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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】緩衝材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A43B 17/00 20060101AFI20220518BHJP
【FI】
A43B17/00 E
A43B17/00 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017073406
(22)【出願日】2017-04-03
(65)【公開番号】P2017185233
(43)【公開日】2017-10-12
【審査請求日】2020-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2016074981
(32)【優先日】2016-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】512031183
【氏名又は名称】有限会社スワニー
(73)【特許権者】
【識別番号】516099886
【氏名又は名称】大西 忠輔
(74)【代理人】
【識別番号】100169188
【弁理士】
【氏名又は名称】寺岡 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 良博
(72)【発明者】
【氏名】大西 忠輔
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-533332(JP,A)
【文献】国際公開第2015/065826(WO,A1)
【文献】特開2015-143023(JP,A)
【文献】特開2016-026915(JP,A)
【文献】特開2001-070005(JP,A)
【文献】特表2009-519736(JP,A)
【文献】米国特許第04841648(US,A)
【文献】特表2012-504024(JP,A)
【文献】国際公開第2007/091549(WO,A1)
【文献】特開2015-009005(JP,A)
【文献】特開2011-229643(JP,A)
【文献】登録実用新案第3192899(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
力を受ける板面を有する樹脂製の板状の緩衝材の製造法において、
前記板面が区画に分けられ、各区画のうち、少なくとも1つは、前記各区画の母材となる第1樹脂体の内部に、前記第1樹脂体とは別の第2樹脂体の立体形状物であって、前記第1樹脂体とは異なる形状変化しやすさのものが配置されることにより、当該区画が受けた力をその力の方向と交差する方向へと向かわせることとし、
三次元印刷機器が使用するインクの種類を印刷時に変更することで、前記母材よりも硬い前記第2樹脂体と前記母材とが一体成形され、
前記第2樹脂体が尖り部を有し、前記区画の上面および面に前記尖り部を向け、
前記尖り部が、前記母材に対して楔の役割をし、
前記少なくとも1つの区画の各区画は、前記第2樹脂体を複数有し、前記上面から底面の最短距離となる方向に沿って、前記複数の、前記第2樹脂体の上部尖り部と下部尖り部とが、配置されることを特徴とする緩衝材の製造法。
【請求項2】
請求項1記載の緩衝材の製造法において、
前記第2樹脂体は、ソロバンの珠形状である、
緩衝材の製造法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
緩衝材の一例として、靴の中敷(インソール)が挙げられる。インソールを製造する技術として、たとえば、フットプリンター(足型採取器)によりユーザーの足の情報を採取する工程と、当該情報に基づいてインソールの基本形状を選択する工程と、当該基本形状に種々の補正パーツを組み合わせて実際に立位及び歩行で評価する工程と、その中でもっとも適した基本形状と補正パーツの組み合わせを前記フットプリントに記入する工程と、当該フットプリントをスキャナによって三次元CADに入力しその情報から当該CADに完成形のインソールを再現する工程と、当該CADデータに基づいて切削加工する工程を有するものが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-009005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で提案されているインソールに関する技術は、人体の足の形状等の多様性にある程度対応できるインソールを提供できる技術である。しかしながら人体の足の裏は、体重を支える部位であり、ちょっとした痛みを抱えると社会生活が困難になりかねない。そのため、人体の足の形状等の多様性だけでなく、人体の足が有する多くの事情等にも細かく対応できる高性能のインソールが要求されている。このようなことは、人体の足以外の力付与体が与える力を緩衝できる緩衝材にも要求されると思われる。
【0005】
そこで本発明の目的は、多様な力付与体が付与する力の適切な緩衝を可能とする緩衝材およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る、力を受ける板面を有する樹脂製の板状の緩衝材は、板面が区画に分けられ、各区画のうち、少なくとも1つ以上が他の区画とは異なる形状変化しやすさであり、緩衝材は層状構造をなす一体成形物であることを特徴とする。
【0007】
ここで、各区画のうち少なくとも1つは、各区画の母材となる第1樹脂体の内部に、第1樹脂体とは別の第2樹脂体および/または金属製の立体形状物であって、第1樹脂体とは異なる形状変化しやすさのものが配置されることにより、当該区画が受けた力をその力の方向と交差する方向へと向かわせることとしてもよい。
【0008】
また、各区画のうち少なくとも1つは、各区画の母材となる第1樹脂体の内部に、第1樹脂体とは別の第2樹脂体および/または金属製の立体形状物であって、第1樹脂体とは異なる形状変化しやすさのものが配置されることにより、当該区画が受けた力に対する反発力が大きくなることとしてもよい。
【0009】
また、板面に前記力を付与する力付与体が、各区画へ与える力の大きさに応じ、各区画の形状変化しやすさが選択されることとしてもよい。
【0010】
また、緩衝材が靴のインソール、ミッドソールおよび/またはアウターソールに用いられ、緩衝材の使用者の足の裏のうち、痛みを感じる、または痛みを感じる可能性がある部分が押圧する区画の形状変化しやすくすることとしてもよい。
【0011】
また、そのような部分が押圧する前記区画を中心とし、その中心から離れるに従い、各区画の形状変化しにくくなることとしてもよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る、力を受ける板面を有する樹脂製の板状の緩衝材の製造方法は、緩衝材が靴のインソール、ミッドソールおよび/またはアウターソールに用いられ、板面が区画に分けられ、人間の静止立位時、走行時または歩行時の(1)足の裏への圧力分布の測定結果(2)足の裏の床反力の測定結果(3)三次元動作解析装置の解析結果、この(1)、(2)および(3)の少なくとも1つから、周囲に比べ大きい負荷を受けることとなる区画を特定し、特定された区画を他の区画よりも形状変化しやすくするように決定し、決定に基づき、各区画は三次元印刷機器によって一体成形されることを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る、力を受ける板面を有する樹脂製の板状の緩衝材の製造法は、板面が区画に分けられ、各区画のうち、少なくとも1つは、各区画の母材となる第1樹脂体の内部に、第1樹脂体とは別の第2樹脂体の立体形状物であって、第1樹脂体とは異なる形状変化しやすさのものが配置されることにより、当該区画が受けた力をその力の方向と交差する方向へと向かわせることとし、三次元印刷機器が使用するインクの種類を印刷時に変更することで、母材よりも硬い第2樹脂体と母材とが一体成形され、第2樹脂体が尖り部を有し、区画の上面および面に尖り部を向け、 尖り部が、母材に対して楔の役割をし、少なくとも1つの区画の各区画は、第2樹脂体を複数有し、上面から底面の最短距離となる方向に沿って、複数の、第2樹脂体の上部尖り部と下部尖り部とが、配置されることを特徴とする。
ここで、第2樹脂体は、ソロバンの珠形状である、こととしても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、多様な力付与体が付与する力の適切な緩衝を可能とする緩衝材およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係るインソールの平面図であり、その板面が区画に分かれている状態を示す図である。
図2】足の裏の一部にタコを有し、そこに痛みを感じる者の歩行時の痛みを和らげる本発明の実施の形態に係るインソールを図1と同様に示す図である。
図3】運動選手の走行時の足の裏への衝撃を圧力分布データとして採取し、そのデータに基いて足への負担を和らげる本発明の実施の形態に係るインソールを図1と同様に示す図である。
図4】周囲に比べ足の裏への圧力が大きかった4つの区画の上面から下面方向への最短距離で切った断面図である。
図5】上面に対して方向Mから圧力が与えられた場合の母材の形状変形の状態を図4と同様に示す断面図である。
図6】第2樹脂体の変形例を示す図である。
図7】本発明の実施の形態に係るインソールの製造方法に用いる装置のブロックダイアグラムである。
図8】区画の個々の圧力データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る緩衝材について、図面を参照しながら説明する。ここでは、緩衝材の一例として、靴の中敷(インソール)について主に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るインソールの平面図であり、その板面が区画に分かれている状態を示す図である。
【0016】
(本発明の実施の形態に係るインソール1の構成)
図1では、本発明の実施の形態に係る、力を受ける板面を有する樹脂製の板状の緩衝材であるインソール1の右足側のみを示している。なお「板状」は、平板状を含むことはもちろんだが、足の裏の土踏まず等に沿った曲面を有する板形状をも含む。左足側のインソール1の図示は省略する(インソール1A,1Bについても同じ)。板面は横座標(AからH)と縦座標(1から21)で縦横に区切られる区画2に分けられている。そして、各区画2のうち、区画(E,17)すなわち、横座標がEで縦座標が17となる区画が他の区画2とは異なる硬度となっている(以下、特定の区画2を指すときには、同様の座標の表示方法で指す)。ここで、図1における各区画2は一体成形されている。そのため、実際には、各区画2の境界線は殆ど目視できない。
【0017】
(本発明の実施の形態に係るインソール1の製造方法)
インソール1は、三次元印刷機器を用いて樹脂成形されている。三次元印刷機器は、成形物を成形する際に紫外線硬化性樹脂を一層ずつ印刷してその都度紫外線を照射して樹脂を硬化させる操作を繰り返すことで樹脂層を形成し、徐々に成形物の形に成形していくものである。ここで、三次元印刷機器は、特定の印刷位置に印刷するインク(樹脂)の色および硬度等を変えることができる。そのため、各区画2の硬度が異なるインソール1であっても一体成形を実現できる。すなわち、インソール1は層状構造をなす一体成形品とすることができる。また、三次元印刷機器は三次元CADデータに基いて一つづつ成形物を成形するため、インソール1の使用者の足の形状等の種々の事情に応じたインソール1をオーダーメイドのように製造できる。この製造法は、以下に述べるインソール1A,1Bの製造の際にも採用するものとする。
【0018】
(足の裏の一部に痛みを感じる者のためのインソール)
図2は、足の裏の一部にタコ(胼胝)を有し、その部分に痛みを感じる者の静止立位時、走行時または歩行時の痛みを和らげる本発明の実施の形態に係るインソール1Aを図1と同様に示す図である。タコは、区画2(D,6)に当接し、その区画を押圧するものとする。このタコが区画2(D,6)を押圧することは、既知のデータとして有しているものとする。区画2(D,6)の樹脂のショア硬度は25である。
【0019】
区画2(D,6)を中心としてその周囲の区画2(C,5)、2(D,5)、2(E,5)、2(C,6)、2(E,6)、2(C,7)、2(D,7)、2(E,7)の樹脂のショア硬度は40である。さらに中心の区画2(D,6)から離れた位置の周辺の区画2(B,4)、2(C,4)、2(D,4)、2(E,4)、2(F,4)、2(B,5)、2(F,5)、2(B,6)、2(F,6)、2(B,7)、2(F,7)、2(B,8)、2(C,8)、2(D,8)、2(E,8)、2(F,8)の樹脂のショア硬度は60である。それ以外の区画2の樹脂のショア硬度は80である。すなわち、タコの部分が当接し押圧する区画2(D,6)を中心とし、その中心から離れるに従い、各区画の硬度が徐々に大きくなっている。
【0020】
(運動選手の足への負担を和らげるためのインソール)
図3は、運動選手の走行時の足の裏への衝撃を圧力分布データとして採取し、そのデータに基いて足への負担を和らげる本発明の実施の形態に係るインソール1Bを図1と同様に示す図である。
【0021】
圧力分布データから、最も足の裏への圧力が大きかったのは、区画2(C,4)、2(D,4)、2(C,5)、2(D,5)の4つであることがわかった。この4つの区画に当接し、それらの区画を押圧する足の裏の部分は、将来的に痛みを感じる可能性がある部分である。図4は、この4つの区画の上面5から下面6方向への最短距離で切った断面図である。この4つの区画は、第1樹脂体である母材3の内部に、ソロバンの珠形状(2つの同一形状の円錐の底面同士をくっつけた形状)の第2樹脂体4A,4B,4Cが上面5から底面6の最短距離となる方向に等間隔に3つ配置されているものである。母材3のショア硬度は25である。
【0022】
母材3は、区画2(C,4)、2(D,4)、2(C,5)、2(D,5)のうち、第2樹脂体4A,4B,4C以外の部分全体であるため、母材3の硬度は、その区画2の概ね全体の硬度となる。第2樹脂体4A,4B,4Cは、それぞれ同一形状であり、そのショア硬度はそれぞれ80である。この第2樹脂体4A,4B,4Cと母材3は硬度が異なるが、三次元印刷機器が使用するインクの種類を印刷時に適宜変更することで、第2樹脂体4A,4B,4Cと母材3とを一体成形することができる。
【0023】
図5は、上面5に対して方向Mから圧力が与えられた場合の母材3の形状変形の状態を図4と同様に示す断面図である。運動選手は、その運動の内容にもよるが、上面5から底面6の最短距離の方向となる方向Pへ圧力が与えられることもあるが、通常はその方向Pを若干傾けた方向Mのような方向から圧力が与えられることが多い。
【0024】
図5に示すように、母材3は方向Pへ圧縮されているように見えるが、方向Mよりも方向Pと直交する方向Nの左側方向に若干近い方向へと母材3が押圧され、その分母材3の高さ寸法が小さくなっている。そして、第2樹脂体4A,4Bは方向Mの横成分の方向Nへとずれている。ここで、第2樹脂体4Aは、第2樹脂体4Bよりもずれの量が大きい。第2樹脂体4Cは、殆どずれることなく、ずれの方向は第2樹脂体4A,4Bと同じだが、その量はごく僅かだった。
【0025】
上面5は、方向Mから与えられた圧力を受け、その圧力が第2樹脂体4Aの周面4A1を押圧する。すると第2樹脂体4Aは、方向Pへ移動すると共に、周面4A1を利用した斜板カム動作と同様の作用が働き、方向Nへ移動するように母材3が形状変化する。ここで、方向Mから圧力が与えられても第2樹脂体4A,4B,4Cは形状変化しない。この周面4A1を利用した斜板カム動作と同様の作用は、第2樹脂体4Bの周面4B1および第2樹脂体4Cの周面4C1においても同様に働く。ただし、方向Mから与えられた圧力は、周面4A1が最も大きく受け、次に周面4B1が大きく受け、周面4C1は方向Mから与えられた圧力を最も小さく受ける。なお、第2樹脂体4A,4B,4Cの側部尖り部4A2,4B2,4C2は楔の役割をして、より強く母材3を変形させ、方向Nへの移動をしやすくしていると考えられる。
【0026】
また、上面5が方向Mから与えられた圧力を受け、その圧力が第2樹脂体4Aの周面4A1を押圧すると、第2樹脂体4A,4B,4Cの上部尖り部4A3,4B3,4C3と下部尖り部4A4,4B4,4C4は楔の役割をして、より強く母材3を変形させ方向Nへと移動させている。
【0027】
第2樹脂体4A,4B,4Cの存在により、(1)周面4A1,4B1,4C1を利用した斜板カム動作と同様の作用が働くため、(2)第2樹脂体4A,4B,4Cの上部尖り部4A3,4B3,4C3と下部尖り部4A4,4B4,4C4は楔の役割をするため、の2つの理由から、第2樹脂体4A,4B,4Cが存在しない場合よりも、図4および図5に示した区画2が受けた力は、その力の方向Mと交差する方向Nへと向かわせる。そのため、方向Mから与えられた圧力が、より大きく吸収される(クッション性が良好になる)こととなる。
【0028】
区画2(C,4)、2(D,4)、2(C,5)、2(D,5)の周辺の区画2(B,3)、2(C,3)、2(D,3)、2(E,3)、2(B,4)、2(E,4)、2(B,5)、2(E,5)、2(B,6)、2(C,6)、2(D,6)、2(E,6)についても、受ける力が大きく吸収される構造とする。すなわち、これらの周辺の区画の母材にはショア硬度が40の樹脂を用い、第2樹脂体4A,4B,4Cと同一の樹脂体を同様に配置する。それ以外の区画2の樹脂のショア硬度は80である。すなわち、最も足の裏への圧力が大きかった区画2(C,4)、2(D,4)、2(C,5)、2(D,5)を中心とし、その中心から離れるに従い、各区画の硬度が徐々に大きくなっている。
【0029】
(本発明の実施の形態に係るインソール1Bに特有の製造方法)
インソール1Bの製造の際には、まず人間の静止立位時、走行時または歩行時の足の裏への圧力分布を測定する。そして、測定された圧力分布のデータから、周囲に比べ大きい圧力を受けることとなる区画2(C,4)、2(D,4)、2(C,5)、2(D,5)を特定する。そして、特定された区画2(C,4)、2(D,4)、2(C,5)、2(D,5)を他の区画よりも硬度を低くするように決定する。そして、その決定に基づき、各区画2は三次元印刷機器によって一体成形される。これら一連の工程を経ることでインソール1Bが製造される。なおこの製造方法は、ミッドソール、アウターソールにも適用できる。
【0030】
(本発明の実施の形態によって得られる主な効果)
本発明の実施の形態に係るインソール1,1A,1Bおよびその製造方法は、多様な力付与体である足の裏が付与する力の適切な緩衝を可能とすることができる。たとえば、インソール1Aは、足の裏の一部にタコの痛みを感じる者のために、タコが当接し押圧する区画2(D,6)の硬度を低くし、タコを強く刺激しないようにしている。
【0031】
なお、インソール1Aの単なる緩衝材としての機能のみに着目すれば、単純にインソール1A全体を硬度の低い材質で構成すれば良い。しかしながら、足の裏にタコによる痛みを感じる者にとっては、単純に硬度の低いインソールでは、苦痛は若干和らぐ程度で十分ではない。その点インソール1Aは、足の裏の痛くない部分が当接し押圧する部分の硬度を高くし、その部分で体重を支えるようにし、タコが当接し押圧する部分では体重を支え難いようにして、力を適切に緩衝している。
【0032】
またインソール1Bは、運動選手の足の裏への圧力が大きい、区画2(C,4)、2(D,4)、2(C,5)、2(D,5)の硬度を小さくし、それ以外の部分の硬度を高くすることで、足の裏への圧力を極力均一にし、運動選手の足への負担を和らげている。また、上述のインソール1Bの製造方法によって、各区画2の圧力分布を考慮した好適なインソール1Bを製造することができる。
【0033】
また、運動選手の動きは俊敏であり、強い圧力がインソール1Bへと与えられることが多い。そのため、特に強い圧力が与えられる区画2(C,4)、2(D,4)、2(C,5)、2(D,5)を前述の図4に示す構造とすることで、その区画2が受けた圧力をより大きく吸収して足の裏の負担を極力均一にしている。
【0034】
さらに、運動選手の動きは、図5に示す方向Mから圧力を与えることがある。そのとき、第2樹脂体4A,4B,4Cと共に上面5も若干ながら方向Nへと移動する。するとインソール1Bは、運動選手の足の裏の方向Nへの動きに追従して足の裏を保護できる。このように、インソール1Bは、運動選手の足の裏への圧力を適切に緩衝している。ここで、第2樹脂体4A,4B,4Cの配置および/または母材3の各区画2の硬度等を工夫すれば、意図した方向へ足の重心移動を誘導させることも可能となる。
【0035】
またインソール1,1A,1Bは、三次元印刷機器を用いて成形するため、インソール1,1A,1Bの使用者の足の形状等の種々の事情に応じてオーダーメイドのように製造されることができる。またインソール1,1A,1Bは、三次元印刷機器を用いて成形するため、複数のインク(樹脂)のブレンドにより意図した成形品の箇所のみ樹脂の硬度を異ならせて一体成形することが容易となる。
【0036】
またインソール1Aは、タコの部分が当接し押圧する区画2(D,6)を中心とし、その中心から離れるに従い、各区画の硬度が徐々に大きくなっており、インソール1Bは、最も足の裏への圧力が大きかった区画2(C,4)、2(D,4)、2(C,5)、2(D,5)を中心とし、その中心から離れるに従い、各区画の硬度が徐々に大きくなっている。隣り合う区画の硬度が大きく違うと、その区画の境界が突起部のように感じられ、足の裏に局部的な圧力を感じさせることが懸念される。その点インソール1A,1Bはそのような圧力を感じさせ難くしている。
【0037】
(他の形態)
上述した本発明の実施の形態に係るインソール1,1A,1Bおよびその製造方法は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変形実施が可能である。
【0038】
たとえば、インソール1の各区画2のうち、区画(E,17)を他の区画2とは異なる硬度としている。このように本発明の実施の形態に係るインソール1,1A,1Bおよびその製造方法においては、特定の区画2の形状変化しやすさを実現するために硬度を異ならせている。しかし、特定の区画2を形状変化しやすくする手段は、特定の区画2を他の区画に比べて薄くする、中空の割合を大きくするなど、樹脂の構造を変更する手段を採用しても良い。このことは、母材3と第2樹脂体4A,4B,4Cの形状変化しやすさの違いについても同様である。
【0039】
また、インソール1,1A,1Bに適用した構成およびその製造方法は、インソールだけでなく、他の緩衝材にも適用できる。たとえば、寝たきり高齢者の床ずれ予防、または床ずれによって痛みを感じる部位を保護するためのためのマットに適用できる。すなわち、既に床ずれによって痛みを感じる部位、または床ずれをするおそれのある部位が当接し押圧するマット面上の区画に、硬度の低い樹脂を配置し、それ以外の区画には硬度の高い樹脂を配置する等する。
【0040】
またインソール1,1A,1Bに適用した構成およびその製造方法は、いわゆる足つぼマッサージ用のインソールに適用できる。すなわち、足の裏の足つぼが当接し押圧するインソール面上の区画に、硬度の高い樹脂を配置し、それ以外の区画には硬度の低い樹脂を配置する等する。この場合、足つぼ以外の足の裏の部分に対して緩衝作用を発揮することとなる。このような足つぼマッサージ用のインソールは、足つぼ位置を正確に刺激でき、且つ足つぼ以外の部位を刺激させないことができ、従来の健康サンダルにはない効果が期待できる。
【0041】
また足つぼマッサージ用のインソールと同様に、足の裏の固有受容器への刺激付与用のインソールとして、インソール1,1A,1Bに適用した構成およびその製造方法に関する技術を適用できる。さらに、足の裏の促通する部分への刺激付与用のインソールについて、同技術を適用できる。
【0042】
また、インソール1,1A,1Bに適用した構成およびその製造方法は、ミッドソールまたはアウターソール、さらには短下肢装具(AFO)に適用できる。そのミッドソールまたはアウターソールも、インソール1,1A,1Bと同様に多様な力付与体である足の裏が付与する力(押圧する力)の適切な緩衝を可能とすることができる。また、そのような(1)ミッドソールと(2)アウターソールと(3)インソール1,1A,1B(4)AFOがあるとした場合に、(1)(2)(3)および(4)のうちの2つ、3つまたは4つを併用した靴を製造・使用等しても良い。
【0043】
ここで、インソール1,1A,1Bはミッドソール、アウターソールならびにAFOに比較し、足と近い距離に存在する。そのため、インソール1,1A,1Bはその構成を工夫することにより、足を矯正する役割を担うことができ易い。
【0044】
また、インソール1Aに適用した構成およびその製造方法は、足の裏の一部にタコを有する者のためのインソールのためのものである。しかしインソール1Aは、他に、足の裏の一部に潰瘍を有する者、骨棘(かかとの骨がとがる)、足部および足趾の変形(外反母趾)、筋および腱の痛み(足底腱膜炎)を有する者等、種々の足の痛みを有する者のインソールに適用することができる。
【0045】
また、インソール1Bに特有の製造方法は、運動選手ではない者のためのインソールの製造方法にも用いることができる。
【0046】
またインソール1,1A,1Bで設定した各区画2の硬度(母材3を含む)は、あくまでも一例であるため、適宜変更設定できる。同様に第2樹脂体4A,4B,4Cの硬度も一例であるため、適宜変更設定できる。さらに、図1,2,3に示すように、区画2は横座標(AからH)と縦座標(1から21)で縦横に区切られるが、その区切り方、区切った数等は適宜変更できる。
【0047】
また、インソール1,1A,1Bは、三次元印刷機器を用いて樹脂成形されている。すなわち三次元印刷機器は、成形物を成形する際に紫外線硬化性樹脂を一層ずつ印刷してその都度紫外線を照射して樹脂を硬化させる操作を繰り返すことで樹脂層を形成し、徐々に成形物の形に成形していく。しかし、インソール1,1A,1Bは、紫外線硬化性樹脂以外の樹脂、たとえば熱硬化性樹脂を用い、紫外線を照射させずに加熱により硬化させる方法等で製造することができる。
【0048】
また、インソール1Bの製造の際には、人間の静止立位時、走行時または歩行時の足の裏への圧力分布を測定して周囲に比べ大きい圧力を受けることとなる区画2を特定している。しかし、測定するのは足の裏への圧力分布ではなく、床反力とし周囲に比べ大きい反力を受けることとなる区画2を特定してても良い。そして、特定された区画2を他の区画よりも硬度を低くするように決定しても良い。さらに、この区画2の特定に際して圧力と床反力の双方を考慮しても良い。
【0049】
ここで、インソール1Bの製造の際には、人間の静止立位時、走行時または歩行時の足の裏への圧力分布を測定して周囲に比べ大きい圧力を受けることとなる区画2を特定している。この「周囲に比べ大きい圧力を受ける区画2」は、区画2の中で最も大きい圧力を示す区画2に限られず、たとえば最も大きい圧力を示す区画2に隣接する、最も大きいとは言えないが周囲に比べると大きい(たとえば周囲に比べ最大2倍以上または3倍以上の圧力差がある等)と言える区画2を含む。また、複数の離れた箇所に「周囲に比べ大きい圧力を受ける区画2」がある場合には、その複数箇所の区画2のうちの1つまたは2以上が「周囲に比べ大きい圧力を受ける区画2」である。その複数箇所の区画2のうちの1つまたは2以上を選択する際には、選択の基準はその区画2の示す圧力値に限らない。
【0050】
また第2樹脂体4A,4B,4Cの数は変更できる。たとえばその数を3つではなく一つまたは2つまたは4つ以上とすることができる。もちろん第2樹脂体4A,4B,4Cを用いないこととしてもよい。さらには、第2樹脂体4A,4B,4Cをインソール1Aに用いることもできる。
【0051】
また、第2樹脂体4A,4B,4Cの側部尖り部4A2,4B2,4C2、上部尖り部4A3,4B3,4C3および下部尖り部4A4,4B4,4C4は、断面形状が尖った形状をしているが、丸みを帯びた形状、先端が平面となる形状等とすることができる。上部尖り部4A3,4B3,4C3および下部尖り部4A4,4B4,4C4に、この先端が平面となる形状を施すと、その形状は円錐台形状となる。
【0052】
図6は、第2樹脂体4A,4B,4Cの変形例を示す図である。第2樹脂体4A,4B,4Cの形状は、ソロバンの珠形状としているが、これに限定されない。たとえば、図4および図5の下側に底面、上側に頂点が位置する円錐形状物4D(図4および図5のソロバンの珠の上下方向で半分から下側を省略した形状、図6(A))とすることができる。さらに方向Pに向かって楔を打ち込む形状物4E(図6(B))とすることができる。これらの代替形状は、いずれも区画2が受けた力を、その力の方向と交差する方向へと向かわせる。そのため、与えられた圧力が吸収される(クッション性が良好になる)こととなる。
【0053】
ここで、円錐形状物4Dと楔を打ち込む形状物4Eは、各区画2に1つずつ設けられているが、第2樹脂体4A,4B,4Cのように、各区画2に複数個を図6における縦方向に所定距離離して重ねて配置することが好ましい。そのような配置とすることで、縦方向の隙間の母材3がより強く変形させられ、図6における横方向へと移動させる量が増えると思われる。
【0054】
また第2樹脂体4A,4B,4Cの形状は、図5に示す方向Pに伸縮可能なコイルばね4F(図6(C))または板ばね4G(図6(D))等に変更することができる。これらのばねは、いずれも特定の区画2に弾性体を付加することとなり、特定の区画2の受ける力に対する反発力を大きくする形状である。このように、第2樹脂体4A,4B,4Cの形状を変えることで、特定の区画2の特性を変えることができる。
【0055】
なお、母材3をゴム等のゴム弾性を有する材料からなるもの等とすれば、第2樹脂体4A,4B,4Cを有するインソール1Bであっても受けた力に対する反発力を大きくすることができると考えられる。その理由を説明すると、第2樹脂体4A,4B,4Cは、方向Mから与えられた圧力によって母材3の弾性変形量を大きくする。すると、方向Mから与えられた圧力が解かれたときに、弾性力が強い母材3の弾性変形からの回復の力を大きく得ることができ、区画2(C,4)、2(D,4)、2(C,5)、2(D,5)の受ける力に対する反発力が大きくなるためである。もちろん、図6(C),(D)の母材3および母材3のみからなる区画2の母材3を、ゴム等のゴム弾性を有する材料からなるもの等とすれば、区画2の受ける力に対する反発力が大きくなると考えられる。
【0056】
このように、受ける力に対する反発力が大きくすることができれば、インソール1Bは、運動選手のジャンプ力を大きくする等、運動能力向上のためのものとなり得る。なお、インソール1Bは、足の裏の一部に痛みを感じる者のためにインソール1Aに代えて使用することができる。
【0057】
また、第2樹脂体4A,4B,4C、円錐形状物4D、楔を打ち込む形状物4E、コイルばね4F、板ばね4Gは、樹脂製だが、樹脂製でない立体形状物、たとえば金属製のコイルばねまたは板ばね(図5に示す方向Pに伸縮可能)を使用しても良い。金属製のコイルばねまたは板ばねを用いることで、設計の段階である程度のバネ特性を計算できる可能性がある。
【0058】
さらに、特定の区画2のクッション性を良好にする際に、第2樹脂体4A,4B,4Cは必須ではない。特定の区画2のクッション性を良好にするためには、たとえば、特定の区画2を中空にする等の構成も採用できる。
【0059】
また、インソール1,1A,1Bの設計にあたり、トポロジー最適化(位相最適化)を採用しても良い。トポロジー最適化とは、たとえば、ある条件(特定の区画2の形状変化しやすさを特定の値にする)の下で不要な材料を削り、最適な設計を導くことである。本発明の実施の形態のように、インソール1,1A,1Bの製造に三次元印刷機器を用いる場合には、特にその採用が好ましい。トポロジー最適化では不要な材料を削るため、インソール1,1A,1Bの軽量化、低コスト化が実現できる。さらにはトポロジー最適化により第2樹脂体4A,4B,4Cの代替形状を生み出すことができる。
【0060】
さらに、インソール1Aは、タコの部分が当接し押圧する区画2(D,6)を中心とし、その中心から離れるに従い、各区画2の硬度を徐々に(4段階に)大きくしており、インソール1Bは、周囲に比べ足の裏への圧力が大きかった区画2(C,4)、2(D,4)、2(C,5)、2(D,5)を中心とし、その中心から離れるに従い、各区画2の硬度を徐々に(3段階に)大きくしている。しかし、このような特定の区画2を中心にし、その中心から離れるに従い各区画2の硬度を大きくする構成は必須ではない。また、このような構成を採用する場合であっても、特定の区画2を中心にし、その中心から離れるに従い各区画2の硬度を何段階で大きくするかは、適宜変更できる。
【0061】
なお、特定の区画2を中心にし、その中心から離れる過程で各区画2の硬度が小さくなる部分が存在しても、特定の区画2を中心にし、その中心から離れるに従い各区画2の硬度が概ね大きくなっていれば、「特定の区画2を中心にし、その中心から離れるに従い各区画2の硬度が大きくなっている」とみなすことができるものとする。
【0062】
また 本発明の実施の形態に係るインソール1Bの製造は、自動化させた製造方法によることもできる。図7は、本発明の実施の形態に係るインソール1Bの製造方法に用いる装置のブロックダイアグラムである。
【0063】
図7に示すように、人間の静止立位時、走行時または歩行時の足の裏への圧力分布を測定する装置11を用意する。この装置11は、図1から図3に示した各区画2に相当する足の裏の各部分ついての圧力分布を測定するものである。
【0064】
測定された圧力分布のデータは、情報処理装置12(コンピュータ)へ送信される。図8は、区画2の個々の圧力データの一例を示す図である。この圧力データは、人間の静止立位時、走行時または歩行時の足の裏へ与えられる圧力の経時変化のデータである。図8では、一つの区画2の圧力データを示しているが、情報処理装置12には、全ての区画2の圧力の経時変化のデータ(圧力分布のデータ)が送信されている。また、図8は、静止立位時、走行時または歩行時の1つのステップのみの圧力の経時変化を示しているが、実際に情報処理装置12へ送信されるデータは、多数回のステップの際の圧力の経時変化のデータである。
【0065】
情報処理装置12は、図8に示す圧力の最大値P1を全ての区画2について比較し、周囲に比べ大きい圧力の最大値P1を示した区画2を特定する。そして、特定された区画2の硬度を最も低くし、且つ特定された区画2と隣接する周辺の区画2の硬度を2番目に低くし、その他の区画2の硬度を最も高くする。特定された区画2の硬度は、圧力の最大値P1の値が大きければ低くし、圧力の最大値P1の値がそれほど大きくなければそれほど低くしない等の調整を加える。周辺の区画2の硬度についても同様の調整を行う。
【0066】
また、第2樹脂体4A,4B,4Cを特定した区画2へ配置するかどうかは、図8に示す圧力受け時間T1によって情報処理装置12によって決定する。すなわち、圧力受け時間T1が非常に短ければ、良好なクッション性が必要と判断し、第2樹脂体4A,4B,4Cを配置するよう情報処理装置12によって決定する。また、全ての区画2の圧力分布のデータから、足の重心移動が起こっていると判断できるときは、第2樹脂体4A,4B,4Cの配置および/または母材3の各区画2の硬度を適切にし、意図した方向へ足の重心移動を誘導するよう情報処理装置12によって決定する。
【0067】
情報処理装置12は、全ての区画2の樹脂の硬度と第2樹脂体4A,4B,4Cの配置についてのデータを三次元印刷機器13に命令する。すると三次元印刷機器13は、情報処理装置12からの命令に従い、使用するインクの選択をして印刷成形し、インソール1Bを製造する。
【0068】
ここで、情報処理装置12は周囲に比べ大きい圧力最大値P1を示した区画2を特定している。この「周囲に比べ大きい圧力を示す区画2」は、区画2の中で最も大きい圧力を示す区画2に限られず、たとえば最も大きい圧力を示す区画2に隣接する、最も大きいとは言えないが周囲に比べると大きい(たとえば周囲に比べ最大2倍以上または3倍以上の圧力差がある等)と言える区画2を含む。また、複数の離れた箇所に「周囲に比べ大きい圧力を示す区画2」がある場合には、その複数箇所の区画2のうちの1つまたは2以上が「周囲に比べ大きい圧力を示す区画2」である。その複数箇所の区画2のうちの1つまたは2以上を選択する際には、選択の基準はその区画2の示す圧力値に限らない。
【0069】
またここで、(1)足の裏への圧力分布を測定する装置11は、(2)足の裏の床反力の測定をする装置、(3)三次元動作解析装置、の(1)、(2)および(3)の少なくとも1つとしても良い。そして、それぞれの測定結果および/または解析結果を情報処理装置12へ送信し、情報処理装置12はその測定結果および/または解析結果に基づいて上記と同様の判断、決定、調整を行うこととしても良い。これによってたとえば、圧力以外の負荷(ねじれ等)を受ける区画2の硬度等を調整したりすることができる。
【0070】
なお、床反力測定装置は、平坦なプレート(床反力計)上で歩行や種々の動作を行うことにより、動作中に、重力の反作用として床から受ける力を、三次元的に計測する装置である。それらの情報から、重心の動きまたは、筋肉の活動状態を推測することが可能となる。床反力測定装置は、微細な重心の動きまたは関節への負荷量の把握など、より詳細な評価を行うことが可能となる。
【0071】
また、三次元動作解析装置は、身体の数箇所から数十箇所に貼り付けた小さなマーカーをたとえば8台のカメラで追うことで、歩行または種々の動作の詳細な分析を行うものである。三次元動作解析装置は、身体各部の細かな動きまたは重心移動を三次元的に捉え、動作をあらゆる角度から再現、観察することが可能である。さらに、三次元動作解析装置は、姿勢や動作(フォーム)の評価、治療や補助具の効果判定のほか、スポーツなどの速い運動も捉える事が可能である。また、三次元動作解析装置は床反力を元に各関節にかかる負荷を計測することができる。
【符号の説明】
【0072】
1,1A,1B インソール
2 区画
3 母材(第1樹脂体)
4A,4B,4C 第2樹脂体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8