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7075350裂開部によって接続された羽根を有する吸収マット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】裂開部によって接続された羽根を有する吸収マット
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/476 20060101AFI20220518BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20220518BHJP
   A61F 13/472 20060101ALI20220518BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20220518BHJP
   A61F 5/48 20060101ALI20220518BHJP
   A47G 9/04 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
A61F13/476
A61F13/15 220
A61F13/15 355A
A61F13/15 355B
A61F13/15 360
A61F13/15 331
A61F13/472
A61F13/56 110
A61F5/48
A47G9/04
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018557021
(86)(22)【出願日】2017-04-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2017060189
(87)【国際公開番号】W WO2017186909
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-04-28
(31)【優先権主張番号】1607362.9
(32)【優先日】2016-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1613422.3
(32)【優先日】2016-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518379049
【氏名又は名称】テクノウェブ マテリアルズ エッセ.エッレ.エッレ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザムポッロ、ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】ガッリアルディ、イヴァーノ
【審査官】津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-240455(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02962669(EP,A1)
【文献】特表2010-527668(JP,A)
【文献】米国特許第04445242(US,A)
【文献】特開2010-088574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
A61F 5/48
A47G 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザとしての人(1)のための支持体(500)上に配置されるためのベッドパッドまたは着替えマットからなる群より選択される吸収マット(100)であって、
前記吸収マット(100)はデカルト座標において、
縦または長さまたはx-方向、
幅またはy-方向、
前記長さ方向および前記幅方向に垂直な厚さまたはz-方向、および
縦に延在する中心線(104)
を呈し、
前記吸収マット(100)は、
(i)前記吸収マットの長さ、幅、および厚さ方向に揃えられた長さ、幅(217)、および厚さ(215)方向を呈し、
その長さおよび幅(216)伸長よりもかなり小さい厚さ伸長(214)を有し、
使用中にユーザの方に向けられるようになっている第1の表面(212)を有し、
前記第1の表面(212)に反対側の第2の表面(218)を有する、
吸収性構造体(210)と、
(ii)前記吸収性構造体(210)の前記第1の表面(212)上に配置された液体透過性のトップシート(220)と、
(iii)前記トップシート(220)のz方向反対側の前記吸収性構造体(210)の前記第2の表面(218)上に配置された液体不透過性のバックシート(230)と、
を備える吸収性複合体(200)を備え、
前記吸収性複合体(200)は、前記吸収マットの前記縦に延在する中心線(104)の反対に位置する縦に延在する第1の側方サイドマージン領域(211)および縦に延在する第2の側方サイドマージン領域(219)を呈し、
前記吸収マット(100)は第1羽根(310)および第2羽根(320)をさらに備え、
羽根材料のウェブに対して機械方向に略平行な裂開部(350)をさらに備え、前記裂開部(350)は前記第1羽根(310)および前記第2羽根(320)を区切り、
前記第1羽根(310)は、
前記吸収性複合体(200)の前記縦に延在する第1の側方サイドマージン領域(211)と少なくとも部分的に重なり合う位置にある第1の第1羽根サイドマージン領域(312)と、
前記第1の第1羽根サイドマージン領域(312)の外側の縦に延在する第2の第1羽根サイドマージン(318)と、
を呈し、
前記第1羽根(310)は、前記第1の第1羽根サイドマージン領域(312)内の接続部(361)によって、接着剤、または熱、圧力、摩擦、および超音波からなる群より選択される1つ以上のエネルギー源を適用することにより、前記吸収性複合体(200)の前記縦に延在する第1の側方サイドマージン領域(211)に接続されており、
前記第2羽根(320)は、
前記吸収性複合体(200)の前記縦に延在する第2の側方サイドマージン領域(219)と少なくとも部分的に重なり合う位置にある第1の第2羽根サイドマージン領域(322)と、前記第1の第2羽根サイドマージン領域(322)の外側の縦に延在する第2の第2羽根サイドマージン(328)と、を呈し、
前記第1の第2羽根サイドマージン領域(322)内の接続部(362)によって、接着剤、または熱、圧力、摩擦、および超音波からなる群より選択される1つ以上のエネルギー源を適用することにより、前記吸収性複合体(200)の前記縦に延在する第2の側方サイドマージン領域(219)に接続されており、
前記吸収性複合体(200)の前記縦に延在する第1の側方サイドマージン領域(211)と前記縦に延在する第2の側方サイドマージン領域(219)で、前記第1羽根(310)および前記第2羽根(320)は、前記吸収性複合体(200)に接続するように配置され、
前記吸収マット(100)は、前記第1羽根(310)および前記第2羽根(320)の少なくとも一部が、それぞれ前記第1の第1羽根サイドマージン(312)および前記第1の第2羽根サイドマージン領域(322)から前記吸収マットの前記縦に延在する中心線(104)に向かってy方向に延在し、
前記第2の第1羽根サイドマージン(318)および前記第2の第2羽根サイドマージン(328)が、前記縦中心線(104)と基本的に平行に延在する裂開部(350)に沿って互いに接続されている、
製造構成から、
前記第1(310)および前記第2(320)羽根が、前記裂開部(350)に沿って互いに分離しており、
前記第2の第1羽根サイドマージン(318)および
前記第2の第2羽根サイドマージン(328)
の少なくとも一部が、それぞれ
(a)前記吸収性複合体(200)の前記バックシート(230)側に、または
(b)前記縦に延在する第1および第2の側方サイドマージン領域(211、219)の側方外向きに、配置される、
使用構成に変換されるようになっている、
吸収マット(100)。
【請求項2】
前記裂開部は、一般に長さ方向に脆弱部である、請求項1に記載の吸収マット。
【請求項3】
前記第1羽根(310)および前記第2羽根(320)の前記接続部は、線、ドット、として実行される、請求項に記載の吸収マット。
【請求項4】
前記接続部は領域として実行される、請求項に記載の吸収マット。
【請求項5】
前記吸収性複合体(200)は予備成形されている、請求項1に記載の吸収マット。
【請求項6】
前記製造構成において、前記裂開部(350)は、前記吸収性複合体の前記トップシート側に配置される、請求項1に記載の吸収マット。
【請求項7】
前記製造構成において、前記裂開部(350)は、前記吸収性複合体の前記バックシート側に配置される、請求項1に記載の吸収マット。
【請求項8】
前記第1羽根(310)および前記第2羽根(320)は、ジグザグまたは経本折りで畳まれる、請求項1に記載の吸収マット。
【請求項9】
羽根(300)は、前記縦に延在する第1の第1羽根サイドマージン領域(312)において前記吸収性複合体(200)に接続され、前記第1の第2羽根サイドマージン領域(318)において前記トップシート(220)に接続される、請求項1に記載の吸収マット。
【請求項10】
前記羽根(300)は、前記使用構成において前記吸収性複合体(200)のサイドシールラッピングを形成するようになっているような、請求項に記載の吸収マット。
【請求項11】
前記羽根(300)は基本的に、液体不透過性だが空気透過性の材料から作られる、請求項1に記載の吸収マット。
【請求項12】
前記支持体はマットレスである、請求項1に記載の吸収マット。
【請求項13】
請求項1から1のいずれかに記載の吸収マットを支持体に適用する方法であって、前記方法は、前記第1羽根および前記第2羽根を前記裂開部に沿って互いに分離するステップを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば下層の支持体を汚れから保護するための、ベッドパッドまたは着替えマットなどの吸収マット、ならびにこのようなパッドまたはマットの形成方法である。
【背景技術】
【0002】
マットまたはパッドが上に置かれる支持体の汚れを防止するためのこのようなマットまたはパッドは当該技術分野において周知であり、たとえば、液体透過性および不透過性の層の間に包まれた吸収層を備えるベッド用のアンダーパッドを記載している米国特許第4097943号明細書、またはおむつ替えマットを記載している国際公開第20060431151号パンフレットを参照されたい。パッドまたはマットのより良い固定を可能にするために側方に延在するストラップ、羽根、またはパネルを適用することもまた知られており、たとえば、側方に延在するストラップを有するパッドを記載している米国特許第5221273A号明細書、パッドを支持するマットレスの周りおよび下に巻き付けられてもよい側方の羽根を記載している米国特許第4391010号明細書、または、側方の羽根は使い続けられるかまたは清潔な再利用のために洗濯されてもよいが構造体は汚れたら廃棄されてもよいように、パッドの吸収性構造体に取り外し可能に接続されることが可能な1つ以上の側方の羽根を有するパッドを記載している欧州特許第2967669A1号明細書を参照されたい。
【0003】
しかしながら、特に大きなサイズの羽根は、製造プロセスおよび介護者などによるパッドの使用の両方において、取り扱いが困難である。
【0004】
さらに、吸収性構造体のユーザ側表面は、清潔に保たれて適用前にいかなる汚れからも保護されることが、望ましいだろう。
【0005】
さらにまた、最小限の材料を使用して、良好な液体制御、特に良好な横漏れ制御を実現することが望ましいかも知れない。
【0006】
これらの課題は、個別にまたは組み合わせて、本発明によって解決される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第4097943号明細書
【文献】国際公開第20060431151号パンフレット
【文献】米国特許第5221273A号明細書
【文献】米国特許第4391010号明細書
【文献】欧州特許第2967669A1号明細書
【発明の概要】
【0008】
第1の態様において、本発明は、ユーザとしての人のために、マットレスのような支持体上に配置されるための吸収マットであって、吸収マットはデカルト座標において、縦または長さ(x-)方向、幅(y-)方向、これらに垂直な厚さ(z-)方向、および縦に延在する中心線を呈する。
【0009】
吸収マットは吸収性複合体を備え、吸収性複合体は、
(i)吸収マットの長さ、幅、および厚さ方向に揃えられた長さ、幅、および厚さ方向を呈し、その長さおよび幅伸長よりもかなり小さい厚さ伸長を有し、さらに使用中にユーザの方に向けられるようになっている第1の表面と、第2の反対側の表面とを有する、吸収性構造体と、
(ii)吸収性構造体の第1の表面上に配置された液体透過性のトップシートと、
(iii)トップシートのz方向反対側の吸収性構造体の第2の表面上に配置された液体不透過性のバックシートと、
を備え、
これにより、好ましくはトップシートおよびバックシートがMD、CD、および厚さ方向に吸収性構造体を包んでいる。
【0010】
吸収性複合体は、吸収マットの縦に延在する中心線の反対に位置する第1および第2の縦に延在する側方サイドマージン領域を呈する。
【0011】
吸収マットは、第1および第2羽根をさらに備える。
【0012】
第1羽根は、吸収性複合体の第1の縦に延在する側方サイドマージン領域と少なくとも部分的に重なり合う位置にある第1の第1羽根サイドマージン領域と、第1の第1羽根サイドマージン領域の外側の縦に延在する第2の第1羽根サイドマージンと、を呈する。第1羽根は、第1の第1羽根サイドマージン領域内の接続部によって、吸収性複合体の縦に延在する第1の側方サイドマージン領域に接続される。
【0013】
第2羽根は、吸収性複合体の第2の縦に延在する側方サイドマージン領域と少なくとも部分的に重なり合う位置にある第1の第2羽根サイドマージン領域と、第1の第2羽根サイドマージン領域の外側の縦に延在する第2の第2羽根サイドマージンと、を呈する。第2羽根は、第1の第2羽根サイドマージン領域内の接続部によって、吸収性複合体の縦に延在する第2の側方サイドマージン領域にさらに接続される。
【0014】
吸収マットは、製造構成から使用構成に変換されるようになっている。
【0015】
製造構成では、第1および第2羽根は、それぞれ第1および第2のサイドマージン領域から吸収マットの縦に延在する中心線に向かってy方向に延在し、第2の第1羽根サイドマージンおよび第2の第2羽根サイドマージンは、縦中心線と基本的に平行に延在する裂開部に沿って互いに接続されている。
【0016】
使用構成では、第1および第2羽根は、裂開部に沿って互いに分離しており、第2の第1羽根サイドマージンおよび第2の第2羽根サイドマージンの少なくとも一部は、それぞれ(a)吸収性複合体のバックシート側に、または(b)第1および第2の縦に延在する側方サイドマージン領域の側方外向きに、配置される。
【0017】
裂開部は、一般に長さ方向に延在する脆弱部であり、より好ましくは直線状または湾曲したミシン目線である。吸収性複合体への羽根の接続は、接着剤、熱または超音波接合からなる群より選択されてもよく、線、ドット、または領域として実行されてもよい。特定の実施では、吸収性複合体は予備成形される。
【0018】
製造構成において、羽根の裂開部は、吸収性複合体のトップシート側またはバックシート側に配置される。
【0019】
羽根は、ジグザグまたは本折りで畳まれてもよく、場合によりこのような折りのための折り固定、好ましくは接着剤ドットまたは線を備えてもよい。
【0020】
羽根は、縦に延在する第1の第1羽根サイドマージン領域において吸収性複合体に接続されてもよく、第1の第2羽根サイドマージン領域は吸収性複合体のトップシートに接続されてもよい。羽根は、使用構成において吸収性複合体のサイドシールラッピングを形成するようになっていてもよい。好ましくは、羽根は基本的に、液体不透過性だが空気透過性の材料、好ましくは疎水性の不織布から作られる。
【0021】
第2の態様において、本発明は、トップシートとバックシートと羽根との間に包まれた吸収性構造体を備え、長さ、幅、および厚さ方向ならびに縦に延在する中心線を呈する、吸収マットの製造プロセスである。
【0022】
プロセスは、基本的に吸収マットの長さ方向に揃えられた流れ方向を呈し、以下のステップを備える:
a)材料として、
吸収性構造体、好ましくは吸収性ウェブ材料と、
トップシートおよびバックシートウェブ材料と、
第1および第2羽根を形成するための羽根材料のウェブと、
設備として、
ウェブ供給および案内手段と、
ウェブを流れ方向に部分的に分離する手段、好ましくはミシン目切断装置と、
ウェブを交差方向に分離する手段と、
接続手段と、
を提供するステップと、
b)吸収性構造体、好ましくは吸収性ウェブ材料の分離片を、トップシートとバックシートとの間に包み、これにより、縦に延在する中心線の反対に位置する第1および第2の縦に延在する側方サイドマージン領域を呈する吸収性複合体の基本的に連続するウェブを形成するステップと、
c)羽根材料のウェブに対する流れ方向と略平行な裂開部を作成するステップであって、裂開部は第1および第2羽根を区切る、ステップと、
d)連続ベースウェブとして、
羽根材料のウェブ、および
吸収性複合体材料を備えるウェブ
のうちの少なくとも1つを選択するステップと、
e)場合により、
(i)羽根材料のウェブ、および
(ii)吸収性複合体材料を備えるウェブ
のうちの1つを基本的に幅方向に沿って流れ方向個別化片に分離するステップと、
f)もしあれば、選択された1つまたは複数の連続ベースウェブおよび個別化片をマット結合ユニットに供給するステップと、
g)もしあれば、
羽根材料のウェブの裂開部がトップシートまたはバックシート、好ましくはトップシートの少なくとも一部と重なり合うように、および
第1および第2羽根がそれぞれ裂開部から吸収性複合体の縦に延在するサイドマージン領域内に側方外向きに延在するように、
選択された1つまたは複数の連続ベースウェブおよび個別片をマット結合ユニット内に配置するステップと、
h)吸収性複合体の縦に延在するサイドマージン領域内の吸収性複合体に羽根を接続するステップであって、
接続は好ましくは、接着剤、または熱、圧力、摩擦、および超音波からなる群より選択される1つ以上のエネルギー源を適用することによって実行される、ステップと、
i)連続ベースウェブを吸収マットに分離し、場合により、好ましくは折り畳みを含み、場合により封入を含む、さらなる処理ステップを実行するステップであって、
羽根の裂開部は基本的に無傷のままである、ステップ。
【0023】
場合により、ステップg)およびh)において、羽根は、吸収性複合体のトップシート上に配置され、これに接続される。
【0024】
さらなる態様において、本発明は、吸収マットを支持体に適用する方法であって、これにより方法は、第1および第2羽根を裂開部に沿って互いに分離するステップと、場合により羽根によって支持体を少なくとも部分的に巻き付けるステップと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】支持体上に配置されたときの吸収マットを模式的かつ概略的に示す図である。
図2】本発明による吸収マット内で使用されたときの吸収性複合体を模式的かつ概略的に示す図である。
図3A】使用構成における本発明によるマットの特徴の模式的断面図である。
図3B】製造および使用構成の両方における本発明による吸収マットの模式的斜視図である。
図3C】製造および使用構成の両方における本発明による吸収マットのさらなる実施の模式的斜視図である。
図3D】平坦な支持体上の使用構成における吸収マットのさらなる配置を模式的に示す図である。
図4A】その製造構成における本発明による吸収性複合体の実施を模式的に示す図である。
図4B】その製造構成における本発明による吸収性複合体の別の実施を模式的に示す図である。
図5A】その製造構成における本発明の実施を模式的に示す図である。
図5B】その使用構成における本発明の実施を模式的に示す図である。
図6A】その製造構成における本発明の別の実施を模式的に示す図である。
図6B】その使用構成における本発明の別の実施を模式的に示す図である。
図7A】その製造構成における本発明のさらに別の実施を模式的に示す図である。
図7B】その使用構成における本発明のさらに別の実施を模式的に示す図である。
図8A】その製造構成における本発明のさらに別の実施を模式的に示す図である。
図8B】その使用構成における本発明のさらに別の実施を模式的に示す図である。
図9A】その製造構成における本発明のさらに別の実施を模式的に示す図である。
図9B】その使用構成における本発明のさらに別の実施を模式的に示す図である。
図10A】その製造構成における本発明のさらに別の実施を模式的に示す図である。
図10B】その使用構成における本発明のさらに別の実施を模式的に示す図である。
図11A】羽根が折り畳まれた、本発明のさらなる実施を模式的に示す図である。
図11B】羽根が折り畳まれた、本発明のさらなる実施を模式的に示す図である。
図11C】羽根が折り畳まれた、本発明のさらなる実施を模式的に示す図である。
図12A】使用中に解除可能な羽根同士の接続を有する、本発明のさらなる実施を模式的に示す図である。
図12B】使用中に解除可能な羽根同士の接続を有する、本発明のさらなる実施を模式的に示す図である。
図13】本発明によるプロセスの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
これらの図では、寸法は必ずしも縮尺通りではない。異なる図中の同じ番号は、同一または同等の特徴を示す。
【0027】
第1の態様では、本発明は、吸収性複合体および羽根を備える使い捨て吸収マットまたはパッドであり、第2の態様では、本発明はこのような物品の作成に関し、さらなる態様においては、このような物品の使用に関する。
【0028】
用語「吸収マット」は、用語「吸収パッド」と同義で使用されることも多く、この文脈では、液体を吸収するようになっており、このようなマットが上に置かれる支持体が汚れたり濡れたりするのを防ぐことができる、必ずしも均一な厚さではないものの略平坦な構造を指す。吸収マットは、人がおむつのような保護衣服を着用していないとき、またはこのような衣服が過剰であるかまたはあまりぴったりしていなくて着用者の体浸出液を受ける際に漏れてしまうときなど、非限定的に糞便、尿、月経、傷口の分泌液のいずれか、ならびに唾液または汗である可能性もあるが、そこに配置される人の体浸出液からのマットレスまたはベッドシーツまたはフィットシーツのようなその他のベッド用品上の汚れを防止するためのベッドパッドとして使用されてもよい。しかしながら、おむつ替えの間に赤ちゃんが汚れないようにするために赤ちゃんの着替えマットが地面に置かれるときなど、逆のシナリオもまたこの文脈に含まれると見なされる。
【0029】
この文脈内では、吸収マットが長さ、縦、またはx方向、幅、幅方向、またはy方向、およびこれらに垂直な厚さまたはz方向を呈するデカルト座標系が参照される。
【0030】
ベッドまたはベッドのマットレスなど、通常は長さおよび幅によって記載される支持体の上に吸収マットが置かれるとき、吸収マットのx、y、および結果的にz方向も、この方向に揃えられると理解されるだろう。通常、このような物品の製造方向は、プロセスまたは設備の流れ方向が物品、特に吸収性複合体の長さ方向に揃えられるということになる。使用中、羽根は側方外向きに、すなわち物品の縦に延在する中心線から離れる方に、および/または下方に、すなわちユーザから離れる方に、延在する。当然ながら、このような物品は縦末端から延在するフラップも備えてよいが、明確に言及されない限りにおいて、この文脈の羽根は、吸収性複合体の側方または横方向に位置するものと見なされる。
【0031】
テーブルまたは地面に載置されてもよい赤ちゃんの着替えマットを検討するときなど、本発明による吸収マットが載置される支持体があまり明確に定義されない長さおよび幅配向を有するとき、長さまたは縦という用語は、その製造中に物品が有し、グルービードなどの材料特性またはその他の特徴から当業者が容易に判断できる方向を指す。
【0032】
本明細書で使用される用語「使い捨て」は、吸収マットに言及するときには使用後に環境に配慮した方法で廃棄されるよう意図されることを意味し、これは単回使用であってもよく、あるいは最初の使用中にまったくまたはほとんど汚れが発生しないときなどの数回の使用であってもよい。したがって、本発明は、たとえば洗濯またはクリーニングによって再利用可能なマットまたは部品を対象とするものではない。
【0033】
「備える(Comprise)」、「備えている(comprising)」、および「備える(comprises)」は非限定的な用語であり、各々準拠した特徴の存在を指定するが、その他の特徴の存在を排除するものではない。用語「通常(typically)」、「普通(normally)」、「有利に(advantageously)」などもまた、具体的に指示されていない限りにおいて、請求項の範囲を限定するよう意図されない特徴を特定するものである。
【0034】
吸収性複合体は、吸収性構造体、ならびに使用中にユーザの方に向けられるよう意図された液体透過性カバーまたはトップシート、およびトップシートの反対側の液体不透過性のバックシートを備える。通常、吸収性構造体、トップシート、およびバックシートは、異なる別個の材料となるが、しかし特定の実施形態では、その特定の部分がそれぞれの機能を提供する一体の製造済み材料としてこれらが供給されることも考えられる。
【0035】
吸収性構造体は、セルロース系繊維または吸収性人工繊維、あるいは結合剤繊維などの吸収性繊維を備えてもよい、繊維、不織布材料、エアレイド材料、さらに非限定的にいわゆる周知の超吸収性ポリマー(SAP)材料などの粒子材料など、様々な吸収性材料を備えることができる。吸収性という用語は、繊維間の隙間など、構造体の空洞内に、または膨張時のセルロース系繊維内またはSAPネットワーク内など材料中に、液体、多くの場合は水性体浸出液を受容および好ましくは保持する能力を指す。
【0036】
吸収性複合体は通常、好ましくは繊維性および/または超吸収性材料を有する、液体吸収能力のすべて、または少なくとも大部分を備え、吸収マットの構成要素の中で最も高い吸収能力を有する、吸収マットの構成要素である。吸収性複合体は好ましくは、予見可能な使用状態に耐えるのに十分な内部構造完全性および強度を有する。したがって、吸収性複合体は、外側のトップシートおよびバックシート材料に提供する強度を備え、および/またはその間の吸収性構造体は、熱によって活性化され得る結合剤繊維など、結合剤を備えることなどによって十分な内部強度を呈する。
【0037】
好ましくは、吸収性複合体の構造完全性は、水分によって悪影響を受けない。
【0038】
吸収性複合体は、約500mmから約1000の全長および製造構成において約500mmから約1000mmの全幅を有してもよい。これは約0.5mmから約10mm以上の厚さを呈してもよい。吸収性複合体の吸収性構造体は、約40g/mから約200g/mの坪量を呈してもよく、EDANA NWSP130.1R0に従って決定されるとおりである。
【0039】
この文脈において、吸収マットは、吸収性複合体の縦に延在する側方マージンに接続された羽根をさらに備える。
【0040】
本明細書で使用される用語「羽根」は、織布、不織布ウェブ、フィルム、薄絹、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料で作られたパネルであり、好ましくは皮膚との良好な適合性を示す。
【0041】
羽根は好ましくは、取り扱いおよび費用の観点から、以下に記載される方法セクションの指示に従って決定され得るように、基本的に非弾性材料および非伸張性材料で作られる。しかしながら、特定の実施形態では、羽根は、支持体へのより良い適合または特定の弾性さえ許容するように、特定の伸張性を呈してもよい。羽根は、非伸張性ストライプが伸張性ストライプと組み合わせられるように、x-y方向で異なる材料で構成されることも考えられる。好ましくは、羽根材料は、以下に記載される指示に従って決定され得るように、特定の空気透過性または「通気性」を呈する。このような材料は、いわゆる通気性または微孔フィルム、有孔フィルムなどであってもよい。より好ましくは、羽根は不織布材料で作られる。
【0042】
本明細書で使用される用語「不織布ウェブ」は、追加で縫われていてもいなくても、織られ、編まれ、房付けされ、縫合され接合糸またはフィラメントを組み込み、または湿式粉砕によってフェルト化された紙および製品を除く、摩擦および/または凝集および/または接着によって接合された、指向的またはランダムに配向された繊維の製造された材料、ウェブ、シート、またはバットを指す。繊維は、天然であっても人工であってもよい。
【0043】
いかなる制限も意図せず、好適な不織布材料は、当該技術分野において周知のプロセスによって作られ、強度の観点から、好ましくは、場合によりメルトブロー層と組み合わせた、スパンボンドタイプのものである。羽根材料の総坪量は約5g/mを超え得るが、坪量はしばしば10g/mを超え、良好な強度特性を要する特定の用途では20g/mを超える;EDANA NWSP130.1R0に従って決定されるとおりである。柔らかさおよび費用の理由のため、羽根材料は通常100g/m未満、好ましくは50g/m2未満、または30g/m未満の坪量を呈する。
【0044】
本用途では、羽根は水性液体のバリア特性を呈することが好ましい。
【0045】
したがって、不織布の好適な実施形態の場合、これらは好ましくは、基材樹脂としてポリエチレンまたはより好適なポリプロピレンなどのポリオレフィンを使用するときなど、疎水性の不織布である。場合により、羽根材料は2つまたは多数の複合繊維から作られてもよい。
【0046】
羽根は、吸収マットまたは吸収性複合体の縦中心軸に沿って100mmから2000mmの寸法、および100mmから1200mmの幅を有してもよい。
【0047】
羽根は、吸収性複合体と基本的に同延の長さ伸長を有してもよく、あるいはより短いかまたは特定の実施ではさらに長くてもよい。羽根の形状は長方形であってもよいが、しかし台形または丸みを帯びた形状など、その他いずれの形状が使用されてもよい。好ましくは、羽根はトリミングまたは無駄な材料を出さずに作られる。
【0048】
図3Aに示されるように、吸収マット(100)は、羽根(300、それぞれ310から320)を吸収性複合体(200)に接続することによって形成される。接続は、接続部、および限定的ではないが接着剤、熱接合、および超音波接合手段を含む、当該技術分野において周知の接続方法によって、実現されることが可能である。接続は、接着剤の線または熱接合線などの直線または曲線の接続線、グルーまたは熱接合ドットなどの接続点の直線または曲線、あるいは直線または曲線の外接線を有するグルースプレーパターンを適用するときなどの接続領域であってもよい。羽根材料は、引張強さ法EDANA WSP401.0:ROで測定されたときに約1Nを下回らない、羽根と吸収性複合体との間の接合強度を呈することができる。接続はまた、この接続に関する限りにおいて明確な参照がなされる欧州特許第2967669A1号明細書(P&G)に記載されるような、機械的締結具などの再閉鎖可能な手段によっても実現され得る。
【0049】
製造しやすさのため、吸収性複合体または吸収マットのサイドマージンは、好ましくは直線であって縦中心線と平行であるが、たとえば波状など湾曲した形状であってもよく、または台形を作成するためいくらか先細っていてもよいことも、本発明の範囲に含まれる。
【0050】
羽根および吸収性複合体が、製造中に準備されるような第1の構成をユーザによって第2の使用構成に変換させる特定のやり方で配置されることは、本発明の重要な態様である。このことは、それぞれの図を参照することによって以下に説明されるが、しかしこれらは本発明を図示される特定の実施に限定するものではない。
【0051】
図1において、ベッドパッドとして吸収マットを使用するための典型的な周知の設定が、幅方向(すなわちy-z)の図で示されている。ユーザ(1)は、マットレスなどの支持体(500)上に配置されるように意図されており、これはベッドのスラット付きフレームなどのさらなる支持構造体(600)上に載置されてもよい。吸収マット(100)は、その吸収性複合体(200)がユーザ(1)と支持体(500)との間に位置し、その一方で羽根(300)は支持体(500)とさらなる支持構造体(600)との間に押し込まれるように、使用中の構成で示されている。吸収マットは、均一な厚さを有し、一点鎖線(104)で示される縦に延在する中心線を呈して、例示的に示されている。
【0052】
図2は、吸収マット(100)に含まれ、吸収マットの長さ、幅、および厚さ方向に揃えられた長さ、幅方向(217)および厚さ方向(215)を呈し、その長さおよび幅(216)伸長よりもかなり小さい厚さ伸長(214)を有するものとして、吸収性複合体(200)の模式的断面図を示す。
【0053】
吸収性複合体は、液体透過性のトップシート(220)を備える、使用中にユーザの方に向けられるようになっている第1の表面と、液体不透過性のバックシート(230)を備える第2のz方向に反対の表面と、を備える。液体透過性のトップシート(220)は、吸収性構造体(210)の第1の表面(212)上に配置されてもよく、液体不透過性のバックシート(230)は、トップシート(220)のz方向に反対の吸収性構造体(210)の第2の表面(218)上に配置されてもよい。したがって、トップシート(220)およびバックシート(230)は、MD、CD、および厚さ方向に吸収性構造体(210)を包むことができる。
【0054】
さらに、吸収性複合体(200)は、第1(211)および第2(219)の縦に延在する側方サイドマージン領域を呈する。この文脈において、吸収性複合体の「側方サイドマージン領域」は、基本的に平坦な状態で、吸収性複合体の側方の最も外側の点によって、および吸収性複合体全体の幅の内側に(すなわち、縦中心線に向かって)25%以下に内向きに位置する点によって片側で区切られた、側方サイドマージンの周囲および近傍を備える。羽根は、複合体のこの側方サイドマージン領域の少なくとも一部においてこれに接続されており、以下により詳細に記載されるように、これに隣接して位置するかまたは周りに折り畳まれてもよい。
【0055】
説明のため、図2において、側方サイドマージン領域は、楕円(それぞれ211および219)によって示されており、吸収性構造体(210)から側方外向きに延在し、縦中心線に向かって吸収性複合体の全幅の約25%延在する、トップシート(220)およびバックシート(230)の突き合わせ継目を備える。
【0056】
側方サイドマージン領域のさらなる実施は図5から図12に示され、これらの領域内の羽根配置も示しており、以下により詳細に論じられる。
【0057】
使用構成について図3Aから図3Dにおいてさらに例示的に見られるように、吸収マット(100)は、特定の図における左の羽根のような第1(310)羽根と、このような図における右の羽根であってもよい第2(320)羽根と、をさらに備える。図3Aにおいて、羽根は支持体(500)の周りに巻き付けられており、一方図3Dでは、羽根は平坦な支持体(500)上に広げられている。
【0058】
第1羽根(310)は、前記吸収性複合体(200)の前記第1の縦に延在する側方サイドマージン領域(211)と少なくとも部分的に重なり合う位置にある縦に延在する第1の第1羽根サイドマージン領域(312)と、前記第1の第1羽根サイドマージン領域(312)の外側の縦に延在する第2の第1羽根サイドマージン(318)と、を呈する。第1羽根は、第1の第1羽根サイドマージン領域(312)内の接続部(361)によって、吸収性複合体(200)の縦に延在する第1の側方サイドマージン領域(211)にさらに接続される。
【0059】
第2羽根(320)は、前記吸収性複合体(200)の前記第2の縦に延在する側方サイドマージン領域(219)と少なくとも部分的に重なり合う位置にある第1の第2羽根サイドマージン領域(322)と、前記第1の第2羽根サイドマージン領域(322)の外側の縦に延在する第2の第2羽根サイドマージン(328)と、を呈する。第2羽根は、縦に延在する第1の第2羽根サイドマージン領域(322)内の接続部(362)によって、吸収性複合体(200)の縦に延在する第2の側方サイドマージン領域(219)にさらに接続される。
【0060】
これにより、第1の第1羽根サイドマージン領域(312)および第1の第2羽根サイドマージン領域(322)は、吸収マットの縦に延在する中心線(104)の反対側に位置する。
【0061】
製造の単純さの観点から、羽根は略長方形の形状を呈することが望ましいが、これらは台形など異なる形状を有してもよく、曲線マージンを有してもよい。
【0062】
吸収マット(100)は、吸収マットによって覆われた支持体(500)を示す図3Aおよび図3Bに模式的に示されるように、製造構成から使用構成に変換されるようになっている。製造構成において、羽根310’および320’は、その裂開部350を点線として図3Bに示されている。
【0063】
製造構成において、第1(310)および第2(320)羽根の少なくとも一部は、それぞれ第1および第2のサイドマージン領域(312、322)から吸収マットの縦に延在する中心線(104)に向かってy方向に延在する。さらに、第2の第1羽根サイドマージン(318)および第2の第2羽根サイドマージン(328)は、縦中心線(104)と基本的に平行に延在する裂開部(350)内に沿って互いに接続されている。裂開部は、調製および封入を含む製造中に接続部を維持するが、使用時にはユーザによって容易に開封され得る、いずれの配置であってもよい。ユーザは、後にマット上に配置される人であってもよいが、寝たきりの人々の場合の介護士、または赤ちゃんの着替えマットの場合の親など、別の人であってもよい。
【0064】
したがって、接続部開封を引き裂くための引き裂き力は約6Nを超えないことが望ましいが、プロセスおよび取り扱い作業に十分に耐えられるべきであり、EDANA試験方法WSP 110.4に従って評価されたときに約0.5N超であってもよい。
【0065】
好適な実施において、裂開部は、好ましくは羽根の全長にわたって延在し、羽根の略交差方向に延在する縦マージンと交差する、材料の脆弱部であってもよい。この交点に引っ張り力を印加すると、第1および第2羽根は、脆弱部に隣接する材料を損傷することなく容易に互いに分離することができる。
【0066】
好ましくは、このような脆弱部は、羽根材料のウェブのミシン目線または部分的に切断された切れ目によって作成されてもよく、そこから2つの羽根が形成される。ミシン目線は、隣り合う開口部の間で原材料が基本的に変化しないままとなるように、あるパターン、通常は線形、好ましくは直線パターンで配置された、材料中の一連の開口部を備える。
【0067】
好ましくは、開口部は切れ目であって、材料に穴を開けたときなどに二次元伸長を有する場合もあるものの、基本的に測定可能な面積を呈していない。
【0068】
ミシン目継目は引き裂き経路であって、羽根のマージンとミシン目継目との交点に引っ張り力が印加されると、隣り合う開口部の間の陸領域が次々と崩れて、きれいな引き裂き経路を可能にする。
【0069】
羽根を開くために必要とされる強度は、好ましくは平均的な人がこれを開けられるように調整されており、好ましくは0.5Nから6Nの範囲である。当業者であれば、ミシン目継目パターン、特に隣り合う開口部の距離を変化させることによって、適切な強度を容易に調整することができるだろう。したがって、ミシン目線は、約50%/50%から約90%/10%まで、たとえば70%/30%などの、引き裂き経路の陸領域長さに対する開口部または切れ目長さの比を有することができる。
【0070】
第2の選択肢において、第1および第2羽根は、異なる材料から作られ、または(同じ材料であるときには)別個のウェブ材料として供給され、これらはミシン目継目について記載されるとおり再分離可能なように、裂開部において接続されている。これは、材料を重ね合わせて、接着剤を塗布するか、またはこれらの材料強度よりも低い強度で羽根を接続する熱接合などの溶融接合によって、実現可能である。例示的かつ説明的であるが限定目的ではなく接続経路367を示す図12Aおよび図12Bに模式的に示されるように、さらなる材料が追加されることも考えられるが、これは第1羽根にはしっかりとまたは永久に接続されてもよく、第2羽根には解除可能にまたは低強度で接続されてもよい。接続経路は、感圧接着剤などの接着剤によって実行されてもよく、またはこれは当該技術分野において周知の機械的締結具として実行されてもよい。
【0071】
使用構成において、図3Bを参照されたいが、第1(310)および第2(320)羽根は、裂開部(350)に沿って互いに分離され、第2の第1羽根サイドマージン(318)および第2の第2羽根サイドマージン(328)の少なくとも一部は、吸収性複合体(200)のバックシート(230)側に配置され、少なくとも部分的に支持体(500)の周りに巻き付けられるようになっている。
【0072】
本明細書において、用語「バックシートまたはトップシート側に位置する」とは、デカルト座標において、それぞれバックシートまたはトップシートよりも吸収性複合体からz方向に離れている構成を指す。材料が線形または直線配置に配置されていない場合、x-yまたはy-z平面上の材料の突起の少なくとも一部は、それぞれ図3Aに示されるようにバックシートよりも、またはトップシートよりも吸収性複合体からz方向に離れている。
【0073】
図3Bを参照すると、羽根の縦伸長が吸収性複合体の縦伸長よりも短くなっている吸収マットの斜視図が示されている。製造構成は破線で示され、矢印(355)はユーザの開封動作を示し、実線は使用構成を示す。
【0074】
なお、羽根が吸収性複合体と比較して同じ、短い、または長い長さを有していたとしても、本発明にとって重要でないことに留意されたい。
【0075】
また、第1羽根(310’)および第2の羽根(320’)、さらに第1羽根(310”)および第2羽根(320”)を有する図3Cに示されるように、吸収性複合体の各側に2つ以上の羽根が接続されることも、本発明の範囲に含まれる。
【0076】
図3Dには、吸収マットがバックシート側を基本的に平坦な表面に向けた支持体としてこの表面上に載置され、羽根が側方外向きに広がっている、使用構成が示されている。
【0077】
図12Bには、支持体(500)の周りに巻き付く羽根を再接続するためにさらに使用されてもよい、付加的な接続経路(357)を有する裂開部が実行される状態が示されている。
【0078】
なお、第1および第2羽根部分を配置する文脈において、用語「少なくとも部分的に重なり合って配置する」とは、羽根の一部がトップシート側に取り付けられているが別の部分はバックシート側に向かって側方サイドマージンの周りに延在し、これにより側方サイド領域の周りの羽根材料の巻き付き、したがって側方の液体漏出などに対するサイドシールを形成する構成を含むことに、留意されたい。
【0079】
本発明の重要な要素をこのように説明してきたが、これらは単独で、または特定のまたは好適な実施と組み合わせて使用されることが可能である。
【0080】
第2の態様において、本発明は、トップシートとバックシートと羽根との間に包まれた吸収性構造体を備える吸収性複合体を備え、長さ、幅、および厚さ方向を呈する吸収マットのための、好ましくは上述のような吸収マットの、製造プロセスに関する。
【0081】
一般に、図13に記載されるようなプロセスは、流れ(MD)(1010)および幅(CD)方向、およびこれらに垂直なz方向を呈し、これによりMDは吸収マットの長さ方向に揃えられる、機械(1000)上で動作可能である。
【0082】
プロセスは、それぞれの供給手段から材料、すなわち吸収性構造体(210)、好ましくは予め形成された吸収性ウェブ材料、トップシート(220)およびバックシート(230)ウェブ材料、ならびに少なくとも羽根の幅の合計の幅で好ましくは一体材料として第1および第2羽根を形成するための羽根材料(300)のウェブを、提供するステップをさらに備える。
【0083】
プロセスは、ウェブ材料、すなわち吸収性構造体(1210)、トップシート(1220)、バックシート(1230)、および羽根材料(1300)の供給を備える設備(1000)上で行われる。ロールまたはスプール用のアンワインドスタンド、または箱からウェブ材料を供給するためのいわゆるディフェストゥーン機など、このような供給手段は当該技術分野において既知である。材料の案内手段もまた周知である(図示せず)。
【0084】
材料結合ユニット(1200)において、吸収性複合体が形成され、設備は、やはりいずれも当該技術分野において周知の、従来の回転ナイフ、またはウォータージェットなど、羽根材料のウェブを流れ方向に部分的に分離または穿孔するなど、脆弱部を適用するための分離または穿孔手段など、裂開部(1310)を適用するための工具をさらに備える。好ましくは、分離は、硬い縁が作成されないように実行され、最も好ましくは、設備は回転ナイフである。
【0085】
吸収マットを形成するための羽根材料および吸収性複合体の結合は、マット結合ユニット(1400)内で実行可能であり、これに調製手段(1450)が続いてもよく、これは流れ方向に隣り合うマットを(部分的にまたは完全に)分離するための最終切断ユニットとして、さらなる折り畳みまたは巻き取りユニットおよび封入ユニットを備えてもよい。
【0086】
プロセスは一般に、連続プロセスベースウェブを用いた連続プロセスとして実行される。このプロセスベースウェブは、吸収性複合体であってもよく、個別のパッドが長いバックシート上に載置されるときにはバックシート材料であってもよいが、羽根の長さが吸収性複合体の長さを超える場合には羽根ウェブ材料であってもよい。プロセスの最後に、連続プロセスベースウェブは、個々の吸収マット品を形成するために通常は交差方向に分離(「最終切断」)される。しかしながら、吸収マットは接続されたままであり、ロール上に巻かれるか、または箱の中に畳み入れられてもよいが、好ましくは流れ方向に隣り合う2つのマットの間にミシン目または分離線または領域を備えることもまた、考えられる。
【0087】
したがって、吸収マットの製造プロセスは、以下のプロセスステップを備える。
・それぞれ供給ユニット(1210、1220、1230、1300)から材料を提供するステップ。
・トップシートとバックシートとの間の吸収性構造体として連続吸収性ウェブ材料の分離片を包み、これにより、第1(211)および第2(219)の縦に延在する側方サイドマージン領域を呈する基本的に連続する一連の吸収性複合体(200)を形成することによって実行されてもよい、吸収性複合体を形成するステップ。あるいは、吸収性複合体は、トップシートとバックシートとの間に包まれた、周知のコアフォーマ上に作られるような、個別に形成された吸収性構造体から形成されてもよい。
【0088】
トップシートまたはバックシートまたはその両方は既に吸収性構造体と一体に形成されていてもよいが、この選択肢のために好ましくは吸収性構造体のいずれの材料の漏出も伴わずにきれいな側縁を提供するための追加手段が取られ、これはエンボス加工またはマージンへの接着剤の塗布によって、あるいは液体漏出を防止するのみならず吸収性複合体の材料のサイドシールとしてサイドマージンの周りに羽根を押し被せることによって、実現されることが可能である。
・流れ方向と略平行な羽根材料(100)の裂開部(350)を作成するステップであって、これはミシン目継目の適用によるものであってもよく、これは縦に延在する中心線と平行な直線であってもよく、または正弦などの曲線であってもよい。
・連続ベースウェブとして、
羽根材料のウェブ、および
吸収性構造体を備えるウェブ
のうちの最小のものを選択するステップ。
・場合により、
羽根材料のウェブ、および
吸収性構造体を備えるウェブ
のうちの1つを分離して流れ方向個別化片にするステップ。
・もしあれば、選択された1つまたは複数の連続ベースウェブおよび個別化片をマット結合ユニットに供給するステップ。
・もしあれば、第1の第1および第2羽根サイドマージン領域(それぞれ312および322)が吸収性複合体(200)の第1および第2の縦に延在する側方サイドマージン領域(それぞれ211および219)と少なくとも部分的に重なり合う位置になるように、ならびに縦に延在する第2の第1および第2羽根サイドマージン(それぞれ318および328)が前記第1の第1および第2羽根サイドマージン領域(それぞれ312および322)の外側になるように、選択された1つまたは複数の連続ベースウェブおよび個別片をマット結合ユニット内に配置するステップ。
・羽根材料の縦に延在するサイドマージンおよび吸収性複合体の縦に延在するサイドマージン領域を接続するステップであって、
接続(それぞれ361、361)は好ましくは、接着剤、または熱、圧力、摩擦、および超音波からなる群より選択される1つ以上のエネルギー源の適用によって実行される、ステップ。
・前記連続ベースウェブを前記吸収マットに分離し、場合により、好ましくは折り畳みを含み、場合により封入を含む、さらなる処理ステップを実行するステップであって、
羽根材料の裂開部は基本的に無傷のままである、ステップ。
【0089】
したがって、このプロセスの第1の選択肢では、連続ベースプロセスウェブは羽根材料の連続ウェブであり、一片の吸収性複合体がこれに加えられる。このプロセスの第2の選択肢では、連続ベースプロセス材料は吸収性材料のウェブであり、一片の羽根材料がこれに加えられる。さらに第3の選択肢では、吸収性複合体および羽根の両方が製品内で同じ長さを呈し、2つのうちの一方または両方が連続ベースウェブ材料として供給されてもよい。
【0090】
このプロセスは、吸収性複合体のトップシート側またはバックシート側のいずれかになるような羽根の位置決めを可能にするが、トップシート側に配置することが好ましい選択肢である。
【0091】
第3の態様において、本発明は、上述のような吸収マットの使用、およびこれを適用する方法に関する。この目的のため、吸収性複合体と、ユーザがミシン目を引き裂いて開けることなどによって、ユーザによって開封される、ミシン目などの裂開部によって互いに接続された羽根と、を備える吸収マット。次いで、図3Bおよび図3Cの矢印(355)によって示されるように、羽根は外向きに折り畳まれる。場合により、そしてしばしば好ましくは、吸収マットは、開口部に先立ってマットレスなどの支持体上に載置され、これにより、特に吸収性複合体のトップシートを覆う羽根の選択肢では、より容易で清潔な適用を可能にする。
【0092】
支持体およびさらなる支持構造体に対するその潜在的な配置に応じて、羽根はその後、支持体またはさらなる支持構造体に取り付けられてもよく、これはこれらの間に押し込まれることによって、および/または羽根を互いに、支持体に、またはさらなる支持構造体に接続するための、機械的締結具などの選択的なさらなる締結具を使用することによって、行われてもよい。
【0093】
上記の本発明の一般的な説明に加えて、それぞれ製造構成(図n.A)および代表的な使用構成(図n.B)を示す図5から図10図12、および図14を参照して、本発明のための特定の実施を以下に記載する。なお、図示される長方形のものとは異なる支持体を用いると、この構成は異なって見える可能性があることに留意されたい。
【0094】
すべての図において、第1および第2羽根を接続するための裂開部は符号350で示されており、羽根と吸収性複合体との接続は、第1では符号360、羽根の各々のための第2の接続の場合には365で示される。
【0095】
図5Aおよび図5Bには、羽根が吸収性複合体のバックシート側に配置されている製造構成で、第1の実施形態が記載されている。なお、この特定の設計において、吸収性複合体との羽根の「突き合わせ継目」は、好適な実施においてこの接続部が、国際公開第2012/042055A1号パンフレットに記載される特に好適な接合など、接着接続ではなくむしろ溶融接続となるように、接続部360において剥離力応力を形成できることに、留意されたい。
【0096】
図6Aおよび図6Bは、羽根が製造構成において側方サイドマージン領域内のバックシート側で内向きに折り畳まれている、図5に示されるものと類似の配置を示す。
【0097】
図7Aおよび図7Bは、羽根が吸収性複合体のバックシート側に配置されている、さらなる配置を示す。しかしながら、羽根は、吸収性複合体の側方マージンの周りに折り畳まれ、側方サイドマージン領域内でトップシート側に延在しており、そこでこれらは追加接続部(365)によってトップシートに接続されてもよい。このようなサイドシール配置は、側面におけるいかなる液体の側方拡散も減少するかまたは防止されるので、羽根が液体不透過性材料として実行されるとき、特に有用である。好ましくは、少なくとも使用中にユーザに向かって配置された羽根の表面は、たとえばおむつ用の「テキスタイルバックシート」として知られるフィルム/不織布積層体、または疎水性の不織布などの不織布材料など、皮膚に優しい材料で作られている。
【0098】
図8Aおよび図8Bは、さらなる、そしてしばしば好適な配置を示す。図7のものと比較して、羽根は製造構成において吸収性複合体のトップシート側全体を覆うように折り重ねられており、その一方で使用構成では側方サイドマージン領域の保護を維持している。図示されるように、吸収性複合体(365)との羽根のさらなる接続部は、羽根材料がトップシート材料に接続されるように作られる。
【0099】
図9Aおよび図9Bは、羽根材料がサイドマージンの周りに折り重ねられてバックシート材料に接続されている点を除いて、図8Aおよび図8Bのものと比較して非常に類似した設計を示す。
【0100】
図10は、製造構成において吸収性複合体のトップシートが羽根によって覆われている、さらなる変形例を示す。さらに、羽根は、液体不透過性材料として実行されたときに、使用構成において吸収性複合体の側方サイドマージンの周りに折り重ねられることによって、側方の漏れに対するサイドシールを提供する。
【0101】
図10に示されるように、吸収性複合体の幅の約半分以外の羽根の幅を有することが望ましい場合もある。
【0102】
さらに、羽根を有するサイドシールラッピングを設計するためのさらなる実行が、製造構成を示す図14に示されており、羽根材料(300)は、サイドシール領域(211、219)内にトップシートを包むように、トップシート(220)吸収性構造体の側縁の周りに折り重ねられている。羽根は、吸収性コアからの横漏れを防止し、この封止は、羽根材料の液体不透過性要件が低減されるように、トップシートをバックシートにも接続する接着剤層(365)によって、さらに改良される。
【0103】
以後、図8Aに示されるような製造構成のための特定の変更として図11Aおよび図11Bに示されるような実施は、外向きに、すなわちさらなる折りがトップシートから離れる方へ向かうように(図11A参照)、または内向きに、すなわちさらなる折りがトップシートに向かって位置するように(図11B参照)、羽根材料をジグザグまたは本折りで畳るようにする、さらなる柔軟性を提供する。図11Cは、図7の設計の変更に例示的に示されるように、吸収性複合体のバックシート側に配置された羽根に対してこの原理が均一に適用され得ることを示している。
【0104】
実施のいずれにおいても、そして特に11Aから図11Cに例示されるようなものにおいて、折り固定(305)は、主に使用または適用を妨げることなく処理を容易にするために、グルードットまたはビードなどによって、任意に適用されてよい。この目的のために、接続部は、EDANA試験方法WSP 110.4に従って測定されたときに約0.2N未満など、好ましくは小さい引き裂き力しか呈さない。
【0105】
図12には、感圧接着剤を有するテープまたは機械的締結具などのさらなる解除可能な接続手段が裂開部において羽根に適用され得ることが、示されている。例示的に示されるように、製造構成において分離線(350)の全部または一部の上に、さらなる接続手段(357)が配置されてもよい。使用時には、図13Bに示されるように、羽根を支持体(500)の下で自身に、または支持体に直接(図示せず)再接続するために、さらなる接続手段が使用されてもよい。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図13
図14