(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】伝熱管ブロック、排熱回収ボイラ、及び、排熱回収ボイラの施工方法
(51)【国際特許分類】
F22B 37/24 20060101AFI20220517BHJP
【FI】
F22B37/24 Z
(21)【出願番号】P 2020558079
(86)(22)【出願日】2019-07-19
(86)【国際出願番号】 JP2019028493
(87)【国際公開番号】W WO2020110365
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】201811453202.6
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野副 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】竹中 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】井野 辰夫
(72)【発明者】
【氏名】雪岡 敦史
(72)【発明者】
【氏名】山本 修示
(72)【発明者】
【氏名】田中 寿典
(72)【発明者】
【氏名】中村 僚
(72)【発明者】
【氏名】張 皓
(72)【発明者】
【氏名】方 偉
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-036014(JP,A)
【文献】特開平05-306802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 37/00,37/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に複数積み重ねて互いに接続する伝熱管ブロックであって、
ダストを含んだ排ガスが内部を上下方向に流れるダクトケースと、
前記ダクトケースの内部に位置し水平方向に延びる伝熱管と、
前記伝熱管の入口に接続された入口ヘッダと、
前記伝熱管の出口に接続された出口ヘッダと、
上端部分に加えられた振動を前記伝熱管に伝えることで前記伝熱管に堆積したダストを落とす振動伝達部材と、を備え、
前記ダクトケースは、下端が水平に形成されており、
前記入口ヘッダは、前記ダクトケースの下端よりも上方に位置しており、
前記出口ヘッダは、前記ダクトケースの下端よりも上方に位置している、伝熱管ブロック。
【請求項2】
前記振動伝達部材は上端部分が前記ダクトケースの外側に突出している、請求項1に記載の伝熱管ブロック。
【請求項3】
前記ダクトケースは、外面が内側に窪んだ下凹部を有しており、
前記下凹部は、前記振動伝達部材の下方に位置するとともに、下方及び水平方向外方に開放するように形成されている、請求項1又は2に記載の伝熱管ブロック。
【請求項4】
前記入口ヘッダは、前記ダクトケースの上端よりも下方に位置しており、
前記出口ヘッダは、前記ダクトケースの上端よりも下方に位置している、請求項1乃至3のうちいずれか一の項に記載の伝熱管ブロック。
【請求項5】
前記ダクトケースは前記伝熱管の下方に位置する空洞部を有し、
前記入口ヘッダは前記空洞部に対応する位置に配置されている、請求項1乃至4のうちいずれか一の項に記載の伝熱管ブロック。
【請求項6】
前記ダクトケースは前記伝熱管の下方に位置する空洞部を有し、
前記下凹部は前記空洞部に対応する位置に形成されている、請求項3に記載の伝熱管ブロック。
【請求項7】
前記ダクトケースは、外面が内側に窪んだ上凹部を有しており、
前記上凹部は、上方及び水平方向外方に開放するように形成されており、
前記振動伝達部材の上端部分は前記上凹部で画された領域に位置している、請求項1乃至6のうちいずれか一の項に記載の伝熱管ブロック。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちいずれか一の項に記載の伝熱管ブロックを複数備え、
前記複数の伝熱管ブロックが上下方向に積み重ねられて互いに接続されている、排熱回収ボイラ。
【請求項9】
請求項1乃至7のうちいずれか一の項に記載の伝熱管ブロックを上下方向に複数積み重ねて互いに接続する工程を含む、排熱回収ボイラの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排熱回収ボイラの一部を構成する伝熱管ブロック、排熱回収ボイラ、及び、排熱回収ボイラの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
排熱回収ボイラを施工するにあたり、排熱回収ボイラを複数のブロックに分け、各ブロックを工場で製造した後、各ブロックを施工現場へ搬送して組み立てる方法が知られている(例えば、下記の特許文献1参照)。このように排熱回収ボイラをブロック化すれば、施工現場での作業が減り、排熱回収ボイラを速やかに完成させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排熱回収ボイラをブロック化するにあたり、各ブロックをいかに構成するかは、搬送作業及び組立作業の効率に大きく影響する。特に構造が複雑な伝熱管周辺をいかにブロック化するかは非常に重要である。本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、搬送作業及び組立作業を効率よく行うことが可能な伝熱管ブロックを提供することを目的とする。また、効率のよい施工が行える排熱回収ボイラを提供すること、及び、排熱回収ボイラの施工を効率よく行うことができる排熱ボイラの施工方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る伝熱管ブロックは、上下方向に複数積み重ねて互いに接続する伝熱管ブロックであって、ダストを含んだ排ガスが内部を上下方向に流れるダクトケースと、前記ダクトケースの内部に位置し水平方向に延びる伝熱管と、前記伝熱管の入口に接続された入口ヘッダと、前記伝熱管の出口に接続された出口ヘッダと、前記上端部分に加えられた振動を前記伝熱管に伝えることで前記伝熱管に堆積したダストを落とす振動伝達部材と、を備え、前記ダクトケースは、下端が水平に形成されており、前記入口ヘッダは、前記ダクトケースの下端よりも上方に位置しており、前記出口ヘッダは、前記ダクトケースの下端よりも上方に位置している。
【0006】
この伝熱管ブロックは、入口ヘッダ及び出口ヘッダがダクトケースの下端よりも上方に位置している。そのため、伝熱管ブロックを搬送する際、荷台の床と接触する接地面は水平に形成されたダクトケースの下端になる。よって、上記の伝熱管ブロックによれば、専用の治具等を用いることなく伝熱管ブロックを安定して荷台に載せることができ、伝熱管ブロックの搬送作業を効率よく行うことができる。また、上記の伝熱管ブロックには伝熱管、入口ヘッダ、出口ヘッダ、及び、振動伝達部材が含まれるため、施工現場におけるこれらの取付作業を省略することができ、組立作業を効率よく行うことができる。
【0007】
上記の伝熱管ブロックにおいて、前記振動伝達部材は上端部分が前記ダクトケースの外側に突出していてもよい。
【0008】
上記の伝熱管ブロックにおいて、前記ダクトケースは、外面が内側に窪んだ下凹部を有しており、前記下凹部は、前記振動伝達部材の下方に位置するとともに、下方及び水平方向外方に開放するように形成されていてもよい。
【0009】
上記の伝熱管ブロックでは、ダクトケースに下凹部を形成している。これにより、伝熱管ブロックを上下方向に積み重ねたとき、振動伝達部材及び振動生成装置は上方に隣接する伝熱管ブロックの下凹部内に位置することになるため、干渉を回避することができる。
【0010】
上記の伝熱管ブロックにおいて、前記入口ヘッダは、前記ダクトケースの上端よりも下方に位置しており、前記出口ヘッダは、前記ダクトケースの上端よりも下方に位置していてもよい。
【0011】
この構成によれば、入口ヘッダ及び出口ヘッダがいずれもダクトケースの上端よりも下方に位置しているため、伝熱管ブロックの高さを抑えることができる。したがって、伝熱管ブロックの搬送作業を効率よく行うことができる。
【0012】
上記の伝熱管ブロックにおいて、前記ダクトケースは前記伝熱管の下方に位置する空洞部を有し、前記入口ヘッダは前記空洞部に対応する位置に配置されていてもよい。
【0013】
上記の伝熱管ブロックは、空洞部を有することで、空洞部周辺の形状及び大きさを比較的自由に設定することができる。そのため、ダクトケースの下端を水平に形成することができるとともに、入口ヘッダ及び出口ヘッダをダクトケースの下端よりも上方に位置させることができる。さらに、この空洞部を利用して伝熱管及び入口ヘッダのメンテナンスを行うこともできる。
【0014】
上記の伝熱管ブロックにおいて、前記ダクトケースは前記伝熱管の下方に位置する空洞部を有し、前記下凹部は前記空洞部に対応する位置に形成されていてもよい。
【0015】
上記のとおり、空洞部周辺の形状及び大きさを比較的自由に設定できるため、振動伝達部材の下方に下凹部を容易に形成することができる。
【0016】
上記の伝熱管ブロックにおいて、前記ダクトケースは、外面が内側に窪んだ上凹部を有しており、前記上凹部は、上方及び水平方向外方に開放するように形成されており、前記振動伝達部材の上端部分は前記上凹部で画された領域に位置していてもよい。
【0017】
この構成では、ダクトケースが上凹部を有しており、上凹部で画された領域に振動伝達部材の上端部分が位置している。そのため、この構成であっても、伝熱管ブロックを上下方向に積み重ねたとき、振動伝達部材及び振動生成装置が、上方に隣接する伝熱管ブロックと干渉するのを回避することができる。
【0018】
さらに、本発明の一態様に係る排熱回収ボイラは、上記の伝熱管ブロックを複数備え、前記複数の伝熱管ブロックが上下方向に積み重ねられて互いに接続されている。
【0019】
この構成によれば、効率のよい施工が行える排熱回収ボイラを提供することができる。
【0020】
さらに、本発明の一態様に係る排熱回収ボイラの製造方法は、上記の伝熱管ブロックを上下方向に複数積み重ねて互いに接続する工程を含む。
【0021】
この構成によれば、排熱回収ボイラの施工を効率よく行うことができる排熱回収ボイラの施工方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0022】
上記の構成によれば、搬送作業及び組立作業を効率よく行うことができる伝熱管ブロックを提供することができ、効率のよい施工が行える排熱回収ボイラを提供することができ、排熱回収ボイラの施工を効率よく行うことができる排熱ボイラの施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る伝熱管ブロックの概略図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の変形例に係る伝熱管ブロックの概略図である。
【
図3】
図3は、第2実施形態に係る伝熱管ブロックの概略図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態の変形例に係る伝熱管ブロックの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
はじめに、第1実施形態に係る伝熱管ブロック100について説明する。
図1は、第1実施形態に係る伝熱管ブロック100の概略図である。以下では、伝熱管ブロック100の方向について、
図1の紙面上を「上」、紙面下を「下」、紙面手前を「前」、紙面奥を「後」、紙面左を「左」、紙面右を「右」と称して説明を行う。
【0025】
伝熱管ブロック100は、排ガスから熱を回収する排熱回収ボイラ101の一部を構成する。伝熱管ブロック100は、排熱回収ボイラ101の施工現場とは異なる工場で製造され、その後、施工現場へ搬送される。また、
図1に示すように、伝熱管ブロック100は上下方向に複数積み重ねられて互いに接続される。つまり、排熱回収ボイラ101は上下方向に段積み重ねて互いに接続された複数の伝熱管ブロック100を備えている。また、排熱回収ボイラ101は複数の伝熱管ブロック100を上下方向に積み重ねて互いに接続することにより施工される。
【0026】
本実施形態に係る伝熱管ブロック100は、ダクトケース10と、伝熱管20と、入口ヘッダ30と、出口ヘッダ40と、振動伝達部材50と、を備えている。以下、これらの構成要素について順に説明する。
【0027】
<ダクトケース>
ダクトケース10は、排ガスが流れるダクトの一部を構成する。ダクトケース10の上面及び下面は開口しており、断面が略矩形である筒状の形状を有している。排ガスがダクトケース10の内部を上下方向(本実施形態では下方)に流れる。また、ダクトケース10内を流れる排ガスは大量のダストを含んでいる。本実施形態の排ガスはセメントを製造する過程で発生する排ガスを想定しているが、排ガスはこれに限定されない。
【0028】
図1に示すように、ダクトケース10の下端は水平に形成されており、上端も水平に形成されている。伝熱管ブロック100を搬送する際に荷台の床と接触する接地面はダクトケース10の下端になるが、ダクトケース10の下端は水平に形成されている。そのため、専用の治具等を用いることなく伝熱管ブロック100を安定して荷台に載せることができる。よって、伝熱管ブロック100の搬送作業を効率よく行うことができる。
【0029】
また、ダクトケース10は、伝熱管20が収容される収容部11と、伝熱管20の下方に位置する空洞部12を有している。ダクトケース10は、空洞部12を有しているため、作業者が空洞部12に入り込むことにより、伝熱管20及び入口ヘッダ30のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0030】
さらに、ダクトケース10は、左上部分に位置し外面が内側に窪む上凹部13を有するとともに、左下部分に位置し外面が内側に窪む下凹部14を有している。上凹部13は上方及び左方(水平方向外方)に開放するように形成され、下凹部14は下方及び左方(水平方向外方)に開放するように形成されている。なお、本実施形態の上凹部13及び下凹部14は、いずれも前方及び後方は閉じられているが、前方及び後方に開放されていてもよい。
【0031】
下凹部14は、振動伝達部材50の下方であって、空洞部12に対応する位置に形成されている。具体的には、下凹部14は、空洞部12と同じ高さ位置に形成されている。空洞部12には伝熱管20が設けられていないため、空洞部12の周辺の形状及び大きさを比較的自由に設定できる。そのため、ダクトケース10の下端を水平にするだけでなく、振動伝達部材50の下方に下凹部14を容易に形成することができる。
【0032】
<伝熱管>
伝熱管20は、外面に沿って流れる排ガスから内部を流れる水又は水蒸気に熱を伝える部材である。伝熱管20は水平に延びるように配置されており、また、排ガスには多量のダストが含まれている。そのため、排熱回収ボイラ101を運転すると次第に伝熱管20にダストが堆積する。伝熱管20にダストが堆積すると、熱交換率が著しく低下する。そこで、後述するように、本実施形態では振動伝達部材50を利用して伝熱管20に堆積したダストを定期的に落としている。
【0033】
<入口ヘッダ>
入口ヘッダ30は、伝熱管20の入口に接続された部材である。本実施形態に係る伝熱管ブロック100は1つの入口ヘッダ30を備えているが、複数の入口ヘッダ30を備えていてもよい。入口ヘッダ30は、前後方向に延びており、ダクトケース10の上端よりも下方であって、下端よりも上方に位置している。より具体的には、入口ヘッダ30は、ダクトケース10の空洞部12に設けられている。なお、入口ヘッダ30は、ダクトケース10の外側に配置してもよい。つまり、入口ヘッダ30は、空洞部12の内側及び外側の位置を含む、空洞部12に対応する位置に配置されている。ただし、入口ヘッダ30は、空洞部12よりも上方に配置されていてもよい。例えば、
図2に示すように、入口ヘッダ30は、伝熱管20と同じ高さ位置であってダクトケース10の外側に配置されていてもよい。
【0034】
入口ヘッダ30は水又は蒸気が供給され、供給された水又は蒸気を伝熱管20に分配する。なお、ここでいう水には温水及び飽和水が含まれ、蒸気には飽和蒸気及び過熱蒸気が含まれる。本実施形態では、ダクトケース10の空洞部12に入口ヘッダ30を設けることで、入口ヘッダ30は伝熱管20よりも下方に位置させつつも、ダクトケース10の下端よりも上方に位置させることができる。これにより、ダクトケース10の下端を、伝熱管ブロック100を搬送する際の接地面にすることができる。
【0035】
<出口ヘッダ>
出口ヘッダ40は、伝熱管20の出口に接続された部材である。本実施形態に係る伝熱管ブロック100は2つの出口ヘッダ40を備えているが、1つ又は3つ以上の出口ヘッダ40を備えていてもよい。出口ヘッダ40は、ダクトケース10の外側であってダクトケース10よりも右側に位置している。出口ヘッダ40は、対応する伝熱管20から入口配管41を介して蒸気を回収して一旦蒸気を溜めた後、排出配管42を介して図外の設備に蒸気を排出する。
【0036】
また、いずれの出口ヘッダ40も、ダクトケース10の下端よりも上方であって、ダクトケースの上端よりも下方に位置している。本実施形態の出口ヘッダ40はこのように配置されているため、ダクトケース10の上下方向寸法が、そのまま伝熱管ブロック100の上下方向寸法となる。つまり、本実施形態によれば、出口ヘッダ40がダクトケース10の下端よりも下方に位置している場合や、ダクトケース10の上端よりも上方に位置している場合に比べて伝熱管ブロック100の上下方向寸法を抑えることができる。その結果、伝熱管ブロック100の搬送作業を効率よく行うことができる。なお、
図1等では、出口ヘッダ40が入口ヘッダ30よりも上方に位置しているが、出口ヘッダ40が入口ヘッダ30よりも下方に位置していてもよい。
【0037】
<振動伝達部材>
振動伝達部材50は、図外の振動生成装置から加えられた振動を伝熱管20に伝える部材である。振動生成装置には、いわゆる打撃ハンマーを利用して振動を生成する装置の他、超音波、モーター、エアー(スートブロワ)、圧電素子、及び衝撃波等を利用して振動を生成する装置が含まれる。振動伝達部材50には、伝熱管20が接続されている。伝熱管20に振動が伝わると、各伝熱管20が振動して堆積したダストが落下する。
【0038】
振動伝達部材50は、ダクトケース10の内部から上方に向かって延び、上端部分がダクトケース10の外側に突出している。振動伝達部材50の上端部分は上凹部13に位置しているが、振動伝達部材50の上端についてはダクトケース10の上端よりも上方に位置している。なお、振動伝達部材50は、上端がダクトケース10の上端よりも下方に位置するように配置してもよい。また、振動伝達部材50は、下端部分から上端部分まで一体に形成されていてもよく、分割して形成されていてもよい。例えば、振動伝達部材50は、伝熱管20に接続されている部分と、ダクトケース10の外側に突出する部分を含む部分とに分割されていてもよい。振動伝達部材50を分割して形成することにより、熱伸びによる歪みを抑制することができる。
【0039】
ここで、振動伝達部材50及び振動生成装置は上方に隣接する伝熱管ブロック100と干渉するおそれがある。しかしながら、本実施形態に係る伝熱管ブロック100は、ダクトケース10に下凹部14を有している。これにより、伝熱管ブロック100を上下方向に複数重ねたとき、上方に隣接する伝熱管ブロック100の下凹部14内に振動伝達部材50が位置することになる。よって、本実施形態に係る伝熱管ブロック100によれば、振動伝達部材50及び振動生成装置が上方に隣接する伝熱管ブロック100と干渉するのを防ぐことができる。
【0040】
以上のとおり、本実施形態に係る伝熱管ブロック100は、振動伝達部材50を含む多くの部材を備えている。そのため、施工現場における振動伝達部材50の取付作業などの多くの作業を省略することができる。したがって、排熱回収ボイラ101の組立作業を効率よく行うことができる。また、本実施形態に係る伝熱管ブロック100は、水平に形成されたダクトケース10の下端が荷台の床と接する接地面となるため、搬送時における特別な治具の使用を省略することができる。その結果、伝熱管ブロック100の搬送作業を効率よく行うことができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る伝熱管ブロック200について説明する。
図3は、第2実施形態に係る伝熱管ブロック200の概略図である。なお、第2実施形態に係る伝熱管ブロック200の構成要素のうち、第1実施形態で説明した構成要素と同じ又は対応するものについては、
図3において同じ符号を付しており重複する説明は省略する。
【0042】
図3に示すように、本実施形態に係る伝熱管ブロック200は、第1実施形態に係る伝熱管ブロック100よりも上凹部13が大きく形成されている。そして、振動伝達部材50の上端部分は上凹部13で画された領域に位置している。そのため、振動伝達部材50はダクトケース10の上端よりも下方に位置している。なお、本実施形態のダクトケース10は、下凹部14を有していないが、下凹部14を有していてもよい。
【0043】
また、本実施形態のダクトケース10は、伝熱管20の上方に空洞部12が位置しており、上凹部13は空洞部12に対応する位置に形成されている。さらに、入口ヘッダ30はダクトケース10の外側に位置する一方、出口ヘッダ40は空洞部12に設けられている。ただし、
図4に示すように、出口ヘッダ40はダクトケース10の外側に位置していてもよい。
【0044】
以上のとおり、本実施形態に係る伝熱管ブロック200は、振動伝達部材50の上端部分は上凹部13で画された領域に位置しているため、伝熱管ブロック200を上下方向に積み重ねたとき、振動伝達部材50及び振動生成装置が、上方に隣接する伝熱管ブロック200と干渉するのを回避することができる。また、第1実施形態の場合と同様に、本実施形態のダクトケース10の下端も水平に形成されているため、伝熱管ブロック200の搬送作業を効率よく行うことができる。
【符号の説明】
【0045】
10 ダクトケース
12 空洞部
13 上凹部
14 下凹部
20 伝熱管
30 入口ヘッダ
40 出口ヘッダ
50 振動伝達部材
100 伝熱管ブロック
101 排熱回収ボイラ
200 伝熱管ブロック