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特許7074929心臓弁プロテーゼ用ホルダ、心臓弁プロテーゼ用収納装置、ならびに圧着キットおよび方法
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  • 特許-心臓弁プロテーゼ用ホルダ、心臓弁プロテーゼ用収納装置、ならびに圧着キットおよび方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】心臓弁プロテーゼ用ホルダ、心臓弁プロテーゼ用収納装置、ならびに圧着キットおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20220517BHJP
【FI】
A61F2/24
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021515293
(86)(22)【出願日】2018-05-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 IB2018053645
(87)【国際公開番号】W WO2019224580
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】522068636
【氏名又は名称】コーシム・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】ジョルダーノ,ジョバンニ
(72)【発明者】
【氏名】アチルッツィ,モニカ・フランチェスカ
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0261742(US,A1)
【文献】特表2013-540467(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0346106(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0128819(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半径方向に収縮可能なアーマチュア(102)および前記アーマチュア(102)によって担持された人工弁を備える、心臓弁プロテーゼ(100)用のホルダ(1)であって、前記ホルダ(1)が、
長手方向軸(X1)を有し、かつ複数の支持形成部(3)を備える、環状部材(2)であって、前記支持形成部(3)が、前記環状部材(2)の半径方向内方に突出している、環状部材(2)と、
前記環状部材(2)と結合するように構成された係止部材(4)と、を含み、
各支持形成部(3)が、心臓弁プロテーゼ(100)の前記アーマチュア(102)に係合するように構成された結合側面(9)を含み、前記結合側面(9)が、半径方向内方に前記アーマチュア(102)を非拘束状態に保ちながら、前記長手方向軸(X1)に沿った前記アーマチュア(102)の変位を防止するように構成され、また前記長手方向軸(X1)を中心とした前記アーマチュア(102)の回転を防止するように構成され、
前記係止部材(4)が、前記環状部材(2)と取り外し可能に嵌合して、前記支持形成部(3)において半径方向内方に前記アーマチュア(102)に半径方向拘束を提供するように構成されている、ホルダ(1)。
【請求項2】
前記環状部材(2)が、内腔(5)を画定し、前記支持形成部(3)が前記内腔(5)の内方に突出している、請求項1に記載のホルダ(1)。
【請求項3】
前記環状部材(2)が、固定式直線状ガイド(203)との摺動結合用に構成された角度基準部材(19)を含み、前記角度基準部材(19)が前記支持形成部(3)に対する所定位置を有する、請求項1に記載のホルダ(1)。
【請求項4】
前記角度基準部材(19)が、前記環状部材(2)の周縁に設けられ、プリズムガイドのスライダ部材として構成されている、請求項3に記載のホルダ(1)。
【請求項5】
各結合側面(9)が、アーチ状ストラット(108、120)用の結合境界面であり、前記結合境界面が、
円筒状壁(10)と、
前記円筒状壁(10)に設けられ、アーチ状ストラット(108)を受容するように構成されたアーチ状トラック(11)と、を含み、
各結合境界面が、前記環状部材(2)の半径方向内方に面し、
前記支持形成部(3)のうちの少なくとも1つが、前記環状部材(2)に嵌合した時点で前記係止部材(4)を誘導するためのガイド部材(7)を含む、請求項1に記載のホルダ(1)。
【請求項6】
前記ガイド部材(7)が、前記長手方向軸(X1)に平行な方向に前記係止部材(4)を誘導するように構成されている、請求項5に記載のホルダ(1)。
【請求項7】
前記アーチ状トラック(11)が、
前記円筒状壁(10)から、前記環状部材(2)の半径方向内方に突出している歯(12)と、
前記歯(12)の両側に配置された一対のアーチ状突出部(13、14)と、を含む、請求項5に記載のホルダ(1)。
【請求項8】
前記アーチ状突出部(13、14)が、前記歯(12)に対応して互いから離間されている、請求項7に記載のホルダ(1)。
【請求項9】
前記係止部材(4)が、前記長手方向軸(X1)に対して同軸に前記環状部材(2)に嵌合するように構成されたハブ部材であって、前記係止部材(4)が前記環状部材(2)に嵌合しているときに、前記支持形成部(3)間に定置されるように構成された円筒形部分(16)を含む、ハブ部材である、請求項1~8のいずれか1項に記載のホルダ(1)。
【請求項10】
前記係止部材(4)が、前記支持形成部(3)のガイド部材(7)と摺動可能に結合するように構成された、ガイド部分をさらに含み、前記ガイド部分はリム(17)に設けられている、請求項9に記載のホルダ(1)。
【請求項11】
前記ガイド部分が、前記支持形成部(3)の軸方向端部分に当接するようにさらに構成されている、請求項10に記載のホルダ(1)。
【請求項12】
半径方向に収縮可能なアーマチュア(102)と、前記アーマチュア(102)によって担持された人工心臓弁と、を有する、心臓弁プロテーゼ(100)をさらに含み、前記アーマチュア(102)が、
環状部(106)と、
前記環状部(106)によって担持されたアーチ状ストラット(108)のパターンであって、前記アーチ状ストラット(108)のパターンが、前記環状部(106)に接続された近位端(110)と、前記近位端(110)から、前記環状部(106)とは反対側に軸方向に離間された遠位端(112)と、を有する、パターンと、を含み、
前記アーチ状ストラット(108)の遠位部分(120)が、前記支持形成部(3)の対応する結合側面(9)に係合する、請求項1~11のいずれか1項に記載のホルダ(1)。
【請求項13】
前記アーチ状ストラット(108)の前記遠位部分(120)が、前記結合側面(9)のアーチ状トラック(11)に受容されている、請求項12に記載のホルダ(1)。
【請求項14】
半径方向に収縮可能なアーマチュア(102)および前記アーマチュア(102)によって担持された人工弁を備える、心臓弁プロテーゼ(100)用のホルダ(1)であって、前記ホルダ(1)が、
長手方向軸(X1)を有し、かつ複数の支持形成部(3)を備える、環状部材(2)と、
前記環状部材(2)と結合するように構成された係止部材(4)と、を含み、
各支持形成部(3)が、前記長手方向軸(X1)に沿った前記アーマチュア(102)の変位、および前記長手方向軸(X1)を中心とした前記アーマチュア(102)の回転を防止するために、心臓弁プロテーゼ(100)の前記アーマチュア(102)に係合するように構成された結合特徴(9)を含み、
前記係止部材(4)が、前記環状部材(2)と取り外し可能に嵌合して、前記支持形成部(3)において半径方向内方に前記アーマチュア(102)に半径方向拘束を提供するように構成されている、ホルダ(1)。
【請求項15】
各結合特徴(9)が、アーチ状ストラット(108、120)用の結合境界面を提供し、前記結合境界面が、
円筒状壁(10)と、
前記円筒状壁(10)に設けられ、アーチ状ストラット(108)を受容するように構成されたアーチ状トラック(11)と、を含み、
各結合境界面が、前記環状部材(2)の半径方向内方に面している、請求項14に記載のホルダ(1)。
【請求項16】
前記支持形成部(3)のうちの少なくとも1つが、前記環状部材(2)に嵌合した時点で前記係止部材(4)を誘導するためのガイド部材(7)を含む、請求項14に記載のホルダ(1)。
【請求項17】
前記係止部材(4)が、その前記長手方向軸(X1)に対して同軸に前記環状部材(2)に嵌合するように構成されたハブ部材であって、前記係止部材(4)が前記環状部材(2)に嵌合しているときに、前記支持形成部(3)間に定置されるように構成された円筒形部分(16)を含む、ハブ部材である、請求項14に記載のホルダ(1)。
【請求項18】
前記環状部材(2)が、固定式直線状ガイド(203)との摺動結合用に構成された角度基準部材(19)を含み、前記角度基準部材(19)が、前記支持形成部(3)に対する所定位置を有する、請求項14に記載のホルダ(1)。
【請求項19】
人工心臓弁保管キット(S)であって、
請求項1~18のいずれか1項に記載のホルダ(1)と、
半径方向に収縮可能なアーマチュア(102)および前記アーマチュア(102)によって担持された人工弁を備える、心臓弁プロテーゼ(100)であって、前記支持形成部(3)において前記ホルダ(1)に結合されている、心臓弁プロテーゼ(100)と、
保存液で充填された容器(J)であって、前記ホルダ(1)が、前記心臓弁プロテーゼ(100)が前記保存液に浸された状態の前記容器(J)に配置されている、容器(J)と、を含む、人工心臓弁保管キット(S)。
【請求項20】
圧着キット(200)であって、
長手方向軸(X200)を有する圧着開口(202)付きの圧着器具(201)と、
前記長手方向軸(X200)に平行に配向された直線状ガイド(203)と、
請求項3または請求項4または請求項18に記載のホルダ(1)と、
半径方向に収縮可能なアーマチュア(102)および前記アーマチュア(102)によって担持された人工弁を備える、心臓弁プロテーゼ(100)であって、前記支持形成部(3)において前記ホルダ(1)に結合されている、心臓弁プロテーゼ(100)と、を含み、
前記ホルダ(1)の前記角度基準部材(19)が、その前記長手方向軸(X200)に沿って、前記圧着開口(202)への人工心臓弁の軸方向挿入を提供するように、前記直線状ガイド(203)に摺動可能に結合されている、圧着キット(200)。
【請求項21】
半径方向に収縮可能なアーマチュア(102)および前記アーマチュア(102)によって担持された人工弁を備える、心臓弁プロテーゼ(100)を圧着する方法であって、
請求項3または請求項4または請求項18に記載のホルダ(1)を提供することであって、前記ホルダ(1)が、半径方向に収縮可能なアーマチュア(102)および前記アーマチュア(102)によって担持された人工弁を含む、心臓弁プロテーゼ(100)をさらに備え、前記心臓弁プロテーゼ(100)が前記ホルダ(1)に結合されている、提供することと、
請求項20に記載の圧着キット(200)を提供することと、
前記心臓弁プロテーゼ(100)を圧着開口(202)に差し入れるために、前記圧着開口(202)から遠位の位置で、前記圧着キット(200)の直線状ガイド(203)と、前記ホルダ(1)の前記角度基準部材(19)を嵌合させることと、
前記直線状ガイド(203)に沿って前記ホルダ(1)を進ませ、前記心臓弁プロテーゼ(100)を前記圧着開口(202)に挿入することと、
前記ホルダ(1)の前記環状部材(2)から前記係止部材(4)を取り除くことと、
前記心臓弁プロテーゼ(100)を圧着させ、それにより、前記環状部材(2)の前記支持形成部(3)から前記アーマチュア(102)を係脱させることと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、心臓弁プロテーゼの移植に先立つ術前処置中に、半径方向に収縮可能なアーマチュアおよびアーマチュアによって担持される人工心臓弁を含む心臓弁プロテーゼなどの移植可能な医療デバイスを操作するためのホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
心臓弁手術および心臓インターベンションの分野では、医療デバイスの取り扱いの容易さ、および外科的インターベンションと手順の実行に必要な時間の短縮が、医療および技術研究の関心のあるトピックである。
【0003】
例えば無縫合弁プロテーゼなどの拡張可能な心臓弁プロテーゼの移植に関して、現在の慣行は、心臓弁プロテーゼがその完全性を維持し、プロテーゼの構造内に空気が閉じ込められるのを防止するために、無菌環境に保管されるべきであると提供されている。
【0004】
また、そのようなプロテーゼは、例えば、低侵襲的または経皮的処置において、圧着される、すなわち、放射状に折りたたまれ、送達器具に結合されて、移植部位に送達される必要があり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
移植可能な医療デバイスの圧着は、多くの重要な問題存在し得る。圧着操作を容易にするために、異なる特徴を備えた多くの圧着デバイスが考案されてきたが、そのようなステップは、実行するのにかなり慎重を要し複雑なままである可能性がある。
【0006】
心臓弁プロテーゼを送達器具に圧着する際の施術者にとっての課題の1つは、圧着デバイス上の移植可能なデバイスの所望の位置、特に所望の角度位置を達成することにある。様々な従来技術のデバイスにおいて、送達器具は、施術者が移植部位にプロテーゼを正しく位置決めするのを助けることを目的とした角度指標(例えば、大動脈弁または三尖弁の交連を識別することを目的とするマーカー)を備えている。
【0007】
心臓弁プロテーゼを移植する際の施術者にとっての別の課題は、保管施設(典型的に、保存用の滅菌溶液で充填されたいわゆる「ジャー」)から圧着器具へのプロテーゼの取り扱いである。様々な現在の解決策は、複数の取り扱いデバイスまたはバルブの手動操作のいずれかを必要とし、これらは両方とも、簡単で完璧なバルブ位置決め手順の見通しの下では望ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
半径方向に収縮可能なアーマチュアおよび当該アーマチュアによって担持された人工弁を備える、心臓弁プロテーゼ用のホルダの第1の例。ホルダは、長手方向軸を有し、複数の支持形成部を備える、環状部材であって、当該支持形成部が当該環状部材の半径方向内方に突出している、環状部材と、当該環状部材と結合するように構成された係止部材と、を含む。この場合、各支持形成部は、心臓弁プロテーゼのアーマチュアに係合するように構成された結合側面を含み、結合側面は、半径方向内方にアーマチュアを非拘束状態に保ちながら、当該長手方向軸に沿ったアーマチュアの変位を防止するように構成され、また長手方向軸を中心としたアーマチュアの回転を防止するように構成されている。係止部材は、環状部材と取り外し可能に嵌合して、支持形成部において半径方向内方にアーマチュアに半径方向拘束を提供するように構成されている。
【0009】
環状部材が、内腔を画定し、支持形成部が当該内腔の内方に突出している、第1の例に記載の第2の例。
【0010】
環状部材が、固定式直線状ガイドとの摺動結合用に構成された角度基準部材を含み、角度基準部材が、支持形成部に対する所定位置を有する、第1の例に記載の第3の例。
【0011】
角度基準部材が、当該環状部材の周縁に設けられ、プリズムガイドのスライダ部材として構成されている、第3の例に記載の第4の例。
【0012】
各結合側面が、アーチ状ストラット用の結合境界面であり、結合境界面が、円筒状壁と、円筒状壁に設けられ、アーチ状ストラットを受容するように構成されたアーチ状トラックと、を含み、各結合境界面が、当該環状部材の半径方向内方に面している、第1の例に記載の第5の例。この場合、当該支持形成部のうちの少なくとも1つが、環状部材に嵌合した時点で当該係止部材を誘導するためのガイド部材を含む。
【0013】
当該ガイド部材が、当該長手方向軸に平行な方向に当該係止部材を誘導するように構成されている、第5の例に記載の第6の例。
【0014】
当該アーチ状トラックが、円筒状壁から、環状部材の半径方向内方に突出している歯と、当該歯の両側に配置された一対のアーチ状突出部と、を含む、第5の例に記載の第7の例。
【0015】
当該アーチ状突出部が、当該歯に対応して互いから離間されている、第7の例に記載の第8の例。
【0016】
当該係止部材が、その長手方向軸に対して同軸に環状部材に嵌合するように構成されたハブ部材であって、係止部材が環状部材に嵌合しているときに、支持形成部間に定置されるように構成された円筒形部分を含む、ハブ部材である、第1~第8の例のいずれかに記載の第9の例。
【0017】
係止部材が、支持形成部のガイド部材と摺動可能に結合するように構成された、具体的にはリムに設けられた、ガイド部分をさらに含む、第9の例に記載の第10の例。
【0018】
ガイド部分が、支持形成部の軸方向端部分に当接するようにさらに構成されている、第10の例に記載の第11の例。
【0019】
半径方向に収縮可能なアーマチュアと、当該アーマチュアによって担持された人工心臓弁と、を有する心臓弁プロテーゼをさらに含む、第1~第11の例のいずれかに記載の第12の例。アーマチュアは、環状部と、当該環状部によって担持されたアーチ状ストラットのパターンと、を含む。当該アーチ状ストラットのパターンは、当該環状部に接続された近位端と、近位端から、当該環状部分(106)とは反対側に軸方向に離間された遠位端と、を有する。この場合、アーチ状ストラットの遠位部分は、支持形成部の対応する結合側面に係合する。
【0020】
アーチ状ストラットの遠位部分が、結合側面のアーチ状トラックに受容されている、第12の例に記載の第13の例。
【0021】
半径方向に収縮可能なアーマチュアおよび当該アーマチュアによって担持された人工弁を備える、心臓弁プロテーゼ用のホルダの第14の例であって、ホルダは、
長手方向軸を有し、複数の支持形成部を備える、環状部材と、
当該環状部材と結合するように構成された係止部材と、を含み、
各支持形成部が、当該長手方向軸に沿ったアーマチュアの変位、および長手方向軸を中心としたアーマチュアの回転を防止するために、心臓弁プロテーゼのアーマチュアに係合するように構成された結合特徴を含み、
係止部材が、環状部材と取り外し可能に嵌合して、支持形成部において半径方向内方にアーマチュアに半径方向拘束を提供するように構成されている、ホルダの第14の例。
【0022】
各結合特徴が、アーチ状ストラット用の結合境界面を提供し、結合境界面が、
円筒状壁と、
円筒状壁に設けられ、アーチ状ストラットを受容するように構成されたアーチ状トラックと、を含み、
各結合境界面が、当該環状部材の半径方向内方に面している、第14の例に記載の第15の例。
【0023】
当該支持形成部のうちの少なくとも1つが、環状部材に嵌合した時点で当該係止部材を誘導するためのガイド部材を含む、第14の例に記載の第16の例。
【0024】
当該係止部材が、その長手方向軸に対して同軸に環状部材に嵌合するように構成されたハブ部材であって、係止部材が環状部材に嵌合しているときに、支持形成部間に定置されるように構成された円筒形部分を含む、ハブ部材である、第14の例に記載の第17の例。
【0025】
環状部材が、固定式直線状ガイドとの摺動結合用に構成された角度基準部材を含み、角度基準部材が支持形成部に対する所定位置を有する、第14の例に記載の第18の例。
【0026】
人工心臓弁保管キットの第19の例であって、
第1~第18の例に記載のホルダと、
半径方向に収縮可能なアーマチュアおよび当該アーマチュアによって担持された人工弁を備える、心臓弁プロテーゼであって、支持形成部においてホルダに結合されている、心臓弁プロテーゼと、
保存液で充填された容器であって、ホルダが、心臓弁プロテーゼが保存液に浸された状態の容器に配置されている、容器と、を含む、人工心臓弁保管キットの第19の例。
【0027】
圧着キットの第20の例であって、
長手方向軸を有する圧着開口付きの圧着器具と、
長手方向軸に平行に配向された直線状ガイドと、
第3~第13の例のいずれか、または第18の例に記載のホルダと、
半径方向に収縮可能なアーマチュアおよび当該アーマチュアによって担持された人工弁を備える、心臓弁プロテーゼであって、支持形成部において当該ホルダに結合されている、心臓弁プロテーゼと、を含み、
ホルダの角度基準部材が、その長手方向軸に沿って、圧着開口への人工心臓弁の軸方向挿入を提供するように、当該直線状ガイドに摺動可能に結合されている、圧着キットの第20の例。
【0028】
半径方向に収縮可能なアーマチュアおよび当該アーマチュアによって担持された人工弁を備える、心臓弁プロテーゼを圧着する方法の第21の例であって、
第3~第13の例のいずれか、または第18の例に記載のホルダを提供することであって、ホルダが、半径方向に収縮可能なアーマチュアおよび当該アーマチュアによって担持された人工弁を含む、心臓弁プロテーゼをさらに備え、心臓弁プロテーゼがホルダに結合されている、提供することと、
第20の例に記載の圧着キットを提供することと、
心臓弁プロテーゼを圧着開口に差し入れるために、圧着開口から遠位の位置で、圧着キットの直線状ガイドと、ホルダの角度基準部材を嵌合させることと、
直線状ガイドに沿ってホルダを進ませ、心臓弁プロテーゼを圧着開口に挿入することと、
ホルダの環状部材から係止部材を取り除くことと、
心臓弁プロテーゼを圧着させ、それにより、環状部材の支持形成部からアーマチュアを係脱させることと、を含む、方法の第21の例。
【0029】
複数の実施形態が開示されているが、本開示のさらに他の実施形態は、本開示の例示的な実施形態を示し、説明する以下の詳細な説明から当業者には明らかになるであろう。したがって、図面および詳細な説明は、本質的に例示と見なされるべきであり、限定と見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
様々な実施形態が、純粋に非限定的な例によって提供される添付図面を参照して説明される。
【0031】
図1】様々な実施形態による、ホルダの斜視図である。
図2A】様々な実施形態による、図1のホルダの第1の要素の斜視図である。
図2B】様々な実施形態による、図2Aの要素の一部の図である。
図3】様々な実施形態による、図1のホルダの第2の要素の斜視図である。
図4A】様々な実施形態による、心臓弁プロテーゼが結合された図1のホルダの斜視図である。
図4B】様々な実施形態による、図4Aの心臓弁プロテーゼの例示的なアーマチュアの斜視図である。
図5】様々な実施形態による、保管キットの断面図である。
図6A】様々な実施形態による、圧着キットの例示であり、様々な実施形態による、圧着方法のそれぞれのステップを表す。
図6B】様々な実施形態による、図6Aに対応する縦断面図である。
図7A】様々な実施形態による、圧着キットの例示であり、様々な実施形態による、圧着方法のそれぞれのステップを表す。
図7B】様々な実施形態による、図7Aに対応する縦断面図である。
図8】様々な実施形態による、圧着キットの例示であり、様々な実施形態による、圧着方法のそれぞれのステップを表す。
【0032】
本開示は、様々な修正形態および代替形態が可能であるが、特定の実施形態が、例として図面に示され、以下で詳細に説明されている。しかしながら、その意図は、記載された特定の実施形態に開示を限定することではない。それどころか、本開示は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲内にあるすべての修正、等価物、および代替物を網羅することを意図している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1を参照して、参照番号1は、本明細書の様々な実施形態による心臓弁プロテーゼ用のホルダを指定する。ホルダ1は、半径方向に収縮可能なアーマチュア(armature)およびアーマチュアによって担持される人工弁を含む心臓弁プロテーゼなどの移植可能な医療デバイスを支持するために使用され得る。例えば、それと同日付けで、同じ出願者の名前で提出された、PCT出願番号第PCT/IB2018/053640号には、例示的な心臓弁プロテーゼが開示されている。
【0034】
実施形態では、ホルダ1は、長手方向軸X1(これもホルダ軸に対応する)を有し、かつ複数の支持形成部3を備える環状部材2と、環状部材2の半径方向内方に突出している支持形成部3と、環状部材2と結合するように構成された係止部材4と、を含む。
【0035】
各支持形成部3は、ホルダ1によって支持された心臓弁プロテーゼのアーマチュアと係合するように構成された結合特徴を含み、結合特徴は、半径方向内方にアーマチュアを非拘束状態に保ちながら、長手方向軸X1に沿ったアーマチュアの変位を制限するように構成されている。係止部材4は、環状部材2と取り外し可能に嵌合して、支持形成部3において半径方向内方にアーマチュアに半径方向拘束を提供するように構成される。
【0036】
実施形態では、係止部材4は、環状部材2に取り外し可能に結合し、結合は、軸X1に沿った係止部材4の軸方向の摺動と、支持形成部3の中に入ることによって起こり、それによって、係止部材4は、支持形成部3の間に位置し、環状部材2に嵌合したときに、少なくとも部分的に同じものと重なるようになる。
【0037】
図2Aを参照すると、実施形態では、環状部材2は、支持形成部3がスポーク状に半径方向内方に突出する周辺リム5を含む。周辺リム5は、プロテーゼのための内腔6を画定しており、支持形成部3は内腔6内に突出している。
【0038】
支持形成部3の数および位置は、一般に、ホルダ1に結合される心臓弁プロテーゼの特定の特徴に依存し得る。図に示された実施形態では、支持形成部は、3個あり、均一な角度オフセット(120度)を有し、ホルダ1が大動脈心臓弁プロテーゼのアーマチュアに結合するように構成されていることを証明している。
【0039】
そのようなプロテーゼの実施形態は、参照番号100に関連付けられた図4Bに見ることができる。心臓弁プロテーゼ100は、移植部位に弁プロテーゼを固定するためのアーマチュア102を含む。アーマチュア102は、血流の通過のための内腔を画定し、長手方向軸X1を有する。
【0040】
プロテーゼ100は、アーマチュア102によって支持された1セットの人工弁リーフレット104も含み、1セットの人工弁リーフレットは、軸X1の方向にほぼ対応する主流方向を有する血流作用下で、半径方向に分岐した状態で動き、第1の方向で内腔を通る血流を可能にし、また、弁リーフレット4が互いに連携する、半径方向に収縮した状態では、第1の方向とは反対の方向で、プロテーゼ1を通る血流を阻止することを可能にするように、構成されている。これは、一般にリーフレット接合と称される。
【0041】
人工リーフレット4は、交換用心臓弁としての動作と互換性のある任意の数であり得る。いくつかの実施形態では、セットは、一対のリーフレットを含む。図に示されるようないくつかの実施形態では、セットは、3つの人工弁リーフレット4(例えば、大動脈弁プロテーゼの場合)を含む。他の実施形態では、セットは4つのリーフレット4を含み得る。
【0042】
アーマチュア102は、環状部分106、および環状部106によって担持されるアーチ状ストラット108のパターンを含む。環状部106は、プロテーゼの移植部位への送達に関連付けられた半径方向に収縮した状態から、プロテーゼが移植部位で保留された半径方向に拡張した状態に拡張可能な構造を有する。実施形態では、環状部は、多角形(六角形、菱形など)を有する複数のストラット群(セル)の環状パターンを含むメッシュ構造を有し得る。
【0043】
実施形態では、環状部は、シーリングカフSCなどのカフによって覆われて、移植部位にシーリングを提供し、カフは、アーマチュア102の内腔の外側に配置されている。有利には、カフは、環状部分106に縫い付けられるか、または縫い合わせられてもよい。
【0044】
前述のように、弁スリーブを製造するために使用される技法に応じて、カフSCは、人工弁リーフレット104のセットと一体であってもよい。
【0045】
アーチ状ストラット108のパターンは、環状部106に接続された近位端110と、近位端110から軸方向に離間されて、環状部106の反対側のアーマチュア102の端に配置された遠位端112と、を含む。実施形態では、遠位端112は、アーマチュア102の遠位端と一致し、アーマチュア102の遠位端が全体としてプロテーゼ100の遠位端と一致する実施形態では、遠位端112は、同様にプロテーゼの遠位端と一致する。
【0046】
アーマチュア102は、環状部106の半径方向外方に突出するように構成されたアンカー形成部116の複数のセット114であって、各セット114が、環状部106および対応するアーチ状ストラット108のうちの少なくとも1つによって支持されている、複数のセット114と、複数の支持ポスト118であって、各々が、隣接するアーチ状ストラット108によって支持されている、複数の支持ポスト118と、をさらに含む。ここで、アンカー形成部116のセット114は、長手方向軸X1の周りで支持ポスト118と交互に配置される。実施形態では、支持ポスト118は、隣接するアーチ状ストラット108に対して片持ちであり、人工弁の固定位置、具体的には、弁の交連点でのプリーツ形成部PFのための固定位置として構成されている。
【0047】
各アーチ状ストラット8は、第1の近位端110から遠位端112まで延在し、次いで第2の近位端110まで谷-ピーク-谷の順序で延在し、谷は近位端110に位置し、ピークは遠位端112に位置している。実施形態では、アーチ状ストラットのパターンは、3つの隣接する、好ましくは同一のアーチ状ストラット108(図内のものなど)を含む。
【0048】
アーチ状ストラット108のパターンは、遠位端112に位置する遠位部分120と、近位端110に位置するストラット間部分122と、を含む。遠位部分120は、例えば、図に示されるようなC形状を呈することによって、ストラットの形状に顕著な局所的ばらつきを提供するように形作られ得る。遠位部分120は、送達カテーテルの担持部分の弁ホルダまたはハブなどの他のデバイスのための結合位置を提供し得る。他の実施形態では、遠位部分120は、目またはアイレットなどの閉ループ構造として提供され得る。
【0049】
実施形態では、ストラット間部分122は、実質的にV字形であり、同じ近位端110から出発する隣接するアーチ状ストラットの根によって画定される。実施形態では、ストラット間部分122は、例えば、各ストラット間部分122が環状部106のメッシュを通って延在する図に示されるようなY字形を呈してもよい。代替的に、ストラット間部分122のために、U字形が想定され得る。実施形態では、環状部106のメッシュは、対角線(典型的には最短の対角線)の端点で互いに順次接続され、それに応じて、接続点のシーケンスを通って延在する円周の反対側の自由端の同一の円形パターンを呈する、菱形ストラット群(セル)のシーケンスとして提供される。Y字形のストラット間部分122は、このようにして、隣接する2つの菱形ストラット群間の選択された接続点に一体形成され、アーマチュア102の近位端よりもさらに延在し得ない。
【0050】
支持ポスト118は、ストラット間位置、すなわち、ストラット間部分122(および2つの隣接するアーチ状ストラット108によって共有される近位端110と同様に)が提供されている領域に配置された円周方向位置に角度を付けて配置される。支持ポストは、第1および第2のカンチレバーストラット124、126を介してストラット間部分122に介在する隣接するアーチ状ストラット8の両方に片持ちとして提供され得、各々は、図に示すように、当該隣接するアーチ状ストラット8の対応する1つに接続される。カンチレバーストラット124、126は、近位端110から遠位端112まで延在するアーチ状ストラット108の部分のほぼ半分を通って、それぞれのアーチ状ストラット108上の位置から出発して、対応する各ポスト118に合流する。Y字状またはU字状のストラット間部分122が形成される接続点は、同じ部分が軸X1の周りに等しく離間される(角度方向)ように選択することができる。同じことが、軸X1の周りに等しく離間される(角度方向)ように配置され得る支持ポスト118にも適応される。
【0051】
図に示された実施形態では、アーマチュア102は、軸X1の周りの順序が、ポスト118-セット114-ポスト118-セット114-ポスト118-セット114であるように、3つのアーチ状ストラット108、軸X1の周りに120度離間された3つのポスト118、および3つのセット114を含む(この意味では、ストラット108およびセット114でさえも120度のような分布に従う)。実施形態では、3つのセット114は、各一対のアンカー形成部116を含み、各セット114(およびそれに応じて各アンカー形成部116)は、環状部106と対応するアーチ状ストラット108との間で橋渡し方向に延在する。
【0052】
再び図2Aを参照すると、実施形態では、各支持形成部は、半径方向タブ部材7と、タブ部材7の半径方向内方の端に配置された円周方向タブ部材8と、を含む。そのような実施形態では、円周方向タブ部材8は、一般に、タブ部材7に直交し得る。実施形態では、円周方向タブ部材8は、支持形成部3の結合特徴を担持し、結合特徴は、一般に図において9として示されている。実施形態では、結合特徴9は、結合プロファイルであり得る。タブ8上の位置のために、各結合側面または結合特徴は、環状部材2の半径方向内方に面している。実施形態では、結合側面9は、凹型側面であり、プロテーゼを少なくとも部分的にホルダに固定するように、プロテーゼのアーマチュアの一部-例えばストラットを受容するように構成されている。
【0053】
実施形態では、各結合側面9は、タブ8の半径方向に最も内側の壁であり得る円筒状壁10と、円筒状壁10上に設けられ、プロテーゼ100のアーチ状ストラット108、特にその遠位部分120を受容するように構成されたアーチ状トラック11(図2B)と、を備える結合境界面である。実施形態では、アーチ状トラック11は、弁アーマチュアの任意のアーチ状ストラットを受容することができ、必ずしもプロテーゼ100内のものである必要はない。実施形態では、アーチ状トラック11は凹型トラックである。
【0054】
アーチ状トラック(図2B)は、環状部材2の半径方向内方に円筒状壁10から突出している(すなわち、内腔6内に突出している)歯12と、歯12の反対側に配置され、同様に環状部材2の半径方向内方に突出している一対のアーチ状突出部13、14と、を含み得る。
【0055】
実施形態では、アーチ状突出部13、14は、その間に隙間15を提供するように、歯12に対応して互いから離間されている。隙間15は、特に、プロテーゼアーマチュアのアーチ状ストラットが、間隙15を(スナップフィット的に)貫通することができるヘアピンのような形状を呈する場合に、アーチ状トラック11への追加の結合位置として機能し得る。
【0056】
しかしながら、特定の結合要件に応じて、結合側面は凹部の代わりにレリーフとして提供される場合があることに留意すべきである。これらの実施形態では、レリーフは、心臓弁プロテーゼのアーマチュアの一致する特徴と、その半径方向外方に結合する。アーマチュアの半径方向に収縮可能/拡張可能な環状部分のメッシュは、そのような一致する特徴の一例であり得る。
【0057】
図2A図4A、および図4Bを組み合わせて参照すると、実施形態では、プロテーゼ100(これは、アーマチュアメッシュのアーチ状またはループ状部分を含むアーチ状ストラットを特徴とする収縮可能なアーマチュアを有する任意のプロテーゼに適用される)は、アーチ状ストラット108、-特にその遠位部分120-が、歯12のアーチ状トラック11にまたがって受容されるように、ホルダ1に結合される。結果として、アーマチュア102の軸方向の変位は制限されるか、または実質的に防止され、軸X1の周りの任意の回転運動も同様に防止され(したがって、ホルダ1に対するプロテーゼ100の所定の角度配向を提供する)、一方、アーマチュア102の収縮に関連して支持形成部3によって半径方向拘束が提供されないため、環状部材2の内方への半径方向の変位(すなわち、内腔6の内方への変位)は完全に許容されたままである。次に、係止部材4は、プロテーゼ100のアーマチュアが支持形成部2と係止部材4との間に位置する状態で、支持形成部3の間に定置されるように、内腔6内に軸方向に挿入される。
【0058】
実施形態では、支持形成部の少なくとも1つ、-好ましくはすべて-が、環状部材2に結合した時点で係止部材4を誘導するためのガイド部材を含む。対応するタブ7への嵌合側面が提供され得る、係止部材4用の直線状ガイドとして働くことのできる正にその半径方向のタブ7によって、図に描写されるものなどのガイド部材が、実施形態において提供され得る。他の実施形態では、ガイド部材は、特に、ガイド部材が支持形成部3のパターンから角度的にずれた位置の環状部材2のリム5上に位置するパターンにグループ化されている実施形態では、支持形成部とは別個の部材であり得る。
【0059】
どんな実施形態でも、環状部材上のガイド部材は、長手方向軸X1に対して平行の方向に係止部材4を誘導するように構成されている。
【0060】
実施形態では(図3)、係止部材4は、その長手方向軸X1に対して同軸に環状部材2に嵌合するように構成されたハブ部材として提供され、ハブ部材は、支持形成部3間に定置されて、プロテーゼ100のアーマチュアに半径方向拘束、具体的には環状部材2の内方に半径方向拘束を提供するように構成された円筒状部16を含む。実施形態では、係止部材4は、プロテーゼの拘束に対して半径方向の係止作用を提供し、プロテーゼは、支持形成部3によって軸方向かつ回転方向に係止され、同様に、アーマチュア102の膨張に対して、同じ形成部によって半径方向に係止され、環状部材2によって奪い取られない唯一の自由度は、アーマチュア102の半径方向の収縮からなる。この意味では、支持形成部3間にハブ部分16を有する係止部材4の位置付けによって、アーマチュアが係止部材4の支持形成部とハブ部分との間に挟まれると、この最後の自由度が奪い取られる。
【0061】
実施形態では、係止部材4は、具体的にはリム17上に設けられたガイド部分をさらに含み得、ガイド部分は、支持形成部3のガイド部材と、具体的にはタブ7と摺動可能に結合するように構成され、リム17は、一実施形態において、半径方向のタブ7と嵌合して、それとの摺動結合をもたらすように構成された複数のノッチを含み得る。
【0062】
追加的に、実施形態では、リム17は、支持形成部3の軸方向端部分に、具体的にはタブ8に当接して、形成部3間の係止部材4の貫入を制限し、支持形成部3に対して係止部材を正しく位置付けするように構成されている。
【0063】
実施形態では、環状部材2は、固定式直線状ガイドと摺動結合するように構成された角度基準部材19を含む。角度基準部材19は、支持形成部3に対する所定位置を有し、同様に、支持形成部3は、それらが担持しているプロテーゼの構造に固有の配置(したがって、上で述べた通り、プロテーゼそのものに対する所定角度位置)を有する。このように、角度基準部材19は、軸X1を中心としたプロテーゼの角度配向を一義的に表している。
【0064】
実施形態では、角度基準部材19は、具体的にはリム5の割り振りとして、環状部材2の周縁に設けられ、プリズムガイドのスライダ部材として構成されている。このような実施形態では、角度基準部材19は、2つの側部半径方向のタブ20、21と、タブ20とタブ21との間に位置する円筒壁22と、を含む。他の実施形態では、角度基準部材は、スライダ特徴を維持しながら、リム5上に、三角形または他の多角形のノッチとして設けられ得る。
【0065】
図5を参照すると、実施形態において、ホルダ100は、半径方向に収縮可能なアーマチュア(アーマチュア102など)と、当該アーマチュアによって担持された人工弁と、を備える、心臓弁プロテーゼ100用の保管キットSの一部であり得る。
【0066】
実施形態では、保管キットSは、ホルダ1と、ホルダ1に結合された、すなわち、環状部材2によって軸方向に回転可能に係止され、また環状部材2および係止部材4の両方によってさらに半径方向に係止されるように、支持形成部3に結合された、プロテーゼ100と、を含む。
【0067】
実施形態では、保管キットSは、保存液Jで充填され、シールSLの介入で、キャップCによって閉じられる容器(いわゆる「ジャー」)をさらに含む。
【0068】
プロテーゼ100が取り付けられたホルダ1は、心臓弁プロテーゼ100が保存液に浸された容器Jに配置されている。実施形態では、容器Jの内部には、リム5の周縁上のノッチに係合して、容器J内でホルダを誘導し、それを回転しないように押えるとともに、容器J内でホルダの軸方向位置を設定するように構成された軸方向リブRが設けられている。
【0069】
図6A図8を参照すると、参照番号200は、様々な実施形態による圧着キットを示す。実施形態では、圧着キット200は、長手方向軸X200を有する圧着開口202付きの圧着器具201を含み、圧着器具は、基礎部材B上に取り付けられているのが好ましく、直線状ガイド203は、長手方向軸X200に平行に配向され、ホルダ1には心臓弁プロテーゼ100が結合されている。
【0070】
任意選択的に、圧着キット200には、保存キットSにホルダ1(取り付けられたプロテーゼ100を有する)が付属し、それにより、必要なときに手術室で展開され得る独立型パッケージを提供することができる。
【0071】
キット200は、プロテーゼ100の圧着作業および取り込み作業の間、プロテーゼの取り込みに向けて軸X200に対して同軸に位置付けられている、送達器具の軸用の支持ポスト204も含み得る。ポスト204は、異なる送達器具の長さに適応するように、軸X200に平行な方向に、直線運動X204+/-することができる摺動要素として提供され得る。
【0072】
圧着キット200は、ホルダ1の特徴に基づくプロテーゼ100の素早いフェイルセーフの圧着手順を可能にする。
【0073】
キット200と、プロテーゼ100が取り付けられたホルダ1が提供されると、ホルダ1は、施術者によって(または手術室の医療補助員によって)つかまれ、直線状ガイド203に結合され得る。具体的には、プラズマガイドを組み立てるために、環状要素2上の角度基準部材19を直線状ガイド203と嵌合させ、角度基準部材19(それに従って全体としてのホルダ1)が、スライダとして働く一方、ガイド203がスライダ用のガイド部材として働く。ホルダ1がプロテーゼに対する「訓練」位置にある間、プロテーゼ100を圧着器具201の圧着開口202に差し込むために、ホルダ1がガイド203に嵌合される。
【0074】
次に、プロテーゼ100が取り付けられたホルダ1が、ガイド203に沿って圧着開口202に向かって進み(図6Aにおける変位X203)、それにより、心臓弁プロテーゼ100を圧着開口202に挿入し、後に、係止部材4の取り除きの対象である、器具200(図6B)の圧着部材によって心臓弁プロテーゼ100が収縮されるのを可能にする位置に、アーマチュア102を設定することができる。圧着開口202への心臓弁プロテーゼ100の挿入全体にわたり、プロテーゼがその置き間違いをもたらす所望されない変位を受けることがないように、係止部材4が環状部材2に結合されたままである。
【0075】
ホルダ1により、プロテーゼ100は、ホルダ1へのプロテーゼ100の結合時にそれに与えられた位置付けを維持する。すでに述べた通り、圧着特徴または圧着側面9を有する支持形成部3は、プロテーゼ100を軸方向並進、軸X1を中心とした回転、また半径方向外方への膨張から防止する。このように、角度基準部材19が、軸X1を中心としたプロテーゼ100の実際の配向を一義的に表している。ホルダ1がガイド203に嵌合されると、軸X1およびX200が一列に並び、プロテーゼ100の管状位置も圧着器具201(および圧着開口202)に対して完全に画定されるようになる。それにより、角度基準部材19は、プロテーゼ100の環状置き間違いのリスクを排除し、またガイドへのスライダの嵌合など、極めて簡単な作業で済むようにする。追加的に、係止部材4の備えは、操作中の弁プロテーゼ100の変位を回避する。
【0076】
プロテーゼ100が圧着開口202に完全に入ると、プロテーゼは、半径方向収縮に対してクリアであるものとする。これは、様々な実施形態では、ホルダ1の環状部材2からの係止部材4の取り除きによって(図7A図7B)、例えば、環状部材から離れるその軸方向摺動によって(例えば、X203とは反対方向に)、なされる。係止部材4に他のデフィート機構も当然ながら考えられ得、例えば、他のデフィート機構が可変径部材として提供され得、この場合、ある意味、半径方向に摺動可能なスタッドまたはピンとの取り外し可能な接合と少なくともほぼ同様に、直径のばらつきが、係止部材自体の押しボタンを介して、制御され得る。
【0077】
このように、係止部材4の取り除きは、プロテーゼ100が半径方向につぶされる/収縮されることを防止する拘束を取り除く。追加的に、係止部材4の取り除きはまた、この時点で、ポスト204上で、圧着開口202の中に設定され得る、送達器具の担持部分の挿入のために内腔6をクリアにする。
【0078】
実施形態において、係止部材4の取り除きは、有利には、送達器具の設置、それに続くプロテーゼの圧着の直前に提供され得、プロテーゼ100の位置上の安定性、および器具へのプロテーゼ100の取り込みを確実にし、基本的に、送達器具へのプロテーゼ100の圧着および取り込みの前に圧着器具200に対するプロテーゼ100の偶発的な置き間違いを回避する。
【0079】
これは、圧着開口が、プロテーゼが所定位置にしっかり正しく設定されている場合のみ、送達器具挿入および圧着に向けてクリアにされるのを可能にする、ホルダ1の付加的な安全特徴である。
【0080】
次に、プロテーゼ100が送達器具の担持部分に圧着され(例えば、図8における方向θ201での圧着器具200のハンドルの回転によって)、取り込まれる。圧着作業時、環状部材2は、それが半径方向収縮作用である、圧着作用にいかなる支障ももたらさないので、圧着開口の中に留まっている。その代わりに、心臓弁プロテーゼ100の圧着は、結合特徴または結合側面9に受容されたアーマチュア102の一部の半径方向内方に、結合側面そのものから外れる(例えば、アーチ状トラック11から外れる)移動により、支持形成部3からのアーマチュア102の係脱をもたらす。
【0081】
次に、環状部材2が、任意選択的に、例えば、X203とは反対方向に、送達器具軸全体にわたって、ガイド203に沿って圧着開口202から離れるように環状部材2を摺動させることによって、圧着器具200から取り除かれ得る。圧着器具が圧着開口202から十分に上げられると、環状部材2が送達器具軸から取り除かれ得る。
【0082】
しかしながら、一般に、環状部材2は、ガイド203の所定位置に残され、送達器具の取り外し後に取り出される。
【0083】
実施形態では、圧着のフェイルセーフティおよび簡単さの点から見たほとんどの利点は、ホルダ1の構造(環状部材+係止部材)と角度基準部材19を組み合わせることによってもたらされ得るが、特定の実施形態において、より従来的な環状位置付け技法に頼らずに、例えば、環状部材2上のノッチ/ピン対と圧着器具200とを嵌合することに頼らず、角度基準部材19およびガイド203をなしで済ますことができる。圧着開口内のプロテーゼの位置上の安定性の点から見た利益のすべてをまだ保ったまま、これらの実施形態は、圧着器具に対するホルダの環状位置付けの点から見てわずかに効率が悪いだけで働き、すなわち、図で描かれた実施形態のホルダ1に見られるように、すでに角度的に位置付けされ、挿入の準備が整っている代わりに、ちょっとした手による位置合わせ作業(例えば、嵌め合いノッチ/ピン対がカチッと嵌るまで回す)で済む。
【0084】
当然ながら、本開示の着想および原理は、同じままであるが、構造および実施形態の詳細が、本開示の範囲から逸脱しない限り、例として説明され、図示されたものに関して大きく変わってくることがある。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8