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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】電波時計
(51)【国際特許分類】
   G04R 60/10 20130101AFI20220518BHJP
   G04G 21/04 20130101ALI20220518BHJP
   G04G 19/00 20060101ALI20220518BHJP
   G04C 9/00 20060101ALI20220518BHJP
   G04C 10/02 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
G04R60/10
G04G21/04
G04G19/00 B
G04C9/00 301A
G04C10/02 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019546611
(86)(22)【出願日】2018-09-18
(86)【国際出願番号】 JP2018034461
(87)【国際公開番号】W WO2019069673
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2017194336
(32)【優先日】2017-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 吉康
(72)【発明者】
【氏名】北村 健
(72)【発明者】
【氏名】仲 秀治
(72)【発明者】
【氏名】加藤 明
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-080356(JP,A)
【文献】特開2003-318650(JP,A)
【文献】特開2017-037057(JP,A)
【文献】特開2013-247598(JP,A)
【文献】特開2011-146779(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104536288(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 3/00-99/00
G04R 20/00-60/14
G04C 1/00-99/00
H01Q 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒形状の外装ケースと、
前記外装ケースの内部に配置された文字板と、
前記外装ケースの内部における前記文字板の裏面側に配置された基板と、
前記基板に配置された第一のグランド層と、
前記外装ケースの中心と前記外装ケースの側壁に対する内壁面との間に配置され、前記第一のグランド層と対向する平面状の放射電極と、前記放射電極の端部と前記第一のグランド層とを電気的に接続する平面状の短絡部と、前記放射電極と前記基板の受信回路とを接続する接続部と、を有するアンテナと、
前記基板における前記短絡部を挟んで前記放射電極側とは反対側に配置され、前記短絡部の幅以上の幅を有する第二のグランド層と、
を備え
前記第二のグランド層は、前記短絡部から前記放射電極側とは反対側に向けて延在しており、
前記延在方向における前記第二のグランド層の長さは、前記延在方向における前記放射電極の長さ以上である
ことを特徴とする電波時計。
【請求項2】
前記第一のグランド層と前記第二のグランド層とが一体である
請求項1に記載の電波時計。
【請求項3】
前記放射電極は、前記外装ケースの中心軸線と直交する方向である径方向に向けて前記短絡部から延在している
請求項1または2に記載の電波時計。
【請求項4】
前記文字板と前記基板との間の空間において、金属製の部材は、前記外装ケースの中心軸線の方向で前記放射電極と重ならない領域に配置されている
請求項1からの何れか1項に記載の電波時計。
【請求項5】
前記金属製の部材は、前記第二のグランド層と重なる領域に配置されている
請求項に記載の電波時計。
【請求項6】
更に、前記文字板と前記基板との間に配置されたソーラーセルを備え、
前記ソーラーセルは、前記放射電極および前記第二のグランド層と対向する位置に切欠き部を有する
請求項1からの何れか1項に記載の電波時計。
【請求項7】
前記文字板と前記基板との間の空間において、非導電性の部材が前記第二のグランド層と対向して配置される
請求項1からの何れか1項に記載の電波時計。
【請求項8】
更に、前記基板と対向する板状の非導電性の回転部材を有し、
前記回転部材は、前記外装ケースの中心軸線の方向において前記放射電極と重ならず、かつ前記第二のグランド層と重なるように配置されている
請求項1からの何れか1項に記載の電波時計。
【請求項9】
前記接続部は、前記受信回路と前記放射電極とを物理的にかつ電気的に接続しており、
前記放射電極は、前記接続部から前記外装ケースの内壁面に向けて延在している
請求項1からの何れか1項に記載の電波時計。
【請求項10】
前記接続部は、前記受信回路と前記放射電極とを物理的にかつ電気的に接続しており、
前記短絡部は、前記接続部の両側に前記接続部と並んで配置され、かつ前記外装ケースの中心軸線と平行な平面に沿って延在している
請求項1からの何れか1項に記載の電波時計。
【請求項11】
前記接続部は、容量結合によって前記放射電極と前記受信回路とを接続し、
前記接続部は、前記短絡部よりも前記外装ケースの中心側の位置に配置されている
請求項1からの何れか1項に記載の電波時計。
【請求項12】
略円筒形状の外装ケースと、
前記外装ケースの内部に配置された文字板と、
前記外装ケースの内部における前記文字板の裏面側に配置された基板と、
前記基板に配置された第一のグランド層と、
前記外装ケースの中心と前記外装ケースの側壁に対する内壁面との間に配置され、前記第一のグランド層と対向する平面状の放射電極と、前記放射電極の端部と前記第一のグランド層とを電気的に接続する平面状の短絡部と、前記放射電極と前記基板の受信回路とを接続する接続部と、を有するアンテナと、
前記基板における前記短絡部を挟んで前記放射電極側とは反対側に配置され、前記短絡部の幅以上の幅を有する第二のグランド層と、
を備え、
更に、前記基板と対向する板状の非導電性の回転部材を有し、
前記回転部材は、前記外装ケースの中心軸線の方向において前記放射電極と重ならず、かつ前記第二のグランド層と重なるように配置されている
ことを特徴とする電波時計。
【請求項13】
略円筒形状の外装ケースと、
前記外装ケースの内部に配置された文字板と、
前記外装ケースの内部における前記文字板の裏面側に配置された基板と、
前記基板に配置された第一のグランド層と、
前記外装ケースの中心と前記外装ケースの側壁に対する内壁面との間に配置され、前記第一のグランド層と対向する平面状の放射電極と、前記放射電極の端部と前記第一のグランド層とを電気的に接続する平面状の短絡部と、前記放射電極と前記基板の受信回路とを接続する接続部と、を有するアンテナと、
前記基板における前記短絡部を挟んで前記放射電極側とは反対側に配置され、前記短絡部の幅以上の幅を有する第二のグランド層と、
を備え、
前記接続部は、前記受信回路と前記放射電極とを物理的にかつ電気的に接続しており、
前記短絡部は、前記接続部の両側に前記接続部と並んで配置され、かつ前記外装ケースの中心軸線と平行な平面に沿って延在している
ことを特徴とする電波時計。
【請求項14】
略円筒形状の外装ケースと、
前記外装ケースの内部に配置された文字板と、
前記外装ケースの内部における前記文字板の裏面側に配置された基板と、
前記基板に配置された第一のグランド層と、
前記外装ケースの中心と前記外装ケースの側壁に対する内壁面との間に配置され、前記第一のグランド層と対向する平面状の放射電極と、前記放射電極の端部と前記第一のグランド層とを電気的に接続する平面状の短絡部と、前記放射電極と前記基板の受信回路とを接続する接続部と、を有するアンテナと、
前記基板における前記短絡部を挟んで前記放射電極側とは反対側に配置され、前記短絡部の幅以上の幅を有する第二のグランド層と、
を備え、
前記接続部は、容量結合によって前記放射電極と前記受信回路とを接続し、
前記接続部は、前記短絡部よりも前記外装ケースの中心側の位置に配置されている
ことを特徴とする電波時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アンテナを有する時計がある。特許文献1には、金属製の凹状容器で構成された筐体を有しており、筐体の凹部に、時計動作部のほか、GPS衛星からの電波を受信するための逆Fアンテナが配設されている時計装置の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-75090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アンテナの受信感度を向上させることについて、改良の余地が残されている。
【0005】
本発明の目的は、アンテナの受信感度を向上させることができる電波時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電波時計は、外装ケースと、前記外装ケースの内部に配置された文字板と、前記外装ケースの内部における前記文字板の裏面側に配置された基板と、前記基板に配置された第一のグランド層と、前記外装ケースの中心と前記外装ケースの内壁面との間に配置され、前記第一のグランド層と対向する平面状の放射電極と、前記放射電極の端部と前記第一のグランド層とを電気的に接続する平面状の短絡部と、前記放射電極と前記基板の受信回路とを接続する接続部と、を有するアンテナと、前記基板における前記短絡部を挟んで前記放射電極側とは反対側に配置され、前記短絡部の幅以上の幅を有する第二のグランド層と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電波時計は、基板における短絡部を挟んで放射電極側とは反対側に配置され、短絡部の幅以上の幅を有する第二のグランド層を有する。第二のグランド層は、アンテナとイメージアンテナとの対称性を向上させ、アンテナの受信感度を向上させる。よって、本発明に係る電波時計によれば、アンテナの受信感度を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る電波時計を示す平面図である。
図2図2は、実施形態に係る電波時計の断面図である。
図3図3は、実施形態に係る電波時計の要部断面図である。
図4図4は、実施形態に係るアンテナの斜視図である。
図5図5は、イメージアンテナの説明図である。
図6図6は、アンテナの第一の配置を示す斜視図である。
図7図7は、アンテナの第二の配置を示す斜視図である。
図8図8は、第一の配置および第二の配置におけるアンテナの感度を示す図である。
図9図9は、第一の配置においてグランド層が延長された構成を示す斜視図である。
図10図10は、第二の配置においてグランド層が延長された構成を示す斜視図である。
図11図11は、第一の配置における受信感度の測定結果を示す図である。
図12図12は、第二の配置における受信感度の測定結果を示す図である。
図13図13は、第一の配置において金属製のカバーで囲われた構成を示す斜視図である。
図14図14は、第二の配置において金属製のカバーで囲われた構成を示す斜視図である。
図15図15は、第一の配置における受信感度の測定結果を示す図である。
図16図16は、第二の配置における受信感度の測定結果を示す図である。
図17図17は、ソーラーセルの配置例を示す平面図である。
図18図18は、日板の配置例を示す平面図である。
図19図19は、アンテナの他の配置例を示す平面図である。
図20図20は、アンテナの形状の一例を示す斜視図である。
図21図21は、第二領域と重なるように配置されたソーラーセルを示す断面図である。
図22図22は、実施形態の第1変形例に係る電波時計を示す平面図である。
図23図23は、実施形態の第1変形例に係るアンテナの斜視図である。
図24図24は、実施形態の第1変形例に係るアンテナの正面図である。
図25図25は、アンテナの指向性を説明する側面図である。
図26図26は、アンテナの形状の一例を示す斜視図である。
図27図27は、アンテナの他の例を示す斜視図である。
図28図28は、実施形態の第2変形例に係る電波時計の平面図である。
図29図29は、実施形態の第3変形例に係る電波時計の平面図である。
図30図30は、実施形態の第4変形例に係る電波時計の平面図である。
図31図31は、実施形態の第5変形例に係る電波時計の断面図である。
図32図32は、実施形態の第6変形例に係る電波時計の要部断面図である。
図33図33は、実施形態の第7変形例に係るアンテナの平面図である。
図34図34は、実施形態の第8変形例に係るアンテナの平面図である。
図35図35は、実施形態の第8変形例に係るアンテナの斜視図である。
図36図36は、実施形態の第8変形例に係るアンテナの正面図である。
図37図37は、実施形態の第8変形例に係るアンテナの配置例を示す平面図である。
図38図38は、ソーラーセルの形状の一例を示す平面図である。
図39図39は、アンテナの他の配置例を示す平面図である。
図40図40は、実施形態の第9変形例に係るモータの配置を示す平面図である。
図41図41は、実施形態の第10変形例に係るグランド層の配置を示す平面図である。
図42図42は、実施形態の第10変形例に係る基板において機器が配置された状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る電波時計につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から図21を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、電波時計に関する。図1は、実施形態に係る電波時計を示す平面図、図2は、実施形態に係る電波時計の断面図、図3は、実施形態に係る電波時計の要部断面図、図4は、実施形態に係るアンテナの斜視図、図5は、イメージアンテナの説明図である。図2には、図1のII-II断面が示されている。
【0011】
図1および図2に示すように、実施形態の電波時計1は、外装ケース2、風防3、文字板4、指針5、ソーラーセル6、基板7、電池8、アンテナ9、および裏蓋10を有する。なお、図1では風防3、文字板4、指針5、およびソーラーセル6の図示が省略されている。電波時計1は、衛星からの電波を受信する。電波時計1は、電波によって取得した情報に基づいて内部時刻を補正する機能を有する。本実施形態の電波時計1は、GPS(GLOBAL POSITIONING SYSTEM)衛星から出力されるGPS電波を受信する。なお、GPS電波は、GPS時刻情報を含む電波であり、例えば、1.5GHz帯(1575.42MHz)と、1.2GHz帯(1227.60MHz)との2種類が使用される。
【0012】
外装ケース2は、電波時計1の外殻をなす部材である。外装ケース2は、例えば、チタンやチタン合金などの導電性材料で形成されている。外装ケース2は、略円筒形状の本体部21と、かん22と、を有する。本体部21は、軸方向の両端が開放した円筒状の構成部である。かん22は、本体部21と一体に形成されており、本体部21の外周面から径方向外側に向けて突出している。かん22には、ベルトが連結される。
【0013】
本明細書では、本体部21の中心軸線X1の方向を「軸方向」と称する。軸方向は、電波時計1の上下方向に対応する。また、中心軸線X1と直交する方向を「径方向」と称し、中心軸線X1を中心とする円周方向を「周方向」と称する。径方向において、中心軸線X1に近い側を「内側」と称し、中心軸線X1から遠い側を「外側」と称する。
【0014】
風防3は、本体部21における前面側の開口を閉塞する。風防3は、ガラス等の透明な材料で形成されている。風防3は、文字板4および指針5を前面側から覆う。裏蓋10は、本体部21における背面側の開口を閉塞する。裏蓋10は、板状の部材であり、例えば金属で形成されている。裏蓋10は、基板7を背面側から覆う。
【0015】
外装ケース2は、断面形状が略円形の収容空間23を有する。収容空間23は、本体部21の内方の空間である。収容空間23は、本体部21、風防3、および裏蓋10によって囲まれた閉空間である。収容空間23は、文字板4、指針5、ソーラーセル6、基板7、電池8、およびアンテナ9を収容する。
【0016】
文字板4は、円盤状の部材であり、本体部21に対して固定されている。文字板4は、前面側から背面側へ光が通過可能なように構成されている。文字板4は、例えば、光を透過させる材料で形成されている。文字板4は、例えば、合成樹脂等の非導電性の材料で形成されてもよい。
【0017】
指針5は、秒針51、分針52、および時針53を有する。指針5は、外装ケース2の中心軸線X1と同軸上に配置されている。指針5の回転軸55は、文字板4の貫通孔に挿通されている。秒針51、分針52、および時針53は、それぞれ輪列54を介してモータ等の駆動源と連結されている。輪列54は、文字板4よりも背面側に配置されており、駆動源56の回転を減速して指針5に伝える。本実施形態の駆動源56は、ステップモータである。駆動源56は、電池8から供給される電力によって指針5を回転駆動する。
【0018】
ソーラーセル6は、文字板4の背面に配置されている。ソーラーセル6は、平板状に形成されている。ソーラーセル6は、受光した光を電気エネルギーに変換する。ソーラーセル6は、光発電素子の集合体であり、前面側が受光面となっている。ソーラーセル6は、文字板4を透過した光により発電を行う。ソーラーセル6は、基板7と電気的に接続されている。ソーラーセル6によって発電された電力は、電波時計1の各機器に供給されてもよく、電池8に充電されてもよい。
【0019】
基板7は、収容空間23における裏蓋10の近傍に配置されている。基板7は、図示していない地板に固定され、地板が本体部21に対して固定されている。基板7は、軸方向において文字板4から背面側に離間して配置されており、かつ文字板4と対向している。基板7は、電波時計1を制御する制御部の構成要素である。基板7は、制御回路14および受信回路15を有する。制御回路14は、駆動源56の駆動制御や、内部時刻の補正を行う。受信回路15は、アンテナ9と接続されている。受信回路15は、アンテナ9によって受信された衛星信号を復号してデジタル信号を生成する。受信回路15によって生成されたデジタル信号は、制御回路14に送られる。制御回路14は、受信回路15から取得した信号に基づいて内部時刻を補正する。制御回路14は、内部時刻に基づいて指針5の表示時刻を修正することができる。更に、制御回路14は、位置情報とタイムゾーンとを関連づけた地図データを記憶領域に有し、衛星受信の結果から、現在位置が属するタイムゾーンを割り出して、時計に反映することができる。
【0020】
基板7には、グランド層70が配置されている。グランド層70は、例えば、導電性材料で形成されたグランド板や基板7上に形成されたグランド電極膜などで形成されてもよい。グランド層70の位置および形状は、アンテナ9の位置および形状に応じて定められている。後述するように、本実施形態のグランド層70は、アンテナ9およびイメージアンテナ9iと対向するように配置されている(図5参照)。本実施形態のグランド層70は、基板7における前面7aに形成されている。グランド層70は、外装ケース2と電気的に接続されている。電気的な接続は、直流的もしくは交流的の何れの接続であってもよい。グランド層70は、基板7の内層を介して外装ケース2と接続されていてもよい。なお、グランド層70は、外装ケース2に代えて裏蓋10に電気的に接続されてもよい。
【0021】
本実施形態のグランド層70の形状は、矩形である。グランド層70は、第一の辺70a、第二の辺70b、第三の辺70c、および第四の辺70dを有する。第一の辺70aは、外装ケース2の内壁面21aと対向する辺である。第一の辺70aと第四の辺70dとは径方向において対向している。第二の辺70bと第三の辺70cとは周方向において対向している。
【0022】
グランド層70は、例えば、中心軸線X1から第一の辺70aに下ろした垂線の足70pが第一の辺70aの中心または中心の近傍の位置となるように配置される。この場合、グランド層70の第二の辺70bおよび第三の辺70cはそれぞれ垂線と平行である。本実施形態のグランド層70では、第一の辺70aが短辺であり、第二の辺70bおよび第三の辺70cが長辺である。第一の辺70aは、第二の辺70bおよび第三の辺70cよりもわずかに短い。なお、第一の辺70aの長さは、第二の辺70bおよび第三の辺70cの長さと等しくてもよい。
【0023】
図1に示すように、グランド層70の幅WGは、後述する放射電極91の幅WEよりも大きい。本実施形態では、グランド層70の幅WGが放射電極91の幅WEよりも大きく、かつ基部94の幅WBよりも小さい。なお、本実施形態では、短絡部92の幅WS(図4参照)は、放射電極91の幅WEと等しい。従って、グランド層70の幅WGは、短絡部92の幅WSよりも大きい。ただし、グランド層70の幅WGは、短絡部92の幅WSと等しくてもよい。
【0024】
図3に示すように、グランド層70の第四の辺70dは、アンテナ9における径方向内側の端部に位置している。より詳しくは、第四の辺70dは、放射電極91における径方向内側の端部よりも径方向の内側に位置している。従って、短絡部92は、グランド層70における第一の辺70aと第四の辺70dとの間に配置されている。そして、放射電極91は、グランド層70における短絡部92と第四の辺70dとの間に配置されている。また、図1に示すように、放射電極91は、グランド層70の第二の辺70bと第三の辺70cとの間に配置されている。なお、第四の辺70dは、アンテナ9における径方向内側の端部よりも内側に位置していてもよい。
【0025】
アンテナ9は、基板7に配置されている。より詳しくは、アンテナ9は、基板7の前面7aに配置されている。また、アンテナ9は、中心軸線X1と外装ケース2の内壁面21aとの間に配置されている。アンテナ9は、放射電極91、短絡部92、接続部93、および基部94を有する。
【0026】
基部94は、誘電体によって立体形状に形成されている。基部94は、例えば、セラミック等の非導電性の誘電体で形成される。基部94は、ジルコニアや酸化チタンなどの誘電率が高い材料で構成されており、波長短縮効果を奏する。本実施形態の基部94の形状は、直方体である。基部94は、放射電極91が受信する電波の実質的な波長λ’をGPS電波の周波数に応じた波長λよりも小さくすることができる。
【0027】
図4に示すように、基部94は、前面94aが前面側を向くように、即ち前面94aが風防3と対向するように配置されている。また、基部94は、第一の側面94cが外装ケース2の内壁面21aと対向し、かつ第二の側面94dが中心軸線X1側を向くように配置されている。第一の側面94cおよび第二の側面94dは、前面94aを挟んで位置する側面であり、互いに逆方向を向いている。本実施形態の基部94は、中心軸線X1から第二の側面94dに下ろした垂線の足94eの位置が第二の側面94dにおける幅方向の中心位置となるように配置されている。アンテナ9の形状は、中心軸線X1から垂線の足94eに下ろした垂線に関して対称である。なお、本実施形態の第一の側面94cおよび第二の側面94dは、前面94aにおける長辺に沿った側面である。
【0028】
グランド層70は、第四の辺70d(図3参照)が基部94の第二の側面94dと平行となり、かつ第一の辺70aが基部94の第一の側面94cと平行となるように形成されている。基部94は、グランド層70における径方向の内側の領域に配置されている。
【0029】
放射電極91は、基部94の前面94aに配置されている。放射電極91は、金属等の導電性を有する材料によって形成された平面状の構成部である。放射電極91および後述する短絡部92や接続部93は、基部94である誘電体に形成された導電性材料の薄膜で構成されてもよいし、板状部材で構成されてもよい。なお、本実施形態で例示するアンテナ9は、誘電体に薄膜が形成されたものであるが、これに代えて、アンテナ9は、導電性の板状部材のみで構成されてもよく、基部94に導電性の板状部材が組み合わされて構成されてもよい。平面状の放射電極91には、薄膜で構成されたものも、板状に形成されたものも含まれる。また、平面状の短絡部92や接続部93には、薄膜で構成されたものも、板状に形成されたものも含まれる。更に、平面状の放射電極91、短絡部92、および接続部93には、表面の全部または一部に凹凸部を有する構成も含まれる。
【0030】
本実施形態の放射電極91の形状は、矩形である。放射電極91は、前面94aの大部分の領域を覆うように前面94aに配置されている。また、放射電極91は、前面94aの縁部をコの字形状に露出させるように配置されている。より具体的には、前面94aにおける径方向内側の一部の領域、および幅方向の両端の領域が露出している。放射電極91の各辺は、前面94aの各辺と平行である。なお、放射電極91は、前面94aが露出しないように、言い換えると前面94aの全体を覆うように設けられてもよい。
【0031】
なお、本明細書におけるアンテナ9やグランド層70の説明において、「幅方向」とは、放射電極91の延在方向と直交する方向である。例えば、本実施形態の放射電極91は、短絡部92から径方向に沿って延在している。この場合の「延在方向」は、中心軸線X1と垂線の足70pとを結ぶ垂線の方向である。幅方向は、この垂線と直交する方向であり、例えば、グランド層70の第一の辺70aと平行な方向である。
【0032】
放射電極91は、第一の放射辺91a,91aおよび第二の放射辺91bを有する。第一の放射辺91aは、放射電極91における径方向に沿った辺である。一方の第一の放射辺91aと、他方の第一の放射辺91aとは略平行または実質的に平行である。第二の放射辺91bは、放射電極91における第一の放射辺91aと実質的に直交する辺、言い換えると幅方向に沿った辺である。放射電極91の実質的なアンテナ長は、短絡部92との接続箇所91cから、第二の放射辺91bまでの辺の長さ、つまり第一の放射辺91a,91aの長さである。放射電極91は、例えば、アンテナ長が短縮後の実質的な波長λ’の1/4の長さとなるように形成されている。本実施形態のアンテナ9は、平面モノポールアンテナの特性を有する。より詳しくは、本実施形態のアンテナ9では、第一の放射辺91a,91aがそれぞれモノポールアンテナと同様のアンテナ特性を示す。第一の放射辺91a,91aは、中心軸線X1の方向に沿った指向性を有する。すなわち、第一の放射辺91a,91aは、中心軸線X1の方向に沿った電波に対して高い感度を有する。
【0033】
短絡部92は、基部94における第一の側面94cに配置されている。第一の側面94cは、基部94における径方向外側を向く面である。短絡部92は、金属等の導電性を有する材料によって形成された平面状の構成部である。短絡部92の形状は、例えば、矩形である。短絡部92は、第一の側面94cの上端から下端まで延在している。短絡部92は、第一の側面94cにおける幅方向の両端部を露出させるように配置されている。短絡部92の上端は放射電極91につながっており、放射電極91と電気的に接続されている。短絡部92の下端はグランド層70に電気的に接続されている。本実施形態では、短絡部92の幅WSは放射電極91の幅WEと同じである。
【0034】
接続部93は、基部94における第二の側面94dに配置されている。第二の側面94dは、基部94における径方向内側を向く面である。接続部93は、金属等の導電性を有する材料によって形成された平面状の構成部である。接続部93の形状は、例えば、矩形である。接続部93は、第二の側面94dにおける背面94b側の端部から、中央よりもやや前面側の位置まで延在している。接続部93は、RF接続部であり、受信回路15に接続されている。本実施形態のアンテナ9では、放射電極91に対して接続部93が容量結合される。接続部93と放射電極91とは物理的に接触しておらず、離間している。接続部93と放射電極91とが容量結合することで、非接触方式による信号の伝達がなされる。接続部93における前面側の端部と第二の放射辺91bとの距離によってインピーダンスのマッチングが取られる。なお、接続部93と放射電極91との間で直接接続による給電がなされてもよい。
【0035】
基部94は、背面94bをグランド層70に接触させるようにして基板7によって保持されている。背面94bは、グランド層70における径方向内側の領域と対向している。基部94の第一の側面94cは、グランド層70の第一の辺70aと平行であり、基部94の第二の側面94dは、グランド層70の第四の辺70dと平行である。グランド層70と接続部93とが導通しないように、接続部93と接続される電極75(図3参照)は、グランド層70に対して所定の距離をあけて配置されている。接続部93は、電極75を介して受信回路15に接続されている。アンテナ9のインピーダンスに対する影響を低減する観点から、電極75は可能な限り小さくされることが好ましい。また、電極75とグランド層70との距離は、可能な限り離間されることが好ましい。また、電極75とグランド層70は、平面的に重ねないことが好ましい。
【0036】
本実施形態のグランド層70は、図3等に示すように、第一領域71および第二領域72を有する。第一領域71は、短絡部92よりも径方向内側の領域である。第二領域72は、短絡部92よりも径方向外側の領域である。第一領域71と第二領域72とは連続しており、かつ単一のグランド層70を構成している。本実施形態のグランド層70では、第一領域71の形状と第二領域72の形状とが同一である。すなわち、グランド層70は、短絡部92に関して対称な形状を有している。より詳しくは、径方向における第一領域71の長さLG1と、径方向における第二領域72の長さLG2とが等しい。また、第一領域71の幅と、第二領域72の幅とは同一である。従って、第一領域71の面積と第二領域72の面積とは等しい。
【0037】
本実施形態の電波時計1では、図5を参照して説明するように、イメージアンテナ9iによってアンテナ9の受信感度を向上させることができる。イメージアンテナ9iは、仮想のアンテナであり、アンテナ9と対をなす。イメージアンテナ9iは、短絡部92を挟んで放射電極91側とは反対側に生成されると考えられている。イメージアンテナ9iは、短絡部92に関してアンテナ9と対称な位置に対称な形状で生成される。
【0038】
イメージアンテナ9iは、仮想電極91iを含む。仮想電極91iは、影像効果によって短絡部92に対して放射電極91とは対称の位置に形成される仮想の構成部である。仮想電極91iは、短絡部92から径方向外側に向けて延在し、グランド層70の第二領域72と対向する。
【0039】
本実施形態では、イメージアンテナ9iが生成される空間部に他の構成要素が配置されていない。言い換えると、イメージアンテナ9iが生成されるための専用の空間が確保されている。また、短絡部92に関してグランド層70が対称に形成されている。つまり、短絡部92に関して径方向内側の領域と径方向外側の領域とで電気的な対称性が確保されている。このため、アンテナ9との対称性が高いイメージアンテナ9iが生成される。その結果、本実施形態の電波時計1は、アンテナ9の受信感度を最大限に向上させることができる。ただし、イメージアンテナ9iが生成される領域に実装物が配置されてもよい。イメージアンテナ9iの生成領域に実装物が配置されることで、実装物に対する給電ラインの短縮が可能となり、配線容量の影響を抑制することができ伝搬ロスを少なくすることができる。
【0040】
図6から図16を参照して、本実施形態の電波時計1におけるアンテナ9の受信感度について説明する。
図6および図7には、グランド層70に対するアンテナ9の配置の一例が示されている。図6および図7のアンテナ9は、それぞれグランド層70の端部に配置されており、短絡部92の位置が異なる。図6に示すアンテナ9は、本実施形態の電波時計1における配置と同様に、短絡部92をグランド層70の中央側に向けている。言い換えると、図6のアンテナ9の配置では、短絡部92から前方に向けてグランド層70が延在している。短絡部92の前方に延在するグランド層70の長さLGXは、基部94の長さLBの2倍以上である。
【0041】
一方、図7に示すアンテナ9は、短絡部92をグランド層70の中央側とは逆側に向けている。この場合、短絡部92の前方には実質的にグランド層70が存在していない。つまり、図6図7では、短絡部92の前方にグランド層70が設けられているか否かの違いがある。以下の説明では、図6のアンテナ9の配置を「第一の配置」と称し、図7のアンテナ9の配置を「第二の配置」と称する。
【0042】
図8には、第一の配置および第二の配置におけるアンテナ9の感度が示されている。図8において、縦軸はアンテナ9の受信感度C/N[dB]を示す。図8には、四つのGPS衛星から受信した電波の感度が示されている。図8から明らかなように、第一の配置における受信感度は第二の配置における受信感度よりも良好である。つまり、短絡部92の前方にグランド層70が存在する場合、グランド層70が存在しない場合よりもアンテナ9の受信感度が向上することが確認された。この理由は、短絡部92の前方のグランド層70によって、アンテナ9との対称性が高いイメージアンテナ9iが生成されることによると考えられる。
【0043】
次に、第一の配置および第二の配置においてグランド層70を追加した場合の感度の変化について説明する。図9は、第一の配置においてグランド層が延長された構成を示す図、図10は、第二の配置においてグランド層が延長された構成を示す斜視図である。図9および図10に示すグランド層70は、延長部70Xを有する。延長部70Xは、グランド層70におけるアンテナ9が配置されている側の端部を延長した部分である。図9に示すように、第一の配置における延長部70Xは、接続部93の前方に向けて延在する。言い換えると、グランド層70において、短絡部92の前方に配置された部分は図6に対して変化していない。
【0044】
一方、図10に示すように、第二の配置における延長部70Xは、短絡部92の前方に向けて延在する。つまり、図7の構成に対して、短絡部92の前方にグランド層70が追加されている。延長部70Xの長さLXは、基部94の長さLBと同様である。
【0045】
図11には、第一の配置における受信感度の測定結果が示されている。図12には、第二の配置における受信感度の測定結果が示されている。図11には、第一の配置において延長部70Xが設けられていない場合(図6)の受信感度、および延長部70Xが設けられた場合(図9)の受信感度が示されている。図12には、第二の配置において延長部70Xが設けられていない場合(図7)の受信感度、および延長部70Xが設けられた場合(図10)の受信感度が示されている。
【0046】
図11に示すように、第一の配置では、延長部70Xの有無はアンテナ9の受信感度に大きな影響を与えない。一方、図12に示すように、第二の配置では、延長部70Xの有無は、アンテナ9の受信感度に明らかな違いをもたらす。延長部70Xが設けられた場合、延長部70Xが設けられない場合と比較して、受信感度が大きく向上する。
【0047】
以上の結果から明らかなように、短絡部92を挟んで放射電極91側とは反対側にグランド層70が配置されることでアンテナ9の感度が向上する。この受信感度の向上は、短絡部92の前方に配置されたグランド層70によって、アンテナ9とイメージアンテナ9iとの対称性が確保されることによると考えられる。すなわち、グランド層70において、短絡部92を挟んだ両側の対称性を高くすることで、アンテナ9の受信感度を向上させることができると考えられる。
【0048】
次に、アンテナ9の受信感度に対する周囲の金属部材の影響について説明する。図13には、第一の配置において金属製のカバー12が被せられた構成が示されている。図14には、第二の配置において金属製のカバー12が被せられた構成が示されている。カバー12は、導電性を有する金属で構成された箱状の部材である。カバー12は、グランド層70およびアンテナ9の周囲を覆っている。カバー12は、グランド層70と電気的に接続されている。カバー12の高さHCは、基部94の長さLBの2倍程度である。
【0049】
図15には、第一の配置における受信感度の測定結果が示されている。図16には、第二の配置における受信感度の測定結果が示されている。図15には、第一の配置においてカバー12が設けられていない場合(図6)の受信感度、およびカバー12が設けられた場合(図13)の受信感度が示されている。図16には、第二の配置においてカバー12が設けられていない場合(図7)の受信感度、およびカバー12が設けられた場合(図14)の受信感度が示されている。
【0050】
図15に示すように、第一の配置では、カバー12の有無がアンテナ9の受信感度に明らかな違いをもたらす。第一の配置では、カバー12が設けられた場合、カバー12が設けられない場合と比較して、受信感度が大きく低下する。一方、第二の配置では、カバー12の有無が受信感度に多少影響する。第二の配置においても、カバー12が設けられた場合、カバー12が設けられない場合と比較して受信感度が低下する。ただし、第二の配置における受信感度低下の度合いは、第一の配置における受信感度低下の度合いよりも小さい。つまり、第二の配置は、第一の配置よりも、金属製の囲いに対する耐性が高いといえる。
【0051】
第一の配置では、放射電極91に対して容量結合する接続部93が、金属部材であるカバー12に近接して配置されているため、カバー12の金属の影響を受けて受信感度が低下していると考えられる。
【0052】
本実施形態の電波時計1では、アンテナ9およびイメージアンテナ9iの上方が金属性の部材によって覆われないように、各構成要素が配置されている。例えば、図3および図5に示すように、ソーラーセル6は、グランド層70の第二領域72およびアンテナ9の上方を覆わないように配置されている。より詳しくは、ソーラーセル6の端面6aは、放射電極91よりも径方向内側に位置している。つまり、ソーラーセル6は、軸方向視した場合に少なくとも放射電極91と重ならないように配置されている。よって、本実施形態の電波時計1は、アンテナ9の受信感度を向上させることができる。
【0053】
ソーラーセル6は、図17に示すように構成されてもよい。図17は、ソーラーセルの配置例を示す平面図である。図17に示すソーラーセル6の形状は、円盤の一部が切り欠かれた形状である。ソーラーセル6は、扇形状の切欠き部6bを有する。切欠き部6bは、中心軸線X1から径方向の外側に向かうに従って幅が広くなっている。切欠き部6bの形状および配置は、軸方向視した場合に、ソーラーセル6がアンテナ9およびグランド層70と重ならないように定められている。つまり、アンテナ9およびグランド層70の前面側がソーラーセル6によって遮られないように切欠き部6bが形成されている。
【0054】
なお、非導電性の部材は、グランド層70の前面側へ配置されてもよい。図18は、日板の配置例を示す平面図である。電波時計1に配置される日板13が非導電性の部材である場合、日板13は軸方向視においてグランド層70と重なってもよい。日板13は、例えば、中心軸線X1と同軸上に配置される。日板13は、例えば、グランド層70の第二領域72とは重なり、かつアンテナ9とは重ならないように配置される。言い換えるならば、日板13は、アンテナ9よりも径方向の外側に配置される。非導電性の部材は、グランド層70と対向する位置に配置されたとしても、アンテナ9とイメージアンテナ9iとの対称性に影響を与えにくいと考えられる。ただし、時計全体の厚みを考慮して、アンテナ9とは重ならないように配置されることが好ましい。
【0055】
アンテナ9の他の配置例について説明する。図19は、アンテナの他の配置例を示す平面図である。図19に示す配置では、アンテナ9の短絡部92が周方向を向くように配置されている。言い換えると、図19に示す配置では、放射電極91は、短絡部92から周方向に沿って延在している。また、グランド層70の第二領域72は、アンテナ9から周方向に沿って放射電極91側とは反対側に向けて延在している。
【0056】
アンテナ9は、例えば、短絡部92が仮想の平面S1上に位置するように配置される。仮想の平面S1は、中心軸線X1を含む平面である。言い換えると、アンテナ9は、短絡部92が仮想の平面S1に沿って径方向に延在するように配置される。この場合、グランド層70は、仮想の平面S1に関して対称となるように配置される。つまり、グランド層70において、第一領域71と第二領域72とが仮想の平面S1を挟んで互いに異なる側に位置する。
【0057】
図19に示すような配置においても、イメージアンテナ9iの効果によって、アンテナ9の受信感度を向上させることができる。
【0058】
アンテナ9の他の形状について説明する。図20は、アンテナの形状の一例を示す斜視図である。図20に示すアンテナ9では、基部94の第一の側面94cが傾斜面である。第一の側面94cは、背面94b側から前面94a側へ向かうに従って第二の側面94dへ近づくように傾斜している。短絡部92は、第一の側面94cと同様に傾斜している。アンテナ9の形状として、例示した以外の様々な形状が採用可能である。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る電波時計1は、外装ケース2と、文字板4と、基板7と、グランド層70の第一領域71と、アンテナ9と、グランド層70の第二領域72と、を有する。文字板4は、外装ケース2の内部に配置されている。グランド層70の第一領域71は、基板7に配置された第一のグランド層に相当する。アンテナ9は、外装ケース2の中心である中心軸線X1と外装ケース2の内壁面21aとの間に配置されている。アンテナ9は、平面状の放射電極91と、平面状の短絡部92と、接続部93と、を有する。放射電極91は、グランド層70の第一領域71と対向している。短絡部92は、放射電極91の端部とグランド層70の第一領域71とを電気的に接続している。接続部93は、放射電極91と基板7の受信回路15とを接続する。
【0060】
グランド層70の第二領域72は、基板7に配置された第二のグランド層に相当する。第二領域72は、基板7における短絡部92を挟んで放射電極91側とは反対側に配置されている。第二領域72の幅WGは、短絡部92の幅WS以上である。本実施形態のアンテナ9は、グランド層70の第二領域72によって、イメージアンテナ9iとアンテナ9との対称性を向上させる。よって、本実施形態のアンテナ9は、受信感度の向上を図ることができる。
【0061】
本実施形態のアンテナ9では、第一のグランド層としての第一領域71と、第二のグランド層としての第二領域72とが一体である。第一領域71と第二領域72とが一体であることで、イメージアンテナ9iとアンテナ9との対称性を向上させやすい。また、グランド層70の構成が簡素化される。
【0062】
本実施形態のアンテナ9において、放射電極91は、外装ケース2の中心軸線X1と直交する方向である径方向に向けて短絡部92から延在している。このような配置によれば、放射電極91において、外装ケース2の内壁面21aとの位置関係において対称性を確保しやすい。
【0063】
本実施形態のアンテナ9において、グランド層70の第二領域72は、短絡部92から放射電極91側とは反対側に向けて延在している。この延在方向における第二領域72の長さLG2は、放射電極91の長さLE以上である。よって、本実施形態の第二領域72は、イメージアンテナ9iとアンテナ9との対称性を向上させることができる。
【0064】
なお、第二領域72の長さLG2は、放射電極91の長さLE未満であってもよい。第二領域72の長さLG2は、例えば、確保できる領域の大きさに応じて決定される。グランド層70において、第一の辺70aの形状は、直線形状に代えて、外装ケース2の内壁面21aの形状に対応した円弧形状とされてもよい。このようにすれば、限られたスペースを有効活用して第一領域71と第二領域72との対称性を高めることが可能である。
【0065】
本実施形態のアンテナ9では、文字板4と基板7との間の空間において、金属製の部材は、外装ケース2の中心軸線X1の方向で放射電極91と重ならない領域に配置されている。例えば、ソーラーセル6は、図17に示すように軸方向視した場合に放射電極91と重ならない領域に配置されている。また、駆動源56や輪列54は、軸方向視した場合に放射電極91と重ならない領域に配置されている。金属製の部材が放射電極91と重ならない領域に配置されることで、アンテナ9の受信感度の向上が可能となる。
【0066】
アンテナ9において、金属製の部材が第二領域72と重なる領域に配置されてもよい。第二領域72と重なる領域に配置される金属製の部材は、例えば、ソーラーセル6、駆動源56、耐磁板、輪列54等である。図21には、第二領域72と重なるように配置されたソーラーセル6が示されている。ソーラーセル6は、軸方向においてグランド層70の第二領域72と対向している。ソーラーセル6は、放射電極91と対向する位置に開口部6cを有する。開口部6cの形状は、例えば、矩形である。開口部6cは、軸方向視において放射電極91と重なる範囲に設けられている。開口部6cの開口幅や開口長さは、それぞれ放射電極91の幅WEや長さLEよりも大きくされてもよい。第二領域72と重なる領域にもソーラーセル6が配置されることで、アンテナ9の受信感度の向上を図りつつソーラーセル6の受光面積の最大化を図ることができる。
【0067】
なお、図21では第二領域72の全域に対してソーラーセル6が重なっているが、これには限定されない。ソーラーセル6は、第二領域72の一部の領域と重なっていてもよい。ソーラーセル6には、第二領域72と重なる領域に開口やスリットなどが設けられていてもよい。例えば、開口部6cの一部は、軸方向視した場合に第二領域72と重なるように形成されてもよい。
【0068】
アンテナ9のソーラーセル6は、図17に示すように、切欠き部6bを有していてもよい。ソーラーセル6が文字板4と基板7との間に配置される場合、ソーラーセル6はアンテナ9の受信感度の低下を招かないように配置されることが好ましい。図17に示すソーラーセル6は、放射電極91および第二領域72と対向する位置に切欠き部6bを有する。切欠き部6bは、軸方向視した場合に放射電極91および第二領域72と重なる範囲を含んでいる。放射電極91および第二領域72の前面側をソーラーセル6が遮らないことで、アンテナ9の受信感度の低下が抑制される。
【0069】
文字板4と基板7との間の空間において、非導電性の部材が第二領域72と対向して配置されてもよい。例えば、輪列54が非導電性の部材である場合、輪列54が第二領域72と対向して配置されてもよい。このように非導電性の部材が第二領域72と対向して配置されることで、第二領域72と文字板4との間の空間が有効利用される。また、非導電性の部材はイメージアンテナ9iの特性に影響を与えにくい。従って、アンテナ9の受信感度の向上を図りつつ外装ケース2の内部の限られた空間を有効利用することができる。
【0070】
電波時計1が、基板7と対向する平面状の非導電性の回転部材、例えば日板や曜板を有することがある。この場合、この回転部材は、外装ケース2の中心軸線X1の方向において放射電極91と重ならず、かつ第二領域72と重なるように配置されることが好ましい。例えば、図18に示す日板13は、外装ケース2の内部空間において最外周に配置されている。日板13の内周面は、少なくとも放射電極91よりも径方向の外側に位置している。また、日板13の一部は、軸方向視においてグランド層70の第二領域72と重なっている。このような配置により、アンテナ9の受信感度への影響を抑制しつつ日板13の大径化を図ることができる。
【0071】
本実施形態の接続部93は、容量結合によって放射電極91と受信回路15とを接続している。接続部93は、短絡部92よりも外装ケース2の中心側の位置に配置されている。接続部93が外装ケース2の内壁面21aから離れていることで、接続部93と放射電極91との容量結合が外装ケース2からの影響を受けにくい。
【0072】
なお、本実施形態では電池8の中心と中心軸線X1とを結んだ直線上にアンテナ9のアンテナ中心が配置されていたが、この配置は一例である。本実施形態の例示では、アンテナ9の中心が略12時の位置に配置され、電池8の中心が略6時の位置に配置されている。これに代えて、アンテナ9の中心が9時~11時の間の位置に配置され、電池8の中心が4時~6時の間の位置に配置されてもよい。
【0073】
なお、グランド層70において、第一領域71の形状と第二領域72の形状とが異なっていてもよい。また、第一領域71の長さLG1と第二領域72の長さLG2とが異なっていてもよい。例えば、第一領域71の長さLG1が第二領域72の長さLG2よりも大きくてもよい。
【0074】
アンテナ9は、電波を受信するだけでなく、電波の送信に用いられてもよい。例えば、アンテナ9は、周辺の機器との間で送信および受信を行うために用いられてもよい。この場合、電子時計1は、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi等による近距離無線通信により他の機器と通信してもよい。アンテナ9が電波を送信する場合、接続部93を介して放射電極91に対する給電がなされる。電波時計1は、受信回路15および送信回路を含む無線通信回路を有していてもよい。この場合、接続部93によって無線通信回路と放射電極91とが接続される。
【0075】
[実施形態の第1変形例]
図22から図27を参照して、実施形態の第1変形例について説明する。図22は、実施形態の第1変形例に係る電波時計を示す平面図、図23は、実施形態の第1変形例に係るアンテナの斜視図、図24は、実施形態の第1変形例に係るアンテナの正面図、図25は、アンテナの指向性を説明する側面図である。第1変形例のアンテナ9は、上記実施形態の接続部93に代えて、接続部96を有する。第1変形例の電波時計1において、アンテナ9以外の構成は上記実施形態と同様である。接続部96は、受信回路15と放射電極91とを物理的にかつ電気的に接続している。接続部96は、平面状の構成部であり、第一の側面94cに配置されている。上記実施形態の接続部93は、容量結合により間接的に放射電極91と受信回路15とを接続する。一方、第1変形例の接続部96は、放射電極91と受信回路15とを直接的に接続する。第一変形例では、第一の側面94cは、径方向の内側を向いている。
【0076】
第1変形例のアンテナ9は、一対の短絡部95,95を有する。一対の短絡部95,95は、それぞれ平面状の構成部であり、第一の側面94cに配置されている。一対の短絡部95,95は、接続部96の両側に接続部96と並んで配置されている。一対の短絡部95,95は、それぞれ軸方向に沿って延在しており、かつ幅方向に間隔をあけて配置されている。接続部96は、一対の短絡部95,95の間に配置され、軸方向に沿って延在している。接続部96および一対の短絡部95,95は、仮想の平面S2に沿って延在している。仮想の平面S2は、外装ケース2の中心軸線X1と平行な平面である。つまり、接続部96および一対の短絡部95,95は、中心軸線X1から仮想の平面S2に下ろした垂線に対して直交するように延在している。
【0077】
接続部96と一対の短絡部95,95とは放射電極91側の端部において互いに接続されている。つまり、接続部96および一対の短絡部95,95は、一つの導電部材を構成している。
【0078】
第1変形例のアンテナ9では、図24に示すように、接続部96に流れる電流Iaの向きと、短絡部95に流れる電流Ibの向きとが逆向きになる。よって、放射電極91に対して給電がなされる場合、実質的な給電ポイントは、図24に示す給電部97となる。電流Iaの向きと電流Ibの向きとが逆向きであり互いに打ち消し合うことから、接続部96は実質的に放射に寄与しない。つまり、接続部96は、放射に寄与しない伝送経路として機能する。従って、図25に示すように、アンテナ9において放射電極91が主として放射に寄与する。アンテナ9は、図25に示すように軸方向に沿った指向性を有する。つまり、アンテナ9は、軸方向に沿って進む電波を高い感度で受信することができる。
【0079】
図23に示すように、一対の短絡部95,95は、何れも幅がWS1である。一対の短絡部95,95は、同一の形状に形成されている。短絡部95の幅WS1は、例えば、接続部96の幅WPよりも大きい。
【0080】
図22に示すように、アンテナ9は、短絡部95および接続部96を径方向の内側に向けて配置される。放射電極91は、接続部96から径方向の外側に向けて延在している。言い換えると、放射電極91は、接続部96から外装ケース2の内壁面21aに向けて径方向に沿って延在している。
【0081】
グランド層70の第二領域72は、アンテナ9に対して径方向の内側に配置されている。第1変形例においても、第二領域72の位置は、基板7における短絡部95を挟んで放射電極91側とは反対側の位置である。第二領域72の幅WGは、短絡部95の幅WS1以上である。上記実施形態と同様に、グランド層70は、アンテナ9に対応する第一領域71を有する。第一領域71と第二領域72とは同じ形状とされてもよい。第二領域72の長さLG2は、放射電極91の長さLE以上であることが好ましい。
【0082】
第1変形例の電波時計1では、アンテナ9よりも径方向の内側がイメージアンテナ9iの領域となる。グランド層70の第二領域72によって、アンテナ9とイメージアンテナ9iとの対称性が高められる。これにより、第1変形例の電波時計1においてもアンテナ9の受信感度が向上する。
【0083】
なお、アンテナ9の形状は、図26に示すような形状であってもよい。図26に示すアンテナ9では、基部94の第一の側面94cが傾斜面である。第一の側面94cは、背面94b側から前面94a側へ向かうに従って第二の側面94dへ近づくように傾斜している。短絡部95,95および接続部96は、第一の側面94cと同様に傾斜している。
【0084】
放射電極91は、基部94における前面94a以外の面まで延在していてもよい。例えば、図27に示すように、放射電極91が前面94aから第二の側面94dまで延在していてもよい。複数の面にわたって放射電極91を延在させることで、アンテナ9の小型化を図ることが可能である。アンテナ9の形状として、例示した以外の様々な形状が採用可能である。
【0085】
第1変形例の電波時計1において、金属製の部材は、中心軸線X1の方向で放射電極91と重ならない領域に配置されることが好ましい。金属製の部材は、グランド層70の第二領域72と重なる領域に配置されてもよい。ソーラーセル6は、放射電極91および第二領域72と対向する位置に切欠き部が設けられてもよい。
【0086】
非導電性の部材は、グランド層70の第二領域72と対向して配置されてもよい。電波時計1が非導電性の回転部材を有する場合、その回転部材は、中心軸線X1の方向において放射電極91と重ならず、かつ第二領域72と重なるように配置されてもよい。
【0087】
[実施形態の第2変形例]
図28を参照して、実施形態の第2変形例について説明する。図28は、実施形態の第2変形例に係る電波時計の平面図である。第2変形例の電波時計1では、電池8が第二のグランド層として機能する。電池8は、負極を前面側に向けて配置されている。アンテナ9は、短絡部92を電池8に向けて、電池8に隣接して配置されている。従って、電池8は、短絡部92を挟んで放射電極91とは反対側に位置している。電池8の負極は、第二のグランド層として機能し、アンテナ9とイメージアンテナ9iとの対称性を向上させることができる。
【0088】
なお、上記実施形態のアンテナ9が電池8に隣接して配置されてもよい。この場合、アンテナ9は、一対の短絡部95,95を電池8に向けて、電池8に隣接して配置される。このような配置は、基板7において第二領域72のための領域を確保することが困難な場合に有利である。なお、アンテナ9が直接接続型である場合において、外装ケース2をグランド電位にして、アンテナ9の接続部96を外装ケース2側に近づけて配置してもよい。このような配置とした場合、外装ケース2が第二領域72化される。このような配置は、例えば、基板7上に第二領域72のためのスペースを確保しがたい場合に有効である。
【0089】
[実施形態の第3変形例]
図29を参照して、実施形態の第3変形例について説明する。図29は、実施形態の第3変形例に係る電波時計の平面図である。第3変形例のアンテナ9は、上記実施形態のアンテナ9と同様に配置されている。第3変形例のソーラーセル6は、軸方向視においてアンテナ9と重なる突出部6dを有する。
【0090】
ソーラーセル6は、切欠き部6bが設けられており、かつ切欠き部6bにおける周方向の中央に突出部6dを有する。突出部6dは、中心軸線X1から径方向の外側へ向けて延在している。突出部6dは、幅が一定の矩形の構成部である。突出部6dは、放射電極91およびグランド層70における幅方向の中央部と重なるように配置されている。突出部6dの幅は、放射電極91の幅WEおよびグランド層70の幅WGの何れよりも小さい。従って、突出部6dは、放射電極91の第一の放射辺91a,91aとは重ならない。突出部6dは、軸方向視において第二の放射辺91bの中央部と重なる。第二の放射辺91bの中央部は、第一の放射辺91aと比較して電位の変動が小さい箇所である。このため、第二の放射辺91bの中央部が遮蔽されたとしても、放射電極91の受信感度に与える影響は大きくない。従って、突出部6dは、放射電極91の受信感度への影響を抑制しつつソーラーセル6の受光面積を増加させることができる。
【0091】
[実施形態の第4変形例]
図30を参照して、実施形態の第4変形例について説明する。図30は、実施形態の第4変形例に係る電波時計の平面図である。第4変形例のアンテナ9は、外装ケース2の内壁面21aの形状に沿って湾曲している。
【0092】
図30に示すように、基部94の第一の側面94cおよび第二の側面94dは、それぞれ円弧形状の湾曲面である。第一の側面94cおよび第二の側面94dの形状は、それぞれ外装ケース2の内壁面21aと同心の円弧形状である。一対の短絡部95,95および接続部96は、第一の側面94cに沿って配置されている。つまり、一対の短絡部95,95および接続部96は、中心軸線X1と平行な曲面に沿って延在している。
【0093】
放射電極91の形状は、基部94と同様の湾曲形状である。第二の放射辺91bの形状は、外装ケース2の内壁面21aと同心の円弧形状である。第一の放射辺91aは、径方向の内側へ向かうに従って互いに近づくように傾斜している。
【0094】
グランド層70の形状は、基部94と同様の湾曲形状である。第一の辺70aおよび第四の辺70dの形状は、それぞれ外装ケース2の内壁面21aと同心の円弧形状である。第二の辺70bおよび第三の辺70cは、径方向の内側へ向かうに従って互いに近づくように傾斜している。グランド層70の湾曲形状の曲率は、中心軸線X1からの距離を半径とする曲率とすることが望ましい。また、グランド層70の第二領域72に回転部材(例えば、日板)が重なる場合は、グランド層70の湾曲形状の曲率を回転部材の曲率に合わせることが好ましい。
【0095】
アンテナ9は、グランド層70における径方向の外側の領域に配置されている。つまり、グランド層70における径方向外側の領域が第一領域71であり、径方向内側の領域が第二領域72である。
【0096】
なお、放射電極91において、第一の放射辺91aは、互いに平行であってもよい。この場合、グランド層70における第二の辺70bと第三の辺70cとが平行とされてもよい。直接給電式のアンテナ9に代えて、上記実施形態のアンテナ9、すなわち容量結合によって放射電極91への給電がなされるアンテナ9が湾曲形状とされてもよい。この場合、アンテナ9は、グランド層70における径方向内側の領域に配置されてもよい。接続部93は、径方向の内側に向けて配置されることが好ましい。
【0097】
[実施形態の第5変形例]
図31を参照して、実施形態の第5変形例について説明する。図31は、実施形態の第5変形例に係る電波時計の断面図である。第5変形例の電波時計1では、第一のグランド層73と第二のグランド層74とが分離されている。
【0098】
グランド層70は、第一のグランド層73および第二のグランド層74を有する。第一のグランド層73は、基板7の前面7aに配置されている。一方、第二のグランド層74は、基板7の内部に配置されている。グランド層70は、第一のグランド層73と第二のグランド層74とが同電位となるように構成されている。例えば、第一のグランド層73と第二のグランド層74とは基板7に形成されたスルーホールを介して電気的に接続されていてもよい。
【0099】
第二のグランド層74は、短絡部92を挟んで第一のグランド層73とは反対側に配置されている。第5変形例では、第一のグランド層73が第二のグランド層74よりも径方向の内側に配置されている。このように、第一のグランド層73と第二のグランド層74とが基板7における別の層に配置されていてもよい。こうすることによって、物理的な高さを持つ実装物16をアンテナ9と同一平面に配置することができるため、小型化および薄型化に寄与することができる。なお、第一のグランド層73と第二のグランド層74とが基板7の同じ層において独立して配置されてもよい。第二のグランド層74は、基板7の背面側(裏蓋10側)に配置されてもよい。
【0100】
[実施形態の第6変形例]
実施形態の第6変形例について説明する。図32は、実施形態の第6変形例に係る電波時計の要部断面図である。図32に示すように、アンテナ9は、基板7に埋め込むように配置されてもよい。
【0101】
第6変形例に係るグランド層70は、第一のグランド層76および第二のグランド層77を有する。第6変形例に係る基板7は、積層基板である。第一のグランド層76は、例えば、最下層に形成されている。ここで、最下層とは、基板7の積層方向における最も背面側の層である。基板7には、第一のグランド層76を露出させるように凹部7bが形成されている。アンテナ9は、この凹部7bに収容されている。
【0102】
第二のグランド層77は、基板7の前面7aに形成されている。第二のグランド層77は、短絡部92を挟んで第一のグランド層76とは反対側に配置されている。言い換えると、第二のグランド層77は、短絡部92を挟んで放射電極91とは反対側に配置されている。第一のグランド層76と第二のグランド層77とは電気的に接続されている。本変形例の構成は、時計の薄型化等に寄与する。なお、第二のグランド層77は、前面7aに代えて、基板7の中間層や最下層に配置されてもよい。
【0103】
[実施形態の第7変形例]
実施形態の第7変形例について説明する。図33は、実施形態の第7変形例に係るアンテナの平面図である。第7変形例に係る放射電極91では、第一の放射辺91aがメアンダ形状に形成されている。第一の放射辺91aは、連続的に形成された凹凸を有している。第一の放射辺91aがメアンダ状とされることにより、必要なアンテナ長を確保しつつアンテナ9を小型化することが可能となる。なお、第一の放射辺91aに加えて、あるいは第一の放射辺91aに代えて、第二の放射辺91bがメアンダ形状に形成されてもよい。
【0104】
[実施形態の第8変形例]
実施形態の第8変形例について説明する。図34は、実施形態の第8変形例に係るアンテナの平面図、図35は、実施形態の第8変形例に係るアンテナの斜視図、図36は、実施形態の第8変形例に係るアンテナの正面図、図37は、実施形態の第8変形例に係るアンテナの配置例を示す平面図、図38は、ソーラーセルの形状の一例を示す平面図、図39は、アンテナの他の配置例を示す平面図である。第8変形例に係るアンテナ9では、第二の放射辺91bと第一の放射辺91aとが交差する角度が直角とは異なっている。より詳しくは、第一の放射辺91aは、第二の放射辺91bとの交差角θが鈍角となるように延在している。このように第一の放射辺91aを斜め方向に延在させることで、交差角θを直角とした場合よりも第一の放射辺91aの長さを大きくすることが可能である。その結果、必要なアンテナ長を確保しつつアンテナ9を小型化することが可能となる。第8変形例の放射電極91の形状は、基端から先端へ向かうに従って幅が狭くなる先細形状である。ここで、放射電極91の基端側は、短絡部95や接続部96とつながっている側、すなわち第一の側面94c側であり、放射電極91の先端側は、第二の側面94d側である。
【0105】
アンテナ9の感度を向上させるためには、例えば、放射電極91の面積を大きくすることが好ましい。この場合、土台となる基部94を拡大することが考えられる。一方、基部94の体格が大きくなるに従って、波長短縮効果により実質的な波長λ’が短くなる。その結果、第一の放射辺91aの最適な長さが短くなり、放射電極91の面積拡大が制限を受けることになる。第8変形例のアンテナ9によれば、基部94の体格を過度に大きくすることなく放射電極91の面積や第一の放射辺91aの長さを最大化することが可能となる。なお、第一の放射辺91aや第二の放射辺91bは、メアンダ形状に形成されてもよい。アンテナ9において安定した特性を得る観点から、傾斜させた一対の第一の放射辺91a,91aにおいて対称性を確保することが望ましい。
【0106】
短絡部95の幅WS1(図36参照)は、実現可能な範囲で大きくされることが好ましく、接続部96の幅WPは、実現可能な範囲で小さくされることが好ましい。一例として、短絡部95の幅WS1が接続部96の幅WPよりも大きくされてもよい。短絡部95の幅WS1が大きくされることで、例えば、イメージアンテナ9iによる感度向上の効果が高くなる。接続部96の幅WPが小さくされることで、基板7において電極75の幅WNを小さくすることができる。電極75の幅WNが小さくなると、基板7の回路の他の電極や、その他の周辺の金属部材と電極75との容量結合が抑制される。その結果、アンテナ9に関するインピーダンスのマッチングが容易となる。
【0107】
第8変形例のアンテナ9は、例えば、図37に示すように配置される。図37のアンテナ9は、短絡部95および接続部96を径方向の内側に向けて配置されている。つまり、径方向において接続部96が中心軸線X1と対向している。基部94は、第二の側面94dを内壁面21aに近接させて配置されてもよい。基部94が内壁面21aに寄せて配置されることで、中心軸線X1の近傍に他の部品の配置スペースが確保しやすくなる。また、アンテナ9よりも径方向の内側にイメージアンテナ9i用のスペースが確保しやすくなる。
【0108】
第8変形例のように放射電極91の形状が先細形状である場合、ソーラーセル6の形状は、図38に示すようにされてもよい。図38の電子時計1において、ソーラーセル6は、アンテナ9と対向する位置に切欠き部60を有する。切欠き部60は、軸方向において少なくとも放射電極91と重ならないように形成されている。切欠き部60は、第一の辺60a、第二の辺60b,60c、および傾斜辺60d,60eを有する。
【0109】
第一の辺60aは、基部94の第一の側面94cと平行な辺である。第一の辺60aは、第一の側面94cに対して径方向の内側に位置している。第二の辺60b,60cは、基部94の端面94f,94gに沿って延在する辺である。第二の辺60b,60cは、端面94f,94gと実質的に平行である。傾斜辺60d,60eは、第一の辺60aと第二の辺60b,60cとをつないでいる。傾斜辺60d,60eは、第一の辺60aおよび第二の辺60b,60cに対して傾斜した方向に延在している。傾斜辺60d,60eは、例えば、中心軸線X1から径方向に沿って延在する。
【0110】
平面視において、第二の辺60b、60cは、放射電極91の第一の放射辺91aと対向している。第二の辺60b,60cは、第一の放射辺91aに対して交差する方向に延在している。より詳しくは、平面視において、第二の辺60b,60cは、径方向の外側へ向かうに従って第一の放射辺91aから離間している。第二の辺60b,60cが第一の放射辺91aに対して交差する方向に延在していることで、第二の辺60b,60cを流れる電流が放射電極91の感度を低下させにくい。よって、第8変形例のソーラーセル6によれば、アンテナ9の感度低下を抑制しつつソーラーセル6の最大化を図ることができる。
【0111】
なお、アンテナ9は、図39に示すように配置されてもよい。図39に示すアンテナ9は、短絡部95および接続部96を径方向の外側に向けて配置されている。つまり、径方向において接続部96が外装ケース2の内壁面21aと対向している。この配置によれば、放射電極91の第一の放射辺91aと内壁面21aとの距離を大きくすることができる。
【0112】
[実施形態の第9変形例]
実施形態の第9変形例について説明する。図40は、実施形態の第9変形例に係るモータの配置を示す平面図である。第9変形例に係る電子時計1では、径方向において短絡部95と対向する位置にモータ11の一部が配置される。モータ11は、電磁モータであり、筐体11a、コイル11b、およびロータ11cを有する。モータ11は、コイル11bに通電されることで発生する誘導起電力によりロータ11cを回転させる。モータ11は、例えば、指針を回転させる駆動源として電子時計1に搭載される。モータ11は、コイル11bに対してロータ11cがアンテナ9側とは反対側に位置するように配置されている。
【0113】
より具体的に説明すると、第9変形例のアンテナ9は、短絡部95を径方向の内側に向けて配置されている。モータ11は、アンテナ9に対して径方向の内側に配置されている。モータ11は、ロータ11cがコイル11bよりも径方向の内側に位置するように配置されている。従って、ロータ11cとアンテナ9との間にコイル11bが延在している。電子時計1は、耐磁板17を有する。耐磁板17は、平面視した場合にロータ11cを覆っている。つまり、耐磁板17は、軸方向においてロータ11cを遮蔽している。本変形例の耐磁板17は、ロータ11cを覆い、かつアンテナ9を覆わないように配置されている。
【0114】
第9変形例のように、モータ11においてロータ11cがアンテナ9から離れて配置されることで、耐磁板17を放射電極91への影響が少ない位置に配置することが可能となる。その結果、耐磁板17がアンテナ9の感度を低下させにくい。従って、第9変形例の配置によれば、アンテナ9の感度低下を極力抑制しつつアンテナ9の近傍にモータ11を配置することで小型化が可能となる。
【0115】
[実施形態の第10変形例]
実施形態の第10変形例について説明する。図41は、実施形態の第10変形例に係るグランド層の平面図、図42は、実施形態の第10変形例に係る基板において機器が配置された状態を示す平面図である。グランド層70は、イメージアンテナ9iが形成される領域に配置されていればよく、グランド層70の形状および配置は実施形態等において例示した形状および配置には限定されない。第10変形例に係るグランド層70は、配線に要する領域を除いて基板7の略全域に形成されている。
【0116】
図41に示すように、基板7は、配線78,79,80を有する。配線78,79,80は、基板7に形成された導電膜である。配線78は、アンテナ9の接続部93や接続部96と受信回路15とを接続する。配線79は、制御回路14と駆動源56とを接続する。なお、図42では、配線79,80の図示が省略されている。配線80は、基板7に配置されたその他の各種回路57(図42参照)を接続する。各種回路57は、発振回路等を含む。グランド層70は、これらの配線78,79,80を囲むように、基板7の略全域に形成されている。グランド層70は、基板7における複数の層にそれぞれ配置されてもよい。例えば、グランド層70は、基板7の前面7aを含む複数層に積層して配置される。このように大面積のグランド層70が配置されることで、アンテナ9の受信感度を更に向上させることが可能となる。
【0117】
[実施形態の第11変形例]
実施形態の第11変形例について説明する。電波時計1が送受信する電波に含まれるデータは、時刻修正用のための時刻情報を含むデータには限定されない。送受信する電波に含まれるデータは、制御プログラムデータや計測データなどのデータ信号であってもよい。
【0118】
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0119】
1 電波時計
2 外装ケース
3 風防
4 文字板
5 指針
6 ソーラーセル
6a 端面
6b 切欠き部
6c 開口部
6d 突出部
7 基板
7a 前面
8 電池
9 アンテナ
10 裏蓋
11 モータ
12 カバー
13 日板
14 制御回路
15 受信回路
16 実装物
17 耐磁板
21 本体部
21a 内壁面
22 かん
23 収容空間
51 秒針
52 分針
53 時針
54 輪列
55 回転軸
56 駆動源
60 切欠き部
70 グランド層
70a 第一の辺
70b 第二の辺
70c 第三の辺
70d 第四の辺
70p 垂線の足
70X 延長部
71 第一領域(第一のグランド層)
72 第二領域(第二のグランド層)
73,76 第一のグランド層
74,77 第二のグランド層
75 電極
78,79,80 配線
91 放射電極
91a 第一の放射辺
91b 第二の放射辺
92,95 短絡部
93,96 接続部
94 基部
94a 前面
94b 背面
94c 第一の側面
94d 第二の側面
94e 垂線の足
LE 放射電極の長さ
LG1 第一領域の長さ
LG2 第二領域の長さ
S1,S2 仮想の平面
WG グランド層の幅
WE 放射電極の幅
WB 基部の幅
WP 接続部の幅
WS,WS1 短絡部の幅
X1 中心軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42