(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20120101AFI20220518BHJP
【FI】
G06Q40/02 300
(21)【出願番号】P 2018242590
(22)【出願日】2018-12-26
(62)【分割の表示】P 2018057481の分割
【原出願日】2018-03-26
【審査請求日】2021-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】518103662
【氏名又は名称】株式会社スマイルワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】坂本 恒之
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-70040(JP,A)
【文献】特開2003-233765(JP,A)
【文献】特開2017-16473(JP,A)
【文献】特開2003-44771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 40/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある製品又は商品に関する注文者からの発注情報、受注者からの受注情報又は成約情報を含む第一特定取引情報と、前記ある製品又は商品の原材料又は仕入商品に関する第二特定取引情報と、を取得する取得部と、
第三者からの第一入金に関する第一入金情報を受け付け、前記ある製品又は商品の原材料又は仕入商品に関する検収情報が入力されることを条件として、前記第一入金による前記ある製品又は商品の原材料又は仕入商品に対する支払いを許可する制御部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
注文者からのある製品又は商品に対する第二入金に関する第二入金情報を受け付ける入金受付部を備え、
制御部は、前記第二入金による金銭を前記第一入金に対する支払いに充てることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
制御部は、前記第二入金による金銭を前記第一入金に対する支払いに充て、その残額を前記第一特定取引情報の受注者の口座に入金することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
利用者からの招待情報を送信する送信部を備え、
未利用者からの前記招待情報に基づく承認情報を受け付けると、制御部が前記未利用者の使用を許可することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
取得部は、請求書に対する支払いである第三入金に関する第三入金情報を取得し、
制御部は、前記請求書における金額と前記第三入金情報における金額とが合致すると判断した場合に、前記請求書に対する支払いが完了済みであると判断することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
取得部によって、ある製品又は商品に関する注文者からの発注情報、受注者からの受注情報又は成約情報を含む第一特定取引情報を取得する工程と、
取得部によって、前記ある製品又は商品の原材料又は仕入商品に関する第二特定取引情報を取得する工程と、
入金受付部によって、第三者からの第一入金に関する第一入金情報を受け付ける工程と、
制御部によって、前記ある製品又は商品の原材料又は仕入商品に関する検収情報が入力されることを条件として、前記第一入金による前記ある製品又は商品の原材料又は仕入商品に対する支払いを許可する工程と、
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
情報処理装置にインストールされるプログラムであって、
前記情報処理装置が、
ある製品又は商品に関する注文者からの発注情報、受注者からの受注情報又は成約情報を含む第一特定取引情報と、前記ある製品又は商品の原材料又は仕入商品に関する第二特定取引情報と、を取得する取得機能と、
第三者からの第一入金に関する第一入金情報を受け付け、前記ある製品又は商品の原材料又は仕入商品に関する検収情報が入力されることを条件として、前記第一入金による前記ある製品又は商品の原材料又は仕入商品に対する支払いを許可する制御機能と、
を実現することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から金融機関等が対象企業に金銭の貸し付けを行うことが行われている。金銭を貸し付ける際には、対象企業の実績、決算書類等を根拠に金銭の貸し付けを行っている。一例として、特許文献1では、貸借対照表、損益計算書、販売費・一般管理費明細及び製造原価明細を含む企業の複数期の財務諸表を分析して該企業の信用格付を行う信用格付装置が提案されている。
【0003】
しかしながら、これらは過去の情報に基づくものであった。例えば大口の注文が入った場合には、当該大口の注文を受注し納品するには、材料費等の必要経費が発生する。他方、大口の注文は将来的な情報であることから、金銭の貸し付けを受けられず、当該大口の注文を受注するだけの資金を得ることができず、当該大口の注文を受けられないこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、将来的に入金される予定の金銭を根拠として金融機関等の第三者が貸付を行ったりすることができる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による情報処理装置は、
注文者からの発注情報、受注者からの受注情報又は成約情報を含む特定取引情報を取得する取得部と、
第三者からの第一入金に関する第一入金情報を受け付ける入金受付部と、
前記第一入金情報と前記特定取引情報とを関連付け、前記第一入金に基づく金銭を前記特定取引情報に関連した支払いに対して使用可能とする制御部と、
を備えてもよい。
【0007】
本発明による情報処理装置において、
前記入金受付部は前記注文者からの前記特定取引情報に対する第二入金に関する第二入金情報を受け付け、
前記制御部は、前記第二入金による金銭を前記第一入金に対する支払いに充ててもよい。
【0008】
本発明による情報処理装置において、
前記制御部は、前記第二入金による金銭を前記第一入金に対する支払いに充て、その残額を前記特定取引情報の受注者の口座に入金してもよい。
【0009】
本発明による情報処理装置において、
前記制御部は、前記第一入金に基づく金銭を、前記特定取引情報に関連した支払いに対
してのみ使用可能としてもよい。
【0010】
本発明による情報処理装置において、
前記特定取引情報は前記成約情報を含んでもよい。
【0011】
本発明による情報処理装置において、
前記制御部は、前記特定取引情報における商品の原材料又は仕入商品に関連した支払いのみに対して、前記第一入金における金銭の使用を許可してもよい。
【0012】
本発明による情報処理装置において、
前記制御部は、前記第一入金の金額、手数料又は金利を、前記特定取引情報における金額を用いて決定してもよい。
【0013】
本発明による情報処理装置において、
前記制御部は、前記第一入金の金額、手数料又は金利を、注文者及び受注者の信用情報を用いて決定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【0014】
本発明による情報処理装置において、
前記記憶部は、ユーザにおける取引実績情報を記憶し、
前記制御部は、前記取引実績情報を用いて、前記第一入金の金額、手数料又は金利を決定してもよい。
【0015】
本発明による情報処理装置は、
利用者からの招待情報を送信する送信部と、
未利用者からの前記招待情報に基づく承認情報を受信する受信部と、をさらに備え、
前記制御部が前記承認情報を受信することで、前記未利用者の使用が許可されてもよい。
【0016】
本発明による情報処理装置において、
前記取得部は、請求書に関する請求書情報と、前記請求書に対する支払いである第三入金に関する第三入金情報とを取得し、
前記制御部は、前記請求書情報における金額と前記第三入金情報における金額とが合致すると判断した場合に、前記請求書に対する支払いが完了済みであると判断してもよい。
【0017】
本発明による情報処理方法は、
取得部において、注文者からの発注情報、受注者からの受注情報又は成約情報を含む特定取引情報を取得する工程と、
入金受付部において、第三者からの第一入金に関する第一入金情報を受け付ける工程と、
前記第一入金情報と前記特定取引情報とを関連付け、前記第一入金に基づく金銭を前記特定取引情報に関連した支払いに対して使用可能とする工程と、
を備えてもよい。
【0018】
本発明によるプログラムは、
情報処理装置に情報処理方法を実行させるプログラムであって、
前記情報処理方法が、
取得部において、注文者からの発注情報、受注者からの受注情報又は成約情報を含む特定取引情報を取得する工程と、
入金受付部において、第三者からの第一入金に関する第一入金情報を受け付ける工程と
、
前記第一入金情報と前記特定取引情報とを関連付け、前記第一入金に基づく金銭を前記特定取引情報に関連した支払いに対して使用可能とする工程と、
を含んでもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明において、注文者からの発注情報、受注者からの受注情報又は成約情報を含む特定取引情報を取得し、第一入金情報と特定取引情報とを関連付け、第一入金に基づく金銭を特定取引情報に関連した支払いに対して使用可能とする態様を採用した場合には、金融機関等の第三者が特定取引情報を根拠として金銭の貸し付けを行うことができる。このため、将来的に入金される予定の金銭を根拠として、金融機関等の第三者が貸付を行ったりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態による情報処理装置のブロック図。
【
図2】本発明の実施の形態による情報処理態様を説明するための図。
【
図3】本発明の実施の形態による情報処理態様を説明するための別の図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施の形態
《構成》
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の説明において「又は」は「及び」の意味も含んでおり、「A又はB」とは、A、B並びにA及びBのいずれかを意味している。
【0022】
本実施の形態の情報処理装置は、例えばサーバプログラム等のプログラムをインストールすることで生成される。このプログラムは電子メールで配信されてもよいし、所定のURLにアクセスしたうえでログインすることで入手できてもよいし、記録媒体に記録されてもよい。本実施の形態の情報処理方法は上記プログラムがインストールされた情報処理装置によって実施される。
【0023】
本実施の形態の情報処理装置は一台の装置から構成されてもよいが、複数の装置から構成されてもよい。情報処理装置が複数の装置から構成される場合には、情報処理装置を構成する装置は異なる部屋又は異なる場所に設置されてもよく、情報処理装置の一部と情報処理装置の残部が遠隔地に配置されてもよい。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態の情報処理装置は、注文者からの発注情報、受注者からの受注情報又は成約情報を含む特定取引情報を取得する取得部10と、第三者からの第一入金に関する第一入金情報を受け付ける入金受付部20と、第一入金情報と特定取引情報とを関連付け、第一入金に基づく金銭を特定取引情報に関連した支払いに対して使用可能とする制御部50と、を有してもよい。このような情報処理装置によって決済基盤が構成されてもよい。
【0025】
情報処理装置は、様々な情報を利用者等に送信する送信部30と、様々な情報を利用者等から受信する受信部35とを有してもよい。第一利用者(例えば
図2に示す発注企業A)から第二利用者(例えば
図2に示す受注企業B)に対する情報の送信は、第一利用者が決済基盤に情報を入力し、入力が完了すると、当該情報が記憶部60に記憶され、かつ入力された旨が送信部30から第二利用者に対して行われてもよい。同様に、第二利用者から第一利用者に対する情報の送信は、第二利用者が決済基盤に情報を入力し、入力が完了すると、当該情報が記憶部60に記憶され、かつ入力された旨が送信部30から第一利用
者に対して行われてもよい。利用者とは、発注者、仕入者、受注者等であり、本実施の形態の情報処理装置を利用する者である。
【0026】
受信部35がある利用者から受信して送信部30が別の利用者に送信する情報としては、例えば、見積情報、発注情報、受注情報、納品依頼情報、納品情報、検収情報、請求情報、支払情報等の様々な情報を挙げることができる。利用者間の情報の送受信はクラウドを介して行われてもよい。
【0027】
制御部50は、各利用者における商取引の明細データからの自動会計仕訳を行うようにしてもよく、例えば、請求情報、入金情報、仕入情報、支払情報等を用いて、売上、仕入、入金、支払等を自動で仕訳するようにしてもよい(
図3参照)。
【0028】
記憶部60は、部材の入出荷情報、在庫情報等の部材管理情報を記憶してもよい。制御部50は、部材が入荷されたり出荷されたりすると、部材管理情報を更新してもよい。
【0029】
図3に示すように、記憶部60は、取引実績に関する情報、給与、賞与、年末調整等に関する情報(
図3では「給与等」と示している。)、経費精算、外注精算等に関する情報(
図3では「経費・外注」として示している。)、例えばXBRL形式からなる会計データ(
図3では「会計データ」として示している。)を記憶してもよい。制御部50は、自動で会計仕訳を行ってもよい(
図3では「自動仕分」として示している。)。なお、会計データ等の各種データは金融機関等の第三者が利用するためのモニタリング情報として記憶部60で記憶されてもよい。また、制御部50は、支払実績、検収実績等の取引実績に関する情報に基づいて取引実行力を評価してもよい。なお、取引実績としては、受注、発注、売上、仕入、売掛、買掛、入金、支払等の各種の実績情報が含まれてもよい。なお
図2では、人工知能機能を有する制御部50が示されており、この制御部50で、見積から決済に至るまでの各種の情報を含む取引実績情報を用いて、与信を行うことが模式的に示されている。
【0030】
各利用者からの求めに応じ、制御部50は、買掛金、経費、給与、賞与等の支払を実行したり支払いを予約したりできるようになってもよい。このように資金移動予約が行われた場合には、金融機関等の第三者が準備したウェブサイトへログイン画面を介してログインすることなく、支払を行う口座へ入金又は予約に応じた入金の処理が行われてもよい。
【0031】
記憶部60は、各利用者における、見積情報、発注情報、受注情報、納品依頼情報、納品情報、検収情報、請求情報、支払情報等の様々な情報を取引実績情報として記憶してもよい。制御部50は、これらの情報を用いて利用者における取引実行力を評価するようにしてもよい。一例としては、発注者である第一利用者における支払実績、受注者である第二利用者における検収実績等を用いて、第一利用者及び第二利用者における取引実行力を評価してもよい。そして、取引実行力を用いて第一入金の金額、手数料又は金利を決定するようにしてもよい。このような取引実行力を評価する態様を採用した場合には、取引全体を見て与信を行うことができ、より高い精度で信用力を評価できる。
【0032】
決済基盤である情報処理装置を用いた一連の商取引は記憶部60で記憶されてもよい。そして、制御部50が、検収率や再納品検収率等の検収実績、期日内納品実績等の納期遵守率、売掛金回収実績等の商取引における役務実行実績を評価モデルで指標化し、取引信用モデルで取引実行力を評価してもよい。
【0033】
制御部50は人工知能機能(AI機能)を有してもよい。この場合には、過去の実績に基づいて採用変数や採用係数が決定された取引信用モデルに、制御部50が対象となる取引に関する情報を当て込むことで取引実行力を評価してもよい。
【0034】
入金受付部20は注文者からの特定取引情報に対する第二入金に関する第二入金情報を受け付けてもよい(
図2参照)。制御部50は、第二入金による金銭を第一入金に対する支払いに充てるようにしてもよい。
【0035】
制御部50は、第二入金による金銭を第一入金に対する支払いに充て、その残額を特定取引情報における受注者の口座に入金するようにしてもよい。
【0036】
制御部50は、第一入金に基づく金銭を、特定取引情報に関連した支払いに対してのみ使用可能としてもよい。一例としては、制御部50は、特定取引情報における商品の原材料又は仕入商品に関連した支払いのみに対して、第一入金における金銭の使用を許可してもよい。「特定取引情報に関連した支払い」であるかどうかは、第一入金を用いてデポジットを行う際に、デポジットを依頼する利用者が金融機関等の第三者に対して決済基盤を介して審査を申し込むようにしてもよい。第三者の担当者が審査を行い、当該審査を通過した場合に「特定取引情報に関連した支払い」と認定されるようにしてもよい。
【0037】
取得部10は、発注情報に対する受注情報を取得してもよい。制御部50は、第一入金情報と発注情報及び受注情報とを関連付け、第一入金に基づく金銭を発注情報及び受注情報に関連した支払いに対して使用可能としてもよい。
【0038】
制御部50は、第一入金の金額、手数料又は金利を、特定取引情報における金額を用いて決定してもよい。また、制御部50は、第一入金の金額、手数料又は金利を、注文者及び受注者の信用情報を用いて決定してもよい。
【0039】
本実施の形態による一例を以下で説明する。以下では、一例として、本実施の形態の情報処理装置によって本実施の形態の決済基盤が構成される態様を
図2を用いて説明する。
【0040】
発注企業Aからの求めに応じて受注企業Bが見積書を本実施の形態による決済基盤(情報処理装置)を介して発注企業Aに対して送信する(
図2のS1参照)。この際、受注企業Bから発注企業Aに対して決済基盤を介して決済条件が提示してもよい。決済基盤による送信は送信部30によって行われ、決済基盤による受信は受信部35によって行われてもよい。
【0041】
見積書を確認した発注企業Aが発注書を受注企業Bに対して決済基盤を介して送信する(
図2のS2参照)。
【0042】
発注書を受信した受注企業Bが注文請書を発注企業Aに対して決済基盤を介して送信する(
図2のS3参照)。
【0043】
注文請書を受信した発注企業Aが受注企業Bに対して決済基盤を介して納品を依頼する(
図2のS4参照)。この納品依頼によって契約が成約したとみなされる。
【0044】
このような成約を根拠として、金融機関等の第三者が受注企業Bに対して金銭の貸し付けを行い、例えば受注企業Bの口座に対して入金(第一入金)を行う(
図2のS5参照)。このような第一入金が行われると、その内容が受注企業Bに対して決済基盤を介して通知されてもよい。
【0045】
発注企業Aから引き合いのあった受注企業Bは、仕入企業Cに対して見積書を依頼する。この見積書の依頼も決済基盤を介して送信されてもよい。
【0046】
受注企業Bからの求めに応じて仕入企業Cが見積書を受注企業Bに対して決済基盤を介して送信する(
図2のS11参照)。この際、仕入企業Cから受注企業Bに対して決済基盤を介して決済条件が提示してもよい。
【0047】
見積書を確認した受注企業Bが発注書を仕入企業Cに対して決済基盤を介して送信する(
図2のS12参照)。
【0048】
発注書を受信した仕入企業Cが注文請書を受注企業Bに対して決済基盤を介して送信する(
図2のS13参照)。
【0049】
注文請書を受信した受注企業Bが仕入企業Cに対して決済基盤を介して納品を依頼する(
図2のS14参照)。この納品依頼によって契約が成約したとみなされる。
【0050】
このような成約を根拠として、金融機関等の第三者が受注企業Bに対して行った第一入金の一部又は全部が、仕入企業Cに対する支払いのためのデポジットとして決済基盤において管理される(
図2のS15参照)。このようなデポジットが行われると、その内容が仕入企業Cに対して決済基盤を介して通知されてもよい。なお、
図2における四角(□)は、決済基盤に貸付金がデポジットされたことを示している。
図2では、上側の四角と下側の四角を別々に記載しているが、決済基盤上は同じデポジットとして管理されている。但し、このような態様に限られることはなく、第一入金として入金されたデポジットが別のデポジットとして移動してもよく、また複数のデポジットに分割されて取引のための支払いに利用されてもよい。
【0051】
注文された製品等を製造したら、仕入企業Cが製品等とともに納品書を受注企業Bに対して決済基盤を介して送信する(
図2のS21参照)。この際、仕入企業Cにおいて受注企業Bに対する売上が計上されることになり、受注企業Bにおいて仕入企業Cからの仕入が計上されることになる。
【0052】
受注企業Bが検収書情報を仕入企業Cに対して決済基盤を介して送信する(
図2のS22参照)。このように検収書情報が送られると、デポジットされていた貸付金での支払いが許可されることになる。このような態様を採用した場合には、検収が済んで回収可能性の高い段階に至って貸付金の利用が許可されることから、金融機関等の第三者からすると高い回収率を見込むことができる。また、実際に第二入金が行われる前に貸付金の利用が許可されることから、仕入企業Cとしては、より早い段階で金銭を受け取ることができる。なお、
図2のS22及びS32の丸(〇)は検収書情報が決済基盤を介して送信されたことを示している。
【0053】
検収書情報を受信した仕入企業Cが請求書を受注企業Bに対して決済基盤を介して送信する(
図2のS23参照)。この請求書における請求に対して、デポジットされていた第一入金の一部又は全部が用いられて、決済が行われる(
図2のS24参照)。仕入企業Cから受注企業Bに対する請求において、デポジットされた金額で不足がある場合には、受注企業Bが仕入企業Cに対して、その不足分を支払う。決済が行われると、その内容が決済基盤から受注企業Bに対して通知されてもよい。なお、デポジットとして入金された金額の全額が利用されない場合には、残額は決済基盤上に残ることとなる。この残額に関しては、決済が行われた後であれば、受注企業Bは自由に引き出すことができてもよい。またデポジットされた金額は複数の取引に対して利用されてもよく、例えば第一仕入に対する支払いと、第二仕入に対する支払いに充てられてもよい。複数の取引に対して利用される場合には、支払金額に応じて割り振られてもよいし、例えば受注企業Bが優先順位を付けて支払われる取引の順番を決定してもよい。
【0054】
注文された製品等を製造したら、受注企業Bが製品等とともに納品書を発注企業Aに対して決済基盤を介して送信する(
図2のS31参照)。この際、受注企業Bにおいて発注企業Aに対する売上が計上されることになり、発注企業Aにおいて受注企業Bからの仕入が計上されることになる。
【0055】
発注企業Aが検収書情報を受注企業Bに対して決済基盤を介して送信する(
図2のS32参照)。
【0056】
検収書情報を受信した受注企業Bが請求書を発注企業Aに対して決済基盤を介して送信する(
図2のS33参照)。この請求書における請求に対して、発注企業Aが受注企業Bに対して支払いを行って、決済が行われる(
図2のS34参照)。発注企業Aから受注企業Bに対して支払われる入金(第二入金)の一部(場合によっては全部)が、受注企業Bに対して貸し付けを行った金融機関等の第三者に支払われる(
図2のS41参照)。第二入金のうち、金融機関等の第三者に支払われた残額が受注企業Bの口座に振り込まれる(
図2のS42参照)。決済が行われると、その内容が決済基盤から受注企業Bに対して通知されてもよい。
【0057】
入金は金融機関における送金システム90を介して行われてもよい。
図2に示す態様では、第一入金によるデポジット(
図2のS5参照)及び第二入金による金融機関及び受注企業Bに対する支払い(
図2のS41及びS42参照)が送金システム90を介して行わ
れている。
【0058】
《効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による効果であって、未だ説明していないものを中心に説明する。なお、「効果」で述べるあらゆる構成は、本実施の形態の構成として利用することができる。
【0059】
本実施の形態において、注文者からの発注情報、受注者からの受注情報又は成約情報を含む特定取引情報を取得し、第一入金情報と特定取引情報とを関連付け、第一入金に基づく金銭を特定取引情報に関連した支払いに対して使用可能とする態様を採用した場合には、金融機関等の第三者が特定取引情報を根拠として金銭の貸し付けを行うことができる。このため、利用者としては発注に基づく納品を行うのに際して必要な費用に関する融資を受けやすくなり、発注時点でキャッシュを有していないことや融資を受けられないことによるビジネスチャンスの喪失を防止できる。他方、金融機関としては、特定取引情報に基づく信用性の高い有益な融資の機会を得やすくなる。また、金融機関等の第三者からすると実質的には発注企業からの入金(第二入金)を見込んで金銭を貸し付けることから、発注者である発注企業の支払い余力を見ればよく、発注企業が例えば大企業であれば、高い信用のもとで受注者である受注企業に対して貸し付けを行うことができる。
【0060】
入金受付部20が注文者からの特定取引情報に対する第二入金に関する第二入金情報を受け付け、制御部50が第二入金による金銭を第一入金に対する支払いに充てる態様を採用した場合には、金融機関等の第三者は融資した金銭(第一入金)に対する回収をより確実に行うことができる。このため、金融機関等の第三者は融資しやすくなる。
【0061】
制御部50が第二入金による金銭を第一入金に対する支払いに充て、その残額を特定取引情報の受注者の口座に入金する態様を採用した場合には、自動的に、第二入金による金銭を第一入金に対する支払いに充てることができ、金融機関等の第三者は融資した金銭(第一入金)に対する回収をより確実に行うことができ、より融資しやすくなる。
【0062】
制御部50が、第一入金に基づく金銭を、特定取引情報に関連した支払いに対してのみ
使用可能とする態様を採用した場合には、金融機関等の第三者が融資した目的とは異なる目的で金銭が使用されることを防止でき、第二入金が行われる可能性をより確実にし、金融機関等の第三者による資金回収をより確実にすることができる。
【0063】
取得部10が成約情報を取得し、制御部50が第一入金情報と成約情報とを関連付け、第一入金に基づく金銭を成約情報に関連した支払いに対して使用可能とする態様を採用した場合には、契約が成約し、金銭の支払われる確実性の高い成約情報を根拠として金融機関等の第三者は融資を決定することができる点で有益である。
【0064】
制御部50は、特定取引情報における商品の原材料又は仕入商品に関連した支払いのみに対して、第一入金における金銭の使用を許可する態様を採用した場合には、第一入金の用途を商品の原材料又は仕入商品に関連した支払いに限定することができる。商品の原材料又は仕入商品に関連した支払いには、多額の費用が必要になることがある。特に大型の受注になると、原材料又は仕入商品に関連した支払いに必要な費用も多額になることがある。原材料又は仕入商品を必要とする受注を受けた場合であっても、本態様を採用することで、発注時点でキャッシュを有していないことや融資を受けられないことによるビジネスチャンスの喪失を防止できる。他方、金融機関としては、用途を原材料又は仕入商品に関連した支払いに限定することができる点で有益である。
【0065】
制御部50が第一入金の金額、手数料又は金利を特定取引情報における金額を用いて決定する態様を採用した場合には、見込まれる入金(第二入金)の金額に応じて第一入金の金額、手数料又は金利を決定することができる。第一入金の金額、手数料又は金利は特定取引情報における金額から自動的に算出され、第三者に提示されてもよい。当該金額、手数料又は金利でよければ第三者である金融機関の担当者等が当該金額、手数料又は金利での融資を承認すればよい。他方、算出された金額、手数料又は金利に関して変更が必要なようであれば、当該金額、手数料又は金利を変更したければ変更できるようにしてもよい。
【0066】
制御部50が第一入金の金額、手数料又は金利を注文者及び受注者の信用情報を用いて決定する態様を採用した場合には、注文者及び受注者の信用情報に基づいて第一入金の金額、手数料又は金利を決定することができる。第一入金の金額、手数料又は金利は注文者及び受注者の信用情報から自動的に算出され、第三者に提示されてもよい。当該金額、手数料又は金利でよければ第三者は当該金額、手数料又は金利での融資を承認し、当該金額、手数料又は金利を変更したければ変更できるようにしてもよい。
【0067】
制御部50が人工知能機能(AI機能)を有し、制御部50が特定取引情報における金額と注文者及び/又は受注者の信用情報とから第一入金の金額、手数料又は金利を決定してもよい。このような態様を採用した場合には、過去の実績に基づいて適切な融資金額、手数料又は金利を金融機関等の第三者の担当者は把握でき、適切な融資金額、手数料又は金利をより容易に決定することができる。
【0068】
記憶部60がユーザにおける取引実績情報を記憶し、制御部50が、取引実績情報を用いて、第一入金の金額、手数料又は金利を決定する態様を採用した場合には、過去の取引実績情報も加味して与信を行うことができ、より高い精度で信用力を評価できる。前述したように、御部50が人工知能機能(AI機能)を有する場合には、過去の実績に基づいて生成された採用変数及び採用係数を用いて、見積情報、発注情報、受注情報、納品依頼情報、納品情報、検収情報、請求情報、支払情報等を含む取引実績情報から、適切な融資金額、手数料又は金利を算出するようにしてもよい。なお、このように取引実績情報を利用する場合には、注文者情報、受注者情報、第一入金の金額情報等も加味して適切な融資金額、手数料又は金利を制御部50が算出するようにしてもよい。但し、このような態様
に限られることはなく、制御部は、注文者情報、受注者情報、第一入金の金額情報等を用いることなく、取引実績情報に基づいて適切な融資金額、手数料又は金利を算出するようにしてもよい。
【0069】
本実施の形態の情報処理装置では、利用者からの招待情報を送信し、未利用者からの招待情報に基づく承認情報を受信し、制御部50が承認情報を受信することで未利用者の使用が許可される態様を採用するようにしてもよい。このような態様を採用した場合には、既存の利用者からの勧めに応じて未利用者による情報処理装置の利用を促すことができる。この態様を採用する前提としては、情報処理装置の利用が制限されており、情報処理装置を利用するためには予め情報処理装置の管理者と契約する必要がある場合が考えられる。この場合には、未利用者は管理者と契約しない限り本実施の形態による情報処理装置を原則利用することができない。しかしながら、利用者が招待情報を送信した未利用者に関しては、機能を制限した態様で本実施の形態の情報処理装置の利用を許可するようにしてもよい。このような態様を採用することで、潜在的な利用者を増やすことができ、情報処理装置の管理者としては顧客獲得の機会を増やすことができる。
【0070】
また、既存の利用者からの招待制とすることで、一定程度の信用性のある未利用者による利用を促すことができる点でも有益である。
【0071】
制御部50は、各利用者における売掛金及び/又は買掛金を管理し、売掛金に対する支払いを受け取った場合には当該売掛金を消し込むようにし、買掛金に対する支払いを行った場合には当該買掛金を自動で消し込むようにしてもよい(
図3参照)。より具体的には、請求書に関する請求書情報と、請求書に対する支払いである第三入金に関する第三入金情報とを取得するようにしてもよい。そして、制御部50が、請求書情報における金額と第三入金情報における金額とが合致すると判断した場合に請求書に対する支払いが完了済みであると判断するようにしてもよい。このような態様を採用した場合には、売掛金や買掛金等の消込を実際の入金に基づいて行うことができ、従前であれば人が一つ一つ突合して消し込んでいた作業を自動で行うことができる点で有益である。
【0072】
本態様を採用した場合には、金融機関における入金口座又は支払口座等に用いられる口座の確保又は利用を促すことができる。このため、金融機関としては、手数料収入等を見込めるようになる点でも有益である。
【0073】
上記各実施の形態の取得部10、入金受付部20、制御部50等を含む各構成要素は、ICチップ、LSI等の集積回路等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現してもよいし、CPU、メモリ等を用いてソフトウェアによって実現してもよい。また、各構成要素は、1又は複数の集積回路により実現されてよく、複数の構成要素が1つの集積回路によって実現されてもよい。
【0074】
上述した各実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。
【符号の説明】
【0075】
10 取得部
20 入金受付部
30 送信部
35 受信部
50 制御部
60 記憶部