(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】ツインポンプ構造にて循環ポンプを操作する方法
(51)【国際特許分類】
F04D 15/00 20060101AFI20220517BHJP
【FI】
F04D15/00 D
(21)【出願番号】P 2019548736
(86)(22)【出願日】2018-03-07
(86)【国際出願番号】 EP2018055590
(87)【国際公開番号】W WO2018162547
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】102017203926.4
(32)【優先日】2017-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591040649
【氏名又は名称】カーエスベー ソシエタス ヨーロピア ウント コンパニー コマンディート ゲゼルシャフト アウフ アクチェン
【氏名又は名称原語表記】KSB SE & Co. KGaA
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】エクル,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ラウエ,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】シュレラー,ヨアヒム
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-043800(JP,A)
【文献】特表2002-527804(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014006258(DE,A1)
【文献】中国特許出願公開第104024965(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 1/00-13/16
F04D 15/00-15/02
F04D 17/00-19/02
F04D 21/00-25/16
F04D 29/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツインスタイルの構造を有する循環ポンプを操作する方法であって、前記循環ポンプは、分離された少なくとも2つの個別のポンプを備え、これらの吐出ノズルは共通の出力吐出ノズルを形成するように合流し、前記吐出ノズルに配置された少なくとも1つの切り換え弁が、シングルポンプモードとマルチポンプモードとを切り換えるようにもたらされ、
前記循環ポンプの閉ループ制御が、前記マルチポンプモードにて前記弁の位置を安定させるために、前記少なくとも2つの個別のポンプにおけるポンプ駆動のための個別の作動変数を生成
し、前記個別の作動変数が、前記マルチポンプモードにおいて前記切り換え弁の位置を安定させるように決定される、方法。
【請求項2】
前記個別のポンプは、前記切り換え弁をその中心位置にて安定させるために、ツインモードの個別の閉ループ制御によって、同一の複数の吐出量及び/又は複数の吐出ヘッドとなるように調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記閉ループ制御は、マスター/スレーブの原理を適用し、これによって、スレーブとして動作する前記個別のポンプが、マスターとして動作する個別のポンプにおける実際の吐出量に調整される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
マスターとして動作する前記個別のポンプにおける実際の吐出量が設定値として供給され、かつスレーブとして動作する前記個別のポンプにおける実際の吐出量が実際の値として供給されるようになっている吐出量調整器が用いられ、前記吐出量調整器が、スレーブとして動作するポンプの回転速度の補正値を作動値として出力する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記閉ループ制御は、少なくとも2つの個別のポンプを有する前記循環ポンプを、複数のポンプ速度をそれぞれ複数の作動変数とし、かつ複数の吐出ヘッド又は複数の吐出量を複数の制御変数とする多変数システムとして調整する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
複数の作動変数及び/又は複数の制御変数間における分離の閉ループ制御は、優先的にp-正準構造に基づいて行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記多変数システムにおける複数の個別の制御変数は、個別であり、かつ相互に独立した複数の単一変数調整器によって安定化される、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法に従って、ツインスタイルの構造を有する少なくとも1つの循環ポンプを調整するように構成される制御
ユニット。
【請求項9】
ツインスタイルの構造を有する循環ポンプであって、循環ポンプが、少なくとも2つの電動ポンプ駆動装置を起動するために外部インターフェースを介して複数の個別の作動変数を受け取るように構成されている、循環
ポンプ。
【請求項10】
請求項8に記載の少なくとも1つの制御ユニット及び/又は請求項9に記載の循環ポンプを備えた油圧
プラント。
【請求項11】
前記制御ユニットは、加熱システム用のプラント制御ユニットである、請求項8に記載の制御ユニット。
【請求項12】
前記循環ポンプは、加熱式循環ポンプである、請求項9に記載の循環ポンプ。
【請求項13】
前記油圧プラントは、加熱システムである、請求項10に記載の油圧プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ツインスタイルの構造を有する循環ポンプを操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ツインポンプ、又はツインスタイルの構造を有する循環ポンプは、共通のケーシングに収容されると共に互いに分離された少なくとも2つの個別のポンプ、特に、遠心ポンプによって構成される。個別のポンプの吐出ノズルは、ツインポンプの共通の出力吐出ノズルを形成するように合流する。このような構造の形式は、一方では、アクティブポンプが障害により故障した場合に冗長ポンプが引き継ぐような冗長モードを提供する(シングルポンプモード)。他方、両方のポンプを2ポンプモードにて同期運転することによって、特定の仮定の下で、エネルギー効率を高くした運転と、両方の個別のポンプにおける吐出容量の増加とが可能になる。
【0003】
シングルポンプモードにおいて非稼働のポンプを介した逆流を回避するために、2つのポンプにおける個別のノズルが合流するようになっている排出ノズルの位置には、いわゆる切り換え弁(flap、フラップ)が取り付けられている。シングルポンプモードにおいては、この切り換え弁は、圧力によって、シャットダウンされたポンプの出口ノズルを閉じる。2ポンプモードにおいては、切り換え弁は、両方のポンプの搬送媒体が可能な限り妨げられずに共通の吐出ノズルに流れ込むことができるように、理想的には中央に配置されるべきである。
【0004】
切り換え弁の機能は、
図1に概略的に示されている。左側の
図1aは、シングルポンプモードを示しており、このモードにおいては、固定ポンプ2の吐出ノズルが弁3によって閉じられている。
図1bは、切り換え弁3の正確な中央位置において、可能な限り2ポンプモードを再現している。
【0005】
ツインポンプの従来の閉ループ制御は、プラントコントローラによって行われ、加熱循環ポンプの場合、加熱プラントのプラントコントローラによって行われる。このコントローラは、達成されるべきツインポンプの設定圧力(設定吐出ヘッド)の関数を用いて両方のポンプを調整する。このように設定された吐出ヘッドを得るために、両方のポンプは、駆動ユニットの設定された回転速度という形で共通の作動変数を受け取るようになっている。関連するブロック図は
図2から得られる。
【発明の概要】
【0006】
従来の閉ループ制御においては、2つの個別のポンプは同一の設定回転速度にて、システムの総吐出ヘッドに対応した同じ出力圧力を供給すること想定している。実際、建設スペースに起因した異なるタイプの流体誘導路のために、2つの個別のポンプは、同じ設定速度でわずかに異なる出力圧力を供給するようになっている。2つのポンプの回転方向は同一であるので、例えば、1つのポンプの流れのみが理想的に導かれることが起こり得る。この場合、第2のポンプは、特に、湾曲部を大きくした長い流体誘導路を有する。製造公差もまたこれらの違いを増長し得る。このような吐出ヘッドの相違は、切り換え弁に異なる力ベクトルが負荷されるという結果をもたらし、その結果、弁はその中心位置から旋回してしまう。特定の状況下においては、逆振り子と同様に、弁の位置が不安定になる。弁の中央位置からの非常に小さな撓みは、例えば、乱流のポケットによって引き起こされる可能性があり、弁が片側に反転する結果となり得る。
【0007】
この場合、適切な対策を講じなければ、2つのポンプのうち1つは常に油圧によって遮断され、両方のポンプでの並行供給はできなくなる。従来技術においては機械的な解決策が知られており、1つのアプローチとしては、弁の位置を安定させることを目的としてスポイラー(spoiler)に生じる背圧によって弁を修正することが挙げられる。解決策を見出す代替のアプローチとしては、2つの翼の間にバネ要素を含むバタフライ弁として設計された切り換え弁によるものが挙げられる。
【0008】
しかしながら、これらの解決策は、切り換え弁に関する構造的な対策を必要とし、その結果、より高い生産コストに耐える必要があるだけでなく、弁の摩耗に関しての不利益が生じる可能性がある。
【0009】
そのため、前述の問題を克服できる解決策が求められている。
【0010】
このような目的は、請求項1の構成に係る方法によって達成することができる。この方法の有利な構成は、従属請求項の主題となっている。
【0011】
本発明によれば、ツインスタイルの構造を有する循環ポンプを操作する方法が提案される。この方法の基礎は、分離された少なくとも2つの個別のポンプを備えた循環ポンプであり、その吐出ノズルは共通の出力吐出ノズルを形成するように合流する。本発明が、特に、ツインスタイルの構造について述べる場合においても、理論的には、2つ以上の個別のポンプがポンプ内で相互作用し得る。以下においては、簡潔性のために、ツインスタイルの構造又は2つの個別のポンプを参照する。しかしながら、本発明に係る記述はまた、3つ以上の個別のポンプを備えたセットアップに制限なく適用することができる。
【0012】
使用される個別のポンプは、それぞれ遠心ポンプとして構成され、循環ポンプの共通のケーシング内に配置され得る。それぞれの個別のポンプには、優先的には電動モーターの形式である独自の可変速度駆動ユニットが含まれる。
【0013】
さらに、吐出ノズルに配置された少なくとも1つのスイベル切り換え弁が提供され、これによって、シングルポンプモードとマルチポンプモードとを切り換えることができる。シングルポンプモードでは、個別のポンプの圧力出力ノズルが閉じるように、弁が中央位置から旋回する。2ポンプモードでは、弁は理想的には、個別のポンプの吐出ノズルが開き、両方の個別のポンプにおける吐出ノズルの開口径が弁の影響を受けないか、少なくとも同様に影響を受けるように、中央位置に配置する必要がある。
【0014】
従来技術の実施とは異なり、本発明は、循環ポンプの閉ループ制御によって、循環ポンプにおける少なくとも2つの個別のポンプにおけるポンプ駆動のための個別の作動変数を生成し、それに応じて後者を作動させることを提案する。この場合、個別の作動変数は、2ポンプモードにおいて切り換え弁が優先的に中央位置で安定するように確立される。特に、個別のポンプの同一の回転速度にて生じた吐出ヘッド間の問題のある偏差は、個別の駆動装置における個別の閉ループ制御によってゼロに調整され、その結果、弁の位置を効果的に安定させることができる。
【0015】
解決策を見出す最初の方法は、有利な実用的な形態によれば、いわゆるマスター/スレーブモードにおいて個別のポンプを作動させることである。この場合、スレーブとして動作する個別のポンプは、マスターとして動作する個別のポンプにおける実際の吐出量に調整される。例えば、この目的のために、マスターの個別ポンプにおける実際の吐出量が設定値として供給され、スレーブとして動作する個別ポンプにおける現在の吐出量が実際の値として供給される吐出量調整器(regulator、レギュレータ)を使用することができる。指定された入力変数に基づいて、吐出量調整器は、スレーブとして動作するポンプにおける設定回転速度の補正値を作動値として出力する。その結果、スレーブとして動作するポンプは、マスターの個別のポンプとは異なる設定回転速度にて動作することができる。この方法によって、構造設計に起因する個別のポンプの幾何学的設定の違いを補正することができ、切り換え弁の十分に安定した位置を確保することができる。
【0016】
マスター/スレーブの概念に代わる解決策を見出すアプローチは、好ましい実用的な形態によれば、ツインポンプを少なくとも2つの入力及び出力を持つ多変数システムとして考えることにある。この例の入力変数は、個別のポンプのそれぞれにおける回転速度であり、その制御変数は、個別のポンプにおける個別の吐出ヘッド及び/又は吐出量である。ここでも、個別の両方のポンプにおける吐出ヘッド及び/又は吐出量の分離された閉ループ制御が行われ、そのため、適切な作動変数の個別の生成が行われる。
【0017】
個別のポンプ間における油圧カップリングのために、個別のポンプの調整された回転速度は、他の個別のポンプにも影響を及ぼす。数学的には、循環ポンプの制御システムは、いわゆる伝達要素とカップリング要素とを使用して説明することができ、この場合、伝達要素は割り当てられた個別のポンプに対する作動変数の影響を特徴づけ、カップリング要素は他の個別のポンプに対する作動変数の影響を表す。その結果、油圧カップリングは、少なくとも2つの個別のポンプ間における相互作用を引き起こす可能性があり、特定の状況下では、干渉信号のブーストを引き起こす可能性がある。エネルギー消費の増加、騒音の発生の増加、摩耗の増加、又はパイプシステム内の圧力の急増が、結果として考えられる。
【0018】
これらの相互作用を回避するために、好ましい構成によれば、個別のポンプ間におけるデカップリングの閉ループ制御が提案される。ここでは、いわゆるp-正準構造(p-canonical structure)が適切な変数と見なされる。既に説明されたカップリングのブロックとは逆の振る舞いをするデカップリングのブロックの導入によって、個別のポンプにおける相互の影響を補償することができる。理想的には、個別の制御変数は、独立した単一変数調整器において安定化することができる。循環ポンプのそれぞれにおける個別のポンプは、独立した単一変数調整器によって作動させることができ、後者は設定変数として設定吐出ヘッドを受け取り、制御変数として対応する個別のポンプにおける実際の吐出ヘッドを受け取る。これに基づいて、適切な回転速度が出力される。
【0019】
本発明に係る方法に加えて、本発明は、さらに、本発明の方法又は当該方法の有利な構成に従って、ツインスタイルの構造を有する少なくとも1つの循環ポンプを調整するように構成される制御ユニット、特に、加熱システム用のプラントコントローラ(プラント制御ユニット)に関する。したがって、制御ユニットについては、本発明に係る方法を参照して既に詳細に説明したものと同じ利点及び特性が得られる。そのため、繰り返しの説明は省略する。
【0020】
本発明は、さらに、ツインスタイルの構造を有する循環ポンプ、特に、加熱循環ポンプを提供する。循環ポンプは、少なくとも2つの電動ポンプ駆動装置を起動するために、外部インターフェースを介して個別の作動変数を受信することに適している。
【0021】
最後に、本発明は、本発明に係る少なくとも1つの制御ユニットを備えた油圧プラント、特に、加熱プラントに関する。
【0022】
本発明のさらなる利点及び構成は、図面に表される実施形態を参照して、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】シングルポンプモード及び2ポンプモードにおける弁の位置を示す模式図である。
【
図2】2ポンプモードの従来の加熱プラントにおけるブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態におけるブロック図である。
【
図4】本発明の代替実施形態におけるブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
上述のような説明の導入部で既に詳細に説明したように、従来のツインポンプにおける個別の駆動装置は、今まで、セット吐出ヘッドの機能として適切な調整器によって決定される同一のセット回転速度において作動していた(
図2を参照)。
【0025】
本発明に係る解決策を見出すアプローチは、この慣行から逸脱し、これに代えて、個別のポンプにおける個別の閉ループ制御を提供し、その結果として、これらのポンプでは、循環ポンプの設定された吐出ヘッドの関数として、異なる作動変数、すなわち、設定された回転速度もまた生成することができる。これによって、構造設計に起因する、流体誘導路の差異、及びツインポンプの個別のポンプ間における製造上の許容誤差を補正することができ、理想的には、両方を同一の吐出ヘッドで動作させることができる。これによって、切り換え弁を中央位置に安定させることができる。
【0026】
個別のポンプの閉ループ制御を具体的に実現するために、一方では、マスター/スレーブの原理による閉ループ制御と、他方では、多変数システムによる閉ループ制御という2つの異なる手順の方法が存在する。
【0027】
先ず、最初の相違を検討する。
図3は、対応するブロック図を示している。プラントコントローラ(プラント制御ユニット)10は、システム全体の設定された吐出ヘッドを調整する。示されている例では、ポンプ1はマスターとして機能し、ポンプ2はスレーブとして動作する。プラントコントローラ10によって生成された設定回転速度は、作動変数としてポンプ1(マスターポンプ)に供給されると同時に、後者のパイロット制御のためにポンプ2に供給される。ポンプ2は、ポンプ1の実際の吐出量にさらに調整される。これは、吐出量調整器20と、ポンプ1の生成された吐出量Q1である設定値と、ポンプ2の結果の吐出量Q2である実際の値とを用いて行われる。作動値として、吐出量調整器20は、回転速度が適合する速度補正値、適切には、ポンプ1の回転速度から逸脱し得るポンプ2の速度補正値を出力する。
【0028】
ポンプ1の閉ループ制御によって、システムの設定された吐出ヘッドに確実に到達する。ポンプ2の閉ループ制御によって、ポンプ1,2の出力ノズルにおいて同一の吐出量が得られ、その結果、切り換え弁が中央位置に保持される。
【0029】
図3に係るマスター/スレーブの閉ループ制御の代替として、ツインポンプは、2つの入力及び2つの出力を持つ多変数システム30と見なすことができる。入力量は、2つの回転速度n
1,n
2である。制御変数は、吐出ヘッドH
1,H
2である。ブロック図を
図4に示す。
【0030】
油圧カップリングによって、2つの回転速度n1,n2はそれぞれ、それぞれの回転速度で作動するポンプだけでなく、ツインセットアップの隣接する個別のポンプにも影響する。伝達要素G11,G22は、特定のポンプに対するそれぞれの回転速度n1,n2の影響を示す。結合要素G12,G21は、吐出ヘッドH2に対する回転速度n1の影響、及びそれぞれ他のポンプのH1に対するそれぞれのn2の影響を示す。システムの数学的記述は非線形である。
【0031】
システムを切り離すために、デカップリングのブロックR11,R21,R12,R22が導入される。これらのデカップリングのブロックは、制御システム30のカップリングのブロックG12,G21とは逆の動作をする。このように、クロスカップリングが互いに打ち消し合い、多変数システム30は、それぞれ単一可変調整器40a,40bにおいて独立して安定化することができる2つの独立した単一変数を持つシステムとして記述することができる。
【0032】
図3のマスター/スレーブのアプローチと比較したこの解決策の利点は、2つの個別のポンプ1,2を分離できることにある。2つのポンプ1,2の結合の結果、干渉信号のブーストにつながる相互作用が発生する。エネルギー消費の増加、騒音の発生の増加、摩耗の増加、又は特定の状況下でパイプシステムに生じる圧力の急増が、結果として考えられる。このようなブースティングは、
図4の多変数アプローチによって回避され得る。