(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】1つの疎水基と2つの同一の親水性イオン基とを有する分子、およびその組成物
(51)【国際特許分類】
C07C 237/06 20060101AFI20220517BHJP
C11D 3/30 20060101ALI20220517BHJP
C07C 231/12 20060101ALI20220517BHJP
C23F 11/14 20060101ALI20220517BHJP
A01N 33/12 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
C07C237/06 CSP
C11D3/30
C07C231/12
C23F11/14 101
A01N33/12 101
(21)【出願番号】P 2020512668
(86)(22)【出願日】2018-08-29
(86)【国際出願番号】 US2018048518
(87)【国際公開番号】W WO2019046409
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2020-11-17
(32)【優先日】2017-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】アシシュ ダワン
(72)【発明者】
【氏名】カーター エム.シルバーネイル
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー モロニー
(72)【発明者】
【氏名】ボイド エー.ローラン
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0264734(US,A1)
【文献】特開2007-077082(JP,A)
【文献】特開2007-256445(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104744709(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103288672(CN,A)
【文献】Zielinski, Wojciech et al.,Synthesis of new quaternary ammonium salts for organophilization of fillers for polymeric nanocomposites,Zakl. Technol. Org., Wydz. Chem., Politech. Wroclawska, Wroclaw, Pol.Chemik ,2007年,60(7/8), ,viii-xii
【文献】Zhou, Jiehua et al.,Cooperative binding and self-assembling behavior of cationic low molecular-weight dendrons with RNA molecules,Organic & Biomolecular Chemistry,2006年,4(3),581-585
【文献】Kawakami, Jun et al.,Antibacterial activity of radial compounds with peripheral quaternary ammonium units,Transactions of the Materials Research Society of Japan ,2010年,35(4),885-887
【文献】Twyman, L. J.,Post synthetic modification of the hydrophobic interior of a water-soluble dendrimer,Tetrahedron Letters,2000年,41(35),6875-6878
【文献】Giovanna Bosica et al.,Aza-Michael Mono-addition Using Acidic Alumina under Solventless Conditions,Molecules,2016年,21,815
【文献】Mann, Andre et al.,Acetal-initiated cyclization of allylsilanes to highly functionalized piperidine derivatives,Tetrahedron Letters,1988年,29(26),3247-50
【文献】REGISTRY(STN)[online],2016.09.27[検索日 2021.08.14]CAS登録番号 2001056-21-7
【文献】REGISTRY(STN)[online],2016.09.26[検索日 2021.08.14]CAS登録番号 2000293-27-4
【文献】REGISTRY(STN)[online],2008.06.05[検索日 2021.08.14]CAS登録番号 1025555-15-0
【文献】REGISTRY(STN)[online],2008.06.05[検索日 2021.08.14]CAS登録番号 1025555-14-9
【文献】REGISTRY(STN)[online],2007.08.23[検索日 2021.08.14]CAS登録番号 951236-22-9
【文献】REGISTRY(STN)[online],2007.08.23[検索日 2021.08.14]CAS登録番号 951236-20-7
【文献】REGISTRY(STN)[online],2007.04.17[検索日 2021.08.14]CAS登録番号 930395-29-2
【文献】REGISTRY(STN)[online],2006.04.21[検索日 2021.08.14]CAS登録番号 881538-26-7
【文献】REGISTRY(STN)[online],2006.04.21[検索日 2021.08.14]CAS登録番号 881538-25-6
【文献】REGISTRY(STN)[online],006.04.21[検索日 2021.08.14]CAS登録番号 881538-24-5
【文献】REGISTRY(STN)[online],2004.11.30[検索日 2021.08.14]CAS登録番号 790647-93-7
【文献】REGISTRY(STN)[online],2015.08.03[検索日 2021.08.14]CAS登録番号 1801234-02-5
【文献】REGISTRY(STN)[online],2015.08.03[検索日 2021.08.14]CAS登録番号 1801234-01-4
【文献】REGISTRY(STN)[online],2011.11.30[検索日 2021.08.14]CAS登録番号 1346596-77-7
【文献】REGISTRY(STN)[online],2011.11.30[検索日 2021.08.14]CAS登録番号 1346596-76-6
【文献】REGISTRY(STN)[online],2011.11.30[検索日 2021.08.14]CAS登録番号 1346596-75-5
【文献】REGISTRY(STN)[online],2007.08.23[検索日 2021.08.14]CAS登録番号 951236-51-4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 237/
C07C 231/
C11D 3/
C23F 11/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iによる化合物であって、
【化1】
式中、
Xが、N
Hであり、
R
11が、
少なくとも1つのトランスまたはシス二重結合を有するC
6
~C
20
アルケニル基であり、
R
2が、H
又はCH
3
であり、
R
3が、
CH
2
、CH
2
CH
2
、又はC(CH
3
)
2
であり、
Yが、
-NR
4
R
5
R
6(+)
、またはその塩であり、
R
4
およびR
5
が独立して、CH
3
であり、およびR
6
が、CH
3
、C
2
~C
12
芳香族アルキル、又は-CH
2
-C
6
H
5
である、化合物。
【請求項2】
Yが、-NR
4R
5R
6(+)であり、Yの対イオンが、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、酢酸塩、アルミン酸塩、シアン酸塩、シアン化物、ニ水素リン酸塩、亜リン酸二水素、ギ酸塩、炭酸塩、炭酸水素、シュウ酸水素、硫酸水素、水酸化物、硝酸塩、亜硝酸塩、チオシアン酸塩、またはそれらの組み合わせである、請求項
1に記載の化合物。
【請求項3】
R
2が、Hであり
、Yが、
-N
+(CH
3)
3Cl
-である、請求項
1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
化合物を合成するための方法であって、
一級アミンを活性化オレフィンと接触させて、請求項1~
3のいずれか一項に記載の化合物を生成することを含み、
前記一級アミンが、R
11-NH
2
であり、
前記活性化オレフィンが、
【化2】
であり、Xが、N
Hであり、
R
11が、
少なくとも1つのトランスまたはシス二重結合を有するC
6
~C
20
アルケニル基であり、
R
2が、H
又はCH
3
であり、
R
3が、
CH
2
、CH
2
CH
2
、又はC(CH
3
)
2
であり、
Yが、-NR
4R
5R
6(+)、またはその塩であり、
R
4
およびR
5
が独立して、CH
3
であり、およびR
6
が、CH
3
、C
2
~C
12
芳香族アルキル、又は-CH
2
-C
6
H
5
である、方法。
【請求項5】
前記接触ステップが、反応溶媒、反応溶媒およびアルカリ源、反応溶媒および酸、または反応溶媒および触媒の存在下で行われ、前記反応溶媒が、水、メタノール、エタノール、プロパノール、グリコール、PEG、またはそれらの混合物である、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記接触ステップが、触媒、塩基、またはそれらの組み合わせの存在下で行われる、請求項
4に記載の方法。
【請求項7】
前記接触ステップが、触媒、塩基、または酸の存在なしで行われる、請求項
4に記載の方法。
【請求項8】
前記接触ステップが、水酸化物、アルカリ金属水酸化物(alkali metal hydroxide)、アルカリ金属水酸化物(alkaline metal hydroxide)、金属炭酸塩、イミダゾール、ピリジン系塩基、アミジン塩基、グアニジン塩基、またはそれらの組み合わせの存在下で行われる、請求項
5又は6に記載の方法。
【請求項9】
前記接触ステップが、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドの存在下で行われる、請求項
5又は6に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~
3のいずれか一項に記載の1つ以上の化合物を含む物品、製品、または組成物。
【請求項11】
前記物品、製品、または組成物が、担体溶媒、水、アルコール、アルキレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテル、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項
10に記載の物品、製品、または組成物。
【請求項12】
前記担体溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、モノエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、またはそれらの組み合わせである、請求項
11に記載の物品、製品、または組成物。
【請求項13】
前記物品、製品、または組成物が、一次アルカリ源をさらに含み、洗剤組成物であり、前記一次アルカリ源が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属メタケイ酸塩、アルカノアミン、アミン、またはそれらの混合物である、請求項
11又は12に記載の物品、製品、または組成物。
【請求項14】
前記物品、製品、または組成物が、ビルダー、酵素、キレート剤、界面活性剤、1つ以上の追加の洗剤組成物剤、又はこれらの組み合わせをさらに含む、請求項
13に記載の物品、製品、または組成物。
【請求項15】
前記酵素が、プロテアーゼ酵素であり、
前記キレート剤が、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸-N,N-二酢酸(GLDA)、N-ヒドロキシエチルアミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、N-ヒドロキシエチル-エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)、2-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、イミノジコハク酸(IDS)、3-ヒドロキシ-2-2’-イミノジコハク酸(HIDS)、またはそれらの混合物である、及び/又は、
前記界面活性剤が、非イオン性、半非イオン性、カチオン性、アニオン性、両性、双性イオン性、ジェミニ界面活性剤、またはそれらの混合物である、請求項
14に記載の物品、製品、または組成物。
【請求項16】
前記組成物が、固体、多重使用固体、または多重使用プレス固体組成物である、請求項
14又は15に記載の物品、製品、または組成物。
【請求項17】
水系中の表面における腐食を抑制するための方法であって、
腐食制御組成物または前記腐食制御組成物の使用溶液を水系中に提供して、処理された水系を生成することか、または前記水系の表面上に提供することを含み、
前記腐食制御組成物が、
式Iによる化合物と、任意に、式II、式IIIのうちの1つによる1つ以上の化合物と、1つ以上の追加の腐食制御組成物剤とを含み、
【化3】
【化4】
【化5】
式中、
Xが、N
Hであり、
R
11が、
少なくとも1つのトランスまたはシス二重結合を有するC
6
~C
20
アルケニル基であり、
R
2が、H
又はCH
3
であり、
R
3が、
CH
2
、CH
2
CH
2
、又はC(CH
3
)
2
であり、
Yが、
-NR
4
R
5
R
6(+)
、またはその塩であり、
R
4
およびR
5
が独立して、CH
3
であり、およびR
6
が、CH
3
、C
2
~C
12
芳香族アルキル、又は-CH
2
-C
6
H
5
であり、
Y’が、-COOH、-SO
3H、-PO
3H、-OSO
3H、-OPO
3H、またはそれらの塩であり、
R
2’が、H、CH
3、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
10アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CH
2COOH、Y’、または-(CH
2)
m-Y’であり、
前記腐食制御組成物が、前記水系中の前記表面上の腐食を緩和する、方法。
【請求項18】
Yが、-NR
4R
5R
6(+)、
又はN(CH
3)
3
+
である、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
前記腐食制御組成物剤が、水、有機溶媒、1つ以上の追加の腐食抑制剤、界面活性剤、スケール抑制剤、ガスハイドレート抑制剤、pH調整剤、エマルジョン破壊剤、逆エマルジョン破壊剤、汚損制御剤、凝固剤/凝集剤、乳化剤(emulsifier)、水浄化剤、分散剤、酸化防止剤、ポリマー分解防止剤、浸透性調整剤、発泡剤、消泡剤、乳化剤(emulsifying agent)、CO
2および/またはO
2の捕捉剤、ゲル化剤、潤滑剤、摩擦低減剤、塩、またはそれらの混合物である、請求項
17~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記腐食制御組成物剤が、殺生物剤であり、前記殺生物剤が、塩素、次亜塩素酸塩、ClO
2、臭化物、オゾン、過酸化水素、過酢酸、ペルオキシ硫酸、ペルオキシカルボン酸組成物、グルタルアルデヒド、ジブロモニトリロプロピオンアミド、イソチアゾロン、テルブチラジン、高分子ビグアニド、メチレンビスチオシアネート、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウムサルフェート、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項
17~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記腐食制御組成物剤が、酸であり、前記腐食制御組成物が、約1重量%~約20重量%の前記酸を含み、前記酸が、塩酸、フッ化水素酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、またはそれらの混合物である、請求項
17~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記腐食制御組成物が、液体、ゲル、または液体/ゲルおよび固体を含む混合物であり、前記腐食制御組成物またはその使用溶液が、約1~約11のpHを有する、請求項
17~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記腐食制御組成物が、前記組成物の約10重量%~約80重量%を構成し、前記処理された水系中で約1ppm~約1000ppmの濃度を有する、請求項
17~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記水系が、冷却水系、ボイラー水系、石油およびガス操業における水系、石油坑、ダウンホール形成、地熱井、鉱物洗浄、浮選および慈善、製紙、ガススクラバ、エアウォッシャ、冶金工業の連続鋳造プロセス、空調および冷蔵、水の再生利用、浄水、膜濾過、食品加工、浄化器、都市下水処理、都市水処理、または飲料水系であり、前記水系が、淡水、プロセス水、塩水、地表水、随伴水、油、炭化水素、固体、またはそれらの混合物を含む、請求項
17~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
式Iによる化合物と、任意に、式II、式IIIのうちの1つによる1つ以上の化合物と、1つ以上の追加の腐食制御組成物剤とを含む、腐食制御組成物であって、
【化6】
【化7】
【化8】
式中、
Xが、N
Hであり、
R
11が、
少なくとも1つのトランスまたはシス二重結合を有するC
6
~C
20
アルケニル基であり、
R
2が、H
又はCH
3
であり、
R
3が、
CH
2
、CH
2
CH
2
、又はC(CH
3
)
2
であり、
Yが、
-NR
4
R
5
R
6(+)
、またはその塩であり、
R
4
およびR
5
が独立して、CH
3
であり、およびR
6
が、CH
3
、C
2
~C
12
芳香族アルキル、又は-CH
2
-C
6
H
5
であり、
Y’が、-COOH、-SO
3H、-PO
3H、-OSO
3H、-OPO
3H、またはそれらの塩であり、
R
2’が、H、CH
3、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
10アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CH
2COOH、Y’、または-(CH
2)
m-Y’であり、
前記腐食制御組成物が
、水系中
の表面の腐食を緩和する、腐食制御組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、“MOLECULES HAVING one hydrophobic AND TWO IDENTICAL hydrophilic groups AND Compositions THEREOF and Methods of PreparATION THEREOF and Methods of PreparATION THEREOF”と題する、2017年8月30日に出願された、米国仮出願第62/552,108号の優先権を主張し、かつこれに関連する。明細書、特許請求の範囲、および要約、ならびにその任意の図、表、または図面を含むがこれらに限定されない、この特許出願の全内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本開示は概して、界面活性剤化合物、その作製方法、腐食制御剤としてのその使用方法、および腐食制御組成物の分野に関する。具体的には、本開示は、2つの同一の親水性カチオン基またはアニオン基と1つの疎水基とを含む、新しいクラスの化合物に関する。開示される化合物は、従来の界面活性剤またはジェミニ界面活性剤といくつかの構造的特徴を共有するが、既存の界面活性剤と構造的に区別可能である。開示される化合物は、様々な用途において界面活性剤として単独で、または他の従来の界面活性剤もしくはジェミニ界面活性剤と一緒に有用である。本明細書に開示される化合物はまた、有効な腐食抑制剤であることもわかっている。
【背景技術】
【0003】
界面活性剤化合物は通常、親水基と疎水基とを含有する。その独特の構造により、界面活性剤は、異なる分野で様々な用途がある。界面活性剤化合物の構造とその機能および動作モードとの関係の理解が高まるにつれて、表面張力特性などの新しいまたは改善された特性を有する界面活性剤化合物の必要性が高まっている。
【0004】
界面活性剤の構造は多様で多数あるが、既存の界面活性剤は、2つの広いカテゴリに分類され得、従来の界面活性剤のカテゴリおよびジェミニ界面活性剤のカテゴリである。
【0005】
従来の界面活性剤は通常、疎水基と親水基とを有する。親水基の特徴に応じて、従来の界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性、または双性イオン性界面活性剤のうちの1つであり得る。
【0006】
一方、ジェミニ界面活性剤は、2つの疎水基と2つの親水基とを有する。ジェミニ界面活性剤は、従来の界面活性剤の分類に使用されるのと類似の方法で、疎水基(複数可)の特徴に基づいて同様のサブカテゴリにさらに分割され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、従来の界面活性剤および/またはジェミニ界面活性剤と区別可能な特性を有する新規界面活性剤化合物を開発することが目的である。従来の界面活性剤およびジェミニ界面活性剤の両方において、親水基対疎水基の比は1:1であるが、開示される化合物は、2:1の親水基対疎水基の比を有する。親水基対疎水基の比のこの差は、界面活性剤としてだけではなく、抗菌剤、殺菌剤、布地柔軟剤、静電気防止剤、腐食抑制剤、発泡剤、浮選捕収剤、分散剤、界面活性剤で補助された石油増進回収(EOR)洗浄剤などとしても、開示される化合物の独特の用途を提供する。
【0008】
本開示のさらなる目的は、新規化合物を効率的かつ効果的に作製するための方法を開発することである。
【0009】
本開示のさらなる目的は、物品、製品、および/または組成物において新規化合物を使用することである。
【0010】
さらに、四級アンモニウム化合物は、それらが独特の性質を含むため、界面活性剤の重要なサブカテゴリを含む。四級アンモニウム化合物と他の界面活性剤との間の主な違いは、それらの独特の構造である。四級アンモニウム化合物は、主に2つの部分、疎水基、例えば長アルキル基、および四級アンモニウム塩基からなる。アンモニウムの独特の正電荷は、例えば、界面活性剤と表面との間の重要な役割、すなわち静電相互作用を担う。
【0011】
工業用水系は、多くの異なる目的に役立つようにプロセス水を用いるが、微生物による汚染や汚損が発生しやすい場合がある。任意の水系中の金属表面は、部分的に微生物汚染および汚損のために腐食しやすい。
【0012】
腐食抑制剤は、炭素鋼パイプラインなどのその金属表面のインフラストラクチャを腐食から保護するために、水系に添加される場合が多い。しかしながら、そのような目的に使用される四級アンモニウム化合物は、ビス四級種またはベンジルクロリドで四級化された種である場合が多く、非常に有害であることが知られている。加えて、単一の四級化合物を含有する任意の水を環境に放出するために政府の規制が存在する。
【0013】
したがって、より優れた、かつより安全な腐食制御剤である、異なるまたは代替の四級アンモニウム化合物が引き続き必要である。
【0014】
したがって、改善された腐食制御特性を有する新規の腐食制御剤を開発することも、本開示の目的である。
【0015】
本開示のさらなる目的は、水系中の腐食をより効率的かつ効果的にするための方法および腐食制御組成物を開発するである。
【0016】
本開示のこれらのおよび他の目的、利点、および特徴は、本明細書に記載の特許請求の範囲と共に、以下の明細書から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
界面活性剤化合物を含む新規化合物、開示される化合物を含む組成物、および開示される化合物の作製方法が本明細書に開示される。より具体的には、2つの同一の親水基と単一の疎水基とを含む化合物が本明細書に開示される。開示される化合物において、各親水基は、四級アミンまたは負に帯電した種を含むか、またはそこで終端し、疎水基は、長い疎水性鎖を含む。閉鎖された化合物における親水基対疎水基の比が2:1である一方で、従来の界面活性剤またはジェミニ界面活性剤では、比が1:1であるため、開示される化合物は、従来の界面活性剤またはジェミニ界面活性剤とは異なる。構造のこの違いは、界面活性剤としてだけではなく、抗菌殺菌剤、布地柔軟剤、静電気防止剤、腐食抑制剤、発泡剤、浮選捕収剤、分散剤、界面活性剤で補助された石油増進回収(EOR)洗浄剤などの他の目的のためにも、開示される化合物に独特の用途を提供する。
【0018】
一態様では、式Iによる化合物Iが提供され、
【化1】
式中、
Xは、NHまたはOであり、
R
11は、R
1またはR
1-Z-(CH
2)
m-であり、
R
1は、非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
30アルキル、環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、
Zは、NHまたはOであり、
R
2は、H、CH
3、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
10アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、
mは、1~4の整数であり、
R
3は、存在しないか、または非置換の直鎖C
1~C30アルキレン基であり、
Yは、-N
R
4
R
5
R
(+)6
またはその塩であり、
R
4、R
5、およびR
6は独立して、C
1~C
10アルキル基である。
【0019】
他の態様では、開示される化合物を合成するための方法が本明細書に開示される。方法は、一級アミンを、少なくとも1つのカチオン基を含有する活性化オレフィンと接触させて、本明細書に開示される化合物を生成することを含み、式中、一級アミンは、R
11-NH
2であり、R
11は、R
1またはR
1-Z-(CH
2)
m-であり、活性化オレフィンは、
【化2】
であり、Xは、NHまたはOであり、
R
11は、R
1またはR
1-Z-(CH
2)
m-であり、
R
1は、非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
30アルキル、環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、
Zは、NHまたはOであり、
R
2は、H、CH
3、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
2~C
10アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、
mは、1~4の整数であり、
R
3は、存在しないか、または非置換の直鎖C
1~C30アルキレン基であり、
Yは、-N
R
4
R
5
R
(+)6
またはその塩であり、
R
4、R
5、およびR
6は独立して、C
1~C
10アルキル基である。
【0020】
さらに別の態様では、本明細書に開示される1つ以上の化合物を含む物品、製品、または組成物が、本明細書に提供される。
【0021】
さらに別の態様では、本明細書に開示される1つ以上の化合物を含む組成物が、本明細書に提供される。
【0022】
水系中の金属表面の腐食制御のための方法および組成物も、本明細書に開示される。具体的には、水系の腐食制御のための開示される方法および組成物は、活性化オレフィン(マイケル受容体)とのアザ-マイケル付加反応による水溶性一級アミン(マイケル供与体)由来の1つ以上の水溶性ジカチオン性またはジアニオン性化合物を使用する。
【0023】
本明細書に開示される例示的なジカチオン性またはジアニオン性化合物は、水系中の金属表面の腐食を緩和するために使用される従来の単一の四級アンモニウム化合物よりも優れた性能を有する。本明細書に開示される例示的なジカチオン性またはジアニオン性化合物はまた、水系中の汚損制御剤として使用される場合にも改善された性能を示す。したがって、開示される腐食制御組成物または方法は、表面の腐食を防止するだけではなく、微生物/バイオフィルムの成長も防止し、水系を操作するための化学的使用、コスト、および操作の複雑さの全体的な低減をもたらすという利点を有する。
【0024】
一態様では、水系中の表面における腐食を抑制するための方法が本明細書に開示され、方法は、腐食制御組成物または腐食制御組成物の使用溶液を水系中に提供して、処理された水系を生成することか、または水系の表面上に提供することを含み、腐食制御組成物は、式I、式II、および式IIIのうちの1つによる1つ以上の化合物と、1つ以上の追加の腐食制御組成物剤とを含み、
【化3】
式中、Xは、NHまたはOであり、R
11は、R1またはR
1-Z-(CH
2)
m-であり、R
1は、非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
30アルキル、環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、Zは、NHまたはOであり、R
2は、H、CH
3、または非置換の直鎖または分岐鎖C
2~C
10アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、mは、1~4の整数であり、R
3は、存在しないか、または非置換の直鎖C
1~C
30アルキレン基であり、Yは、-N
R
4
R
5
R
(+)6
であり、Y’は、-COOH、-SO
3H、-PO
3H、-OSO
3H、-OPO
3H、またはそれらの塩であり、R
4、R
5、およびR
6は独立して、C
1~C
10アルキル基であり、R
2’は、H、CH
3、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
10アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CH
2COOH、Y’、または-(CH
2)
m-Y’であり、腐食制御組成物は、水系中の表面上の腐食を緩和する。
【0025】
他の態様では、腐食制御組成物が本明細書に開示され、腐食制御組成物は、式I、式II、および式IIIのうちの1つによる1つ以上の化合物と、1つ以上の追加の腐食制御組成物剤とを含み、
【化4】
式中、Xは、NHまたはOであり、R
11は、R
1またはR
1-Z-(CH
2)
m-であり、R
1は、非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
30アルキル、環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、Zは、NHまたはOであり、R
2は、H、CH
3、または非置換の直鎖または分岐鎖C
2~C
10アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、mは、1~4の整数であり、R
3は、存在しないか、または非置換の直鎖C
1~C
30アルキレン基であり、Yは、-N
R
4
R
5
R
(+)6
であり、Y’は、-COOH、-SO
3H、-PO
3H、-OSO
3H、-OPO
3H、またはそれらの塩であり、R
4、R
5、およびR
6は独立して、C
1~C
10アルキル基であり、R
2’は、H、CH
3、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
10アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CH
2COOH、Y’、または-(CH
2)
m-Y’であり、腐食制御組成物は、水系中の表面上の腐食を緩和する。
【0026】
上記の概要は、例示的なものにすぎず、決して限定することを意図していない。上記の例示的な態様、実施形態、および特徴に加えて、本技術のさらなる態様、実施形態、および特徴は、本技術の例示的な実施形態を示し、かつ記載する以下の図面および詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面および詳細な説明も、決して限定するものではなく、本質的に例示的なものとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】従来の界面活性剤(1A)およびジェミニ界面活性剤(1B)の比較表示と共に、本開示の例示的な化合物の表示(1C)を示す。
【
図2】一級アミン(マイケル供与体)とカチオン基を含む活性化オレフィン(マイケル受容体)との間の一般的な反応スキームを示す。
【
図3】気泡試験期間(18時間)中の腐食速度をミル/年(mpy)で示す。空試料に対して、2-メルカプトエタノール(2ME)を添加しなかった。
【0028】
図面を参照して本発明の様々な実施形態を詳細に説明するが、いくつかの図を通して、同様の参照番号は同様の部分を表す。様々な実施形態への言及は、本発明の範囲を限定しない。本明細書において示される図は、本発明による様々な実施形態の限定ではなく、本発明の例示的説明のために示される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
新規化合物およびこれらの新規化合物または界面活性剤組成物の作製方法が本明細書に開示される。より具体的には、分子内に2つの同一の親水基と1つの疎水基とを含む化合物、およびそのような界面活性剤を合成する方法が開示される。例えば、各親水基は、四級アミンを含むか、またはそこで終端し、疎水基は、長い脂肪族鎖を含む。
【0030】
本発明の実施形態は、特定の組成物、および使用方法に限定されず、これらは変化することができ、当業者によって理解される。本明細書に使用される全ての専門用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためであり、いかなる様式または範囲においても限定的であることを意図されないことがさらに理解されるべきである。例えば、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が別段明らかに示されない限り、複数形の指示対象を含み得る。さらに、全ての単位、接頭辞、および記号は、そのSIによって認められた形態で示され得る。
【0031】
本明細書内に列挙される数的範囲は、定義される範囲内の数を含む。本開示全体を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示される。範囲形式での記載は、単に便宜および簡潔さのためであり、本発明の範囲への変更できない制限として解釈されるべきではない。したがって、範囲の説明は、その範囲内の可能な部分範囲ならびに個々の数値の全てが具体的に開示されているとみなすべきである(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
【0032】
本発明をより容易に理解し得るように、特定の用語をまず定義する。別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、本発明の実施形態が関連する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似しているか、それらを修正したか、またはそれらと同等である多くの方法および材料が、過度の実験を伴うことなく本発明の実施形態の実践に使用され得、好ましい材料および方法が、本明細書に記載される。本発明の実施形態を説明および請求する上で、以下に記載される定義に従って以下の専門用語が使用される。
【0033】
本明細書で使用される「約」という用語は、例えば、現実世界において濃縮物または使用溶液の作製に使用される典型的な測定および液体取扱い手順、これらの手順における誤差、組成物の作製または方法の実行に使用される成分の製造、供給源、または純度の違いなどによって生じ得る、数量の変動を指す。「約」という用語はまた、特定の初期混合物から得られる組成物に対する新規の平衡条件によって異なる量も包含する。「約」という用語により修飾されるか否かにかかわらず、特許請求の範囲は、その量の当量を含む。
【0034】
本明細書で使用される場合、「置換された」とは、その中に含有される水素原子への1つ以上の結合が非水素原子または非炭素原子への結合によって置き換えられている以下に定義される有機基(例えばアルキル基)を指す。置換基としてはまた、ヘテロ原子への二重結合または三重結合を含む1つ以上の結合によって、1つ以上の炭素原子(複数可)または水素原子(複数可)が置き換えられている基が挙げられる。したがって、置換基は、別段特定されない限り、1つ以上の置換基で置換されている。置換基は、1、2、3、4、5、または6個の置換基で置換されていてもよい。
【0035】
置換環の基としては、水素原子への結合が炭素原子への結合で置き換えられている環および環系が挙げられる。したがって、置換シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、およびヘテロアリール基もまた、置換または非置換のアルキル、アルケニル、およびアルキニル基で置換されてもよく、本明細書で定義されている。
【0036】
本明細書において使用する場合、「アルキル」または「アルキル基」という用語は、1個以上の炭素原子を有する飽和炭化水素を指し、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等)、環式アルキル基(または「シクロアルキル」もしくは「脂環式」もしくは「炭素環式」基)(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等)、分岐鎖アルキル基(例えば、イソプロピル、tert-ブチル、sec-ブチル、イソブチル等)、ならびにアルキル置換アルキル基(例えば、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基)を含む。
【0037】
別段に特定されない限り、「アルキル」という用語は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含む。本明細書で使用される場合、「置換アルキル」という用語は、炭化水素骨格の1つ以上の炭素の1つ以上の水素を置換する置換基を有するアルキル基を指す。そのような置換基には、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲノ、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート(phosphonato)、ホスフィネート(phosphinato)、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環式、アルキルアリール、または芳香族(複素芳香族を含む)基が含まれ得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、置換アルキルには、複素環式基が含まれ得る。本明細書において使用する場合、用語「複素環式基」は、環内の炭素原子のうちの1個以上が炭素以外の元素、例えば、窒素、硫黄、または酸素である、炭素環式基に類似している閉環構造を含む。複素環式基は、飽和または不飽和であり得る。例示的な複素環式基としては、これらに限定されるものではないが、アジリジン、エチレンオキシド(エポキシド、オキシラン)、チイラン(エピスルフィド)、ジオキシラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ジオキセタン、ジチエタン、ジチエト、アゾリジン、ピロリジン、ピロリン、オキソラン、ジヒドロフラン、およびフランが挙げられる。
【0039】
アルケニル基またはアルケンは、2~約30個の炭素原子を有し、さらに少なくとも1つの二重結合を含む直鎖、分岐鎖、または環状のアルキル基である。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2~約30個の炭素原子、または典型的には2~10個の炭素原子を有する。アルケニル基は、置換または非置換であり得る。アルケニル基の二重結合の場合、二重結合の配置は、トランスまたはシス配置であり得る。アルケニル基はアルキル基と同様に置換されていてもよい。
【0040】
アルケニル基は、2~約30個の炭素原子を有し、さらに少なくとも1つの三重結合を含む、直鎖、分岐鎖、または環状アルキル基である。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2~約30個の炭素原子、または典型的には2~10個の炭素原子を有する。アルキニル基は、置換または非置換であり得る。アルキニル基は、アルキルまたはアルケニル基と同様に置換されていてもよい。
【0041】
本明細書で使用される場合、「アルキレン」、「シクロアルキレン」、「アルキニリド」、および「アルケニレン」という用語は、単独でまたは別の置換基の一部として、それぞれ-CH2CH2CH2-によって例示されるような、アルキル、シクロアルキル、またはアルケニル基から誘導される二価ラジカルを指す。アルキレン、シクロアルキレン、アルキニレン、およびアルケニレン基については、連結基の配向は暗示されない。
【0042】
本明細書で使用される場合、用語「エステル」は、-R30COOR31基を指す。R30は、存在しないか、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、アラルキレン、ヘテロシクリルアルキレン、またはヘテロシクリレン基である。R31は、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、またはヘテロシクリル基である。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「アミン」(または「アミノ」)は、-R32NR33R34基を指す。R32は、存在しないか、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、アラルキレン、ヘテロシクリルアルキレン、またはヘテロシクリレン基である。R33およびR34は独立して、水素、または本明細書に定義されているように、置換もしくは非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、もしくはヘテロシクリル基である。
【0044】
本明細書で使用される場合、用語「アミン」はまた、独立した化合物を指す。アミンが化合物であるとき、R32’NR33’R34’基の式によって表すことができ、式中、R32’、R33’およびR34は独立して、水素、または本明細書に定義されているように、置換もしくは非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、もしくはヘテロシクリル基である。
【0045】
本明細書で使用される場合、用語「アルコール」は、-R35OH基を指す。R35は、存在しないか、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、アラルキレン、ヘテロシクリルアルキレン、またはヘテロシクリレン基である。
【0046】
本明細書で使用される場合、用語「カルボン酸」は、-R36COOH基を指す。R36は、存在しないか、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、アラルキレン、ヘテロシクリルアルキレン、またはヘテロシクリレン基である。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「エーテル」は、-R37OR38基を指す。R37は、存在しないか、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、アラルキレン、ヘテロシクリルアルキレン、またはヘテロシクリレン基である。R38は、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、またはヘテロシクリル基である。
【0048】
本明細書で使用される「溶媒」という用語は、任意の無機または有機溶媒を指す。溶媒は、反応溶媒または担体溶媒として、開示される方法または物品、製品、もしくは組成物に有用である。好適な溶媒としては、低級アルカノール、低級アルキルエーテル、グリコール、アリールグリコールエーテル、および低級アルキルグリコールエーテルなどの酸素化溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。他の溶剤の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよびブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、混合エチレン-プロピレングリコールエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、およびプロピレングリコールフェニルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。水も溶媒である。本明細書で使用される溶媒は、単一の溶媒、または多くの異なる溶媒の混合物であり得る。
【0049】
グリコールエーテルとしては、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールn-プロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールt-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールtert-ブチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテルなど、またはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
一態様では、式Iによる化合物が本明細書に開示され、
【化5】
式中、
Xは、NHまたはOであり、
R
11は、R
1またはR
1-Z-(CH
2)
m-であり、
R
1は、非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
30アルキル、環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、
Zは、NHまたはOであり、
R
2は、H、CH
3、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
2~C
10アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、
mは、1~4の整数であり、
R
3は、存在しないか、または非置換の直鎖C
1~C30アルキレン基であり、
Yは、-N
R
4
R
5
R
(+)6
またはその塩であり、
R
4、R
5、およびR
6は独立して、C
1~C
10アルキル基である。
【0051】
本明細書に開示される化合物のいくつかの実施形態では、Xは、NHである。いくつかの他の実施形態では、Xは、Oである。
【0052】
いくつかの実施形態では、R11は、R1である。いくつかの他の実施形態では、R11は、R1-Z-(CH2)m-である。いくつかの実施形態では、R11は、R1-Z-(CH2)m-であり、Zは、NHである。いくつかの他の実施形態では、R11は、R1-Z-(CH2)m-であり、Zは、Oである。さらにいくつかの他の実施形態では、R11は、R1-Z-(CH2)m-であり、Zは、NHであり、mは、2である。
【0053】
いくつかの実施形態では、R2は、Hである。いくつかの実施形態では、R2は、CH3である。さらにいくつかの他の実施形態では、R2は、CH3CH3、CH2CH2CH3、またはCH(CH3)2である。
【0054】
いくつかの実施形態では、Yは、-NR
4
R
5
R
(+)6
である。いくつかの他の実施形態では、Yは、-NR
4
R
5
R
(+)6
であり、R4、R5、およびR6は独立して、CH3である。さらにいくつかの他の実施形態では、Yは、-NR
4
R
5
R
(+)6
であり、R4およびR5は独立して、CH3であり、R6は、C6~C12芳香族アルキルである。いくつかの他の実施形態では、Yは、-NR
4
R
5
R
(+)6
であり、R4およびR5は独立して、CH3であり、R6は、-CH2-C6
H
5
である。
【0055】
いくつかの実施形態では、Yは、-NR
4
R
5
R
(+)6
であり、Yの対イオンは、負に帯電したイオンまたは種である。いくつかの他の実施形態では、Yの対イオンは、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、酢酸塩、アルミン酸塩、シアン酸塩、シアン化物、ニ水素リン酸塩、亜リン酸二水素、ギ酸塩、炭酸塩、炭酸水素、シュウ酸水素、硫酸水素、水酸化物、硝酸塩、亜硝酸塩、チオシアン酸塩、またはそれらの組み合わせである。
【0056】
いくつかの実施形態では、R3は、CH2である。いくつかの他の実施形態では、R3は、CH2CH2である。他の実施形態では、R3は、C(CH3)2である。さらにいくつかの他の実施形態では、R3は、非置換、直鎖、および飽和C2~C10アルキレン基である。いくつかの実施形態では、R3は、非置換、直鎖、および不飽和C2~C10アルキレン基である。
【0057】
いくつかの実施形態では、R1は、直鎖C1~C30アルキル、アルケニル、またはアルキニル基である。いくつかの他の実施形態では、R1は、分岐鎖C1~C30アルキル、アルケニル、またはアルキニル基である。さらにいくつかの他の実施形態では、R1は、直鎖および飽和C5~C30アルキル基である。いくつかの他の実施形態では、R1は、分岐鎖および飽和C5~C30アルキル基である。
【0058】
いくつかの実施形態では、R1は、1つ以上の二重結合を有する直鎖C1~C30アルケニル基である。いくつかの他の実施形態では、R1は、1つ以上の二重結合を有する分岐鎖C1~C30アルケニル基である。
【0059】
いくつかの実施形態では、R1は、1つ以上の三重結合を有する直鎖C1~C30アルキニル基である。いくつかの他の実施形態では、R1は、1つ以上の三重結合を有する分岐鎖C1~C30アルキニル基である。
【0060】
いくつかの実施形態では、R11は、直鎖および飽和C2~C20アルキル基である。いくつかの他の実施形態では、R11は、少なくとも1つの二重結合を有するトランスC2~C20アルケニル基である。いくつかの他の実施形態では、R11は、トランス配置の少なくとも1つの二重結合を有するC2~C20アルケニル基である。いくつかの実施形態では、R11は、少なくとも1つの二重結合を有するシスC2~C20アルケニル基である。いくつかの他の実施形態では、R11は、シス配置の少なくとも1つの二重結合を有するC2~C20アルケニル基である。
【0061】
いくつかの実施形態では、R11は、R1-NH-CH2CH2CH2基であり、R1は、直鎖および飽和C2~C20アルキル、トランスアルケニル、またはシスアルケニル基である。
【0062】
いくつかの他の実施形態では、R2は、Hであり、Xは、NHであり、R3は、CH2CH2であり、Yは、-N+(CH3)3Cl-である。
【0063】
別の態様では、式IIまたは式IIIによる化合物が本明細書に開示され、
【化6】
式中、Xは、NHまたはOであり、R
11は、R1またはR
1-Z-(CH
2)
m-であり、R
1は、非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
30アルキル、環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、Zは、NHまたはOであり、R
2は、H、CH
3、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
10アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、R
2’は、H、CH
3、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
10アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CH
2COOH、Y’、または-(CH
2)
m-Y’であり、mは、1~4の整数であり、R
3は、存在しないか、または非置換の直鎖C
1~C
30アルキレン基であり、Y’は、-COOH、-PO
3H、-OPO
3H、-SO
3H、-OSO
3H、またはそれらの塩である。
【0064】
いくつかの実施形態では、Y’は、-COOHまたはその塩である。いくつかの実施形態では、Y’は、-PO3H、-OPO3H、またはそれらの塩である。いくつかの他の実施形態では、Y’は、-SO3H、-OSO3H、またはそれらの塩である。
【0065】
本明細書に開示される化合物のいくつかの実施形態では、Xは、NHである。いくつかの他の実施形態では、Xは、Oである。
【0066】
いくつかの実施形態では、R11は、R1である。いくつかの他の実施形態では、R11は、R1-Z-(CH2)m-である。いくつかの実施形態では、R11は、R1-Z-(CH2)m-であり、Zは、NHである。いくつかの他の実施形態では、R11は、R1-Z-(CH2)m-であり、Zは、Oである。さらにいくつかの他の実施形態では、R11は、R1-Z-(CH2)m-であり、Zは、NHであり、mは、2である。
【0067】
いくつかの実施形態では、R2は、Hである。いくつかの実施形態では、R2は、CH3である。さらにいくつかの他の実施形態では、R2は、CH3CH3、CH2CH2CH3、またはCH(CH3)2である。
【0068】
いくつかの実施形態では、R2’は、Hである。いくつかの実施形態では、R2’は、CH3である。さらにいくつかの他の実施形態では、R2’は、CH3CH3、CH2CH2CH3、またはCH(CH3)2である。いくつかの他の実施形態では、R2’は、-COOHである。いくつかの他の実施形態では、R2’は、-CH2COOHである。
【0069】
いくつかの実施形態では、R3は、CH2である。いくつかの他の実施形態では、R3は、CH2CH2である。他の実施形態では、R3は、C(CH3)2である。さらにいくつかの他の実施形態では、R3は、非置換、直鎖、および飽和C2~C10アルキレン基である。いくつかの実施形態では、R3は、非置換、直鎖、および不飽和C2~C10アルキレン基である。
【0070】
いくつかの実施形態では、R1は、直鎖C1~C30アルキル、アルケニル、またはアルキニル基である。いくつかの他の実施形態では、R1は、分岐鎖C1~C30アルキル、アルケニル、またはアルキニル基である。さらにいくつかの他の実施形態では、R1は、直鎖および飽和C5~C30アルキル基である。いくつかの他の実施形態では、R1は、分岐鎖および飽和C5~C30アルキル基である。
【0071】
いくつかの実施形態では、R1は、1つ以上の二重結合を有する直鎖C1~C30アルケニル基である。いくつかの他の実施形態では、R1は、1つ以上の二重結合を有する分岐鎖C1~C30アルケニル基である。
【0072】
いくつかの実施形態では、R1は、1つ以上の三重結合を有する直鎖C1~C30アルキニル基である。いくつかの他の実施形態では、R1は、1つ以上の三重結合を有する分岐鎖C1~C30アルキニル基である。
【0073】
いくつかの実施形態では、R11は、直鎖および飽和C2~C20アルキル基である。いくつかの他の実施形態では、R11は、少なくとも1つの二重結合を有するトランスC2~C20アルケニル基である。いくつかの他の実施形態では、R11は、トランス配置の少なくとも1つの二重結合を有するC2~C20アルケニル基である。いくつかの実施形態では、R11は、少なくとも1つの二重結合を有するシスC2~C20アルケニル基である。いくつかの他の実施形態では、R11は、シス配置の少なくとも1つの二重結合を有するC2~C20アルケニル基である。
【0074】
いくつかの実施形態では、R11は、R1-NH-CH2CH2CH2基であり、R1は、直鎖および飽和C1~C20アルキル、トランスアルケニル、またはシスアルケニル基である。
【0075】
いくつかの他の実施形態では、R2は、Hであり、Xは、NHであり、R3は、CH2CH2であり、Y’は、-COOHまたは-PO3Hである。いくつかの実施形態では、化合物は、式IIによるものである。いくつかの他の実施形態では、化合物は、式IIIによるものである。
【0076】
いくつかの実施形態では、化合物は、式IIIを有する化合物であり、R2’は、Hであり、Xは、NHであり、Y’は、-COOHまたは-PO3Hである。いくつかの他の実施形態では、化合物は、式IIIを有するものであり、R2’は、-CH3であり、Xは、NHであり、Y’は、-COOHまたは-PO3Hである。さらにいくつかの他の実施形態では、化合物は、式IIIを有するものであり、R2’は、Y’または-CH2Y’であり、Xは、NHであり、Y’は、-COOHまたは-PO3Hである。
【0077】
さらにいくつかの他の実施形態では、化合物が式IIIを有するものであり、Y’基が負に帯電している場合、負電荷の対陽イオンとしては、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、NH4
+、四級アンモニウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
特定の作用メカニズムまたは化合物の構造および機能の定義に限定されないが、本明細書に開示される化合物は、1つの疎水基と会合した2つの親水基を有する。したがって、本明細書に開示される化合物は、1:1の比を示す従来の界面活性剤およびジェミニ界面活性剤の両方と比較して、2:1の親水基対疎水基の比を有する。
図1A、
図1B、および
図1Cは、従来の界面活性剤(
図1A)およびジェミニ界面活性剤(
図1B)の表示と共に、本明細書に開示される例示的な化合物の表示(
図1C)を示す。親水基対疎水基のより高い比により、開示される化合物は、抗菌殺菌剤、布地柔軟剤、静電気防止剤、腐食抑制剤、発泡剤、浮選捕収剤、分散剤、界面活性剤で補助された石油増進回収(EOR)洗浄剤などとしての使用に特によく適している。
【0079】
本開示では、「疎水基」という用語は、「疎水性尾部または頭部」という用語と互換的に使用され得る。同様に、「親水基」という用語は、「極性頭部もしくは尾部」または「極性基」という用語と互換的に使用され得る。「分子」という用語もまた、「化合物」という用語と互換的に使用され得る。
【0080】
作製の方法
別の態様では、本明細書に開示される化合物を合成するための方法が本明細書に開示される。開示される方法は、一級アミン(マイケル供与体)を親水基を含有する活性化オレフィン(マイケル受容体)と、約-20℃~約200℃の温度で、いくつかの実施形態では、約10分~約48時間接触させて、本明細書に開示される化合物を生成することを含む。本明細書に開示される化合物をもたらす反応は、一級アミン(マイケル供与体)と親水基を含有する活性化オレフィン(マイケル受容体)との間のアザ-マイケル付加である。
【0081】
脂肪族アミン基は、カルボニル、シアノ、またはニトロ基などの電子求引基の近くにある不飽和炭化水素部分(例えば、炭素-炭素二重結合)と接触すると、アザ-マイケル付加反応を起こし得る。具体的には、マイケル付加は、求核剤と活性化オレフィンおよびアルキン官能性との間の反応であり、求核剤は、カルボニル基などの電子求引基および共鳴安定化活性化基に隣接している炭素-炭素多重結合にわたって付加する。マイケル付加求核剤は、「マイケル供与体」として知られ、活性化求電子オレフィンは、「マイケル受容体」として知られ、2つの構成成分の反応生成物は、「マイケル付加体」として知られている。マイケル供与体の例としては、アミン、チオール、ホスフィン、カルバニオン、およびアルコキシドが挙げられるが、これらに限定されない。マイケル受容体の例としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸アルキル、アクリロニトリル、アクリルアミド、マレイミド、シアノアクリレートおよびビニルスルホン、ビニルケトン、ニトロエチレン、α,β-不飽和アルデヒド、ホスホン酸ビニル、アクリロニトリル、ビニルピリジン、アゾ化合物、ベータ-ケトアセチレン、およびアセチレンエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
本明細書で使用される場合、「活性化オレフィン」は、二重結合炭素のうちの少なくとも1つが共役電子求引基を有する置換アルケンを指す。活性化オレフィンの例としては、α、β-不飽和カルボニル化合物(CH2=CHCO-NH-CH3、アルキル-CH=CH-CO-アルキル、CH2=CH2C(O)-O-CH3)、CH2=CH-COOH、CH2=CH(CH3)-COOH、CH2=CH-SO3Hなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
本明細書で使用される場合、「接触」は、当業者が制御されかつ実用的な方法で化学反応を実施するために行うような、一級アミン(マイケル供与体)および少なくとも1つのカチオン基またはアニオン基を含有する活性化オレフィン(マイケル受容体)を一緒にするための任意の方法を指す。例えば、いくつかの実施形態では、一級アミンまたは一級アミンを含む溶液は、活性化オレフィンまたは活性化オレフィンを含む溶液を含む容器または槽に、バッチまたは滴下で添加され得る。いくつかの他の実施形態では、活性化オレフィンまたは活性化オレフィンを含む溶液は、一級アミンまたは一級アミンを含む溶液を含む容器または槽に、バッチまたは滴下で添加され得る。さらにいくつかの他の実施形態では、活性化オレフィンまたは活性化オレフィンを含む溶液および一級アミンまたは一級アミンを含む溶液の両方が容器または槽に、バッチまたは滴下で同時に、連続的に、または代替的に添加される。
【0084】
開示される化合物を合成するために使用される化学反応は、アザ-マイケル付加反応である。温和な条件下、かつ適度な反応時間で開示される化合物の高収率で、開示される化合物を合成するために、アザ-マイケル付加が使用され得ることがわかった。
【0085】
アザ-マイケル付加反応は、強酸または強塩基によって触媒され得る。場合によっては、一部のイオン液体は、反応媒体および触媒の両方として機能することができる。開示される化合物を合成するためのアザ-マイケル付加反応に好ましい触媒は、塩基である。塩基触媒は、アルカリ源または一次アルカリ源のいずれかまたは組み合わせであり得る。例示的な塩基触媒は、アルカリ金属、水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属ケイ酸塩(alkali metal silicate)、アルカリ金属ケイ酸塩(alkali metal silicate)、またはアミンであり得る。例示的な塩基触媒は、水酸化物およびアミンであり得る。開示される化合物を合成するための反応が一級アミンを使用するため、一級アミン自体が、反応の触媒として機能することができる。かかる実施形態では、追加の触媒は必要ではないか、または追加の触媒は任意である。他の好ましい触媒としては、アミジンおよびグアニジン塩基が挙げられる。
【0086】
反応のために溶媒および/または希釈剤の使用は任意である。用いられる場合、例えば、水、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン(THF))、芳香族炭化水素(例えば、トルエンおよびキシレン)、アルコール(例えば、n-ブタノール)、エステル(例えば、3-エトキシプロピオン酸エチル)などの様々な非酸性溶媒が好適である。合成プロセスが溶媒に比較的反応しにくいため、様々な溶媒が反応に使用され得る。溶媒(または希釈剤)が用いられる場合、充填レベルは、約0重量%~最大約80重量%以上の範囲であり得る。溶媒充填レベルは、最終反応混合物の約0重量%、約1重量%~約10重量%、約10重量%~約20重量%、約20重量%~約30重量%、約30重量%~約40重量%、約40重量%~約50重量%、約50重量%~約60重量%、約60重量%~約70重量%、約70重量%~約80重量%、約1重量%~約20重量%、約20重量%~約40重量%、約40重量%~約60重量%、約60重量%~約80重量%、約40重量%~約70重量%、約5重量%、約15重量%、約25重量%、35重量%、約45重量%、約55重量%、約65重量%、約75重量%、またはそれらの間の任意の値であり得る。
【0087】
一般に、方法の接触ステップは、広範囲の温度にわたる温度で実施され得る。接触または反応温度は、約-20℃~約200℃、約0oC~約150oC、より好ましくは約50oC~約80oCの範囲であり得る。接触温度は、約10oC~約140oC、約20oC~約130oC、約30oC~約120oC、約40oC~約110oC、約50oC~約100oC、約60oC~約90oC、約70oC~約80oC、約0oC~約20oC、約20oC~約40oC、約40oC~約60oC、約60oC~約80oC、約80oC~約100oC、約100oC~約120oC、約120oC~約150oC、約5oC、約25oC、約45oC、約65oC、約85oC、約105oC、約125oC、約145oC、またはそれらの間の任意の値であり得る。反応温度は、反応の開始から反応の終了までとほぼ同じであり得、反応の進行中にある温度から別の温度に変更され得る。
【0088】
本明細書に開示される化合物の合成のための接触または反応時間は、反応温度、触媒の有効性および量、希釈剤(溶媒)の有無などの要因に応じて大きく異なり得る。好ましい反応時間は、約10分~約48時間、約0.5時間~約48時間、約1時間~40時間、約2時間~38時間、約4時間~約36時間、6時間~約34時間、約8時間~約32時間、約10時間~約30時間、約12時間~約28時間、約14時間~26時間、約16時間~24時間、約18時間~20時間、約1時間~8時間、8時間~16時間、8時間~約24時間、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約14時間、約16時間、約18時間、約24時間、約30時間、約36時間、またはそれらの間の任意の値であり得る。
【0089】
本明細書に開示される化合物の合成のための反応は、1モルの一級アミンおよび少なくとも2モルの活性化オレフィンが、上記の温度で十分な時間一緒に混合されると完了することができる。典型的には、反応が室温で実施される場合、反応は、98%を超える生成物収率を有することができる。
【0090】
開示される方法のいくつかの実施形態では、一級アミンは、R
11-NH
2であり、R
11は、R
1またはR
1-Z-(CH
2)
m-であり、活性化オレフィンは、
【化7】
であり、Xは、NHまたはOであり、
R
11は、R
1またはR
1-Z-(CH
2)
m-であり、
R
1は、非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
30アルキル、環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、
Zは、NHまたはOであり、
R
2は、H、CH
3、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
10アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、
mは、1~4の整数であり、
R
3は、存在しないか、または非置換の直鎖C
1~C30アルキレン基であり、
Yは、-N
R
4
R
5
R
(+)6
またはその塩であり、
R
4、R
5、およびR
6は独立して、C
1~C
10アルキル基である。
【0091】
いくつかの実施形態では、活性化オレフィンは、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(DMAEA-MCQ)、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド四級塩(DMAEA-BCQ)、2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタン-1-アミニウムメチルサルフェート(DMAEA-MSQ)、2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(DMAEA-MCQ)、またはそれらの混合物である。
【0092】
開示される方法のいくつかの実施形態では、一級アミンは、R
11-NH
2であり、R
11は、R
1またはR
1-Z-(CH
2)
m-であり、活性化オレフィンは、
【化8】
であり、Xは、NHまたはOであり、
R
11は、R
1またはR
1-Z-(CH
2)
m-であり、
R
1は、非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
30アルキル、環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、
Zは、NHまたはOであり、
R
2は、H、CH
3、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
10アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、
R
2’は、H、CH
3、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
10アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CH
2COOH、Y’、または-(CH
2)
m-Y’であり、
mは、1~4の整数であり、
R
3は、存在しないか、または非置換の直鎖C
1~C30アルキレン基であり、
Y’は、-COOH、-PO
3H、-SO
3H、またはそれらの塩である。
【0093】
いくつかの実施形態では、活性化オレフィンは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、またはそれらの混合物である。
【0094】
いくつかの他の実施形態では、活性化オレフィンは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、3-(アリルオキシ)-2-ヒドロキシプロパン-1-スルホネート、またはそれらの混合物である。
【0095】
さらにいくつかの他の実施形態では、活性化オレフィンがアルカリ性pHで負電荷を帯びることができるアニオン基を含有する場合、負電荷の対陽イオンとしては、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、NH4
+、四級アンモニウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
開示される方法のいくつかの実施形態では、接触ステップは、反応溶媒の存在下で行われる。反応溶媒は、化学合成で一般的に使用される任意の無機または有機溶媒であり得る。開示される方法で使用される反応溶媒は、当業者に既知の任意の方法によって、一級アミンとカチオン基またはアニオン基を含む活性化オレフィンとの間の反応に導入され得る。例えば、溶媒は、一級アミン、活性化オレフィン、もしくは両方が添加される前、一方もしくは両方の反応物質と同時、またはその後に、反応用の容器または槽に添加され得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、反応溶媒は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、グリコール、PEG、またはそれらの混合物である。いくつかの他の実施形態では、反応溶媒は、水である。
【0098】
開示される方法のいくつかの他の実施形態では、接触ステップは、触媒、塩基、または酸の存在下で行われる。触媒、塩基、または酸は、当業者に既知の任意の方法によって、一級アミンと活性化オレフィンとの間の反応に導入され得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、接触ステップは、任意の追加の塩基の存在なしで行われる。いくつかの他の実施形態では、接触ステップは、アルカリ源の存在下で行われる。いくつかの他の実施形態では、接触ステップは、アルカノールアミンなどの有機塩基の存在下で行われる。さらにいくつかの他の実施形態では、接触ステップは、アルカリ金属水酸化物、炭酸塩、イミダゾール/ピリジン系塩基、またはそれらの組み合わせ、例えば、NaOH、Na2CO3、アミノエチルピリジン、アミノプロピルイミダゾール、またはそれらの組み合わせの存在下で行われる。いくつかの他の実施形態では、接触ステップは、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドの存在下で行われる。いくつかの実施形態では、触媒塩基は、アミジンもしくはグアニジン塩基、またはそれらの混合物である。いくつかの他の実施形態では、触媒は、室温で無溶媒条件下で反応するための、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-ウンデカ-7-エン-8-イウムアセテートなどのイオン液体である。
【0100】
開示される方法のさらにいくつかの他の実施形態では、接触ステップは、酸の存在下で行われる。いくつかの他の実施形態では、接触ステップは、触媒の存在下で行われる。触媒は、マイケル付加反応について当業者に既知の触媒のうちのいずれか1つ以上であり得る。
【0101】
開示される方法のさらにいくつかの他の実施形態では、接触ステップは、触媒、塩基、または酸を含まずに行われる。いくつかの他の実施形態では、接触ステップは、アルカリ金属水酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩、メタケイ酸塩、イミダゾール/ピリジン系塩基、またはそれらの全てを含まずに行われる。いくつかの実施形態では、接触ステップは、塩基を含まずに行われる。
【0102】
さらに別の態様では、本明細書に開示されるか、または本明細書に開示される方法によって製造される1つ以上の化合物を含む物品、製品、または組成物が、本明細書に開示される。
【0103】
いくつかの実施形態では、物品、製品、または組成物は、担体溶媒または担体をさらに含む。本明細書で使用される場合、「担体溶媒」または担体は、開示される化合物が均一に分布し、かつ安定し得る溶媒または溶媒系である。
【0104】
本明細書で使用される場合、「安定」とは、本明細書に開示される化合物が、本明細書に開示される化合物および担体溶媒または任意の他の成分が均質に混合された後、約1時間、約1時間~約12時間、約12時間、約1日、約5日、約10日、約20日、約1ヶ月、約1ヶ月~約1年、または約1年~約2年、組成物中の担体溶媒または他の成分から沈殿または分離しないことを意味する。
【0105】
いくつかの実施形態では、担体溶媒は、工業または実験室で一般的に使用される任意の無機または有機溶媒であり得る。物品、製品、または組成物の他のいくつかの実施形態では、担体溶媒は、水、アルコール、アルキレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテル、またはそれらの組み合わせである。いくつかの他の実施形態では、担体溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、モノエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、またはそれらの組み合わせである。
【0106】
いくつかの実施形態では、物品、製品、または組成物は、固体である。いくつかの他の実施形態では、物品、製品、または組成物は、液体である。
【0107】
いくつかの実施形態では、物品、製品、または組成物は、追加の界面活性剤をさらに含むことができる。追加の界面活性剤は、非イオン性、半非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性、双性イオン性、ジェミニ界面活性剤、またはそれらの組み合わせである。
【0108】
いくつかの実施形態では、追加の界面活性剤は、非イオン性、半非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性、双性イオン性、ジェミニ界面活性剤、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、通常の界面活性剤を含むが、ジェミニ界面活性剤を含まない。いくつかの他の実施形態では、組成物は、ジェミニ界面活性剤を含むが、通常の界面活性剤を含まない。さらにいくつかの他の実施形態では、界面活性剤組成物は、非イオン性、半非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性、および双性イオン性界面活性剤のうちの1種類を含むが、残りの界面活性剤は含まない。例えば、開示される組成物は、本明細書に開示される1つ以上の化合物と1つ以上の非イオン性界面活性剤とを含むことができるが、半非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性、双性イオン性、またはジェミニ界面活性剤を含まない。
【0109】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される物品、製品、または組成物は、本明細書に開示される1つ以上の化合物、酸、および担体溶媒を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される物品、製品、または組成物は、本明細書に開示される1つ以上の化合物、酸、担体溶媒、およびペルオキシカルボン酸またはペルオキシカルボン酸組成物を含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、物品、製品、または組成物は、一次アルカリ源をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される物品、製品、または組成物は、本明細書に開示される1つ以上の化合物と一次アルカリ源とを含む洗剤組成物である。洗剤組成物は、本明細書で使用される場合、本明細書に開示される化合物よりも重量パーセントでより多くの一次アルカリ源を含有し、約8~約13の使用溶液pHを有するアルカリ使用溶液を生成できる組成物を指す。
【0111】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される物品、製品、または組成物は、本明細書に開示される1つ以上の化合物、一次アルカリ源、およびキレート剤を含む洗剤組成物である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される物品、製品、または組成物は、本明細書に開示される1つ以上の化合物、一次アルカリ源、キレート剤、および界面活性剤を含む洗剤組成物である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される物品、製品、または組成物は、本明細書に開示される1つ以上の化合物、一次アルカリ源、およびキレート剤を含むが、界面活性剤を含まない洗剤組成物である。
【0112】
いくつかの実施形態では、組成物は、固体組成物である。いくつかの他の実施形態では、組成物は、液体である。
【0113】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される物品、製品、または組成物は、本明細書に開示される1つ以上の化合物、一次アルカリ源、および酵素を含む洗剤組成物である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される物品、製品、または組成物は、本明細書に開示される1つ以上の化合物、一次アルカリ源、キレート剤、酵素、および界面活性剤を含む洗剤組成物である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される物品、製品、または組成物は、本明細書に開示される1つ以上の化合物、一次アルカリ源、および酵素を含むが、界面活性剤、キレート剤、または両方を含まない洗剤組成物である。
【0114】
いくつかの実施形態では、一次アルカリ源は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属ケイ酸塩(alkali metal silicate)、アルカリ金属ケイ酸塩(alkali metal silicate)、アミン、またはそれらの混合物を含む。いくつかの他の実施形態では、一次アルカリ源は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、またはそれらの混合物を含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される洗剤組成物は、ビルダーを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される洗剤組成物は、ビルダーを含まないが、ビルダーとして一次アルカリ源の一部を含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される洗剤組成物は、酵素を含み、酵素は、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、クチナーゼ、グルコナーゼ、ペルオキシダーゼ、および/またはそれらの混合物である。いくつかの実施形態では、酵素は、プロテアーゼ酵素である。いくつかの実施形態では、酵素は、プロテアーゼおよびアミラーゼである。いくつかの他の実施形態では、酵素は、プロテアーゼ、アミラーゼ、およびリパーゼである。さらにいくつかの他の実施形態では、本明細書に開示される洗剤組成物または組成物は、酵素を含まない。
【0117】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される洗剤組成物または組成物は、キレート剤を含み、キレート剤が、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸-N,N-二酢酸(GLDA)、N-ヒドロキシエチルアミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(テトラナトリウムEDTAを含む)、ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、N-ヒドロキシエチル-エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)、2-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、イミノジコハク酸(IDS)、3-ヒドロキシ-2-2’-イミノジコハク酸(HIDS)、またはそれらの混合物である。
【0118】
他の実施形態では、本明細書に開示される洗剤組成物は、1つ以上の追加の洗剤組成物剤をさらに含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される洗剤組成物は、固体組成物である。いくつかの他の実施形態では、洗剤組成物は、液体である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される固体洗剤組成物は、任意のプレス、押出、もしくは鋳造固体組成物、またはルースパウダー形態である。いくつかの他の実施形態では、固体洗剤組成物は、プレスおよび/または押出ブロックである。いくつかの他の実施形態では、洗剤組成物は、多重使用プレス固体ブロック組成物である。
【0120】
固体ブロック洗剤組成物が固体状態の安定性を提供し、ディスペンサーで使用され得るため、多目的固体ブロック洗剤組成物が好ましい。機関および工業での操作のための固化技術および固体ブロック洗剤の使用は、米国再発行特許第32,762号および同第32,818号に開示されるように、例えば、SOLID POWER(登録商標)ブランド技術に関して記載されている。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される洗剤組成物は、Heile et al.の米国特許第4,595,520号および同第4,680,134号によって開示される炭酸ナトリウム水和物鋳造固体製品を含む。これらの参考文献の各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。作用メカニズムによって制限されることなく、固化メカニズムは、灰分水和または炭酸ナトリウムと水との相互作用である。
【0121】
本明細書では、水系中の表面上の腐食を制御するための新しいクラスのジカチオン性またはジアニオン性化合物を使用する方法、およびこの新しいクラスのジカチオン性またはジアニオン性化合物を含む、対応する腐食制御組成物も本明細書に開示される。具体的には、2つの同一の親水基と1つの疎水基とを含み、一級アミン(マイケル供与体)と活性化オレフィン(マイケル受容体)との間のアザ-マイケル付加反応から誘導される、1つ以上のジカチオン性またはジアニオン性化合物を、腐食制御剤として使用することが開示される。
【0122】
一態様では、腐食制御組成物が本明細書に開示され、この組成物は、式I、式II、式IIIのうちの1つによる1つ以上の化合物と、1つ以上の追加の腐食制御組成物剤とを含み、
【化9】
式中、Xは、NHまたはOであり、R
11は、R1またはR
1-Z-(CH
2)
m-であり、R
1は、非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
30アルキル、環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、Zは、NHまたはOであり、R
2は、H、CH
3、または非置換の直鎖または分岐鎖C
2~C
10アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、mは、1~4の整数であり、R
3は、存在しないか、または非置換の直鎖C
1~C
30アルキレン基であり、Yは、-N
R
4
R
5
R
(+)6
であり、Y’は、-COOH、-SO
3H、-PO
3H、-OSO
3H、-OPO
3H、またはそれらの塩であり、R
2’は、H、CH
3、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
10アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CH
2COOH、Y’、または-(CH
2)
m-Y’であり、R
4、R
5、およびR
6は独立して、C
1~C
10アルキル基であり、腐食制御組成物は、水系中の表面上の腐食を緩和する。
【0123】
別の態様では、水系中の表面における腐食を抑制するための方法が本明細書に開示され、方法は、腐食制御組成物または腐食制御組成物の使用溶液を水系中に提供して、処理された水系を生成することか、または水系の表面上に提供することを含み、腐食制御組成物は、式I、式II、式IIIのうちの1つによる1つ以上の化合物と、1つ以上の追加の腐食制御組成物腐食制御組成物剤とを含み、
【化10】
式中、Xは、NHまたはOであり、R
11は、R1またはR
1-Z-(CH
2)
m-であり、R
1は、非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
5~C
30アルキル、環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、Zは、NHまたはOであり、R
2は、H、CH
3、または非置換の直鎖または分岐鎖C
2~C
10アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、mは、1~4の整数であり、R
3は、存在しないか、または非置換の直鎖C
1~C
30アルキレン基であり、Yは、-N
R
4
R
5
R
(+)6
であり、Y’は、-COOH、-SO
3H、-PO
3H、-OSO
3H、-OPO
3H、またはそれらの塩であり、R
2’は、H、CH
3、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
10アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CH
2COOH、Y’、または-(CH
2)
m-Y’であり、R
4、R
5、およびR
6は独立して、C
1~C
10アルキル基であり、腐食制御組成物は、水系中の表面上の腐食を緩和する。
【0124】
いくつかの実施形態では、腐食制御組成物は、ジカチオン性またはジアニオン性化合物が約2ppmであり、腐食速度が気泡試験によって測定されたときに、金属表面上の腐食を約280mpy、約265、約250mpy、約225mpy、約200mpy、約175mpy、約150mpy、約175mpy、約100mpy、またはそれらの間の任意の値まで緩和することができる。
【0125】
いくつかの実施形態では、1つ以上の化合物は、式Iのうちの1つ以上である。いくつかの他の実施形態では、1つ以上の化合物は、式IIのうちの1つ以上である。さらにいくつかの他の実施形態では、1つ以上の化合物は、式IIIのうちの1つ以上である。いくつかの他の実施形態では、1つ以上の化合物は、式IIおよび式IIIのうちの1つ以上である。
【0126】
本明細書に開示される化合物のいくつかの実施形態では、Xは、NHである。いくつかの他の実施形態では、Xは、Oである。
【0127】
いくつかの実施形態では、R11は、R1である。いくつかの他の実施形態では、R11は、R1-Z-(CH2)m-である。いくつかの実施形態では、R11は、R1-Z-(CH2)m-であり、Zは、NHである。いくつかの他の実施形態では、R11は、R1-Z-(CH2)m-であり、Zは、Oである。さらにいくつかの他の実施形態では、R11は、R1-Z-(CH2)m-であり、Zは、NHであり、mは、2である。
【0128】
いくつかの実施形態では、R2は、Hである。いくつかの実施形態では、R2は、CH3である。さらにいくつかの他の実施形態では、R2は、CH3CH3、CH2CH2CH3、またはCH(CH3)2である。
【0129】
いくつかの実施形態では、Yは、-NR
4
R
5
R
(+)6
である。いくつかの他の実施形態では、Yは、-NR
4
R
5
R
(+)6
であり、R4、R5、およびR6は独立して、CH3である。さらにいくつかの他の実施形態では、Yは、-NR
4
R
5
R
(+)6
であり、R4およびR5は独立して、CH3であり、R6は、C2~C12芳香族アルキルである。いくつかの他の実施形態では、Yは、-NR
4
R
5
R
(+)6
であり、R4およびR5は独立して、CH3であり、R6は、-CH2-C6
H
5
である。
【0130】
いくつかの実施形態では、Yは、-NR
4
R
5
R
(+)6
であり、Yの対イオンは、負に帯電したイオンまたは種である。いくつかの他の実施形態では、Yの対イオンは、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、酢酸塩、アルミン酸塩、シアン酸塩、シアン化物、ニ水素リン酸塩、亜リン酸二水素、ギ酸塩、炭酸塩、炭酸水素、シュウ酸水素、硫酸水素、水酸化物、硝酸塩、亜硝酸塩、チオシアン酸塩、またはそれらの組み合わせである。
【0131】
いくつかの実施形態では、Yは、-COOHまたはその塩である。いくつかの他の実施形態では、Yは、-SO3Hまたはその塩である。さらにいくつかの他の実施形態では、Yは、-PO3Hまたはその塩である。いくつかの他の実施形態では、Yは、酸性種またはその塩である。
【0132】
いくつかの実施形態では、R3は、CH2である。いくつかの他の実施形態では、R3は、CH2CH2である。他の実施形態では、R3は、C(CH3)2である。さらにいくつかの他の実施形態では、R3は、非置換、直鎖、および飽和C2~C10アルキレン基である。いくつかの実施形態では、R3は、非置換、直鎖、および不飽和C2~C10アルキレン基である。
【0133】
いくつかの実施形態では、R1は、直鎖C5~C30アルキル、アルケニル、またはアルキニル基である。いくつかの他の実施形態では、R1は、分岐鎖C5~C30アルキル、アルケニル、またはアルキニル基である。さらにいくつかの他の実施形態では、R1は、直鎖および飽和C5~C30アルキル基である。いくつかの他の実施形態では、R1は、分岐鎖および飽和C5~C30アルキル基である。
【0134】
いくつかの実施形態では、R1は、1つ以上の二重結合を有する直鎖C1~C30アルケニル基である。いくつかの他の実施形態では、R1は、1つ以上の二重結合を有する分岐鎖C3~C30アルケニル基である。
【0135】
いくつかの実施形態では、R1は、1つ以上の三重結合を有する直鎖C3~C30アルキニル基である。いくつかの他の実施形態では、R1は、1つ以上の三重結合を有する分岐鎖C3~C30アルキニル基である。
【0136】
いくつかの実施形態では、R11は、直鎖および飽和C1~C20アルキル基である。いくつかの他の実施形態では、R11は、少なくとも1つの二重結合を有するトランスC3~C20アルケニル基である。いくつかの他の実施形態では、R11は、トランス配置の少なくとも1つの二重結合を有するC3~C20アルケニル基である。いくつかの実施形態では、R11は、少なくとも1つの二重結合を有するシスC3~C20アルケニル基である。いくつかの他の実施形態では、R11は、シス配置の少なくとも1つの二重結合を有するC3~C20アルケニル基である。
【0137】
いくつかの実施形態では、R11は、R1-NH-CH2CH2CH2基であり、R1は、直鎖および飽和C6~C20アルキル、トランスアルケニル、またはシスアルケニル基である。
【0138】
いくつかの他の実施形態では、R2は、Hであり、Xは、NHであり、R3は、CH2CH2であり、Yは、-N+(CH3)3Cl-である。
【0139】
いくつかの実施形態では、化合物は、2つ以上のジカチオン性またはアニオン性化合物の混合物である。いくつかの他の実施形態では、化合物は、単一のジカチオン性化合物またはその混合物である。いくつかの他の実施形態では、化合物は、単一のジアニオン性化合物またはその混合物である。2つ以上のジカチオン性またはアニオン性化合物は、分子もしくは平均分子量、構造、またはそれらの組み合わせによって互いに異なる。
【0140】
いくつかの実施形態では、化合物は、同じ一級アミンおよび活性化オレフィンから、または異なる一級アミンおよび活性化オレフィンから誘導される少なくとも2つの異なるジカチオン性化合物の混合物である。
【0141】
いくつかの実施形態では、化合物は、一級アミンおよび(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)から誘導される。いくつかの他の実施形態では、化合物は、一級アミンおよび[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)から誘導される。
【0142】
いくつかの実施形態では、化合物は、一級アミンおよび活性化オレフィンから誘導される。いくつかの実施形態では、活性化オレフィンは、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(DMAEA-MCQ)、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド四級塩(DMAEA-BCQ)、2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタン-1-アミニウムメチルサルフェート(DMAEA-MSQ)、または2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(DMAEA-MCQ)である。
【0143】
いくつかの他の実施形態では、活性化オレフィンは、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、またはそれらの混合物である。
【0144】
いくつかの他の実施形態では、活性化オレフィンは、2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(DMAEA-MCQ)、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド四級塩(DMAEA-BCQ)、2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタン-1-アミニウムメチルサルフェート(DMAEA-MSQ)、2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(DMAEA-MCQ)、またはそれらの混合物である。
【0145】
いくつかの実施形態では、化合物は、一級アミンおよび活性化オレフィンから誘導される。いくつかの実施形態では、活性化オレフィンは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、またはそれらの混合物である。
【0146】
いくつかの他の実施形態では、活性化オレフィンは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、3-(アリルオキシ)-2-ヒドロキシプロパン-1-スルホネート、またはそれらの混合物である。
【0147】
さらにいくつかの他の実施形態では、活性化オレフィンがアルカリ性pHで負電荷を帯びることができるアニオン基を含有する場合、負電荷の対陽イオンとしては、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、NH4
+、四級アンモニウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0148】
いくつかの実施形態では、化合物は、水または腐食制御組成物に可溶性または分散性である。
【0149】
いくつかの実施形態では、腐食制御組成物は、担体を含み、担体は、水、有機溶媒、またはそれらの混合物である。
【0150】
いくつかの実施形態では、腐食制御組成物は、有機溶媒をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、腐食制御組成物は、有機溶媒および水をさらに含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、有機溶媒は、アルコール、炭化水素、ケトン、エーテル、アルキレングリコール、グリコールエーテル、アミド、ニトリル、スルホキシド、エステル、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの他の実施形態では、有機溶媒は、アルコール、アルキレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテル、またはそれらの組み合わせである。さらにいくつかの実施形態では、有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、モノエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、またはそれらの組み合わせである。
【0152】
いくつかの実施形態では、有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2-エチルヘキサノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、2-ブトキシエタノール、メチレングリコール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、デカン、ドデカン、ディーゼル、トルエン、キシレン、重芳香族ナフサ、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン、ジエチルエーテル、プロピレンカーボネート、N-メチルピロリジノン、N,N-ジメチルホルムアミド、それらと水との混合物、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0153】
いくつかの実施形態では、腐食制御組成物は、1つ以上の追加の腐食抑制剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、腐食制御組成物は、1つ以上の追加の腐食抑制剤と担体とをさらに含む。いくつかの実施形態では、腐食抑制剤は、イミダゾリン化合物、ピリジニウム化合物、またはそれらの組み合わせである。
【0154】
いくつかの実施形態では、腐食制御組成物は、汚損制御剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、汚損制御剤は、単一の四級化合物である。
【0155】
いくつかの実施形態では、腐食制御組成物は、殺生物剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、腐食制御組成物は、殺生物剤および担体をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、腐食制御組成物は、殺生物剤、腐食抑制剤、および担体をさらに含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、殺生物剤は、酸化殺生物剤である。いくつかの他の実施形態では、殺生物剤は、非酸化殺生物剤である。いくつかの他の実施形態では、殺生物剤は、塩素、次亜塩素酸塩、ClO2、臭素、オゾン、過酸化水素、過酢酸、ペルオキシ硫酸、ペルオキシカルボン酸、ペルオキシカルボン酸組成物、またはそれらの混合物である。いくつかの他の実施形態では、殺生物剤は、グルタルアルデヒド、ジブロモニトリロプロピオンアミド、イソチアゾロン、テルブチラジン、高分子ビグアニド、メチレンビスチオシアネート、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウムサルフェート、およびそれらの組み合わせである。
【0157】
いくつかの実施形態では、腐食制御組成物は、有機硫黄化合物をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、有機硫黄化合物は、メルカプトアルキルアルコール、メルカプト酢酸、チオグリコール酸、3,3′-ジチオジプロピオン酸、チオ硫酸ナトリウム、チオ尿素、L-システイン、tert-ブチルメルカプタン、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、またはそれらの組み合わせである。
【0158】
いくつかの実施形態では、腐食制御組成物は、酸をさらに含む。いくつかの実施形態では、腐食制御組成物は、無機酸、鉱酸、有機酸、またはそれらの混合物をさらに含む。いくつかの実施形態では、腐食制御組成物は、約1重量%~約20重量%の酸を含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、酸は、塩酸、フッ化水素酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、またはそれらの混合物である。
【0160】
いくつかの実施形態では、腐食制御組成物は、硫化水素捕捉剤をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、硫化水素捕捉剤は、酸化剤、無機過酸化物、過酸化ナトリウム、二酸化塩素;C1~C10アルデヒド、ホルムアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド、アクロレインもしくはメタクロレイン、トリアジン、モノエタノールアミントリアジン、モノメチルアミントリアジン、またはそれらの混合物である。
【0161】
いくつかの実施形態では、腐食制御組成物は、界面活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、腐食制御組成物は、界面活性剤、殺生物剤、および担体をさらに含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、界面活性剤は、非イオン性、半非イオン性、カチオン性、アニオン性、両性、双性イオン性、ジェミニ、ジカチオン性、ジアニオン性界面活性剤、またはそれらの混合物である。
【0163】
いくつかの実施形態では、界面活性剤は、アルキルフェノール、脂肪酸、またはそれらの混合物である。
【0164】
いくつかの実施形態では、腐食制御組成物は、アスファルテン抑制剤、パラフィン抑制剤、スケール抑制剤、ガスハイドレート抑制剤、pH調整剤、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含む。
【0165】
いくつかの実施形態では、腐食制御組成物は、エマルジョン破壊剤、逆エマルジョン破壊剤、凝固剤/凝集剤、水浄化剤、分散剤、酸化防止剤、ポリマー分解防止剤、浸透性調節剤、発泡剤、消泡剤、乳化剤、CO2および/またはO2の捕捉剤、ゲル化剤、潤滑剤、摩擦低減剤、塩、またはそれらの混合物をさらに含む。
【0166】
いくつかの実施形態では、腐食制御組成物は、液体、ゲル、または液体/ゲルおよび固体を含む混合物である。
【0167】
いくつかの実施形態では、腐食制御組成物またはその使用溶液は、約1~約11、約1~約3、約3~約5、約5~約7、約7~約9、約9~約11、約2、約4、約6、約8、約10、またはそれらの間の任意の値のpHを有する。
【0168】
いくつかの実施形態では、腐食制御組成物は、約10重量%~約80重量%のジカチオン性化合物またはその混合物を含む。いくつかの他の実施形態では、腐食制御組成物は、約10重量%~約30重量%、約30重量%~約50重量%、約50重量%~約70重量%、約10重量%~約40重量%、約20重量%~約50重量%、約30重量%~約60重量%、約40重量%~約80重量%、約15重量%、約25重量%、約35重量%、約45重量%、約55重量%、約65重量%、約75重量%、またはそれらの間の任意の値のジカチオン性化合物またはその混合物を含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、腐食制御組成物は、約20重量%~約60重量%のジアニオン性化合物またはその混合物を含む。いくつかの他の実施形態では、腐食制御組成物は、約10重量%~約30重量%、約30重量%~約50重量%、約50重量%~約70重量%、約10重量%~約40重量%、約20重量%~約50重量%、約30重量%~約60重量%、約40重量%~約80重量%、約15重量%、約25重量%、約35重量%、約45重量%、約55重量%、約65重量%、約75重量%、またはそれらの間の任意の値のジアニオン性化合物またはそれらの混合物を含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、ジカチオン性もしくはジアニオン性化合物またはそれらの混合物は、処理された水系で約1ppm~約1000ppmの濃度を有する。いくつかの実施形態では、ジカチオン性もしくはジアニオン性化合物またはそれらの混合物は、処理された水系で約1ppm~約5ppm、約5ppm~約10ppm、約1ppm~約10ppm、約1ppm~約20ppm、約1ppm~約25ppm、約5ppm~約15ppm、約15ppm~約50ppm、約50ppm~約100ppm、約100ppm~約200ppm、約200ppm~約300ppm、約300ppm~約400ppm、約400ppm~約500ppm、約500ppm~約600ppm、約600ppm~約700ppm、約700ppm~約800ppm、約800ppm~約900ppm、またはそれらの間の任意の値の濃度を有する。
【0171】
いくつかの実施形態では、腐食制御組成物は、追加の機能性成分と独立して、同時に、または連続的に水系に提供される。
【0172】
いくつかの実施形態では、水系は、淡水、リサイクル水、塩水、地表水、随伴水、またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、水系は、石油およびガス操業で見られるような水、油、および固体を含む。いくつかの実施形態では、水系は、水および炭化水素または油を含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、水系は、冷却水系、ボイラー水系、石油坑、ダウンホール形成、地熱井、鉱物洗浄、浮選および慈善、製紙、ガススクラバ、エアウォッシャ、冶金工業の連続鋳造プロセス、空調および冷蔵、水の再生利用、浄水、膜濾過、食品加工、浄化器、都市下水処理、都市水処理、または飲料水系である。
【0174】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、水系にジカチオン性もしくはジアニオン性化合物または腐食制御組成物を投入した後に、処理された水系が、約1ppm~約1,000ppm、約1~約900ppm、約1ppm~約800ppm、約1ppm~約700ppm、約1ppm~約600ppm、約1ppm~約500ppm、約1ppm~約400ppm、約1ppm~約300ppm、約1ppm~約250ppm、約1ppm~約200ppm、約1ppm~約150ppm、約1ppm~約100ppm、約1ppm~約50ppm、約1ppm~約25ppm、約1ppm~約10ppm、約0.5ppm~約2ppm、約950ppm、約850ppm、約750ppm、約650ppm、約550ppm、約450ppm、約350、約250ppm、約150ppm、約50ppm、約25ppm、約10ppm、約5ppm、約2ppm、約1ppm、約0.5ppm、またはそれらの間の任意の範囲もしくは値のジカチオンまたはジアニオン濃度を有する場合、本開示の実施例のセクションに記載される気泡セル試験によって示されるように、水系中の表面上の腐食を防止することができる。
【0175】
本開示の方法および組成物は、開示される組成物または方法の構成要素および成分、ならびに本明細書に記載の他の成分を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなり得る。本明細書で使用される場合、「から本質的になる」は、方法および組成物が、追加のステップ、構成要素または成分を含んでもよいが、ただしその追加のステップ、構成要素または成分が、特許請求される方法および組成物の基本的なおよび新規の特徴を物質的に変更しない場合に限ることを意味する。
【0176】
アルカリ源
開示される調製方法は、触媒として有効量のアルカリ源を使用することを含み得る。開示される腐食制御組成物またはその使用方法も、有効量のアルカリ源を使用することを含み得る。アルカリ源は、その固体、液体、または溶液の形で反応混合物に添加され得る。
【0177】
一般に、有効量のアルカリ源は、少なくとも約8のpHを有する版の混合物を提供する量としてみなされるべきである。溶液が約8~約10のpHを有するとき、それは、弱アルカリ性とみなされ得、pHが約12より大きいとき、溶液は、苛性とみなされ得る。
【0178】
アルカリ源は、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩、またはそれらの混合物を含むことができる。使用可能な適切な金属炭酸塩は、例えば、炭酸、重炭酸、セスキ炭酸のナトリウムもしくはカリウム、またはそれらの混合物を含む。使用できる適切なアルカリ金属水酸化物は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、または水酸化カリウムを含む。有用なアルカリ金属ケイ酸塩の例には、ケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カリウム(2.4~5:1のM2O:SiO2比を有し、Mはアルカリ金属を表す)またはメタケイ酸塩が含まれる。メタケイ酸塩は、水酸化物およびケイ酸塩を混合することによって作製され得る。アルカリ源はまた、ホウ酸ナトリウムまたはホウ酸カリウムなどの金属ホウ酸塩も含み得る。
【0179】
アルカリ源はまた、エタノールアミン、尿素硫酸塩、アミン、アミン塩、および四級アンモニウムも含み得る。最も単純なカチオン性アミンであるアミン塩および第四級アンモニウム化合物は、以下:
【化11】
式中、Rは、長アルキル鎖を表し、R’、R’’、およびR’’’は、長アルキル鎖、またはより小さいアルキル基もしくはアリール基、あるいは水素のいずれかであってもよく、Xは、アニオンを表す。
【0180】
いくつかの実施形態では、反応物質が反応を触媒するために一級アミンまたは一級アミン基を含有するため、調製方法は、アルカリ源を含まない。
【0181】
一次アルカリ源
開示される組成物は、特に開示される組成物が洗剤組成物である場合、一次アルカリ源を含むことができる。
【0182】
本明細書に開示される組成物または洗剤組成物の一次アルカリ源は、例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属メタケイ酸塩、またはそれらの混合物を含むことができる。好適なアルカリ源の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、またはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。アルカリ源は、好ましくは、アルカリ水酸化物、アルカリ炭酸塩、またはそれらの混合物である。アルカリ源は、水または他の希釈剤が組成物に添加されて使用溶液を形成するときに、開示される組成物の結果として生じる使用溶液のpHを制御する。
【0183】
開示される組成物が洗剤組成物である場合、使用溶液のpHは、十分な洗浄特性を提供するためにアルカリ範囲に維持されなければならない。したがって、開示される洗剤組成物は、重量パーセントに関して本明細書に開示される開示された化合物よりも多くの一次アルカリ源を含む。
【0184】
本明細書に開示される組成物の使用溶液は、本明細書で使用される場合、希釈剤による組成物または化合物の希釈溶液を指す。希釈剤は、本明細書で使用される場合、本明細書で定義される水、水道水、蒸留水、または担体溶媒を指す。組成物または化合物は、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11~1,000,000倍、またはそれらの間の任意の値に希釈されて、使用溶液を生成し、次いで使用溶液をこの用途に使用することができる。本開示では、組成物またはジカチオン性化合物が適用される場合、組成物/化合物またはその使用溶液のいずれかが適用される。
【0185】
開示される組成物が洗剤組成物である場合、洗剤組成物の使用溶液のpHは、使用溶液が洗剤組成物を蒸留水で希釈することによって得られ、0.1g/L~約3g/Lの一次アルカリ源を含有する場合に室温で決定されるpHとして定義される。いくつかの実施形態では、アルカリ源の濃度は、使用溶液中で約0.1g/L~約0.5g/L、約0.5g/L~約1g/L、約1g/L~約3g/L、約1g/L~約2g/L、約2g/L~約3g/L、約0.1g/L、約0.2g/L、約0.3g/L、約0.4g/L、約0.5g/L、約1.0g/L、約1.5g/L、約2.0g/L、約2.5g/L、約3.0g/L、またはそれらの間の任意の値である。
【0186】
あるいは、開示される組成物が洗剤組成物である場合、洗剤組成物の使用溶液のpHは、使用溶液が洗剤組成物を蒸留水で希釈することによって得られ、0.5g/L~約5g/Lの組成物を含有する場合に室温で決定されるpHとして定義される。いくつかの実施形態では、組成物の濃度は、使用溶液中で約0.5g/L~約1g/L、約1g/L~約2g/L、約2g/L~約3g/L、約3g/L~約4g/L、約4g/L~約5g/L、約0.5g/L、約1.0g/L、約1.5g/L、約2.0g/L、約2.5g/L、約3.0g/L、約3.5g/L、約4.0g/L、約4.5g/L、約5.0g/L、またはそれらの間の任意の値である。
【0187】
したがって、いくつかの実施形態では、洗剤組成物の使用溶液は、その一次アルカリ源が約0.1g/L、約0.2g/L、約0.5g/L、約0.8g/L、または約1グラム/リットル(g/L)の濃度である場合、少なくとも約8のpH、好ましくは約9.5~約12、より好ましくは約10~約11または約11~約12のpHを提供する。したがって、いくつかの実施形態では、洗剤組成物の使用溶液は、蒸留水中のその一次アルカリ源が約1g/L、約1.5g/L、約2.0g/L、約2.5g/L、約3g/L、またはそれらの間の任意の値の濃度である場合、少なくとも8のpH、好ましくは9.5~11、より好ましくは10~11、約11~約12のpHを提供する。
【0188】
したがって、いくつかの他の実施形態では、洗剤組成物の使用溶液は、組成物自体が約0.5g/L、約0.8g/L、約1g/L、約1.5g/L、約2.0g/L、約2.5g/L、約3.0g/L、約3.5g/L、約4.0g/L、約4.5g/L、または約5.0g/Lの濃度である場合、少なくとも約8のpH、好ましくは約9.5~約12、より好ましくは約10~約11または約11~約12のpHを提供する。したがって、いくつかの実施形態では、洗剤組成物の使用溶液は、組成物自体が、約1g/L、約1.5g/L、約2.0g/L、約2.5g/L、約3g/L、約3.5g/L、約4.0g/L、約4.5g/L、約5.0g/L、またはそれらの間の任意の値の濃度である場合、少なくとも8のpH、好ましくは9.5~11、より好ましくは10~11、約11~約12のpHを提供する。
【0189】
いくつかの実施形態では、使用溶液のpHは、約10~約13である。いくつかの実施形態では、使用溶液のpHは、約8~約10である。具体的には、使用溶液のpHは、約11~12である。使用溶液のpHが低すぎる、例えば、約10未満である場合、使用溶液は、適切な洗浄特性を提供しない可能性がある。さらに、より低いpHレベルでは、ケイ酸塩種が不安定になり、溶液から沈殿する可能性がある。使用溶液のpHが高すぎる、例えば、約13を超える場合、使用溶液は、アルカリ性が高すぎ、洗浄される表面を攻撃または損傷する可能性がある。pHのさらなる考慮事項は、組成物のアルカリ性が高すぎる場合、ユーザがPPEを着用する必要があることである。しかしながら、組成物のpHが約11.5pH以下である場合、PPEは必要ない。したがって、希釈使用形態の本明細書に開示される洗剤組成物のpHは、組成物が有効であるがヒトの皮膚に対して腐食性ではないように、約11~約12であることが望ましい。
【0190】
好ましくは、一次アルカリ源は、アルカリ金属水酸化物である。好ましいアルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムが挙げられる。より好ましくは、一次アルカリ源は、水酸化ナトリウムである。炭酸ナトリウムは、軽密度であっても重密度であってもよい。
【0191】
開示される洗剤組成物中に炭酸塩が含まれる場合、アルカリ金属炭酸塩の有効量は、少なくとも8のpH、好ましくは9.5~11、より好ましくは10~10.3のpHを有する使用溶液を提供する量である。
【0192】
一般に、一次アルカリ源が開示される洗剤組成物中に少なくとも約1重量%の濃度で存在する場合、組成物または組成物の使用溶液は、存在する脂肪および油を乳化することができる。一次アルカリ源が約3重量%以上の濃度で存在する場合、組成物または組成物の使用溶液は、処理後に脂肪および油を乳化、懸濁、および分離することができる。
【0193】
開示される組成物が洗剤組成物ではないいくつかの実施形態では、組成物は、一次アルカリ源を含まない。
【0194】
酸
一般に、酸は、本開示で使用される場合、有機酸および無機酸の両方を含む。有機酸としては、ヒドロキシ酢酸(グリコール酸)、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、グルコン酸、イタコン酸、トリクロロ酢酸、尿素塩酸塩、および安息香酸が挙げられるが、これらに限定されない。有機酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、およびテレフタル酸などのジカルボン酸も挙げられる。これらの有機酸の組み合わせも使用され得る。無機酸としては、リン酸、硫酸、スルファミン酸、メチルスルファミン酸、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、および硝酸などの鉱酸が挙げられるが、これらに限定されない。無機酸は、単独で、他の無機酸(複数可)と組み合わせて、または1つ以上の有機酸と組み合わせて使用され得る。酸発生剤は、例えばフッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム、フッ化アンモニウム、重フッ化アンモニウム、ケイフッ化ナトリウムなどの発生剤を含み、好適な酸を形成するために使用され得る。
【0195】
本明細書に開示されるこの方法または組成物において特に好適な酸の例にとしては、無機酸および有機酸が挙げられる。例示的な無機酸としては、リン酸、ホスホン酸、硫酸、スルファミン酸、メチルスルファミン酸、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、および硝酸が挙げられる。例示的な有機酸としては、ヒドロキシ酢酸(グリコール酸)、クエン酸、乳酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、グルコン酸、イタコン酸、トリクロロ酢酸、尿素塩酸塩、および安息香酸が挙げられる。シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、およびテレフタル酸などの有機ジカルボン酸を使用することもできる。
【0196】
過カルボン酸およびペルオキシカルボン酸組成物
ペルオキシカルボン酸(すなわち、過酸)またはペルオキシカルボン酸組成物は、本明細書に開示される物品、製品、または組成物に含まれ得る。本明細書において使用される場合、「過酸」という用語は、「過カルボン酸」、「ペルオキシカルボン酸」、または「ペルオキシ酸」とも称され得る。スルホペルオキシカルボン酸、スルホン化過酸、およびスルホン化ペルオキシカルボン酸も、本明細書において使用される「ペルオキシカルボン酸」および「過酸」という用語内に含まれる。当業者が理解するように、過酸とは、カルボン酸中のヒドロキシル基の水素がヒドロキシ基で置き換えられた酸を指す。酸化過酸は、本明細書ではペルオキシカルボン酸と呼ばれる場合もある。
【0197】
過酸は、式R--(COOOH)nの任意の化合物を含み、式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキン、アシル、脂環式基、アリール、ヘテロアリール、または複素環式基であり、nは、1、2、または3であり、親酸の前にペルオキシを付けることによって名付けられている。好ましくは、Rは、水素、アルキル、またはアルケニルを含む。「アルキル」、「アルケニル」、「アルキン」、「アシル」、「脂環式基」、「アリール」、「ヘテロアリール」、および「複素環式基」という用語は、本明細書で定義されるとおりである。
【0198】
ペルオキシカルボン酸組成物は、本明細書で使用される場合、1つ以上の過酸、それらの対応する酸、および過酸化水素または他の酸化剤を含む任意の組成物を指す。ペルオキシカルボン酸組成物はまた、当業者が既知のように、安定剤、蛍光活性トレーサーもしくは化合物、または他の成分も含むことができる。
【0199】
本明細書で使用される場合、「混合された」または「混合物」という用語は、「過カルボン酸組成物」、「過カルボン酸」、「ペルオキシカルボン酸組成物」、または「ペルオキシカルボン酸」に関して使用される場合、2つ以上の過カルボン酸またはペルオキシカルボン酸を含む組成物または混合物を指す。過酢酸および過オクタン酸などの過酸が使用されてもよい。これらの酸の任意の組み合わせも使用され得る。
【0200】
しかしながら、いくつかの実施形態では、物品、製品、または組成物は、ペルオキシカルボン酸またはペルオキシカルボン酸組成物を含まない。
【0201】
ビルダー
本明細書に開示される洗剤組成物は、1つ以上のビルダーを含む。いくつかの実施形態では、ビルダーもまた、洗剤組成物中の一次アルカリ源の一部として機能し得る。いくつかの実施形態では、ビルダーは、炭酸塩、水酸化物、メタケイ酸塩、またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、炭酸塩は、水和性塩として作用することができるため、固体洗剤組成物の提供を補助することができる。
【0202】
好適なビルダーの例としては、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、およびアルカリ金属ケイ酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。使用され得る例示的なアルカリ金属炭酸塩としては、炭酸、重炭酸、セスキ炭酸ナトリウムまたはカリウム、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。使用され得る例示的なアルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが挙げられるが、これらに限定されない。アルカリ金属水酸化物は、固体ビーズ、水性溶液中への溶解、またはそれらの組み合わせを含む、当該技術分野で既知である任意の形態で組成物に添加され得る。アルカリ金属ケイ酸塩の例としては、ケイ酸もしくはポリケイ酸ナトリウムもしくはカリウム、メタケイ酸ナトリウムもしくはカリウム、およびメタケイ酸ナトリウムもしくはカリウム水和物、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0203】
いくつかの実施形態では、組成物は、ビルダーを含まない。
【0204】
キレート剤
本明細書に開示される洗剤組成物はまた、キレート剤を含んでもよい。キレート剤(Chelant)としては、キレート剤(chelating agent)(キレーター)、金属イオン封鎖剤(sequestering agent)(金属イオン封鎖剤(sequestrant))、洗剤ビルダーなどが挙げられるが、これらに限定されない。キレート剤の例としては、ホスホン酸塩、リン酸塩、アミノカルボキシレートおよびそれらの誘導体、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、エチレンジアミンおよびエチレントリアメン誘導体、ヒドロキシ酸、ならびにモノ-、ジ-、およびトリ-カルボキシレート、ならびにそれらの対応する酸が挙げられるが、これらに限定されない。他の例示的なキレート剤としては、アルミノケイ酸塩、ニトロロアセテート(nitroloacetate)およびそれらの誘導体、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0205】
本明細書による好適なアミノカルボン酸としては、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸-N,N-二酢酸(GLDA)、N-ヒドロキシエチルアミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(テトラナトリウムEDTAを含む)、ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、N-ヒドロキシエチル-エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)、2-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、イミノジコハク酸(IDS)、3-ヒドロキシ-2-2’-イミノジコハク酸(HIDS)、および他の同様の酸、またはカルボン酸置換基を有するアミノ基を有するその塩が挙げられるが、これらに限定されない。キレート剤および/または金属イオン封鎖剤としての使用に適した好適なアミノカルボキシレートの追加の説明は、Kirk-Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,Third Edition,volume 5,pages 339-366およびvolume 23,pages 319-320に記載され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0206】
キレート剤は、水溶性、および/または生分解性であってもよい。他の例示的なキレート剤としては、TKPP(ピロリン酸四カリウム)、PAA(ポリアクリル酸)およびその塩、ホスホノブタンカルボン酸、アラニン、N,N-ビス(カルボキシメチル)-、三ナトリウム塩、およびグルコン酸ナトリウムが挙げられる。
【0207】
いくつかの実施形態では、キレート剤は、リンを含まない。いくつかの実施形態では、キレート剤はまた、クエン酸のナトリウム塩などの固体組成物の形成を助ける固化剤としても機能し得る。
【0208】
好ましくは、キレート剤はアミノカルボキシレートのナトリウム塩である。より好ましくは、キレート剤は、メチルグリシン二酢酸(MGDA)である。メチルグリシン二酢酸(MGDA)をポリアクリル酸およびその塩と組み合わせて使用すると、相乗的な水調整が実現される。
【0209】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、キレート剤、洗剤ビルダー、またはその両方を含まない。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、リンを含むキレート剤、洗剤ビルダー、またはその両方を含まない。
【0210】
スケール抑制剤
逆エマルジョン破壊組成物は、スケール抑制剤をさらに含むことができる。適切なスケール抑制剤としては、リン酸塩、リン酸エステル、リン酸、ホスホン酸塩、ホスホン酸、ポリアクリルアミド、サクリルアミドメチル(Sacrylamidomethyl)プロパンスルホネート/アクリル酸コポリマー(AMPS/AA)の塩、リン酸化マレイン酸コポリマー(PHOS/MA)、モノー、ビスー、およびオリゴマーホスフィノコハク酸(PSO)誘導体、ポリカルボン酸、疎水性修飾ポリカルボン酸、ならびにポリマレイン酸/アクリル酸/アクリルアミドメチルプロパンスルホネートターポリマー(PMA/AA/AMPS)の塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0211】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、スケール抑制剤を含まない。
【0212】
酵素
本明細書に開示される組成物または洗剤組成物は、酵素を含むことができる。洗剤組成物中の酵素は、汚れの除去を強化し、再堆積を防止し、かつ/または洗剤組成物またはそれらの使用溶液の適用中の泡を低減する。酵素の機能は、典型的には汚れた表面に見られ、洗剤組成物によって洗浄水源中へと除去される、デンプンまたはタンパク性材料などの付着性の汚れを分解することである。
【0213】
本明細書に開示される洗剤組成物に組み込まれ得る例示的なタイプの酵素としては、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、クチナーゼ、グルコナーゼ、ペルオキシダーゼ、および/またはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に開示される組成物は、植物、動物、細菌、真菌、または酵母起源などの任意の好適な起源由来の2つ以上の酵素を用いてもよい。いくつかの実施形態では、酵素はプロテアーゼである。本明細書で使用される場合、「プロテアーゼ」または「プロテイナーゼ」という用語は、ペプチド結合の加水分解を触媒する酵素を指す。
【0214】
当業者が確認するように、酵素は、特定の種類の汚れに働くように設計されている。例えば、本発明の一実施形態によれば、器物洗浄用途では、高温の器物洗浄機において効果的であり、かつタンパク質系の汚れを低減するのに効果的であるため、プロテアーゼ酵素を使用してもよい。プロテアーゼ酵素は、血液、皮膚鱗屑、粘液、草、食品(例えば、卵、牛乳、ほうれん草、肉残渣、トマトソース)等のタンパク質を含む汚れを清浄化するのに特に有益である。プロテアーゼ酵素は、アミノ酸残基の巨大分子タンパク質の連結を切断することができ、使用水溶液に容易に溶解または分散する小さい断片に基質を変換する。プロテアーゼは、加水分解として知られる化学反応によって汚れを破壊する能力があるため、洗浄性酵素と称されることが多い。プロテアーゼ酵素は、例えば、枯草菌、バチルス・リケニフォルミスおよびストレプトマイセス・グリセウスから得ることができる。プロテアーゼ酵素もまた、セリンエンドプロテアーゼとして市販されている。
【0215】
市販のプロテアーゼ酵素の例は、以下の商品名:Esperase、Purafect、Purafect L、Purafect Ox、Everlase、Liquanase、Savinase、Prime L、ProsperaseおよびBlapで入手可能である。
【0216】
洗剤組成物に含まれる酵素は、独立した実体であってもよく、かつ/または洗剤組成物と組み合わせて配合されてもよい。いくつかの実施形態では、酵素は、液体または固体製剤のいずれかで洗剤組成物に配合されてもよい。加えて、酵素は、様々な遅延または制御放出配合物に配合されてもよい。例えば、固体成型洗剤組成物は、熱を加えることなく調製され得る。当業者が理解するように、酵素は、熱の適用によって変性する傾向があり、したがって、洗剤組成物内での酵素の使用は、固化などの形成プロセスにおけるステップとして、熱に依存しない洗剤組成物を形成する方法が必要である。
【0217】
酵素はさらに、固体(すなわち、パック、粉末など)または液体配合物で商業的に入手され得る。市販の酵素は、一般に、安定剤、緩衝液、補因子、および不活性媒体と組み合わされる。実際の活性酵素含有量は製造方法に依存し、これは当業者には周知であり、そのような製造方法は本発明にとって重要ではない。
【0218】
あるいは、酵素組成物は、洗剤組成物もしくは洗浄液の使用溶液、または用途、例えば、食器洗い機の洗浄水に直接添加されるなど、洗剤組成物とは別に提供されてもよい。
【0219】
他の追加の洗剤組成物剤
本明細書に開示される洗剤組成物は、1つ以上の追加の洗剤組成物剤を含んでもよい。例示的な追加の洗剤組成物剤としては、イオン析出防止剤;結晶改質剤;硬化剤;漂白剤;ペルオキシカルボン酸、ペルオキシカルボン酸組成物、充填剤;消泡剤;再付着防止剤;安定剤;分散剤;香料および染料;ならびに増粘剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0220】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される洗剤組成物は、1つの、より多くの、または全ての追加の洗剤組成物剤を含まない。
【0221】
腐食制御組成物中の追加の腐食制御組成物剤
本明細書に記載の一級アミンから誘導される1つ以上のジカチオン性、ジアニオン性化合物に加えて、本開示の腐食制御組成物は、1つ以上の追加の腐食制御組成物剤を含む。
【0222】
開示される腐食制御組成物中の追加の腐食制御組成物剤としては、担体、酸、分散剤、殺生物剤、追加の腐食抑制剤、汚損制御剤、酸化防止剤、ポリマー分解防止剤、浸透性調整剤、発泡剤、消泡剤、破砕プロパント、H2S、CO2、および/もしくはO2の捕捉剤、ゲル化剤、潤滑剤、ならびに摩擦低減剤、塩、またはそれらの混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0223】
開示される腐食制御組成物中の追加の腐食制御組成物剤としてはまた、有機硫黄化合物、アスファルテン抑制剤、パラフィン抑制剤、スケール抑制剤、水浄化剤、エマルジョン破壊剤、逆エマルジョン破壊剤、ガスハイドレート抑制剤、pH調整剤、界面活性剤、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0224】
さらに、追加の腐食制御組成物剤は、金属イオン封鎖剤、可溶化剤、潤滑剤、緩衝剤、洗浄剤、すすぎ助剤、防腐剤、結合剤、増粘剤または他の粘度調整剤、加工助剤、担体、水調整剤、または泡発生剤、イオン析出防止剤もしくは系、美観改良剤(例えば、染料、着臭剤、香料)、もしくは逆エマルジョン破壊剤との配合に適した他の添加剤、またはそれらの混合物であり得る。
【0225】
本明細書に開示される腐食制御組成物中の追加の腐食制御組成物剤は、当業者が理解するように、製造される特定の腐食制御組成物およびその意図する用途に従って変化する。
【0226】
あるいは、腐食制御組成物は、追加の腐食制御組成物剤のうちの1つ以上を含有しないか、または含まない。
【0227】
本明細書に開示される腐食制御組成物に1つ以上の追加の腐食制御組成物剤が使用される場合、それらは、同じ腐食制御組成物に、本明細書に記載のジカチオン性またはジアニオン性化合物と一緒に配合され得る。あるいは、一部または全ての追加の腐食制御組成物剤が、1つ以上の数の異なる配合物に配合され、水系または表面に供給され得る。換言すれば、追加の腐食制御組成物剤は、水系中または表面上に独立して、同時に、または連続的に提供され得る。
【0228】
殺生物剤および担体
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される腐食制御組成物は、ジカチオン性またはジアニオン性化合物に加えて、殺生物剤をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、本明細書に開示される腐食制御組成物は、担体をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、本明細書に開示される腐食制御組成物は、殺生物剤および担体をさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法または腐食制御組成物は、本明細書に開示される1つ以上のジカチオン性またはジアニオン性化合物および担体からなり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される腐食制御組成物は、本明細書に開示される1つ以上のジカチオン性またはジアニオン性化合物、担体、および殺生物剤からなる。
【0229】
使用に適した殺生物剤は、酸化または非酸化殺生物剤であり得る。酸化殺生物剤としては、漂白剤、塩素、臭素、二酸化塩素、ならびに塩素および臭素を放出することができる材料が挙げられるが、これらに限定されない。非酸化殺生物剤としては、グルタルアルデヒド、イソチアゾリン、2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3ジオール、1-ブロモ-1-(ブロモメチル)-1,3-プロパンジカルボニトリル、テトラクロロイソフタロニトリル、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジメチルジアルキルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ポリ(オキシエチレン(ジメチルイミニオ)エチレン(ジメチルイミニオ)エチレンジクロリド、メチレンビスチオシアネート、2-デシルチオエタンアミン、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウムサルフェート、ジチオカルバメート、シアノジチオイミドカルボネート、2-メチル-5-ニトロイミダゾール-1-エタノール、2-(2-ブロモ-2-ニトロエテニル)フラン、β-ブロモ-β-ニトロスチレン、β-ニトロスチレン、β-ニトロビニルフラン、2-ブロモ-2-ブロモメチルグルタロニトリル、ビス(トリクロロメチル)スルホン、S-(2-ヒドロキシプロピル)チオメタンスルホネート、テトラヒドロ-3,5-ジメチル-2H-1,3,5-ヒドラジン-2-チオン、2-(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、2-ブロモ-4′-ヒドロキシアセトフェノン、1,4-ビス(ブロモアセトキシ)-2-ブテン、ビス(トリブチルスズ)オキシド、2-(tert-ブチルアミノ)-4-クロロ-6-(エチルアミノ)-s-トリアジン、ドデシルグアニジンアセテート、ドデシルグアニジンヒドロクロリド、ココアルキルジメチルアミンオキシド、n-ココアルキルトリメチレンジアミン、テトラ-アルキルホスホニウムクロリド、7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、および2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0230】
好適な非酸化殺生物剤としてはまた、例えば、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、およびアクロレイン)、アミン型化合物(例えば、四級アミン化合物およびココジアミン)、ハロゲン化化合物(例えば、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-3-ジオール(Bronopol)および2-2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド(DBNPA))、硫黄化合物(例えば、イソチアゾロン、カルバメート、およびメトロニダゾール)、ならびに四級ホスホニウム塩(例えば、テトラキス(ヒドロキシメチル)-ホスホニウムサルフェート(THPS))が挙げられる。
【0231】
好適な酸化殺生物剤としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸リチウム、塩素化ヒダントイン、安定化次亜臭素酸ナトリウム、活性化臭化ナトリウム、臭素化ヒダントイン、二酸化塩素、オゾン、ペルオキシカルボン、ペルオキシカルボン組成物、および過酸化物が挙げられる。
【0232】
腐食制御組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%の殺生物剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、腐食制御組成物は、殺生物剤を含まない。いくつかの実施形態では、腐食制御組成物は、酸化殺生物剤を含まない。いくつかの他の実施形態では、腐食制御組成物は、非酸化殺生物剤を含まない。
【0233】
開示される腐食制御組成物中の担体は、水、有機溶媒、または水および有機溶媒の組み合わせであり得る。有機溶媒は、アルコール、炭化水素、ケトン、エーテル、アルキレングリコール、グリコールエーテル、アミド、ニトリル、スルホキシド、エステル、またはそれらの組み合わせであり得る。適切な有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2-エチルヘキサノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、2-ブトキシエタノール、メチレングリコール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、デカン、ドデカン、ディーゼル、トルエン、キシレン、重芳香族ナフサ、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン、ジエチルエーテル、プロピレンカーボネート、N-メチルピロリジノン、N,N-ジメチルホルムアミド、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0234】
腐食制御組成物は、組成物の総重量に基づいて約1重量%~約80重量%、約1重量%~約70重量%、約1重量%~約60重量%、約1重量%~約50重量%、約1重量%~約40重量%、約1重量%~約30重量%、約1重量%~約20重量%、約1重量%~約10重量%、約5重量%~約10重量%、約5重量%~約20重量%、約5重量%~約30重量%、約5重量%~約40重量%、約5重量%~約50重量%、約10重量%~約20重量%、約10重量%~約30重量%、約10~約40重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%、約20重量%、約30重量%、約40%、約50重量、約60重量%、約70重量%、約80重量%、約90重量%、またはそれらの間の任意の値の1つ以上の担体を含むことができる。
【0235】
アニオン性界面活性剤
アニオン界面活性剤は、疎水性物質の電荷が負である表面活性物質、またはpHが中性以上に上昇しない限り(例えば、カルボン酸)、分子の疎水性区分が電荷を担持しない界面活性剤である。カルボキシレート、スルホネート、スルフェートおよびホスフェートは、アニオン界面活性剤中に見出される極性(親水性)可溶化基である。これらの極性基と関連したカチオン(対イオン)のうち、ナトリウム、リチウム、およびカリウムは、水溶性を付与し、アンモニウムおよび置換アンモニウムイオンは、水溶性および油溶性の両方を提供し、カルシウム、バリウム、およびマグネシウムは、油溶性を促進する。当業者に理解されるように、アニオン性界面活性剤は優れた洗浄性界面活性剤であり、したがって、強力洗剤組成物への好ましい追加物である。
【0236】
本組成物における使用に好適なアニオン性スルフェート界面活性剤としては、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルフェート、直鎖および分岐第一級および第二級アルキルスルフェート、アルキルエトキシスルフェート、脂肪オレイルグリセロールスルフェート、アルキルフェノールエチレンオキシドエーテルスルフェート、C5~C17アシル-N-(C1~C4アルキル)および-N-(C1~C2ヒドロキシアルキル)グルカミンスルフェート、ならびにアルキルポリグルコシドのスルフェートなどのアルキルポリサッカリドのスルフェートなどが挙げられる。また、エチレンオキシドおよびノニルフェノールのスルフェートまたは濃縮生成物(通常1分子当たり1~6個のオキシエチレン基を有する)等の、アルキルスルフェート、アルキルポリ(エチレンオキシ)エーテルスルフェート、および芳香族ポリ(エチレンオキシ)スルフェートも含まれる。
【0237】
本組成物において使用するのに好適なアニオン性スルホネート界面活性剤としてはまた、アルキルスルホネート、直鎖および分岐第一級および第二級アルキルスルホネート、ならびに置換基を有するかまたは有しない芳香族スルホネートが挙げられる。
【0238】
本組成物における使用に好適なアニオン性カルボキシレート界面活性剤としては、アルカン酸(およびアルカノエート)、エステルカルボン酸(例えば、アルキルコハク酸)、エーテルカルボン酸などのカルボン酸(および塩)、スルホン化オレイン酸などのスルホン化脂肪酸などが挙げられる。かかるカルボキシレートとしては、アルキルエトキシカルボキシレート、アルキルアリールエトキシカルボキシレート、アルキルポリエトキシポリカルボキシレート界面活性剤、および石鹸(例えば、アルキルカルボキシル)が挙げられる。本組成物において有用な第二級カルボキシレートとしては、第二級炭素に接続されたカルボキシル単位を含有するものが挙げられる。第二級炭素は、例えば、p-オクチル安息香酸におけるように、またはアルキル置換シクロヘキシルカルボキシレートにおけるように、環構造にあってもよい。第二級カルボキシレート界面活性剤は、典型的には、エーテル結合、エステル結合、およびヒドロキシル基を含有しない。さらに、それらは典型的には、基-基(両親媒性部分)内に窒素原子を欠く。好適な第二級セッケン界面活性剤は、一般的には、合計で11~13個の炭素原子を含有するが、より多くの炭素原子(例えば、最大16個)が存在してもよい。好適なカルボキシレートとしてはまた、アシルグルアメート(acylgluamate)、アシルペプチド、サルコシネート(例えば、N-アシルサルコシネート)、タウレート(例えば、N-アシルタウレート、およびメチルタウリド(methyl tauride)の脂肪酸アミド)などのアシルアミノ酸(および塩)などが挙げられる。
【0239】
好適なアニオン性界面活性剤は、以下の式:
R-O-(CH
2CH2O)
n(CH
2)
m-CO
2X(3)
のアルキルまたはアルキルアリールエトキシカルボキシレートを含み、式中、Rは、C
8~C
22アルキル基または
【化12】
であり、式中、R
1は、C
4~C
16アルキル基であり、nは、1~20の整数であり、mは、1~3の整数であり、Xは、水素、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウムなどの対イオンか、またはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、もしくはトリエタノールアミンなどのアミン塩である。いくつかの実施形態では、nは、4~10の整数であり、mは、1である。いくつかの実施形態では、Rは、C
8~C
16アルキル基である。いくつかの実施形態では、Rは、C
12~C
14アルキル基であり、nは、4であり、mは、1である。
【0240】
他の実施形態では、Rは、
【化13】
であり、R
1は、C
6~C
12アルキル基である。さらにまた他の実施形態では、R
1は、C
9アルキル基であり、nは、10であり、mは、1である。
【0241】
そのようなアルキルおよびアルキルアリールエトキシカルボキシレートは市販されている。これらのエトキシカルボキシレートは、典型的には、酸の形態として入手可能であり、それらは、アニオン性または塩の形態に容易に変換され得る。市販のカルボキシレートとしては、Neodox 23-4、C12~13アルキルポリエトキシ(4)カルボン酸(Shell Chemical)、およびEmcol CNP-110、C9アルキルアリールポリエトキシ(10)カルボン酸(Witco Chemical)が挙げられる。カルボキシレートはまた、例えば、製品Sandopan(登録商標)DTC、C13アルキルポリエトキシ(7)カルボン酸が、Clariantから入手可能である。
【0242】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物または洗剤組成物は、アニオン性界面活性剤を含まない。
【0243】
非イオン性界面活性剤
有用な非イオン界面活性剤は、一般的に、有機疎水基および有機親水基の存在を特徴とし、典型的には、有機脂肪族、アルキル芳香族、またはポリオキシアルキレン疎水性化合物と、一般的には、エチレンオキシドまたはその多水和生成物(polyhydration product)、ポリエチレングリコールである親水性アルカリ性オキシド部分との縮合によって生成される。具体的には、反応性水素原子を有するヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、またはアミド基を有する任意の疎水性化合物を、エチレンオキシド、もしくはその多水和添加剤、またはプロピレンオキシド等のアルコキシレンとのその混合物と縮合させて、非イオン表面活性剤を形成することができる。任意の特定の疎水性化合物と縮合する親水性ポリオキシアルキレン部分の長さは、親水性特性と疎水性特性との間の所望の程度のバランスを有する水分散性または水溶性化合物を生成するように、容易に調節され得る。有用な非イオン性界面活性剤には、
【0244】
開始剤反応性水素化合物としての、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、およびエチレンジアミンをベースとするブロックポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物。開始剤の連続的なプロポキシル化およびエトキシル化から作製されるポリマー化合物の例は、BASF Corp.から市販されている。1つのクラスの化合物は、エチレンオキシドと、プロピレングリコールの2つのヒドロキシル基へのプロピレンオキシドの付加によって形成される疎水性塩基とを縮合することによって形成される二官能性(2つの反応性水素)化合物である。分子のこの疎水性部分は、約1,000から約4,000の分子量を有する。次いで、エチレンオキシドは、この疎水性物質を親水基の間に挟み込むように付加され、最終的な分子の約10重量%から約80重量%を構成するように長さにより制御される。化合物の別のクラスは、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのエチレンジアミンへの逐次的付加から得られる三官能性ブロックコポリマーである。プロピレンオキシドハイドロタイプ(hydrotype)の分子量は、約500~約7,000の範囲であり;親水性のエチレンオキシドは、分子の約10重量%~約80重量%を構成するように付加される。
【0245】
直鎖もしくは分岐鎖構成の、または単一もしくは二重アルキル構成要素のアルキル鎖が約8~約18個の炭素原子を含有する1モルのアルキルフェノールと、約3~約50モルのエチレンオキシドとの縮合生成物。アルキル基は、例えば、ジイソブチレン、ジ-アミル、重合プロピレン、イソ-オクチル、ノニル、およびジ-ノニルにより代表され得る。これらの界面活性剤は、アルキルフェノールのポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリブチレンオキシド縮合物であってもよい。この化学の商業的化合物の例は、Rhone-Poulenc製のIgepal(登録商標)、およびUnion Carbide製のTriton(登録商標)の商品名で市販されている。
【0246】
約6~約24個の炭素原子を有する1モルの飽和または不飽和直鎖または分岐鎖アルコールと、約3~約50モルのエチレンオキシドとの縮合生成物。アルコール部分は、上述された炭素範囲内のアルコールの混合物からなり得るか、またはこの範囲内の特定の数の炭素原子を有するアルコールからなり得る。同様の商業的界面活性剤の例は、BASF製のLutensol(商標)、Dehydol(商標)、Shell Chemical Co.製のNeodol(商標)、およびVista Chemical Co.製のAlfonic(商標)の商品名で入手可能である。
【0247】
約8~約18個の炭素原子を有する1モルの飽和または不飽和直鎖または分岐鎖カルボン酸と、約6~約50モルのエチレンオキシドとの縮合生成物。酸部分は、上記に定義された炭素原子範囲内の酸の混合物からなり得るか、またはこの範囲内の特定の数の炭素原子を有する酸からなり得る。この化学の商業的化合物の例は、BASF製のDisponilまたはAgnique、およびLipo Chemicals,Inc.製のLipopeg(商標)の商品名で市販されている。
【0248】
一般にポリエチレングリコールエステルと呼ばれるエトキシル化カルボン酸に加えて、グリセリド、グリセリン、および多価(サッカリドまたはソルビタン/ソルビトール)アルコールとの反応により形成される他のアルカン酸エステルは、特殊化された実施形態、特に間接的食品添加剤用途について本明細書における用途を有する。これらのエステル部分は全て、それらの分子上に、これらの物質の親水性を制御するためにさらなるアシル化またはエチレンオキシド(アルコキシド)追加に供され得る1つ以上の反応性水素部位を有する。これらの脂肪エステルまたはアシル化炭水化物を、アミラーゼおよび/またはリパーゼ酵素を含有する本発明の組成物に添加する場合、不適合性の可能性があるため、注意しなければならない。
【0249】
非イオン性低発泡性界面活性剤の例としては、エチレンオキシドをエチレングリコールに添加して、指定された分子量の親水性物質を提供し、次いでプロピレンオキシドを添加して、分子の外側(末端)上に疎水性ブロックを得ることによって修飾され、本質的に逆にされた化合物が挙げられるが、これらに限定されない。分子の疎水性部分は、約1,000から約3,100の分子量を有し、中心の親水性物質は、最終的な分子の10重量%から約80重量%を含む。これらの反転Pluronics(商標)は、BASF CorporationによりPluronic(商標)R界面活性剤の商標で製造されている。同様に、Tetronic(商標)R界面活性剤は、BASF Corporationにより、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのエチレンジアミンへの逐次的付加によって製造されている。分子の疎水性部分は、約2,100から約6,700の分子量を有し、中心の親水性物質は、最終的な分子の10重量%から約80重量%を含む。
【0250】
プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ベンジルクロリドなどの疎水性低分子、および1~5個の炭素原子を含有する短鎖脂肪酸、アルコール、またはアルキルハロゲン化物、ならびにそれらの混合物との反応による発泡を低減するために、(多官能性部分の)末端ヒドロキシ基(複数可)を「キャッピング」または「末端ブロッキング」することによって修飾された化合物。また、末端ヒドロキシ基を塩化物基に変換する塩化チオニル等の反応物質も含まれる。末端ヒドロキシ基に対するそのような修飾は、全ブロック、ブロック-ヘテリック、ヘテリック-ブロック、または全ヘテリック非イオン性物質をもたらし得る。
【0251】
有効な低発泡性非イオン性界面活性剤の追加の例としては、1959年9月8日にBrown et al.に発行された米国特許第2,903,486号のアルキルフェノキシポリエトキシアルカノールが挙げられるが、これに限定されず、以下の式によって表され、
【化14】
式中、Rは、8~9個の炭素原子のアルキル基であり、Aは、3~4個の炭素原子のアルキレン鎖であり、nは、7~16の整数であり、mは、1~10の整数である。
【0252】
末端疎水性鎖の重量、中間疎水性単位の重量、および連結親水性単位の重量が各々、縮合物の約3分の1を表す、交互の親水性オキシエチレン鎖および疎水性オキシプロピレン鎖を有する、1962年8月7日にMartin et al.に発行された米国特許第3,048,548号のポリアルキレングリコール縮合物。
【0253】
Zが、アルコキシル化可能な材料であり、Rが、エチレンおよびプロピレンであり得るアルキレンオキシドから誘導されるラジカルであり、nが、例えば、10~2,000以上の整数であり、zが、反応性オキシアルキル化可能な基の数によって決定される整数である、一般式Z[(OR)nOH]zを有する、1968年5月7日にLissantらに発行された米国特許第3,382,178号に開示される消泡性非イオン性界面活性剤。
Yが、約1~6個の炭素原子および1個の反応性水素原子を有する有機化合物の残基であり、nが、ヒドロキシル価により決定される少なくとも約6.4の平均値を有し、mが、オキシエチレン部分が分子の約10重量%~約90重量%を構成するような値を有する、式Y(C3H6O)n(C2H4O)mHに対応する、1954年5月4日にJacksonらに発行された米国特許第2,677,700号に記載の共役ポリオキシアルキレン化合物。
【0254】
式Y[(C3H6On(C2H4O)mH]xを有する、1954年4月6日にLundsted et al.に発行された米国特許第2,674,619号に記載の共役ポリオキシアルキレン化合物であり、式中、Yは、約2~6個の炭素原子を有し、x個の反応性水素原子(xは、少なくとも約2の値を有する)を含有する有機化合物の残基であり、nは、ポリオキシプロピレン疎水性塩基の分子量が少なくとも約900であるような値を有し、mは、分子のオキシエチレン含量が約10重量%~約90重量%であるような値を有する。Yについての定義の範囲内に該当する化合物は、例えば、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミンなどを含む。オキシプロピレン鎖は、任意選択的であるが、有益なことに、少量のエチレンオキシドを含有し、オキシエチレン鎖もまた、任意選択的であるが、有益なことに、少量のプロピレンオキシドを含有する。
【0255】
本発明の組成物において有利に使用される追加の共役ポリオキシアルキレン表面活性剤は、式:P[(C3H6O)n(C2H4O)mH]xに対応し、式中、Pが約8から18個の炭素原子を有し、x個の反応性水素原子を含む有機化合物の残基であり、xがまたは2の値を有し、nがポリオキシエチレン部分の分子量が少なくとも約44であるような値を有し、mが分子のオキシプロピレン含量が約10重量%から約90重量%であるような値を有する。いずれの場合においても、オキシプロピレン鎖は、任意選択で、しかし有利に、少量のエチレンオキシドを含有してもよく、オキシエチレン鎖もまた、任意選択で、しかし有利に、少量のプロピレンオキシドを含有してもよい。
【0256】
本組成物における使用に好適なポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤は、構造式R2CONR1Z(式中、R1は、H、C1~C4ヒドロカルビル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、エトキシ、プロポキシ基、またはそれらの混合であり;R2は、直鎖であってもよいC5~C31ヒドロカルビルであり;Zは、鎖に直接接続された少なくとも3つのヒドロキシルを有するヒドロカルビル直鎖を有するポリヒドロキシヒドロカルビル、またはそのアルコキシル化誘導体(好ましくはエトキシル化もしくはプロポキシル化)である)を有するものを含む。Zは、グリシチル部分等、還元アミン化反応において還元糖から得られ得る。
【0257】
脂肪族アルコールの約0から約25モルのエチレンオキシドとのアルキルエトキシレート縮合生成物は、本組成物における使用に好適である。脂肪族アルコールのアルキル鎖は、直鎖もしくは分岐鎖、第一級もしくは第二級であり得、また一般に6~22個の炭素原子を含有する。
【0258】
エトキシル化C6~C18脂肪アルコールならびにC6~C18混合エトキシル化およびプロポキシル化脂肪アルコールは、特に水溶性のものは、本組成物における使用に好適な界面活性剤である。好適なエトキシル化脂肪アルコールは、3~50のエトキシル化度を有するC6~C18エトキシル化脂肪アルコールを含む。
【0259】
特に本組成物における使用に適した非イオン性アルキルポリサッカリド界面活性剤は、1986年1月21日に発行された米国特許第4,565,647号、Llenadoに開示されるものを含む。これらの界面活性剤は、約6~約30個の炭素原子を含有する疎水基およびポリサッカリド、例えば、ポリグリコシド、約1.3~約10サッカリド単位を含有する親水基を含む。5または6個の炭素原子を含有する任意の還元サッカリドを使用することができ、例えば、グルコース、ガラクトース、およびガラクトシル部分をグルコシル部分に置換することができる。(任意に、疎水基が、2-、3-、4-などの位置に結合され、したがって、グルコシドもしくはガラクトシドとは反対に、グルコースもしくはガラクトースを生成する。)サッカリド間の結合は、例えば、追加のサッカリド単位の1つの位置と、その前のサッカリド単位上の2-、3-、4-、および/または6-の位置との間であり得る。
【0260】
本組成物における使用に好適な脂肪酸アミド界面活性剤は、式:R6CON(R7)2を有するものを含み、式中、R6が7から21個の炭素原子を含むアルキル基であり、各R7が独立して、水素、C1~C4アルキル、C1~C4ヒドロキシアルキル、または--(C2H4O)XHであり、xが1から3の範囲内である。
【0261】
非イオン性界面活性剤の有用なクラスは、アルコキシル化アミン、または、最も具体的には、アルコールアルコキシル化/アミノ化/アルコキシル化界面活性剤として定義されるクラスを含む。これらの非イオン性界面活性剤は、少なくとも部分的に、一般式:R20--(PO)SN--(EO)tH、R20--(PO)SN--(EO)tH(EO)tH、およびR20--N(EO)tHにより表され得、式中、R20がアルキル、アルケニルもしくは他の脂肪族基、または8から20個、好ましくは12から14個の炭素原子のアルキル-アリール基であり、EOがオキシエチレンであり、POがオキシプロピレンであり、sが1から20、好ましくは2~5であり、tは、1~10、好ましくは2~5であり、uは、1~10、好ましくは2~5である。これらの化合物の範囲における他の変形例は、代替の式:R20--(PO)V--N[(EO)wH][(EO)zH]により表され得、式中、R20が上で定義された通りであり、vが1から20(例えば、1、2、3、または4(好ましくは2))であり、wおよびzが独立して、1~10、好ましくは2~5である。これらの化合物は、商業的には、非イオン性界面活性剤としてHuntsman Chemicalsにより販売されている製品ラインにより代表される。このクラスの好ましい化学薬品は、Surfonic(商標)PEA25アミンアルコキシレートを含む。本発明の組成物に好ましい非イオン性界面活性剤は、アルコールアルコキシレート、EO/POブロックコポリマー、アルキルフェノールアルコキシレートなどを含む。
【0262】
論文、Nonionic Surfactants, edited by Schick,M.J.,Vol. 1 of the Surfactant Science Series, Marcel Dekker,Inc.,New York,1983は、本発明の実施において一般的に用いられる広範な非イオン性化合物に関する優れた参考文献である。非イオン性クラス、およびこれらの界面活性剤の種の典型的なリストは、1975年12月30日にLaughlinおよびHeuringに発行された米国特許第3,929,678号に記載されている。さらなる例は、「Surface Active Agents and detergents」(第I巻、および第II巻、Schwartz,PerryおよびBerch)に記載されている。
【0263】
本発明の組成物と共に使用するのに好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化界面活性剤が挙げられる。好適なアルコキシル化界面活性剤としては、EO/POコポリマー、完全に末端処理された、または部分的EO/POコポリマー、アルコールアルコキシレート、末端処理アルコールアルコキシレート、それらの混合物などが挙げられる。溶媒としての使用に適したアルコキシル化界面活性剤としては、EO/POブロックコポリマー、例えば、Pluronicおよび逆Pluronic界面活性剤、アルコールアルコキシレート、例えば、Dehypon LS-54(R-(EO)5(PO)4)およびDehypon LS-36(R-(EO)3(PO)6)、ならびに末端処理アルコールアルコキシレート、例えば、Plurafac LF221およびTegoten EC11、それらの混合物などが挙げられる。
【0264】
洗剤組成物ではないいくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、非イオン性界面活性剤を含まない。
【0265】
半極性非イオン性または半非イオン性界面活性剤
非イオン性界面活性剤の半極性タイプは、本明細書に開示される組成物に有用な別のクラスの非イオン性界面活性剤である。一般に、半極性非イオン性(半非イオン性)界面活性剤は、高発泡剤および泡安定剤であり、これは、CIPシステムにおけるそれらの適用を制限し得る。しかしながら、高発泡性組成物または洗剤組成物用に設計されたいくつかの実施形態では、半極性非イオン性界面活性剤は、即時の有用性がある。半極性非イオン性界面活性剤としては、アミンオキシド、ホスフィンオキシド、スルホキシド、およびそれらのアルコキシル化誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0266】
アミンオキシドは、一般式に対応する第三級アミンオキシドであり、
【化15】
式中、矢印は、半極性結合の従来の表示であり、R
1、R
2、およびR
3は、脂肪族、芳香族、複素環式、脂環式、またはそれらの組み合わせであり得る。一般に、対象となる洗剤のアミンオキシドに関して、R
1は、約8~約24個の炭素原子のアルキルラジカルであり、R
2およびR
3は、1~3個の炭素原子のアルキルもしくはヒドロキシアルキル、またはそれらの混合物であり、R
2およびR
3は、例えば、酸素もしくは窒素原子を通して互いに付着されて、環構造を形成することができ、R
4は、2~3個の炭素原子を含有するアルキレンまたはヒドロキシアルキレン基であり、nは、0~約20の範囲である。
【0267】
有用な水溶性アミンオキシド界面活性剤は、ヤシまたはタロウアルキルジ-(低級アルキル)アミンオキシドから選択され、それらの具体例は、ドデシルジメチルアミンオキシド、トリデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、ペンタデシルジメチルアミンオキシド、ヘキサデシルジメチルアミンオキシド、ヘプタデシルジメチルアミンオキシド、オクタデシルジメチルアインオキシド、ドデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジプロピルアミンオキシド、ヘキサデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジブチルアミンオキシド、オクタデシルジブチルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-ドデコキシ-1-ヒドロキシプロピルアミンオキシド、ジメチル-(2-ヒドロキシドデシル)アミンオキシド、3,6,9-トリオクタデシルジメチルアミンオキシド、および3-ドデコキシ-2-ヒドロキシプロピルジ-(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシドである。
【0268】
有用な半極性非イオン性界面活性剤はまた、以下の構造を有する水溶性ホスフィンオキシドを含み、
【化16】
式中、矢印は、半極性結合の従来の表示であり、R
1は、10~約24個の炭素原子の鎖長範囲のアルキル、アルケニル、またはヒドロキシアルキル部分であり、R
2およびR
3は、それぞれ、1~3個の炭素原子を含有するアルキルまたはヒドロキシアルキル基から別々に選択されるアルキル部分である。
【0269】
有用なホスフィンオキシドの例としては、ジメチルデシルホスフィンオキシド、ジメチルテトラデシルホスフィンオキシド、メチルエチルテトラデシルホスホンオキシド、ジメチルヘキサデシルホスフィンオキシド、ジエチル-2-ヒドロキシオクチルデシルホスフィンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)ドデシルホスフィンオキシド、およびビス(ヒドロキシメチル)テトラデシルホスフィンオキシドが挙げられる。
【0270】
本明細書の有用な半極性非イオン性界面活性剤はまた、以下の構造を有する水溶性スルホキシド化合物を含み、
【化17】
式中、矢印は、半極性結合の従来の表示であり、R
1は、約8~約28個の炭素原子、0~約5個のエーテル結合、および0~約2個のヒドロキシル置換基のアルキルまたはヒドロキシアルキル部分であり、R
2は、1~3個の炭素原子を有するアルキルおよびヒドロキシアルキル基からなるアルキル部分である。
【0271】
これらのスルホキシドの有用な例としては、ドデシルメチルスルホキシド;3-ヒドロキシトリデシルメチルスルホキシド;3-メトキシトリデシルメチルスルホキシド;および3-ヒドロキシ-4-ドデコキシブチルメチルスルホキシドが挙げられる。
【0272】
本発明の組成物のための半極性非イオン性界面活性剤は、ジメチルアミンオキシド、例えばラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、セチルジメチルアミンオキシド、それらの組み合わせなどを含む。有用な水溶性アミンオキシド界面活性剤は、オクチル、デシル、ドデシル、イソドデシル、ヤシ、またはタロウアルキルジ-(低級アルキル)アミンオキシドから選択され、それらの具体例は、オクチルジメチルアミンオキシド、ノニルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ウンデシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジメチルアミンオキシド、イソ-ドデシルジメチルアミンオキシド、トリデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、ペンタデシルジメチルアミンオキシド、ヘキサデシルジメチルアミンオキシド、ヘプタデシルジメチルアミンオキシド、オクタデシルジメチルアインオキシド、ドデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジプロピルアミンオキシド、ヘキサデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジブチルアミンオキシド、オクタデシルジブチルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-ドデコキシ-1-ヒドロキシプロピルアミンオキシド、ジメチル-(2-ヒドロキシドデシル)アミンオキシド、3,6,9-トリオクタデシルジメチルアミンオキシド、および3-ドデコキシ-2-ヒドロキシプロピルジ-(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシドである。
【0273】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物または洗剤組成物は、半極性非イオン性界面活性剤を含まない。
【0274】
カチオン性界面活性剤
表面活性物質は、分子のヒドロトロープ部分上の電荷が正である場合、カチオン性と分類される。ヒドロトロープが、pHが中性近く、またはそれ以下まで下げられない限り電荷を帯びないが、その後カチオン性(例えば、アルキルアミン)である界面活性剤も、この群に含まれる。理論的には、カチオン性界面活性剤は、「オニウム」構造RnX+Y--を含む元素のいずれの組み合わせからも合成され得、リン(ホスホニウム)および硫黄(スルホニウム)等の窒素(アンモニウム)以外の化合物を含み得る。実際には、カチオン性界面活性剤の分野は、恐らく、窒素のカチオン性界面活性剤への合成経路が単純かつ容易であり、高収率の生成物を生じ、これが、窒素のカチオン性界面活性剤をより安価にするために、窒素含有化合物によって支配されている。
【0275】
カチオン性界面活性剤は、好ましくは、少なくとも1つの長炭素鎖疎水基および少なくとも1つの正電荷を帯びた窒素を含有する化合物を含み、より好ましくはこれを指す。長炭素鎖基は、単純な置換によって窒素原子に直接結合されてもよく、またはより好ましくは、所謂中断アルキルアミンおよびアミドアミン内の架橋官能基(複数可)によって間接的に結合されてもよい。そのような官能基は、分子を、より親水性および/もしくはより水分散性にし、共界面活性剤混合物によってより容易に水に溶解されるようにし、かつ/または水溶性にすることができる。水溶性の増大のために、追加の第一級、第二級、もしくは第三級アミノ基が導入され得るか、またはアミノ窒素が低分子量アルキル基を用いて四級化され得る。さらに、窒素は、多様な不飽和度の分岐鎖部分若しくは直鎖部分の一部、または飽和若しくは不飽和ヘテロ環式環の一部であり得る。それに加えて、カチオン性界面活性剤は、2個以上のカチオン性窒素原子を有する複雑な結合を含有してもよい。
【0276】
アミンオキシド、両性物質および双性イオンとして分類される界面活性剤化合物は、それ自体が一般的には中性近くから酸性pHの溶液中でカチオン性であり、界面活性剤の分類と重複する。ポリオキシエチル化カチオン性界面活性剤は、概して、アルカリ性溶液中で非イオン性界面活性剤のように挙動し、酸性溶液中でカチオン性界面活性剤のように挙動する。
【0277】
最も単純なカチオン性アミンであるアミン塩および第四級アンモニウム化合物は、以下:
【化18】
式中、Rは、アルキル鎖を表し、R’、R’‘、およびR’‘‘は、アルキル鎖もしくはアリール基のいずれか、または水素でもよく、Xは、アニオンを表す。アミン塩および第四級アンモニウム化合物は、それらの高い水溶性度のため、本発明における実践的な使用に好ましい。
【0278】
大部分の大量の商業用カチオン性界面活性剤は、当業者に既知の、かつ“Surfactant Encyclopedia”,Cosmetics&Toiletries,Vol.104(2)86-96(1989)に記載される、4つの主なクラスおよび追加の部分群に細分され得る。第1のクラスは、アルキルアミンおよびそれらの塩を含む。第2のクラスは、アルキルイミダゾリンを含む。第3のクラスは、エトキシル化アミンを含む。第4のクラスは、例えば、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンゼン塩、複素環アンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩等の第四級物を含む。カチオン性界面活性剤は、本組成物において有益であり得る多様な特性を有することが知られている。これらの望ましい特性としては、中性pH以下の組成物における洗浄力、抗微生物性効能、他の薬剤と連携した増粘またはゲル等が含まれ得る。
【0279】
本明細書に開示される洗剤組成物中で有用なカチオン性界面活性剤としては、式R
1
mR
2
xY
LZを有するものが挙げられ、式中、各R
1は、最大3個のフェニルまたはヒドロキシ基で任意に置換され、かつ以下の構造のうち最大4つ、
【化19】
またはこれらの構造の異性体もしくは混合物によって任意に中断された直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニル基を含有する有機基であり、これは、約8~22個の炭素原子を含有する。R
1基は、追加的に最大12個のエトキシ基を含有し得る。mは、1~3の数字である。好ましくは、分子中の1個以下のR
1基は、mが2であるときに16個以上の炭素原子を有するか、またはmが3であるときに12個超の炭素原子を有する。各R
2は、1~4個の炭素原子またはベンジル基を含有するアルキルまたはヒドロキシアルキル基であり、かつ分子中の1個以下のR
2は、ベンジルであり、xは、0~11、好ましくは0~6の数である。Y基上の任意の炭素原子位置の残りは、水素によって占められる。
【0280】
Yは、限定されるものではないが、
【化20】
またはこれらの混合物であり得る。好ましくは、Lは、1または2であり、かつY基は、Lが2であるとき、1~約22個の炭素原子と2個の遊離炭素単結合とを有するR
1およびR
2類似体(好ましくはアルキレンまたはアルケニレン)から選択される部分によって分離されている。Zは、ハロゲン化物アニオン、硫酸アニオン、メチル硫酸アニオン、水酸化物アニオン、または硝酸アニオンなどの水溶性アニオンであり、特に塩化物アニオン、臭化物アニオン、ヨウ化物アニオン、硫酸アニオン、またはメチル硫酸アニオンが多くの中で、カチオン性構成成分の電気的中性を付与するために好ましい。
【0281】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物または洗剤組成物は、カチオン性界面活性剤を含まない。
【0282】
両性界面活性剤
両性(amphoteric)または両性(ampholytic)界面活性剤は、塩基性および酸性親水基、ならびに有機疎水基の両方を含有する。これらのイオン実体は、他の種類の界面活性剤に関して本明細書で説明されるアニオン基またはカチオン基のいずれかであり得る。塩基性窒素および酸性カルボキシレート基は、塩基性および酸性親水基として使用される典型的な官能基である。いくつかの界面活性剤において、スルホネート、スルフェート、ホスホネート、またはホスフェートは、負電荷を提供する。
【0283】
両性界面活性剤は、脂肪族ラジカルが直鎖であっても分岐鎖であってもよく、かつ脂肪族置換基のうちの1つが約8~18個の炭素原子を含有し、1つが、アニオン性水溶化基、例えば、カルボキシ、スルホ、スルファト(sulfato)、ホスファト、またはホスホノを含有する、脂肪族第二級および第三級アミンの誘導体として広く説明され得る。両性界面活性剤は、当業者に既知の2つの主なクラスに細分され、“Surfactant Encyclopedia”Cosmetics&Toiletries,Vol.104(2)69-71(1989)に記載されており、これは、本明細書にその全体が参照により組み込まれる。第1のクラスは、アシル/ジアルキルエチレンジアミン誘導体(例えば、2-アルキルヒドロキシエチルイミダゾリン誘導体)およびそれらの塩を含む。第2のクラスは、N-アルキルアミノ酸およびそれらの塩を含む。いくつかの両性界面活性剤は、両方のクラスに当てはまることが想定され得る。
【0284】
両性界面活性剤は、当業者に既知の方法で合成され得る。例えば、2-アルキルヒドロキシエチルイミダゾリンは、長鎖カルボン酸(または誘導体)とジアルキルエチレンジアミンとの縮合および閉環によって合成される。商業的な両性界面活性剤は、例えば、クロロ酢酸または酢酸エチルでのアルキル化によるイミダゾリン環のその後の加水分解および開環によって誘導体化される。アルキル化の間に、1または2つのカルボキシ-アルキル基が反応して、第三級アミンおよびエーテル結合を形成し、異なるアルキル化剤が、異なる第三級アミンを生じる。
【0285】
本発明における用途を有する長鎖イミダゾール誘導体は、概して、以下の一般式:
【化21】
式中、Rは、約8~約18個の炭素原子を含有する非環式疎水基であり、Mは、アニオンの電荷を中和するためのカチオン、一般的にはナトリウムである。本組成物に使用することができる商業的に有名なイミダゾリン由来の両性物質としては、例えば、ココアンホプロピオネート、ココアンホカルボキシ-プロピオネート、ココアンホグリシネート、ココアンホカルボキシ-グリシネート、ココアンホプロピル-スルホネート、およびココアンホカルボキシ-プロピオン酸が挙げられる。アンホカルボン酸は、アンホジカルボン酸のジカルボン酸官能基がジ酢酸および/またはジプロピオン酸である脂肪イミダゾリンから生成することができる。
【0286】
本明細書で上述されるカルボキシメチル化化合物(グリシネート)は、しばしばベタインと呼ばれる。ベタインは、本明細書において双性イオン性界面活性剤という表題のセクションで以下に考察される、特別クラスの両性物質である。
【0287】
長鎖N-アルキルアミノ酸は、反応RNH2によって容易に調製され、式中、R=C8-C18直鎖または分岐鎖アルキル、ハロゲン化カルボン酸を有する脂肪族アミンである。アミノ酸の第一級アミノ基のアルキル化は、第二級アミンおよび第三級アミンをもたらす。アルキル置換基は、2つ以上の反応性窒素中心をもたらす追加のアミノ基を有してもよい。最も商業的なN-アルキルアミン酸は、ベータ-アラニンまたはベータ-N(2-カルボキシエチル)アラニンのアルキル誘導体である。本発明における用途を有する商業的なN-アルキルアミノ酸両性電解質の例には、アルキルベータ-アミノジプロピオネート、RN(C2H4COOM)2およびRNHC2H4COOMが含まれる。一実施形態では、Rは、約8~約18個の炭素原子を含有する非環式疎水基であり得、Mは、アニオンの電荷を中和するためのカチオンである。
【0288】
好適な両性界面活性剤には、ココナツ油またはココナツ脂肪酸などのココナツ生成物由来のものが含まれる。追加の好適なココナツ由来の界面活性剤には、これらの構造の一部として、エチレンジアミン部分、アルカノールアミド部分、アミノ酸部分、例えば、グリシン、またはそれらの組み合わせ、および約8~18個(例えば、12個)の炭素原子の脂肪族置換基が含まれる。そのような界面活性剤は、アルキルアンホジカルボン酸ともみなされ得る。これらの両性界面活性剤は、C12-アルキル-C(O)-NH-CH2-CH2-N+(CH2-CH2-CO2Na)2-CH2-CH2-OHまたはC12-アルキル-C(O)-N(H)-CH2-CH2-N+(CH2-CO2Na)2-CH2-CH2-OHと表される化学構造を含むことができる。ココアンホジプロピオン酸二ナトリウムは、1つの好適な両性界面活性剤であり、Rhodia Inc.,Cranbury,N.J.からMiranol(商標)FBSの商品名で市販されている。化学名ココアンホジ酢酸二ナトリウムを有する別の好適なココナツ由来の両性界面活性剤は、同じくRhodia Inc.,Cranbury,N.J.からMirataine(商標)JCHAの商品名で販売されている。
【0289】
両性クラス、およびこれらの界面活性剤の種の典型的なリストは、1975年12月30日にLaughlinおよびHeuringに発行された米国特許第3,929,678号に記載されている。さらなる例は、“Surface Active Agents and Detergents” (Vol. I and II by Schwartz, Perry and Berch)に記載されている。これらの参考文献の各々は、本明細書に参照によりその全体が組み込まれる。
【0290】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物または洗剤組成物は、両性界面活性剤を含まない。
【0291】
双性イオン性界面活性剤
双性イオン性界面活性剤は、両性界面活性剤のサブセットとしてみなすことができ、アニオン電荷を含むことができる。双性イオン性界面活性剤は、第二級および第三級アミンの誘導体、複素環式第二級および第三級アミンの誘導体、または第四級アンモニウム、第四級ホスホニウム、もしくは第三級スルホニウム化合物の誘導体として広く説明され得る。典型的には、双性イオン性界面活性剤は、正に帯電した第四級アンモニウム、またはいくつか場合では、スルホニウムもしくはホスホニウムイオン、負に帯電したカルボキシル基、およびアルキル基を含む。双性イオン性界面活性剤は一般に、分子の等電領域でほぼ等しい程度までイオン化し、かつ正-負電荷中心間に強い「分子内塩」引力を発生させ得るカチオン基およびアニオン基を含有する。そのような双性イオン性合成界面活性剤の例としては、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウム、およびスルホニウム化合物の誘導体が挙げられ、脂肪族ラジカルは、直鎖または分岐であり得、脂肪族置換基のうちの1つは、8~18個の炭素原子を含有し、1つは、アニオン性水溶化基、例えば、カルボキシ、スルホネート、スルフェート、ホスフェート、またはホスホネートを含有する。
【0292】
ベタインおよびスルタイン界面活性剤は、本明細書における使用のための例示的な双性イオン性界面活性剤である。これらの化合物の一般式は、
【化22】
であり、式中、R
1は、0~10個のエチレンオキシド部分および0~1個のグリセリル部分を有する8~18個の炭素原子のアルキル、アルケニル、またはヒドロキシアルキルラジカルを含有し、Yは、窒素、リン、および硫黄原子からなる群から選択され、R
2は、1~3個の炭素原子を含有するアルキルまたはモノヒドロキシアルキル基であり、xは、Yが硫黄原子であるとき1であり、Yが窒素またはリン原子であるとき2であり、R
3は、1~4個の炭素原子のアルキレンまたはヒドロキシアルキレンまたはヒドロキシアルキレンであり、Zは、カルボキシレート、スルホネート、サルフェート、ホスホネート、およびホスフェート基からなる群から選択されるラジカルである。
【0293】
上記の構造を有する双性イオン界面活性剤の例としては、4-[N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-N-オクタデシルアンモニオ]-ブタン-1-カルボキシレート、5-[S-3-ヒドロキシプロピル-S-ヘキサデシルスルホニオ]-3-ヒドロキシペンタン-1-サルフェート、3-[P,P-ジエチル-P-3,6,9-トリオキサテトラコサンホスホニオ]-2-ヒドロキシプロパン-1-ホスフェート、3-[N,N-ジプロピル-N-3-ドデコキシ-2-ヒドロキシプロピル-アンモニオ]-プロパン-1-ホスホネート、3-(N,N-ジメチル-N-ヘキサデシルアンモニオ)-プロパン-1-スルホネート、3-(N,N-ジメチル-N-ヘキサデシルアンモニオ)-2-ヒドロキシ-プロパン-1-スルホネート、4-[N,N-ジ(2(2-ヒドロキシエチル)-N(2-ヒドロキシドデシル)アンモニオ]-ブタン-1-カルボキシレート、3-[S-エチル-S-(3-ドデコキシ-2-ヒドロキシプロピル)スルホニオ]-プロパン-1-ホスフェート、3-[P,P-ジメチル-P-ドデシルホスホニオ]-プロパン-1-ホスホネート、およびS[N,N-ジ(3-ヒドロキシプロピル)-N-ヘキサデシルアンモニオ]-2-ヒドロキシ-ペンタン-1-サルフェートが挙げられる。当該洗剤界面活性剤に含有されるアルキル基は、直鎖または分岐鎖でもよく、飽和または不飽和であり得る。
【0294】
本組成物において使用するのに好適な双性イオン界面活性剤には、以下の一般構造のベタインが含まれる。
【化23】
【0295】
これらの界面活性剤ベタインは、典型的に、極度のpHで強いカチオンもしくはアニオンの特徴を呈さないか、またはこれらの等電範囲で水溶性の減少を示さない。「外部」第四級アンモニウム塩とは異なり、ベタインは、アニオンと共生できる。好適なベタインの例としては、ヤシアシルアミドプロピルジメチルベタイン、ヘキサデシルジメチルベタイン、C12~14アシルアミドプロピルベタイン、C8~14アシルアミドヘキシルジエチルベタイン、4-C14~16アシルメチルアミドジエチルアンモニオ-1-カルボキシブタン、C16~18アシルアミドジメチルベタイン、C12~16アシルアミドペンタンジエチルベタイン、およびC12~16アシルメチルアミドジメチルベタインが挙げられる。
【0296】
本発明で有用なスルタインには、式(R(R1)2N+R2SO3-を有する化合物が含まれ、式中、Rは、C6-C18ヒドロカルビル基であり、各R1は典型的に独立して、C1-C3アルキル、例えばメチルであり、R2は、C1-C6ヒドロカルビル基、例えば、C1-C3アルキレンまたはヒドロキシアルキレン基である。
【0297】
双性イオン性クラス、およびこれらの界面活性剤の種の典型的なリストは、1975年12月30日にLaughlinおよびHeuringに発行された米国特許第3,929,678号に記載されている。さらなる例は、“Surface Active Agents and Detergents”(Vol.I and II by Schwartz,Perry and Berch)に記載されている。これらの参照文献の各々は、本明細書にその全体が組み込まれる。
【0298】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物または洗剤組成物は、双性イオン性界面活性剤を含まない。
【0299】
ジェミニ界面活性剤
従来の界面活性剤は一般に、1つの親水基と1つの疎水基とを有するが、ジェミニ界面活性剤は、少なくとも2つの疎水基と少なくとも2つの親水基とを有する。これらの界面活性剤は、一般式:A1-G-A2を有し、スペーサー(G)によって結合された2つの界面活性剤部分(A1、A2)を含むことからその名前が付けられ、各界面活性剤部分(A1、A2)は、親水基と疎水基とを有する。一般に、2つの界面活性剤部分(A1、A2)は同じであるが、それは異なってもよい。
【0300】
ジェミニ界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性、または両性であり得る。各界面活性剤部分(A1、A2)の親水基および疎水基は、1つの親水基と1つの疎水基とを有する従来の界面活性剤で使用されることが既知のもののいずれかであり得る。例えば、典型的な非イオン性ジェミニ界面活性剤、例えば、ビス-ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、2つのポリオキシエチレンアルキルエーテル部分を含有する。
各部分は、親水基、例えば、ポリエチレンオキシドと、疎水基、例えば、アルキル鎖とを含有する。
【0301】
アニオン性および非イオン性ジェミニ界面活性剤は、以下の式のものを含み、
【化24】
式中、R
30は独立して、C
1~C
22アルキル、R
34--C(O)--またはR
34--B-R
35--であり、R
34は、C
1~C
22アルキルであり、R
35は、C
1~C
12アルキルであり、Bは、アミド基、--C(O)N(R
36)--、アミノ基--N(R
36)--、カルボキシル基--C(O)--O--、カルボニル基、またはポリエーテル基--(EO)
a(PO)
b--であり、EOは、エチレンオキシラジカルを表し、POは、プロピレンオキシラジカルを表し、aおよびbは、0~100の数であり、aは、好ましくは約0~約30であり、bは、好ましくは約0~10であり、aプラスbは、少なくとも1であり、EOおよびPOラジカルは、ランダムに混合され得るか、または個別のブロック内にあってもよく、R
36は、水素またはC
1~C
6アルキルである。
【0302】
R31は独立して、水素またはC1~C22アルキルであり、R32は独立して、C1~C10アルキル、--O--、アミド基--C(O)N(R6)--、ポリエーテル基-O(EO)a(PO)b-、-R37-D-R37-、または-D-R37-D-であり、R37は独立して、C1~C6アルキルであり、Dは、-O-、-S-、アミド基-C(O)N(R36)-、またはアミノ基-N(R36)-であり、R36、a、およびbは、上記で定義されたとおりであり、tは独立して、0または1である。
【0303】
Zは独立して、水素、--SO3Y、--P(O)(OY)2、--COOY、--CH2COOY、--CH2CH(OH)CH2SO3Yであり、R32がポリエーテルではない場合、Zはまた、--OSO3Yおよび--OP(O)(OY)2であり、Yは、水素、ナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ金属;マグネシウムおよびカルシウムなどのアルカリ土類金属;アンモニウム;またはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、N-ヒドロキシエチルモルホリンなどの有機塩基塩である。
【0304】
A1またはA2は独立して、直鎖または分岐鎖C1~C6アルキル、O--R5--O--基、またはアリール、好ましくはフェニルであり、R33は、結合、フェニルまたはジフェニル基などのアリール基、C1~C10アルキル基、好ましくはC1~C4アルキル基、最も好ましくはメチレン、-C≡C-、-O-、--S--、--S--S--、--N(R36)--、--R35O--、--R35O(EO)a(PO)b--、--D1-R38--D1--、または-R38--D1-R38--であり、R38は独立して、C1-C10アルキル基、--C(O)--、--R35O(EO)a(PO)b--、--O-R35--O--、またはアリール、例えば、フェニルであり、D1は独立して、--O--、--S--、--S--S--、--SO2--、--C(O)--、ポリエーテル基--O(EO)a(PO)b--、アミド基--C(O)N(R36)--、アミノ基--N(R36)-、--O--R5--O--、またはアリールであり、R35、R36、a、およびbは、上記で定義されたとおりである。
【0305】
本開示の式において、「アルカリ」という用語は、置換アルカリ、特にそのヒドロキシ置換誘導体、ならびに直鎖および分岐鎖を含む。Zが水素である場合、ジェミニ界面活性剤は、非イオン性である。
【0306】
本開示において特に有用な他のジェミニ界面活性剤としては、以下の式のジェミニアニオン性または非イオン性界面活性剤が挙げられ、
【化25】
式中、R
cは、アリール、好ましくは、フェニルを表す。R
31、R
33、R
34、およびZは、上記で定義されたとおりである。aおよびbは、0~100の数であり、aは、好ましくは約0~約30であり、bは、好ましくは約0~10であり、aプラスbは、少なくとも1であり、EOおよびPOラジカルは、ランダムに混合され得るか、または別個のブロック内にあってもよい。
【0307】
これらの界面活性剤の一次ヒドロキシル基は、標準的な技術によって容易にリン酸化、硫酸化、またはカルボキシル化され得る。
【0308】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物または洗剤組成物は、ジェミニ界面活性剤を含まない。
【0309】
追加の腐食抑制剤
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される腐食制御組成物は、追加の腐食抑制剤をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、本明細書に開示される腐食制御組成物は、追加の腐食抑制剤および担体をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、本明細書に開示される腐食制御組成物は、追加の腐食抑制剤、殺生物剤、および担体をさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される制御組成物は、本明細書に開示される1つ以上のジカチオン性またはジアニオン性化合物、1つ以上の追加の腐食抑制剤、および担体からなり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される腐食制御組成物は、本明細書に開示される1つ以上のジカチオン性またはジアニオン性化合物、担体、追加の腐食抑制剤、および殺生物剤からなる。
【0310】
腐食制御組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約20重量%、約0.1重量%~約10重量%、または0.1~約5重量%の1つ以上の追加の腐食抑制剤を含むことができる。本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて0~10重量パーセントの1つ以上の追加の腐食抑制剤を含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約1.0重量%、約1.5重量%、約2.0重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%、約5.0重量%、約5.5重量%、約6.0重量%、約6.5重量%、約7.0重量%、約7.5重量%、約8.0重量%、約8.5重量%、約9.0重量%、約9.5重量%、約10.0重量%、約10.5重量%、約11.0重量%、約11.5重量%、約12.0重量%、約12.5重量%、約13.0重量%、約13.5重量%、約14.0重量%、約14.5重量%、もしくは約15.0重量%、またはそれらの間の任意の値もしくは範囲の1つ以上の追加の腐食抑制剤を含むことができる。特定の水系は、1つ以上の追加の腐食抑制剤を使用するためにそれ自体の要件を有することができ、組成物中の1つ以上の追加の腐食抑制剤の重量パーセントは、それが使用される水系によって変化し得る。
【0311】
多金属保護のための腐食抑制剤は典型的には、ベンゾトリアゾール、ハロゲン化トリアゾール、およびニトロ置換アゾールなどのトリアゾールであるが、これらに限定されない。
【0312】
1つ以上の追加の腐食抑制剤は、イミダゾリン化合物、四級アンモニウム化合物、ピリジニウム化合物、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0313】
1つ以上の追加の腐食抑制剤は、イミダゾリンであり得る。イミダゾリンは、例えば、エチレンジアミン(EDA)などのジアミン、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)およびトール油脂肪酸(TOFA)などの長鎖脂肪酸から誘導されるイミダゾリンであり得る。イミダゾリンは、式(1A)のイミダゾリンまたはイミダゾリン誘導体であり得る。代表的なイミダゾリン誘導体としては、式(2A)のイミダゾリニウム化合物または式(3A)のビス四級化化合物が挙げられる。
【0314】
1つ以上の追加の腐食抑制剤は、式(1A)のイミダゾリンを含み得、
【化26】
式中、R
10aは、C
1~C
20アルキル基またはC
1~C
20アルコキシアルキル基であり、R
11aは、水素、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ヒドロキシアルキル、またはC
1~C
6アリールアルキルであり、R
12aおよびR
13aは、独立して、水素またはC
1~C
6アルキル基である。好ましくは、イミダゾリンは、トール油脂肪酸(TOFA)に典型的なアルキル混合物であるR
10aを含み、R
11a、R
12a、およびR
13aは、各々水素である。
【0315】
1つ以上の追加の腐食抑制剤は、式(2A)のイミダゾリニウム化合物であり得、
【化27】
式中、R
10aは、C
1~C
20アルキル基またはC
1~C
20アルコキシアルキル基であり、R
11aおよびR
14aは、独立して、水素、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ヒドロキシアルキル、またはC
1~C
6アリールアルキルであり、R
12aおよびR
13aは、独立して、水素またはC
1~C
6アルキル基であり、X
-は、ハロゲン化物(塩化物、臭化物、ヨウ化物など)、炭酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、または有機カルボン酸(酢酸塩など)のアニオンである。好ましくは、イミダゾリニウム化合物は、1-ベンジル-1-(2-ヒドロキシエチル)-2-トール油-2-イミダゾリニウムクロリドを含む。
【0316】
1つ以上の追加の腐食抑制剤は、式(3A)を有するビス四級化化合物であり得、
【化28】
式中、R
1aおよびR
2aはそれぞれ独立して、1~約29個の炭素原子を有する、非置換の分岐鎖、鎖状、もしくは環式アルキルもしくはアルケニル;1~約29個の炭素原子を有する、部分的もしくは完全に酸素化、硫化、および/もしくはリン酸化された分岐鎖、鎖状、もしくは環式アルキルもしくはアルケニル;またはそれらの組み合わせであり、R
3aおよびR
4aはそれぞれ独立して、1~約29個の炭素原子を有する、非置換の分岐鎖、鎖状、もしくは環式アルキレンもしくはアルケニレン;1~約29個の炭素原子を有する、部分的もしくは完全に酸素化、硫化、および/もしくはリン酸化された分岐鎖、鎖状、もしくは環式アルキレンもしくはアルケニレン;またはそれらの組み合わせであり、L
1およびL
2はそれぞれ独立して、存在しないか、H、-COOH、-SO
3H、-PO
3H、-COOR
5a、-CONH
2、-CONHR
5a、または--CON(R
5a)
2であり、R
5aはそれぞれ独立して、1~約10個の炭素原子を有する分岐鎖または非分岐鎖アルキル、アリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロアリール基であり、nは、0または1であり、nが0のとき、L
2は、存在しないか、またはHであり、xは、1~約10であり、yは、1~約5である。好ましくは、R
1aおよびR
2aは、それぞれ独立して、C6~C22アルキル、C
8~C
20アルキル、C
12~C
18アルキル、C
16~C
18アルキル、もしくはそれらの組み合わせであり、R
3aおよびR
4aは、C
1~C
10アルキレン、C
2~C
8アルキレン、C
2~C
6アルキレン、またはC
2~C
3アルキレンであり、nは0もしくは1であり、xは2であり、yは1であり、R
3およびR
4は-C
2H
2-であり、L
1は-COOH、-SO
3H、もしくは-PO
3Hであり、L
2は存在しないか、H、-COOH、-SO
3H、もしくは-PO
3Hである。例えば、R
1aおよびR
2aは、トール油脂肪酸の混合物から誘導することができ、主としてC17H33およびC
17H
31の混合物であるか、またはC
16~C
18アルキルであり得;R
3aおよびR
4aは、C
2~C
3アルキレン、例えば-C
2H
2-であり得;nは、1であり、かつL
2は、-COOHであるか、またはnは、0であり、かつL
2は、存在しないかもしくはHであり;xは2であり;yは1であり;R
3aおよびR
4aは、-C
2H
2であり;L
1は、-COOHである。
【0317】
式(3A)の各基について特定される炭素原子の数は、炭素原子の主鎖を指し、置換基によって寄与され得る炭素原子を含まないことを理解されたい。
【0318】
1つ以上の追加の腐食抑制剤は、式(3A)を有するビス四級化イミダゾリン化合物であり得、式中、R1aおよびR2aはそれぞれ独立して、C6~C22アルキル、C8~C20アルキル、C12~C18アルキル、もしくはC16~C18アルキル、またはそれらの組み合わせであり、R4aは、C1~C10アルキレン、C2~C8アルキレン、C2~C6アルキレン、またはC2~C3アルキレンであり、xは、2であり、yは、1であり、nは、0であり、L1は、-COOH、-SO3H、または-PO3Hであり、L2は、存在しないか、またはHである。好ましくは、ビス四級化化合物は、式(3A)を有し、式中、R1aおよびR2aはそれぞれ独立して、C16~C18アルキルであり、R4aは、-C2H2-であり、xは、2であり、yは、1であり、nは、0であり、L1は、-COOH、-SO3H、または-PO3Hであり、L2は、存在しないか、またはHである。
【0319】
1種以上の追加の腐食抑制剤は、式(4A)の四級アンモニウム化合物を含み得、
【化29】
式中、R
1a、R
2a、およびR
3aは、独立して、C
1~C
20アルキルであり、R
4aは、メチルまたはベンジルであり、X
-は、ハロゲン化物またはメトサルフェートである。
【0320】
好適なアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、またはアリールアミン四級塩としては、式[N+R5aR6aR7aR8a][X-]のアルキルアリール、アリールアルキル、およびアリールアミン四級塩が挙げられ、式中、R5a、R6a、R7a、およびR8aは、1~18個の炭素原子を含有し、Xは、Cl、Br、またはIである。四級塩に関して、R5a、R6a、R7a、およびR8aはそれぞれ独立して、アルキル(例えば、C1~C18アルキル)、ヒドロキシアルキル(例えば、C1~C18ヒドロキシアルキル)、およびアリールアルキル(例えば、ベンジル)であり得る。アルキルまたはアルキルアリールハロゲン化物との単環式または多環式芳香族アミン塩は、式[N+R5aR6aR7aR8a][X-]の塩を含み、式中、R5a、R6a、R7a、およびR8aは、1~18個の炭素原子および少なくとも1つのアリール基を含有し、Xは、Cl、Br、またはIである。
【0321】
適切な四級アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラヘキシルアンモニウム塩、テトラオクチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、フェニルトリメチルアンモニウム塩、フェニルトリエチルアンモニウム塩、セチルベンジルジメチルアンモニウム塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩、ジメチルアルキルベンジル四級アンモニウム塩、モノメチルジアルキルベンジル四級アンモニウム塩、またはトリアルキルベンジル四級アンモニウム塩(上記のアルキル基は、約6~約24個の炭素原子、約10~約18個の炭素原子、または約12~約16個の炭素原子を有する)を挙げることができるが、これらに限定されない。四級アンモニウム塩は、ベンジルトリアルキル四級アンモニウム塩、ベンジルトリエタノールアミン四級アンモニウム塩、またはベンジルジメチルアミノエタノールアミン四級アンモニウム塩であり得る。
【0322】
1つ以上の追加の腐食抑制剤は、式(5A)によって表されるものなどのピリジニウムであり得、
【化30】
式中、R
9aは、アルキル基、アリール基、またはアリールアルキル基であり、当該アルキル基は、1~約18個の炭素原子を有し、X
-は、塩化物、臭化物、またはヨウ化物などのハロゲン化物である。これらの化合物の中には、アルキルピリジニウム塩およびアルキルピリジニウムベンジル四級物がある。例示的な化合物としては、メチルピリジニウムクロリド、エチルピリジニウムクロリド、プロピルピリジニウムクロリド、ブチルピリジニウムクロリド、オクチルピリジニウムクロリド、デシルピリジニウムクロリド、ラウリルピリジニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、ベンジルピリジニウムクロリド、およびアルキルベンジルピリジニウムクロリドが挙げられ、好ましくは、アルキルは、C
1~C
6ヒドロカルビル基である。好ましくは、ピリジニウム化合物は、ベンジルピリジニウムクロリドを含む。
【0323】
1つ以上の追加の腐食抑制剤は、リン酸エステル、モノマーまたはオリゴマー脂肪酸、アルコキシル化アミン、またはそれらの混合物であり得る。
【0324】
1つ以上の追加の腐食抑制剤は、リン酸エステルであり得る。適切なモノ-、ジ-、およびトリ-アルキル、ならびにモノ-、ジ-および、トリエタノールアミンのアルキルアリールリン酸エステル、およびリン酸エステルは、典型的には1~約18個の炭素原子を含有する。好ましいモノ-、ジ-、およびトリアルキルリン酸エステル、アルキルアリール、またはアリールアルキルリン酸エステルは、C3~C18脂肪族アルコールを五酸化リンと反応させることによって調製されるものである。リン酸エステル中間体は、そのエステル基をリン酸トリエチルと交換して、より広い分布のアルキルリン酸エステルを生成する。
【0325】
あるいは、リン酸エステルは、アルキルジエステルを、低分子量アルキルアルコールまたはジオールの混合物と混和することによって作製され得る。低分子量アルキルアルコールまたはジオールは、好ましくはC6~C10アルコールまたはジオールを含む。さらに、1つ以上の2-ヒドロキシエチル基を含有するポリオールのリン酸エステルおよびそれらの塩、ならびにポリリン酸または五酸化リンをジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンなどのヒドロキシルアミンと反応させることによって得られるヒドロキシルアミンリン酸エステルが好ましい。
【0326】
1つ以上の追加の腐食抑制剤は、モノマーまたはオリゴマー脂肪酸であり得る。好ましいモノマーまたはオリゴマー脂肪酸は、C14~C22飽和および不飽和脂肪酸、ならびにそのような脂肪酸のうちの1つ以上を重合することによって得られるダイマー、トリマー、およびオリゴマー生成物である。
【0327】
1つ以上の追加の腐食抑制剤は、アルコキシル化アミンであり得る。アルコキシル化アミンは、エトキシル化アルキルアミンであり得る。アルコキシル化アミンは、エトキシル化獣脂アミンであり得る。
【0328】
いくつかの実施形態では、腐食制御組成物中の追加の腐食抑制剤は、トール油ジエチレントリアミンイミダゾリン、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ココナツ油-2-イミダゾリン、1-ベンジル-1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ココナツ油-2-イミダゾリニウムクロリド、ベンジル-ジメチル-ドデシル-アンモニウムクロリド、N-ココアルキル1,3、プロピレンジアミンアセテート、モルホリン、モルホリン誘導体、ジデシル-ジメチル-アンモニウムクロリド、1-ベンジル-1-(2-ヒドロキシエチル)-2-トール油-2-イミダゾリニウムクロリド、およびN-ベンジル-アルキルピリジニウムクロリド、トール油脂肪酸、三量体C18不飽和脂肪酸、二量体C18不飽和脂肪酸、アルキルピリジン、N-ベンジル-アルキルピリジニウムクロリド、キノリン、ベンジルクロリドを有するキノリン四級化合物、またはそれらの混合物である。
【0329】
分散剤
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される腐食制御組成物は、分散剤をさらに含むことができる。分散剤は、水系の水中に存在する粒子状物質を分散した状態に保持し、それが凝集しないようにする。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1~10重量%、約0.5~5重量%、または約0.5~4重量%の分散剤を含むことができる。
【0330】
分散剤は、アクリル酸ポリマー、マレイン酸ポリマー、アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマー、それらのアルキルエステル、またはそれらの組み合わせであり得る。これらのポリマーは、アクリル酸、アクリルアミド、およびスルホン化モノマーのターポリマーを含み得る。これらのポリマーはまた、アクリル酸および他の3つのモノマーからなる四級物ポリマーを含み得る。
【0331】
好適な分散剤としては、2~50個の炭素を有する脂肪族ホスホン酸、例えば、ヒドロキシエチルジホスホン酸、およびアミノアルキルホスホン酸、例えば、2~10個のN原子を有するポリアミノメチレンホスホネート(例えば、各々は、少なくとも1つのメチレンホスホン酸基を有する)が挙げられるが、これらに限定されず、後者の例は、各N原子間に2~4個のメチレン基を有し、各ホスホネートにおけるメチレン基の数のうちの少なくとも2つが異なる、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホネート)、ならびにトリアミン-およびテトラアミン-ポリメチレンホスホネートである。他の適切な分散剤としては、リグニン、またはリグノスルホネートなどのリグニンの誘導体、ならびにナフタレンスルホン酸および誘導体が挙げられる。
【0332】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される腐食制御組成物中の分散剤は、トール油脂肪酸とジエチレントリアミンおよびアクリル酸との反応生成物(1:1:1)、脂肪酸またはトール油とトリエチレンテトラミンまたはテトラエチレンペンタミンとの反応生成物、ジエチレントリアミンおよびナフテン酸の反応生成物である。
【0333】
腐食制御組成物は、メルカプトアルキルアルコール、メルカプト酢酸、チオグリコール酸、3,3′-ジチオジプロピオン酸、チオ硫酸ナトリウム、チオ尿素、L-システイン、tert-ブチルメルカプタン、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、またはそれらの組み合わせなどの有機硫黄化合物をさらに含むことができる。好ましくは、メルカプトアルキルアルコールは、2-メルカプトエタノールを含む。かかる化合物は、組成物中で相乗剤として使用される。
【0334】
いくつかの実施形態では、腐食制御組成物中の有機硫黄化合物は、2-メルカプトエタノール、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸、またはそれらの混合物である。
【0335】
有機硫黄化合物は、組成物の総重量に基づいて、組成物の約0.5重量%~約15重量%、好ましくは約1重量%~約10重量%、より好ましくは約1重量%~約5重量%を構成することができる。有機硫黄化合物は、組成物の約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、または約15重量%を構成することができる。
【0336】
腐食制御組成物は、抗乳化剤をさらに含むことができる。好ましくは、抗乳化剤は、ポリアルキレングリコールなどのオキシアルキレートポリマーを含む。抗乳化剤は、組成物の総重量に基づいて、組成物の約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%を構成することができる。抗乳化剤は、組成物の約0.5重量%、約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、約3重量%、約3.5重量%、約4重量%、約4.5重量%、または約5重量%を構成することができる。
【0337】
腐食制御組成物は、アスファルテン抑制剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%のアスファルテン抑制剤を含むことができる。適切なアスファルテン抑制剤としては、脂肪族スルホン酸、アルキルアリールスルホン酸、アリールスルホネート、リグノスルホネート、アルキルフェノール/アルデヒド樹脂および類似のスルホン化樹脂、ポリオレフィンエステル、ポリオレフィンイミド、アルキル、アルキレンフェニルまたはアルキレンピリジル官能基を有するポリオレフィンエステル、ポリオレフィンアミド、アルキル、アルキレンフェニルまたはアルキレンピリジル官能基を有するポリオレフィンアミド、アルキル、アルキレンフェニルまたはアルキレンピリジル官能基を有するポリオレフィンイミド、アルケニル/ビニルピロリドンコポリマー、ポリオレフィンと無水マレイン酸またはビニルイミダゾールとのグラフトポリマー、超分岐ポリエステルアミド、ポリアルコキシル化アスファルテン、両性脂肪酸、コハク酸アルキルの塩、モノオレイン酸ソルビタン、およびポリイソブチレン無水コハク酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0338】
腐食制御組成物は、パラフィン抑制剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%のパラフィン抑制剤を含むことができる。適切なパラフィン抑制剤としては、パラフィン結晶改質剤、および分散剤/結晶改質剤の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。適切なパラフィン結晶改質剤としては、アルキルアクリレートコポリマー、アルキルアクリレートビニルピリジンコポリマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、無水マレイン酸エステルコポリマー、分岐ポリエチレン、ナフタレン、アントラセン、マイクロクリスタリンワックス、および/またはアスファルテンが挙げられるが、これらに限定されない。適切なパラフィン分散剤としては、ドデシルベンゼンスルホネート、オキシアルキル化アルキルフェノール、およびオキシアルキル化アルキルフェノール樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0339】
腐食制御組成物は、スケール抑制剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約20重量%、約0.5重量%~約10重量%、または約1重量%~約10重量%のスケール抑制剤を含むことができる。好適なスケール抑制剤としては、リン酸塩、リン酸エステル、リン酸、ホスホン酸塩、ホスホン酸、ポリアクリルアミド、アクリルアミドメチルプロパンスルホネート/アクリル酸コポリマー(AMPS/AA)の塩、リン酸化マレイン酸コポリマー(PHOS/MA)、モノー、ビスー、およびオリゴマーホスフィノコハク酸(PSO)誘導体、ポリカルボン酸、疎水性修飾ポリカルボン酸、ならびにポリマレイン酸/アクリル酸/アクリルアミドメチルプロパンスルホネートターポリマー(PMA/AA/AMPS)の塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0340】
腐食制御組成物は、乳化剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%の乳化剤を含むことができる。適切な乳化剤としては、カルボン酸の塩、カルボン酸またはカルボン酸無水物とアミンとの間のアシル化反応の生成物、ならびに糖のアルキル、アシル、およびアミド誘導体(アルキル-糖乳化剤)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0341】
腐食制御組成物は、水浄化剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%の水浄化剤を含むことができる。好適な水浄化剤としては、ミョウバン、塩化アルミニウム、およびアルミニウムクロロハイドレートなどの無機金属塩、またはアクリル酸系ポリマー、アクリルアミド系ポリマー、重合アミン、アルカノールアミン、チオカルバメート、およびジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)などのカチオン性ポリマーなどの有機ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0342】
腐食制御組成物は、エマルジョン破壊剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%のエマルジョン破壊剤を含むことができる。好適なエマルジョン破壊剤としては、ドデシルベンジルスルホン酸(DDBSA)、キシレンスルホン酸のナトリウム塩(NAXSA)、エポキシ化およびプロポキシル化化合物、ならびにフェノールおよびエポキシ樹脂などの樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0343】
腐食制御組成物は、硫化水素捕捉剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約1重量%~約50重量%、約1重量%~約40重量%、約1重量%~約30重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%の硫化水素捕捉剤を含むことができる。適切な追加の硫化水素捕捉剤としては、酸化剤(例えば、過酸化ナトリウムまたは二酸化塩素などの無機過酸化物)、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド、アクロレイン、またはメタクロレインなどの炭素数1~10のもの)、トリアジン(例えば、モノエタノールアミントリアジン、モノメチルアミントリアジン、および複数のアミンからのトリアジン、またはこれらの混合物)、二級または三級アミンとアルデヒドとの縮合生成物、ならびにアルキルアルコールとアルデヒドとの縮合生成物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0344】
腐食制御組成物は、ガスハイドレート抑制剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約25重量%、約0.5重量%~約20重量%、約1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%のガスハイドレート抑制剤を含むことができる。適切なガスハイドレート抑制剤としては、熱力学的ハイドレート抑制剤(THI)、動的ハイドレート抑制剤(KHI)、および凝集抑制剤(AA)が挙げられるが、これらに限定されない。適切な熱力学的ハイドレート抑制剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化ナトリウム、ギ酸塩ブライン(例えばギ酸カリウム)、ポリオール(グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、ラクトース、グルコン酸塩、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、モノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、モノブチレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、および糖アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール)など)、メタノール、プロパノール、エタノール、グリコールエーテル(ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなど)、およびアルコールのアルキルエステルまたは環状エステル(乳酸エチル、乳酸ブチル、安息香酸メチルエチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0345】
腐食制御組成物は、動的ハイドレート抑制剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約25重量%、約0.5重量%~約20重量%、約1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%の動的ハイドレート抑制剤を含むことができる。好適な動的ハイドレート抑制剤および凝集抑制剤としては、ポリマーおよびコポリマー、ポリサッカリド(ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、デンプン誘導体、およびキサンタンなど)、ラクタム(ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルラクタムなど)、ピロリドン(様々な分子量のポリビニルピロリドンなど)、脂肪酸塩、エトキシル化アルコール、プロポキシル化アルコール、ソルビタンエステル、エトキシル化ソルビタンエステル、脂肪酸のポリグリセリンエステル、アルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、アルキルサルフェート、アルキルスルホネート、アルキルエステルスルホネート、アルキル芳香族スルホネート、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、炭化水素系分散剤(リグノスルホネート、イミノジスクシネート、ポリアスパルテートなど)、アミノ酸、ならびにタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0346】
腐食制御組成物は、pH調整剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約20重量%、約0.5重量%~約10重量%、または約0.5重量%~約5重量%のpH調整剤を含むことができる。適切なpH調整剤は、アルカリ水酸化物、アルカリ炭酸塩、アルカリ重炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属重炭酸塩、およびこれらの混合物または組み合わせを含むが、これらに限定されない。例示的なpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酸化マグネシウム、および水酸化マグネシウムが挙げられる。
【0347】
腐食制御組成物は、界面活性剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%の界面活性剤を含むことができる。好適な界面活性剤は、非イオン性、半非イオン性、カチオン性、アニオン性、両性、双性イオン性、ジェミニ、ジカチオン性、ジアニオン性界面活性剤、またはそれらの混合物であり得る。アニオン性界面活性剤としては、アルキルアリールスルホネート、オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート、アルコールサルフェート、アルコールエーテルサルフェート、アルキルカルボキシレートおよびアルキルエーテルカルボキシレート、ならびにアルキルおよびエトキシル化アルキルリン酸エステル、ならびにモノおよびジアルキルスルホサクシネートおよびスルホサクシネートが挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、アルコールアルコキシレート、アルキルフェノールアルコキシレート、エチレンのブロックコポリマー、エチレンおよびプロピレンのブロックコポリマー、プロピレンおよびブチレンオキシド、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキル-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、アルキルアミドプロピル-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、ポリアルコキシル化グリセリド、ソルビタンエステルおよびポリアルコキシル化ソルビタンエステル、ならびにアルコイルポリエチレングリコールエステルおよびジエステルが挙げられる。ベタインおよびスルタン(sultane)、両性界面活性剤、例えばアルキルアンホアセテートおよびアンホジアセテート、アルキルアンホプロピオネートおよびアンホジプロピオネート、ならびにアルキルイミノジプロピオネートなども含まれる。
【0348】
いくつかの実施形態では、界面活性剤は、エトキシル化C10~C16アルコールのリン酸エステル、エトキシル化C11~C14イソまたはC13リッチリン酸塩、エトキシル化ノニルフェノール、エトキシル化分岐鎖ノニルフェノール、またはそれらの混合物である。
【0349】
腐食制御組成物は、機能特性および/または有益な特性を提供する他の追加の腐食制御組成物剤をさらに含むことができる。例えば、追加の腐食制御組成物剤は、金属イオン封鎖剤、可溶化剤、潤滑剤、緩衝剤、洗浄剤、すすぎ助剤、防腐剤、結合剤、増粘剤または他の粘度調整剤、加工助剤、水調整剤、発泡抑制剤または泡発生剤、イオン析出防止剤もしくは系、美観改良剤(例えば、染料、着臭剤、香料)、または腐食抑制剤組成物との配合に適した他の薬剤、およびそれらの混合物であり得る。追加の薬剤は、当業者が理解するように、製造される特定の腐食制御組成物およびその意図する用途に従って変化する。
【0350】
あるいは、腐食制御組成物は、追加の腐食制御組成物剤のうちのいずれも含有しないか、または含まない。
【0351】
加えて、腐食制御組成物は、以下の表1に示されるように、以下の構成成分を含む例示的な組成物に配合され得る。これらの配合物は、列挙された成分の範囲を含み、任意に追加の薬剤を含み得る。以下の表1の値は、重量パーセントである。
【表1】
【0352】
水系
腐食制御組成物またはその使用溶液は、水系に適用されて、水系中の表面上の、または水系内の表面への腐食を防止する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法における水系は、工業用水系である。他の実施形態では、水系は、開放再循環系を含む冷却水系、閉鎖式および貫流式冷却水系、ボイラーおよびボイラー水系、石油坑系、ダウンホール形成、地熱井ならびに石油およびガス操業における他の水系、鉱物洗浄系、浮選および慈善系、製紙工場蒸解釜、ウォッシャ、漂白プラント、ストックチェスト、白水系、抄紙機表面、パルプ工業における黒液エバポレータ、ガススクラバおよびエアウォッシャ、冶金工業の連続鋳造プロセス、空調および冷蔵系、工業用および石油プロセス水、間接接触冷却および加熱水、水の再生利用系、浄水系、膜濾過水系、食品加工流れ(肉、野菜、テンサ、サトウキビ、穀物、家禽肉、果物、および大豆)、廃棄物処理系、浄化剤、液体-固体適用、都市下水処理、都市水系、飲料水系、帯水層、貯水タンク、スプリンクラー系、ならびに給湯器であり得るが、これらに限定されない。
【0353】
水系は、石油およびガス操業で使用されるものであり得る。水系は、水、油、および固体を含むことができる。いくつかの実施形態では、水系は、大部分が油または炭化水素を含む。例えば、水系は、タンクまたはパイプラインに油またはガソリンを含む。いくつかの実施形態では、水系は、石油およびガス操業で使用されるものである。
【0354】
いくつかの実施形態では、水系は、開放再循環式を含む冷却水系、閉鎖式および貫流式冷却水系、抄紙機表面、食品加工流れ、廃棄物処理系、または飲料水系である。
【0355】
開示される方法または組成物の使用
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法に関して、腐食制御組成物を水系に提供することは、腐食制御組成物、1つ以上のジカチオン性もしくはジアニオン性化合物、またはその使用溶液が、水を含む流体中または水系の表面上に添加されることを意味する。他の実施形態では、腐食制御組成物を水系に提供することは、腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物を水系の表面上または水中に添加することを意味する。いくつかの他の実施形態では、腐食制御組成物を水系に提供することは、腐食制御組成物、ジカチオン性もしくはジアニオン性化合物、またはそれらの使用溶液を水系の表面に接触する流体またはガスに添加することを意味する。腐食制御組成物、ジカチオン性もしくはジアニオン性化合物、またはその使用溶液は、より多くの化合物または組成物が必要とされる可能性がある場合、連続的または断続的に添加され得る。
【0356】
腐食制御組成物または1つ以上のジカチオン性またはジアニオン性化合物の使用溶液は、本明細書で使用される場合、希釈剤による組成物または化合物の希釈溶液を指す。希釈剤は、本明細書で使用される場合、本明細書で定義される水、水系の水、または担体もしくは溶媒のうちの1つを指す。腐食制御組成物または化合物は、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11~1,000,000倍、またはそれらの間の任意の値に希釈されて、使用溶液を生成し、次いで使用溶液を水系または表面上に提供することができる。本開示では、組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物が適用される場合、組成物/化合物またはその使用溶液のいずれかが適用される。
【0357】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、処理された水系における組成物または化合物の濃度が約1ppm~約1000ppmの濃度であるように、水系の水に添加され得る。他の実施形態では、水系の水中の腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物の量は、約5ppm~約100ppm、約5ppm~約50ppm、約5ppm~約40ppm、約5ppm~約30ppm、約10ppm~約60ppm、約10ppm~約50ppm、約10ppm~約40ppm、約10ppm~約30ppm、約20ppm~約60ppm、約20ppm~約50ppm、約20ppm~約40ppm、または約20ppm~約30ppmの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、約100ppm~約1000ppm、約125ppm~約1000ppm、約250ppm~約1000ppm、または約500ppm~約1000ppmの範囲の量まで水に添加され得る。
【0358】
腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、本明細書に記載の有効量の化合物または組成物でガス流または液体流を処理することなどによって、石油およびガス用途での腐食制御に使用され得る。化合物および組成物は、表面における腐食を防止することが望ましいあらゆる工業で使用され得る。
【0359】
腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、縮合液/油系/ガス系、またはそれらの任意の組み合わせで使用され得る。例えば、腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、熱交換器表面上の腐食制御に使用され得る。腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、原油または天然ガスの生成、輸送、貯蔵、および/または分離で生成または使用されるガスまたは液体に適用され得る。腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、石炭燃焼発電所などの石炭燃焼プロセスで使用または生成されるガス流に適用され得る。
【0360】
腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、廃水プロセス、農場、食肉処理場、埋立地、自治体廃水プラント、コークス用石炭プロセス、またはバイオ燃料プロセスで生成または使用されるガスまたは液体に適用され得る。
【0361】
腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物が導入され得る流体は、水性媒体であり得る。水性媒体は、水、ガス、および任意に液体炭化水素を含み得る。
【0362】
腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物が導入され得る流体は、液体炭化水素であり得る。液体炭化水素は、原油、重油、加工残油、瀝青油、コーカー油、コーカー軽油、流動接触分解供給原料、軽油、ナフサ、流動触媒分解スラリー、ディーゼル燃料、燃料油、ジェット燃料、ガソリン、および灯油が挙げられるが、これらに限定されない任意の種類の液体炭化水素であり得る。流体またはガスは、精製された炭化水素生成物であり得る。
【0363】
腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物で処理される液体またはガスは、周囲温度または高温などの任意の選択された温度であり得る。流体(例えば、液体炭化水素)またはガスは、約40℃~約250℃の温度であり得る。流体またはガスは、約-50℃~約300℃、約0℃~約200℃、約10℃~約100℃、または約20℃~約90°Cの温度であり得る。流体またはガスは、約22°C、約23°C、約24°C、約25°C、約26°C、約27°C、約28°C、約29°C、約30°C、約31°C、約32°C、約33°C、約34°C、約35°C、約36°C、約37°C、約38°C、約39°C、または約40°Cの温度であり得る。流体またはガスは、約85°C、約86°C、約87°C、約88°C、約89°C、約90°C、約91°C、約92°C、約93℃、約94℃、約95℃、約96℃、約97℃、約98℃、約99℃、または約100°Cの温度であり得る。
【0364】
腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、様々なレベルの含水率で流体(または水系)に添加され得る。例えば、含水率は、0%~100%体積/体積(v/v)、1%~80%v/v、または1%~60%v/vであり得る。流体は、様々なレベルの塩分を含有する水性媒体であり得る。流体は、0%~25%、約1%~24%、または約10%~25%重量/重量(w/w)の全溶解固形物(TDS)の塩分を有し得る。
【0365】
腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物が導入される水系の流体もしくはガスまたは水系の水は、多くのタイプの装置に含まれ、かつ/またはそれらに曝露され得る。例えば、流体またはガスは、石油および/またはガスパイプラインなどの、ある点から別の点へ流体またはガスを輸送する装置に収容することができる。装置は、パイプライン、分離容器、脱水装置、またはガスラインなどの石油および/またはガス精製所の一部であり得る。流体は、坑口などの、石油の抽出および/または生成に使用される装置に収容されおよび/またはそれに曝露され得る。装置は、石炭火力発電所の一部であり得る。装置は、スクラバー(例えば、湿式排煙脱硫装置、噴霧乾燥吸収装置、乾燥収着剤注入装置、噴霧塔、接触塔または気泡塔等)であり得る。装置は、貨物船、貯蔵船、貯蔵タンク、またはタンク、船、もしくは処理ユニットを接続するパイプラインであり得る。
【0366】
腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、流体またはガスを通した分散を確実にするための任意の適切な方法によって、水系の流体またはガスに導入され得る。例えば、腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、炭化水素流体が表面に接触する前に、炭化水素流体に添加され得る。
【0367】
腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、腐食制御が望まれる地点から上流のフローラインの地点で添加され得る。例えば、腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、化学注入ポンプ、パイプティー、注入フィッティング、アトマイザー、クイルなどの機械装置を使用して注入され得る。
【0368】
腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、アンビリカルラインを使用して油および/またはガスパイプラインに送り込まれ得る。腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物を選択された流体に送達するためん、毛管注入システムが使用され得る。
【0369】
腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物が導入され得る流体は、水性媒体であり得る。水性媒体は、水、ガス、および任意に液体炭化水素を含み得る。腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物が導入され得る流体は、液体炭化水素であり得る。
【0370】
腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、液体、ならびにいくつかの液体、液体およびガス、液体、固体、およびガスの混合物に導入され得る。腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、水溶液または非水溶液、混合物、またはスラリーとしてガス流に注入され得る。
【0371】
流体またはガスは、腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物を含む吸収塔を通過することができる。
【0372】
腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、流体またはガスに適用されて、任意の選択された濃度を提供することができる。実際には、腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、典型的には、フローラインに添加されて、約0.01ppm~約5,000ppmの腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物の有効処理投入量を提供する。腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、流体またはガスに適用されて、約1百万分率(ppm)~約1,000,000ppm、約1百万分率(ppm)~約100,000ppm、または約10ppm~約75,000ppmの活性濃度を提供することができる。ポリマー塩/組成物を流体に適用して、約100ppm~約10,000ppm、約200ppm~約8,000ppm、または約500ppm~約6,000ppmの活性物質濃度を提供することができる。活性物質濃度は、腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物の濃度を意味する。
【0373】
腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、流体またはガスに適用されて、処理された流体またはガス、例えば、処理された水系中、約0.1ppm、約0.5ppm、約1ppm、約2ppm、約5ppm、約10ppm、約20ppm、約100ppm、約200ppm、約500ppm、または約1,000ppmの活性濃度を提供することができる。腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、流体もしくはガスまたは水系に適用されて、処理された流体、ガス、水系中、約0.125ppm、約0.25ppm、約0.625ppm、約1ppm、約1.25ppm、約2.5ppm、約5ppm、約10ppm、または約20ppmの活性物質濃度を提供することができる。各水系は、その独自の投入量レベル要件を有することができ、微生物またはバイオフィルムの成長速度を十分に低下させるための腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物の有効投入量レベルは、それが使用される水系によって異なり得る。
【0374】
腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、連続的に、バッチで、またはそれらの組み合わせで適用され得る。腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物の投入は、連続的であり得る。腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物の投与は、断続的(例えば、バッチ処理)であり得るか、または連続的/維持かつ/もしくは断続的であり得る。
【0375】
連続処理のための投入速度は典型的には、約10~約500ppm、または約10~約200ppmの範囲である。バッチ処理のための投入速度は典型的には、約10~約400,000ppm、または約10~約20,000ppmの範囲である。腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、パイプラインへの錠剤として適用され、高投入量(例えば、20,000ppm)の組成物を提供することができる。
【0376】
腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物が使用されるフローラインの流量は、約0.1フィート/秒~約1,000フィート/秒、または約0.1フィート/秒~約50フィート/秒であり得る。腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物はまた、フローラインへの添加を促進するために水と配合され得る。
【0377】
水系の表面は、水系の水または水の蒸気に何らかの方法で接触することができる任意の表面であり得る。表面は、原油または天然ガスなどの流体の生成、輸送、貯蔵、および/または分離に使用される坑井または装置の一部であり得る。
【0378】
より具体的には、表面は、石炭燃焼プロセス、廃水プロセス、農場、食肉処理場、埋立地、自治体廃水プラント、コークス用石炭プロセス、またはバイオ燃料プロセスを使用する装置の一部であり得る。好ましくは、表面は、原油または天然ガスの生成に使用される装置の一部であり得る。
【0379】
装置は、パイプライン、貯蔵容器、坑内注入管、フローライン、または注入ラインを含むことができる。
【0380】
腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、外食産業または食品加工工業の容器、加工施設、または装置の腐食を防止するのに有用である。腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、食品包装材料および装置上での使用にとって、特に低温または高温無菌包装にとって特に価値がある。腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物が用いられ得る加工設備の例としては、牛乳ライン酪農、連続醸造システム、ポンプ輸送可能な食品システムおよび飲料ラインなどの食品加工ライン、食器洗浄器、低温食器洗浄器、食器類、ボトル洗浄機、ボトル冷却装置、加温器、第3のシンク洗浄器、タンク、バット、ライン、ポンプ、およびホースなどの加工装置(例えば、牛乳、チーズ、アイスクリーム、および他の乳製品を加工するための乳製品加工装置)、ならびに輸送車両が挙げられる。腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、清涼飲料材料の製造および貯蔵に使用されるタンク、ライン、ポンプ、および他の装置における腐食を抑制するために使用され得、また飲料用の瓶詰めまたは容器にも使用され得る。
【0381】
腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物はまた、他の工業装置の上または中、およびヒーター、冷却塔、ボイラー、レトルト水、すすぎ水、無菌包装洗浄水などの他の工業プロセス流中でも使用され得る。腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、プール、温泉、娯楽用ウォーターシュートおよびウォータースライド、噴水などの娯楽用水中の表面を処理するために使用され得る。
【0382】
腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、清掃および/またはハウスキーピング用途、食品加工装置および/またはプラント用途、ならびに洗濯用途に見られる表面において、洗浄剤と接触した金属表面を処理するために使用され得る。例えば、布地を洗浄するためのトンネル式洗浄機などの洗浄機は、本明細書に開示される方法に従って処理され得る。
【0383】
腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、低温の皿および/または食器洗浄用消毒最終リンス液、便器洗浄剤、および洗濯用漂白剤と組み合わせて使用または適用され得る。腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、腐食源で洗浄および/または消毒された食器などの金属表面を処理するために使用され得る。
【0384】
腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、当業者に一般的に知られている任意の好適な方法で分注され得る。例えば、噴霧型ディスペンサーが使用され得る。噴霧型ディスペンサーは、組成物の一部分を溶解させるために組成物の露出面に水噴霧を衝突させ、次いで直ちに組成物を含む濃縮物溶液をディスペンサーから貯蔵リザーバへ、または使用点に直接向けることによって機能する。
【0385】
腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、水系の水、流体、またはガスに断続的または連続的に浸漬することによって分注され得る。次いで、腐食制御組成物またはジカチオン性もしくはジアニオン性化合物は、例えば、制御された速度または所定の速度で溶解することができる。この速度は、本明細書に開示されている方法に従って使用するのに有効である、溶解した化合物または組成物の濃度を維持するのに有効であり得る。
【0386】
本明細書に開示される腐食制御組成物は、約10重量%~約90重量%の担体、殺生物剤、追加の腐食抑制剤、追加の腐食制御組成物剤、もしくはそれらの組み合わせ、および約10重量%~約90重量%の1つ以上のジカチオン性もしくはジアニオン性化合物、約20重量%~約80重量%の担体、殺生物剤、追加の腐食抑制剤、追加の腐食制御組成物剤、もしくはそれらの組み合わせ、および約20重量%~約80重量%の1つ以上のジカチオン性もしくはジアニオン性化合物、約30重量%~約70重量%の担体、殺生物剤、追加の腐食抑制剤、追加の腐食制御組成物剤、もしくはそれらの組み合わせ、および約30重量%~約70重量%の1つ以上のジカチオン性もしくはジアニオン性化合物、または約40重量%~約60重量%の担体、殺生物剤、追加の腐食抑制剤、追加の腐食制御組成物剤、もしくはそれらの組み合わせ、および約40~約60重量%の1つ以上のジカチオン性もしくはジアニオン性化合物を含むことができる。
【0387】
本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」または「含まない」という用語は、その構成成分を完全に欠くか、または組成物の性能に影響しない程度の少量の構成成分を有する組成物を指す。構成成分は、不純物としてまたは汚染物質として存在してもよく、0.5重量%未満でなければならない。別の実施形態では、構成成分の量は、0.1重量%未満であり、さらに別の実施形態では、構成成分の量は、0.01重量%未満である。
【0388】
用語「重量パーセント(weight percent)」、「重量%(wt-%)」、「重量パーセント(percent by weight)」、「重量%(%by weight)」、およびそれらの変形は、本明細書で使用される場合、その物質の重量を組成物の総重量で除し、100を乗じた物質の濃度を指す。本明細書で使用される場合、「パーセント」、「%」などは、「重量パーセント」、「重量%」などと同義であることが意図されることが理解される。
【実施例】
【0389】
本発明の実施形態を、以下の非限定的な実施例においてさらに定義する。これらの実施例は、本発明の特定の実施形態を示してはいるが、単に例証として付与されることが理解されるべきである。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴を確認し得、その精神および範囲から逸脱することなく、様々な利用法および条件にそれを適合するために本発明の実施形態の様々な変更および修正を行い得る。したがって、本発明の実施形態の様々な修正は、本明細書に図示および説明されるものに加えて、前述の説明から当業者に明らかとなろう。かかる修正もまた、添付の特許請求の範囲の範疇であることが意図される。
【0390】
実施例1
2つの四級基を含有する例示的なジカチオン性化合物を合成するための一般的なスキーム:
本明細書に開示される2つの四級基を含有する例示的なジカチオン性化合物を、一級アミン(1モル)と少なくとも1つの四級基を含有するα,β-不飽和カルボニル化合物(少なくとも2モル)との間のアザマイケル付加反応によって合成した。開示されるジカチオン性界面活性剤の調製のための一般的な合成反応スキームが
図2に示される。
【0391】
図2中、R
11は、R
1またはR
1-Z-(CH
2)
m-であり、R
1は、非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
30アルキル、環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、Zは、NHまたはOであり、R
2は、H、CH
3、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
2~C
10アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、mは、1~4の整数であり、nは、1~20の整数である。
【0392】
図2に示される反応は、80
°Cの水中で実行され得る。この反応の進行は、ESI-MSおよび/またはNMR分光法によってモノマーの消費に関して監視される。反応は典型的には、ジクワット生成物の約98%の収率が得られた時点で停止される。以下の実施例の合成された化合物を、各実施例でさらに詳述されるように実施例の各々で反応物が異なっていたことを除いて、このスキームに従って作製した。
【0393】
実施例2
3,3’-((3,3’-(オクチルアザンジイル)ビス(プロパノイル))ビス(アザンジイル))ビス(N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム)クロリドの合成(I)
本実施例では、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、30グラム、0.10mol)を、オーバーヘッドスターラー、温度プローブ、およびコンデンサーを備えた250mLの三口丸底フラスコ(RBF)に充填した。ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(0.9グラム、10%、0.0005mol)および水(41g)をフラスコに添加した。次いで、よく撹拌された反応混合物にオクチルアミン(7グラム、99%、0.053mol)を少しずつ添加した。得られた懸濁液を80℃で一晩撹拌した。反応が完了すると、懸濁液は、透明な黄色がかった溶液に変わった。ジクワット化合物、3,3’-((3,3’-(オクチルアザンジイル)ビス(プロパノイル))ビス(アザンジイル))ビス(N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム)クロリド(化合物Iと称される)の得られた水溶液(約37重量%)を容器に貯蔵した。質量分析法(+ESI-MS)は、ジカチオン性化合物Iの合成を確認した:計算値[M-2Cl-]2+235.73、実測値235.7241;計算値[M-Cl-]+506.42、実測値506.4182。
【0394】
実施例3
3,3’-((3,3’-(ドデシルアザンジイル)ビス(プロパノイル))ビス(アザンジイル))ビス(N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム)クロリドの合成(II)
本実施例では、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、30グラム、0.10mol)を、オーバーヘッドスターラー、温度プローブ、およびコンデンサーを備えた250mLのRBFに充填した。ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(0.9グラム、10%、0.0005mol)および水(63g)をフラスコに添加した。次いで、よく撹拌された反応混合物にドデシルアミン(10グラム、98%、0.053mol)を少しずつ添加した。得られた懸濁液を80℃で一晩撹拌した。反応が完了すると、懸濁液は、透明な黄色がかった溶液に変わった。ジクワット化合物、3,3’-((3,3’-(ドデシルアザンジイル)ビス(プロパノイル))ビス(アザンジイル))ビス(N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム)クロリド(化合物IIと称される)の得られた水溶液(約31重量%)をそのまま使用した。質量分析法(+ESI-MS)は、ジクワット化合物(II)の合成を確認した:計算値[M-2Cl-]2+263.76、実測値263.7554;計算値[M-Cl-]+562.48、実測値562.4806。
【0395】
実施例4
3,3’-((3,3’-(ヘキサデシルアザンジイル)ビス(プロパノイル))ビス(アザンジイル))ビス(N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム)クロリドの合成(III)
本実施例では、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、41グラム、0.149mol)を、オーバーヘッドスターラー、温度プローブ、およびコンデンサーを備えた250mLのRBFに充填した。ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(0.9グラム、10%、0.0005mol)および水(100g)をフラスコに添加した。次いで、よく撹拌された反応混合物にヘキサデシルアミン(20グラム、90%、0.0745mol)を少しずつ添加した。得られた懸濁液を80℃で一晩撹拌した。反応が完了すると、懸濁液は、透明な黄色がかった溶液に変わった。得られたジクワット化合物、3,3’-((3,3’-(ヘキサデシルアザンジイル)ビス(プロパノイル))ビス(アザンジイル))ビス(N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム)クロリド(化合物IIIと称される)の水溶液(約30重量%)をそのまま使用した。質量分析法(+ESI/MS)は、ジクワット化合物(III)の合成を確認した:計算値[M-2Cl-]2+291.79、実測値291.7870;計算値[M-Cl-]+618.54、実測値618.5439。
【0396】
実施例5
3,3’-((3,3’-(オクチルアザンジイル)ビス(プロパノイル))ビス(アザンジイル))ビス(N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム)クロリドの合成(IV)
本実施例では、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、40グラム、0.145mol)を、オーバーヘッドスターラー、温度プローブ、およびコンデンサーを備えた250mLのRBFに充填した。ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(0.9グラム、10%、0.0005mol)および水(100g)をフラスコに添加した。次いで、よく撹拌された反応混合物にオクタデシルアミン(20グラム、98%、0.072mol)を少しずつ添加した。得られた懸濁液を80℃で一晩撹拌した。反応が完了すると、懸濁液は、透明な黄色がかった溶液に変わった。ジクワット化合物、3,3’-((3,3’-(オクチルアザンジイル)ビス(プロパノイル))ビス(アザンジイル))ビス(N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム)クロリド(化合物IVと称される)の得られた水溶液(約31重量%)をそのまま使用した。質量分析法(+ESI-MS)は、ジクワット化合物IVの合成を確認した:計算値[M-2Cl-]2+305.80、実測値305.8014;計算値[M-Cl-]+646.58、実測値648.5791。
【0397】
実施例6
3,3’-((3,3’-(オクタデカ-9-エン-1-イルアザンジイル)ビス(プロパノイル))ビス(アザンジイル))ビス(N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム)クロリドの合成(V)
本実施例では、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、30グラム、0.109mol)を、オーバーヘッドスターラー、温度プローブ、およびコンデンサーを備えた250mLのRBFに充填した。ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(0.25グラム、10%、0.0001mol)および水(70g)をフラスコに添加した。次いで、よく撹拌された反応混合物にオレイルアミン(15グラム、95%、0.053mol)を少しずつ添加した。得られた懸濁液を80℃で一晩撹拌した。反応が完了すると、懸濁液は、透明な黄色がかった溶液に変わった。ジクワット化合物、3,3’-((3,3’-(オクタデカ-9-エン-1-イルアザンジイル)ビス(プロパノイル))ビス(アザンジイル))ビス(N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム)クロリド(Vと称される)の得られた水溶液(約32重量%)をそのまま使用した。質量分析法(+ESI-MS)は、ジクワット化合物の合成を確認した:計算値[M-2Cl-]2+304.80、実測値304.7949;計算値[M-Cl-]+644.56、実測値644.5596。
【0398】
実施例7
3,3’-((3,3’-((3-オクタデカ-9-エン-1-イルアミノ)プロピル)アザンジイル)ビス(プロパノイル))ビス(アザンジイル))ビス(N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム)クロリドの合成(VI)
本実施例では、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、42グラム、0.152mol)を、オーバーヘッドスターラー、温度プローブ、およびコンデンサーを備えた250mLのRBFに充填した。ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(0.25グラム、10%、0.0001mol)および水(130g)をフラスコに添加した。次いで、よく撹拌された反応混合物にN-オレイルプロパンジアミン(25グラム、99%、0.076mol)を少しずつ添加した。得られた懸濁液を80℃で一晩撹拌した。反応が完了すると、懸濁液は、透明な黄色がかった溶液に変わった。ジクワット化合物、3,3’-((3,3’-((3-オクタデカ-9-エン-1-イルアミノ)プロピル)アザンジイル)ビス(プロパノイル))ビス(アザンジイル))ビス(N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム)クロリド(VIと称される)の得られた水溶液(約28重量%)をそのまま使用した。質量分析法(+ESI/MS)は、ジクワット化合物VIの合成を確認した:計算値[M-2Cl-]2+333.32、実測値333.3238;計算値[M-Cl-]+701.62、実測値701.6173。
【0399】
実施例8
表面張力測定
表面張力測定は、室温でTracker張力計(Teclis Instruments)で行った。異なる濃度の例示的なジカチオン性化合物を有する様々な溶液を調製し、表面張力測定を実施した。例示的なジカチオン性化合物の濃度の関数としての表面張力を測定し、表2に列挙する。
【表2】
【0400】
実施例9
いくつかの例示的なジカチオン性化合物の腐食制御有効性
本実施例では、いくつかの例示的なジカチオン性化合物を、腐食を防止するためのそれらの有効性について試験した。試験された試料を、実施例1に提示された反応に従って作製し、以下の表3に列挙した。各化合物の前駆体一級アミンが列挙され、列挙された試料を生成する他の反応物は、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドである。
【表3】
【0401】
腐食制御の有効性は通常、腐食気泡セル試験によって測定される。気泡試験は、水と油の混合がほとんどまたは全く起こらない低流量領域をシミュレートする。この試験を、80%のブライン(3%塩化ナトリウム)と20%炭化水素(75% LVT-200および25%キシレン)を含有する流体中で実施した。流体をケトルに入れ、二酸化炭素でパージした。ブラインをケトルに入れ、二酸化炭素でパージした。試験を開始する前に、ブラインを二酸化炭素で連続的にパージして、ブラインを飽和させた。試験開始後、電極を挿入する1時間前および試験期間を通して試験セルを二酸化炭素で覆い、飽和を維持した。試験期間にわたってケトルを毎分150回転(rpm)で撹拌して、80℃の熱平衡を維持した。腐食速度は、直線偏光抵抗(LPR)技術によって測定した。使用した作用電極は、1018炭素鋼であった。対電極および参照電極は両方とも、ハステロイであった。試験前に電極を全て洗浄し、研磨した。20ppmの組成物の各々(有機溶媒中の相乗剤として、2ppmの様々なジカチオン性化合物もしくはそれらの塩の各々、または対照のC12~C18アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドおよび1% 2-メルカプトエタノール(2ME)を含有する)が、そのそれぞれのセルに投入される前3時間にわたってデータを収集した。データを一晩収集した。
【0402】
本実施例の対照化合物は、それぞれ一般的に使用されるベンジルアンモニウムクロリド四級化学物質およびイミダゾリン化学物質である。
【0403】
気泡試験の結果は、
図3および表3に示され、ppmは、百万分率であり、CIは、腐食抑制剤であり、mpyは、ミル/年である。0.2ppmの2-メルカプトエタノール(2ME)が、試験した各ジカチオン性化合物または対照と存在していた。
図3は、気泡試験期間(18時間)中の腐食速度をミル/年で示す。空試料に対して、2-メルカプトエタノール(2ME)を添加しなかった。
【表4】
【0404】
本発明はこのように説明されているが、これは多くの方法で変動し得ることは明らかであろう。かかる変動は、本開示の趣旨および範囲からの逸脱とみなされるべきではなく、全てのかかる修正は、以下の特許請求の範囲の範疇内に含まれることが意図される。
【0405】
上記の明細書は、新規化合物、それらの合成および使用、ならびに開示される化合物を含む組成物、製品、または物品の説明を提供する。本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、多くの実施形態が作製され得るため、本発明は、特許請求の範囲に属する。
以下、本発明の実施形態の例を列記する。
[1]
式Iによる化合物であって、
【化1】
式中、
Xが、NHまたはOであり、
R
11
が、R
1
またはR
1
-Z-(CH
2
)
m
-であり、
R
1
が、非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1
~C
30
アルキル、環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、
Zが、NHまたはOであり、
R
2
が、H、CH
3
、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
2
~C
10
アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、
mが、1~4の整数であり、
R
3
が、存在しないか、または非置換の直鎖C
1~C30
アルキレン基であり、
Yが、-NR
4
R
5
R
6
(+)
、またはその塩であり、
R
4
、R
5
、およびR
6
が独立して、C
1
~C
10
アルキル基である、化合物。
[2]
XがNHである、項目1に記載の化合物。
[3]
XがOである、項目1に記載の化合物。
[4]
R
11
がR
1
である、項目1~3のいずれか一項に記載の化合物。
[5]
R
11
が、R
1
-Z-(CH
2
)
m
-である、項目1~3のいずれか一項に記載の化合物。
[6]
R
11
が、R
1
-Z-(CH
2
)
m
-であり、ZがNHである、項目1~3のいずれか一項に記載の化合物。
[7]
R
11
が、R
1
-Z-(CH
2
)
m
-であり、ZがOである、項目1~3のいずれか一項に記載の化合物。
[8]
R
11
が、R
1
-Z-(CH
2
)
m
-であり、ZがNHであり、mが2である、項目1~3のいずれか一項に記載の化合物。
[9]
R
2
がHである、項目1~8のいずれか一項に記載の化合物。
[10]
R
2
がCH
3
である、項目1~8のいずれか一項に記載の化合物。
[11]
Yが、-NR
4
R
5
R
6
(+)
である、項目1~10のいずれか一項に記載の化合物。
[12]
Yが、-NR
4
R
5
R
6(+)
であり、R
4
、R
5
、およびR
6
が独立して、CH
3
である、項目1~10のいずれか一項に記載の化合物。
[13]
Yが、-NR
4
R
5
R
6(+)
であり、R
4
およびR
5
が独立して、CH
3
であり、R
6
が、C
2
~C
12
芳香族アルキルである、項目1~10のいずれか一項に記載の化合物。
[14]
Yが、-NR
4
R
5
R
6(+)
であり、R
4
およびR
5
が独立して、CH
3
であり、R
6
が、-CH
2
-C
6
H
6
である、項目1~13のいずれか一項に記載の化合物。
[15]
Yが、-NR
4
R
5
R
6(+)
であり、Yの対イオンが、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、酢酸塩、アルミン酸塩、シアン酸塩、シアン化物、ニ水素リン酸塩、亜リン酸二水素、ギ酸塩、炭酸塩、炭酸水素、シュウ酸水素、硫酸水素、水酸化物、硝酸塩、亜硝酸塩、チオシアン酸塩、またはそれらの組み合わせである、項目1~14のいずれか一項に記載の化合物。
[16]
R
3
が、CH
2
である、項目1~15のいずれか一項に記載の化合物。
[17]
R
3
が、CH
2
CH
2
またはC(CH
3
)
2
である、項目1~15のいずれか一項に記載の化合物。
[18]
R
3
が、非置換、直鎖、および飽和C
2
~C
10
アルキレン基である、項目1~15のいずれか一項に記載の化合物。
[19]
R
3
が、非置換、直鎖、および不飽和C
2
~C
10
アルキレン基である、項目1~15のいずれか一項に記載の化合物。
[20]
R
1
が、直鎖C
1
~C
30
アルキル、アルケニル、またはアルキニル基である、項目1~19のいずれか一項に記載の化合物。
[21]
R
1
が、分岐鎖C
3
~C
30
アルキル、アルケニル、またはアルキニル基である、項目1~19のいずれか一項に記載の化合物。
[22]
R
1
が、直鎖飽和C
1
~C
30
アルキル基である、項目1~19のいずれか一項に記載の化合物。
[23]
R
1
が、分岐鎖飽和C
1
~C
30
アルキル基である、項目1~19のいずれか一項に記載の化合物。
[24]
R
1
が、1つ以上の二重結合を有する直鎖C
1
~C
30
アルケニル基である、項目1~19のいずれか一項に記載の化合物。
[25]
R
1
が、1つ以上の二重結合を有する分岐鎖C
3
~C
30
アルケニル基である、項目1~19のいずれか一項に記載の化合物。
[26]
R
1
が、1つ以上の三重結合を有する直鎖C
2
~C
30
アルキニル基である、項目1~19のいずれか一項に記載の化合物。
[27]
R
1
が、1つ以上の三重結合を有する分岐鎖C
2
~C
30
アルキニル基である、項目1~19のいずれか一項に記載の化合物。
[28]
R
11
が、直鎖および飽和C
2
~C
20
アルキル基である、項目1~27のいずれか一項に記載の化合物。
[29]
R
11
が、少なくとも1つのトランス二重結合を有するC
2
~C
20
アルケニル基である、項目1~27のいずれか一項に記載の化合物。
[30]
R
11
が、少なくとも1つのシス二重結合を有するC
2
~C
20
アルケニル基である、項目1~27のいずれか一項に記載の化合物。
[31]
R
11
が、R
1
R
1
-NH-CH
2
CH
2
CH
2
基であり、R
1
が、飽和直鎖C
2
~C
20
アルキル、トランスアルケニル、またはシスアルケニル基である、項目1~27のいずれか一項に記載の化合物。
[32]
R
2
が、Hであり、Xが、NHであり、R
3
が、CH
2
CH
2
であり、Yが、CH
2
-N
+
(CH
3
)
3
Cl
-
である、項目1~31のいずれか一項に記載の化合物。
[33]
化合物を合成するための方法であって、
一級アミンを活性化オレフィンと接触させて、項目1~32のいずれか一項に記載の化合物を生成することを含み、
前記一級アミンが、R
11
-NH
2
であり、R
11
が、R
1
またはR
1
-Z-(CH
2
)
m
-であり、
前記活性化オレフィンが、
【化2】
であり、Xが、NHまたはOであり、
R
11
が、R
1
またはR
1
-Z-(CH
2
)
m
-であり、
R
1
が、非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1
~C
30
アルキル、環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、
Zが、NHまたはOであり、
R
2
が、H、CH
3
、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
2
~C
10
アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、
mが、1~4の整数であり、
R
3
が、存在しないか、または非置換の直鎖C
1~C30
アルキレン基であり、
Yが、-NR
4
R
5
R
6(+)
、またはその塩であり、
R
4
、R
5
、およびR
6
が独立して、C
1
~C
10
アルキル基である、方法。
[34]
前記接触ステップが、反応溶媒、反応溶媒およびアルカリ源、反応溶媒および酸、または反応溶媒および触媒の存在下で行われる、項目33に記載の方法。
[35]
前記反応溶媒が、水、メタノール、エタノール、プロパノール、グリコール、PEG、またはそれらの混合物である、項目34に記載の方法。
[36]
前記反応溶媒が、水である、項目34に記載の方法。
[37]
前記接触ステップが、触媒、塩基、またはそれらの組み合わせの存在下で行われる、項目33~36のいずれか一項に記載の方法。
[38]
前記接触ステップが、触媒、塩基、または酸の存在なしで行われる、項目33~36のいずれか一項に記載の方法。
[39]
前記接触ステップが、塩基の存在下で行われる、項目33~36のいずれか一項に記載の方法。
[40]
前記接触ステップが、塩基、酸、または触媒なしで行われる、項目33~36のいずれか一項に記載の方法。
[41]
前記接触ステップが、水酸化物、アルカリ金属水酸化物(alkali metal hydroxide)、アルカリ金属水酸化物(alkaline metal hydroxide)、金属炭酸塩、イミダゾール、ピリジン系塩基、アミジン塩基、グアニジン塩基、またはそれらの組み合わせの存在下で行われる、項目33~37のいずれか一項に記載の方法。
[42]
前記接触ステップが、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドの存在下で行われる、項目33~36のいずれか一項に記載の方法。
[43]
項目1~32のいずれか一項に記載の1つ以上の化合物を含む物品、製品、または組成物。
[44]
前記物品、製品、または組成物が、担体溶媒をさらに含む、項目43に記載の物品、製品、または組成物。
[45]
前記物品、製品、または組成物が、水をさらに含む、項目43又は44に記載の物品、製品、または組成物。
[46]
前記担体溶媒が、水、アルコール、アルキレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテル、またはそれらの組み合わせである、項目43又は44に記載の物品、製品、または組成物。
[47]
前記担体溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、モノエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、またはそれらの組み合わせである、項目43~45のいずれか一項に記載の物品、製品、または組成物。
[48]
前記物品、製品、または組成物が、一次アルカリ源をさらに含み、洗剤組成物である、項目43~47のいずれか一項に記載の物品、製品、または組成物。
[49]
前記一次アルカリ源が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属メタケイ酸塩、アルカノアミン、アミン、またはそれらの混合物である、項目48に記載の物品、製品、または組成物。
[50]
前記一次アルカリ源が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、またはそれらの混合物である、項目48に記載の物品、製品、または組成物。
[51]
前記一次アルカリ源が、アルカリ金属炭酸塩である、項目48に記載の物品、製品、または組成物。
[52]
前記物品、製品、または組成物が、ビルダーをさらに含む、項目48~51のいずれか一項に記載の物品、製品、または組成物。
[53]
前記物品、製品、または組成物が、酵素をさらに含む、項目48~52のいずれか一項に記載の物品、製品、または組成物。
[54]
前記酵素が、プロテアーゼ酵素である、項目53に記載の物品、製品、または組成物。
[55]
前記物品、製品、または組成物が、キレート剤をさらに含む、項目48~54のいずれか一項に記載の物品、製品、または組成物。
[56]
前記キレート剤が、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸-N,N-二酢酸(GLDA)、N-ヒドロキシエチルアミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、N-ヒドロキシエチル-エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)、2-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、イミノジコハク酸(IDS)、3-ヒドロキシ-2-2’-イミノジコハク酸(HIDS)、またはそれらの混合物である、項目55に記載の物品、製品、または組成物。
[57]
前記物品、製品、または組成物が、1つ以上の追加の洗剤組成物剤をさらに含む、項目48~56のいずれか一項に記載の物品、製品、または組成物。
[58]
前記物品、製品、または組成物が、界面活性剤をさらに含む、項目43~57のいずれか一項に記載の物品、製品、または組成物。
[59]
前記界面活性剤が、非イオン性、半非イオン性、カチオン性、アニオン性、両性、双性イオン性、ジェミニ界面活性剤、またはそれらの混合物である、項目58に記載の物品、製品、または組成物。
[60]
前記組成物が、固体、多重使用固体、または多重使用プレス固体組成物である、項目48~59のいずれか一項に記載の物品、製品、または組成物。
[61]
水系中の表面における腐食を抑制するための方法であって、
腐食制御組成物または前記腐食制御組成物の使用溶液を水系中に提供して、処理された水系を生成することか、または前記水系の表面上に提供することを含み、
前記腐食制御組成物が、式I、式II、式IIIのうちの1つによる1つ以上の化合物と、1つ以上の追加の腐食制御組成物剤とを含み、
【化3】
【化4】
【化5】
式中、
Xが、NHまたはOであり、
R
11
が、R
1
またはR
1
-Z-(CH
2
)
m
-であり、
R
1
が、非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
5
~C
30
アルキル、環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、
Zが、NHまたはOであり、
R
2
が、H、CH
3
、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
2
~C
10
アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、
mが、1~4の整数であり、
R
3
が、存在しないか、または非置換の直鎖C
1
~C
30
アルキレン基であり、
Yが、-NR
4
R
5
R
6
(+)
であり、
Y’が、-COOH、-SO
3
H、-PO
3
H、-OSO
3
H、-OPO
3
H、またはそれらの塩であり、
R
4
、R
5
、およびR
6
が独立して、C
1
~C
10
アルキル基であり、
R
2
’が、H、CH
3
、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1
~C
10
アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CH
2
COOH、Y’、または-(CH
2
)
m
-Y’であり、
前記腐食制御組成物が、前記水系中の前記表面上の腐食を緩和する、方法。
[62]
XがNHである、項目61に記載の方法。
[63]
XがOである、項目61に記載の方法。
[64]
R
11
が、R
1
であり、R
1
が、直鎖C
5
~C
30
アルキル、アルケニル、またはアルキニル基である、項目61~63のいずれか一項に記載の方法。
[65]
R
11
が、R
1
-Z-(CH
2
)
m
-またはR
1
-Z-(CH
2
)
2
-であり、Zが、NHであり、R
1
が、直鎖C
5
~C
30
アルキル、アルケニル、またはアルキニル基である、項目61~63のいずれか一項に記載の方法。
[66]
R
11
が、R
1
-Z-(CH
2
)
m
-であり、Zが、Oであり、R
1
が、直鎖C
5
~C
30
アルキル、アルケニル、またはアルキニル基である、項目61~63のいずれか一項に記載の方法。
[67]
R
2
が、HまたはCH
3
である、項目61~66のいずれか一項に記載の方法。
[68]
Yが、-NR
4
R
5
R
6(+)
、N(CH
3
)
3
+
、N(CH
3
)
2
R
6
+
であり、R
6
が、C
2
~C
12
アルキル、アリール、または-CH
2
~C
6
H
6
である、項目61~67のいずれか一項に記載の方法。
[69]
R
3
が、CH
2
、CH
2
CH
2
、またはC(CH
3
)
2
、非置換および直鎖C
2
~C
10
アルキレン基である、項目61~68のいずれか一項に記載の方法。
[70]
R
11
が、少なくとも1つのトランスまたはシス二重結合を有するC
6
~C
20
アルケニル基である、項目61~69のいずれか一項に記載の方法。
[71]
前記腐食制御組成物剤が、担体であり、前記担体が、水、有機溶媒、またはそれらの混合物である、項目61~70のいずれか一項に記載の方法。
[72]
前記腐食制御組成物剤が、担体および1つ以上の追加の腐食抑制剤である、項目61~71のいずれか一項に記載の方法。
[73]
前記腐食制御組成物剤が、殺生物剤であり、前記殺生物剤が、塩素、次亜塩素酸塩、ClO
2
、臭化物、オゾン、過酸化水素、過酢酸、ペルオキシ硫酸、ペルオキシカルボン酸組成物、グルタルアルデヒド、ジブロモニトリロプロピオンアミド、イソチアゾロン、テルブチラジン、高分子ビグアニド、メチレンビスチオシアネート、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウムサルフェート、またはそれらの任意の組み合わせである、項目61~72のいずれか一項に記載の方法。
[74]
前記腐食制御組成物剤が、酸であり、前記腐食制御組成物が、約1重量%~約20重量%の前記酸を含み、前記酸が、塩酸、フッ化水素酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、またはそれらの混合物である、項目61~73のいずれか一項に記載の方法。
[75]
前記腐食制御組成物剤が、界面活性剤である、項目61~74のいずれか一項に記載の方法。
[76]
前記腐食制御組成物剤が、スケール抑制剤、ガスハイドレート抑制剤、pH調整剤、またはそれらの任意の組み合わせである、項目61~75のいずれか一項に記載の方法。
[77]
前記腐食制御組成物剤が、エマルジョン破壊剤、逆エマルジョン破壊剤、汚損制御剤、凝固剤/凝集剤、乳化剤(emulsifier)、水浄化剤、分散剤、酸化防止剤、ポリマー分解防止剤、浸透性調整剤、発泡剤、消泡剤、乳化剤(emulsifying agent)、CO
2
および/またはO
2
の捕捉剤、ゲル化剤、潤滑剤、摩擦低減剤、塩、またはそれらの混合物である、項目61~76のいずれか一項に記載の方法。
[78]
前記腐食制御組成物が、液体、ゲル、または液体/ゲルおよび固体を含む混合物である、項目61~77のいずれか一項に記載の方法。
[79]
前記腐食制御組成物またはその使用溶液が、約1~約11のpHを有する、項目61~78のいずれか一項に記載の方法。
[80]
前記腐食制御組成物が、前記組成物の約10重量%~約80重量%を構成する、項目61~79のいずれか一項に記載の方法。
[81]
前記化合物が、前記処理された水系中で約1ppm~約1000ppmの濃度を有する、項目61~80のいずれか一項に記載の方法。
[82]
前記水系が、淡水、プロセス水、塩水、地表水、随伴水、油、炭化水素、固体、またはそれらの混合物を含む、項目61~81のいずれか一項に記載の方法。
[83]
前記水系が、冷却水系、ボイラー水系、石油およびガス操業における水系、石油坑、ダウンホール形成、地熱井、鉱物洗浄、浮選および慈善、製紙、ガススクラバ、エアウォッシャ、冶金工業の連続鋳造プロセス、空調および冷蔵、水の再生利用、浄水、膜濾過、食品加工、浄化器、都市下水処理、都市水処理、または飲料水系である、項目61~82のいずれか一項に記載の方法。
[84]
式I、式II、式IIIのうちの1つによる1つ以上の化合物と、1つ以上の追加の腐食制御組成物剤とを含む、腐食制御組成物であって、
【化6】
【化7】
【化8】
式中、
Xが、NHまたはOであり、
R
11
が、R
1
またはR
1
-Z-(CH
2
)
m
-であり、
R
1
が、非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
5
~C
30
アルキル、環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、
Zが、NHまたはOであり、
R
2
が、H、CH
3
、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
2
~C
10
アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、
mが、1~4の整数であり、
R
3
が、存在しないか、または非置換の直鎖C
1~C30
アルキレン基であり、
Yが、-NR
4
R
5
R
6
(+)
であり、
Y’が、-COOH、-SO
3
H、-PO
3
H、-OSO
3
H、-OPO
3
H、またはそれらの塩であり、
R
4
、R
5
、およびR
6
が独立して、C
1
~C
10
アルキル基であり、
R
2
’が、H、CH
3
、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1
~C
10
アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CH
2
COOH、Y’、または-(CH
2
)
m
-Y’であり、
前記腐食制御組成物が、前記水系中の前記表面の腐食を緩和する、腐食制御組成物。