(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】一種の大電力充電スタンドの正負極液冷電気ケーブルの直列冷却構造
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20220518BHJP
H01R 13/533 20060101ALI20220518BHJP
H01B 7/42 20060101ALI20220518BHJP
H02G 9/00 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
H02G3/04 093
H01R13/533 A
H02G3/04
H01B7/42 C
H02G9/00
(21)【出願番号】P 2020551520
(86)(22)【出願日】2019-03-25
(86)【国際出願番号】 CN2019079564
(87)【国際公開番号】W WO2019184883
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】201810249727.1
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201920199985.3
(32)【優先日】2019-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520362491
【氏名又は名称】洛陽正奇机械有限公司
【氏名又は名称原語表記】LUOYANG ZHENGQI MECHANICAL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】North of Shuikou Village,Mangshan Town,Laocheng District,Luoyang,Henan 471000 China
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】臧重慶
(72)【発明者】
【氏名】臧昊哲
(72)【発明者】
【氏名】楊国星
(72)【発明者】
【氏名】張艶麗
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-018748(JP,A)
【文献】特開2017-097965(JP,A)
【文献】特表2017-507640(JP,A)
【文献】実開昭63-061771(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第107681314(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106887277(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107640046(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H01R 13/533
H02G 15/34
H01B 7/42
H02G 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液冷電気ケーブル絶縁カバー(1)と、
液冷電気ケーブル絶縁カバー(1)内に設けられている複数の信号線(10)と、を備え、
液冷電気ケーブル絶縁カバー(1)内に、正極及び負極の二本の液冷ケーブルがさらに設けられており、
各液冷ケーブルは、軟質導線(2)及び絶縁スリーブ管(3)から構成されており、軟質導線(2)が絶縁スリーブ管(3)内に設けられており、軟質導線(2)と絶縁スリーブ管(3)との間に冷却液通路(2.1)を有し、
軟質導線(2)は、一端が充電ガン液冷端子(5)に接続されており、他端が液冷電気ケーブル電極(4)に接続されており、液冷電気ケーブル電極(4)には、冷却液通路(2.1)と連通する電極管路(4.1)が設けられており、
正極及び負極の二本の液冷ケーブルにおいて、二つの充電ガン液冷端子(5)内には、いずれも、冷却液通路(2.1)と連通する冷却キャビティ(5.1)が設けられており、二つの冷却キャビティ(5.1)が絶縁接続管アセンブリ(9)により連通されていることを特徴とす
る大電力充電スタンドの正負極液冷電気ケーブルの直列冷却構造。
【請求項2】
軟質導線(2)は、軟銅撚り
線及び防護ネッ
トを含み、
軟銅撚り
線は、防護ネッ
トの内部を貫通するよう、防護ネッ
トの内部に嵌め込まれており、
絶縁スリーブ管(3)と防護ネッ
トとの間には、環状の冷却液通路(2.1)が設けられており、
軟銅撚り
線は、マルチストランドコアであり、マルチストランドコアは、複数本の小径の錫メッキ銅線の撚り合わせにより形成された複数本の小ストランドにより形成された導線であり、
防護ネッ
トは、錫メッキ銅線により編成された筒状の網線であることを特徴とする請求項1に記載の大電力充電スタンドの正負極液冷電気ケーブルの直列冷却構造。
【請求項3】
充電ガン液冷端子(5)は、軸状であり、一端が電気自動車の充電ソケットに対応接続されている閉口プラグ端(5.2)であり、他端が大電力充電スタンドの液冷電気ケーブルの軟質導線(2)に対応接続されている開口接続端(5.3)であり、
冷却キャビティ(5.1)が開口接続端(5.3)を介して冷却液通路(2.1)と連通されており、
充電ガン液冷端子(5)の外径中部において、突出するとともに充電ガンの本体との接続に用いられる固定ユニット(5.4)が設けられており、
充電ガン液冷端子(5)の外径において、固定ユニット(5.4)と開口接続端(5.3)との間には、冷却キャビティ(5.1)と連通しかつ外部に突出する貫通口(5.5)が設けられており、
正極及び負極の二本の液冷ケーブル上の二つの貫通口(5.5)は、絶縁接続管アセンブリ(9)により連通されていることを特徴とする請求項1に記載の大電力充電スタンドの正負極液冷電気ケーブルの直列冷却構造。
【請求項4】
軟質導線(2)は、充電ガン液冷端子(5)の一端に位置し、冷却キャビティ(5.1)の内壁に圧接されており
絶縁スリーブ管(3)は、充電ガン液冷端子(5)の一端に位置し、開口接続端(5.3)の外部円柱面にスリーブ接続されており、クリップ(11)により締められていることを特徴とする請求項3に記載の大電力充電スタンドの正負極液冷電気ケーブルの直列冷却構造。
【請求項5】
貫通口(5.5)は、外部突出端に、ねじ接続口(5.7)が設けられており、ねじ接続口(5.7)の内部及び外部に、雌ねじ及び雄ねじがそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項3に記載の大電力充電スタンドの正負極液冷電気ケーブルの直列冷却構造。
【請求項6】
絶縁接続管アセンブリ(9)は、絶縁導管(9.1)、絶縁ロックナット(9.2)、フレアナット(9.4)、及び密封リング(9.3)を含み、絶縁導管(9.1)が中空構造を有し、当該中空部分が充電ガン液冷端子(5)の冷却キャビティ(5.1)と連通しており、絶縁導管(9.1)の両端端面に環状溝(9.5)が設けられており、環状溝(9.5)内に密封リング(9.3)が設けられており、
絶縁導管(9.1)の一端は、雄ねじが設けられており、一方の充電ガン液冷端子(5)のねじ接続口(5.7)の雌ねじと接続されており、絶縁ナット(9.2)によりロックされ、
絶縁導管(9.1)の他端は、逆テーパー構造が設けられており、フレアナット(9.4)の雌ねじにより、他方の充電ガン液冷端子(5)のねじ接続口(5.7)の雄ねじと接続されており、フレアナット(9.4)の内テーパー面と絶縁導管(9.1)の逆テーパー面とがプレスフィットすることを特徴とする請求項5に記載の大電力充電スタンドの正負極液冷電気ケーブルの直列冷却構造。
【請求項7】
貫通口(5.5)は、内部に湾曲管(5.6)が連通されており、
湾曲管(5.6)は、冷却キャビティ(5.1)内に位置しており、冷却キャビティ(5.1)の底部に向いて伸びていることを特徴とする請求項3から6のいずれの一項に記載の大電力充電スタンドの正負極液冷電気ケーブルの直列冷却構造。
【請求項8】
正極及び負極の二本の液冷ケーブル上の二つの充電ガン液冷端子(5)の冷却キャビティ(5.1)内にいずれも分流体(6)が設けられており、当該冷却キャビティ(5.1)は円柱状のキャビティであり、当該分流体(6)は円軸状であり、軸の外部円柱面の中間部位、軸の平面両側に、切欠沈台(6.1)、沈台(6.2)が設けられており、一方の軸端面に連通沈溝(6.3)が設けられており、当該分流体(6)は連通沈溝(6.3)の一端を有し冷却キャビティ(5.1)内に挿入かつ接続されており、二つの分流体(6)の沈台(6.2)が互いに対向するよう設けられており、
沈台(6.2)と冷却キャビティ(5.1)とは、半円通路(6.4)を構成しかつ絶縁接続管アセンブリ(9)と連通し、
切欠沈台(6.1)と冷却キャビティ(5.1)とは、切欠通路(6.
5)を構成し、切欠通路(6.5)が冷却液通路(2.1)とが連通しかつ連通沈溝(6.3)を介して半円通路(6.
4)と連通することを特徴とする請求項3から6のいずれの一項に記載の大電力充 電スタンドの正負極液冷電気ケーブルの直列冷却構造。
【請求項9】
液冷電気ケーブル電極(4)は、電極管路(4.1)を含み、電極管路(4.1)の両端に、電極冷却液出入口(4.2)及び導線接続口(4.3)がそれぞれ設けられており、
軟質導線(2)は、他端が電極管路(4.1)の内部管壁に圧接されており、
絶縁スリーブ管(3)は、端部が電極管路(4.1)の外部円柱面にスリーブ接続されており、クリップ(11)により締められており、
冷却液通路(2.1)は、電極管路(4.1)を介して、電極冷却液出入口(4.2)と連通し、電極冷却液出入口(4.2)に冷却液出入口クイックジョイント(7)が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の大電力充電スタンドの正負極液冷電気ケーブルの直列冷却構造。
【請求項10】
液冷電気ケーブル電極(4)には、充電スタンドとの電気的接続に用いられる電極取付座(4.4)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の大電力充電スタンドの正負極液冷電気ケーブルの直列冷却構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新エネルギー電気自動車用大電力充電スタンド技術分野に関し、詳しくは、一種の大電力充電スタンドの正負極液冷ケーブルの直列冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
新エネルギー電気自動車は、排ガスを排出しないため、急速に発展するが、内燃機関自動車は、歴史のステージから徐々に退出する。内燃機関自動車の消失に伴い,それに付随する給油ステーションもその歴史的使命を終了し、その代わりとなるのは、世界各地に広がる充電ステーションであるだろう。充電ステーションのハードウェア設備は充電スタンドである。
【0003】
現在、電気自動車に用いられる充電ステーションにおいて、そのハードウェア設備は、基本的に中電力充電スタンドが全部であり、直流電圧が750Vであり、出力電流が250A未満であり、普通型の電気バスの充電を例とする場合、全車電池を満充電するには少なくとも3時間が必要である。中電力充電スタンドの充電効率は高くない。現在開発中の大電力充電スタンドは、技術パラメータとして:直流充電電圧が1000~1500Vであり、出力電流が500~600Aである。大電力充電スタンドを用いて充電する場合、普通型の電気バスの充電を例とする場合、全車電池を満充電するには15分のみ必要とする。大電力充電スタンドは充電効率が高く、未来の充電ステーションの発展方向においての主流である。
【0004】
大電力充電スタンドの電源と充電ガンとを接続する電気ケーブルは、400~600Aの電気ケーブルを安全に流すことができる必要がある。中電力充電スタンドは、出力電流が250Aより小さいため、使用する乾式電気ケーブルの断面積は70平方mmである。400~600Aの電流を流そうとすると、理論上、乾式電気ケーブルは断面積が100~150平方mmである必要がある。このような、充電スタンド電源と充電ガンとを接続する乾式一体型電気ケーブルは、外径が52mm~73mmである。外径が大きな電気ケーブルは、体積が大きいだけでなく、重量も大きく、人体工学的の使用要求に合わない。このため、大電力充電スタンドは、外径が小さく、軽量で、大電流を流すことができ、かつ、自己冷却機能を有する専用の電気ケーブルを付する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、一種の大電力充電スタンドの正負極液冷電気ケーブルの直列冷却構造を提供することにある。大電力充電スタンドの正負極液冷電気ケーブルの直列冷却構造の外径は40mmより少なく、通常の寸法より少なく、電気ケーブル内の軟質導線は、断面積が小さく、重量が軽く、大電流が流れる。特に、この技術は直列冷却を用いることで、大電力充電スタンドに用いられるケーブルの過熱問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明をさらに開示するために、本発明の解決手段は以下のとおりである。
一種の大電力充電スタンドの正負極液冷電気ケーブルの直列冷却構造は、液冷電気ケーブル絶縁カバーと、液冷電気ケーブル絶縁カバー内に設けられている複数の信号線と、を備える。液冷電気ケーブル絶縁カバー内には、正極及び負極の二本の液冷ケーブルがさらに設けられている。各液冷ケーブルは、軟質導線及び絶縁スリーブ管から構成されている。軟質導線は絶縁スリーブ管内に設けられており、軟質導線と絶縁スリーブ管との間に冷却液通路を有する。
【0007】
軟質導線は、一端が充電ガン液冷端子に接続されており、他端が液冷電気ケーブル電極に接続されている。液冷電気ケーブル電極には、冷却液通路と連通する電極管路が設けられている。正極及び負極の二本の液冷ケーブルにおいて、二つの充電ガン液冷端子内には、いずれも、冷却液通路と連通する冷却キャビティが設けられており、二つの冷却キャビティが絶縁接続管アセンブリにより連通されている。
【0008】
解決手段をさらに改良するために、軟質導線は、軟銅撚り線及び防護ネットを含む。軟銅撚り線は、防護ネットの内部を貫通するよう、防護ネットの内部に嵌め込まれている。絶縁スリーブ管と防護ネットとの間には、環状の冷却液通路が設けられている。軟銅撚り線は、複数本の撚り線コアであり、複数本の撚り線コアは、複数本の小径の錫メッキ銅線の撚り合わせにより形成された複数本の撚り線により形成された導線である。防護ネットは、錫メッキ銅線により編成された筒状の網線である。
【0009】
解決手段をさらに改良するために、充電ガン液冷端子は、軸状であり、一端が電気自動車の充電ソケットに対応接続されている閉口プラグ端であり、他端が大電力充電スタンドの液冷電気ケーブルの軟質導線に対応接続されている開口接続端である。冷却キャビティが開口接続端を介して冷却液通路と連通されている。充電ガン液冷端子の外径中部において、突出するとともに充電ガンの本体との接続に用いられる固定ユニットが設けられている。充電ガン液冷端子の外径において、固定ユニットと開口接続端との間には、冷却キャビティと連通しかつ外部に突出する貫通口が設けられている。正極及び負極の二本の液冷ケーブル上の二つの貫通口は、絶縁接続管アセンブリにより連通されている。
【0010】
解決手段をさらに改良するために、軟質導線は、充電ガン液冷端子の一端に位置し、冷却キャビティの内壁に圧接されている。絶縁スリーブ管は、充電ガン液冷端子の一端に位置し、開口接続端の外部円柱面にスリーブ接続されており、クリップにより締められている。
【0011】
解決手段をさらに改良するために、貫通口は、外部突出端に、ねじ接続口が設けられており、ねじ接続口の内部及び外部に、雌ねじ及び雄ねじがそれぞれ設けられている。
【0012】
解決手段をさらに改良するために、絶縁接続管アセンブリは、絶縁導管、絶縁ロックナット、フレアナット、及び密封リングを含む。絶縁導管は中空構造を有し、当該中空部分は充電ガン液冷端子の冷却キャビティと連通している。絶縁導管の両端端面には環状溝が設けられており、環状溝内には密封リングが設けられている。絶縁導管の一端は、雄ねじが設けられており、一方の充電ガン液冷端子のねじ接続口の雌ねじと接続されており、絶縁ナットによりロックされる。絶縁導管の他端は、逆テーパー構造が設けられており、フレアナットの雌ねじにより、他方の充電ガン液冷端子のねじ接続口の雄ねじと接続されており、フレアナットの内テーパー面と絶縁導管の逆テーパー面とがプレスフィットする。
【0013】
解決手段をさらに改良するために、貫通口は、内部に湾曲管が連通されている。湾曲管は、冷却キャビティ内に位置しており、冷却キャビティの底部に向いて伸びている。
【0014】
解決手段をさらに改良するために、正極及び負極の二本の液冷ケーブル上の二つの充電ガン液冷端子の冷却キャビティ内にいずれも分流体が設けられている。当該冷却キャビティは円柱状のキャビティであり、当該分流体は円軸状である。軸の外部円柱面の中間部位、軸の平面両側に、切欠沈台、沈台が設けられており、一方の軸端面に連通沈溝が設けられている。当該分流体は連通沈溝の一端を有し冷却キャビティ内に挿入かつ接続されており、二つの分流体の沈台が互いに対向するよう設けられている。沈台と冷却キャビティとは、半円通路を形成しかつ絶縁接続管アセンブリと連通する。切欠沈台と冷却キャビティとは、切欠通路を形成し、切欠通路が冷却液通路とが連通しかつ連通沈溝を介して半円通路と連通する。
【0015】
解決手段をさらに改良するために、液冷電気ケーブル電極は、電極管路を含み、電極管路の両端に、電極冷却液出入口及び導線接続口がそれぞれ設けられている。軟質導線は、他端が電極管路の内部管壁に圧接されている。絶縁スリーブ管は、端部が電極管路の外部円柱面にスリーブ接続されており、クリップにより締められている。冷却液通路は、電極管路を介して、電極冷却液出入口と連通し、電極冷却液出入口に冷却液出入口クイックジョイントが接続されている。
【0016】
解決手段をさらに改良するために、液冷電気ケーブル電極には、充電スタンドとの電気的接続に用いられる電極取付座が設けられている。
【0017】
従来技術と比べ、本発明の有益な効果は、以下のとおりである。本発明の大電力充電スタンドの正負極液冷電気ケーブルの直列冷却構造において、冷却液は、一方の液冷ケーブルの液冷電気ケーブル電極から入り、軟質導線、充電ガン液冷端子の順に流れ、他方の電気ケーブルの充電ガン液冷端子、軟質導線、液冷電気ケーブル電極まで流れ、最後に冷却装置に戻り循環する。循環流動する冷却液は、充電中において、大電力充電スタンドの正負極液冷電気ケーブルの液冷電気ケーブル電極、軟質導線、充電ガン液冷端子を冷却し放熱を行う。
【0018】
本発明の大電力充電スタンドの正負極液冷電気ケーブルの直列冷却構造は、軟質導線1本当たりの断面積は、35~60平方mmであり、中電力充電スタンドの乾式ケーブルの70平方mmよりも小さい。また、ケーブル全体の外径寸法も39mmに過ぎず、従来の乾式一体型ケーブルの外径と同様に、コストが低く、軽量で取り扱いやすいという特徴がある。また、本発明は、600アンペアの電流を安全に流すことができ、大電力充電の使用を保障し、充電動作中においてケーブルが過熱する現象を回避することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】正極及び負極の直冷液冷ケーブルの断面構造を示す模式図である。
【
図3】充電ガン液冷端子の断面構造を示す模式図である。
【
図4】絶縁接続管アセンブリの断面構造を示す模式図である。
【
図5】液冷電気ケーブル電極の断面構造を示す模式図である。
【
図6】本発明の冷却液の流れ方向を示す模式図である。
【
図7】本発明の第2実施形態において、分流体の構造を示す模式図である。
【
図8】本発明の第2実施形態において、正極及び負極充電ガン液冷端子側に位置する断面構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施例の中の図面に合わせて、本発明の実施例の中の解決手段について、明瞭、完全な説明を行う。説明する実施例は本発明の一部の実施例であり、全部の実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創成的な労力を前提とすることなく得られた全ての他の実施例は、本発明の保護の範囲に属する。
【実施例1】
【0021】
実施例1:一種の大電力充電スタンドの正負極液冷電気ケーブルの直列冷却構造は、
図1~2に示すように、液冷電気ケーブル絶縁カバー1、及び、液冷電気ケーブル絶縁カバー1内に設けられている複数の信号線10を備える。液冷電気ケーブル絶縁カバー1内には、正極及び負極の二本の液冷ケーブルがさらに設けられている。各液冷ケーブルは、軟質導線2及び絶縁スリーブ管3から構成されている。正極液冷ケーブルの絶縁スリーブ管3は赤色であり、負極液冷ケーブルの絶縁スリーブ管3は黒色である。軟質導線2は絶縁スリーブ管3内に設けられている。軟質導線2と絶縁スリーブ管3との間に設けられている隙間は冷却液通路2.1である。
【0022】
軟質導線2は、一端が充電ガン液冷端子5に接続されており、他端が液冷電気ケーブル電極4に接続されており、充電ガン液冷端子5から液冷電気ケーブル電極4への電気的接続を確立する。軟質導線2は、軟銅撚り線及び防護ネットを含む。軟銅撚り線は、防護ネットの内部を貫通するよう、防護ネットの内部に嵌め込まれている。絶縁スリーブ管3と防護ネットとの間には、環状の冷却液通路2.1が設けられている。軟銅撚り線は、複数本の撚り線コアである。複数本の撚り線コアは、複数本の小径の錫メッキ銅単線の撚り合わせにより形成された複数本の撚り線により形成された導線である。防護ネットは、錫メッキ銅線により編成された筒状の網線である。複数の導線による撚り線を芯とすると、ケーブルの柔軟性を大きく高めることができ、湾曲するときの曲率が一箇所に集中せず、各導線に分散する。各導線の直径が小さければ小さいほど、湾曲するときに生じる応力が小さい。よって、湾曲半径の許容範囲内において塑性変形が発生しない。安定性がよく、信頼性が強く、寿命が長い特徴を有する。本発明において、軟銅撚り線及び防護ネットは、いずれも、撚り編みの網状導線である。よって、冷却液は、導線の隙間の中まで浸透可能であり、導線の表面と最大限に接触し放熱を行う。
【0023】
図3に示すように、充電ガン液冷端子5は、軸状であり、一端が電気自動車の充電ソケットに対応接続されている閉口プラグ端5.2であり、他端が大電力充電スタンドの液冷電気ケーブルの軟質導線2に対応接続されている開口接続端5.3である。冷却キャビティ5.1は、開口接続端5.3を介して冷却液通路2.1と連通する。充電ガン液冷端子5の外径中部において、突出するとともに充電ガンの本体との接続に用いられる固定ユニット5.4が設けられている。充電ガン液冷端子5の外径において、固定ユニット5.4と開口接続端5.3との間には、冷却キャビティ5.1と連通しかつ外部に突出する貫通口5.5が設けられている。正極及び負極の二本の液冷ケーブル上の二つの貫通口5.5は、絶縁接続管アセンブリ9により連通されている。貫通口5.5と絶縁接続管アセンブリ9との接続の便宜のために、正負極液冷端子の貫通口5.5には雌ねじ及び雄ねじがそれぞれ設けられている。
【0024】
軟質導線2は、充電ガン液冷端子5の一端に位置し、冷却キャビティ5.1の内壁に圧接されており、軟質導線2と充電ガン液冷端子5との電気的接続を確立する。絶縁スリーブ管3は、充電ガン液冷端子5の一端に位置し、開口接続端5.3の外部円柱面にスリーブ接続されており、クリップ11により締められている。密封性を高めるために、絶縁スリーブ管3の端部と充電ガン液冷端子5との間にポリテトラフルオロエチレン絶縁ガスケット8が設けられている。
【0025】
閉口プラグ端5.2は、電気自動車の充電ソケットと接触し電気伝導を行う部位として、通常、接触不良により大量の熱が発生する。充電ガン液冷端子5の閉口プラグ端5.2に対して冷却を行うために、冷却キャビティ5.1は閉口プラグ端5.2の内部まで延伸する。貫通口5.5の内部には湾曲管5.6が連通されている。湾曲管5.6は、冷却キャビティ5.1内に位置しており、冷却キャビティ5.1の閉口プラグ端5.2に向いて伸びている。冷却キャビティ5.1の閉口プラグ端5.2は、湾曲管5.6を介して、絶縁接続管アセンブリ9、冷却液通路2.1と連通する。このようにすると、冷却液は、閉口プラグ端5.2内部の冷却キャビティ5.1の中で流通かつ放熱を行うことができる。流通デッドゾーンが存在しないため,閉口プラグ端5.2の過熱問題を解決することができる。
図4に示すように、絶縁接続管アセンブリ9は、絶縁導管9.1、絶縁ロックナット9.2、フレアナット9.4、及び密封リング9.3を含む。絶縁導管9.1は、中空構造を有し、当該中空部分が充電ガン液冷端子5の冷却キャビティ5.1と連通している。絶縁導管9.1の両端端面に環状溝9.5が設けられている。環状溝9.5内には密封リング9.3が設けられている。絶縁導管9.1の一端は、雄ねじが設けられており、一方の充電ガン液冷端子5のねじ接続口5.7の雌ねじと接続されており、絶縁ナット9.2によりロックされる。
【0026】
絶縁導管9.1の他端は、逆テーパー構造が設けられており、フレアナット9.4の雌ねじにより、他方の充電ガン液冷端子5のねじ接続口5.7の雄ねじと接続されており、フレアナット9.4の内テーパー面と絶縁導管9.1の逆テーパー面とがプレスフィットし、密封構造を形成する。
【0027】
図5に示すように、液冷電気ケーブル電極4は、電極管路4.1を含み、電極管路4.1の両端に、電極冷却液出入口4.2及び導線接続口4.3がそれぞれ設けられている。軟質導線2は、他端が電極管路4.1の内部管壁に圧接されている。絶縁スリーブ管3は、端部が電極管路4.1の外部円柱面にスリーブ接続されており、クリップ11により締められている。冷却液通路2.1は、電極管路4.1を介して、電極冷却液出入口4.2と連通する。密封性を高めるために、絶縁スリーブ管3の端部と液冷電気ケーブル電極4との間にポリテトラフルオロエチレン絶縁ガスケット8が設けられている。
【0028】
電極冷却液出入口4.2と外部冷却システムとの接続の便宜を図るために、電極冷却液出入口4.2に冷却液出入口クイックジョイント7が接続されている。
【0029】
液冷電気ケーブル電極4と充電スタンドとの接続の便宜を図るために、液冷電気ケーブル電極4には、充電スタンドとの電気的接続に用いられる電極取付座4.4が設けられている。
【0030】
作動原理:冷却液は、純水、変圧器オイル、変圧器シリコーンオイル、フッ素化液など非導電性液体媒体であっても良い。正極と負極との直列冷却のため、冷却液は正極と負極との間で流通しており、冷却液は非導電性液体媒体である必要がある。常温地域では、純水を用いることができ、寒冷地域では冷却油を用い、冷却媒体の凍結を防止し、異なる地域での電気ケーブルの正常な作動を保障する。
【0031】
図6に示すように、冷却装置内の冷却液は、正極液冷ケーブルの液冷電気ケーブル電極4の冷却液出入口クイックジョイント7から電極管路4.1に入り、さらに冷却液通路2.1を通って正極液冷ケーブルの充電ガン液冷端子5内の冷却キャビティ5.1に入り、冷却キャビティ5.1の閉口プラグ端5.2で、湾曲管5.6を通って絶縁接続管アセンブリ9に流入する。絶縁接続管アセンブリ9内の冷却液は、負極液冷ケーブルの充電ガン液冷端子5内の湾曲管5.6を通って負極液冷ケーブルの冷却キャビティ5.1に入る。そして、負極液冷ケーブルの冷却液通路2.1を通って負極液冷ケーブルの液冷電気ケーブル電極4から流出し、冷却装置に戻る。これにより冷却液の循環が形成される。冷却液は、絶えずに循環する過程において,軟質導線2, 液冷電気ケーブル電極4,および充電ガン液冷端子5に対して冷却を行う。従って、大電力充電スタンドの大電力充電スタンドの正負極液冷電気ケーブルに,400‐600Aの作動電流を安全に流すことができる。
【実施例2】
【0032】
実施例2:実施例1で述べた一種の大電力充電スタンドの正負極液冷電気ケーブルの直列冷却構造が、実施例1と異なる技術特徴は以下の通りである。
【0033】
図7~8に示すように、大電力充電スタンドの正負極直列冷却液冷電気ケーブルにおいての二つの充電ガン液冷端子5は、冷却キャビティ5.1内にいずれも分流体6が設けられている。当該冷却キャビティ5.1は円柱状のキャビティである。当該分流体6は、軸状であり、軸の外部円柱面の中間部位において、軸の両側に、切欠沈台6.1、沈台6.2が対称となるよう設けられている。一方の軸端面に連通沈溝6.3が設けられており、当該分流体6は、連通沈溝6.3の一端を有し冷却キャビティ5.1内に挿入かつ接続されている。正負極液冷端子の二つの分流体6の沈台6.2は互いに対向となるようよう設けられている。沈台6.2と冷却キャビティ5.1とは、半円通路6.4を形成し、かつ絶縁接続管アセンブリ9と連通する。切欠沈台6.1と冷却キャビティ5.1とは、切欠通路6.6を形成する。切欠通路6.5は、冷却液通路2.1とが連通しかつ連通沈溝6.3を介して半円通路6.
4と連通する。
【0034】
冷却液は、正極の充電ガン液冷端子5の冷却液通路2.1から冷却キャビティ5.1内に入り、切欠通路6.5,半円通路6.4,絶縁接続管アセンブリ9を通って、負極の充電ガン液冷端子5の半円通路6.4内に入り、再び、切欠通路6.5を通って、負極の充電ガン液冷端子5の冷却キャビティ5.1内に入り、冷却液が正極及び負極の充電ガン液冷端子5内の流動通路を形成する。このように、同じく、冷却液が閉口プラグ端5.2内部の冷却キャビティ5.1の中を流通し放熱を行うことを実現することができる。流通デッドゾーンが存在しないため,閉口プラグ端5.2の過熱問題を解決することができる。
【0035】
以上、本発明の実施例を説明したが、当業者にとっては、本発明の原理や精神を逸脱することなく、これらの実施例に対して種々の変更、修正、置き換え、変更が可能であり、本発明の範囲は、請求の範囲及びその均等物によって限定される。
【符号の説明】
【0036】
1・・・液冷電気ケーブル絶縁カバー
2・・・軟質導線
2.1・・・冷却液通路
2.2・・・軟銅撚り線
2.3・・・防護ネット
3・・・絶縁スリーブ管
4・・・液冷電気ケーブル電極
4.1・・・電極管路
4.2・・・電極冷却液出入口
4.3・・・ワイヤー接続口
4.4・・・電極取付座
5・・・充電ガン液冷端子
5.1・・・冷却キャビティ
5.2・・・閉口プラグ端
5.3・・・開口接続端
5.4・・・固定ユニット
5.5・・・貫通口
5.6・・・湾曲管
5.7・・・接続口
6・・・分流体
6.1・・・切欠沈台
6.2・・・沈台
6.3・・・連通沈溝
6.4・・・半円通路
6.5・・・切欠通路
7・・・冷却液出入口クイックジョイント
8・・・ポリテトラフルオロエチレン絶縁ガスケット
9・・・絶縁接続管アセンブリ
9.1・・・絶縁導管
9.2・・・絶縁ロックナット
9.3・・・密封リング
9.4・・・フレアナット
9.5・・・環状溝
10・・・信号線
11・・・クリップ