(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
F17C 13/00 20060101AFI20220518BHJP
F17C 13/12 20060101ALI20220518BHJP
F17C 11/00 20060101ALI20220518BHJP
F17C 13/04 20060101ALI20220518BHJP
H01M 8/04 20160101ALN20220518BHJP
【FI】
F17C13/00 301Z
F17C13/12 301A
F17C11/00 C
F17C13/12 301Z
F17C13/04 301D
H01M8/04 N
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2016161860
(22)【出願日】2016-08-22
【審査請求日】2019-07-04
(32)【優先日】2015-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】502056293
【氏名又は名称】亞太燃料電池科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ジェファーソン ワイエス
(72)【発明者】
【氏名】魏 ▲呉▼耀
【審査官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-138904(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0166385(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0125267(US,A1)
【文献】特開2005-282828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/00
F17C 13/12
F17C 11/00
F17C 13/04
H01M 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を有する缶本体と、
前記缶本体の前記内部空間内に設置されており、熱源を提供するのに用いられ
、かつリード端を有する少なくとも一つの加熱装置と、
前記缶本体の端部に設けられている少なくとも一つの安全装置と、を備え、
前記安全装置は本体と少なくとも一つの気体通路を有し、その一端には収納室が設けられて、気体の導き出しに用いられ、
前記加熱装置は連結部材またはアダプタにより前記安全装置に連結され、そのリード端は前記安全装置の前記本体及び前記収納室を貫通した後、前記安全装置の外部に露出し、前記缶本体の前記内部空間の温度が所定値より高いとき、または、圧力が所定値より大きいとき、前記安全装置を用いて圧力を低減させ容器を保護することを特徴とする容器。
【請求項2】
前記加熱装置は、電気加熱棒、加熱器またはPTCサーミスタを有することの1つから選択されることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記加熱装置は、
スリーブ体と、
プラグと、
第一漏れ防止座金と、
第二漏れ防止座金と、
前記プラグを貫通し、前記スリーブ体内に位置し、前記第一漏れ防止座金及び前記アダプタを通過し、前記アダプタの支持部を経由して伸出するリード端を有する発熱ユニットと、
を有し、
前記スリーブ体の両端は、それぞれ、前記第一漏れ防止座金および前記第二漏れ防止座金を介して前記アダプタ及びナットと接続し、前記発熱ユニットが前記スリーブ体の内部に固定かつ密封されることを特徴とする請求項1
または2に記載の容器。
【請求項4】
前記安全装置の収納室は、ガスケット、バルブ、バネ、熔栓、および中空調整ネジの収容に用いられ、前記安全装置の他端には外側ネジ歯が設けられ、前記本体の中段に気体通路が設けられており、
前記加熱装置のリード端はそれぞれ前記連結部材またはアダプタ、パッキンナット、Oリング、前記安全装置の本体及び収納室を貫通した後、前記安全装置の外部に露出されることを特徴とする請求項1または2に記載の容器。
【請求項5】
前記安全装置の前記ガスケット、前記バルブ、前記バネ、前記熔栓の各外径は、前記収納室の内径より小さく、これにより、通路が形成され、
気体供給の圧力、内部圧力または温度が所定値より大きい時、気体は安全装置の気体通路を経由し、前記ガスケット、前記バルブ、および前記バネを強く押し、受力関係により前記バネが圧縮され、これにより前記バルブが押されて開かれ、気体は、直ちに、前記収納室の通路から中空調整ネジまで流れ放出され、圧力減少の目的が達成され、
前記Oリングが前記安全装置の本体の溝槽に被さり、前記外側ネジ歯を利用して、それが前記加熱装置とともに前記缶本体の内側ネジ歯に結合されて、前記加熱装置は前記缶本体の内部空間内の中に完全に収容されることを特徴とする請求項4に記載の容器。
【請求項6】
内部空間を有する缶本体と、
前記缶本体の前記内部空間内に設置されており、熱源を提供するのに用いられ
、リード端を有する少なくとも一つの加熱装置と、
連結部材またはアダプタにより前記加熱装置と接続されており、前記缶本体の端部に設けられている少なくとも一つの安全装置と、を備え、
前記安全装置は
本体と少なくとも一つの気体通路を有し、前記本体の一端に、ガスケット、バルブ、バネ、熔栓、および中空調整ネジが収容される収納室を有し
、
前記加熱装置のリード端はそれぞれ前記連結部材またはアダプタ、前記安全装置の本体及び収納室を貫通した後、前記安全装置の外部に露出され、前記缶本体の前記内部空間の温度が所定値より高いとき、または、圧力が所定値より大きいとき、前記安全装置を用いて圧力を低減させ容器を保護することを特徴とする容器。
【請求項7】
前記安全装置の前記中空調整ネジは、平面部および凹溝部を有することを特徴とする請求項
6記載の容器。
【請求項8】
前記安全装置の前記ガスケット、前記バルブ、前記バネ、および前記熔栓の外径は、前記収納室の内径より小さく形成されており、前記安全装置内に通路が形成され
、前記加熱装置のリード端はそれぞれ前記連結部材またはアダプタ、パッキンナット、Oリング、前記安全装置の本体及び収納室を貫通した後、前記安全装置の外部に露出されていることを特徴とする請求項
6または7に記載の容器。
【請求項9】
前記缶本体の前記内部空間において、温度が所定値より高いとき、または、圧力が所定値より大きいとき、
気体は安全装置の気体通路へ流れ、前記ガスケット、前記バルブ、および前記バネを強く押し、受力関係により前記バネが圧縮され、これにより前記バルブが押されて開かれ、一部の気体が前記通路により前記安全装置の外部に導かれ
て、圧力減少の目的が達成され、
前記Oリングが前記安全装置の本体の溝槽に被さり、前記安全装置の外側ネジ歯を利用して、それが前記加熱装置とともに前記缶本体の内側ネジ歯に結合されて、前記加熱装置は前記缶本体の内部空間内の中に完全に収容されることを特徴とする請求項
8に記載の容器。
【請求項10】
前記缶本体の前記内部空間の温度が所定値
まで達すると、前記安全装置の前記熔栓が溶け、これにより、前記バルブが押されて開かれ、気体は、直ちに、前記収納室の通路から前記中空調整ネジまで流れて放出されて、前記容器を保護することを特徴とする請求項
8に記載の容器。
【請求項11】
内部空間を有する缶本体と、
前記缶本体の前記内部空間内に設置されており、熱源を提供するのに用いられ
、リード端を有する少なくとも一つの加熱装置と、
本体、収納室、少なくとも一つの気体通路を有し、連結部材またはアダプタにより前記加熱装置と接続されており、前記缶本体の端部に設けられている少なくとも一つの安全装置と、を備え、
前記加熱装置のリード端はそれぞれ前記連結部材またはアダプタ、パッキンナット、Oリング、前記安全装置の本体及び収納室を貫通した後、前記安全装置の外部に露出され、前記缶本体の前記内部空間の温度が所定値より高いとき、または、圧力が所定値より大きいとき、前記安全装置を用いて圧力を低減させ容器を保護することを特徴とする容器。
【請求項12】
前記安全装置の収納室は、ガスケット、バルブ、バネ、熔栓、および中空調整ネジの収容に用いられ、前記安全装置の他端には外側ネジ歯が設けられ、前記本体の中段に前記気体通路が設けられており、
気体供給の圧力、内部圧力または温度が所定値より大きいとき、気体は安全装置の前記気体通路へ流れ、前記ガスケット、前記バルブ、および前記バネを強く押し、受力関係により前記バネが圧縮され、これにより前記バルブが押されて開かれ、気体は、直ちに、前記収納室の通路から中空調整ネジまで流れ放出され、圧力減少の目的が達成され、
前記Oリングが前記安全装置の本体の溝槽に被さり、前記外側ネジ歯を利用して、それが前記加熱装置とともに前記缶本体の内側ネジ歯に結合されて、前記加熱装置は前記缶本体の内部空間内の中に完全に収容されることを特徴とする請求項11に記載の容器。
【請求項13】
内部空間を有する缶本体と、
前記缶本体の前記内部空間内に設置されており、熱源を提供するのに用いられ
、リード端を有する少なくとも一つの加熱装置と、
本体及び収納室を有し、アダプタ及び支持部により前記加熱装置と接続されており、前記缶本体の端部に設けられている少なくとも一つの安全装置と、を備え、
前記安全装置の本体
には、気体を通過させる
少なくとも一つの気体通路が
形成され
、前記加熱装置のリード端はそれぞれ前記アダプタ及び支持部、前記安全装置の本体及び収納室を貫通した後、前記安全装置の外部に露出され、前記缶本体の前記内部空間の温度が所定値より高いとき、または、圧力が所定値より大きいとき、前記安全装置を用いて圧力を低減させ容器を保護することを特徴とする容器。
【請求項14】
前記安全装置の収納室は、ガスケット、バルブ、バネ、熔栓、および中空調整ネジの収容に用いられ、前記安全装置の他端には外側ネジ歯が設けられ、前記本体の中段に前記気体通路が設けられており、
前記加熱装置のリード端はそれぞれ前記アダプタ、前記支持部、パッキンナット、Oリング、前記安全装置の本体及び収納室を貫通した後、前記安全装置の外部に露出され、前記安全装置は、
前記気体通路を覆う濾過片をさらに有
し、
前記Oリングが前記安全装置の本体の溝槽に被さり、前記外側ネジ歯を利用して、それが前記加熱装置とともに前記缶本体の内側ネジ歯に結合されて、前記加熱装置は前記缶本体の内部空間内の中に完全に収容され、
気体供給の圧力、内部圧力または温度が所定値より大きいとき、気体は安全装置の前記気体通路へ流れ、前記ガスケット、前記バルブ、および前記バネを強く押し、受力関係により前記バネが圧縮され、これにより前記バルブが押されて開かれ、気体は、直ちに、前記収納室の通路から中空調整ネジまで流れ放出され、圧力減少の目的が達成されることを特徴とする請求項
13に記載の容器。
【請求項15】
前記缶本体の前記端部は、電源供給ユニットとの接続に用いられる取手と結合し
、前記加熱装置は、外部が熱伝導金属層に覆われていることを特徴とする請求項1から
14のいずれか一項に記載の容器。
【請求項16】
気体貯蔵缶または水素貯蔵缶であることを特徴とする請求項1から
15のいずれか一項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に関し、特に、加熱および安全装置を有する容器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池(Fuel Cell)は、電気化学反応に基づいて、燃料および空気を利用し、作用後に電力を発生する装置である。よって、新しいエネルギー源とされる。燃料電池で使用されている陽極燃料は、いずれの炭素と水素の化合物であることが可能であり、例えば、天然ガス、メタノール、エタノール(アルコール)、水の電気分解、沼気などである。
【0003】
陽極燃料(例えば水素)は、通常、気体貯蔵材料(例えば金属水素化合物)が収容されている容器(例えば水素貯蔵タンク)に充填されており、気体貯蔵材料に吸着し保存される。使用するとき、容器を適切に加熱すると、陽極材料が放出され応用装置の使用に提供される。よって、各燃料電池メーカは、容器内の陽極材料を安定的に放出する方法を求めている。
【0004】
しかし、従来の容器を加熱する方法は、多くは、容器の外部に水タンクを設置する方法である。例えば特許文献1の「水素源供給装置」は、燃料電池が生じる熱で水タンク内の冷却水を加熱し、循環管路を利用し熱エネルギーを容器に導き、容器が熱を吸収するようにし、陽極燃料を放出する目的を達成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、温度が低い環境で(例えば、冬または寒帯の気候)、特に燃料電池システムが冷起動を行う時、正常に動くことができない。原因は、容器が最初に熱を得ることができないため、燃料電池システムの使用に供給できるよう陽極燃料を順調に放出することができないことにある。よって、起動できず発電ができない不都合な状況となる。
また、上述の加熱方式は、間接加熱であり、熱エネルギーの伝達効果が良からず、エネルギーが容易に消耗され、容器または気体貯蔵材料に対して直接に熱エネルギーを与えることができないことが最大の欠点である。
【0007】
よって、加熱および安全装置を有する容器をいかに改良し、従来技術の欠点および不便を解決することは、業者が解決しようとする課題である。
【0008】
本発明の目的は、加熱装置を有する容器を提供し、有効、直接、且つ直ちに、気体貯蔵材料に対して熱エネルギーを与え、エネルギーの消耗をゼロにし、気体の放出及び利用を助けるようにすることにある。
【0009】
本発明の別の目的は、安全装置を有する容器を提供し、容器内の温度または内部圧力が所定値より大きいとき、内部の気体を直ちに放出し、容器を保護するのに用いる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の目的を達成するために、本発明のより好ましい態様の容器は、内部空間を有し、気体貯蔵材料を保存するのに用いられる一つの缶本体と、缶本体の内部空間内に設置されており、熱源を提供するのに用いられ、気体貯蔵材料に熱を与え気体を放出させる少なくとも一つの加熱装置と、を少なくとも備える。
【0011】
この目的を達成するために、本発明の別のより好ましい態様の容器は、内部空間を有し、気体貯蔵材料を保存するのに用いられる一つの缶本体と、缶本体の端部に設けられており、缶本体の内部空間において、温度が所定値より高いとき、または、圧力が所定値より大きいとき、圧力を低減させ容器を保護する少なくとも一つの安全装置と、を少なくとも備える。
【0012】
上述の目的を達成するために、本発明が提供する容器は、内部空間を有し、気体貯蔵材料を保存するのに用いられる一つの缶本体と、缶本体の内部空間内に設置されており、熱源を提供するのに用いられ、気体貯蔵材料に熱を与え気体を放出させる少なくとも一つの加熱装置と、加熱装置と接続されており、缶本体の端部に設けられている少なくとも一つの安全装置と、を備える。
缶本体の内部空間において、温度が所定値より高いとき、または、圧力が所定値より大きいとき、安全装置を利用して圧力を低減させ容器を保護する。
【0013】
本発明の思想によると、加熱装置は、電気加熱棒、PTCサーミスタ、または加熱器である。
【0014】
本発明の思想によると、加熱装置は外部が熱伝導金属層に覆われている。
【0015】
本発明の思想によると、加熱装置は、安全装置と結合するアダプタを有している。
【0016】
本発明の思想によると、加熱装置は、スリーブ体と、プラグと、第一漏れ防止座金と、第二漏れ防止座金と、発熱ユニットと、を有する。
発熱ユニットは、プラグを貫通し、スリーブ体内に位置し、第一漏れ防止座金及びアダプタを通過し、アダプタの一つの支持部を経由して伸出するリード端を有する。
スリーブ体の両端は、それぞれ、第一漏れ防止座金および第二漏れ防止座金を介してアダプタ及びナットと接続し、発熱ユニットがスリーブ体の内部に固定かつ密封される。
【0017】
本発明の思想によると、安全装置は中空の本体を有し、本体の一端に、ガスケット、バルブ、バネ、熔栓、および中空調整ネジが収容される収納室を有している。
【0018】
本発明の思想によると、安全装置の中空調整ネジは、平面部および凹溝部を有する。
【0019】
本発明の思想によると、安全装置のガスケット、バルブ、バネ、および熔栓の外径は、収納室の内径より小さく形成されており、安全装置内に通路が形成されている。
【0020】
本発明の思想によると、缶本体の内部空間において、温度が所定値より高いとき、または、圧力が所定値より大きいとき、一部の気体が通路により安全装置の外部に導かれる。
【0021】
本発明の思想によると、缶本体の内部空間の温度が所定値より高いとき、熔栓が溶ける。
【0022】
本発明の思想によると、安全装置は、Oリングおよびパッキンナットをさらに有する。加熱装置は、Oリングおよびパッキンナットにより、安全装置に固定されている。
【0023】
本発明の思想によると、安全装置の本体の中段部には、気体を通過させる気体通路が複数形成されている。
【0024】
本発明の思想によると、安全装置は、中段部の気体通路を覆う濾過片をさらに有する。
【0025】
本発明の思想によると、缶本体の端部は、電源供給ユニットとの接続に用いられる取手と結合している。
【0026】
本発明の思想によると、加熱装置は、安全装置の外部に露出されているリード端を有する。
【0027】
本発明の思想によると、容器は気体貯蔵缶である。
【0028】
本発明の思想によると、容器は水素貯蔵缶である。
【0029】
本発明の容器の加熱および安全装置、気体貯蔵缶、および水素貯蔵缶は、有効、直接、且つ直ちに、気体貯蔵材料に対して熱エネルギーを与え、エネルギーの消耗をゼロにし、気体の放出及び利用を助けるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第一実施例の組み合わせを示す図である。
【
図6】本発明の第三実施例と缶本体とを組み合わせた状態を示す断面図である。
【
図7A】安全装置のバルブが開く動作を示す模式図である。
【
図7B】安全装置のバルブが閉じる動作を示す模式図である。
【
図8】本発明が外部電源と結合する第一実施例を示す図である。
【
図10】加熱装置が取手と結合する第二実施例を示す図である。
【
図11】加熱装置が取手と結合する第三実施例を示す図である。
【
図12A】本発明が外部電源と結合する第二実施例を示す図である。
【
図12B】本発明が外部電源と結合する第二実施例を示す図である。
【
図13A】本発明が外部電源と結合する第三実施例を示す図である。
【
図13B】本発明が外部電源と結合する第三実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の特徴および長所を表す典型的な実施例について、以下の説明の中で詳細に記述する。本発明は異なる態様において各種の変化を伴う。それは、いずれも本発明の範囲を離脱しないこと、および、明細書および図面は説明のためであり本発明を制限するためでないことを理解すべきである。
【0032】
図1は本発明の第一実施例の組み合わせを示す模式図である。
図2は
図1の分解図である。
図3は
図2の組み合わせ後の断面図である。
図1、2、3に示すように、本発明の容器は、一つの缶本体1、一つのクイック接続端子アセンブリ2、一つの安全装置3、および一つの加熱装置4を備える。缶本体1は、一つの底端10および出入口端11を有する。二つの端部は、いずれもニーズに応じて、突出部および内、外ネジ歯を設けることができる。缶本体1の断面は、円形、円柱形、三角形、方形、多角形、不規則な形状等であり、実際応用時のニーズに応じて変化することができる。その材質は、鋼またはアルミ合金を含む金属であるが、これに限らない。
本発明の容器は一つの気体貯蔵缶または水素貯蔵缶である。缶本体1の内部空間12に、気体貯蔵材料、導管、および熱伝導材料など(図に示されていない)を入れることができ、気体(例えば水素)を吸収または放出するのに用いられる。
【0033】
缶本体1の出入口端11はクイック接続端子アセンブリ2と結合し、それが一つの応用装置または気体供給設備(図に示されていない)と接続可能にし、その底端10は安全装置3と接続されている。安全装置3の本体30は、前後方向に貫通している中空体であり、内部に通路が形成されており、その一端に内側ネジ歯を有する収納室301を有する。収納室301は、ガスケット31、バルブ32、バネ33、熔栓(The fusible plug block)34、および、平面部351および凹溝部352を有する中空調整ネジ35を収納するのに用いられる。中空調整ネジ35は外側ネジ歯を有し収納室301の内側ネジ歯と対応しており、バネ33がバルブ32を押す力を調整することができる。
ガスケット31、バルブ32、バネ33、熔栓34は、中空の形を有し、外径が収納室301の内径より小さい。これにより、通路が形成され、その隙間を利用して気体を導き出す。すなわち、ガスケット31、バルブ32、バネ33、および熔栓34と収納室301の内壁の間に、気体を導き出せる通路が形成されている。
他端側に、外側ネジ歯302、303が設けられている。その中段の窪んだところには複数個の気体通路304が設けられている。気体通路304の上に、濾過片36により覆われており、また一つのナット37により外側ネジ歯302に固定されている。加熱装置4の一端は、連結部材40、パッキンナット39、Oリング38および安全装置3の中空体、収納室301を通過し、本体30の外側ネジ歯302に固定されており、そのリード端41は安全装置3の外部に露出している。
続いて、Oリング306を本体30の溝槽305に被さり、外側ネジ歯303を利用して、それが加熱装置4とともに缶本体1の底端10の突出部の内側ネジ歯に安定的にロックされるようにする。加熱装置4は缶本体1の内部空間12内の中に完全に収容され、気密の要求を満たし、
図3に示すように、気体が完全に漏洩しない。
加熱装置4は、一つの電気加熱部材(例えば、加熱棒)、または、他の発熱可能な加熱器である。発熱本体は外部が熱伝導金属層に覆われている。その尾部の絶縁リード端41は外部の電源に接続可能である。この連結部材40は省略可能である。ニーズに応じて、それと加熱装置4とを一体成形することができる。
【0034】
図4Aは本発明の容器の加熱装置と安全装置の第二実施例の分解図である。大部分の構成は
図2の内容と同じである。同じ部材は同じ符号を使用する。同じ符号は同じ部材、構成、および機能を意味し、説明を省略する。本実施例と前述の実施例の差異は以下の通りである。加熱装置4’は、一つの正温度係数サーミスタ(Positive Temperature Coefficient,PTC)の発熱ユニットであり、安全な範囲内で加熱温度を制御することができる。
【0035】
図4Bは
図4Aの組み合わせ後の断面図である。
図4Cは
図4Bの右側を示す図である。図に示すように、加熱装置4’は、アダプタ42により安全装置3と組み合わせた後、直線状になる。リード端41は、本体30の中空の通路および収納室301を通過後、安全装置3の外部に露出し、外部の電源と接続するのに用いられる。アダプタ42の支持部43はパッキンナット39およびOリングにより本体30にロック且つ固定され、気密な接続を形成する。本体30の収納室301は、ガスケット31、バルブ32、バネ33、熔栓34、および、平面部351および凹溝部352を有する中空調整ネジ35を収容する。中空調整ネジ35は外側ネジ歯を有し収納室301の内側ネジ歯と対応しており、バネ33がバルブ32を押す力を調整することができる。
ガスケット31、バルブ32、バネ33、熔栓34は、中空の形を有し、外径が収納室301の内径より小さい。これにより、通路が形成され、その隙間を利用して気体を導き出す。また、本体30の中段の窪んだところ(すなわち、安全装置3の本体30の中段)には複数個の気体通路304が設けられ、気体を導くのに用いる。その外周は、濾過片36により覆われており、一つのナット37によりロック且つ固定されている。
続いて、Oリング306を本体30の溝槽305に被さり、外側ネジ歯303を利用して、それが加熱装置4’とともに缶本体1の底端10の突出部の内側ネジ歯に安定的にロックされるようにする。加熱装置4’は缶本体1の内部空間12内の中に完全に収容され、気密の要求を満たし、気体が完全に漏洩しない。このアダプタ42および支持部43は省略可能である。ニーズに応じて、それと加熱装置4’とを一体成形することができる。
【0036】
図5Aは、本発明の容器の加熱装置および安全装置の第三実施例を示す分解図である。
図5Bは本発明の加熱装置の分解図である。
図5Cは
図5Aを組み合わせた後の断面図である。
図5Dは
図5Cの右側を示す図である。
図6は、
図5Aの加熱装置、安全装置と缶本体を組み合わせた後の断面図を示す。
本実施例では、大部分の構成は
図4Aから
図4Cの内容と類似する。同じ部材は同じ符号を使用する。同じ符号は同じ部材、構成、および機能を意味し、説明を省略する。
本実施例と前述の実施例の差異は以下の通りである。
加熱装置4”は、上述の発熱ユニット4’のリード端41が一つのプラグ44を貫通し一つの熱伝導材料または金属で作られたスリーブ体45の中に設置され、それが漏れ防止座金46、アダプタ42、およびアダプタ42の支持部43を貫通した後スリーブ体45の外部に出るようにする。スリーブ体45の両端は、両側の漏れ防止座金46、アダプタ42、および一つのナット47により、発熱ユニット4’をスリーブ体45内に密封し、組立を完成させる。
本実施例では、加熱装置4”と安全装置3の接続方式は、
図4Aから
図4Cの実施例に示すようであり、説明を省略する。
【0037】
図7Aおよび
図7Bは、安全装置のバルブが開く動作および閉じる動作を示す模式図である。缶本体1の内部空間12の圧力が所定値(例えば、比較的好ましい範囲は3.10~4.83Mpa(450~700psi)、さらに好ましい範囲は3.45~4.48MPa(500~650psi)、特に好ましい範囲は4.14MPa(600psi))より大きい時、缶本体1を保護するため、内部の気体を放出する必要が有る。
気体供給の圧力または内部圧力が所定値より大きい時、気体は安全装置3の濾過片36へ流れた後、気体通路304を経由し、ガスケット31、バルブ32、およびバネ33を強く押す。受力関係によりバネ33が圧縮され、これによりバルブ32が押されて開く。気体は、直ちに、収納室301の隙間通路から中空調整ネジ35の平面部351まで流れ放出され、圧力減少の目的が達成される。
【0038】
上述の圧力が解除された後、外部の圧力が缶本体1内部の圧力より大きくなり、安全装置3内のバネ33が推力を受けずに開かれ復帰し、バルブ32およびガスケット31が気体通路304を閉じて封じるようにする。
図7Bに示すように、缶本体1は継続して使用可能であり、何らかの損害を受けることがない。
【0039】
また、缶本体1内の温度が継続して上昇し所定値(例えば、比較的好ましい範囲は100℃~140℃であり、さらに好ましい範囲は110℃~130℃であり、特に好ましい範囲は120℃である)より高いとき、缶本体1を保護するために、内部の気体を放出する必要が有る。
もし、加熱装置4の加熱温度が上昇して所定値より高くなっても、この時、缶本体1の内部の気体圧力が所定値より大きくならないため、バルブ32がまだ作動しない、または開かない。しかし、温度が熔栓34の溶融温度まで達すると、それが徐々に熔解し、バネ33に当接する面積が徐々になくなり、バネ33の推力も徐々になくなる。最後に、ガスケット31およびバルブ32はバネ33の推力を受けないため緩くなる。この時、気体通路304において、缶本体1の内部の気体圧力は外部の圧力より大きくなり、ガスケット31およびバルブ32が推されて開かれる。その内部の気体は、直ちに、収納室301の隙間通路から中空調整ネジ35の平面部351まで流れて放出され、圧力減少の目的が達成され、缶本体1が保護される。
前述の状況は、火の温度が外部から容器に加えられた場合も同じである。
【0040】
図8は本発明が外部電源と結合する第一実施例である。図に示すように、缶本体1は一つのウォータジャケット5内に位置している。その一端は、外部に接続可能な電源を有する取手6、および、その上の電気伝導片60と結合されている。加熱装置4のリード端41は、ハンダ付け、または、電気伝導部材を利用する方式で取手6の電気伝導片60の上に接続されている。
ウォータジャケット5の端部50は、電源および温度を自動的に制御する一つの電源供給ユニット7に接続されている。電源供給ユニット7は、一つの支持枠71および一つの電磁石72を経由して互いに接続されている。電磁石72の一端は一つのナット73により支持枠71にロック且つ固定されている。一つの弾性片座74は一つの外側カバー741により支持枠71にロック且つ固定されている。弾性片座74の一端は電気伝導弾性片742を収容し、電源及び制御ユニット79に接続されている。電磁石72の活動棒721はロックリング75により押し板76及び弾性片座74と接続されている。
缶本体1がウォータジャケット5内に位置し且つ定位された場合、取手6の電気伝導片60は弾性片座74の前方に位置する。使用者の開閉操作または自動制御の方式により、電磁石72の活動棒721を作動させ前に突出させ、活動棒721の弾性片座74の電気伝導片742と取手6の電気伝導片60を接続させることで、電源を導通し通路を形成し、
図9Aに示すように、缶本体1内の加熱装置4による加熱が始まる。反対に、電磁石72の活動棒721が再び作動し後ろに縮退するとき、活動棒721の弾性片74と取手6の電気伝導片60が分離し断路を形成し、
図9Bに示すように、加熱が停止する。
上述の電源供給ユニット7は、無線の電磁感応、無線電波、または核磁気共鳴等の設計に切り替えて電源を供給してもよい。また、容器の取手は、無線電波識別システム(RFID)の機能を応用し、データベースと接続し、容器の規格、貯蔵された気体の種類、使用回数、およびメンテナンス記録等を記録することができる。
【0041】
本発明の加熱装置4の接続端41と取手6を結合する設計は、異なるニーズに応じて変更することができる。例えば、
図10に示す第二実施例では、方形の取手8において、缶本体1、安全装置3、および加熱装置4と結合する位置に、環状の電気伝導接触片81が二つ設計されており、外部電源と接続するのに用いられる。
図11に示す第三実施例では、取手9が円形であり、同様に、缶本体1、安全装置3、および加熱装置4と結合する位置に、環状の電気伝導接触片91が二つ設計されており、外部電源との接続に用いられる。
【0042】
図12Aおよび
図12Bは本発明と外部電源を結合する第二実施例の模式図である。ウォータジャケット5の端部には、電源および温度を自動的に制御する一つの電源供給ユニット7’が接続されている。連結棒77が下側に作動することでそれをロック(フック、弾性片、またはバネの張力などの方式)する。その端部の二つの電気伝導弾性片78と方形取手8の二つの電気伝導接触片81とを緊密に接続させ、電源を導通し通路を形成し、
図11Aに示すように、缶本体1内の加熱装置4による加熱が始まる。逆に、連結棒77を上方向に引っ張るまたは解除すると、両者が分離し断路を形成し、
図11Bに示すように、加熱動作が停止する。
【0043】
図13Aおよび
図13Bは、本発明と外部電源を結合する第三実施例の模式図である。ウォータジャケット5の端部には、電源および温度を自動的に制御する一つの電源供給ユニット7“が接続されている。連結棒77’が下側に作動することでそれをロック(フック、弾性片、またはバネの張力などの方式)し、その端部の二つの電気伝導弾性片78’と円形取手9の二つの電気伝導接触片91を緊密に接続させ、電源を導通し通路を形成し、
図13Aに示すように、缶本体1内の加熱装置4による加熱が始まる。逆に、連結棒77’を上方向に引っ張るまたは解除すると、両者が分離し断路を形成し、
図13Bに示すように、加熱動作が停止する。
【0044】
上述の説明により理解できるのは、本発明は単独かつ直接に加熱装置を利用して、気体貯蔵材料に熱源を提供することができ、容器内の気体がスムーズに排出できるようにする。特に、冷起動を行う段階(例えば、温度が15℃より低い場合又は容器内圧力が0.24MPa(35psi)より低い場合)で、燃料電池システムおよび外部の水タンクまたはウォータジャケットを組み合わせて使用することができ、エネルギーを節約し炭素を低減する目的を達成することができる。他に、加熱装置の数は使用状のニーズに応じて加減することができる。
図14に示すように、本発明の容器は、一つの缶本体1、一つのクイック接続端子アセンブリ2、二つの安全装置3、および二つの加熱装置(図に示されていない)を備える。使用者は、燃料電池システムが冷起動を行う時、スムーズに作動することができないことを心配する必要がない。また、操作および使用上において非常に簡単且つ便利である。さらに、気体貯蔵材料が均一かつ安定的に熱を受けるようにし、容器が気体(例えば水素)を補充および放出する効率を高めることができる。さらに、安全装置の設置により使用上の安全性を実現することができる。
【0045】
上述の容器内で設定されている圧力または温度保護の所定値は、実際に応用される状況に応じて異なり、使用条件または環境に応じて完全に異なる。例えば、外側で容器に加えられた火の温度が所定値まで達した場合、保護メカニズムが起動する。温度が高くなるほど缶本体内部の圧力も高くなり、圧力が所定値まで達した場合、保護メカニズムが同様に起動する。設計者は、応用する異なる環境に基づいて、温度および圧力の所定値を適当に設定することによって、商品が現地の気候、応用メカニズムに適合するようにする。上述の実施例での特に好ましい所定値は、4.14MPa(600psi)および120℃であり、一つの参考用のデータであり、絶対的な数値ではなく、使用者が応用する環境によって異なる。
【0046】
上述は、本発明の例示による詳しい実施方式であり、本発明の範囲を限定するものではない。本技術分野の技術者が本発明の思想および原則を逸脱しない前提で行う同等の変化および修正は、いずれも本発明の保護範囲に属する。本発明の各部分は上述の実施例に限らず、本発明の明細書で説明した各技術特徴は、実際のニーズに応じて、一つを選択して単独で使用する、または、複数を選択して組み合わせて使用することができる。よって、本発明の技術的範囲には、本発明のポイントと関連する他の組み合わせおよび具体的な応用が含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1 容器
10 底端
11 出入口端
12 内部空間
2 快速接続端子アセンブリ
3 安全装置
30 本体
301 収納室
302 外側ネジ歯
303 外側ネジ歯
304 気体通路
305 溝槽
31 ガスケット
32 バルブ
33 バネ
34 熔栓
35 中空調整ネジ
351 平面部
352 凹溝部
36 濾過片
37 ナット
38 Oリング
39 パッキンナット
4、4’ 加熱装置
40 連結部材
41 リード端
42 アダプタ
43 支持部
44 プラグ
45 スリーブ体
46 座金
47 ナット
5 ウォータジャケット
50 端部
6 取手
60 電気伝導片
7、7’、7” 電源供給ユニット
71 支持枠
72 電磁石
721 活動棒
73 ナット
74 弾性片座
741 外側カバー
742 電気伝導弾性片
75 ロックリング
76 押し板
77、77’ 連結棒
78、78’ 電気伝導弾性片
79 制御ユニット
8 方形取手
81 電気伝導接触片
9 円形取手
91 電気伝導接触片