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  • 特許-駐車支援装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】駐車支援装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20220518BHJP
   B60R 99/00 20090101ALI20220518BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
B60W30/06
B60R99/00 330
B60R99/00 320
G08G1/16 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018082393
(22)【出願日】2018-04-23
(65)【公開番号】P2019188958
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 貴之
(72)【発明者】
【氏名】金子 修造
(72)【発明者】
【氏名】近藤 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】姚 志鵬
(72)【発明者】
【氏名】久保田 守
【審査官】岡澤 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-101199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/06
B60R 99/00
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車スペースへの車両の駐車を支援する駐車支援装置であって、
前記車両の周囲を撮像した撮像画像に基づいて駐車スペースを画像認識する画像認識部と、
前記画像認識された駐車スペースに基づいて前記車両の自動運転制御の制御量を生成し、前記車両を自動運転する自動運転機能部に前記制御量を出力する駐車制御部と、
前記画像認識部によって画像認識された、前記駐車スペースの車幅方向を区画する一対の駐車区画線の頂点の頂点位置と、駐車スペース幅と、駐車区画線形状との情報を記憶する記憶部と、
前記画像認識部の画像認識によって認識されなかった不明部分が前記駐車スペースに存在する場合に、前記不明部分を、前記記憶部に記憶されている前記情報に基づいて補完する補完部と、を備え、
前記画像認識部が前記駐車スペースの画像認識を繰り返し実行するごとに、
前記記憶部は、前記画像認識に基づき前記情報を更新し、前記画像認識された駐車スペースに不明部分が含まれている場合に、前記補完部は、前記記憶部に記憶されている前記情報に基づいて当該不明部分を補完し、前記駐車制御部は、補完後の前記駐車スペースに基づいて前記自動運転制御の制御量を生成する
ことを特徴とする駐車支援装置。
【請求項2】
前記画像認識部は、前記駐車スペースの車幅方向を区画する一対の駐車区画線を画像認識することで前記駐車スペースを画像認識する
ことを特徴とする請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記画像認識部は、前記車両の周囲を撮像した前記撮像画像に基づいて画像認識することを特徴とする請求項1または2に記載の駐車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を自動運転して駐車スペースに自動的に駐車させる駐車支援装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の駐車支援装置は、一般に、車両の駐車スペースをカメラの撮像画像に基づいて画像認識し、駐車スペースと自車両位置との位置関係に基づいて車両を自動運転制御する。また駐車支援装置は、自動運転制御の間、駐車スペースの画像認識を繰り返し実施し、駐車スペースと自車両位置との位置関係を画像認識結果に基づいて逐次更新し、この更新に基づいて自動運転制御の制御量を生成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-74254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動運転制御の間、駐車スペースの全体を常に正常に画像認識できるとは限らない。すなわち、車両の自動運転制御中に、強い日差しがカメラに入り込む等して撮像画像に写った駐車スペースに不鮮明な箇所が生じる場合があり、駐車スペースの一部が画像認識で認識できないときがある。この場合、従来にあっては、駐車スペースの全体が特定されないため、駐車スペースと自車両位置との位置関係を更新しておらず、自動運転制御の制御量に誤差を生じさせ、駐車スペースへの駐車の正確性を低下させる要因になっている。
【0005】
本発明は、車両を駐車スペースに正確に駐車させることができる駐車支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、駐車スペースへの車両の駐車を支援する駐車支援装置であって、前記車両の周囲を撮像した撮像画像に基づいて駐車スペースを画像認識する画像認識部と、前記画像認識された駐車スペースに基づいて前記車両の自動運転制御の制御量を生成し、前記車両を自動運転する自動運転機能部に前記制御量を出力する駐車制御部と、前記画像認識部によって画像認識された、前記駐車スペースの車幅方向を区画する一対の駐車区画線の頂点の頂点位置と、駐車スペース幅と、駐車区画線形状との情報を記憶する記憶部と、前記画像認識部の画像認識によって認識されなかった不明部分が前記駐車スペースに存在する場合に、前記不明部分を、前記記憶部に記憶されている前記情報に基づいて補完する補完部と、を備え、前記画像認識部が前記駐車スペースの画像認識を繰り返し実行するごとに、前記記憶部は、前記画像認識に基づき前記情報を更新し、前記画像認識された駐車スペースに不明部分が含まれている場合に、前記補完部は、前記記憶部に記憶されている前記情報に基づいて当該不明部分を補完し、前記駐車制御部は、補完後の前記駐車スペースに基づいて前記自動運転制御の制御量を生成することを特徴とする。
【0008】
本発明は、上記駐車支援装置において、前記画像認識部は、前記駐車スペースの車幅方向を区画する一対の駐車区画線を画像認識することで前記駐車スペースを画像認識することを特徴とする。
【0010】
本発明は、上記駐車支援装置において、前記画像認識部は、前記車両の周囲を撮像した前記撮像画像に基づいて画像認識することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車両を駐車スペースに正確に駐車させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態の駐車支援装置を備えた車載システムの構成を示す図である。
図2】駐車支援装置の機能的構成を示すブロック図である。
図3】駐車支援動作のシーケンスチャートである。
図4】タッチパネルディスプレイ14の表示例を示す図であり、(A)は撮像画像の表示例であり、(B)は俯瞰画像の表示例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の駐車支援システムAの構成を駐車スペース2とともに模式的に示す図である。
駐車支援システムAは、車両4に設けられた車載システムであり、車両4を自動運転制御して、車両4の乗員が選択した駐車スペース2に車両4を自動的に駐車させる機能を有する。具体的には、駐車支援システムAは、CAN(Controller Area Network)6と、カメラECU(Electronic Control Unit)8と、ADAS(Advanced Driver Assistance System)ユニット7と、駐車支援装置1とを備える。CAN6は、車両4に設けられた車載ネットワークであり、CAN6には、カメラECU8、ADASユニット7、及び駐車支援装置1が接続され、双方向に通信可能になっている。
【0014】
カメラECU8は、マイクロプロセッサやROM、RAM、入出力インターフェース、などを備えた電気制御ユニットである。カメラECU8には、4台のカメラ12が接続されており、カメラECU8は、これらのカメラ12の撮像を制御する。
【0015】
カメラ12のそれぞれは、カメラECU8の制御の下、車両4の周囲を撮像する撮像装置であり、各カメラ12の撮像画像17(図4)は、CAN6を通じて駐車支援装置1に送信される。これらカメラ12の撮像画像17は、駐車支援装置1において、車両4の上方から当該車両4を俯瞰した俯瞰画像18(図4)を生成するために用いられる。本実施形態では、俯瞰画像18の生成に必要な撮像画像17を得るために、1台のカメラ12が車両4の前端部(例えば、フロントバンパ)の車幅方向中央から前方を撮像し、他の1台のカメラ12が車両4の後端部(例えばリアバンパ)の車幅方向中央から後方を撮像し、他の1台のカメラ12が車両4の右側部(例えば右ドアミラー)から右側方を撮像し、残り1台のカメラ12が車両4の左側部(例えば左ドアミラー)から左側方を撮像する。
【0016】
ADASユニット7は、他車両や障害物などとの衝突を回避しつつ、車両4を自動駆動、自動制動、及び自動操舵することで自動運転を実現する自動運転機能部7Aを有し、当該自動運転を実現するためのECUや、各種のセンサを備える。また自動運転機能部7Aは、自動運転制御の制御量を含む制御量情報19(図2)を駐車支援装置1から受信した場合、当該制御量情報19に基づき車両4を自動運転する。
【0017】
駐車支援装置1は、カメラ12の撮像画像17、及びADASユニット7を用いて、乗員が選択した駐車スペース2に車両4を自動運転により駐車させる装置である。駐車支援装置1は、CPUやMPUなどのプロセッサと、RAMやROM等のメモリデバイスと、CAN6や周辺機器を接続するインターフェース部と、HDDやSSD等のストレージデバイスと、を備えたコンピュータを有し、メモリデバイスやストレージデバイスに格納されたプログラムをプロセッサが実行することで各種の機能を実現する。
【0018】
駐車支援装置1には、周辺機器としてタッチパネルディスプレイ14が接続されている。タッチパネルディスプレイ14は、各カメラ12の撮像画像17や俯瞰画像18などの各種画像や情報を表示する表示装置、及び、ユーザ操作を受け付ける操作装置である。駐車支援装置1には、タッチパネルディスプレイ14の他にも例えばスピーカ等の任意の周辺機器を接続することができる。
【0019】
なお、駐車支援システムAには、例えば、エンジンを含むパワートレインの動作を制御するECUや、変速機を制御するECU、電装品を制御するECUといった、機能や用途に応じた各種のECU、各種のセンサ、及びTCU(Telematics Communication Unit)等の通信ユニットを適宜に設けることができる。
【0020】
図2は、駐車支援装置1の機能的構成を示すブロック図である。
駐車支援装置1は、駐車スペース2を乗員に選択させる選択部20と、選択された駐車スペース2(以下、「目標駐車スペース」と言い、符号2Aを付す)を画像認識により特定する画像認識部22と、画像認識された目標駐車スペース2Aから得られる当該目標駐車スペース2Aの情報を格納する記憶部23と、ADASユニット7を用いて車両4を自動運転して目標駐車スペース2Aに駐車させる駐車制御部24と、を備える。
さらに、駐車支援装置1は、目標駐車スペース2Aの一部に不明部分34(図3)が含まれる場合に、当該不明部分34を補完する補完部26を備える。これらの機能は、駐車支援装置1のプロセッサが所定のコンピュータプログラムを実行することで実現される。
【0021】
選択部20は、カメラ12の撮像画像17をタッチパネルディスプレイ14に表示し、当該撮像画像17に写った駐車スペース2の中から所望の目標駐車スペース2Aを乗員に選択させる。
【0022】
画像認識部22は、目標駐車スペース2Aを画像認識し、画像認識結果を駐車制御部24に出力する。
詳述すると、車両1台分の駐車スペース2は、前掲図1に示すように平面視矩形を成し、少なくとも車幅方向Mの境界K1が車両全長方向Nに延びる一対の駐車区画線30で区画され、車両全長方向Nの境界K2が一対の駐車区画線30の各頂点32によって規定される。換言すれば、一対の駐車区画線30により、境界K1、K2が特定され、駐車スペース2の全体が特定可能となるため、画像認識部22は、目標駐車スペース2Aの画像認識として、一対の駐車区画線30を画像認識する。
【0023】
また画像認識部22は、各カメラ12の撮像画像17に基づいて俯瞰画像18を生成する俯瞰画像生成部28を備え、当該俯瞰画像18を対象にして目標駐車スペース2Aの一対の駐車区画線30を画像認識している。俯瞰画像18は、車両4の前方、後方、右側方、及び左側方を撮影した各撮像画像17を、車両4を上方から視た画像に変換し、変換後の各画像を車両4の位置(例えば中心O:図4)を基準に合成した画像である。
【0024】
さらに画像認識部22は、画像認識された一対の駐車区画線30に基づいて駐車スペース情報40を特定し、記憶部23に格納する。駐車スペース情報40は、後述する補完に用いられる情報であり、少なくとも頂点位置の情報と、駐車スペース幅Wの情報と、駐車区画線形状の情報と、を含んでいる。
頂点位置は、目標駐車スペース2Aの各頂点32(図1)の位置であり、車両4を基準にした相対位置として特定されている。
駐車スペース幅Wは、目標駐車スペース2Aの幅(図1)である。
駐車区画線形状は、駐車区画線30の平面視形状である。駐車区画線30の平面視形状の例としては、例えば図1に示すようなU字形状の他に、1本の線で駐車区画線30が描かれた直線形状(図4)、端点(上記頂点32に相当する位置)がT字状に描かれたT字形状などが挙げられる。
【0025】
画像認識部22は、車両4の駐車支援動作の間、目標駐車スペース2Aの画像認識を繰り返し実行し、画像認識の度に、記憶部23の駐車スペース情報40が更新記憶される。この場合において、駐車スペース情報40の更新記憶に際し、特定不能な頂点32が存在したときには、その頂点32については、その旨(例えば「NULL値」等)が記憶される。
【0026】
なお、画像認識の繰り返し間隔は、少なくとも車両4の駐車のための自動運転制御に支障を来すことがない間隔であれば任意である。
また駐車スペース幅W、及び駐車区画線30の平面視形状については、車両4と目標駐車スペース2Aの位置関係に依らずに不変であるため、これらが確定的に特定された後は、画像認識部22は、これらを更新しない。例えば、画像認識部22は、駐車スペース幅W、及び駐車区画線30の平面視形状の特定結果を一定数集計し、集計結果に基づいて、駐車スペース幅W、及び駐車区画線30を確定する。なお、駐車スペース幅W、及び駐車区画線30の平面視形状を確定する手法は、これに限らず、任意の手法が用いられる。
【0027】
駐車制御部24は、ADASユニット7の自動運転機能部7Aを用いて、車両4が目標駐車スペース2Aの範囲(すなわち、境界K1、K2で区画される範囲)に収まるように車両4を自動運転する。
具体的には、駐車制御部24は、画像認識された目標駐車スペース2Aに基づいて、車両4と目標駐車スペース2A(より正確には、境界K1、K2)との相対位置関係を特定し、当該相対位置関係に基づいて、目標駐車スペース2Aの範囲に収まるように車両4を自動運転制御するための制御量(例えば、舵角、車速、前進/後退)を生成し、この制御量を含む制御量情報19をADASユニット7に送信する。
ADASユニット7が制御量情報19に基づいて車両4を自動運転制御することで、車両4が目標駐車スペース2Aの範囲に収まるように自動的に走行することになる。
なお、駐車制御部24は、車両4と目標駐車スペース2Aの相対位置を特定するに際し、車両4の位置情報をADASユニット7、或いは、他の自車位置検出装置(例えばGPS)などから取得する。
【0028】
上述の通り、目標駐車スペース2Aは、俯瞰画像18に基づいて画像認識されるので、各撮像画像17を用いる場合に比べ、車両4と目標駐車スペース2Aとの相対位置関係を精度良く特定できる。
【0029】
また駐車制御部24は、車両4を自動運転制御する間、目標駐車スペース2Aの一対の駐車区画線30が画像認識されるごとに、画像認識により特定された目標駐車スペース2A(境界K1、K2)と車両4との相対位置関係を特定し、当該相対位置関係に基づいて制御量を生成し、制御量情報19をADASユニット7に送信する。これにより、目標駐車スペース2Aの画像認識の度に、そのときの車両4と目標駐車スペース2Aとの相対位置関係に即した制御量が生成され、制御量の誤差の蓄積が抑えられる。
【0030】
補完部26は、画像認識部22によって画像認識された一対の駐車区画線30に不明部分34が生じた場合に、当該不明部分34を駐車スペース情報40に基づいて補完し、補完結果を画像認識部22に出力する。画像認識部22では、駐車区画線30が補完部26によって補完された場合には、補完された一対の駐車区画線30を画像認識の結果として駐車制御部24に出力する。
【0031】
例えば、画像認識された一対の駐車区画線30のいずれかが不明部分34を含み、その不明部分34が、駐車区画線30の途中である場合、補完部26は、駐車区画線30の平面視形状と、不明部分34を含む駐車区画線30の頂点位置と、に基づいて、駐車区画線30の不明部分34を補完する。
【0032】
また例えば、不明部分34が一対の駐車区画線30の各頂点32のいずれかを含む場合、補完部26は、目標駐車スペース2Aが矩形である前提の下、判明している頂点32の頂点位置と、駐車区画線30の平面形状と、に基づいて、駐車区画線30の不明部分34の頂点32を補完する。
なお、頂点32が不明部分34であるか否かは、例えば、俯瞰画像18に写った駐車区画線30の形状と、前回までに特定されている駐車区画線形状との一致性に基づいて判断される。
【0033】
また例えば、画像認識された一対の駐車区画線30のいずれか一方が全て不明部分34となった場合、補完部26は、目標駐車スペース2Aが矩形であるという前提の下、認識されている方の駐車区画線30の頂点32の位置と、駐車区画線30の平面形状と、駐車スペース幅Wとに基づいて、不明部分34を補完する。
【0034】
次いで、駐車支援装置1による駐車支援動作を説明する。
【0035】
図3は、駐車支援動作のシーケンスチャートである。
駐車支援動作は、例えば、車両4の乗員がタッチパネルディスプレイ14の所定ボタンをタッチ操作すると開始し、駐車が完了に伴って終了する。
【0036】
動作支援動作にあっては、図3に示すように、駐車支援装置1の選択部20が先ず、カメラ12の撮像画像をタッチパネルディスプレイ14に表示し、乗員による目標駐車スペース2Aの選択を待ち受ける(ステップS1)。ステップS1において、選択部20は、タッチパネルディスプレイ14に、例えば図4(A)に示すように、4台のカメラ12の各々の撮像画像17を同時に表示してもよいし、図4(B)に示すように、俯瞰画像生成部28が生成する俯瞰画像18を表示してもよい。
【0037】
目標駐車スペース2Aが選択された場合(ステップS1:YES)、画像認識部22が俯瞰画像18に基づいて、目標駐車スペース2Aを構成する一対の駐車区画線30を画像認識し(ステップS2)、認識結果に基づいて駐車スペース情報40を特定して記憶部23に格納する(ステップS3)。
次いで、一対の駐車区画線30のいずれかに不明部分34が存在しているか否かを補完部26が判断し(ステップS4)、不明部分34が存在している場合(ステップS4:YES)、補完部26は駐車スペース情報40に基づいて、駐車区画線30の不明部分34を補完する(ステップS5)。
【0038】
図4の図示例では、車両4の右前方の駐車スペース2が目標駐車スペース2Aに選択されているものの、一対の駐車区画線30のうち、車両4に近い側の駐車区画線30が画像認識により認識されずに不明部分34となっている。
【0039】
かかる不明部分34は、例えばカメラ12に太陽光等の強い光が一時的に入り込んだり、駐車区画線30上に壁等の影を含んだり、駐車区画線30が物体(例えば車両等)で覆われている等して、俯瞰画像18の駐車区画線30に不鮮明、或いは他の物体で隠れた箇所が生じることで発生する。
かかる不明部分34が生じている場合は、上述の通り、駐車スペース情報40(図4の例では、特定されている駐車区画線30の頂点32の頂点位置、駐車区画線30の平面形状、及び、駐車スペース幅W)に基づいて不明部分34が補完部26によって補完されることとなる。
【0040】
図3に戻り、画像認識部22により一対の駐車区画線30が画像認識されると、駐車制御部24が、一対の駐車区画線30に基づいて、目標駐車スペース2A(境界K1、K2)と車両4との相対位置関係を特定し、当該相対位置関係に基づいて、自動運転制御の制御量を生成し、制御量情報19をADASユニット7に出力する(ステップS6)。そしてADASユニット7が、制御量情報19に基づいて車両4を自動運転制御することで、目標駐車スペース2Aに収まるように車両4が自動的に運転される(ステップS7)。
【0041】
上述の通り、画像認識された一対の駐車区画線30に不明部分34が含まれていても(ステップS4:YES)、補完部26によって不明部分34がステップS5で補完され、目標駐車スペース2Aを特定可能になるので、続くステップS6でも、駐車制御部24が制御量を生成可能となる。これにより、画像認識された目標駐車スペース2Aに不明部分34が存在する場合には制御量の更新をスキップする従前の構成に比べ、制御量の誤差を抑え、高精度に車両4を目標駐車スペース2Aに収まるように自動運転することができる。
【0042】
駐車支援装置1は、駐車が完了するまで(ステップS8:YES)、ステップS2からステップS6までの処理を繰り返し実行する。なお、駐車の完了は、例えば、目標駐車スペース2Aの範囲内に車両4が収まったか否かによって判断される。
【0043】
上述した実施形態によれば、次のような効果を奏する。
【0044】
本実施形態の駐車支援装置1によれば、画像認識部22の画像認識により認識されなかった不明部分34が目標駐車スペース2Aに存在する場合に、不明部分34を、記憶部23に記憶された駐車スペース情報40に基づいて補完する構成とした。
これにより、画像認識の結果、目標駐車スペース2Aが不明部分34を含む場合でも、不明部分34の補完により目標駐車スペース2Aが特定されるので、当該目標駐車スペース2Aに基づいて、車両4を目標駐車スペース2Aに正確に駐車させることができる。
【0045】
本実施形態の駐車支援装置1では、画像認識部22が目標駐車スペース2Aの画像認識を実行するごとに駐車スペース情報40を更新し、また、画像認識された目標駐車スペース2Aに不明部分34が含まれている場合には、当該不明部分34を補完部26が駐車スペース情報40に基づいて補完する構成とした。
これにより、自動運転制御の間、撮像画像17に不鮮明な箇所が生じ、画像認識された目標駐車スペース2Aに不明部分34が生じた場合でも、補完により目標駐車スペース2Aの全体が特定されるので、駐車制御部24は、補完された目標駐車スペース2Aに基づいて、自動運転制御の制御量の生成を継続できる。この結果、自動運転制御の間、制御量に生じる誤差が抑えられ、車両4を目標駐車スペース2Aにより正確に駐車させることができる。
【0046】
本実施形態の駐車支援装置1では、目標駐車スペース2Aの車幅方向Mを区画する一対の駐車区画線30を当該目標駐車スペース2Aとして画像認識する構成としたので、一対の駐車区画線30を画像認識するだけで、矩形の目標駐車スペース2Aの全体(境界K1、K2)を簡単に特定できる。
【0047】
本実施形態の駐車支援装置1では、駐車スペース情報40には、目標駐車スペース2Aの車幅方向Mの駐車スペース幅W、駐車区画線30の頂点32の位置、及び、駐車区画線30の平面視形状を含むようにした。
これにより、一対の駐車区画線30が不明部分34を含む場合でも、精度よく、不明部分34を補完できる。
【0048】
本実施形態の駐車支援装置1では、車両4の周囲を撮像した撮像画像17に基づいて生成された俯瞰画像18に基づいて画像認識するため、目標駐車スペース2Aと車両4との相対位置関係を高精度に特定できる。
【0049】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
【0050】
上述した実施形態において、駐車スペース2が道路の路肩に設けられており、一対の駐車区画線30のいずれか一方が路肩を区画している物体(例えば縁石など)である場合には、当該物体が駐車区画線30と見做されてもよい。
【0051】
上述した実施形態において、一対の駐車区画線30の一方が他の車両の下に隠れている等して、画像認識が一定数以上繰り返し行われても駐車スペース幅W、或いは、駐車区画線30の平面視形状が特定できない場合、駐車支援装置1は、自動運転制御を実行せずに、乗員にエラーを通知してもよい。
【0052】
図2に示す機能ブロックは、本願発明を理解容易にするために、駐車支援装置1の構成要素を主な処理内容に応じて分類して示した概略図であり、これらの構成要素は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0053】
また、図2に示す駐車支援装置1の各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアにより実行されてもよい。また、各構成要素の処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし、複数のプログラムで実現されてもよい。
【0054】
また、図3のシーケンスチャートの処理単位は、駐車支援装置1による処理の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。駐車支援装置1の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、同様の処理結果が得られるものであれば、図3の処理順序も、図示した例に限られるものではない。
【符号の説明】
【0055】
1 駐車支援装置
2 駐車スペース
2A 目標駐車スペース
4 車両
7A 自動運転機能部
12 カメラ
17 撮像画像
18 俯瞰画像
19 制御量情報
22 画像認識部
23 記憶部
24 駐車制御部
26 補完部
30 駐車区画線
32 頂点
34 不明部分
40 駐車スペース情報
A 駐車支援システム
M 車幅方向
N 車両全長方向
W 駐車スペース幅
図1
図2
図3
図4