(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】金属材料の冷却のための冷却装置の使用
(51)【国際特許分類】
B21B 45/02 20060101AFI20220517BHJP
【FI】
B21B45/02 320C
B21B45/02 320F
B21B45/02 320S
(21)【出願番号】P 2020555900
(86)(22)【出願日】2019-04-01
(86)【国際出願番号】 EP2019058124
(87)【国際公開番号】W WO2019197182
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】102018205619.6
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102018211177.4
(32)【優先日】2018-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【氏名又は名称】鈴木 友子
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】グローセ・ローデマン・フレデリク
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-149954(JP,U)
【文献】米国特許第06062056(US,A)
【文献】特表2016-515474(JP,A)
【文献】特表2010-527797(JP,A)
【文献】国際公開第2015/113832(WO,A1)
【文献】実開昭61-002443(JP,U)
【文献】特開2004-034109(JP,A)
【文献】特開平05-228525(JP,A)
【文献】国際公開第2018/197100(WO,A2)
【文献】中国特許出願公開第109092913(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 45/00-45/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料(200)の冷却のための冷却装置(100)の使用であって、この冷却装置が、
冷却剤によっての前記金属材料の作用のための複数の冷却剤作用要素(112)を有する、少なくとも1つの冷却ビーム(110)を有し、
その際、それぞれの前記冷却剤作用要素が、前記冷却剤の流出のために、横断面積(112′)を備える流出開口部を有し、
その際、前記冷却ビーム(110)の幅方向(y)における、前記冷却剤作用要素(112)の前記流出開口部の前記横断面積(112′)の密度が、前記金属材料(200)の温度分布の勾配(δ)の値に応じて、前記冷却ビーム(110)の下への走入の前に、この金属材料の幅(y)にわたって分布および量定されており、および、前記温度がこの幅方向において上昇する場合に増大し、
またはその逆に、前記温度がこの幅方向において降下する場合に減少し;
その際、前記冷却剤作用要素(112)の前記流出開口部の前記横断面積(112′)の前記密度が、前記冷却ビーム(110)の幅方向yに対して投影された、隣接する2つの冷却剤作用要素の間の間隔aによって表されており;
前記冷却剤作用要素(112)が、それぞれに、円形の横断面積と円筒形の噴射流とを有する噴射ノズルであり;
第1の噴射ノズルが、半径r1を有する横断面積を、および、この第1の噴射ノズルに隣接する第2の噴射ノズルが、半径r2を有する横断面積を有しており;および、
前記温度分布の前記勾配の前記値がゼロである幅領域内において、前記第1の噴射ノズルと前記第2の噴射ノズルの間の、前記冷却ビームの前記幅方向に対して投影された前記間隔aに関して、
a=r1+r2
の数式が成り立ち、
且つ、冷却剤作用によって生成される冷却剤軌跡(114)が、冷却されるべき前記金属材料の上で、軸線方向の間隔無しに、密に互いに隣接し、および、
前記金属材料(200)の前記温度が、前記冷却ビーム(110)の縁部へと降下する場合に、前記冷却ビームの幅方向yにおける、隣接する2つの冷却剤作用要素の間のこの投影された間隔aが、この冷却ビームの縁部へと増大され
、且つ、前記冷却剤軌跡(114)が、互いに離間されて位置し;または、
前記金属材料(200)の前記温度が、前記冷却ビーム(110)の縁部へと上昇する場合に、前記冷却ビーム(110)の幅方向yにおける、隣接する2つの冷却剤作用要素(112)の間のこの投影された間隔aが、この冷却ビーム(110)の縁部へと減少され
、且つ、前記冷却剤軌跡(114)が、オーバーラップすること、
を特徴とする上記冷却装置(100)の使用。
【請求項2】
前記冷却剤のためのタンク(130);
少なくとも1つの弁(150)を介しての、前記冷却ビーム内または前記冷却ビームの個々のチャンバー内への前記冷却剤のポンピングのためのポンプ(140);および、
前記冷却ビームまたはこの冷却ビームのチャンバー内における、前記冷却剤の所望された圧力または容積流量を考慮しての、前記弁(150)の個々の制御のための制御装置(160)、
を有することを特徴とする
請求項1に記載の冷却装置(100)の使用。
【請求項3】
請求項1または2により使用される冷却装置(100)のための、冷却ビーム(110)の製造または選択のための方法であって、この方法が以下のステップ:即ち、
前記冷却ビーム(110)の下への走入の前の、前記金属材料の幅方向yにわたっての、冷却されるべき前記金属材料(200)の前記温度分布T(y)の検出;
前記温度分布の前記勾配の評価による、その材料内において前記温度が上昇する、一定に維持するまたは降下する、該材料(200)の幅部分Δyを考慮しての、前記温度分布T(y)の評価;
前記勾配の前記値の検出;および、
その冷却ビームにおいて、前記冷却ビーム(110)の幅方向yにおける、前記冷却剤作用要素の前記流出開口部の前記横断面積(112′)の前記密度が、前記金属材料の前記温度の前記分布の前記勾配の前記値に応じて、前記冷却ビーム(110)の下への走入の前に、この金属材料の幅にわたって分布および量定されている、
前記冷却装置(100)のためのそのような冷却ビーム(110)の製造または選択;
のステップを有しており、
その際、前記冷却剤作用要素(112)の前記流出開口部の前記横断面積(112′)の前記密度が、前記冷却ビーム(110)の幅方向yに対して投影された、隣接する2つの冷却剤作用要素の間の間隔aによって表されており;および、
前記金属材料(200)の前記温度が、前記冷却ビーム(110)の縁部へと降下する場合に、前記冷却ビームの幅方向yにおける、隣接する2つの冷却剤作用要素の間のこの投影された間隔aが、この冷却ビームの縁部へと増大され;または、
前記金属材料(200)の前記温度が、前記冷却ビーム(110)の縁部へと上昇する場合に、前記冷却ビーム(110)の幅方向yにおける、隣接する2つの冷却剤作用要素(112)の間のこの投影された間隔aが、この冷却ビーム(110)の縁部へと減少されること、
を特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に金属材料の圧延の後の、金属材料の冷却のための冷却装置の使用に関する。更に、本発明は、この様式の冷却装置のための冷却ビームの、製造または選択のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この様式の冷却装置の使用、並びに、冷却ビームの製造のための方法は、従来技術内において基本的に公知である。
【0003】
特許文献1は、従って、2元的な解決の手がかりを開示しており、この2元的な解決の手がかりにおいて、金属材料の縁部における幅方向マスキングの配置によって、縁部領域内における金属材料の過冷却が、冷却剤捕捉容器との関連において補整される。
【0004】
特許文献2は、同様に、特に金属材料の縁部における、不均等な温度分布の減少のための1つの解決の手がかりを開示している。同様にここでも、これら縁部のカバーのためのマスクが配置されており、その際、これらマスクは、しかも、幅方向に移動可能もしくは調節可能であり、且つ、冷却剤の同様にある程度の量を、冷却されるべき材料の縁部に通過させる。
【0005】
特許文献3は、個々に冷却剤によって作用され得る複数のチャンバーを有する冷却ビームを開示している。従って、ノズルビームの幅にわたって、冷却剤のための異なる圧力または容積流量が調節可能である。
特に、冷却剤の圧力または容積流量分布は、冷却ビームの幅にわたって、冷却装置の走入側における金属材料の幅にわたっての温度の実際上の経過に対して適合され得る。幅方向における、冷却ビームの噴射ノズルの一定な密度分布の際に、従って、特に直線状の冷却剤容積流動が、この冷却ビームの幅にわたって調節可能である。このことは、幅にわたって直線状の温度分布のために有効かもしれない。
【0006】
冷却されるべき金属材料もしくは冷却ビームの幅にわたっての実際上の温度分布の経過は、しかしながら、通常は純粋に直線状にではなく、むしろ、しばしば、むしろ累減的または累増的に経過する。
これらの場合、冷却ビームの個々の幅部分内における特許文献3内において開示された冷却剤の直線状の分布は、予め与えられた温度プロファイルの補償における所望されたより大きな精確性を考慮して好適ではない。特に、このことは、時として、金属材料の縁部の所望されない過冷却を誘起可能である。
特許文献4は、金属材料の冷却のための冷却装置を開示しており、この冷却装置が、
冷却剤によっての前記金属材料の作用のための複数の冷却剤作用要素を有する、少なくとも1つの冷却ビームを有し、
それぞれの前記冷却剤作用要素が、前記冷却剤の流出のために、横断面積を備える流出開口部を有し、
その際、前記冷却ビームの幅方向における、前記冷却剤作用要素の前記流出開口部の前記横断面積の密度が、前記金属材料の温度分布の勾配の値に応じて、前記冷却ビームの下への走入の前に、この金属材料の幅にわたって分布および量定されている。
前記横断面積の前記密度は、一定に、この幅にわたって、金属材料の温度分布に相応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際出願公開第2016/189903 A1号パンフレット
【文献】ヨーロッパ特許第2 155 411 B1号明細書
【文献】ヨーロッパ特許第2 986 400 B1号明細書
【文献】国際出願公開第2015/113832 A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この公知技術を出発点として、本発明の根底をなす課題は、
冷却装置の公知の使用、並びに、この冷却装置の製造のための公知の方法を、金属材料に対するこの冷却装置によって生成される冷却作用が、より良好に、実際的な走入-温度分布に対して適合され得る、という趣旨で改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、使用に関して、請求項1によって解決される。
【発明の効果】
【0010】
概念「横断面積の密度」は、本願の説明の範囲内において、冷却ビームの面積単位当たりの、冷却剤作用要素の流出開口部の横断面積の合計を意味する。
簡略的に表現すれば、この密度は、冷却ビームにおける面積単位に対する、冷却剤のための流出面積の比率を意味する。
冷却剤作用要素における流出開口部の横断面積に対して選択的に、概念「横断面積」が、同様に冷却されるべき材料の上での噴霧スポットの横断面積も意味する。
【0011】
その金属材料の幅にわたっての、該金属材料の温度分布の勾配の値に応じた、もしくは、相応する、横断面積の密度の請求された分布によって、冷却能力を、-一定の冷却剤容積流量または冷却剤圧力によっての同様に金属材料の作用の際にも-極めて遥かにより精確に、金属材料内における実際上の温度状況に対して適合させることは可能である。特に、同様に累増的または累減的な温度経過も、極めて精確に補償もしくは冷却され得る。
温度が、例えば、金属材料の縁部へと降下する場合、勾配が、これら縁部へと益々より大きくなり、且つ、それに応じて、冷却剤作用要素の流出開口部の横断面積の密度は、減少されるべきである。
温度が、金属材料の縁部へと、例えば上昇する場合、その場合に、より強度な冷却を必要とし、このことは、相応する幅領域内における作用要素の冷却剤流出面積が増大されることによって達成される。
【0012】
第1の実施例に従い、冷却剤作用要素の流出開口部の横断面積の密度が、冷却ビームの幅方向に対して投影された、隣接する2つの冷却剤作用要素の間の間隔によって表されること、もしくは、表され得ることは確認される。
具体的に、金属材料の温度が、冷却ビームの縁部へと降下する場合に、冷却ビームの幅方向における、この投影されたこの間隔が、この冷却ビームの縁部へと増大されることは提案される。この温度の降下に基づいて、その場合に、この幅領域内において、より少ない冷却能力が必要であり、このことは、個々の、特に隣接するノズルの間の、投影された間隔が増大されることによって達成される。
このことは、冷却剤作用要素の流出開口部の横断面積の密度の減少と同意である。
【0013】
本発明の基本的な理解のために、勾配の値がゼロである場合、即ち幅方向における温度分布が一定である場合、流出開口部の横断面積の密度と、勾配の値との間の請求された依存性にもかかわらず、横断面積の密度は、決してゼロになるべきでないことを理解することは重要である。
典型的に、その場合に、同様に幅方向における流出開口部の横断面積の密度も、相応する幅部分にわたって一定であり、しかしながら、典型的に、ゼロと等しくなく、より精確に言うと、ゼロよりも大きい。
【0014】
既に上述されているように、本発明は、冷却ビームの幅にわたっての、冷却剤の一定の容積流量もしくは一定の圧力によっての、同様に冷却されるべき材料の作用の際にも、実際の温度経過に対する、冷却能力の上述の精確な適合が、既に単独に、それら冷却剤作用要素のそれぞれの横断面積を有する、該冷却剤作用要素の相応する請求された密度分布によって達成され得ることの利点を提供する。
この上述のことを、幅方向における冷却剤と冷却能力との分布を実際的な温度分布に対して適合するために、流出開口部の横断面積の密度の請求された利点と並んで、同様に付加的に個々の幅領域内における冷却剤の容積流量または圧力も異なって調節され得ることは、阻害しない。
【0015】
冷却ビームが、この目的のために、有利には複数の個々の冷却チャンバーを有して形成されていることは可能であり、これら冷却チャンバーが、相応して異なって、冷却剤によって作用される。このことは、典型的に、個々のチャンバーに所属して設けられた弁を介して行われ、これら弁が、制御装置によって、相応して個々に制御される。
【0016】
本発明の更なる有利な実施形態は、従属請求項の対象である。
【0017】
本発明の上述された課題は、更に、請求項5に従い、先行する請求項の内の1つの請求項による冷却装置のための冷却ビームの製造または選択のための方法によって解決される。
【0018】
冷却装置の請求されたこの選択は、使用者が、複数の異なる冷却装置を在庫しており、且つ、この使用者が、所定の使用状況のために、それぞれに1つの適当な冷却装置を選択するべき場合に関係する。
【0019】
請求された方法の利点は、上記、請求された冷却装置に関して言及された利点に相応する。
【0020】
本発明に、3つの図面が添付されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1の実施例に従う、冷却剤作用要素の流出開口部の横断面積の密度分布を有する、本発明に従う冷却装置100の図である。
【
図2】第2の実施例に従う、横断面積の密度の分布を有する冷却ビームを備える、本発明に従う冷却装置の図である。
【
図3】第3の実施例に従う、流出開口部の横断面積の密度の分布を有する冷却ビームを備える、冷却装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を、以下で、実施例の様式における上述された図に基づいて、詳細に説明する。全ての図内において、同じ技術的な要素は、同じ参照符号でもって、示されている。
【0023】
図1は、中央において、
図1の下方の部分図内において示されているような、金属材料200の冷却のための本発明に従う冷却装置100を示している。この冷却装置100は、複数の冷却剤作用要素112を有する、少なくとも1つの冷却ビーム110を備えている。その際、ここで扱われるのは、噴射ノズル、スリット、または、冷却剤のための相応する流出開口部を有するU字形の管体である。
冷却ビーム110の内側の、
図1内において示された点もしくは小さな円は、それぞれに、これら冷却剤作用要素112を表している。これら冷却剤作用要素112の周囲を回る、同心的な円は、これら冷却剤作用要素112の流出開口部の、それぞれの横断面積112′を図案化している。
冷却ビーム110は、ポンプ140を用いて冷却剤によって作用され、この冷却剤が、このポンプ140を用いて、タンク130から冷却ビーム内へとポンピングされる。冷却剤のこのポンピングは、弁150を介して行われ、この弁が、有利にはポンプ140と全く同様に、制御装置160によって、個々に制御される。
図1内において示された実施例において、冷却ビームは、冷却剤のための単に1つのチャンバーを形成し;且つ、それに応じて、全ての冷却剤作用要素112は、この冷却ビームの全幅にわたって、冷却剤の同じ圧力または同じ容積流量によって作用される。
【0024】
冷却剤作用要素112は、
図1内において、冷却ビーム110の下側において、幅方向において平行な列の様式で配置されている。1つの実施例に従い、このことがそのようであることは可能であり;且つ、この列配置は、しかしながら決して強制的ではない。選択的に、これら冷却剤作用要素112が、同様に適宜に、冷却ビームの下側において、分布されて配置されていることも可能である。
これら冷却剤作用要素112が、複数の平行な列内において配置されているべきであることは、同様に必要でなく;且つ、例えば、これら冷却剤作用要素が、同様に、幅方向において単に1つの列内において、相並んで配置されていることも可能である。
同様に、例えば、これら冷却剤作用要素112の個々の冷却剤作用要素が、例えばy方向において位置ずれされて配置されていることも可能である。本発明の趣旨において、単に、冷却ビーム110の幅方向yにおける、横断面積の密度の分布が重要なだけである。幅方向において離間された、2つの冷却剤作用要素の間の間隔、もしくは、これら冷却剤作用要素の相応する横断面積の間の間隔は、
図1内において、間隔aでもって示されている。
【0025】
図1内において示された、第1の実施例において、冷却剤作用要素112の流出開口部の横断面積112′の密度は、冷却ビーム110の幅方向yにおいて、均等分布されている。この均等分布は、本発明に従い、
図1内において冷却ビーム110にわたって示された、この金属材料の幅yにわたっての、金属材料の均等分布された温度によって条件付けられている。
この温度は、ここで、例示的に、T0の値であり、且つ、この金属材料の全幅にわたって一定であり、即ち、温度分布(T-分布)の勾配δが、ここでゼロである。この場合に、冷却ビームの全幅にわたって、同じ冷却能力が必要であり、この冷却能力は、しかしながらゼロと等しくなく、より精確に言うと、ゼロよりも大きいべきである。このことは、冷却剤作用要素の流出開口部の横断面積の、上述された均等分布によって実現される。
帰結において、このことは、そのことが
図1の下方の図内において示されているように、冷却剤作用によって生成される冷却剤軌跡が、冷却されるべき金属材料の上で、有利には軸線方向の間隔無しに、密に互いに隣接していることを意味する。
【0026】
冷却ビーム110における、冷却剤作用要素112の流出開口部の横断面積112′が、全て同じ大きさであることは可能であるが、しかしながら、必要ではないことは、一般的に言えることである。従って、冷却剤作用要素112として、それぞれに噴射ノズルが円筒形の冷却剤噴射流を備えられていることは可能であり、その際、そのことが
図1内においてこの
図1の詳細図内において示されているように、これら冷却剤作用要素112の流出開口部の横断面積112′が、互いに接触する。
一定の温度分布、および、横断面積112′の一定の密度分布の際に、それぞれに同じ横断面積を有する噴射ノズルの使用が推奨され;且つ、これら噴射ノズルの半径r1およびr2は、同じ大きさに量定されている。基本的に、しかしながら同様に、横断面積を異なる大きさで、特にその場合に異なる大きさの半径r1およびr2を有して、選択することの可能性も存在する。
【0027】
本発明に従う冷却ビームは、それぞれに個々に、冷却装置内への走入前に、金属材料の予め与えられた温度分布を考慮して、製造または選択される。異なる温度分布は、冷却剤作用要素の流出開口部の横断面積の、異なる密度分布を必要とする。
製造のために、本発明に従う、以下のステップが実施されるべきである:即ち、
【0028】
先ず第一に、冷却されるべき金属材料の温度分布が、この冷却されるべき金属材料の幅にわたって、冷却ビーム110の下への走入の前に、検出(ermittelt)される。
この検出された温度分布は、次いで、その幅部分内において温度が上昇する、一定に維持する、または、降下する該幅部分Δyを考慮して、評価されるべきである。
この評価は、温度分布の勾配の評価もしくは検出によって行われる。
本発明の趣旨において、この温度分布は、温度と、金属材料もしくは冷却ビームの幅方向との間の、関数的な関係として理解され、その際、この関数的な関係が、幅方向における個々の温度測定値の補間によって、検出され得る。
【0029】
本発明のために、勾配の符号は意義が無く;且つ、それ故に、それぞれに、勾配の値は、幅方向における個々の位置もしくは点において検出され得る。本発明に従う冷却ビームは、その場合に、冷却ビームの幅方向における、流出開口部の横断面積の密度、即ち、冷却剤作用要素の冷却剤流出面積の密度が、金属材料の温度分布の勾配の値に応じて、冷却ビームの下への走入の前に、この金属材料の幅にわたって分布および量定されているように、幅方向において、冷却剤作用要素を備えるべきである。
金属材料の縁部への温度の上昇の際に、同様に、流出開口部の横断面積の密度も増大されるべきである。何故ならば、その場合に、縁部領域内において、より多くの冷却能力が必要であるからである。逆に、金属材料の縁部への温度の降下の際に、より少ない冷却能力が必要であり、且つ、それ故に、そこで、横断面積の密度は、その場合に、金属材料もしくは冷却ビームの中央領域内におけるよりも小さく量定されるべきである。
【0030】
図2は、本発明の第2の実施例を示している。
図1内において示された第1の実施例とは、冷却ビーム110の幅方向における、冷却剤作用要素112の流出開口部の横断面積112′の密度が、この冷却ビームもしくは金属材料の縁部へと減少することにおいて異なっている。
それに応じて、この実施例において、金属材料の縁部は、この金属材料の中央領域よりもより少ない強度で冷却される。このことは、
図2の上方の部分図内において示されている温度分布のせいであり、温度分布が縁部へと降下することが認識可能である。温度分布に対する接線の勾配は、そこで、δでもって表示されている。
【0031】
冷却ビームの縁部領域内における、横断面積の減少された密度は、この第2の実施例において、冷却されるべき金属材料の上での、冷却剤作用によって生成された冷却剤軌跡114の間の間隔が、縁部へとより大きくなることによって実現される。特に、これら間隔a、a1、a2、a3が、ゼロよりも大きいことは可能であり、即ち、これら冷却剤軌跡が、直接的に隣接している、および、互いに密である必要はなく、むしろ、互いに離間されて位置している。
【0032】
金属ストリップ200の縁部への、温度の増大する降下に基づいて、同様に、間隔a、a1、a2、a3も、縁部へと益々より大きくなる。
【0033】
図3は、本発明の第3の実施例を示しており、その際、冷却ビーム110の幅方向における、冷却剤作用要素112の流出開口部の横断面積112′の密度が、増大している。このことは、簡略的に、縁部領域内において、より多くの冷却剤作用要素、もしくは、より大きな冷却剤流出面積を有する冷却剤作用要素が配置されていることを意味する。
このことによって、そのことが
図3の下方の部分図内において図示されているように、個々の冷却剤作用要素、もしくは、これら冷却剤作用要素の冷却剤噴射流によって、冷却されるべき金属材料200の上で誘起された冷却剤軌跡114は、縁部へと増大してオーバーラップ可能である。間隔a、a1、a2、a3は、それ故に、縁部へと益々より小さくなる。
冷却剤作用要素の、もしくは、これら冷却剤作用要素の横断面積の上述されたこの密度分布は、
図3の上方の図内において示された温度分布のせいである。この第3の実施例において、温度は、金属材料200の中央領域に対して、これら縁部へと上昇する。温度分布の勾配は、同様に、ここで、再びδでもって表示されている。
【符号の説明】
【0034】
100 冷却装置
110 冷却ビーム
112 冷却剤作用要素
112´ 冷却剤作用要素の流出開口部の横断面積
114 冷却剤軌跡
130 冷却剤のためのタンク
140 ポンプ
150 弁
160 制御装置
200 冷却されるべき金属材料
a、a1、a2、a3 間隔
r1、r2 冷却剤作用要素の流出開口部の横断面積の半径
T 温度
x 金属材料の質量流方向もしくは輸送方向
y 冷却ビームおよび金属材料の幅方向
δ 温度分布に対する接線の勾配δ