(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】乾燥条件自動追随型の乾燥方法および乾燥制御装置
(51)【国際特許分類】
D06F 58/38 20200101AFI20220518BHJP
F26B 3/04 20060101ALI20220518BHJP
F26B 11/02 20060101ALI20220518BHJP
F26B 21/04 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
D06F58/38
F26B3/04
F26B11/02
F26B21/04 A
(21)【出願番号】P 2017177471
(22)【出願日】2017-09-15
【審査請求日】2020-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000133445
【氏名又は名称】株式会社ダスキン
(74)【代理人】
【識別番号】100084342
【氏名又は名称】三木 久巳
(72)【発明者】
【氏名】芝原 孝憲
(72)【発明者】
【氏名】松田 潤二
(72)【発明者】
【氏名】伊地知 賢史
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-010453(JP,A)
【文献】特開2005-140481(JP,A)
【文献】特開2001-038099(JP,A)
【文献】特開平10-170050(JP,A)
【文献】特開平01-119298(JP,A)
【文献】特開2000-140493(JP,A)
【文献】特開2008-110135(JP,A)
【文献】特開2008-183304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/32
F26B 3/04
F26B 11/02
F26B 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被乾燥物を収容する回転ドラムと、
乾燥空気を前記回転ドラムに導入する乾燥空気導入部と、
前記回転ドラム内の空気を排気する排気部と、
排気空気を前記回転ドラムに循環させる循環手段と、を備え、
前記排気空気を前記回転ドラム内に循環可能にした乾燥装置において前記排気空気の循環制御を行う無段階式乾燥制御方法であって、
前記排気空気の湿度を計測する湿度センサと、
乾燥過程における計測湿度に応じた前記循環手段による排気風の循環率との関係をあらかじめ求めて、その関係を示す循環率制御データを記憶する第1記憶手段と、を設け、
前記循環手段は、前記排気空気の循環量を調整する調整手段を有し、
循環率判定処理において、
前記循環率制御データが示す、計測湿度-循環率の比例制御線を参照し、取り込んだ計測湿度データおよび循環率データに基づき、計測湿度に対応する
前記比例制御線上の循環率と、取り込んだ現在の循環率とを比較し、それらの差値が許容幅内にあるか否かを判断し、現在の循環率が該許容幅を超えている場合、循環率を
前記比例制御線上の循環率に変更する変更要と判定して、
循環率を前記循環率制御データ
が示す前記比例制御線に従った最適循環率に変更
するように、
前記調整手段を制御して前記排気空気の循環量を調整し、現在の循環率が該許容幅内にある場合、循環率の変更不要と判定し、
前記循環率制御データに基づいて、前記計測湿度に応じて前記循環率を無段階で調整制御することを特徴とする乾燥条件自動追随型の乾燥方法。
【請求項2】
前記循環手段は、前記排気空気の前記回転ドラムへの流入風量を可変する循環ダンパーを
前記調整手段として含み、
前記循環率は、前記流入風量の可変割合である請求項1に記載の乾燥条件自動追随型の乾燥方法。
【請求項3】
前記循環手段は、ファンモーターの駆動により前記排気空気を前記回転ドラムに送風する送風手段を含み、
乾燥過程における計測湿度に応じた必要風量よりの前記ファンモーターの回転数との関係をあらかじめ求めて、その関係を示すファン回転数制御データを記憶する第2記憶手段を設け、
ファン回転数判定処理において、
前記ファン回転数制御データが示す、計測湿度-ファン回転数の比例制御線を参照し、取り込んだ計測湿度データおよびファン回転数データに基づき、計測湿度に対応する
該比例制御線上のファン回転数と、取り込んだ現在のファン回転数とを比較し、それらの差値が許容幅内にあるか否かを判断し、現在のファン回転数が該許容幅を超えている場合、ファン回転数を
該比例制御線上のファン回転数に変更する変更要と判定して、
ファン回転数を前記ファン回転数制御データ
が示す該比例制御線に従った最適ファン回転数に変更
するように、
前記ファンモータにファン回転数制御信号が出力され、現在のファン回転数が該許容幅内にある場合、ファン回転数の変更不要と判定し、
前記ファン回転数制御データに基づいて、前記計測湿度に応じて前記ファンモーターの回転数を無段階で調整制御する請求項1または2に記載の乾燥条件自動追随型の乾燥方法。
【請求項4】
前記回転ドラムの回転を制御するドラム回転制御手段と、
乾燥過程における計測湿度に応じた被乾燥物重量よりの前記回転ドラムの回転数との関係をあらかじめ求めて、その関係を示すドラム回転数制御データを記憶する第3記憶手段と、を設け、
ドラム回転数判定処理において、
前記ドラム回転数制御データが示す、計測湿度-ドラム回転数の比例制御線を参照し、取り込んだ計測湿度データおよびドラム回転数データに基づき、計測湿度に対応する
該比例制御線上のドラム回転数と、取り込んだ現在のドラム回転数とを比較し、それらの差値が許容幅内にあるか否かを判断し、現在のドラム回転数が該許容幅を超えている場合、ドラム回転数を
該比例制御線上のドラム回転数に変更する変更要と判定して、
ドラム回転数を前記ドラム回転数制御データ
が示す該比例制御線に従った最適ドラム回転数に変更
するように、
ドラム回転装置にドラム回転数制御信号が出力され、現在のドラム回転数が該許容幅内にある場合、ドラム回転数の変更不要と判定し、
前記ドラム回転数制御データに基づいて、前記計測湿度に応じて前記回転ドラムの回転数を無段階で調整制御する請求項1、2または3に記載の乾燥条件自動追随型の乾燥方法。
【請求項5】
複数種の被乾燥物に対し重量または形に応じた種別に分類し、
前記循環率制御データ
および/または前記ドラム回転数制御データは、前記種別ごとの制御データで構成され、
いずれかの種別の被乾燥物を乾燥する場合、その種別に応じた制御データに基づいて乾燥条件の調整制御を無段階で行う請求項4に記載の乾燥条件自動追随型の乾燥方法。
【請求項6】
被乾燥物を収容する回転ドラムと、
乾燥空気を前記回転ドラムに導入する乾燥空気導入部と、
前記回転ドラム内の空気を排気する排気部と、
排気空気を前記回転ドラムに循環させる循環手段と、を備え、
前記循環手段は、前記排気空気の循環量を調整する調整手段を有し、
前記排気空気を前記回転ドラム内に循環可能にした乾燥装置において、
前記排気空気の湿度を計測する湿度センサと、
乾燥過程における計測湿度に応じた前記循環手段による排気風の循環率との関係をあらかじめ求めて、その関係を示す循環率制御データを記憶する第1記憶手段と、
前記循環率制御データに基づいて、前記計測湿度に応じて前記循環率を無段階で調整制御する循環率調整制御手段と、を有し、
前記循環率調整制御手段において、
循環率判定処理は、
前記循環率制御データが示す、計測湿度-循環率の比例制御線を参照し、取り込んだ計測湿度データおよび循環率データに基づき、計測湿度に対応する
前記比例制御線上の循環率と、取り込んだ現在の循環率とを比較し、それらの差値が許容幅内にあるか否かを判断し、現在の循環率が該許容幅を超えている場合、循環率を
前記比例制御線上の循環率に変更する変更要と判定して、
循環率を前記循環率制御データ
が示す前記比例制御線に従った最適循環率に変更
するように、
前記調整手段を制御して前記排気空気の循環量を調整し、現在の循環率が該許容幅内にある場合、循環率の変更不要と判定することを特徴とする乾燥条件自動追随型の乾燥制御装置。
【請求項7】
前記循環手段は、前記排気空気の前記回転ドラムへの流入風量を可変する循環ダンパーを
前記調整手段として含み、
前記循環率は、前記流入風量の可変割合である請求項6に記載の乾燥条件自動追随型の乾燥制御装置。
【請求項8】
前記循環手段は、ファンモーターの駆動により前記排気空気を前記回転ドラムに送風する送風手段を含み、
乾燥過程における計測湿度に応じた必要風量よりの前記ファンモーターの回転数との関係をあらかじめ求めて、その関係を示すファン回転数制御データを記憶する第2記憶手段を有し、
前記ファン回転数制御データに基づいて、前記計測湿度に応じて前記ファンモーターの回転数を無段階で調整制御するファンモーター回転数調整制御手段を有し、
前記ファンモーター回転数調整制御手段において、
ファン回転数判定処理は、
前記ファン回転数制御データが示す、計測湿度-ファン回転数の比例制御線を参照し、取り込んだ計測湿度データおよびファン回転数データに基づき、計測湿度に対応する
該比例制御線上のファン回転数と、取り込んだ現在のファン回転数とを比較し、それらの差値が許容幅内にあるか否かを判断し、現在のファン回転数が該許容幅を超えている場合、ファン回転数を
該比例制御線上のファン回転数に変更する変更要と判定して、
ファン回転数を前記ファン回転数制御データ
が示す該比例制御線に従った最適ファン回転数に変更
するように、
前記ファンモータにファン回転数制御信号が出力され、現在のファン回転数が該許容幅内にある場合、ファン回転数の変更不要と判定する請求項6または7に記載の乾燥条件自動追随型の乾燥制御装置。
【請求項9】
前記回転ドラムの回転を制御するドラム回転制御手段と、
乾燥過程における計測湿度に応じた被乾燥物重量よりの前記回転ドラムの回転数との関係をあらかじめ求めて、その関係を示すドラム回転数制御データを記憶する第3記憶手段と、を有し、
前記ドラム回転数制御データに基づいて、前記計測湿度に応じて前記回転ドラムの回転数を無段階で調整制御するドラム回転数調整制御手段を有し、
前記ドラム回転数調整制御手段において、
ドラム回転数判定処理は、
前記ドラム回転数制御データが示す、計測湿度-ドラム回転数の比例制御線を参照し、取り込んだ計測湿度データおよびドラム回転数データに基づき、計測湿度に対応する
該比例制御線上のドラム回転数と、取り込んだ現在のドラム回転数とを比較し、それらの差値が許容幅内にあるか否かを判断し、現在のドラム回転数が該許容幅を超えている場合、ドラム回転数を
該比例制御線上のドラム回転数に変更する変更要と判定して、
ドラム回転数を前記ドラム回転数制御データ
が示す該比例制御線に従った最適ドラム回転数に変更
するように、
ドラム回転装置にドラム回転数制御信号が出力され、現在のドラム回転数が該許容幅内にある場合、ドラム回転数の変更不要と判定する請求項6、7または8に記載の乾燥条件自動追随型の乾燥制御装置。
【請求項10】
複数種の被乾燥物に対し重量または形に応じた種別に分類し、
前記循環率制御データ
および/または前記ドラム回転数制御データは、前記種別ごと制御データで構成され、
いずれかの種別の被乾燥物を乾燥する場合、その種別に応じた制御データに基づいて乾燥条件の調整制御を無段階で行う請求項9に記載の乾燥条件自動追随型の乾燥制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥条件に応じて自動追随して乾燥制御を行う乾燥条件自動追随型の乾燥方法および乾燥制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯物の乾燥処理には、一般に乾燥空気を回転ドラム内に収容された洗濯物に接触させて水分を蒸発させて乾燥させる回転ドラム式乾燥機が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
回転ドラム式乾燥機においては、回転ドラム内に洗濯物を投入し、回転ドラムを回転させながら室温よりも高温の乾燥空気を外部より供給し、ドラム側面に形成した通気孔を介して該乾燥空気をドラム内部に導入して乾燥処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の乾燥処理は、回転ドラム内に高温空気を一気に導入しても被乾燥物の内部に水分が残留するので、乾燥開始から終了までの乾燥工程で、所定の乾燥処理時間中に、回転ドラムから排気された排気空気を再び回転ドラムに戻して循環させる循環量の割合、つまり循環率(%)に対する、設定した時間の経過従う監視ポイントを1、2点設定して乾燥空気を供給する段階設定制御方式によって行われていた。
【0006】
図15は、従来の段階設定制御方式による乾燥制御内容を示す。
図15において、横軸は乾燥処理時間(分)を示し、縦軸は循環率(%)を示す。
【0007】
乾燥処理は、乾燥開始から処理終了時のt3まで実行される。
図15の場合、t3は60分である。段階設定制御方式においては、乾燥開始時には排気空気を全量排気(循環率0%)して乾燥処理が行われ、処理終了までの途中で、t1、t2時間が経過したとき、循環率をCR1、CR2の2点に上昇変更される。
図15の場合、循環率CR1、CR2は、それぞれ約55%、約75%である。循環率100%は、排気空気を全量、回転ドラムに戻す全量循環に対応する。
【0008】
しかしながら、従来の段階設定制御方式による乾燥処理は、あらかじめ定めた乾燥処理時間内で乾燥過程で必要な乾燥条件の一部を監視しているだけであるので、無駄な処理時間を浪費して過乾燥を生じたり、逆に乾燥不足になったり良好な乾燥結果を得られないといった問題があった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑み、被乾燥物に応じて適切な乾燥条件で良質の乾燥を行える乾燥条件自動追随型の乾燥方法および乾燥制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る第1の形態は、
被乾燥物を収容する回転ドラムと、
乾燥空気を前記回転ドラムに導入する乾燥空気導入部と、
前記回転ドラム内の空気を排気する排気部と、
排気空気を前記回転ドラムに循環させる循環手段と、を備え、
前記排気空気を前記回転ドラム内に循環可能にした乾燥装置において前記排気空気の循環制御を行う乾燥方法であって、
前記排気空気の湿度を計測する湿度センサと、
乾燥過程における計測湿度に応じた前記循環手段による排気風の循環率との関係をあらかじめ求めて、その関係を示す循環率制御データを記憶する第1記憶手段と、を設け、
前記循環率制御データに基づいて、前記計測湿度に応じて前記循環率を無段階で調整制御することを特徴とする乾燥条件自動追随型の乾燥方法である。
【0011】
本発明に係る第2の形態は、前記循環手段は、前記排気空気の前記回転ドラムへの流入風量を可変する循環ダンパ-を含み、前記循環率は、前記流入風量の可変割合である乾燥条件自動追随型の乾燥方法である。
【0012】
本発明に係る第3の形態は、
前記循環手段は、ファンモーターの駆動により前記排気空気を前記回転ドラムに送風する送風手段を含み、
乾燥過程における計測湿度に応じた必要風量よりの前記ファンモーターの回転数との関係をあらかじめ求めて、その関係を示すファン回転数制御データを記憶する第2記憶手段を設け、
前記ファン回転数制御データに基づいて、前記計測湿度に応じて前記ファンモーターの回転数を無段階で調整制御する乾燥条件自動追随型の乾燥方法である。
【0013】
本発明に係る第4の形態は、
前記回転ドラムの回転を制御するドラム回転制御手段と、
乾燥過程における計測湿度に応じた被乾燥物重量よりの前記回転ドラムの回転数との関係をあらかじめ求めて、その関係を示すドラム回転数制御データを記憶する第3記憶手段と、を設け、
前記ドラム回転数制御データに基づいて、前記計測湿度に応じて前記回転ドラムの回転数を無段階で調整制御する乾燥条件自動追随型の乾燥方法である。
【0014】
本発明に係る第5の形態は、
複数種の被乾燥物に対し重量または形態に応じた種別に分類し、
前記循環率制御データ、前記ファン回転数制御データおよび前記ドラム回転数制御データの1または2以上は、前記種別ごとの制御データで構成され、
いずれかの種別の被乾燥物を乾燥する場合、その種別に応じた制御データに基づいて乾燥条件の調整制御を無段階で行う乾燥条件自動追随型の乾燥方法である。
【0015】
本発明に係る第6の形態は、
被乾燥物を収容する回転ドラムと、
乾燥空気を前記回転ドラムに導入する乾燥空気導入部と、
前記回転ドラム内の空気を排気する排気部と、
排気空気を前記回転ドラムに循環させる循環手段と、を備え、
前記排気空気を前記回転ドラム内に循環可能にした乾燥装置において、
前記排気空気の湿度を計測する湿度センサと、
乾燥過程における計測湿度に応じた前記循環手段による排気風の循環率との関係をあらかじめ求めて、その関係を示す循環率制御データを記憶する第1記憶手段と、
前記循環率制御データに基づいて、前記計測湿度に応じて前記循環率を無段階で調整制御する循環率調整制御手段と、を有することを特徴とする乾燥条件自動追随型の乾燥制御装置である。
【0016】
本発明の第7の形態は、
前記循環手段は、前記排気空気の前記回転ドラムへの流入風量を可変する循環ダンパーを含み、前記循環率は、前記流入風量の可変割合である乾燥条件自動追随型の乾燥制御装置である。
【0017】
本発明に係る第8の形態は、
前記循環手段は、ファンモーターの駆動により前記排気空気を前記回転ドラムに送風する送風手段を含み、
乾燥過程における計測湿度に応じた必要風量よりの前記ファンモーターの回転数との関係をあらかじめ求めて、その関係を示すファン回転数制御データを記憶する第2記憶手段を有し、
前記ファン回転数制御データに基づいて、前記計測湿度に応じて前記ファンモーターの回転数を無段階で調整制御するファンモーター回転数調整制御手段を有する乾燥条件自動追随型の乾燥制御装置である。
【0018】
本発明に係る第9の形態は、
前記回転ドラムの回転を制御するドラム回転制御手段と、
乾燥過程における計測湿度に応じた被乾燥物重量よりの前記回転ドラムの回転数との関係をあらかじめ求めて、その関係を示すドラム回転数制御データを記憶する第3記憶手段と、を有し、
前記ドラム回転数制御データに基づいて、前記計測湿度に応じて前記回転ドラムの回転数を無段階で調整制御するドラム回転数調整制御手段を有する乾燥条件自動追随型の乾燥制御装置である。
【0019】
本発明に係る第10の形態は、
複数種の被乾燥物に対し重量または形態に応じた種別に分類し、
前記循環率制御データ、前記ファン回転数制御データおよび前記ドラム回転数制御データの1または2以上は、前記種別ごと制御データで構成され、
いずれかの種別の被乾燥物を乾燥する場合、その種別に応じた制御データに基づいて乾燥条件の調整制御を無段階で行う乾燥条件自動追随型の乾燥制御装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る第1の形態によれば、被乾燥物を収容する回転ドラムと、乾燥空気を前記回転ドラムに導入する乾燥空気導入部と、前記回転ドラム内の空気を排気する排気部と、排気空気を前記回転ドラムに循環させる循環手段と、を備え、前記排気空気を前記回転ドラム内に循環可能にした乾燥装置において前記排気空気の循環制御を行う乾燥方法であって、前記排気空気の湿度を計測する湿度センサと、乾燥過程における計測湿度に応じた前記循環手段による排気風の循環率との関係をあらかじめ求めて、その関係を示す循環率制御データを記憶する第1記憶手段と、を設け、前記循環率制御データに基づいて、前記計測湿度に応じて前記循環率を無段階で調整制御するので、循環率制御データと計測湿度によって被乾燥物の乾燥進行状態(乾燥具合)に追随しながら排気空気の循環量を調整でき、乾燥不足や過乾燥による乾燥不良を生ずることなく、乾燥に要する乾燥装置の駆動電力等のエネルギー消費を効率的に行え、被乾燥物に応じて適切な乾燥条件で良質の乾燥を行うことができる。
【0021】
本発明に係る第2の形態によれば、前記循環手段は、前記排気空気の前記回転ドラムへの流入風量を可変する循環ダンパ-を含み、前記循環率は、前記流入風量の可変割合であるので、循環率制御データと計測湿度によって被乾燥物の乾燥進行状態に追随しながら循環率を精度よく調整して、乾燥不足や過乾燥による乾燥不良を生ずることなく、乾燥に要
する乾燥装置の駆動電力等のエネルギー消費を効率的に行え、被乾燥物に応じて適切な乾燥条件で良質の乾燥を行うことができる。
【0022】
本発明に係る第3の形態によれば、前記循環手段は、ファンモーターの駆動により前記排気空気を前記回転ドラムに送風する送風手段を含み、乾燥過程における計測湿度に応じた必要風量よりの前記ファンモーターの回転数との関係をあらかじめ求めて、その関係を示すファン回転数制御データを記憶する第2記憶手段を設け、前記ファン回転数制御データに基づいて、前記計測湿度に応じて前記ファンモーターの回転数を無段階で調整制御するので、循環率制御データと計測湿度による循環率制御に加え、ファン回転数制御データと計測湿度によって被乾燥物の乾燥進行状態に追随しながらファンモーターの回転数(すなわち、送風風量)を常に最適に調整して、乾燥不足や過乾燥による乾燥不良を生ずることなく、乾燥に要する乾燥装置の駆動電力等のエネルギー消費を効率的に行え、被乾燥物に応じて適切な乾燥条件で良質の乾燥を行うことができる。
【0023】
本発明に係る第4の形態によれば、前記回転ドラムの回転を制御するドラム回転制御手段と、乾燥過程における計測湿度に応じた被乾燥物重量よりの前記回転ドラムの回転数との関係をあらかじめ求めて、その関係を示すドラム回転数制御データを記憶する第3記憶手段と、を設け、前記ドラム回転数制御データに基づいて、前記計測湿度に応じて前記回転ドラムの回転数を無段階で調整制御するので、循環率制御データと計測湿度による循環率制御に加え、あるいは、該循環率制御と、ファン回転数制御データと計測湿度による送風風量制御とに加え、ドラム回転数制御データと計測湿度によって被乾燥物の乾燥進行状態に追随しながら回転ドラムの回転数(すなわち、被乾燥物の乾燥促進に伴う重量減少よりの、ドラム内の通風量と被乾燥物の撹拌度合い)を常に最適に調整して、乾燥不足や過乾燥による乾燥不良を生ずることなく、乾燥に要する乾燥装置の駆動電力等のエネルギー消費を効率的に行え、被乾燥物に応じて適切な乾燥条件で良質の乾燥を行うことができる。
【0024】
本発明に係る第5の形態によれば、複数種の被乾燥物に対し重量または形態に応じた種別に分類し、前記循環率制御データ、前記ファン回転数制御データおよび前記ドラム回転数制御データの1または2以上は、前記種別ごとの制御データで構成され、いずれかの種別の被乾燥物を乾燥する場合、その種別に応じた制御データに基づいて乾燥条件の調整制御を無段階で行うので、重量または形態の異なる複数種の被乾燥物も種別に応じて適切な乾燥条件で良質の乾燥を行え、1つの乾燥装置により汎用性および利便性に富んだ乾燥処理を行うことができる。
【0025】
本発明に係る第6の形態によれば、被乾燥物を収容する回転ドラムと、乾燥空気を前記回転ドラムに導入する乾燥空気導入部と、前記回転ドラム内の空気を排気する排気部と、排気空気を前記回転ドラムに循環させる循環手段と、を備え、前記排気空気を前記回転ドラム内に循環可能にした乾燥装置において、前記排気空気の湿度を計測する湿度センサと、乾燥過程における計測湿度に応じた前記循環手段による排気風の循環率との関係をあらかじめ求めて、その関係を示す循環率制御データを記憶する第1記憶手段と、前記循環率制御データに基づいて、前記計測湿度に応じて前記循環率を無段階で調整制御する循環率調整制御手段と、を有するので、循環率制御データと計測湿度によって被乾燥物の乾燥進行状態(乾燥具合)に追随しながら排気空気の循環量を調整でき、乾燥不足や過乾燥による乾燥不良を生ずることなく、乾燥に要する乾燥装置の駆動電力等のエネルギー消費を効率的に行え、被乾燥物に応じて適切な乾燥条件で良質の乾燥を行える乾燥条件自動追随型の乾燥制御装置を実現することができる。
【0026】
本発明に係る第7の形態によれば、前記循環手段は、前記排気空気の前記回転ドラムへの流入風量を可変する循環ダンパーを含み、前記循環率は、前記流入風量の可変割合であ
るので、循環率制御データと計測湿度によって被乾燥物の乾燥進行状態に追随しながら循環率を常に最適に調整して、乾燥不足や過乾燥による乾燥不良を生ずることなく、乾燥に要する乾燥装置の駆動電力等のエネルギー消費を効率的に行え、被乾燥物に応じて適切な乾燥条件で良質の乾燥を行える乾燥条件自動追随型の乾燥制御装置を実現することができる。
【0027】
本発明に係る第8の形態によれば、前記循環手段は、ファンモーターの駆動により前記排気空気を前記回転ドラムに送風する送風手段を含み、乾燥過程における計測湿度に応じた必要風量よりの前記ファンモーターの回転数との関係をあらかじめ求めて、その関係を示すファン回転数制御データを記憶する第2記憶手段を有し、前記ファン回転数制御データに基づいて、前記計測湿度に応じて前記ファンモーターの回転数を無段階で調整制御するファンモーター回転数調整制御手段を有するので、循環率制御データと計測湿度による循環率制御に加え、ファン回転数制御データと計測湿度によって被乾燥物の乾燥進行状態に追随しながらファンモーターの回転数(すなわち、送風風量)を常に最適に調整して、乾燥不足や過乾燥による乾燥不良を生ずることなく、乾燥に要する乾燥装置の駆動電力等のエネルギー消費を効率的に行え、被乾燥物に応じて適切な乾燥条件で良質の乾燥を行える乾燥条件自動追随型の乾燥制御装置を実現することができる。
【0028】
本発明に係る第9の形態によれば、前記回転ドラムの回転を制御するドラム回転制御手段と、乾燥過程における計測湿度に応じた被乾燥物重量よりの前記回転ドラムの回転数との関係をあらかじめ求めて、その関係を示すドラム回転数制御データを記憶する第3記憶手段と、を有し、前記ドラム回転数制御データに基づいて、前記計測湿度に応じて前記回転ドラムの回転数を無段階で調整制御するドラム回転数調整制御手段を有するので、循環率制御データと計測湿度による循環率制御に加え、あるいは、該循環率制御と、ファン回転数制御データと計測湿度による送風風量制御とに加え、ドラム回転数制御データと計測湿度によって被乾燥物の乾燥進行状態に追随しながら回転ドラムの回転数(すなわち、被乾燥物の乾燥促進に伴う重量減少よりの、ドラム内の通風量と被乾燥物の撹拌度合い)を常に最適に調整して、乾燥不足や過乾燥による乾燥不良を生ずることなく、乾燥に要する乾燥装置の駆動電力等のエネルギー消費を効率的に行え、被乾燥物に応じて適切な乾燥条件で良質の乾燥を行える乾燥条件自動追随型の乾燥制御装置を実現することができる。
【0029】
本発明に係る第10の形態によれば、複数種の被乾燥物に対し重量または形態に応じた種別に分類し、前記循環率制御データ、前記ファン回転数制御データおよび前記ドラム回転数制御データの1または2以上は、前記種別ごと制御データで構成され、いずれかの種別の被乾燥物を乾燥する場合、その種別に応じた制御データに基づいて乾燥条件の調整制御を無段階で行うので、重量または形態の異なる複数種の被乾燥物も種別に応じて適切な乾燥条件で良質の乾燥を行え、1つの乾燥装置により汎用性および利便性に富んだ乾燥処理を行える乾燥条件自動追随型の乾燥制御装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態である乾燥装置1の全体斜視図である。
【
図2】
図2は、正面側からみた乾燥装置1の概略構成図である。
【
図3】
図3は、乾燥装置1の制御部20を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、乾燥装置1に用いる高温乾燥空気の供給系を示す概略構成図である。
【
図5】
図5は、制御部20による主な乾燥制御処理を示す図である。
【
図6】
図6は、制御部20による乾燥制御実行処理の一部を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、前記乾燥制御実行処理の一部を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、制御部20にあらかじめ設定される、乾燥過程における計測湿度(g/m
3)と循環率(%)との関係を示す循環率制御データと、その関係を示す計測湿度-循環率のグラフである。
【
図9】
図9は、制御部20にあらかじめ設定される、乾燥過程における計測湿度(g/m
3)に応じた必要風量よりのファンモーター24の回転数(rpm)との関係を示すファン回転数制御データと、その関係を示す計測湿度-ファン回転数のグラフである。
【
図10】
図10は、制御部20にあらかじめ設定される、乾燥過程における計測湿度(g/m
3)に応じた被乾燥物重量よりの回転ドラム3の回転数(rpm)との関係を示すドラム回転数制御データと、その関係を示す計測湿度-ドラム回転数のグラフである。
【
図11】
図11は、モップ製品に対して実施した乾燥処理例における乾燥処理時間-排気湿度のグラフと乾燥処理時間-循環率のグラフである。
【
図12】
図12は、モップ製品に対して実施した乾燥処理例における乾燥処理時間-ファン回転数のグラフと乾燥処理時間-蒸気消費量のグラフである。
【
図13】
図13は、マット製品に対して実施した乾燥処理例を示す乾燥処理時間-排気湿度のグラフと乾燥処理時間-循環率のグラフである。
【
図14】
図14は、マット製品に対して実施した乾燥処理例を示す乾燥処理時間-ファン回転数のグラフと、乾燥処理時間-蒸気消費量のグラフである。
【
図15】
図15は、従来の段階設定制御方式による乾燥制御内容を模式的に示す乾燥処理時間-循環率のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明に係る乾燥装置の実施形態を添付する図面に従って詳細に説明する。
【0032】
図1は本実施形態に係る乾燥装置1の全体を示す。
図2は正面側からみた乾燥装置1の概略構成を示す。
【0033】
本実施形態に係る乾燥装置1は、洗濯装置(図示せず)により洗濯処理された洗濯物(被乾燥物)を乾燥処理するための回転ドラム式乾燥装置である。被乾燥物は、例えば、洗濯により再生使用される、マット、モップ、クロス等のダストコントロール商品である。
【0034】
乾燥装置1は、本体部2と、被乾燥物を収容する回転ドラム3と、乾燥空気を回転ドラム3に導入する乾燥空気導入部4と、回転ドラム3内の空気を排気する排気部6と、排気空気を回転ドラム3に循環させる循環手段とを有する。回転ドラム3は、ドラム回転機構のローラー39、40(後述の
図4参照)に支持されてドラム回転装置26(後述の
図3参照)により回転駆動可能に本体部2内に設置されている。回転ドラム3の側面には、多数の通気孔15が穿設されている。通気孔15を通じて回転ドラム3の内外に通風可能になっている。
【0035】
乾燥空気導入部4は、外気を取り込む開口部18と、開口部18の内側に設けた蒸気熱交換器16およびフィルター5を有する。フィルター5を介して導入された外気は、蒸気熱交換器16により加熱されて100℃~150℃の高温の乾燥空気に変換されて通気孔15を通じて回転ドラム3内に導入可能になっている。回転ドラム3は、高温乾燥空気を導入して中温湿潤空気を排気し、投入洗濯物の水分を回転ドラム3外へ排水するために、メッシュ状構造又は多数のパンチ孔構造の通気孔15が形成されたドラム面構造を有している。
【0036】
循環手段は、本体部2の下部で、排気部6の下方に配設された送風ファン7を有する。本体部2の下部には、回転ドラム3の側面下部に対向した吸引部13から本体部2底部を通じて回転ドラム3からの排気空気を送風ファン7に吸引可能な吸引経路Bが形成されている。
【0037】
送風ファン7の駆動により、吸引部13を通じて吸引した排気空気を排気部6側の上方に送風を生じさせることができる。この送風作用により本体部2側に負圧が生じて、開口部18を通じて外気Aの本体部2内への取り込みも行われる。吸引部13下方には、箱状フィルター14が設けられている。排気空気が送風ファン7に吸引されて箱状フィルター14を通過するときに該排気空気に含有されたリント屑等の塵埃が箱状フィルター14により回収、除去される。
【0038】
排気部6は、送風ファン7の送風口の上方に配設された排気ダクトにより構成されている。該排気ダクトの内部には、送風ファン7から排出、送風される排気空気Dを回転ドラム3内に循環させるための循環ダンパー8が配設されている。循環ダンパー8は、傾斜角度が可変な板片形状を有し、後述の
図3に示す循環ダンパー装置25の駆動により、水平状態から垂直状態に可変可能になっている。水平状態の場合、循環ダンパー8により排気空気Dの排気部6への進入経路が閉塞される。垂直状態の場合、排気空気Dは循環ダンパー8を障害とせずに外部に流出空気Eとして排出可能になる。
【0039】
循環ダンパー8を所定の傾斜角度にすることにより、排気空気Dの一部を循環ダンパー8に当接させて、残りの排気空気を排気部6側に流出させることができる。循環ダンパー8に当接した排気空気は、風向きを変更されて、循環空気Cとして本体部2上方に設けた流入口12より通気孔15を通じて回転ドラム3内に再び流入する。循環ダンパー8の傾斜角度を可変することによって、流入口12より回転ドラム3内に循環させる排気空気Dの流量の割合、つまり循環率を調整することができる。排気空気の循環量を調整する調整手段としては、循環ダンパー8に限らず、例えば、送風ファン7の送風側から流入口12に至る送風経路と、該送風側から排気部6に至る排風経路とに開閉弁を設けて、該開閉弁の開度制御により循環量の調整を行うようにしてもよい。
【0040】
乾燥装置1の循環手段は、送風ファン7、循環ダンパー8および吸引経路Bにより構成され、乾燥装置1は、排気空気を吸引して回転ドラム3内に循環させる循環機能を備える。送風ファン7の送風口より上方には、排気空気の湿度を検知する湿度センサ9が設置されている。湿度センサ9は、排気空気の吸引経路B側に設けてもよい。開口部18の近傍には、回転ドラム3への導入空気の温度を検知するための温度センサ28が設置されている。なお、図示しないが、排気空気の温度を監視するための温度センサも湿度センサ9の近傍に設けられている。
【0041】
【0042】
制御部20は、CPU21と、乾燥処理プログラムを記憶するROM22と、ワーキングメモリのRAM23を含むマイクロプロセッサにより構成されている。制御部20は、プログラマブルロジックデバイス(PLD)を用いて構成することもできる。
【0043】
制御部20の入力側には、乾燥条件、乾燥処理操作等の入力を行うための入力手段29と、湿度センサ9および温度センサ28が接続されている。入力手段29には、キー入力装置や液晶タッチパネル装置等を使用することができる。
【0044】
制御部20の出力側には、制御対象として、送風ファン7のファンモータ24、循環ダンパー8の循環ダンパー装置25、回転ドラム3のドラム回転装置26および表示器27が接続されている。循環ダンパー装置25は、循環ダンパー8の回動軸を回転駆動するダンパー駆動モータのステッピングモータ(図示せず)を有する。
【0045】
送風ファン7の送風量を調整するために、制御部20からファンモータ24に対してフ
ァン回転数に応じたファン回転数制御信号が出力可能になっている。送風ファン7のファン回転数データは、制御部20から読み取って取得可能になっている。循環ダンパー8の角度設定を行うために、制御部20から該ステッピングモータに対して設定角度に応じた角度制御信号が出力可能になっている。循環ダンパー装置25は、受信した角度制御信号に基づいて該ステッピングモータを駆動して循環ダンパー8を所定の角度に回動させる。循環ダンパー8の角度で排気空気の循環率が定まるので、該角度制御信号により循環率制御が可能になっている。
【0046】
ドラム回転装置26は、回転ドラム3を回転自在に軸支し、ローラー39、40を含むドラム回転機構と、回転ドラム3を回転駆動するドラム回転モータ(図示せず)と、該ドラム回転モータを駆動制御するモータ制御手段(図示せず)を有する。回転ドラム3を所定の回転数で回転させるために、制御部20から該モータ制御手段に対して回転数に応じたドラム回転数制御信号が出力可能になっている。ドラム回転装置26のドラム回転数データは、制御部20から読み取って取得可能になっている。表示器27は、液晶表示装置で構成され、制御部20から表示データおよび表示指示制御信号を受信して、操作ガイダンス、設定データおよび乾燥処理データ等を表示する。
【0047】
図4は、乾燥装置1に用いる高温乾燥空気の供給系を示す。
【0048】
蒸気熱交換器16には、蒸気発生部(ボイラー)32で発生させた蒸気が蒸気導入管35を介して導入可能になっている。蒸気熱交換器16は、開口部18から導入された常温(室温)外気を該蒸気により加熱して高温乾燥空気に変換することができる。蒸気発生部32は、給水ポンプ31を介して給水タンク30が接続されている。給水ポンプ31の駆動により、給水タンク30に収納された加熱蒸気用水が供給管34を通じて蒸気発生部32に給水、供給可能になっている。給水タンク30には、外部から供給水を補充する補給管37が接続されている。蒸気熱交換器16において発生するドレイン温水もドレイン回収管路36を通じて回収され、給水タンク30に回収可能になっている。
【0049】
蒸気導入管35の途中には電磁開閉バルブ33が設けられている。電磁開閉バルブ33は、制御部20から出力されるバルブ制御信号SVによりバルブ開閉やバルブ開口面積が制御可能になっている。電磁開閉バルブ33の駆動制御により蒸気供給の開始・停止を制御するとともに蒸気流量の調整を行うことができる。温度センサ28により計測された導風温度と入力された設定値(温度、蒸気流量、時間など)に基づいて、制御部20からのバルブ制御信号SVにより電磁開閉バルブ33の開閉や開口面積を制御することによって蒸気熱交換器16の加熱温度の制御が可能になっている。
【0050】
回転ドラム3は、ドラム内に被乾燥物を投入、収容可能な開閉部(図示せず)を有する。該開閉部を開けて投入、収容される被乾燥物は、別の処理設備において既に洗濯・すすぎ・脱水工程が完了して乾燥処理で再生完了になる状態にある。回転ドラム3の回転駆動により、ドラム内の投入被乾燥物は、回転ドラム3の上部まで強制的に引き上げられ、上部に到達すると落下するように撹拌、混ぜ返されてドラム内を移動する。回転ドラム3内に導入された高温乾燥空気は、回転ドラム3内で掻き上げられて落下する被乾燥物に接触して、被乾燥物の水分を強制蒸発させて乾燥処理を行うことができる。回転ドラム3の内面には、掻上部材41が突設されており、投入被乾燥物を掻上部材41により上部へ引上げ可能になっている。
【0051】
図5は、制御部20による主な乾燥制御処理を示す。なお、本実施形態における制御処理をステップS番号で示しており、各ステップにおける処理は制御部20の制御下で実行制御される制御手段を構成する。
【0052】
電源投入時には、制御部20の初期化処理(ステップS1)が実行される。初期化処理を終えると、正常動作時の処理(ステップS2~S4)が実行される。
【0053】
データ設定処理(ステップS2)において、乾燥制御実行処理に用いる乾燥処理用制御データの入力および乾燥処理実行のための乾燥コースの入力を行うことができる。乾燥処理用制御データを入力した場合、入力制御データはROM22に記憶、設定される。乾燥コースの入力を行った場合、乾燥コースの入力データはRAM23に記憶、設定される。この他の入力可能項目として乾燥終了条件の入力が可能である。
【0054】
乾燥コースは、モップやマット等のダストコントロール商品の種別(カテゴリー)に応じて入力可能になっている。乾燥終了条件は、排気空気の湿度を目標値として設定可能である。目標値の湿度は、1単位(1g/m3)で任意に設定可能であり、本実施例の場合、21g/m3に設定している。
【0055】
監視データ取得処理(ステップS3)において、制御部20の制御下で監視データとして、例えば、排気空気に対して湿度センサ9により計測した計測湿度データおよび回転ドラム3への導入空気に対して温度センサ28により計測した計測温度データが取り込まれてRAM23の所定エリアに記憶される。
【0056】
乾燥制御実行処理(ステップS4)において、入力設定された乾燥条件および監視データに基づいてROM22に格納した乾燥処理プログラムを実行することにより被乾燥物に対する乾燥処理の実行制御が行われる。
【0057】
図6および
図7は、乾燥制御実行処理(ステップS4)の処理内容および処理手順を示す。
【0058】
ROM22には、乾燥制御実行処理に用いる乾燥処理プログラムおよび該乾燥処理プログラムの処理実行に用いる乾燥処理の制御データが格納されている。ROM22に格納した乾燥処理プログラムおよび制御データは、乾燥装置1専用にせずに、所定の記憶媒体(例えば、メモリデバイス、CD-ROM、DVD、モバイル機器等)に記憶、保存し、別に創設した乾燥装置の制御部に、該記憶媒体を介してインストール可能にすることができる。
【0059】
図8~
図10は、乾燥処理の制御データ例を示す。これらの制御データには、カテゴリーA、B、C別の3種のデータが含まれている。
【0060】
図8の(8A)、(8B)は、乾燥過程における計測湿度(g/m
3)と上記循環手段による排気風の循環率(%)との関係を示す循環率制御データと、その関係を示す計測湿度-循環率のグラフである。
【0061】
図9の(9A)、(9B)は、乾燥過程における計測湿度(g/m
3)に応じた必要風量よりのファンモーター24の回転数(rpm)との関係を示すファン回転数制御データと、その関係を示す計測湿度-ファン回転数のグラフである。
【0062】
図10の(10A)、(10B)は、乾燥過程における計測湿度(g/m
3)に応じた被乾燥物重量よりの回転ドラム3の回転数(rpm)との関係を示すドラム回転数制御データと、その関係を示す計測湿度-ドラム回転数のグラフである。
【0063】
これらの制御データ(循環率制御データ、ファン回転数制御データ、ドラム回転数制御データ)は、あらかじめ行った検証実験により得られたものである。検証実験は、カテゴ
リー別のテスト用被乾燥物を用いて種々乾燥条件(循環率、ファン回転数、ドラム回転数)を変えて実施され、種々の検証実験結果からカテゴリー別製品(被乾燥物)には排気空気の湿度が特有の変化を示す特性(カテゴリーごとの3点比例制御線)を見出すことができ、過乾燥や乾燥不足がなく、風合いに優れた乾燥条件をあらかじめ求めて得られた制御データが
図8~
図10に示すデータである。本実施形態においては、ダストコントロール商品の形態別に分類し、各分類ごとの無段階制御因子(パラメータ)として、循環率、ファン回転数およびドラム回転数の1または2以上を使用可能になっている。
【0064】
各制御データは、2点の基準湿度と、それらの中間点の湿度における制御対象(循環率、ファン回転数またはドラム回転数)のデータで構成され、3点の比例制御(PID)方法を用いて監視湿度に応じた制御対象の無段階制御を行うことができる。例えば、
図8の循環率制御データの場合、カテゴリーA、Bでは基準湿度の下限値α、上限値βを21、43(g/m
3)とし、中間点湿度を32(g/m
3)としている。カテゴリーCでは基準湿度の下限値α、上限値βを21、51(g/m
3)とし、中間点湿度を32(g/m
3)としている。
図9、
図10の制御データの場合も
図8の場合と同様の基準湿度と中間点湿度になっている。
【0065】
本実施形態においては、乾燥制御処理の開始条件は、計測湿度が基準湿度の上限値βに到達したことにより成立し、乾燥制御処理の終了条件は、計測湿度が基準湿度の下限値αに到達したことにより成立する。上記の基準湿度の下限値α(21g/m
3)は、乾燥終了条件の目標値に対応している。ROM22には、
図8~
図9の制御データ以外にも、1単位(1g/m
3)ずつ異なる基準湿度の下限値によるカテゴリー別制御データが格納されている。すなわち、データ設定処理(ステップS2)において、カテゴリー別の目標値を、1単位(1g/m
3)別に設定することができる。設定した終了条件に応じたカテゴリー別制御データに基づいて、3点の比例制御方法による監視湿度に応じた制御対象の無段階制御が実行可能になっている。
【0066】
本発明においては、3点の比例制御に限らず、2点の基準湿度における制御対象での2点の比例制御方法を使用することができる。また、本発明においては、比例制御に限らず、3点または4点以上を近似曲線で結ぶ曲線制御方法を使用することができる。
【0067】
乾燥制御実行処理の実行に先立って、乾燥コースの設定入力が行われる。乾燥コースの設定入力は、表示器27に設定入力画面(図示せず)を表示させて入力手段29によるキー操作で行う。乾燥コースの設定により、被乾燥物のカテゴリー別の乾燥条件による乾燥制御処理が実行可能になる。本実施形態においては、終了条件を下限値αの湿度値21(g/m
3)とした場合、
図8の制御データに基づく循環率制御態様、
図9の制御データに基づくファン回転数制御態様および
図10の制御データに基づくドラム回転数制御態様の3種の乾燥制御処理(ステップS16、S18、S20)がパラレル処理可能になっている。制御態様の種別も入力可能項目として循環率、ファン回転数およびドラム回転数のうち1または2以上を選択して設定可能にすることができ、あるいは循環率制御態様は常時実行可能にし、ファン回転数制御態様および/またはドラム回転数制御態様をオプション項目として追加設定可能にしてもよい。
【0068】
乾燥コースの設定が行われている場合(ステップS11)、入力手段29の乾燥処理の開始操作キーを操作することにより乾燥装置1による乾燥処理の実行が開始される(ステップS12、S13)。
【0069】
乾燥開始処理(ステップS13)において、ファンモータ24、循環ダンパー装置25、ドラム回転装置26等の駆動源が起動される。ついで、設定された乾燥コースの判別が行われて、RAM23に設けたフラグエリアにコース別実行フラグがオンにセットされる
。乾燥開始により、排気空気の循環は全量排気(循環率0%)で乾燥処理が始まる。乾燥開始後、高温乾燥空気の導入により排気空気の湿度は上昇していき、排気空気の湿度変化を監視して、計測湿度が基準値の上限値βに到達した場合(ステップS14)、設定されたカテゴリー別の循環率制御態様(ステップS16、S17)、ファン回転数制御態様(ステップS18、S19)および回転数制御態様(ステップS20、S21)の乾燥制御処理がパラレル処理により実行可能になる。
【0070】
各乾燥制御処理において、判定用データ取込処理(ステップS15)、判定用データと制御データとに基づいて実行される判定処理(ステップS16、S19、S22)、判定結果により乾燥条件の変更が必要な場合に実行される乾燥条件の変更処理(ステップS18、S21、S24)が行われる。判定用データ取込処理(ステップS15)において各制御態様に共通するデータとして湿度センサ9の出力信号による計測湿度データが取り込まれてRAM23の所定エリアに記憶される。なお、以下の乾燥制御処理は、終了条件が湿度21g/m3に設定されている設定ケースで説明する。
【0071】
循環率制御態様による乾燥制御処理においては、循環ダンパー8の角度設定のための角度制御信号から変換テーブル(図示せず)を参照して変換、抽出された循環率データが判定用データとしてRAM23の所定エリアに取り込まれる(ステップS15)。該変換テーブルは、あらかじめROM22に格納されている。循環率データは、角度制御信号データから所定のアルゴリズムにより演算して求めるようにしてもよい。
【0072】
循環率判定処理(ステップS16)は、
図8に示す計測湿度-循環率の比例制御線を参照し、取り込んだ計測湿度データおよび循環率データに基づき、計測湿度に対応する比例制御線上の循環率と、取り込んだ現在の循環率とを比較し、それらの差値が許容幅内にあるか否かを判断し、現在の循環率が該許容幅を超えている場合、循環率を比例制御線上の循環率に変更する変更要と判定して、常に比例制御線に従った最適循環率に、RAM23に設けた実行循環率パラメータ値のデータエリアに対する上書き補正による変更を行うことができる。現在の循環率が該許容幅内にある場合(ステップS17)、循環率の変更不要と判定する。変更要の場合、比例制御線上の循環率に変更するように循環ダンパー装置25に角度制御信号が出力される(ステップS18)。
【0073】
循環率判定処理(ステップS16)と並行して実行されるファン回転数判定処理(ステップS19)において、
図9に示す計測湿度-ファン回転数の比例制御線を参照し、取り込んだ計測湿度データおよびファン回転数データに基づき、計測湿度に対応する比例制御線上のファン回転数と、取り込んだ現在のファン回転数とを比較し、それらの差値が許容幅内にあるか否かを判断し、現在のファン回転数が該許容幅を超えている場合、ファン回転数を比例制御線上のファン回転数に変更する変更要と判定して、常に比例制御線に従った最適ファン回転数に、RAM23に設けた実行ファン回転数パラメータ値のデータエリアに対する上書き補正による変更を行うことができる。現在のファン回転数が該許容幅内にある場合(ステップS20)、ファン回転数の変更不要と判定する。変更要の場合、比例制御線上のファン回転数に変更するようにファンモータ24にファン回転数制御信号が出力される(ステップS21)。
【0074】
循環率判定処理(ステップS16)およびファン回転数判定処理(ステップS19)と並行して実行されるドラム回転数判定処理(ステップS22)において、
図10に示す計測湿度-ドラム回転数の比例制御線を参照し、取り込んだ計測湿度データおよびドラム回転数データに基づき、計測湿度に対応する比例制御線上のドラム回転数と、取り込んだ現在のドラム回転数とを比較し、それらの差値が許容幅内にあるか否かを判断し、現在のドラム回転数が該許容幅を超えている場合、ドラム回転数を比例制御線上のドラム回転数に変更する変更要と判定して、常に比例制御線に従った最適ドラム回転数に、RAM23に
設けた実行ドラム回転数パラメータ値のデータエリアに対する上書き補正による変更を行うことができる。現在のドラム回転数が該許容幅内にある場合(ステップS23)、ドラム回転数の変更不要と判定する。変更要の場合、比例制御線上のドラム回転数に変更するようにドラム回転装置26にドラム回転数制御信号が出力される(ステップS24)。
【0075】
排気空気の湿度監視下で
図8の制御データに基づく循環率制御態様、
図9の制御データに基づくファン回転数制御態様および
図10の制御データに基づくドラム回転数制御態様の3種の乾燥制御処理(ステップS16、S18、S20)が無段階制御により実行され、該乾燥制御処理は乾燥終了条件が成立するまで継続実行される(ステップS25)。乾燥制御処理が継続実行された結果、監視湿度が基準湿度の下限値αに達した場合、乾燥終了条件が成立し、乾燥制御処理を終了する。乾燥終了条件が成立した場合、乾燥終了処理(ステップS26)が実行される。乾燥終了処理において、電磁開閉バルブ33を閉成して空気加熱用の蒸気供給を停止し、乾燥制御終了時に循環率が0%である場合を除き、循環ダンパー装置25を駆動して全量排気状態に切り替えられる。乾燥終了処理の実行により、循環率が0%の状態で回転ドラム3を所定時間、クーリング回転させて収容している被乾燥物の冷却が行われる。該所定時間の経過後、ファンモータ24およびドラム回転装置26の駆動を停止して乾燥終了処理は終了する。以上の乾燥処理の終了によって、回転ドラム3を開いて乾燥済みの収容物の回収作業が行われる。
【0076】
本実施形態に係る乾燥装置1によれば、第1記憶手段である、ROM22の循環率制御データ記憶エリアに、乾燥過程における湿度センサ9の計測湿度に応じた排気経路Bの排気風の循環率との関係をあらかじめ求めて、その関係を示す循環率制御データ(
図8参照)を記憶し、循環率調整制御手段(ステップS16~S18)により、該循環率制御データに基づいて、計測湿度に応じて循環率を無段階で調整制御するので、排気空気の湿度が高い時点では乾燥促進のために排気空気の循環量を抑えて外部に排気する外部排気風量を増やし、監視湿度の降下に伴い排気空気の循環量を増加させ、外部排気風量を減少させる無段階制御を行うことができる。したがって、本実施形態において、循環率制御データと計測湿度によって被乾燥物の乾燥進行状態(乾燥具合)に追随しながら排気空気の循環量を調整でき、乾燥不足や過乾燥による乾燥不良を生ずることなく、乾燥に要する乾燥装置の駆動電力等のエネルギー消費を効率的に行え、被乾燥物に応じて適切な乾燥条件で良質の乾燥を行える乾燥条件自動追随型の乾燥制御装置を実現することができる。特に、監視項目としてg/m
3 単位の絶対湿度の排気湿度を監視データとして用いるので、相対湿度(%)や排気温度(℃)、被乾燥物の赤外線センサーによる検知温度(℃)を使用する場合と比較しても変化量を顕著にさせることができ綿密な無段階制御を行うことができる。
【0077】
乾燥装置1によれば、第2記憶手段である、ROM22のファン回転数制御データ記憶エリアに、乾燥過程における計測湿度に応じた必要風量よりのファンモーターの回転数との関係をあらかじめ求めて、その関係を示すファン回転数制御データ(
図9参照)を記憶し、ファン回転数調整制御手段(ステップS19~S21)により、ファン回転数制御データに基づいて、計測湿度に応じてファンモーター24の回転数を無段階で調整制御するので、排気空気の湿度変化に追随して排気空気の循環量の増減を微調整可能になり、ファン回転数制御データと計測湿度によって被乾燥物の乾燥進行状態に追随しながらファンモーター24の回転数(すなわち、送風風量)を常に最適に調整して、乾燥不足や過乾燥による乾燥不良を生ずることなく、乾燥に要する乾燥装置の駆動電力等のエネルギー消費を効率的に行え、被乾燥物に応じて適切な乾燥条件で良質の乾燥を行える乾燥条件自動追随型の乾燥制御装置を実現することができる。
【0078】
乾燥装置1によれば、第3記憶手段である、ROM22のドラム回転数制御データ記憶エリアに、乾燥過程における計測湿度に応じた被乾燥物重量よりの前記回転ドラムの回転数との関係をあらかじめ求めて、その関係を示すドラム回転数制御データ(
図10参照)
を記憶し、ドラム回転数調整制御手段(ステップS22~S24)により、ドラム回転数制御データに基づいて、計測湿度に応じてドラム回転装置26のドラムモーターの回転数を無段階で調整制御するので、ドラム回転数制御データと計測湿度によって被乾燥物の乾燥進行状態に追随しながら回転ドラム3の回転数(すなわち、被乾燥物の乾燥促進に伴う重量減少よりの、ドラム内の通風量と被乾燥物の撹拌度合い)を常に最適に調整して、乾燥不足や過乾燥による乾燥不良を生ずることなく、乾燥に要する乾燥装置の駆動電力等のエネルギー消費を効率的に行え、被乾燥物に応じて適切な乾燥条件で良質の乾燥を行える乾燥条件自動追随型の乾燥制御装置を実現することができる。
【0079】
図11および
図12は、乾燥装置1を用いてモップ製品に対して実施した乾燥処理例を示す。
図11の(11A)、(11B)は、それぞれ乾燥処理時間(分)-排気湿度(g/m
3 )のグラフと、乾燥処理時間(分)-循環率(%)のグラフを示す。
図12の(12A)、(12B)は、それぞれ乾燥処理時間(分)-ファン回転数のグラフと、乾燥処理時間(分)-蒸気消費量(kg)のグラフを示す。
【0080】
図13および
図14は、乾燥装置1を用いてマット製品に対して実施した乾燥処理例を示す。
図13の(13A)、(13B)は、それぞれ乾燥処理時間(分)-排気湿度(g/m
3 )のグラフと、乾燥処理時間(分)-循環率(%)のグラフを示す。
図14の(14A)、(14B)は、それぞれ乾燥処理時間(分)-ファン回転数のグラフと、乾燥処理時間(分)-蒸気消費量(kg)のグラフを示す。
【0081】
モップ製品の乾燥処理は、目標値の排気湿度の下限値αとして20g/m
3に設定して実施された。(11A)の排気湿度特性に示すように、高温乾燥空気の導入開始後、排気湿度は、開始時の10g/m
3から徐々に上昇して60g/m
3を超えた時点から下降し(乾燥1段目)、乾燥促進に伴って乾燥2段目、3段目を経て目標値(20g/m
3)に到達している。マット製品の乾燥処理は、目標値の排気湿度の下限値αとして15g/m
3に設定して実施された。(13A)の排気湿度特性に示すように、高温乾燥空気の導入開始後、排気湿度は、開始時の10g/m
3から徐々に上昇して37g/m
3を超えた時点から下降し(乾燥1段目)、乾燥促進に伴って乾燥2段目、3段目を経て目標値(15g/m
3)に到達している。
図11~
図14から、モップ製品およびマット製品に対して実施した乾燥処理からわかるように、
図15に示した、燥処理時間の監視下で行う従来の段階式乾燥制御方式と比較して、破線で示した従来の段階式乾燥制御方式よりも本発明に係る乾燥条件自動追随型の乾燥方法の場合には、排気空気の循環率、ファン回転数がきめ細かに実行されていることがわかる。湿度変化に的確に追随して乾燥過程が進行するので、(12B)および(14B)に示すように、加熱手段の蒸気消費量を低減することが可能になっている。回転ドラム3に収容する1ロットの被乾燥物の重量を200kgとした場合、モップの場合、従来の段階式乾燥制御方式では、蒸気消費量210kg/ロットであるのに対し、本発明に係る乾燥条件自動追随型の乾燥方法では、蒸気消費量176kg/ロットになり、約16%の蒸気消費量の削減が可能になった。回転ドラム3に収容する1ロットの被乾燥物の重量を200kgとした場合、マットの場合、従来の段階式乾燥制御方式では、蒸気消費量83kg/ロットであるのに対し、本発明に係る乾燥条件自動追随型の乾燥方法では、蒸気消費量66kg/ロットになり、約20%の蒸気消費量の削減が可能になった。
【0082】
本発明は、上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上詳述したように、本発明は、良質の乾燥状態が得られる乾燥処理を低消費エネルギ
ーで実行できるので、例えば、ダストコントロール商品を扱うレンタルモップ業界の業態の活性化に貢献することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 乾燥装置
2 本体部
3 回転ドラム
4 乾燥空気導入部
5 フィルター
6 排気部
7 送風ファン
8 循環ダンパー
9 湿度センサ
10 開口部
12 流入口
13 吸引部
14 箱状フィルター
15 通気孔
16 蒸気熱交換器
18 開口部
20 制御部
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 ファンモータ
25 循環ダンパー装置
26 ドラム回転装置
27 表示器
28 温度センサ
29 入力手段
30 給水タンク
31 給水ポンプ
32 蒸気発生部
33 電磁開閉バルブ
34 供給管
35 蒸気導入管
36 ドレイン回収管路
37 補給管
39 ローラー
40 ローラー