電極に印加される電気エネルギーが、必ずしも任意の特定の形、振幅、又は持続時間に限定されないことである。
【0049】
図2で示される第1信号について、パルスM及びMのパルス幅は0.2秒であり、パルスM、M、M、Mのパルス幅は0.25秒である。第2入力信号について、パルスG、G、G、及びGに対するパルス幅は0.2秒である。第1入力信号の電位緩和振幅は、それぞれパルスM~Mの後、0.2秒、0.35秒、0.35秒、0.35秒、及び0.35秒である。第2入力信号の電位緩和振幅は、それぞれパルスG~Gの後、0.4秒、0.4秒、0.4秒、及び0.35秒である。ヘマトクリットパルスのパルス幅は0.2秒である。
【0050】
図3は、本開示の態様による、図1のシステム100のような電気化学的バイオセンサシステムに対する例示的な組み合わされた入力信号を示す別のグラフである。上記の図2のように、図3は、ラベルM、G、及びHctによって表される3つの入力信号を示す。図1のバイオセンサシステム100に関して記述されるように、第1入力信号Mは、作用電極114と対向電極116に渡って印加される定電位のパルスを含む。しかしながら、第1入力信号は、ここで記述される作用電極と対向電極で任意のバイオセンサシステムに印加され得る。いくつかの態様において、第1入力信号は、作用電極114を介して試料に印加されている信号に基づいた作用入力信号として記述され得る。
【0051】
示されるように、第1入力信号Mは6つのパルスを含み、これらのパルスは、M、M、M、M、M、及びMとして、グラフの左から右に現れる順序で呼ばれる。パルスMは電位0.5ボルト(V)を有し、パルスMは電位0、35Vを有し、残りのパルスMからMは電位0.25Vを有する。第1入力信号Mのパルスは、1つ以上の試薬を有する作用電極114を介して印加されるので、第1入力信号Mのパルスは、一般的に、メディエータ又は別の測定可能な種を通して直接又は間接のいずれかで、試料中の検体を探り出す。
【0052】
第2入力信号Gは、定電位のパルスも含む。図1のバイオセンサシステム100に関して記述されるように、第2入力信号Gのパルスは、素地電極118と対向電極116に渡って印加される。しかしながら、第2入力信号は、ここで記述された素地電極及び対向電極で任意のバイオセンサシステムに印加され得る。いくつかの態様において、第2入力信号は素地電極118を介して印加されるので、第2入力信号は素地入力信号として記述され得る。
【0053】
示されるように、第2入力信号Gは6つのパルスを含み、これらのパルスは、G、G、G、G、G、及びGのように、グラフの左から右に現れる順序で呼ばれる。パルスGは電位0.25Vを有し、パルスGは電位0.35Vを有し、パルスGは電位0.5Vを有し、パルスGは電位1.0Vを有し、パルスGは電位1.3Vを有し、パルスGは電位1.5Vを有する。素地電極118は、試料中の標的検体に対応する1つ以上の試薬を含まないので、素地電極118を介して印加される第2入力信号Gのパルスは、一般的に、試料中で作用電極114によって標的にされる標的検体を探り出さない。代わりに、素地電極118を介して印加される第2入力信号Gのパルスは、電気化学的検出窓に渡って、内在種のような試料中の他の種を探り出す。よって、素地電極118に基づく測定は、様々な電位で他の酸化可能な種について大抵敏感であるが、グルコースのような、第1入力信号Mと作用電極114によって分析される標的検体には敏感ではない。しかしながら、上記で議論されるように、作用電極114に基づく測定は、電気化学的検出窓を渡って、意図される検体のみでなく試料中の他の種を探り出すのにも使用され得る。さらに、作用電極114と素地電極118に基づく測定は、電気化学的検出窓を渡って、試料中の他の種を探り出すのに組み合わせて使用され得る。
【0054】
図2及び図3は、試料から1つ以上のリスク因子パラメータを決定するとともに、試料中の検体、例えば血液試料中のグルコースを測定するのに使用され得る入力信号のほんの2つの例を示すに過ぎない。より一般的な場合において、第1及び第2入力信号は、より少ないパルスを有し得る一方、組み合わされた第1及び第2入力信号を依然として含んでいる。また、他の入力信号が本開示の精神及び範囲から逸脱することなく使用することができ、他の入力信号は、異なるバイオセンサシステムを使用して印加され得る。例えば、作用入力信号と素地入力信号は、組み合わされていない配置で印加され得る。代替的に、作用及び素地入力信号のうちの1つのみが印加され得る。例えば、バイオセンサシステムは、作用電極又は素地電極が無くてもよく、入力信号が素地電極又は作用電極のうちの残る1つのみを介して印加される。よって、本開示は、組み合わされた作用及び素地入力信号のみに限定されるものではなく、バイオセンサシステム100を使用して印加されることのみに限定されるものではない。よって、様々な内在種の検出は、作用及び/又は素地電極からの入力及び出力に依拠し得る。様々な内在種の検出はまた、1つ以上の特定の電圧で入力パルスに依拠してもよく、1つ以上のパルス電流減衰挙動、及び/又は、様々なパルスからの中間電流に依拠してもよい。そうするために、1つ以上の出力信号が、入力信号に対応して測定される。
【0055】
図4は、本開示の態様による、図2の第1及び第2入力信号に対応して測定された第1及び第2出力信号を示すグラフである。プロットされた値は、mVの未処理信号ユニットにおいて記録された電流であり、これは既知の電気的ゲインを有するμAの電流ユニットに比例する。それぞれの電極対を渡って印加される、定電圧である第1及び第2入力信号に基づいて、第1及び第2出力信号は、第1及び第2入力信号に応答して試料の結果として生じる出力電流の電流測定の測定値(amperometric measurements)を表す。しかしながら、入力信号は印加され、結果として対応する出力信号の電圧測定の測定値(voltammetric measurements)になり得る。任意の数の電流測定値又は値は、第1及び第2入力信号のパルスのそれぞれの1つに対応して測定され得る。説明の利便性のため、図4に示されるように、以下で説明される特定数の電流は、第1及び第2入力信号のパルスに対応して測定されたものである。
【0056】
第1出力信号に関して、4つの出力電流が、最初の2つのMパルス、ΜとMに対応して測定され、5つの出力電流が、最後の4つのMパルスM~Mに対応して測定された。これらの出力電流は、スキームiMN,Lにしたがって指定され、ここで、iは電流を表し、Mは電流が第1入力信号に対応することを表し、Nは入力信号のパルス数を表し、そしてLは電流又はその特定のパルス数に対する測定数を表す。よって、例えば、iM1,1は、第1入力信号の第1パルスに対する第1電流を表し、iM6,5は、第1入力信号の第6パルスに対する第5電流を表す。
【0057】
第2出力信号に関して、4つの電流が、最初の4つのGパルス、G~Gに対応して測定された。これらの電流は、スキームiGN,Lにしたがって指定され、ここで、iは電流を表し、Gは、電流が第2入力信号に対応することを表し、Nは入力信号のパルス数を表し、Lは電流又はその特定のパルス数に対する測定数を表す。よって、例えば、iG2,2は、第2入力信号の第2パルスの第2電流を表し、iG3,4は、第2入力信号の第3のパルスの第4の電流を表す。
【0058】
第3入力信号のヘマトクリット決定に関して、4つの電流値が単一のパルスHctに対応して測定された。これらの電流は、スキームiHct,Lにしたがって指定され、ここで、iは電流を表し、Hctは電流がヘマトクリット値に関連付けられていることを表し、Lはヘマトクリットパルスに対する電流又は測定番号を表す。
【0059】
素地電極118は、濃度を測定しようとする標的検体の酸化又は還元を促進する試薬を有しないので、電流の測定値は、図4に示されるように、第2入力信号に対応して比較的一定であった。代わりに、電流の測定値は、内在種のような、検体の酸化に無関係な試料中の種の大部分を示した。さらに、第2入力信号に対して変化する電位で電圧パルスを試料に印加することにより、内在種のような、様々な電位で酸化可能な種をサンプリングした。したがって、第2入力信号の間、素地電極118の電圧パルスは、第1入力信号の間に作用電極114によって感知された検体とは異なる全血試料中の試料の種を感知し、変化する電位パルスを通して、内在種を探り出すことを含む、全血環境プロファイルをプローブする。しかしながら、作用電極114の電圧パルスも全血試料中の内在種を探り出すことができる。
【0060】
前述の測定にしたがうと、第1及び第2入力信号は、単独又は組み合わせての使用のいずれでも、リスク因子パラメータを発生するのに使用され得る。リスク因子パラメータは、試料中の内在種の存在を決定し、場合によっては内在種の濃度との関連を示すか、又は決定さえする。リスク因子パラメータは、探り出される特定の内在種に依存する様々なタイプのパラメータであり得る。例えば、場合によっては、第1出力信号と第2出力信号の1つ以上の電流は、リスク因子パラメータであり得る。さらに又は代替として、第1出力信号の、第2出力信号の、及び/又は第2出力信号に対する第1出力信号の電流の比は、リスク因子パラメータであり得る。第1又は第2出力信号に基づくリスク因子パラメータは、パルス内比又はパルス間比に基づくことができる。
【0061】
パルス内比は、同じパルスに対応する電流の測定値に基づく比である。例えば、第1出力信号の電流の測定値に基づくパルス内比は、スキームR=iMN,nth/iMN,1stにしたがって指定される。ここで、Rは、第1出力信号のパルスNに対するパルス内比を表し、nthはパルスNに対する最後の電流を表し、1stはパルスNに対する最初の電流を表す。再び図4を参照すると、一例として、第1出力信号は、第1入力信号の6つのパルスに対して、R=iM1,4/iM1,1、R=iM2,4/iM2,1、R=iM3,5/iM3,1、R=iM4,5/iM4,1、R=iM5,5/iM5,1、及びR=iM6,5/iM6,1の6つのパルス内比を含む。
【0062】
第2出力信号の電流の測定値に基づくパルス内比は、スキームRG=iGN,nth/iGN,1stにしたがって指定される。ここで、RGは、第2出力信号のパルスNに対するパルス内比を表し、残りの変数は、第1出力信号のパルス内比について上記で挙げられたものと同様の値を表す。再び図4を参照すると、第2出力信号は、第2出力信号の4つのパルスに対して、RG=iG1,4/iG1,1、RG=iG2,4/iG2,1、RG=iG3,4/iG3,1、及びRG=iG4,4/iG4,1の4つのパルス内比を含む。
【0063】
パルス間比は、同じ信号であるが信号内の異なるパルスに対応する電流の測定値に基づく比である。例えば、第1出力信号の電流の測定値に基づくパルス間比は、スキームRNO=iMN,nth/iMO,nthにしたがって指定される。ここで、RNOは、第1出力信号のパルスOに対するパルスNのパルス間比を表し、nthは、パルスNとパルスOの両方に対する最後の電流である。図4を参照すると、第1出力信号は、R21=iM2,4/iM1,4、R31=iM3,5/iM1,4、R32=iM3,5/iM2,4、R41=iM4,5/iM1,4、R42=iM4,5/iM2,4、R43=iM4,5/iM3,5、R51=iM5,5/iM1,4、R52=iM5,5/iM2,4、R53=iM5,5/iM3,5、R54=iM5,5/iM4,5、R61=iM6,5/iM1,4、R62=iM6,5/iM2,4、R63=iM6,5/iM3,5、R64=iM6,5/iM4,5、及びR65=iM6,5/iM5,5のパルス間比を含む。他のパルス間比のタイプは、パルスの最初の電流と別のパルスの最後の電流との比、及びパルスの最後の電流と別のパルスの最初の電流との比などを含み得る。これらのパルス間比のタイプの例は、R’21=iM2,1/iM1,4、及びR”21=iM2,4/iM1,1である。
【0064】
第2出力信号の電流の測定値に基づくパルス間比は、スキームRGNO=iGN,nth/iGO,nthにしたがって指定され、ここで、RGNOは、第2出力信号のパルスOに対するパルスNのパルス間比を表し、残りの変数は、第1出力信号のパルス内比について上に挙げた値を表す。図4を参照して、第2出力信号は、RG21=iG2,4/iG1,4、RG31=iG3,5/iG1,4、RG32=iG3,5/iG2,4、RG41=iG4,5/iG1,4、RG42=iG4,5/iG2,4、RG43=iG4,5/iG3,5、RG51=iG5,5/iG1,4、RG52=iG5,5/iG2,4、RG53=iG5,5/iG3,5、RG54=iG5,5/iG4,5、RG61=iG6,5/iG1,4、RG62=iG6,5/iG2,4、RG63=iG6,5/iG3,5、RG64=iG6,5/iG4,5、及びRG65=iG6,5/iG5,5のパルス間比を含む。
【0065】
第1及び第2出力信号に基づく比は、組み合わされたパルス比と見なされる。第1出力信号と第2出力信号の電流の測定値に基づく組み合わされたパルス比は、スキームM=iMN,nth/iGN,nthにしたがって指定され、ここで、Mは、第1出力信号のパルスN、Gは、第2出力信号のパルスOであり、nthは、パルスN又はOに対する最後の電流の測定値を表す。よって、例えば、組み合わされたパルスは、M=iM1,4/iG1,4、M=iM1,4/iG2,4、M=iM1,4/iG3,4、M=iM1,4/iG4,4、M=iM2,4/iG1,4、M=iM2,4/iG2,4、M=iM2,4/iG3,4、M=iM2,4/iG4,4、M=iM3,5/iG1,4、M=iM3,5/iG2,4、M=iM3,5/iG3,4、M=iM3,5/iG4,4、M=iM4,5/iG2,4、M=iM4,5/iG2,4、M=iM4,5/iG3,4、M=iM4,5/iG4,4、M=iM5,5/iG1,4、M=iM5,5/iG2,4、M=iM5,5/iG3,4、M=iM5,5/iG4,4、M=iM6,5/iG1,4、M=iM6,5/iG2,4、M=iM6,5/iG3,4、及びM=iM6,5/iG4,4を含むことになる。
【0066】
よって、第1及び第2出力信号に対するパルス内比及びパルス間比、並びに第1及び第2出力信号間の組み合わされたパルス比のうちの1つ以上は、内在種の存在の決定で使用されるリスク因子パラメータであり得る。これらのリスク因子パラメータは、以下でさらに議論されるように、内在種の濃度に相互に関連することができ、検体濃度に関連する医学的症状、例えば糖尿病治療管理、又は他の症状、例えば痛風を追跡してモニタリングするようにログされ得る。
【0067】
図4と同様に、図5Aは、本開示の態様による、グルコース80mg/dLを有する全血試料(例えば、全血試料シリーズ1~4)に印加される図3のMパルスに対する例示的な応答を示す。プロットされた値は、mVの未処理信号ユニットにおいて記録された電流であり、これは既知の電気的ゲインを有するμAの電流ユニットに比例する。6つのMパルスM~Mに対応して、4つの電流測定がパルスMとMに対してとられ、5つの電流測定がパルスM~Mに対してとられる。Mパルス6の終了電流、又は他のパルスの電流が、グルコース濃度の決定のための代表的な信号として使用され得る。変換関数と補償方法、例えば米国特許出願第12/329,698号及び米国特許出願第13/117,872号で開示された傾きベースの補償は、このそれぞれが参照によってその全体が本明細書に組み込まれ、米国特許出願第13/153,793号で開示された複雑なインデックス補償は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれ、及び/又は米国特許出願第13/053,722号で開示された残余誤差補償は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれるとともに、Gパルスからの組み合わされた又は分離された電流測定を使用して、グルコースを表す信号と中間信号から正確なグルコース値が決定され得る。図5Bは、同じベースライングルコースを有する全血試料に印加される図3のGパルスに対する例示的な電流応答を示す。6つのGパルスG~Gに対応して、4つの電流測定がパルスG~Gに対してとられ、2つ及び3つの電流測定がパルスG5及びG6に対してそれぞれとられる。同じパルス間比及びパルス内比は、図4に関して上記で議論されたように、図5で示される電流測定値から決定され得る。
【0068】
図2~5は、第1及び第2入力信号と、対応する第1及び第2出力信号との多くの可能性あるプロットのうちの2つのみを示す。第1及び第2入力信号と、結果となる第1及び第2出力信号の特徴は、上述された変動のいずれかにしたがって変化され得る。さらに、図2図5で示された入力及び出力信号は説明の目的であり、限定することを意味するのではない。ここで記述されたリスク因子パラメータは、開示された入力及び出力信号全体を印加及び/若しくは測定することなしに決定され得るか、又は、異なる入力及び/若しくは出力信号を印加することによって決定され得る。
【0069】
内在種に対する出力信号からリスク因子パラメータを決定することに適用されるとき、一般的に、Gパルスからの結果となる3つの基本的な電流プロファイルがあり得る。(1)内在種の直接酸化の結果として低電圧及び高電圧での正電流を有するもの、(2)低電圧から中電圧での直接酸化電流を有しない又は乏しく、有限量の高い電圧での正酸化電流のみを有するもの、並びに(3)直接酸化ではないがパルス内の電流減衰プロセスに影響する電流を有するもの、及び/又はより高い電圧での相当量の種を有しない電流と比較して電流のわずかな低下を有するもの。尿酸は、第1のタイプの内在種に関係付けられた第1の電流プロファイルを代表する。ベータヒドロキシ酪酸は、第3のタイプの内在種に関係付けられた第2の電流プロファイルを代表する。トリグリセリドは、第3のタイプの内在種に関係付けられた第2の電流プロファイルの代表である。それぞれのタイプのものが、以下でさらに詳細に議論される。
【0070】
2つの研究が行われ、内在種、具体的には尿酸の濃度に関連付けられたリスク因子パラメータを決定する能力を示した。異なる研究において、固定されたベースライングルコース濃度、例えば60、80、300、400、及び550mg/dLを有する全血試料の中に、濃縮された尿酸溶液を加えた。Gパルスからの応答電流はその後、ベースライン電流と比較された。研究1は、ベースライングルコース濃度80及び300mg/dLを含み、尿酸濃度0、5、10、20、及び30mg/dL、ヘマトクリット値42%、及び温度22±2℃(RT)を付加した。研究2は、ベースライングルコース濃度60及び400mg/dLを含み、尿酸濃度0、5、及び15mg/dL、ヘマトクリット値25、42及び55%、並びに、標的研究温度22±2℃(RT)を付加した。
【0071】
図6を参照すると、図3の入力信号に対応する付加された尿酸濃度0、5、10、20、及び30mg/dLを含有する試料に対して、平均Gパルスの直流プロファイルが示されている。印加される電圧がGパルス1、2、3、4、5、及び6にそれぞれ対応して、0.25Vから0.35V、0.5V、1.0V、1.3V、及び1.5Vに漸進的に高まるにとともに、応答電流は増大する。(尿酸が付加されていない)ベースライングルコースからの電流プロファイルの一番上で、電流の増大は、Gパルス3及び4について可視であるが、Gパルス5及び6では、明らかな増加は少ないか、又は見られない。この理由は、一つには、尿酸は0.5Vのより低い電圧で酸化し始めるが、多くの他の酸化可能な種も酸化されるとき、より高い電圧(例えば、1.3V及び1.5V)では、差が見えづらいからである。
【0072】
図7は、付加された異なる尿酸値の結果である個々の電流からブランク電流が差し引かれたときの結果を示す。したがって、図7に示されているのは、現在の尿酸からの結果のみであり、図6におけるものよりも結果が見やすい。最初のパルスに関わらず、0.5Vでの、及び0.5V後のGパルスに対する終了電流は、実質的には同じである。これは、0.5Vで開始する尿酸に対する拡散律速酸化プラトーの反映である。尿酸に対する拡散律速電流は基本的に、0.5Vで及び0.5V後、変化されない。図面において実証されるように、尿酸は0.35Vで部分的に酸化される。したがって、0.5VでのGパルスに基づく電流とパルス内及びパルス間比は、他のパルスに加えて、試料中の尿酸の濃度に対応するパルスに基づく尿酸に関係付けられたリスク因子パラメータを発生させるために使用され得る。リスク因子パラメータは、直流(図6)又はベースライン補正された電流(図7)に基づいて、電流とパルス内又はパルス間比とから発生され得る。
【0073】
具体的に、図8は、研究1からのデータによる3つの電流比iG2-4、iG3-4、及びiG4-4についての相関プロットを示す。図9は、3つのヘマトクリット値での研究2からの電流iG3-4に対する相関プロットを示す。図10は、尿酸-Hct研究に対する、血漿尿酸濃度と、付加された全血尿酸濃度の相関を示す。直流iG2-4、iG3-4、及びiG4-4が測定されて示され、付加された尿酸濃度と相関された。具体的に、図8に示されるように、電流iG3-4及びiG4-4は非常に類似した感度(相関傾き)で、付加された尿酸濃度との高い相関を与えた。電流iG2-4は、他の2つと比較してより感度が低く、相関係数のR値は、0.35Vでの部分的な酸化のみによるもので強くなかった。さらに、可能性ある他の種の酸化のせいで、1.0Vでの電流iG4-4は、はるかに高い妨害を与えた。他方で、電流iG3-4は、はるかに低い妨害と同じ感度を有したので、したがって尿酸に対する代表的な信号として、より好ましいものであった。3つのすべての電流が尿酸に対するリスク因子パラメータとして使用され得る。
【0074】
パルス間比電流から計算されるリスク因子パラメータ、例えばRG24(即ち、iG2-4/iG4-4)、及びRG34(即ち、iG3-4/iG4-4)も使用され得る。図11は、本開示の態様による、上記の研究1から付加された尿酸濃度との、パラメータRG24及びRG34の相関プロットを示す。図12は、本開示の態様による、試験室Hct研究及びドナー研究の試料から決定された血漿尿酸濃度との、パラメータRG34の相関プロットを示す。iG4-4によって正規化されたiG2-4及びiG3-4のそれらの対応物に対して、RG34は、RG24よりも感度が高くあり続けるが、図9における直流相関と比較して、RG34は、ヘマトクリットよりも感度が低いことが示される。Gパルス電流を含むパラメータのなかでも、RG34は、尿酸濃度との最も強い相関を示す最も高いR値を有した。図12は、内的ドナー研究の全血試料からのRG34パラメータが、3つのヘマトクリット値(25、42、及び55%)での、及びベースライングルコース(60及び400mg/dL)に対する、尿酸の試験室Hct研究から得られた傾向線と一致することを示す。
【0075】
2つの研究が行われ、トリグリセリドの濃度に関連付けられたリスク因子パラメータを決定する能力を示した。研究1は、ベースライングルコース濃度80及び240mg/dLを含み、尿酸濃度0及び5mg/dLを付加し、各グルコース/尿酸値に対してトリグリセリド濃度0、250、500、750、及び1000mg/dL、ヘマトクリット値42%、及び温度22±2℃(RT)を付加した。研究2は、ベースライングルコース濃度80及び300mg/dLを含み、各ベースライングルコース濃度に対して、トリグリセリド濃度0、100、200、400、及び750mg/dL、ヘマトクリット値42%、及び、研究温度22±2℃(RT)を付加した。
【0076】
図13を参照すると、図3の入力信号に対応して、トリグリセリド濃度0、250、500、750、及び1000mg/dLを含有する試料に対して、平均Gパルスの直流プロファイルが示されている。図14は、図13におけるベースライン補正電流プロファイルを示す。図13で示されるように、応答電流は、印加される電圧が増大するとともに漸進的に増大する。しかしながら、図14で示されるように、電流差のプロファイルは、付加されたトリグリセリド量に対応する増加を示さない。代わりに、わずかな変化が、後のGパルス(例えば、1.0V、1.3V、及び1.5V)で起きる。例えば、Gパルス4での減衰挙動は、(トリグリセリドが付加されない)ベースライン電流に関して付加されたトリグリセリド量に対応して変化する。さらに、Gパルス5及び6はそれぞれ、ベースライン電流に関するいくつかの負の変化を有する。これらの挙動は、大きな分子、例えばトリグリセリドやコレステロールについて典型的であり、ここで直接酸化部位は容易に得られない。パルス減衰を記述するパラメータが使用され、トリグリセリドの存在を示した。
【0077】
したがって、後のGパルス(例えば、1.0V、1.3V、及び1.5V)に基づくパルス内及びパルス間比は、トリグリセリドに関係付けられたリスク因子パラメータを発生するために使用され得る。リスク因子パラメータは、直流(図13)又はベースライン補正された電流(図14)に基づくパルス内又はパルス間比から発生され得る。さらに、リスク因子パラメータは、内在種間で変化し得る。例えば、このような直接パラメータの1つは、RG4(即ち、iG4-4/iG4-1)であった。図15は、血漿トリグリセリド濃度に対するRGとRG34(即ち、iG3-4/iG4-4)のプロットを示す。このプロットから、強い尿酸を示すパラメータRG34がトリグリセリドに応答しなかったことが見られ得る。
【0078】
1つの研究が行われ、3-ヒドロキシ酪酸の濃度に関連付けられたリスク因子パラメータを決定する能力を示した。経時的に、遅い時間変化で変化する量で血中に常に存在する尿酸及びトリグリセリドと比較して、3-HBAだけは、ケトアシドーシスの兆候において急上昇するが、これは糖尿病の多くの人々にとって稀であるか、又はあり得ない。したがって、3-HBAに関連付けられたリスク因子パラメータをモニタリングする値は、異常に高い3-HBA値(>3mmol)による、生命を脅かす恐れのある事象について時宜を得た警告を提供することになるだろう。研究は、ベースライングルコース濃度80及び300mg/dLを使用して行われ、各ベースライングルコース濃度に対して、3-ヒドロキシ酪酸濃度0、0.5、0.98、2.94、及び5.58mmol、ヘマトクリット値42%、温度22±2℃(RT)を付加した。
【0079】
図16を参照すると、図3の入力信号に対応して、3-ヒドロキシ酪酸0、0.5、0.98、2.94、及び5.88mmolの濃度を含有する試料に対する平均Gパルスの直流プロファイルが示されている。示されるように、平均Gパルスの直流プロファイルは、ほとんど変化を示さない。図17は、付加された3-ヒドロキシ酪酸での電流からベースライン電流を差し引く際、より高い電圧パルス(例えば、1.3V及び1.5V)で正の酸化電流が可視であることを示す。
【0080】
結果は、全血試料への3-HBAの付加に対応する正電流iG6-3であった。一方、正電流は3-HBAの存在の表示を提供し得、iG6-3/iG4-4の比をとって、RG64の低減されたロット間及びセンサ間変動を作る。したがって、1.3V及び1.5VでのGパルスに基づくパルス内比又はパルス間比は、試料中の3-ヒドロキシ酪酸の濃度に応答して、1.3V及び1.5VでのGパルスに基づいた3-ヒドロキシ酪酸に関係付けられたリスク因子パラメータを発生するために使用され得る。さらなるリスク因子パラメータが、直流(図16)又はベースライン補正された電流(図17)に基づいたパルス内比又はパルス間比から発生され得る。
【0081】
図18は、本開示の態様による、2つのベースライングルコース濃度での応答曲線/線を示し、これらの両方が、パラメータRG64と付加された3-ヒドロキシ酪酸濃度との間の良い相関を与えた。図19は、本開示の態様による、直接RG64パラメータと比較した、正規化されたRG64値(NRG64)対、付加された3-ヒドロキシ酪酸を示す。NRG64パラメータは、RG64パラメータに対するグルコース依存を実質的に取り除いた。リアルタイムの検出におけるRG64のグルコース依存の正規化に対するグルコース濃度は、BGMグルコース読み取りと置き換えられ得る。図20は、3-HBAに対するRG64応答曲線/線のグルコース依存に対する正規化関数を示す。このような正規化は米国特許出願第14/774,617号において開示され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ得る。
【0082】
したがって、試料中の関係付けられた内在種の様々なリスク因子パラメータを使用して、そうでなければ従来のバイオセンサシステムを使用して失われる情報が試料から抽出され得る。情報は、経時的に1つ以上のリスク因子パラメータに加えて、経時的な検体濃度、例えばグルコース濃度を示す患者プロファイルを生成するのに使用され得る。リスク因子パラメータは、試料が回収されたユーザに関係付けられたリスク因子についての付加的な情報を提供する。付加的な情報は、他の用途の中でもとりわけ、ユーザの健康をモニタリングし、ある医学的症状を診断し、ある医学的症状を発展させるリスクを決定するために、ユーザ又は医療従事者によって使用され得る。
【0083】
図21は、本開示の態様による、試料を電気化学的に分析して、特に分析の間にリスク因子パラメータを決定するためのプロセス2100のフローチャートである。プロセス2100は、上記で議論されたバイオセンサシステム100のようなバイオセンサシステムによって実行され得る。特定の態様において、プロセス2100を実行するバイオセンサシステムは、血液試料中のグルコース濃度を決定するためのデバイス、例えば血糖モニタ装置、連続グルコースモニタなどであり得る。
【0084】
ステップ2102で、上記の概念にしたがって、入力信号が電極を介して試料に印加される。入力信号は少なくとも1つの電位励起を有する。上記で議論されたように、試料は全血であり得る。しかしながら、試料は他の任意の生物学上の試料であり得る。
【0085】
少なくとも1つの電位励起は、電流測定の電位励起又は電圧測定の電位励起であり得る。いくつかの実施形態において、入力信号は、試薬を有する電極を介して試料に印加され得る。例えば電極は、試料中の検体の、試料中の少なくとも1つの他の種の、又はこれらの組み合わせの酸化を促進する試薬を含み得る。いくつかの実施形態では、入力信号は、試薬を欠く電極を介して試料に印加され得る。例えば電極は、試料中の任意の種の酸化を促進する任意の試薬を除き得る。
【0086】
いくつかの実施形態において、入力信号は、試薬を有する電極と試薬を欠く電極の両方を介して試料に印加され得、例えば入力信号が、試薬を有する電極を介して印加される入力信号部分と試薬を欠く電極を介して印加される入力信号部分とを有する場合、又は入力信号が複数の信号から成る場合である。例えば、いくつかの実施形態で、入力信号は、試薬を有する第1電極を介して印加され、第2入力信号と組み合わされ、試薬を欠く第2電極を介して印加される第1入力信号であり得る。組み合わせることは、第1入力信号の少なくとも1つの電位励起が第2入力信号の少なくとも1つの電位励起と同時ではないように、第1電極を介して少なくとも1つの電位励起電位緩和を有する第1入力信号を試料に印加することと、第2電極を介して少なくとも1つの電位励起電位緩和を有する第2入力信号を試料に印加することを含み得る。
【0087】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの電位励起の電位は、試料中の少なくとも1つの種の量に対応するように選択され得る。いくつかの実施形態で、少なくとも1つの電位励起の電位は、少なくとも1つの種の酸化電位、少なくとも1つの電位励起に対応する電流測定値の減衰率、又はこれらの組み合わせに基づいて選択され得る。
【0088】
ステップ2104で、入力信号に対応する出力信号が測定される。いくつかの実施形態において、例えば入力信号の少なくとも一部分が、検体に特有の試薬を有する電極を介して印加されるとき、出力信号は試料中の検体濃度に応答し得る。いくつかの実施形態で、例えば入力信号のどの部分も検体に特有の試薬を有する電極を介して印加されないとき、出力信号は試料中の検体濃度に対応しない。さらに、入力信号の少なくとも1つの電位励起について、出力信号を発生する際に1つ以上の電流が測定され得る。例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10又はそれ以上の出力電流が、入力信号の少なくとも1つの電位励起に対応して測定され得る。
【0089】
ステップ2106で、試料中の検体濃度が出力信号に基づいて決定される。濃度は、当技術において周知の様々な技術にしたがって決定され得る。例えば、出力信号に基づいて検体濃度を決定するために、出力信号は、1つ以上の基準相関に、1つ以上のエラー補償に、及び/又は1つ以上のエラー検出にしたがって分析され得る。
【0090】
ステップ2108で、検体以外の試料中の少なくとも1つの種に関係付けられた少なくとも1つのリスク因子パラメータが、上記で開示された態様によって決定される。その少なくとも1つの種は、試料中で見つけられた内在種であり、検体以外の種である。例えば内在種は、尿酸、コレステロール、トリグリセリド、アセトアミノフェン、アスコルビン酸、ビリルビン、ドーパミン、ヘモグロビン、キシロース、及び/又は3-ヒドロキシ酪酸、又は血液試料のような試料において見つけられ得る他の種である。
【0091】
上記で議論された少なくとも1つの電位励起の電位が内在種にしたがって選択される場合、少なくとも1つの電位励起は、少なくとも1つの種が尿酸であるとき、一定の電位約0.35Vから約0.5Vを有し得る。代替的に少なくとも1つの電位励起は、少なくとも1つの種がトリグリセリドである場合、一定の電位約1Vから約1.5Vを有し得る。代替的に少なくとも1つの電位励起は、少なくとも1つの種が3-ヒドロキシ酪酸であるとき、一定の電位約1.3Vから約1.5Vを有し得る。
【0092】
出力信号が、少なくとも1つの電位励起対応する複数の電流測定値を含む実施形態において、少なくとも1つのリスク因子パラメータの決定は、複数の電流測定値のうちの少なくとも1つの電流測定値、複数の電流測定値のうちの2つの電流測定値の比、又はそれらの組み合わせに基づいてもよい。いくつかの特定の実施形態で、2つの電流測定値は、複数の電流測定値の最後の電流測定値と、複数の電流測定値の最初の電流測定値であり得る。例えば、2つの電流測定値は、少なくとも1つの電位励起の同じ電位励起に対応し得る。代替的に、2つの電流測定値は、少なくとも1つの電位励起の2つの異なる電位励起に対応し得る。
【0093】
いくつかの実施形態で、プロセス2100は、複数の分離試料に対して経時的にステップ2102から2108を繰り返すことをさらに含んでもよく、患者プロファイル中で複数の試料に対する検体濃度及び少なくとも1つのリスク因子パラメータをログすることをさらに含み得る。患者プロファイルから少なくとも1つのリスク因子パラメータのログにおいて、1つ以上の傾向が決定されてもよく、傾向は少なくとも1つの種に関係付けられた医学的症状の進行を示し得る。いくつかの実施形態では、バイオセンサシステムは、少なくとも1つのリスク因子パラメータがしきい値を満たすことを示すことを提供し得る。しきい値は、医学的症状の進行と関係付けられ得る。例えば、しきい値は、医学的症状の関係付けられた進行、表示、又はこれらの組み合わせであり得るので、しきい値を満たすこと又は満たさないことが、医学的症状の進行、表示、又はこれらの組み合わせを示す。例えば、バイオセンサシステムは、リスク因子パラメータが設定限度外となった場合、ユーザに警告を提供し得る。3-HBAに適用されるとき、このような限度は、全血中の3-HBAの値が1mmol/Lよりも大きい場合に注意を要求し、注意は、医師に同じことを報告し得、又は、このような限度が3-HBAの値が3mmol/Lよりも高い場合、注意は、緊急の医療処置を仰ぐこと(例えば救急処置室に行くこと)となり得る。
【0094】
前述に基づいて、例として糖尿病に適用されるとき、グルコース濃度と1つ以上のリスク因子パラメータの決定を含む全血プロファイリングの機能を有するグルコースをモニタリングするためのバイオセンサシステムが、糖尿病治療管理を向上させるだろう。具体的に、バイオセンサシステムは、全血中グルコース読み取りとともにリスク因子パラメータに関して、全血プロファイルを記憶し得る。したがって、例えば%-Hct、尿酸、及びコレステロール、又はそれらのリスク因子パラメータのうちの1つ以上のような内在種の決定された濃度を、決定されたグルコース濃度とともに報告することは、ユーザの長期的な全血プロファイルを提供して、進行性の変化又はこれらの欠乏を経時的に反映し、したがって糖尿病治療/管理に有益である。例として、記録された/ログされた決定されたパラメータは、グルコース、%-Hct(iH-4電流によって簡潔に)、iG2-4、iG3-4、iG4-4、iG5-2、iG6-3、RG34、RG、NRG64であり得る。別の例において、記録された/ログされたパラメータは、グルコース、%-Hct(iH-4電流によって簡潔に)、iG3-4、iG4-4、iG5-2、iG6-3、RG34、RG、NRG64、RG56(i5-2/iG6-3)、RHG(iH-4/iG4-4)であり得る。
【0095】
本発明の様々な実施形態について説明してきたが、本発明の範囲内で別の実施形態及び実施が可能であることは、当業者にとって明らかであろう。
【0096】
これらの実施形態の各々及びその明らかな変形は、特許請求された発明の精神及び範囲内に含まれるものと考えられ、これは以下の特許請求の範囲において明記されている。さらに、本発明の概念は、先行する要素と態様の任意及びすべての組合せ、並びに部分的な組み合わせを明白に含むものである。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21