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特許7075319タービン制御装置およびタービン制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】タービン制御装置およびタービン制御方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 21/14 20060101AFI20220518BHJP
   F01D 17/24 20060101ALI20220518BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
F01D21/14 E
F01D17/24 N
F01D25/00 V
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018173737
(22)【出願日】2018-09-18
(65)【公開番号】P2020045794
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】山領 祐一
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-148108(JP,A)
【文献】特開平11-200811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 21/14
F01D 17/24
F01D 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンを制御する弁の開度を検出し、検出された開度を示す第1開度信号を出力する第1開度検出部と、
前記弁の開度を検出し、検出された開度を示す第2開度信号を出力する第2開度検出部と、
前記第1および第2開度信号のうちの信号値が高い高値開度信号を選択する高値選択部と、
前記弁の開度を指令する開度指令と前記高値開度信号との偏差に応じた値を有し、前記弁の開度の制御に用いられるサーボ指令を演算するサーボ指令演算部と、
前記第1および第2開度信号の異常を検出する開度異常検出部と、を備え、
前記開度異常検出部は、
前記開度指令と前記第1開度信号との偏差、前記開度指令と前記第2開度信号との偏差および前記第1開度信号と前記第2開度信号との偏差に基づいて、または、当該各偏差と前記サーボ指令の値とに基づいて、前記第1および第2開度信号の異常を検出
前記開度異常検出部は、
前記サーボ指令の値が所定範囲内であるときに、前記サーボ指令が前記弁の開度を維持するバランス点にあることを示すバランス点検出信号を出力するバランス点検出部と、
前記開度指令と前記第1開度信号との偏差が所定範囲内であるときに、前記第1開度信号が前記開度指令に追従していることを示す第1開度追従検出信号を出力し、前記開度指令と前記第2開度信号との偏差が所定範囲内であるときに、前記第2開度信号が前記開度指令に追従していることを示す第2開度追従検出信号を出力する、追従検出部と、
前記第2開度信号から前記第1開度信号を減じた偏差が所定値より大きいときに、前記第1開度信号が前記第2開度信号よりも低開度側で推移していることを示す第1開度第1低側推移検出信号を出力し、前記第1開度信号から前記第2開度信号を減じた偏差が所定値より大きいときに、前記第2開度信号が前記第1開度信号よりも低開度側で推移していることを示す第2開度第1低側推移検出信号を出力する、第1低側推移検出部と、
前記開度指令から前記第1開度信号を減じた偏差が所定値より大きいときに、前記第1開度信号が前記開度指令よりも低開度側で推移していることを示す第1開度第2低側推移検出信号を出力し、前記開度指令から前記第2開度信号を減じた偏差が所定値より大きいときに、前記第2開度信号が前記開度指令よりも低開度側で推移していることを示す第2開度第2低側推移検出信号を出力する、第2低側推移検出部と、
前記バランス点検出信号、前記第2開度追従検出信号、前記第1開度第1低側推移検出信号および前記第1開度第2低側推移検出信号がいずれも出力されたときに、前記第1開度信号が異常であることを示す第1異常検出信号を出力し、前記バランス点検出信号、前記第1開度追従検出信号、前記第2開度第1低側推移検出信号および前記第2開度第2低側推移検出信号がいずれも出力されたときに、前記第2開度信号が異常であることを示す第2異常検出信号を出力する、異常検出信号出力部と、を有する、タービン制御装置。
【請求項2】
前記異常検出信号出力部は、
前記バランス点検出信号、前記第2開度追従検出信号、前記第1開度第1低側推移検出信号および前記第1開度第2低側推移検出信号が所定時間継続して出力されたときに、前記第1異常検出信号を出力し、
前記バランス点検出信号、前記第1開度追従検出信号、前記第2開度第1低側推移検出信号および前記第2開度第2低側推移検出信号が所定時間継続して出力されたときに、前記第2異常検出信号を出力する、請求項に記載のタービン制御装置。
【請求項3】
タービンを制御する弁の開度を検出し、検出された開度を示す第1開度信号を出力する第1開度検出部と、
前記弁の開度を検出し、検出された開度を示す第2開度信号を出力する第2開度検出部と、
前記第1および第2開度信号のうちの信号値が高い高値開度信号を選択する高値選択部と、
前記弁の開度を指令する開度指令と前記高値開度信号との偏差に応じた値を有し、前記弁の開度の制御に用いられるサーボ指令を演算するサーボ指令演算部と、
前記第1および第2開度信号の異常を検出する開度異常検出部と、を備え、
前記開度異常検出部は、
前記開度指令と前記第1開度信号との偏差、前記開度指令と前記第2開度信号との偏差および前記第1開度信号と前記第2開度信号との偏差に基づいて、または、当該各偏差と前記サーボ指令の値とに基づいて、前記第1および第2開度信号の異常を検出し、
前記開度異常検出部は、
前記第1開度信号から前記開度指令を減じた偏差が所定値より大きいときに、前記第1開度信号が前記開度指令よりも高開度側で推移していることを示す第1開度第1高側推移検出信号を出力し、前記第2開度信号から前記開度指令を減じた偏差が所定値より大きいときに、前記第2開度信号が前記開度指令よりも高開度側で推移していることを示す第2開度第1高側推移検出信号を出力する、第1高側推移検出部と、
前記第1開度信号から前記第2開度信号を減じた偏差が所定値より大きいときに、前記第1開度信号が前記第2開度信号よりも高開度側で推移していることを示す第1開度第2高側推移検出信号を出力し、前記第2開度信号から前記第1開度信号を減じた偏差が所定値より大きいときに、前記第2開度信号が前記第1開度信号よりも高開度側で推移していることを示す第2開度第2高側推移検出信号を出力する、第2高側推移検出部と、
前記開度指令から前記第2開度信号を減じた偏差が所定値より大きいときに、前記弁が閉動作していることを示す第1閉動作検出信号を出力し、前記開度指令から前記第1開度信号を減じた偏差が所定値より大きいときに、前記弁が閉動作していることを示す第2閉動作検出信号を出力する、閉動作検出部と、
前記第1開度第1高側推移検出信号、前記第1開度第2高側推移検出信号および前記第1閉動作検出信号がいずれも出力されたときに、前記第1開度信号が異常であることを示す第1異常検出信号を出力し、前記第2開度第1高側推移検出信号、前記第2開度第2高側推移検出信号および前記第2閉動作検出信号がいずれも出力されたときに、前記第2開度信号が異常であることを示す第2異常検出信号を出力する、異常検出信号出力部と、を有する、タービン制御装置。
【請求項4】
タービンを制御する弁の開度を検出し、検出された開度を示す第1開度信号を出力する第1開度検出部と、
前記弁の開度を検出し、検出された開度を示す第2開度信号を出力する第2開度検出部と、
前記第1および第2開度信号のうちの信号値が高い高値開度信号を選択する高値選択部と、
前記弁の開度を指令する開度指令と前記高値開度信号との偏差に応じた値を有し、前記弁の開度の制御に用いられるサーボ指令を演算するサーボ指令演算部と、
前記第1および第2開度信号の異常を検出する開度異常検出部と、を備え、
前記開度異常検出部は、
前記開度指令と前記第1開度信号との偏差、前記開度指令と前記第2開度信号との偏差および前記第1開度信号と前記第2開度信号との偏差に基づいて、または、当該各偏差と前記サーボ指令の値とに基づいて、前記第1および第2開度信号の異常を検出し、
前記開度異常検出部は、
前記サーボ指令の値が所定範囲外であるときに、前記サーボ指令が前記弁の開度を維持するバランス点にないことを示すアンバランス検出信号を出力するアンバランス検出部と、
前記開度指令と前記第1開度信号との偏差が所定範囲外であるときに、前記第1開度信号が前記開度指令に追従していないことを示す第1開度非追従検出信号を出力し、前記開度指令と前記第2開度信号との偏差が所定範囲外であるときに、前記第2開度信号が前記開度指令に追従していないことを示す第2開度非追従検出信号を出力する、非追従検出部と、
前記第1開度信号から前記第2開度信号を減じた偏差が所定値より大きいときに、前記第1開度信号が前記第2開度信号よりも高開度側で推移していることを示す第1開度第2高側推移検出信号を出力し、前記第2開度信号から前記第1開度信号を減じた偏差が所定値より大きいときに、前記第2開度信号が前記第1開度信号よりも高開度側で推移していることを示す第2開度第2高側推移検出信号を出力する、第2高側推移検出部と、
前記開度指令から前記第2開度信号を減じた偏差が所定値より大きいときに、前記弁が閉動作していることを示す第1閉動作検出信号を出力し、前記開度指令から前記第1開度信号を減じた偏差が所定値より大きいときに、前記弁が閉動作していることを示す第2閉動作検出信号を出力する、閉動作検出部と、
前記アンバランス検出信号、前記第2開度非追従検出信号、前記第1開度第2高側推移検出信号および前記第1閉動作検出信号がいずれも出力されたときに、前記第1開度信号が異常であることを示す第1異常検出信号を出力し、前記アンバランス検出信号、前記第1開度非追従検出信号、前記第2開度第2高側推移検出信号および前記第2閉動作検出信号がいずれも出力されたときに、前記第2開度信号が異常であることを示す第2異常検出信号を出力する、異常検出信号出力部と、を有する、タービン制御装置。
【請求項5】
前記異常検出信号出力部は、
前記アンバランス検出信号、前記第2開度非追従検出信号、前記第1開度第2高側推移検出信号および前記第1閉動作検出信号が所定時間継続して出力されたときに、前記第1異常検出信号を出力し、
前記アンバランス検出信号、前記第1開度非追従検出信号、前記第2開度第2高側推移検出信号および前記第2閉動作検出信号が所定時間継続して出力されたときに、前記第2異常検出信号を出力する、請求項に記載のタービン制御装置。
【請求項6】
前記異常検出信号出力部は、
前記第1開度信号の値が所定範囲を逸脱したことが検出されたとき、または、前記第1開度検出部の電源の異常が検出されたときにも、前記第1異常検出信号を出力し、
前記第2開度信号の値が所定範囲を逸脱したことが検出されたとき、または、前記第2開度検出部の電源の異常が検出されたときにも、前記第2異常検出信号を出力する、請求項のいずれか1項に記載のタービン制御装置。
【請求項7】
前記開度異常検出部は、
前記第1異常検出信号が出力されたときに、前記第1開度信号に替えて最小開度を示す最小開度信号を前記高値選択部に出力する第1信号切替部と、
前記第2異常検出信号が出力されたときに、前記第2開度信号に替えて前記最小開度信号を前記高値選択部に出力する第2信号切替部と、を更に有する、請求項のいずれか1項に記載のタービン制御装置。
【請求項8】
タービンを制御する弁の開度を検出し、検出された開度を示す第1開度信号を出力する工程と、
前記弁の開度を検出し、検出された開度を示す第2開度信号を出力する工程と、
前記第1および第2開度信号のうちの信号値が高い高値開度信号を選択する工程と、
前記弁の開度を指令する開度指令と前記高値開度信号との偏差に応じた値を有し、前記弁の開度の制御に用いられるサーボ指令を演算する工程と、
前記第1および第2開度信号の異常を検出する工程と、を備え、
前記異常を検出する工程は、
前記開度指令と前記第1開度信号との偏差、前記開度指令と前記第2開度信号との偏差および前記第1開度信号と前記第2開度信号との偏差に基づいて、または、当該各偏差と前記サーボ指令の値とに基づいて、前記第1および第2開度信号の異常を検出することを含
前記異常を検出する工程は、
前記サーボ指令の値が所定範囲内であるときに、前記サーボ指令が前記弁の開度を維持するバランス点にあることを示すバランス点検出信号を出力し、
前記開度指令と前記第1開度信号との偏差が所定範囲内であるときに、前記第1開度信号が前記開度指令に追従していることを示す第1開度追従検出信号を出力し、前記開度指令と前記第2開度信号との偏差が所定範囲内であるときに、前記第2開度信号が前記開度指令に追従していることを示す第2開度追従検出信号を出力し、
前記第2開度信号から前記第1開度信号を減じた偏差が所定値より大きいときに、前記第1開度信号が前記第2開度信号よりも低開度側で推移していることを示す第1開度第1低側推移検出信号を出力し、前記第1開度信号から前記第2開度信号を減じた偏差が所定値より大きいときに、前記第2開度信号が前記第1開度信号よりも低開度側で推移していることを示す第2開度第1低側推移検出信号を出力し、
前記開度指令から前記第1開度信号を減じた偏差が所定値より大きいときに、前記第1開度信号が前記開度指令よりも低開度側で推移していることを示す第1開度第2低側推移検出信号を出力し、前記開度指令から前記第2開度信号を減じた偏差が所定値より大きいときに、前記第2開度信号が前記開度指令よりも低開度側で推移していることを示す第2開度第2低側推移検出信号を出力し、
前記バランス点検出信号、前記第2開度追従検出信号、前記第1開度第1低側推移検出信号および前記第1開度第2低側推移検出信号がいずれも出力されたときに、前記第1開度信号が異常であることを示す第1異常検出信号を出力し、前記バランス点検出信号、前記第1開度追従検出信号、前記第2開度第1低側推移検出信号および前記第2開度第2低側推移検出信号がいずれも出力されたときに、前記第2開度信号が異常であることを示す第2異常検出信号を出力する、ことを含む、タービン制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明による実施形態は、タービン制御装置およびタービン制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タービンの回転数や蒸気圧力を制御するタービン制御装置においては、サーボ弁の開度検出に、2重化された3線式の線形可変差動変圧器(以下、LVDTとも呼ぶ)または回転性可変差動変圧器(以下、RVDTとも呼ぶ)が採用さている。この種のタービン制御装置において、LVDT/RVDTから出力された弁の開度を示す開度信号の異常を、開度信号の上下限逸脱と、LVDT/RVDTの励磁電源異常との論理和として検出していた。なお、開度信号は、可動部の鉄心の移動量に応じて3線式のLVDT/RVDTの3線のうち、励磁電源に直接接続されていないコイルの中間線と励磁電源と接続された端子間のインピーダンスが変化する事による電圧変化を使って検出された交流電圧信号を直流成分に変換したものを開度信号としている。また、励磁電源異常は、中間線以外の2線に直接接続された励磁電源を監視する電源監視部から出力されていた。
【0003】
しかしながら、従来は、LVDT/RVDTの中間線が断線した場合に、開度信号に示される開度が上下限を逸脱しない中間開度程度の浮遊した状態になるため、開度信号の異常を検出することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-21985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した点を考慮してなされたものであり、開度信号の異常の検出精度を向上させることができるタービン制御装置およびタービン制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態によるタービン制御装置は、タービンを制御する弁の開度を検出し、検出された開度を示す第1開度信号を出力する第1開度検出部と、前記弁の開度を検出し、検出された開度を示す第2開度信号を出力する第2開度検出部と、前記第1および第2開度信号のうちの信号値が高い高値開度信号を選択する高値選択部と、前記弁の開度を指令する開度指令と前記高値開度信号との偏差に応じた値を有し、前記弁の開度の制御に用いられるサーボ指令を演算するサーボ指令演算部と、前記第1および第2開度信号の異常を検出する開度異常検出部と、を備え、前記開度異常検出部は、前記開度指令と前記第1開度信号との偏差、前記開度指令と前記第2開度信号との偏差および前記第1開度信号と前記第2開度信号との偏差に基づいて、または、当該各偏差と前記サーボ指令の値とに基づいて、前記第1および第2開度信号の異常を検出する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、開度信号の異常の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態によるタービン制御装置を示す図である。
図2】第1の実施形態によるタービン制御装置において、開度異常検出部の詳細な構成を示す図である。
図3】第1の実施形態によるタービン制御装置の動作例を示すフローチャートである。
図4】第1の実施形態によるタービン制御装置が検出できる開度信号の異常を説明するための説明図である。
図5】第2の実施形態によるタービン制御装置において、開度異常検出部の詳細な構成を示す図である。
図6】第2の実施形態によるタービン制御装置の動作例を示すフローチャートである。
図7】第2の実施形態によるタービン制御装置が検出できる開度信号の異常を説明するための説明図である。
図8】第3の実施形態によるタービン制御装置において、開度異常検出部の詳細な構成を示す図である。
図9】第3の実施形態によるタービン制御装置の動作例を示すフローチャートである。
図10】第3の実施形態によるタービン制御装置が検出できる開度信号の異常を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態によるタービン制御装置1を示すブロック図である。第1の実施形態によるタービン制御装置1は、例えば、発電プラントに備えられたタービンの制御に用いることができる。
【0011】
図1に示すように、タービン制御装置1は、弁100aと、第1弁制御部100bと、第2弁制御部100cと、を備える。
【0012】
(弁100a)
弁100aは、タービンの作動流体である蒸気の流路の弁開度を制御することで、タービンに流入する蒸気量を制御し、タービンの回転数や蒸気圧力を制御する。弁100aは、サーボ9と、第1開度検出部の一例であるA系変圧器10Aと、第2開度検出部の一例であるB系変圧器10Bとを有する。
【0013】
サーボ9は、第1弁制御部100bから入力されるサーボ電流S016(詳細は後述する)に応じて、弁100aの開度を油圧によって増加、減少または維持させる。
【0014】
A系変圧器10Aは、弁100aの開動作または閉動作にともなって発生する誘起電圧に基づいて弁100aの開度を検出し、検出された開度を示すA系開度信号(第1開度信号)S03Aを出力する。A系開度信号S03Aは、交流電圧信号である。A系変圧器10Aは、3線式であり、中間線以外の2線は、後述するA系励磁電源の供給に用いられる一次側の線であり、中間線は、A系開度信号S03Aが出力される二次側の線である。A系変圧器10Aは、例えば、既述した3線式のLVDTおよびRVDTのいずれかである。
【0015】
B系変圧器10Bは、A系変圧器10AおよびB系変圧器10Bの一方が故障しても弁100aの開度を検出できるように、A系変圧器10Aと二重化して配置されている。A系変圧器10Aと同様に、B系変圧器10Bは、弁100aの開度を検出し、検出された開度を示すB系開度信号(第2開度信号)S03Bすなわち交流電圧信号を出力する。B系変圧器10Bも、3線式であり、中間線以外の2線は、後述するB系励磁電源の供給に用いられる一次側の線であり、中間線は、B系開度信号S03Bが出力される二次側の線である。B系変圧器10Bも、例えば、既述した3線式のLVDTおよびRVDTのいずれかである。
【0016】
(第1弁制御部100b)
第1弁制御部100bは、弁100aの開度の制御、変圧器10A、10Bへの励磁電源の供給および電源監視などを行うタービン制御装置1の構成部である。
【0017】
第1弁制御部100bは、A系励磁電源1Aと、B系励磁電源1Bと、A系電源監視部4Aと、B系電源監視部4Bと、A系復調器2Aと、B系復調器2Bと、A系アンプ3Aと、B系アンプ3Bと、パワーアンプ5とを有する。
【0018】
A系励磁電源1Aは、A系変圧器10Aの中間線以外の2線に接続されている。A系励磁電源1Aは、A系変圧器10Aに励磁電源S012Aを供給する。B系励磁電源1Bは、B系変圧器10Bの中間線以外の2線に接続されている。B系励磁電源1Bは、B系変圧器10Bに励磁電源S012Bを供給する。
【0019】
A系電源監視部4Aは、A系励磁電源1Aに接続されている。A系電源監視部4Aは、A系励磁電源1AからA系変圧器10Aに供給される励磁電源S012Aを監視し、励磁電源S012Aが予め決められた正常値から逸脱する場合には、励磁電源S012Aが異常であることを示すA系電源異常検出信号S119Aを出力する。B系電源監視部4Bは、B系励磁電源1Bに接続されている。B系電源監視部4Bは、B系励磁電源1BからB系変圧器10Bに供給される励磁電源S012Bを監視し、励磁電源S012Bが予め決められた正常値から逸脱する場合には、励磁電源S012Bが異常であることを示すB系電源異常検出信号S119Bを出力する。
【0020】
A系復調器2Aは、A系変圧器10Aの中間線に接続されている。A系復調器2Aは、A系変圧器10Aの中間線を通って入力された交流電圧信号の状態のA系開度信号S03Aを直流電圧信号へと復調し、復調された直流電圧信号の状態のA系開度信号S04Aを出力する。B系復調器2Bは、B系変圧器10Bの中間線に接続されている。B系復調器2Bは、B系変圧器10Bの中間線を通って入力された交流電圧信号の状態のB系開度信号S03Bを直流電圧信号へと復調し、復調された直流電圧信号の状態のB系開度信号S04Bを出力する。
【0021】
A系アンプ3Aは、A系復調器2Aの出力側に接続されている。A系アンプ3Aは、A系復調器2Aから出力されたA系開度信号S04Aを所定の直流電圧レンジの直流電圧信号へと変換し、変換されたA系開度信号S05Aを出力する。B系アンプ3Bは、B系復調器2Bの出力側に接続されている。B系アンプ3Bは、B系復調器2Bから出力されたB系開度信号S04Bを所定の直流電圧レンジの直流電圧信号へと変換し、変換されたB系開度信号S05Bを出力する。
【0022】
パワーアンプ5は、サーボ9の入力側に接続されている。パワーアンプ5は、第2弁制御部100cから入力されるサーボ指令S11(詳細は後述する)に応じたサーボ電流S016を生成し、生成されたサーボ電流S016をサーボ9に出力する。
【0023】
(第2弁制御部100c)
第2弁制御部100cは、第1弁制御部100bよりも上位において弁100aの開度を制御し、また、開度信号の異常を検出するタービン制御装置1の構成部である。
【0024】
第2弁制御部100cは、A系アナログ入力ユニット6A(AIC-A)と、B系アナログ入力ユニット6B(AIC-B)と、高値選択部108と、減算器7と、サーボ指令演算部8と、開度異常検出部130とを有する。
【0025】
A系アナログ入力ユニット6Aは、A系アンプ3Aの出力側に接続されている。A系アナログ入力ユニット6Aは、A系アンプ3Aから入力されたA系開度信号S05Aの信号値が予め設定された上限値と下限値との間の範囲内である場合に、上下限を逸脱しないA系開度信号S123Aを出力する。一方、A系アナログ入力ユニット6Aは、A系開度信号S05Aの信号値が上限値と下限値との間の範囲から逸脱した場合に、A系開度信号が上限値または下限値を逸脱したことを示すA系上下逸脱検出信号S118Aを出力する。
【0026】
B系アナログ入力ユニット6Bは、B系アンプ3Bの出力側に接続されている。B系アナログ入力ユニット6Bは、B系アンプ3Bから入力されたB系開度信号S05Bの信号値が予め設定された上限値と下限値との間の範囲内である場合に、上下限を逸脱しないB系開度信号S123Bを出力する。一方、B系アナログ入力ユニット6Bは、B系開度信号S05Bの信号値が上限値と下限値との間の範囲から逸脱した場合に、B系開度信号が上限値または下限値を逸脱したことを示すB系上下逸脱検出信号S118Bを出力する。
【0027】
高値選択部108は、A系アナログ入力ユニット6AおよびB系アナログ入力ユニット6Bの出力側に接続されている。高値選択部108は、上下限を逸脱しないA系開度信号S123Aおよび上下限を逸脱しないB系開度信号S123Bのうちの信号値が高い高値開度信号S124を選択して出力する。
【0028】
減算器7は、高値選択部108の出力側に接続されている。減算器7には、高値選択部108から出力された高値開度信号S124と、弁100aの開度を指令する開度指令S12とが入力される。開度指令S12は、第2弁制御部100cの上位に配置された図示しないタービン回転数制御部から出力されたものである。開度指令S12の指令値(電圧値)は、高値開度信号S124の信号値(電圧値)と同様に弁100aの開度である。減算器7は、開度指令S12の指令値から高値開度信号S124の信号値を減じることで開度偏差S014を算出し、算出された開度偏差S014を出力する。
【0029】
サーボ指令演算部8は、減算器7の出力側に接続されている。サーボ指令演算部8は、減算器7から出力された開度偏差S014を増幅することで、開度偏差S014に応じた値を有するサーボ指令S11を演算する。そして、サーボ指令演算部8は、演算されたサーボ指令S11をパワーアンプ5に出力する。
【0030】
以上の構成によれば、A系変圧器10Aで検出されたA系開度信号S123AおよびB系変圧器10Bで検出されたB系開度信号S123Bのうちの高値開度信号S124を選択し、選択された高値開度信号S124と開度指令S12との開度偏差S014に応じたサーボ指令S11に基づいて、弁100aの開度を制御することができる。
【0031】
より詳しくは、サーボ指令S11が正の場合(すなわち、開度偏差S014が正の場合)、弁100aは開動作するように制御され、サーボ指令S11が負の場合(すなわち、開度偏差S014が負の場合)、弁100aは閉動作するように制御される。なお、サーボ指令S11が正の場合でも、サーボ指令S11が弁100aの開度を維持するバランス点にある場合、すなわち、サーボ指令S11の正の値が小さい場合には、弁100aは開動作および閉動作のいずれも行わずに開度を維持するように制御される。
【0032】
次に、開度異常検出部130について詳しく説明する。図2は、第1の実施形態によるタービン制御装置1において、開度異常検出部130の詳細な構成を示す図である。開度異常検出部130は、開度指令S12とA系開度信号S123Aとの偏差、開度指令S12とB系開度信号S123Bとの偏差、A系開度信号S123AとB系開度信号S123Bとの偏差、および、サーボ指令S11の値に基づいて、A系開度信号S123AおよびB系開度信号S123Bの異常を検出する。
【0033】
具体的には、図2に示すように、開度異常検出部130は、A系開度信号S123Aの異常を検出するA系開度異常検出部130Aと、B系開度信号S123Bの異常を検出するB系開度異常検出部130Bとを有する。
【0034】
(A系開度異常検出部130A)
A系開度異常検出部130Aは、A系バランス点検出部101Aと、B系開度追従検出部102Aと、A系開度第1低側推移検出部103Aと、A系開度第2低側推移検出部104Aとを有する。更に、A系開度異常検出部130Aは、A系論理積演算部105Aと、A系オンディレイタイマ106Aと、異常検出信号出力部の一例であるA系論理和演算部107Aと、第1信号切替部の一例であるA系信号切替部SW-Aとを有する。
【0035】
[A系バランス点検出部101A]
A系バランス点検出部101Aは、負比較部11aと、正比較部12aと、論理積演算部13aと、オンディレイタイマ14aとを有する。
【0036】
負比較部11aには、サーボ指令S11をA系開度異常検出部130Aに入力したA系サーボ指令S11Aが入力される。負比較部11aは、入力されたA系サーボ指令S11Aがバランス点の上限値よりも小さい場合に、A系サーボ指令S11Aがバランス点の上限値よりも小さいことを示すハイレベル信号S15Aすなわちオン信号を出力する。一方、負比較部11aは、入力されたA系サーボ指令S11Aがバランス点の上限値よりも大きい場合に、A系サーボ指令S11Aがバランス点の上限値よりも大きいことを示すローレベル信号すなわちオフ信号を出力する。
【0037】
正比較部12aは、負比較部11aと並列接続されている。正比較部12aにも、A系サーボ指令S11Aが入力される。正比較部12aは、入力されたA系サーボ指令S11Aがバランス点の下限値よりも大きい場合(すなわち、正の場合)に、A系サーボ指令S11Aがバランス点の下限値よりも大きいことを示すハイレベル信号S16Aを出力する。一方、正比較部12aは、入力されたA系サーボ指令S11Aがバランス点の下限値よりも小さい場合に、A系サーボ指令S11Aがバランス点の下限値よりも小さいことを示すローレベル信号を出力する。
【0038】
論理積演算部13aは、負比較部11aおよび正比較部12aの出力側に接続されている。論理積演算部13aは、負比較部11aの出力結果と正比較部12aの出力結果との論理積を演算し、演算結果を出力する。より詳しくは、論理積演算部13aは、負比較部11aおよび正比較部12aの双方からハイレベル信号が出力された場合に、A系サーボ指令S11Aがバランス点にあることを示すA系バランス点検出信号S17A(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。一方、論理積演算部13aは、負比較部11aおよび正比較部12aの少なくとも一方からローレベル信号が出力された場合は、A系バランス点検出信号S17Aを出力しない(すなわち、ローレベル信号を出力する)。
【0039】
オンディレイタイマ14aは、論理積演算部13aの出力側に接続されている。オンディレイタイマ14aは、論理積演算部13aから出力されたA系バランス点検出信号S17Aを所定時間遅延させて出力することで、出力状態(すなわち、オン状態)が所定時間継続したA系バランス点検出信号S18Aを出力する。
【0040】
以上の構成によれば、A系バランス点検出部101Aは、A系サーボ指令S11Aの値が負比較部11aに設定された上限値と正比較部12aに設定された下限値との間の所定範囲内であるときに、A系サーボ指令S11Aが弁100aの開度を維持するバランス点にあることを示すA系バランス点検出信号S18Aを出力する。
【0041】
[B系開度追従検出部102A]
B系開度追従検出部102Aは、減算器15aと、絶対値演算器16aと、負比較部17aとを有する。
【0042】
減算器15aには、開度指令S12をA系開度異常検出部130Aに入力したA系開度指令S12Aと、B系開度信号S123Bとが入力される。減算器15aは、A系開度指令S12Aの指令値からB系開度信号S123Bの信号値を減じた偏差S19Aを演算し、演算された偏差S19Aを出力する。
【0043】
絶対値演算器16aは、減算器15aの出力側に接続されている。絶対値演算器16aは、減算器15aから出力された偏差S19Aの絶対値S110Aを演算し、演算された絶対値S110Aを出力する。
【0044】
負比較部17aは、絶対値演算器16aの出力側に接続されている。負比較部17aは、絶対値演算器16aから出力された絶対値S110Aが予め設定された上限値よりも小さい場合に、B系開度信号S123BがA系開度指令S12Aに追従していることを示すB系開度追従検出信号S111A(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。一方、負比較部17aは、絶対値S110Aが上限値よりも大きい場合には、B系開度追従検出信号S111Aを出力しない(すなわち、ローレベル信号を出力する)。
【0045】
以上の構成によれば、B系開度追従検出部102Aは、A系開度指令S12AとB系開度信号S123Bとの偏差が所定範囲内であるときに、B系開度追従検出信号S111Aを出力する。
【0046】
[A系開度第1低側推移検出部103A]
A系開度第1低側推移検出部103Aは、減算器18aと、正比較部19aとを有する。
【0047】
減算器18aには、B系開度信号S123Bと、A系開度信号S123Aとが入力される。減算器18aは、B系開度信号S123Bの信号値からA系開度信号S123Aの信号値を減じた偏差S112Aを演算し、演算された偏差S112Aを出力する。
【0048】
正比較部19aは、減算器18aの出力側に接続されている。正比較部19aには、偏差S112Aが入力される。正比較部19aは、入力された偏差S112Aが予め設定された所定値よりも大きい場合に、A系開度信号S123AがB系開度信号S123Bよりも低開度側で推移していることを示すA系開度第1低側推移検出信号S113A(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。一方、正比較部19aは、偏差S112Aが所定値よりも小さい場合には、A系開度第1低側推移検出信号S113Aを出力しない(すなわち、ローレベル信号を出力する)。
【0049】
以上の構成によれば、A系開度第1低側推移検出部103Aは、B系開度信号S123BからA系開度信号S123Aを減じた偏差S112Aが所定値より大きいときに、A系開度第1低側推移検出信号S113Aを出力する。
【0050】
[A系開度第2低側推移検出部104A]
A系開度第2低側推移検出部104Aは、減算器110aと、正比較部111aとを有する。
【0051】
減算器110aには、A系開度指令S12Aと、A系開度信号S123Aとが入力される。減算器110aは、A系開度指令S12Aの指令値からA系開度信号S123Aの信号値を減じた偏差S114Aを演算し、演算された偏差S114Aを出力する。
【0052】
正比較部111aは、減算器110aの出力側に接続されている。正比較部111aには、偏差S114Aが入力される。正比較部111aは、入力された偏差S114Aが予め設定された所定値よりも大きい場合に、A系開度信号S123AがA系開度指令S12Aよりも低開度側で推移していることを示すA系開度第2低側推移検出信号S115A(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。一方、正比較部111aは、偏差S114Aが所定値よりも小さい場合には、A系開度第2低側推移検出信号S115Aを出力しない(すなわち、ローレベル信号を出力する)。
【0053】
以上の構成によれば、A系開度第2低側推移検出部104Aは、A系開度指令S12AからA系開度信号S123Aを減じた偏差S114Aが所定値より大きいときに、A系開度第2低側推移検出信号S115Aを出力する。
【0054】
[A系論理積演算部105A]
A系論理積演算部105Aは、A系バランス点検出部101A、B系開度追従検出部102A、A系開度第1低側推移検出部103AおよびA系開度第2低側推移検出部104Aの出力側に接続されている。
【0055】
A系論理積演算部105Aには、A系バランス点検出部101A、B系開度追従検出部102A、A系開度第1低側推移検出部103AおよびA系開度第2低側推移検出部104Aの出力結果が入力される。A系論理積演算部105Aは、入力された出力結果の論理積を演算し、演算された論理積を出力する。
【0056】
より詳しくは、A系論理積演算部105Aは、A系バランス点検出部101AからA系バランス点検出信号S18A(ハイレベル信号)が入力され、B系開度追従検出部102AからB系開度追従検出信号S111A(ハイレベル信号)が入力され、A系開度第1低側推移検出部103AからA系開度第1低側推移検出信号S113A(ハイレベル信号)が入力され、かつ、A系開度第2低側推移検出部104AからA系開度第2低側推移検出信号S115A(ハイレベル信号)が入力された場合に、ハイレベル信号S117A(すなわち、オン信号)を出力する。
【0057】
一方、A系論理積演算部105Aは、A系バランス点検出信号S18A、B系開度追従検出信号S111A、A系開度第1低側推移検出信号S113AおよびA系開度第2低側推移検出信号S115Aのいずれかが入力されなかった場合には、ローレベル信号(すなわち、オフ信号)を出力する。
【0058】
[A系オンディレイタイマ106A]
A系オンディレイタイマ106Aは、A系論理積演算部105Aの出力側に接続されている。A系オンディレイタイマ106Aは、A系論理積演算部105Aから出力されたハイレベル信号S117Aを所定時間遅延させて出力することで、ハイレベル信号S117Aの出力状態(すなわち、オン状態)が所定時間継続した場合に、A系変圧器10Aの中間線が断線したことを示すA系断線検出信号S116A(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。
【0059】
一方、A系オンディレイタイマ106Aは、A系論理積演算部105Aからローレベル信号が入力された場合またはハイレベル信号S117Aの出力状態が所定時間継続しなかった場合には、A系断線検出信号S116Aを出力しない(すなわち、ローレベル信号を出力する)。
【0060】
[A系論理和演算部107A]
A系論理和演算部107Aは、A系オンディレイタイマ106A、A系アナログ入力ユニット6AおよびA系電源監視部4Aの出力側に接続されている。
【0061】
A系論理和演算部107Aには、A系オンディレイタイマ106A、A系アナログ入力ユニット6AおよびA系電源監視部4Aの出力結果が入力される。A系論理和演算部107Aは、入力された出力結果の論理和を演算し、演算された論理和を出力する。
【0062】
より詳しくは、A系論理和演算部107Aは、A系オンディレイタイマ106AからのA系断線検出信号S116A(ハイレベル信号)の入力、A系アナログ入力ユニット6AからのA系上下逸脱検出信号S118A(ハイレベル信号)の入力、およびA系電源監視部4AからのA系電源異常検出信号S119A(ハイレベル信号)の入力のうちの少なくとも1つがなされた場合に、A系開度信号S123Aが異常であることを示すA系開度異常検出信号S120A(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。
【0063】
一方、A系論理和演算部107Aは、A系断線検出信号S116Aの入力、A系上下逸脱検出信号S118Aの入力、およびA系電源異常検出信号S119Aの入力のいずれもなされなかった場合には、A系開度異常検出信号S120Aを出力しない(すなわち、ローレベル信号を出力する)。
【0064】
以上の構成によれば、A系論理和演算部107Aは、A系バランス点検出信号S18A、B系開度追従検出信号S111A、A系開度第1低側推移検出信号S113AおよびA系開度第2低側推移検出信号S115Aがいずれも出力されたときに、A系開度異常検出信号S120Aを出力する。これにより、A系変圧器10Aの中間線が断線した場合においても、A系開度信号S123Aの異常を検出することができる。
【0065】
より詳しくは、A系論理和演算部107Aは、A系バランス点検出信号S18A、B系開度追従検出信号S111A、A系開度第1低側推移検出信号S113AおよびA系開度第2低側推移検出信号S115Aがオンディレイタイマ14a、106Aによる遅延時間に相当する所定時間継続して出力されたときに、A系開度異常検出信号S120Aを出力する。これにより、サーボ指令S11がバランス点で十分に安定していることが確保された状況下で、正確なA系開度異常検出信号S120Aを出力することができる。
【0066】
また、A系論理和演算部107Aは、A系上下逸脱検出信号S118AによってA系開度信号S123Aの値が所定範囲を逸脱したことが検知されたとき、または、A系電源異常検出信号S119AによってA系励磁電源1Aの異常が検知されたときにも、A系開度異常検出信号S120Aを出力する。
【0067】
[A系信号切替部SW-A]
A系信号切替部SW-Aは、A系論理和演算部107Aの出力側であって高値選択部108の入力側に接続されている。
【0068】
A系信号切替部SW-Aには、A系開度異常検出信号S120Aが入力される。A系信号切替部SW-Aは、A系開度異常検出信号S120Aの入力の有無に応じて高値選択部108への出力をA系開度信号S123Aと最小開度信号の一例であるA系切り離し値S121Aとの間で切り替える。A系切り離し値S121Aは、異常が検出されたA系開度信号S123Aを弁100aの開度制御から切り離すことを意図した信号であり、より詳しくは、高値選択部108で選択されないように弁100aの最小開度を示す信号である。
【0069】
A系信号切替部SW-Aは、A系開度異常検出信号S120Aが出力されたときに、A系開度信号S123Aに替えてA系切り離し値S121Aを高値選択部108に出力する。これにより、A系開度信号S123Aに異常がある場合には、A系開度信号S123Aが弁100aの開度制御に用いられることを確実に防止することができる。
【0070】
一方、A系信号切替部SW-Aは、A系開度異常検出信号S120Aが出力されなかったときには、A系開度信号S123Aを高値選択部108に出力する。
【0071】
(B系開度異常検出部130B)
B系開度異常検出部130Bは、B系バランス点検出部101Bと、A系開度追従検出部102Bと、B系開度第1低側推移検出部103Bと、B系開度第2低側推移検出部104Bとを有する。更に、B系開度異常検出部130Bは、B系論理積演算部105Bと、B系オンディレイタイマ106Bと、異常検出信号出力部の一例であるB系論理和演算部107Bと、第2信号切替部の一例であるB系信号切替部SW-Bとを有する。
【0072】
[B系バランス点検出部101B]
B系バランス点検出部101Bは、負比較部11bと、正比較部12bと、論理積演算部13bと、オンディレイタイマ14bとを有する。
【0073】
負比較部11bには、サーボ指令S11をB系開度異常検出部130Bに入力したB系サーボ指令S11Bが入力される。負比較部11bは、入力されたB系サーボ指令S11Bがバランス点の上限値よりも小さい場合に、B系サーボ指令S11Bがバランス点の上限値よりも小さいことを示すハイレベル信号S15Bすなわちオン信号を出力する。一方、負比較部11bは、入力されたB系サーボ指令S11Bがバランス点の上限値よりも大きい場合に、B系サーボ指令S11Bがバランス点の上限値よりも大きいことを示すローレベル信号すなわちオフ信号を出力する。
【0074】
正比較部12bは、負比較部11bと並列接続されている。正比較部12bにも、B系サーボ指令S11Bが入力される。正比較部12bは、入力されたB系サーボ指令S11Bがバランス点の下限値よりも大きい場合(すなわち、正の場合)に、B系サーボ指令S11Bがバランス点の下限値よりも大きいことを示すハイレベル信号S16Bを出力する。一方、正比較部12bは、入力されたB系サーボ指令S11Bがバランス点の下限値よりも小さい場合に、B系サーボ指令S11Bがバランス点の下限値よりも小さいことを示すローレベル信号を出力する。
【0075】
論理積演算部13bは、負比較部11bおよび正比較部12bの出力側に接続されている。論理積演算部13bは、負比較部11bの出力結果と正比較部12bの出力結果との論理積を演算し、演算結果を出力する。より詳しくは、論理積演算部13bは、負比較部11bおよび正比較部12bの双方からハイレベル信号が出力された場合に、B系サーボ指令S11Bがバランス点にあることを示すB系バランス点検出信号S17B(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。一方、論理積演算部13bは、負比較部11bおよび正比較部12bの少なくとも一方からローレベル信号が出力された場合は、B系バランス点検出信号S17Bを出力しない(すなわち、ローレベル信号を出力する)。
【0076】
オンディレイタイマ14bは、論理積演算部13bの出力側に接続されている。オンディレイタイマ14bは、論理積演算部13bから出力されたB系バランス点検出信号S17Bを所定時間遅延させて出力することで、出力状態(すなわち、オン状態)が所定時間継続したB系バランス点検出信号S18Bを出力する。
【0077】
以上の構成によれば、B系バランス点検出部101Bは、B系サーボ指令S11Bの値が負比較部11bに設定された上限値と正比較部12bに設定された下限値との間の所定範囲内であるときに、B系サーボ指令S11Bが弁100aの開度を維持するバランス点にあることを示すB系バランス点検出信号S18Bを出力する。
【0078】
[A系開度追従検出部102B]
A系開度追従検出部102Bは、減算器15bと、絶対値演算器16bと、負比較部17bとを有する。
【0079】
減算器15bには、開度指令S12をB系開度異常検出部130Bに入力したB系開度指令S12Bと、A系開度信号S123Aとが入力される。減算器15bは、B系開度指令S12Bの指令値からA系開度信号S123Aの信号値を減じた偏差S19Bを演算し、演算された偏差S19Bを出力する。
【0080】
絶対値演算器16bは、減算器15bの出力側に接続されている。絶対値演算器16bは、減算器15bから出力された偏差S19Bの絶対値S110Bを演算し、演算された絶対値S110Bを出力する。
【0081】
負比較部17bは、絶対値演算器16bの出力側に接続されている。負比較部17bは、絶対値演算器16bから出力された絶対値S110Bが予め設定された上限値よりも小さい場合に、A系開度信号S123AがB系開度指令S12Bに追従していることを示すA系開度追従検出信号S111B(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。一方、負比較部17bは、絶対値S110Bが上限値よりも大きい場合には、A系開度追従検出信号S111Bを出力しない(すなわち、ローレベル信号を出力する)。
【0082】
以上の構成によれば、A系開度追従検出部102Bは、B系開度指令S12BとA系開度信号S123Aとの偏差が所定範囲内であるときに、A系開度追従検出信号S111Bを出力する。
【0083】
[B系開度第1低側推移検出部103B]
B系開度第1低側推移検出部103Bは、減算器18bと、正比較部19bとを有する。
【0084】
減算器18bには、A系開度信号S123Aと、B系開度信号S123Bとが入力される。減算器18bは、A系開度信号S123Aの信号値からB系開度信号S123Bの信号値を減じた偏差S112Bを演算し、演算された偏差S112Bを出力する。
【0085】
正比較部19bは、減算器18bの出力側に接続されている。正比較部19bには、偏差S112Bが入力される。正比較部19bは、入力された偏差S112Bが予め設定された所定値よりも大きい場合に、B系開度信号S123BがA系開度信号S123Aよりも低開度側で推移していることを示すB系開度第1低側推移検出信号S113B(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。一方、正比較部19bは、偏差S112Bが所定値よりも小さい場合には、B系開度第1低側推移検出信号S113Bを出力しない(すなわち、ローレベル信号を出力する)。
【0086】
以上の構成によれば、B系開度第1低側推移検出部103Bは、A系開度信号S123AからB系開度信号S123Bを減じた偏差S112Bが所定値より大きいときに、B系開度第1低側推移検出信号S113Bを出力する。
【0087】
[B系開度第2低側推移検出部104B]
B系開度第2低側推移検出部104Bは、減算器110bと、正比較部111bとを有する。
【0088】
減算器110bには、B系開度指令S12Bと、B系開度信号S123Bとが入力される。減算器110bは、B系開度指令S12Bの指令値からB系開度信号S123Bの信号値を減じた偏差S114Bを演算し、演算された偏差S114Bを出力する。
【0089】
正比較部111bは、減算器110bの出力側に接続されている。正比較部111bには、偏差S114Bが入力される。正比較部111bは、入力された偏差S114Bが予め設定された所定値よりも大きい場合に、B系開度信号S123BがB系開度指令S12Bよりも低開度側で推移していることを示すB系開度第2低側推移検出信号S115B(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。一方、正比較部111bは、偏差S114Bが所定値よりも小さい場合には、B系開度第2低側推移検出信号S115Bを出力しない(すなわち、ローレベル信号を出力する)。
【0090】
以上の構成によれば、B系開度第2低側推移検出部104Bは、B系開度指令S12BからB系開度信号S123Bを減じた偏差S114Bが所定値より大きいときに、B系開度第2低側推移検出信号S115Bを出力する。
【0091】
[B系論理積演算部105B]
B系論理積演算部105Bは、B系バランス点検出部101B、A系開度追従検出部102B、B系開度第1低側推移検出部103BおよびB系開度第2低側推移検出部104Bの出力側に接続されている。
【0092】
B系論理積演算部105Bには、B系バランス点検出部101B、A系開度追従検出部102B、B系開度第1低側推移検出部103BおよびB系開度第2低側推移検出部104Bの出力結果が入力される。B系論理積演算部105Bは、入力された出力結果の論理積を演算し、演算された論理積を出力する。
【0093】
より詳しくは、B系論理積演算部105Bは、B系バランス点検出部101BからB系バランス点検出信号S18B(ハイレベル信号)が入力され、A系開度追従検出部102BからA系開度追従検出信号S111B(ハイレベル信号)が入力され、B系開度第1低側推移検出部103BからB系開度第1低側推移検出信号S113B(ハイレベル信号)が入力され、かつ、B系開度第2低側推移検出部104BからB系開度第2低側推移検出信号S115B(ハイレベル信号)が入力された場合に、ハイレベル信号S117B(すなわち、オン信号)を出力する。
【0094】
一方、B系論理積演算部105Bは、B系バランス点検出信号S18B、A系開度追従検出信号S111B、B系開度第1低側推移検出信号S113BおよびB系開度第2低側推移検出信号S115Bのいずれかが入力されなかった場合には、ローレベル信号(すなわち、オフ信号)を出力する。
【0095】
[B系オンディレイタイマ106B]
B系オンディレイタイマ106Bは、B系論理積演算部105Bの出力側に接続されている。B系オンディレイタイマ106Bは、B系論理積演算部105Bから出力されたハイレベル信号S117Bを所定時間遅延させて出力することで、ハイレベル信号S117Bの出力状態(すなわち、オン状態)が所定時間継続した場合に、B系変圧器10Bの中間線が断線したことを示すB系断線検出信号S116B(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。
【0096】
一方、B系オンディレイタイマ106Bは、B系論理積演算部105Bからローレベル信号が入力された場合またはハイレベル信号S117Bの出力状態が所定時間継続しなかった場合には、B系断線検出信号S116Bを出力しない(すなわち、ローレベル信号を出力する)。
【0097】
[B系論理和演算部107B]
B系論理和演算部107Bは、B系オンディレイタイマ106B、B系アナログ入力ユニット6BおよびB系電源監視部4Bの出力側に接続されている。
【0098】
B系論理和演算部107Bには、B系オンディレイタイマ106B、B系アナログ入力ユニット6BおよびB系電源監視部4Bの出力結果が入力される。B系論理和演算部107Bは、入力された出力結果の論理和を演算し、演算された論理和を出力する。
【0099】
より詳しくは、B系論理和演算部107Bは、B系オンディレイタイマ106BからのB系断線検出信号S116B(ハイレベル信号)の入力、B系アナログ入力ユニット6BからのB系上下逸脱検出信号S118B(ハイレベル信号)の入力、およびB系電源監視部4BからのB系電源異常検出信号S119B(ハイレベル信号)の入力のうちの少なくとも1つがなされた場合に、B系開度信号S123Bが異常であることを示すB系開度異常検出信号S120B(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。
【0100】
一方、B系論理和演算部107Bは、B系断線検出信号S116Bの入力、B系上下逸脱検出信号S118Bの入力、およびB系電源異常検出信号S119Bの入力のいずれもなされなかった場合には、B系開度異常検出信号S120Bを出力しない(すなわち、ローレベル信号を出力する)。
【0101】
以上の構成によれば、B系論理和演算部107Bは、B系バランス点検出信号S18B、A系開度追従検出信号S111B、B系開度第1低側推移検出信号S113BおよびB系開度第2低側推移検出信号S115Bがいずれも出力されたときに、B系開度異常検出信号S120Bを出力する。これにより、B系変圧器10Bの中間線が断線した場合においても、B系開度信号S123Bの異常を検出することができる。
【0102】
より詳しくは、B系論理和演算部107Bは、B系バランス点検出信号S18B、A系開度追従検出信号S111B、B系開度第1低側推移検出信号S113BおよびB系開度第2低側推移検出信号S115Bがオンディレイタイマ14b、106Bによる遅延時間に相当する所定時間継続して出力されたときに、B系開度異常検出信号S120Bを出力する。これにより、サーボ指令S11がバランス点で十分に安定していることが確保された状況下で、正確なB系開度異常検出信号S120Bを出力することができる。
【0103】
また、B系論理和演算部107Bは、B系上下逸脱検出信号S118BによってB系開度信号S123Bの値が所定範囲を逸脱したことが検知されたとき、または、B系電源異常検出信号S119BによってB系励磁電源1Bの異常が検知されたときにも、B系開度異常検出信号S120Bを出力する。
【0104】
[B系信号切替部SW-B]
B系信号切替部SW-Bは、B系論理和演算部107Bの出力側であって高値選択部108の入力側に接続されている。
【0105】
B系信号切替部SW-Bには、B系開度異常検出信号S120Bが入力される。B系信号切替部SW-Bは、B系開度異常検出信号S120Bの入力の有無に応じて高値選択部108への出力をB系開度信号S123Bと最小開度信号の一例であるB系切り離し値S121Bとの間で切り替える。B系切り離し値S121Bは、異常が検出されたB系開度信号S123Bを弁100aの開度制御から切り離すことを意図した信号であり、より詳しくは、高値選択部108で選択されないように弁100aの最小開度を示す信号である。
【0106】
B系信号切替部SW-Bは、B系開度異常検出信号S120Bが出力されたときに、B系開度信号S123Bに替えてB系切り離し値S121Bを高値選択部108に出力する。これにより、B系開度信号S123Bに異常がある場合には、B系開度信号S123Bが弁100aの開度制御に用いられることを確実に防止することができる。
【0107】
一方、B系信号切替部SW-Bは、B系開度異常検出信号S120Bが出力されなかったときには、B系開度信号S123Bを高値選択部108に出力する。
【0108】
(動作例)
次に、第1の実施形態によるタービン制御装置1の動作例について説明する。図3は、第1の実施形態によるタービン制御装置1の動作例を示すフローチャートである。図3のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0109】
先ず、図3に示すように、A系変圧器10AおよびB系変圧器10Bのそれぞれによって弁100aの開度を検出する(ステップS1)。A系変圧器10Aによる開度の検出結果S03Aは、既述したように、A系復調器2Aでの復調、A系アンプ3Aでの変換、A系アナログ入力ユニット6Aでの上下限を逸脱しない旨の判定、およびA系信号切替部SW-Aでの選択を経たうえで、A系開度信号S123Aとして高値選択部108に入力される。B系変圧器10Bによる開度の検出結果S03Bは、既述したように、B系復調器2Bでの復調、B系アンプ3Bでの変換、B系アナログ入力ユニット6Bでの上下限を逸脱しない旨の判定、およびB系信号切替部SW-Bでの選択を経たうえで、B系開度信号S123Bとして高値選択部108に入力される。
【0110】
開度が検出された後、高値選択部108は、A系開度信号S123AおよびB系開度追従検出信号S111Aのうちの信号値が高い高値開度信号S124を選択する(ステップS2)。既述したように、高値選択部108は、高値開度信号S124を減算器7に出力する。減算器7は、第2弁制御部100cの上位のタービン回転数制御部から入力された開度指令S12の指令値から高値開度信号S124の信号値を減じることで開度偏差S014を算出し、算出された開度偏差S014をサーボ指令演算部8に出力する。
【0111】
高値開度信号S124が選択された後、サーボ指令演算部8は、高値開度信号S124とサーボ指令S12とに基づいて減算器7で演算された開度偏差S014を増幅することでサーボ指令S11を演算する(ステップS3)。演算されたサーボ指令S11は、パワーアンプ5によってサーボ電流S016に変換されてサーボ9に入力されることで、弁100aの開度制御に用いられる。サーボ指令S11の指令値が正の場合、弁100aは開動作するように制御され、サーボ指令S11の指令値が負の場合、弁100aは閉動作するように制御される。
【0112】
サーボ指令S11が演算された後、A系開度異常検出部130Aは、A系開度信号S123Aの異常を検出し、B系開度異常検出部130Bは、B系開度信号S123Bの異常を検出する。なお、図3では、A系開度異常検出部130AによるA系開度信号S123Aの異常の検出工程(ステップS4)のみを説明する。
【0113】
先ず、A系バランス点検出部101Aは、A系サーボ指令S11Aが所定時間継続して所定範囲内である場合(ステップS41:Yes)、A系バランス点検出信号S18Aを出力する(ステップS42)。一方、A系バランス点検出部101Aは、A系サーボ指令S11Aが所定時間継続して所定範囲内でない場合(ステップS41:No)、A系バランス点検出信号S18Aを出力しない。
【0114】
また、B系開度追従検出部102Aは、A系開度指令S12AからB系開度信号S123Bを減じた偏差S19Aを演算する(ステップS43)。
【0115】
偏差S19Aを演算した後、B系開度追従検出部102Aは、演算された偏差S19Aが所定範囲内である場合(ステップS44:Yes)、B系開度追従検出信号S111Aを出力する(ステップS45)。一方、B系開度追従検出部102Aは、演算された偏差S19Aが所定範囲内でない場合(ステップS44:No)、B系開度追従検出信号S111Aを出力しない。
【0116】
また、A系開度第1低側推移検出部103Aは、B系開度信号S123BからA系開度信号S123Aを減じた偏差S112Aを演算する(ステップS46)。
【0117】
偏差S112Aを演算した後、A系開度第1低側推移検出部103Aは、演算された偏差S112Aが所定値より大きい場合(ステップS47:Yes)、A系開度第1低側推移検出信号S113Aを出力する(ステップS48)。一方、A系開度第1低側推移検出部103Aは、演算された偏差S112Aが所定値より大きくない場合(ステップS47:No)、A系開度第1低側推移検出信号S113Aを出力しない。
【0118】
また、A系開度第2低側推移検出部104Aは、A系開度指令S12AからA系開度信号S123Aを減じた偏差S114Aを演算する(ステップS49)。
【0119】
偏差S114Aを演算した後、A系開度第2低側推移検出部104Aは、演算された偏差S114Aが所定値より大きい場合(ステップS410:Yes)、A系開度第2低側推移検出信号S115Aを出力する(ステップS411)。一方、A系開度第2低側推移検出部104Aは、演算された偏差S114Aが所定値より大きくない場合(ステップS410:No)、A系開度第2低側推移検出信号S115Aを出力しない。
【0120】
次いで、A系論理和演算部107Aは、A系バランス点検出信号S18A、B系開度追従検出信号S111A、A系開度第1低側推移検出信号S113AおよびA系開度第2低側推移検出信号S115Aが所定時間継続して出力された場合(ステップS412:Yes)、A系開度異常検出信号S120Aを出力する(ステップS413)。一方、A系論理和演算部107Aは、A系バランス点検出信号S18A、B系開度追従検出信号S111A、A系開度第1低側推移検出信号S113AおよびA系開度第2低側推移検出信号S115Aが所定時間継続して出力されなかった場合(ステップS412:No)、A系上下逸脱検出信号S118AまたはA系電源異常検出信号S119Aが出力された場合を除いてA系開度異常検出信号S120Aを出力しない。
【0121】
図示はしないが、B系開度異常検出部130Bにおいても、A系開度異常検出部130Aと同様の工程を経ることで、B系開度信号S123Bの異常をB系開度異常検出信号S120Bとして出力する。
【0122】
図4は、第1の実施形態によるタービン制御装置1が検出できる開度信号の異常を説明するための説明図である。第1の実施形態によるタービン制御装置1は、図4に示すように、A系変圧器10Aの中間線に断線が生じることでA系開度信号S123Aが開度指令S12よりも低開度側で推移する異常が発生したことを有効に検出することができる。なお、図4の例では、B系変圧器10Bの中間線には断線が生じておらず、また、B系開度信号S123Bは、A系開度信号S123Aよりも高値となって弁100aの開度制御に用いられている。また、B系開度信号S123Bは、開度指令S12に追従した値となっている。また、第1の実施形態によるタービン制御装置1は、図4とは逆に、B系変圧器10Bの中間線に断線が生じることでB系開度信号S123Bが開度指令S12よりも低開度側で推移する異常が発生したことも有効に検出することができる。
【0123】
図4の異常が発生した場合、A系開度信号S123Aは、中間開度(例えば、開度50~60%)程度の浮遊した電圧値となり、A系アナログ入力ユニット6Aに設定された上限値および下限値を逸脱しない。したがって、A系変圧器10Aの中間線の断線は、A系上下逸脱検出信号S118Aとして検出することができない。
【0124】
しかるに、第1の実施形態によれば、図4の異常をA系開度異常検出部130Aで検出することができる。具体的には、B系開度追従検出信号S111AによってB系開度信号S123BがA系開度指令S12Aに追従していることを確認する一方で、A系開度第1低側推移検出信号S113AおよびA系開度第2低側推移検出信号S115AによってA系開度信号S123AがB系開度信号S123BおよびA系開度指令S12Aよりも低開度側で推移していることを確認することで、A系開度信号S123Aの異常を有効に検出することができる。また、A系バランス点検出信号S18AによってA系開度指令S12Aがバランス点にあることを確認することで、弁100aの開度が維持されている状況下で、A系開度信号S123Aの異常を正確に検出することができる。
【0125】
以上述べたように、第1の実施形態によれば、変圧器10A、10Bの中間線に断線が生じることで断線した中間線を通る開度信号が開度指令S12よりも低開度側で推移する異常が生じたとしても、その異常を確実に検出することができる。これにより、開度信号の異常の検出精度を向上させることができる。
【0126】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るタービン制御装置1について、第1の実施形態との差異を中心に説明する。
【0127】
図5は、第2の実施形態によるタービン制御装置1において、開度異常検出部130の詳細な構成を示す図である。
【0128】
図5に示すように、第2の実施形態によるタービン制御装置1は、第1の実施形態のタービン制御装置1に対して、開度異常検出部130の構成が相違し、他の構成は一致する。
【0129】
(A系開度異常検出部130A)
第2の実施形態におけるA系開度異常検出部130Aは、A系開度第1高側推移検出部201Aと、A系開度第2高側推移検出部202Aと、第1閉動作検出部203Aとを有する。更に、A系開度異常検出部130Aは、第1の実施形態と同様に、A系論理積演算部105Aと、A系論理和演算部107Aと、A系信号切替部SW-Aとを有する。
【0130】
[A系開度第1高側推移検出部201A]
A系開度第1高側推移検出部201Aは、減算器21aと、正比較部22aとを有する。
【0131】
減算器21aには、A系開度信号S123Aと、A系開度指令S12Aとが入力される。減算器21aは、A系開度信号S123Aの信号値からA系開度指令S12Aの指令値を減じた偏差S23Aを演算し、演算された偏差S23Aを出力する。
【0132】
正比較部22aは、減算器21aの出力側に接続されている。正比較部22aには、偏差S23Aが入力される。正比較部22aは、入力された偏差S23Aが予め設定された所定値よりも大きい場合に、A系開度信号S123AがA系開度指令S12Aよりも高開度側で推移していることを示すA系開度第1高側推移検出信号S24A(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。一方、正比較部22aは、偏差S23Aが所定値よりも小さい場合には、A系開度第1高側推移検出信号S24Aを出力しない(すなわち、ローレベル信号を出力する)。
【0133】
以上の構成によれば、A系開度第1高側推移検出部201Aは、A系開度信号S123AからA系開度指令S12Aを減じた偏差S23Aが所定値より大きいときに、A系開度第1高側推移検出信号S24Aを出力する。
【0134】
[A系開度第2高側推移検出部202A]
A系開度第2高側推移検出部202Aは、減算器23aと、正比較部24aとを有する。
【0135】
減算器23aには、A系開度信号S123Aと、B系開度信号S123Bとが入力される。減算器23aは、A系開度信号S123Aの信号値からB系開度信号S123Bの信号値を減じた偏差S26Aを演算し、演算された偏差S26Aを出力する。
【0136】
正比較部24aは、減算器23aの出力側に接続されている。正比較部24aには、偏差S26Aが入力される。正比較部24aは、入力された偏差S26Aが予め設定された所定値よりも大きい場合に、A系開度信号S123AがB系開度信号S123Bよりも高開度側で推移していることを示すA系開度第2高側推移検出信号S27A(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。一方、正比較部24aは、偏差S26Aが所定値よりも小さい場合には、A系開度第2高側推移検出信号S27Aを出力しない(すなわち、ローレベル信号を出力する)。
【0137】
以上の構成によれば、A系開度第2高側推移検出部202Aは、A系開度信号S123AからB系開度信号S123Bを減じた偏差S26Aが所定値より大きいときに、A系開度第2高側推移検出信号S27Aを出力する。
【0138】
[第1閉動作検出部203A]
第1閉動作検出部203Aは、減算器25aと、正比較部26aとを有する。
【0139】
減算器25aには、A系開度指令S12Aと、B系開度信号S123Bとが入力される。減算器25aは、A系開度指令S12Aの指令値からB系開度信号S123Bの信号値を減じた偏差S28Aを演算し、演算された偏差S28Aを出力する。
【0140】
正比較部26aは、減算器25aの出力側に接続されている。正比較部26aには、偏差S28Aが入力される。正比較部26aは、入力された偏差S28Aが予め設定された所定値よりも大きい場合に、弁100aが閉動作していることを示す第1閉動作検出信号S29A(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。一方、正比較部26aは、偏差S28Aが所定値よりも小さい場合には、第1閉動作検出信号S29Aを出力しない(すなわち、ローレベル信号を出力する)。
【0141】
以上の構成によれば、第1閉動作検出部203Aは、A系開度指令S12AからB系開度信号S123Bを減じた偏差S28Aが所定値より大きいときに、第1閉動作検出信号S29Aを出力する。
【0142】
[A系論理積演算部105A]
A系論理積演算部105Aは、A系開度第1高側推移検出部201A、A系開度第2高側推移検出部202Aおよび第1閉動作検出部203Aの出力側に接続されている。
【0143】
A系論理積演算部105Aには、A系開度第1高側推移検出部201A、A系開度第2高側推移検出部202Aおよび第1閉動作検出部203Aの出力結果が入力される。A系論理積演算部105Aは、入力された出力結果の論理積を演算し、演算された論理積を出力する。
【0144】
より詳しくは、A系論理積演算部105Aは、A系開度第1高側推移検出部201AからA系開度第1高側推移検出信号S24A(ハイレベル信号)が入力され、A系開度第2高側推移検出部202AからA系開度第2高側推移検出信号S27A(ハイレベル信号)が入力され、かつ、第1閉動作検出部203Aから第1閉動作検出信号S29A(ハイレベル信号)が入力された場合に、A系断線検出信号S116A(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。
【0145】
一方、A系論理積演算部105Aは、A系開度第1高側推移検出信号S24A、A系開度第2高側推移検出信号S27Aおよび第1閉動作検出信号S29Aのいずれかが入力されなかった場合には、A系断線検出信号S116Aを出力しない。
【0146】
[A系論理和演算部107A]
A系論理和演算部107Aは、A系論理積演算部105A、A系アナログ入力ユニット6AおよびA系電源監視部4Aの出力側に接続されている。
【0147】
A系論理和演算部107Aには、A系論理積演算部105A、A系アナログ入力ユニット6AおよびA系電源監視部4Aの出力結果が入力される。A系論理和演算部107Aは、入力された出力結果の論理和を演算し、演算された論理和を出力する。
【0148】
より詳しくは、A系論理和演算部107Aは、A系論理積演算部105AからのA系断線検出信号S116A(ハイレベル信号)の入力、A系アナログ入力ユニット6AからのA系上下逸脱検出信号S118A(ハイレベル信号)の入力、およびA系電源監視部4AからのA系電源異常検出信号S119A(ハイレベル信号)の入力のうちの少なくとも1つがなされた場合に、A系開度異常検出信号S120Aを出力する。
【0149】
一方、A系論理和演算部107Aは、A系断線検出信号S116Aの入力、A系上下逸脱検出信号S118Aの入力、およびA系電源異常検出信号S119Aの入力のいずれもなされなかった場合には、A系開度異常検出信号S120Aを出力しない。
【0150】
以上の構成によれば、A系論理和演算部107Aは、A系開度第1高側推移検出信号S24A、A系開度第2高側推移検出信号S27Aおよび第1閉動作検出信号S29Aがいずれも出力されたときに、A系開度異常検出信号S120Aを出力する。
【0151】
(B系開度異常検出部130B)
第2の実施形態におけるB系開度異常検出部130Bは、B系開度第1高側推移検出部201Bと、B系開度第2高側推移検出部202Bと、第2閉動作検出部203Bとを有する。更に、B系開度異常検出部130Bは、第1の実施形態と同様に、B系論理積演算部105Bと、B系論理和演算部107Bと、B系信号切替部SW-Bとを有する。
【0152】
[B系開度第1高側推移検出部201B]
B系開度第1高側推移検出部201Bは、減算器21bと、正比較部22bとを有する。
【0153】
減算器21bには、B系開度信号S123Bと、B系開度指令S12Bとが入力される。減算器21bは、B系開度信号S123Bの信号値からB系開度指令S12Bの指令値を減じた偏差S23Bを演算し、演算された偏差S23Bを出力する。
【0154】
正比較部22bは、減算器21bの出力側に接続されている。正比較部22bには、偏差S23Bが入力される。正比較部22bは、入力された偏差S23Bが予め設定された所定値よりも大きい場合に、B系開度信号S123BがB系開度指令S12Bよりも高開度側で推移していることを示すB系開度第1高側推移検出信号S24B(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。一方、正比較部22bは、偏差S23Bが所定値よりも小さい場合には、B系開度第1高側推移検出信号S24Bを出力しない(すなわち、ローレベル信号を出力する)。
【0155】
以上の構成によれば、B系開度第1高側推移検出部201Bは、B系開度信号S123BからB系開度指令S12Bを減じた偏差S23Bが所定値より大きいときに、B系開度第1高側推移検出信号S24Bを出力する。
【0156】
[B系開度第2高側推移検出部202B]
B系開度第2高側推移検出部202Bは、減算器23bと、正比較部24bとを有する。
【0157】
減算器23bには、B系開度信号S123Bと、A系開度信号S123Aとが入力される。減算器23bは、B系開度信号S123Bの信号値からA系開度信号S123Aの信号値を減じた偏差S26Bを演算し、演算された偏差S26Bを出力する。
【0158】
正比較部24bは、減算器23bの出力側に接続されている。正比較部24bには、偏差S26Bが入力される。正比較部24bは、入力された偏差S26Bが予め設定された所定値よりも大きい場合に、B系開度信号S123BがA系開度信号S123Aよりも高開度側で推移していることを示すB系開度第2高側推移検出信号S27B(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。一方、正比較部24bは、偏差S26Bが所定値よりも小さい場合には、B系開度第2高側推移検出信号S27Bを出力しない(すなわち、ローレベル信号を出力する)。
【0159】
以上の構成によれば、B系開度第2高側推移検出部202Bは、B系開度信号S123BからA系開度信号S123Aを減じた偏差S26Bが所定値より大きいときに、B系開度第2高側推移検出信号S27Bを出力する。
【0160】
[第2閉動作検出部203B]
第2閉動作検出部203Bは、減算器25bと、正比較部26bとを有する。
【0161】
減算器25bには、B系開度指令S12Bと、A系開度信号S123Aとが入力される。減算器25bは、B系開度指令S12Bの指令値からA系開度信号S123Aの信号値を減じた偏差S28Bを演算し、演算された偏差S28Bを出力する。
【0162】
正比較部26bは、減算器25bの出力側に接続されている。正比較部26bには、偏差S28Bが入力される。正比較部26bは、入力された偏差S28Bが予め設定された所定値よりも大きい場合に、弁100aが閉動作していることを示す第2閉動作検出信号S29B(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。一方、正比較部26bは、偏差S28Bが所定値よりも小さい場合には、第2閉動作検出信号S29Bを出力しない(すなわち、ローレベル信号を出力する)。
【0163】
以上の構成によれば、第2閉動作検出部203Bは、B系開度指令S12BからA系開度信号S123Aを減じた偏差S28Bが所定値より大きいときに、第2閉動作検出信号S29Bを出力する。
【0164】
[B系論理積演算部105B]
B系論理積演算部105Bは、B系開度第1高側推移検出部201B、B系開度第2高側推移検出部202Bおよび第2閉動作検出部203Bの出力側に接続されている。
【0165】
B系論理積演算部105Bには、B系開度第1高側推移検出部201B、B系開度第2高側推移検出部202Bおよび第2閉動作検出部203Bの出力結果が入力される。B系論理積演算部105Bは、入力された出力結果の論理積を演算し、演算された論理積を出力する。
【0166】
より詳しくは、B系論理積演算部105Bは、B系開度第1高側推移検出部201BからB系開度第1高側推移検出信号S24B(ハイレベル信号)が入力され、B系開度第2高側推移検出部202BからB系開度第2高側推移検出信号S27B(ハイレベル信号)が入力され、かつ、第2閉動作検出部203Bから第2閉動作検出信号S29B(ハイレベル信号)が入力された場合に、B系断線検出信号S116B(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。
【0167】
一方、B系論理積演算部105Bは、B系開度第1高側推移検出信号S24B、B系開度第2高側推移検出信号S27Bおよび第2閉動作検出信号S29Bのいずれかが入力されなかった場合には、B系断線検出信号S116Bを出力しない。
【0168】
[B系論理和演算部107B]
B系論理和演算部107Bは、B系論理積演算部105B、B系アナログ入力ユニット6BおよびB系電源監視部4Bの出力側に接続されている。
【0169】
B系論理和演算部107Bには、B系論理積演算部105B、B系アナログ入力ユニット6BおよびB系電源監視部4Bの出力結果が入力される。B系論理和演算部107Bは、入力された出力結果の論理和を演算し、演算された論理和を出力する。
【0170】
より詳しくは、B系論理和演算部107Bは、B系論理積演算部105BからのB系断線検出信号S116B(ハイレベル信号)の入力、B系アナログ入力ユニット6BからのB系上下逸脱検出信号S118B(ハイレベル信号)の入力、およびB系電源監視部4BからのB系電源異常検出信号S119B(ハイレベル信号)の入力のうちの少なくとも1つがなされた場合に、B系開度異常検出信号S120Bを出力する。
【0171】
一方、B系論理和演算部107Bは、B系断線検出信号S116Bの入力、B系上下逸脱検出信号S118Bの入力、およびB系電源異常検出信号S119Bの入力のいずれもなされなかった場合には、B系開度異常検出信号S120Bを出力しない。
【0172】
以上の構成によれば、B系論理和演算部107Bは、B系開度第1高側推移検出信号S24B、B系開度第2高側推移検出信号S27Bおよび第2閉動作検出信号S29Bがいずれも出力されたときに、B系開度異常検出信号S120Bを出力する。
【0173】
(動作例)
次に、第2の実施形態によるタービン制御装置1の動作例について説明する。図6は、第2の実施形態によるタービン制御装置1の動作例を示すフローチャートである。図6のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0174】
図6のフローチャートは、ステップS1からステップS3までは既述した図3のステップS1からステップS3と同じであるので、ここでは、A系開度異常検出工程(ステップS4a)のみを説明する。
【0175】
先ず、A系開度第1高側推移検出部201Aは、A系開度信号S123AからA系開度指令S12Aを減じた偏差S23Aを演算する(ステップS41a)。
【0176】
偏差S23Aを演算した後、A系開度第1高側推移検出部201Aは、演算された偏差S23Aが所定値より大きい場合(ステップS42a:Yes)、A系開度第1高側推移検出信号S24Aを出力する(ステップS43a)。一方、A系開度第1高側推移検出部201Aは、演算された偏差S24Aが所定値より大きくない場合(ステップS42a:No)、A系開度第1高側推移検出信号S24Aを出力しない。
【0177】
また、A系開度第2高側推移検出部202Aは、A系開度信号S123AからB系開度信号S123Bを減じた偏差S26Aを演算する(ステップS44a)。
【0178】
偏差S26Aを演算した後、A系開度第2高側推移検出部202Aは、演算された偏差S26Aが所定値より大きい場合(ステップS45a:Yes)、A系開度第2高側推移検出信号S27Aを出力する(ステップS46a)。一方、A系開度第2高側推移検出部202Aは、演算された偏差S26Aが所定値より大きくない場合(ステップS45a:No)、A系開度第2高側推移検出信号S27Aを出力しない。
【0179】
また、第1閉動作検出部203Aは、A系開度指令S12AからB系開度信号S123Bを減じた偏差S28Aを演算する(ステップS47a)。
【0180】
偏差S28Aを演算した後、第1閉動作検出部203Aは、演算された偏差S28Aが所定値より大きい場合(ステップS48a:Yes)、第1閉動作検出信号S29Aを出力する(ステップS49a)。一方、第1閉動作検出部203Aは、演算された偏差S28Aが所定値より大きくない場合(ステップS48a:No)、第1閉動作検出信号S29Aを出力しない。
【0181】
次いで、A系論理和演算部107Aは、A系開度第1高側推移検出信号S24A、A系開度第2高側推移検出信号S27Aおよび第1閉動作検出信号S29Aが出力された場合(ステップS410a:Yes)、A系開度異常検出信号S120Aを出力する(ステップS411a)。一方、A系論理和演算部107Aは、A系開度第1高側推移検出信号S24A、A系開度第2高側推移検出信号S27Aおよび第1閉動作検出信号S29Aのいずれかが出力されなかった場合(ステップS410a:No)、A系上下逸脱検出信号S118AまたはA系電源異常検出信号S119Aが出力された場合を除いてA系開度異常検出信号S120Aを出力しない。
【0182】
図示はしないが、B系開度異常検出部130Bにおいても、A系開度異常検出部130Aと同様の工程を経ることで、B系開度信号S123Bの異常をB系開度異常検出信号S120Bとして出力する。
【0183】
図7は、第2の実施形態によるタービン制御装置1が検出できる開度信号の異常を説明するための説明図である。第2の実施形態によるタービン制御装置1は、図7に示すように、A系変圧器10Aの中間線に断線が生じることでA系開度信号S123Aが開度指令S12および正常なB系開度信号S123Bよりも高開度側で推移する異常が発生したことを有効に検出することができる。また、第2の実施形態によるタービン制御装置1は、図7とは逆に、B系変圧器10Bの中間線に断線が生じることでB系開度信号S123Bが開度指令S12および正常なA系開度信号S123Aよりも高開度側で推移する異常が発生したことも有効に検出することができる。
【0184】
図7の異常が発生した場合、A系開度信号S123Aは、中間開度程度の浮遊した電圧値となり、A系アナログ入力ユニット6Aに設定された上限値および下限値を逸脱しないため、A系変圧器10Aの中間線の断線は、A系上下逸脱検出信号S118Aとして検出することができない。
【0185】
また、異常を有するA系開度信号S123Aは、正常なB系開度信号S123Bよりも高値であるため、異常であるにもかかわらずA系開度信号S123Aが弁100aの開度制御に用いられてしまう。また、A系開度信号S123Aが開度指令S12よりも高開度であるため、開度指令S12からA系開度信号S123Aを減じた開度偏差S014は負値となり、これにより、サーボ指令S11の指令値は、弁100aの閉動作を指令する負値となる。サーボ指令S11が負値となることで、弁100aが全閉状態まで閉動作され続け、これにともなって、正常なB系変圧器10Bによって、閉側に遷移するB系開度信号S123Bが検出される。このように、異常を有するA系開度信号S123Aに基づいて弁100aが閉動作される場合、タービン制御装置1の回転数および蒸気圧力を適切に制御することができない。
【0186】
しかるに、第2の実施形態によれば、図7の異常をA系開度異常検出部130Aで検出することができる。具体的には、A系開度第1高側推移検出信号S24AおよびA系開度第2高側推移検出信号S27AによってA系開度信号S123AがA系開度指令S12AおよびB系開度信号S123Bよりも高開度側で推移し、かつ、第1閉動作検出信号S29Aによって弁100aが閉動作していることを確認することで、A系開度信号S123Aの異常を有効に検出することができる。そして、異常を有するA系開度信号S123Aを、A系信号切替部SW-Aによって弁100aの開度制御から切り離すことができる。
【0187】
以上述べたように、第2の実施形態によれば、変圧器10A、10Bの中間線に断線が生じることで断線した中間線を通る開度信号が開度指令S12および正常な開度信号よりも高開度側で推移する異常が生じたとしても、その異常を確実に検出することができる。これにより、開度信号の異常の検出精度を向上させることができる。
【0188】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るタービン制御装置1について、第1の実施形態および第2の実施形態との差異を中心に説明する。
【0189】
図8は、第3の実施形態によるタービン制御装置1において、開度異常検出部130の詳細な構成を示す図である。
【0190】
図8に示すように、第3の実施形態によるタービン制御装置1は、第2の実施形態のタービン制御装置1に対して、開度異常検出部130の一部の構成が相違し、他の構成は一致する。
【0191】
(A系開度異常検出部130A)
第3の実施形態におけるA系開度異常検出部130Aは、第2の実施形態におけるA系開度第1高側推移検出部201Aに替えて、A系アンバランス検出部301Aと、B系開度非追従検出部302Aとを有する。
【0192】
[A系アンバランス検出部301A]
A系アンバランス検出部301Aは、負比較部31aと、正比較部32aと、論理積演算部33aと、論理反転部34aと、オフディレイタイマ35aと、オンディレイタイマ36aとを有する。
【0193】
負比較部31aには、A系サーボ指令S11Aが入力される。負比較部31aは、入力されたA系サーボ指令S11Aがバランス点の上限値よりも小さい場合に、A系サーボ指令S11Aがバランス点の上限値よりも小さいことを示すハイレベル信号S32Aを出力する。一方、負比較部31aは、入力されたA系サーボ指令S11Aがバランス点の上限値よりも大きい場合に、ローレベル信号を出力する。
【0194】
正比較部32aは、負比較部31aと並列接続されている。正比較部32aにも、A系サーボ指令S11Aが入力される。正比較部32aは、入力されたA系サーボ指令S11Aがバランス点の下限値よりも大きい場合(すなわち、正の場合)に、A系サーボ指令S11Aがバランス点の下限値よりも大きいことを示すハイレベル信号S33Aを出力する。一方、正比較部32aは、入力されたA系サーボ指令S11Aがバランス点の下限値よりも小さい場合に、ローレベル信号を出力する。
【0195】
論理積演算部33aは、負比較部31aおよび正比較部32aの出力側に接続されている。論理積演算部33aは、負比較部31aの出力結果と正比較部32aの出力結果との論理積を演算し、演算結果S34Aを出力する。より詳しくは、論理積演算部33aは、負比較部31aおよび正比較部32aの双方からハイレベル信号が出力された場合に、A系サーボ指令S11Aがバランス点にあることを示すA系バランス点検出信号すなわちハイレベル信号を出力する。一方、論理積演算部33aは、負比較部31aおよび正比較部32aの少なくとも一方からローレベル信号が出力された場合は、A系バランス点検出信号を出力しない(すなわち、ローレベル信号を出力する)。
【0196】
論理反転部34aは、論理積演算部33aの出力側に接続されている。論理反転部34aは、論理積演算部33aの出力結果S34Aを論理反転し、論理反転結果S35Aを出力する。より詳しくは、論理反転部34aは、論理積演算部33aからA系バランス点検出信号(ハイレベル信号)が出力された場合に、A系バランス点検出信号を論理反転したローレベル信号を出力する。一方、論理反転部34aは、論理積演算部33aからローレベル信号が出力された場合に、ローレベル信号を論理反転することで、A系サーボ指令S11Aが弁100aの開度を維持するバランス点にないことを示すA系アンバランス検出信号(ハイレベル信号)を出力する。
【0197】
オフディレイタイマ35aは、論理反転部34aの出力側に接続されている。オフディレイタイマ35aは、論理反転部34aから出力されたローレベル信号を所定時間遅延させて出力し、論理反転部34aから出力されたA系アンバランス検出信号(ハイレベル信号)を遅延させずに出力する。
【0198】
オンディレイタイマ36aは、オフディレイタイマ35aの出力側に接続されている。オンディレイタイマ36aは、オフディレイタイマ35aから出力されたA系アンバランス検出信号(ハイレベル信号)を所定時間遅延させて出力することで、出力状態(すなわち、オン状態)が所定時間継続したA系アンバランス検出信号S37Aを出力する。
【0199】
以上の構成によれば、A系アンバランス検出部301Aは、A系サーボ指令S11Aの値が負比較部31aに設定された上限値と正比較部32aに設定された下限値との間の所定範囲外であるときに、A系サーボ指令S11Aが弁100aの開度を維持するバランス点にないことを示すA系アンバランス検出信号S37Aを出力する。
【0200】
[B系開度非追従検出部302A]
B系開度非追従検出部302Aは、減算器37aと、負比較部38aと、論理反転部39aとを有する。
【0201】
減算器37aには、A系開度指令S12Aと、B系開度信号S123Bとが入力される。減算器37aは、A系開度指令S12Aの指令値からB系開度信号S123Bの信号値を減じた偏差S310Aを演算し、演算された偏差S310Aを出力する。
【0202】
負比較部38aは、減算器37aの出力側に接続されている。負比較部38aは、減算器37aから出力された偏差S310Aが予め設定された上限値よりも小さい場合に、B系開度信号S123BがA系開度指令S12Aに追従していることを示すB系開度追従検出信号(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。一方、負比較部38aは、偏差S310Aが上限値よりも大きい場合には、ローレベル信号を出力する。
【0203】
論理反転部39aは、負比較部38aの出力側に接続されている。論理反転部39aは、負比較部38aの出力結果S311Aを論理反転し、論理反転結果を出力する。より詳しくは、論理反転部39aは、負比較部38aからローレベル信号が出力された場合に、ローレベル信号を論理反転することで、B系開度信号S123BがA系開度指令S12Aに追従していないことを示すB系開度非追従検出信号S312A(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。一方、論理反転部39aは、負比較部38aからB系開度追従検出信号が出力された場合には、B系開度追従検出信号を論理反転することでローレベル信号を出力する。
【0204】
以上の構成によれば、B系開度非追従検出部302Aは、A系開度指令S12AとB系開度信号S123Bとの偏差が所定範囲外であるときに、B系開度非追従検出信号S312Aを出力する。
【0205】
以上の構成によれば、A系論理和演算部107Aは、A系アンバランス検出信号S37A、B系開度非追従検出信号S312A、A系開度第2高側推移検出信号S27Aおよび第1閉動作検出信号S29Aがいずれも出力されたときに、A系開度異常検出信号S120Aを出力する。これにより、A系変圧器10Aの中間線が断線した場合においても、A系開度信号S123Aの異常を検出することができる。
【0206】
より詳しくは、A系論理和演算部107Aは、A系アンバランス検出信号S37A、B系開度非追従検出信号S312A、A系開度第2高側推移検出信号S27Aおよび第1閉動作検出信号S29Aがオンディレイタイマ36aで付与された遅延時間に相当する所定時間継続して出力されたときに、A系開度異常検出信号S120Aを出力する。これにより、サーボ指令S11が不安定であることが確保された状況下で、正確なA系開度異常検出信号S120Aを出力することができる。
【0207】
(B系開度異常検出部130B)
第3の実施形態におけるB系開度異常検出部130Bは、第2の実施形態におけるB系開度第1高側推移検出部201Bに替えて、B系アンバランス検出部301Bと、A系開度非追従検出部302Bとを有する。
【0208】
[B系アンバランス検出部301B]
B系アンバランス検出部301Bは、負比較部31bと、正比較部32bと、論理積演算部33bと、論理反転部34bと、オフディレイタイマ35bと、オンディレイタイマ36bとを有する。
【0209】
負比較部31bには、B系サーボ指令S11Bが入力される。負比較部31bは、入力されたB系サーボ指令S11Bがバランス点の上限値よりも小さい場合に、B系サーボ指令S11Bがバランス点の上限値よりも小さいことを示すハイレベル信号S32Bを出力する。一方、負比較部31bは、入力されたB系サーボ指令S11Bがバランス点の上限値よりも大きい場合に、ローレベル信号を出力する。
【0210】
正比較部32bは、負比較部31bと並列接続されている。正比較部32bにも、B系サーボ指令S11Bが入力される。正比較部32bは、入力されたB系サーボ指令S11Bがバランス点の下限値よりも大きい場合(すなわち、正の場合)に、B系サーボ指令S11Bがバランス点の下限値よりも大きいことを示すハイレベル信号S33Bを出力する。一方、正比較部32bは、入力されたB系サーボ指令S11Bがバランス点の下限値よりも小さい場合に、ローレベル信号を出力する。
【0211】
論理積演算部33bは、負比較部31bおよび正比較部32bの出力側に接続されている。論理積演算部33bは、負比較部31bの出力結果と正比較部32bの出力結果との論理積を演算し、演算結果S34Bを出力する。より詳しくは、論理積演算部33bは、負比較部31bおよび正比較部32bの双方からハイレベル信号が出力された場合に、B系サーボ指令S11Bがバランス点にあることを示すB系バランス点検出信号(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。一方、論理積演算部33bは、負比較部31bおよび正比較部32bの少なくとも一方からローレベル信号が出力された場合は、B系バランス点検出信号を出力しない(すなわち、ローレベル信号を出力する)。
【0212】
論理反転部34bは、論理積演算部33bの出力側に接続されている。論理反転部34bは、論理積演算部33bの出力結果S34Bを論理反転し、論理反転結果S35Bを出力する。より詳しくは、論理反転部34bは、論理積演算部33bからB系バランス点検出信号(ハイレベル信号)が出力された場合に、B系バランス点検出信号を論理反転したローレベル信号を出力する。一方、論理反転部34bは、論理積演算部33bからローレベル信号が出力された場合に、ローレベル信号を論理反転することで、B系サーボ指令S11Bが弁100aの開度を維持するバランス点にないことを示すB系アンバランス検出信号(ハイレベル信号)を出力する。
【0213】
オフディレイタイマ35bは、論理反転部34bの出力側に接続されている。オフディレイタイマ35bは、論理反転部34bから出力されたローレベル信号を所定時間遅延させて出力し、論理反転部34bから出力されたA系アンバランス検出信号(ハイレベル信号)を遅延させずに出力する。
【0214】
オンディレイタイマ36bは、オフディレイタイマ35bの出力側に接続されている。オンディレイタイマ36bは、オフディレイタイマ35bから出力されたA系アンバランス検出信号(ハイレベル信号)を所定時間遅延させて出力することで、出力状態(すなわち、オン状態)が所定時間継続したA系アンバランス検出信号S37Bを出力する。
【0215】
以上の構成によれば、B系アンバランス検出部301Bは、B系サーボ指令S11Bの値が負比較部31bに設定された上限値と正比較部32aに設定された下限値との間の所定範囲外であるときに、B系サーボ指令S11Bが弁100aの開度を維持するバランス点にないことを示すB系アンバランス検出信号S37Bを出力する。
【0216】
[A系開度非追従検出部302B]
A系開度非追従検出部302Bは、減算器37bと、負比較部38bと、論理反転部39bとを有する。
【0217】
減算器37bには、B系開度指令S12Bと、A系開度信号S123Aとが入力される。減算器37bは、B系開度指令S12Bの指令値からA系開度信号S123Aの信号値を減じた偏差S310Bを演算し、演算された偏差S310Bを出力する。
【0218】
負比較部38bは、減算器37bの出力側に接続されている。負比較部38bは、減算器37bから出力された偏差S310Bが予め設定された上限値よりも小さい場合に、A系開度信号S123AがB系開度指令S12Bに追従していることを示すA系開度追従検出信号(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。一方、負比較部38bは、偏差S310Bが上限値よりも大きい場合には、ローレベル信号を出力する。
【0219】
論理反転部39bは、負比較部38bの出力側に接続されている。論理反転部39bは、負比較部38bの出力結果S311Bを論理反転し、論理反転結果を出力する。より詳しくは、論理反転部39bは、負比較部38bからローレベル信号が出力された場合に、ローレベル信号を論理反転することで、A系開度信号S123AがB系開度指令S12Bに追従していないことを示すA系開度非追従検出信号S312B(すなわち、ハイレベル信号)を出力する。一方、論理反転部39bは、負比較部38bからA系開度追従検出信号が出力された場合には、A系開度追従検出信号を論理反転することでローレベル信号を出力する。
【0220】
以上の構成によれば、A系開度非追従検出部302Bは、B系開度指令S12BとA系開度信号S123Aとの偏差が所定範囲外であるときに、A系開度非追従検出信号S312Bを出力する。
【0221】
以上の構成によれば、B系論理和演算部107Bは、B系アンバランス検出信号S37B、A系開度非追従検出信号S312B、B系開度第2高側推移検出信号S27Bおよび第2閉動作検出信号S29Bがいずれも出力されたときに、B系開度異常検出信号S120Bを出力する。これにより、B系変圧器10Bの中間線が断線した場合においても、B系開度信号S123Bの異常を検出することができる。
【0222】
より詳しくは、B系論理和演算部107Bは、B系アンバランス検出信号S37B、A系開度非追従検出信号S312B、B系開度第2高側推移検出信号S27Bおよび第2閉動作検出信号S29Bがオンディレイタイマ36bによる遅延時間に相当する所定時間継続して出力されたときに、B系開度異常検出信号S120Bを出力する。これにより、サーボ指令S11が不安定であることが確保された状況下で、正確なB系開度異常検出信号S120Bを出力することができる。
【0223】
(動作例)
次に、第3の実施形態によるタービン制御装置1の動作例について説明する。図9は、第3の実施形態によるタービン制御装置1の動作例を示すフローチャートである。図9のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0224】
図9のフローチャートは、ステップS1からステップS3までは既述した図3のステップS1からステップS3と同じであるので、ここでは、A系開度異常検出工程(ステップS4b)のみを説明する。
【0225】
先ず、A系アンバランス検出部301Aは、A系サーボ指令S11Aが所定時間継続して所定範囲外である場合(ステップS41b:Yes)、A系アンバランス検出信号S37Aを出力する(ステップS42b)。一方、A系アンバランス検出部301Aは、A系サーボ指令S11Aが所定時間継続して所定範囲外でない場合(ステップS41b:No)、A系アンバランス検出信号S37Aを出力しない。
【0226】
また、B系開度非追従検出部302Aは、A系開度指令S12AからB系開度信号S123Bを減じた偏差S310Aを演算する(ステップS44b)。
【0227】
偏差S310Aを演算した後、B系開度非追従検出部302Aは、演算された偏差S310Aが所定範囲外である場合(ステップS44b:Yes)、B系開度非追従検出信号S312Aを出力する(ステップS45b)。一方、B系開度非追従検出部302Aは、演算された偏差S310Aが所定範囲内である場合(ステップS44b:No)、B系開度非追従検出信号S312Aを出力しない。
【0228】
また、A系開度第2高側推移検出部202Aは、A系開度信号S123AからB系開度信号S123Bを減じた偏差S26Aを演算する(ステップS46b)。
【0229】
偏差S26Aを演算した後、A系開度第2高側推移検出部202Aは、演算された偏差S26Aが所定値より大きい場合(ステップS47b:Yes)、A系開度第2高側推移検出信号S27Aを出力する(ステップS48b)。一方、A系開度第2高側推移検出部202Aは、演算された偏差S26Aが所定値より大きくない場合(ステップS47b:No)、A系開度第2高側推移検出信号S27Aを出力しない。
【0230】
また、第1閉動作検出部203Aは、A系開度指令S12AからB系開度信号S123Bを減じた偏差S28Aを演算する(ステップS49b)。
【0231】
偏差S28Aを演算した後、第1閉動作検出部203Aは、演算された偏差S28Aが所定値より大きい場合(ステップS410b:Yes)、第1閉動作検出信号S29Aを出力する(ステップS411b)。一方、第1閉動作検出部203Aは、演算された偏差S28Aが所定値より大きくない場合(ステップS410b:No)、第1閉動作検出信号S29Aを出力しない。
【0232】
次いで、A系論理和演算部107Aは、A系アンバランス検出信号S37A、B系開度非追従検出信号S312A、A系開度第2高側推移検出信号S27Aおよび第1閉動作検出信号S29Aが出力された場合(ステップS412b:Yes)、A系開度異常検出信号S120Aを出力する(ステップS413b)。一方、A系論理和演算部107Aは、A系アンバランス検出信号S37A、B系開度非追従検出信号S312A、A系開度第2高側推移検出信号S27Aおよび第1閉動作検出信号S29Aのいずれかが出力されなかった場合(ステップS412b:No)、A系上下逸脱検出信号S118AまたはA系電源異常検出信号S119Aが出力された場合を除いてA系開度異常検出信号S120Aを出力しない。
【0233】
図示はしないが、B系開度異常検出部130Bにおいても、A系開度異常検出部130Aと同様の工程を経ることで、B系開度信号S123Bの異常をB系開度異常検出信号S120Bとして出力する。
【0234】
図10は、第3の実施形態によるタービン制御装置1が検出できる開度信号の異常を説明するための説明図である。第3の実施形態によるタービン制御装置1は、図10に示すように、開度信号で検出された弁100aの開度に応じて開度指令を変更することによって弁100aで開閉される流路を通る蒸気の圧力を制御する圧力制御を行っている際に、A系変圧器10Aの中間線の断線によってA系開度信号S123Aが正常なB系開度信号S123Bよりも高開度側で推移する異常が発生したことを有効に検出することができる。また、第3の実施形態によるタービン制御装置1は、図10とは逆に、圧力制御中において、B系変圧器10Bの中間線の断線によってB系開度信号S123Bが正常なA系開度信号S123Aよりも高開度側で推移する異常が発生したことを有効に検出することができる。
【0235】
図10の異常が発生した場合、A系開度信号S123Aは、中間開度程度の浮遊した電圧値となり、A系アナログ入力ユニット6Aに設定された上限値および下限値を逸脱しないため、A系変圧器10Aの中間線の断線は、A系上下逸脱検出信号S118Aとして検出することができない。
【0236】
また、異常を有するA系開度信号S123Aが開度指令S12よりも高開度となる期間では、開度指令S12からA系開度信号S123Aを減じた開度偏差S014は負値となり、これにより、サーボ指令S11の指令値は、弁100aの閉動作を指令する負値となる。サーボ指令S11が負値となることで、弁100aが閉動作される。
【0237】
弁100aが閉動作されると、蒸気の圧力が上昇するため、圧力制御を行う上位装置(回転数制御部)は、圧力を下げるように弁100aを開動作させるための開度指令S12を出力する。そして、開度指令がA系開度信号S123Aを上回ったタイミングで、弁100aが開動作し始める。
【0238】
弁100aが開動作されると、蒸気の圧力が下降するため、上位装置は、今度は圧力を上げるように弁100aを閉動作させるための開度指令S12を出力する。そして、開度指令S12がA系開度指令S12Aを下回ったタイミングで、弁100aが閉動作し始める。
【0239】
このように、異常を有するA系開度信号S123Aが中間開度程度の電圧値に留まり、なおかつ、弁100aの開度制御に用いられることで、弁100aが開閉を繰り返すハンチングが生じてしまう。ハンチングが生じることで、タービンの回転およびこれにともなって発生する電力が不安定となってしまう。
【0240】
しかるに、第3の実施形態によれば、図10の異常をA系開度異常検出部130Aで検出することができる。具体的には、A系アンバランス検出信号S37Aによってサーボが安定しないことを確認し、B系開度非追従検出信号S312AによってB系開度信号S123Bが開度指令S12に追従していないことを確認し、A系開度第2高側推移検出信号S27AによってA系開度信号S123AがB系開度信号S123Bよりも高開度側で推移し、かつ、第1閉動作検出信号S29Aによって弁100aが閉動作していることを確認することで、A系開度信号S123Aの異常を有効に検出することができる。
【0241】
以上述べたように、第3の実施形態によれば、圧力制御中において、変圧器10A、10Bの中間線の断線によって断線した中間線を通る開度信号が正常な開度信号よりも高開度側で推移する異常が生じたとしても、その異常を確実に検出することができる。これにより、開度信号の異常の検出精度を向上させることができる。
【0242】
本実施形態によるタービン制御装置1の少なくとも一部は、ハードウェア(例えば、回路)で構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、タービン制御装置1の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD-ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。また、タービン制御装置1の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0243】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0244】
1 タービン制御装置、10A A系変圧器、10B B系変圧器、108 高値選択部、130 開度異常検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10