(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】二酸化炭素の固定装置及び二酸化炭素の固定方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/92 20060101AFI20220518BHJP
C02F 1/42 20060101ALI20220518BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20220518BHJP
C01F 11/18 20060101ALI20220518BHJP
C01B 32/50 20170101ALI20220518BHJP
【FI】
B01D53/92 240
B01D53/92 331
C02F1/42 E ZAB
B01D53/14 200
C01F11/18 B
C01B32/50
(21)【出願番号】P 2021152352
(22)【出願日】2021-09-17
【審査請求日】2021-09-17
(31)【優先権主張番号】P 2021141061
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504103216
【氏名又は名称】日本船舶表示株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【氏名又は名称】服部 映美
(72)【発明者】
【氏名】遠山 元樹
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-504806(JP,A)
【文献】特許第6906111(JP,B1)
【文献】特開2019-217441(JP,A)
【文献】特開2011-251220(JP,A)
【文献】特開2018-114489(JP,A)
【文献】特開2012-143745(JP,A)
【文献】特表2012-513944(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0270047(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0001225(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/14-53/18
B01D 53/34-53/73
B01D 53/74-53/85
B01D 53/92、53/96
C02F 1/42
C01F 11/18
C01B 32/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿式の物理吸収により二酸化炭素を吸収液中に捕捉する捕捉容器と、
二酸化炭素が捕捉された前記吸収液を断続的に加圧する第一の加圧容器と、
前記吸収液にアルカリを注入する第一の注入ポンプと、
前記吸収液に塩化カルシウムを注入する第二の注入ポンプと、
前記捕捉容器の出口から前記吸収液を排出し、前記吸収液を前記捕捉容器の入り口に戻す循環経路と、
前記循環経路の一部を迂回して、前記第一の加圧容器を経由させる迂回経路と、
前記第一の加圧容器から取り出された前記吸収液の廃液から、炭酸カルシウムを分離回収する固液分離機と、を備える、二酸化炭素の固定装置。
【請求項2】
二酸化炭素が捕捉された前記吸収液を断続的に加圧する第二の加圧容器と、
前記第二の加圧容器から取り出された前記吸収液の廃液から、炭酸カルシウムを分離回収する固液分離機を備え、
前記第二の加圧容器が前記循環経路に設けられている、請求項1に記載の二酸化炭素の固定装置。
【請求項3】
前記第一の加圧容器と前記固液分離機との間に、前記第一の加圧容器及び前記固液分離機に接続する沈殿容器を備え、
前記沈殿容器において、前記第一の加圧容器から取り出された前記吸収液に塩化カルシウムを注入し、前記固液分離機が、前記吸収液の廃液から炭酸カルシウムを分離回収する、請求項1又は2に記載の二酸化炭素の固定装置。
【請求項4】
第一の加圧容器が、前記吸収液中のナトリウムイオン及び重炭酸イオンを分離する第一のイオン交換膜を備える、請求項
3に記載の二酸化炭素の固定装置。
【請求項5】
湿式の物理吸収により二酸化炭素を吸収液中に捕捉する捕捉容器と、
二酸化炭素が捕捉された前記吸収液を断続的に加圧する第一の加圧容器と、
前記吸収液にアルカリを注入する第一の注入ポンプと、
前記吸収液に塩化カルシウムを注入する第二の注入ポンプと、
前記捕捉容器の出口から前記吸収液を排出し、前記吸収液を前記捕捉容器の入り口に戻す循環経路と、
前記循環経路の一部を迂回して、前記第一の加圧容器を経由させる迂回経路と、を備える、二酸化炭素の固定装置を用いて、
前記第一の加圧容器から前記吸収液の廃液を取り出し、炭酸カルシウムを分離回収する、二酸化炭素の固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素の固定装置及び二酸化炭素の固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素の固定技術は、大気や排気ガスに含まれる二酸化炭素を固定する技術の総称である。湿式の物理吸収により二酸化炭素を吸収液中に捕捉し、炭酸塩として固定する技術が広く知られている。
【0003】
既存の二酸化炭素の固定技術としては、硫黄酸化物はその存在が、二酸化炭素捕獲を阻害する為、低硫黄燃料を使用し、例えば、特許文献1に開示されているように、排ガス中の酸化硫黄物濃度を充分下げてから、アルカノールアミン等の吸収液を用いた湿式スクラバにより、二酸化炭素を捕獲し、隔離する技術が主に検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
海洋船舶からの二酸化炭素の排出削減が要請されている。しかしながら、船舶上において、主エンジン又は補助エンジンの排気ガスからの二酸化炭素を固定し、回収する技術は船舶への搭載コストが膨大になることから実用化に至っていない。
【0006】
そこで、二酸化炭素を効率よく回収することができ、かつ、小さくすることができる二酸化炭素の固定装置、及び二酸化炭素の固定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を含む。
[1] 湿式の物理吸収により二酸化炭素を吸収液中に捕捉する捕捉容器と、
二酸化炭素が捕捉された前記吸収液を断続的に加圧する第一の加圧容器と、
前記吸収液にアルカリを注入する第一の注入ポンプと、
前記吸収液に塩化カルシウムを注入する第二の注入ポンプと、
前記捕捉容器の出口から前記吸収液を排出し、前記吸収液を前記捕捉容器の入り口に戻す循環経路と、
前記循環経路の一部を迂回して、前記第一の加圧容器を経由させる迂回経路と、
前記第一の加圧容器から取り出された前記吸収液の廃液から、炭酸カルシウムを分離回収する固液分離機と、を備える、二酸化炭素の固定装置。
【0008】
[2] 二酸化炭素が捕捉された前記吸収液を断続的に加圧する第二の加圧容器と、
前記第二の加圧容器から取り出された前記吸収液の廃液から、炭酸カルシウムを分離回収する固液分離機を備え、
前記第二の加圧容器が前記循環経路に設けられている、[1]に記載の二酸化炭素の固定装置。
[3] 前記第一の加圧容器と前記固液分離機との間に、前記第一の加圧容器及び前記固液分離機に接続する沈殿容器を備え、
前記沈殿容器において、前記第一の加圧容器から取り出された前記吸収液に塩化カルシウムを注入し、前記固液分離機が、前記吸収液の廃液から炭酸カルシウムを分離回収する、[1]又は[2]に記載の二酸化炭素の固定装置。
[4] 第一の加圧容器が、前記吸収液中のナトリウムイオン及び重炭酸イオンを分離する第一のイオン交換膜を備える、[3]に記載の二酸化炭素の固定装置。
【0009】
[5] 湿式の物理吸収により二酸化炭素を吸収液中に捕捉する捕捉容器と、
二酸化炭素が捕捉された前記吸収液を断続的に加圧する第一の加圧容器と、
前記吸収液にアルカリを注入する第一の注入ポンプと、
前記吸収液に塩化カルシウムを注入する第二の注入ポンプと、
前記捕捉容器の出口から前記吸収液を排出し、前記吸収液を前記捕捉容器の入り口に戻す循環経路と、
前記循環経路の一部を迂回して、前記第一の加圧容器を経由させる迂回経路と、を備える、二酸化炭素の固定装置を用いて、
前記第一の加圧容器から前記吸収液の廃液を取り出し、炭酸カルシウムを分離回収する、二酸化炭素の固定方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、二酸化炭素を効率よく回収することができ、かつ、小さくすることができる二酸化炭素の固定装置、及び二酸化炭素の固定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態の二酸化炭素の固定装置1を模式的に示す概略図である。
【
図2】
図2は、第2実施形態の二酸化炭素の固定装置2を模式的に示す概略図である。
【
図3】
図3は、第3実施形態の二酸化炭素の固定装置3を模式的に示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<<二酸化炭素の固定装置及び二酸化炭素の固定方法>>
以下、本発明を適用した実施形態である二酸化炭素の固定装置、及び、それを用いる二酸化炭素の固定方法について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の二酸化炭素の固定装置1を模式的に示す概略図である。
第1実施形態の二酸化炭素の固定装置1は、湿式の物理吸収により二酸化炭素を吸収液S中に捕捉する捕捉容器10と、二酸化炭素が捕捉された吸収液Sを断続的に加圧する第一の加圧容器11と、吸収液Sにアルカリを注入する第一の注入ポンプ13と、吸収液Sに塩化カルシウムを注入する第二の注入ポンプ14と、捕捉容器10の出口から吸収液Sを排出し、吸収液Sを捕捉容器10の入り口に戻す循環経路151~154と、循環経路151~154の一部を迂回して、第一の加圧容器11を経由させる迂回経路161~162と、第一の加圧容器11から取り出された吸収液Sの廃液から、炭酸カルシウムを分離回収する固液分離機17と、を備える。
【0014】
第1実施形態の二酸化炭素の固定装置1は、捕捉容器10の手前の循環経路154に、処理ガス導入管20及び循環ポンプ21が設けられている。処理ガス導入管20から捕捉容器10に処理ガスを導入する。捕捉容器10の直後の循環経路151に第一の注入ポンプ13が設けられており、吸収液Sにアルカリを注入する。
【0015】
処理ガス導入管20及び循環ポンプ21の設置位置は、ここに限られず、循環経路151~154のどこに設置してもよい。第一の注入ポンプ13の設置位置は、ここに限られず、循環経路151~154のどこに設置してもよく、捕捉容器10に設置してもよく、第一の加圧容器に設置してもよい。処理ガス導入管20から導入される処理ガスは、二酸化炭素を吸収処理する目的のガスであれば限定されない。
【0016】
本明細書において、アルカリとは、ナトリウムを含む薬剤を云い、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液等が挙げられる。処理ガス導入管20から導入される処理ガスは、船舶の主エンジン又は補助エンジンの排気ガスであってよく、脱硫後の排気ガスであってよい。吸収液Sにアルカリを注入することにより、吸収液Sの単位体積当たりの二酸化炭素の吸収効率を高める。
【0017】
初めに、第一の加圧容器の前後に設けられたバルブ41及びバルブ42は閉じられる。吸収液Sは、捕捉容器10、循環経路151~154の太線の経路を循環する。捕捉容器10の中のアルカリが注入された吸収液Sに処理ガスをバブリングし、湿式の物理吸収により、処理ガス中の二酸化炭素を、吸収液Sに捕捉する。
【0018】
次に、第一の加圧容器の前後に設けられたバルブ41及びバルブ42が開けられる。二酸化炭素が捕捉された吸収液Sは、捕捉容器10、循環経路151~154を循環するとともに、捕捉容器10、循環経路151、迂回経路161、第一の加圧容器11、迂回経路162、及び、循環経路154を、この順に経由して循環する。第一の加圧容器11を、二酸化炭素が捕捉された吸収液Sで満たす。
【0019】
バルブ41及びバルブ42を閉じる。第一の加圧容器11に、バルブ45を介して第二の注入ポンプ14が設けられている。第一の加圧容器11と加圧ポンプ26との間にバルブ47が設けられ、加圧ポンプ26と循環経路154との間にバルブ50が設けられている。バルブ45を開いて、第二の注入ポンプ14により吸収液Sに塩化カルシウムを注入する。バルブ47及びバルブ50を開き、循環経路154側の吸収液Sを第一の加圧容器11側に送液して、第一の加圧容器11の中で二酸化炭素が捕捉された吸収液Sを加圧する。吸収液Sを加圧することで、吸収液S中の二酸化炭素の分圧が高まり、吸収液Sに捕捉された二酸化炭素の溶存ガスが炭酸イオンに変換する反応を促進させる。
【0020】
吸収液Sに捕捉された二酸化炭素が炭酸カルシウムとして沈殿する。第一の加圧容器11には、バルブ46、バルブ53、及び、送液ポンプ27を介して、固液分離機17が設けられている。第一の加圧容器11から吸収液Sの一部を廃液として取り出し、固液分離機17により、炭酸カルシウムを分離回収する。
固液分離機17として、遠心分離機、デカンタ、濾過機等のバッチ処理方式のものを用いることができ、ベルトフィルタ等の連続処理方式のものを用いることもできる。
【0021】
第一の加圧容器11内の残液にさらに炭酸ナトリウムを添加し、減圧して溶存ガスを脱気してもよい。第一の加圧容器11の加圧に用いた加圧ポンプ26を逆向きに用いることで、第一の加圧容器11の内圧を200hPa程に減圧することができる。
【0022】
バルブ41及びバルブ42が閉じられて、密閉された第一の加圧容器11の中で、二酸化炭素が捕捉された吸収液Sを加圧、及び/又は、減圧している間も、吸収液Sは、捕捉容器10、循環経路151~154の太線の経路を循環する。吸収液Sに捕捉された二酸化炭素の溶存ガスが炭酸イオンに変換する反応は少なくとも数分要するので、吸収液Sの加圧押込みは、10分以上継続することが好ましい。この間も、上記と同じく、捕捉容器10の中の吸収液Sに処理ガスをバブリングし、湿式の物理吸収により、処理ガス中の二酸化炭素を、吸収液Sに捕捉する。
【0023】
第1実施形態の固定装置1を用いる二酸化炭素の固定方法は、上記の操作を繰り返して、吸収液Sを、捕捉容器10及び循環経路151~154の回路で循環させながら、湿式の物理吸収により、処理ガス中の二酸化炭素を、吸収液Sに捕捉する操作と、二酸化炭素が捕捉された吸収液Sを加圧して、炭酸カルシウムとして沈殿させ、炭酸カルシウムを分離回収する操作と、を同時に、効率よく実行できる。すなわち、第1実施形態の固定装置1を用いる二酸化炭素の固定方法は二酸化炭素の固定を効率よく実行できる。第一の加圧容器11の中で二酸化炭素が捕捉された吸収液Sを断続的に加圧するので、固定装置1を小さくすることができる。
【0024】
第一の加圧容器11を減圧する操作を加えることで、第1実施形態の固定装置1を用いる二酸化炭素の固定方法は、二酸化炭素の固定をより効率よく実行できる。
【0025】
第1実施形態の固定装置1の第一の加圧容器11には、バルブ52を介して第一の脱気ライン24が設けられており、必要に応じて第一の加圧容器11から脱気して、第一の加圧容器11の圧力を減じることができる。
【0026】
第1実施形態の固定装置1の第一の加圧容器11には、さらに、バルブ51及び送液ポンプ28を介して、遠心分離機22及び汚泥容器23が設けられており、必要に応じて吸収液Sからの、処理ガス中の油分や固形物質等の汚泥を除いて、汚泥を汚泥容器23に回収することができる。
【0027】
[第2実施形態]
図2は、第2実施形態の二酸化炭素の固定装置2を模式的に示す概略図である。なお、
図5以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明を省略することがある。
【0028】
第2実施形態の二酸化炭素の固定装置2は、湿式の物理吸収により二酸化炭素を吸収液S中に捕捉する捕捉容器10と、二酸化炭素が捕捉された吸収液Sを断続的に加圧する第一の加圧容器11と、二酸化炭素が捕捉された吸収液Sを断続的に加圧する第二の加圧容器12と、吸収液Sにアルカリを注入する第一の注入ポンプ13と、吸収液Sに塩化カルシウムを注入する第二の注入ポンプ14と、捕捉容器10の出口から吸収液Sを排出し、吸収液Sを捕捉容器10の入り口に戻す循環経路151~154と、循環経路151~154の一部を迂回して、第一の加圧容器11を経由させる迂回経路161~162と、第一の加圧容器11及び第二の加圧容器12から取り出された吸収液Sの廃液から、炭酸カルシウムを分離回収する固液分離機17と、を備え、第二の加圧容器12が循環経路152及び循環経路153の間に設けられている。
【0029】
第2実施形態の二酸化炭素の固定装置2は、捕捉容器10の手前の循環経路154に、処理ガス導入管20及び循環ポンプ21が設けられている。処理ガス導入管20から捕捉容器10に処理ガスを導入する。捕捉容器10の直後の循環経路151に第一の注入ポンプ13が設けられており、吸収液Sにアルカリを注入する。
【0030】
処理ガス導入管20及び循環ポンプ21の設置位置は、ここに限られず、循環経路151~154のどこに設置してもよい。第一の注入ポンプ13の設置位置は、ここに限られず、循環経路151~154のどこに設置してもよく、捕捉容器10に設置してもよく、第一の加圧容器及び第二の加圧容器に設置してもよい。
【0031】
初めに、第一の加圧容器の前後に設けられたバルブ41及びバルブ42は閉じられ、第二の加圧容器の前後に設けられたバルブ43及びバルブ44が開けられる。吸収液Sは、捕捉容器10、循環経路151~152、第二の加圧容器12、及び、循環経路153~154の太線の経路を、この順に経由して循環する。捕捉容器10の中のアルカリが注入された吸収液Sに処理ガスをバブリングし、湿式の物理吸収により、処理ガス中の二酸化炭素を、吸収液Sに捕捉する。
【0032】
次に、第二の加圧容器の前後に設けられたバルブ43及びバルブ44は閉じられ、第一の加圧容器の前後に設けられたバルブ41及びバルブ42が開けられる。第二の加圧容器12に、バルブ48を介して第二の注入ポンプ14が設けられている。第一の加圧容器11と加圧ポンプ26との間にバルブ47が設けられ、加圧ポンプ26と第二の加圧容器12との間にバルブ50が設けられている。バルブ45を開いて、第二の注入ポンプ14により、吸収液Sに塩化カルシウムを注入する。バルブ47及びバルブ50を開き、第一の加圧容器11側の吸収液Sを第二の加圧容器12側に送液して、第二の加圧容器12の中で二酸化炭素が捕捉された吸収液Sを加圧する。吸収液Sに捕捉された二酸化炭素の溶存ガスが炭酸イオンに変換する反応は少なくとも数分要するので、吸収液Sの加圧押込みは、10分以上継続することが好ましい。吸収液Sに捕捉された二酸化炭素が炭酸カルシウムとして沈殿する。第二の加圧容器12には、バルブ49、バルブ53、及び、送液ポンプ27を介して、固液分離機17が設けられている。第二の加圧容器12から吸収液Sの一部を廃液として取り出し、固液分離機17により、炭酸カルシウムを分離回収する。
【0033】
さらに、第二の加圧容器12内の残液にさらに炭酸ナトリウムを添加し、減圧して溶存ガスを脱気してもよい。第二の加圧容器12の加圧に用いた加圧ポンプ26を逆向きに用いることで、第二の加圧容器12の内圧を200hPa程に減圧することができる。
【0034】
バルブ43及びバルブ44が閉じられて、密閉された第二の加圧容器12の中で、二酸化炭素が捕捉された吸収液Sを加圧、及び/又は、減圧している間も、二酸化炭素が捕捉された吸収液Sは、捕捉容器10、循環経路151、迂回経路161、第一の加圧容器11、迂回経路162、及び、循環経路154を、この順に経由して循環する。捕捉容器10の中のアルカリが注入された吸収液Sに処理ガスをバブリングし、湿式の物理吸収により、処理ガス中の二酸化炭素を、吸収液Sに捕捉するとともに、第一の加圧容器11を、二酸化炭素が捕捉された吸収液Sで満たす。
【0035】
バルブ41及びバルブ42は閉じられ、バルブ43及びバルブ44が開けられる。第一の加圧容器11に、バルブ45を介して第二の注入ポンプ14が設けられている。バルブ45を開いて、第二の注入ポンプ14により、吸収液Sに塩化カルシウムを注入する。バルブ47及びバルブ50を開き、第二の加圧容器12側の吸収液Sを第一の加圧容器11側に送液して、第一の加圧容器11の中で二酸化炭素が捕捉された吸収液Sを加圧する。吸収液Sに捕捉された二酸化炭素の溶存ガスが炭酸イオンに変換する反応は少なくとも数分要するので、吸収液Sの加圧押込みは、10分以上継続することが好ましい。吸収液Sに捕捉された二酸化炭素が炭酸カルシウムとして沈殿する。第一の加圧容器11には、バルブ46、バルブ53、及び、送液ポンプ27を介して、固液分離機17が設けられている。第一の加圧容器11から吸収液Sの一部を廃液として取り出し、固液分離機17により、炭酸カルシウムを分離回収する。
【0036】
第一の加圧容器11内の残液にさらに炭酸ナトリウムを添加し、減圧して溶存ガスを脱気してもよい。第一の加圧容器11の加圧に用いた加圧ポンプ26を逆向きに用いることで、第一の加圧容器11の内圧を200hPa程に減圧することができる。
【0037】
バルブ41及びバルブ42が閉じられて、密閉された第一の加圧容器11の中で、二酸化炭素が捕捉された吸収液Sを加圧、及び/又は、減圧している間も、吸収液Sは、捕捉容器10、循環経路151~152、第二の加圧容器12、及び、循環経路153~154の太線の経路を、この順に経由して循環する。この間も、上記と同じく、捕捉容器10の中の吸収液Sに処理ガスをバブリングし、湿式の物理吸収により、処理ガス中の二酸化炭素を、吸収液Sに捕捉する。
【0038】
第2実施形態の固定装置2を用いる二酸化炭素の固定方法は、上記の操作を繰り返して、吸収液Sを、捕捉容器10、循環経路151~152、第二の加圧容器12、及び、循環経路153~154の回路、又は、捕捉容器10、循環経路151、迂回経路161、第一の加圧容器11、迂回経路162、及び、循環経路154の回路で、交互に、循環させながら、湿式の物理吸収により、処理ガス中の二酸化炭素を、吸収液Sに捕捉する操作と、二酸化炭素が捕捉された吸収液Sを加圧して、炭酸カルシウムとして沈殿させ、炭酸カルシウムを分離回収する操作と、を同時に、効率よく実行できる。すなわち、第2実施形態の固定装置2を用いる二酸化炭素の固定方法は二酸化炭素の固定を効率よく実行できる。
【0039】
第一の加圧容器11及び第二の加圧容器12の中で二酸化炭素が捕捉された吸収液Sを断続的に加圧するので、固定装置2を小さくすることができる。第一の加圧容器11及び/又は第二の加圧容器12を減圧する操作を加えることで、第2実施形態の固定装置2を用いる二酸化炭素の固定方法は、二酸化炭素の固定をより効率よく実行できる。
【0040】
第2実施形態の固定装置2の第一の加圧容器11には、バルブ52を介して第一の脱気ライン24が設けられており、必要に応じて第一の加圧容器11から脱気して、第一の加圧容器11の圧力を減じることができる。第二の加圧容器12には、バルブ54を介して第二の脱気ライン25が設けられており、必要に応じて第二の加圧容器12から脱気して、第二の加圧容器12の圧力を減じることができる。
【0041】
第2実施形態の固定装置2の第一の加圧容器11には、さらに、バルブ55、バルブ51及び送液ポンプ28を介して、遠心分離機22及び汚泥容器23が設けられており、必要に応じて第一の加圧容器11の吸収液Sから汚泥を除いて、汚泥を汚泥容器23に回収することができる。
【0042】
第2実施形態の固定装置2の第二の加圧容器12には、さらに、バルブ56、バルブ51及び送液ポンプ28を介して、遠心分離機22及び汚泥容器23が設けられており、必要に応じて第二の加圧容器12の吸収液Sから汚泥を除いて、汚泥を汚泥容器23に回収することができる。
【0043】
[第3実施形態]
図3は、第3実施形態の二酸化炭素の固定装置3を模式的に示す概略図である。
第3実施形態の二酸化炭素の固定装置3は、湿式の物理吸収により二酸化炭素を吸収液S中に捕捉する捕捉容器10と、二酸化炭素が捕捉された吸収液Sを断続的に加圧する第一の加圧容器11と、二酸化炭素が捕捉された吸収液Sを断続的に加圧する第二の加圧容器12と、吸収液Sにアルカリを注入する第一の注入ポンプ13と、吸収液Sに塩化カルシウムを注入する第二の注入ポンプ14と、捕捉容器10の出口から吸収液Sを排出し、吸収液Sを捕捉容器10の入り口に戻す循環経路151~154と、循環経路151~154の一部を迂回して、第一の加圧容器11を経由させる迂回経路161~162と、第一の加圧容器11及び第二の加圧容器12から取り出された吸収液Sの廃液から、炭酸カルシウムを分離回収する固液分離機17と、第一の加圧容器11と固液分離機17との間に、第一の加圧容器11及び固液分離機17に接続する沈殿容器18と、を備え、第二の加圧容器12が循環経路152及び循環経路153の間に設けられている。第一の加圧容器11が、吸収液S中のナトリウムイオン及び重炭酸イオンを分離する第一のイオン交換膜31を備え、第二の加圧容器12が、吸収液S中のナトリウムイオン及び重炭酸イオンを分離する第二のイオン交換膜32を備える。
【0044】
第3実施形態の二酸化炭素の固定装置3は、捕捉容器10の手前の循環経路154に、処理ガス導入管20及び循環ポンプ21が設けられている。処理ガス導入管20から捕捉容器10に処理ガスを導入する。捕捉容器10の直後の循環経路151に第一の注入ポンプ13が設けられており、吸収液Sにアルカリを注入する。
【0045】
処理ガス導入管20及び循環ポンプ21の設置位置は、ここに限られず、循環経路151~154のどこに設置してもよい。第一の注入ポンプ13の設置位置は、ここに限られず、循環経路151~154のどこに設置してもよく、捕捉容器10に設置してもよく、第一の加圧容器及び第二の加圧容器に設置してもよく、沈殿容器18に設置してもよい。
【0046】
初めに、第一の加圧容器の前後に設けられたバルブ41及びバルブ42は閉じられ、第二の加圧容器の前後に設けられたバルブ43及びバルブ44が開けられる。吸収液Sは、捕捉容器10、循環経路151~152、第二の加圧容器12、及び、循環経路153~154の太線の経路を、この順に経由して循環する。捕捉容器10の中のアルカリが注入された吸収液Sに処理ガスをバブリングし、湿式の物理吸収により、処理ガス中の二酸化炭素を、吸収液Sに捕捉する。
【0047】
次に、第二の加圧容器の前後に設けられたバルブ43及びバルブ44は閉じられ、第一の加圧容器の前後に設けられたバルブ41及びバルブ42が開けられる。第二の加圧容器12に、バルブ49及び沈殿容器18を介して第二の注入ポンプ14が設けられている。第一の加圧容器11と加圧ポンプ26との間にバルブ47が設けられ、加圧ポンプ26と第二の加圧容器12との間にバルブ50が設けられている。バルブ47及びバルブ50を開き、第一の加圧容器11側の吸収液Sを第二の加圧容器12側に送液して、第二の加圧容器12の中で二酸化炭素が捕捉された吸収液Sを加圧する。吸収液Sに捕捉された二酸化炭素の溶存ガスが炭酸イオンに変換する反応は少なくとも数分要するので、吸収液Sの加圧押込みは、10分以上継続することが好ましい。
【0048】
第二の加圧容器12には、第二のイオン交換膜32、バルブ49、沈殿容器18、バルブ53、及び、送液ポンプ27を介して、固液分離機17が設けられている。吸収液S中の一価のナトリウムイオン及び一価の重炭酸イオンを、第二のイオン交換膜32にて分離し、沈殿容器18において、第二の加圧容器12からバルブ49を介して取り出された吸収液Sの廃液に、第二の注入ポンプ14により重炭酸イオン濃度に応じて塩化カルシウムを注入し、炭酸カルシウムを析出させる。吸収液Sが第二のイオン交換膜32を通過する際は、沈殿容器18の出口側のバルブ53を閉じ、循環ポンプ21にて吸収液Sの廃液を沈殿容器18に押し込む。バルブ53を開け、固液分離機17が、吸収液Sの廃液から炭酸カルシウムを分離回収する。
【0049】
第3実施形態の二酸化炭素の固定装置3は、第二の加圧容器12の重炭酸イオン濃度を検知するセンサー(不図示)を有しており、重炭酸イオンの飽和濃度値付近になった時点で第二の加圧容器12内の吸収液Sを第二のイオン交換膜32により断続的に分離することができる。
【0050】
第3実施形態の二酸化炭素の固定装置3は、第二の加圧容器12が、吸収液S中のナトリウムイオン及び重炭酸イオンを分離する第二のイオン交換膜32を備えるので、第二の加圧容器12から取り出された吸収液により沈殿容器18で沈殿させて得られる炭酸カルシウムの純度を高めることができる。
【0051】
その後、沈殿容器18内の残液にさらに炭酸ナトリウムを添加し、減圧して溶存ガスを脱気してもよい。第二の加圧容器12の加圧に用いた加圧ポンプ26を逆向きに用いることで、第二の加圧容器12及び沈殿容器18の内圧を200hPa程に減圧することができる。
【0052】
第3実施形態の二酸化炭素の固定装置3は、第二の注入ポンプ14が沈殿容器18に設けられており、前記沈殿容器において、第二の加圧容器12から取り出された前記吸収液に塩化カルシウムを注入するので、第二の加圧容器12に炭酸カルシウムが析出する量を抑えることができ、炭酸カルシウムを沈殿容器18で沈殿させ、固液分離機17で炭酸カルシウムを効率よく回収できる。
【0053】
バルブ43及びバルブ44が閉じられて、密閉された第二の加圧容器12の中で、二酸化炭素が捕捉された吸収液Sを加圧、及び/又は、減圧している間も、二酸化炭素が捕捉された吸収液Sは、捕捉容器10、循環経路151、迂回経路161、第一の加圧容器11、迂回経路162、及び、循環経路154を、この順に経由して循環する。捕捉容器10の中のアルカリが注入された吸収液Sに処理ガスをバブリングし、湿式の物理吸収により、処理ガス中の二酸化炭素を、吸収液Sに捕捉するとともに、第一の加圧容器11を、二酸化炭素が捕捉された吸収液Sで満たす。
【0054】
バルブ41及びバルブ42は閉じられ、バルブ43及びバルブ44が開けられる。第一の加圧容器11に、バルブ46及び沈殿容器18を介して第二の注入ポンプ14が設けられている。バルブ47及びバルブ50を開き、第二の加圧容器12側の吸収液Sを第一の加圧容器11側に送液して、第一の加圧容器11の中で二酸化炭素が捕捉された吸収液Sを加圧する。吸収液Sに捕捉された二酸化炭素の溶存ガスが炭酸イオンに変換する反応は少なくとも数分要するので、吸収液Sの加圧押込みは、10分以上継続することが好ましい。第一の加圧容器11には、第一のイオン交換膜31、バルブ46、沈殿容器18、バルブ53、及び、送液ポンプ27を介して、固液分離機17が設けられている。吸収液S中の一価のナトリウムイオン及び重炭酸イオンを、第一のイオン交換膜31にて分離し、沈殿容器18において、第一の加圧容器11からバルブ46を介して取り出された吸収液Sの廃液に、第二の注入ポンプ14により、重炭酸イオン濃度に応じて塩化カルシウムを注入し、炭酸カルシウムを析出させる。吸収液Sが第一のイオン交換膜31を通過する際は、沈殿容器18の出口側のバルブ53を閉じ、循環ポンプ21にて吸収液Sの廃液を沈殿容器18に押し込む。バルブ53を開け、固液分離機17が、吸収液Sの廃液から炭酸カルシウムを分離回収する。
【0055】
第3実施形態の二酸化炭素の固定装置3は、第一の加圧容器11の重炭酸イオン濃度を検知するセンサー(不図示)を有しており、重炭酸イオンの飽和濃度値付近になった時点で第一の加圧容器11内の吸収液Sを第一のイオン交換膜31により断続的に分離することができる。
【0056】
第3実施形態の二酸化炭素の固定装置3は、第一の加圧容器11が、吸収液S中のナトリウムイオン及び重炭酸イオンを分離する第一のイオン交換膜31を備えるので、第一の加圧容器11から取り出された吸収液により沈殿容器18で沈殿させて得られる炭酸カルシウムの純度を高めることができる。
【0057】
その後、沈殿容器18内の残液にさらに炭酸ナトリウムを添加し、減圧して溶存ガスを脱気してもよい。第一の加圧容器11の加圧に用いた加圧ポンプ26を逆向きに用いることで、第一の加圧容器11及び沈殿容器18の内圧を200hPa程に減圧することができる。
【0058】
第3実施形態の二酸化炭素の固定装置3は、第二の注入ポンプ14が沈殿容器18に設けられており、前記沈殿容器において、第一の加圧容器11から取り出された前記吸収液に塩化カルシウムを注入するので、第一の加圧容器11に炭酸カルシウムが析出する量を抑えることができ、炭酸カルシウムを沈殿容器18で沈殿させ、固液分離機17で炭酸カルシウムを効率よく回収できる。
【0059】
バルブ41及びバルブ42が閉じられて、密閉された第一の加圧容器11の中で、二酸化炭素が捕捉された吸収液Sを加圧、及び/又は、減圧している間も、吸収液Sは、捕捉容器10、循環経路151~152、第二の加圧容器12、及び、循環経路153~154の太線の経路を、この順に経由して循環する。この間も、上記と同じく、捕捉容器10の中の吸収液Sに処理ガスをバブリングし、湿式の物理吸収により、処理ガス中の二酸化炭素を、吸収液Sに捕捉する。
【0060】
第3実施形態の固定装置3を用いる二酸化炭素の固定方法は、上記の操作を繰り返して、吸収液Sを、捕捉容器10、循環経路151~152、第二の加圧容器12、及び、循環経路153~154の回路、又は、捕捉容器10、循環経路151、迂回経路161、第一の加圧容器11、迂回経路162、及び、循環経路154の回路で、交互に、循環させながら、湿式の物理吸収により、処理ガス中の二酸化炭素を、吸収液Sに捕捉する操作と、二酸化炭素が捕捉された吸収液Sを加圧して、炭酸カルシウムとして沈殿させ、炭酸カルシウムを分離回収する操作と、を同時に、効率よく実行できる。すなわち、第3実施形態の固定装置3を用いる二酸化炭素の固定方法は二酸化炭素の固定を効率よく実行できる。
【0061】
第一の加圧容器11及び第二の加圧容器12の中で二酸化炭素が捕捉された吸収液Sを断続的に加圧するので、固定装置を小さくすることができる。第一の加圧容器11及び/又は第二の加圧容器12を減圧する操作を加えることで、第3実施形態の固定装置3を用いる二酸化炭素の固定方法は、二酸化炭素の固定をより効率よく実行できる。
【0062】
第3実施形態の固定装置3の第一の加圧容器11には、バルブ52を介して第一の脱気ライン24が設けられており、必要に応じて第一の加圧容器11から脱気して、第一の加圧容器11の圧力を減じることができる。第二の加圧容器12には、バルブ54を介して第二の脱気ライン25が設けられており、必要に応じて第二の加圧容器12から脱気して、第二の加圧容器12の圧力を減じることができる。
【0063】
第3実施形態の固定装置3の第一の加圧容器11には、さらに、バルブ55、バルブ51及び送液ポンプ28を介して、遠心分離機22及び汚泥容器23が設けられており、必要に応じて第一の加圧容器11の吸収液Sから汚泥を除いて、汚泥を汚泥容器23に回収することができる。
【0064】
第3実施形態の固定装置3の第二の加圧容器12には、さらに、バルブ56、バルブ51及び送液ポンプ28を介して、遠心分離機22及び汚泥容器23が設けられており、必要に応じて第二の加圧容器12の吸収液Sから汚泥を除いて、汚泥を汚泥容器23に回収することができる。
【0065】
本発明の二酸化炭素の固定装置及び二酸化炭素の固定方法は、第1実施形態~第3実施形態の固定装置で表されるような、1個又は2個の加圧容器を備えるものに限定されず、3個以上の加圧容器を備えることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明によれば、二酸化炭素を効率よく回収することができ、かつ、小さくすることができる二酸化炭素の固定装置、及び二酸化炭素の固定方法を提供することができるので、船舶に好適に設置して、船舶からの二酸化炭素を固定し回収する装置としての利用可能性がある。二酸化炭素の固定装置を船舶に設置することができれば、船舶からの二酸化炭素の排出削減に寄与できる。
【符号の説明】
【0067】
1…固定装置
2…固定装置
3…固定装置
10…捕捉容器
11…第一の加圧容器
12…第二の加圧容器
13…第一の注入ポンプ
14…第二の注入ポンプ
151~154…循環経路
161~162…迂回経路
17…固液分離機
18…沈殿容器
20…処理ガス導入管
21…循環ポンプ
22…遠心分離機
23…汚泥容器
24…第一の脱気ライン
25…第二の脱気ライン
26…加圧ポンプ
27…送液ポンプ
28…送液ポンプ
31…第一のイオン交換膜
32…第二のイオン交換膜
41~56…バルブ
S…吸収液
【要約】
【課題】二酸化炭素を効率よく回収することができ、かつ、小さくすることができる二酸化炭素の固定装置、及び二酸化炭素の固定方法を提供する。
【解決手段】湿式の物理吸収により二酸化炭素を吸収液S中に捕捉する捕捉容器10と、二酸化炭素が捕捉された吸収液Sを断続的に加圧する第一の加圧容器11と、吸収液Sにアルカリを注入する第一の注入ポンプ13と、吸収液Sに塩化カルシウムを注入する第二の注入ポンプ14と、捕捉容器10の出口から吸収液Sを排出し、吸収液Sを捕捉容器10の入り口に戻す循環経路151~154と、循環経路151~154の一部を迂回して、第一の加圧容器11を経由させる迂回経路161~162と、第一の加圧容器11から取り出された吸収液Sの廃液から、炭酸カルシウムを分離回収する固液分離機17と、を備える、二酸化炭素の固定装置1。
【選択図】
図1