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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20220518BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
G03G21/16 138
G03G15/20 510
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2016206574
(22)【出願日】2016-10-21
(65)【公開番号】P2018066922
(43)【公開日】2018-04-26
【審査請求日】2018-08-29
【審判番号】
【審判請求日】2020-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上原 雅和
【合議体】
【審判長】藤本 義仁
【審判官】藤田 年彦
【審判官】清水 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-314005(JP,A)
【文献】特開2015-4878(JP,A)
【文献】特開平7-41205(JP,A)
【文献】特開2015-7752(JP,A)
【文献】特開2005-179034(JP,A)
【文献】特開2003-43838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/20
B65H 29/70
B65H 31/00
B41J 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に担持されたトナー像を記録媒体に転写する転写部と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着部と、
前記転写部および前記定着部の間に配置され、前記記録媒体が搬送される記録媒体搬送路の下面を構成する絶縁性の第1ガイド部材と、
前記第1ガイド部材の上面をカバーし、電気的に接地された導電性のカバー部材と、
前記転写部および前記定着部の間で、前記第1ガイド部材の搬送方向下流側に配置され、前記第1ガイド部材と共に前記記録媒体搬送路の下面を構成する第2ガイド部材と、
を備え、
前記第1ガイド部材の前記上面には、前記記録媒体搬送方向に延びるリブが前記記録媒体搬送方向と直交する方向に複数形成され、
前記カバー部材には、複数の前記リブと対向して配置される複数のスリットが形成され、
前記複数のリブは、前記複数のスリットを介して、前記カバー部材の上面から突出し、前記記録媒体搬送路の下面を画定し、
前記リブには、帯電防止剤が塗布され、
前記リブは、前記記録媒体搬送路の下面を構成する搬送部と、前記搬送部に対して記録媒体搬送方向下流側に配置され、前記記録媒体搬送方向下流側に向かって下向きに傾斜する傾斜部と、前記搬送部および前記傾斜部を接続する曲面部と、を含み、
前記傾斜部は、前記搬送部の前記記録媒体搬送方向下流側の端部に対して45度以下の角度で傾斜し、
前記搬送部の前記カバー部材に対する突出量は、前記記録媒体搬送方向の下流側から上流側に向かって小さくなっており、
前記第1ガイド部材では、前記リブの前記記録媒体搬送方向の下流側端部は、前記カバー部材の前記記録媒体搬送方向の下流側端部よりも上流側で、前記カバー部材の上面よりも下方に配置され
前記第2ガイド部材の前記記録媒体搬送方向の上流端が、前記第1ガイド部材の前記記録媒体搬送方向の下流端に比べて、前記記録媒体搬送路とは反対側に配置され、
前記第1ガイド部材と前記第2ガイド部材との境界部分に段差部が形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カバー部材は、前記傾斜部の延長線に対して前記記録媒体搬送路の内側に突出しないように配置されていることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カバー部材は、ステンレス鋼によって形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、転写部と定着部との間に配置され、記録媒体をガイドするガイド部材を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンター等の電子写真方式の画像形成装置は、感光体ドラムや中間転写ベルト等である像担持体の表面にトナー像が担持され、像担持体の表面に担持されたトナー像を転写部で記録媒体に転写した後、記録媒体を定着部に送り込み、定着部でトナー像を記録媒体に定着した後、記録媒体を排出トレイ等に搬送する。
【0003】
このような画像形成装置として、例えば特許文献1には、転写部と定着部との間に、記録媒体の下面をガイドするガイド部材が設けられた画像形成装置が開示されている。ガイド部材の上面には、記録媒体搬送方向に延びるとともに記録媒体搬送路に突出する複数のリブが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-17888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば印字率の高い記録媒体やカラー画像が広範囲に形成される記録媒体に定着処理を施す場合、良好な定着性を確保するために定着部の記録媒体搬送速度を低下させる場合がある。特許文献1の画像形成装置では、定着部の記録媒体搬送速度が転写部の記録媒体搬送速度に比べて低くなった場合、記録媒体に撓みが生じ、記録媒体がガイド部材のリブに強く擦れる。これにより、静電気が発生して記録媒体およびガイド部材が帯電し、記録媒体上の未定着トナーが乱れたり、記録媒体がガイド部材に張り付いたりする。このため、画像不良が発生したり、搬送不良が生じたりするという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、記録媒体およびガイド部材の帯電を抑制することにより、画像不良および搬送不良の発生を抑制することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の局面に係る画像形成装置は、像担持体に担持されたトナー像を記録媒体に転写する転写部と、トナー像を記録媒体に定着させる定着部と、転写部および定着部の間に配置され、記録媒体が搬送される記録媒体搬送路の下面を画定する絶縁性のガイド部材と、ガイド部材の上面をカバーし、電気的に接地された導電性のカバー部材と、を備える。ガイド部材の上面には、記録媒体搬送方向に延びるリブが記録媒体搬送方向と直交する方向に複数形成され、カバー部材には、複数のリブと対向して配置される複数のスリットが形成され、複数のリブは、複数のスリットを介して、カバー部材の上面から突出し、記録媒体搬送路の下面を構成し、リブのカバー部材に対する突出量は、記録媒体搬送方向の下流側から上流側に向かって小さくなっており、リブには、帯電防止剤が塗布されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の局面に係る画像形成装置によれば、ガイド部材の上面には、記録媒体搬送方向に延びるリブが記録媒体搬送方向と直交する方向に複数形成され、複数のリブは、複数のスリットを介して、カバー部材の上面から突出し、リブには、帯電防止剤が塗布されている。これにより、定着部の記録媒体搬送速度が転写部の記録媒体搬送速度に比べて低くなり、記録媒体に撓みが生じた場合であっても、記録媒体がガイド部材のリブに強く擦れるのを抑制することができるとともに、記録媒体とガイド部材との間で静電気が発生するのを抑制することができる。このため、記録媒体およびガイド部材が帯電するのを抑制することができるので、記録媒体上の未定着トナーが乱れたり、記録媒体がガイド部材に張り付いたりするのを抑制することができる。その結果、画像不良および搬送不良の発生を抑制することができる。
【0009】
また、リブのカバー部材に対する突出量を、記録媒体搬送方向の下流側から上流側に向かって小さくすることによって、記録媒体の先端(記録媒体搬送方向下流端)をより早くガイド部材に沿わせることができるので、記録媒体の搬送をより安定化させることができる。また、記録媒体搬送方向下流側においてリブのカバー部材に対する突出量を比較的大きくすることができるので、記録媒体搬送方向下流側において記録媒体がカバー部材に接触するのを抑制することができる。これにより、記録媒体上の未定着トナーが散乱するのを抑制することができるので、画像不良の発生をより抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態の画像形成装置の構造を示した断面図である。
図2】本発明の一実施形態の画像形成装置の転写部および定着装置周辺の構造を示した断面図である。
図3】本発明の一実施形態の画像形成装置の第1ガイド部材周辺の構造を示した斜視図である。
図4】本発明の一実施形態の画像形成装置の第1ガイド部材周辺の構造を示した分解斜視図である。
図5】本発明の一実施形態の画像形成装置のカバー部材の構造を示した斜視図である。
図6】本発明の一実施形態の画像形成装置の第1ガイド部材周辺の構造を示した斜視図である。
図7】本発明の一実施形態の画像形成装置の第1ガイド部材周辺の構造を示した断面図である。
図8】本発明の一実施形態の画像形成装置の第1ガイド部材の用紙搬送方向下流側の端部周辺の構造を示した断面図である。
図9】本発明の一実施形態の画像形成装置の第1ガイド部材の用紙搬送方向下流側の端部周辺の構造を示した断面図であり、用紙に撓みが生じた状態を示した図である。
図10】本発明の一実施形態の画像形成装置のカバー部材および本体フレーム周辺の構造を示した斜視図である。
図11】本発明の一実施形態の画像形成装置のカバー部材およびアース板金の構造を示した斜視図である。
図12】本発明の一実施形態の画像形成装置のアース板金を本体フレームに取り付けた状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1図12を参照して、本発明の一実施形態の画像形成装置100について説明する。図1に示すように、画像形成装置100(ここではモノクロプリンター)は、装置本体(画像形成装置本体)1の下部に積載された用紙(記録媒体)を収容する給紙カセット2が備えられている。なお、図1では右側を画像形成装置100の前方側として図示している。給紙カセット2の上方には、装置本体1の前方から後方へ略水平に延び、更に上方へ延びて装置本体1の上面に形成された排紙部3に至る用紙搬送路4が形成されており、この用紙搬送路4に沿って上流側から順に、ピックアップローラー5、フィードローラー6、画像形成部9、定着装置(定着部)10及び排出ローラー対11が配置されている。
【0013】
画像形成部9は、電子写真プロセスによって用紙に所定のトナー像を形成するものであり、図1において時計回り方向に回転可能に軸支された像担持体である感光体ドラム14と、この感光体ドラム14の周囲に配置される帯電装置15、現像装置16、クリーニング装置17、用紙搬送路4を挟んで感光体ドラム14に対向するように配置される転写ローラー18、感光体ドラム14の上方に配置される露光装置(LSU)19、及び除電装置から構成されている。
【0014】
パーソナルコンピューター等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電装置15によって感光体ドラム14の表面を一様に帯電させる。次いで、露光装置19からのレーザービームにより感光体ドラム14上に入力された画像データに基づく静電潜像が形成される。さらに、現像装置16により静電潜像にトナーが付着されて感光体ドラム14の表面にトナー像が形成される。
【0015】
感光体ドラム14の表面に形成されたトナー像は、転写ローラー18により感光体ドラム14と転写ローラー18とのニップ部(転写ニップ部)に供給された用紙へと転写される。トナー像が転写された用紙は、感光体ドラム14から分離されて定着装置10に向けて搬送される。この定着装置10は、用紙搬送方向に対し画像形成部9の下流側に配置されており、画像形成部9においてトナー像が転写された用紙は、定着装置10に備えられた加熱ローラー22、及びこの加熱ローラー22に圧接される加圧ローラー23によって加熱、加圧され、用紙に転写されたトナー像が定着される。そして、画像形成部9及び定着装置10において画像形成がなされた用紙は、排出ローラー対11によって排紙部3に排出される。
【0016】
次に、転写ローラー18および定着装置10周辺の構造について説明する。図2に示すように、転写ローラー18は、感光体ドラム14に圧接しており、感光体ドラム14に担持されたトナー像を用紙に転写する転写部21を形成している。転写部21と定着装置10との間には、用紙搬送路(記録媒体搬送路)4の下面を画定し用紙の下面をガイドする絶縁樹脂製の第1ガイド部材(ガイド部材)30および第2ガイド部材40が設けられている。
【0017】
第2ガイド部材40は、第1ガイド部材30に対して用紙搬送方向下流側に配置されており、用紙を定着ニップ部に向けてガイドする。第2ガイド部材40の上面には、用紙搬送方向に延びるとともに用紙搬送路4の内側に突出するリブ41が用紙幅方向(用紙搬送方向と直交する方向)に複数形成されている。複数のリブ41によって、第2ガイド部材40の用紙搬送路4の下面が構成されている。第2ガイド部材40の用紙搬送方向上流端(図2の右側端部)は、第1ガイド部材30の用紙搬送方向下流端(図2の左側端部)に比べて、用紙搬送路4とは反対側(下側)に配置されている。すなわち、第1ガイド部材30と第2ガイド部材40との境界部分に段差部が形成されている。このため、定着装置10の用紙搬送速度が転写部21の用紙搬送速度に比べて低くなった場合、用紙は段差部に入り込むように撓む。
【0018】
第1ガイド部材30の上面には図3および図4に示すように、用紙搬送方向に延びるとともに用紙搬送路4の内側に突出するリブ31が用紙幅方向に複数形成されている。複数のリブ31によって、第1ガイド部材30の用紙搬送路4の下面が構成されている。
【0019】
リブ31には、用紙と第1ガイド部材30との間の摩擦を抑制するとともに用紙と第1ガイド部材30との間で静電気が発生するのを抑制することによって、用紙および第1ガイド部材30が帯電するのを抑制する帯電防止剤が塗布されている。帯電防止剤としては、ベタイン型の両性界面活性剤(例えば、アンヒトール 20HD(花王株式会社製))等が挙げられるが、帯電防止剤の種類(材料)は特に限定されない。
【0020】
また、第1ガイド部材30の上面には、電気的に接地されたSUS(ステンレス鋼)などの金属板からなるカバー部材50が配置されている。カバー部材50には図5に示すように、リブ31と対向して配置され、リブ31が貫通する複数のスリット51が形成されている。
【0021】
カバー部材50の用紙搬送方向上流側の端部には図6に示すように、係合穴が形成された3個の係合部52が設けられており、用紙搬送方向下流側の端部には図5に示すように、係合穴が形成された5個の係合部52が設けられている。第1ガイド部材30の用紙搬送方向上流側の端部には図6に示すように、係合部52に係合される3個の係合突起32が設けられており、用紙搬送方向下流側の端部には図4に示すように、係合部52に係合される5個の係合突起32が設けられている。係合部52を係合突起32に係合させることによって、カバー部材50が第1ガイド部材30に固定されている。
【0022】
カバー部材50を第1ガイド部材30に取り付けた状態で、第1ガイド部材30のリブ31は、カバー部材50のスリット51から用紙搬送路4の内側(上側)に突出している。図7に示すように、リブ31のカバー部材50のスリット51に対する突出量は、用紙搬送方向の下流側から上流側に向かって徐々に小さくなっている。具体的には、リブ31の用紙搬送方向上流側の部分のカバー部材50に対する突出量H1は、0.5mm以上1.0mm以下に設定されており、リブ31の用紙搬送方向下流側の部分のカバー部材50に対する突出量H2は、1.5mm以上2.0mm以下に設定されている。
【0023】
リブ31のスリット51に対する突出量を用紙搬送方向の下流側から上流側に向かって徐々に小さくする方法としては、様々な方法が挙げられる。例えば、第1ガイド部材30の上面に対するリブ31の突出量を変化させてもよいし、カバー部材50の厚みを変化させてもよい。本実施形態では、第1ガイド部材30の上面に対するリブ31の突出量およびカバー部材50の厚みを略一定にしているが、カバー部材50の下流側の部分を第1ガイド部材30の上面に接触させ、カバー部材50の上流側の部分を第1ガイド部材30の上面から浮かせる(隙間を持たせて配置する)ことによって、突出量H1を突出量H2よりも小さくしている。突出量H1およびH2は、第1ガイド部材30の上面から係合突起32までの距離等によって設定可能である。
【0024】
リブ31の上端(用紙搬送路4の内側の端部)は、用紙搬送路4の下面を構成する搬送部31aと、搬送部31aに対して用紙搬送方向下流側に配置される傾斜部31cと、搬送部31aおよび傾斜部31cを接続する曲面部31bと、を含んでいる。
【0025】
曲面部31bは図8に示すように、用紙幅方向から見て円弧状(曲線状)に形成されている。
【0026】
傾斜部31cは、用紙幅方向から見て直線状に形成されている。また、傾斜部31cは、用紙搬送方向下流側に向かって下向きに傾斜している。傾斜部31cは、搬送部31aの用紙搬送方向下流側の端部31dに対して45度以下(例えば、約15度以上約25度以下)の角度で傾斜している。このため、定着装置10の用紙搬送速度が転写部21の用紙搬送速度に比べて低くなり、用紙に撓みが生じた場合、図9に示すように用紙Pは曲面部31bおよび傾斜部31cに沿って撓む。なお、傾斜部31cが端部31dに対して45度よりも大きい角度で傾斜している場合や、搬送部31aと傾斜部31cとが曲面部31bではなく傾斜面で接続されている場合は、用紙Pと傾斜部31cとの間や、用紙Pと傾斜面との間に、隙間が生じる。
【0027】
また、図8に示すように、カバー部材50の用紙搬送方向下流側の端部は、傾斜部31cの延長線L31cに対して用紙搬送路4の内側(上側)に突出しないように配置されている。
【0028】
図10に示すように、転写部21(図2参照)、第1ガイド部材30、第2ガイド部材40および定着装置10(図2参照)の用紙幅方向の一方側には、これらを保持する板金製の本体フレーム1aが設けられている。本体フレーム1aは、グランド電位になっている。カバー部材50には図11に示すように、アース板金60が接触されている。アース板金60は、弾性変形可能で復元力によってカバー部材50の係合部52に接触する接触片61と、本体フレーム1aにネジ65(図12参照)を用いて固定されるネジ孔62aが形成された固定片62と、転写ローラー18の下方に配置された本体フレーム(図示せず)にネジ(図示せず)を用いて固定されるネジ孔63aが形成された固定片63と、を有する。カバー部材50は、アース板金60を介して本体フレーム1aおよび図示しない本体フレームにアース接続されている。
【0029】
本実施形態では、上記のように、第1ガイド部材30の上面には、用紙搬送方向に延びるとともにカバー部材50の上面から突出する複数のリブ31が設けられており、リブ31には、帯電防止剤が塗布されている。これにより、定着装置10の用紙搬送速度が転写部21の用紙搬送速度に比べて低くなり、用紙Pに撓みが生じた場合であっても、用紙Pが第1ガイド部材30のリブ31に強く擦れるのを抑制することができるとともに、用紙Pと第1ガイド部材30との間で静電気が発生するのを抑制することができる。このため、用紙Pおよび第1ガイド部材30が帯電するのを抑制することができるので、用紙P上の未定着トナーが乱れたり、用紙Pが第1ガイド部材30に張り付いたりするのを抑制することができる。その結果、画像不良および搬送不良の発生を抑制することができる。
【0030】
また、第1ガイド部材30の上面に、電気的に接地されたカバー部材50を設けることによって、トナーと同極性に少しだけ帯電している用紙Pに対する鏡像力がカバー部材50に発生し、その鏡像力により用紙Pがカバー部材50に引き寄せられる。このため、用紙Pを第1ガイド部材30に沿って搬送することができ、用紙Pの搬送を安定化させることができる。
【0031】
また、リブ31のカバー部材50に対する突出量を、用紙搬送方向の下流側から上流側に向かって小さくすることによって、用紙Pの先端(用紙搬送方向下流端)をより早く第1ガイド部材30に沿わせることができるので、用紙Pの搬送をより安定化させることができる。また、用紙搬送方向下流側においてリブ31のカバー部材50に対する突出量H2を比較的大きくすることができるので、用紙搬送方向下流側において用紙Pがカバー部材50に接触するのを抑制することができる。これにより、用紙P上の未定着トナーが散乱するのを抑制することができるので、画像不良の発生をより抑制することができる。なお、用紙搬送方向上流側では、転写部21で用紙Pがニップされており用紙Pに腰が付与された状態になっているので、リブ31のカバー部材50に対する突出量H1を比較的小さくしても、用紙Pがカバー部材50に接触するのを抑制することができる。
【0032】
また、上記のように、リブ31は、用紙搬送路4の下面を構成する搬送部31aと、用紙搬送方向下流側に向かって下向きに傾斜する傾斜部31cと、搬送部31aおよび傾斜部31cを接続する曲面部31bと、を含む。これにより、定着装置10の用紙搬送速度が転写部21の用紙搬送速度に比べて低くなり、用紙Pに撓みが生じた場合、用紙Pは曲面部31bおよび傾斜部31cに沿って撓むので、用紙Pとリブ31との接触面積が小さくなるのを抑制することができる。このため、用紙Pがリブ31に対して局所的に接触するのを抑制することができるので、用紙Pがリブ31に強く擦れるのをより抑制することができる。このため、用紙Pと第1ガイド部材30との間で静電気が発生するのをより抑制することができるので、用紙Pおよび第1ガイド部材30が帯電するのをより抑制することができる。
【0033】
また、上記のように、傾斜部31cは、搬送部31aの用紙搬送方向下流側の端部31dに対して45度以下の角度で傾斜している。これにより、傾斜部31cに用紙Pをより沿いやすくすることができる。
【0034】
また、上記のように、カバー部材50は、傾斜部31cの延長線L31cに対して用紙搬送路4の内側に突出しないように配置されている。これにより、用紙Pがカバー部材50に接触するのをより抑制することができる。
【0035】
また、上記のように、カバー部材50は、SUSによって形成されている。これにより、帯電防止剤として例えばベタイン型の両性界面活性剤を用いた場合であっても、カバー部材50が亜鉛メッキ鋼板によって形成されている場合とは異なり、カバー部材50が帯電防止剤と反応して用紙搬送路4に反応生成物が生じるのを抑制することができるので、反応生成物に起因して搬送不良が発生するのを防止することができる。
【0036】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0037】
例えば、モノクロプリンターに本発明を適用した例について示したが、本発明はこれに限らない。言うまでもなく、カラープリンター、モノクロ複写機、カラー複写機、デジタル複合機、ファクシミリ等の他の画像形成装置であってもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、像担持体として感光体ドラム14を用いる例について示したが、像担持体として中間転写ベルト(中間転写体)を用いてもよい。すなわち、中間転写ベルトに担持されたトナー像を記録媒体に転写する転写部と、定着部と、の間に配置されるガイド部材およびカバー部材に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0039】
4 用紙搬送路(記録媒体搬送路)
10 定着装置(定着部)
14 感光体ドラム(像担持体)
21 転写部
30 第1ガイド部材(ガイド部材)
31 リブ
31a 搬送部
31b 曲面部
31c 傾斜部
31d 端部(搬送部の記録媒体搬送方向下流側の端部)
50 カバー部材
100 画像形成装置
H1、H2 突出量
L31c 延長線
P 用紙(記録媒体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12