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特許7075178広視野の網膜イメージャおよびその動作方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】広視野の網膜イメージャおよびその動作方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20220518BHJP
【FI】
A61B3/10 ZDM
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2016153878
(22)【出願日】2016-08-04
(65)【公開番号】P2017121464
(43)【公開日】2017-07-13
【審査請求日】2019-08-02
(31)【優先権主張番号】62/201,243
(32)【優先日】2015-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515331336
【氏名又は名称】フェニックス テクノロジー グループ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト エー. マッシー
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】ジャック シュミット
(72)【発明者】
【氏名】ネド ネストロヴィック
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0309876(US,A1)
【文献】特開昭58-075533(JP,A)
【文献】国際公開第2010/034502(WO,A2)
【文献】特表2016-518889(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0173613(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の網膜の撮像のための網膜イメージャであって、
照明光をリング状に生成するように動作することができる照明源と、
前記照明光を受け取り、前記照明光を光軸に沿って導くように動作することができるビームスプリッタと、
前記光軸に沿って配置されたフィールドレンズと、
前記光軸に沿って配置され、眼の角膜に接触するように動作することができ、空中像が前記フィールドレンズに隣接して形成される対物レンズであって、前記対物レンズが前記照明光を前記眼に照明リングとして注入するように動作することができる、対物レンズと、
入射瞳と前記照明リングが前記光軸に沿って異なる位置に配置される、入射瞳と、
イメージセンサと、
前記ビームスプリッタと前記イメージセンサとの間において前記光軸に沿って配置され、前記イメージセンサにセンサ画像を形成するように動作することができる1つ以上のレンズと
を備える網膜イメージャ。
【請求項2】
ユーザの手によって保持されるように機能することができるグリップを有するハウジングをさらに備える、請求項1に記載の網膜イメージャ。
【請求項3】
前記空中像は、ISO 10940に適合しないRMSスポット半径を特徴とし、前記センサ画像は、ISO 10940に適合した第2のRMSスポット半径を特徴とする、
請求項1に記載の網膜イメージャ。
【請求項4】
前記空中像は、前記イメージセンサにおける前記センサ画像のための対象物を含む、請求項1に記載の網膜イメージャ。
【請求項5】
前記空中像は、前記フィールドレンズと前記ビームスプリッタとの間に形成される、請求項1に記載の網膜イメージャ。
【請求項6】
前記対物レンズは、単一の構成要素からなる対物レンズを備える、請求項1に記載の網膜イメージャ。
【請求項7】
前記照明光は、前記単一の構成要素からなる対物レンズを通って眼へと注入される、請求項6に記載の網膜イメージャ。
【請求項8】
前記対物レンズはさらに、前記網膜からの反射光を受け取るように動作することができ、前記空中像は前記反射光によって形成される、請求項1に記載の網膜イメージャ。
【請求項9】
網膜イメージャを動作させる方法であって、
照明光をリング状に生成し、光軸に沿って光を向けるように動作することができる照明源と、
対物レンズと第2のレンズとを含む対物レンズ群であって、前記対物レンズが前記照明光を患者の眼に照明リングとして注入するように動作することができ、前記網膜イメージャの入射瞳と前記照明リングが、前記光軸に沿って異なる位置に配置される、対物レンズ群と
を備える網膜イメージャを、前記眼に隣接して位置させるステップと、
前記対物レンズを前記眼の角膜に接触させるステップと、
前記眼の網膜を前記対物レンズ群を通過する前記照明光で照明するステップと、
前記照明光の少なくとも一部を前記網膜から反射させ、戻りの信号をもたらすステップと、
前記戻りの信号を光路に沿って導くステップと、
イメージセンサを使用して画像平面においてセンサ画像を検出するステップと
を含む方法。
【請求項10】
前記第2のレンズに隣接した空中像位置において前記光路に沿って空中像を形成するステップと、
前記空中像を画像化することによって画像平面において前記センサ画像を形成するステップと
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のレンズに隣接した空中像位置におけるミリメートルごとの線ペアにおいて測定される第1の分解能は、前記画像平面におけるミリメートルごとの線ペアにおいて測定される第2の分解能よりも低い、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の分解能は、ISO 10940に適合せず、前記第2の分解能は、ISO 10940に適合する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のレンズに隣接した空中像位置において前記光路に沿って空中像を形成するステップをさらに含み、
前記空中像は、縁において異なる方向に数ミリメートル以上の湾曲を有する接線方向画像および矢状方向画像を含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、「Wide-Field Retinal Imaging System with Optical Coherence Tomography」という名称の2015年8月5日付の米国特許仮出願第62/201,243号の優先権を主張し、この米国特許仮出願の開示は、その全体がここでの言及によってあらゆる目的で本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
[0002]網膜撮像は、眼の後ろに位置する網膜、血管、および視神経のデジタル画像を取得するシステムに関する。これらの画像を、眼の病気の早期の検出および処置に使用することができる。
【0003】
[0003]網膜撮像システムが開発されているが、網膜撮像に関する方法およびシステムの改善について、技術的なニーズが存在する。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本発明は、広くには、光学装置のための方法およびシステムに関する。より詳しくは、本発明の実施形態は、光コヒーレンス断層撮影(OCT)を伴う網膜撮像に関する方法およびシステムを提供する。
【0005】
[0005]本発明の実施形態は、水晶体および角膜からの散乱の影響を受けやすいという問題に対処し、小さなサイズおよび重量、ならびに適切な物理的構成を特徴とするシステムを提供する。いくつかの実施形態は、視認され得る焦点の合ったゴースト像が存在せず、低ゴースト背景(low ghost background)であり、高分解能でありながら、広視野の撮像および少なくとも均分円までの関心野(field of regard)を実現することを特徴とする。本明細書に記載されるとおり、いくつかの実施形態は、一様な照明および照明光の効率的な使用を提供し、消毒が可能であり、小さな眼窩(eye socket)への挿入を可能にするフォームファクタを有する。さらに、いくつかの実施形態は、散乱およびグレアを回避する設計を採用しつつ、画像に案内されたOCTの追加を可能にする。本発明のこれらの実施形態および他の実施形態が、その多数の利点および特徴とともに、下記の説明および添付の図面との連動において、さらに詳しく説明される。
【0006】
[0006]本発明の実施形態は、手持ち式として実現でき、小児患者および成人患者の両方を撮像し、随意による軽量な画像によって案内されるOCTが組み込まれ、グレアが皆無または軽減され、散乱も軽減または最小化されたスルーザレンズ(through the lens)照明システムを使用するカメラによる広視野の網膜撮像を達成する。いくつかの実施形態は、座位の患者において使用可能である。
【0007】
[0007]特定の実施形態によれば、撮像用の光学要素を通って網膜の照明光を投射しつつ、撮像用の光学要素からのグレアが軽減され、あるいは存在しない高コントラストかつ高分解能の画像を得る広視野網膜撮像システムが提供される。システムを、仰向けまたは座位の患者に有用な手持ち式または卓上型のシステムとして実現することができる。いくつかの実施形態においては、画像によって案内される光コヒーレンス断層撮影(OCT)システムが、網膜撮像システムに統合される。
【0008】
[0008]本発明の実施形態は、以下の問題のうちの1つ以上に対処する。
【0009】
[0009]水晶体および角膜からの散乱に影響されやすい
【0010】
[0010]子供らの水晶体は、多くの場合にきわめて透明であるが、常にそのようであるとは限らない。成人の水晶体は、年齢とともに次第に透明でなくなり、後方散乱が大きな割合に達し得る。
【0011】
[0011]小さなサイズおよび重量ならびに適切な物理的構成
【0012】
[0012]カメラを一方の手で快適に保持することができ、したがって第2の手を患者の頭部の保持または他の機能のために使用することができる。したがって、物理的なサイズが、一方の手でカメラ本体を良好に把持することができ、重量が臨床医にとって過度に苦痛ではないようなサイズである。他の実施形態においては、カメラを支持体上に取り付けることができる。
【0013】
[0013]視認され得る焦点の合ったゴースト像が存在せず、低ゴースト背景である
【0014】
[0014]光注入システムが、「ゴースト」像(通常はより低い光のレベルであるがゆえに「ゴースト」と呼ばれる光学要素からの望ましくない反射)を生じさせない。また、焦点にないゴースト像に関して、ゴースト反射のレベルが、網膜の光のレベルよりも充分に低い。
【0015】
[0015]高分解能
【0016】
[0016]光学系の分解能が高く、網膜カメラに付いてのISO(登録商標)の基準を満たし、あるいは超える。
【0017】
[0017]広視野の撮像および少なくとも均分円までの関心野
【0018】
[0018]網膜の大部分をわずか数枚の画像で捕らえることができ、あるいはきわめて広視野の1枚の画像が得られるように、広視野の撮像がもたらされる。糖尿病、黒色腫、早すぎる網膜症、など、網膜のケアにおける臨床所見の多くが、広視野を提供する。均分円までの関心野(FOR)ももたらされる。
【0019】
[0019]一様な照明
【0020】
[0020]眼における放射照度は、画像の明るさの変化が網膜の特徴の局所的な反射率によって支配され、カメラの照明パターンによって支配されることがないように、一様でなければならない。
【0021】
[0021]照明光の効率的な使用
【0022】
[0022]照明光の効率的な使用は、LED光源の使用が可能であり、したがってハロゲンなどの高温の電球の問題ならびに光源とカメラとの間のかさばりかつ壊れやすい光ファイバケーブルの必要性を回避できることを意味する。LEDの効率性ゆえに、LEDは、制御箱ではなくてカメラハウジング内に位置でき、大きな光ファイバケーブルが不要である。第2に、光の効率的な収集は、LEDへの要求を軽減できることも意味する。
【0023】
[0023]消毒が可能
【0024】
[0024]カメラの先端が体液に直接触れ、患者の体内に存在する病原菌を保持する恐れが存在する。システムは、アルコールおよび希釈した漂白剤などの一般的な洗浄液を用いた衛生処理に適さなければならない。
【0025】
[0025]小さな眼窩への挿入
【0026】
[0026]とりわけ早産児において、眼窩が小さい可能性がある。これは、カメラ先端が角膜に到達するために小さい直径を有さなければならず、周辺への撮像のために傾けることも可能でなければならないことを意味する。
【0027】
[0027]画像によって案内されるOCTの追加
【0028】
[0028]OCTは、網膜の層を検査し、眼腫瘍などの病変のサイズを明らかにするための重要な技術である。リアルタイムの画像によって案内されるOCTスキャンを得ることができることが、強力なツールであり、重要なジストロフィは、例えば網膜剥離など、網膜において広範囲に生じる。このツールの使用が、網膜の手術においてきわめて広く行き渡るべきである。
【0029】
[0029]これらの問題に対処するために、本発明の実施形態は、高コントラストおよび広視野をもたらすだけでなく、上述の問題のうちの1つ以上に対処するカメラを提供する。
【0030】
[0030]本発明の実施形態によれば、眼の網膜の撮像のための手持ち式のイメージャ(imager)が提供される。手持ち式のイメージャは、照明光を生成するように動作することができる照明源と、照明光を受け取り、照明光を光軸に沿って導くように動作することができるビームスプリッタとを備える。さらに、手持ち式のイメージャは、光軸に沿って配置されるフィールドレンズと、光軸に沿って配置され、眼の角膜に接触するように動作することができる対物レンズとを含む。空中像(aerial image)が、フィールドレンズに隣接して形成される。手持ち式のイメージャは、画像検出器と、ビームスプリッタと画像検出器との間で光軸に沿って配置される1つ以上のレンズとをさらに備える。1つ以上のレンズは、検出器において画像を形成するように動作することができる。
【0031】
[0031]本発明の別の実施形態によれば、眼の網膜の撮像のための網膜イメージャが提供される。網膜イメージャは、手持ち式であってよく、あるいは支持体に取り付けられてよい。網膜イメージャは、照明光を生成するように動作することができる照明源と、照明光を受け取り、照明光を光軸に沿って導くように動作することができるビームスプリッタとを備える。ビームスプリッタは、偏光させられてよく、かつ/またはダイクロイックミラー(dichroic mirror)であってよい。さらに、網膜イメージャは、光軸に沿って配置されるフィールドレンズ(例えば、プラスチック非球面)と、光軸に沿って配置され、眼の角膜に接触するように動作することができる対物レンズとを含む。空中像(aerial image)が、フィールドレンズに隣接して形成される。空中像は、色に関して補正されていなくてよく(すなわち、色収差を特徴とする)、湾曲していてよい。一実施例において、フィールドレンズは、ビームスプリッタと対物レンズとの間に配置される。
【0032】
[0032]網膜イメージャは、イメージセンサと、ビームスプリッタとイメージセンサとの間で光軸に沿って配置される1つ以上のレンズとをさらに備える。1つ以上のレンズは、イメージセンサにセンサ画像を形成するように動作することができる。イメージセンサは、アレイセンサであってよい。いくつかの実施形態において、網膜イメージャは、網膜イメージャに組み合わせられたOCTシステムをさらに備えることができる。
【0033】
[0033 ]本発明のさらに別の実施形態によれば、網膜イメージャを動作させる方法が提供される。本方法は、網膜イメージャを患者の眼に隣接させて配置することを含む。網膜イメージャは、照明光を生成するように動作することができる照明源、および対物レンズ(例えば、単一の構成要素からなる対物レンズ)と第2のレンズとを含む対物レンズ群とを備える。本方法は、対物レンズを眼の角膜に接触させること、および対物レンズ群を通過する照明光で眼の網膜を照明することをさらに含む。本方法は、照明光の少なくとも一部を網膜から反射させて戻りの信号をもたらすこと、戻りの信号を光路に沿って導くこと、およびイメージセンサを使用して画像平面においてセンサ画像を検出することをさらに含む。
【0034】
[0034]本発明の特定の実施形態によれば、患者の眼の網膜を撮像する方法が提供される。本方法は、網膜イメージャを患者の眼に隣接させて配置することと、網膜の第1の部分の第1の画像を取得することとを含み、第1の画像は、中央領域(例えば、円)および第1の視野(例えば、100度)に関する。本方法は、網膜の第2の部分の第2の画像を取得することをさらに含み、第2の画像は、中央領域を囲む環状領域に関する。環状領域の外周は、第1の視野よりも大きい第2の視野(例えば、130度)を特徴とする。本方法は、網膜の第1の部分の第1の画像と網膜の第2の部分の第2の画像とを組み合わせて網膜の合成画像をもたらすことをさらに含む。
【0035】
[0035]一実施例において、網膜の第1の部分の第1の画像を取得することは、中央領域を照明し、中央領域を囲む環状領域を伝播する光を遮るように、空間光モジュレータを動作させることを含む。網膜の第2の部分の第2の画像を取得することは、中央領域を囲む環状領域を照明し、中央領域を伝播する光を遮るように、空間光モジュレータを動作させることを含む。空間光モジュレータは、イメージセンサの画像平面に隣接して位置することができる。
【0036】
[0036]本発明の特定の実施形態によれば、患者の眼の網膜の広視野画像を形成する方法が提供される。本方法は、網膜イメージャを患者の眼に隣接させて配置すること、および網膜の第1の部分の第1の画像を取得することを含む。第1の画像は、中央領域および第1の視野(例えば、100度)を特徴とする。本方法は、網膜の第1の追加部分の第1の追加画像を取得することをさらに含む。第1の追加画像は、中央領域を囲む環状領域の第1の部分をカバーする第1の方位角範囲を特徴とする。環状領域の外周は、第1の視野よりも大きい第2の視野(例えば、150度)を特徴とする。
【0037】
[0037]本方法は、網膜の第2の追加部分の第2の追加画像を取得することをさらに含む。第2の追加画像は、中央領域を囲む環状領域の第2の部分をカバーする第2の方位角範囲を特徴とする。さらに、本方法は、網膜の第3の追加部分の第3の追加画像を取得することを含む。第3の追加画像は、中央領域を囲む環状領域の第3の部分をカバーする第3の方位角範囲を特徴とする。さらに、本方法は、網膜の第1の部分の第1の画像、網膜の第1の追加部分の第1の追加画像、網膜の第2の追加部分の第2の追加画像、および網膜の第3の追加部分の第3の追加画像を組み合わせ、網膜の合成画像をもたらすことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1A】古典的なスルーザレンズの照明の設計を説明する光学概略図である。
図1B】古典的なスルーザレンズの撮像の設計を説明する光学概略図である。
図1C】画像へのグレアの影響を説明する古典的なスルーザレンズの照明を示す光学概略図である。
図1D】画像への散乱の影響を説明する古典的なスルーザレンズの照明を示す光学概略図である。
図2A】受光の経路の外側に位置する光ファイバリングによってもたらされる光を説明する光学概略図である。
図2B】図2Aに示したシステムにおける網膜からの反射の戻りを説明する光学概略図である。
図3A】低い空間周波数および高い空間周波数における格子の画像プロフィルである。
図3B】光学的分解能のみの結果としてのCTF関数依存性を示すプロットである。
図3C】50%の散乱における低および高空間周波数の格子画像の画像プロフィルである。
図3D】50%の散乱の有無におけるCTF関数を示すプロットである。
図4A】撮像を伴う角膜接触スルーザレンズ照明システムを説明する光学概略図である。
図4B】照明経路のみを示す角膜接触スルーザレンズ網膜カメラを説明する光学概略図である。
図4C】非接触の照明システムを説明する光学概略図である。
図4D】瞳孔および照明を示す眼の前面を説明する光学概略図である。
図4E】接触スルーザレンズ撮像システムの断面を示す光学概略図である。
図4F】負の湾曲を有するフィールドレンズからの反射の問題を示すスルーザレンズ照明システムを説明する光学概略図である。
図4G】正の湾曲を有するフィールドレンズからの反射の問題を示すスルーザレンズ照明システムを説明する光学概略図である。
図5A】本発明の実施形態によるただ1つの対物レンズを使用する角膜接触スルーザレンズ撮像システムである。
図5B】第1の画像の詳細を含む本発明の実施形態によるただ1つの対物レンズを使用する角膜接触スルーザレンズ照明システムを説明する光学概略図である。
図5C】後部の撮像システムの詳細を含む本発明の実施形態による角膜接触スルーザレンズ照明システムを説明する光学概略図である。
図5D】本発明の実施形態による角膜接触スルーザレンズ照明システムの照明光学要素を説明する光学概略図である。
図5E】照明用の光学要素の詳細を含む本発明の実施形態による角膜接触スルーザレンズ照明システムを説明する光学概略図である。
図5F】本発明の実施形態による第1のサイズの眼における照明光線の境界を説明する光学概略図である。
図5G】本発明の実施形態による第2のサイズの眼における照明光線の境界を説明する光学概略図である。
図5H】本発明の実施形態による外側の光線を遮るための虹彩の使用を説明する光学概略図である。
図5I】図5Hに示した要素のさらなる詳細を示す光学概略図である。
図5J】本発明の別の実施形態によるただ1つの対物レンズを使用する角膜接触スルーザレンズ撮像システムである。
図6A】本発明の実施形態による100度のFOVにおける対物レンズを有する接触スルーザレンズ照明システムの眼の輪郭図を説明する光学概略図である。
図6B】本発明の実施形態によるスルーザレンズ撮像システムの詳細な前部の図を示す光学概略図である。
図6C】「静寂の円錐(cone of silence)」の考え方を説明する光学概略図である。
図6D】図6Cに示した要素のさらなる詳細を示す光学概略図である。
図7A】広げられたFOVの眼の輪郭図を有するスルーザレンズ撮像システムを説明する光学概略図である。
図7B】広げられたFOVの前部の輪郭図を有するスルーザレンズ撮像システムを説明する光学概略図である。
図7C】広げられた撮像のFOVおよびより狭い照明のFOVを示すスルーザレンズ撮像システムを説明する光学概略図である。
図7D】静寂の円錐を避けるために2つの画像セットの中央画像を使用するスルーザレンズ撮像システムを説明する光学概略図である。
図7E】静寂の円錐を避けるために2つの画像セットのリング画像を使用するスルーザレンズ撮像システムを説明する光学概略図である。
図7F】本発明の実施形態による中央画像の撮像を説明する概略図である。
図7G】本発明の実施形態による外側リング画像の撮像を説明する概略図である。
図7H】本発明の実施形態による中央画像と外側リング画像との組み合わせを説明する概略図である。
図7I】本発明の実施形態によるセンサにおける空間光モジュレータの使用を説明する概略図である。
図8A】本発明の実施形態による外側リングの照明および撮像の輪郭図を示している光学概略図である。
図8B】本発明の実施形態による方位角分割および径方向分割を使用するきわめて広視野の外側リングの照明および撮像を説明する光学概略図である。
図8C】本発明の実施形態によるセンサにおける画像分割を説明する概略図である。
図9A】本発明の実施形態による手持ち式のイメージャに統合された手持ち撮像のためのコンパクトなOCTを説明する光学概略図である。
図9B】本発明の実施形態によるOCTビーム列の詳細を説明する光学概略図である。
図9C】本発明の別の実施形態によるOCTビーム列の詳細を説明する光学概略図である。
図10】本発明の実施形態による眼の網膜を撮像するための手持ち式のイメージャを説明する簡単な概略図である。
図11】本発明の実施形態による患者の眼の網膜を撮像するための手持ち式のイメージャの動作の方法を説明する簡単なフロー図である。
図12】本発明の実施形態による患者の眼の網膜を撮像するための方法を説明する簡単なフロー図である。
図13】本発明の実施形態による患者の眼の網膜の広視野画像を形成する方法を説明する簡単なフロー図である。
図14A】本発明の実施形態によるイメージセンサにおけるセンサ画像について、網膜におけるRMSスポットサイズのプロットを示している。
図14B】本発明の実施形態による空中像について、網膜におけるRMSスポットサイズのプロットを示している。
【発明を実施するための形態】
【0039】
[0090]眼の網膜のケアにおいて、網膜の必ずしもすべてではないが大部分の撮像が求められる場合が、多く存在する。これは、典型的には1枚の画像において後極だけが撮影される伝統的な網膜撮像システムと対照的である。これを達成するための1つの手法は、超広視野(FOV)の網膜カメラを開発することである。しかしながら、そのような撮像においてはかなりの制限が存在し、それらは、とりわけ、眼の前部の物理的なサイズおよび形状ならびに散乱およびグレアに関する問題に起因する。しかしながら、きわめて少数のジストロフィは、鋸状縁(ora serrati)までずっと存在し、或る程度広いFOVを達成するカメラが、大いに有用である。
【0040】
[0091]さらに、乳幼児ならびに多くのさらに年長の小児患者も、広視野の撮像を必要とするが、仰向けで撮像されなければならない患者の分類に属する。一部の成人の患者についても、とりわけ手術の際に、手持ちが可能であり、広視野であり、患者を仰向けにした状態で使用することができる撮像システムが、有利であると考えられる。そのようなシステムを座位の患者に関して好都合なやり方で取り付けできるようにすることも、価値があると考えられる。小児患者のためだけに手持ちで使用されるように設計された市販の広視野の網膜カメラが存在するが、このシステムは、とりわけ網膜が暗く着色した眼において、画像のコントラストに深刻な限界を抱えている。さらに、角膜に接触し得るこれらのシステムは、多くの成人患者において、満足できる様相では機能しない。
【0041】
[0092]古典的な明視野撮像および蛍光眼底血管造影法に加えて、光コヒーレンス断層撮影法(OCT)が、ケアの標準となっており、伝統的な撮像と同等の価値があると考えられている。これは、画像に案内されたOCT(明視野または血管造影の画像が、OCTスキャンの位置を示す画像上のマーカとともにリアルタイムで表示される)を提供する必要性を指し示す。本発明の実施形態は、OCTを、大幅に改善された手持ち式の広いFOVイメージャと併せて利用する。
【0042】
[0093]本発明の実施形態は、明視野または血管造影による撮像の提供と重いスキャンヘッドの所持とを同時にもたらすことがない従来の手持ち式のOCTカメラを越える向上を提供する。
【0043】
[0094]本発明の発明者は、多くの医師が多くの場合において「分解能の改善」を求めているが、よりよい表現は「視認性(visibility)の改善」であると判断した。より高い分解能を、2つの隣接する点を解像するための接眼レンズを含む光学レンズの性能の意味で使用することができる。しかしながら、とりわけ日常の診療において、視認性の限界は、多くの場合にコントラストであり、分解能ではない。理想的な眼において高い分解能を有する光学要素を設計することは、比較的容易である。対照的に、日常の診療において高いコントラストをもたらす照明注入システムを設計することは、きわめて困難である。臨床において、多くの場合に、良好に撮像される眼は80%にすぎず、この限界は、人間の眼における散乱に起因している。
【0044】
[0095]網膜の高コントラストの画像を得ることの難しさのレベルを、カメラへと戻る網膜の照明の量が少ないことに鑑みて理解することができる。網膜の反射率は、10-3という低さであり得、カメラの瞳孔を介する角度収集(angular collection)は、典型的には10-3であり、注入された光の戻りは、10-6という少なさである。
いくつかの実施例においては、望ましくない光の総量を10-7未満にすることが望ましい。
【0045】
[00 96]光が眼への経路においてカメラの光学要素を通過する撮像システムにおいて、第1の課題は、光学要素からの望ましくない反射が画像に進入することを、防止することである。これは、古典的な非接触の卓上カメラにおいては困難でないが、これらは広いFOVを提供していない。これらの望ましくない反射は、「グレア」または「ゴースト像」と呼ばれる。高性能の反射防止コーティングにより、この戻りの反射は、出射光の5×10-3へと減らされるが、これは、網膜からの戻りよりもはるかに大きくなり得る信号である。したがって、光学設計者は、グレアが画像平面へと戻ることがなく、特には焦点が合った画像またはほぼ焦点が合った画像(いわゆる「ゴースト像」)として戻ることがないようなレンズの位置および曲率を使用することができる。加えて、光の注入は、放射照度が網膜において一様になり、眼における散乱が最小になるような光の注入でなければならない。標準的な卓上の網膜カメラにおいて、グレアの回避は、狭いFOVおよびかさばるサイズという犠牲を払えば、達成可能である。しかしながら、角膜に接触する手持ち式のカメラにおいて、この要件を満たすことは困難である。
【0046】
[0097]これらのスルーザレンズ式網膜カメラは、同じ空間およびレンズを共有する2つの光学系からなり、すなわち照明を注入する光学系と、網膜からの光を受け取り、画像を形成する光学系とからなる。OCTが統合されるとき、3つの光学系が一般的には考慮されなければならず、これらも同じ光学要素のいくつかを共有する。図1Aが、古典的なスルーザレンズ照明システムを示している。光源6が、ビームスプリッタ5を介して照明2を注入し、光がレンズ3によって集められ、物体1の全体に広げられる。物体1は、反射性の直線帯を暗い帯で隔ててなるパターンである。図1Bは、物体1からなる撮像システムを示しており、集光/撮像レンズ3および典型的な戻り光線7が示され、画像4を形成している。
【0047】
[0098]しかしながら、この簡単化された光学系においては、グレアも散乱も考慮されていない。図1Cにおいて、グレアが、レンズ表面10から反射し、検出器平面4に衝突してゴースト像9を生じさせる光線8によって示されている。図1Dにおいては、散乱媒体11が存在し、例示の光線12が画像平面4へと戻り、かすみ(haze)14を生じさせる。
【0048】
[0099]光が眼への経路においてカメラの光学要素の周囲を通過する撮像システムにおいては、グレアは存在しないが、画像への望ましくない後方散乱を防止することが難題である。この種のカメラは、広いFOVを達成し、特には網膜の周辺へと照明をもたらすために開発され、これらすべてを手持ちが可能なフォームファクタにて達成するように開発されている。図2Aおよび図2Bが、アラウンドザレンズ(around-the-lens)照明システムを示している。この照明システムにおいて、照明光は、グレアが存在しないように、カメラの光学要素を囲み、特には接触レンズ234を囲む光ファイバ束15を通ってもたらされるが、この手法は、照明の一様性に関し、特には散乱23に関して、重大な難題に直面する。このシステムは、網膜20の周辺へと光を導く能力を強調する。しかしながら、図2Aに見られるように、虹彩17が完全には広がっていない場合、網膜の中央部分19への照明光線16が遮られ、画像の中央に暗いスポットが残される可能性がある。画像は、通常は最も注目すべき特徴に中心を位置させるため、これは、このカメラの大きな難点となることが明らかになっている。
【0049】
[0100]図2Bにも、網膜からの光を受け取るための撮像光路21が示されている。網膜の周辺20からの光線は、光学系の入射瞳45を通って出、最初に接触レンズ234を通過し、次いで画像平面へとさらなるレンズを通過する。網膜の中央19が照明される場合、網膜の中央19からの光線も、カメラの入射瞳45を通過し、最初に接触レンズ234を通り、次いで画像平面へと進む。
【0050】
[0101]しかしながら、図2Aおよび図2Bに見られるように、眼の水晶体18が、照明光について接触レンズ234を通って画像へと到る後方散乱23を生じさせる多数の散乱中心を含んでおり、これが、この設計において画像のコントラストを低下させる重要な散乱源として働く。さらに、照明の光学系および受光の光学系の両方が並べて示されている図2Aおよび図2Bにおいて、出射光および戻りの光の両方が共に通過する水晶体18内の体積の輪郭を描く境界線22が、両方の画像に描かれている。したがって、この設計においては、眼を照明する光のほぼすべてが、戻りの光とまさに同じ体積22において、水晶体18を通過する。低コントラスト画像の主たる原因であるレンズの散乱を少なくするという観点において、そのような設計は、眼の水晶体18から考えられる限りにおいて最大の散乱23を生じさせる。結果として、アラウンドザレンズの照明を備える網膜カメラは、多くの小児患者および実質的にすべての成人患者において、高コントラスト画像の生成にあまり成功していない。
【0051】
[0102]本発明の発明者は、多くの眼において、後方散乱の割合が、高レベルの出射光によって掛け算された場合に、少ない網膜からの戻り21と比べたときに網膜のコントラストを損ないかねない散乱の戻り23を生じさせるような充分な割合であることを明らかにした。低コントラストは、画像における重要な高い空間周波数の視認性に、計り知れない影響を有する。この点に関し、例えば、医師は腫瘍を小さいときに検出することを望むが、低コントラスト画像がこれを妨げる。
【0052】
[0103]図1Bの単純化したスルーザレンズ照明システムの光学系を再び参照すると、これは、レンズ3、反射格子である物体1、およびレンズの画像化能力に依存した物体の複製である画像4からなる。図3Aに、画像プロフィル24が示されており、低い空間周波数においては画像品質がきわめて良好であるが、高い空間周波数25においては画像が劣化している。これは、当然ながら、レンズ3の画像化品質および回折の限界によって決定される。コントラストの定量的尺度は、
【数1】

として定められる変調指数(modulation index)であり、ここでIxは、撮像されたパターンの最大強度であり、Imは最小値である。これは、空間周波数の関数であり、コントラスト伝達関数(CTF)と呼ばれる。図3Bに示されるとおり、CTF26は、格子の視認性が消失する点28に達するまで、空間周波数fが高くなるにつれて減少する。格子の観測が不可能になるmの典型的な最低値は、m=0.3である。より品質の低いレンズにおいては、プロットが、より低いカットオフ周波数29を有するプロット27となり得る。CTFの線が、簡単化のために直線として示されているが、通常はより複雑な形状を呈する。
【0053】
[0104]ここでは光学要素の制約に起因するCTFの限界に注目が向けられているが、散乱なども同様のやり方でコントラストを低下させることを、理解する必要がある。これを理解するために、図1Dに示されるとおりの散乱に目を向けると、体積11が、散乱12を生じさせる材料を含んでおり、画像に光の散乱部分14を生じさせる。図3Cが、より高い空間周波数30およびより低い空間周波数31における格子の新たな画像を示しており、どちらも散乱を含んでいる。しかしながら、図示の高い空間周波数が、今や0.3という視認性の基準を下回る0.25という変調指数mを有しており、低い空間周波数において、変調指数が決して1.0に達しないことに、注意すべきである。図3Dにおいて、高い散乱伝達関数33が、1.0においては始まっておらず、カットオフ周波数32がより低いことに注意すべきである。重要な問題は、より高い空間周波数が、今や視認できないことにある。散乱ありのCTFは、散乱のないCTFから変更され得る。出射光の一部としての網膜からの戻りは、Rであり、出射光の後方散乱は、Sであり、Ixが、散乱のないCTFの最大値であり、Imが、散乱のないCTFの最小値であり、したがってCTFは、
【数2】

となる。
したがって、散乱のないCTFが低い空間周波数において1.00であり、後方散乱が網膜からの戻りに等しいならば、散乱ありのCTFは、0.5になると考えられる。また、後方散乱が網膜からの戻りの3倍であるならば、CTFは、低い空間周波数において0.25まで低下する。
【0054】
[0105]アラウンドザレンズのカメラが、その設計ゆえに、小児患者について高コントラストの画像を確実に生成することができず、成人患者においてもまれにしか生成することができないという経験から、スルーザレンズの照明を利用するための技術を発見することに、注意を向ける必要がある。したがって、本発明の実施形態は、手持ち式または卓上型として実現でき、小児患者および成人患者の両方を撮像し、グレアが皆無または軽減され、散乱も軽減または最小化されたスルーザレンズ照明システムを使用する随意による軽量なOCTが組み込まれたカメラによる広視野の網膜撮像を達成する。
【0055】
[0106]高分解能および高コントラストの画像の実現に加えて、本発明の実施形態は、高いFOVまたは高い関心野(FOR)を実現する。FORが、撮像のアクセス可能な全範囲として定義される一方で、視野(FOV)は、画像の或る瞬間の角度範囲として定義される。網膜の異なる部分へと画像の中心を向けるように撮像ハンドピースを傾ける単純な手段が、種々の瞬間の画像へとアクセスし、それら種々の瞬間の画像が、FORを全体として形成する。しかしながら、特には、単一の画像における超広FOVの取得を達成する必要はない。必要とされているものは、網膜の大部分を取得するための効率的な手段であるが、充分に効率的でありさえすれば、複数の画像を使用してそれらを合成することも魅力的な解決策であると考えられる。加えて、これらの目的をリアルタイムで実現すべき場合には、臨床活動後の合成の難解な制約は回避され得る。これの実現は、眼科の撮像を根本的に変えると考えられるが、広いFORが利用可能である場合に限って価値があると考えられる。
【0056】
[0107]古典的な卓上型の網膜カメラは、入射瞳から測定したときに最大60度の視野(FOV)を提供する。効率的にアクセスされる関心野(FOR)は、きわめて限られている。相当の技量および患者の協力が、大きなFORの撮像に向けた穏当な試みにおいてさえも必要とされる。典型的には、古典的なシステムは、小児患者または仰向けの成人患者に適さない卓上型のシステムである。
【0057】
[0108]本発明の実施形態は、仰向けの患者を、高いコントラストおよび高い分解能で、手持ち式のイメージャにて、高いFOR/FOVで撮像しつつ、血管造影および画像に案内されたOCTも提供するという同時の課題を満足させる。本発明の実施形態は、座位の成人患者においても高価値である。
【0058】
[0109]いくつかのシステムは、角膜を通って、しかしながら受像の光路の外側において、光を運ぶ。しかしながら、大きな欠点、および多くの患者においてこの技術の使用を妨げる欠点は、設計が高コントラストから離れるように教えているため、高コントラストの撮像を欠くことにある。それらの設計の重要な特徴は、図2Aに示されるとおり、眼の一方側からの光が、他方側において網膜を照明するために使用される点にある。これは、網膜周辺20の照明を可能にするためのものであるが、おそらくは光が虹彩17によって遮られ得る画像の重要な中央19の照明を可能にしない。散乱に関しては、網膜が視野の周辺において実際に照明されるが、照明光が、水晶体を通過し、光が画像を形成すべく網膜から戻る体積22を通過して交差するという結果となる。このように、大量の光が、入射瞳のすぐ後ろの体積22において水晶線(crystalline lines)を通過する。水晶体18は、眼における散乱光の主要な発生源であり、高齢の患者においては、これが光全体の30%にもなる可能性があり、その後に眼の射出瞳を通って高い効率で集められ、画像のコントラストを大いに低下させる。したがって、この設計は、カメラの光学要素または水晶体の光学要素からのゴースト像の問題を解消させるが、水晶体からの散乱に最悪に影響される可能性に悩まされる。
【0059】
[0110]実際、この装置は、眼が老いるにつれて水晶体により多くの散乱中心が生じるため、成人患者にとってほとんど有用でない。また、一部の小児患者は、きわめて低コントラストの画像をもたらす水晶体からの大量の散乱を有する。一部の患者は、明るい色の網膜の反射率を10倍以上も下回る反射率を有する暗い網膜を有し、散乱は、これらの患者について有効な撮像が不可能であるほどに充分に大きい。
【0060】
[0111]対照的に、本発明の実施形態は、ゴースト像または測定可能なコントラストを低下させる散乱に悩まされることがなく、たとえ暗い色の網膜、老いた眼、または散乱の大きな増加を引き起こす疾患を抱えた小児の眼であっても患者の良質の画像を生み出す広視野の網膜撮像システムを提供する。
【0061】
[0112]光コヒーレンス断層撮影法(OCT)が、眼の層、腫瘍、などの観察および記録に使用される。OCTスキャンが、近赤外で動作し、したがって眼には見えない低コヒーレンスの光源を使用して実行される。この限界を避けるために、設計者は、三次元の画像を取得し、保存し、その後に臨床医が撮像後のOCT画像をスキャンすることを可能にすることに頼っている。これは、依然として、網膜のカラー画像における3Dの特徴の正確な位置について、直接的な手がかりをもたらしていない。対照的に、本発明の実施形態は、莫大な臨床的価値を有する明視野からのリアルタイムのOCTスキャン位置を提供する。
【0062】
[0113]本発明の実施形態は、小児患者および成人患者の高コントラスト画像を生み出し、画像によって案内されるOCTが組み込まれており、軽量であるスルーザレンズの手持ち式の広FOV網膜カメラを利用し、スルーザレンズ照明を使用して、散乱およびグレアを回避する。
【0063】
[0114]グレア:課題
【0064】
[0115]上述の図1A~図1Dが、スルーザレンズ照明システムの一般的問題を示している。スルーザレンズ照明システムにおいては、カメラのレンズ、角膜、および水晶体からのグレアを、考慮しなければならない。図4Aが、古典的な接触撮像の設計を使用するスルーザレンズ接触撮像システムを示している。目的は、アレイセンサ43上に網膜13の画像42を形成することにある。対物レンズ群35が、第1の画像37を形成する。対物レンズ群35において、トリプレット(triplet)、ダブレット(doublet)、1つのシングレット(singlet)レンズ、およびフィールドレンズ39が存在する。対物レンズ群35は、中継レンズ群38が任意の対物レンズ群35と共に良質の画像42をもたらすように、37に良質の画像を形成する。したがって、超広FOVおよび大きな倍率を有する対物レンズ群を用意し、入れ替えることが可能である。
【0065】
[0116]後部レンズ群38は、3つの重要な機能を果たす。第1に、中間画像37を、アレイセンサ43に位置する後部画像42へと再び画像化する。第2に、中継レンズ群38は、カメラに焦点合わせをもたらす。第3に、後部レンズ群38は、平面44に位置する眼の入射瞳へと再画像化され、カメラ入射瞳45(ここには示されていない)を形成するLyotストップ41を有する。
【0066】
[0117]図4Bが、スルーザレンズ照明システムの特には照明経路のより詳細な断面図を示している。光源6が、レンズ50によって環状マスク51を通り、次いでビームスプリッタ5を介し、最後に対物レンズ群35(35を通る光線の複雑な経路は示されていない)を通って網膜13へと注入される。環状マスク51は、眼の瞳孔の平面44の付近にフォーカスされ、眼を満たすように発散48する。
【0067】
[0118]図4Cが、本発明の実施形態による非接触のスルーザレンズ照明システムの断面を示している。図4Cの断面図は、後に網膜13を照明するように広がり48を生じる中継された環状マスクの画像49(光のリング)を示している。網膜13から戻る光は、戻り光線47によって境界付けられ、カメラの入射瞳45(Lyotストップ41の画像)をイメージセンサ43へと通過し、イメージセンサ43を、CCDまたは他の適切な撮像装置を使用して実現できるがゆえにアレイセンサと称することもできる。領域58が、眼のすべての部分へと向けられた照明光が特には円錐形の体積36において強い照度を有する小さな束となる角膜59の前方の空間の体積であることに、注意すべきである。
【0068】
[0119]図4Dは、53が角膜の縁であり、49が環状の光のリングであり、52が眼の瞳孔の直径であり、45がカメラの入射瞳である眼の正面図を示している。図4Eは、接触レンズ434が配置されたスルーザレンズ照明システムの断面を示している。照明境界の光線48が示されており、前面56が、とりわけ接触レンズ434の前面56において強い照度を有する。このレンズにおけるこの強い照度は、表面56からの反射に起因し、角膜接触スルーザレンズ照明システムに関して主要な難題を呈する。例として、光線55が、接触レンズ434の前面56からの反射である。
【0069】
[0120]出射の照明と戻りの照明との間の大きな比が、手持ち式の角膜接触網膜カメラにおけるグレアに関して、さらに別の難題を呈する。図4Fが、古典的なスルーザレンズ照明システムの光学列を示しており、フィールドレンズからの反射の問題を強調している。図4Fにおいては、対物レンズ群35内の最後のレンズ39が、後部レンズ群38とともに示されている。このレンズ39は、少なくとも部分的に、フィールドレンズの機能を果たす。フィールドレンズは、焦点または焦点の付近に位置し、系へともたらす屈折力(power)は、あったとしても少しであるが、後部レンズ群38を小さな直径にできるように画像の光線を小さな円錐へと導く。これは、画像42が大きくなる可能性があり、戻りの円錐がきわめて発散的であるときに重要であり、これがないと、後部レンズが、物理的に大きな直径を持たなければならないと考えられる。その場合、後部レンズ群は、妥当なf数を保つために、長さに関してはるかに大きいサイズを必要とすると考えられる。
【0070】
[0121]しかしながら、このシステムのための設計原理は、このレンズがイメージセンサ43に向かって湾曲した表面を必要とすることを要求する(いくつかのレンズがこの湾曲を有し、問題を生じさせるが、このレンズが特に面倒である)。図4Fにおいて、39の第1の表面からのゴーストリフェクション(refection)が、光線57をLyotストップ41を通って42におけるゴースト像へと導くことに、注目すべきである。
【0071】
[0122]図4Gが、スルーザレンズ照明システムの光学列を示しており、反対向きのフィールドレンズからの反射の問題を強調している。図4Gにおいては、レンズ39が説明のために逆向きにされており、今や39のレンズの表面の湾曲がきわめて大きい直径のリフェクション57を生成する点を示している。Lyotストップが、これの大部分を遮り、イメージセンサ43における画素ごとの照射強度は小さく、潜在的には取るに足らない。明らかに、図4Fに示されるような湾曲を有するレンズは、ゴーストの解消に関して大きなジレンマを生じさせる。
【0072】
[0123]古典的な接触撮像レンズ形式を示している図4Aを再び参照すると、14個の反射面が示されている。
眼の水晶体の後ろ側
眼の水晶体の前側
角膜、両面
接触レンズ
第1の接合トリプレットの接合界面
第1のトリプレットの後ろ側のガラス-空気の界面
第2のダブレットの前側の空気-ガラスの界面
第2のダブレットの接合界面
第2のダブレットの前側の空気-ガラスの表面
シングレットの第1の空気-ガラスの表面
シングレットの第2の空気-ガラスの表面
フィールドレンズの第1の表面
フィールドレンズの第2の表面
【0073】
[0124]良好な画像のための多数の光学要素の必要性が、人間の眼の低い光学的品質から生じる。分解能は(読み取りが行われる)軸上で高いが、周辺に向かうと分解能はきわめて劣る。また、眼は有色(chromatic)でなく、脳が、焦点合わせにおいて助けとなるように長手方向の色収差を使用し、脳が、画像を高い品質で組み立てる。このように、カメラの設計者は、高品質の広いFOV撮像のために、かなりの数の光学要素を使用することを強いられる。光学表面の数が多くなる結果として、ゴーストが皆無または少なく、網膜における放射強度が一様であり、高コントラストでもあることを特徴とする技術的解決策を開発することは、難題または不可能である。
【0074】
[0125]したがって、本発明の実施形態によって利用される第1の設計原理は、照明光が通過するレンズの数を減らし、あるいは最小にするとともに、これらの表面に焦点の合ったゴースト像の防止にとって好ましい湾曲を持たせることにある。この設計原理は、高分解能の画像、一様な放射強度、および良質な第1の画像のための要件と対立する。
【0075】
[0126]広いFOVの手持ち式の網膜撮像のためのスルーザレンズ照明システムにおける、グレアを絶対的に皆無またはぼやけた非フォーカスとするための対立する要件に対処するために、新たな設計の考え方が、本発明の実施形態によって実現された。特には眼に近いあらゆるレンズに関して、グレアの問題を完全および絶対的に取り除くことができる場合、分解能、コンパクトさ、および照明の一様性のための設計の余地が、大いに拡大されると考えられる。
【0076】
[0127]設計のための古典的な光学の理論的枠組は、高品質の画像を生成するために必要な対物レンズ群を含む。他の設計の教訓の中でもとりわけ、光学要素は、赤色、緑色、および青色の光線に対してあらゆる大きな距離に関して角度または光線高さにおける発散を許してはならないと、一般的な光学の設計において教えられている。これらが補正されることなくビーム列へとさらに進むにつれて、それらを一緒に戻すことが難しくなる。また、画像がアレイセンサへの適用のために平坦でなければならないことにも注意すべきである。古典的な理論的枠組は、望遠鏡および顕微鏡において明らかに見られる。
【0077】
[0128]グレア:技術的解決策
【0078】
[0129]本発明の実施形態は、従来の光学的設計の教訓とは異なる設計の考え方を利用する。図5Aが、本発明の実施形態による角膜接触広視野イメージャを示している。図5Aに示されている実施形態において、高分解能の角膜接触広視野イメージャは、ただ1つの対物レンズ510の独特な使用によって実現される。この対物レンズ510は、焦点の合ったゴースト像を生じさせるがゆえに好ましくない照明源へと向いた負の表面を、有していない。空中像と称することができる第1の画像514が、色収差が補正されておらず(not achromatic)、高分解能ではなく、平坦でもないものとして示されている。
【0079】
[0130]図14Aが、本発明の実施形態によるイメージセンサにおけるセンサ画像について、網膜におけるRMSスポットサイズのプロットを示している。図14Bが、本発明の実施形態による空中像について、網膜におけるRMSスポットサイズのプロットを示している。図14Aおよび図14Bを参照すると、画角の関数としての第1の画像平面(空中像が形成される場所)における網膜上のRMSスポット半径が、図14Bに示されている。網膜の画像の分解能の要件は、ISO(登録商標) 10940において特定され、それらは、プロットにおいて短い黒い水平線として表示されており、番号が、中央場(central field)、中間周辺場(mid-peripheral field)、および遠周辺場(far peripheral field)から与えられている。例えば、画像の中心の広視野について、仕様は60lp/mmまたは8ミクロンのスポットサイズである。縁において、要件は、25lp/mmまたは12ミクロンのスポットサイズである。
【0080】
[0131]すべての位置において、空中像514は、大きな余裕によってISO(登録商標) 10940の基準を満たしていない。比較により、イメージセンサ562(すなわち、検出器)における網膜の画像は、図14Aに示されるとおり、要件を大きく超えている。このように、例えばISO(登録商標) 10940によって定められるイメージセンサにおけるセンサ画像の画像品質は、空中像の画像品質よりも良好である。
【0081】
[0 132]実際、図5Bに示されるとおり、空中像は、図5Bにおける接線方向画像(tangential image)516および図5Bにおける矢状方向画像(sagittal image)518を含み、縁において異なる方向に数ミリメートル以上の湾曲を有する。図5Aを参照すると、図示の実施形態において利用される対物レンズ510(単独または唯一の対物レンズであってよい)は、網膜13からの反射光を取得し、画像取得アレイと称することもできるイメージセンサ562の方向に導くが、ゴースト像を生み出さない。フィールドレンズとも称される第2のレンズ512は、部分的にはフィールドレンズとして働き、部分的には画像の補正に役立ち、照明源とも称される照明器(図示されていない)によってもたらされる照明光505内に位置する。
【0082】
[0133]再び図5Aを参照すると、ビームスプリッタ520の下流の光学要素を、撮像レンズ群540と称することができる。これらの光学要素のいくつかは、下記で図5Cに関して説明される。ビームスプリッタ544が、随意によるOCTシステムからIR光を受け取るため、およびOCTシステムへと光を伝えるために利用される。このように、OCT経路は、図5Aにおいて光路507として示されている。
【0083】
[0134]このように、本発明の実施形態においては、第1の画像または空中像の品質に対する要件が皆無または軽減される。高度の光学的補正が、後部光学要素のレンズ群(すなわち、撮像レンズ群540)へと残され、認識されず、あるいは実現不可能であると考えられる考え方である。本発明の実施形態が11個のレンズ(色収差補正(achromatic)は2つのレンズとして数えられる)を使用するのに対し、従来の設計は12個のレンズを使用できることに、注意すべきである。したがって、実施形態は、標準的な設計理論から離れるように教えているが、これらの現在の実施形態は、それが実現可能であり、より少ないレンズであっても実現可能であることを示している。
【0084】
[0135]図5Bが、図5Aに示した角膜接触広視野イメージャのための対物レンズ群の詳細を示している。網膜から接触レンズであってよい対物レンズ510を通過して戻る光線511は、その後に第2のレンズ512を通過する。これらのレンズは、非球面レンズであってもよい。画像516が、接線方向画像であり、518が、矢状方向画像である。これらの画像の各々は、縁において1ミリメートルを超えて湾曲し、2mmを超える縁の隔たりをもたらしている。いかなる基準によっても、これはほとんど撮像とは分類されず、レンズ510および512は、撮像システムと言うよりはむしろ、単なる集光システムと考えることができる。やはり異なる焦点の構造に位置する赤色、緑色、および青色は、示されていない。
【0085】
[0136]図5Cに、撮像システムの後部光学要素の詳細が示されている。撮像レンズ群540の一部として示されている光学要素のいくつかが、図5Cに示されている。レンズ548は、照明経路の前に位置し、これらのレンズのいずれも、グレアを生じさせる傾向にない。Lyotストップ570が、イメージセンサ562の画像平面に位置する画像平面560に最終的な高品質の画像を形成する集束レンズ572の直前に位置する。設計コードは、3ミクロンの分解能を提案し、これは他の広視野カメラと比べて顕著に改善されている。図5Cにはビームスプリッタ544の下流の光学要素だけが示されているが、レンズ542を含む他の光学要素を撮像レンズ群540において利用できることを、理解できるであろう。
【0086】
[0137]図5Dに示されている詳細な照明形式は、リング光源であるが、第2のレンズ512が、角膜の前方の図4Cにおける高強度の照度の領域58に位置することを避けるように角膜から充分に遠い。実際、第2のレンズ512の頂点513に照度が存在しないようにリング光源51に充分に近く、ゴーストの防止に大いに役立つ。第2のレンズ512、対物レンズ510、角膜508、または水晶体(図2Aにおける18)によって画像平面560へと返されるグレアが存在しない。したがって、図5Aに示されるとおりの本発明の実施形態は、広視野の照明を生成しながらグリント(glint)が存在しないことを特徴とすることができる。
【0087】
[0138]再び図5Dに示した照明システムを参照すると、LEDであってよい光源126は有限の面積を有し、光は、中央にただ1つの障害物を含んでいるマスク125によって最初に迎えられる。次いで、光は、図6Aの光リング49へと画像化されるべき環状の開口を有するマスク51によって迎えられる。ダブレットレンズ106およびダブレットレンズ113が、照明投射システムを構成する。品目127は、随意による血管造影のための励起フィルタである。網膜からの戻りの光は、ビームスプリッタ520によって迎えられる。第2のレンズ512および対物レンズ510は、光を高度に一様な照度で網膜13の適切な領域へともたらす役割も果たす。
【0088】
[0139]図5Eに、照明システムの前端のさらに詳細な説明が示されている。照明システムは、レンズ124およびレンズ123ならびに他の光学要素を使用して、眼の直径が知られているときに、網膜13における一様な照度を生成する。例えば、図5Fに示されるように、システムが図5Fに示されるサイズの眼に合わせて設計される場合、照明光線の境界48は、網膜の中央131にちょうど合致する。しかしながら、図5Gに示されるように、より大きな直径の眼が存在する場合、網膜の両側からの光線48が中央131において重なり合い、放射照度の「ホットスポット」をもたらす。これを、照明束の外側の光線134を遮り、したがって網膜における内側の光線133を遮るように設定できる虹彩を位置132に配置することによって、回避することができる。これが、図5Hおよび図5Iにさらに詳しく示されている。
【0089】
[0140]図5Jが、本発明の別の実施形態によるただ1つの対物レンズを使用する角膜接触スルーザレンズ撮像システムである。図5Jに示されるシステムは、図5Aに示したシステムと共通の要素を共有し、図5Aに関する説明は、必要に応じて図5Jに示したシステムに適用可能である。図5Jにおいては、追加のフィールドレンズ592が、第2のレンズ512とビームスプリッタ520との間に追加されている。図示の実施形態において、追加のフィールドレンズ592は、空中像514とビームスプリッタ520との間に位置している。
【0090】
[ 0141]追加のフィールドレンズ592の利用は、第2のレンズ512とビームスプリッタ520との間の距離を延ばし、図10に示されるグリップ1040を長くし、手持ち式のイメージャをユーザの手においてより容易に保持できるようにする。さらに、この領域における照明ビームがリングであり、レンズの湾曲部分からカメラの壁へと容易に反射させられ、画像平面に再び進入することがないため、追加の光学要素を、グレアを著しく導入することなく使用することができる。当業者であれば、多数の変種、改良、および代案を認識できるであろう。
【0091】
[0142]散乱/コントラスト:技術的解決策
【0092】
[0143]かすみの主たる原因は、水晶体および角膜からの散乱であり、これらの後方散乱はかなりのレベルにある。人間の眼において、水晶体および角膜は、立方mm当たりの後方散乱が名目的には同等である。角膜は、200μmの厚さであるが、より多くの青色光を後方散乱させる傾向にある。水晶体は、2,000μmもの厚さに達し得るが、比例して少ない青色光の散乱を有する。青色光の散乱は、これが波長の4乗に反比例して強くなるレイリー(Rayleigh)散乱によって支配されるため、最も大きな課題である。この散乱は、患者の年齢と共に大きくなり、これが理由で、いくつかの網膜撮像システムは成人患者に適用可能でない。
【0093】
[0144]図6Aが、本発明の実施形態による1つの対物レンズを使用するスルーザレンズ照明システムにおける眼の断面を示している。GonakまたはGoniovisicなどのメトセルロース(methocellulose)を含む透明なゲルを、接触レンズと角膜との間に利用できることを、理解すべきである。
【0094】
[0145]図6Aは、対物レンズ510、角膜508、水晶体18、カメラの入射瞳45、および照明リング49を示している。光線48によって境界付けられる入力の照明が、眼の中央から測定したときに100度の位置にある点64まで網膜13を照明し、光は、図5Bに光線511として示されている光線47によって境界付けられるとおりに戻る。撮像システムの入射瞳45は、水晶体18と角膜508との間に位置する。照明リング49は、水晶体18の前方に、虹彩と平行に位置する。このように、撮像システムの入射瞳45と撮像システムの照明リングとは、長手方向にオフセットされている。一実施形態において、長手方向のオフセットは、例えば3mmなど、約1mm~約5mmの範囲である。瞳と照明リングとの間のオフセットは、散乱性の組織が存在して光がビーム47へと後方散乱し得る場合の領域における入射光48の交差を回避しようとするときに、設計者にさらなる余裕を可能にすることができる。
【0095】
[0146]図6Bは、図6Aに示した眼の前方部分の拡大図を示している。入力の照明光が、光線48によって境界付けられ、戻りの光が、光線47によって境界付けられ、主要な散乱媒体である角膜508および水晶体18が示されている。本発明の発明者は、光線47によって輪郭付けられる戻りの光線が、角膜508または水晶体18の領域において、48によって輪郭付けられる入射の光線と同じ空間を共有しないことに注目した。また、水晶体18における体積60および角膜508における体積61を指す円によって示されるとおりの非交差領域に注目すべきである。これは、本発明の実施形態が、散乱の量の低減または考えられる限り最低の散乱を達成することを可能にする。
【0096】
[0147]水晶体または角膜の散乱が画像へと進入するためには、散乱中心が、戻りの光の経路内に位置しなければならないが、これがこの設計においては存在しない。そのような設計によって生み出される画像は、角膜508または水晶体18における散乱によって質が損なわれることがない。入射瞳45と照明リング49とが、正確に同じ平面に位置するのではなく、長手方向にわずかにオフセットされていることに注意すべきである。照明リング49とカメラの入射瞳45とをオフセットさせることにより、戻りの光路47における角膜508または水晶体18からの散乱をなくすことができる。入射瞳45が照明リング49とともに虹彩の平面に位置するように前方に押されたならば、水晶体18および角膜508からの散乱が存在すると考えられる。入射瞳45が前方へと押されたならば、水晶体18からの散乱が存在すると考えられる。実際、多くの網膜画像は、画像の縁に強い青色のかすみを有する。
【0097】
[0148]図6Cが、本発明の実施形態による光線によって形成される円錐を説明する概略図である。図6Cは、入射瞳45の上方70および下方72の光の円錐を示している。本発明の発明者は、これを「静寂の円錐(cone of silence)」と呼ぶ。本発明の実施形態によれば、光散乱の媒体73および71に交わる静寂の円錐にいかなる照明光も位置させない高コントラストな設計がもたらされる。
【0098】
[0149]網膜のほぼ全体を撮像しながらの散乱/コントラストに関する第1の技術的解決策:広い関心野
【0099】
[0150]広視野カメラに関して、FOVの最良の尺度は、眼の中心からであると考えられる。カバーされる網膜の表面積は、眼の中心から測定されるときのFOVの平方に比例する一方で、カバーされる網膜の面積は、入射瞳から測定されるFOVと非線形な関係を有する。この尺度により、図6Aに示される設計のFOVは、100度である。
【0100】
[0151]異なる凝視角度において得られた画像の合成を取得後に形成することが、約15年間にわたって眼科において一般的である。これのための技術は、次第に改善されてきているが、これは依然として退屈なタスクであり、ほぼ常に豊富な訓練を経た眼科の技術者によって実行され、医師によって行われることはまれである。しかしながら、事後取得は、画像の大きなセットを得るとき、臨床医がそのセットが良好であるかどうかを患者が去るまでに判断することが典型的には不可能であるため、常に困難である。実際、この種の作業は、通常はその日の診療の終わりにおいて技術者によって遂行され、いつも良好な結果というわけではない。
【0101】
[0152]これらの従来のシステムと対照的に、本発明の実施形態は、画像のモザイクを、画像が取得されるときにリアルタイムで形成する。画像は、オンザフライで自動的に取得および合成され、あるいはユーザが、各々の凝視角度において最良の画像が得られたときに指示をもたらす(例えば、ボタンを押す)ことができる。この方法を使用し、本発明の実施形態は、眼科の撮像のための革命的な技術的解決策を提供する。
【0102】
[0153]本明細書に記載の実施形態によれば、部分画像を素早い連続にて取得することによって角膜および水晶体からの散乱を完璧またはほぼ完璧に排除しつつFOVを広げることができる。
【0103】
[0154]散乱/コントラストに関する第2の技術的解決策:より広視野の画像
【0104】
[0155]しかしながら、より広いFOVが求められ、図7Aに示されるようにFOVを少し広げようとする企ては、「静寂の円錐」の原理に反する入射光および出射光の重なり合いにつながる。図7Bにさらに詳しく示されるように、水晶体18および角膜508における重なり合いが、体積60および体積61に存在する。同様に、画像の周辺がかすみ、多くの場合に、網膜カメラが、青色に着色した周辺を有する。
【0105】
[0156]図7Cが、FOVが、網膜上の点64までの100度と対照的に、(図7Aに示されるように)網膜上の点65へと130度まで開かれるときの照明/撮像システムの断面を示している。この場合に、撮像は130度まで広げられているが、照明場は増やされておらず、100度の戻りの光線47のままである。
【0106】
[0157]静寂の円錐のこの侵犯への技術的解決策が、図7Dおよび図7Eに示されている。システムは、FOVおよび照明場を130度においてもたらすことができるように作られる。したがって、システムは、以下に開示される技術、手順、および手段に従って2つの画像を取得して合成するように設定される。図7Dを参照すると、センサにおいて100度へと一時的に抑えられた第1の画像が得られ、網膜も100度まで照明される。これは、図6Aに示したシステムと同じ画像を生む。これは、画像平面560に隣接して位置し、あるいは画像平面560に位置する空間光モジュレータ710を使用し、イメージセンサ562の直前で光69を迎えることによって、図7Iに示されるように達成される。
【0107】
[0158]CCDシャッタが開かれ、あらゆるすべての画像がアレイセンサによって集められるように、このプロセスにおいて開いたままである。図7Dに示した撮像条件についてのアレイセンサの画像上の正面である図7Fに示されるとおり、第1の中央領域720の画像が、円形であり得る中央領域に形成される。第1の中央画像に関する中央領域720は、例えば100度の第1の視野を特徴とする。外側リングまたは環状領域730は、撮像されていない。環状領域730の外周734は、130度の視野を特徴とする。中央領域720および環状領域730は、中央領域の外周が環状領域の内周と共通の境界を形成するため、連続的である。画像平面における中央領域および環状領域の整列は、網膜の表面上の対物面においても存在し、網膜の中央領域の第1の画像と、中央領域の第1の画像を囲み、かつ中央領域の第1の画像に連続する網膜の環状領域の第2の画像とをもたらす。当業者であれば、多数の変種、改良、および代案を認識できるであろう。
【0108】
[0159]次いで、空間光モジュレータが、第1の中央画像の中央領域720に関して閉じられ、外側リングとも称することができる環状領域730を撮像するために開かれる。これにより、図7Eに示されるとおり、後述されるシステムが、照明を第1の視野(例えば、100度)と環状領域730の外周734の視野(例えば、130度)との間の網膜上の光75のリングにてもたらし、戻りの光74もリングである。
このようにして、網膜の一部分の第2の画像が、網膜を光線75によって境界付けられるリングにて照明し、光をやはり光線74によって境界付けられるリングにて受け取ることによって、図7Dおよび図7Gに示されるように形成される。図7Eに示されるように、60または61における静寂の円錐の侵犯が存在しないことに、注意すべきである。したがって、中央領域720の第1の画像および周辺領域とも称される環状領域730の第2の画像のどちらも、散乱を含まず、イメージセンサが、中央領域720の第1の画像および周辺領域730の第2の画像の両方を蓄積し、図7Hに示されるとおりの最終的な画像の形成において示されるとおりの最終的な合成画像をもたらす。上述のように、図7F~図7Hは画像平面における中央および環状領域を示しているが、対物面(すなわち、網膜)における対応する領域が存在し、画像平面に関する検討は、必要に応じて対物面にも適用可能である。
【0109】
[0160]他の実施形態は、1つの画像を取得するように用意されたCCDを使用し、外部メモリへの迅速なフレーム転送を行った後に、第2の画像を取得する。そのようなセンサを、これらの画像を取得するために使用することができ、次いで第1の視野(例えば、100度)の外側の第1の画像における外部散乱を、デジタル的に除去することができる。これらのセンサは、インタ-ライン(interline)に分類され、粒子画像速度測定(PIV)の用途に頻繁に使用され、フレーム間の時間は、80ミリ秒という短さで過ぎることができる。
【0110】
[0161]散乱/コントラストに関する第3の技術的解決策:超広視野の画像
【0111】
[0162]FOVを150度まで広げるために、より複雑な部分撮像プロセスを、別の実施形態に従って利用することができる。上述のように、網膜の中央領域の中央画像(例えば、100度の視野を有する画像)は前記第1の撮像工程であってよいが、網膜の環状領域(すなわち、外側リング)の撮像は、より広い視野(例えば、15度ではなく、追加の22.5度の幅)を特徴とし、外側リングの撮像のためにより複雑なシステムが使用される。
【0112】
[0163]図8Aが、本発明の実施形態による外側リングの照明および撮像を含む眼の輪郭図を示している。上述のように、網膜の第1の部分の第1の画像は第1の視野(例えば、100度)において得られ、図8Aにおいては、外側リングだけが示されている。網膜の部位814が、環状のやり方で照明され、部位814は、外側リングの撮像を可能にする環を横切って延びる径方向の線を表している。光線810によって境界付けられた外側照明リングが、今や第1の画像(すなわち、中央画像)の各側の22.5度の幅にて網膜をカバーしている。結果として、外側リングの外周における光線810に関して注入された光は、光線812によって示される戻りの光線と、たとえ眼の水晶体に位置する体積60において交差しなくても、角膜に位置する体積61において交差する。しかしながら、角膜での体積61における入射および出射光との交差は、網膜の反対側から生じる。
【0113】
[0164]図8Bが、本発明の実施形態による方位角分割(azimuthal segmenting)および径方向分割(radial segmenting)を使用する極度に広い外側リング照明および撮像を示している。図8Bに示されるとおり、リングの方位角寸法を抑えることによって、網膜の全体からの入射および出射光の間の交差を回避することができる。
【0114】
[01 65]図8Bに示される眼の輪郭図においては、外側リングの照明および撮像が、環状リングの一部分を構成する方位角部分について示されている。上述のように、網膜の第1の部分の第1の画像は第1の視野(例えば、100度)(すなわち、中央画像)において得られ、図8Bにおいては、外側リングだけが示されている。光線820によって境界付けられた外側照明リングが、今や第1の画像(すなわち、中央画像)の各側の22.5度の幅にて網膜をカバーしている。注入される光は、外側リングの外周の光線820によって表されており、戻りの光は、光線822によって表されている。網膜の部位824が、環状リングの方位角部分を横切って延びる径方向の線を表している。
【0115】
[0166]図8Cが、本発明の実施形態による方位角部分を光軸に沿って眺めた図を示している。図8Cに、方位角部分830、832、および834と、中央部分とも称される中央領域720とを有する3分割版が示されており、方位角部分は、いくつかの実施形態において適切なマスキングによって順に照明される。図7Fを参照すると、周辺領域730が、方位角部分へと分割されており、周辺領域の幅が、15度から22.5度へと増やされているが、他の幅も使用可能である。追加の視野幅が、例えば22.5度の図8Cにおける幅wによって示されているが、他の追加の幅も利用可能である。このようにして、網膜の中央部分720の中央画像が得られ、網膜の外側リング(方位角部分830、832、および834)の方位角画像と組み合わせられ、網膜の合成画像が形成される。
【0116】
[0167]第1の方位角範囲(すなわち、0~120度)、第2の方位角範囲(120~240度)、および第3の方位角範囲(すなわち、240~360度)による3分割が、図8Cには示されているが、本発明は、この特定の実施例に限られない。他の実施例では、より少数の方位角範囲(例えば、2つの方位角範囲)が利用され、あるいはさらなる方位角範囲(例えば、4つ以上の方位角範囲)が利用される。さらに、22.5度という追加幅の視野の拡大が図8Cには示されているが、本発明は、この特定の幅に限られず、他の追加幅も、本発明の技術的範囲に包含される。当業者であれば、多数の変種、改良、および代案を認識できるであろう。
【0117】
[0168]上述のように、本発明の実施形態は、手持ち式のイメージャへのOCTの追加による大きな臨床的利点を提供し、重く、FOVが狭く、一般に使用が困難であり、組み込みの明視野または蛍光眼底血管造影を持たない従来のシステムと対照的である。いくつかの現在のシステムは、網膜の正方形の2次元領域について三次元の画像を取得し、このデータを保存する。次いで、正面(en face)のOCTデータが、2次元(例えば、xおよびy)にて表示され、別の色付きの線が、この画像の上部の上方に表示される。この線は、2次元のOCTデータ(例えば、xおよびz)を同時に表示しながら下方へとゆっくりスキャンする。これは、網膜内の層についての臨床データをもたらすが、明視野上のOCTデータの位置決定に大きな困難が存在する。したがって、この欠点に対処するために、本発明の実施形態は、リアルタイムの明視野上にOCTのx-zデータの位置を示す線を提示する。複数の線を、3Dデータを提供するために利用することができる。当業者であれば、多数の変種、改良、および代案を認識できるであろう。
【0118】
[0169]図9Aが、本発明の実施形態によるOCTが統合された手持ち式のイメージャを説明する概略図である。図9Aを参照すると、網膜の撮像に利用されると考えられるOCT光学列が示されている。撮像レンズ群540が、撮像システムの後部に位置するシステムの一部分であり、そのいくつかの部分は、図5Cに関連して説明済みである。対物レンズ群501も示されており、随意によるOCT戻り/伝送部分910も示されている。図9Bに、OCT撮像/伝送部分910の詳細が示されている。焦点920に画像が存在し、単一のファイバがOCTエンジンへとOCT光を伝送し、OCTエンジンからOCT光を受け取る。レンズ918がIR光を前方へと投射し、MEMSミラー917に瞳916が存在する。レンズ914およびレンズ912が、IR光をビームスプリッタ544へと投射し、ビームスプリッタ544が、IR光をカメラの光学系へと反射させる。
【0119】
[0170]一実施形態においては、xおよびy信号をMEMSミラー917へと送信するために使用されるソフトウェアが、明視野データに指示線を追加するために表示装置にもデータを供給する。可視およびIRの両方の波長における収差の補正が、OCT画像の分解能の要件が図9Aの後部光学要素によって満たされるようにもたらされることを、理解できるであろう。
【0120】
[0171]図9Cが、本発明の別の実施形態によるOCTビーム列の詳細を説明する光学概略図である。図9Cに示されるシステムは、図9Bに示したシステムと共通の要素を共有し、図9Bに関する説明は、必要に応じて図9Cに示したシステムに適用可能である。図9Cに示したOCTシステムにおいては、焦点920に画像が存在し、単一のファイバがOCTエンジンへとOCT光を伝送し、OCTエンジンからOCT光を受け取る。IR光が、MEMSミラー917に向けて投射される。レンズ932およびレンズ930が、IR光をビームスプリッタ544へと投射し、ビームスプリッタ544が、IR光をカメラの光学系へと反射させる。
【0121】
[0172]図10が、本発明の実施形態による眼の網膜を撮像するための手持ち式のイメージャを説明する簡単な概略図である。手持ち式のイメージャ1000は、本明細書に記載の光学要素のうちの1つ以上を囲むハウジング1002を備える。図10を参照すると、手持ち式のイメージャ1000は、撮像対象の眼1010に隣接して配置される。対物レンズ群501が、図5Aに示した対物レンズ510および第2のレンズ512を含む光学要素を含む。照明源とも称される照明器1020が、図5Aに示される照明光505をもたらす。ビームスプリッタ520が、照明光505を対物レンズ群501へと向ける。
【0122】
[0173]眼からの反射光は、戻りの経路において対物レンズ群501を通過し、ビームスプリッタ522を通過して、撮像レンズ群540を使用して画像化され、イメージセンサ562が組み合わせられた画像平面560において画像を形成する。随意によるOCT戻り/伝送部分910を、いくつかの実施形態においてハウジング1002の外面に取り付けることができる。他の実施形態においては、OCT部分を、他の光学要素および部分と一緒にハウジング内に配置することができる。グリップ1040が、ユーザが自身の手で手持ち式のイメージャを保持できるように、対物レンズ群501を囲んで設けられる。典型的には、グリップの長さは、医療関係者による手持ち式のイメージャの保持を容易にするために、6インチ程度である。
【0123】
[0174]いくつかの実施形態において、照明器または照明源1020、対物レンズ群501、および撮像レンズ群540は、ハウジングの内側に配置され、手持ちでの使用に適したコンパクトなパッケージをもたらす。電力および通信が、入力/出力コネクタ1052においてハウジングへと接続することができる電力/通信ケーブル1050を介して手持ち式のユニットへともたらされる。
【0124】
[0175]本発明の実施形態によれば、眼の網膜の撮像のための手持ち式のイメージャが提供される。手持ち式のイメージャは、ハウジングを備える。照明光を生成するように動作することができる照明源、および照明光を受け取り、照明光を光軸に沿って導くように動作することができるビームスプリッタなど、いくつかの光学要素がハウジング内に配置される。対物レンズ群が、光軸に沿って配置され、光軸に沿って配置されるフィールドレンズと、光軸に沿って配置され、眼の角膜に接触するように動作することができる対物レンズとを含む。空中像(aerial image)が、フィールドレンズに隣接して形成される。さらに、イメージセンサと、ビームスプリッタとイメージセンサとの間で光軸に沿って配置される1つ以上のレンズとが、ハウジング内に配置される。1つ以上のレンズは、イメージセンサにセンサ画像を形成するように動作することができる。
【0125】
[0176]一使用の場合において、手持ち式のイメージャは、網膜の撮像における使用のためにユーザの手に保持される。別の使用の場合においては、患者の頭部が、顎-額支え(chin-forehead rest)に支持され、手持ち式のイメージャが、顎-額支えに隣接して取り付けられる。このように、手持ち式という用語の使用は、本発明の技術的範囲をユーザの手における保持だけに限定しようとするものではなく、網膜イメージャが取り付けられる応用も含むように意図される。当業者であれば、多数の変種、改良、および代案を認識できるであろう。
【0126】
[0177]図11が、本発明の実施形態による患者の眼の網膜を撮像するための手持ち式のイメージャの動作の方法を説明する簡単なフロー図である。方法1100は、手持ち式のイメージャを患者の眼に隣接させて配置すること(1110)を含む。手持ち式のイメージャは、照明光を生成するように動作することができる照明源、および対物レンズと第2のレンズとを含む対物レンズ群とを備える。対物レンズを、いくつかの実施形態においては、単一の構成要素からなる対物レンズとして実現することができる。いくつかの実施形態において、第2のレンズは、フィールドレンズとして機能する。本方法は、対物レンズを眼の角膜に接触させること(1112)、および対物レンズ群を通過する照明光で眼の網膜を照明すること(1114)をさらに含む。
【0127】
[0178]本方法は、照明光の少なくとも一部を網膜から反射させて戻りの信号をもたらすこと(1116)、戻りの信号を光路に沿って導くこと(1118)、およびイメージセンサを使用して画像平面においてセンサ画像を検出すること(1124)をさらに含む。
【0128】
[0179]いくつかの実施形態において、本方法は、フィールドレンズに隣接する空中像位置において光路に沿った空中像を形成すること(1120)、および空中像を像形成することによって画像平面においてセンサ画像を形成すること(1122)をさらに含む。これらの実施形態において、空中像は、第1の画像品質を特徴とし、画像平面におけるセンサ画像は、第1の画像品質よりも高い第2の画像品質を特徴とする。例として、空中像は、センサ画像において存在せず、あるいは存在するが低レベルである色収差を特徴とすることができる。あくまでも例として、空中像は、縁において異なる方向に数ミリメートル以上の湾曲を有する接線方向画像および矢状方向画像を含むことができる。
【0129】
[0180]図11に示した具体的な工程が、本発明の実施形態による患者の眼の網膜を撮像するための手持ち式のイメージャの動作について、特定の方法を提供していることを理解すべきである。他の連続する工程も、別の実施形態に従って実行可能である。例えば、本発明の別の実施形態は、上述の工程を別の順序で実行することができる。さらに、図11に示した個々の工程は、個々の工程に見合った種々の順序で実行されてよい複数の部分工程を含むことができる。さらに、個々の用途に応じて、さらなる工程を追加または削除することができる。当業者であれば、多数の変種、改良、および代案を認識できるであろう。
【0130】
[0181]図12が、本発明の実施形態による患者の眼の網膜を撮像するための方法を説明する簡単なフロー図である。方法1200は、手持ち式の網膜イメージャを患者の眼に隣接させて配置すること(1210)、および網膜の第1の部分の第1の画像を取得すること(1212)を含む。第1の画像は、中央領域(例えば、円形領域)および第1の視野(例えば、100度)に関する。第1の画像を、図7Fに示されるようにイメージセンサの画像平面上に形成することができる。
【0131】
[0182]本方法は、網膜の第2の部分の第2の画像を取得すること(1214)をさらに含む。第2の画像は、中央領域を囲む環状領域に関する。環状領域の外周は、第1の視野よりも大きい第2の視野(例えば、130度)を特徴とする。いくつかの実施形態において、網膜の第1の部分および網膜の第2の部分は、連続的である。本方法は、網膜の第1の部分の第1の画像と網膜の第2の部分の第2の画像とを組み合わせ、網膜の合成画像をもたらすこと(1216)をさらに含む。本発明の実施形態を利用して、合成画像は、ただ1つの画像が取得される場合に得られるよりも高い品質をもたらす。
【0132】
[0183]いくつかの実施形態において、手持ち式のイメージャは、照明光を生成するように動作することができる照明源、および対物レンズと第2のレンズとを含む対物レンズ群とを備える。一実施形態において、網膜の第1の部分の第1の画像を取得することは、対物レンズを眼の角膜に接触させ、網膜の第1の部分を対物レンズ群を通過する照明光で照明し、照明光の少なくとも一部を網膜の第1の部分から反射させて戻りの信号をもたらすことを含む。いくつかの実施形態において、中央部分を囲む網膜の周辺部分は、第1の画像が取得されるときに照明されないようにマスクされる。第1の画像を取得することは、戻りの信号を光路に沿って導き、イメージセンサを使用して画像平面においてセンサ画像を検出することをさらに含むことができる。
【0133】
[0184]別の実施形態において、網膜の第2の部分の第2の画像を取得することは、対物レンズを眼の角膜に接触させ、網膜の第2の部分を対物レンズ群を通過する照明光で照明し、照明光の少なくとも一部を網膜の第2の部分から反射させて戻りの信号をもたらすことを含む。いくつかの実施形態において、周辺部分の内側の網膜の中央部分は、第2の画像が取得されるときに照明されないようにマスクされる。第2の画像を取得することは、戻りの信号を光路に沿って導き、イメージセンサを使用して画像平面においてセンサ画像を検出することをさらに含むことができる。
【0134】
[0185]本明細書に記載のとおり、網膜の第1の部分の第1の画像を取得することは、中央領域を照明し、中央領域を囲む環状領域を伝播する光を遮るように、空間光モジュレータを動作させることを含むことができる。網膜の第2の部分の第2の画像を取得することは、中央領域を囲む環状領域を照明し、中央領域を伝播する光を遮るように、空間光モジュレータを動作させることを含むことができる。空間光モジュレータは、イメージセンサの画像平面に隣接して位置することができる。
【0135】
[0186]図12に示した具体的な工程が、本発明の実施形態による患者の眼の網膜の撮像について、特定の方法を提供していることを理解すべきである。他の連続する工程も、別の実施形態に従って実行可能である。例えば、本発明の別の実施形態は、上述の工程を別の順序で実行することができる。さらに、図12に示した個々の工程は、個々の工程に見合った種々の順序で実行されてよい複数の部分工程を含むことができる。さらに、個々の用途に応じて、さらなる工程を追加または削除することができる。当業者であれば、多数の変種、改良、および代案を認識できるであろう。
【0136】
[0187]図13が、本発明の実施形態による患者の眼の網膜の広視野画像を形成する方法を説明する簡単なフロー図である。方法1300は、手持ち式の網膜イメージャを患者の眼に隣接させて配置すること(1310)、および網膜の第1の部分(例えば、中央部分)の第1の画像を取得することを含む。手持ち式のイメージャは、照明光を生成するように動作することができる照明源、および対物レンズと第2のレンズとを含む対物レンズ群とを備えることができる。第1の画像は、中央領域(例えば、円形領域)および第1の視野(例えば、100度)に関する。
【0137】
[ 0188]一実施形態において、網膜の第1の部分の第1の画像を取得することは、対物レンズを眼の角膜に接触させ、眼の網膜の第1の部分を対物レンズ群を通過する照明光で照明することを含む。第1の画像を取得することは、照明光の少なくとも一部を網膜の第1の部分から反射させて戻りの信号をもたらすこと、戻りの信号を光路に沿って導くこと、およびイメージセンサを使用して画像平面において中央センサ画像を検出することをさらに含むことができる。
【0138】
[0189]本方法は、網膜の第1の追加部分の第1の追加画像を取得すること(1314)をさらに含む。第1の追加画像は、中央領域を囲む環状領域の第1の部分をカバーする第1の方位角範囲に関する。環状領域の外周は、第1の視野よりも大きい第2の視野(例えば、150度)を特徴とする。本方法は、網膜の第2の追加部分の第2の追加画像を取得すること(1316)をさらに含む。第2の追加画像は、中央領域を囲む環状領域の第2の部分をカバーする第2の方位角範囲に関する。さらに、本方法は、網膜の第3の追加部分の第3の追加画像を取得すること(1318)を含む。第3の追加画像は、中央領域を囲む環状領域の第3の部分をカバーする第3の方位角範囲に関する。いくつかの実施形態においては、第1の方位角範囲、第2の方位角範囲、および第3の方位角範囲が集まって、360度の範囲をカバーする。
【0139】
[0190]一実施形態において、網膜の第1、第2、および第3の追加部分の第1、第2、および第3の追加画像を取得することは、対物レンズを眼の角膜に接触させ、眼の網膜の第1、第2、および第3の追加部分を対物レンズ群を通過する照明光で順に照明することを含む。第1、第2、および第3の追加画像を取得することは、照明光の少なくとも一部を網膜の第1、第2、および第3の追加部分から反射させて第1、第2、および第3の戻りの信号をもたらすこと、第1、第2、および第3の戻りの信号を光路に沿って導くこと、およびイメージセンサを使用して画像平面において第1、第2、および第3の周辺センサ画像を検出することをさらに含むことができる。
【0140】
[0191]例として、網膜の第1の部分の第1の画像を取得することは、中央領域を照明し、中央領域を囲む環状領域を伝播する光を遮るように、空間光モジュレータを動作させることを含むことができる。空間光モジュレータは、イメージセンサの画像平面に隣接して位置することができる。網膜の第1の追加部分の第1の追加画像を取得することは、中央領域を囲む環状領域の第1の部分をカバーする第1の方位角範囲を照明し、中央領域、中央領域を囲む環状領域の第2の部分をカバーする第2の方位角範囲、および中央領域を囲む環状領域の第3の部分をカバーする第3の方位角範囲を伝播する光を遮るように、空間光モジュレータを動作させることを含むことができる。
【0141】
[0192]網膜の第2の追加部分の第2の追加画像を取得することは、中央領域を囲む環状領域の第2の部分をカバーする第2の方位角範囲を照明し、中央領域、中央領域を囲む環状領域の第1の部分をカバーする第1の方位角範囲、および中央領域を囲む環状領域の第3の部分をカバーする第3の方位角範囲を伝播する光を遮るように、空間光モジュレータを動作させることを含むことができる。網膜の第3の追加部分の第3の追加画像を取得することは、中央領域を囲む環状領域の第3の部分をカバーする第3の方位角範囲を照明し、中央領域、中央領域を囲む環状領域の第1の部分をカバーする第1の方位角範囲、および中央領域を囲む環状領域の第2の部分をカバーする第2の方位角範囲を伝播する光を遮るように、空間光モジュレータを動作させることを含むことができる。
【0142】
[0193]本方法は、網膜の第1の部分の第1の画像、網膜の第1の追加部分の第1の追加画像、網膜の第2の追加部分の第2の追加画像、および網膜の第3の追加部分の第3の追加画像を組み合わせ、網膜の合成画像をもたらすこと(1320)をさらに含む。
【0143】
[0194]図8Cに示されるとおり、網膜の第1の部分は、中央領域を囲む環状領域の第1の部分、中央領域を囲む環状領域の第2の部分、および中央領域を囲む環状領域の第3の部分と連続的であってよい。さらに、中央領域を囲む環状領域の第1の部分は、中央領域を囲む環状領域の第2の部分と連続的であってよく、中央領域を囲む環状領域の第2の部分は、中央領域を囲む環状領域の第3の部分と連続的であってよく、中央領域を囲む環状領域の第3の部分は、中央領域を囲む環状領域の第1の部分と連続的であってよい。
【0144】
[0195]図13に示した具体的な工程が、本発明の実施形態による患者の眼の網膜の広視野画像を形成について、特定の方法を提供していることを理解すべきである。他の連続する工程も、別の実施形態に従って実行可能である。例えば、本発明の別の実施形態は、上述の工程を別の順序で実行することができる。さらに、図13に示した個々の工程は、個々の工程に見合った種々の順序で実行されてよい複数の部分工程を含むことができる。さらに、個々の用途に応じて、さらなる工程を追加または削除することができる。当業者であれば、多数の変種、改良、および代案を認識できるであろう。
【0145】
[0196]また、本明細書に記載の例および実施形態が、あくまでも説明の目的のためのものにすぎず、それらに照らした種々の改良または変更が、当業者に対して示唆され、本出願の技術的思想および範囲ならびに添付の特許請求の範囲の技術的範囲に包含されることを、理解すべきである。

条項1.
眼の網膜の撮像のための網膜イメージャであって、
照明光を生成するように動作することができる照明源と、
前記照明光を受け取り、前記照明光を光軸に沿って導くように動作することができるビームスプリッタと、
前記光軸に沿って配置されたフィールドレンズと、
前記光軸に沿って配置され、眼の角膜に接触するように動作することができ、空中像が前記フィールドレンズに隣接して形成される対物レンズと、
イメージセンサと、
前記ビームスプリッタと前記イメージセンサとの間において前記光軸に沿って配置され、前記イメージセンサにセンサ画像を形成するように動作することができる1つ以上のレンズと
を備える網膜イメージャ。
条項2.
ユーザの手によって保持されるように機能することができるグリップを有するハウジングをさらに備える、条項1に記載の網膜イメージャ。
条項3.
前記空中像は、ISO(登録商標) 10940に適合しないRMSスポット半径を特徴とし、前記センサ画像は、ISO(登録商標) 10940に適合した第2のRMSスポット半径を特徴とする、
条項1に記載の網膜イメージャ。
条項4.
前記空中像は、前記イメージセンサにおける前記センサ画像のための対象物を含む、条項1に記載の網膜イメージャ。
条項5.
前記空中像は、前記フィールドレンズと前記ビームスプリッタとの間に形成される、条項1に記載の網膜イメージャ。
条項6.
前記対物レンズは、単一の構成要素からなる対物レンズを備える、条項1に記載の網膜イメージャ。
条項7.
前記照明光は、前記単一の構成要素からなる対物レンズを通って眼へと注入される、条項6に記載の網膜イメージャ。
条項8.
当該手持ち式のイメージャの入射瞳と照明リングとが、長手方向にオフセットされている、条項1に記載の網膜イメージャ。
条項9.
網膜イメージャを動作させる方法であって、
照明光を生成するように動作することができる照明源と、
対物レンズと第2のレンズとを含む対物レンズ群と
を備える網膜イメージャを、患者の眼に隣接して位置させるステップと、
前記対物レンズを眼の角膜に接触させるステップと、
眼の網膜を前記対物レンズ群を通過する前記照明光で照明するステップと、
前記照明光の少なくとも一部を前記網膜から反射させ、戻りの信号をもたらすステップと、
前記戻りの信号を光路に沿って導くステップと、
イメージセンサを使用して画像平面においてセンサ画像を検出するステップと
を含む方法。
条項10.
前記第2のレンズに隣接した空中像位置において前記光路に沿って空中像を形成するステップと、
前記空中像を画像化することによって画像平面において前記センサ画像を形成するステップと
をさらに含む、条項9に記載の方法。
条項11.
前記空中像位置におけるミリメートルごとの線ペアにおいて測定される第1の分解能は、前記画像平面におけるミリメートルごとの線ペアにおいて測定される第2の分解能よりも低い、条項9に記載の方法。
条項12.
前記第1の分解能は、ISO(登録商標) 10940に適合せず、前記第2の分解能は、ISO(登録商標) 10940に適合する、条項9に記載の方法。
条項13.
前記空中像は、縁において異なる方向に数ミリメートル以上の湾曲を有する接線方向画像および矢状方向画像を含む、条項9に記載の方法。
条項14.
患者の眼の網膜を撮像する方法であって、
網膜イメージャを患者の眼に隣接させて配置するステップと、
網膜の第1の部分の第1の画像を取得するステップであって、該第1の画像は中央領域および第1の視野に関するステップと、
網膜の第2の部分の第2の画像を取得するステップであって、該第2の画像は前記中央領域を囲む環状領域に関し、該環状領域の外周は前記第1の視野よりも大きい第2の視野を特徴とするステップと、
網膜の前記第1の部分の前記第1の画像と網膜の前記第2の部分の前記第2の画像とを組み合わせ、網膜の合成画像をもたらすステップと
を含む方法。
条項15.
前記網膜イメージャは、照明光を生成するように動作することができる照明源、および対物レンズと第2のレンズとを含む対物レンズ群を備えており、
前記網膜の前記第1の部分の前記第1の画像を取得するステップは、
前記対物レンズを眼の角膜に接触させるステップと、
前記眼の前記網膜の前記第1の部分を前記対物レンズ群を通過する前記照明光で照明するステップと、
前記照明光の少なくとも一部を前記網膜の前記第1の部分から反射させ、戻りの信号をもたらすステップと、
前記戻りの信号を光路に沿って導くステップと、
イメージセンサを使用して画像平面において中央センサ画像を検出するステップと
を含む、条項14に記載の方法。
条項16.
前記網膜イメージャは、照明光を生成するように動作することができる照明源、および対物レンズと第2のレンズとを含む対物レンズ群を備えており、
前記網膜の前記第2の部分の前記第2の画像を取得するステップは、
前記対物レンズを眼の角膜に接触させるステップと、
前記眼の前記網膜の前記第2の部分を前記対物レンズ群を通過する前記照明光で照明するステップと、
前記照明光の少なくとも一部を前記網膜の前記第2の部分から反射させ、戻りの信号をもたらすステップと、
前記戻りの信号を光路に沿って導くステップと、
イメージセンサを使用して画像平面において周辺センサ画像を検出するステップと
を含む、条項14に記載の方法。
条項17.
前記網膜の前記第1の部分と前記網膜の前記第2の部分とは、連続的である、条項14に記載の方法。
条項18.
患者の眼の網膜の広視野画像を形成する方法であって、
網膜イメージャを患者の眼に隣接させて配置するステップと、
網膜の第1の部分の第1の画像を取得するステップであって、該第1の画像は中央領域および第1の視野を特徴とするステップと、
網膜の第1の追加部分の第1の追加画像を取得するステップであって、該第1の追加画像は前記中央領域を囲む環状領域の第1の部分をカバーする第1の方位角範囲を特徴とし、該環状領域の外周は前記第1の視野よりも大きい第2の視野を特徴とするステップと、
網膜の第2の追加部分の第2の追加画像を取得するステップであって、該第2の追加画像は前記中央領域を囲む前記環状領域の第2の部分をカバーする第2の方位角範囲を特徴とするステップと、
網膜の第3の追加部分の第3の追加画像を取得するステップであって、該第3の追加画像は前記中央領域を囲む前記環状領域の第3の部分をカバーする第3の方位角範囲を特徴とするステップと、
前記網膜の前記第1の部分の前記第1の画像、前記網膜の前記第1の追加部分の前記第1の追加画像、前記網膜の前記第2の追加部分の前記第2の追加画像、および前記網膜の前記第3の追加部分の前記第3の追加画像を組み合わせ、網膜の合成画像をもたらすステップと
を含む方法。
条項19.
前記網膜イメージャは、照明光を生成するように動作することができる照明源と、対物レンズと第2のレンズとを含む対物レンズ群と、を囲むハウジングを備えており、
前記網膜の前記第1の部分の前記第1の画像を取得するステップは、
前記対物レンズを眼の角膜に接触させるステップと、
前記眼の前記網膜の前記第1の部分を前記対物レンズ群を通過する前記照明光で照明するステップと、
前記照明光の少なくとも一部を前記網膜の前記第1の部分から反射させ、戻りの信号をもたらすステップと、
前記戻りの信号を光路に沿って導くステップと、
イメージセンサを使用して画像平面において中央センサ画像を検出するステップと
を含む、条項18に記載の方法。
条項20.
前記網膜イメージャは、照明光を生成するように動作することができる照明源と、対物レンズと第2のレンズとを含む対物レンズ群と、を囲むハウジングを備えており、
前記網膜の前記第1、第2、および第3の追加部分の前記第1、第2、および第3の追加画像を取得するステップは、
前記対物レンズを眼の角膜に接触させるステップと、
前記対物レンズ群を通過する前記照明光で前記眼の前記網膜の前記第1、第2、および第3の追加部分を順に照明するステップと、
前記照明光の少なくとも一部を前記網膜の前記第1、第2、および第3の追加部分から反射させ、第1、第2、および第3の戻りの信号をもたらすステップと、
前記第1、第2、および第3の戻りの信号を光路に沿って導くステップと、
イメージセンサを使用して画像平面において第1、第2、および第3の周辺センサ画像を検出するステップと
を含む、条項18に記載の方法。
条項21.
前記網膜の前記第1の部分の前記第1の画像を取得するステップは、前記中央領域を照明し、前記中央領域を囲む前記環状領域を伝播する光を遮るように、空間光モジュレータを動作させるステップを含み、
前記網膜の前記第1の追加部分の前記第1の追加画像を取得するステップは、前記中央領域を囲む前記環状領域の前記第1の部分をカバーする前記第1の方位角範囲を照明し、前記中央領域、前記中央領域を囲む前記環状領域の前記第2の部分をカバーする前記第2の方位角範囲、および前記中央領域を囲む前記環状領域の前記第3の部分をカバーする前記第3の方位角範囲を伝播する光を遮るように、前記空間光モジュレータを動作させるステップを含み、
前記網膜の前記第2の追加部分の前記第2の追加画像を取得するステップは、前記中央領域を囲む前記環状領域の前記第2の部分をカバーする前記第2の方位角範囲を照明し、前記中央領域、前記中央領域を囲む前記環状領域の前記第1の部分をカバーする前記第1の方位角範囲、および前記中央領域を囲む前記環状領域の前記第3の部分をカバーする前記第3の方位角範囲を伝播する光を遮るように、前記空間光モジュレータを動作させるステップを含み、
前記網膜の前記第3の追加部分の前記第3の追加画像を取得するステップは、前記中央領域を囲む前記環状領域の前記第3の部分をカバーする前記第3の方位角範囲を照明し、前記中央領域、前記中央領域を囲む前記環状領域の前記第1の部分をカバーする前記第1の方位角範囲、および前記中央領域を囲む前記環状領域の前記第2の部分をカバーする前記第2の方位角範囲を伝播する光を遮るように、前記空間光モジュレータを動作させるステップを含む、条項18に記載の方法。
条項22.
前記中央領域を囲む前記環状領域の前記第1の部分は、前記中央領域を囲む前記環状領域の前記第2の部分と連続的であり、
前記中央領域を囲む前記環状領域の前記第2の部分は、前記中央領域を囲む前記環状領域の前記第3の部分と連続的であり、
前記中央領域を囲む前記環状領域の前記第3の部分は、前記中央領域を囲む前記環状領域の前記第1の部分と連続的である、条項18に記載の方法。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B