IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社舞織カーテンの特許一覧

<>
  • 特許-カーテン吊下器具及びカーテンセット 図1
  • 特許-カーテン吊下器具及びカーテンセット 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】カーテン吊下器具及びカーテンセット
(51)【国際特許分類】
   A47H 13/04 20060101AFI20220518BHJP
【FI】
A47H13/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018078508
(22)【出願日】2018-04-16
(65)【公開番号】P2019181034
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】518133359
【氏名又は名称】有限会社舞織カーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】特許業務法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北野 玉志
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3045568(JP,U)
【文献】特開2000-070115(JP,A)
【文献】特開2009-082332(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0322983(US,A1)
【文献】西独国特許出願公開第02526820(DE,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47H 1/00-23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項3】
前記バランス支持部は、前記カーテンバランスの上縁に突き当たる突起を有する、請求項1又は2に記載のカーテン吊下器具。
【請求項4】
前記ランナー係合部の上下方向の位置が調整可能である、請求項1からのいずれかに記載のカーテン吊下器具。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載のカーテン吊下器具と、前記カーテン吊下器具のバランス支持部で上縁を支持されているカーテンバランスと、前記カーテン吊下器具の吊下部で上縁を吊り下げられている既成カーテンとを備えている、カーテンセット。
【請求項6】
前記カーテンバランスは、前記吊下部を下限位置としたときに、前記既成カーテンの上縁が隠れるような長さを有する、請求項に記載のカーテンセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既成カーテンの吊り下げ丈を調整するためのカーテン吊下器具とそれを用いて構成されるカーテンセットに関する。
【背景技術】
【0002】
既成カーテンの吊り下げ丈を調整するためのカーテン吊下器具として、本発明者らは特許文献1において、カーテンの上縁を支持する支持部と、カーテン案内部材に係合する係合部と、該カーテンの鉛直方向の途中を保持するための保持部とを有するカーテン吊下器具を開示した。
このカーテン吊下器具によれば、保持部でカーテンの鉛直方向の途中を保持することにより、既成カーテンの吊り下げ丈の調整幅を大きくできる。
【0003】
しかし、このカーテン吊下器具は、保持部でカーテンの鉛直方向の途中を保持することにより既成カーテンの吊り下げ丈を調整するものであるから、吊り下げ丈を短くすることはできるものの、吊り下げ丈を長くすることはできない。
また、このカーテン吊下器具は、保持部でカーテンの鉛直方向の途中を保持することから、カーテンの裏面にカーテンが折り返されたような折返し部が生じ、この折返し部にホコリ等が溜りやすいという問題がある。更に、このカーテン吊下器具を用いたカーテンの裏側にレースカーテンを設置している場合、このカーテンを開閉する際に前記の折返し部がレースカーテンと干渉して、このレースカーテンも開閉されるといった問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-230480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、既成カーテンの吊り下げ丈を従来よりも自由に調整できる技術手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、次のカーテン吊下器具が提供される。
カーテンバランスの上縁を支持するバランス支持部と、カーテンレールのランナーに係合するランナー係合部と、既成カーテンの上縁を吊り下げる吊下部とを備え、前記吊下部の上下方向の位置が調整可能である、カーテン吊下器具。
【0007】
本発明の他の観点によれば、前記本発明のカーテン吊下器具と、前記カーテン吊下器具のバランス支持部で上縁を支持されているカーテンバランスと、前記カーテン吊下器具の吊下部で上縁を吊り下げられている既成カーテンとを備えている、カーテンセットが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明のカーテン吊下器具によれば、既成カーテンの上縁を吊り下げる吊下部の上下方向の位置が調整可能であるので、既成カーテンの吊り下げ丈を従来よりも自由に調整できる。
また、本発明のカーテン吊下器具によれば、既成カーテンに前述のような折返し部は生じないので、ホコリ等が溜りやすいという問題やレースカーテンと干渉するといった問題は生じない。
【0009】
更に、本発明のカーテンセットによれば、前記カーテン吊下器具により既成カーテン(カーテンセット)の吊り下げ丈を従来よりも自由に調整できると共に、カーテンバランスにより高級感を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態であるカーテン吊下器具を示し、(a)は全体の側面図、(b)は(a)のA-A矢視図、(c)は(a)のB-B矢視図。
図2図1のカーテン吊下器具を用いて構成されたカーテンセットを示す概略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に本発明の一実施形態であるカーテン吊下器具を示し、図2にこのカーテン吊下器具を用いて構成されたカーテンセットを示している。
このカーテン吊下器具10は例えばナイロン等の樹脂からなり、カーテンバランス20の上縁を支持するバランス支持部11と、カーテンレール30のランナー31に係合するランナー係合部12と、既成カーテン40の上縁を吊り下げる吊下部13とを備える。
【0012】
この実施形態においてバランス支持部11は略U字状(略鰐口状)に形成されており、この略U字状(略鰐口状)のバランス支持部11でカーテンバランス20の上縁であるヒダ部(ツマミ)を挟み込むようにして下方から支持する。また、このバランス支持部11は、カーテンバランス20の上縁に突き当たる突起11aを有する。この突起11aにより、バランス支持部11がカーテンバランス20の上縁から下方に抜けにくくなる。
【0013】
この実施形態においてランナー係合部12は、略U字状(略鰐口状)のバランス支持部11の一辺11bに、上下方向の位置が調整可能に装着されている。すなわち、このランナー係合部12は、バランス支持部11の一辺11bに対してアジャスター機構を介して、上下方向の位置が調整可能に装着されている。また、このランナー係合部12は略逆U字状に形成されており、この略逆U字状のランナー係合部12は、カーテンレール30のランナー31に引っ掛けることでランナー31に係合する。
【0014】
この実施形態において吊下部13は、バランス支持部11の下端から下方に伸びるベルト状の保持部材14に、上下方向の位置が調整可能に装着されている。すなわち、この吊下部13は、ベルト状の保持部材14に対してアジャスター機構を介して、上下方向の位置が調整可能に装着されている。
また、この吊下部13は、ベルト状の保持部材14に装着されるベース部材13aと、ベース部材13aから斜め下方に伸びる板状の吊下部材13bとからなり、吊下部材13bに、既成カーテン40の上縁のフック41と係合する係合孔13cが設けられている。すなわち、この吊下部13は、係合孔13cが既成カーテン40の上縁のフック41と係合することで、既成カーテン40の上縁を吊り下げる。このとき、吊下部材13bはベース部材13aから斜め下方、言い換えれば、ベース部材13a及び保持部材14から離れる方向に伸びているから、吊下部材13bの係合孔13cに既成カーテン40の上縁のフック41を係合させやすい。
なお、吊下部13が既成カーテン40の上縁を吊り下げる構成は、この実施形態には限定されず、例えば既成カーテン40の上縁を、フックを用いずに直接吊り下げるようにしてもよい。
【0015】
ベース部材13aにはロック部材13dが設けられている。このロック部材13dは、ベルト状の保持部材14のべルト面14aと選択的に係合することで、保持部材14に対するベース部材13a(吊下部13)の上下方向の位置を調整する。この実施形態では、保持部材14のべルト面14aには複数の突条14bが上下方向に等間隔で設けられており、これらの突条14bにロック部材13dが選択的に係合する。すなわち、ロック部材13dを図1(b)において矢印方向に押し込むと、ロック部材13dと突条14bとの係合が外れ、ベース部材13a(吊下部13)はベルト面14aに沿って上下方向に移動自在となる。そして、ベース部材13a(吊下部13)の上下方向の位置を所望の位置に調整した後、ロック部材13dを元に戻せばロック部材13dが突条14bと係合し、ベース部材13a(吊下部13)はその上下方向の位置に固定(ロック)される。
【0016】
保持部材14の下端部には、ベース部材13a(吊下部13)が下方に抜けるのを防止するストッパー14cが設けられている。このストッパー14cは保持部材14のベルト面14aをカエリ状に加工して形成したもので(図1(c)参照)、保持部材14の下端からベース部材13a(吊下部13)を装着することは可能であるが、一旦ベース部材13a(吊下部13)を装着すると、このベース部材13a(吊下部13)が下方に抜けるのを防止する。
【0017】
ここでこの実施形態では、保持部材14のベルト面14aは、カーテンバランス20の裏面と直交するように形成されている。これにより、カーテンバランス20が例えばレース地であったとしても、このカーテンバランス20の正面からは保持部材14のベルト面14aは見えないので美観が損なわれることはない。同様に、ロック部材13dも上下方向に沿うように設けて、カーテンバランス20の正面からは目立たないようにしている。
【0018】
次に、このカーテン吊下器具10を用いて図2に示すようなカーテンセットを構成する方法の一実施形態ついて説明する。
まず、カーテン吊下器具10のバランス支持部11でカーテンバランス20の上縁を支持し、この状態でランナー係合部12をカーテンレール30のランナー31に係合する。その後、吊下部13の吊下部材13bの係合孔13cに既成カーテン40の上縁のフック41を引っ掛けることで、この既成カーテン40の上縁を吊下部13で吊り下げる。
ここで、既成カーテン40の上縁を吊下部13で吊り下げた後に、ランナー係合部12をカーテンレール30のランナー31に係合するようにしてもよいが、この場合、バランス支持部11がカーテンバランス20の上縁から下方に抜けやすくなるので、ランナー係合部12をカーテンレール30のランナー31に係合させた後に、既成カーテン40の上縁を吊下部13で吊り下げるようにすることが好ましい。なお、この実施形態では、前者の方法であってもバランス支持部11がカーテンバランス20の上縁から下方に抜けにくくするために、前述のとおりバランス支持部11に、カーテンバランス20の上縁に突き当たる突起11aを設けている。
【0019】
この既成カーテン40(カーテンセット)の吊り下げ丈の調整は、吊下部13の上下方向の位置を調整することにより行う。この吊り下げ丈の調整代は保持部材14の長さによって決まり、この実施形態では保持部材14の長さは20cmであるから、吊り下げ丈の調整代も20cmである。なお、既成カーテン40の正味の吊り下げ丈は、バランス支持部11等の長さ分、長くなり、この実施形態では、例えば高さ200cmの既成カーテンの場合、正味の吊り下げ丈は210~230cmに調整できる。このように、カーテン吊下器具10を用いることにより、既成カーテンの吊り下げ丈を従来よりも自由に調整できる。なお、既成カーテン40の上縁には、図2に表れているように公知のアジャスター機構を設けることもでき、このアジャスター機構により補助的に吊り下げ丈の調整を行うこともできる。
そして、このカーテン吊下器具10によれば、既成カーテンに前述のような折返し部は生じないので、ホコリ等が溜りやすいという問題やレースカーテンと干渉するといった問題は生じない。
【0020】
更に、この実施形態のカーテンセットによれば、カーテン吊下器具10により既成カーテン(カーテンセット)の吊り下げ丈を従来よりも自由に調整できると共に、カーテンバランス20により高級感を付与することができる。なお、カーテンバランス20により高級感を付与する点から、カーテンバランス20は、吊下部13を下限位置としたときに、既成カーテン40の上縁が隠れるような長さを有することが好ましい。このようにすればば、例えば既成カーテン40が1.5倍ヒダ二ツ山であっても、2倍ヒダ三ツ山のカーテンバランス20を用いることで、カーテンセット全体としては2倍ヒダ三ツ山に見え、より高級感を付与することができる。
【符号の説明】
【0021】
10 カーテン吊下器具
11 バランス支持部
11a 突起
11b バランス支持部の一辺
12 ランナー係合部
13 吊下部
13a ベース
13b 吊下部材
13c 係合孔
13d ロック部材
14 保持部材
14a ベルト面
14b 突条
14c ストッパー
20 カーテンバランス
30 カーテンレール
31 ランナー
40 既成カーテン
41 フック
図1
図2