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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20220518BHJP
【FI】
A63F5/04 651
A63F5/04 620
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020217165
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2021-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】503106797
【氏名又は名称】株式会社エンターライズ
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172236
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 宣憲
(72)【発明者】
【氏名】古田 大士
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隼人
(72)【発明者】
【氏名】永井 翔太
(72)【発明者】
【氏名】永田 良介
【審査官】安藤 達哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-058574(JP,A)
【文献】特開2018-108290(JP,A)
【文献】特開2019-202086(JP,A)
【文献】特開2018-117702(JP,A)
【文献】特開2015-016208(JP,A)
【文献】特開2018-000796(JP,A)
【文献】特開2018-183241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の図柄がそれぞれ配置された複数の回転リールと、
遊技者によりそれぞれ操作可能なスタートスイッチおよび複数のストップスイッチと、
前記回転リールが全て停止している状態で行われた前記スタートスイッチの操作に伴って内部抽せんを行う内部抽せん部と、
前記回転リールが全て停止している状態で前記スタートスイッチが操作された場合は、前記回転リールを回転させ、前記回転リールが回転している状態で前記ストップスイッチが操作された場合は、前記内部抽せんにより当せんした役と前記ストップスイッチが操作されたタイミングとに応じて、操作された前記ストップスイッチに対応する前記回転リールを停止させる回転リール制御部と、
指示機能に係る処理および抽せんを実行不可能な区間であって、遊技状態が一般遊技状態で遊技が進行する通常区間と、前記指示機能に係る処理および抽せんを実行可能な区間であって、遊技状態が前記一般遊技状態または前記一般遊技状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態で遊技が進行する有利区間とを含む複数の遊技区間の中から前記内部抽せんが行われる1つの遊技区間を付与可能であると共に、遊技区間が前記有利区間でありかつ所定の終了条件が満たされる場合に前記通常区間を付与する区間制御部と、
遊技状態が前記特別遊技状態でありかつ所定の延長条件が満たされる場合に、前記特別遊技状態で遊技可能な期間の延長を決定する延長決定部と、
前記期間の延長が決定されている状態において、前記有利区間の前記終了条件および現在の遊技情報に基づいて前記期間の延長を表す延長情報を報知する報知部と
を備え
前記有利区間の前記終了条件には、前記有利区間が付与されたときから経過した経過遊技数が第1所定値に到達することが含まれ、
前記遊技情報が、前記経過遊技数および延長される前記期間に対応する遊技数の合計遊技数であり、
前記報知部は、
前記合計遊技数が前記第1所定値に到達しないが、前記合計遊技数から前記第1所定値に到達するまでの遊技数が第1閾値よりも大きい場合、前記延長情報の一部でかつ前記合計遊技数から前記第1所定値に到達するまでの遊技数が第1閾値以下である場合よりも多くの前記延長情報を報知する、遊技機。
【請求項2】
複数の図柄がそれぞれ配置された複数の回転リールと、
遊技者によりそれぞれ操作可能なスタートスイッチおよび複数のストップスイッチと、
前記回転リールが全て停止している状態で行われた前記スタートスイッチの操作に伴って内部抽せんを行う内部抽せん部と、
前記回転リールが全て停止している状態で前記スタートスイッチが操作された場合は、前記回転リールを回転させ、前記回転リールが回転している状態で前記ストップスイッチが操作された場合は、前記内部抽せんにより当せんした役と前記ストップスイッチが操作されたタイミングとに応じて、操作された前記ストップスイッチに対応する前記回転リールを停止させる回転リール制御部と、
指示機能に係る処理および抽せんを実行不可能な区間であって、遊技状態が一般遊技状態で遊技が進行する通常区間と、前記指示機能に係る処理および抽せんを実行可能な区間であって、遊技状態が前記一般遊技状態または前記一般遊技状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態で遊技が進行する有利区間とを含む複数の遊技区間の中から前記内部抽せんが行われる1つの遊技区間を付与可能であると共に、遊技区間が前記有利区間でありかつ所定の終了条件が満たされる場合に前記通常区間を付与する区間制御部と、
遊技状態が前記特別遊技状態でありかつ所定の延長条件が満たされる場合に、前記特別遊技状態で遊技可能な期間の延長を決定する延長決定部と、
前記期間の延長が決定されている状態において、前記有利区間の前記終了条件および現在の遊技情報に基づいて前記期間の延長を表す延長情報を報知する報知部と
を備え、
前記有利区間の前記終了条件には、前記有利区間が付与されたときから現在までの遊技媒体の第1払い出し差数が第2所定値に到達することが含まれ、
前記遊技情報が、前記第1払い出し差数および延長される前記期間に対応する遊技数を遊技したと仮定した場合における前記遊技媒体の第2払い出し差数の合計差数であり、
前記報知部は、
前記合計差数は前記第2所定値に到達しないが、前記第1払い出し差数から前記第2所定値に到達するまでの前記遊技媒体の払い出し差数が第2閾値よりも大きい場合、前記延長情報の一部でかつ前記第1払い出し差数から前記第2所定値に到達するまでの前記遊技媒体の払い出し差数が前記第2閾値以下である場合よりも多くの前記延長情報を報知する、遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一般遊技状態と、一般遊技状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態を有し、特別遊技状態で遊技可能な遊技数を上乗せ可能な遊技機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-77324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、遊技機分野においては、遊技者のニーズに応えるために、多種多様な遊技性を提供可能な遊技機が求められている。
【0005】
本発明は、新たな遊技性を提供可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の遊技機は、
複数の図柄がそれぞれ配置された複数の回転リールと、
遊技者によりそれぞれ操作可能なスタートスイッチおよび複数のストップスイッチと、
前記回転リールが全て停止している状態で行われた前記スタートスイッチの操作に伴って内部抽せんを行う内部抽せん部と、
前記回転リールが全て停止している状態で前記スタートスイッチが操作された場合は、前記回転リールを回転させ、前記回転リールが回転している状態で前記ストップスイッチが操作された場合は、前記内部抽せんにより当せんした役と前記ストップスイッチが操作されたタイミングとに応じて、操作された前記ストップスイッチに対応する前記回転リールを停止させる回転リール制御部と、
指示機能に係る処理および抽せんを実行不可能な区間であって、遊技状態が一般遊技状態で遊技が進行する通常区間と、前記指示機能に係る処理および抽せんを実行可能な区間であって、遊技状態が前記一般遊技状態または前記一般遊技状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態で遊技が進行する有利区間とを含む複数の遊技区間の中から前記内部抽せんが行われる1つの遊技区間を付与可能であると共に、遊技区間が前記有利区間でありかつ所定の終了条件が満たされる場合に前記通常区間を付与する区間制御部と、
遊技状態が前記特別遊技状態でありかつ所定の延長条件が満たされる場合に、前記特別遊技状態で遊技可能な期間の延長を決定する延長決定部と、
前記期間の延長が決定されている状態において、前記有利区間の前記終了条件および現在の遊技情報に基づいて前記期間の延長を表す延長情報の報知態様を決定し、決定された前記報知態様に従って前記延長情報を報知する報知部と
を備える。
【発明の効果】
【0007】
前記態様の遊技機によれば、特別遊技数状態で遊技可能な期間の延長が決定されている状態において、有利区間の終了条件および現在の遊技情報に基づいて、特別遊技数状態で遊技可能な期間の延長を表す延長情報の報知態様を決定し、決定された報知態様に従って延長情報を報知する。このような構成により、例えば、有利区間の終了条件および現在の遊技情報に基づく適切な報知態様で延長情報が報知されるので、遊技者に対して、延長情報がどの程度報知されるのか等、特別遊技状態で遊技可能な期間の延長の有無を推測する楽しみを提供することができる。その結果、新たな遊技性を提供可能な遊技機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の遊技機であるスロットマシンの前面図。
図2図1のスロットマシンのブロック図。
図3図1のスロットマシンの回転リールの配列を示す図。
図4図1のスロットマシンの有効ラインを示す模式図。
図5図1のスロットマシンの第1遊技状態を説明するための図。
図6図1のスロットマシンの第2遊技状態を説明するための図。
図7図1のスロットマシンの第3遊技状態を説明するための図。
図8図1のスロットマシンの遊技区間を説明するための図。
図9図1のスロットマシンの内部抽せんテーブルの内容を説明するための図。
図10図1のスロットマシンの延長情報の報知態様を説明するための第1の図。
図11図1のスロットマシンの延長情報の報知態様を説明するための第2の図。
図12図1のスロットマシンのAT中の遊技処理を説明するための第1のフローチャート。
図13図1のスロットマシンのAT中の遊技処理を説明するための第2のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態の遊技機の一例であるスロットマシン1は、図1に示すように、直方体形状の筺体10を備えている。この筺体10は、前面(すなわち、図1の紙面貫通方向の手前側の面)に図示しない開口部と、この開口部を開閉可能な板状の前扉20とを有している。
【0010】
前扉20は、その略中央部分に設けられた透光性の表示窓21を有し、筺体10に対してロック可能に取り付けられている。表示窓21は、前扉20により筺体10の開口部を閉鎖した状態で、後述する各回転リール41,42,43の表面に配置された複数の図柄を視認可能に配置されている。
【0011】
また、筺体10は、液晶表示装置22、電飾装置23およびスピーカ24を有している。液晶表示装置22、電飾装置23およびスピーカ24の各々は、前扉20の表示窓21の上部に配置されている。遊技中の各種の演出は、液晶表示装置22、電飾装置23、および、スピーカ24を用いて行われる。例えば、液晶表示装置22は、表示部の一例であり、遊技中に各種の演出画像(演出動画)を表示したり、所定の情報等を表示したりする。また、電飾装置23は、所定の条件を満たした場合に、所定のパターンで点灯または消灯し、スピーカ24は、所定の条件を満たした場合に、所定の音を出力する。
【0012】
また、筺体10は、メダルが払い出される払い出し口25、払い出し口25から払い出されたメダルを貯留する下皿26および操作部30を有している。払い出し口25、下皿26および操作部30の各々は、前扉20の表示窓21の下部に配置されている。
【0013】
操作部30は、遊技媒体の一例としてのメダルを投入するためのメダル投入口31と、メダルをベットするためのベットスイッチ32と、前扉20に操作可能に設けられ操作により各回転リール41,42,43を回転させるスタートスイッチ33と、前扉20に操作可能に設けられ操作により回転中の各回転リール41,42,43を停止させるストップスイッチ34,35,36とを有している。操作部30の各スイッチは、遊技者の操作に基づいて操作信号を出力する。また、メダル投入口31には図示しないメダルセンサが設けられており、遊技者によるメダル投入口31へのメダルの投入を検出し、検出信号を出力する。
【0014】
なお、操作部30には、他に、精算スイッチ(図示せず)および表示部の一例の貯留メダル表示部(図示せず)等が設けられている。この貯留メダル表示部は、貯留されたメダルの数に加えて、後述する遊技区間が有利区間であることが表示可能に構成されている。
【0015】
また、スロットマシン1は、図2に示すように、スロットマシン1全体を制御する制御装置100、回転リールユニット40、回転リール位置検出センサ44、および、メダルを払い出すホッパーユニット50を備えている。制御装置100、回転リールユニット40、回転リール位置検出センサ44、および、ホッパーユニット50は、スロットマシン1の主電源をオン/オフする電源装置(図示せず)、スロットマシン1の設定値を変更するときに管理者が操作する設定部45等と共に、筺体10の内部に配置されている。
【0016】
回転リールユニット40は、筺体10の内部の略中央に配置され、複数の回転リール(この実施形態では、3つの回転リール41,42,43)と、この回転リール41,42,43を駆動するステッピングモータ61,62,63とで構成されている。各回転リール41,42,43は、略円筒状で、その表面には、図3に示すように、各回転リール41,42,43の周方向に沿って間隔を空けて配列された複数の図柄と、基準点(図示せず)とが設けられている。基準点は、例えば、回転リール41,42,43のゼロ番の図柄(ベルA)の中心に配置されている。
【0017】
ここで、図1図9を参照して、スロットマシン1で行われる遊技の概要について説明する。
【0018】
図1に示すように、スロットマシン1で遊技を行う場合、まず、メダルをメダル投入口31から投入する、または、ベットスイッチ32を操作することにより貯留しているメダル(すなわち、クレジット)を使用して、メダルをベットする。予め設定されている規定の枚数(例えば、1~3枚)のメダルがベットされると、有効ラインが有効化され、スタートスイッチ33の操作が可能な状態、すなわち、遊技が開始可能な状態になる。このとき、遊技状態等に応じて設定されている規定の枚数を超えて投入されたメダルは、クレジットとして貯留される。
【0019】
有効ラインは、図4に示すように、役の入賞を決定するための仮想ラインであり、この有効ラインによって、表示窓21に表示される各回転リール41,42,43の図柄が、それぞれ1つずつ連結されている。このスロットマシン1では、有効ラインは、例えば、右下がりライン70で構成され、所定枚数(例えば、3枚)のメダルがベットされることにより有効化される。なお、一例として、このスロットマシン1の表示窓21に表示される図柄は、各回転リールにつき3図柄である。
【0020】
遊技が開始可能な状態でスタートスイッチ33が操作されると、スロットマシン1内で行われる電子計算機によるくじ(以下、内部抽せんという。)が行われ、各回転リール41,42,43の回転が開始される。この状態で、いずれかのストップスイッチ34,35,36が操作されると、操作されたストップスイッチ34,35,36に対応する回転リール41,42,43が停止し、表示窓21に、当せんした役に応じた結果が表示される。全ての回転リール41,42,43が停止すると、入賞した役に応じて、所定の枚数のメダルが払い出され、1ゲームが終了する。この実施形態では、全ての回転リール41,42,43が停止した状態で、内部抽せんにより当せんした役毎に設定された図柄の組み合わせが、有効ライン70上に配置された場合に、有効ライン70上に配置された図柄の組み合わせに対応する役が入賞したと判定される。なお、有効ライン70上に役に対応する図柄の組み合わせが停止しなかった場合(いわゆるハズレ時)も、入賞に含まれる。
【0021】
このように、ベットスイッチ32、スタートスイッチ33およびストップスイッチ34,35,36を操作して、遊技の結果を得る一連の動作を遊技という。遊技の単位はゲームであり、1ゲームを単位遊技という。
【0022】
また、遊技中は、複数の遊技区間の中から1つの遊技区間が設定され、複数の遊技状態の中から1つ遊技状態が設定される。そして、設定された遊技区間および遊技状態に基づいて、内部抽せんが行われる。遊技状態には、図5図7に示すように、第1遊技状態、第2遊技状態および第3遊技状態が含まれる。
【0023】
第1遊技状態は、内部抽せんにより当せんする役(以下、単に当せん役という。)のうち、リプレイ役の種類(図9参照)およびその当せん確率を決定するための遊技状態であり、一例として、図5に示すように、RT0と、RT1とで構成されている。
【0024】
RT0は、第2遊技状態が特別役実施状態から特別役非持ち越し状態に移行した場合、または、遊技状態の初期化時(例えば、RAMクリア時)に設定される(すなわち、第1遊技状態がRT1からRT0に移行する)。また、スロットマシン1が店舗等に設置された直後の第1遊技状態もRT0に設定されている。言い換えると、第1遊技状態は、一種BBが実施されている場合を除いて、全てRT0に設定されている。
【0025】
RT1は、第2遊技状態が特別役非持ち越し状態から特別役実施状態に移行した場合に設定される(すなわち、第1遊技状態がRT0からRT1に移行する)。RT1では、図9に示すように、リプレイ役および一種BBに当せんする可能性はない。また、RT1では、後述する区間移行抽せんおよび後述するAT抽せんが行われない。
【0026】
第2遊技状態は、内部抽せんにより当せんした一種BBの入賞が持ち越されていない特別役非持ち越し状態と、内部抽せんにより当せんした一種BBの入賞が持ち越されている特別役持ち越し状態と、入賞した一種BBを実施するための特別役実施状態とを含む。
【0027】
特別役非持ち越し状態は、特別役実施状態に移行したときから払い出されたメダルが所定数(例えば、180枚または2枚)を超えた場合、または、遊技状態の初期化(例えば、RAMクリア時)などの所定条件を満たした場合に設定される。
【0028】
特別役持ち越し状態は、内部抽せんにより一種BBに当せんしかつ後述する所定の条件を満たした場合に設定される。一種BBは、一種特別役物に係る役物連続作動装置(いわゆるビッグボーナス)であり、特別役の一例である。一種BBが持ち越されている場合、一種BBの抽せんは行われない。また、持ち越されている一種BBのフラグは、設定値を変更しても消滅しないように構成されているが、消滅するように構成しても構わない。
【0029】
特別役実施状態は、内部抽せんにより特別役に当せんしかつ入賞した場合に設定され、一種BB実施状態(図6中、BB一般で示す。)と、RB持ち越し状態(図6中、JAC内部で示す)およびRB実施状態(図6中、JAC中で示す)を含んでいる。BB一般は、特別役が入賞した場合に設定される。BB一般は、役物非内部状態の一例で、内部抽せんにより特別役物の一例のRB(図9のJAC1~4)に当せんしていない場合に設定される。JAC内部は、役物内部状態の一例で、第2遊技状態が一種BB実施状態BB一般であるときに、内部抽せんによりRB(すなわち、図9のJAC1~4)に当せんしかつRBが入賞していない場合に設定される。JAC中は、役物実施状態の一例で、当せんしたRBが入賞した場合に設定される。JAC中は、JAC中に移行したときから12ゲーム消化するか、または、JAC中に何らかの役が8回入賞することで、BB一般に移行する。
【0030】
第3遊技状態は、遊技中に行われる演出を決定するための状態であり、一例として、図7に示すように、一般遊技状態とATとで構成されている。
【0031】
一般遊技状態は、指示機能が発生しない状態であり、例えば、設定値の変更後、RAMクリア後およびAT終了後、AT抽せんに当せんするまで設定される。スロットマシン1では、一般遊技状態として、通常状態と、AT抽せんに当せんする確率が通常状態よりも高い高確率状態(いわゆるチャンスゾーン)とを有している。AT抽せんは、一例として、第1遊技状態がRT0であり、かつ、遊技区間が有利区間である場合に、内部抽せんにより当せんした役に応じて行われる。通常状態から高確率状態への移行は、例えば、第1遊技状態がRT0でかつ遊技区間が有利区間である場合に内部抽せんが行われ、その結果、AT抽せんに当せんしなかった場合に行われる高確率状態移行抽せんに当せんすることで行われる。
【0032】
ATは、指示機能が発生する特別遊技状態の一例であり、第3遊技状態がATに移行したときから経過した遊技数が、ATで遊技可能な期間に到達するまで設定される。ATでは、メダルの払い出しのある押し順役の押し順の報知が行われ、一般遊技状態(例えば、通常状態)よりもメダルの獲得期待値が高くなるように構成されている。
【0033】
なお、ATおよび高確率状態は、通常状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態の一例であり、AT抽せんおよび高確率状態移行抽せんは、特別遊技状態抽せんの一例である。また、ATまたは高確率状態の延長抽せんも特別遊技状態抽せんに含んでも構わない。
【0034】
遊技区間は、指示機能に係る処理が行われるか否かを決定するための状態であり、一例として、図8に示すように、有利区間と通常区間とで構成されている。
【0035】
有利区間は、指示機能に係る処理および抽せんを実行可能な区間であり、遊技区間が通常区間で行われた内部抽せんの結果に基づいて行われる区間移行抽せんに当せんした後、有利区間が終了する条件を満たすまで設定される。なお、有利区間には、第3遊技状態が一般遊技状態で進行する有利区間と、第3遊技状態が特別遊技状態(すなわち、AT)で進行する有利区間とが含まれる。
【0036】
通常区間は、指示機能に係る処理および抽せんを実行不可能な区間であり、遊技区間として有利区間が設定されていない場合に設定される。通常区間は、第3遊技状態が一般遊技状態で進行する。
【0037】
なお、指示機能とは、出玉に影響する操作手順(例えば、押し順役の押し順)または操作方法を何らかの方法によって遊技者に教える機能であり、例えば、ストップスイッチ34,35,36を所定の操作手順で操作することで入賞可能な押し順役の押し順を指示する機能、または、ストップスイッチ34,35,36の操作が行われたときの回転リール41,42,43の位置が予め定められた操作位置であった場合に入賞可能な役の操作位置を指示する機能をいう。すなわち、遊技区間が有利区間である場合にのみ、第3遊技状態としてATが設定される。
【0038】
次に、制御装置100について説明する。制御装置100は、図2に示すように、メイン制御部110とサブ制御部120とで構成されている。
【0039】
メイン制御部110およびサブ制御部120の各々は、演算等を行うCPU、遊技の進行等に必要なプログラムまたはデータ等を記憶しておく記憶装置(例えば、ROMおよびRAM)等を備えている。メイン制御部110は、内部抽せん部111と、回転リール制御部112と、遊技結果判定部113と、区間制御部114と、遊技状態制御部115と、計測部116と、設定値制御部117と、延長決定部131とを有し、遊技を進行させるための制御を行う。サブ制御部120は、演出制御部121を有し、各種演出等を行うための制御を行う。
【0040】
なお、以下に説明するメイン制御部110およびサブ制御部120の各部は、例えば、CPUが所定のプログラムを実行することにより実現される機能である。
【0041】
内部抽せん部111は、複数の内部抽せんテーブルを有し、スタートスイッチ33の操作の受付に伴って、内部抽せんを行う。詳しくは、内部抽せん部111は、スタートスイッチ33の操作が受け付けられたときの第1遊技状態(言い換えると、RT状態)を判定し、判定されたRT状態に基づいて内部抽せんテーブルを選択する。そして、内部抽せん部111は、選択された内部抽せんテーブルと、スタートスイッチ33の操作が受け付けられたときに取得される乱数とに基づいて、内部抽せんを行う。
【0042】
例えば、当せん役については、図9に示す内部抽せんテーブルに基づいて決定される。この内部抽せんテーブルは、RT状態毎に設けられており、内部抽せんにより当せんの可能性がある当せん領域に関する情報を有している。この当せん領域には、図柄の組み合わせが対応付けられている役が、少なくとも1つ設定されている。
【0043】
図9では、RT状態および第2遊技状態毎に、当せんする可能性のある当せん領域が“○”で示され、当せんする可能性のない当せん領域が“×”で示されている。すなわち、各内部抽せんテーブルには、スタートスイッチ33の操作が行われた場合に取得される乱数に対応する役が記憶されている複数の領域(置数の領域)が設けられており、この領域の各々が、図9の“○”で示されている当せん領域にそれぞれ対応付けられている。
【0044】
例えば、スロットマシン1は、内部抽せんに当せんする役として、ストップスイッチ34、35、36を所定の操作手順で操作することにより遊技媒体の払い出しが最大となる押し順役を有している。このスロットマシン1では、図9に示すように、押し順役として、「左ベル」、「中・左・右ベル」、「中・右・左ベル」、「右・左・中ベル」および「右・中・左ベル」を有している。各押し順役に当せんした場合、複数の役に同時に当せんする。これにより、各押し順役は、設定されている操作順通りにストップスイッチ34,35,36が操作された場合は、8枚のメダルの払い出される「ベル」が入賞する一方、設定されている操作順とは異なる順番でストップスイッチ34,35,36が操作された場合は、「ハズレ」または「1枚役」が入賞するように構成されている。
【0045】
回転リール制御部112は、スタートスイッチ33または各ストップスイッチ34、35、36の操作の受付に伴って回転リールユニット40のステッピングモータ61,62,63を制御して、各回転リール41,42,43の回転を開始または停止させる(すなわち、回転リール41,42,43の回転を制御する)。
【0046】
例えば、全ての回転リール41,42,43が停止している状態でスタートスイッチ33が操作された場合、回転リール制御部112は、全ての回転リール41,42,43を回転させる。いずれかの回転リール41,42,43が回転している状態で、回転中の回転リール41,42,43に対応するストップスイッチ34,35,36が操作された場合、回転リール制御部112は、操作されたストップスイッチ34,35,36に対応する回転リール41,42,43を停止させる。
【0047】
各回転リール41、42、43を停止させる場合、回転リール制御部112は、内部抽せんにより当せんした役と、各ストップスイッチ34,35,36が操作されたタイミング(すなわち、各ストップスイッチ34、35、36の操作が受け付けられたときの対応する回転リール41、42、43の位置)に応じて、引き込み制御または蹴飛ばし制御を行う。引き込み制御は、当せんした役に対応する図柄を有効ライン70上に引き込むように各回転リール41,42,43の回転を停止させる制御である。蹴飛ばし制御は、当せんしていない役に対応する図柄が有効ライン70上に揃わないように回転リール41,42,43の回転を停止させる制御である。
【0048】
遊技結果判定部113は、内部抽せんの結果および回転リール41,42,43の停止制御の結果に基づいて、遊技の結果を判定する。遊技の結果には、例えば、有効ライン上に揃った図柄に基づいて、当せんした役が入賞したか否かの判定が含まれる。
【0049】
遊技結果判定部113は、判定した遊技の結果、または、精算スイッチの操作の受付に基づいて、ホッパーユニット50を制御し、メダルの払い出しを行う。遊技の結果に基づいて払い出されたメダル(すなわち、役の当せんまたは入賞により得られたメダル)は、まず、クレジットとして貯留される。そして、メダルを貯留した結果、クレジットの上限(例えば、50枚)を超えた場合には、その上限を超えた分のメダルがホッパーユニット50から払い出される。また、1枚以上の貯留メダルがある場合(すなわち、クレジットが1以上の場合)に精算スイッチが操作された場合には、貯留されているメダルがホッパーユニット50から払い出される。
【0050】
遊技結果判定部113は、例えば、第3遊技状態がATに移行した場合、第3遊技状態がATに移行したことを表す信号をホールコンピュータに出力して、管理者に報知する。
【0051】
区間制御部114は、複数の遊技区間(この実施形態では、通常区間および有利区間)の中から遊技区間を設定する。
【0052】
具体的には、区間制御部114は、遊技区間が通常区間である場合に、遊技区間を通常区間のままとするか、または、有利区間を付与するかの抽せんである区間移行抽せんを行い、区間移行抽せんに当せんした場合に遊技区間を有利区間に設定する。区間移行抽せんの当否は、例えば、当せんにより区間移行抽せんが行われる役(すなわち、抽せん対象役)に内部抽せんにより当せんした場合に行われる抽せんに当せんしたか否かで決定される。
【0053】
区間移行抽せんは、スロットマシン1の設定値によって当せん確率に差を設けてもよいし、設けなくてもよい。区間移行抽せんの当せん確率に差を設ける場合、例えば、抽せん対象役の内部抽せんにおける当せん確率に設定差を設けることで実現してもよいし、内部抽せんにより抽せん対象役に当せんしたときに行われる抽せんの当せん確率に設定差を設けることで実現してもよい。
【0054】
区間制御部114は、指示機能に係る処理および抽せんを実行不可能な区間であって、遊技状態が一般遊技状態で遊技が進行する通常区間と、指示機能に係る処理および抽せんを実行可能な区間であって、遊技状態が一般遊技状態または特別遊技状態で遊技が進行する有利区間とを含む複数の遊技区間の中から内部抽せんが行われる1つの遊技区間を付与可能に構成されている。
【0055】
本実施形態では、区間制御部114は、遊技区間が有利区間である場合、遊技区間を有利区間のままとするか、または、通常区間を付与するかを決定する。例えば、区間制御部114は、遊技区間が有利区間でありかつ所定の終了条件が満たされる場合に通常区間を付与する。終了条件は、例えば、計測部116で計測された遊技区間が有利区間に設定された以降に経過した遊技数(すなわち、有利区間消化ゲーム数)が所定値(例えば、1500ゲーム)に到達した場合、または、遊技区間が有利区間に設定された以降のメダルの差枚数が所定値(例えば、2400枚)に到達した場合に満たされる。メダルの差枚数(言い換えると、メダルの払い出し差数)は、ベットしたメダルの枚数と払い出したメダルの枚数との差を累計したものをいう。
【0056】
遊技区間が有利区間に移行した場合、区間制御部114は、有利区間中に指示機能が作動し、かつ、役物(すなわち、RBまたはCT)および役物連続作動装置(すなわち、一種BB)を除いて小役を払い出し枚数最大で入賞させるように遊技を進めた場合の出玉率の平均が100%を超える場合にのみ、操作部30に設けた表示部を介して、有利区間であることを表示する。
【0057】
遊技状態制御部115は、RT状態制御部1151と、特別遊技状態抽せん部1152とを有し、第1遊技状態、第2遊技状態および第3遊技状態の移行を制御する。
【0058】
RT状態制御部1151は、複数のRT状態(この実施形態では、R0およびRT1)の中から内部抽せんが行われる1つのRT状態を設定する。具体的には、RT状態制御部1151は、前述のとおり、第2遊技状態が特別役非持ち越し状態に移行した場合、第1遊技状態をRT0に設定し、第2遊技状態が特別役実施状態に移行した場合、第1遊技状態をRT1に設定する。
【0059】
特別遊技状態抽せん部1152は、予め設定された抽せん条件(以下、単に、抽せん条件という。)が満たされた場合に、遊技状態を通常状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態に移行させるか否かの特別遊技状態抽せんを行う。
【0060】
前述の通り、特別遊技状態抽せんには、AT抽せん、高確率状態移行抽せん、および、ATまたは高確率状態の延長抽せんが含まれる。抽せん条件は、移行する特別遊技状態に応じて予め設定されている。例えば、AT抽せんは、内部抽せんにより所定の役(例えば、チェリー、スイカ等のいわゆるレア役)に当せんした場合に行われる。また、例えば、高確率状態移行抽せんは、第1遊技状態がRT0でかつ遊技区間が有利区間であるときに内部抽せんによりレア役に当せんしたが、AT抽せんに当せんしなかった場合に行われる。
【0061】
計測部116は、例えば、遊技結果判定部113により判定された遊技の結果に基づいて、遊技区間が有利区間に設定された以降に経過した遊技数(すなわち、有利区間消化ゲーム数)、および、遊技区間が有利区間に設定された以降のメダルの払い出し差数を計測する。また、例えば、計測部116は、全ての回転リール41,42,43が定常回転となった以降に設定された起算点から経過した時間を計測する。
【0062】
設定値制御部117は、管理者が設定部45を操作することにより、遊技に対する有利度合い(例えば、機械割)が異なる複数の設定値(この実施形態では6つ)の中から1つの設定値を設定する。有利度合いの差は、例えば、所定の役に対する内部抽せんの当せん確率に差を設けることで実現している。また、設定値制御部117は、有利区間への移行率、AT抽せん、AT上乗せ抽せん等の出玉関連の有利度合を設定する。
【0063】
設定値を設定する方法の一例を以下に示す。この方法は、(1)から(7)の順に行われる。
(1)前扉20を開ける。
(2)スロットマシン1の主電源をオフする。スロットマシン1の主電源をオフすることで、回転中の回転リール41、42、43は全て停止するが、この回転リール41、42、43の停止による入賞判定は行われない。
(3)設定部45の所定箇所に設定変更キーを挿入し、設定変更モードをオフからオンに変更する。
(4)スロットマシン1の主電源をオンする。
(5)現在の設定値が、例えば、操作部30の貯留メダル表示部に表示される。所定のボタンを操作して、貯留メダル表示部に表示された設定値を所望の設定値に合わせる。
(6)スタートスイッチ33を操作する。スタートスイッチ33を操作することで、スロットマシン1の設定値が貯留メダル表示部に表示された設定値に変更される。
(7)設定変更モードをオンからオフに変更して、設定変更キーを抜出する。
【0064】
延長決定部131は、第3遊技状態が特別遊技状態(本実施形態では、AT)でありかつ所定の延長条件が満たされる場合に、ATで遊技可能な期間(以下、AT遊技期間という。)の延長を決定する。延長条件は、例えば、AT中に内部抽せんで当せんした役に応じて行わる抽せんに当せんした場合、および/または、遊技の過程で蓄積されたパラメータ(例えば、周期ポイント)が所定値に到達した場合若しくは蓄積されたパラメータが所定値に到達した場合に行われる抽せんに当せんした場合に満たされる。例えば、AT遊技期間が遊技数で管理されている場合は、AT遊技期間の延長は遊技数の上乗せであり、AT遊技期間が押し順役のナビ回数で管理されている場合は、AT遊技期間の延長は押し順役のナビ回数の上乗せであり、AT遊技期間がメダルの払い出し差数で管理されている場合は、AT遊技期間の延長はメダルの払い出し差数の上乗せである。
【0065】
演出制御部121は、内部抽せんが行われた遊技状態と、内部抽せんの結果とに基づいて、1ゲーム毎に演出を決定し、液晶表示装置22、電飾装置23、および、スピーカ24を介して、決定された演出を出力する。
【0066】
演出制御部121は、報知部1211を有している。報知部1211は、AT遊技期間の延長が決定されている状態において、有利区間の終了条件および現在の遊技情報に基づいて、AT遊技期間の延長を表す延長情報の報知態様を決定し、決定された報知態様に従って延長情報を報知する。
【0067】
具体的には、報知部1211は、内部的に決定されたAT遊技区間の延長情報をそのまま報知するのではなく、有利区間の強制終了が現時点からあとどの程度で満たされるのかの状況を踏まえた上で、その状況に応じて延長情報の報知態様を調整する。より具体的には、報知部1211は、有利区間の強制終了(言い換えると、終了条件が満たされる)までの残り有利区間に従って、内部的に所持するAT遊技期間の延長分をどの程度かつどのように報知していくかを調整する。これにより、内部的に所持していたAT遊技期間の延長分が有利区間内に収まっているかのように遊技者に思わせることができるので、遊技者は、いわゆる引き損を感じることなく、「延長分も取り切れた」との爽快な気分で遊技を行うことができる。
【0068】
例えば、有利区間の終了条件に、有利区間が付与されたときから経過した経過遊技数が第1所定値(例えば、1500ゲーム)に到達することが含まれ、遊技情報に、経過遊技数および延長されるAT遊技期間に対応する遊技数の合計値(以下、合計遊技数という。)が含まれているとする。この場合、報知部1211は、AT遊技期間の延長が決定された以降の任意のタイミングで、延長情報を次に示す(1)~(3)の報知態様で報知する。
【0069】
(1)合計遊技数は第1所定値に到達しないが、合計遊技数から第1所定値に到達するまでの遊技数が第1閾値(例えば、300ゲーム)よりも大きい場合、報知部1211は、延長情報の全てを報知するか、または、延長情報の一部でかつ合計遊技数から第1所定値に到達するまでの遊技数が第1閾値以下である場合よりも多くの延長情報を報知する。
【0070】
(2)合計遊技数は第1所定値に到達しないが、合計遊技数から第1所定値に到達するまでの遊技数が第1閾値以下であった場合、報知部1211は、延長情報の一部を報知する。
【0071】
(3)経過遊技数は第1所定値に到達していないが、合計遊技数が第1所定値以上となる場合、報知部1211は、有利区間の終了条件が満たされない範囲で、延長情報の一部を報知する。例えば、報知される延長情報が遊技数である場合、経過遊技数および報知される遊技数の合計値が第1所定値を超えない範囲を有利区間の終了条件が満たされない範囲とする。報知される延長情報が押し順役のナビ回数またはメダルの払い出し差数である場合、報知される押し順役のナビ回数を消化するのに必要な遊技数の推定値、または、報知されるメダル払い出し差数を得るのに必要な遊技数の推定値を算出し、経過遊技数および算出された遊技数の合計値が第1所定値を超えない範囲を、有利区間の終了条件が満たされない範囲とする。
【0072】
一例として、経過遊技数および延長されるAT遊技期間に対応する遊技数と、決定される報知態様との関係を図10に示す。縦軸が経過遊技数を示し、横軸が延長されるAT遊技期間に対応する遊技数を示している。例えば、経過遊技数が601ゲームから900ゲームの範囲にある場合について説明する。延長されるAT遊技期間に対応する遊技数がゼロゲームから299ゲームである場合、合計遊技数が最大1199ゲームとなり、合計遊技数から第1所定値に到達するまでの遊技数が、第1閾値である300ゲームより大きくなる。このため、上記(1)の報知態様で延長情報が報知される。延長されるAT遊技期間に対応する遊技数が1200ゲームから1499ゲームである場合、合計遊技数が最小1801ゲームとなり、第1所定値を超えている。このため、上記(3)の報知態様で延長情報が報知される。例えば、延長されるAT遊技期間に対応する遊技数のうち、合計遊技数が1500ゲームに到達するまでの遊技数を一度に報知してもよいし、複数に分けて報知してもよい。この場合、延長されるAT遊技期間に対応する遊技数のうち、合計遊技数が1500ゲームを超える部分については、消去することができる。合計遊技数が1200ゲームから1499ゲームの範囲にある場合、合計遊技数から第1所定値に到達するまでの遊技数が第1閾値である300ゲーム以下になる。このため、上記(2)の報知態様で延長情報が報知される。
【0073】
上記(1)~(3)の報知態様において、延長情報が全て報知されていない場合、報知部1211は、合計遊技数が第1所定値に到達するか、または、延長情報が全て報知されるまで、報知されていない延長情報の一部を報知し続けることもできる。延長情報の一部は、AT遊技期間の延長が決定されたときに決定された延長情報の初期値の一部であってもよいし、初期値からすでに報知された部分を除いた延長情報の一部であってもよい。報知一回当たりの延長情報の量は、調整することができる。例えば、ATがセット継続型で、延長情報がストックされているATのセット数である場合において、6セットのATが上乗せされた場合、報知部1211は、1回目の報知で、3セットのATが上乗せされたことを報知し、2回目の報知で、1セットのATが上乗せされたことを報知し、3回目の報知で、2セットのATが上乗せされたことを報知することができる。延長情報の量の調整は、報知が行われる都度行ってもよいし、複数回分まとめて行ってもよい。
【0074】
例えば、有利区間の終了条件に、有利区間が付与されたときから現在までのメダルの第1払い出し差数が第2所定値(例えば、2400枚)に到達することが含まれ、遊技情報に、第1払い出し差数および延長されるAT遊技期間に対応する遊技数を遊技したと仮定した場合におけるメダルの第2払い出し差数の合計値(以下、合計差数という。)が含まれているとする。この場合、報知部1211は、AT遊技期間の延長が決定された以降の任意のタイミングで、延長情報を次に示す(4)~(6)の報知態様で報知する。
【0075】
(4)合計差数は第2所定値に到達しないが、第1払い出し差数から第2所定値に到達するまでのメダルの払い出し差数が第2閾値(例えば、400枚)よりも大きい場合、延長情報の全てを報知するか、または、延長情報の一部でかつ第1払い出し差数から第2所定値に到達するまでのメダルの払い出し差数が第2閾値以下である場合よりも多くの延長情報を報知する。
【0076】
(5)合計差数は第2所定値に到達しないが、合計差数から第2所定値に到達するまでのメダルの払い出し差数が第2閾値以下であった場合、報知部1211は、延長情報の一部を報知する。
【0077】
(6)第1払い出し差数は第2所定値に到達していないが、合計差数が第2所定値以上となる場合、終了条件が満たされない範囲で、延長情報の一部を報知する。例えば、報知される延長情報がメダルの払い出し差数である場合、第1払い出し差数および報知される払い出し差数の合計値が第2所定値を超えない範囲を有利区間の終了条件が満たされない範囲とする。報知される延長情報が遊技数または押し順役のナビ回数である場合、報知される遊技数を消化した場合に得られるメダルの払い出し差数の推定値、または、報知される押し順役のナビ回数を消化した場合に得られるメダルの払い出し差数の推定値を算出し、第1払い出し差数および算出されたメダルの払い出し差数の合計値が第2所定値を超えない範囲を有利区間の終了条件が満たされない範囲とする。
【0078】
一例として、第1払い出し差数および第2払い出し差数と、決定される報知態様との関係を図11に示す。縦軸が第1払い出し差数を示し、横軸が第2払い出し差数を示している。例えば、第1払い出し差数が501枚から1000枚の範囲にある場合について説明する。第2払い出し差数がゼロ枚から999枚である場合、合計差数が最大1999枚となり、合計差数から第2所定値に到達するまでのメダルの払い出し差数が第2閾値である400ゲームより大きくなる。このため、上記(4)の報知態様で延長情報が報知される。第2払い出し差数が2000枚から2399枚である場合、合計差数が最低2501枚となり、第2所定値を超えている。このため、上記(6)の報知態様で延長情報が報知される。例えば、第2払い出し差数のうち、合計差数が2400枚に到達するまでの払い出し差数を一度に報知してもよいし、複数に分けて報知してもよい。この場合、第2払い出し差数のうち、合計差数が2400枚を超える部分については、消去することができる。
合計差数が2000枚から2399枚にある場合、合計差数から第2所定値に到達するまでのメダルの払い出し差数が第2閾値である400ゲームより大きくなる。このため、上記(5)の報知態様で延長情報が報知される。
【0079】
上記(4)~(6)の報知態様において、延長情報が全て報知されていない場合、報知部1211は、合計差数が第2所定値に到達するか、または、延長情報が全て報知されるまで、報知されていない延長情報の一部を報知し続けることもできる。延長情報の一部は、AT遊技期間の延長が決定されたときに決定された延長情報の初期値の一部であってもよいし、初期値からすでに報知された部分を除いた延長情報の一部であってもよい。報知一回当たりの延長情報の量は、調整することができる。例えば、ATが差枚数管理型で、延長情報がメダルの払い出し差数である場合において、600枚のメダルの払い出し差数が上乗せされた場合、報知部1211は、1回目の報知で、300枚のメダルの払い出し差数が上乗せされたことを報知し、2回目の報知で、100枚のメダルの払い出し差数が上乗せされたことを報知し、3回目の報知で、200枚のメダルの払い出し差数が上乗せされたことを報知することができる。延長情報の量の調整は、報知が行われる都度行ってもよいし、複数回分まとめて行ってもよい。
【0080】
延長されるAT遊技期間に対応する遊技数は、例えば、AT遊技期間が遊技数で管理されている場合、上乗せされた遊技数であり、AT遊技期間が押し順役のナビ回数で管理されている場合、上乗せされたナビ回数を消化するのに必要な遊技数の推定値であり、AT遊技期間がメダルの払い出し差数で管理されている場合、上乗せされたメダルの払い出し差数を得るのに必要な遊技数の推定値である。
【0081】
延長情報は、スロットマシン1の設計に応じて設定される。例えば、AT遊技期間が遊技数で管理されている場合、延長情報は上乗せされるAT遊技期間の遊技数であり、AT遊技期間が押し順役のナビ回数で管理されている場合、延長情報は上乗せされる押し順役のナビ回数であり、AT遊技期間がメダルの払い出し差数で管理されている場合、延長情報は上乗せされるメダルの払い出し差数である。ナビ回数は、例えば、押し順に加え操作態様が正解であればメダルの払い出しがある役の場合、正解の押し順と正解の操作態様とをナビゲーションする回数であり、操作態様が正解であればメダルの払い出しがある役の場合、正解の操作態様をナビゲーションする回数である。
【0082】
続いて、図12および図13を参照して、スロットマシン1のAT中の遊技処理について説明する。以下に説明する処理は、一例として、CPUが所定のプログラムを実行することで実施される。
【0083】
図12に示すように、第3遊技状態がATに移行すると(ステップS1)、延長決定部131が、延長条件が満たされるか否かを判定する(ステップS2)。延長条件が満たされないと判定された場合、ステップS5に進む。
【0084】
延長条件が満たされると判定された場合、延長決定部131は、AT遊技期間の延長を決定する(ステップS3)。AT遊技期間の延長が内部的に決定されると、報知部1211が、有利区間の終了条件および現在の遊技情報に基づいて、AT遊技期間の延長を表す延長情報の報知態様を決定し、決定された報知態様に従って延長情報を報知する(ステップS4)。
【0085】
ここで、図13を参照して、ステップS4の一例を説明する。ここでは、有利区間の終了条件に、有利区間が付与されたときから経過した経過遊技数が第1所定値に到達することが含まれ、遊技情報に、合計遊技数が含まれている場合について説明する。
【0086】
図13に示すように、ステップS3でAT遊技期間の延長が決定されると、報知部1211は、合計遊技数が第1所定値に到達したか否か、言い換えると、合計遊技数が第1所定値よりも小さい(合計遊技数<第1所定値)か否かを判定する(ステップS41)。
【0087】
合計遊技数が第1所定値以上であると判定された場合、報知部1211は、有利区間の終了条件が満たされない範囲で、延長情報の一部を報知して(ステップS42)、ステップS5に進む。
【0088】
合計遊技数が第1所定値よりも小さいと判定された場合、報知部1211は、合計遊技数から第1所定値に到達するまでの遊技数が第1閾値以下であるか否か、言い換えると、第1所定値から合計遊技数を引いた値が第1所定値以下((第1所定値-合計遊技数)≦第1閾値)であるか否かを判定する(ステップS43)。
【0089】
第1所定値から合計遊技数を引いた値が第1所定値以下であると判定された場合、報知部1211は、延長情報の一部を報知して(ステップS44)、ステップS5に進む。また、第1所定値から合計遊技数を引いた値が第1所定値よりも大きいと判定された場合、報知部1211は、延長情報の一部または全部を報知して(ステップS45)、ステップS5に進む。
【0090】
図12に示すように、ステップS4で延長情報が報知されると、報知部1211は、ATが終了したか否かを判定し(ステップS5)、ATが終了していないと判定された場合、報知されていない延長情報があるか否かを判定する(ステップS6)。報知されていない延長情報があると判定された場合は、ステップS4に戻り、有利区間の終了条件および現在の遊技情報に基づいて延長情報の報知態様が決定され、決定された報知態様に従って延長情報が報知される。報知されていない延長情報がないと判定された場合は、ステップS2に戻り、延長条件が満たされるか否かが判定される。ステップS5で、ATが終了したと判定された場合、AT中の遊技処理が終了する。
【0091】
有利区間の終了条件が満たされると、第3遊技状態が特別遊技状態から一般遊技状態に移行し、遊技区間が有利区間から通常区間に移行する。その際、有利区間の滞在ゲーム数カウントおよび有利区間中のメダルの払い出し差数カウントはリセットされる。また、内部的に報知されていない延長情報があった場合はそれもリセットされる。
【0092】
スロットマシン1によれば、次のような効果を発揮できる。
【0093】
スロットマシン1では、ATで遊技可能な期間の延長が決定されている状態において、有利区間の終了条件および現在の遊技情報に基づいて、AT遊技期間の延長を表す延長情報の報知態様を決定し、決定された報知態様に従って延長情報を報知する。このような構成により、例えば、有利区間の終了条件および現在の遊技情報に基づく適切な報知態様で延長情報が報知されるので、遊技者に対して、延長情報がどの程度報知されるのか等、AT遊技期間の延長の有無を推測する楽しみを提供することができる。その結果、新たな遊技性を提供可能なスロットマシン1を実現できる。
【0094】
スロットマシン1は、次に示す複数の構成のいずれか1つまたは複数の構成を任意に採用できる。つまり、次に示す複数の構成のいずれか1つまたは複数の構成は、前記実施形態に含まれていた場合は任意に削除でき、前記実施形態に含まれていない場合は任意に付加することができる。このような構成を採用することにより、有利区間の終了に起因する遊技者の遊技意欲の低下をより確実に防止できるスロットマシン1を実現できる。
【0095】
有利区間の終了条件には、有利区間が付与されたときから経過した経過遊技数が第1所定値に到達することが含まれ、遊技情報が、経過遊技数および延長されるAT遊技期間に対応する遊技数の合計遊技数である。このような構成により、合計遊技数と有利区間の終了条件との兼ね合いにより、延長情報の報知態様を、その場ごと(現時点)の有利区間に関する状況に適したものに調整できる。
【0096】
報知部1211は、合計遊技数が第1所定値に到達しないが、合計遊技数から第1所定値に到達するまでの遊技数が第1閾値以下であった場合、延長情報の少なくとも一部を報知する。つまり、合計遊技数から第1所定値に到達するまでの遊技数が第1閾値以下である場合、有利区間が強制的に終了を迎えるまでにはまだ余裕があるものの、その余裕が比較的少ない状態であると言える。スロットマシン1では、当該余裕の状態に鑑みて、延長情報の少なくとも一部が報知されるので、遊技者は、有利区間が強制終了する限界に至るまでに上乗せがあるのか、上乗せがあるとしたらしたらどこまで上乗せられるのかを気にしながら、ある程度の緊張感を持ちながら遊技することになり、単なる消化遊技とはなり難くなる。その結果、新たな遊技性を提供可能なスロットマシン1を実現できる。
【0097】
報知部1211は、AT遊技期間の延長が決定されたときよりも後で、延長される延長情報の少なくとも一部を報知する。このような構成により、例えば、延長情報の一部を小出しに報知するなど、報知タイミングの調整を図ることができる。
【0098】
報知部1211は、合計遊技数が第1所定値に到達するか、または、延長されるAT遊技期間に対応する遊技数が全て報知されるまで、報知されていない延長情報の一部を報知し続ける。このような構成により、AT遊技期間が内部的にどこまで延長されているかは、遊技を進めていくにつれて明らかになり、遊技者は、内部的にどこまで上乗せされているかを楽しみにしながら、遊技を継続できる。その結果、新たな遊技性を提供可能なスロットマシン1を実現できる。
【0099】
報知部1211は、合計遊技数が第1所定値に到達しないが、合計遊技数から第1所定値に到達するまでの遊技数が第1閾値よりも大きい場合、延長情報の一部でかつ合計遊技数から第1所定値に到達するまでの遊技数が第1閾値以下である場合よりも多くの延長情報を報知する。報知部1211は、合計遊技数が第1所定値に到達していないが、合計遊技数から第1所定値に到達するまでの遊技数が第1閾値よりも大きい場合、延長情報の全てを報知する。つまり、合計遊技数から第1所定値に到達するまでの遊技数が第1閾値よりも大きい場合、有利区間が強制的に終了を迎えるまでにはまだ余裕があり、しかもその余裕が比較的多い状態であると言える。スロットマシン1では、当該余裕の状態に鑑みて、延長情報の少なくとも一部でかつ余裕が比較的少ない場合よりも多くの延長情報、または、延長情報の全部が報知されるので、遊技者は、有利区間が強制終了する限界に至るまでに上乗せがあるのか、上乗せがあるとしたらしたらどこまで上乗せられるのかを気にしながら、ある程度の緊張感を持ちながら遊技することになり、単なる消化遊技とはなり難くなる。その結果、新たな遊技性を提供可能なスロットマシン1を実現できる。
【0100】
報知部1211は、経過遊技数は第1所定値に到達していないが、合計遊技数が第1所定値以上となる場合、有利区間の終了条件が満たされない範囲で、延長情報の一部を報知する。このような構成により、AT中にAT遊技期間が大きく延長されたとしても、有利区間が終了するまでに消化できない部分については、遊技者に報知しないようにすることができる。その結果、有利区間の終了に起因する遊技者の遊技意欲の低下を防止できるスロットマシン1を実現できる。
【0101】
有利区間の終了条件には、有利区間が付与されたときから現在までのメダルの第1払い出し差数が第2所定値に到達することが含まれ、遊技情報が、第1払い出し差数および延長されるAT遊技期間に対応する遊技数を遊技したと仮定した場合におけるメダルの第2払い出し差数の合計差数である。このような構成により、合計差数と有利区間の終了条件との兼ね合いにより、延長情報の報知態様を、その場ごと(現時点)の有利区間に関する状況に適したものに調整できる。
【0102】
報知部1211は、合計差数が第2所定値に到達しないが、合計差数から第2所定値に到達するまでの遊技媒体の払い出し差数が第2閾値以下であった場合、延長情報の少なくとも一部を報知する。つまり、合計差数から第2所定値に到達するまでの遊技媒体の払い出し差数が第2閾値以下である場合、有利区間が強制的に終了を迎えるまでにはまだ余裕があるものの、その余裕が比較的少ない状態であると言える。スロットマシン1では、当該余裕の状態に鑑みて、延長情報の少なくとも一部が報知されるので、遊技者は、有利区間が強制終了する限界に至るまでに上乗せがあるのか、上乗せがあるとしたらしたらどこまで上乗せられるのかを気にしながら、ある程度の緊張感を持ちながら遊技することになり、単なる消化遊技とはなり難くなる。その結果、新たな遊技性を提供可能なスロットマシン1を実現できる。
【0103】
報知部1211は、AT遊技期間の延長が決定されたときよりも後で、延長情報の少なくとも一部を報知する。このような構成により、例えば、延長情報の一部を小出しに報知するなど、報知タイミングの調整を図ることができる。
【0104】
報知部1211は、合計差数が第2所定値に到達するか、または、延長情報が全て報知されるまで、報知されていない延長情報の一部を報知し続ける。このような構成により、AT遊技期間が内部的にどこまで延長されているかは、遊技を進めていくにつれて明らかになり、遊技者は、内部的にどこまで上乗せされているかを楽しみにしながら、遊技を継続できる。その結果、新たな遊技性を提供可能なスロットマシン1を実現できる。
【0105】
報知部1211は、合計差数は第2所定値に到達しないが、第1払い出し差数から第2所定値に到達するまでのメダルの払い出し差数が第2閾値よりも大きい場合、延長情報の一部でかつ第1払い出し差数から第2所定値に到達するまでのメダルの払い出し差数が第2閾値以下である場合よりも多くの延長情報を報知する。報知部1211は、合計差数は第2所定値に到達しないが、第1払い出し差数から第2所定値に到達するまでのメダルの払い出し差数が第2閾値よりも大きい場合、延長情報の全てを報知する。つまり、合計差数から第2所定値に到達するまでの遊技媒体の払い出し差数が第2閾値よりも大きい場合、有利区間が強制的に終了を迎えるまでにはまだ余裕があり、しかもその余裕が比較的多い状態であると言える。スロットマシン1では、当該余裕の状態に鑑みて、延長情報の少なくとも一部でかつ余裕が比較的少ない場合に比して多くの延長情報、または、延長情報の全部が報知されるので、遊技者は、有利区間が強制終了する限界に至るまでに上乗せがあるのか、上乗せがあるとしたらしたらどこまで上乗せられるのかを気にしながら、ある程度の緊張感を持ちながら遊技することになり、単なる消化遊技とはなり難くなる。その結果、新たな遊技性を提供可能なスロットマシン1を実現できる。
【0106】
報知部1211は、第1払い出し差数は第2所定値に到達していないが、合計差数が第2所定値以上となる場合、有利区間の終了条件が満たされない範囲で、延長情報の一部を報知する。このような構成により、AT中にAT遊技期間が大きく延長されたとしても、有利区間が終了するまでに消化できない部分については、遊技者に報知しないようにすることができる。その結果、有利区間の終了に起因する遊技者の遊技意欲の低下を防止できるスロットマシン1を実現できる。
【0107】
スロットマシン1は、次のように構成することもできる。
【0108】
特別遊技状態は、一般遊技状態よりも遊技者にとって有利であり、特別遊技状態で遊技可能な期間を延長できる仕様であればよい。例えば、特別遊技状態は、ATに限らず、ARTであってもよいし、CZ(チャンスゾーン)であってもよい。特別遊技状態で遊技可能な期間の延長には、CZで遊技可能な期間の延長、および/または、ATおよびCZで遊技可能な期間の延長を含むことができる。CZは、例えば、ATの実施期待度が高まる遊技状態であり、指示機能が一時的に発生することができるが、ATよりも発生頻度が低くなるように構成されている。また、特別遊技状態は、所定のゲーム数を1セットとしたセット管理型であってもよいし、ゲーム数管理型であってもよい。
【0109】
AT遊技期間の延長が決定された場合、延長前のATが終了した後、連続して延長されたATが開始されてもよいし、延長前のATが終了した後、一旦、一般遊技状態に移行した後、再びATに移行して延長されたATが開始されてもよい。
【0110】
報知態様は、上記(1)~(6)の報知態様に限らず、他の報知態様であってもよい。
【0111】
報知部1211は、上記(1)~(6)の報知態様のいずれかのみ実行可能に構成してもよいし、上記(1)~(6)の報知態様のいずれか複数を実行可能に構成してもよい。
【0112】
報知部1211は、例えば、抽せんにより、有利区間の終了条件および現在の遊技情報に基づいて延長情報の報知態様を決定するか否かを判断してもよい。有利区間の終了条件および現在の遊技情報に基づいて延長情報の報知態様を決定しない場合、例えば、AT遊技期間の延長が決定された以降の任意のタイミングで、全ての延長情報を報知する。
【0113】
合計遊技数が第1所定値を超えている場合、または、合計差数が第2所定値を超えている場合、例えば、遊技者に特典を付与してもよい。特典は、例えば、有利区間の終了時における設定値の示唆であってもよいし、有利区間終了後、特典がない場合よりも遊技者にとって有利な一般遊技状態での遊技であってもよい。特典は、延長情報における各所定値を超過する部分が多いほど、遊技者にとって有利になるように、例えば、いわゆる天井ゲーム数が低くなるように、または、ATに移行し易くなるように構成してもよい。
【0114】
終了条件を満たすことで有利区間が終了する場合、例えば、終了する間際にエンディング演出を実行してもよい。エンディング演出実行中は、延長条件を満たしてもAT遊技期間の延長が行われない。このため、例えば、エンディング演出が有利区間移行後、1450ゲームに到達したときから実行される場合、報知部1211は、第1所定値を1500ゲームではなく1450ゲームとみなして、延長情報の報知態様を決定することができる。
【0115】
延長情報の一部が報知される場合、延長情報の一部が報知される場合のみ実行される演出を用いてもよいし、延長情報の一部が報知されない場合でも実行される演出を用いてもよい。
【0116】
延長情報の報知態様を決定するために用いられる有利区間の終了条件(例えば、「有利区間の残りG数」および「有利区間終了までの残り差枚数」)は、液晶表示装置22に表示してもよい。有利区間で遊技可能な期間の残りが表示されるので、AT遊技期間の延長に対する期待を遊技者に持たせることができる。
【0117】
例えば、内部的に延長されたAT遊技期間の一部を報知してATが延長され、報知されていない残りのAT遊技期間について報知をするか否かの判断を後回しにすることができる。この場合、例えば、更なるAT遊技期間の延長が振るわず、有利区間で遊技可能な期間の残りに余裕ができた場合は、報知されていない残りのAT遊技期間の延長分が報知されるが、余裕がない場合はAT遊技期間の延長の報知が行われないようにすることができる。また、例えば、AT遊技期間の延長が決定されたときから50ゲーム後に、AT遊技期間の延長が報知されることが決定されていたとする。この場合、例えば、50ゲームの間にさらにAT遊技期間の延長が決定されたり、または、先に決定されていたAT遊技期間の延長の報知が行われたりすると、50ゲーム後に決定されていたAT遊技期間の報知が延期または中止されるようにすることができる。
【0118】
区間制御部114による有利区間の通常区間への強制的設定の条件は、有利区間消化ゲーム数が1500ゲームに到達する、および、有利区間のメダルの払い出し差数が2400枚に到達することに限らない。これらの条件とは異なる条件で、有利区間を通常区間に強制的に設定してもよいし、また、有利区間を通常区間に強制的に設定する条件を設けなくてもよい。例えば、有利区間消化ゲーム数が1500ゲームに到達することで有利区間が通常区間に強制的に設定されるが、有利区間のメダルの払い出し差数が2400枚に到達することでは、有利区間が通常区間に強制的に設定されないように構成してもよい。また、例えば、有利区間が通常区間に強制的に設定された場合を除いて、一旦、遊技区間が有利区間に設定されると、いわゆるボーナス(例えば、一種BB)が1回入賞するか、または、メダルの払い出しが最大となる押し順役(例えば、押し順ベル)の押し順を1回報知するまでは、有利区間を通常区間に設定できないように構成してもよい。
【0119】
スロットマシン1の設定値が変更された場合、遊技区間は、スロットマシン1の設定値が変更される直前の状態を引き継ぐように設定してもよいし、予め設定されている初期状態に設定される(すなわち、初期化される)ようにしてもよい。
【0120】
前記実施形態では、有利区間中に指示機能が作動し、かつ、役物および役物連続作動装置を除いて小役を払い出し枚数最大で入賞させるように遊技を進めた場合の出玉率の平均が100%を超える場合にのみ、有利区間であることが表示部に表示されるように構成しているが、これに限らない。例えば、遊技区間が有利区間へ移行したときに、表示部に有利区間中であることを必ず表示されるように構成してもよい。
【0121】
前記実施形態では、遊技区間が有利区間に移行した場合、区間制御部114が、操作部30に設けた表示部を介して、遊技区間が有利区間であることを表示するように構成しているが、これに限らない。例えば、液晶表示装置22が表示部を兼ねるように構成してもよいし、表示部を省略して遊技区間が有利区間であることを表示しないように構成してもよい。表示部に有利区間であることが表示された後は、有利区間が終了するまで、有利区間であることを表示し続けてもよいし、有利区間であることを表示し続けなくてもよい。
【0122】
制御装置100は、ソフトウェアと協働して所定の機能を実行するCPUに代えて、ハードウェアのみで所定の機能を実現するように専用に設計されているFPGA(field-programmable gate array)、または、ASIC(application specific integrated circuit)を含んでいてもよい。
【0123】
メイン制御部110およびサブ制御部120は、それぞれ異なる基板に設けてもよいし、同一基板上に設けてもよい。すなわち、メイン制御部110およびサブ制御部120は、それぞれがCPU、ROMおよびRAM等を備えていてもよいし、CPU、ROMおよびRAM等を共有していてもよい。
【0124】
押し順役は、所定の押し順でストップスイッチ34,35,36を操作することにより入賞する場合に限らない。押し順役は、例えば、所定の位置でストップスイッチ34,35,36を操作することにより入賞するようにしてもよいし、所定の位置に加え、所定の押し順でストップスイッチ34,35,36を操作することにより入賞するようにしてもよい。
【0125】
内部抽せんテーブルは、図9に示されている情報に限らず、スロットマシンの設計に応じて、他の任意の情報を含むことができる。
【0126】
有効ラインは、少なくとも1本設定されていればよく、2本以上であっても構わない。
【0127】
可能であれば、メイン制御部110の構成をサブ制御部120に設けてもよいし、サブ制御部120の構成をメイン制御部110に設けてもよい。
【0128】
なお、前記様々な実施形態または変形例のうちの任意の実施形態または変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせまたは実施例同士の組み合わせまたは実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態または実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。
【符号の説明】
【0129】
1 スロットマシン
10 筺体
20 前扉
22 液晶表示装置
33 スタートスイッチ
34,35,36 ストップスイッチ
41,42,43 回転リール
100 制御装置
131 延長決定部
1211 報知部
【要約】
【課題】新たな遊技性を提供可能な遊技機を提供すること。
【解決手段】遊技機が、遊技状態が特別遊技状態でありかつ所定の延長条件が満たされる場合に特別遊技状態で遊技可能な期間の延長を決定する延長決定部と、特別遊技状態で遊技可能な期間の延長が決定されている状態において有利区間の終了条件および現在の遊技情報に基づいて特別遊技状態で遊技可能な期間の延長を表す延長情報の報知態様を決定し、決定された報知態様に従って延長情報を報知する報知部とを備える。
【選択図】図12
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13