(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】非金属鉱物の選択的分離のための多段浮遊選別装置
(51)【国際特許分類】
B03B 5/28 20060101AFI20220517BHJP
B03B 7/00 20060101ALI20220517BHJP
B03B 9/00 20060101ALI20220517BHJP
B03D 1/24 20060101ALI20220517BHJP
B01D 36/00 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
B03B5/28 Z
B03B7/00
B03B9/00
B03D1/24 100
B01D36/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021069436
(22)【出願日】2021-04-16
【審査請求日】2021-04-16
(31)【優先権主張番号】10-2020-0046863
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518445687
【氏名又は名称】韓国原子力研究院
【氏名又は名称原語表記】KOREA ATOMIC ENERGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】111, Daedeok-daero 989beon-gil, Yuseong-gu, Daejeon 34057, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【氏名又は名称】池本 理絵
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ボンジュ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨングォン・コウ
(72)【発明者】
【氏名】ヨンスン・クウォン
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-121403(JP,A)
【文献】特開2006-150196(JP,A)
【文献】米国特許第5116487(US,A)
【文献】特表2001-509011(JP,A)
【文献】米国特許第4088716(US,A)
【文献】韓国登録特許第10-1910431(KR,B1)
【文献】特開平3-64587(JP,A)
【文献】米国特許第4592834(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03B 1/00-13/06
B03D 1/00-1/26
B01D 36/00
B01J 20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と混合された原鉱を密度差により浮遊選別して第1次精鉱を得る第1浮選機と、
上下方向に延設されるカラムを備え、前記カラムの一側が前記第1浮選機に連通して前記第1次精鉱が供給され、前記第1次精鉱を密度差により浮遊選別して第2次精鉱を得る第2浮選機と、を含み、
前記第2浮選機は、
前記カラムの上部に設けられ、洗浄水を噴射して前記第1次精鉱から不純鉱物を分離する洗浄水噴射部と、
前記カラムの下部に設けられ、不活性気体を噴射して気泡を形成するガススパージャと、
前記洗浄水噴射部と前記ガススパージャとの間に配置されて前記カラムの内部を上部領域及び下部領域に区画し、前記不活性気体が供給されることにより前記下部領域の圧力が所定値以上になると、前記カラムに収容された第2次精鉱が上昇するように、開放を行う開閉部と、を含む、
ことを特徴とする多段浮遊選別装置。
【請求項2】
前記開閉部は、
前記カラムの上部に形成される第1領域と前記カラムの下部に形成される第2領域とを区画する第1開閉部と、
前記第2領域の上部に形成される第3領域と前記第2領域の下部に形成される第4領域とを区画する第2開閉部と、からなることを特徴とする請求項1に記載の多段浮遊選別装置。
【請求項3】
前記第2開閉部は、前記第4領域に前記不活性気体が供給されることにより圧力が上昇するように、前記第4領域を閉鎖することを特徴とする請求項2に記載の多段浮遊選別装置。
【請求項4】
前記第1開閉部は、上昇した前記圧力により前記第2次精鉱が前記第1領域の上部に上昇するように、開放を行うことを特徴とする請求項2に記載の多段浮遊選別装置。
【請求項5】
前記第1開閉部の一側面に設けられ、前記第2領域の圧力を測定して前記第1開閉部を開放又は閉鎖する第1制御部をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の多段浮遊選別装置。
【請求項6】
前記第2開閉部の一側面に設けられ、前記第4領域の圧力を測定して前記第2開閉部を開放又は閉鎖する第2制御部をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の多段浮遊選別装置。
【請求項7】
前記カラムの外周面に沿って昇降する円形移動体をさらに含み、
前記円形移動体は、
前記カラムの内部に向けて設けられて前記カラムの内部に形成される気泡のサイズを測定する検知部を備え、
前記カラムの内部で前記第2次精鉱が浮遊して層を形成した部分に移動し、前記第2次精鉱が前記カラムから排出されるようにすることを特徴とする請求項1に記載の多段浮遊選別装置。
【請求項8】
前記洗浄水噴射部は、前記カラムの内側に連通して設けられ、前記カラムの内部に向けて洗浄水を噴射することを特徴とする請求項2に記載の多段浮遊選別装置。
【請求項9】
前記ガススパージャにより形成された前記気泡は、前記第1開閉部に衝突して前記カラムで渦流を形成することを特徴とする請求項2に記載の多段浮遊選別装置。
【請求項10】
前記ガススパージャは、前記カラム内の下部中心部に設けられ、水と混合された前記第1次精鉱が前記第2領域の中心から外側に循環するようにガスを注入することを特徴とする請求項9に記載の多段浮遊選別装置。
【請求項11】
前記ガススパージャは、前記不活性気体と圧縮空気とを前記カラムの内側上方に供給することを特徴とする請求項10に記載の多段浮遊選別装置。
【請求項12】
前記不活性気体と前記圧縮空気とは、所定の時間間隔で共に投入されてナノサイズの気泡を形成することを特徴とする請求項11に記載の多段浮遊選別装置。
【請求項13】
前記不活性気体は、窒素ガスを含むことを特徴とする請求項12に記載の多段浮遊選別装置。
【請求項14】
前記第1浮選機の一側に形成され、前記第1浮選機の内部に化合物を投入する投入装置をさらに含み、
前記投入装置は、非金属鉱物の層状構造間の同型置換により発生した負電荷を電気的に中和するために、前記層状構造間に前記化合物中のカチオンが吸収されるようにすることを特徴とする請求項1に記載の多段浮遊選別装置。
【請求項15】
前記第1浮選機内で前記非金属鉱物と前記化合物が混合されるようにする撹拌装置をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の多段浮遊選別装置。
【請求項16】
前記第1浮選機の下部に設けられ、前記非金属鉱物が前記第1浮選機の前記化合物中の前記カチオンを吸収するようにする第1ヒーティング部をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の多段浮遊選別装置。
【請求項17】
前記投入装置により投入される化合物は、炭酸水素ナトリウム(NaHCO
3)であることを特徴とする請求項14に記載の多段浮遊選別装置。
【請求項18】
活性化した前記第2次精鉱を乾燥させるフィルタプレス部をさらに含み、
前記フィルタプレス部は、下部に第2ヒーティング部を備えることを特徴とする請求項14に記載の多段浮遊選別装置。
【請求項19】
前記第1浮選機に投入される前記炭酸水素ナトリウム(NaHCO
3)の質量は、前記原鉱の質量の5%であることを特徴とする請求項17に記載の多段浮遊選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原鉱から不純鉱物を分離して精鉱を選別する浮遊選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
採掘した鉱物中には有用鉱物の他に多くの不純鉱物が含まれている。ここで、有用鉱物とは、鉱物を浮遊選別して得られる高品位の鉱物を意味し、ほとんどの場合、製錬原料又は工業原料として直接使用できる程度に品位が高められた鉱石をいう。
【0003】
このような有用鉱物を得るためには、原鉱から不純鉱物を分離する処理が必要である。すなわち、有用鉱物を工業原料等の目的で使用するためには、原鉱から有用鉱物を得る処理が必要である。
【0004】
原鉱から有用鉱物を得る方法としては、浮遊選別法が主に用いられる。ここで、原鉱とは、採掘したままの鉱物を意味する。また、浮遊選別法とは、浮遊選別装置に鉱液を入れて機械的に空気を吹き込んで気泡を発生させると、有用鉱物は気泡の表面に付着して浮遊するが、その気泡の周囲に付着して浮遊する有用鉱物を集めて精鉱を得る方法を意味する。ここで、鉱液とは、微粒子状にした原鉱と水とを混合した溶液を意味する。
【0005】
一般に、原鉱から精鉱を得るためには、浮遊選別装置の1つであるカラム浮選機が主に用いられる。カラム浮選機は、長手方向に延びる円筒状の構造を有する。カラム浮選機の構造上、鉱液がカラム浮選機内に留まる時間が長いので、密度差で精鉱を分類することが容易である。このような理由から、原鉱を浮遊選別する様々な工程でカラム浮選機が主に用いられる。
【0006】
一方、特許文献1においては、カラム浮選機の内部にガススパージャが設けられている。
【0007】
ガススパージャは、特定の容器内に気体を噴射する装置であり、液体の撹拌を兼ねてガスと液体間の物質移動や化学反応を目的とする場合に主に用いられる。
【0008】
ガススパージャは、カラム浮選機の内部に鉱液の上向流を発生させる役割を果たすものであり、カラム浮選機の上部の一側に形成される洗浄水噴射部と共にカラム浮選機の内部で渦流を形成するために、カラム浮選機の下部に形成される。カラム浮選機の内部で渦流を円滑に形成するために、ガススパージャは、カラム浮選機の下部でカラムの内周面に偏って設けられるのが一般的である。
【0009】
ガススパージャから噴射される気泡は、カラムの長手方向に上昇し、鉱液の上向流を形成する。従来技術のカラム浮選機においては、ガススパージャがカラムの内周面に偏って設けられているので、ガススパージャから発生する気泡がカラムの内周面に沿って精鉱と共に上昇する。その過程で、精鉱がカラムの内周面に吸着するという問題があった。
【0010】
また、従来技術のカラム浮選機においては、カラムの内部に開閉部が設けられていない。つまり、渦流の速度を制御する開閉部が設けられていないので、鉱液のカラムの上部への流動がガススパージャによる上向流と洗浄水噴射部による下向流が形成する渦流によってのみ行われる。また、開閉部が設けられておらず、カラムが長いので、ガススパージャと洗浄水噴射部により形成される渦流のみでは、カラムの上部の精鉱回収層まで精鉱を上昇させることが困難であるという問題があった。
【0011】
さらに、従来技術のカラム浮選機においては、ガススパージャがカラムの内部に圧縮空気のみを注入してカラムの内部に気泡を発生させる。カラムの内部に圧縮空気のみを注入すると、密度の低い精鉱の浮遊に必要な気泡のサイズより大きい気泡が発生することになる。よって、浮遊してはならない不純鉱物が気泡と共に浮遊するので、取得される精鉱の純度が低くなるという問題があった。
【0012】
よって、複数の浮選機を用いて浮遊選別処理を繰り返し行うことにより純度の高い精鉱を得ることのできる多段浮遊選別装置に関する研究が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の第1の目的は、カラム式浮選機を配置してさらなる浮遊選別処理を行うことにより、最終的に得られる精鉱の純度を高める多段浮遊選別装置の構造を提供することにある。
【0015】
本発明の第2の目的は、カラム式浮選機の下部に形成される圧力により、精鉱をカラムの上部に浮遊させる多段浮遊選別装置の構造を提供することにある。
【0016】
本発明の第3の目的は、カラム内部のガススパージャにより発生する鉱液の上向流により精鉱がカラムの内周面に吸着しないようにする多段浮遊選別装置の構造を提供することにある。
【0017】
本発明の第4の目的は、ガススパージャから噴射される気泡をカラムの上部まで上昇できるサイズに形成する多段浮遊選別装置の構造を提供することにある。
【0018】
本発明の第5の目的は、カチオン活性化装置を含み、活用度の高い精鉱が得られる多段浮遊選別装置の構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の上記目的を達成するための構造の多段浮遊選別装置は、水と混合された原鉱を密度差により浮遊選別して第1次精鉱を得る第1浮選機と、上下方向に延設されるカラムを備え、前記カラムの一側が前記第1浮選機に連通して前記第1次精鉱が供給され、前記第1次精鉱を密度差により浮遊選別して第2次精鉱を得る第2浮選機と、を含み、前記第2浮選機は、前記カラムの上部に設けられ、洗浄水を噴射して前記第1次精鉱から不純鉱物を分離する洗浄水噴射部と、前記カラムの下部に設けられ、不活性気体を噴射して気泡を形成するガススパージャと、前記洗浄水噴射部と前記ガススパージャ間に配置されて前記カラムの内部を上部領域及び下部領域に区画し、前記不活性気体が供給されることにより前記下部領域の圧力が所定値以上になると、前記カラムに収容された第2次精鉱が上昇するように、開放を行う開閉部と、を含む。
【0020】
本発明の一例によれば、前記開閉部は、前記カラムの上部に形成される第1領域と前記カラムの下部に形成される第2領域とを区画する第1開閉部と、前記第2領域の上部に形成される第3領域と前記第2領域の下部に形成される第4領域とを区画する第2開閉部と、からなる。
【0021】
本発明の他の例によれば、前記第2開閉部は、前記第4領域に前記不活性気体が供給されることにより圧力が上昇するように、前記第4領域を閉鎖する。
【0022】
本発明のさらに他の例によれば、前記第1開閉部は、上昇した前記圧力により前記第2次精鉱が前記第1領域の上部に上昇するように、開放を行う。
【0023】
本発明のさらに他の例によれば、前記多段浮遊選別装置は、前記第1開閉部の一側面に設けられ、前記第2領域の圧力を測定して前記第1開閉部を開放又は閉鎖する第1制御部をさらに含む。
【0024】
本発明のさらに他の例によれば、前記多段浮遊選別装置は、前記第2開閉部の一側面に設けられ、前記第4領域の圧力を測定して前記第2開閉部を開放又は閉鎖する第2制御部をさらに含む。
【0025】
本発明のさらに他の例によれば、前記多段浮遊選別装置は、前記カラムの外周面に沿って昇降する円形移動体をさらに含み、前記円形移動体は、前記カラムの内部に向けて設けられて前記カラムの内部に形成される気泡のサイズを測定する検知部を備え、前記カラムの内部で前記第2次精鉱が浮遊して層を形成した部分に移動し、前記第2次精鉱が前記カラムから排出されるようにする。
【0026】
本発明のさらに他の例によれば、前記洗浄水噴射部は、前記カラムの内側に連通して設けられ、前記カラムの内部に向けて洗浄水を噴射する。
【0027】
本発明のさらに他の例によれば、前記ガススパージャにより形成された前記気泡は、前記第1開閉部に衝突して前記カラムで渦流を形成する。
【0028】
本発明のさらに他の例によれば、前記ガススパージャは、前記カラム内の下部中心部に設けられ、水と混合された前記第1次精鉱が前記第2領域の中心から外側に循環するようにガスを注入する。
【0029】
本発明のさらに他の例によれば、前記ガススパージャは、前記不活性気体と圧縮空気とを前記カラムの内側上方に供給する。
【0030】
本発明のさらに他の例によれば、前記不活性気体と前記圧縮空気とは、所定の時間間隔で共に投入されてナノサイズの気泡を形成する。
【0031】
本発明のさらに他の例によれば、前記不活性気体は、窒素ガスを含む。
【0032】
本発明のさらに他の例によれば、前記多段浮遊選別装置は、前記第1浮選機の一側に形成され、前記第1浮選機の内部に化合物を投入する投入装置をさらに含み、前記投入装置は、非金属鉱物の層状構造間の同型置換により発生した負電荷を電気的に中和するために、前記層状構造間に前記化合物中のカチオンが吸収されるようにする。
【0033】
本発明のさらに他の例によれば、前記多段浮遊選別装置は、前記第1浮選機内で前記非金属鉱物と前記化合物が混合されるようにする撹拌装置をさらに含む。
【0034】
本発明のさらに他の例によれば、前記多段浮遊選別装置は、前記第1浮選機の下部に設けられ、前記非金属鉱物が前記第1浮選機の前記化合物中の前記カチオンを吸収するようにする第1ヒーティング部をさらに含む。
【0035】
本発明のさらに他の例によれば、前記投入装置により投入される化合物は、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)である。
【0036】
本発明のさらに他の例によれば、前記多段浮遊選別装置は、活性化した前記第2次精鉱を乾燥させるフィルタプレス部をさらに含み、前記フィルタプレス部は、下部に第2ヒーティング部を備える。
【0037】
本発明のさらに他の例によれば、前記第1浮選機に投入される前記炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)の質量は、前記原鉱の質量の5%である。
【発明の効果】
【0038】
上記構造の本発明においては、複数回の浮遊選別処理により、最終的に得られる精鉱の純度を高めることができる。特に、第1浮選機で原鉱の一次浮遊選別処理を行い、第2浮選機で原鉱の二次浮遊選別処理を行うことにより、純度の高い第2次精鉱を得ることができる。
【0039】
また、第2浮選機のカラムの内部に開閉部が設けられるので、ガススパージャから噴射される気泡により下部領域内部の圧力を上昇させることができる。よって、下部領域の第2次精鉱をカラムの上端まで浮遊させることができる。
【0040】
さらに、ガススパージャが第2浮選機の中心部の下端に設けられるので、ガススパージャから噴射される気泡により形成されるカラムの上向流をカラムの中心部に形成させることができる。よって、カラム内で鉱液が流動する過程で、カラムの内周面に第2次精鉱が吸着することを最小限に抑えることができる。
【0041】
さらに、ガススパージャによりカラムの内部に圧縮空気と不活性気体を共に注入して、圧縮空気と不活性気体の衝突によりナノサイズの気泡を発生させることができる。よって、原鉱から有用鉱物を高精度に分離することができる。
【0042】
さらに、第1浮選機又は第2浮選機にカチオン活性化装置が設けられるので、最終的に得られる第2次精鉱にカチオンが含まれる。よって、最終的に得られる活性化した精鉱が吸着材として用いられた場合、不純物の吸着性能を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図2】原鉱から第2次精鉱が浮遊選別される一連の処理を示すフローチャートである。
【
図6】第1浮選機に有用鉱物の活性化装置がさらに含まれる場合を示す概念図である。
【
図7】活性化した精鉱が吸着材として用いられた場合に活性化処理において投入された各試料におけるベントナイトのウラン除去率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、添付図面を参照して、本発明による非金属鉱物の選択的分離のための多段浮遊選別装置についてより詳細に説明する。本明細書においては、異なる実施形態であっても同一又は類似の構成については同一又は類似の符号を付し、その説明は省略する。本明細書において用いられる単数の表現には、特に断らない限り複数の表現が含まれる。
【0045】
本明細書において用いられる構成要素の接尾辞である「モジュール」及び「部」は、明細書の作成を容易にするために付与又は混用されるものであり、それ自体が有意性や有用性を有するものではない。
【0046】
また、本発明の実施形態について説明するにあたり、関連する公知技術についての具体的な説明が本発明の実施形態の要旨を不明にすると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。さらに、添付図面は本発明の実施形態の理解を助けるためのものにすぎず、添付図面により本発明の技術的思想が限定されるものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物乃至代替物を含むものと理解すべきである。
【0047】
本明細書において用いられる第1、第2等のように序数を含む用語は、様々な構成要素を説明するために用いられるが、上記構成要素は上記用語により限定されるものではない。上記用語は1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的でのみ用いられる。
【0048】
ある構成要素が他の構成要素に「連結」又は「接続」されていると言及された場合には、他の構成要素に直接連結又は接続されていてもよく、中間にさらに他の構成要素が存在してもよいものと解すべきである。それに対して、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結」又は「直接接続」されていると言及された場合には、中間にさらに他の構成要素が存在しないものと解すべきである。
【0049】
本明細書において、「含む」や「有する」等の用語は、本明細書に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はそれらの組み合わせが存在することを指定しようとするもので、1つ又はそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はそれらの組み合わせの存在や付加可能性を予め排除するものではないと理解すべきである。
【0050】
図1は、多段浮遊選別装置100を示す概念図である。
【0051】
多段浮遊選別装置100は、第1浮選機110及び第2浮選機120から構成される。このような本発明の実施形態においては、浮遊選別装置を複数設け、原鉱10の選別処理を複数回にわたって行うことにより、原鉱10の浮遊選別及び選鉱処理で得られる有用鉱物の純度を高めることができる。
【0052】
第1浮選機110は、本体部111、第1投入部110a、第1排出部110b及び第2排出部110cを含む。本体部111の上部は、開放された状態であってもよく、閉鎖された状態であってもよい。
【0053】
第1投入部110aは、本体部111の一側に形成されてもよい。第1投入部110aは、管状に形成されてもよい。第1投入部110aは、本体部111に連通するように形成される。鉱液が投入される第1投入部110aの入口部分は、本体部111から外側に突設されてもよい。
【0054】
第1投入部110aを介して水と原鉱10が本体部111に投入される。ここで、原鉱10とは、採掘したままの鉱物を意味する。水と原鉱10は、第1投入部110aを介して本体部111の内部へ同時に又は順次投入される。水と原鉱10は、第1浮選機110に投入されて鉱液を形成する。
【0055】
水と原鉱10が本体部111に投入されてから時間が経過すると、鉱液中で密度の大きい不純鉱物は本体部111の下部に沈む。鉱液中で密度の小さい有用鉱物は本体部111の上部に浮遊する。
【0056】
第1浮選機110内で密度差により不純鉱物と有用鉱物が分離される過程で、不純鉱物と有用鉱物の衝突現象が起こり得る。よって、密度の大きい不純鉱物が第1浮選機110の下部に沈まず、有用鉱物と共に第1浮選機110の上部に浮遊することがある。
【0057】
このように、第1浮選機110の上部に浮遊した鉱物を第1次精鉱10aという。第1浮選機110の上部に不純鉱物が浮遊するとは、第1浮選機110で第1次精鉱10aと不純鉱物の完全な分離が行われないことを意味する。すなわち、ここで、第1次精鉱10aとは、有用鉱物に不純鉱物が含まれるものを意味する。
【0058】
浮遊した第1次精鉱10aは、第1排出部110bを介して排出される。第1排出部110bは、第2浮選機120に連通し、第2浮選機120に第1次精鉱10aを供給する。
【0059】
第2排出部110cは、本体部111の下部の一側に形成される。密度の大きい不純鉱物の排出のために、第2排出部110cは、本体部111の下端部に形成されることが好ましい。第1浮選機110の下部に沈んだ不純鉱物は、第2排出部110cを介して排出される。第2排出部110cを介して排出された不純鉱物は尾鉱10cと定義する。ここで、尾鉱10cとは、原鉱10の選別及び選鉱工程で捨てられる鉱石を意味する。
【0060】
第2浮選機120は、第1浮選機110から第1次精鉱10aが供給され、密度差により第1次精鉱10aから第2次精鉱10bを選別する処理を行う。すなわち、ここで、第2次精鉱10bとは、第1次精鉱10aから前記不純鉱物を分離して得られる有用鉱物を意味する。
【0061】
第2浮選機120は、カラム121、洗浄水噴射部123、ガススパージャ126、円形移動体125、第2投入部122a、第3排出部122b、第4排出部122c及び第1開閉部124aを含む。
【0062】
第2浮選機120には、第2投入部122aを介して水と第1次精鉱10aが供給される。供給された水と第1次精鉱10aは、カラム121の内部に充填される。その後、第1制御部124a1により第1開閉部124aが閉鎖され、カラム121は上部領域と下部領域とに区画される。
【0063】
前記下部領域には、圧縮空気を噴射するガススパージャ126が配置されている。ガススパージャ126は、閉鎖された前記下部領域に気泡を噴射する。前記下部領域は、ガススパージャ126から噴射された気泡により圧力が上昇する。
【0064】
前記下部領域の圧力が上昇して予め設定された圧力値に達すると、第1制御部124a1により第1開閉部124aが開放される。第1開閉部124aが開放されると、前記下部領域に形成された圧力により、カラム121の下部にある第1次精鉱10aがカラム121の上部に上昇する。
【0065】
洗浄水噴射部123は、カラム121の上部に配置され、カラム121の下部に水を噴射する。洗浄水噴射部123から噴射された水は、カラム121の上部に上昇する第1次精鉱10aから不純鉱物を分離する役割を果たす。ここで、第1次精鉱10aから不純鉱物が分離されたものを第2次精鉱10bという。
【0066】
すなわち、第2次精鉱10bは、カラム121の上部に浮遊してカラム121の外部への回収が可能な層を形成する。浮遊した第2次精鉱10bは、円形移動体125によりカラム121の外部に排出される。円形移動体125に連通する第4排出部122cは、第2次精鉱10bを貯蔵槽130に供給して貯蔵させる。
【0067】
図2は、原鉱10から第2次精鉱10bが浮遊選別される一連の処理を示すフローチャートである。
【0068】
まず、原鉱10を第1浮選機110に投入するためには、破粉砕処理が必要である。ここで、破粉砕とは、大きい原鉱10を必要に応じて細かく砕く処理を意味する。前記破粉砕処理は、原鉱10を砂利程度の大きさに砕く破砕と、前記砂利程度の大きさの原鉱10をさらに砕いて砂状や粉状にする粉砕に分けられる。
【0069】
前記破粉砕処理を経た原鉱10を水と共に第1浮選機110に投入し、浮遊選別処理を行う。第1浮選機110は、密度差により、粒径の大きい不純鉱物を有用鉱物から一次分離する工程を行う。第1浮選機110から回収される第1次精鉱10aは、有用鉱物のみからなるものではなく、不純鉱物が多く混合された状態であり得る。
【0070】
粉砕が十分でない原鉱10により、第1浮選機110の浮遊選別処理において不純鉱物の完璧な分離が行われないことがある。この場合、原鉱10を再び粉砕する再粉砕処理を行ってもよい。
【0071】
第1浮選機110から回収される第1次精鉱10aの二次選別工程を行うために、第1次精鉱10aを第2浮選機120に投入する。また、前記再粉砕処理を経た原鉱も第2浮選機120に投入してもよい。
【0072】
第2浮選機120は、第1次精鉱10aから第2次精鉱10bを浮遊選別する処理を行う。すなわち、第2浮選機120内での浮遊選別処理において、第1浮選機110で選別されていない不純鉱物を分離することができる。
【0073】
このように、複数の浮選機を備えることにより、最終的に得られる第2次精鉱10bの高純度化を達成することができる。
【0074】
回収された第2次精鉱10bは、液体状態であるので、本来の目的で使用するためには乾燥処理を行わなければならない。乾燥処理を行うと、精鉱10dが得られる。
【0075】
図3は、多段浮遊選別装置100の一構成である第2浮選機120を示す概念図である。
【0076】
第2浮選機120で第2次精鉱10bが浮遊選別される処理について詳細に説明する。
【0077】
第2浮選機120は、カラム121、洗浄水噴射部123、ガススパージャ126、円形移動体125、第2投入部122a、第3排出部122b、貯蔵槽130、第4排出部122c及び開閉部124を含む。
【0078】
第2浮選機120は、円筒状に形成されてもよい。例えば、第2浮選機120は、上下方向に延設されるカラム121の形態であってもよい。
【0079】
カラム121は、内部の領域を区画する開閉部124を有する。開閉部124は、第1開閉部124aと第2開閉部124bとからなる。
【0080】
第1開閉部124aは、長手方向に延びるカラム121の中央に配置されてもよい。カラム121の内部は、第1開閉部124aを境に、上方の第1領域121aと下方の第2領域121bとに分けられる。カラム121の内部は、第1開閉部124aにより、第1領域121aの体積と第2領域121bの体積とが同じになるように区画されることが好ましい。
【0081】
第2開閉部124bは、第1開閉部124aより低い位置に形成されてもよい。第2領域121bは、第2開閉部124bを境に、上方の第3領域121cと下方の第4領域121dとに分けられる。第2領域121bは、第2開閉部124bにより、第3領域121cの体積と第4領域121dの体積とが同じになるように区画されることが好ましい。
【0082】
第2投入部122aは、第1浮選機110の第1排出部110bに連通するように形成される。第2投入部122aは、カラム121の一側に形成され、第1浮選機110から水と第1次精鉱10aが供給される。
【0083】
水と第1次精鉱10aは、カラム121の内部に一杯に充填される。カラム121の内部に水と第1次精鉱10aが一杯に充填されてから、密度差により第2次精鉱10bと不純鉱物が分離されるには、時間が必要である。
【0084】
カラム121の内部に水と第1次精鉱10aが一杯に充填されると、第1開閉部124a及び第2開閉部124bが閉鎖される。ここで、開閉部124が閉鎖されるとは、カラム121の内部を特定の区域に区画するという意味である。すなわち、カラム121内部の一空間が閉領域を形成するように、特定の区域が閉鎖されるという意味である。開閉部124の構成である第1開閉部124a及び第2開閉部124bは、同時に閉鎖されてもよく、順次閉鎖されてもよい。
【0085】
第1開閉部124aの一側面には第1制御部124a1が設けられ、第2開閉部124bの一側面には第2制御部124b1が設けられる。第1制御部124a1は、第1開閉部124aが開放又は閉鎖されるように、第1開閉部124aを制御する役割を果たす。第2制御部124b1は、第2開閉部124bが開放又は閉鎖されるように、第2開閉部124bを制御する役割を果たす。
【0086】
開閉部124は、カラム121を複数の空間に区画する上で、第1次精鉱10aと水の漏れを防止するように形成される。例えば、開閉部124の一側面とカラム121の内周面が密着するように構成され、前記空間が密閉される。
【0087】
開閉部124によりカラム121の内部が区画された後、ガススパージャ126により気体を供給してもよい。ガススパージャ126は、カラム121の下部に形成されてもよい。例えば、ガススパージャ126は、第4領域121dの内部に形成されてもよい。ガススパージャ126により噴射される気体は、閉鎖された第4領域121d内部の圧力を上昇させる。水は非圧縮性流体であるので、閉鎖された第4領域121d内部の空間に気体が供給されると、閉鎖された第4領域121dの圧力が上昇する。
【0088】
第4領域121dの圧力が上昇して予め設定された圧力値に達すると、第2制御部124b1により第2開閉部124bが開放される。第2開閉部124bが開放されると、第4領域121dの第2次精鉱10bと気泡が第3領域121cに上昇する。その過程で、不純鉱物の上昇が起こることもある。
【0089】
第2次精鉱10bと気泡とが第3領域121cに上昇すると、第2制御部124b1により第2開閉部124bが閉鎖される。第2開閉部124bが閉鎖されることにより、第2領域121bは第3領域121cと第4領域121dとに区画される。第3領域121cの圧力は、第4領域121dから上昇した第2次精鉱10bと気泡により上昇する。第3領域121cの圧力が上昇した状態で第2開閉部124bが閉鎖されることが好ましい。
【0090】
第2開閉部124bが閉鎖されると、ガススパージャ126により気体が再び第4領域121dに噴射される。ガススパージャ126により噴射される気体は、閉鎖された第4領域121d内部の圧力を上昇させる。また、第4領域121dの圧力が上昇して予め設定された圧力値に達すると、第2制御部124b1により第2開閉部124bが開放される。
【0091】
第2開閉部124bが開放されると、第3領域121cに既に形成された圧力に第4領域121dから上昇する液体の圧力が加わる。第4領域121d内部の圧力が加わって第3領域121cの圧力が予め設定された圧力値に達すると、第1制御部124a1により第1開閉部124aが開放される。ここで、予め設定された圧力値とは、第3領域121c内部の第2次精鉱10bと気泡とがカラム121の上端に浮遊できる圧力を意味する。
【0092】
このように、第1開閉部124a及び第2開閉部124bを設け、第3領域121c及び第4領域121d内部の圧力を順次上昇させることにより、気泡を第2次精鉱10bと共にカラム121の上部まで浮遊させることができる。また、カラム121内に複数の開閉部を備えて圧力を徐々に上昇させることにより、激しい圧力上昇による部品の破損を防止することができる。
【0093】
第1開閉部124aが開放されることにより上昇する気泡は、第2次精鉱10bと共にカラム121の上端に浮遊する。すなわち、第1領域121aの上端に浮遊する。カラム121の上端に浮遊した第2次精鉱10bは、カラム121の内部でコレクションゾーン(collection zone)121aを形成する。ここで、コレクションゾーン121aとは、浮遊選別処理において回収段階の第2次精鉱10bのみ排出する工程が行われる層を意味する。
【0094】
コレクションゾーン121aの下部境界と第1開閉部124aとの間には、クリーニングゾーン(cleaning zone)121bが形成されてもよい。ここで、クリーニングゾーン121bとは、浮遊選別処理において回収段階の精鉱を洗浄する工程が行われる層を意味する。クリーニングゾーン121bでは、上昇する第2次精鉱10bに付着した不純鉱物を分離する工程が行われる。
【0095】
カラム121の外周面には、円形移動体125が設けられている。円形移動体125は、カラム121の外周面に沿って昇降するように構成される。円形移動体125の一方の側には、カラム121の内部を透視できる検知部125aが設けられている。検知部125aは、カラム121の内部で上昇する気泡のサイズを検出する。ここで、検知部125aは、急速に上昇する前記気泡のサイズを検出するために、超高速カメラからなるようにしてもよい。
【0096】
カラム121内で得られる第2次精鉱10bの純度を高めるためには、前記気泡のサイズがナノサイズであることが好ましい。検知部125aは、第2次精鉱10bを高精度に分離できるように、ナノサイズの気泡が形成された高さを検出する。その後、円形移動体125は、前記ナノサイズの気泡が形成された部分に移動し、第2次精鉱10bの回収が行われるようにする。円形移動体125から排出される第2次精鉱10bは、第4排出部122cを介して排出される。
【0097】
貯蔵槽130は、第4排出部122cに連通するように形成されてもよい。貯蔵槽130には、第4排出部122cを介して排出された第2次精鉱10bが貯蔵される。第2次精鉱10bは、液体状態であるので、その後の使用のためには乾燥装置(図示せず)等を経なければならない。
【0098】
図4は、第2浮選機120の一構成である洗浄水噴射部123を示す概念図である。
【0099】
洗浄水噴射部123は、カラム121の下部に洗浄水を噴射するように構成される。洗浄水噴射部123は、カラム121の内側上部に形成されてもよい。すなわち、洗浄水噴射部123は、カラム121の内側に連通するように形成されてもよい。洗浄水噴射部123は、カラム121の内側に向かって突出するように形成されてもよい。洗浄水噴射部123には、カラム121の内側に連通する部分から水が供給される供給部(図示せず)が備えられてもよい。
【0100】
他の例として、洗浄水噴射部123は、第2浮選機120とは別の構成からなり、第2浮選機120の内部に配置されるようにしてもよい。すなわち、洗浄水噴射部123は、管により連通するように形成されてもよい。
【0101】
洗浄水噴射部123は、広い円板形状からなり、洗浄水を供給する噴射部孔123aが下部に形成されてもよい。カラム121の内部に洗浄水を均一に噴射するために、洗浄水噴射部123の形状は、カラム121の内面形状に対応することが好ましい。洗浄水噴射部123に形成される噴射部孔123aの数は、洗浄水を噴射する量と強度に応じて調整可能である。
【0102】
洗浄水噴射部123は、カラム121の上部に浮遊する第2次精鉱10bと不純鉱物を分離するために、カラム121の内部に水を噴射するように構成される。上昇する不純鉱物をカラム121の下部に下降させるために、洗浄水噴射部123からの洗浄水の噴射方向は、カラム121の下方を向く方向であることが好ましい。
【0103】
図5は、第2浮選機120の一構成であるガススパージャ126を示す概念図である。
【0104】
ガススパージャ126は、管又は板状に形成され、培養槽等にガスを吹き込むように構成されてもよい。例えば、開放端を有する管を介して気体を吹き込む単孔ノズル方式や、水平、十字又は環状の管の孔を開放して気体を吹き込む方式等、様々である。
【0105】
ガススパージャ126としては、カラム121内部の水と第1次精鉱10aの撹拌が適切に行われるようにするものを選択することが好ましい。
【0106】
ガススパージャ126には、カラム121の内部に圧縮空気を注入する第1ガス供給部126aが備えられてもよい。第1ガス供給部126aとガススパージャ126とは管を介して連通する。第1ガス供給部126aからガススパージャ126に連通する管には、第1ガス調整部126a1が備えられてもよい。第1ガス調整部126a1は、ガススパージャ126から圧縮空気が噴射される時間と量を調整する。
【0107】
ガススパージャ126には、カラム121の内部に不活性気体を注入する第2ガス供給部126bが備えられてもよい。第2ガス供給部126bとガススパージャ126とは管を介して連通する。第2ガス供給部126bからガススパージャ126に連通する管には、第2ガス調整部126b1が備えられてもよい。第2ガス調整部126b1は、ガススパージャ126から不活性気体が噴射される時間と量を調整する。
【0108】
前記圧縮空気と前記不活性気体とは、ガススパージャ126から同時に又は順次噴射される。噴射された前記圧縮空気と前記不活性気体とは、カラム121の内部で前記気泡を生成する。カラム121の内部に噴射された圧縮空気と不活性気体により生成された気泡同士は衝突する。
【0109】
第2ガス供給部126bから供給される前記不活性気体は、窒素(N2)、酸素(O2)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)等のガスであってもよい。
【0110】
カラム121の上端に気泡を上昇させるためには、微細サイズの気泡を形成しなければならない。ここで、微細サイズの気泡とは、ナノサイズの気泡を意味する。前記圧縮空気と前記不活性気体が生成した前記気泡同士の衝突により、既に噴射された気泡より小さい気泡となる。前記ナノサイズの気泡を形成するために、第2ガス供給部126bから供給される前記不活性気体は、窒素(N2)であることが好ましい。また、安全上の理由から、前記不活性気体として窒素(N2)を選択することが好ましい。
【0111】
第1ガス供給部126a及び第2ガス供給部126bは、微細サイズの気泡を形成するために、所定の時間間隔で、共にカラム121の内部に気体を噴射するようにしてもよい。第1ガス供給部126a及び第2ガス供給部126bから気体が注入されると、カラム121の内部に気泡が形成される。
【0112】
ガススパージャ126は、所定量の気泡が形成されると、気体の注入を中断し、その後設定された時間が経過すると、再びカラム121の内部に気体を噴射して気泡を発生させる。既に形成された気泡は新たに発生した気泡と衝突する。ガススパージャ126が継続して気体を噴射するより、所定の時間間隔で気体を噴射するほうが、気泡同士の衝突を活発にすることができる。こうすることにより、微細サイズの気泡の形成がより容易になる。
【0113】
ガススパージャ126は、カラム121内部の下部に設けられ、水と混合された第1次精鉱10aが第4領域121dで循環するように気体を噴射する。ガススパージャ126がカラム121の内周面に偏って設けられると、ガススパージャ126により噴射される気泡はカラム121の内側壁面に沿って上昇する。よって、第2次精鉱10bも気泡と共にカラム121の内側壁面に沿って上昇する。その過程で、カラム121の内側壁面と第2次精鉱10b間で摩擦が発生し得る。よって、カラム121の内側壁面に第2次精鉱10bが付着することがある。これは、カラム121の内側壁面に有用鉱物である第2次精鉱10bが吸着することを意味する。
【0114】
よって、ガススパージャ126をカラム121の下部中心に設置し、第4領域121d内部の中心から外側に循環するように前記気体を噴射するようにする。こうすることにより、第4領域121dでの循環がカラム121の中心から始まることになり、第2次精鉱10bがカラム121の内周面に付着又は吸着することが防止される。
【0115】
第2次精鉱10bがカラム121の内周面に付着又は吸着することが防止されることにより、貯蔵槽130に回収される第2次精鉱10bの回収率が高くなる。
【0116】
図6は、第1浮選機140に有用鉱物の活性化装置がさらに含まれる場合を示す概念図である。
【0117】
前記活性化装置は、第1浮選機140に含まれてもよく、第2浮選機120に含まれてもよい。以下では、前記活性化装置が第1浮選機140に含まれて浮遊選別を行う処理について詳細に説明する。
【0118】
図6に示す活性化装置が含まれる第1浮選機140は、
図1に示す第1浮選機110の構成に加え、原鉱投入部140a、本体部141、化合物投入部142、撹拌装置143、空気注入装置144及びヒーティング部145をさらに含んでもよい。
【0119】
図1での説明と同様に、活性化装置が含まれる第1浮選機140に原鉱投入部140aを介して水と原鉱10が投入される。その後、化合物投入部142により第1次精鉱10aの活性化のための化合物が投入されるようにしてもよい。
【0120】
活性化装置が含まれる第1浮選機140の上部の一側には、撹拌装置143が配置される。撹拌装置143の撹拌機143aは、活性化装置が含まれる第1浮選機140内に備えられる。
【0121】
撹拌装置143は、液体の混合のための装置であり、液体中で翼を回転させるもの、流体の運動エネルギーを利用するもの、空気等を液体中に噴出するもの等がある。撹拌装置143は、第1次精鉱10a中のイオンとカチオンの置換又はイオン交換反応が起こるようにする。第1次精鉱10a中へのカチオンの置換が適切に起こるようにする撹拌装置143を選択することが好ましい。ただし、撹拌処理で沈殿する尾鉱10cが再び浮遊しないように、撹拌装置143が適切な撹拌速度を維持するようにしなければならない。
【0122】
また、活性化装置が含まれる第1浮選機140の一側には、空気注入装置144が配置されてもよい。活性化装置が含まれる第1浮選機140の下部側には、空気注入装置144に連通するガス管が形成されてもよい。活性化装置が含まれる第1浮選機140の内部に空気を注入して鉱液の撹拌が適切に行われるようにするためには、下部から上部へ空気を噴射することが好ましい。
【0123】
空気注入装置144は、撹拌装置143と同様に、鉱液中の1次精鉱10aとカチオンの交換反応が十分に起こるようにする役割を果たす。ただし、撹拌処理で沈殿する尾鉱10cが再び浮遊しないように、空気注入装置144の空気噴射速度を調整しなければならない。
【0124】
活性化装置が含まれる第1浮選機140の下部側には、ヒーティング部145が配置される。カチオン活性化処理では温度因子が重要である。ヒーティング部145は、第1次精鉱10aが活性化するように、活性化装置が含まれる第1浮選機140内部の温度を上昇させる役割を果たす。ヒーティング部145は、カチオン活性化処理で、活性化装置が含まれる第1浮選機140の内部が50~80℃に維持されるようにすることが好ましい。
【0125】
活性化した第1次精鉱10a’が第2浮選機120に投入され、その後、
図3で説明した処理を経て、活性化した第2次精鉱10b’が貯蔵槽130に貯蔵される。
【0126】
貯蔵槽130の一側には、第5排出部130aが形成されている。第5排出部130aは、活性化した第2次精鉱10b’をフィルタプレス部160に供給する。
【0127】
フィルタプレス部160は、活性化した第2次精鉱10b’の移動及び乾燥のために、複数のネジ及びグリルと、ヒーティング部161とを含む。前記複数のネジ及びグリルは、貯蔵槽130から供給される第2次精鉱10b’を乾燥処理のために移動させる役割を果たす。前記複数のネジ及びグリルは、フィルタプレス部160の内部に備えられて回転動作を行う。
【0128】
ヒーティング部161は、フィルタプレス部160の下部に設けられ、活性化した第2次精鉱10b’を乾燥させる。フィルタプレス部160で活性化した第2次精鉱10b’の乾燥処理が行われることにより、活性化した精鉱10d’が排出されることになる。フィルタプレス部160で加わる温度と圧力により、活性化した第2次精鉱10b’の2次活性化が起こり得る。
【0129】
図7は、活性化した精鉱が吸着材として用いられた場合に活性化処理で投入された各試料におけるベントナイトのウラン除去率を示すグラフである。
【0130】
本発明において選別する非金属鉱物は、ベントナイトであってもよい。ここで、ベントナイトとは、雲母と同じ結晶構造を有する単斜晶系に属する鉱物であるモンモリロナイトを主成分とする粘土をいう。また、単斜晶系とは、長さが異なる3つの結晶軸を有し、それらのうち左右軸と上下軸は直交し、前後軸は左右軸と斜交する結晶形態をいう。
【0131】
ベントナイトは、モンモリロナイトを多量に含有するスメクタイト群に属する。当該群に属する全ての鉱物が層状構造と膨潤特性を有する。ここで、膨潤とは、物質が溶媒を吸収して膨らむ現象を意味する。
【0132】
前記層状構造は、2層のシリカ四面体とそれらの間の1層の四面体アルミニウム水酸基の2:1型構造からなる。シリカ四面体又はアルミニウム四面体において同型置換により発生した負電荷を電気的に中和するために層間にカチオンを吸収する。ここで、カチオンは、ナトリウムイオン(Na+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、カルシウムイオン(Ca2+)等であってもよい。
【0133】
ベントナイトの主構成鉱物であるモンモリロナイトは、主にアルミニウム四面体の内部置換により層電荷が発生する。この場合、層間に存在する交換性カチオンの種類によって、Na型ベントナイトとCa型ベントナイトに分けられ、層間水和により膨潤して体積膨張が発生する。ここで、水和とは、水溶液中で水分子が溶解した溶質分子やイオンを囲んで相互作用しながらまるで1つの分子のように行動する現象を意味する。
【0134】
このように、活性化したベントナイトは、緩衝材、遮水材又は吸着材等に多く用いられる。ベントナイトが緩衝材、遮水材又は吸着材等に用いられる場合、物理化学的に安全な前記Na型ベントナイトが好ましい。
【0135】
図7のグラフは、浮遊選別装置に投入した試料毎に活性化ベントナイトのウラン除去実験を行った結果である。活性化ベントナイトは放射性廃棄物処理場の緩衝材として用いられる。放射性廃棄物処理場で最も多く放出される物質がウランである。よって、活性化ベントナイトが緩衝材として用いられる場合の吸着性能を把握するために、試験容器内のウランを除去する実験を行った。活性化ベントナイトが緩衝材として用いられる場合、ウラン除去率(%)が高いほど、精鉱10d(
図6参照)の活性化処理でイオン交換反応が適切に起こったとみなされる。
【0136】
図7のグラフにおいて、第1試料(Ca-B)を投入してベントナイトを活性化した場合、ウラン除去率(%)が23%であった。ここで、ウラン除去率とは、第1試料(Ca-B)により活性化したベントナイトが試験容器に投入された場合の初期質量に対するウランの質量減少率を意味する。
【0137】
第2試料(Na-B)を投入してベントナイトを活性化した場合、ウラン除去率(%)が41%であった。
【0138】
第3試料(Na2CO3)を原鉱に対して1%の含有量で投入してベントナイトを活性化した場合、ウラン除去率(%)が55%であった。
【0139】
第4試料(Na2CO3)を原鉱に対して3%の含有量で投入してベントナイトを活性化した場合、ウラン除去率(%)が84%であった。
【0140】
第5試料(Na2CO3)を原鉱に対して5%の含有量で投入してベントナイトを活性化した場合、ウラン除去率(%)が89%であった。
【0141】
第6試料(NaHCO3)を原鉱に対して1%の含有量で投入してベントナイトを活性化した場合、ウラン除去率(%)が66%であった。
【0142】
第7試料(NaHCO3)を原鉱に対して3%の含有量で投入してベントナイトを活性化した場合、ウラン除去率(%)が91%であった。
【0143】
第8試料(NaHCO3)を原鉱に対して5%の含有量で投入してベントナイトを活性化した場合、ウラン除去率(%)が94%であった。
【0144】
よって、吸着性能が向上した活性化ベントナイトを得るために、化合物としては炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を添加することがより有利である。また、活性化ベントナイトが緩衝材として用いられる場合、90%以上のウラン除去率を得るためには、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)の添加量を原鉱に対して3%以上、5%以下にしなければならない。とりわけ、活性化したベントナイトの吸着性能を最大化するためには、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)の添加量を原鉱に対して5%にすることが好ましい。
【0145】
前述した非金属鉱物の選択的分離のための多段浮遊選別装置は、前述した実施形態の構成と方法に限定されるものではなく、各実施形態の全部又は一部を選択的に組み合わせて構成することにより様々に変形することができる。
【符号の説明】
【0146】
10…原鉱
10a…第1次精鉱
10a’…活性化した第1次精鉱
10b…第2次精鉱
10b’ …活性化した第2次精鉱
10c…尾鉱
10d…精鉱
10d’…活性化した精鉱
100…多段浮遊選別装置
110…第1浮選機
111…本体部
110a…第1投入部
110b…第1排出部
110c…第2排出部
120…第2浮選機
121…カラム
121a…第1領域
121b…第2領域
121c…第3領域
121d…第4領域
122a…第2投入部
122b…第3排出部
122c…第4排出部
123…洗浄水噴射部
123a…噴射部孔
124…開閉部
124a…第1開閉部
124a1…第1制御部
124b…第2開閉部
124b1…第2制御部
125…円形移動体
125a…検知部
126…ガススパージャ
126a…第1ガス供給部
126a1…第1ガス調整部
126b…第2ガス供給部
126b1…第2ガス調整部
130…貯蔵槽
140…活性化装置が含まれる第1浮選機
141…本体部
142…化合物投入部
143…撹拌装置
143a…撹拌機
144…空気注入装置
145…ヒーティング部