(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】内燃機関用回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 11/215 20160101AFI20220517BHJP
F02N 11/00 20060101ALI20220517BHJP
F02N 11/04 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
H02K11/215
F02N11/00 V
F02N11/04 A
(21)【出願番号】P 2022512838
(86)(22)【出願日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 JP2021028531
【審査請求日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2020148482
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599161580
【氏名又は名称】株式会社デンソートリム
(74)【代理人】
【識別番号】100096998
【氏名又は名称】碓氷 裕彦
(74)【代理人】
【識別番号】100170689
【氏名又は名称】金 順姫
(72)【発明者】
【氏名】水谷 誠一
(72)【発明者】
【氏名】小寺 優太
(72)【発明者】
【氏名】大原 知也
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-240071(JP,A)
【文献】特開2011-91966(JP,A)
【文献】特開2001-86724(JP,A)
【文献】実開平2-122580(JP,U)
【文献】特開2011-91965(JP,A)
【文献】特開2014-68420(JP,A)
【文献】特開2010-200421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/00-11/40
F02N 11/00
F02N 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクシャフトを回転支持するエンジンのシリンダブロックの開口部を覆い、前記クランクシャフトの先端が円筒形状部の内方に配置され、前記シリンダブロックと同様の熱環境であり、かつ、外気に触れるエンジンカバーに固定される内燃機関用回転電機であって、
前記クランクシャフトに取り付けられる基部、この基部より径方向外方に延びる円盤部、及びこの円盤部の径方向外方部に形成される円筒部を備え、前記クランクシャフトと一体に回転するロータと、
このロータの前記円筒部に、周方向に複数配置される磁石と、
前記エンジンカバーに取り付けられる基盤部、この基盤部より径方向外方に延びる複数のティース部、及びこのティース部に配置される複数のコイルを備え、前記ティース部の径方向外方端部が前記磁石と対向するステータと、
前記複数のコイルの隣接するコイル間に前記磁石と対向して配置されて前記磁石の磁束を検知するホールセンサとこのホールセンサの基板とを保持するセンサケースとを備え、
前記基盤部は、前記シリンダブロックの開口部とは前記ステータを挟んで反対側に位置する前記円筒形状部で前記エンジンカバーに取り付けられ、
前記センサケースは、
前記シリンダブロックの開口部とは前記ステータ
を挟んで反対側となる前記エンジンカバー側に配置され、かつ、
前記センサケースは、前記ステータの前記基盤部に固定されると共に、前記エンジンカバーにも固定され
、前記センサケースの熱が前記エンジンカバーに直接伝導する
ことを特徴とする内燃機関用回転電機。
【請求項2】
前記内燃機関用回転電機は、三相の始動発電機であり、
前記ホールセンサは、U相、V相、W相の回転位置を検出する3つのホールセンサと、前記クランクシャフトの基準位置を検出する1つのホールセンサの併せて4つのホールセンサであり、
各ホールセンサは、隣接する前記コイル間に配置される
ことを特徴とする請求項1記載の内燃機関用回転電機。
【請求項3】
前記ティース部は、前記クランクシャフトの軸方向に所定の長さを有しており、
前記ホールセンサは複数存在しその少なくとも一つは、前記ティース部の軸方向長さの中間位置より前記エンジンカバー側に配置されている
ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の内燃機関用回転電機。
【請求項4】
前記センサケースは、前記ホールセンサと前記基板を保持するセンサ本体部と、このセンサ本体部の径方向内方に位置するステータ固定部と、前記センサ本体部の径方向外方に位置するエンジンカバー固定部とを備える
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の内燃機関用回転電機。
【請求項5】
前記ステータ固定部には固定部ボルト穴が形成されており、前記ステータの前記基盤部にはセンサケースボルト通し穴が形成されており、ステータボルトを、前記基盤部の前記センサケースボルト通し穴を通して、前記ステータ固定部の前記固定部ボルト穴に螺合することにより前記ステータと前記センサケースとが固定される
ことを特徴とする請求項4記載の内燃機関用回転電機。
【請求項6】
前記エンジンカバー固定部には位置決め穴が形成されており、
前記センサケースは、位置決めネジにより前記エンジンカバーに固定され、
前記位置決めネジは、前記エンジンカバー固定部の前記位置決め穴に対応する位置決め円筒部と、この位置決め円筒部の一端側に形成されて前記エンジンカバーのネジ部と螺合するボルト部と、前記位置決め円筒部の他端側に形成されたレンチ頭部とを有し、
前記位置決め円筒部の径は、前記ボルト部の径より大きい
ことを特徴とする請求項4もしくは5記載の内燃機関用回転電機。
【請求項7】
前記ステータ固定部及び前記エンジンカバー固定部は、前記センサ本体部のうち前記ステータの周方向の略中央部に位置している
ことを特徴とする請求項4ないし6いずれか記載の内燃機関用回転電機。
【請求項8】
前記センサケースは、前記エンジンカバーのうち上下方向の中間位置を含めて中間位置より上方に配置される
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか記載の内燃機関用回転電機。
【請求項9】
前記センサケースは、前記エンジンカバーのうち上下方向の中間位置を含めて中間位置より下方に配置される
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか記載の内燃機関用回転電機。
【請求項10】
前記ホールセンサと前記コイルとの間には間隙が生じ、前記ホールセンサは前記コイルと直接に接しない
ことを特徴とする請求項1ないし8いずれか記載の内燃機関用回転電機。
【請求項11】
前記エンジンカバーは、前記クランクシャフトに対応する中心部に設けられた
前記円筒形状部と、周辺部に設けられたボルト通し穴と、前記円筒形状部から前記ボルト通し穴に向けて伸びるリブとを有し、
前記センサケースは、前記エンジンカバーのうち、前記リブ上若しくは前記リブの線上に固定される
ことを特徴とする請求項1ないし10いずれか記載の内燃機関用回転電機。
【請求項12】
前記センサケースは、前記リブ上若しくは前記リブの線上のうち、前記ボルト通し穴までの距離が前記円筒形状部までの距離より短い位置で、前記エンジンカバーに固定される
ことを特徴とする請求項11記載の内燃機関用回転電機。
【請求項13】
前記センサケースは、前記ホールセンサと前記基板とを保持する樹脂材料製のセンサ本体部と、このセンサ本体部の前記エンジンカバー側に配置される金属製の放熱板部を備える
ことを特徴とする請求項1ないし12いずれか記載の内燃機関用回転電機。
【請求項14】
前記センサケースは、前記ホールセンサと前記基板とを保持する樹脂材料製のセンサ本体部と、このセンサ本体部の前記エンジンカバー側に配置される金属製の放熱板部と、この放熱板部より前記ホールセンサ側に延びる金属製の冷却板部とを備える
ことを特徴とする請求項1ないし12いずれか記載の内燃機関用回転電機。
【請求項15】
前記センサケースは、前記ホールセンサと前記基板とを保持するセンサ本体部と、前記センサケースを前記エンジンカバーに固定するエンジンカバー固定部とを備え、
前記センサケースは、位置決めネジにより前記エンジンカバーに固定され、
前記位置決めネジは、前記センサケースの前記エンジンカバー固定部及び前記放熱板部を挟持して前記エンジンカバーのネジ部と螺合するボルト部を有する
ことを特徴とする請求項13もしくは14記載の内燃機関用回転電機。
【請求項16】
前記センサケースは、位置決めネジにより前記エンジンカバーに固定され、
前記位置決めネジは、前記センサケースの前記放熱板部のみを挟持して前記エンジンカバーのネジ部と螺合するボルト部を有する
ことを特徴とする請求項13もしくは14記載の内燃機関用回転電機。
【請求項17】
前記エンジンカバーのうち前記放熱板部と対向する部位は、前記放熱板部に対応する形状をしており、
前記放熱板部は、前記エンジンカバーのうち前記放熱板部と対向する部位と接する
ことを特徴とする請求項13ないし16いずれか記載の内燃機関用回転電機。
【請求項18】
前記放熱板部と、前記エンジンカバーのうち前記放熱板部と対向する部位との間には接着剤層が介在する
ことを特徴とする請求項13ないし17いずれか記載の内燃機関用回転電機。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2020年9月3日に日本に出願された特許出願第2020-148482号を基礎としており、基礎の出願の内容を、全体的に、参照により援用している。
【技術分野】
【0002】
本明細書の記載は、二輪車の発電機や始動機として使用可能な回転電機に関する。
【背景技術】
【0003】
二輪車の発電機や始動機として使用可能な回転電機として、三相のブラシレスモータを用いることは、特許文献1及び特許文献2に開示されている。特許文献1及び特許文献2の技術では、ロータに設けられた磁石の磁束変化よりロータの回転位置を検出したり、内燃機関の点火制御のための基準位置信号を検出したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-111917号公報
【文献】特開2014-152662号公報
【発明の概要】
【0005】
特許文献1に記載の回転電機は、二輪用始動発電機のロータの位置を検出するホールセンサについて、ホールセンサのケースをステータに固定するとともに、エンジンブロック側にも締付けている。これにより、位置決め精度を向上させている。
【0006】
ところで、ホールセンサは電子部品であるため耐熱温度に制限がある。一般的にスクータの場合、始動発電機の取付部はエンジンの外部であり、外部の空気が常に流入し冷やされる構造にある。よって、ホールセンサの耐熱性はさほど問題となっていない。一方で、エンジン構造が異なり、エンジンの内部に始動発電機が配置される構造もある。この場合、始動発電機は高温環境かつエンジンオイル中に密閉されることとなる。このためエンジンブロック側にセンサを固定すると高温となり耐熱温度を超えるまたは近くなる。またエンジンオイルが飛散する環境で、かつ高温となることでセンサ及び付属の基板を保護する樹脂の寿命が短くなる問題がある。
【0007】
特許文献1に記載の回転電機では、ホールセンサのケースをエンジンブロックに組付けることで温度上昇をきたし、耐熱上課題がある。特に、回転電機がエンジン内部に配置される場合には、より高温環境での使用となり、耐熱性の課題は一層顕著となる。
【0008】
特許文献2に記載の回転電機は、エンジンの内部に始動発電機が配置されるタイプであり、ステータはエンジンカバーに固定されている。ホールセンサはステータに配置され、コイルの電力線とともに、ホールセンサの電線もエンジンカバーより外部に取り出される。この特許文献2に開示のホールセンサも、高温のエンジン内部環境で使用されることとなり、耐熱性の課題を含んでいる。
【0009】
本件の開示は、始動発電機となる回転電機がエンジン内部に配置されることを前提として、高温環境で使用されるホールセンサの耐熱性を高めることを課題とする。より具体的には、クランクシャフトを回転支持するエンジンのシリンダブロックの開口部を覆い、クランクシャフトの先端が円筒形状部の内方に配置され、シリンダブロックと同様の熱環境であり、かつ、外気に触れるエンジンカバーに固定される内燃機関用回転電機であることを前提としている。
【0010】
本開示の第1は、クランクシャフトと一体に回転するロータと、このロータに周方向に複数配置される磁石と、エンジンカバーに取り付けられる基盤部、この基盤部より径方向外方に延びる複数のティース部、及びこのティース部に配置されるコイルを備え、ティース部の径方向外方端部が磁石と対向するステータとを備える内燃機関用回転電機である。本開示の第1では、ロータがクランクシャフトに組付けられ、ステータがエンジンカバーに組付けられることで、回転電機がエンジン内部に配置される前提を規定している。上述の通り、エンジンカバーは、クランクシャフトを回転支持するエンジンのシリンダブロックの開口部を覆っている。そして、クランクシャフトの先端がエンジンカバーの円筒形状部の内方に配置されている。そのため、エンジンカバーの内部はシリンダブロックと同様の熱環境である。本開示の第1の内燃機関用回転電機は、このエンジンカバーに固定されることを前提としている。
【0011】
そして、本開示の第1は、複数のコイルの隣接するコイル間に磁石と対向して配置されて磁石の磁束を検知するホールセンサとこのホールセンサの基板とを保持するセンサケースを備え、センサケースは、ステータのエンジンカバー側に配置され、かつ、センサケースは、ステータの基盤部に固定されると共に、エンジンカバーにも固定されている。
【0012】
本開示の第1は、ホールセンサはその基板と共にセンサケースに保持され、センサケースは直接にエンジンカバーに固定されるので、ホールセンサの熱は、基板とセンサケースとを介してエンジンカバーに伝達する。より具体的には、基盤部はシリンダブロックの開口部とはステータを挟んで反対側に位置する円筒形状部でエンジンカバーに取り付けられている。また、センサケースはシリンダブロックの開口部とはステータを挟んで反対側となるエンジンカバー側に配置されている。かつ、センサケースはステータの基盤部に固定されると共に、エンジンカバーにも固定されて、センサケースの熱がエンジンカバーに直接伝導するように構成している。上述の通り、エンジンカバーは外気に接しているので、エンジンカバーより熱を外気に逃がすことができて、ホールセンサの耐熱性を向上させることが出来る。
【0013】
本開示の第2は、内燃機関用回転電機は三相の始動発電機であり、ホールセンサは、U相、V相、W相の回転位置を検出する3つのセンサと、クランクシャフトの基準位置を検出する1つのセンサの併せて4つのセンサであり、各ホールセンサは、隣接するコイル部間に配置される。
【0014】
本開示の第2では、センサケースがステータに固定されているので、ホールセンサとコイル部のU相、V相、及びW相との位置関係が正確に定まる。加えて、センサケースがエンジンカバーにも固定されているので、このセンサケースを介して、エンジンカバーに固定されるステータの位置決めも行うことができる。そのため。本開示の第2では、ロータの回転位置検出が正確となり、かつ、点火制御のための基準位置検出も正確に行うことが出来る。
【0015】
本開示の第3は、ホールセンサを複数有し、その少なくとも一つは、ティース部の軸方向長さの中間位置よりエンジンカバー側に配置されている。そのため、ホールセンサとエンジンカバーとの距離は比較的短くなり、ホールセンサからエンジンカバーへの熱の逃がしがスムーズとなる。
【0016】
本開示の第4は、センサケースの構造にある。センサケースは、ホールセンサとこのホールセンサの基板を保持するセンサ本体部と、このセンサ本体部の径方向内方に位置するステータ固定部と、センサ本体部の径方向外方に位置するエンジンカバー固定部とを備える。
【0017】
本開示の第4では、センサ本体部をステータのティース部及びコイルに対応させ、ステータ固定部をステータの基盤部に対応させて配置することができる。その上で、エンジンカバー固定部を径方向外側に位置しているので、エンジンカバー内でセンサケースをコンパクトに収納することができる。
【0018】
本開示の第5は、ステータとセンサケースとの固定構造である。センサケースのステータ固定部には固定部ボルト穴が形成されており、ステータの基盤部にもセンサケースボルト通し穴が形成されている。ステータボルトを、ステータのセンサケースボルト通し穴を通して、センサケースのステータ固定部の固定部ボルト穴に螺合することで、ステータとセンサケースとが固定される。本開示の第5では、ステータをエンジンカバーに固定する基盤部を用いて、センサケースをステータに固定するようにしている。
【0019】
本開示の第6は、センサケースとエンジンカバーとの固定構造である。エンジンカバー固定部には位置決め穴が形成されており、センサケースは、位置決めネジによりエンジンカバーに固定される。そして、位置決めネジは、エンジンカバー固定部の位置決め穴に対応する位置決め円筒部と、この位置決め円筒部の一端側に形成されてエンジンカバーのネジ部と螺合するボルト部と、位置決め円筒部の他端側に形成されたレンチ頭部とを有している。かつ、位置決め円筒部の径は、ボルト部の径より大きくしている。
【0020】
本開示の第6では、エンジンカバー固定部の位置決め穴と位置決めネジの円筒部とによって、センサケースとエンジンカバーとが正確な位置に固定される。加えて、位置決め円筒部の径が、ボルト部の径より大きくなっているので、円筒部やレンチ頭部を介してセンサケースの熱がエンジンカバーに逃げやすくなっている。
【0021】
本開示の第7は、ステータ固定部及びエンジンカバー固定部を、センサ本体部の略中央部に位置させて、固定時のセンサケースのバランスを良くしている。
【0022】
本開示の第8は、センサケースの配置位置である。センサケースは、エンジンカバーのうち上下方向の中間位置を含めて中間位置より上方に配置されている。エンジンカバー内にはエンジンオイルの飛沫が飛散し、このエンジンオイルは下方部に比較的多い。そのため、センサケースを上方に配置すれば高温のエンジンオイルが直接にホールセンサに飛散する恐れを低減することができる。
【0023】
本開示の第9も、センサケースの配置位置である。センサケースは、エンジンカバーのうち上下方向の中間位置を含めて中間位置より下方に配置されている。長時間エンジンを高速回転した後で、エンジンを停止したような状況では、エンジン内部の高温空気はより上方に流れる。このような状態でセンサケースが上方部に位置していれば高温空気の熱を受けやすいが、下方に配置されれば、高温空気の影響を受けにくくなる。
【0024】
本開示の第10は、ホールセンサとコイルとの間に間隙をもたせている。これにより、ホールセンサはコイルと直接に接しない構造となり、コイルの熱が直接にホールセンサに伝達されるのが防止できる。
【0025】
本開示の第11は、エンジンカバーをリブ形成のものとしている。即ち、エンジンカバーは、クランクシャフトに対応する中心部に設けられた円筒形状部と、周辺部に設けられたボルト通し穴と、円筒形状部からボルト通し穴に向けて伸びるリブとを有するものとしている。そして、センサケースを、エンジンカバーのうち、リブ上若しくはリブの線上に固定している。これにより、センサケースの耐震性を高めることができる。
【0026】
本開示の第12は、センサケースを、リブ上若しくはリブの線上のうち、ボルト通し穴までの距離が円筒形状部までの距離より短い位置で、エンジンカバーに固定している。センサケースの耐震性をより高めることができている。
【0027】
本開示の第13では、センサケースはホールセンサと基板とを保持する樹脂材料製のセンサ本体部と、このセンサ本体部のエンジンカバー側に配置される金属製の放熱板部を備えている。センサケースに金属製の放熱板部を形成して、この放熱板部をエンジンカバー側に配置しているので、ホールセンサからエンジンカバー側への熱の伝達効率を高めることができる。その結果、ホールセンサの耐熱性を一層向上できる。
【0028】
本開示の第14では、センサケースはホールセンサと基板とを保持する樹脂材料製のセンサ本体部と、このセンサ本体部のエンジンカバー側に配置される金属製の放熱板部と、この放熱板部よりホールセンサ側に延びる金属製の冷却板部とを備えている。本開示の第13に対して、放熱板部よりホールセンサ側に延びる金属製の冷却板部を追加することで、ホールセンサの熱は冷却板部を介して放熱板部へ伝達される。これにより、ホールセンサの耐熱性能を更に高めることができる。
【0029】
本開示の第15は、センサケースは、ホールセンサと基板とを保持するセンサ本体部と、センサケースをエンジンカバーに固定するエンジンカバー固定部とを備えている。また、センサケースは、位置決めネジによりエンジンカバーに固定されている。そして、位置決めネジは、センサケースのエンジンカバー固定部及び放熱板部を挟持してエンジンカバーのネジ部と螺合するボルト部を有している。センサケースは放熱板部がエンジンカバーにねじ止めされるので、金属製放熱板部が直接にエンジンカバーに接触する。その結果、センサケースからエンジンカバーへの熱の伝達がスムーズになされる。
【0030】
本開示の第16も、センサケースは、位置決めネジによりエンジンカバーに固定されている。そして、位置決めネジは、センサケースの放熱板部のみを挟持してエンジンカバーのネジ部と螺合するボルト部を有している。センサケースのエンジンカバー固定部は樹脂材料製であるので、熱の影響を受けて反りが発生すると寸法精度が劣る恐れがある。それに対し、金属製の放熱板部は反りの影響は少なく、位置決めネジによりエンジンカバーに固定する際の位置調整も容易となる。
【0031】
さらに、樹脂材料製のエンジンカバー固定部は、位置決めネジでねじ止めされるとクリープ変形を起こす恐れがあるが、金属製の放熱板部はクリープ変形の恐れはない。加えて、金属製の放熱板部のみを介してエンジンカバーにねじ止めされるので、センサケースからエンジンカバーへの熱の伝達はよりスムーズになされる。
【0032】
本開示の第17は、エンジンカバーのうち放熱板部と対向する部位は、放熱板部に対応する形状をしている。そして、放熱板部は、エンジンカバーのうち放熱板部と対向する部位と接する構造となっている。センサケースは複数のティース部に跨って配置されるので、周方向に所定の長さを有する。本開示の第17では、この周方向の所定長さに亘って放熱板部がエンジンカバーに接する構造としているので、センサケースからエンジンカバーへの熱の伝達は一層スムーズになされる。
【0033】
本開示の第18では、放熱板部とエンジンカバーのうち放熱板部と対向する部位との間に接着剤層が介在している。放熱板部とエンジンカバーとの間に隙間が生じても、その隙間を接着剤層で埋めることができる。そのため、センサケースからエンジンカバーへの熱の伝達がスムーズになされる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、回転電機がクランクシャフト及びエンジンカバーに組み合わされた状態の斜視図である。
【
図2】
図2は、ロータ、ステータ及びセンサケースを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、ステータとセンサケースを示す正面図である。
【
図4】
図4は、ステータとセンサケースを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、エンジンカバーとセンサケースを示す斜視図である。
【
図6】
図6は、エンジンカバー、ステータ及びセンサケースを示す断面斜視図である。
【
図7】
図7は、エンジンカバーとステータ及びセンサケースを示す断面斜視図である。
【
図8】
図8は、エンジンカバーとセンサケースを示す断面斜視図である。
【
図10】
図10は、放熱板部を組付けたセンサケースを示す斜視図である。
【
図11】
図11は、
図10図示センサケースとエンジンカバーとの組付け状態を示す斜視断面図である。
【
図12】
図12は、放熱板部及び冷却板部を備えるセンサケースの一部を示す断面図である。
【
図13】
図13は、放熱板部及び冷却板部を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、放熱板部及び冷却板部の他の例を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、放熱板部を組付けたセンサケースの他の例を示す斜視図である。
【
図16】
図16は、
図15図示センサケースとエンジンカバーとの組付け状態を示す斜視断面図である。
【
図17】
図17は、エンジンカバーの他の例を示す斜視図である。
【
図18】
図18は、センサケースとエンジンカバーとの組付け状態の他の例を示す斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本開示の一例を図に基づいて説明する。
図1は、回転電機1がクランクシャフト100及びエンジンカバー200に組み合わされた状態の斜視図である。101は、ウェブであり、図示しないピストンが図示しないシリンダ内を往復動する動きを、図示しないコンロッドを介して受けて、クランクシャフト100を回転させる。クランクシャフト100は、直径20ミリメートル程度の鉄材からなり、図示しないシリンダブロックに回転支持されている。
【0036】
エンジンカバー200は、シリンダブロックの開口部を覆い、ボルト通し穴201により、シリンダブロックにボルト固定される。エンジンカバー200は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金のダイキャスト製であり、肉厚は4ミリメートル程度である。エンジンカバー200は、シリンダブロックの開口部に連続するので、内部環境はシリンダブロックと同様である。
【0037】
クランクシャフト100には、回転電機1のロータ300が、基部301(
図2図示)で固定されている。従って、ロータ300はクランクシャフト100と一体に回転する。ロータ300は、鉄材料製で、基部301より径方向外方に延びる円盤部302と、この円盤部302の径方向外方部に形成される円筒部303を備えている。
図2に示すように、円筒部303の内方には、永久磁石304が12個、周方向に並んで配置されている。永久磁石の厚みは、4~5ミリメートル程度である。なお、永久磁石304の数は、12個に限らず、20個や24個等要求性能に応じて適宜設定できる。
【0038】
ロータ300の内部には、
図2に示すように、ステータ400が配置されている。ステータ400は、複数の磁性鋼板を積層して構成されている。ステータ400は、エンジンカバー200に取り付けられる基盤部401、この基盤部401より径方向外方に延びる複数のティース部402(
図6図示)を一体に形成している。ステータ400の外径は、110~130ミリメートル程度となっている。従って、ロータ300の内径は、ステータ400の外径と永久磁石304との間に微小間隙が形成される大きさとなっている。
【0039】
基盤部401には、エンジンカバー200にステータ400を固定するためのステータボルト通し穴403が3か所形成されている。また、基盤部401には、後述するセンサケース500をステータ400に固定するためのセンサケースボルト通し穴410(
図6図示)も1カ所形成されている。
【0040】
ティース部402はポリアミド等の絶縁樹脂からなるインシュレーターで電気絶縁され、インシュレーターの上に銅線若しくはアルミニウム線からなるコイル404が巻装されている。
図3は、
図2からロータ300を外して、ステータ400とセンサケース500を示す正面図である。
図4は、
図3とは逆の方向から、ステータ400とセンサケース500を示す斜視図である。
【0041】
図3に示すように、隣接するコイル404の間には隙間405が形成され、その隙間405は径方向外側に向けて広くなっている。また、
図4に示すように、センサケース500はセンサ本体部501と、センサ本体部501から隣接するコイル404の間に延びる第1ないし第4ホールセンサ502~505を備える。センサ本体部501は、第1ないし第4ホールセンサ502~505と基板521(
図6図示)とを保持している。第1ないし第4ホールセンサ502~505は、隣接するコイル404間の隙間405にコイル404とは接触しないように配置される。各ホールセンサ502~504は、2ミリメートル程度×3ミリメートル程度の大きさである。センサケース500(センサ本体部501)でホールセンサ502~505は覆われている。センサ本体部501は、ポリアミド等の樹脂材料で形成されており、内部に基板521をポッティング材520で封入している。
【0042】
第2ないし第4ホールセンサ503、504、505はN極とS極とが交互に着磁された永久磁石304と対向して、N極とS極とが交互に変動する位置を検出する。第2ないし第4ホールセンサ503、504、505のそれぞれの検出位置は、V相、W相、U相の通電時期に対応している。これら検出位置に応じ、回転電機1が始動機としてモータ使用されるときには、U相、V相、W相に対応するコイル404への電圧の供給が制御される。回転電機1が発電機として使用される際にもU相、V相、W相に対応するコイル404からの電流を制御するためのタイミング信号として用いられる。
【0043】
第1ホールセンサ502は、点火制御のための基準位置を検出する。第1ホールセンサ502は、他のホールセンサ503、504、505とは、クランクシャフト100の軸方向に関して異なる位置に配置されている。この第1ホールセンサ502の配置位置では、基準位置でN極からS極への反転がなく、N極が3つの永久磁石304で連続する。この3つのN極の連続を検知することで、基準位置が検出できる。ロータ300はクランクシャフト100と一体回転するので、基準位置はクランクシャフト100の回転方向の位置を示すことになる。クランクシャフト100が基準位置にあることと他のホールセンサの磁極の切り替わりを利用して、エンジンのシリンダに配置された図示しないスパークプラグの点火タイミングが制御される。
【0044】
第1ホールセンサ502は、軸方向の中間位置まで伸びるものの、第1ないし第4ホールセンサ502~505は、軸方向の長さが短く設定されている。結果、第1ないし第4の全てのホールセンサ502~505は、比較的センサ本体部501に近い位置に配置されることとなっている。言い換えると、少なくとも一つのホールセンサは、ティース部402の軸方向長さLxの中間位置よりエンジンカバー200側に配置されている。この実施形態では、すべてのホールセンサ502-505は、ティース部402の軸方向長さの中間位置よりエンジンカバー200側に配置されている。これにより、第1ないし第4ホールセンサ502~505の熱はセンサ本体部501に逃げやすくなる。
【0045】
センサ本体部501内には、ホールセンサ502~505からの電源線、信号線、及びアース線が結線される基板521(
図6~8図示)が配置されている。この基板521は、電源線、信号線、及びアース線とともにポッティング材520によってセンサ本体部501内に埋込固定されている。なお、ポッティング材520としては、エポキシ樹脂等が用いられる。
【0046】
図3に示すように、センサケース500は、センサ本体部501の径方向内方にステータ固定部506が形成されている。そして、このステータ固定部506には、ステータ400の基盤部401に設けられたセンサケースボルト通し穴410と対応する位置に、固定部ボルト穴507が形成されている。また、センサ本体部501の径方向外方には、エンジンカバー固定部508が形成されている。このエンジンカバー固定部508には、固定部ボルト穴507より径の大きい位置決め穴509が形成されている。
【0047】
本例では、ステータ固定部506及びエンジンカバー固定部508は、共にセンサケースの略中心線上に形成されている。即ち、ステータ400の周方向に延びるセンサ本体部501の周方向中央に位置している。そのため、ボルト512及び位置決めネジ515を締め付け固定した状態でのセンサケース500は、バランス良く保持される。
【0048】
図5は、エンジンカバー200とセンサケース500との結合状態を示す斜視図である。
図5は、
図1の状態から、クランクシャフト100、ロータ300、及びステータ400を取り除いて示している。但し、
図5には、ステータ400のうちセンサケース500が固定される基盤部401(基盤部401の一部)が示されている。
図5に示すように、センサケース500はエンジンカバー固定部508の位置決め穴509に位置決めネジ515を挿入して、エンジンカバー200に取り付けられる。なお、
図5では、位置決めネジ515のレンチ頭部510が示されており、レンチ頭部510の中心には六角溝511が生成されている。
図5には、ステータ400のうち基盤部401の一部しか記載されていない。センサケース500は、ステータ固定部506の固定部ボルト穴507にボルト512が螺合する。これによって、ステータ400とステータ固定部506との結合がなされる。
【0049】
なお、符号220はエンジンカバー200に形成されたリブで、このリブ220によりエンジンカバー200の強度を向上させている。エンジンカバー200のボルト通し穴201は、本例では周方向に離れて7カ所形成されている。エンジンカバー200はクランクシャフト100と対向する位置を中心に形成されている。よって、リブ220は、中心の円筒形状部205から7カ所のボルト通し穴201に向けて放射線状に延びる放射線状部220aを備える。さらに、リブ220は、円筒形状部205と同心円状に形成されて放射線状部220aと直交する円状部220bを備える。
【0050】
センサケース500は、ボルト通し穴201のうち
図5の右方向に位置するボルト通し穴201aに向かって伸びるリブ220の放射線状部220aの上に配置されている。ネジ部210も、この放射線状部220aの線上に位置している(
図6図示)。従って、センサケース500はエンジンカバー200の中でも耐震強度に優れた部位に位置し、センサケース500の振動を抑制できている。特に、ネジ部210はエンジンカバー200のうち、円筒形状部205ではなく、ボルト通し穴201aに近い位置に形成されている。センサケース500は、リブ220上若しくはリブ220の線上に固定されている。センサケース500は、ボルト通し穴201までの距離L1が、円筒形状部205までの距離L2より短い位置において、ネジ部210及びボルト部514によってエンジンカバー200に固定されている。よって、この実施形態の振動抑制効果はより高くなっている。
【0051】
図6は、エンジンカバー200と、センサケース500及びステータ400との組付け状態を説明する断面斜視図である。上述の通り、ステータ400の基盤部401及びティース部402は多数の磁性鋼板を積層して構成している。基盤部401には、ステータ400をエンジンカバー200に取り付けるためのステータボルト通し穴403が形成されている。さらに、基盤部401には、ステータ400にセンサケース500を固定するためのセンサケースボルト通し穴410が形成されている。上述のインシュレーターは、符号420で示す。
【0052】
センサケース500のステータ固定部506に形成された固定部ボルト穴507には雌ネジが形成されている。センサケースボルト通し穴410に挿入されたボルト512は、この固定部ボルト穴507の雌ネジと螺合する。ボルト512は、径が6ミリメートル程度のものを用いている。
【0053】
センサケース500をエンジンカバー200に固定する位置決めネジ515には、位置決め穴509に対応する位置決め円筒部513が形成されている。位置決め円筒部513は円筒部513とも呼ばれる。そして、この円筒部513の一端側にボルト部514が設けられ、このボルト部514がエンジンカバー200のネジ部210と螺合する。このボルト部514も、径が6ミリメートル程度としている。また、位置決め穴509の内径及び円筒部513の外形は共に10ミリメートル程度としてある。位置決め穴509と円筒部513との嵌め合いにより、センサケース500とエンジンカバー200との位置合わせが行われる。
【0054】
特に、位置決めネジ515の締め付け後には、位置決めネジ515の軸力が位置決め穴509に加わるので、位置決め穴509は変形しにくい構造となっている。また、
図5図示のように、位置決め穴509はホールセンサ503、504の近傍に位置している。よって、エンジンカバー200を介してセンサ本体部501とエンジン側とが直接位置決めでき、その意味でも位置検出精度が向上している。これに対し、センサケース500に位置決め穴509を設けず、センサケース500をステータ400に固定する比較例が考えられる。この比較例では、センサケース500の成型歪等が影響して位置検出精度が所定の要求水準を満たせない場合がある。
【0055】
また、上述のレンチ頭部510は、円筒部513の他端側に形成されている。センサケース500のセンサ本体部501には、上述のポッティング材520が封入されて基板521を保護している。
【0056】
図6に示すように、エンジンカバー200のうち、ステータ400の基盤部401に対向する部位は基盤部401と同形の円筒形状部205となっている。クランクシャフト100の先端は、ステータ400の基盤部401とこの円筒形状部205の内方に配置される。
【0057】
図7は、
図6と同様にエンジンカバー200とステータ400とセンサケース500との組付け状態を示す断面斜視図である。但し、
図6とは異なる断面を示している。エンジンカバー200の円筒形状部205には、カバーボルト穴206が形成されている。このカバーボルト穴206がステータ400のステータボルト通し穴403と一致し、ステータボルト430により、ステータ400はエンジンカバー200に固定される。
【0058】
図8は、
図6よりステータ400を外して、エンジンカバー200とセンサケース500との組付け状態を示す断面斜視図である。隣接するコイル404の間に配置される第3ホールセンサ504と第4ホールセンサ505が現れている。
【0059】
次に、ステータ400とセンサケース500とをエンジンカバー200に組付ける手順を説明する。まず、
図4に示すように、第1ないし第4ホールセンサ502~505が所定のコイル404間の所定の軸方向の位置に位置づけられる。この状態で、センサケース500をステータ400に組付ける。この組付け時に、第1ないし第4ホールセンサ502~505はコイル404に直接触れるのではなく、コイル404との間に間隙が生じるようにしている。その状態では、
図3に示すように、ステータ400のセンサケースボルト通し穴410とセンサケース500の固定部ボルト穴507とが一定の公差内で一致する。一致させた状態で、
図6及び
図7に示すように、ボルト512がセンサケースボルト通し穴410を通って、センサケース500の固定部ボルト穴と螺合する。これにより、ステータ400とセンサケース500とを固定する。
【0060】
ステータ400とセンサケース500とが組付けられた状態で、センサケース500の位置決め穴509とエンジンカバー200のネジ部210を一致させる。この状態で、位置決めネジ515の締め付けを行う。この際に、位置決めネジ515の円筒部513が、センサケース500の位置決め穴509に嵌り合う。これにより、センサケース500とエンジンカバー200との相対位置関係が定まる。その結果、センサケース500に固定されているステータ400とエンジンカバー200との相対位置関係も定まることとなる。
【0061】
その後、ステータボルト430をエンジンカバー200のカバーボルト穴206に螺合する。ここで、ステータ400のステータボルト通し穴403は大きな公差を有している。この結果、センサケース500によってステータ400とエンジンカバー200との相対位置関係が定まった状態でも、ステータボルト430の締め付け固定は問題なく行える。より具体的には、ステータボルト通し穴403の公差は、センサケース500の位置決めネジ515の公差の2倍となっている。
【0062】
次に、使用環境における第1ないし第4ホールセンサ502~505の熱状態に関して説明する。
図1に示すように、エンジンカバー200はエンジンのシリンダブロックの開口部を覆うものであるので、シリンダブロックと同様の熱環境にある。高温時には150度(摂氏、以下同じ)程度に温度上昇する。更に、コイル404による発熱により、コイル404部分では150度を超え、180~200度まで温度上昇することもありうる。ホールセンサは電子部品であるため、最悪の場合には、耐熱温度を超えてしまう恐れもある。
【0063】
それに対し、本開示の第1ないし第4ホールセンサ502~505は、コイル404との間に間隙があるので、コイル404の熱が直接伝達されることは無い。かつ、センサケース500はエンジンカバー200に固定されているので、第1ないし第4ホールセンサ502~505もエンジンカバー200側に配置される。エンジンカバー200は外気に触れるので、シリンダブロックの温度よりは低く、高温時でも100度ほどである。そのため、高温となるシリンダブロック内では、最も温度上昇が少ない。このエンジンカバー200に近い位置に第1ないし第4ホールセンサ502~505を配置することで、耐熱温度を超える恐れを軽減できる。
【0064】
そして、本開示のセンサケース500は位置決めネジ515により直接にエンジンカバー200に固定されている。よって、第1ないし第4ホールセンサ502~505の熱を、エンジンカバー200に逃がすことができる。即ち、各ホールセンサの熱は、電源線、信号線、アース線を介して基板521に伝わる。次に、熱は、ポッティング材520からエンジンカバー固定部508に伝わる。次に、熱は、エンジンカバー固定部508を介して、位置決めネジ515経由でエンジンカバー200に伝達される。この開示では、熱がエンジンカバー200に直接伝導する経路が設けられる。これにより、コイル404の温度が180~200度の高温時でも、センサケース500の温度は120~130度に抑えられる。特に、本開示では第1ないし第4ホールセンサ502~505からセンサ本体部501までの距離が比較的短くなっているので、熱が逃げやすい構造である。これによって、第1ないし第4ホールセンサ502~505の耐熱性を高めることが可能である。
【0065】
次に、温度の影響を考慮したセンサケース500の配置位置を説明する。シリンダブロックの内部に充満しているのは、空気とエンジンオイルとのミストである。よって、空気とエンジンオイルのどちらの熱影響をより重視すべきかの使用環境に応じた設計的な選択により、センサケース500の配置位置の設定も異なる。
【0066】
エンジンオイルの熱影響が重視される使用環境では、センサケース500は、エンジンカバー200のうち上下方向の中間位置を含めて中間位置より上方に配置するのが望ましい。何故なら、エンジンカバー200内にはエンジンオイルの飛沫が飛散しており、このエンジンオイルは下方部に比較的多いからである。そのため、センサケース500を上方に配置すれば高温のエンジンオイルが直接にホールセンサ502~505に飛散する恐れを低減することができる。特に、本開示では、センサケース500はエンジンカバー200側に配置されているので、センサケース500とシリンダブロックとの間には、ロータ300やステータ400が介在している。そのため、本来的にエンジンオイルが飛散しにくい環境であるので、センサケース500を上方に配置すれば、エンジンオイルの熱影響を最も少なくすることができる。
【0067】
逆に、空気の温度が重視される使用環境では、センサケース500は、エンジンカバー200のうち上下方向の中間位置を含めて中間位置より下方に配置する。長時間エンジンを高速回転した後で、エンジンを停止したような状況では、エンジン内部の温度が急激に上昇する。そして、高温空気はより上方に流れるので、このような状態でセンサケース500が上方部に位置していれば高温空気の熱を受けやすい。一方、センサケース500が、下方に配置されていれば、高温空気の影響を受けにくくなる。特に、上記の通り、本開示のセンサケース500はもともとエンジンオイルの影響を受けにくい位置に配置されている。よって、高温空気の影響が顕著となり、下方の配置はバランスがよい。
【0068】
上述の通り、本開示では、センサケース500をエンジンカバー200側に配置しているので、センサケース500の熱はエンジンカバー200側に放熱される構造である。この放熱を更に促進するために、センサケース500に放熱板部550(
図9図示)を配置してもよい。
図10に示すように、放熱板部550はセンサ本体部501に対応する放熱板本体部551と、エンジンカバー固定部508に対応する放熱板エンジンカバー固定部552とを有している。放熱板エンジンカバー固定部552には、エンジンカバー固定部508と同一形状の位置決め穴509が形成されている。
【0069】
放熱板部550は、鉄、アルミニウム、銅等の金属材料製で、ホールセンサ502~505からの熱をエンジンカバー200に放熱する構造である。
図11は、放熱板部550を備えるセンサケース500が、エンジンカバー200に固定される状態を示す。位置決めネジ515の円筒部513が、センサケース500のエンジンカバー固定部508及び放熱板エンジンカバー固定部552に設けられた位置決め穴509内に位置している。そして、放熱板部550の放熱板エンジンカバー固定部552は、エンジンカバー200のネジ部210に位置決めネジ515のボルト部514でねじ止めされている。また、放熱板部550の放熱板本体部551は、エンジンカバー200のリブ202に接している。熱伝導性の良い放熱板部550をエンジンカバー200側に配置して、エンジンカバー200と直接に接する構造としている。よって、ホールセンサ502~505からエンジンカバー200への熱の伝達は一層スムーズになされる。
【0070】
図12は、放熱板部550よりホールセンサ502~505に向けて伸びる冷却板部553を追加した例である。冷却板部553は放熱板部550と同様の金属材料製である。金属製の冷却板部553は、放熱板部550よりホールセンサ502~505側に延びている。金属製の冷却板部553は、放熱板部550と、ホールセンサ502~505との間に熱伝達経路を提供している。冷却板部553と放熱板部550とは、
図13に示すように、溶接接合やろう付け、はんだ付けにより固定しても良い。また、
図14に示すように、一体成形しても良い。
図14の例では、冷却板部553は放熱板本体部551から折り曲げ成形されている。
【0071】
図12に示すように、センサケース500は、基板521とホールセンサ502~505のセンサ素子522とリード線523とを共にポッティング材520にて封入固定している。上述の通り、リード線523は各センサ素子522に対して、電源線、アース線、信号線の3本ずつ配置されている。また、リード線523は基板521にはんだ付けされている。
【0072】
ポッティング材520は冷却板部553も封入固定している。かつ、ポッティング材520は放熱板部550の放熱板本体部551とも接している。従って、放熱板部550はポッティング材520によりセンサケース500に接着固定されている。
【0073】
図10及び
図11の例では、センサケース500は、エンジンカバー固定部508と放熱板エンジンカバー固定部552の2部材でエンジンカバー200にねじ止めされている。すなわち、
図10及び
図11の例では、位置決めネジ515は、センサケース500のエンジンカバー固定部508及び放熱板部550を挟持してエンジンカバー200のネジ部210と螺合するボルト部514を有する。
図16の例では、位置決めネジ515は、センサケース500の放熱板部550のみを挟持してエンジンカバー200のネジ部210と螺合するボルト部514を有する。これを、
図15及び
図16に示すように、エンジンカバー固定部508を廃止しても良い。樹脂材料製のエンジンカバー固定部508は熱により反りが生じる恐れがあり、その場合には寸法精度が劣る可能性もある。それに対し、金属材料製の放熱板エンジンカバー固定部552のみでエンジンカバー200に固定すれは反りの恐れは無くなる。また、放熱板部550はポッティング材520によってセンサ本体部501に接着固定されるので、その接着固定の際に寸法調整も可能となる。
【0074】
併せて、樹脂材料製のエンジンカバー固定部508では、長期間にわたって位置決めネジ515の軸力を受けていると、クリープ変形の恐れが無視できない。一方、金属材料製の放熱板エンジンカバー固定部552には、クリープ変形の恐れはない。加えて、金属材料製の放熱板エンジンカバー固定部552は、熱の伝導がスムーズになされる。よって、ホールセンサ502~505からの熱をより良好にエンジンカバー200側に逃がすことができる。
【0075】
図16の例では、放熱板部550はエンジンカバー200に全面的に当接している。これは、
図17に示すように、エンジンカバー200のうちセンサケース500と対応する部位に放熱板部550と対応する形状の放熱部220Cが形成されているからである。エンジンカバー200のうち放熱板部550と対向する部位(放熱部220c)は、放熱板部550に対応する形状を有している。放熱板部550は、エンジンカバー200のうち放熱板部550と対向する部位(放熱部220c)と接している。放熱板部550がエンジンカバー200の放熱部220Cに全面的に接する。この構造により、ホールセンサ502~505からの熱は、一層良好にエンジンカバー200側に逃がされる。
【0076】
尤も、
図16や
図17の例で、放熱板部550がエンジンカバー200の放熱部220Cに全面的に接するとしていても、実際には公差やエンジンカバー200及び放熱板部550の表面粗さ等の影響で、部分的に非接触部が発生する。そのため、放熱板部550とエンジンカバー200の放熱部220Cとの間に、エポキシ等の樹脂による接着剤層を介在させても良い。接着剤層により隙間が埋まることで、ホールセンサ502~505からの熱を更にスムーズにエンジンカバー200側に逃がすことができる。
【0077】
接着剤層は、エンジンカバー200に放熱部220Cを形成した例に限らない。かつ、センサケース500に放熱板部550を形成した例にも限らない。
図18は、
図6と同様、センサケース500に放熱板部550を備えない例であるが、センサケース500とエンジンカバー200との間に接着剤層560を介在させている。より具体的には、センサケース500のポッティング材520とエンジンカバー200との間に接着剤層560を介在させている。ホールセンサ502~505からの熱は、ポッティング材520と接着剤層560を介してエンジンカバー200側に逃がされる。
【0078】
なお、
図18の例ではセンサケース500はリブ220の上にも載っていない。センサケース500をリブ上に配置することは、強度や伝熱性を高める上で望ましいが、必ずしも必須の要件ではない。特に、
図18の例のように接着剤層560を介在させれば、仮に、センサケース500とエンジンカバー200との間の間隔が開いたとしても、エンジンカバー200への伝熱性を維持することが可能である。
【0079】
上述の例は本開示の望ましい例ではあるが、本開示は上記の例に限定されない。各部の材質や大きさは、適宜変更可能である。図示の例では、センサケース500のエンジンカバー固定部508がセンサ本体部501のほぼ中央に位置している。ステータ固定部506及びエンジンカバー固定部508は、センサ本体部501のうちステータの周方向の略中央部に位置している。エンジンカバー200との関係に応じ、エンジンカバー固定部508は、センサ本体部501の径方向外方であればよい。よって、エンジンカバー固定部508の周方向の位置は適宜変更可能である。同様に、ステータ固定部506の位置も、周方向に変更可能である。
【0080】
また、上述の例ではホールセンサ4個を用いる方式を記述したが、ホールセンサの個数は異なる場合がある。例として第2、第3、第4ホールセンサ503、504、505は、U、V、W相、各コイルへの通電のタイミングの基準となる信号を得る。これらセンサは、1つのロータの磁束を測定しているため、それぞれの角度方向の位置ズレを時間軸に反映した信号が出力される。この為、いずれか1つのホールセンサの信号から、ほかの信号を推定することが可能である。
【0081】
また、第1ホールセンサ502は点火の基準信号を出力するが、ホールセンサ以外から点火の基準信号を得る場合も考えられる。例えば、クランク角センサからのクランク角信号を用いることも可能である。クランク角センサとは、クランク軸の回転と共に回転する検出用円板を用いて、所定のクランク角を検出可能なパルス状のクランク角信号を出力するものである。クランク角センサは、クランクシャフト100の1回転中に、通過パルスが連続する部分と通過パルスの存在しない部分とを有する出力信号を生じるようにしている。
【0082】
このためホールセンサの数は最小1個になる可能性もある。このように、ホールセンサの数は、ホールセンサの出力が入力される制御回路側の方式により、適宜変更される。ホースセンサが1つの場合、その一つのホールセンサは、エンジンカバー200に近い側に配置した方が、熱を逃がす上で望ましい。
【要約】
複数のコイルの隣接するコイル間に磁石と対向して配置されて磁石の磁束を検知するホールセンサと、このホールセンサの基板とを保持するセンサケースとを備える。センサケースは、ステータのエンジンカバー側に配置され、かつ、センサケースは、ステータの基盤部に固定されると共に、エンジンカバーにも固定される。ホールセンサはその基板と共にセンサケースに保持され、センサケースは直接にエンジンカバーに固定されている。よって、ホールセンサの熱は、センサケースを介してエンジンカバーより外気に逃がすことができて、ホールセンサの耐熱性が向上する。