(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】縁に台状構造を有するポリッシュ水晶結晶周波数片
(51)【国際特許分類】
H03H 9/19 20060101AFI20220518BHJP
【FI】
H03H9/19 D
(21)【出願番号】P 2020544838
(86)(22)【出願日】2019-07-16
(86)【国際出願番号】 CN2019096069
(87)【国際公開番号】W WO2021003755
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】201910614840.X
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910614820.2
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910615380.2
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910615410.X
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520317192
【氏名又は名称】チェンドゥ タイムメーカー クリスタル テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CHENGDU TIMEMAKER CRYSTAL TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.103,Tianying Road, Hi-tech Zone (West Park) Chengdu City, Sichuan 611731 China
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】リ フイ
(72)【発明者】
【氏名】イェ ズチ
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-010864(JP,A)
【文献】特開2012-105074(JP,A)
【文献】特開平08-084044(JP,A)
【文献】特開平06-350376(JP,A)
【文献】特開2014-007538(JP,A)
【文献】特開2018-006902(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0079334(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/00- 9/74
H03H 3/007-3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
突起構造が設置される、形状が矩形ブロックである原始水晶片を含み、
前記突起構造として、以下の4つの構造のいずれか1つが用いられ、
構造1には、原始水晶片の4つの側面に互いに接続される突起が設置され、矩形水晶片(1)が構成され、
矩形水晶片(1)の長さ、幅、高さは、それぞれX2、Y2、Z2であり、前記矩形水晶片の上面と下面とには、矩形凹部(2)が設置され、
前記矩形凹部(2)の凹部底板は、原始水晶片であり、凹部底板の長さ、幅、高さは、それぞれX1、Y1及びZ1であり、
その中で、1.007X1≦X2≦1.051X1であり、
1.007Y1≦Y2≦1.051Y1であり、
1.18Z1≦Z2≦1.76Z1であり、
構造2には、原始水晶片の2つの短側面に突起が対称的に設置され、H形鋼形状の短H形水晶片が構成され、
短H形水晶片は、短ウェブ水晶片(3)と短フランジ板水晶片(4)とを含み、
前記短フランジ板水晶片(4)の数は、2であり、短ウェブ水晶片(3)の数は、1であり、短ウェブ水晶片(3)は、原始水晶片であり、
前記短ウェブ水晶片(3)の長さ、幅、高さは、それぞれQ1、W1、E1であり、
短フランジ板水晶片(4)の長さ、幅、高さは、それぞれQ2、W2、E2であり、
その中で、Q
2=W1であり、
0.111Q1≦W2≦0.207Q1であり、
1.35E1≦E2≦1.76E1であり、
構造3には、原始水晶片の2つの長側面に突起が対称的に設置され、H形鋼形状の長H形水晶片が構成され、
長H形水晶片は、長ウェブ水晶片(5)と長フランジ板水晶片(6)とを含み、
前記長フランジ板水晶片(6)の数は、2であり、長ウェブ水晶片(5)の数は、1であり、長ウェブ水晶片(5)は、原始水晶片であり、
前記長ウェブ水晶片(5)の長さ、幅、高さは、それぞれq1、w1、e1であり、
長フランジ板水晶片(6)の長さ、幅、高さは、それぞれq2、w2、e2であり、
その中で、q2=q1であり、
0.016w1≦w2≦0.032w2であり、
1.41e1≦e2≦1.76e1であり、
構造4には、原始水晶片の上/下面に突起が鏡像的に設置され、角柱水晶片が構成され、
角柱水晶片は、長さ、幅、高さがX、Y、Zである平板水晶片(7)を含み、前記平板水晶片(7)は、原始水晶片であり、前記平板水晶片(7)の上面と下面とには、角柱体形状の凸部(8)が鏡像的に設置され、前記凸部(8)は、
前記平板水晶片(7)の上面と下面の四角に位置し、前記凸部(8)の
底面と平行な辺の長さは、Aであり、高さは、Bであり、
その中で、0.06Z≦B≦0.24Zであり、
0.03Y≦A≦0.06Yである
ことを特徴とする、縁に台状構造を有するポリッシュ水晶結晶周波数片結晶周波数片。
【請求項2】
前記構造1には、前記矩形水晶片(1)がフォトリソグラフィエッチングにより上面と下面との矩形凹部(2)を加工される
ことを特徴とする請求項1に記載の縁に台状構造を有するポリッシュ水晶結晶周波数片。
【請求項3】
前記構造4には、平板水晶片(7)の上/下面において
、互いの距離が短い2つの前記凸部(8)間にそれぞれ凸部(8)をNつ含み、前記Nが1
以上の自然数である
ことを特徴とする請求項1に記載の縁に台状構造を有するポリッシュ水晶結晶周波数片。
【請求項4】
前記Nは、1であり、
前記凸部(8)は、正六角柱である
ことを特徴とする請求項3に記載の縁に台状構造を有するポリッシュ水晶結晶周波数片。
【請求項5】
前記原始水晶片の長さ、幅、高さは、それぞれ1.35mm、0.93mm、及び0.017mmである
ことを特徴とする請求項1に記載の縁に台状構造を有するポリッシュ水晶結晶周波数片。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶片分野に属し、縁に台状構造を有するポリッシュ水晶結晶周波数片に関する。
【背景技術】
【0002】
5G通信の発展につれ、通信の波長が短いほど、その通信周波数が相応に高くなる。ATカット水晶振動子又は発振器のコア部材は、圧電水晶結晶周波数片であり、その厚さ及び共振周波数は、t=1664/f(その中で、tが水晶片の厚さを表し、fが水晶片の周波数を表す)を満たす。前記の式により、水晶片の共振周波数の増加につれ、水晶片の厚さは相応に薄くなることが明瞭に分かる。また、高周波の水晶片のインピーダンスを下げるため、水晶片の表面粗さを変えてその共振減衰を減らすことで実現することが多い。そのプロセス方法は、ポリッシュプロセスを用いて加工する。
【0003】
水晶片が薄くなるほど、その表面粗さが低くなるため、水晶片には洗浄中にオーバーラップ現象が生じる。2枚の水晶片が重ね合わされると、表面が非常に滑らかになり、真空領域が現れるため、オーバーラップ領域は洗浄し切れず、水晶振動子DLD2(励起レベル依存性)のパラメータが過大になる。無理に分離させると、水晶片が破損する。このため、水晶片の外形(形状)を変えることにより、水晶片の振動のインピーダンスを満たすと共に、水晶片が洗浄中再接触後、一定の隙間を保って互いに粘着しないことを確保する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、縁に台状構造を有するポリッシュ水晶結晶周波数片を提供し、上述問題を解決した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が用いる技術態様は下記のようである。
突起構造が設置される、形状が矩形ブロックである原始水晶片を含み、
前記突起構造として、以下の4つの構造のいずれか1つが用いられ、
構造1には、原始水晶片の4つの側面に互いに接続される突起が設置され、矩形水晶片が構成され、
矩形水晶片の長さ、幅、高さは、それぞれX2、Y2、Z2であり、前記矩形水晶片の上面と下面とには、矩形凹部が設置され、
前記矩形凹部の凹部底板は、原始水晶片であり、凹部底板の長さ、幅、高さは、それぞれX1、Y1及びZ1であり、
その中で、1.007X1≦X2≦1.051X1であり、
1.007Y1≦Y2≦1.051Y1であり、
1.18Z1≦Z2≦1.76Z1であり、
構造2には、原始水晶片の2つの短側面に突起が対称的に設置され、H形鋼形状の短H形水晶片が構成され、
短H形水晶片は、短ウェブ水晶片と短フランジ板水晶片とを含み、
前記短フランジ板水晶片の数は、2であり、短ウェブ水晶片の数は、1であり、短ウェブ水晶片は、原始水晶片であり、
前記短ウェブ水晶片の長さ、幅、高さは、それぞれQ1、W1、E1であり、
短フランジ板水晶片の長さ、幅、高さは、それぞれQ2、W2、E2であり、
その中で、Q2=W1であり、
0.111Q1≦W2≦0.207Q1であり、
1.35E1≦E2≦1.76E1であり、
構造3には、原始水晶片の2つの長側面に突起が対称的に設置され、H形鋼形状の長H形水晶片が構成され、
短H形水晶片は、長ウェブ水晶片と長フランジ板水晶片とを含み、
前記長フランジ板水晶片の数は、2であり、長ウェブ水晶片の数は、1であり、長ウェブ水晶片は、原始水晶片であり、
前記長ウェブ水晶片の長さ、幅、高さは、それぞれq1、w1、e1であり、
長フランジ板水晶片の長さ、幅、高さは、それぞれq2、w2、e2であり、
その中で、q2=q1であり、
0.016w1≦w2≦0.032w2であり、
1.41e1≦e2≦1.76e1であり、
構造4には、原始水晶片の上/下面に突起が鏡像的に設置され、角柱水晶片が構成され、
角柱水晶片は、長さ、幅、高さがX、Y、Zである平板水晶片を含み、前記平板水晶片は、原始水晶片であり、前記平板水晶片の上面と下面とには、角柱体形状の凸部が鏡像的に設置され、前記凸部は、当該表面の対角に位置し、前記凸部の辺長は、Aであり、高さは、Bであり、
その中で、0.06Z≦B≦0.24Zであり、
0.03Y≦A≦0.06Yである
縁に台状構造を有するポリッシュ水晶結晶周波数片である。
【0006】
本発明は、水晶片が薄くなるほど、その表面粗さが低くなり、洗浄中に水晶片にオーバーラップ現象が生じることを解決するため、水晶片の非電極領域に突起を設置する構造を用いる。実験結果によれば、上述比率のサイズと形状とを満たすことのみで、電極領域を避けることができるため、水晶片自体の抵抗に影響を与えることがない。突起構造は、4つの場合を含み、原始水晶片のサイズは、一意ではなく、規格SMD7050以下のサイズの水晶片に適用される。
【0007】
更に、好ましい態様としては、前記構造1において、前記矩形水晶片はフォトリソグラフィエッチングにより上面と下面との矩形凹部に加工される。フォトリソグラフィエッチングにより一体式矩形水晶片に加工され、縁には一定の質量が増加したが、上述構造とサイズとを用いることは、負荷が増加しすぎて結晶の振動インピーダンスに影響することは生じない。
【0008】
更に、好ましい態様としては、前記構造4においては、平板水晶片の上/下面において対角距離位置が短い任意の2つの凸部の間に全て凸部をNつ含み、前記Nが1より大きい自然数である。凸部の数が2以上であることを強調するため、対角距離位置が短い任意の2つの凸部の間に新たな凸部が設置され、且つ全て平板水晶片の短辺上に設置される。2つの面は、短辺を4本含み、短辺ごとに設置される凸部の数と間隔距離とは同じである。これは、平板水晶片の縁に凸部の位置需要を設計するためである。水晶片のエネルギー閉じ込め効果は、主な振動が電極領域に集中し、非電極領域内にエネルギーが急速に減衰するため、縁振動が主振動領域へ反射することが抑制されてインピーダンスが過大になる。
【0009】
更に、好ましい態様としては、前記Nは、1であり、前記凸部は、正六角柱である。
【0010】
更に、好ましい態様としては、前記原始水晶片の長さ、幅、及び高さは、それぞれ1.35mm、0.93mm、及び0.017mmであり、市販のよく見られる1つの規格である。
【発明の効果】
【0011】
上記をまとめると、本発明は、上述技術態様を用いたため、以下に述べる有益な効果を奏する。
1.本発明は、全体のフレーム負荷を付加することにより、前記方向の曲げ寄生振動と表面せん断寄生振動との干渉をより良く抑制することに役立つため、その共振の振幅が十分に大きく、インピーダンスの振幅値が減少することを確保する。
2.本発明では、水晶片の構造が変更されることにより、水晶片の主振動周波数が多少変わったが、水晶片が直接接触した後、一定の隙間が保たれることが実現され、オーバーラップのために水晶片を洗浄し切れない、或いは、洗浄後水晶片を分離できない等の現象が起きることを防止することができる。主振動周波数の大きさに対しては、後で中心部分の水晶片の厚さを調整することにより、水晶片の目標主周波数を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の実施例の技術態様をより明瞭に説明するため、下記には、実施例において使用する必要がある図面について簡単に説明する。理解すべきことは、以下の図面は本発明のいくつかの実施例を示すのみであるため、範囲に対する制限と見なされるべきではない。当業者にとって、進歩性の労働をしない前提でもこれらの図面に基づき他の関連の図面を得ることができる。
【
図4】本発明の原始水晶片の長さ、幅、高さがそれぞれ1.35mm、0.93mm、及び0.017mmである場合の原始水晶片のインピーダンス解析図である。
【
図5】本発明の矩形水晶片がX2=1.36mm、Y2=0.94mm、Z2=0.020mmである場合の矩形水晶片のインピーダンス解析図である。
【
図6】本発明の矩形水晶片がX2=1.42mm、Y2=0.98mm、Z2=0.020mmである場合の矩形水晶片のインピーダンス解析図である。
【
図7】本発明の矩形水晶片がX2=1.36mm、Y2=0.94mm、Z2=0.022mmである場合の矩形水晶片のインピーダンス解析図である。
【
図8】本発明の矩形水晶片がX2=1.42mm、Y2=0.98mm、Z2=0.022mmである場合の矩形水晶片のインピーダンス解析図である。
【
図9】本発明の矩形水晶片がX2=1.36mm、Y2=0.94mm、Z2=0.030mmである場合の矩形水晶片のインピーダンス解析図である。
【
図10】本発明の矩形水晶片がX2=1.42mm、Y2=0.98mm、Z2=0.030mmである場合の矩形水晶片のインピーダンス解析図である。
【
図11】本発明の短H形水晶片の構造を示す図である。
【
図12】本発明の短ウェブ水晶片を示す概略図である。
【
図13】本発明の短フランジ板水晶片を示す概略図である。
【
図14】本発明の短ウェブ水晶片がQ1=1.35mm、W1=0.93mm、E1=0.017mmであり、短フランジ板水晶片がQ2=0.93mm、W2=0.015mm、E2=0.023mmである場合の短H形水晶片のインピーダンス解析図である。
【
図15】本発明の短ウェブ水晶片がQ1=1.35mm、W1=0.93mm、E1=0.017mmであり、短フランジ板水晶片がQ2=0.93mm、W2=0.028mm、E2=0.030mmである場合の短H形水晶片のインピーダンス解析図である。
【
図16】本発明の長H形水晶片の構造を示す図である。
【
図17】本発明の長ウェブ水晶片を示す概略図である。
【
図18】本発明の長フランジ板水晶片を示す概略図である。
【
図19】本発明の長ウェブ水晶片がq1=1.35mm、w1=0.93mm、e1=0.017mmであり、長フランジ板水晶片がq2=1.35mm、w2=0.015mm、e2=0.024mmである場合の水晶片のインピーダンス解析図である。
【
図20】本発明の長ウェブ水晶片がq1=1.35mm、w1=0.93mm、e1=0.017mmであり、長フランジ板水晶片がq2=1.35mm、w2=0.030mm、e2=0.030mmである場合の水晶片のインピーダンス解析図である。
【
図21】本発明の角柱水晶片の構造を示す図である。
【
図23】本発明の水晶片がX=1.35mm、Y=0.93mm、Z=0.017mm、A=0.03、B=0.01、凸部の数=8である場合の水晶片のインピーダンス解析図である。
【
図24】本発明の水晶片がX=1.35mm、Y=0.93mm、Z=0.017mm、A=0.06、B=0.03、凸部の数=8である場合の水晶片のインピーダンス解析図である。
【
図25】本発明の水晶片がX=1.35mm、Y=0.93mm、Z=0.017mm、A=0.03、B=0.01、凸部の数=12である場合の水晶片のインピーダンス解析図である。
【
図26】本発明の水晶片がX=1.35mm、Y=0.93mm、Z=0.017mm、A=0.06、B=0.01、凸部の数=12である場合の水晶片のインピーダンス解析図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の目的、技術態様、及び利点をより明瞭にするため、以下、図面と実施例とを合わせ、更に、本発明について詳細に説明する。理解すべきことは、ここで述べられる具体的な実施例は、本発明を説明するためのみであり、本発明を限定するものではない。即ち、述べられる実施例は、本発明の一部の実施例のみであり、全ての実施例ではない。通常、ここで図面に示される本発明の実施例の構成要素は、様々な異なる構成で配置及び設計することができる。
【0014】
従って、以下、図面において提供される本発明の実施例についての詳細な説明は、本発明の保護を請求する範囲を限定するものではなく、本発明の選択された実施例を示すのみである。本発明の実施例に基づき、当業者が進歩性の労働をしない前提で得られる全ての他の実施例は、全て本発明の保護の範囲に属する。
【0015】
説明する必要があることは、「第1」及び「第2」等の関連用語は、1つのエンティティ又は操作を他のエンティティ又は操作と区別するためのみであり、これらのエンティティ又は操作の間に如何なるこの実際の関係又は順序が存在することを必ずしも要求又は示唆しない。そして、「含む」、「包含する」という用語又はその如何なる他の変形は、非排他的な包含を含むことを意味し、一連の要素を含む過程、方法、もの又は設備は、それらの要素を含むばかりでなく、明確に列挙していない他の要素も含み、或いは、この過程、方法、もの又は設備が固有である要素も含む。更なる制限がない場合、「…1つ含む」という語句により限定される要素は、前記要素を含む過程、方法、もの又は設備において別の同じ要素が更に存在することを除くものではない。
【0016】
突起構造が設置される、形状が矩形ブロックである原始水晶片を含み、
前記突起構造として、以下の4つの構造のいずれか1つが用いられ、
構造1には、原始水晶片の4つの側面に互いに接続される突起が設置され、矩形水晶片1が構成され、
矩形水晶片1の長さ、幅、高さは、それぞれX2、Y2、Z2であり、前記矩形水晶片の上面と下面とには、矩形凹部2が設置され、
前記矩形凹部2の凹部底板は、原始水晶片であり、凹部底板の長さ、幅、高さは、それぞれX1、Y1及びZ1であり、
その中で、1.007X1≦X2≦1.051X1であり、
1.007Y1≦Y2≦1.051Y1であり、
1.18Z1≦Z2≦1.76Z1であり、
構造2には、原始水晶片の2つの短側面に突起が対称的に設置され、H形鋼形状の短H形水晶片が構成され、
短H形水晶片は、短ウェブ水晶片3と短フランジ板水晶片4とを含み、
前記短フランジ板水晶片4の数は、2であり、短ウェブ水晶片3の数は、1であり、短ウェブ水晶片3は、原始水晶片であり、
前記短ウェブ水晶片3の長さ、幅、高さは、それぞれQ1、W1、E1であり、
短フランジ板水晶片4の長さ、幅、高さは、それぞれQ2、W2、E2であり、
その中で、Q2=W1であり、
0.111Q1≦W2≦0.207Q1であり、
1.35E1≦E2≦1.76E1であり、
構造3には、原始水晶片の2つの長側面に突起が対称的に設置され、H形鋼形状の長H形水晶片が構成され、
短H形水晶片は、長ウェブ水晶片5と長フランジ板水晶片6とを含み、
前記長フランジ板水晶片6の数は、2であり、長ウェブ水晶片5の数は、1であり、長ウェブ水晶片5は、原始水晶片であり、
前記長ウェブ水晶片5の長さ、幅、高さは、それぞれq1、w1、e1であり、
長フランジ板水晶片6の長さ、幅、高さは、それぞれq2、w2、e2であり、
その中で、q2=q1であり、
0.016w1≦w2≦0.032w2であり、
1.41e1≦e2≦1.76e1であり、
構造4には、原始水晶片の上/下面に突起が鏡像的に設置され、角柱水晶片が構成され、
角柱水晶片は、長さ、幅、高さがX、Y、Zである平板水晶片7を含み、前記平板水晶片7は、原始水晶片であり、前記平板水晶片7の上面と下面とには、角柱体形状の凸部8が鏡像的に設置され、前記凸部8は、当該表面の対角に位置し、前記凸部8の辺長は、Aであり、高さは、Bであり、
その中で、0.06Z≦B≦0.24Zであり、
0.03Y≦A≦0.06Yである
縁に台状構造を有するポリッシュ水晶結晶周波数片である。
【0017】
動作時には、フォトリソグラフィエッチングにより上述構造の何れか1つが加工され、従来の平坦な水晶片に比べ、縁には一定の質量が増加するため、負荷が増加して結晶の振動インピーダンスの増加に影響することが生じ得る。このため、上述各構造の外形(形状)サイズを設計し、全体のフレーム負荷を付加することにより、前記方向の曲げ寄生振動と表面せん断寄生振動との干渉がより良く抑制されることに役立ち、その共振の振幅が十分に大きく、インピーダンスの振幅値が減少することを確保する。
【0018】
以下、実施例を合わせ、更に、本発明の特徴及び性能について詳細に説明する。
【0019】
実施例1
本発明では、原始水晶片の長さ、幅、高さを、それぞれ1.35mm、0.93mm、及び0.017mmに設定し、ANSYS有限要素ソフトウエアを用い、原始水晶片の交番電界の励起下での結晶振動の振幅周波数特性とインピーダンス特性とを高調波応答解析により計算し、40Ωを得た。
【0020】
実施例2
本実施例は、実施例1に基づき、前記矩形水晶片1の高さが0.020mmである構造1を用いる。長さ、幅は、変数であり、単位が何れもmmである。ANSYS有限要素ソフトウエアで、矩形水晶片1の交番電界の励起下での結晶振動の振幅周波数特性とインピーダンス特性とを高調波応答解析により計算し、表1を得た。
【0021】
【0022】
表1からは、矩形水晶片1のサイズが上述のようであり、両面に矩形凹部2を有する場合、原始水晶片のインピーダンス値と比べ、構造のY2のサイズの増加につれ、矩形水晶片1の長さ/幅の比が減少し、結晶振動能力が低下するため、そのインピーダンスが増加することが分かる。逆に、構造のX2のサイズの増加につれ、矩形水晶片1の長さ/幅の比が増加し、結晶振動能力の向上に役立ち、対応するインピーダンス値が減少する。また、シミュレーション結果は、幅方向のフレーム負荷が付加されることにより、前記方向の曲げ振動と表面せん断振動とがより良く抑制されることに役立ち、その共振の振幅が十分に大きく、インピーダンスの振幅値が減少することを確保する。計算によれば、原始水晶片のインピーダンスは40オームである。オーバーラップの問題を解決するため、突起構造を増やして原始水晶片の振動インピーダンスを変え、前記インピーダンスには固定要求値がなく、デバイス性能需要に応じ、通常に実行される既存のインピーダンス値を最大で50%増やし、下限値は低いほど良い。
【0023】
実施例3
本実施例は、実施例1に基づき、前記矩形水晶片1の高さが0.022mmである構造1を用いる。長さ、幅は、変数であり、単位が何れもmmである。ANSYS有限要素ソフトウエアで、矩形水晶片1の交番電界の励起下での結晶振動の振幅周波数特性とインピーダンス特性とを高調波応答解析により計算し、表2を得た。
【0024】
【0025】
表2からは、矩形水晶片1のサイズが上述のようであり、両面に矩形凹部2を有する場合、原始水晶片のインピーダンス値と比べ、構造のY2のサイズの増加につれ、矩形水晶片1の長さ/幅の比が減少し、結晶振動能力が低下するため、そのインピーダンスが増加することが分かる。逆に、構造のX2のサイズの増加につれ、矩形水晶片1の長さ/幅の比が増加し、結晶振動能力の向上に役立ち、対応するインピーダンス値が減少する。また、シミュレーション結果は、幅方向のフレーム負荷が付加されることにより、前記方向の曲げ寄生振動と表面せん断寄生振動との干渉がより良く抑制されることに役立ち、その共振の振幅が十分に大きく、インピーダンスの振幅値が減少することを確保する。計算によれば、原始水晶片のインピーダンスは40オームである。オーバーラップの問題を解決するため、構造を変更して原始水晶片の振動インピーダンスを変え、前記インピーダンスには固定要求値がなく、デバイス性能需要に応じ、通常に実行される既存のインピーダンス値を最大で50%増やし、下限値は低いほど良い。
【0026】
実施例4
本実施例は、実施例1に基づき、前記矩形水晶片1の高さが0.030mmである構造1を用いる。長さ、幅は、変数であり、単位が何れもmmである。ANSYS有限要素ソフトウエアで、矩形水晶片1の交番電界の励起下での結晶振動の振幅周波数特性とインピーダンス特性とを高調波応答解析により計算し、表3を得た。
【0027】
【0028】
表3からは、矩形水晶片1のサイズが上述のようであり、両面に矩形凹部2を有する場合、原始水晶片のインピーダンス値と比べ、構造のY2のサイズの増加につれ、矩形水晶片1の長さ/幅の比が減少し、結晶振動能力が低下するため、そのインピーダンスが増加することが分かる。逆に、構造のX2のサイズの増加につれ、矩形水晶片1の長さ/幅の比が増加し、結晶振動能力の向上に役立ち、対応するインピーダンス値が減少する。また、シミュレーション結果は、幅方向のフレーム負荷が付加されることにより、前記方向の曲げ寄生振動と表面せん断寄生振動との干渉がより良く抑制されることに役立ち、その共振の振幅が十分に大きく、インピーダンスの振幅値が減少することを確保する。計算によれば、原始水晶片のインピーダンスは40オームである。オーバーラップの問題を解決するため、構造を変更して原始水晶片の振動インピーダンスを変え、前記インピーダンスには固定要求値がなく、デバイス性能需要に応じ、通常に実行される既存のインピーダンス値を最大で50%増やし、下限値は低いほど良い。
【0029】
実施例5
本実施例は、実施例1に基づき、短フランジ板水晶片4の長さが0.93mmであり、短ウェブ水晶片3の長さ、幅、高さがそれぞれ1.35mm、0.93mm及び0.017mmである構造2を用いる。短H形水晶片の交番電界の励起下での結晶振動の振幅周波数特性とインピーダンス特性とを高調波応答解析により計算し、表4のように、インピーダンス値を得た。
【0030】
【0031】
表4からは、短H形水晶片のサイズが上述のようであり、原始水晶片のインピーダンス値と比べ、フランジ板のW2のサイズの増加、即ち、短H形水晶片全体構造のサイズの長さ/幅の比が増加することを意味することにつれ、水晶片の振動能力の向上に役立つため、そのインピーダンスが減少することが分かる。逆に、フランジ板のE2のサイズの増加につれ、短H形水晶片の先端の負荷が増加し、結晶振動能力が妨げられており、対応するインピーダンス値が増加する。計算によれば、原始水晶片のインピーダンスは40オームである。オーバーラップの問題を解決するため、構造を変更して原始水晶片の振動インピーダンスを変え、前記インピーダンスには固定要求値がなく、デバイス性能需要に応じ、通常に実行される既存のインピーダンス値を最大で50%増やし、下限値は低いほど良い。
【0032】
実施例6
本実施例は、実施例1に基づき、長フランジ板水晶片6の長さが1.35mmであり、幅及び高さが変数であり、長ウェブ水晶片5の長さ、幅、高さがそれぞれ1.35mm、0.93mm及び0.017mmである構造3を用いる。長H形水晶片の交番電界の励起下での結晶振動の振幅周波数特性とインピーダンス特性とを高調波応答解析により計算し、表5のように、インピーダンス値を得た。
【0033】
【0034】
表5からは、長H形水晶片のサイズが上述のようであり、原始水晶片のインピーダンス値と比べ、フランジ板のw2のサイズの増加、即ち、長H形水晶片全体構造のサイズの長さ/幅の比が減少することを意味することにつれ、結晶振動が抑制されるため、そのインピーダンスが上昇することが分かる。逆に、フランジ板のe2のサイズの増加につれ、長H形水晶片の先端の負荷が増加し、短辺方向の寄生振動の干渉が抑制されており、結晶振動の能力が向上することに役立ち、対応するインピーダンス値が減少する。計算によれば、原始水晶片のインピーダンスは40オームである。オーバーラップの問題を解決するため、構造を変更して原始水晶片の振動インピーダンスを変え、前記インピーダンスには固定要求値がなく、デバイス性能需要に応じ、通常に実行される既存のインピーダンス値を最大で50%増やし、下限値は低いほど良い。
【0035】
実施例7
本実施例は、実施例1に基づき、凸部8の数が8である構造4を用いる。凸部の辺長Aと高さBとは、変数であり、単位が何れもmmである。ANSYS有限要素ソフトウエアで、角柱水晶片の交番電界の励起下での結晶振動の振幅周波数特性とインピーダンス特性とを高調波応答解析により計算し、表6を得た。
【0036】
【0037】
表1からは、凸部8のサイズが上述のようであり、平板水晶片7上に凸部8が8つ設置される場合のインピーダンス値が上述のようであり、原始水晶片のインピーダンス値と比べ、凸部の高さBのサイズの増加、即ち、角柱水晶片全体構造のサイズの長さ/幅の比が減少することを意味することにつれ、先端部の負荷が増加し、結晶振動が抑制されて妨げられているため、そのインピーダンスが上昇増加することが分かる。逆に、凸部の辺長Aのサイズの増加につれ、角柱水晶片の先端の負荷が増加し、短辺方向の寄生振動の干渉が抑制されており、結晶振動の能力が向上することに役立ち、対応するインピーダンス値が減少する。計算によれば、原始水晶片のインピーダンスは40オームである。オーバーラップの問題を解決するため、構造を変更して原始水晶片の振動インピーダンスを変え、前記インピーダンスには固定要求値がなく、デバイス性能需要に応じ、通常に実行される既存のインピーダンス値を最大で50%増やし、下限値は低いほど良い。
【0038】
実施例8
本実施例は、実施例1に基づき、凸部8の数が12である構造4を用いる。凸部の辺長Aと高さBとは、変数であり、単位が何れもmmである。ANSYS有限要素ソフトウエアで、角柱水晶片の交番電界の励起下での結晶振動の振幅周波数特性とインピーダンス特性とを高調波応答解析により計算し、表7を得た。
【0039】
【0040】
表2からは、凸部8のサイズが上述のようであり、平板水晶片7上に凸部8が12つ設置される場合のインピーダンス値が上述のようであり、原始水晶片のインピーダンス値と比べ、凸部の高さBのサイズの増加、即ち、角柱水晶片全体構造のサイズの長さ/幅の比が減少することを意味することにつれ、先端部の負荷が増加し、結晶振動が抑制されて妨げられているため、そのインピーダンスが上昇増加することが分かる。逆に、凸部の辺長Aのサイズの増加につれ、角柱水晶片の先端の負荷が増加し、短辺方向の寄生振動の干渉が抑制されており、結晶振動の能力が向上することに役立ち、対応するインピーダンス値が減少する。計算によれば、原始水晶片のインピーダンスは40オームである。オーバーラップの問題を解決するため、構造を変更して原始水晶片の振動インピーダンスを変え、前記インピーダンスには固定要求値がなく、デバイス性能需要に応じ、通常に実行される既存のインピーダンス値を最大で50%増やし、下限値は低いほど良い。
【0041】
8つの実施例のシミュレーション結果をまとめると、フォトリソグラフィにより水晶片の表面において対応する構造を刻むことができ、本態様における構造及びそのサイズを満たすことのみで、インピーダンスが過大にならないことが分かる。
【0042】
上記は、本発明の好ましい実施例のみであり、本発明の保護の範囲を限定するものではない。本発明の精神及び原則内で当業者が行う如何なる修正、均等な置換及び改良等は、全て本発明の保護の範囲内に包含されるべきである。
【符号の説明】
【0043】
1 :矩形水晶片
2 :矩形凹部
3 :短ウェブ水晶片
4 :短フランジ板水晶片
5 :長ウェブ水晶片
6 :長フランジ板水晶片
7 :平板水晶片
8 :凸部