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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】遮熱扉
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20220518BHJP
   E06B 3/76 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B3/76
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018031421
(22)【出願日】2018-02-26
(65)【公開番号】P2019148056
(43)【公開日】2019-09-05
【審査請求日】2021-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000149136
【氏名又は名称】日本インシュレーション株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】広田 正之
(72)【発明者】
【氏名】堀 正人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 芳明
(72)【発明者】
【氏名】安藤 洋志
(72)【発明者】
【氏名】小張 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】井上 和也
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-303689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/16
E06B 3/76
E05C 63/14
E05C 9/00- 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四周状のフレームと、
前記四周状のフレームに固定された表面材と、
前記表面材に囲まれた空間に充填された耐火芯材と、
からなり、
戸先側部位には、高さ方向に間隔を存してラッチを備えた複数の錠が内蔵されており、
前記複数の錠の間には、前記ラッチに連動連結されたロッドが設けてあり、
前記耐火芯材には前記ロッドを上下動可能に収容するロッド収容空間が高さ方向に形成されており、前記ロッドは、前記ロッド収容空間内で前記耐火芯材に少なくとも部分的に囲まれている、遮熱扉。
【請求項2】
前記ロッドは全高、全周に亘って前記耐火芯材に囲まれている、請求項1に記載の遮熱扉。
【請求項3】
前記耐火芯材は、前記ロッド収容空間に位置して当該ロッド収容空間の高さ方向に沿って分割された第1要素と第2要素とからなり、
前記第1要素は、第1当接面と高さ方向に延びる第1部位を備え、
前記第2要素は、第2当接面と高さ方向に延びる第2部位を備え、
前記ロッド収容空間は、前記第1要素の前記第1当接面と前記第2要素の前記第2当接面が当接した状態において、前記第1部位と前記第2部位とから形成される、
請求項1、2いずれか1項に記載の遮熱扉。
【請求項4】
前記四周状のフレームの見込寸法は、当該遮熱扉の見込寸法よりも小さく、
前記四周状のフレームの戸先側縦フレームの見付面と前記表面材の見付面の間には戸先側周囲耐火芯材が設けてあり、
前記戸先側周囲耐火芯材は、前記ロッド収容空間よりも戸尻側に延びている、
請求項1~3いずれか1項に記載の遮熱扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮熱扉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、防火戸には防火性能に限らず、避難時に有害となる火災側から非火災側への熱の伝達を防ぐよう遮熱性能が要求される傾向にある。
【0003】
防火戸は、扉体とドア枠から構成されるが、一般に、扉体の構造は、表面材と力骨及び中骨からなり、表面材に対して四周に力骨を固定し、高さ方向に延びる中骨を幅方向に等間隔で設ける。さらに、遮熱性能を付与する場合には、扉体内部に断熱材(ロックウール等)や耐火材(ケイ酸カルシウム板)を芯材として充填することが考えられる。
【0004】
扉体の戸先側部位には、錠前が設けてあり、錠前は戸先側の力骨や表面材の近傍に位置すると共に、通常、錠前は金属製であることから、金属製の表面材、力骨、錠前を介して火災側から非火災側に熱が伝わってしまうおそれがある。
【0005】
火災が発生した場合の扉体の反りなどの変形を防止して、炎や煙の拡散を防止することを目的とした錠装置として、いわゆる3点ラッチ錠が提案されている(特許文献1、2)。このように複数のラッチ錠からなる錠装置は、扉体の高さ方向に延びるロッドを備えている。
【文献】特開2013-72179号
【文献】特開2013-249644号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、複数のラッチ錠及びロッドからなる錠装置を備えた扉体において、加熱面側から非加熱面側へ錠装置の要素を伝わって熱が伝達されることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するべく本発明が採用した技術手段は、
四周状のフレームと、
前記四周状のフレームに固定された表面材と、
前記表面材に囲まれた空間に充填された耐火芯材と、
からなり、
戸先側部位には、高さ方向に間隔を存してラッチを備えた複数の錠が内蔵されており、
前記複数の錠の間には、前記ラッチに連動連結されたロッドが設けてあり、
前記耐火芯材には前記ロッドを上下動可能に収容する空間が高さ方向に形成されており、前記ロッドは、前記空間内で前記耐火芯材に少なくとも部分的に囲まれている、遮熱扉、である。
1つの態様では、前記ロッドは全高、全周に亘って前記耐火芯材に囲まれている。
扉体内部で延びるロッドを耐火芯材によって少なくとも部分的に囲むことによって、火災時の熱でロッドが加熱されて温度上昇することを抑制し、加熱面側から非加熱面側へロッドを伝わって熱が伝達されることを抑制することができる。
【0008】
1つの態様では、前記耐火芯材は、前記空間に位置して当該空間の高さ方向に沿って分割された第1要素と第2要素とからなり、
前記第1要素は、第1当接面と高さ方向に延びる第1部位を備え、
前記第2要素は、第2当接面と高さ方向に延びる第2部位を備え、
前記空間は、前記第1要素の前記第1当接面と前記第2要素の前記第2当接面が当接した状態において、前記第1部位と前記第2部位とから形成される。
前記空間は耐火芯材に形成した穿孔でもよいが、耐火芯材の所定位置を正確に穿孔する作業は必ずしも容易ではないため、独立した第1要素と第2要素を組み合わせて空間を形成することで、空間を形成するための加工性、作業性を向上させることができる。
【0009】
1つの態様では、前記四周状のフレームの見込寸法は、当該扉体の見込寸法よりも小さく、
前記四周状のフレームの戸先側縦フレームの見付面と前記表面材の見付面の間には戸先側周囲耐火芯材が設けてあり、
前記戸先側周囲耐火芯材は、前記空間よりも戸尻側に延びている。
戸先側周囲耐火芯材によって、表面材から継ぎ目(第1要素の第1当接面と第2要素の第2当接面との当接部)までの距離(熱伝達経路)を長くし、加熱面側から非加熱面側へ継ぎ目(第1要素の第1当接面と第2要素の第2当接面との当接部)を伝わって熱が伝達されることを抑制することができる。
【0010】
1つの態様では、前記戸先側周囲耐火芯材は、前記錠の設置位置(錠の戸尻側端部は、四周状のフレームの戸先側縦フレームの戸尻側端部よりも扉体中央側に延びている)よりも扉体中央側に延びている。
戸先側周囲耐火芯材の戸尻側部位を錠の設置位置よりも扉体中央側に設けたことによって、表面材から錠(及び戸先側縦フレーム)までの距離(熱伝達経路)を長くし、加熱面側から非加熱面側へ錠(及び戸先側縦フレーム)を伝わって熱が伝達されることを抑制することができる。
【0011】
1つの態様では、耐火芯材は、扉体中央を含む部位の全厚に亘って設けた第1耐火芯材(前記第1要素及び前記第2要素を含む)と、前記第1耐火芯材の周縁部に隣接する前記周囲耐火芯材(前記戸先側周囲耐火芯材を含む)である第2耐火芯材と、からなり、
扉体内部の周囲には、前記四周状のフレームと前記第2耐火芯材から凹状部が形成されており、
前記第1耐火芯材の前記周縁部は凸状であって、前記凹状部に嵌っている。
第1耐火芯材の凸状部と第2耐火芯材の凹状部が嵌り合うことで第1耐火芯材と第2耐火芯材の継ぎ目を形成することで、継ぎ目を通る熱伝達経路を長くして加熱面側から非加熱面側へ継ぎ目を通って熱が伝達されることを抑制することができる。
【0012】
1つの態様では、前記第1耐火芯材の前記周縁部は、戸先側周縁部(前記第1要素と前記第2要素を含む)を含み、
前記戸先側周縁部の前記第1要素と前記第2要素は、戸先側周囲耐火芯材が形成する前記凹状部内で分割されている。
第1要素と第2要素の分割部(第1要素の第1当接面と第2要素の第2当接面との当接部)が戸先側周囲耐火芯材によって覆われているので、加熱面側から非加熱面側へ分割部を通って熱が伝達されることを抑制することができる。
1つの態様では、前記戸先側周縁部は、前記錠の上側に隣接する上側戸先側周縁部、前記錠の下側に隣接する下側戸先側周縁部を含んでおり、上側戸先側周縁部、下側戸先側周縁部はそれぞれ前記凹状部内で第1要素と第2要素に分割されている。
【発明の効果】
【0013】
複数のラッチ錠及びロッドからなる錠装置を備えた扉体において、扉体内部で延びるロッドを耐火芯材によって少なくとも部分的に囲むことによって、火災時の熱でロッドが加熱されて温度上昇することを抑制し、加熱面側から非加熱面側へロッドを伝わって熱が伝達されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係るドア装置を室外側から見た正面図である。
図2】第1実施形態に係るドア装置の縦断面図である。
図3】(A)は第1実施形態に係るドア装置の横断面図であり、(B)は第1実施形態に係るドア装置の扉体(当該扉体に内蔵された第1錠の上方)の横断面図である。
図4図2の上側部位の部分拡大図である。
図5図2の下側部位の部分拡大図である。
図6図3(A)の戸先側部位の部分拡大図である。
図7図3(A)の戸尻側部の部分拡大図である。
図8】第1実施形態に係る扉体(表面材を省略)の正面図であり、当該扉体の内部要素を示している。
図8A】(A)は(C)のA-A´縦断面図、(B)は(C)のB-B´縦断面図、(C)は扉体の戸先側部位の正面図である。
図9】第1実施形態に係る扉体のフレーム(力骨)を示す図である。
図10】第1実施形態に係る扉体の第2耐火芯材を示す図である。
図11】第1実施形態に係る扉体の第1耐火芯材の第1部分を示し、(A)は横断面図(戸先側の切り欠き部位の高さ位置)、(B)は上面図、(C)は正面図である。
図12】第1実施形態に係る扉体の第1耐火芯材の第2部分を示し、(A)は上面図、(B)は正面図である。
図13】第2実施形態に係る扉体の横断面図である。
図14】第3実施形態に係る扉体の横断面図である。
図15】第4実施形態に係る扉体の横断面図である。
図16】第5実施形態に係る扉体の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[A]ドア装置の全体構成
図1は第1実施形態に係るドア装置を室外側から見た正面図であって、ドア装置は、縦長方形状のドア枠1と、ドア枠1によって形成された開口部を開閉する扉体2とからなる。本実施形態では、扉体2は遮熱扉であり、ドア装置は防火扉として用いられる。ドア枠1は、上枠10、下枠11、戸先側縦枠12、戸尻側縦枠13から縦長方形状に形成されている。ドア枠1の構成については後に詳述する。
【0016】
図2はドア装置の縦断面図、図3(A)はドア装置の横断面図、図8は扉体2を正面から見た図である。扉体2は、当該扉体2の外面を形成する金属製の第1表面材20、第2表面材21と、力骨を形成する上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6からなる金属製(典型的には鋼製)の四周状のフレームと、扉体2の内部空間に設けられた芯材と、から構成されている。本実施形態において、以下に詳述するように、扉体2の構成要素である第1表面材20、第2表面材21と、力骨を形成する上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6、耐火芯材7A~7H、耐火芯材8A~8Eは要素同士が適宜当接することで扉体2が構成されているが、扉体2の遮熱性能に影響を与えない程度に近接していても良い場合があることが当業者に理解され、その場合には、「当接」を「近接」に置き換えることができる。
【0017】
芯材は、四周状のフレームと第1表面材20、第2表面材21との間に設けられる耐火芯材7A~7Hと、扉体2の内部空間の中央部位を占める耐火芯材8A~8Eと、から構成されている。扉体2の内部空間において、四周状のフレーム、耐火芯材7A~7H、錠前(第1錠24、第2錠25、第3錠26)を除く空間には耐火芯材8A~8Eが設けてあり、いわゆる中骨を備えていない。本明細書では、芯材全体の体積の多くを占める耐火芯材8A~8Eを総称して第1耐火芯材8と呼び、耐火芯材7A~7Hを総称して第2耐火芯材7と呼ぶ。本実施形態では、第1耐火芯材8、第2耐火芯材7は、ケイ酸カルシウム板から形成されているが、第2耐火芯材7のケイ酸カルシウム板の比重は第1耐火芯材8のケイ酸カルシウム板の比重よりも大きく、当該第2耐火芯材7は当該第1耐火芯材8よりも大きい機械的強度を備えている。
【0018】
第1表面材20は、薄肉の鋼鈑を折り曲げて形成されており、扉体2の室外側見付面を形成する主面部200と、主面部200の周辺部位を折り曲げて形成された上辺201、下辺202、第1側辺203、第2側辺204と、からなる。以下の説明では、扉体2の1つの構成要素として当該扉体2を構成する第1表面材20の主面部200を第1見付面200と称する。
【0019】
第2表面材21は、薄肉の鋼鈑を折り曲げて形成されており、扉体2の室内側見付面を形成する主面部210と、主面部210の周辺部位を折り曲げて形成された上辺211、下辺212、第1側辺213、第2側辺214と、からなる。以下の説明では、扉体2の1つの構成要素として当該扉体2を構成する第2表面材21の主面部210を第2見付面210と称する。
【0020】
第1表面材20の上辺201と第2表面材21の上辺211から扉体2の上面が形成されており、第1表面材20の下辺202と第2表面材21の下辺212から扉体2の下面が形成されており、第1表面材20の第1側辺203と第2表面材21の第1側辺213から扉体2の戸先側見込面が形成されており、第1表面材20の第2側辺204と第2表面材21の第2側辺214から扉体2の戸尻側見込面が形成されている。
【0021】
図1に示すように、扉体2は、戸尻側部位に設けた丁番22によってドア枠1の戸尻側縦枠13に回動可能に支持されている。扉体2の室外側見付面(第1表面材20の第1見付面200)、室内側見付面(第2表面材21の第2見付面210)の戸先側部位にはハンドル23(室内側見付面のハンドルについては図示せず)が設けてある。扉体2の戸先側部位には、高さ方向の中間に位置して第1錠24が内蔵されている。さらに、扉体2の戸先側部位の上方部位に位置して第2錠25、下方部位に位置して第3錠26が内蔵されている(図1図8参照)。
【0022】
第1錠24は、所定厚さ(見込寸法)及び所定幅(見付寸法)を備え、正面視方形状の錠ケース240と、錠ケース240に内蔵されたラッチL(図8A(C)参照)、デッドボルト(図示せず)を備えている。ドア枠1の戸先側縦枠12の第1見込面122の所定高さには、第1錠24のラッチL及びデッドボルトのストライクが設けてある。ラッチLは付勢手段によって扉体2の戸先側見付面から突出してストライクのラッチ受孔に係止して扉体2の閉鎖姿勢を維持し、ハンドル23の回動操作に連動して突出したラッチLを扉体2の戸先側見付面内に退避させて係止状態を解錠することで扉体2を開放させる。デッドボルトは、扉体2の室内側見付面に設けた操作つまみ(図示せず)の回動、室外側見付面に設けた鍵孔241に挿入した鍵の回動によって、ストライクのデッドボルト受孔に対して係止姿勢と解除姿勢をとるようになっている。
【0023】
第2錠25は、所定厚さ(見込寸法)及び所定幅(見付寸法)を備え、正面視方形状の錠ケース250と、錠ケース250に内蔵されたラッチL(図8A(C)参照)を備えており、デッドボルトは備えていない。第3錠26は、所定厚さ(見込寸法)及び所定幅(見付寸法)を備え、正面視方形状の錠ケース260と、錠ケース260に内蔵されたラッチL(図8A(C)参照)を備えており、デッドボルトは備えていない。本実施形態では、第1錠24の錠ケース240、第2錠25の錠ケース250、第3錠26の錠ケース260は、同じ厚さ(見込寸法)及び幅(見付寸法)を備えている。ドア枠1の戸先側縦枠12の第1見込面122の上方部位には第2錠25のラッチLのストライクが設けてあり、下方部位には第3錠26のラッチLのストライクが設けてある。第2錠25及び第3錠26のラッチLは付勢手段によって扉体2の戸先側見付面から突出してストライクのラッチ受孔に係止して扉体2の閉鎖姿勢を維持している。本実施形態では、開口部全閉姿勢時に扉体2が高さ方向の3箇所においてラッチでドア枠1の戸先側縦枠12に係止することによって、火災時の熱による扉体2の反りを可及的に防止し、扉体2とドア枠1との間に防火ないし防煙及び遮熱において不利な隙間が形成されることを防止する。
【0024】
ハンドル23の回動と第1錠24のラッチL、第2錠25のラッチL、第3錠26のラッチLの動作は連動しており、扉体2の閉鎖状態において、水平姿勢にあるハンドル23を下方に回動させることで、ラッチ受孔に対して係止姿勢(突出姿勢)にある第1錠24のラッチL、第2錠25のラッチL、第3錠26のラッチLが扉体2の戸先側見付面内に退避する方向に移動して解除姿勢(退避姿勢)となり、したがって、扉体2の閉鎖姿勢時において、ハンドル23の回動操作に連動して突出姿勢にある3本のラッチLを扉体2の戸先側見付面内に同時に退避させて係止状態を解錠することで扉体2を開放させる。
【0025】
より具体的には、第1錠24と第2錠25の間、第1錠24と第3錠26の間は扉体2内を垂直姿勢で延びるロッド27によって連動連結されており、ロッド27の下動あるいは上動に連動して、係止姿勢にあるラッチLが解除姿勢となる。第1錠24と第2錠25を連結するロッド27と、第1錠24と第3錠26を連結するロッド27は別部材であっても、同一部材であってもよい。このようないわゆる3点ラッチ錠は、例えば、特開2013-72179号、特開2013-249644号に開示されており、ロッドとラッチLの具体的な連動構成例についてはこれらの文献の記載を参照することができる。本実施形態では、デッドボルト及びラッチLを備えた第1錠24、ラッチLのみを備えた第2錠25、第3錠26の合計3つの錠を用いているが、4つ以上の錠を採用してもよい。
【0026】
[B]扉体の四周状のフレーム
扉体2の上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6は、扉体2の力骨を構成し、本実施形態では、各フレーム3~6の内部に石膏9が充填されている。各フレーム3~6の断面形状及び断面寸法は同一であり、フレーム単体を示す図9を、各フレーム3~6に共通して適用する。以下、各フレーム3~6の構成について詳細に説明する。
【0027】
[B-1]上フレーム
扉体2の上フレーム3は、第1見付面部30と、第2見付面部31と、上面部32とから断面視コ字状に形成されている。第1見付面部30と、第2見付面部31と、上面部32とから形成された凹部内には充填材としての石膏9が充填されている。第1見付面部30の下端と、第2見付面部31の下端と、石膏9から上フレーム3の下面33が形成されている。第1見付面部30と、第2見付面部31と、上面部32の長さ方向の戸先側端面と石膏9から上フレーム3の戸先側見込面34が形成され、第1見付面部30と、第2見付面部31と、上面部32の長さ方向の戸尻側端面と石膏9から上フレーム3の戸尻側見込面35が形成されている。石膏9は、流動状態のものを上フレーム3の凹状の内部に充填して固化することで得られており、固化された石膏9と第1見付面部30の内面、第2見付面部31の内面、上面部32の内面は付着されており、石膏9を充填することで上フレーム3の強度が増強されている。上フレーム3の内部に充填された石膏9は結晶水を含んでおり、火災時の熱によって当該結晶水が蒸発することに伴う吸熱によって上フレーム3及び周囲の温度上昇を抑制する。
【0028】
[B-2]下フレーム
扉体2の下フレーム4は、第1見付面部40と、第2見付面部41と、下面部42とから断面視コ字状に形成されている。第1見付面部40と、第2見付面部41と、下面部42とから形成された凹部内には充填材としての石膏9が充填されている。第1見付面部40の上端と、第2見付面部41の上端と、石膏9から下フレーム4の上面43が形成されている。第1見付面部40と、第2見付面部41と、下面部42の長さ方向の戸先側端面と石膏9から下フレーム4の戸先側見込面44が形成され、第1見付面部40と、第2見付面部41と、下面部42の長さ方向の戸尻側端面と石膏9から下フレーム4の戸尻側見込面45が形成されている。石膏9は、流動状態のものを下フレーム4の凹状の内部に充填して固化することで得られており、固化された石膏9と第1見付面部40の内面、第2見付面部41の内面、下面部42の内面は付着されており、石膏9を充填することで下フレーム4の強度が増強されている。下フレーム4の内部に充填された石膏9は結晶水を含んでおり、火災時の熱によって当該結晶水が蒸発することに伴う吸熱によって下フレーム4及び周囲の温度上昇を抑制する。
【0029】
[B-3]戸先側縦フレーム
扉体2の戸先側縦フレーム5は、第1見付面部50と、第2見付面部51と、見込面部52とから断面視コ字状に形成されている。第1見付面部50と、第2見付面部51と、見込面部52とから形成された凹部内には充填材としての石膏9が充填されている。第1見付面部50の戸尻側端と、第2見付面部51の戸尻側端と、石膏9から戸先側縦フレーム5の戸尻側見込面53が形成されている。第1見付面部50と、第2見付面部51と、見込面部52の高さ方向の上端と石膏9から戸先側縦フレーム5の上端面54が形成され、第1見付面部50と、第2見付面部51と、見込面部52の高さ方向の下端と石膏9から戸先側縦フレーム5の下端面55が形成されている。石膏9は、流動状態のものを戸先側縦フレーム5の凹状の内部に充填して固化することで得られており、固化された石膏9と第1見付面部50の内面、第2見付面部51の内面、見込面部52の内面は付着されており、石膏9を充填することで戸先側縦フレーム5の強度が増強されている。戸先側縦フレーム5の内部に充填された石膏9は結晶水を含んでおり、火災時の熱によって当該結晶水が蒸発することに伴う吸熱によって戸先側縦フレーム5及び周囲の温度上昇を抑制する。戸先側縦フレーム5の見込面部52の高さ方向の所定部位は、錠前(第1錠24、第2錠25、第3錠26)を受け入れるために切り欠かれており、錠前に対応する内部空間には石膏は充填されていない。
【0030】
[B-4]戸尻側縦フレーム
扉体2の戸尻側縦フレーム6は、第1見付面部60と、第2見付面部61と、見込面部62とから断面視コ字状に形成されている。第1見付面部60と、第2見付面部61と、見込面部62とから形成された凹部内には充填材としての石膏9が充填されている。第1見付面部60の戸先側端と、第2見付面部61の戸先側端と、石膏9から戸尻側縦フレーム6の戸先側見込面63が形成されている。第1見付面部60と、第2見付面部61と、見込面部62の高さ方向の上端と石膏9から戸尻側縦フレーム6の上端面64が形成され、第1見付面部60と、第2見付面部61と、見込面部62の高さ方向の下端と石膏9から戸尻側縦フレーム6の下端面65が形成されている。石膏9は、流動状態のものを戸尻側縦フレーム6の凹状の内部に充填して固化することで得られており、固化された石膏9と第1見付面部60の内面、第2見付面部61の内面、見込面部62の内面は付着されており、石膏9を充填することで戸尻側縦フレーム6の強度が増強されている。戸尻側縦フレーム6の内部に充填された石膏9は結晶水を含んでおり、火災時の熱によって当該結晶水が蒸発することに伴う吸熱によって戸尻側縦フレーム6及び周囲の温度上昇を抑制する。
【0031】
[B-5]四周状のフレームの全体構成
図1に示すように、上フレーム3の下面33の戸先側部位には、戸先側縦フレーム5の上端面54が当接し、上フレーム3の下面33の戸尻側部位には、戸尻側縦フレーム6の上端面64が当接し、下フレーム4の上面43の戸先側部位には、戸先側縦フレーム5の下端面55が当接し、下フレーム4の上面43の戸尻側部位には、戸尻側縦フレーム6の下端面65が当接することで、上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6から四周状のフレームが形成されている。四周状のフレームにおいて、上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6の凹部は扉体2の内側に向いており、凹部内には当該凹部内で固化された石膏9が充填されており、当該凹部の内面と石膏9は強固に付着ないし固着されており、四周状のフレームの凹部の内面と石膏9が一体化している。フレームの凹部の内面と石膏9が一体化されることで、フレームの凹部内に石膏ボード等を差し込んだものに比べて、フレーム(いわゆる力骨)自体の機械的強度が上昇する。このように、本実施形態では、四周状のフレームの内部に石膏を充填したことで、フレーム(いわゆる力骨)の強度が向上し、結果として、石膏9を充填した四周状のフレームと第1耐火芯材8の組み合わせで所定の扉強度を得ることができ、従来の扉体において表面材間に配置している中骨を省略することができる。また、火災時の加熱によって、石膏9から結晶水が蒸発することに伴う吸熱効果によって、四周状のフレーム及び当該フレームの周辺の温度上昇を抑えることができる。また、石膏9を充填して四周状のフレームの強度を増大させることによって、扉体2の見込寸法に対して、当該フレームの見込寸法を小さく設計することができ、次に述べるように、所定の厚み(遮熱効果及び扉体端部の補強を発揮できる程度の厚み)を備えた第2耐火芯材7を第1表面材20、第2表面材21と四周状のフレームとの間に設けることを可能とし、当該フレームの見込寸法をより小さく設計することで、第2耐火芯材7の見込寸法を大きくすることができる。
【0032】
[C]耐火芯材
[C-1]第2耐火芯材
本実施形態では、力骨を形成する四周状のフレームの見込寸法、すなわち、上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6の見込寸法は、扉体2の見込寸法(厚さ)よりも小さい寸法となっており、第1表面材20と四周状のフレームの間、第2表面材21と四周状のフレームの間には、第2耐火芯材7が設けてある。金属製の第1表面材20、第2表面材21と金属製の四周状のフレームとの間に第2耐火芯材7を挟むことで、扉体2の一方の見付面から他方の見付面への熱伝達を抑制している。本実施形態に係る第2耐火芯材7について、以下に詳細に説明する。
【0033】
[C-1]第2耐火芯材
第2耐火芯材7は、扉体2の第1表面材20、第2表面材21と、四周状のフレームとの間に位置して設けられる。本実施形態では、第2耐火芯材7は、第1表面材20と上フレーム3との間に設けられる耐火芯材7A、第2表面材21と上フレーム3との間に設けられる耐火芯材7B、第1表面材20と下フレーム4との間に設けられる耐火芯材7C、第2表面材21と下フレーム4との間に設けられる耐火芯材7D、第1表面材20と戸先側縦フレーム5との間に設けられる耐火芯材7E、第2表面材21と戸先側縦フレーム5との間に設けられる耐火芯材7F、第1表面材20と戸尻側縦フレーム6との間に設けられる耐火芯材7G、第2表面材21と戸尻側縦フレーム6との間に設けられる耐火芯材7Hを含んでいる。図2~7に示すように、四周状のフレーム(上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6)と第2耐火芯材7A~7Hから断面視凹状部が形成されており、当該凹状部に第1耐火芯材8の断面視凸状の周縁部が当接するようになっている。したがって、第2耐火芯材7と第1耐火芯材8との継ぎ目はいわゆるあいじゃくり状となっており、扉体2の厚さ方向に平面視直線状に延びることが無いので、遮熱性能において有利である。
【0034】
本実施形態では、耐火芯材7A、7B、7C、7Dは同一形状・同一寸法を備え、耐火芯材7E、7Fは同一形状・同一寸法を備え、耐火芯材7G、7Hは同一形状・同一寸法を備えている。耐火芯材7A、7B、7C、7Dと耐火芯材7G、7Hは長さ寸法を除いて、同一断面形状・寸法を備えている。また、耐火芯材7E、7Fの基本的な形状・寸法は、見付寸法を除いて耐火芯材7G、7Hと同じである。よって、図10に示す第2耐火芯材7の各部位の名称及び参照番号を耐火芯材7A~7Hに共通して適用する。
【0035】
図10に示すように、耐火芯材7A~7Gは、第1見付面70及び第2見付面71と、周囲の4つの端面、すなわち、第1端面72、第2端面73、第3端面74、第4端面75と、からなる長尺状の板状体である。第1端面72及び第2端面73が第2耐火芯材7の長手方向の両端に位置しており、第3端面74及び第4端面75が第2耐火芯材7の短手方向の両端に位置している。
【0036】
耐火芯材7A、7Bにおいては、第1端面72は戸先側見込面、第2端面73は戸尻側見込面、第3端面74は上面、第4端面75は下面であり、耐火芯材7C、7Dにおいては、第1端面72は戸先側見込面、第2端面73は戸尻側見込面、第3端面74は下面、第4端面75は上面であり、耐火芯材7E、7Fにおいては、第1端面72は上面、第2端面73は下面、第3端面74は戸先側見込面、第4端面75は戸尻側見込面であり、耐火芯材7G、7Hにおいては、第1端面72は上面、第2端面73は下面、第3端面74は戸尻側見込面、第4端面75は戸先側見込面である。
【0037】
第2耐火芯材7は、第1見付面70、第2見付面71、第3端面74、第4端面75から長方形の断面形状を備えている。耐火芯材7A~7D、7G、7Hは、同一・同寸の断面視長方形(第1見付面70、第2見付面71、第3端面74、第4端面75)を備えている。耐火芯材7E、7Fは、耐火芯材7A~7D、7G、7Hと同様に断面視長方形状を備えているが、耐火芯材7E、7Fの第1見付面70、第2見付面71の見付寸法は、耐火芯材7A~7Dの第1見付面70、第2見付面71の見付寸法よりも大きい。
【0038】
図8に示すように、第1表面材20と四周状のフレームとの間に設けられる耐火芯材7A、耐火芯材7C、耐火芯材7E、耐火芯材7Gにおいて、耐火芯材7Aの下面75の幅方向戸先側部位には耐火芯材7Eの上面72が当接しており、耐火芯材7Aの下面75の幅方向戸尻側部位には耐火芯材7Gの上面72が当接しており、耐火芯材7Cの上面75の幅方向戸先側部位には耐火芯材7Eの下面73が当接しており、耐火芯材7Cの上面75の幅方向戸尻側部位には耐火芯材7Gの下面73が当接しており、耐火芯材7A、耐火芯材7C、耐火芯材7E、耐火芯材7Gが連続四周状に設けられる。すなわち、第1表面材20と四周状のフレーム(上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6)の間に位置して、四周状の第2耐火芯材7(耐火芯材7A、耐火芯材7C、耐火芯材7E、耐火芯材7G)が設けられている。
【0039】
同様に、第2表面材21と四周状のフレームとの間に設けられる耐火芯材7B、耐火芯材7D、耐火芯材7F、耐火芯材7Hにおいて、耐火芯材7Bの下面75の幅方向戸先側部位には耐火芯材7Fの上面72が当接しており、耐火芯材7Bの下面75の幅方向戸尻側部位には耐火芯材7Hの上面72が当接しており、耐火芯材7Dの上面75の幅方向戸先側部位には耐火芯材7Fの下面73が当接しており、耐火芯材7Dの上面75の幅方向戸尻側部位には耐火芯材7Hの下面73が当接しており、耐火芯材7B、耐火芯材7D、耐火芯材7F、耐火芯材7Hが連続四周状に設けられる。すなわち、第2表面材21と四周状のフレーム(上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6)の間に位置して、四周状の第2耐火芯材7(耐火芯材7B、耐火芯材7D、耐火芯材7F、耐火芯材7H)が設けられている。
【0040】
[C-2]第1耐火芯材
第1耐火芯材8は、扉体2の第1表面材20及び第2表面材21によって囲まれる内部空間において、四周状のフレーム(上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6)、第2耐火芯材7(耐火芯材7A~7H)、錠前(第1錠24、第2錠25、第3錠26)を除く空間を占めるように設けてあり、扉体2は中骨を備えていない。
【0041】
本実施形態では、第1耐火芯材8は複数の部分に分割されている。図8に示すように、第1耐火芯材8は、5つの部分である耐火芯材8A~Eからなる。
【0042】
耐火芯材8A(第1部分)は、扉体2の戸先側部位(錠前に対応する見付幅)を除く内部空間において、第1表面材20、第2表面材21、上フレーム3、下フレーム4、戸尻側縦フレーム6、耐火芯材7A、7B、7C、7D、7E、7F、7G、7Hに囲まれた空間に設けられる。
【0043】
耐火芯材8B(第2部分)は、扉体2の戸先側部位(錠前に対応する見付幅)の内部空間において、上フレーム3、戸先側縦フレーム5、耐火芯材7E、7F、第2錠25の上面に囲まれた空間に設けられる。
【0044】
耐火芯材8C(第3部分)は、扉体2の戸先側部位(錠前に対応する見付幅)の内部空間において、戸先側縦フレーム5、耐火芯材7E、7F、第2錠25の下面、第1錠24の上面に囲まれた空間に設けられる。
【0045】
耐火芯材8D(第4部分)は、扉体2の戸先側部位(錠前に対応する見付幅)の内部空間において、戸先側縦フレーム5、耐火芯材7E、7F、第1錠24の下面、第3錠26の上面に囲まれた空間に設けられる。
【0046】
耐火芯材8E(第5部分)は、扉体2の戸先側部位(錠前に対応する見付幅)の内部空間において、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、耐火芯材7E、7F、第3錠26の下面に囲まれた空間に設けられる。
【0047】
耐火芯材8A(第1部分)の戸先側部位と、耐火芯材8B~8E(第2部分~第5部分)の戸尻側部位は当接しており、一体で第1耐火芯材8を構成している。
【0048】
耐火芯材8Aは、扉体2の戸先側部位(錠前に対応する見付幅)を除く内部空間において、幅方向及び高さ方向に亘って一体で延びている。耐火芯材8Aは、第1見付面80及び第2見付面81と、周囲の四周状の周縁部とを備えており、周縁部は段差状で肉厚が薄くなっており、断面視凸状部となっている。また、耐火芯材8Aの戸先側の周縁部に耐火芯材8B~8Eが当接することで、第1耐火芯材8の戸先側の周縁部が形成されている。
【0049】
耐火芯材8Aの上側の周縁部は、上面82と、第1上側見付面800と、第2上側見付面810とからなり、第1見付面80の上端と第1上側見付面800の下端は第1上側水平面804によって接続されており、第2見付面81の上端と第2上側見付面810の下端は第2上側水平面814によって接続されている。第1上側水平面804、第2上側水平面814、第1上側見付面800、第2上側見付面810、上面82から上向きの断面視凸部が形成されている。
【0050】
耐火芯材8Aの下側の周縁部は、下面83と、第1下側見付面801と、第2下側見付面811とからなり、第1見付面80の下端と第1下側見付面801の上端は第1下側水平面805によって接続されており、第2見付面81の下端と第2下側見付面811の上端は第2下側水平面815によって接続されている。第1下側水平面805、第2下側水平面815、第1下側見付面801、第2下側見付面811、下面83から下向きの断面視凸部が形成されている。
【0051】
耐火芯材8Aの戸先側の周縁部は、戸先側見込面84と、第1戸先側見付面802と、第2戸先側見付面812とからなり、第1見付面80の戸先側端と第1戸先側見付面802の戸尻側端は第1戸先側垂直面806によって接続されており、第2見付面81の戸先側端と第2戸先側見付面812の戸尻側端は第2戸先側垂直面816によって接続されている。第1戸先側垂直面806、第2戸先側垂直面816、第1戸先側見付面802、第2戸先側見付面812、戸先側見込面84から戸先側に向く断面視凸部が形成されている。
【0052】
耐火芯材8Aの戸尻側の周縁部は、戸尻側見込面85と、第1戸尻側見付面803と、第2戸尻側見付面813とからなり、第1見付面80の戸尻側端と第1戸尻側見付面803の戸先側端は第1戸尻側垂直面807によって接続されており、第2見付面81の戸尻側端と第2戸尻側見付面813の戸先側端は第2戸尻側垂直面817によって接続されている。第1戸尻側垂直面807、第2戸尻側垂直面817、第1戸尻側見付面803、第2戸尻側見付面813、戸尻側見込面85から戸尻側に向く断面視凸部が形成されている。
【0053】
耐火芯材8Aの戸先側見込面84は、第1戸先側見付面802側の第1面840と、第2戸先側見付面812側の第2面841と、第1面840と第2面841とを接続する第3面842と、からなる。図示の態様では、第1面840の見込寸法は、第2面841の見込寸法よりも小さく、第1戸先側見付面802の見付寸法は、第2戸先側見付面812の見付寸法よりも大きく、また、第1戸先側見付面802及び第2戸先側見付面812の見付寸法は、第1戸尻側見付面803及び第2戸尻側見付面813の見付寸法よりも大きい。
【0054】
耐火芯材8Aの戸先側の周縁部には、高さ方向に間隔を存して3つの凹部86が形成されている。各凹部86は、扉体2の戸先側部位に内蔵された第1錠24、第2錠25、第3錠26に対応する高さに形成されており、各凹部86内に第1錠24、第2錠25、第3錠26の錠ケース240、250、260の後側部位(戸尻側部位)が納まるようになっている。耐火芯材8Aの戸先側の周縁部の凹部86の底は中間見込面843となっており、中間見込面843には、第1錠24、第2錠25、第3錠26の錠ケース240、250、260の戸尻側端面2400、2500、2600が当接(図3(B)参照)ないし近接している。
【0055】
耐火芯材8Aの戸先側に隣接して、耐火芯材8B、耐火芯材8C、耐火芯材8D、耐火芯材8Eが設けてある。耐火芯材8B~8E(第2部分~第5部分)は、高さ寸法を除いて、同一の断面寸法及び断面形状を有している。よって、図12に示す耐火芯材8B(第2部分)の各部位の名称及び参照番号を耐火芯材8B~8Eに共通して適用する。
【0056】
耐火芯材8B~8Eは、第1見付面80´と、第2見付面81´と、上面82´と、下面83´と、戸先側見込面87と、戸尻側見込面88とを備えている。戸尻側見込面88は、第1見付面80´側の第1面880と、第2見付面81´側の第2面881と、第1面880と第2面881とを接続する第3面882と、からなる。図示の態様では、第1面880の見込寸法は、第2面881の見込寸法よりも大きく、第1見付面80´の見付寸法は、第2見付面81´の見付寸法よりも小さい。
【0057】
耐火芯材8Aの戸先側見込面84と、耐火芯材8B、耐火芯材8C、耐火芯材8D、耐火芯材8Eの戸尻側見込面88は当接しており、耐火芯材8A~耐火芯材8Eが一体で第1耐火芯材8を形成している。耐火芯材8Aの戸先側見込面84と耐火芯材8B~8Eの戸尻側見込面88との当接において、耐火芯材8Aの第1面840と、耐火芯材8B~8Eの第1面880が当接しており、耐火芯材8Aの第2面841と、耐火芯材8B~8Eの第2面881が当接している。耐火芯材8Aの第3面842と耐火芯材8B~8Eの第3面882の見付寸法は同じである。したがって、耐火芯材8Aと耐火芯材8B~8Eとの継ぎ目はいわゆるあいじゃくり状となっており、扉体2の厚さ方向に平面視直線状に延びることが無いので、遮熱性能において有利である。
【0058】
耐火芯材8Aの戸先側見込面84と耐火芯材8B、耐火芯材8C、耐火芯材8D、耐火芯材8Eの戸尻側見込面88との当接部には、平面視方形状で扉体2の高さ方向に垂直に延びる空間Sが形成されており、空間Sにロッド27が上下動可能に収納されている。すなわち、耐火芯材は、空間Sに位置して当該空間Sの高さ方向に沿って分割された第1要素(耐火芯材8A)と第2要素(耐火芯材8C、8D)とからなり、第1要素(耐火芯材8A)は、第1当接面(第1面840、第2面841の部分)と高さ方向に延びる第1部位(第2面841の部分と第3面842)を備え、第2要素(耐火芯材8C、8D)は、第2当接面(第1面880の部分、第2面881)と高さ方向に延びる第2部位(第1面880の部分、第3面882)を備え、空間Sは、第1要素の第1当接面(第1面840、第2面841の部分)と第2要素の第2当接面(第1面880の部分、第2面881)が当接した状態において、第1部位(第2面841の部分と第3面842)と第2部位(第1面880の部分、第3面882)とから形成される。耐火芯材7E、7Fは、錠前(第1錠24、第2錠25、第3錠26)の見付寸法よりも大きい見付寸法を備えており、耐火芯材7E、7Fの戸尻側部位は、空間S(耐火芯材8Aの戸先側見込面84と耐火芯材8B~8Eの戸尻側見込面88との当接面ないし継ぎ目)を越えて戸尻側に延びている。なお、ロッド27が上側の耐火芯材8B、下側の耐火芯材8Eの高さまで延びていない場合には、耐火芯材8Aの戸先側見込面84と耐火芯材8Bの戸尻側見込面88との当接部、耐火芯材8Aの戸先側見込面84と耐火芯材8Eの戸尻側見込面88との当接部に必ずしも空間を設けなくてもよい。
【0059】
第1耐火芯材8において、耐火芯材8Aの上面82と耐火芯材8Bの上面82´は同じ高さに位置しており、上面82と上面82´から連続状の上面が形成され、上面82、上面82´は、上フレーム3の下面33に当接する。耐火芯材8Aの下面83と耐火芯材8Eの下面83´は同じ高さに位置しており、下面83と下面83´から連続状の下面が形成され、下面83、83´は、下フレーム4の上面43に当接する。耐火芯材8Aと耐火芯材8B、8Eが一体形成されていてもよい。
【0060】
第1耐火芯材8において、耐火芯材8Bの下面83´と耐火芯材8Cの上面82´の間には第2錠25が位置し、耐火芯材8Cの下面83´と耐火芯材8Dの上面82´の間には第1錠24が位置し、耐火芯材8Dの下面83´と耐火芯材8Eの上面82´の間には第3錠26が位置している。
【0061】
[C-3]第1耐火芯材と第2耐火芯材の組み合わせ
本実施形態では、第1耐火芯材8、第2耐火芯材7は、ケイ酸カルシウム板から形成されているが、第2耐火芯材7のケイ酸カルシウム板の比重(密度)は第1耐火芯材8のケイ酸カルシウム板の比重(密度)よりも大きく、当該第2耐火芯材7は当該第1耐火芯材8よりも大きい機械的強度を備えている。このように比重の異なるケイ酸カルシウム板を採用することで、扉体2の端部に位置する第2耐火芯材7の強度を維持しつつ、扉体2の内部空間で大きな割合を占める第1耐火芯材8の重量を抑え、結果として、扉体2の重量の軽量化を図ることができる。第2耐火芯材7は扉体2の周縁部に位置することから、扉体2の製造時に外力が作用し易い。第2耐火芯材7は第1耐火芯材8に比べて薄肉の板体であるが、第2耐火芯材7を第1耐火芯材8の材料の機械的強度よりも大きい機械的強度の材料から形成することで、扉体2の製作時における第2耐火芯材7の破損を防止している。扉体2の高さ方向及び幅方向の扉中央部を占める第1耐火芯材8(耐火芯材8A)は一体で継ぎ目が無いので、扉体2に所定の面強度を与えると共に、中骨や継ぎ目を経由する熱伝達を防止することができ、扉体2の非加熱面の温度上昇を抑えることができる。第1耐火芯材8と第2耐火芯材7は同一の材料である必要は無く、例えば、第2耐火芯材7の機械的強度が第1耐火芯材8の機械的強度よりも大きく、第1耐火芯材8の単位容積質量が第2耐火芯材7の単位容積質量よりも小さいような材料(所定の遮熱性を備えている)の組み合わせから選択することができる。ここで、本明細書において、機械的強度とは、対象となる材料において、圧縮や引張の物理的な外力に対して持つ耐久力を表す指標であり、いわば、材料が、変形や破壊に耐えられる強度である。機械的強度としては、引張強度、圧縮強度、曲げ強度等が知られており、これらの強度は所定の標準的な計測方法で計測できることが当業者に理解される。
【0062】
[C-4]耐火芯材の材料
本実施形態では、第1耐火芯材8、第2耐火芯材7はケイ酸カルシウム板から形成されているが、第1耐火芯材8、第2耐火芯材7の材料は限定されず、遮熱性を備えた他の不燃材料を採用してもよい。遮熱性の扉体2の内部空間に設ける第1耐火芯材8、第2耐火芯材7として、密度・機械的強度の異なる2種類の不燃性の耐火材料を使用することで、面外変形に耐える強度と火災時の遮熱性を兼ね備えた扉体2を提供することができる。第1耐火芯材8として、不燃材料としてJIS A 5416に規定される軽量気泡コンクリートパネル(ACLパネル)、JIS A 6901に規定される石膏ボード、JIS A 5430に規定される繊維強化セメント板、JIS A 9510に規定される無機多孔質保温材、JIS A 9504に規定される人造鉱物繊維保温材、JIS R 3311に規定されるセラミックファイバーブランケット又はこの代替となるAES(アルカリアースシリケートウール)、及びフェノール樹脂系の不燃断熱材(フェノバボードフネン:積水化学工業製、ネオマフォームF・FS:旭化成建材製)等を例示することができる。第2耐火芯材7として、不燃材料としてJIS A 6901に規定される石膏ボード、JIS A 5430に規定される繊維強化セメント板等を例示することができる。
【0063】
[D]ドア枠
一般に従来のドア枠は鋼製であり、一方の見付側から他方の見付側に見込方向に連続する部材であるため、火災側で受けた熱がドア枠を伝ってそのまま非火災側へ伝達されることになる。したがって、遮熱性能を備えた扉体を採用した場合であっても、ドア枠を介して火災側から非火災側に熱が伝わってしまうおそれがあった。本実施形態では、ドア枠内に石膏を流し込んで固化させることで、ドア枠の内面と石膏9は強固に付着ないし固着されて一体化されており、ドア枠内に充填された石膏9の遮熱性、吸熱性によって、ドア枠の温度上昇を抑制することで、防火戸のドア枠を介しての火災側から非火災側への熱伝導を可及的に防止している。本実施形態に係るドア枠において、室外側の受熱面は、ドア枠の室外側に面する面、具体的には、上枠10の第1見付面100、戸先側縦枠12の第1見付面120、戸尻側縦枠13の第1見付面130からなり、室内側の受熱面は、ドア枠の室内側に面する面、具体的には、上枠10の第2見付面101から第2下面103に至る連続面、戸先側縦枠12の第2見付面121から第2見込面123に至る連続面、戸尻側縦枠13の第2見付面131から第2見込面133に至る連続面からなる。本実施形態では、ドア枠の見付面の幅寸法(第1見付面100、第2見付面101の高さ寸法、第1見付面120、第2見付面121の幅寸法、第1見付面130、第2見付面131の幅寸法)を従来に比べて大きくすることで、受熱面積に対する石膏9の体積の割合を大きくして遮熱性能、吸熱性能を向上させ、ドア枠の温度上昇を更に抑えることを可能とした。さらに、石膏9を充填したドア枠を採用することで、ドア枠に隣接する扉体2の端部の温度上昇を抑制することもできる。
【0064】
[D-1]上枠
上枠10は開口幅方向に延びる部材であり、図4に示すように、第1見付面100と、第2見付面101と、第1見付面100側の第1下面102と、第1下面102よりも低い位置で延びる第2見付面101側の第2下面103とを有している。第1下面102の第2見付面101側の部分と第2下面103の第1見付面100側の部分との間には中間見付面104が形成されており、中間見付面104には幅方向に亘って熱膨張耐火部材14が設けてある。図示の態様では、第1下面102の第2見付面101側の部分と第2下面103の第1見付面100側の部分との間には凹部が形成されており、当該凹部内に設けた断面視コ字状の支持部材が中間見付面104を形成している。上枠10内には石膏9が充填されている。上枠10の内部に充填された石膏9は結晶水を含んでおり、火災時の熱によって当該結晶水が蒸発することに伴う吸熱によって上枠10及び周囲の温度上昇を抑制する。また、第1見付面100の上端の第1上側面1000と第2見付面101の上端の第2上側面1010が面一となっており、石膏9の流し込みを容易にしている。
【0065】
扉体2が全閉姿勢にある時には、扉体2の上面が上枠10の第1下面102に隙間Gを存して対向しており、室内側見付面の上方部位が中間見付面104に設けた熱膨張耐火部材14に隙間Gを存して対向している。火災時の熱で熱膨張耐火部材14が発泡膨張することで、扉体2の室内側見付面の上方部位と上枠10の中間見付面104との隙間Gを開口幅方向に亘って塞ぐようになっている。熱膨張耐火部材14は、第2下面103の第1見付面100側の端部より僅かに第2見付面101側に位置しており、扉体2の閉鎖時には扉体2が戸当たりゴム(図示せず)に当接することで、扉体2の閉鎖時に扉体2が熱膨張耐火部材14に当接することがなく、熱膨張耐火部材14の劣化を可及的に防止している。
【0066】
[D-2]下枠
下枠11は開口幅方向に延びる部材であり、図5に示すように、第1見付面110と、第2見付面111と、上面112から断面視略コ字形状を有している。下枠11は沓摺であって、大部分が床面FL内に埋設されており、上面112は、床面FLよりも僅かに上方に位置して水平状に延びている。下枠11内には石膏9が充填されている。下枠11の内部に充填された石膏9は結晶水を含んでおり、火災時の熱によって当該結晶水が蒸発することに伴う吸熱によって下枠11及び周囲の温度上昇を抑制する。また、第1見付面110の下端と第2見付面111の下端が同一水平面上にあり、石膏9の流し込みを容易にしている。扉体2が全閉姿勢にある時には、扉体2の下面が下枠11の上面112に隙間Gを存して対向している。
【0067】
[D-3]戸先側縦枠
戸先側縦枠12は開口高方向に延びる部材であり、図6に示すように、戸先側縦枠12は、第1見付面120と、第2見付面121と、第1見付面120側の第1見込面122と、第2見付面121側の第2見込面123とを有している。第1見込面122の第2見付面121側の部分と第2見込面123の第1見付面120側の部分との間には中間見付面124が形成されており、中間見付面124には高さ方向に亘って熱膨張耐火部材14が設けてある。図示の態様では、第1見込面122の第2見付面121側の部分と第2見込面123の第1見付面120側の部分との間には凹部が形成されており、当該凹部内に設けた断面視コ字状の支持部材が中間見付面124を形成している。戸先側縦枠12内には石膏9が充填されている。戸先側縦枠12の内部に充填された石膏9は結晶水を含んでおり、火災時の熱によって当該結晶水が蒸発することに伴う吸熱によって戸先側縦枠12及び周囲の温度上昇を抑制する。戸先側縦枠12にはトロカバーC(図3(A)参照)が設けてあるが、第1見込面122に面する部位を除いて、トロカバーCの周囲には石膏9が充填されており、トロカバーCを介する熱の伝達を抑制している。また、第1見付面120の壁側の第1見込面1200と第2見付面121の壁側の第2見込面1210が面一となっており、石膏9の流し込みを容易にしている。
【0068】
扉体2が全閉姿勢にある時には、扉体2の戸先側見込面が戸先側縦枠12の第1見込面122に隙間Gを存して対向しており、室内側見付面の戸先側部位が中間見付面124に設けた熱膨張耐火部材14に隙間Gを存して対向している。火災時の熱で熱膨張耐火部材14が発泡膨張することで、扉体2の室内側見付面の戸先側部位と戸先側縦枠12の中間見付面124との隙間Gを開口高方向に亘って塞ぐようになっている。熱膨張耐火部材14は、第2見込面123の第1見付面120側の端部より僅かに第2見付面121側に位置しており、扉体2の閉鎖時には扉体2が戸当たりゴム(図示せず)に当接することで、扉体2の閉鎖時に扉体2が熱膨張耐火部材14に当接することがなく、熱膨張耐火部材14の劣化を可及的に防止している。
【0069】
[D-4]戸尻側縦枠
戸尻側縦枠13は開口高方向に延びる部材であり、図7に示すように、戸尻側縦枠13は、第1見付面130と、第2見付面131と、第1見付面130側の第1見込面132と、第2見付面131側の第2見込面133とを有している。第1見込面132の第2見付面131側の部分と第2見込面133の第1見付面130側の部分との間には中間見付面134が形成されており、中間見付面134には高さ方向に亘って熱膨張耐火部材14が設けてある。図示の態様では、第1見込面132の第2見付面131側の部分と第2見込面133の第1見付面130側の部分との間には凹部が形成されており、当該凹部内に設けた断面視コ字状の支持部材が中間見付面134を形成している。戸尻側縦枠13内には石膏9が充填されている。戸尻側縦枠13の内部に充填された石膏9は結晶水を含んでおり、火災時の熱によって当該結晶水が蒸発することに伴う吸熱によって戸尻側縦枠13及び周囲の温度上昇を抑制する。また、第1見付面130の壁側の第1見込面1300と第2見付面131の壁側の第2見込面1310が面一となっており、石膏9の流し込みを容易にしている。
【0070】
扉体2が全閉姿勢にある時には、扉体2の戸尻側見込面が戸尻側縦枠13の第1見込面132に隙間Gを存して対向しており、室内側見付面の戸尻側部位が中間見付面134に設けた熱膨張耐火部材14に隙間Gを存して対向している。火災時の熱で熱膨張耐火部材14が発泡膨張することで、扉体2の室内側見付面の戸尻側部位と戸尻側縦枠13の中間見付面134との隙間Gを開口高方向に亘って塞ぐようになっている。熱膨張耐火部材14は、第2見込面133の第1見付面130側の端部より僅かに第2見付面131側に位置しており、扉体2の閉鎖時には扉体2が戸当たりゴム(図示せず)に当接することで、扉体2の閉鎖時に扉体2が熱膨張耐火部材14に当接することがなく、熱膨張耐火部材14の劣化を可及的に防止している。
【0071】
[E]ドア装置の詳細
[E-1]ドア装置の上方部位の構成
図4に示すように、扉体2の上方部位において、第1表面材20の第1見付面200の上方部位と上フレーム3の第1見付面部30との間に位置して耐火芯材7Aが設けてあり、第2表面材21の第2見付面210の上方部位と上フレーム3の第2見付面部31との間に位置して耐火芯材7Bが設けてある。第1表面材20と上フレーム3、第2表面材21と上フレーム3の間に耐火芯材7A、7Bをそれぞれ挟むことで、第1表面材20、第2表面材21と上フレーム3との直接の接触を規制し、第1表面材20から上フレーム3へ、あるいは、第2表面材21から上フレーム3へ熱が直接伝達することを防止している。
【0072】
耐火芯材7Aの第1見付面70と第1表面材20の第1見付面200の内面が当接しており、第2見付面71の上方部位が上フレーム3の第1見付面部30の外面に当接している。耐火芯材7Aの高さ寸法は、上フレーム3の高さ寸法よりも大きく、耐火芯材7Aの下方部位は、上フレーム3の下面33を越えて下方に延びており、第1表面材20の第1見付面200と上フレーム3の第1見付面部30と間の熱伝達経路(耐火芯材7Aと耐火芯材8Aの当接面ないし継ぎ目を通る熱伝達経路)を長くして熱伝達を抑制している。
【0073】
耐火芯材7Bの第1見付面70と第2表面材21の第2見付面210の内面が当接しており、第2見付面71の上方部位が上フレーム3の第2見付面部31の外面に当接している。耐火芯材7Bの高さ寸法は、上フレーム3の高さ寸法よりも大きく、耐火芯材7Bの下方部位は、上フレーム3の下面33を越えて下方に延びており、第2表面材21の第2見付面210と上フレーム3の第2見付面部31と間の熱伝達経路(耐火芯材7Bと耐火芯材8Aの当接面ないし継ぎ目を通る熱伝達経路)を長くして熱伝達を抑制している。
【0074】
耐火芯材8Aの上側の周縁部の上面82は、上フレーム3の下面33に当接しており、第1上側見付面800は、耐火芯材7Aの第2見付面71の下方部位に当接しており、第2上側見付面810は、耐火芯材7Bの第2見付面71の下方部位に当接しており、第1上側水平面804は、耐火芯材7Aの下面75に当接しており、第2上側水平面814は、耐火芯材7Bの下面75に当接しており、第1見付面80は、第1表面材20の第1見付面200に当接しており、第2見付面81は、第2表面材21の第2見付面210に当接している。
【0075】
耐火芯材8Aと耐火芯材7A、7B、上フレーム3との当接面ないし継ぎ目は、耐火芯材8Aの上面82と上フレーム3の下面33、耐火芯材8Aの第1上側見付面800と耐火芯材7Aの第2見付面71の下方部位、耐火芯材8Aの第2上側見付面810と耐火芯材7Bの第2見付面71の下方部位、耐火芯材8Aの第1上側水平面804と耐火芯材7Aの下面75、耐火芯材8Aの第2上側水平面814と耐火芯材7Bの下面75、耐火芯材8Aの上面82と上フレーム3の下面33から断面視上向き凸状に形成されているので、耐火芯材8Aと耐火芯材7A、7B、上フレーム3との当接面ないし継ぎ目を通る熱伝達経路を長くして熱伝達を抑制している。
【0076】
第1表面材20の上辺201と耐火芯材7Aの上面74は当接しており、第2表面材21の上辺211と耐火芯材7Bの上面74は当接している。耐火芯材7Aの上面74、耐火芯材7Bの上面74の高さ位置は、上フレーム3の上面部32の外面よりも僅かに上方に位置しており、第1表面材20の上辺201及び第2表面材21の上辺211と上フレーム3の上面部32との間には熱膨張耐火部材14が設けられており、第1表面材20の上辺201及び第2表面材21の上辺211と上フレーム3の上面部32が直接接触しないようになっている。第1表面材20の上辺201は、石膏9が充填された上フレーム3の上面部32に螺子15によって固定されている。螺子15は熱膨張耐火部材14を貫通し、螺子15の軸部は石膏9にねじ込まれている。第2表面材21の上辺211は、石膏9が充填された上フレーム3の上面部32に螺子15によって固定されている。螺子15は熱膨張耐火部材14を貫通し、螺子15の軸部は石膏9にねじ込まれている。螺子15の軸部は石膏9に支持されているので、石膏9の吸熱効果により金属製の螺子15を介する熱伝達を抑制する。第1表面材20の上辺201の端縁と第2表面材21の上辺211の端縁は離間しており、熱膨張耐火部材14の部分が露出している。
【0077】
扉体2の全閉姿勢時には、扉体2の上面が上枠10の第1下面102に隙間Gを存して対向しており、火災時の熱で熱膨張耐火部材14が発泡膨張することで、扉体2の上面と上枠10の第1下面102との隙間Gおよび/あるいは第1表面材20の上辺201、第2表面材21の上辺211と上フレーム3の上面部32との間に生じ得る隙間を開口幅方向に亘って塞ぐようになっている。
【0078】
図8A(A)に示すように、耐火芯材8Bの上面82´は、上フレーム3の下面33の戸先側部位に当接しており、第1見付面80´の上方部位が耐火芯材7Aの第2見付面71の下方部位に当接しており、第2見付面81´の上方部位が耐火芯材7Bの第2見付面71の下方部位に当接しており、第1見付面80´の下方部位が耐火芯材7Eの第2見付面71に当接しており、第2見付面81´の下方部位が耐火芯材7Fの第2見付面71に当接している。
【0079】
耐火芯材7Aの第2見付面71の戸先側部位において、上側部位は上フレーム3の第1見付面部30の外面の戸先側部位に当接しており、下側部位は戸先側縦フレーム5の第1見付面部50の外面の上方部位に当接しており、耐火芯材7Aの第2見付面71の戸尻側部位において、上側部位は上フレーム3の第1見付面部30の外面の戸尻側部位に当接しており、下側部位は戸尻側縦フレーム6の第1見付面部60の外面の上方部位に当接している(図8参照)。同様に、耐火芯材7Bの第2見付面71の戸先側部位において、上側部位は上フレーム3の第2見付面部31の外面の戸先側部位に当接しており、下側部位は戸先側縦フレーム5の第2見付面部51の外面の上方部位に当接しており、耐火芯材7Bの第2見付面71の戸尻側部位において、上側部位は上フレーム3の第2見付面部31の外面の戸尻側部位に当接しており、下側部位は戸尻側縦フレーム6の第2見付面部61の外面の上方部位に当接している。
【0080】
[E-2]ドア装置の下方部位の構成
図5に示すように、扉体2の下方部位において、第1表面材20の第1見付面200の下方部位と下フレーム4の第1見付面部40との間に位置して耐火芯材7Cが設けてあり、第2表面材21の第2見付面210の下方部位と下フレーム4の第2見付面部41との間に位置して耐火芯材7Dが設けてある。第1表面材20と下フレーム4、第2表面材21と下フレーム4の間に耐火芯材7C、7Dをそれぞれ挟むことで、第1表面材20、第2表面材21と下フレーム4との直接の接触を規制し、第1表面材20から下フレーム4へ、あるいは、第2表面材21から下フレーム4へ熱が直接伝達することを防止している。
【0081】
耐火芯材7Cの第1見付面70と第1表面材20の第1見付面200の内面が当接しており、第2見付面71の下方部位が下フレーム4の第1見付面部40の外面に当接している。耐火芯材7Cの高さ寸法は、下フレーム4の高さ寸法よりも大きく、耐火芯材7Cの上方部位は、下フレーム4の上面43を越えて上方に延びており、第1表面材20の第1見付面200と下フレーム4の第1見付面部40と間の熱伝達経路(耐火芯材7Cと耐火芯材8Aの当接面ないし継ぎ目を通る熱伝達経路)を長くして熱伝達を抑制している。
【0082】
耐火芯材7Dの第1見付面70と第2表面材21の第2見付面210の内面が当接しており、第2見付面71の下方部位が下フレーム4の第2見付面部41の外面に当接している。耐火芯材7Dの高さ寸法は、下フレーム4の高さ寸法よりも大きく、耐火芯材7Dの上方部位は、下フレーム4の上面43を越えて上方に延びており、第2表面材21の第2見付面210と下フレーム4の第2見付面部41と間の熱伝達経路(耐火芯材7Dと耐火芯材8Aの当接面ないし継ぎ目を通る熱伝達経路)を長くして熱伝達を抑制している。
【0083】
耐火芯材8Aの下側の周縁部の下面83は、下フレーム4の上面43に当接しており、第1下側見付面801は、耐火芯材7Cの第2見付面71の上方部位に当接しており、第2下側見付面811は、耐火芯材7Dの第2見付面71の上方部位に当接しており、第1下側水平面805は、耐火芯材7Aの上面75に当接しており、第2下側水平面815は、耐火芯材7Bの上面75に当接しており、第1見付面80は、第1表面材20の第1見付面200に当接しており、第2見付面81は、第2表面材21の第2見付面210に当接している。
【0084】
耐火芯材8Aと耐火芯材7C、7D、下フレーム4との当接面ないし継ぎ目は、耐火芯材8Aの下面83と下フレーム4の上面43、耐火芯材8Aの第1下側見付面801と耐火芯材7Cの第2見付面71の上方部位、耐火芯材8Aの第2下側見付面811と耐火芯材7Dの第2見付面71の上方部位、耐火芯材8Aの第1下側水平面805と耐火芯材7Cの上面75、耐火芯材8Aの第2下側水平面815と耐火芯材7Dの上面75、耐火芯材8Aの下面83と下フレーム4の上面43から断面視下向き凸状に形成されているので、耐火芯材8Aと耐火芯材7C、7D、下フレーム4との当接面ないし継ぎ目を通る熱伝達経路を長くして熱伝達を抑制している。
【0085】
第1表面材20の下辺202と耐火芯材7Cの下面74は当接しており、第2表面材21の下辺212と耐火芯材7Dの下面74は当接している。耐火芯材7Cの下面74、耐火芯材7Dの下面74の高さ位置は、下フレーム4の下面部42の外面よりも僅かに下方に位置しており、第1表面材20の下辺202及び第2表面材21の下辺212と下フレーム4の下面部42との間には熱膨張耐火部材14が設けられており、第1表面材20の下辺202及び第2表面材21の下辺212と下フレーム4の下面部42が直接接触しないようになっている。第1表面材20の下辺202は、石膏9が充填された下フレーム4の下面部42に螺子15によって固定されている。螺子15は熱膨張耐火部材14を貫通し、螺子15の軸部は石膏9にねじ込まれている。第2表面材21の下辺212は、石膏9が充填された下フレーム4の下面部42に螺子15によって固定されている。螺子15は熱膨張耐火部材14を貫通し、螺子15の軸部は石膏9にねじ込まれている。螺子15の軸部は石膏9に支持されているので、石膏9の吸熱効果により金属製の螺子15を介する熱伝達を抑制する。第1表面材20の下辺202の端縁と第2表面材21の下辺212の端縁は離間しており、熱膨張耐火部材14の部分が露出している。
【0086】
扉体2の全閉姿勢時には、扉体2の下面が下枠11の上面112に隙間Gを存して対向しており、火災時の熱で熱膨張耐火部材14が発泡膨張することで、扉体2の下面と下枠11の上面112との隙間Gおよび/あるいは第1表面材20の下辺202、第2表面材21の下辺212と下フレーム4の下面部42との間に生じ得る隙間を開口幅方向に亘って塞ぐようになっている。
【0087】
図8A(A)に示すように、耐火芯材8Eの下面83´は、下フレーム4の上面43の戸先側部位に当接しており、第1見付面80´の下方部位が耐火芯材7Cの第2見付面71の上方部位に当接しており、第2見付面81´の下方部位が耐火芯材7Dの第2見付面71の上方部位に当接しており、第1見付面80´の上方部位が耐火芯材7Eの第2見付面71に当接しており、第2見付面81´の上方部位が耐火芯材7Fの第2見付面71に当接している。
【0088】
耐火芯材7Cの第2見付面71の戸先側部位において、下側部位は下フレーム4の第1見付面部40の外面の戸先側部位に当接しており、上側部位は戸先側縦フレーム5の第1見付面部50の外面の下方部位に当接しており、耐火芯材7Cの第2見付面71の戸尻側部位において、下側部位は下フレーム4の第1見付面部40の外面の戸尻側部位に当接しており、上側部位は戸尻側縦フレーム6の第1見付面部60の外面の下方部位に当接している(図8参照)。同様に、耐火芯材7Dの第2見付面71の戸先側部位において、下側部位は下フレーム4の第2見付面部41の外面の戸先側部位に当接しており、上側部位は戸先側縦フレーム5の第2見付面部51の外面の下方部位に当接しており、耐火芯材7Cの第2見付面71の戸尻側部位において、下側部位は下フレーム4の第2見付面部41の外面の戸尻側部位に当接しており、上側部位は戸尻側縦フレーム6の第2見付面部61の外面の下方部位に当接している。
【0089】
[E-3]ドア装置の戸先側部位の構成
図6に示すように、扉体2の戸先側部位において、第1表面材20の第1見付面200の戸先側部位と戸先側縦フレーム5の第1見付面部50の外面との間に位置して耐火芯材7Eが設けてあり、第2表面材21の第2見付面210の戸先側部位と戸先側縦フレーム5の第2見付面部51の外面との間に位置して耐火芯材7Fが設けてある。第1表面材20と戸先側縦フレーム5、第2表面材21と戸先側縦フレーム5の間に耐火芯材7E、7Fをそれぞれ挟むことで、第1表面材20、第2表面材21と戸先側縦フレーム5との直接の接触を規制し、第1表面材20から戸先側縦フレーム5へ、あるいは、第2表面材21から戸先側縦フレーム5へ熱が直接伝達することを防止している。
【0090】
耐火芯材7Eの第1見付面70と第1表面材20の第1見付面200の内面が当接しており、第2見付面71の戸先側部位が戸先側縦フレーム5の第1見付面部50の外面に当接している。耐火芯材7Eの見付寸法は、戸先側縦フレーム5の見付寸法よりも大きく、耐火芯材7Eの戸尻側部位は、戸先側縦フレーム5の戸尻側見込面53を越えて戸尻側に延びており、第1表面材20の第1見付面200と戸先側縦フレーム5の第1見付面部50と間の熱伝達経路(耐火芯材7Eと耐火芯材8A、8B~8Eの当接面ないし継ぎ目を通る熱伝達経路)を長くして熱伝達を抑制している。
【0091】
さらに、耐火芯材7Eの見付寸法は、扉体2の戸先側部位に内蔵される錠前(第1錠24、第2錠25、第3錠)の見付寸法よりも大きく、耐火芯材7Eの戸尻側部位は、錠ケース240、250、260の戸尻側端面2400、2500、2600、及び、耐火芯材8B~8Eと耐火芯材8Aの当接面ないし継ぎ目及び空間S、を越えて戸尻側に延びており、第1表面材20の第1見付面200と錠前(第1錠24、第2錠25、第3錠)と間の熱伝達経路(耐火芯材7Eと耐火芯材8Aの当接面ないし継ぎ目を通る熱伝達経路)を長くして熱伝達を抑制している。
【0092】
耐火芯材7Fの第1見付面70と第2表面材21の第2見付面210の内面が当接しており、第2見付面71の戸先側部位が戸先側縦フレーム5の第2見付面部51の外面に当接している。耐火芯材7Fの見付寸法は、戸先側縦フレーム5の見付寸法よりも大きく、耐火芯材7Fの戸尻側部位は、戸先側縦フレーム5の戸尻側見込面53を越えて戸尻側に延びており、第2表面材21の第2見付面210と戸先側縦フレーム5の第2見付面部51と間の熱伝達経路(耐火芯材7Fと耐火芯材8A、8B~8Eの当接面ないし継ぎ目を通る熱伝達経路)を長くして熱伝達を抑制している。
【0093】
さらに、耐火芯材7Fの見付寸法は、扉体2の戸先側部位に内蔵される錠前(第1錠24、第2錠25、第3錠)の見付寸法よりも大きく、耐火芯材7Fの戸尻側部位は、錠ケース240、250、260の戸尻側端面2400、2500、2600、及び、耐火芯材8B~8Eと耐火芯材8Aの当接面ないし継ぎ目及び空間S、を越えて戸尻側に延びており、第2表面材21の第2見付面210と錠前(第1錠24、第2錠25、第3錠)と間の熱伝達経路(耐火芯材7Fと耐火芯材8Aの当接面ないし継ぎ目を通る熱伝達経路)を長くして熱伝達を抑制している。
【0094】
耐火芯材8Aの戸先側周縁部と耐火芯材8B~8Eが一体となって、第1耐火芯材8の戸先側周縁部を形成している。すなわち、第1耐火芯材8全体として見た時に、耐火芯材8Aの上側周縁部、下側周縁部、戸尻側周縁部が、それぞれ第1耐火芯材8の上側周縁部、下側周縁部、戸尻側周縁部であるが、第1耐火芯材8の戸先側周縁部は、耐火芯材8Aの戸先側周縁部と耐火芯材8B~8Eから形成されている。第1耐火芯材8の戸先側周縁部は、四周状のフレームの戸先側部位(戸先側縦フレーム5と、上フレーム3及び下フレーム4の戸先側部位)と、第2耐火芯材7E、7F、7A、7B、7C、7Dから形成された凹状部内において、耐火芯材8Aの戸先側周縁部と耐火芯材8B~8Eに分割されている。耐火芯材8B~8Eの戸先側見込面87は、戸先側縦フレーム5の戸尻側見込面53に当接している。耐火芯材8Aの第1戸先側見付面802と耐火芯材8B~8Eの第1見付面80´は、一体で第1耐火芯材8の第1戸先側見付面を形成しており、前記第1戸先側見付面は、耐火芯材7Eの第2見付面71に当接している。耐火芯材8Aの第2戸先側見付面812と耐火芯材8B~8Eの第2見付面81´は、一体で第1耐火芯材8の第2戸先側見付面を形成しており、前記第2戸先側見付面は、耐火芯材7Fの第2見付面71に当接している。耐火芯材8Aの第1戸先側垂直面806は、耐火芯材7Gの見込面75に当接しており、第2戸先側垂直面816は、耐火芯材7Fの見込面75に当接しており、第1見付面80は、第1表面材20の第1見付面200に当接しており、第2見付面81は、第2表面材21の第2見付面210に当接している。
【0095】
耐火芯材8Aと耐火芯材7E、7F、耐火芯材8B~8Eとの当接面ないし継ぎ目は、耐火芯材8Aの第1戸先側見付面802と耐火芯材7Eの第2見付面71の戸尻側部位、耐火芯材8Aの第2戸先側見付面812と耐火芯材7Fの第2見付面71の戸尻側部位、耐火芯材8Aの第1戸先側垂直面806と耐火芯材7Eの見込面75、耐火芯材8Aの第2戸先側垂直面816と耐火芯材7Fの見込面75、耐火芯材8Aの戸先側見込面84と耐火芯材8B~8Eの戸尻側見込面88から断面視横向き略凸状に形成されていると共に、さらに、耐火芯材8Aの戸先側見込面84と耐火芯材8B~8Eの戸尻側見込面88は、第1面840、第2面841、第3面842と、第1面880、第2面881、第3面882によって空間Sを形成して当接しているので、耐火芯材8Aと耐火芯材7E、7F、耐火芯材8B~8Eとの当接面ないし継ぎ目を通る熱伝達経路を長くして熱伝達を抑制している。
【0096】
図8Aに示すように、本実施形態では、第1耐火芯材8の戸先側周縁部は、第2錠25の上側に隣接する第1戸先側周縁部(耐火芯材8Aの戸先側周縁部+耐火芯材8B)と、第2錠25の下側に隣接し、第1錠24の上側に隣接する第2戸先側周縁部(耐火芯材8Aの戸先側周縁部+耐火芯材8C)と、第1錠24の下側に隣接し、第3錠26の上側に隣接する第3戸先側周縁部(耐火芯材8Aの戸先側周縁部+耐火芯材8D)と、第3錠26の下側に隣接する第4戸先側周縁部(耐火芯材8Aの戸先側周縁部+耐火芯材8E)を含んでいる。第1錠24については、第2戸先側周縁部が上側戸先側周縁部、第3戸先側周縁部が下側戸先側周縁部であり、第2錠25については、第1戸先側周縁部が上側戸先側周縁部、第2戸先側周縁部が下側戸先側周縁部であり、第3錠26については、第3戸先側周縁部が上側戸先側周縁部、第4戸先側周縁部が下側戸先側周縁部である。図8Aに示すように、第1錠24は、耐火芯材7Eの第2見付面71、耐火芯材7Fの第2見付面71、耐火芯材8Cの下面83´、耐火芯材8Dの上面82´、耐火芯材8Aの中間見込面843によって囲まれている。第2錠25は、耐火芯材7Eの第2見付面71、耐火芯材7Fの第2見付面71、耐火芯材8Bの下面83´、耐火芯材8Cの上面82´耐火芯材8Aの中間見込面843によって囲まれている。第3錠26は、耐火芯材7Eの第2見付面71、耐火芯材7Fの第2見付面71、耐火芯材8Dの下面83´、耐火芯材8Eの上面82´、耐火芯材8Aの中間見込面843によって囲まれている。また、第1錠24と第2錠25との間、第1錠24と第3錠26との間で延びるロッド27は、耐火芯材8Aと耐火芯材8C、8Dで囲まれた空間S内に位置している。このように構成したことで、加熱面からの熱による第1錠24、第2錠25、第3錠26、ロッド27の温度上昇が抑制され、第1錠24、第2錠25、第3錠26、ロッド27を介しての非加熱面側への熱伝達が抑制されている。
【0097】
第1表面材20の第1側辺203と耐火芯材7Eの見込面74は当接しており、第2表面材21の側辺213と耐火芯材7Fの見込面74は当接している。耐火芯材7Eの見込面74、耐火芯材7Fの見込面74の位置は、戸先側縦フレーム5の見込面部52の外面よりも僅かに戸先側に位置しており、第1表面材20の第1側辺203及び第2表面材21の第1側辺213と戸先側縦フレーム5の見込面部52との間には熱膨張耐火部材14が設けられており、第1表面材20の第1側辺203及び第2表面材21の第1側辺213と戸先側縦フレーム5の見込面部52が直接接触しないようになっている。第1表面材20の第1側辺203は、石膏9が充填された戸先側縦フレーム5の見込面部52に螺子15によって固定されている。螺子15は熱膨張耐火部材14を貫通し、螺子15の軸部は石膏9にねじ込まれている。第2表面材21の第1側辺213は、石膏9が充填された戸先側縦フレーム5の見込面部52に螺子15によって固定されている。螺子15は熱膨張耐火部材14を貫通し、螺子15の軸部は石膏9にねじ込まれている。螺子15の軸部は石膏9に支持されているので、石膏9の吸熱効果により金属製の螺子15を介する熱伝達を抑制する。第1表面材20の第1側辺203の端縁と第2表面材21の第1側辺213の端縁は離間しており、熱膨張耐火部材14の部分が露出している。
【0098】
扉体2の全閉姿勢時には、扉体2の戸先側見込面が戸先側縦枠12の第1見込面122に隙間Gを存して対向しており、火災時の熱で熱膨張耐火部材14が発泡膨張することで、扉体2の戸先側見込面と戸先側縦枠12の第1見込面122との隙間Gおよび/あるいは第1表面材20の第1側辺203、第2表面材21の第1側辺213と戸先側縦フレーム5の見込面部52との間に生じ得る隙間を開口高方向に亘って塞ぐようになっている。
【0099】
[E-4]ドア装置の戸尻側部位の構成
図7に示すように、扉体2の戸尻側部位において、第1表面材20の第1見付面200の戸尻側部位と戸尻側縦フレーム6の第1見付面部60との間に位置して耐火芯材7Gが設けてあり、第2表面材21の第2見付面210の戸尻側部位と戸尻側縦フレーム6の第2見付面部61との間に位置して耐火芯材7Hが設けてある。第1表面材20と戸尻側縦フレーム6、第2表面材21と戸尻側縦フレーム6の間に耐火芯材7G、7Hをそれぞれ挟むことで、第1表面材20、第2表面材21と戸尻側縦フレーム6との直接の接触を規制し、第1表面材20から戸尻側縦フレーム6へ、あるいは、第2表面材21から戸尻側縦フレーム6へ熱が直接伝達することを防止している。
【0100】
耐火芯材7Gの第1見付面70と第1表面材20の第1見付面200の内面が当接しており、第2見付面71の戸尻側部位が戸尻側縦フレーム6の第1見付面部60の外面に当接している。耐火芯材7Gの見付寸法は、戸尻側縦フレーム6の見付寸法よりも大きく、耐火芯材7Gの戸先側部位は、戸尻側縦フレーム6の戸先側見込面63を越えて戸先側に延びており、第1表面材20の第1見付面200と戸尻側縦フレーム6の第1見付面部60と間の熱伝達経路(耐火芯材7Gと耐火芯材8Aの当接面ないし継ぎ目を通る熱伝達経路)を長くして熱伝達を抑制している。
【0101】
耐火芯材7Hの第1見付面70と第2表面材21の第2見付面210の内面が当接しており、第2見付面71の戸尻側部位が戸尻側縦フレーム6の第2見付面部61の外面に当接している。耐火芯材7Hの見付寸法は、戸尻側縦フレーム6の見付寸法よりも大きく、耐火芯材7Hの戸先側部位は、戸尻側縦フレーム6の戸先側見込面63を越えて戸先側に延びており、第2表面材21の第2見付面210と戸尻側縦フレーム6の第2見付面部61と間の熱伝達経路(耐火芯材7Hと耐火芯材8Aの当接面ないし継ぎ目を通る熱伝達経路)を長くして熱伝達を抑制している。
【0102】
耐火芯材8Aの戸尻側の周縁部の見込面85は、戸尻側縦フレーム6の戸先側見込面63に当接しており、第1戸尻側見付面803は、耐火芯材7Gの第2見付面71の戸先側部位に当接しており、第2戸尻側見付面813は、耐火芯材7Hの第2見付面71の戸先側部位に当接しており、第1戸尻側垂直面807は、耐火芯材7Gの見込面75に当接しており、第2戸尻側垂直面817は、耐火芯材7Hの見込面75に当接しており、第1見付面80は、第1表面材20の第1見付面200に当接しており、第2見付面81は、第2表面材21の第2見付面210に当接している。
【0103】
耐火芯材8Aと耐火芯材7G、7H、戸尻側縦フレーム6との当接面ないし継ぎ目は、耐火芯材8Aの第1戸尻側見付面803と耐火芯材7Gの第2見付面71の戸先側部位、耐火芯材8Aの第2戸尻側見付面813と耐火芯材7Hの第2見付面71の戸先側部位、
耐火芯材8Aの第1戸尻側垂直面807と耐火芯材7Gの見込面75、耐火芯材8Aの第2戸尻側垂直面817と耐火芯材7Hの見込面75、耐火芯材8Aの見込面85と戸尻側縦フレーム6の戸先側見込面63から断面視横向き凸状に形成されているので、耐火芯材8Aと耐火芯材7G、7H、戸尻側縦フレーム6との当接面ないし継ぎ目を通る熱伝達経路を長くして熱伝達を抑制している。
【0104】
第1表面材20の第2側辺204と耐火芯材7Gの見込面74は当接しており、第2表面材21の第2側辺214と耐火芯材7Hの見込面74は当接している。耐火芯材7Gの見込面74、耐火芯材7Hの見込面74の位置は、戸尻側縦フレーム6の見込面部62の外面よりも僅かに戸尻側に位置しており、第1表面材20の第2側辺204及び第2表面材21の第2側辺214と戸尻側縦フレーム6の見込面部62との間には熱膨張耐火部材14が設けられており、第1表面材20の第2側辺204及び第2表面材21の第2側辺214と戸尻側縦フレーム6の見込面部62が直接接触しないようになっている。第1表面材20の第2側辺204は、石膏9が充填された戸尻側縦フレーム6の見込面部62に螺子15によって固定されている。螺子15は熱膨張耐火部材14を貫通し、螺子15の軸部は石膏9にねじ込まれている。第2表面材21の第2側辺214は、石膏9が充填された戸尻側縦フレーム6の見込面部62に螺子15によって固定されている。螺子15は熱膨張耐火部材14を貫通し、螺子15の軸部は石膏9にねじ込まれている。螺子15の軸部は石膏9に支持されているので、石膏9の吸熱効果により金属製の螺子15を介する熱伝達を抑制する。第1表面材20の第2側辺204の端縁と第2表面材21の第2側辺214の端縁は離間しており、熱膨張耐火部材14の部分が露出している。
【0105】
扉体2の全閉姿勢時には、扉体2の戸尻側見込面が戸尻側縦枠13の第1見込面132に隙間Gを存して対向しており、火災時の熱で熱膨張耐火部材14が発泡膨張することで、扉体2の戸尻側見込面と戸尻側縦枠13の第1見込面132との隙間Gおよび/あるいは第1表面材20の第2側辺204、第2表面材21の第2側辺214と戸尻側縦フレーム6の見込面部62との間に生じ得る隙間を開口高方向に亘って塞ぐようになっている。
【0106】
[F]他の実施形態
図13図16に、扉体2の他の実施形態を示す。既述の第1実施形態と共通の要素については同一の参照番号が付してあり、共通の要素についての説明には、既述の実施形態に係る記載を適宜援用することができる。また、遮熱性の扉体2としての基本的な構成は全ての実施形態を通して共通しているので、図13図16に図示されていない事項であっても、第1実施形態に係る記載を適宜参照することができる。
【0107】
[F-1]扉体の第2実施形態
図13に示す第2実施形態では、第1耐火芯材8を1部材(第1耐火芯材8´)から一体形成している。より具体的には、第1耐火芯材8´は、第1実施形態の耐火芯材8Aの戸先側の周縁部と耐火芯材8B~8Eが一体化されたものであり、戸先側周縁部の所定位置を高さ方向に穿孔することで、ロッド27を受け入れる空間Sが形成されている。第2実施形態では、第1耐火芯材8を分割するものに比べて、耐火芯材の欠損が少なく、また、第1耐火芯材8´には継ぎ目が無いので遮熱性が良好である。
【0108】
[F-2]扉体の第3実施形態
図14に示す第3実施形態の基本的な構成は、第1実施形態と同様であり、第1実施形態の説明を援用することができる。第3実施形態が第1実施形態と異なる点は、第1耐火芯材8を構成する耐火芯材8A´の戸先側見込面と、耐火芯材8B´~8E´の戸尻側見込面の当接面ないし継ぎ目の形状にある。第3実施形態では、当接面のあいじゃくりの幅を大きくすることで、当接面の遮熱性を向上させている。
【0109】
[F-3]扉体の第4実施形態
図15に示す第4実施形態の特徴は、第1表面材20、第2表面材21と、四周状のフレームとの間に位置して設けた第2耐火芯材7I、7Jを、扉体2の見付面全体に亘って配置した点にある。第4実施形態では、第2耐火芯材7I、7Jと第1耐火芯材8´´との間の目地(扉体2の厚さ方向に延びる当接面ないし継ぎ目)が無いので、遮熱性が向上する。第2実施形態と同様に、第1耐火芯材8´´の戸先側部位の所定位置を高さ方向に穿孔することで、ロッド27を受け入れる空間Sが形成されている。
【0110】
[F-4]扉体の第5実施形態
図16に示す第5実施形態の特徴は、第4実施形態と同様に、第1表面材20、第2表面材21と、四周状のフレームとの間に位置して設けた第2耐火芯材7I、7Jを、扉体2の見付面全体に亘って配置した点にある。第5実施形態では、第2耐火芯材7I、7Jと第1耐火芯材8´´との間の目地(扉体2の厚さ方向に延びる当接面ないし継ぎ目)が無いので、遮熱性が向上する。第5実施形態が第4実施形態と異なる点は、第4実施形態の第1耐火芯材8´´を第1耐火芯材8F、8Gに厚さ方向に2分割し、第1耐火芯材8F、8Gの対向する面にそれぞれ形成した高さ方向に延びる凹部を組み合わせることで当接面ないし継ぎ目にロッド27を受け入れる空間Sが形成されている。すなわち、第1耐火芯材8´´は、空間Sに位置して当該空間Sの高さ方向に沿って分割された第1要素(耐火芯材8F)と第2要素(耐火芯材8G)とからなり、第1要素(耐火芯材8F)は、第1当接面と高さ方向に延びる第1部位(凹状部)を備え、第2要素(耐火芯材8G)は、第2当接面と高さ方向に延びる第2部位(凹状部)を備え、空間Sは、第1要素の前記第1当接面と第2要素の前記第2当接面が当接した状態において、前記第1部位(凹状部)と前記第2部位(凹状部)とから形成される。
【0111】
[G]ドア装置の製造法
[G-1]ドア枠の製造法
上枠10、下枠11、戸先側縦枠12、戸尻側縦枠13を四周状に組み立ててドア枠1を得る。上枠10、下枠11、戸先側縦枠12、戸尻側縦枠13の接続手段としては溶接が例示される。ドア枠1の上枠10、下枠11、戸先側縦枠12、戸尻側縦枠13から1つの枠を選択して、石膏9を流し込み当該枠内で固化させ、次いで残りの3つの枠から1つの枠を選択して、石膏9を流し込み当該枠内で固化させ、次いで残りの2つの枠から1つの枠を選択して、石膏9を流し込み当該枠内で固化させ、最後の1つの枠に石膏9を流し込み当該枠内で固化させることで、石膏9が充填されたドア枠1を製作し、開口部に設置する。
【0112】
[G-2]扉体の製造方法
扉体2の製造方法について、第1実施形態に基づいて説明する。第1表面材20、第2表面材21、上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6、耐火芯材7A~7H、耐火芯材8A~8E、第1錠24、第2錠25、第3錠26及びロッド27からなる錠装置、熱膨張耐火部材14、螺子15を用意する。上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6の内部空間に石膏9を流し込んで固化させ、内部空間に石膏9が充填された上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6を得る。熱膨張耐火部材14は所定幅で接着層を備えたテープ状の長尺部材であり、扉体2の組立てに先立って、上フレーム3の上面部32の外面、下フレーム4の下面部42の外面、戸先側縦フレーム5の見込面部52の外面、戸尻側縦フレーム6の見込面部62の外面に貼り付けられる。なお、以下に述べる工程において、第1表面材20、第2表面材21の裏面と、耐火芯材7A~7H、耐火芯材8Aが当接する面同士を接着剤等で密着させてもよい。
【0113】
(1)第1表面材20の主面部200を床面等の平らな面に載置する。この時、第1表面材20の主面部200の裏面が上方に向き、上辺201、下辺202、第1側辺203、第2側辺204が垂直状に立ち上がっている。
【0114】
(2)第1表面材20の主面部200の裏面の周囲に耐火芯材7A、7C、7E、7Gを四周状に載置する。この時、各耐火芯材7A、7C、7E、7Gの第1見付面70が主面部200の裏面に当接し、第3端面74がそれぞれ上辺201、下辺202、第1側辺203、第2側辺204の内面に当接し、耐火芯材7A、7Cの第1端面72、第2端面73がそれぞれ第1側辺203、第2側辺204の内面に当接し、耐火芯材7E、7Gの第1端面72、第2端面73がそれぞれ耐火芯材7A、7Cの第4端面(下面75、上面75)に当接する。
【0115】
(3)第1表面材20の主面部200及び耐火芯材7A、7C、7E、7Gに対して、上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6を載置する。第1表面材20の上辺201に沿って、耐火芯材7A上に上フレーム3を載置し、下辺202に沿って、耐火芯材7C上に下フレーム4を載置し、第1側辺203に沿って、耐火芯材7E上に戸先側縦フレーム5を載置し、第2側辺204に沿って、耐火芯材7G上に戸尻側フレーム6を載置する。上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6を載置する順番は問わない。上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6からなる四周状のフレームにおいて、第1見付面部30、40、50、60の外面は、それぞれ、耐火芯材7A、7C、7E、7Gの第2見付面71に当接している。上フレーム3の上面部32、下フレーム4の下面部42、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6の見込面部52、62の外面と、第1表面材20の上辺201、下辺202、第1側辺203、第2側辺204の内面との間には、それぞれ熱膨張耐火部材14の幅方向半部が挟持された状態となっている。
【0116】
(4)第1表面材20の上辺201と上フレーム3の上面部32間に熱膨張耐火部材14を挟んだ状態で、螺子15を用いて上辺201を上面部32に固定する。螺子15の軸部は上面部32を貫通して、上フレーム3に充填された石膏9にねじ込まれる。第1表面材20の下辺202と下フレーム4の下面部42間に熱膨張耐火部材14を挟んだ状態で、螺子15を用いて下辺202を下面部42に固定する。螺子15の軸部は下面部42を貫通して、下フレーム4に充填された石膏9にねじ込まれる。第1表面材20の第1側辺203と戸先側縦フレーム5の見込面部52間に熱膨張耐火部材14を挟んだ状態で、螺子15を用いて第1側辺203を見込面部52に固定する。螺子15の軸部は見込面部52を貫通して、戸先側縦フレーム5に充填された石膏9にねじ込まれる。第1表面材20の第2側辺204と戸尻側縦フレーム6の見込面部62間に熱膨張耐火部材14を挟んだ状態で、螺子15を用いて第2側辺204を見込面部62に固定する。螺子15の軸部は見込面部62を貫通して、戸尻側縦フレーム6に充填された石膏9にねじ込まれる。
【0117】
(5)上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6からなる四周状のフレームで囲まれた空間内において、第1表面材20の主面部200、耐火芯材7A、7C、7E、7G、に対して、耐火芯材8Aを重ねる。耐火芯材8Aの第1見付面80の形状及び寸法は、第1表面材20の主面部200の裏面上に四周状に載置された耐火芯材7A、7C、7E、7Gの第4端面75によって囲まれた方形領域(第1表面材20の主面部200の裏面が露出している)と実質的に同じであり、耐火芯材8Aの第1見付面80は第1表面材20の主面部200の裏面に当接する。耐火芯材8Aの第1上側見付面800、第1下側見付面801、第1戸先側見付面802、第1戸尻側見付面803はそれぞれ、耐火芯材7A、7C、7E、7Gの第2見付面71に当接し、第1上側水平面804、第1下側水平面805、第1戸先側垂直面806、第1戸尻側垂直面807は、それぞれ、耐火芯材7A、7C、7E、7Gの第4端面75に当接している。なお、上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6、耐火芯材8Aを載置する順序は限定されず、耐火芯材8Aを載置した後に上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6を載置してもよい。
【0118】
(6)戸先側縦フレーム5の所定位置に第1錠24、第2錠25、第3錠26を設け、第1錠24と第2錠25の間、第1錠24と第3錠26の間にロッド27をセットする。ロッド27は、耐火芯材8Aの第3面842上に位置している。
【0119】
(7)耐火芯材8Aの戸先側部位及び耐火芯材7Eの第2見付面71上の所定位置に、耐火芯材8B~8Eを重ねる。この時、各耐火芯材8B~8Eの第1見付面80´が耐火芯材7Eの第2見付面71に当接しており、各耐火芯材8B~8Eの第1面880の一部が耐火芯材8Aの第1面840に当接し、各耐火芯材8B~8Eの第2面881が耐火芯材8Aの第2面841の一部に当接する。耐火芯材8C、8Dの第3面882がロッド27を覆うように載置される。上フレーム3の下面33、下フレーム4の上面43、戸先側縦フレーム5の戸尻側見込面53、戸尻側縦フレーム6の戸先側見込面63は、それぞれ、耐火芯材8A、8Bの上面82、82´、耐火芯材8A、8Eの下面83、83´、耐火芯材8B~8Eの戸先側見込面87、耐火芯材8Aの戸尻側見込面85と当接している。
【0120】
(8)第1表面材20に耐火芯材7A、7C、7E、7G、耐火芯材8A~8E、上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6を重ねるように載置した状態において、四周状のフレーム上に耐火芯材7B、7D、7F、7Hを四周状に載置する。上フレーム3の第2見付面部31の外面及び耐火芯材8Aの第2上側見付面810、下フレーム4の第2見付面部41の外面及び耐火芯材8Aの第2下側見付面811、戸先側縦フレーム5の第2見付面部51の外面、耐火芯材8Aの第2戸先側見付面812及び耐火芯材8B~8Eの第2見付面81´、戸尻側縦フレーム6の第2見付面部61の外面及び耐火芯材8Aの第2戸尻側見付面813には、耐火芯材7B、7D、7F、7Hの第2見付面71がそれぞれ当接する。耐火芯材7B、7D、7F、7Hの第4端面75は、それぞれ、耐火芯材8Aの第2上側水平面814、第2下側水平面815、第2戸先側垂直面816、第2戸尻側垂直面817に当接している。
【0121】
(9)第2表面材21を被せる。第2表面材21の主面部210の裏面が、耐火芯材7B、7D、7F、7Hの第1見付面70に当接し、上辺211、下辺212、第1側辺213、第2側辺214の内面が耐火芯材7B、7D、7F、7Hの第3端面74に当接する。上フレーム3の上面部32、下フレーム4の下面部42、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6の見込面部52、62の外面と、第2表面材21の上辺211、下辺212、第1側辺213、第2側辺214の内面と、の隙間に熱膨張耐火部材14の残りの幅方向半部が挟まれた状態となる。
【0122】
(10)第2表面材21の上辺211と上フレーム3の上面部32間に熱膨張耐火部材14を挟んだ状態で、螺子15を用いて上辺211を上面部32に固定する。螺子15の軸部は上面部32を貫通して、上フレーム3に充填された石膏9にねじ込まれる。第2表面材21の下辺212と下フレーム4の下面部42間に熱膨張耐火部材14を挟んだ状態で、螺子15を用いて下辺212を下面部42に固定する。螺子15の軸部は下面部42を貫通して、下フレーム4に充填された石膏9にねじ込まれる。第2表面材21の第1側辺213と戸先側縦フレーム5の見込面部52間に熱膨張耐火部材14を挟んだ状態で、螺子15を用いて第1側辺213を見込面部52に固定する。螺子15の軸部は見込面部52を貫通して、戸先側縦フレーム5に充填された石膏9にねじ込まれる。第2表面材21の第2側辺214と戸尻側縦フレーム6の見込面部62間に熱膨張耐火部材14を挟んだ状態で、螺子15を用いて第2側辺214を見込面部62に固定する。螺子15の軸部は見込面部62を貫通して、戸尻側縦フレーム6に充填された石膏9にねじ込まれる。
【符号の説明】
【0123】
1 ドア枠
2 扉体
20 第1表面材
21 第2表面材
24 第1錠
25 第2錠
26 第3錠
27 ロッド
3 上フレーム
4 下フレーム
5 戸先側縦フレーム
6 戸尻側縦フレーム
7(7A~7H) 第2耐火芯材(周囲耐火芯材)
7E、7F 戸先側周囲耐火芯材
8(8A~8E) 第1耐火芯材
8A、8A´、8F 第1要素
8C、8D、8C´、8D´、8G 第2要素
840 第1面(第1当接面)
841 第2面(第1部位)
842 第3面(第1部位)
880 第1面(第2部位)
881 第2面(第2当接面)
882 第3面(第2部位)
9 石膏
14 熱膨張耐火部材
15 螺子
G 隙間
L ラッチ
S 空間

図1
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図8A
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