(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】情報配信装置、コンピュータプログラム及び情報配信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 4/06 20090101AFI20220518BHJP
H04W 4/44 20180101ALI20220518BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
H04W4/06 150
H04W4/44
G08G1/09 F
(21)【出願番号】P 2019157221
(22)【出願日】2019-08-29
【審査請求日】2021-06-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】上野 高明
(72)【発明者】
【氏名】大岸 智彦
【審査官】石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-522224(JP,A)
【文献】特開2019-068227(JP,A)
【文献】国際公開第2010/110100(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
G08G 1/09
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報配信対象エリアに該当する通信エリアを有する無線基地局を特定し、特定された前記無線基地局の通信エリア内に存在する無線端末のうち車両に搭載される前記無線端末の台数を取得する管理部と、
配信データ量及び前記台数に基づいて前記無線基地局のユニキャストの無線通信リソース使用率を算出し、算出した前記無線通信リソース使用率に基づいて、前記無線基地局からマルチキャストにより情報配信を行うか又はユニキャストにより情報配信を行うかを判断する判断部と、
前記判断の結果に基づいて、前記無線基地局からマルチキャスト又はユニキャストにより情報配信を行う配信部と、
を備え
、
前記判断部は、
前記無線基地局からマルチキャストよりもユニキャストにより情報配信を行うことを優先し、
前記無線通信リソース使用率が所定の閾値以上になった場合に、前記無線基地局からマルチキャストにより情報配信を行うと判断する、
情報配信装置であって、
前記判断部は、
前記無線通信リソース使用率が前記閾値未満である場合には前記無線基地局からユニキャストにより情報配信を行うと判断し、
一方、前記無線通信リソース使用率が前記閾値以上である場合には前記無線基地局からマルチキャストにより情報配信を行うと判断し、
前記閾値は、前記無線基地局のマルチキャストに所要の無線通信リソース使用率に対して所定値だけ増加させた値である、
情報配信装置。
【請求項2】
前記判断部は、ハンドオーバーが実施される予定の前記無線端末に対して、前記無線基地局からユニキャストにより情報配信を行うと判断する、
請求項
1に記載の情報配信装置。
【請求項3】
コンピュータに、
情報配信対象エリアに該当する通信エリアを有する無線基地局を特定し、特定された前記無線基地局の通信エリア内に存在する無線端末のうち車両に搭載される前記無線端末の台数を取得する管理ステップと、
配信データ量及び前記台数に基づいて前記無線基地局のユニキャストの無線通信リソース使用率を算出し、算出した前記無線通信リソース使用率に基づいて、前記無線基地局からマルチキャストにより情報配信を行うか又はユニキャストにより情報配信を行うかを判断する判断ステップと、
前記判断の結果に基づいて、前記無線基地局からマルチキャスト又はユニキャストにより情報配信を行う配信ステップと、
を実行させ
、
前記判断ステップは、
前記無線基地局からマルチキャストよりもユニキャストにより情報配信を行うことを優先し、
前記無線通信リソース使用率が所定の閾値以上になった場合に、前記無線基地局からマルチキャストにより情報配信を行うと判断する、
コンピュータプログラムであって、
前記判断ステップは、
前記無線通信リソース使用率が前記閾値未満である場合には前記無線基地局からユニキャストにより情報配信を行うと判断し、
一方、前記無線通信リソース使用率が前記閾値以上である場合には前記無線基地局からマルチキャストにより情報配信を行うと判断し、
前記閾値は、前記無線基地局のマルチキャストに所要の無線通信リソース使用率に対して所定値だけ増加させた値である、
コンピュータプログラム。
【請求項4】
情報配信装置が、情報配信対象エリアに該当する通信エリアを有する無線基地局を特定し、特定された前記無線基地局の通信エリア内に存在する無線端末のうち車両に搭載される前記無線端末の台数を取得する管理ステップと、
前記情報配信装置が、配信データ量及び前記台数に基づいて前記無線基地局のユニキャストの無線通信リソース使用率を算出し、算出した前記無線通信リソース使用率に基づいて、前記無線基地局からマルチキャストにより情報配信を行うか又はユニキャストにより情報配信を行うかを判断する判断ステップと、
前記情報配信装置が、前記判断の結果に基づいて、前記無線基地局からマルチキャスト又はユニキャストにより情報配信を行う配信ステップと、
を含
み、
前記判断ステップは、
前記無線基地局からマルチキャストよりもユニキャストにより情報配信を行うことを優先し、
前記無線通信リソース使用率が所定の閾値以上になった場合に、前記無線基地局からマルチキャストにより情報配信を行うと判断する、
情報配信方法であって、
前記判断ステップは、
前記無線通信リソース使用率が前記閾値未満である場合には前記無線基地局からユニキャストにより情報配信を行うと判断し、
一方、前記無線通信リソース使用率が前記閾値以上である場合には前記無線基地局からマルチキャストにより情報配信を行うと判断し、
前記閾値は、前記無線基地局のマルチキャストに所要の無線通信リソース使用率に対して所定値だけ増加させた値である、
情報配信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報配信装置、コンピュータプログラム及び情報配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、eMBMS(evolved Multimedia Broadcast Multicast Service)と呼ばれるマルチキャスト技術が知られている(例えば、非特許文献1を参照)。eMBMSによれば、LTE(Long Term Evolution)と呼ばれる移動通信ネットワーク(LTEネットワーク)を通じて様々な情報やコンテンツを一斉配信することができる。eMBMSは、例えば、特定エリア内に存在する無線端末に対してニュースコンテンツを配信する情報配信サービスなどに活用されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】“Introduction of the Multimedia Broadcast Multicast Service(MBMS) in the Radio Access Network (RAN)”,3GPP TS 25.346 V6.13.0,2008年03月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来のeMBMSでは、特定エリア(情報配信対象エリア)内に存在する無線端末に情報を配信する際に、通信方法をマルチキャストにするか又はユニキャストにするかを動的に選択することができない。このため、例えば自動車等の車両に対して交通情報等の情報を配信する情報配信サービスにおいて、適切な通信方法(マルチキャスト又はユニキャスト)により情報配信を行うことができなかった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、情報配信対象エリア内に存在する車両の状況に適切な通信方法(マルチキャスト又はユニキャスト)により情報配信を行うことを図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、情報配信対象エリアに該当する通信エリアを有する無線基地局を特定し、特定された前記無線基地局の通信エリア内に存在する無線端末のうち車両に搭載される前記無線端末の台数を取得する管理部と、配信データ量及び前記台数に基づいて前記無線基地局のユニキャストの無線通信リソース使用率を算出し、算出した前記無線通信リソース使用率に基づいて、前記無線基地局からマルチキャストにより情報配信を行うか又はユニキャストにより情報配信を行うかを判断する判断部と、前記判断の結果に基づいて、前記無線基地局からマルチキャスト又はユニキャストにより情報配信を行う配信部と、を備え、前記判断部は、前記無線基地局からマルチキャストよりもユニキャストにより情報配信を行うことを優先し、前記無線通信リソース使用率が所定の閾値以上になった場合に、前記無線基地局からマルチキャストにより情報配信を行うと判断する、情報配信装置であって、前記判断部は、前記無線通信リソース使用率が前記閾値未満である場合には前記無線基地局からユニキャストにより情報配信を行うと判断し、一方、前記無線通信リソース使用率が前記閾値以上である場合には前記無線基地局からマルチキャストにより情報配信を行うと判断し、前記閾値は、前記無線基地局のマルチキャストに所要の無線通信リソース使用率に対して所定値だけ増加させた値である、情報配信装置である。
(2)本発明の一態様は、前記判断部は、ハンドオーバーが実施される予定の前記無線端末に対して、前記無線基地局からユニキャストにより情報配信を行うと判断する、上記(1)の情報配信装置である。
【0007】
(3)本発明の一態様は、コンピュータに、情報配信対象エリアに該当する通信エリアを有する無線基地局を特定し、特定された前記無線基地局の通信エリア内に存在する無線端末のうち車両に搭載される前記無線端末の台数を取得する管理ステップと、配信データ量及び前記台数に基づいて前記無線基地局のユニキャストの無線通信リソース使用率を算出し、算出した前記無線通信リソース使用率に基づいて、前記無線基地局からマルチキャストにより情報配信を行うか又はユニキャストにより情報配信を行うかを判断する判断ステップと、前記判断の結果に基づいて、前記無線基地局からマルチキャスト又はユニキャストにより情報配信を行う配信ステップと、を実行させ、前記判断ステップは、前記無線基地局からマルチキャストよりもユニキャストにより情報配信を行うことを優先し、前記無線通信リソース使用率が所定の閾値以上になった場合に、前記無線基地局からマルチキャストにより情報配信を行うと判断する、コンピュータプログラムであって、前記判断ステップは、前記無線通信リソース使用率が前記閾値未満である場合には前記無線基地局からユニキャストにより情報配信を行うと判断し、一方、前記無線通信リソース使用率が前記閾値以上である場合には前記無線基地局からマルチキャストにより情報配信を行うと判断し、前記閾値は、前記無線基地局のマルチキャストに所要の無線通信リソース使用率に対して所定値だけ増加させた値である、コンピュータプログラムである。
【0008】
(4)本発明の一態様は、情報配信装置が、情報配信対象エリアに該当する通信エリアを有する無線基地局を特定し、特定された前記無線基地局の通信エリア内に存在する無線端末のうち車両に搭載される前記無線端末の台数を取得する管理ステップと、前記情報配信装置が、配信データ量及び前記台数に基づいて前記無線基地局のユニキャストの無線通信リソース使用率を算出し、算出した前記無線通信リソース使用率に基づいて、前記無線基地局からマルチキャストにより情報配信を行うか又はユニキャストにより情報配信を行うかを判断する判断ステップと、前記情報配信装置が、前記判断の結果に基づいて、前記無線基地局からマルチキャスト又はユニキャストにより情報配信を行う配信ステップと、を含み、前記判断ステップは、前記無線基地局からマルチキャストよりもユニキャストにより情報配信を行うことを優先し、前記無線通信リソース使用率が所定の閾値以上になった場合に、前記無線基地局からマルチキャストにより情報配信を行うと判断する、情報配信方法であって、前記判断ステップは、前記無線通信リソース使用率が前記閾値未満である場合には前記無線基地局からユニキャストにより情報配信を行うと判断し、一方、前記無線通信リソース使用率が前記閾値以上である場合には前記無線基地局からマルチキャストにより情報配信を行うと判断し、前記閾値は、前記無線基地局のマルチキャストに所要の無線通信リソース使用率に対して所定値だけ増加させた値である、情報配信方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、情報配信対象エリア内に存在する車両の状況に適切な通信方法(マルチキャスト又はユニキャスト)により情報配信を行うことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る情報配信システムの構成例を示す概略構成図である。
【
図2】一実施形態に係る情報配信システムの構成例を示す概略構成図である。
【
図3】一実施形態に係る配信サーバの構成例を示すブロック図である。
【
図4】一実施形態に係る情報配信方法の手順の例を示すフローチャートである。
【
図5】一実施形態に係る通信方法判断方法の例1を説明するためのグラフ図である。
【
図6】一実施形態に係る通信方法判断方法の例2を説明するためのグラフ図である。
【
図7】一実施形態に係る情報配信方法の変形例の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1及び
図2は、一実施形態に係る情報配信システムの構成例を示す概略構成図である。
図1に示す情報配信システム1において、配信サーバ(情報配信装置)10は、移動通信ネットワークに備わる無線基地局BS1,BS2,BS3に通信回線で接続されている。
図1には、移動通信ネットワークに備わる無線基地局として、3台の無線基地局BS1,BS2,BS3が例示されている。無線基地局BS1,BS2,BS3は、情報配信対象エリア100に該当する通信エリアを有する無線基地局である。
図2に示される各無線基地局BS1,BS2,BS3の通信エリア111,112,113は、情報配信対象エリア100の少なくとも一部を含むものである。以下、無線基地局BS1,BS2,BS3を特に区別しないときは「無線基地局BS」と称する。
【0012】
図2に示されるように、各無線基地局BS1,BS2,BS3の通信エリア111,112,113には、車両3が存在する。車両3は、例えば自動車である。車両3は、走行していてもよく、又は、停車していてもよい。車両3には、無線端末UEが搭載されている。1台の車両3に搭載される無線端末UEは、1台であってもよく、又は、複数台であってもよい。また、車両3に搭載される無線端末UEは、車両3に固定的に搭載されるものであってもよく、又は、車両3に一時的に搭載されるものであってもよい。車両3に一時的に搭載される無線端末UEは、例えば、車両3に乗車する者が携帯するスマートフォン等の携帯通信端末装置である。以下、車両3に搭載されている無線端末UEのことを車載端末UEと称する場合がある。
【0013】
車載端末UEは、自己が存在する通信エリアを有する無線基地局BSを介して配信サーバ10と通信する。配信サーバ10は、各無線基地局BS1,BS2,BS3からマルチキャスト又はユニキャストにより例えば交通情報等の情報配信を行う。各通信エリア111,112,113に存在する車両3の車載端末UEは、各無線基地局BS1,BS2,BS3からマルチキャスト又はユニキャストにより配信サーバ10による情報配信を受ける。
【0014】
図3は、本実施形態に係る配信サーバの構成例を示すブロック図である。
図3において、配信サーバ10は、通信部11と管理部12と判断部13と配信部14とを備える。
【0015】
配信サーバ10の各機能は、配信サーバ10がCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、配信サーバ10として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。例えば、配信サーバ10は、インターネット等の通信ネットワークに接続されるサーバコンピュータを使用して構成されてもよい。また、配信サーバ10の各機能はクラウドコンピューティングにより実現されてもよい。また、配信サーバ10として、例えばWWWシステム等を利用してウェブサイトを開設するように構成してもよい。
【0016】
通信部11は、配信サーバ10の外部の装置と通信を行う。例えば、通信部11は、情報配信の依頼者の端末や移動通信ネットワークに備わる無線基地局BS等の装置などと通信を行う。
【0017】
管理部12は、情報配信に係る各種の情報を管理する機能を有する。管理部12は、情報配信対象エリア100に該当する通信エリア111,112,113を有する無線基地局BS1,BS2,BS3を特定し、特定された各無線基地局BS1,BS2,BS3の通信エリア111,112,113内に存在する無線端末のうち車両3に搭載される無線端末(車載端末)UEの台数を取得する。車載端末UEの台数は、移動通信ネットワークに備わる無線端末UEの管理装置から取得される。車載端末UEの台数は、例えば、LTEネットワークに備わるMME(Mobility Management Entity)から取得される。
【0018】
判断部13は、配信する情報のデータ量(配信データ量)と、管理部12が取得した各無線基地局BS1,BS2,BS3の通信エリア111,112,113内に存在する車載端末UEの台数とに基づいて各無線基地局BS1,BS2,BS3のユニキャストの無線通信リソース使用率を算出し、算出した各無線通信リソース使用率に基づいて、各無線基地局BS1,BS2,BS3からマルチキャストにより情報配信を行うか又はユニキャストにより情報配信を行うかを判断する。
【0019】
配信部14は、判断部13による判断の結果に基づいて、各無線基地局BS1,BS2,BS3からマルチキャスト又はユニキャストにより情報配信を行う。
【0020】
次に
図4を参照して本実施形態に係る情報配信方法を説明する。
図4は、本実施形態に係る情報配信方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0021】
(ステップS1) 配信サーバ10は、情報配信の依頼者の端末から情報配信依頼を受信する。情報配信依頼は、情報配信対象エリア100を特定する情報配信対象エリア情報と、配信データ量を示す配信データ量情報とを含む情報である。
【0022】
(ステップS2) 配信サーバ10の管理部12は、情報配信依頼に含まれる情報配信対象エリア情報で特定される情報配信対象エリア100に該当する通信エリア111,112,113を有する無線基地局BS1,BS2,BS3を特定する。情報配信対象エリア100と、情報配信対象エリア100に該当する通信エリア111,112,113を有する無線基地局BS1,BS2,BS3とを対応付ける情報は、予め、管理部12に保持される。又は、管理部12は、配信サーバ10の外部の所定の装置に対して、情報配信対象エリア100に該当する通信エリア111,112,113を有する無線基地局BS1,BS2,BS3を問合せてその回答を得てもよい。
【0023】
(ステップS3) 管理部12は、特定された各無線基地局BS1,BS2,BS3の通信エリア111,112,113内に存在する無線端末のうち車両3に搭載される車載端末UEの台数(車載端末数)を取得する。例えば、管理部12は、LTEネットワークに備わるMMEから当該各車載端末UEの台数(車載端末数)を取得する。管理部12は、定期的に、各通信エリア111,112,113内に存在する車載端末UEの台数(車載端末数)を取得する。
【0024】
(ステップS4) 配信サーバ10の判断部13は、配信データ量情報で示される配信データ量と、管理部12が取得した各無線基地局BS1,BS2,BS3の通信エリア111,112,113内に存在する車載端末UEの台数(車載端末数)とに基づいて、各無線基地局BS1,BS2,BS3のユニキャストの無線通信リソース使用率を算出する。なお、マルチキャストに所要の無線通信リソース使用率は、車載端末数にかかわらず、配信データ量によって一定である。
【0025】
例えば、判断部13は、LTEネットワークの無線基地局におけるユニキャストの無線通信リソースの使用率として、ユニキャストのリソースブロック(Resource Block)の使用率を算出する。リソースブロック使用率は、配信データ量と、車載端末数と、無線基地局BSが使用する無線周波数帯域幅とに基づいて、所定の算出式により算出される。なお、マルチキャストに所要のリソースブロック使用率は、車載端末数にかかわらず、配信データ量及び無線周波数帯域幅によって一定である。
【0026】
(ステップS5) 判断部13は、無線基地局BS1,BS2,BS3毎に、算出結果のユニキャストの無線通信リソース使用率に基づいて、当該無線基地局からマルチキャストにより情報配信を行うか又はユニキャストにより情報配信を行うかを判断する。
【0027】
ここで、
図5、
図6を参照して、通信方法(マルチキャスト又はユニキャスト)の判断方法の例1、例2を説明する。
【0028】
[通信方法判断方法の例1]
図5を参照して、通信方法(マルチキャスト又はユニキャスト)の判断方法の例1を説明する。
図5は、本実施形態に係る通信方法判断方法の例1を説明するためのグラフ図である。
図5に示されるグラフ図において、横軸は無線基地局当たりの車載端末数であり、縦軸はLTEネットワークの無線基地局におけるリソースブロック使用率である。
図5に示されるグラフ図は、一の無線基地局について、ある配信データ量及び無線周波数帯域幅におけるものである。
【0029】
図5において、グラフ線Wuは、ユニキャストのリソースブロック使用率と車載端末数との関係を示すグラフ線である。ユニキャストのリソースブロック使用率は、車載端末数に比例して増加する。グラフ線Wmは、マルチキャストのリソースブロック使用率と車載端末数との関係を示すグラフ線である。マルチキャストに所要のリソースブロック使用率Pmは、車載端末数にかかわらず、配信データ量及び無線周波数帯域幅によって一定である。
【0030】
通信方法判断方法の例1では、ユニキャストの無線通信リソース使用率と、マルチキャストに所要の一定の無線通信リソース使用率との比較の結果に基づいて、無線基地局からマルチキャストにより情報配信を行うか又はユニキャストにより情報配信を行うかを判断する。具体的には、
図5のグラフ図において、車載端末数Qa未満である場合、グラフ線Wuが示すユニキャストのリソースブロック使用率は、グラフ線Wmが示すマルチキャストに所要のリソースブロック使用率Pmよりも小さいので、無線基地局からユニキャストにより情報配信を行うと判断する。一方、車載端末数Qa以上である場合、グラフ線Wuが示すユニキャストのリソースブロック使用率は、グラフ線Wmが示すマルチキャストに所要のリソースブロック使用率Pm以上であるので、無線基地局からマルチキャストにより情報配信を行うと判断する。
【0031】
通信方法判断方法の例1によれば、車載端末数に応じて、より少ない無線通信リソース使用率の通信方法(マルチキャスト又はユニキャスト)により無線基地局から情報配信を行うことができるので、無線通信リソースの使用効率の向上効果が得られる。
【0032】
[通信方法判断方法の例2]
図6を参照して、通信方法(マルチキャスト又はユニキャスト)の判断方法の例2を説明する。
図6は、本実施形態に係る通信方法判断方法の例2を説明するためのグラフ図である。
図6に示されるグラフ図において、横軸は無線基地局当たりの車載端末数であり、縦軸はLTEネットワークの無線基地局におけるリソースブロック使用率である。
図6に示されるグラフ図は、一の無線基地局について、ある配信データ量及び無線周波数帯域幅におけるものである。
【0033】
図6において、グラフ線Wuは、ユニキャストのリソースブロック使用率と車載端末数との関係を示すグラフ線である。ユニキャストのリソースブロック使用率は、車載端末数に比例して増加する。グラフ線Wmは、マルチキャストのリソースブロック使用率と車載端末数との関係を示すグラフ線である。マルチキャストに所要のリソースブロック使用率Pmは、車載端末数にかかわらず、配信データ量及び無線周波数帯域幅によって一定である。
【0034】
通信方法判断方法の例2では、無線基地局からマルチキャストよりもユニキャストにより情報配信を行うことを優先し、無線通信リソース使用率が所定の閾値以上になった場合に、無線基地局からマルチキャストにより情報配信を行うと判断する。具体的には、
図6のグラフ図において、グラフ線Wuが示すユニキャストのリソースブロック使用率が所定の閾値Pt未満(車載端末数Qb未満)である場合、グラフ線Wuが示すユニキャストのリソースブロック使用率と、グラフ線Wmが示すマルチキャストに所要のリソースブロック使用率Pmとの大小関係にかかわらず、無線基地局からユニキャストにより情報配信を行うと判断する。一方、グラフ線Wuが示すユニキャストのリソースブロック使用率がPt以上(車載端末数Qb以上)である場合、無線基地局からマルチキャストにより情報配信を行うと判断する。閾値Ptは、マルチキャストに所要のリソースブロック使用率Pmに対して所定値だけ増加させた値である。
【0035】
通信方法判断方法の例2によれば、配信データの送達確認が行われないマルチキャストよりも、配信データの送達確認が行われるユニキャストが優先して適用されるので、情報配信の信頼性を向上させる効果が得られる。
【0036】
以上が通信方法(マルチキャスト又はユニキャスト)の判断方法の例1、例2の説明である。
判断部13は、定期的に、各無線基地局BS1,BS2,BS3について、最新の車載端末数を使用して通信方法(マルチキャスト又はユニキャスト)を判断する。
【0037】
説明を
図4に戻す。
(ステップS6) 判断部13がマルチキャストにより情報配信を行うと判断した無線基地局BSに対してはステップS7の処理が実行される。一方、判断部13がユニキャストにより情報配信を行うと判断した無線基地局BSに対してはステップS8の処理が実行される。
【0038】
(ステップS7) 配信部14は、情報配信を実施するタイミングになると、判断部13がマルチキャストにより情報配信を行うと判断した無線基地局BSからマルチキャストにより情報配信を行う。
【0039】
(ステップS8) 配信部14は、情報配信を実施するタイミングになると、判断部13がユニキャストにより情報配信を行うと判断した無線基地局BSからユニキャストにより情報配信を行う。
【0040】
上述した実施形態によれば、情報配信対象エリア100内に存在する車両3の状況に適切な通信方法(マルチキャスト又はユニキャスト)により情報配信を行うことができるという効果が得られる。
【0041】
[情報配信方法の変形例]
次に
図7を参照して本実施形態に係る情報配信方法の変形例を説明する。
図7は、本実施形態に係る情報配信方法の変形例の手順を示すフローチャートである。本変形例では、判断部13は、ハンドオーバーが実施される予定の車載端末UEに対して、無線基地局BSからユニキャストにより情報配信を行うと判断する。これは、ハンドオーバーの前後においては、マルチキャストでは配信データの伝送が失敗する可能性がユニキャストに比してより高くなるからである。
【0042】
(ステップS11) 配信サーバ10は、移動通信ネットワークに備わる所定の装置からハンドオーバー情報を受信する。ハンドオーバー情報は、ハンドオーバーが実施される予定の車載端末UE(ハンドオーバー対象端末)を識別する端末識別情報(端末ID)を含む情報である。
【0043】
(ステップS12) 配信サーバ10の判断部13は、ハンドオーバー情報で示されるハンドオーバー対象端末に対する現在の通信方法(マルチキャスト又はユニキャスト)を確認する。
【0044】
(ステップS13) ハンドオーバー対象端末に対する現在の通信方法がマルチキャストである場合、ステップS14に進む。一方、ハンドオーバー対象端末に対する現在の通信方法がユニキャストである場合、
図7の処理を終了する。
【0045】
(ステップS14) 判断部13は、ハンドオーバー対象端末に対する通信方法をユニキャストに変更する。これにより、配信部14は、ハンドオーバー対象端末に対して、無線基地局BSからユニキャストにより情報配信を行う。
【0046】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0047】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0048】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0049】
1…情報配信システム、3…車両、10…配信サーバ(情報配信装置)、11…通信部、12…管理部、13…判断部、14…配信部、BS1,BS2,BS3…無線基地局、UE…無線端末