(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20120101AFI20220518BHJP
【FI】
G06Q10/10
(21)【出願番号】P 2022027498
(22)【出願日】2022-02-25
【審査請求日】2022-02-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519259205
【氏名又は名称】株式会社コミュニティオ
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】特許業務法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荏原 靖
(72)【発明者】
【氏名】石川 暁
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 健作
(72)【発明者】
【氏名】竹田 光孝
【審査官】庄司 琴美
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-030713(JP,A)
【文献】特表2019-505878(JP,A)
【文献】特開2002-073930(JP,A)
【文献】特開2004-157747(JP,A)
【文献】特開2019-109894(JP,A)
【文献】特開2020-198073(JP,A)
【文献】特開2010-128749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
企業の従業員間のコミュニケーションに利用されるビジネスコミュニケーションツール
と、所定の商品またはサービスと交換可能な複数のデジタルギフトを提供するデジタルギフト提供システムとの通信を仲介する情報処理システムであって、
前記ビジネスコミュニケーションツールのユーザに関するユーザ情報と、当該ユーザが前記コミュニケーションの一部として他のユーザへ前記デジタルギフトを贈与する権利に関するギフト権利情報とを対応付けて記憶する記憶部と、
前記ユーザが利用するビジネスコミュニケーションツール
上で前記複数のデジタルギフトのリストを表示させ、当該ビジネスコミュニケーションツールから、
当該リスト上で当該ユーザによって選択された前記デジタルギフトの前記他のユーザへの贈与を要求するギフト贈与要求を受信した場合に、前記記憶されたギフト権利情報を基に、
前記選択されたデジタルギフト分の前記権利があるか否かを判定し、当該権利があると判定した場合に、
前記デジタルギフト提供システムへ前記デジタルギフトの発行を要求するとともに、当該発行に応じて前記ギフト権利情報を更新する制御部と
を具備する情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記ギフト権利情報は、前記ユーザが前記デジタルギフトを贈与可能な
個数、金額、期間のうち少なくとも1つを含み、
前記制御部は、前記ギフト権利情報を、前記ユーザの前記企業における勤続年数、役職、所属部署のうち少なくとも1つに応じて、前記個数、金額または期間を変更する
情報処理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の情報処理システムであって、
前記ギフト権利情報は、前記ユーザが前記デジタルギフトを贈与可能な個数、金額、期間のうち少なくとも1つを含み、
前記制御部は、前記ユーザからの所定口座への課金額に応じて、前記ギフト権利情報の前記個数、金額または期間を変更する
情報処理システム。
【請求項4】
請求項2または3に記載の情報処理システムであって、
前記制御部は、前記ユーザが利用中の前記ビジネスコミュニケーションツールの画面上で、前記デジタルギフトを贈与可能な個数、金額、期間のうち少なくとも1つを示す権利表示情報を表示させる
情報処理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理システムであって、
前記制御部は、前記ユーザからの前記ギフト贈与要求に基づいて前記デジタルギフトが贈与された場合に、当該贈与されたデジタルギフトに応じて前記権利表示情報を更新する
情報処理システム。
【請求項6】
請求項2または3に記載の情報処理システムであって、
前記制御部は、前記デジタルギフトを贈与されたユーザを、当該贈与された回数に応じて評価したユーザ評価値を算出する
情報処理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理システムであって、
前記制御部は、前記デジタルギフトを贈与されたユーザ及び前記デジタルギフトを贈与したユーザを、当該贈与された回数と当該贈与した回数の合計数に応じて評価して前記ユーザ評価値を算出する
情報処理システム。
【請求項8】
請求項6または7に記載の情報処理システムであって、
前記制御部は、前記贈与されたユーザの前記ユーザ評価値を、当該贈与されたユーザと贈与したユーザとの関係に応じて重み付けする
情報処理システム。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれかに記載の情報処理システムであって、
前記制御部は、前記ユーザの前記ユーザ評価値に応じて、当該ユーザが前記デジタルギフトを贈与可能な
個数、金額、期間のうち少なくとも1つを増加させる
情報処理システム。
【請求項10】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記制御部は、前記デジタルギフトの前記ギフト贈与要求を、前記ビジネスコミュニケーションツールによるメッセージの送信要求と共に受信し、当該メッセージの送信履歴を当該メッセージの送信元及び送信先のユーザ以外のユーザにも閲覧可能とする一方、当該デジタルギフトの贈与履歴を当該メッセージの送信元及び送信先のユーザ以外のユーザには閲覧不可とする
情報処理システム。
【請求項11】
企業の従業員間のコミュニケーションに利用されるビジネスコミュニケーションツール
と、所定の商品またはサービスと交換可能な複数のデジタルギフトを提供するデジタルギフト提供システムとの通信を仲介する情報処理方法であって、
前記ビジネスコミュニケーションツールのユーザに関するユーザ情報と、当該ユーザが前記コミュニケーションの一部として他のユーザへ前記デジタルギフトを贈与する権利に関するギフト権利情報とを対応付けて記憶し、
前記ユーザが利用するビジネスコミュニケーションツール
上で前記複数のデジタルギフトのリストを表示させ、
当該ビジネスコミュニケーションツールから、
当該リスト上で当該ユーザによって選択された前記デジタルギフトの前記他のユーザへの贈与を要求するギフト贈与要求を受信した場合に、前記記憶されたギフト権利情報を基に、
前記選択されたデジタルギフト分の前記権利があるか否かを判定し、
当該権利があると判定した場合に、
前記デジタルギフト提供システムへ前記デジタルギフトの発行を要求するとともに、当該発行に応じて前記ギフト権利情報を更新する
情報処理方法。
【請求項12】
企業の従業員間のコミュニケーションに利用されるビジネスコミュニケーションツール
と、所定の商品またはサービスと交換可能な複数のデジタルギフトを提供するデジタルギフト提供システムとの通信を仲介するプログラムであって、
情報処理装置に、
前記ビジネスコミュニケーションツールのユーザに関するユーザ情報と、当該ユーザが前記コミュニケーションの一部として他のユーザへ前記デジタルギフトを贈与する権利に関するギフト権利情報とを対応付けて記憶するステップと、
前記ユーザが利用するビジネスコミュニケーションツール
上で前記複数のデジタルギフトのリストを表示させるステップと、
当該ビジネスコミュニケーションツールから、
当該リスト上で当該ユーザによって選択された前記デジタルギフトの前記他のユーザへの贈与を要求するギフト贈与要求を受信した場合に、前記記憶されたギフト権利情報を基に、
前記選択されたデジタルギフト分の前記権利があるか否かを判定
するステップと、
当該権利があると判定した場合に、
前記デジタルギフト提供システムへ前記デジタルギフトの発行を要求するとともに、当該発行に応じて前記ギフト権利情報を更新するステップと
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビジネスコミュニケーションツールとデジタルギフト提供システムとを仲介可能な情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ユーザ間でデジタルギフトを贈るための技術が知られている。
【0003】
例えば下記特許文献1には、金融機関が提供する金融サービスを利用可能なアプリケーションにユーザがログインした後に、当該アプリケーションから所定のウェブページの表示要求を受け付けると、所定のウェブページをユーザ端末に表示させ、所定のウェブページにおいて電子ギフト購入サービスの利用要求が検出されると、電子ギフトの購入サービスを提供するウェブページをユーザ端末に表示させ、電子ギフトの購入サービスを提供するウェブページにおいて、電子ギフトの購入金額の決済要求を検出すると、金融機関システムの決済システムを利用するための認可情報を用いて、購入金額の決済要求を金融機関システムの所定のサーバに送信し、購入金額が決済されると、購入された電子ギフトに関するデータをユーザ端末に送信する、電子ギフト販売システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の電子ギフト販売システムにおいては、ユーザは電子ギフト購入サービスを提供する専用のウェブページにアクセスする必要がある。しかし、企業の従業員が他の従業員または他の企業の従業員にデジタルギフトを贈ろうと思っても、日々の業務中にわざわざ上記専用のウェブページにアクセスしてデジタルギフト購入のための処理を行うのは煩雑であり、使い勝手が良いシステムとは言えなかった。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、企業の従業員が業務中に手軽にデジタルギフトを贈れるようにすることが可能な情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る情報処理システムは、記憶部と制御部とを有する。上記記憶部は、企業の従業員間のコミュニケーションに利用されるビジネスコミュニケーションツールのユーザに関するユーザ情報と、当該ユーザが上記コミュニケーションの一部として他のユーザへデジタルギフトを贈与する権利に関するギフト権利情報とを対応付けて記憶する。上記制御部は、上記ユーザが利用するビジネスコミュニケーションツールから、上記デジタルギフトの上記他のユーザへの贈与を要求するギフト贈与要求を受信した場合に、上記記憶されたギフト権利情報を基に、上記権利があるか否かを判定し、当該権利があると判定した場合に、デジタルギフト提供システムへ上記デジタルギフトの発行を要求するとともに、当該発行に応じて上記ギフト権利情報を更新する。
【0008】
これにより情報処理システムは、各従業員のギフト権利情報を管理し、企業の従業員が業務において日常的に使用するビジネスコミュニケーションツールを介してギフト贈与要求を受け付け、それをデジタルギフト提供システムとの間で仲介することによって、企業の従業員が業務中に手軽にデジタルギフトを贈れるようにすることができる。ビジネスコミュニケーションツールとは例えばMicrosoft Teams(登録商標)やSlack(登録商標)といったグループウェア、メッセージングアプリ、グループチャットアプリ、ビジネス用のSNS(Social Networking Service)、メーラー等であるがこれらに限られない。当該情報処理システムは、1つまたは複数の情報処理装置から構成される。
【0009】
上記ギフト権利情報は、上記ユーザが上記デジタルギフトを贈与可能な件数、金額、期間のうち少なくとも1つを含んでもよい。この場合上記制御部は、上記ギフト権利情報を、上記ユーザの上記企業における勤続年数、役職、所属部署のうち少なくとも1つに応じて、上記個数、金額または期間を変更する
【0010】
これにより情報処理システムは、従業員の企業における立場等に応じてデジタルギフトを贈与する権利に差を設けることができる。
【0011】
また上記制御部は、上記ユーザからの所定口座への課金額に応じて、上記ギフト権利情報の上記個数、金額または期間を変更してもよい。
【0012】
これにより情報処理システムは、企業における立場等にかかわらずデジタルギフトを贈与したい従業員に権利を付与することができる。
【0013】
上記制御部は、上記ユーザが利用中の上記ビジネスコミュニケーションツールの画面上で、上記デジタルギフトを贈与可能な個数、金額、期間のうち少なくとも1つを示す権利表示情報を表示させてもよい。
【0014】
これにより情報処理システムは、従業員が現在有するギフト権利情報をビジネスコミュニケーションツールで容易に把握させることができる。
【0015】
上記制御部は、上記ユーザからの上記ギフト贈与要求に基づいて上記デジタルギフトが贈与された場合に、当該贈与されたデジタルギフトに応じて上記権利表示情報を更新してもよい。
【0016】
これにより情報処理システムは、デジタルギフトの贈与履歴に応じて権利表示情報の変更をビジネスコミュニケーションツール上で把握させることができる。
【0017】
上記制御部は、上記デジタルギフトを贈与されたユーザを、当該贈与された回数に応じて評価したユーザ評価値を算出してもよい。
【0018】
これにより情報処理システムは、デジタルギフトを贈与された回数が多い従業員ほど企業への貢献度が高い従業員として評価することができる。
【0019】
上記制御部は、上記デジタルギフトを贈与されたユーザ及び上記デジタルギフトを贈与したユーザを、当該贈与された回数と当該贈与した回数の合計数に応じて評価して上記ユーザ評価値を算出してもよい。
【0020】
これにより情報処理システムは、デジタルギフトを贈与された回数のみならず他の従業員を慮ってデジタルギフトを贈与するという行為も企業内においてプラスに働く行為として評価することができる。
【0021】
上記制御部は、上記贈与されたユーザの上記ユーザ評価値を、当該贈与されたユーザと贈与したユーザとの関係に応じて重み付けしてもよい。
【0022】
これにより情報処理システムは、例えば贈った従業員と贈られた従業員の関係が同僚なのか上司部下の関係なのか、同じ部署が他部署なのか等、関係の深さや立場の違い等をユーザ評価値に反映させることができる。
【0023】
上記制御部は、上記ユーザの上記ユーザ評価値に応じて、当該ユーザが上記デジタルギフトを贈与可能な件数、金額、期間のうち少なくとも1つを増加させてもよい。
【0024】
これにより情報処理システムは、高評価によるデジタルギフトを贈与する権利の獲得をインセンティブとして企業に貢献する活動をユーザに促すことができる。
【0025】
上記制御部は、上記デジタルギフトの上記ギフト贈与要求を、上記ビジネスコミュニケーションツールによるメッセージの送信要求と共に受信し、当該メッセージの送信履歴を当該メッセージの送信元及び送信先のユーザ以外のユーザにも閲覧可能とする一方、当該デジタルギフトの贈与履歴を当該メッセージの送信元及び送信先のユーザ以外のユーザには閲覧不可としてもよい。
【0026】
これにより情報処理システムは、従業員がビジネスコミュニケーションツールを利用するグループへの公開によりデジタルギフトの贈与行為を躊躇してしまうのを防ぐことができる。
【0027】
本発明の他の形態に係る情報処理方法は、
企業の従業員間のコミュニケーションに利用されるビジネスコミュニケーションツールのユーザに関するユーザ情報と、当該ユーザが上記コミュニケーションの一部として他のユーザへデジタルギフトを贈与する権利に関するギフト権利情報とを対応付けて記憶し、
上記ユーザが利用するビジネスコミュニケーションツールから、上記デジタルギフトの上記他のユーザへの贈与を要求するギフト贈与要求を受信した場合に、上記記憶されたギフト権利情報を基に、上記権利があるか否かを判定し、当該権利があると判定した場合に、デジタルギフト提供システムへ上記デジタルギフトの発行を要求するとともに、当該発行に応じて上記ギフト権利情報を更新する、ことを含む。
【0028】
本発明の他の形態に係るプログラムは、情報処理装置に、
企業の従業員間のコミュニケーションに利用されるビジネスコミュニケーションツールのユーザに関するユーザ情報と、当該ユーザが上記コミュニケーションの一部として他のユーザへデジタルギフトを贈与する権利に関するギフト権利情報とを対応付けて記憶するステップと、
上記ユーザが利用するビジネスコミュニケーションツールから、上記デジタルギフトの上記他のユーザへの贈与を要求するギフト贈与要求を受信した場合に、上記記憶されたギフト権利情報を基に、上記権利があるか否かを判定し、当該権利があると判定した場合に、デジタルギフト提供システムへ上記デジタルギフトの発行を要求するとともに、当該発行に応じて上記ギフト権利情報を更新するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明によれば、企業の従業員が業務中に手軽にデジタルギフトを贈れるようにすることができる。しかし、当該効果は本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施形態に係るデジタルギフト仲介システムの構成を示したブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る仲介サーバによる、デジタルギフト贈与権利付与処理の流れを示したフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態に係るデジタルギフト仲介システムによる、デジタルギフト送付処理の流れを示したシーケンス図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る仲介サーバによって表示されるビジネスコミュニケーションツールのタイムライン画面の例を示した図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る仲介サーバによって表示されるギフト贈与画面(マイギフト画面)の例を示した図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る仲介サーバによって表示されるギフト贈与画面の、ギフト送付時の画面遷移例を示した図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るデジタルギフト仲介システムによる、課金によるデジタルギフト贈与権利付与処理の流れを示したシーケンス図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る仲介サーバによる、ユーザ評価スコア算出処理の流れを示したフローチャートである。
【
図9】本発明の一実施形態に係る仲介サーバによる、ユーザ評価スコアに基づくギフト贈与権利付与処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0032】
[システムの構成]
図1は、本実施形態に係るデジタルギフト仲介システムの構成を示したブロック図である。
【0033】
同図に示すように、このシステムは、仲介サーバ100と、各企業の複数のユーザ端末200と、デジタルギフト提供システム300と、金融機関システム400とがインターネット50等のネットワークを介して接続されて構成されている。
【0034】
ユーザ端末200は、企業の従業員であるユーザにより利用される端末であり、例えばノートブックPC(Personal Computer)、デスクトップPC、スマートフォン、タブレットPC等である。またユーザ端末200のユーザは、金融機関システム400を運営する金融機関に口座を有しているものとする。
【0035】
ユーザ端末200は、通信装置21を有する。通信装置21は、例えばEthernet用のNIC(Network Interface Card)や無線LAN等の無線通信用の各種モジュールであり、仲介サーバ100や金融機関システム400との間の通信処理を担う。また図示しないがユーザ端末200は、その他演算装置、記憶装置、入力装置、出力装置といったコンピュータとしての動作に必要なハードウェアを備えている。
【0036】
ユーザ端末200には、各企業の従業員同士が業務におけるコミュニケーションのために利用するビジネスコミュニケーションツール22(以下単にビジネスツール22とも称する)がインストールされている。
【0037】
ビジネスコミュニケーションツール22とは例えばMicrosoft Teams(登録商標)やSlack(登録商標)といったグループウェア、メッセージングアプリ、グループチャットアプリ、ビジネス用のSNS(Social Networking Service)、メーラー等であるがこれらに限られない。本実施形態では、ビジネスツール22の一例としてMicrosoft Teams(登録商標)が使用される例を説明する。
【0038】
本実施形態のビジネスツール22は、登録された従業員グループ間におけるチャット・通話機能、ビデオ会議機能、ファイル共有機能を有するほか、グループの従業員宛に、お礼、お祝い、賞賛といった各種の気持ちを示すステッカーとメッセージとがセットになったサンクスカード(以下、単にステッカーとも称する。)を投稿する機能をプラグインとして有する。このステッカーの投稿履歴はタイムライン上で閲覧可能となっている。
【0039】
そしてこのステッカーの投稿時においては、各従業員は任意で、ステッカーの宛先の従業員へデジタルギフトを贈与することが可能となっている。
【0040】
各ユーザ端末200のビジネスツール22は、各企業のビジネスツールシステム210によって管理されている。ビジネスツールシステム210は、各従業員の氏名、役職、入社年月日、所属部署、勤務体系等の従業員情報を管理するほか、各従業員がビジネスツール22を利用するためのアカウント情報を管理する。ビジネスツールシステム210によって管理され各ユーザ端末200へインストールされるビジネスツール22の数はもちろん1つに限られない。
【0041】
デジタルギフト提供システム300は、デジタルギフトを販売する企業によって運営されるサーバ等のコンピュータであり、図示しないが、演算装置、通信装置、記憶装置といったハードウェアを有する。
【0042】
デジタルギフト提供システム300は、各種のデジタルギフトを管理し、ユーザ端末200からの要求に応じて、当該ユーザ端末200のユーザが他のユーザへ贈与するデジタルギフトを発行する。
【0043】
デジタルギフトは、例えばコンビニエンスストア、レストラン、ネットショップ、その他各種小売店、デリバリーサービス、旅行予約サービス等の特定または不特定の商品についての割引や購入、所定のサービスの提供を受けられるデジタルクーポン等であるが、これに限られない。
【0044】
仲介サーバ100は、上記ユーザ端末200の利用するビジネスツール22と、デジタルギフト提供システム300とを仲介するサーバであり、企業の各従業員が他の従業員へデジタルギフトを贈与する権利(以下、単にギフト権利とも称する)を管理している。
【0045】
仲介サーバ100は、上記ギフト権利に基づいてユーザ端末200から要求されたギフト贈与要求に応じて、デジタルギフト提供システム300へデジタルギフトの発行を要求し、発行されたデジタルギフトまたはそのURL(Uniform Resource Locator)を贈与先のユーザへ送信する。
【0046】
仲介サーバ100は、通信装置11、演算装置12、記憶装置13の各種ハードウェアを有する。また図示しないが、仲介サーバ100は、その他入力装置(マウス、キーボード、タッチパネル等)や出力装置(例えばLCD(Liquid Crystal Display)、OELD(Organic ElectroLuminescence Display)、CRT(Cathode Ray Tube)等を用いた表示デバイス)を有する。
【0047】
通信装置11は、上記NICや無線LAN等の無線通信用の各種モジュールであり、ユーザ端末200やデジタルギフト提供システム300との間の通信処理を担う。
【0048】
演算装置12は、CPU(Central Processing Unit)等であり、各種演算処理を行いながら仲介サーバ100の各ブロック全体を統括的に制御する。
【0049】
記憶装置13は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や、フラッシュメモリ(SSD;Solid State Drive)、その他の固体メモリ等の不揮発性メモリである。当該記憶装置13には、OS(Operating System)や各種プログラム、各種データが記憶される。
【0050】
特に本実施形態では、記憶装置13は、各従業員のギフト権利を管理し、ビジネスツール22とデジタルギフト提供システム300とを仲介してデジタルギフトを送付するためのプログラムやデータを記憶している。
【0051】
演算装置12は、上記ギフト権利の管理及びデジタルギフトの送付に必要な処理を実行するための機能ブロックとして、投稿管理部121、ユーザ情報取得部122、ギフト権利管理部123、ギフト贈与処理部124、デジタルギフト送付部125、及び評価スコア算出部126を有する。
【0052】
また記憶装置13は、上記演算装置12の各機能ブロックが処理したデータを蓄積し、または当該処理において参照されるデータベースとして、投稿履歴データベース131、ギフト権利情報データベース132、ギフト贈与履歴データベース133、及び評価スコアデータベース134を有する。
【0053】
投稿管理部121は、各従業員によって投稿された上記ステッカーに関する投稿履歴情報(投稿日時、投稿ユーザ、投稿ステッカー、投稿メッセージ等)を投稿履歴データベース131により記憶・管理する。
【0054】
ユーザ情報取得部122は、各従業員へのギフト権利付与処理を実行する際に上記ビジネスツールシステム210から従業員情報(役職、所属部署、入社年月日等)を取得する。
【0055】
ギフト権利管理部123は、各従業員へ付与されたギフト権利に関する情報(個数、金額、有効期限等)を、上記各従業員のユーザ情報(ユーザ名、ユーザID等)と対応付けて、ギフト権利情報データベース132により記憶・管理する。
【0056】
ギフト贈与処理部124は、各従業員の上記ギフト権利に基づいてデジタルギフト提供システム300へ贈与対象のデジタルギフトの発行を要求し、その贈与履歴情報(贈与元ユーザ、贈与先ユーザ、贈与ギフト等)をギフト贈与履歴データベース133により記憶・管理する。
【0057】
デジタルギフト送付部125は、デジタルギフト提供システム300から発行されたデジタルギフトまたはそのURLを贈与先のユーザへ送信する。
【0058】
評価スコア算出部126は、上記デジタルギフトの受贈履歴を基に各従業員のユーザ評価スコアを算出し、それを評価スコアデータベース134により記憶・管理する。
【0059】
[システムの動作]
次に、以上のように構成されたデジタルギフト仲介システムの動作について説明する。当該動作は、仲介サーバ100の通信装置11、演算装置12等のハードウェアと、記憶装置13に記憶されたソフトウェアとの協働により実行される。以下の説明では、便宜上、演算装置11の上記各機能ブロックを主な動作主体とする。
【0060】
(ギフト権利付与処理)
まずギフト権利の付与処理について説明する。
図2は、仲介サーバ100による、ギフト権利付与処理の流れを示したフローチャートである。
【0061】
同図に示すように、仲介サーバ100のユーザ情報取得部122は、該当企業のビジネスツールシステム210へ、ギフト権利付与対象の従業員(ユーザ)のユーザ(従業員)情報の取得要求を送信する(ステップ21)。当該ユーザ情報取得要求は、例えば対象ユーザのユーザIDを含む。
【0062】
続いてユーザ情報取得部122は、上記ユーザ情報取得要求に応答してビジネスツールシステム210から送信されたユーザ情報を取得する(ステップ22)。
【0063】
ここで取得されるユーザ情報は、例えば、入社年度、勤続年数、役職(役員、部長、課長、係長等)、職位(統括、事業部長、所長、室長、テーマリーダー等)、所属組織、部署等の情報であるが、これらに限られない。
【0064】
続いて仲介サーバ100のギフト権利管理部123は、上記取得したユーザ情報を基に、対象ユーザのギフト権利の個数・金額・期間(有効期限)を算出する(ステップ23)。
【0065】
すなわち、ギフト権利管理部123は、入社年度または勤続年数が長いほど、また役職、職位、または等級が上位のユーザほど、付与されるギフト権利の個数を多く設定し、また使用可能な金額(ギフト1個当たりの単価)の上限を高く設定する。具体的には、ギフト権利管理部123は、予め設定されたギフト権利の基本個数及び基本額に、上記勤続年数や役職等に応じて設定された係数を乗じることでギフト権利の個数や金額を算出してもよい。
【0066】
またギフト権利管理部123は、特定の部署に所属している社員にのみ、ギフト権利を付与してもよい(部署予算でギフト権利を付与するケース)。
【0067】
またギフト権利の期間については、主に以下の3つのユースケースが考えられる。
(1)ギフト権利が付与される時期が決まっているケース(例:4月に付与)
(2)ギフト権利が付与されるタイミングが決まっていて、年に複数回付与されるケース(例:4月と10月に付与)
(3)ギフト権利が付与されるタイミングが決まっていないケース(キャンペーン、施策に応じて都度付与される)
【0068】
したがってギフト権利管理部123は、上記(1)~(3)によりギフト権利の付与タイミングが到来したこと、またはキャンペーン等が発生したことをトリガとしてギフト権利付与処理を開始する。
【0069】
またギフト権利管理部123は、ギフト権利の付与時期とは別に期間(有効期限)を設定する。ギフト権利がユーザに付与されていたとしても、その有効期限前は使用できない(例:4月に付与されていても、利用可能なのは5月から)。
【0070】
またギフト権利管理部123は、ギフト権利の有効期限を例えば付与後1か月間等、どのユーザにも一律に設定してもよいし、上記勤続年数や役職等に応じた長さに設定してもよい。有効期限が経過するとそのギフト権利は失効し使用不可となる。
【0071】
一方でギフト権利管理部123は、上記入社年度や役職等にかかわらずギフト権利の条件を全従業員で同一としても構わない。
【0072】
ギフト権利管理部123は、上記算出したギフト権利の情報(個数、金額、期間(有効期限))をユーザID等と対応付けて上記ギフト権利情報データベース132に格納し管理する(ステップ24)。
【0073】
ユーザ情報取得部122及びギフト権利管理部123は、以上の処理を対象ユーザ毎に繰り返す。
【0074】
なお上記ギフト権利の個数、単価、期間、および、付与対象となるデジタルギフトの商品種別については、上記権利付与後においても、企業のシステム管理者による管理画面上での入力により変更可能である。
【0075】
このように、各企業は例えば福利厚生の一環としてギフト権利を各従業員に付与することができ、また当該ギフト権利をインセンティブとしてビジネスツール22上での従業員間のコミュニケーションをより活発化することができる。
【0076】
(デジタルギフト送付処理)
次に上記ギフト権利の送付(贈与)処理について説明する。
図3は、仲介システムによる、デジタルギフト送付処理の流れを示したシーケンス図である。
【0077】
同図に示すように、まずユーザ端末200(贈与側)は、ビジネスツール22からの指示に基づき仲介サーバ100へデジタルギフト贈与要求を送信する(ステップ31)。当該デジタルギフト贈与要求は、デジタルギフトのID、名称、金額等、贈与要求対象のデジタルギフトを特定する情報を含む。また後述するが、当該デジタルギフト贈与要求は、上記ステッカーの送信要求と共に送信される。
【0078】
仲介サーバ100のギフト贈与処理部124は、ユーザ端末200から当該デジタルギフト贈与要求を受信すると(ステップ32)、ギフト権利情報データベース132を参照して、ギフト贈与要求の送信元のユーザが贈与可能なデジタルギフトの個数、単価、期間を判定する(ステップ33)。
【0079】
一例として、そのユーザのギフト権利の残数が0個の場合は贈与不可と判定する(個数で不可)。
【0080】
別の例として、ギフト権利の残数が1個以上あるが、設定単価(例えば500円)を超えた贈与要求の場合、贈与不可と判定する(単価で不可)。
【0081】
別の例として、ギフト権利の残数が1個以上あり、設定単価(例えば500円)の範囲内だが、贈与可能な期間が来月から開始する場合、贈与不可と判定する(期間で不可。有効期限前の贈与は不可)。
【0082】
別の例として、ギフト権利の残数が1個以上あり、設定単価(例えば500円)の範囲内だが、贈る期間が先月までで終了している場合、贈与不可と判定する(期間で不可。有効期限後の贈与は不可)。
【0083】
別の例として、ギフト権利の残数が1個以上あり、設定単価(例えば500円)の範囲内で、贈与可能期間内であれば、贈与可と判定する。
【0084】
ギフト贈与処理部124は、上記によりギフト贈与可と判定した場合、デジタルギフト提供システム300へ、上記デジタルギフトID等を含むデジタルギフト発行処理要求を送信する(ステップ34)。ギフト贈与不可と判定した場合には、その理由と共にギフト贈与不可をユーザ端末200へ通知する。
【0085】
デジタルギフト提供システム300は、仲介サーバ100からデジタルギフト発行処理要求を受信すると、デジタルギフト発行処理を行う(ステップ35)。すなわち、当該デジタルギフト発行処理要求に含まれるデジタルギフトIDに対応するデジタルギフトを店舗等で利用するためのコード情報等を生成し、対応する金額について、予め設定された手法で決済を実行する。そしてデジタルギフト提供システム300は、当該デジタルギフトの発行情報仲介サーバ100へ送信する(ステップ36)。
【0086】
ギフト贈与処理部124は、デジタルギフト提供システム300からデジタルギフト発行情報を受信すると、それをギフト贈与履歴データベース133へ格納する(ステップ37)。またこのときギフト権利管理部123は、贈与側のユーザのギフト権利情報を、ギフト権利を1個減じるように更新する。
【0087】
そしてデジタルギフト送付部125は、上記デジタルギフト発行情報に基づいてデジタルギフトをユーザ端末200(受贈側)へ送信する(ステップ38)。
【0088】
ここで、ビジネスツール22上でのデジタルギフト贈与処理のためのユーザインタフェースについて説明する。
【0089】
上述のように、ビジネスツール22ではステッカーの投稿履歴をタイムラインとして閲覧可能となっているが、デジタルギフト贈与要求のためのユーザインタフェースもこのタイムライン上に設けられている。
【0090】
すなわち、
図4に示すように、ビジネスツール22上では例えば左端に各種画面のタブ選択のためのアイコンが設けられており、そのうちステッカーアイコン41が選択されると、同図に示すようなステッカー投稿履歴のタイムライン画面40が表示される。
【0091】
当該タイムライン画面40上には、ステッカー投稿履歴41が上下に一覧表示され、また新規にステッカーを投稿するためのステッカー投稿ボタン42が上部に表示されるほか、例えばこの画面の左上に、各ユーザのデジタルギフトに関する情報を表示するマイギフトページへのリンクが設定されたマイギフトアイコン43が表示される。
【0092】
ユーザが当該マイギフトアイコン43を押下すると、
図5に示すようなマイギフトページが表示される。
【0093】
同図に示すように、当該マイギフトページは、各ユーザのギフト権利を示すギフト権利表示情報51と、これまでのデジタルギフト授受履歴を示すギフト履歴情報52を有する。
【0094】
ギフト権利表示情報51は、例えば、各ユーザに付与されたギフト権利の期間(有効期限)毎に、当該ギフト権利の個数をギフトアイコン53の数で示したものである。各ユーザのギフト権利の単価については、贈与可能なデジタルギフトリスト(後述)が表示される際に、当該単価以下のデジタルギフトしか表示されないことで、間接的にユーザに把握される。もちろん、ユーザのギフト権利の単価がマイギフトページ上に表示されていてもよい。
【0095】
図6は、当該マイギフトページ上からデジタルギフト贈与処理が実行される場合の画面遷移例を示した図である。
【0096】
同
図Aに示すように、ユーザ端末200のユーザが、マイギフトページのギフト権利表示情報51内のいずれかのギフトアイコン53をクリックすると、贈与可能なデジタルギフトリスト54が表示される。デジタルギフトリスト54は、例えばデジタルギフトの商品名、店舗名、金額、写真等からなるギフト欄が例えば上下方向に並んで構成される。
【0097】
続いて同
図Bに示すように、ユーザが上記デジタルギフトリスト54上からいずれかのギフトをクリックで選択すると、ステッカー送付画面55が表示される。当該ステッカー送付画面55は、ステッカーと共に送信されるメッセージの入力欄と共に、上記選択されたデジタルギフトの情報が表示される。
【0098】
そして当該ステッカー送付画面55上でユーザがステッカーを選択し、メッセージを入力して、「おくる」ボタン56をクリックすると、上述のようにデジタルギフト提供システム300へデジタルギフト発行要求が送信され、受贈側のユーザ端末200へデジタルギフトが送信される。
【0099】
そして同
図Cに示すように、デジタルギフトの送信が完了すると、ギフト権利管理部123は、上記ギフト権利表示情報51を更新する。すなわち、ギフト権利表示情報51に表示されていた対応するギフトアイコン53を削除し、代わりに例えば「済」といった画像を表示させる。ギフトアイコン53を削除するのみで代わりの画像は表示させなくてもよい。これによりユーザは自身のギフト権利が1個減ったことを容易に把握できる。また投稿管理部121は、ギフト履歴情報52上に、当該デジタルギフト付きのステッカーの送信履歴を新たに掲載させる。
【0100】
さらに、受贈側のユーザ端末200のビジネスツール22のマイギフトページ上のギフト履歴情報52上には、上記デジタルギフトとともに送信されたステッカーの受信履歴が新たに表示されるとともに、当該デジタルギフトに対するリアクションが可能なリアクションボタンが表示される。そして当該リアクションボタンを受贈側のユーザがクリックすることで、それがリアクション情報として仲介サーバ100へ送信され、同
図Cに示すように、投稿管理部121により、対応するギフト履歴情報52内のステッカー送信履歴上に、受贈側のユーザからのデジタルギフトの贈与に対するリアクションを示すリアクションアイコン58が表示される。
【0101】
また投稿管理部121は、上記ステッカーの投稿履歴を、ステッカーの送信元及び送信先のユーザ以外のビジネスツール22のグループ内のユーザにタイムライン上で閲覧可能に管理する一方で、デジタルギフトの授受履歴については、その贈与元及び贈与先の各ユーザの上記マイギフトページのギフト履歴情報52でのみ閲覧可能で、その他のグループ内のユーザには閲覧不可に管理する。これにより、各従業員がデジタルギフトを贈与する行為を、それがグループ内のユーザに公開されることで躊躇してしまうのを防ぐことができる。
【0102】
(課金によるギフト権利付与処理)
上述の例では、各従業員の勤続年数や役職等によってギフト権利の個数や単価が異なる例を説明したが、それに加えて、各従業員が課金によりギフト権利を増やすことも可能である。
図7は、デジタルギフト仲介システムによる、課金によるデジタルギフト贈与権利付与処理の流れを示したシーケンス図である。
【0103】
同図に示すように、まずユーザ端末200は、例えばビジネスツール22の上記マイギフトページに設けられたギフト権利取得ボタン(図示せず)等を介して、仲介サーバ100へギフト権利取得要求を送信(ステップ41)。当該ギフト権利取得要求は、例えば、取得を希望するギフト権利の単価及び個数(例えば500円/個×4個)を示す情報を含む。
【0104】
仲介サーバ100のギフト権利管理部123は、当該ギフト権利取得要求を受信すると(ステップ42)、ユーザが取得を希望するギフト贈与権利の価格(課金額)を算出する(ステップ43)。上述の例であれば、500×4=2000円と算出される。
【0105】
続いてギフト権利管理部123は、金融機関システム400へ当該取得要求の送信元のユーザの登録口座の上記算出額分の減額処理の要求を送信する(ステップ44)。
【0106】
金融機関システム400は、当該減額処理要求を受信すると上記ユーザの登録口座減額処理を実行し(ステップ45)、減額処理結果を仲介サーバ100へ送信する(ステップ46)。
【0107】
ギフト権利管理部123は、当該減額処理結果を受信すると(ステップ47)、対応するギフト贈与権利情報をギフト贈与権利データベース132へ格納する(ステップ48)。上述の例の場合、上記課金額2000円に応じて、500円のギフト権利が4個増加するようにギフト権利情報が更新される。またギフト権利管理部123は、上記マイギフトページのギフト権利表示情報51上に、4個のギフトアイコンを新たに表示させる。
【0108】
なお課金に基づいて付与されるギフト権利には期間(有効期限)は設定されないか、または企業から無償で付与されるギフト権利の期間(例えば数週間、1か月等)と比較して長い期間(数か月、1年等)が設定される。
【0109】
そしてギフト権利管理部123は、取得要求元のユーザ端末200へ、ギフト権利が取得できたことを示すギフト権利取得結果を送信する(ステップ49)。
【0110】
このように、ユーザからの登録口座への課金額に応じて、ギフト権利情報の個数、単価または期間を変更することで、従業員の企業における立場等にかかわらず、例えば企業から無償で付与されたギフト権利を使い切った場合等でも、他の従業員にデジタルギフトを贈与したい従業員にギフト権利を付与することができる。
【0111】
ここで、上記ギフト権利管理部123は、企業から無償で付与されたギフト権利と、従業員の課金により付与されたギフト権利とを別個に取り扱い、上記マイギフトページ上でも、両者(のギフトアイコン53)をその領域を区別して表示する。一方、これに代えてギフト権利管理部123は、無償で付与されたギフト権利をグレードアップする(例えば金額を増加したり期間を長くしたりする)ために従業員からの課金を受け付けてもよい。
【0112】
また従業員による課金額の支払については、上述のように上記金融機関システム400に各従業員が有する登録口座(またはクレジットカード)から支払われてもよいし、従業員の給与から天引きされてもよい。
【0113】
またギフト権利管理部123は、上記登録口座とは別に、電子マネー用のウォレットを各従業員に設定し、マイギフトページ上で当該ウォレットに課金・残額確認できるようにしてもよい。
【0114】
この場合、従業員がウォレットに例えば1800円を課金したとすると、マイギフトページのウォレット残額には1800円が表示される。この状態で従業員は、例えば500円/個×3個=1500円のギフト権利の購入を要求すると、ウォレットから1500円が減額される。そしてマイギフトページのギフト権利表示情報51の課金領域には、購入した3個のギフト権利を示す3個のギフトアイコン53が表示され、ウォレット残額として300円が表示される。なお、ウォレットには、従業員が課金するのみならず、企業から福利厚生の一環として、例えば定期的に所定金額の電子マネーが課金されてもよい。また電子マネーとしてではなくポイントとして課金され、当該ポイントと電子マネーとの換算率が設定されており、各従業員は当該ポイントでギフト権利を購入してもよい。
【0115】
(ユーザ評価スコア算出処理)
本実施形態において、仲介サーバ100は、上記デジタルギフトのトラフィックデータに基づいてユーザを評価することが可能である。具体的には、仲介サーバ100は、デジタルギフトを贈与されたユーザを、当該贈与された回数に応じて評価したユーザ評価スコアを算出する。
図8は、仲介サーバ100による、ユーザ評価スコア算出処理の流れを示したフローチャートである。
【0116】
同図に示すように、仲介サーバ100の評価スコア算出部126はまず、ギフト贈与履歴データベース133から、対象ユーザについて、一定期間(例えば半年、1年等)内の贈与履歴を取得する(ステップ51)。当該取得のタイミングは、例えば半期終了時点、年度末時点等であるがこれに限られない。
【0117】
続いて評価スコア算出部126は、上記取得したギフト贈与履歴からユーザの評価スコアを算出する(ステップ52)。
【0118】
そしてスコア算出部126は、算出したユーザ評価スコアを評価スコアデータベース134へ格納する(ステップ53)。
【0119】
評価スコア算出部126は、以上の処理を対象ユーザ毎に繰り返す。
【0120】
ここで、評価スコアの算出処理の詳細について説明する。
【0121】
評価スコアの算出に際して管理すべきデータは、どのユーザからどのユーザに対して、何件のデジタルギフトが贈られたかである。これらのデータは、一定期間でリセットされてもよい(例えば、半期ごとにリセット、年度末リセット等)し、累積で詰み上がってもよい(いずれの場合も、ギフト贈与履歴データベース133のデータ自体は削除されない)。
【0122】
それぞれのデジタルギフトが贈られた件数は、デジタルギフトの受贈者が、「他者をサポートした」、「組織に貢献した」等の良い行動をした結果とみなす。また、そのような行動の背景には、その受贈者の「協調性」、「社会性」、「人望(徳)」等の目に見えない特性があったものとみなす。
【0123】
したがって評価スコア算出部126は、デジタルギフトを贈られた件数が多いユーザほど、好ましい行動、特性を行う人物ということと分析(意味づけ、評価)し、デジタルギフトを贈られた件数が多いユーザほど、そのユーザ評価スコアを高くする一方、単純に件数のみで評価するのではなく、好ましい行動、特性の項目に応じて異なる重みを付与してもよい。
【0124】
例えば、他者をサポートしたことによってデジタルギフトを贈られたと判断できる場合には、贈られた件数に係数0.8を掛ける一方で、その人の人望によってデジタルギフトを贈られたと判断できる場合には、贈られた件数に係数0.3を掛けてもよい。
【0125】
これは、他者をサポートしたという行為は事実として明らかな評価項目である一方で、人望はすぐに判別できる評価項目ではないため、前者に比べて後者はユーザ評価スコアとして溜まりにくくなるように、その係数を小さくしたものである。すなわち、評価項目としてじっくりと見極めるべきものほど、ユーザ評価スコアが溜まりにくくなるように係数を設定することができる。
【0126】
ここで、他者をサポートしたことによってデジタルギフトを贈られたのか、人望によってデジタルギフトを贈られたのかといった行動や特性については、当該デジタルギフトと共に送信されたステッカー及びメッセージを参照、解析することで判別可能である。
【0127】
また評価スコア算出部126は、同じユーザがデジタルギフトを贈られた場合でも、そのデジタルギフトが、贈り主が課金により購入したギフト権利に基づく場合には、贈り主に企業から無償で付与されたギフト権利に基づく場合よりも、ユーザ評価スコアを高く算定してもよい(例えば無償で付与されたギフト権利に基づくギフトが1に対して課金により付与されたギフト権利に基づくギフトは2と重みを付与する)。
【0128】
さらに、評価スコア算出部126は、デジタルギフトを贈与されたユーザのユーザ評価スコアを、当該贈与されたユーザと贈与したユーザとの関係に応じて重み付けしてもよい。
【0129】
すなわち、評価スコア算出部126は、デジタルギフトの贈与者と受贈者の役職、勤続年数、部署等の情報を基に、デジタルギフトを贈与されたユーザに対して、贈与したユーザが、上司なのか、部下なのか、同僚なのか、同じ部署か異なる部署か、等に応じて上記係数を異ならせてもよい。
【0130】
より具体的には、例えば、デジタルギフトの送り主が、デジタルギフトを贈られたユーザをいつも見ている直属の上司であれば高い係数(=評価が高くなる)、異なる部署の上司であれば少し低めの係数としたり、贈り主が同僚の場合は、贈り主が上司や部下の場合よりも係数を高くしたりすることが可能である。
【0131】
これらユーザの行動、特性に関する項目は任意で設定可能であり、また係数も任意で設定可能である。また評価スコア算出部126は、各ユーザのマイギフトページ上でそのユーザ自身のユーザ評価スコアを表示させてもよいし、企業のシステム管理者については全従業員のユーザ評価スコアを閲覧可能であってもよい。
【0132】
(評価スコアに基づくギフト権利付与処理)
仲介サーバ100は、上記算出したユーザ評価スコアを、ギフト権利として還元することも可能である。すなわち仲介サーバ100は、ユーザ評価スコアに応じて、各ユーザがデジタルギフトを贈与可能な件数、金額、期間のうち少なくとも1つを増加させてもよい。
図9は、仲介サーバ100による、ユーザ評価スコアに基づくギフト権利付与処理の流れを示したフローチャートである。
【0133】
同図に示すように、仲介サーバ100のギフト権利管理部123はまず、評価スコアデータベース134から、対象ユーザについて、一定期間(半期、1年等)内のユーザ評価スコアを取得する(ステップ61)。
【0134】
続いてギフト権利管理部123は、上記取得したユーザ評価スコアから、ギフト権利を算出する(ステップ62)。
【0135】
そしてギフト権利管理部123は、算出したギフト贈与権利情報をギフト権利情報データベース132へ格納し、上記マイギフトページ上のギフト権利表示情報51を更新する(ステップ63)。
【0136】
ギフト権利管理部123は、以上の処理を対象ユーザ毎に繰り返す。
【0137】
ここで、上記ユーザ評価スコアに基づくギフト権利算出処理の詳細について説明する。
【0138】
ギフト権利管理部123は、上記ユーザ評価スコアとして評価するユーザの好ましい行動、特性それぞれに閾値を設定し、ユーザ評価スコアが当該閾値を上回った場合にギフト権利を付与してもよい(例えば、好ましい行動、特性それぞれ、ユーザ評価スコア20ポイントごとに1個のギフト権利を付与)。
【0139】
また当該閾値を上回るごとにギフト権利が付与されてもよい(ユーザ評価スコア20ポイントで1個付与、40ポイントで2個付与)。または、複数の閾値が設定されユーザ評価スコアが各閾値を上回ると対応するギフト権利が付与されてもよい(20ポイントで1個付与、100ポイントで10個付与等)。
【0140】
またギフト権利管理部123は、好ましい行動、特性の合計値に閾値を設定し、ユーザ評価スコアが当該閾値を上回った場合にギフト権利を付与してもよい。
【0141】
なおユーザ評価スコアに基づいて付与されるギフト権利については、付与限度数が設定されていてもよい(例えば年間で最大20個/ユーザ等)。
【0142】
またギフト権利管理部123は、上記閾値を用いたギフト権利付与手法に代えて、各ユーザのユーザ評価値をそのままポイントとして扱い、上記マイギフトページ上で、ユーザの要求に応じて、所定のポイントごとにギフト権利とポイントとを交換可能としてもよい(例えば20ポイントで1個のギフト権利と交換可)。この場合も交換可能なギフト権利の限度数が設定されていてもよい(例えば年間で最大20個/ユーザ等)。
【0143】
またギフト権利管理部123は、個数のみならず単価の異なる複数のギフト権利を、上記ポイントに応じて交換可能としてもよい(20ポイントで250円×1個のギフト権利付与、40ポイントで250円×2個または500円×1個のギフト権利付与等)。
【0144】
このように仲介サーバ100は、ユーザ評価スコアをギフト権利としてユーザに還元することで、ユーザに、高評価によるギフト権利の獲得をインセンティブとして企業に貢献する活動(好ましい行動、特性)を促すことができる。
【0145】
[まとめ]
以上説明したように、本実施形態によれば、仲介サーバ100は、企業の各従業員のギフト権利情報を管理し、企業の従業員が業務において日常的に使用するビジネスコミュニケーションツールを介して他の従業員へのギフト贈与要求を受け付け、それをデジタルギフト提供システム400との間で仲介することによって、従業員が業務中に手軽にデジタルギフトを贈れるようにすることができる。
【0146】
[変形例]
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更され得る。
【0147】
上述の実施形態では、デジタルギフトはステッカーと共に送信される例が示されたが、ステッカーとは独立して贈与可能であってもよい。
【0148】
上述の実施形態では、仲介サーバ100は、デジタルギフトを贈与された従業員を、当該贈与された回数に応じてユーザ評価スコアを算出していた。しかし仲介サーバ100は、従業員が他のデジタルギフトを贈与された場合のみならず、他者を慮って贈るという行動を評価し、他の従業員へデジタルギフトを贈与した場合にも当該従業員にユーザ評価スコアを付与してもよい。
【0149】
すなわち仲介サーバ100は、デジタルギフトを贈与されたユーザ及びデジタルギフトを贈与したユーザを、当該贈与された件数と当該贈与した件数の合計数に応じて評価して上記ユーザ評価スコアを算出してもよい。この場合、贈られた件数、もしくは贈る件数どちらかに係数をかけて重み付けしてもよい。
【0150】
またこの場合、上述と同様に、贈り主が企業から無償で付与されたギフト権利に基づいてデジタルギフトを贈与した場合のユーザ評価スコアよりも、贈り主が自ら課金して獲得したギフト権利に基づいてデジタルギフトを贈与した場合のユーザ評価スコアを高く設定してもよい。
【0151】
上述の実施形態では、各従業員が自身に付与されたギフト権利に基づいていずれか1個のデジタルギフトを選択して贈る例が示された。しかし、複数のデジタルギフトがボックス化されたギフトを贈ることも可能である。
【0152】
この場合、ギフト贈与処理部124が、複数のデジタルギフトの中で、ボックス化するギフトを予め設定しておき(例えば3個のギフト)、デジタルギフトリスト54上で当該ボックスを選択肢の1つとして表示し、ユーザが当該ボックス化されたギフトを選択して贈与要求を送信した場合には、受贈側のユーザには当該ボックス化されたギフトのうちいずれか1つを選択可能に表示して、受贈側のユーザがいずれか1つを選択した場合に当該選択されたデジタルギフトの贈与処理が完了したものとして取り扱うことができる。
【0153】
また所定数のデジタルギフトを予めボックス化しておくのに代えて、贈る側のユーザが、上記デジタルギフトリスト54上で、所定の「ボックス化」操作(例えば複数のデジタルギフト選択後に「ボックス化ボタン」クリック)を行うことで、贈る側が都度、複数のデジタルギフトを任意でボックス化し、ボックス化されたギフトを贈与できてもよい。
【0154】
上述の実施形態において、仲介サーバ100は、デジタルギフトのトラフィックをユーザ評価スコアの算出という形で分析を行った。これとは別のトラフィック分析として、仲介サーバ100は、デジタルギフトの送付ルートをネットワーク図として可視化して、デジタルツール22上で(またはシステム管理者のみに)閲覧可能としてもよい。
【0155】
すなわち、仲介サーバ100は、企業の組織全体またはそれをセグメント分けした部分集合を母集団として、当該母集団に属する従業員をノードとし、ギフト贈与履歴データベース134を基に、どのノードからどのノードへデジタルギフトが送付されたかをリンクとして示すネットワーク図を生成する。セグメント分けはシステム管理者が任意で可能である。また当該ネットワーク相関図において、母集団の中で、どのノードが「媒介中心性」を持っているかを特定して、それを他のノードと区別して表示してもよい。
【0156】
上述の実施形態では、デジタルギフト提供システム300が発行したデジタルギフトを、仲介サーバ100が受贈側のユーザ端末200へ直接送付していた。しかし、仲介サーバ100は、ステッカー送付時に、デジタルギフト提供システム300へ、デジタルギフト発行処理を要求する代わりに、デジタルギフトのURLを要求し、それを取得して受贈側のユーザ端末200へ例えばメールその他の通信手段で送信してもよい。
【0157】
この場合、送付されたステッカーはマイギフトページのギフト履歴情報52に履歴として蓄積される。またマイギフトページとは別にステッカーのタイムライン42上にも当該ステッカーは反映されるが、そこではデジタルギフトに関する情報は表示されない。
【0158】
上述の実施形態で示した仲介サーバ100は、単一のサーバとして示されたが、その機能が複数のサーバや情報処理装置に分散されたシステムとして構成されていても構わない。
【0159】
本願の特許請求の範囲に記載された発明のうち、「情報処理方法」と記載された発明は、その各ステップを、ソフトウェアによる情報処理によりコンピュータ等の少なくとも1つの装置が自動的に行うものであり、人間がコンピュータ等の装置を用いて行うものではない。すなわち、当該「情報処理方法」は、コンピュータ・ソフトウェアによる情報処理方法であって、コンピュータという計算道具を人間が操作する方法ではない。
【符号の説明】
【0160】
11…通信装置
12…演算装置
13…記憶装置
51…ギフト権利表示情報
52…ギフト履歴情報
53…デジタルギフトアイコン
54…デジタルギフトリスト
100…仲介サーバ
121…投稿管理部
122…ユーザ情報取得部
123…ギフト権利管理部
124…ギフト贈与処理部
125…デジタルギフト送付部
126…評価スコア算出部
131…投稿履歴データベース
132…ギフト権利情報データベース
133…ギフト贈与履歴データベース
134…評価スコアデータベース
200…ユーザ端末
300…デジタルギフト提供システム
400…金融機関システム
【要約】
【課題】企業の従業員が業務中に手軽にデジタルギフトを贈れるようにすること。
【解決手段】情報処理システムは、記憶部と制御部とを有する。上記記憶部は、企業の従業員間のコミュニケーションに利用されるビジネスコミュニケーションツールのユーザに関するユーザ情報と、当該ユーザが上記コミュニケーションの一部として他のユーザへデジタルギフトを贈与する権利に関するギフト権利情報とを対応付けて記憶する。上記制御部は、上記ユーザが利用するビジネスコミュニケーションツールから、上記デジタルギフトの上記他のユーザへの贈与を要求するギフト贈与要求を受信した場合に、上記記憶されたギフト権利情報を基に、上記権利があるか否かを判定し、当該権利があると判定した場合に、デジタルギフト提供システムへ上記デジタルギフトの発行を要求するとともに、当該発行に応じて上記ギフト権利情報を更新する。
【選択図】
図3