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特許7074932エネルギー運用システム、エネルギー運用方法、および記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】エネルギー運用システム、エネルギー運用方法、および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20220517BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
H02J3/00 130
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021530100
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(86)【国際出願番号】 JP2020023808
【審査請求日】2021-05-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】庄野 貴也
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/131026(WO,A1)
【文献】特開2020-064446(JP,A)
【文献】特開2017-208952(JP,A)
【文献】特開2020-031481(JP,A)
【文献】特開2016-122408(JP,A)
【文献】特開2020-67919(JP,A)
【文献】特開2019-213299(JP,A)
【文献】国際公開第2010/117082(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理エリア内のエネルギーの需要または供給の一方または双方の予測結果に基づいて前記管理エリア内の前記エネルギーの需要および供給の管理を行うエネルギー管理システムにおいて、
不特定のユーザによって提供された情報であって、インターネット上のソーシャル・ネットワーキング・サービス(social networking service, 以降SNS)の情報である、前記管理エリア内および前記管理エリア外の現在の気象状況および前記管理エリア内および前記管理エリア外の予測された将来の天候を示す天候情報と、ネットワークを介して得られる前記管理エリア内および前記管理エリア外の予測された将来の天気を示す天気情報と、前記管理エリア内および前記管理エリア外における社会環境の状況パターンを含む情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された情報に基づいて、エネルギーの需要と供給とを分析または評価して、前記管理エリア内の将来の前記エネルギーの需要量または発電量の一方または双方を予測する予測部と、
前記予測部が予測した結果に基づいて、前記管理エリア内のエネルギーの需給バランスを制御する需給制御部と、を備え、
前記管理エリア内および前記管理エリア外における社会環境の状況パターンは、紛争が発生していることを示す紛争情報と疫病が流行していることを示す疫病情報とのうち一方または双方を含み、
前記予測部は、前記紛争情報と前記疫病情報との一方または双方が取得された場合、前記紛争情報と前記疫病情報とのうち一方または双方とエネルギーの需給における統計的相関関係と、前記紛争情報と前記疫病情報とのうち一方または双方とエネルギーの需給との因果関係に則して、エネルギーの需給の大小のトレンドを予測する、
エネルギー運用システム。
【請求項2】
前記予測部は、前記紛争情報と前記疫病情報との一方または双方が取得された場合、前記紛争情報と前記疫病情報との一方または双方が取得されていない場合よりも、前記管理エリア内の将来のエネルギーの需要量または発電量の一方または双方を小さく予測する、
請求項1に記載のエネルギー運用システム。
【請求項3】
前記取得部は、インターネット上のソーシャル・ネットワーキング・サービス(social networking service, 以降SNS)の情報である、地震に関する情報を取得し、
前記予測部は、取得した地震に関する情報を加味して、エネルギーの需要と供給とを分析または評価して、前記管理エリア内の将来の前記エネルギーの需要量または発電量の一方または双方を予測する、
請求項1または2に記載のエネルギー運用システム。
【請求項4】
前記取得部は、インターネット上のソーシャル・ネットワーキング・サービス(social networking service, 以降SNS)の情報である、特定のエリアで地震が発生したことを示す地震情報を取得し、
前記予測部は、前記地震情報と系統事故の発生とに関する統計的相関関係と、前記地震情報と系統事故の発生との因果関係とに則して、前記地震情報と前記系統事故とに起因するエネルギーの需要量と発電量とを予測する、
請求項1から3のうちいずれか1項に記載のエネルギー運用システム。
【請求項5】
前記天候情報は、第1期間における気象に関する情報であり、
前記天気情報は、前記第1期間よりも短い第2期間における気象に関する情報であり、
前記気象に関する情報は、少なくとも、送電線の近傍の気温又は前記送電線の近傍の湿度を含む、
請求項1から4のうちいずれか1項に記載のエネルギー運用システム。
【請求項6】
前記取得部、前記予測部、および前記需給制御部は、それぞれが実行する処理を繰り返し、
前記需給制御部は、
前記予測部の予測結果を取得するごとに、前記予測結果に基づいて、前記管理エリア内のエネルギーの需給バランスを制御するために発電制御と外部電源連携制御とを実行し、
前記発電制御は、発電機の稼働を制御する制御であり、
前記外部電源連携制御は、前記エネルギー運用システムの管理者が管理していない電源の電力量の調整に活用可能な情報を連携または授受する制御である、
請求項1から5のうちいずれか1項に記載のエネルギー運用システム。
【請求項7】
管理エリア内のエネルギーの需要または供給の一方または双方の予測結果に基づいて前記管理エリア内の前記エネルギーの需要および供給の管理を行うエネルギー管理システムにおいて、
不特定のユーザによって提供された情報であって、インターネット上のソーシャル・ネットワーキング・サービス(social networking service, 以降SNS)の情報である、前記管理エリア内および前記管理エリア外の現在の気象状況および予測された将来の気象状況、および前記管理エリア内および前記管理エリア外における地震に関する情報を含む社会環境の状況を示す情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された情報に基づいて、前記管理エリアの系統事故を予測して、予測した結果を用いてエネルギーの需要と供給とを分析または評価して、前記管理エリア内の将来の前記エネルギーの需要量または発電量の一方または双方を予測する予測部と、
前記予測部が予測した結果に基づいて、前記管理エリア内のエネルギーの需給バランスを制御する需給制御部と、
を備えるエネルギー運用システム。
【請求項8】
前記予測部は、
予め設定された電力系統の電圧、電流、および系統設備の系統モデルのパラメータを使った系統の諸々の電気現象のシミュレーションに対して、
前記SNSの情報を前記系統モデルのパラメータに適用する、
請求項1から7のうちいずれか1項に記載のエネルギー運用システム。
【請求項9】
前記SNSの情報を取込み、以下の(1)から(4)のうち少なくとも1以上の処理を実行する、
(1)前記系統モデルと前記系統モデルによるシミュレーション結果を系統安定化システムと情報共有および相互連係する、
(2)前記系統モデルと前記系統モデルによるシミュレーション結果を保護リレー装置または前記保護リレー装置に連係したシステムと情報共有および相互連係する、
(3)前記系統モデルと前記系統モデルによるシミュレーション結果を変電制御装置または前記変電制御装置に連係した変電所自動化システムと情報共有および相互連係する、
(4)前記系統モデルと前記系統モデルによるシミュレーション結果を変電機器監視装置または前記変電機器監視装置に連係した変電機器監視システムと情報共有および相互連係する、
請求項8に記載のエネルギー運用システム。
【請求項10】
管理エリア内のエネルギーの需要または供給の一方または双方の予測結果に基づいて前記管理エリア内の前記エネルギーの需要および供給の管理を行うエネルギー管理方法において、
コンピュータが、
不特定のユーザによって提供された情報であって、インターネット上のソーシャル・ネットワーキング・サービス(social networking service, 以降SNS)の情報である、前記管理エリア内および前記管理エリア外の現在の気象状況および前記管理エリア内および前記管理エリア外の予測された将来の天候を示す天候情報と、ネットワークを介して得られる前記管理エリア内および前記管理エリア外の予測された将来の天気を示す天気情報と、前記管理エリア内および前記管理エリア外における社会環境の状況パターンを含む情報を取得し、
前記取得した情報に基づいて、エネルギーの需要と供給とを分析または評価して、前記管理エリア内の将来の前記エネルギーの需要量または発電量の一方または双方を予測し、
前記予測した結果に基づいて、前記管理エリア内のエネルギーの需給バランスを制御する方法において、
前記管理エリア内および前記管理エリア外における社会環境の状況パターンは、紛争が発生していることを示す紛争情報と疫病が流行していることを示す疫病情報とのうち一方または双方を含み、
前記紛争情報と前記疫病情報とのうち一方または双方とエネルギーの需給における統計的相関関係と、前記紛争情報と前記疫病情報とのうち一方または双方とエネルギーの需給との因果関係に則して、エネルギーの需給の大小のトレンドを予測する、
エネルギー運用方法。
【請求項11】
管理エリア内のエネルギーの需要または供給の一方または双方の予測結果に基づいて前記管理エリア内の前記エネルギーの需要および供給の管理を行うプログラムが記憶された記憶媒体であって、
コンピュータに、
不特定のユーザによって提供された情報であって、インターネット上のソーシャル・ネットワーキング・サービス(social networking service, 以降SNS)の情報である、前記管理エリア内および前記管理エリア外の現在の気象状況および前記管理エリア内および前記管理エリア外の予測された将来の天候を示す天候情報と、ネットワークを介して得られる前記管理エリア内および前記管理エリア外の予測された将来の天気を示す天気情報と、前記管理エリア内および前記管理エリア外における社会環境の状況パターンを含む情報を取得させ、
前記取得した情報に基づいて、エネルギーの需要と供給とを分析または評価して、前記管理エリア内の将来の前記エネルギーの需要量または発電量の一方または双方を予測させ、
前記予測した結果に基づいて、前記管理エリア内のエネルギーの需給バランスを制御させるプログラムであって、
前記管理エリア内および前記管理エリア外における社会環境の状況パターンは、紛争が発生していることを示す紛争情報と疫病が流行していることを示す疫病情報とのうち一方または双方を含み、
前記紛争情報と前記疫病情報とのうち一方または双方とエネルギーの需給における統計的相関関係と、前記紛争情報と前記疫病情報とのうち一方または双方とエネルギーの需給との因果関係に則して、エネルギーの需給の大小のトレンドを予測させる、
プログラムが記憶された記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー運用システム、エネルギー運用方法、および記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
時々刻々と変動するエネルギーの需要に対して供給を行うため、10分先、1時間先、12時間先、翌日、1週間先、1ヶ月先または1年先など、さまざまな時間断面の需要と発生の予測と、供給の計画および制御とからなるエネルギー管理が行われている。エネルギー需要は気温等の自然現象、および人の社会生活パターンの影響を受け確率的に変動する。また、エネルギー供給に関わる発電も、再エネ発電への風、日照の影響、火力発電では燃料の熱価により発電量が影響を受ける。
【0003】
特許文献1に記載された発明は、電力需要予測の対象地点の周辺の気象予測データを平均化したデータから、電力需要を予測する。これにより、気象予測の位置ずれが生じたときにも平均的な電力需要が予測される。
【0004】
特許文献2の発明は、エネルギーの供給の計画の解を求める際に、厳密解から外れた解を許容して最終解の候補とする。これにより、需要や発電機の最低稼働時間など、制約条件が多くとも、厳密解での発電機の起動停止のパターンに近い、発電機の起動停止が計画される。
【0005】
特許文献3の発明は、将来の気象とエネルギー需要などから需給コンディションの評価に基づいて、需要予測部の予測解および/またはエネルギー供給の計画の誤差をコントロールする。これにより、需要コンディションに基づいて、将来のエネルギーの需要量および/または発電量の予測解やエネルギー供給計画の品質(誤差)がコントロールされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-53804号公報
【文献】特開2015-99417号公報
【文献】特開2019-213299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の発明は、エネルギーの運用装置が管理する対象範囲に応じたエネルギー供給の計画や制御の許容精度に適した、適切な予測精度の目標を設けることが考慮されていない。平均的なエネルギー需要を想定するだけでは、統計的な平均値から乖離した気象条件の下でのエネルギー供給の計画および制御が難しい。
【0008】
また、特許文献2の発明は、エネルギー運用装置の目的に対して適切な厳密解からの緩和の量を決定することが考慮されていない。エネルギー運用装置が連携してエネルギー供給の制御やそのための計画をする際に、需要制約の緩和と、それによる発電計画の厳密解の緩和を過大に実施する可能性がある。
【0009】
さらに、特許文献3の発明は、今後再エネの大量導入と、電力自由化による電力小売の全面自由化によって、これまで以上に需要と供給がリアルタイムに時々刻々と変化し得る状況における誤差の変動とその応答性が十分考慮されていない。
【0010】
従って、特許文献1の発明、特許文献2の発明、および特許文献3の発明に開示された従来技術によっては、複数のエネルギー管理装置が連携稼動する分散システムにおいて、エネルギー管理装置の管理エリアにおけるエネルギー需要に合致したエネルギー供給の計画および制御を、電力系統上の需給のバランスおよび社会的な最適値に対して十分に応答・管理することができないという問題がある。
【0011】
本発明は、以上の点を考慮したものであり、より精度よくエネルギーの需要または供給を予測すると共に、予測結果に基づいて、より高い計画精度でエネルギーの安定した供給が実現できるエネルギー運用システム、エネルギー運用方法、および記憶媒体を提供するものである。例えば、エネルギー需給の時々刻々と変化する状況に適した予測精度および計画精度でエネルギーの安定した供給および調整制御を行い得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
実施形態のエネルギー運用システムは、取得部と、予測部と、需給制御部とを持つ。エネルギー管理システムは、管理エリア内のエネルギーの需要または供給の一方または双方の予測結果に基づいて前記管理エリア内の前記エネルギーの需要および供給の管理を行う。取得部は、 不特定のユーザによって提供された情報であって、インターネット上のソーシャル・ネットワーキング・サービス(social networking service, 以降SNS)の情報である、前記管理エリア内および前記管理エリア外の現在の気象状況および前記管理エリア内および前記管理エリア外の予測された将来の天候を示す天候情報と、ネットワークを介して得られる前記管理エリア内および前記管理エリア外の予測された将来の天気を示す天気情報と、前記管理エリア内および前記管理エリア外における社会環境の状況パターンを含む情報を取得する。予測部は、前記取得部により取得された情報に基づいて、エネルギーの需要と供給とを分析または評価して、前記管理エリア内の将来の前記エネルギーの需要量または発電量の一方または双方を予測する。需給制御部は、前記予測部が予測した結果に基づいて、前記管理エリア内のエネルギーの需給バランスを制御する。前記管理エリア内および前記管理エリア外における社会環境の状況パターンは、紛争が発生していることを示す紛争情報と疫病が流行していることを示す疫病情報とのうち一方または双方を含む。前記予測部は、前記紛争情報と前記疫病情報とのうち一方または双方とエネルギーの需給における統計的相関関係と、前記紛争情報と前記疫病情報とのうち一方または双方とエネルギーの需給との因果関係に則して、エネルギーの需給の大小のトレンドを予測する
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】情報処理システム1の機能構成の一例を示す図である。
図2】エネルギー管理システム10により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図3】需要量または発電量の予測に用いられる情報の一例について説明するための図である。
図4】需要量または発電量を出力する学習済モデル34の概念図である。
図5】第3実施形態の情報処理システム1Aの機能構成の一例を示す図である。
図6】将来の需要量または発電量を出力するシミュレーションモデルの概念図である。
図7】第4実施形態の情報処理システム1Bの機能構成の一例を示す図である。
図8】第5実施形態の情報処理システム1Cの機能構成の一例を示す図である。
図9】第6実施形態の情報処理システム1Dの機能構成の一例を示す図である。
図10】第7実施形態の情報処理システム1Eの機能構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態のエネルギー運用システム、エネルギー運用方法、および記憶媒体を、図面を参照して説明する。
【0015】
<概要>
実施形態のエネルギー運用システム、エネルギー運用方法、および記憶媒体は、例えば、それぞれ管理エリア内のエネルギーの需要および/または供給を予測し、予測結果に基づいて当該管理エリア内のエネルギーの管理を行う複数のエネルギー管理装置、および計測・制御端末などから構成される分散型のエネルギー管理システムに適用できるものである。
【0016】
実施形態のエネルギー運用システム、エネルギー運用方法、および記憶媒体において、現在かつ将来の気象情報など、電力の需要と発生に関わる周辺情報を取得して、取得した情報に基づいて、管理エリア内のエネルギーの需給バランスを制御する。例えば、インターネット上のSNS(Social Networking Service)の情報などが、ピックアップ・分析されてエネルギーの需要または供給の予測に関する精度向上に寄与する。エネルギー運用システム、エネルギー運用方法、および記憶媒体は、管理エリア内の将来のエネルギーの需要量および/または発電量を予測する予測部を設け、予測部のリアルタイムな予測結果に基づいて、管理エリア内の電力需給制御と、系統設備の保護・制御機能、および変電機器監視機能との連係機能を設けるようにした。
【0017】
これにより、エネルギー運用システム、エネルギー運用方法、および記憶媒体における電力系統のモデル化のための情報量増加と精度向上により、ひいては将来の電気的現象など電力系統の振舞いのシミュレーションによる予測の精度向上、時々刻々と変化する周辺環境による影響の反映による将来のシミュレーション予測と実現象の誤差の抑制に寄与する。例えば、上述したSNSの情報がシミュレーションに用いられることにより、シミュレーションによるエネルギーの需要または予測に関する精度がより向上する。上記の目的を達成するために、実施形態のエネルギー運用システム、エネルギー運用方法、および記憶媒体は、以下の機能構成を有する。
【0018】
<第1実施形態>
エネルギー運用システムは、管理エリア内のエネルギーの需要または供給の一方または双方の予測結果に基づいて管理エリア内のエネルギー需給の管理を行う。エネルギー管理システムは、管理エリア内および管理エリア外の現在の気象状況および予測された将来の気象状況と、管理エリア内および管理エリア外における社会環境の状況パターンとのうち少なくとも一つを含む情報を取得し、取得した情報に基づいて、エネルギーの需要と供給とを分析または評価し、管理エリア内の将来のエネルギーの需要量または発電量の一方または双方を予測する。そして、エネルギー管理システムは、予測された結果に基づいて、管理エリア内のエネルギーの需給バランスを制御する。
【0019】
図1は、情報処理システム1の機能構成の一例を示す図である。情報処理システム1は、例えば、エネルギー管理システム10と、制御対象100と、連係システム200と、保護リレー210-1と、保護リレー210-2とを含む。以下、保護リレー210-1と保護リレー210-2とを区別しない場合は、「保護リレー210」と称する場合がある。情報処理システム1またはエネルギー管理システム10は、「エネルギー運用システム」の一例である。
【0020】
エネルギー管理システム10は、例えば、ネットワークNWに接続されている。ネットワークNWは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、プロバイダ装置、無線基地局などを含む。エネルギー管理システム10は、ネットワークNWを介して、各種情報を取得する。各種情報とは、例えば、天気に関する天気情報(短期間の気象の変化)や、天候に関する天候情報(比較的長期の気象変化)、気象に関する気象情報、社会環境の情報などである。
【0021】
また、エネルギー管理システム10は、例えば、イントラネット(Intranet)に接続されている。イントラネットは、エネルギー管理システム10が連係対象とする機器との間で通信するためのネットワークである。イントラネットには、連係システム200や、保護リレー210などが接続されている。エネルギー管理システム10は、イントラネットを介して、連係システム200、または保護リレー210と通信する。制御対象100は、発電機などのエネルギー管理システム10が制御の対象とする機器である。また、制御対象100は、電力需要に影響する機器であり、社会活動または経済活動などにおいて利用されている全ての電気的負荷を含む。制御対象100は、例えば、工場、商業施設、一般家庭などで電力を消費する設備を含む。また、制御対象100は、既存電力会社が保有する発電機、特定規模電気事業者やPPS(Power Producer and Supplier)などとも呼ばれる新電力の保有する各種電源、送配電ルートなどを制御する、遮断器、断路器、送電線ジャンパ、および調相設備を含む。
【0022】
連係システム200は、系統安定化システムなどを含む。系統安定化システムは、例えば、対象とする電力系統で発生し得る異常現象(例えば、脱調現象、周波数異常、電圧異常、過負荷)などに応じて、電力系統から一部の発電機を強制的に切り離して電源制限や負荷遮断などを行う。これにより、系統事故の影響が系統全体に波及するのが防止される。また、連係システム200は、系統安定化システムの他に、保護リレー、監視制御システム、変電機器監視システムなどを含んでもよい。
【0023】
系統安定化システム、保護リレーなどの連係するシステム、装置について、それらの主機能、およびネットワークNW(インターネット)から得られた情報(例えばSNS)を適用した演算は、エネルギー管理システム10を具備するサーバーなどでの集中演算型でもよいし、または、ネットワーク(たとえばイントラネット)を介して相互連係する系統安定化システムや保護リレー装置など、各システムや末端のデバイスなどで個別に分散して演算を行う分散演算型(例えば、電力会社内の閉じたネットワーク内での分散演算型)のどちらでもよい。また、系統安定化システム、保護リレーなどの連係するシステム、装置について、それらの主機能、およびネットワークNW(インターネット)から得られた情報(例えばSNS)を適用した演算は、物理的なロケーションに依存しない、クラウド環境での分散演算でもよい。
【0024】
エネルギー管理システム10は、一般的な下記機能要件を管理の対象とする。なお、管理エリアの大小、電圧階級の高低、事業領域、事業者には依存せず、下記を包含する。これらはすべて、エネルギーを管理する対象範囲が違うというだけである。具体的には少なくとも下記を対象とする。
・HEMS=Home EMS:家庭用のEMS
・MEMS=Mansion EMS:集合住宅(マンション)用のEMS
・BEMS=Building EMS:商業ビル用のEMS
・FEMS=Factory EMS:工場用のEMS
・CEMS=Cluster/Community EMS:地域用のEMS
【0025】
また、エネルギー管理システム10は、具体的には下記機能要件を管理の対象とする。エネルギー管理システム10は、エネルギー監理エリアの電力使用量の可視化、節電(CO2削減)のためのシステム・機器制御、ソーラー発電機等の再生可能エネルギーや蓄電器の制御等を行う。エネルギー管理システム10は、それぞれ管理対象は違うが、電力需要と電力供給の監視と制御をするというシステムの基本機能要件は共通であり、少なくとも、電気または電力などのエネルギーの使用状況を「見える化」、「見える化」したエネルギーの使用状況の分析、燃料消費や設備稼働などの削減可能な個所を見つけ、燃料や運用コストの削減につなげる。
【0026】
エネルギー管理システム10は、例えば、通信部12と、取得部14と、評価部16と、予測部18と、供給制御部20と、記憶部30とを備える。通信部12は、第1通信部12Aおよび第2通信部12Bを含む通信インタフェースである。第1通信部12Aは、ネットワークNWを介して他の装置と通信する通信インタフェースである。第2通信部12Bは、イントラネットを介して他の装置と通信する通信インタフェースである。
【0027】
取得部14、評価部16、予測部18、および供給制御部20のうち一部または全部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが、記憶部30に記憶されたプログラム(ソフトウェア)を実行することで実現される。また、これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部:circuitryを含む)によって実現されていてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されていてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶部30に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM、USBメモリなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。また、プログラムは、外部の装置によりネットワークNWなどの通信を介して提供され、機能の増強や改善のためにインストールされてもよい。記憶部30には、上述したネットワークNWを介して得られた各種情報32や学習済モデル34(詳細は後述)が記憶されている。
【0028】
取得部14は、不特定のユーザによって提供された情報であって、ネットワークNWを介して得られる管理エリア内および管理エリア外の現在の気象状況および予測された将来の気象状況と、管理エリア内および管理エリア外における社会環境の状況パターンとのうち少なくとも一つを含む情報を取得する。ユーザとは、例えば、SNSを利用するユーザである。このユーザは、エネルギー事業に関わっていないユーザであるが、エネルギーの運用などのエネルギー事業に関わっているユーザ(発送電事業者やエネルギー事業に関わる社会インフラの運用者)を含んでもよい。不特定のユーザによって提供された情報とは、例えば、検索サービスにおいて、所定のワード(センテンスでもよい)を検索ワードとした場合に、検索サービスが提供した検索結果の一覧に含まれる、または一覧のリンク先に含まれる情報である。所定のワードとは、例えば、予め設定されたワードである。この所定のワードは、例えば、記憶部30に記憶されていてもよいし、外部の装置から提供されたワードであってもよい。所定のワードは、例えば、「晴れた」「雨が降り出しそう」「雨が上がりそう」「遠くで雷の閃光が見えた」「雷鳴が聞こえた」「蒸し暑い」「太陽が雲に隠れそう」などの天気や気象に関するワード、またはこれらに類似またはこれらを含むワードである。予めワードが設定されていれば、この設定されたワードを用いて、容易にSNSから情報が得られる。また、検索サービスが提供した情報には、公共機関が提供する情報が含まれてもよいし、この情報は除外され、一般のユーザが提供した情報のみを含んでもよい。
【0029】
評価部16は、取得部14により取得された情報に基づいて、エネルギーの需要と供給とを分析または評価する。
【0030】
分析とは、例えば、需要サイドの分析と、供給サイドの分析とがある。
供給サイドの分析は、例えば、晴れそうなら気温が上がってエアコンが必要とされ電力需要が増えると予測することや、雪が降りそうなら暖房が必要なため電力需要が上がるが、その反面人々の外出や行動は制限されるためその分需要は減少するためそれらのバランスなどの分析である。また、これらの分析は、過去のデータトレンドの学習結果を分析に反映可能である。社会情勢にも需要は影響を受ける。(例えば、2020年のコロナショックによる外出自粛要請)パンデミックや医療崩壊のリスクが高まれば社会経済活動が制限され、電力需要は落ち込む傾向にあるが、在宅が増えるためそれらのバランスの分析を行うことである。
【0031】
供給サイドの分析は、例えば、晴れそうなら日射が増えて太陽光の発電量上昇が期待できることや、風が強くなりそうなら風力の発電量上昇が期待できるなどの分析である。また、送電線周辺で風が強ければ冷却効果が期待でき、送電効率は上昇する傾向であることである。また、特定規模電気事業者やPPSなどの新電力、電力小売事業者の電力市場への入札状況は燃料単価や、それら関連するステークホルダーの経営状況にも影響を受け、それによりエネルギー供給の裕度も影響を受けるなどの分析である。
【0032】
評価とは、分析結果が過去の蓄積情報に照らし合わせて、どの程度確度や信憑性があるかを評価することである。計画する制御ロジックにある程度のリスクを加味した裕度(遊び)を含めておかなければ、分析結果(予測)と実態に乖離が生じた場合に制御不能に陥る可能性がある。
【0033】
予測部18は、管理エリア内の将来のエネルギーの需要量または発電量の一方または双方を予測する。予測部18は、需要予測部18Aと、発電予測部18Bとを含む。需要予測部18Aは、管理エリア内の社会活動によって生じるエネルギーの需要を予測する。発電予測部18Bは、風力、太陽光など人為的な制御が及ばない自然エネルギーによって生成される発電量を予測する。供給制御部20は、予測部18が予測した結果に基づいて、管理エリア内のエネルギーの需給バランスを制御する。
【0034】
例えば、供給制御部20は、ある系統の需要が所定度合増加すると予測しされた場合、その系統の需要と供給のバランスがリアルタイムに均衡するように予測結果に基づいて、対象100や、連係システム200、保護リレー210などを制御する。供給制御部20は、発電制御と、外部電源連系制御とを実行する。発電制御は、発電機そのものを制御して上記のバランスを均衡させる制御である。外部電源連系制御は、前述した特定規模電気事業者やPPSなどの新電力、および電力小売事業者との連系/切り離しにより行われる発電量の制御である。供給制御部20は、上記の各制御を適宜組み合わせて、その系統の需要と供給のバランスがリアルタイムに均衡するように制御を行う。
【0035】
たとえば、季節の変わり目など、日照や風況、雷雨などの厳密な予測が難しい場合などにも、SNSなどのリアルタイムな情報を加味して例えば10分先の雲の動きや日照量がより精度よく予測できる。たとえば、雷雲が去って急遽日照量が増加することが予測可能であり、突然、太陽光発電の発電量が増加するものの、日照量増加による気温の上昇と雨天後の蒸し暑さが重なりエアコン稼動量が増えるため、需給バランスを過去のトレンドと照合し予測しつつ、発電や電力小売事業者との連系の効率も加味しながら、需給バランスおよびそれらのコストを最適値に近づけることが可能になる。
【0036】
[フローチャート]
図2は、エネルギー管理システム10により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、取得部14が、記憶部30に記憶された各種情報32を取得する(ステップS100)。次に、評価部16が、ステップS100で取得された各種情報32を評価する(ステップS102)。次に、予測部18が、ステップS102の評価結果に基づいて、需要量または発電量を予測する(ステップS104)。次に、供給制御部20は、ステップS104の予測結果に基づいて、需給バランスを制御する(ステップS106)。
【0037】
ここで、予測部18が、需要量または発電量を予測する手法の一例について説明する。予測部18は、例えば、以下の情報(1)-(3)に含まれる情報のうち一部または全部を用いて、需要量または発電量を予測する。図3は、需要量または発電量の予測に用いられる情報の一例について説明するための図である。
【0038】
(1)対象地域の現在の気象状況
対象地域の現在の気象状況には、例えば、以下の情報のうち一部または全部が含まれる。
・天気(晴れや曇り、雨、雲の出現度合など)
・気温
・湿度
・風向き
・風速
【0039】
(2)対象地域の将来の気象状況
対象地域の将来の気象状況には、例えば、以下の情報のうち一部または全部が含まれる。
・天気(晴れや曇り、雨、雲の出現度合など)
・気温
・湿度
・風向き
・風速
【0040】
(3)社会環境の情報(社会環境の状況パターン)
社会環境の情報には、例えば、以下の情報のうち一部または全部が含まれる。下記の情報は、エネルギーの需要と供給と相関関係があると考えられる情報である。これらの情報は、過去の蓄積されたデータと照らし合わせれば相互の相関関係が分かるし、データの蓄積が進めばナレッジデータベース(学習モデル)の学習効果が高まる。社会環境の情報は、SNSに限られず、ネットワークNWまたはイントラネットを介して得られた情報を含む。
・各国株価指数:米NYダウ、米ナスダック、日経平均・日経225など
・各国通貨為替情報
・原油価格
・世界中の紛争情報
・疫病等の医療情報
・台風、地震などの災害情報
・イベント:イベントには、オリンピック、ワールドカップなどの大規模イベントの他、正月の初詣、長期連休における帰省・行楽、コンサート、プロ野球やサッカーなどのスポーツイベントなどが含まれる。
【0041】
予測部18は、例えば、第1手法または第2手法を用いて、需要量または発電量を予測する。第1手法は、上述した各情報を指標化して、この指標に基づいて需要量または発電量を予測する手法である。例えば、ある情報から得られた指標が大きくなるほど、需要量または発電量(必要な発電量または所定の系統で発電されると見込まれる発電量)は大きい傾向となったり、別の情報から得られた指標が大きくなるほど、需要量または発電量は小さい傾向となったりする。これらの相関関係を示す情報は、例えば、予め記憶部30に記憶されている。
【0042】
例えば、現在のある特定地域の気温が、基準値から離れるほど(気温が高くなるほど、または気温が低くなるほど)、指標は大きくなるように設定されている。この場合、空調装置などの機器の利用によって、需要、発電量ともに大きくなると想定される。例えば、各国株価指数が、基準値に対して大きくなるほど、指標は大きくなるように設定されている。株価指数の場合、一般的に株価が基準値から大きくなれば経済活動が活発になり、需要、発電量ともに大きくなると想定されるが、逆に基準値より小さくなる場合には、需要、発電力とも小さくなると想定される。基準値とは、例えば、所定期間における移動平均や、前日の株価などである。
【0043】
また、各国通貨為替情報、原油価格、世界中の紛争情報、疫病等の医療情報、台風、地震などの災害情報、大規模イベントの情報も同様に、基準値からの乖離に基づいて、指標が導出される。この場合も同様に、過去の所定期間や所定時期における状態に対応する指標が基準値となる。原油価格、世界中の紛争情報、疫病等の医療情報、台風、地震などの災害情報に対応する指標が、基準値より大きくなる傾向の場合(原油価格が上昇、紛争や、疫病、台風、地震などの発生度合が大きい場合)、経済活動が抑制され、需要、発電量は小さくなる傾向であることが予測される。上記のようにある情報から得られた指標が基準値よりも大きい場合は需要・発電量は大きくなる傾向となり、上記とは異なる情報から得られた指標が基準値よりも大きい場合は需要・発電量は小さくなる傾向となる場合がある。
【0044】
第2手法は、学習済モデル34を用いた手法である。学習済モデル34は、例えば、ディープラーニングやニューラルネットワークなどの学習モデルである。学習済モデル34は、過去の気象状況または社会環境の情報の一部または全部と、上記の情報に関連付けられた需要量または発電量とを含む情報を学習用データとして、学習された学習モデルである。学習済モデル34は、過去の気象状況または社会環境の情報の一部または全部が入力されると、上記の情報に関連付けられた需要量または発電量を出力するように学習されたモデルである。なお、上記の学習済モデル34は、需要量または発電量の絶対値のみでなく、現状の推定値、もしくはリアルタイムの実測値に対する差分値を出力するモデルであってもよい。この場合、学習済モデル34は、過去の気象状況または社会環境の情報の一部または全部に対して推定値または差分値が関連付けられた学習データの学習によって生成される。
【0045】
予測部18は、例えば、上述した現在の気象状況、過去の気象状況、または社会環境の情報の一部または全部の情報、またはこれらの一部または全部を集合とした情報をベクトル化し、ベクトル化した情報を学習済モデル34に入力し、学習済モデル34が出力した情報に基づいて、需要量または発電量を予測する。図4は、需要量または発電量を出力する学習済モデル34の概念図である。
【0046】
上記のように、エネルギー管理システム10は、過去の気象状況または社会環境の情報の一部または全部を用いて(例えば社会環境の情報)を用いて、より精度の高い需要量または発電量を予測することができる。
【0047】
以上説明した第1実施形態によれば、管理エリア内および管理エリア外の現在の気象状況および予測された将来の気象状況と、管理エリア内および管理エリア外における社会環境の状況パターンとのうち少なくとも一つを含む情報を用いて、管理エリア内の将来のエネルギーの需要量または発電量の一方または双方を予測し、予測された結果に基づいて、管理エリア内のエネルギーの需給バランスを制御することにより、より精度よくエネルギーの需要または供給を予測すると共に、予測結果に基づいて、より高い計画精度でエネルギーの安定した供給が実現できる。
【0048】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、エネルギー管理システム10が得た気象状況や、社会環境の情報に基づいて、需要量または発電量を予測するものとした。これに対して、第2実施形態のエネルギー管理システム10は、ネットワークNWを介して提供されているSNSの情報を取り込み、取り込んだ情報を利用して、需要量または発電量を予測する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0049】
SNSの情報とは、SNS上のある特定エリアにおける天候・気象、または人々の意識に関わる所謂つぶやかれた情報、ツイートされた情報、フォローされた情報などである。これらの情報は、例えば、文字などの情報の投稿を受け付け、受け付けた投稿を対象のユーザに閲覧可能にするサービスを提供するサーバーに、投稿され、不特定多数のユーザが閲覧可能な情報である。また、これらの情報は、過去の実績に則したそれらの相関関係からその時間的断面の天候・気象、または近未来の人々の行動パターンを予測する有意なパラメータになり得る。
【0050】
エネルギー管理システム10は、ある特定のエリアでSNSから「暑い/寒い」、「蒸し暑い/涼しい」、「晴れ/曇り」などの温湿度、日射に関連するキーワードを抽出し、抽出したキーワードの数が予め定めた閾値を超過した場合にそれらキーワードを採用すれば粗いメッシュ状の観測点より精細な温湿度の実測データの代替になり得る。またこれらは近未来に冷暖房を稼動させるなどのエネルギー需要の予測につながる。
【0051】
また、特定のエリアで「揺れた」、「強く揺れた」、「食器棚が倒れた」などの地震に関連するキーワードが抽出されれば、地震波の伝搬の原理でほかの地域の系統事故予測や停電範囲の早期特定などにも活用可能である。
【0052】
また、特定のエリアで「風が強い」、「北風/南風」、「突風」、「竜巻」などの風力・風向に関連するキーワードが抽出されれば、風による送配電線の接触短絡、または風による送配電線の冷却による送配電効率のより精細な評価に活用できる。
【0053】
また、特定のエリアで「雨/雷雨」、「雷」、「雷鳴」、「閃光」などの落雷に関連するキーワードが抽出されれば、落雷による送配電線地絡などの系統事故検出、および早期予測に活用できる。
【0054】
例えば、エネルギー管理システム10は、学習済モデル34に上記のSNSから得られた情報を入力し、学習済モデル34が出力した結果に基づいて、需要量または発電量を予測する。学習済モデル34は、学習データが学習されたモデルである。学習データは、上述した各「ワード」または「ワードの数」と、各「ワード」または「ワードの数」が出現した際の現在または将来の気象状況、現在または将来の社会環境、管理エリア内の将来のエネルギーの需要量、または管理エリア内の将来のエネルギーの発電量が関連付けられた情報である。学習済モデル34は、各「ワード」または「ワードの数」が入力されると、各「ワード」または「ワードの数」が出現した際の気象状況、社会環境を示す情報、管理エリア内の将来のエネルギーの需要量、または管理エリア内の将来のエネルギーの発電量を出力するように学習されたモデルである。また、上記のように第2手法に代えて、第1手法が用いられてもよい。この場合、例えば、所定のワードが閾値以上出現した場合、そのワードが出現した地域は、所定のワードに対応する環境であると推定される。
【0055】
以上説明した第2実施形態によれば、エネルギー管理システム10は、インターネット上のSNSから得られた情報に基づいて、より精度よくエネルギーの需要または供給を予測すると共に、予測結果に基づいて、より高い計画精度でエネルギーの安定した供給が実現できる。
【0056】
<第3実施形態>
以下、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、エネルギー管理システム10A(図5参照)は、シミュレーションモデル(系統モデル)を用いて、需要量または発電量を予測する。エネルギー管理システム10Aは、予め設定された電力系統の電圧、電流、および系統設備の系統モデルのパラメータを使った系統の諸々の電気現象のシミュレーションに対して、SNSの情報をシミュレーションモデルのパラメータに適用する。例えば、エネルギー管理システム10Aは、通常の電力系統の電圧・電流、および系統設備のパラメータを使った系統の諸々の電気現象のシミュレーションに対し、SNSの情報を取込み、現在、および将来のシミュレーションモデルとその状態シミュレーションにおける新たな付加的なパラメータとする。以下、第1実施形態または第2実施形態との相違点を中心に説明する。
【0057】
例えば、シミュレーションモデルの厳密化、精度向上の観点で送電線周辺の気温、湿度、日射、風速などは実際の線路定数同定のための有益なパラメータとなる。現地の気温、湿度、日射、風速などはセンサの設置とそのセンサ情報を収集する通信網の整備が必要であるが、センサの設置と通信網の整備にはその密度と設備コストのバランスが大きな課題となる。しかし、SNS上での種々書込みや散在する情報を収集して所謂ビッグデータとして解析することで、公的機関が従来の手法で公開している気象情報や天候予報と同等以上の情報量と精度を達成することができる。
【0058】
図5は、第3実施形態の情報処理システム1Aの機能構成の一例を示す図である。情報処理システム1Aは、エネルギー管理システム10に代えて、エネルギー管理システム10Aを備える。エネルギー管理システム10Aは、記憶部30に代えて、記憶部30Aを備える。記憶部30Aには、各種情報32と、シミュレーションモデル36とが記憶されている。シミュレーションモデル36は、例えば、種々のパラメータを有する関数である。以下、パラメータの一例について説明する。
【0059】
SNS上のある特定エリアにおける天候・気象、または人々の意識に関わる所謂つぶやき、ツイート、フォローなどは、過去の実績に則したそれらの相関関係からその時間的断面の天候・気象が電力系統の電気的特性パラメータ(線路定数など)、または近未来の人々の行動パターンが及ぼすエネルギー消費(負荷)を予測する有意なパラメータになり得る。
【0060】
具体的には、エネルギー管理システム10Aは、ある特定のエリアでSNSから「暑い/寒い」、「蒸し暑い/涼しい」などの温湿度に関連するキーワードを抽出し、抽出したキーワードが予め定めた閾値を超過した場合にそれらキーワードを採用すれば粗いメッシュ状の観測点より精細な温湿度の実測データの代替になり得るため、温湿度が電力系統の電気的特性パラメータに与える影響を計算可能である。上記のようにパラメータが与えられることで、設備設計上の電気的特性パラメータと実際の電気的パラメータの誤差の抑制に寄与し、またこれらは近未来に冷暖房を稼動させるなどのエネルギー需要(負荷)の予測につながる。例えば、より細分化した地域ごとにシミュレーションモデルを適用して予測を行えば、より細分化された地域ごとにエネルギー需要(負荷)の予測が可能である。これらはより厳密なシミュレーションモデルの構築と、それによるより高精細な電力系統の状態シミュレーションに寄与する。
【0061】
また、特定のエリアで風力・風向、日射に関連するキーワードが抽出されれば、または風による送配電線や変圧器など電力諸設備の温冷却による送配電効率のより精細な評価(ダイナミックレイティング)に活用できる。
【0062】
図6は、将来の需要量または発電量を出力するシミュレーションモデルの概念図である。シミュレーションモデル36は、例えば、一以上のパラメータを含む関数である。例えば、SNSから得られた情報が正規化された指標がパラメータに適用される引数となる。例えば、SNSの温湿度に関する関連するキーワードの数や、SNSの風の強さに関する関連するキーワードの数などがパラメータに適用される引数となる。パラメータに適用される引数は、例えば、閾値を超えたものに限られる。
【0063】
ダイナミックレイティングにおいても、上記と同様の思想で、ダイナミックレイティングに適用されるシミュレーションモデルを用いて、送電線の許容電流などが決定される。
【0064】
また、シミュレーションモデルが出力した指標に対して、SNSから得られた情報が加味されてもよい。この場合、シミュレーションモデルのパラメータには、上述したSNSの情報は加味されなくてもよいし、加味されてもよい。
【0065】
以上説明した第3実施形態によれば、エネルギー管理システム10Aは、予め設定された電力系統の電圧、電流、および系統設備に対して、管理エリア内の将来のエネルギーの需要量または発電量の一方または双方を予測するシミュレーションモデルおよびシミュレーションモデルのパラメータを用いて系統の諸々の電気現象のシミュレーションを行い、シミュレーションにおいて、SNSの情報をシミュレーションモデルのパラメータに適用して、管理エリア内の将来のエネルギーの需要量または発電量の一方または双方を、より精度よく予測することができる。例えば、より細かい地域ごとにシミュレーションモデルを適用すれば、より精度よく、その地域における需要量または発電量の一方または双方の予測が可能である。
【0066】
<第4実施形態>
以下、第4実施形態について説明する。第4実施形態のエネルギー管理システム10Aは、SNSの情報を取込み、系統モデルとその状態シミュレーション結果を系統安定化システム(事故波及防止リレーシステム)と情報共有および相互連係する。相互連係とは、例えば、系統安定化システムが、エネルギー管理システム10Aから得た情報に基づいて、制御応動を行うことである。以下、第1実施形態から第3実施形態との相違点を中心に説明する。
【0067】
従来の系統安定化システムは種々手法を用いて、系統の定態安定度、および過渡安定度などを計算しているが、系統パラメータの設定値と実際の値の乖離が大きければ、結果として系統事故後のシミュレーション結果が実現象と乖離することになる。系統安定化システム(事故波及防止リレーシステム)が制御応動を誤れば大規模停電等に発展するため、原則的にある程度余裕をもって負荷遮断数と電源制限数を予め決定していることが多い。前記のとおり、SNS上のビッグデータ解析によりすることで、系統パラメータ、および気象情報や天候予報が従来と同等以上の情報量と精度が得られれば、系統事故後のシミュレーション結果と実現象の乖離を最小化でき、結果として負荷遮断数と電源制限数も極小化できる。これにより停電範囲の極小化や系統停止後の早期復旧を諮ることが可能である。
【0068】
図7は、第4実施形態の情報処理システム1Bの機能構成の一例を示す図である。情報処理システム1Bは、例えば、エネルギー管理システム10Aに加え、系統安定化システム(事故波及防止リレーシステム)200Aを備える。
【0069】
上述した第3実施形態と同様に、過去の実績に則したそれらの相関関係からその時間的断面の天候・気象が電力系統の電気的特性パラメータ(送電線の抵抗や、インダクタンス、静電容量(キャパシタンス)、漏れコンダクタンスなどの線路定数や、その他の特性パラメータ)、または近未来の人々の行動パターンが及ぼすエネルギー消費(負荷)を予測する有意なパラメータになり得るため、系統安定化システム200Aの精度、性能向上への寄与が大きい。
【0070】
以上説明した第4実施形態によれば、エネルギー管理システム10Aは、停電範囲の極小化や系統停止後の早期復旧を諮ることに寄与することができる。
【0071】
<第5実施形態>
以下、第5実施形態について説明する。第5実施形態のエネルギー管理システム10Aは、SNSの情報を取込み、系統モデルとその状態シミュレーション結果を保護リレー装置、またはそれら連係した保護リレーシステムと情報共有、および相互連係する。相互連係とは、例えば、保護リレー装置、またはそれら連係した保護リレーシステムが、エネルギー管理システム10Aから得た情報に基づいて、制御応動を行うことである。以下、第1実施形態から第4実施形態との相違点を中心に説明する。
【0072】
図8は、第5実施形態の情報処理システム1Cの機能構成の一例を示す図である。情報処理システム1Cは、例えば、エネルギー管理システム10Aに加え、保護リレー200B(またはそれらに連係した保護リレーシステム)を備える。
【0073】
従来の保護リレー装置、またはそれらを連係した保護リレーシステムは種々手法を用いて、系統の送電線や変電設備などに発生する異状現象(系統設備事故)をごく短時間(おおよそ10~30ms)で検出し、遮断器へ引き外し指令を出力して系統設備の異状箇所を主系統から一時的に分離する責務を負う。
【0074】
これら電力系統上の事故の要因、原因としては、送電線であれば悪天候による雷雲発生での落雷による送電線間の短絡や地絡、その他設備であれば設計性能を超過した運用などによる過負荷による異状などがある。系統の送電線や変電設備などに発生する異状現象を検出するためには、一般に系統や設備の電流・電圧値を計測し、例えば送電線が保護対象であれば線路定数などの種々パラメータ、また過負荷検出であれば送電線ケーブルの発熱を考慮するため、周辺の気温、夏・冬などの季節情報なども異状検出に適用されるアルゴリズムの重要なパラメータとなる。系統設備上に実際に異常があれば極力早期に異状検出し、遮断器の引き外しなど適切な応動をすることが望ましいが、これは電力供給設備の停止を意味し、すなわち対象エリアの停電につながる。したがって、間欠地絡やごく短時間の過負荷などで軽微な異状事象であればあえて異状検出することなく、当該系統設備の運用を継続することが電力の安定供給の観点では望ましい。
【0075】
また、系統設備上の異状の有無検出は極めて重要な責務を負うため、例えば送電線が保護対象であれば線路定数などの種々パラメータの精度やその信憑性、またそれらパラメータを適用したアルゴリズムの計算結果の判定閾値(保護リレーの分野では整定)の設定は極めて重要となる。
【0076】
ここでのSNS上の情報として、保護リレー装置、またはそれら連係したシステムでは、気象・天候予報、または気象・天候の地域エリア毎のよりリアルタイム性の高い情報は、異状検出アルゴリズムのパラメータの情報密度向上、信憑性の向上、およびその閾値の自動設定に対して極めて有益な情報となる。
【0077】
種々パラメータの適用用途としては下記がある。
・送電線周辺の気温、湿度は、例えば送電線のインピーダンスに影響する。したがって、気象・天候予報、つまり気温、湿度またはそれのリアルタイム情報は、送電線のインピーダンス情報を異状検出アルゴリズムに適用している所謂、距離リレー方式(測距インピーダンス方式)の事故選択性(事故として検出すべきか否か)の精度向上に極めて有用である。また、この測距インピーダンス方式は、送電線の事故点標定装置、またはそれら連係したシステムと共通の原理であるため、この事故標定の精度向上にも有効である。
【0078】
・周波数リレー装置、またはそれら連係したシステムでは、周波数演算アルゴリズムおよび演算周期が動作時間特性に影響を与える。高速動作させるため周波数の変化率検出機能を設ける方式もある。周波数低下検出を適用した負荷遮断方式では、遮断対象を時限が長い負荷(=遮断優先度の低い)とすることで、周波数リレー動作時に遮断される負荷と重複を避ける運用もされている事例があり、緊急時には遮断優先度の低い負荷を最初に遮断することになる。しかし、本来は遮断優先度の高い負荷から遮断したい。地震発生時の事象では、周波数リレーが複数回動作し、2回目および3回目の周波数リレー動作時は、1回目で未遮断の負荷が遮断される事例もある。1回目の動作で時限の短い負荷が遮断され、時限の長い負荷が残る。このため、2回目、3回目の動作時、1回目の動作と比較し負荷遮断時間が遅くなる。したがって、周波数リレー、またはそれら連係したシステムの動作時間のばらつきを抑制(公平性)と、広い範囲で高精度な周波数演算が必要となる。タイマーだけでは装置仕上がり時間の統一が実現できない可能性があるため、広域の震度情報、停電情報、負荷、電源の情報をSNSをも介して俯瞰的に情報を収集し、ビッグデータ解析の結果として、負荷遮断の優先度協調、調整に利用すれば、停電範囲の極小化、系統設備の早期運用再開に寄与できる。
【0079】
また、種々閾値のアダプティブな設定変更例としては下記がある。
・気象・天候予報、またはそれのリアルタイム情報により系統潮流が増減するため、保護リレー、またはそれら連係したシステムのブラインダ整定の調整により、より実現象に適合した異常事象に対する事故検出の精度向上と、当該系統事象に対して、遮断指令を出力するべきか否かのより厳密な判断基準(事故選択性能)が得られる。
・気象・天候予報、またはそれのリアルタイム情報(雪、雨、風)の情報に応じて、再閉路タイマーの長短設定を変更することにより、停電時間の短縮や系統事故事象の波及範囲拡大の抑制に寄与できる。
【0080】
・SNS上のある特定エリアにおける天候・気象、または人々の意識に関わる所謂つぶやき、ツイート、フォローなどは、過去の実績に則したそれらの相関関係からその時間的断面の天候・気象が電力系統の電気的特性パラメータ(線路定数など)、または近未来を予測する有意なパラメータになり得る。
【0081】
以上説明した第5実施形態によれば、エネルギー管理システム10Aは、状況に応じて、より精度よく、保護リレー200Bが事故検出、および当該系統事象に対して的確に遮断指令等の応動をすることに寄与することができる。
【0082】
<第6実施形態>
以下、第6実施形態について説明する。第6実施形態のエネルギー管理システム10Aは、SNSの情報を取込み、系統モデルとその状態シミュレーション結果を変電制御装置、またはそれら連係した変電所自動化システムと情報共有、および相互連係する。相互連係とは、例えば、変電制御装置、またはそれら連係した変電所自動化システムが、エネルギー管理システム10Aから得た情報に基づいて、制御を行うことである。以下、第1実施形態から第5実施形態との相違点を中心に説明する。
【0083】
図9は、第6実施形態の情報処理システム1Dの機能構成の一例を示す図である。情報処理システム1Dは、例えば、エネルギー管理システム10Aに加え、変電制御装置200C(またはそれらに連係した変電所自動化システム)を備える。
【0084】
上述した第5実施形態と同様に、周辺の気温、夏・冬などの季節情報なども変電制御に適用されるアルゴリズムやスケジューリングの重要なパラメータとなる。系統設備上の実際の天候・気象要因による異状、もしくは管理対象の発電機などの電源、天候・気象により出力が変動する再生可能エネルギーによる電源、天候・気象によりエネルギー使用量が変動する負荷の状態が予め予測できれば、送電線の運用・停止、変圧器のタップ切換え設定、変電所の母線甲乙選択のレイアウト的、かつ時間断面の最適化により安定したエネルギー供給、効率的な系統設備運用、もしくは計画的な系統上の電気設備の停止計画が可能となる。計画的な系統上の電気設備の停止計画によって、例えば、送配電効率向上、発電効率向上、設備の巡視・点検計画の最適化、老朽化設備の更新計画の最適化により設備投資の抑制に貢献が可能となる。
【0085】
SNS上のある特定エリアにおける天候・気象、または人々の意識に関わる所謂つぶやき、ツイート、フォローなどは、過去の実績に則したそれらの相関関係からその時間的断面の天候・気象が電力系統の電気的特性パラメータ(線路定数など)、または近未来を予測する有意なパラメータになり得る。
【0086】
以上説明した第6実施形態によれば、エネルギー管理システム10Aは、より精度よく、状況に応じて変電制御装置200C(またはそれらに連係した変電所自動化システム)が各種制御を行うことに寄与することができる。
【0087】
<第7実施形態>
以下、第7実施形態について説明する。第7実施形態のエネルギー管理システム10Aは、SNSの情報を取込み、系統モデルとその状態シミュレーション結果を変電機器監視装置、またはそれら連係した変電機器監視システムと情報共有、および相互連係する。相互連係とは、例えば、変電機器監視装置、またはそれら連係した変電機器監視システムが、エネルギー管理システム10Aから得た情報に基づいて、制御を行うことである。以下、第1実施形態から第5実施形態との相違点を中心に説明する。
【0088】
図10は、第7実施形態の情報処理システム1Eの機能構成の一例を示す図である。情報処理システム1Eは、例えば、エネルギー管理システム10Aに加え、変電機器監視装置200D(またはそれらに連係した変電機器監視システム)を備える。
【0089】
第7実施形態のエネルギー管理システム10Aは、上述した第5実施形態または第6実施形態と同じく、周辺の気温、夏・冬などの季節情報なども変電機器監視装置200D、またはそれら連係した変電機器監視システムに適用される監視、およびCBMアルゴリズム、劣化分析、余寿命分析などの精度向上、性能向上の重要なパラメータとなる。
【0090】
SNS上のある特定エリアにおける天候・気象、または人々の意識に関わる所謂つぶやき、ツイート、フォローなどは、過去の実績に則したそれらの相関関係からその時間的断面の天候・気象が電力系統の電気的特性パラメータ(線路定数など)、または近未来を予測する有意なパラメータになり得る。とくに天候・気象による温度変化と電気的な負荷は変電機器の劣化とそれによる余寿命への影響が大きい。たとえば、特定のエリアで風力・風向、日射に関連するキーワードが抽出されれば、または風による変圧器など変電諸設備の温冷却による劣化とそれによる余寿命の精細な評価(ダイナミックレイティング)に活用できる。
【0091】
以上説明した第7実施形態によれば、エネルギー管理システム10Aは、より精度よく、状況に応じて変電機器監視装置200D(またはそれらに連係した変電機器監視システム)が各種制御を行うことに寄与することができる。
【0092】
上述した各実施形態のエネルギー管理システム10(10A)によれば、電力系統のモデル化のための情報量増加と精度向上により、ひいては将来の電気的諸現象など電力系統の振舞いのシミュレーションによる予測の精度向上、時々刻々と変化する周辺環境による影響の反映による将来のシミュレーションによる予測と実現象の誤差の抑制に寄与することにある。
【0093】
本実施形態のエネルギー管理システムによれば、電力系統のモデル化のための情報量増加と精度向上により、ひいては将来の電気的諸現象など電力系統の振舞いのシミュレーションによる予測の精度向上、時々刻々と変化する周辺環境による影響の反映による将来のシミュレーションによる予測と実現象の誤差の抑制に寄与することができる。
【0094】
これら現在、および将来の電力系統上の諸現象のシミュレーションによる予測と実現象の誤差を最小化することにより、関連・連係する機能およびシステムである、系統安定化システム(事故波及防止リレーシステム)、保護リレー装置またはそれら連係したシステム、変電制御装置またはそれら連係した変電所自動化システム、および変電機器監視装置またはそれら連係した変電機器監視システムと現在、および将来の電力系統上の諸現象のシミュレーションによる予測結果を共有することにより、それぞれの機能、装置、およびシステムが負う機能・性能を向上することができる。
【0095】
なお、第1実施形態から第7実施形態のうち、一部または全部は任意に組み合わせてれ実施されてもよい。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【要約】
実施形態のエネルギー運用システムは、取得部と、予測部と、需給制御部とを持つ。取得部は、不特定のユーザによって提供された情報であって、ネットワークを介して得られる前記管理エリア内および前記管理エリア外の現在の気象状況および予測された将来の気象状況と、前記管理エリア内および前記管理エリア外における社会環境の状況パターンとのうち少なくとも一つを含む情報を取得する。予測部は、前記取得部により取得された情報に基づいて、エネルギーの需要と供給とを分析または評価して、前記管理エリア内の将来の前記エネルギーの需要量または発電量の一方または双方を予測する。需給制御部は、前記予測部が予測した結果に基づいて、前記管理エリア内のエネルギーの需給バランスを制御する。
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