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特許7074826通信ネットワークでのシグナリングのための方法およびデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】通信ネットワークでのシグナリングのための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   H04L 69/00 20220101AFI20220517BHJP
【FI】
H04L69/00
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020191716
(22)【出願日】2020-11-18
(62)【分割の表示】P 2018213928の分割
【原出願日】2014-07-10
(65)【公開番号】P2021052402
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161470
【弁理士】
【氏名又は名称】冨樫 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【弁理士】
【氏名又は名称】石岡 利康
(74)【代理人】
【識別番号】100194320
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 亮
(72)【発明者】
【氏名】ケラネン, アリ
(72)【発明者】
【氏名】ベイジャール, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン, アンデシュ イー
(72)【発明者】
【氏名】ミリターノ, フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ルーン, ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】サックス, ヨアキム
(72)【発明者】
【氏名】ツィアツィス, ヴラシオス
【審査官】鈴木 香苗
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-027215(JP,A)
【文献】特開2005-011161(JP,A)
【文献】特開平05-061827(JP,A)
【文献】特開平06-075890(JP,A)
【文献】特開2004-139565(JP,A)
【文献】特表2006-508599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信ネットワークの第1のノードにより実行される方法であって、前記第1のノードは、制約されたマシンタイプ通信デバイス(MD)であり、かつ、前記通信ネットワークの第2のノードとの制約アプリケーションプロトコル(CoAP)に準拠するシグナリングの第1のエンドポイントであり、前記第2のノードは、前記シグナリングの第2のエンドポイントであり、
前記第2のノードからメッセージを受信することであって、
前記メッセージは、当該メッセージが前記第1のノードに複数の動作を実行させる命令を含むことを示すコンテンツフォーマット指示を、ヘッダ内に含み、前記命令は、前記複数の動作をどの順序で実行するべきかを示す、
メッセージを受信することと、
前記複数の動作を前記示された順序で実行することと、
前記複数の動作の実行に応答して、前記複数の動作が実行されたことの肯定応答を含む肯定応答信号を前記第2のノードに送信することと
を含む方法。
【請求項2】
前記肯定応答信号が、単一の肯定応答メッセージで送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記肯定応答信号が、前記第1のノードのアプリケーション層またはより上位の層で生成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記メッセージは、前記命令を含む複数の制約アプリケーションプロトコル(CoAP)メッセージのエンベロープである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記コンテンツフォーマット指示は、制約アプリケーションプロトコル(CoAP)コンテンツフォーマット指示である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記メッセージは、最大127バイトを有する単一のデータフレームに収まる大きさを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記メッセージは、最大100バイトを有する単一のデータフレームに収まるサイズを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
命令が受信された各動作が、前記メッセージで、それぞれの動作識別子と関連付けられている、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のノードが無線デバイスであり、無線インターフェースを利用して、前記メッセージが受信され、前記肯定応答信号が送信される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
信ネットワークの第2のノードとの制約アプリケーションプロトコル(CoAP)に準拠するシグナリングの第1のエンドポイントとなるように設定された、前記通信ネットワークの第1のノードであって、前記第1のノードは、制約されたマシンタイプ通信デバイス(MD)であり、前記第2のノードは、前記シグナリングの第2のエンドポイントであり、
プロセッサ回路と、
前記プロセッサ回路により実行可能な命令を格納するストレージユニットとを備え、
前記第2のノードからメッセージを受信し、前記メッセージは、当該メッセージが前記第1のノードに複数の動作を実行させる命令を含むことを示すコンテンツフォーマット指示を、ヘッダ内に含み、前記命令は、前記複数の動作をどの順序で実行するべきかを示しており、
前記複数の動作を前記示された順序で実行し、
前記複数の動作の実行に応答して、前記複数の動作が実行されたことの肯定応答を含む肯定応答信号を前記第2のノードに送信する
ように動作可能である、第1のノード。
【請求項11】
信ネットワークの第2のノードにより実行される方法であって、前記第2のノードは、制約アプリケーションプロトコル(CoAP)に準拠するシグナリングの第1のエンドポイントである通信ネットワークの第1のノードとの前記シグナリングの第2のエンドポイントであり、前記第1のノードは、制約されたマシンタイプ通信デバイス(MD)であり、かつ、前記シグナリングの第1のエンドポイントであり、
前記第1のノードにメッセージを送信することであって、
前記メッセージは、当該メッセージが前記第1のノードに複数の動作を実行させる命令を含むことを示すコンテンツフォーマット指示を、ヘッダ内に含み、前記命令は、前記複数の動作をどの順序で実行するべきかを示す、
メッセージを送信することと、
前記第1のノードが前記複数の動作の全てを実行したとき、前記複数の動作が実行されたことの肯定応答を含む肯定応答信号を前記第1のノードから受信することと
を含む方法。
【請求項12】
信ネットワークの第1のノードとの制約アプリケーションプロトコル(CoAP)に準拠するシグナリングの第2のエンドポイントとなるように設定された、前記通信ネットワークの第2のノードであって、前記第1のノードは、制約されたマシンタイプ通信デバイス(MD)であり、かつ、前記シグナリングの第1のエンドポイントであり、
プロセッサ回路と、
前記プロセッサ回路により実行可能な命令を格納するストレージユニットとを備え、
前記第1のノード(1)にメッセージを送信し、前記メッセージは、当該メッセージが前記第1のノードに複数の動作を実行させる命令を含むことを示すコンテンツフォーマット指示を、ヘッダ内に含み、前記命令は、前記複数の動作をどの順序で実行するべきかを示しており、
前記第1のノードが前記複数の動作の全てを実行したとき、前記複数の動作が実行されたことの肯定応答を含む肯定応答信号を前記第1のノードから受信する
ように動作可能である、第2のノード。
【請求項13】
信ネットワークの第1のノードであって、制約されたマシンタイプ通信デバイス(MD)であり、かつ、制約アプリケーションプロトコル(CoAP)に準拠するシグナリングの第2のエンドポイントである前記通信ネットワークの第2のノードとの前記シグナリングの第1のエンドポイントである、第1のノードのプロセッサ回路で実行されたときに、前記第1のノードに、
前記第2のノードからメッセージを受信させ、前記メッセージは、当該メッセージが前記第1のノードに複数の動作を実行させる命令を含むことを示すコンテンツフォーマット指示を、ヘッダ内に含み、前記命令は、前記複数の動作をどの順序で実行するべきかを示しており、
前記複数の動作を前記示された順序で実行させ、
前記複数の動作の実行に応答して、前記複数の動作が実行されたことの肯定応答を含む肯定応答信号を前記第2のノードに送信させる
コンピュータプログラムコードを含む、コンピュータプログラム。
【請求項14】
信ネットワークの第1のノードであって、制約されたマシンタイプ通信デバイス(MD)であり、かつ、制約アプリケーションプロトコル(CoAP)に準拠するシグナリングの第1のエンドポイントである、第1のノードとの前記シグナリングの第2のエンドポイントである、前記通信ネットワークの第2のノードのプロセッサ回路で実行されたときに、前記第2のノードに、
前記第1のノードにメッセージを送信させ、前記メッセージは、当該メッセージが前記第1のノードに複数の動作を実行させる命令を含むことを示すコンテンツフォーマット指示を、ヘッダ内に含み、前記命令は、前記複数の動作をどの順序で実行するべきかを示しており、
前記第1のノードが前記複数の動作の全てを実行したとき、前記複数の動作が実行されたことの肯定応答を含む肯定応答信号を前記第1のノードから受信させる
コンピュータプログラムコードを含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の動作を実行するために、通信ネットワークのノードにより、当該通信ネットワークの第2のノードとの間で命令を送信または受信するために実行される方法に関する。
【背景技術】
【0002】
制約アプリケーションプロトコル(CoAP)は、制約的に接続されたデバイスおよびネットワークを対象とするウェブ転送プロトコルである。そのようなデバイスは、特定の順序で処理/実行することが求められる複数のトランザクションに含まれる必要があり得る。以下に一例をあげる。
1)ノードがマシンデバイス(MD)にセンサ示度を要求する。
2)示度に関する受信情報に基づき、ノードがMDにセンサ構成を送信し、たとえば、次の(または特定の種類の)センサ示度に使用する測定構成を指定する。このステップは、別の動作(プローブXの加熱、水の追加など)を含む可能性もある。
3)ノードが、新しい構成に基づき(および動作の後に)、MDに新しいセンサ示度を要求する。
【0003】
CoAPトランザクションが伝えられる順序によって実行のシーケンスが決まり、トランザクションがシーケンシャルになる。よって、上述した例の最初のトランザクション1)が送信される。最初のトランザクションに対する応答がノードにより受信されて初めて(すなわち、トランザクションが終了したときに)、次のトランザクション2)が開始され、以下同様に続く。
【0004】
CoAPプロトコルは、動作の適正な順序設定を実現するために、図1に示すように、トランザクションが成功裏に受信および実行されたことを確認するために使用することができる肯定応答トランザクションをサポートする。図1は、第1の動作の送信の後に、第2の動作の送信に先立つ肯定応答が続くことを示している。
【0005】
多くの使用事例では、MDは短距離無線技術で実行されており、バッテリ節約用のスリープモードを備えている。そのため、MD自体または送信経路上のその他のノードは、特定の期間、スリープしている。この場合、トランザクションメッセージは、スリープ期間が終了するまでネットワークでバッファされるか、またはタイムアウト後に再送信される。スリープしているデバイスに対しては、あるトランザクションが前のトランザクションの肯定応答を待機してから次のトランザクションを送信するかたちの複数のトランザクションのシーケンシャルな通信は、時間がかかることがあり、得てして非効率的である。これは、デバイスがウェイクアップするまでデータをまったく送信することができないが、トランザクションは時間的に分散した複数の機会で送信されるからである。
【0006】
図1に示す基本的な肯定応答ソリューションでは、肯定応答メッセージを待機しなければならず、その後に次の動作を送信できる。ネットワークのラウンドトリップ時間が長い場合(たとえば、送信経路上のノードがスリープしており、よってノードがウェイクアップするのを待機している間にメッセージをネットワークで格納する必要があるため)、結果としてすべてのトランザクションが完了するまでに長い遅延が生じ、および/またはシーケンスのすべてのメッセージを送信するためにノードが長い時間ウェイクしていなければならない。
【発明の概要】
【0007】
本開示の目的は、シーケンシャルに実行すべき動作を実行する必要がある命令を含むシーケンシャルメッセージを通信ネットワークのノード間で送信する、より効果的な方法を提供することである。
【0008】
本開示の態様によると、通信ネットワークの第1のノードにより実行される方法が提供される。第1のノードは、通信ネットワークの第2のノードとのシグナリングの第1のエンドポイントである。第2のノードは、当該シグナリングの第2のエンドポイントである。方法は、第1のノードに複数の動作を実行させる命令と、当該動作を実行する必要がある順序の命令とを含む信号を第2のノードから受信することを含む。方法は、当該動作を当該順序で実行することをさらに含む。方法は、複数の動作が実行されたことの肯定応答を含む信号を第2のノードに送信することをさらに含む。
【0009】
本開示の別の態様によると、シグナリングの第2のエンドポイントである通信ネットワークの第2のノードとの当該シグナリングの第1のエンドポイントとなるように設定された、通信ネットワークの第1のノードが提供される。第1のノードは、プロセッサ回路と、当該プロセッサ回路により実行可能な命令を格納するストレージユニットとを備え、第1のノードに複数の動作を実行させる命令と、当該動作を実行する必要がある順序の命令とを含む信号を第2のノードから受信するように動作可能である。第1のノードは、当該動作を当該順序で実行するようにも動作可能である。第1のノードは、複数の動作が実行されたことの肯定応答を含む信号を第2のノードに送信するようにも動作可能である。
【0010】
本開示の別の態様によると、シグナリングの第1のエンドポイントである通信ネットワークの第1のノードとの当該シグナリングの第2のエンドポイントである通信ネットワークの第2のノードで実行される方法が提供される。方法は、第1のノードに複数の動作を実行させる命令と、当該動作を実行する必要がある順序の命令とを含む信号を第1のノードに送信することを含む。方法は、複数の動作が実行されたことの肯定応答を含む信号を第1のノードから受信することを含む。
【0011】
本開示の別の態様によると、シグナリングの第1のエンドポイントである通信ネットワークの第1のノードとのシグナリングの第2のエンドポイントとなるように設定された、通信ネットワークの第2のノードが提供される。第2のノードは、プロセッサ回路と、プロセッサ回路により実行可能な命令を格納するストレージユニットとを備え、第1のノードに複数の動作を実行させる命令と、当該動作を実行する必要がある順序の命令とを含む信号を第1のノードに送信するように動作可能である。第2のノードは、複数の動作が実行されたことの肯定応答を含む信号を第1のノードから受信するようにも動作可能である。
【0012】
本開示の別の態様によると、通信ネットワークのノードに、当該ノードに含まれるプロセッサで実行されたときに本開示の方法の実施形態を実行させるコンピュータ実行可能コンポーネントを含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0013】
本開示の別の態様によると、シグナリングの第2のエンドポイントである通信ネットワークの第2のノードとの当該シグナリングの第1のエンドポイントである、通信ネットワークの第1のノードのプロセッサ回路で実行されたときに、第1のノードに、第1のノードに複数の動作を実行させる命令と、当該動作を実行する必要がある順序の命令とを含む信号を、第2のノードから受信させることができるコンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラムが提供される。またコードは、第1のノードに、当該動作を当該順序で実行させることができる。またコードは、第1のノードに、複数の動作が実行されたことの肯定応答を含む信号を第2のノードに送信させることができる。
【0014】
本開示の別の態様によると、シグナリングの第1のエンドポイントである通信ネットワークの第1のノードとの当該シグナリングの第2のエンドポイントである、通信ネットワークの第2のノードのプロセッサ回路で実行されたときに、第2のノードに、第1のノードに複数の動作を実行させる命令と、当該動作を実行する必要がある順序の命令とを含む信号を、第1のノードに送信させることができるコンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラムが提供される。またコードは、第2のノードに、複数の動作が実行されたことの肯定応答を含む信号を第1のノードから受信させることができる。
【0015】
本開示の別の態様によると、本開示のコンピュータプログラムの実施形態と、当該コンピュータプログラムが格納されたコンピュータ可読手段とを含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0016】
複数の動作を実行する必要がある順序の命令を含めることで、本開示の実施形態は、単一の肯定応答を使用して、すべての動作が実行されたことを確認することを可能にする。そのため第2のノードは、動作を実行する命令が第1のノードにより受信された順序(たとえば、一部の命令が送信時に遅延した場合)等に関係なく、動作が意図された順序で実行されたことを把握することができる。よって、第2のノードが1つの動作が実行されたことを確認する肯定応答を待機してから別の動作を実行する命令を送信する必要がなくなるため、必要なシグナリングが減少し、シグナリングの時間が短くなり得る。
【0017】
一般に、請求項で使用されるすべての用語は、本明細書で別途明示的に規定されていない限り、技術分野における通常の意味に従って解釈される。「要素、装置、コンポーネント、手段、ステップ等」なる記載は、別途明示的に言及されていない限り、少なくとも1つの当該要素、装置、コンポーネント、手段、ステップ等を表すものとオープンに解釈される。本明細書に記載された任意の方法のステップは、明示的に言及されていない限り、開示されたとおりの順序で実行する必要はない。本開示の異なる特徴/コンポーネントに対する「第1の」、「第2の」等の使用は、特徴/コンポーネントを他の類似する特徴/コンポーネントから区別することのみを目的としており、特徴/コンポーネントの何らかの順序または階層を伝えるものではない。
【0018】
実施形態について、添付の図面を参照しながら、例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】従来技術に係る2つのCoAPノード間のシグナリングを示す概略シグナリング図である。
図2】本開示に係る通信ネットワークの実施形態の概略ブロック図である。
図3】本開示に係る通信ネットワークの別の実施形態の概略ブロック図である。
図4】本開示の一部の実施形態を示す概略シグナリング図である。
図5】本開示の他の一部の実施形態を示す概略シグナリング図である。
図6a】本開示のネットワークノードの実施形態の概略ブロック図である。
図6b】本開示のネットワークノードのプロセッサ回路の実施形態の概略ブロック図である。
図7】本開示のコンピュータプログラム製品の実施形態の概略図である。
図8】本開示の方法の実施形態の概略流れ図である。
図9】本開示の方法の別の実施形態の概略流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施形態について、特定の実施形態が示された添付の図面を参照しながら、以下にさらに詳細に説明する。ただし、本開示の範囲内で、多数の異なる形式の他の実施形態が可能である。むしろ以下の実施形態は、本開示を万全かつ完全なものとし、開示の範囲を当業者に十分に伝えるために、例として提供されている。説明を通じて、同様の番号は同様の要素を示す。
【0021】
図2は、本開示に係る通信ネットワーク3の実施形態を概略的に示す。この実施形態において、通信ネットワーク3は、インターネット等の公衆データネットワーク(PDN)6を介してコアネットワーク(CN)5に接続された無線アクセスネットワーク(RAN)4を含むセルラー無線通信ネットワークである。図2の実施形態では、第1のノード1および第2のノード2は、いずれもRAN4によりサーブされる無線デバイスである。代替で、ノード1および2の少なくとも一方が、通信ネットワーク3でインターネット6等を介して有線またはワイヤレスで接続され得る。第1のノード1および第2のノード2は、図2の双方向矢印で示されているように、それぞれのノードに含まれる無線インターフェースを利用して、2つのノード間のエアインターフェース上で直接的に、またはRAN4(および場合によってはインターネット6)を介して、相互に通信することができる。また、第1のノード1および第2のノード2は、ゲートウェイノードを介してインターネットに通信することが可能であり得、ゲートウェイノードとは、短距離無線(たとえば、Bluetooth、Wi-Fi、または電気電子技術者協会(IEEE)標準802.15.4に準拠)を使用して通信する。ゲートウェイノードは、ワイヤードまたはワイヤレスでインターネットに接続され得る。
【0022】
図3は、本開示に係る通信ネットワーク3の別の実施形態を概略的に示す。この実施形態において、通信ネットワーク3は、第1のノード1および第2のノード2が、たとえば直接的に、またはPDN/インターネット6経由で、有線接続を介して相互に通信する有線ネットワークである。
【0023】
図2および図3に示された通信ネットワーク3の実施形態は、2つの例に過ぎない。通信ネットワークは、第1のノード1および第2のノード2に加えて、有線またはワイヤレスの任意の数のノードを含み、通信標準のいずれか1つまたは組み合わせに準拠した、任意の通信ネットワークであり得る。第1のノード1および第2のノード2の少なくとも一方が無線デバイスである場合、その無線デバイスは、たとえばワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)、Bluetooth、またはセルラー(第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)等)通信標準に準拠する無線インターフェース上で通信するように設定され得る。
【0024】
図4は、本開示の一部の実施形態を示す概略シグナリング図である。図4の実施形態では、第2のノード2が、第1のノード1により受信される複数のメッセージM1、M2、およびM3を送信する。各メッセージは、それぞれ少なくとも1つの動作A、B、およびCの命令を含む。メッセージM1、M2、およびM3の少なくとも1つまたは少なくともいくつかは、トランザクション識別子をさらに含む。ここでは、トランザクション識別子は、動作を実行する必要がある順序の指示の一部を形成するシーケンス番号aおよびbである。トランザクション識別子により、第2のノード2は、第1のノード1により動作が意図された順序で実行されることを信頼することができ、また、単一の肯定応答メッセージM9を第1のノードから送信して第2のノードで受信するだけで、すべての動作A、B、およびCが実行されたことを第2のノード2に通知することができる。より詳細には、第2のノード2は、第1のメッセージM1を第1のノード1に送信する。第1のメッセージM1は、第1のノード1に動作Aを実行させる命令と、シーケンス番号aの形式のトランザクション識別子とを含む。また第2のノード2は、第2のメッセージM2を第1のノード1に送信する。第2のメッセージは、典型的には第1のメッセージM1の後に送信されるが、トランザクション識別子が使用されるため、必ずしもそのように送信されなければならないわけではなく、第1のメッセージと同時に、または第1のメッセージの前に、第2のメッセージが送信されることが十分にあり得る。第1のメッセージおよび第2のメッセージが送信される順序に関係なく、これらのメッセージが第1のノード1により受信されるときに、輻輳または他の遅延により、その順序が変更される可能性がある。第2のメッセージM2は、第1のノード1に動作Bを実行させる命令と、シーケンス番号bの形式のトランザクション識別子とを含む。さらに第2のメッセージM2は、シーケンス番号aに関連付けられた動作Aの後に動作Bを実行する必要があることを示す前提条件の形式をした条件付き命令を含む。同様に、第2のノード2は、第3のメッセージM3を第1のノード1に送信する。第3のメッセージM3は、第1のノード1に動作Cを実行させる命令と、シーケンス番号aおよびbに関連付けられた動作AおよびBが実行された後に動作Cを実行する必要があることを示す前提条件とを含む。動作Cは、この複数の動作のシーケンスで実行される最後の動作であるため、第3のメッセージM3がシーケンス番号を含む必要はないが、含んでいてもよい。第1のノード1は、すべての動作A、B、およびCをトランザクション識別子および条件付き命令に応じて意図された順序で実行した後、肯定応答メッセージM9を第2のノード2に送信する。
【0025】
よって、本開示の一部の実施形態では、信号を受信するステップは、それぞれが少なくとも1つの動作の命令と、動作を実行する必要がある順序の指示の一部を形成するトランザクション識別子aおよびbとを含む、複数のメッセージM1、M2、およびM3を受信することを含む。一部の実施形態では、トランザクション識別子はシーケンス番号であり、順序は、複数の動作のそれぞれを、動作の命令を含むメッセージに含まれる対応するシーケンス番号に応じてシーケンシャルに実行するようなものになっている。一部の他の実施形態では、メッセージM1、M2、およびM3の少なくとも1つ、または少なくともいくつかは、動作を別の動作が実行された後に実行するための条件付き命令を含み、当該別の動作は、当該少なくとも1つのメッセージで、当該別の動作を実行する命令が受信されたメッセージのトランザクション識別子により識別される。その場合、トランザクション識別子は、不明瞭であり得、たとえば、ランダムな番号または他の文字列であり得る。これは、順序の指示が、トランザクション識別子だけではなく、条件付き命令に基づいているからである。
【0026】
図5は、本開示の一部の他の実施形態を示す概略シグナリング図である。図5の実施形態では、第1のノードが、単一のメッセージM4で複数の動作A、B、およびCを実行する命令を受信する。この場合、動作を実行する必要がある順序の命令は、たとえば、メッセージM4内の動作情報の順序により形成され得る。たとえば、動作Aに関する命令が、メッセージM4内で動作Bに関する命令よりも前にあり、動作Bに関する命令が、メッセージM4内で動作Cに関する命令よりも前にある場合、第1のノードはこれを、最初に動作A、次に動作B、最後に動作Cの順序で動作を実行する必要がある命令だと解釈し得る。他の実施形態では、メッセージM4は、動作A、B、およびCに関連して、図4で説明したトランザクション識別子(本明細書では、動作ではなくメッセージに関連付けられたトランザクション識別子と区別するために、動作識別子とも呼ぶ)および/または条件付き命令を含み得る。動作は、メッセージM4内で、たとえば、第1のノード1が動作を実行する必要がある順序の命令を形成するシーケンス番号および/または前提条件と関連付けられ得る。一部の実施形態では、たとえば、それぞれが複数の動作の命令を含む複数のメッセージM4が第1のノード1に送信される場合、メッセージM4自体が本明細書で説明されるトランザクション識別子および/または条件付き命令と関連付けられ得る。その場合、図4の実施形態と図5の実施形態の組み合わせが使用され得、それぞれが複数の動作の命令を含む複数のメッセージM4が第1のノード1に送信され、第1のノード1が、複数のメッセージM4に含まれるすべての動作を実行したことを確認する肯定応答メッセージM9を送信し得る。メッセージM4は、新しい種類のメッセージであり得、典型的にはそのヘッダで、複数の動作の命令、すなわち、複数の動作を実行するための命令を含むことを示す。ヘッダは、たとえば、新しいCoAPコンテンツフォーマット等のコンテンツフォーマット指示を含み得、当該メッセージが複数の動作の命令を含むことを示す。特に、メッセージM4が第2のノード2から第1のノード1に送信されるときにメッセージM4が断片化するのを避けるためにメッセージM4を十分に小さいサイズに維持することができる場合は、シグナリングを軽減するために、単一のメッセージM4を使用するほうが、複数のメッセージM1、M2、およびM3を使用するよりも好ましくあり得る。メッセージが断片化し、1つの断片だけでも失われると、メッセージ全体が失われ、通常はすべての断面を再送信することが必要となり、結果として通信のオーバヘッドが増大する。そのため、特にパケット損失が多いネットワークでは、断片化が一般に回避される。よって、メッセージM4は、送信時に単一のデータフレームに収まる程度の十分に小さいサイズであることが好ましく、たとえば、IEEEの802.15.4通信標準に準拠する場合は最大127バイト、802.15.4 IEEE標準上のインターネットプロトコルバージョン6(IPv6)(6LoWPAN)では最大102バイトである。第1のノード1は、すべての動作A、B、およびCを意図された順序で実行した後、同じく図4で説明したように、肯定応答メッセージM9を第2のノード2に送信する。
【0027】
よって、本開示の一部の実施形態では、第1のノード1に複数の動作A、B、およびCを実行させる命令と、当該動作を実行する必要がある順序の指示とが、第1のノード1により受信される信号に含まれる(たとえば、当該信号を構成する)単一のメッセージM4で受信される。一部の実施形態では、受信される単一のメッセージM4は、そのヘッダ内に、当該メッセージが複数の動作の命令を含むことを示すコンテンツフォーマット指示を含む。一部の実施形態では、受信される単一のメッセージM4は、単一のデータフレームに収まるサイズ、たとえば最大100バイト、を有する。一部の実施形態では、受信された単一のメッセージM4は、追加で受信されるメッセージM4の動作との関連で、複数の動作A、B、およびCを実行する必要がある順序を第1のノードに示すトランザクション識別子を含む。一部の実施形態では、命令が受信された各動作または少なくとも1つもしくは一部の動作は、受信される単一のメッセージM4で、それぞれの動作識別子と関連付けられている。
【0028】
図4および図5に関連する、本開示の一部の実施形態では、複数の動作A、B、およびCが実行されたことの肯定応答が、単一の肯定応答メッセージM9で送信される。これは本開示によって実現される。なぜなら、複数の動作についての単一の肯定応答が、第2のノード2への送信信号であり得、または当該送信信号に含まれ得るからである。これにより、通信ネットワーク3のシグナリングのオーバヘッドが低減する。複数の動作が実行されたことの肯定応答M9は、第1のノード1で、アプリケーションロジックおよび受信された信号M1、M2、およびM3、ならびに/またはM4のメッセージセマンティクスに基づいて、第1のノードのアプリケーション層等で生成され得る。よって肯定応答メッセージM9は、動作が実際に実行されたことも確認するため、受信された通信の単なる肯定応答ではない可能性がある。むしろ肯定応答メッセージM9は、第1のノード1のアプリケーション層(または他の上位層)で開始され得る。
【0029】
図6aは、本明細書で説明される第1のノード1および/または第2のノード2等の、ネットワークノードの実施形態の概略ブロック図である。本開示の一部の実施形態では、第1のノード1は、3GPP技術に準拠する、制約されたマシンタイプ通信デバイス(MD)である。従来、特に第1のノード1がMDである場合、第2のノード2とのシグナリングは、制約アプリケーションプロトコル(CoAP)に準拠する。代替で、第2のノード2とのシグナリングは、本開示の実施形態が有益であり得る通信プロトコルの別の例である、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)に準拠し得る。ノード1または2は、中央処理ユニット(CPU)等のプロセッサ回路61を備える。プロセッサ回路61は、マイクロプロセッサの形式の1つまたは複数の処理ユニットを備え得る。ただし、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、複合プログラマブルロジックデバイス(CPLD)等の、コンピューティング能力を備えた他の適切なデバイスがプロセッサ回路61に含まれることもある。プロセッサ回路61は、メモリ等の1つまたは複数のストレージユニットのストレージ62に格納された1つまたは複数のコンピュータプログラムまたはソフトウェア(SW)71(図7も参照)を実行するように設定される。ストレージユニットは、本明細書で説明されるコンピュータ可読手段72(図7)と見なされ、たとえば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリやその他のソリッドステートメモリ、もしくはハードディスク、またはそれらの組み合わせであり得る。またプロセッサ回路61は、必要に応じて、ストレージ62にデータを格納するように設定され得る。ノード1または2は、本開示の実施形態に係る他のノード1または2等の通信ネットワーク3の他の要素との間でメッセージを送信および受信するために、典型的には送受信機に組み合わされた送信機と受信機とを含む、通信インターフェース63をさらに備える。ノード1または2は、有線通信および/またはワイヤレス通信用に設定され得る。ワイヤレス通信の場合、通信インターフェース63は、無線インターフェースであり得る。よって、第1のノード1は無線デバイスであり得、無線インターフェースを利用して、受信される信号M1、M2、およびM3、ならびに/またはM4が受信され得(S1)、送信される信号M9が送信され得る。
【0030】
よって、シグナリングの第2のエンドポイントである通信ネットワーク3の第2のノード2との当該シグナリングの第1のエンドポイントとなるように設定された、通信ネットワーク3の第1のノード1が提供される。第1のノードは、プロセッサ回路61と、プロセッサ回路61により実行可能な命令71を格納するストレージユニット62とを備え、第1のノード1に複数の動作A、B、およびCを実行させる命令と、当該動作を実行する必要がある順序の命令とを含む信号を第2のノード2から受信する(S1)ように動作可能である。第1のノード1は、動作A、B、Cを当該順序で実行する(S2)ようにも動作可能である。第1のノード1は、複数の動作が実行されたことの肯定応答を含む信号を第2のノード2に送信する(S3)ようにも動作可能である。
【0031】
同様に、通信ネットワーク3の第1のノード1とのシグナリングの第2のエンドポイントとなるように設定された、通信ネットワーク3の第2のノード2が提供される。第1のノードは、当該シグナリングの第1のエンドポイントである。第2のノードは、プロセッサ回路61と、プロセッサ回路61により実行可能な命令71を格納するストレージユニット62とを備え、第1のノード1に複数の動作A、B、およびCを実行させる命令と、当該動作を実行する必要がある順序の命令とを含む信号を第1のノード1に送信する(S11)ように動作可能である。第2のノード2は、複数の動作A、B、およびCが実行されたことの肯定応答M9を含む信号を第1のノード1から受信する(S12)ようにも動作可能である。
【0032】
図6bは、図6aのプロセッサ回路61の実施形態を示す概略ブロック図である。上述したように、プロセッサ回路61は、第1のノード1または第2のノード2が本開示の方法の実施形態を実行できるようにするためにソフトウェア71を実行し得、当該方法のさまざまなステップを実行するために、プロセッサ回路内に機能モジュールが形成され得る。これらのモジュールは、図6bでプロセッサ回路61内のブロックとして概略的に示されている。よって、第1のノード1のプロセッサ回路61は、典型的には通信インターフェース63と連動して、第2のノード2から信号M1、M2、およびM3、ならびに/またはM4を受信するための受信モジュール64を備える。プロセッサ回路61は、動作A、B、およびCを適切な順序で実行するための実行モジュール65をさらに備える。また、プロセッサ回路61は、典型的には通信インターフェース63と連動して、肯定応答メッセージM9を含む信号を送信するための送信モジュール66を備える。同様に、第2のノード2のプロセッサ回路61は、典型的には通信インターフェース63と連動して、第1のノード1に信号M1、M2、およびM3、ならびに/またはM4を送信するための送信モジュール66を備える。また、第2のノード2のプロセッサ回路61は、典型的には通信インターフェース63と連動して、肯定応答メッセージM9を含む信号を受信するための受信モジュール64を備える。
【0033】
図7は、コンピュータプログラム製品70を示す。コンピュータプログラム製品70は、コンピュータ実行可能コンポーネント71の形式のコンピュータプログラム71を含むコンピュータ可読媒体72を備える。コンピュータプログラム/コンピュータ実行可能コンポーネント71は、本明細書で説明されるような第1のノード1または第2のノード2に、本開示の方法の実施形態を実行させるように設定され得る。コンピュータプログラム/コンピュータ実行可能コンポーネントは、ノード1または2のプロセッサ回路61で、当該ノードに方法を実行させるために実行され得る。コンピュータプログラム製品70は、たとえば、ノード1または2に含まれプロセッサ回路61に関連付けられたストレージユニットまたはメモリ62に含まれ得る。代替で、コンピュータプログラム製品70は、CDやDVDなどのコンピュータ可読ディスク、ハードディスク/ドライブ、RAMやフラッシュメモリ等のソリッドステートストレージ媒体など、独立した携帯型等のストレージ手段であり得、または当該ストレージ手段の一部であり得る。
【0034】
図8は、本開示に係る第1のノード1により実行される方法の実施形態の概略流れ図である。この方法は、通信ネットワーク3の第1のノード1により実行される。第1のノードは、通信ネットワーク3の第2のノード2とのシグナリングの第1のエンドポイントである。第2のノードは、当該シグナリングの第2のエンドポイントである。このことは、第1のノード1と第2のノード2との間のシグナリングのメッセージが、たとえばインターネットプロトコル(IP)アドレスを利用して、ノード1または2の一方に対して、それらのノードの他方によりアドレッシングされることを意味する。第1のノード1は、第2のノード2から信号M1、M2、およびM3、ならびに/またはM4を受信する(S1)。受信した信号は、第1のノード1に複数の動作A、B、およびCを実行させる命令と、当該動作を実行する必要がある順序の指示とを含む。受信(S1)した信号に応答して、第1のノード1は、当該動作を当該順序で実行する(S2)。動作A、B、およびCが実行された(S2)後、第1のノード1は、第2のノード2に信号を送信する(S3)。送信される信号は、複数の動作が実行されたことの肯定応答M9を含む。
【0035】
図9は、本開示に係る第2のノード2により実行される方法の実施形態の概略流れ図である。この方法は、通信ネットワーク3の第2のノード2により実行される。第2のノードは、通信ネットワーク3の第1のノード1とのシグナリングの第2のエンドポイントである。第1のノードは、当該シグナリングの第1のエンドポイントである。第2のノード2は、第1のノード1に信号を送信する(S11)。送信される信号は、第1のノードに複数の動作A、B、およびCを実行させる命令と、当該動作を実行する必要がある順序の指示とを含む。次に、第2のノード2は、第1のノード1から信号を受信する(S12)。受信した信号は、複数の動作が第1のノード1により実行されたことの肯定応答M9を含む。
【0036】
本開示の一部の実施形態の目的は、第1のノード1と第2のノード2との間でのM1~M4やM9などの複数のCoAPトランザクションの送信を並列化して、それらを同時に通信できるようにすることである。これにより、トランザクションのシーケンスの遅延が大幅に減少し、(たとえば、無線インターフェースのスケジューリングでの)送信リソースがより効率的に使用され得る。ただし、これには、一連のトランザクションにより意図される実行のシーケンスが、実行時に妨害されるというリスクがある。図4の例では、すべての要求メッセージM1、M2、およびM3が本質的に同時に送信され得るが、メッセージM2が送信で失われたと仮定する。すると、第1のノード1(MD等)は、メッセージM1およびM3の動作を実行し、対応する応答M9を送信する。誤って、M2の動作Bが構成を変更するものであった場合、2番目の、メーター示度等の動作Cは、誤った構成で行われ、間違った示度となる。次のステップでM2の動作Bが再送信され、第1のノード1で受信されると、動作Bはノード1を再設定する。または、M3の動作は失われたM2の動作に依存するため、永遠に実行されない。
【0037】
本開示の実施形態は、並列に送信される動作A、B、およびCをシーケンシャルに実行できるようにすることにより、モノのインターネット(IoT)等のシナリオのための、より効果的な通信を可能にする。また本開示の実施形態は、マルチキャスト環境での順序付きトランザクションを実現する。マルチキャストを使用する場合、各受信側が肯定応答メッセージM9を送信していたのでは、スケーラビリティが損なわれる。よって、肯定応答されないCoAPマルチキャストメッセージのみが許可される。しかし、前提条件拡張を使用し、第1のノード1(MD等)がマルチキャストメッセージM2を受信する(S1)ことで、第1のノード1は、以前のメッセージM1を受信できなかったか否かを検出し、その旨を第2のノード2に通信し、このエラー状態から復帰することができる。
【0038】
本開示によると、動作A、B、およびCの順序付き実行を実現するために、2つの方法が(例として)与えられる。すなわち、シーケンス番号aおよびbと、単一のメッセージM4へのトランザクションパッキングである。
【0039】
トランザクションにシーケンス順序を追加することで、第1のノード1は、トランザクション時に、トランザクションに起因する特定の動作を直ちに実行できるか、または他の複数のトランザクションに起因する実行が最初になされるまで待機する必要があるかを、本明細書で説明する前提条件等の条件情報を含めることにより、学習することができる。よって、メッセージM1~M3等のトランザクションに実行/処理条件を含めることで、シーケンスを提供することができる。条件は、たとえば、どのトランザクションを最初に処理する必要があるか(すなわち、前提条件)を含み得る。よって、条件が生じる対応するトランザクション識別子の指示を、トランザクションに追加することができる。
【0040】
なお、トランザクション識別子(たとえば、番号)はインクリメンタル/シーケンシャルである必要はなく、セキュリティの問題等を回避するためにランダム化することができる。それでも、通信しているノード1および2の間でトランザクション識別子の順序を把握および共有することができる(たとえば、一群の「次のトランザクション識別子」をメッセージM1~M3に埋め込むことができる)。これらのトランザクション識別子が共有されない場合、第1のノード1は、以前に受信された条件の対象であるトランザクション(動作の命令を含む)が発生するまで、単純に待機することができる。
【0041】
トランザクションパッキングでは、複数のトランザクションが単一のメッセージM4にパッキングされ、第1のノード1は、たとえば、メッセージに現れる順序ですべての動作を実行しなければならなくなり得る。
【0042】
例1-シーケンス番号方法(図4参照)
シーケンス番号を使用する場合、CoAPクライアントの第2のノード2は、CoAPサーバとして動作するMD等の第1のノード1に、「シーケンス番号」と呼ばれる新しい拡張ヘッダを含むCoAPメッセージM1を送信する(S11)。第1のノード1は、メッセージM1を受信すると(S1)、所望の動作を実行し(S2)、シーケンス番号を格納する。第2のノード2は、第1のメッセージM1(または一群のメッセージ)に依存する動作Bを含むメッセージM2を送信する場合(S11)、「前提条件」と呼ばれる別の拡張ヘッダをCoAPメッセージM2に追加する。この拡張で、第2のノード2は、メッセージM2が依存するすべてのシーケンス番号aをリストする。第1のノード1は、前提条件拡張を含む第2のメッセージM2を受信すると(S1)、前提条件にリストされているすべてのシーケンス番号aをチェックし、リストされているシーケンス番号aに一致する動作Aを以前に実行している場合に限り、動作Bを実行する(S2)。
【0043】
第1のノード1がメッセージM1を受信しておらず、よって前提条件により要求される動作Aを実行していない場合、2つの選択肢があり得る。すなわち、新しいメッセージM2をキャッシュするか、または破棄するかである。送信中にメッセージの順序が変更された場合、前提条件により要求されるメッセージM1は間もなく到達する可能性があり、すべての動作AおよびBを順序どおりに実行することができる。よって、メッセージM2をキャッシュするのが賢明であり得る。しかし、メッセージをキャッシュするには、第1のノード(MD等)にストレージ(メモリ)が必要であり、限られたケースでのみ可能であり得る。第1のノード1が前提条件としてaを含むメッセージM2をキャッシュできない場合、まだ動作を実行していないシーケンス番号a(の少なくともいくつか)を含むエラーメッセージで第2のノード2に応答することができる。この情報に基づき、第2のノード2は、欠落したメッセージM1を再送信するか、または任意の他の適切な動作過程をたどることができる。
【0044】
MDが記憶しなければならないシーケンス番号a、bの量を制限するため、前提条件のシーケンス番号を含むメッセージは、一致する前提条件を含むメッセージが到達しない場合にMDがシーケンス番号を破棄することが可能になるまでの時間を含むタイムアウト値を含むことができる。
【0045】
シーケンス番号は、単純なリストとして格納されるか、または、偽陽性が許容される場合は、たとえばブルームフィルタを使用して、より効率的に格納および送信され得る。
【0046】
例2-トランザクションパッキング方法(図5参照)
トランザクションパッキングを使用する場合、1つのCoAPメッセージM4が、メッセージM1~M3に対応する一群のCoAPメッセージのエンベロープとして機能し得る。CoAPメッセージM4が、当該エンベロープメッセージM4に現れる順序で処理されることが想定される複数のCoAPメッセージを含むことを示すために、新しいCoAPコンテンツフォーマットが使用され得る。
【0047】
この方法は、シーケンス番号aおよびbを使用して複数のメッセージM1~M3を送信するよりも効果的であり得る。なぜなら、(潜在的に)単一のメッセージM4のみが必要であり、よってノード1および2の下位層のオーバヘッドが1回だけ発生し、またトランザクション識別子および条件情報のための追加の新しい拡張ヘッダが不要だからである。ただし、CoAPメッセージは、メッセージのサイズに厳しい制約が設けられたネットワークで送信されるのが一般的であり、そのサイズを超えた場合、メッセージは断片化する。いずれかの断片が失われた場合、通常はメッセージ全体が失われ、よって断片化は望ましくない。また、制約されたMDは、包含されるすべてのメッセージを個別に処理することはできても、きわめて大きいメッセージを再度組み立てることはできない場合がある。よって、例1と例2のどちらの方法がより効率的であるかは、ネットワーク3ならびに包含されるノード1および2の特性によって決まり得る。
【0048】
本開示の他の態様の一部を以下に示す。
【0049】
本開示の態様によると、通信ネットワーク3の第2のノード2とのシグナリングの第1のエンドポイントとなるように設定された、通信ネットワーク3の第1のノード1が提供され、この場合、第2のノードは、当該シグナリングの第2のエンドポイントである。第1のノードは、第1のノード1に複数の動作A、B、およびCを実行させる命令と、当該動作を実行する必要がある順序の指示とを含む信号M1、M2、およびM3、ならびに/またはM4を第2のノード2から受信する(S1)ための手段(たとえば、典型的には通信インターフェース63と連動する、受信モジュール64)を備える。第1のノードは、動作A、B、およびCを当該順序で実行するための手段(たとえば、実行モジュール65)をさらに備える。第1のノード1は、複数の動作A、B、およびCが実行されたことの肯定応答M9を含む信号を第2のノード2に送信する(S3)ための手段(たとえば、典型的には通信インターフェース63と連動する、送信モジュール66)をさらに備える。
【0050】
本開示の別の態様によると、通信ネットワーク3の第1のノード1とのシグナリングの第2のエンドポイントとなるように設定された、通信ネットワーク3の第2のノード2が提供され、この場合、第1のノード1は、当該シグナリングの第1のエンドポイントである。第2のノード2は、第1のノードに複数の動作A、B、およびCを実行させる命令と、当該動作を実行する必要がある順序の指示とを含む信号を第1のノード1に送信する(S11)ための手段(たとえば、典型的には通信インターフェース63と連動する、送信モジュール66)を備える。第2のノード2は、複数の動作A、B、およびCが実行されたことの肯定応答M9を含む信号を第1のノード1から受信する(S12)ための手段(たとえば、典型的には通信インターフェース63と連動する、受信モジュール64)をさらに備える。
【0051】
本開示について、主として少数の実施形態を参照しながら説明した。ただし、当業者によって容易に理解されるように、上記開示された実施形態以外の他の実施形態も、添付の請求項により規定される本開示の範囲内で同様に実現可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8
図9