IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 上銀科技股▲分▼有限公司の特許一覧

特許7074912フィードシステムの位置の誤差を測定する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】フィードシステムの位置の誤差を測定する方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20220517BHJP
【FI】
G01B11/00 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021074559
(22)【出願日】2021-04-27
【審査請求日】2021-04-28
(31)【優先権主張番号】110104658
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】596016557
【氏名又は名称】上銀科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】林育新
(72)【発明者】
【氏名】鄭志鈞
(72)【発明者】
【氏名】程文男
(72)【発明者】
【氏名】陳韋任
(72)【発明者】
【氏名】蔡秉均
(72)【発明者】
【氏名】黄文祈
(72)【発明者】
【氏名】邱▲イク▼▲ショウ▼
(72)【発明者】
【氏名】蔡志銘
(72)【発明者】
【氏名】黄逸群
(72)【発明者】
【氏名】余思緯
【審査官】飯村 悠斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-117778(JP,A)
【文献】特開2020-71043(JP,A)
【文献】特開平11-208471(JP,A)
【文献】特開2007-170955(JP,A)
【文献】特開2001-201445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01B 21/00-21/32
G06T 1/00- 9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィードシステムが旋盤と、長軸部材と、移動体と、を備え、前記長軸部材は前記旋盤に固定され、前記移動体は前記長軸部材に移動可能に設置され、前記旋盤の作業面には少なくとも1つの第一グラフィックラベルが設けられているフィードシステムの位置の誤差を測定する方法であって、
前記移動体を前記長軸部材に沿って移動するように制御し、且つ前記移動体の移動中に第一光学センサーが前記第一グラフィックラベルに対してそれぞれ2回の撮影を行うように制御し、第一画像及び第二画像をそれぞれ獲得し、前記第一光学センサーは前記少なくとも1つの第一グラフィックラベルに対応していると共に前記移動体に装設されているステップ(A)と、
前記第一画像及び前記第二画像中から第一画像特徴を選択するステップ(B)と、
前記第一画像及び前記第二画像における前記第一画像特徴の位置を比較し、前記位置の誤差を推定するステップ(C)と、を含むことを特徴とする、
フィードシステムの位置の誤差を測定する方法。
【請求項2】
前記ステップ(A)では、前記移動体を前記長軸部材に沿って第一進行方向に移動するように制御するステップ(A1)と、前記移動体が前記第一進行方向に移動した際に、前記第一光学センサーが前記第一グラフィックラベルに対し撮影を行うように制御し、前記第一画像を獲得するステップ(A2)と、前記移動体が前記長軸部材に沿って第二進行方向に移動するように制御し、前記第二進行方向は前記第一進行方向とは反対であるステップ(A3)と、前記移動体が前記第二進行方向に移動した際に、前記第一光学センサーが前記第一グラフィックラベルに対し撮影を行うように制御し、前記第二画像を獲得するステップ(A4)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のフィードシステムの位置の誤差を測定する方法。
【請求項3】
前記ステップ(C)では、少なくとも1つの軸方向上での前記第一画像特徴の前記第一画像における前記位置と前記第二画像における前記位置との間の差値を計算し、前記軸方向上での変位量を少なくとも部分的な前記位置の誤差として獲得するステップ(C1)を含むことを特徴とする請求項2に記載のフィードシステムの位置の誤差を測定する方法。
【請求項4】
前記ステップ(A)では、前記移動体が前記長軸部材に沿って進行方向に移動し、且つ前記移動体が前記進行方向に移動した際に、前記第一光学センサーが前記第一グラフィックラベルに対し連続して2回の撮影を行い、前記第一画像及び前記第二画像をそれぞれ獲得することを特徴とする請求項1に記載のフィードシステムの位置の誤差を測定する方法。
【請求項5】
前記ステップ(C)では、第一軸方向上での前記第一画像特徴の前記第一画像における前記位置と前記第二画像における前記位置との間の差値を計算し、前記第一軸方向上での第一変位量を部分的な前記位置の誤差として獲得するステップ(C2)と、第二軸方向上での前記第一画像特徴の前記第一画像における前記位置と前記第二画像における前記位置との間の差値を計算し、前記第二軸方向上での第二変位量を他の部分的な前記位置の誤差として獲得し、前記第一軸方向は前記第二軸方向に垂直になっているステップ(C3)と、を含むことを特徴とする請求項2または4に記載のフィードシステムの位置の誤差を測定する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィードシステムに関し、より詳しくは、フィードシステムの位置の誤差を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の特許文献、例えば、特許文献1には線形装置非平行性検出システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】台湾特許出願公開第539143号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来の技術では、これに使用されている撮影ユニットが線形装置の外の固定位置に設置され、且つ1つの撮影ユニットが1つの特徴パターンに対応している。このため、ネジの異なる位置に変形が生じているか否かを観察する場合、ネジに複数の特徴パターンを設けなければならないほか、各特徴パターンに対して対応する撮影ユニットを設置しなければならない。このほか、歪みゲージにより非平行性の検出を行わなければならない。このため、このシステムに要するコストが高い上に、他の種類の誤差が検出できなかった。
【0005】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に至った。
【0006】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものである。上記課題解決のため、本発明は、フィードシステムの位置の誤差を測定する方法を提供することを主目的とする。これによって、複数の軸方向上(異なる種類)での位置の誤差を即時検出可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明のある態様のフィードシステムの位置の誤差を測定する方法は、フィードシステムが旋盤と、長軸部材と、移動体と、を備え、前記長軸部材は前記旋盤に固定され、前記移動体は前記長軸部材に移動可能に設置され、前記旋盤の作業面には少なくとも1つの第一グラフィックラベルが設けられ、前記移動体を前記長軸部材に沿って移動するように制御し、且つ前記移動体の移動中に第一光学センサーが前記第一グラフィックラベルに対してそれぞれ2回の撮影を行うように制御し、第一画像及び第二画像をそれぞれ獲得し、前記移動体には前記少なくとも1つの第一グラフィックラベルに対応している第一光学センサーが装設されているステップ(A)と、前記第一画像及び前記第二画像中から第一画像特徴を選択するステップ(B)と、この2つの画像における前記第一画像特徴の位置を比較し、前記位置の誤差を推定するステップ(C)と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るフィードシステムの位置の誤差を測定する方法は、センサーが移動体に設置され、且つ移動体の移動に従って移動経路上にあるグラフィックラベルを撮影することで、各グラフィックラベルがある位置の位置の誤差を即時測定する。また、本発明は光学センサーに画像解析技術(例えば、デジタル画像相関法(Digital image correlation、DIC)アルゴリズムを組み合わせて複数の軸方向上での位置の偏差を同時に測定する目的を達成させる。
【0009】
本発明の他の特徴について、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施例に係るフィードシステムにより測定するときの概略図である。
図2】本発明の一実施例に係るフィードシステムにより測定するときのブロック図である。
図3図1のフィードシステム部分をある角度から見た概略図である。
図4】本発明の一実施例に係るフィードシステムの位置の誤差を測定する方法を示すフローチャートである。
図5A】本発明の一実施例に係るグレースケールの第一画像に対して画像解析を実行する概略図であって、グラフィックラベルのラベル画像の位置とその画像特徴の位置を示する。
図5B】本発明の一実施例に係るグレースケールの第に画像に対して画像解析を実行する概略図であって、グラフィックラベルのラベル画像の位置とその画像特徴の位置を示する。
図6】本発明の一実施例に係るフィードシステムの位置の誤差を測定する方法がボールねじのバックラッシュを測定するために適用されるフローチャートである。
図7A】本発明の一実施例に係るフィードシステムを測定する位置の誤差を示す概略図であって、移動体が長軸部材の前端から一方向に移動し、光学センサーが移動中にグラフィックラベルに第一回撮影を行う状態である。
図7B】本発明の一実施例に係るフィードシステムを測定する位置の誤差を示す概略図であって、移動体が長軸部材の後端まで移動し、光学センサーが移動中にすべてのグラフィックラベルに第一回撮影を行った状態である。
図7C】本発明の一実施例に係るフィードシステムを測定する位置の誤差を示す概略図であって、移動体が反対方向に移動し、光学センサーが移動中にグラフィックラベルに第二回撮影を行う状態である。
図8】本発明の一実施例に係るフィードシステムの位置の誤差を測定する方法が2本のリニアスライドレールが平行かどうかを測定するために適用されるフローチャートである。
図9A】本発明の一実施例に係るフィードシステムを測定する位置の誤差を示す概略図であって、移動体が一方向に移動し、光学センサーが移動中にグラフィックラベルに第一回撮影を行う状態である。
図9B】本発明の一実施例に係るフィードシステムを測定する位置の誤差を示す概略図であって、移動体が同じ方向に移動し、光学センサーが移動中に同じグラフィックラベルに第二回撮影を行う状態である。
図10】本発明の他の実施例に係るフィードシステムが測定したいときの概略図である。
図11】本発明の他の実施例に係るフィードシステムが測定したいときのブロック図である。
図12】本発明の一実施例に係るフィードシステムの位置の誤差を測定する方法が各リニアスライドが歪んでいるかどうかを測定するために適用されるフローチャートである。
図13A】本発明の一実施例に係るグレースケールの第三画像に対して画像解析を実行する概略図であって、グラフィックラベルのラベル画像の位置とその画像特徴の位置を示す。
図13B】本発明の一実施例に係るグレースケールの第四画像に対して画像解析を実行する概略図であって、グラフィックラベルのラベル画像の位置とその画像特徴の位置を示す。
図14】本発明の他の実施例に係るフィードシステムの位置の誤差を測定する方法が各リニアスライドが歪んでいるかどうかを測定するために適用されるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0012】
本発明のフィードシステムの位置の誤差を測定する方法はフィードシステム(Feed Drive System)に適用している。
図1乃至図3に示されるように、フィードシステムは旋盤1と、作業台2(移動体)と、2本のリニアスライド3と、2つのベアリング4と、ボールねじ5と、カップリング6と、モーター7と、サーバー8と、を備えている。旋盤1は軸方向D1(第一軸方向)に沿って延伸していると共に台座11及び2つの凸部12を含む。2つの凸部12は台座11から軸方向D3(第三軸方向)に沿って延伸するように突出していると共に台座11の軸方向D2(第二軸方向)上での対向する両側にそれぞれ位置している。軸方向D1、D2、及びD3は互いに垂直になっている。2本のリニアスライド3は旋盤1の対向する両側にそれぞれ設置される。例えば、2つの凸部12にそれぞれ設置されているが、但しこの限りではない。本実施例では、各リニアスライド3はスライドレール31(長軸部材)及び2つのスライダー32(移動体)を具備し、スライダー32はスライドレール31に覆設されていると共にスライドレール31に沿って往復移動を行うが、本発明はこれに限られない。実際には、スライダー32の数量は応用の需要に応じて増減し、よって、スライダー32の数量が1つまたは2つ以上でもよい。
2つのベアリング4は旋盤1の軸方向D1に沿った対向する両端にそれぞれ装設されている。ボールねじ5はネジ51(長軸部材)及びナット52(移動体)を備えている。ネジ51のうちの一端は何れか1つのベアリング4に連結され、ネジ51の対向する他端は他のベアリング4及びカップリング6を介してモーター7に接続され、ナット52はネジ51に覆設されていると共にネジ51に沿って往復移動を行う。作業台2(移動体)はスライダー32及びナット52に装設されている。モーター7はサーバー8に接続されていると共にサーバー8により制御されている。サーバー8がモーター7を回転するように制御すると、モーター7がネジ51を回転するように駆動し、これにより作業台2がスライドレール31及びネジ51に沿って移動するように連動される。
【0013】
フィードシステムの位置の誤差を測定する場合、作業台2に光学センサーOT1(第一光学センサー)を取り付け、台座11の作業面13に軸方向D1に沿って複数のグラフィックラベルTP1(第一グラフィックラベル)を設ける(図1乃至図3参照)。光学センサーOT1は例えば、電荷結合素子(Charge Coupled Device、CCD)画像センサーまたは相補型MOS(CMOS)画像センサーであるが、但しこれらに限られない。光学センサーOT1の取り付け位置は需要に応じて選択し、光学センサーOT1の感知範囲がグラフィックラベルTP1全体をカバー(或いは部分的にカバー)していればよく、図1及び図3に示される位置に限定されない。光学センサーOT1はサーバー8に有線接続またはワイヤレス接続されてサーバー8による制御を受けている。
【0014】
サーバー8は、例えば、プロセッサ81を少なくとも備えている1つまたは複数の計算機装置である。プロセッサ81はモーター7の動作及び光学センサーOT1の動作の制御に用い、これにより本発明のフィードシステムの位置の誤差を測定する方法を実行している。
【0015】
図4はフィードシステムの位置の誤差を測定する方法のフローチャートである。まず、ステップS10に示されるように、プロセッサ81がモーター7を回転するように制御し、移動体(例えば、作業台2、ナット52、及びスライダー32)を長軸部材(例えば、スライドレール31及びネジ51)に沿って移動するように連動する。
また、モーター7の動作により発生するプロセス情報(例えば、モーター7のエンコーダ信号)に基づいて、プロセッサ81が移動体が移動した距離を推定し、これにより撮影を行うように光学センサーOT1を制御する必要があるかどうかを判断する。次いで、ステップS11に示されるように、移動体の移動中に、光学センサーOT1の感知範囲がグラフィックラベルTP1の位置を完全にカバー(或いは部分的にカバー)している場合、プロセッサ81がこのグラフィックラベルTP1に対してそれぞれ2回撮影を行うように光学センサーOT1を制御し、2つの画像(例えば、静態画像)を獲得する。
【0016】
続いて、ステップS12に示されるように、プロセッサ81が1回目の撮影で獲得した画像(以下、第一画像と称する)に対しグレースケール処理を施し、且つ、限定しないが例えば、DICアルゴリズムによりグレースケールの第一画像中から画像特徴を選択する。一例を挙げると、図5に示されるように、グレースケールの第一画像IM1中に表示されているグラフィックラベルTP1の画像(以下、タグ画像PI1(第一タグ画像)と称する)内から所定のテンプレートに適合する画像特徴FI1(第一画像特徴)を探し出す。
同様に、ステップS13に示されるように、プロセッサ81が2回目の撮影で獲得した画像(以下、第二画像と称する)に対しグレースケール処理を施し、且つ、限定しないが例えば、DICアルゴリズムによりグレースケールの第二画像中から第一画像の画像特徴と同じ部分を検索する。具体的には、グレースケールの第二画像IM2中に表示されているタグ画像PI1内から同じ画像特徴FI1を探し出す(図5B参照)。
【0017】
最後に、ステップS14に示されるように、プロセッサ81は限定しないが例えば、DICアルゴリズムに畳み込み演算を組み合わせ、2つの画像における上述の画像特徴の位置を比較し、第一画像IM1及び第二画像IM2における画像特徴FI1の位置の少なくとも1つの軸方向上での差値を計算し、前記少なくとも1つの軸方向上での変位量を獲得し、これにより上述のグラフィックラベルTP1がある位置における長軸部材の位置の誤差を推定する。
具体的には、グレースケールの第一画像IM1及び第二画像IM2での同じ位置のグレースケール値を相乗した後に積分を行い、下記公式(1)に示す。
ここで、f(τ)及びg(t-τ)は第一画像IM1及び第二画像IM2での同じ位置のグレースケール値をそれぞれ示す。次いで、下記公式(2)を用いて第一画像IM1及び第二画像IM2の相関係数γijを計算する。


計算により獲得した相関係数γijが最高に達した場合、その対応する位置を2つの画像中で相似性が最大になった位置とし、即ち画像特徴FI1の位置とする。この際、下記公式(3)を用いて軸方向上での変位量を計算する。
変位量=(移動距離-画像の大きさ)×画素サイズ・・・(3)
ここで、変位量とは前記軸方向上での第一画像IM1に対する第二画像IM2の偏移量を指す。移動距離とは相関係数が最大に達した際の第二画像IM2の当時の位置及びその初期位置の前記軸方向上での距離を指し、単位は画素とする。画像の大きさとは前記軸方向上での第二画像IM2の長さを指し、単位は画素とする。画素サイズとは1つの画素の大きさを指し、単位は例えばμmとする。
【0018】
これにより、ユーザーは上述の測定結果に基づいて長軸部材に湾曲が生じたかどうかを判断し、長軸部材のメンテナンスまたは交換を行うかどうかを考慮する。
【0019】
本発明のフィードシステムの位置の誤差を測定する方法は複数の軸方向上(異なる種類)での位置の誤差を測定するために適用し、例えば、限定しないが、2本のリニアスライド3が水平面(例えば、軸方向D1及びD2で構成されている)上で平行かどうか、ボールねじ5にバックラッシュがあるか否か、及び各リニアスライド3が垂直面(例えば、軸方向D1及びD3で構成されている)上で歪んでいるかどうかを測定するために適用する。以下、例を挙げてこれらの応用についてそれぞれ説明する。
【0020】
図6図7A乃至図7Cは本発明の一実施例において、本発明のフィードシステムの位置の誤差を測定する方法をボールねじ5にバックラッシュがあるか否かの測定に適用することについて説明する。一般的には同一のグラフィックラベルTP1に対しそれぞれ2回の撮影を行う場合、予定された同じ位置の撮影を行うため、前後する撮影で獲得した2つの画像はほぼ同じものとなる。しかしながら、一旦ボールねじ5にバックラッシュが生じると、戻り行程に差異が生じるため、2回撮影した位置の距離が開き、前後して撮影した画像における画像特徴の位置の偏移が許容範囲を超える。このため、本実施例に係る測定方法では、まずステップS10と同じであるステップS20を実行し、作業台2をスライドレール31及びネジ51に沿って進行方向V1(第一進行方向)上で移動するように制御する。
図7Aに示されるように、光学センサーOT1が進行方向V1上でその感知範囲が個別のグラフィックラベルTP1を完全にカバー(或いは部分的にカバー)する位置まで移動する毎にステップS21を実行し、光学センサーOT1がこのグラフィックラベルTP1に対し1回目の撮影を行うように制御し、このグラフィックラベルTP1の第一画像を獲得する。
【0021】
続いて、図7Bに示されるように、各グラフィックラベルTP1に対し1回目の撮影を実行した後、ステップS22を実行し、作業台2をスライドレール31及びネジ51に沿って進行方向V2(第二進行方向)上で移動するように制御する。進行方向V2は進行方向V1とは反対である。
図7Cに示されるように、光学センサーOT1が進行方向V2上でその感知範囲が個別のグラフィックラベルTP1を完全にカバー(或いは部分的にカバー)する位置まで移動する毎にステップS23を実行し、光学センサーOT1がこのグラフィックラベルTP1に対し2回目の撮影を行うように制御し、このグラフィックラベルTP1の第二画像を獲得する。
【0022】
各第一画像を取得した後、上述のステップS12と同じであるステップS24を実行し、グレースケールの第一画像中から指定された画像特徴を選択する。同様に、各第二画像を取得した後、上述のステップS13と同じであるステップS25を実行し、グレースケールの第二画像中から指定された画像特徴を検索する。同じグラフィックラベルTP1に対応した第一画像及び第二画像中の画像特徴は同じである。
【0023】
続いて、上述のステップS14と同じであるステップS26を実行し、上述の対応している第一画像及び第二画像における上述の画像特徴の位置を比較し、この画像特徴の軸方向D1での第一変位量及び(或いは)軸方向D2での第二変位量を推定し、対応しているグラフィックラベルTP1がある位置での光学センサーOT1の移動経路(或いは作業台2のフィード経路)の偏差程度をさらに推定する。偏差程度が所定の範囲を超えている場合、ボールねじ5にバックラッシュが発生していることを示す。
【0024】
図8図9A、及び図9Bは本発明の一実施例において、本発明に係るフィードシステムの位置の誤差を測定する方法を2本のリニアスライド3が平行かどうかの測定に適用することについて説明する。まず、上述のステップS10と同じであるステップS20を実行し、作業台2をスライドレール31及びネジ51に沿って進行方向V1上で移動するように制御する。
図9Aに示されるように、光学センサーOT1が進行方向V1上でその感知範囲がグラフィックラベルTP1を完全にカバー(或いは部分的にカバー)する位置まで移動する毎にステップS31を実行し、光学センサーOT1が移動中にこのグラフィックラベルTP1に対して連続して2回の撮影を行うように制御し、第一画像及び第二画像を獲得する。
【0025】
各第一画像を取得した後、上述のステップS12と同じであるステップS32を実行し、グレースケールの第一画像中から指定された画像特徴を選択する。同様に、各第二画像を取得した後、上述のステップS13と同じであるステップS33を実行し、グレースケールの第二画像中から指定された画像特徴を検索する。同じグラフィックラベルTP1に対応する第一画像及び第二画像中の画像特徴は同じである。
【0026】
最後に、上述のステップS14と同じであるステップS34を実行し、グレースケールの第一画像及び第二画像における上述の画像特徴の位置を比較し、このグラフィックラベルTP1がある位置でのこの画像特徴の軸方向D1での第一変位量及び軸方向D2での第二変位量を推定し、対応しているグラフィックラベルTP1がある位置での個別のリニアスライド3の偏差程度をさらに推定する。これにより、軸方向D1及び軸方向D2で構成されている平面空間上で2本のスライドレール31に非平行になる状況が発生したか否かを判断する。
【0027】
本発明の2本のリニアスライド3が平行かどうかを測定する他の実施例では、ボールねじ5にバックラッシュがあるか否かを測定する方式を採用して実現し、即ち図6乃至図7Cに示されるステップを採用して対応しているグラフィックラベルTP1がある位置での個別のリニアスライド3の偏差程度を測定する。これにより、軸方向D1及び軸方向D2で構成されている平面空間上で2本のスライドレール31に非平行になる状況が発生したか否かを判断する。
【0028】
各リニアスライド3が上下に歪んでいるかどうかを測定するため、旋盤1の凸部12の側面14には複数のグラフィックラベルTP2(第二グラフィックラベル)を設け、移動体(例えば、作業台2)にはこれらグラフィックラベルTP2に対応する光学センサーOT2(第二光学センサー)を設置している(図10図11参照)。側面14及び作業面13の挟角は0度超且つ180度未満である。
各リニアスライド3が上下に歪んでいるかどうかを測定する方式は2本のリニアスライド3が平行かどうかを測定する方式に類似している(図12参照)。まず、上述のステップS10と同じであるステップS50を実行し、且つ上述のステップS31と同じであるステップS51を実行して第三画像及び第四画像を獲得する。次いで、各第三画像を取得した後、上述のステップS12と同じであるステップS52を実行し、グレースケールの第三画像中から指定された画像特徴を探し出し、図13Aに示されるグレースケールの第三画像IM3内に表示されているタグ画像PI2(第二タグ画像)中から画像特徴FI2(第二画像特徴)を探し出す。
また、各第四画像を取得した後、上述のステップS13と同じであるステップS53を実行し、グレースケールの第四画像中から指定された画像特徴を探し出し、図13Bに示されるグレースケールの第四画像IM4内に表示されているタグ画像PI2中から画像特徴FI2を探し出す。同じグラフィックラベルTP2に対応している第三画像及び第四画像中の画像特徴は同じである。
【0029】
最後に、上述のステップS14と同じであるステップS54を実行する。グレースケールの第三画像及び第四画像における上述の画像特徴の位置を比較し、このグラフィックラベルTP2がある位置におけるこの画像特徴の軸方向D1での第三変位量及び軸方向D3での第四変位量を推定し、軸方向D1及び軸方向D3で構成されている平面において、対応しているグラフィックラベルTP2がある位置での個別のリニアスライド3の偏差程度をさらに推定する。
【0030】
同様に、各リニアスライド3が上下に歪んでいるかどうかを測定する他の実施例でも図6に示される2本のリニアスライド3が平行かどうかを測定する方式に類似する方式を採用して実現する。
図10図14に示されるように、まず、上述のステップS10と同じであるステップS50及び上述のステップS21に類似するステップS61を実行し、第三画像を獲得する。その後、上述のステップS22に類似するステップS62及び上述のステップS23に類似するステップS63を実行し、第四画像を獲得する。
【0031】
第三画像を獲得した後、上述のステップS52を実行し、グレースケールの第三画像中から指定された画像特徴を探し出す。第四画像を獲得した後、上述のステップS53を実行し、グレースケールの第四画像中から指定された画像特徴を探し出す。同じグラフィックラベルTP2に対応している第三画像及び第四画像中の画像特徴は同じである。
【0032】
最後に、上述のステップS54を実行し、グレースケールの第三画像及び第四画像における上述の画像特徴の位置を比較し、このグラフィックラベルTP2がある位置におけるこの画像特徴の軸方向D2での第三変位量及び軸方向D3での第四変位量を推定し、軸方向D2及び軸方向D3で構成されている平面中において、対応しているグラフィックラベルTP2がある位置での個別のリニアスライドの偏差程度をさらに推定する。
【0033】
上述の図4図6図8図12、及び図14の各実施例は全て先に同じグラフィックラベルに対応している第一画像及び第二画像を取得した後、この2つの画像に対して画像処理及び特徴の検索を行うが、本発明はこれに限られない。他の実施例では、画像を取得する毎にその画像に対し画像処理及び特徴の検索を行ってもよい。
【0034】
上述の図6及び図14の実施例は共に全てのグラフィックラベルに対し1回だけ1回目の撮影を行った後、全てのグラフィックラベルに対し1回だけ2回目の撮影を行うが、本発明はこれに限られない。他の実施例では、第一進行方向に移動する際に当時のグラフィックラベルに対し1回目の撮影を行うように光学センサーを制御した後、第一進行方向とは反対である第二進行方向に移動する際にこのグラフィックラベルに対し2回目の撮影を行うようにこの光学センサーを制御し、その後、第一進行方向に移動する際に次のグラフィックラベルに対し1回目の撮影を行うように光学センサーを制御し、続いて第二進行方向に移動する際にこのグラフィックラベルに対し2回目の撮影を行うようにこの光学センサーを制御してもよい。
【0035】
本発明では、光学センサーの数量は応用の需要に応じて決定し、上述の各実施例で採用している数量に限られない。
【0036】
上述の図1図3図7A乃至図7C図9A乃至図9B、及び図10の実施例では全て光学センサーOT1/OT2が作業台2に設置されているが、本発明はこれに限られない。他の実施例では、光学センサーOT1/OT2が需要に応じてスライダー32またはナット52(例えば、ナット52のフランジ53)等に設置されてもよい。
【0037】
このほか、上述の2本のリニアスライド3が水平面上で平行かどうか、ボールねじ5にバックラッシュがあるか否か、及び各リニアスライド3が垂直面上で歪んでいるかどうかを測定する各実施例をそれぞれ描写している。しかしながら実際には、上述の少なくとも2種類の応用を同時に実行可能であり、例えば、2本のリニアスライド3が水平面上で平行かどうか及び各リニアスライド3が垂直面上で歪んでいるかどうかの測定を同時に実行してもよい。
【0038】
上述の実施形態は本発明の技術思想及び特徴を説明するためのものにすぎず、当該技術分野を熟知する者に本発明の内容を理解させると共にこれをもって実施させることを目的とし、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。従って、本発明の精神を逸脱せずに行う各種の同様の効果をもつ改良又は変更は、後述の請求項に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0039】
1 旋盤
11 台座
12 凸部
13 作業面
14 側面
2 作業台
3 リニアスライド
31 スライドレール
32 スライダー
4 ベアリング
5 ボールねじ
51 ネジ
52 ナット
53 フランジ
6 カップリング
7 モーター
8 サーバー
81 プロセッサ
D1 軸方向
D2 軸方向
D3 軸方向
FI1 画像特徴
FI2 画像特徴
IM1 グレースケールの第一画像
IM2 グレースケールの第二画像
IM3 グレースケールの第三画像
IM4 グレースケールの第四画像
OT1 光学センサー
OT2 光学センサー
PI1 タグ画像
PI2 タグ画像
TP1 グラフィックラベル
TP2 グラフィックラベル
V1 進行方向
V2 進行方向
【要約】
【課題】フィードシステムの位置の誤差を測定する方法を提供する。
【解決手段】旋盤と、長軸部材と、移動体と、を備えている。前記旋盤の作業面には少なくとも1つのグラフィックラベルが設けられ、前記移動体には光学センサーが装設されている。前記方法は、前記移動体が前記長軸部材に沿って移動するように制御し、且つ前記移動体の移動中に前記光学センサーが前記グラフィックラベルに対しそれぞれ2回の撮影を行うように制御し、第二画像をそれぞれ獲得するステップと、この2つの画像中から同じ画像特徴を選択するステップと、この2つの画像における前記画像特徴の位置を比較し、前記位置の誤差を推定するステップと、を含む。これにより、フィード中に位置の誤差が生じているか否かを即時知ることが可能となる。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14