(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】電力システムにおけるイベントの発生及びタイミングを検出するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20220518BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H02J13/00 301K
(21)【出願番号】P 2019549566
(86)(22)【出願日】2018-03-13
(86)【国際出願番号】 EP2018056194
(87)【国際公開番号】W WO2018172138
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2020-11-17
(32)【優先日】2017-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518102517
【氏名又は名称】ダンフォス・エディトロン・オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】イスカニウス,マッティ
(72)【発明者】
【氏名】ティアイネン,リスト
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0063039(US,A1)
【文献】特開2010-273527(JP,A)
【文献】国際公開第2013/056144(WO,A1)
【文献】特開2015-160553(JP,A)
【文献】特開2012-065445(JP,A)
【文献】特許第5967327(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力システムであって、
-前記電力システムの様々な要素に配置され、前記電力システムの前記要素の動作に関連する量の波形サンプル(131、132)を記録するように構成された記録装置(101~105)と、
-前記記録装置に通信可能に接続され、前記記録装置からの前記記録された波形サンプルを受信するように構成された中央装置(106)と、
を備える、電力システムにおいて、
-前記記録装置が、前記記録装置どうしで共通のクロックタイムを維持するために、互いに対して同期し、
-前記記録装置が、前記記録された波形サンプルのそれぞれに、
前記波形サンプルの記録中の前記クロックタイムを示す
タイミング値を関連付けるように構成され
、前記タイミング値のうちの1つが、前記波形サンプルの開始に対応し、前記タイミング値のうちの他の1つが、前記波形サンプルの終了に対応する、
ことを特徴とする、電力システム。
【請求項2】
前記中央装置が、前記記録された波形サンプルに関連付けられている前記タイミング値に基づいて、同じ時間軸上で前記記録された波形サンプルを表示するように表示画面を制御するように構成される、請求項1に記載の電力システム。
【請求項3】
前記記録装置が、所定の時間だけ前に記録されている対応する古いデータを上書きすることにより新しいデータが記録されるループ記録モードに従って、前記波形サンプルを記録するように構成される、請求項1又は2に記載の電力システム。
【請求項4】
-前記記録装置のうちの1つ以上が、前記電力システム内で発生し得る1つ以上の事前に定義されたイベントを検出するように構成され、
-前記記録装置が、事前に定義されたイベントのうちの1つを検出した後、前記波形サンプルの記録を前記所定の時間より短い期間継続し、前記期間後に前記記録を停止するように構成される、請求項3に記載の電力システム。
【請求項5】
前記記録装置のうちの1つ以上が、前記電力システム内で発生し得る1つ以上の事前に定義されたイベントを検出し、前記事前に定義されたイベントのうちの検出された1つを特定し、前記事前に定義されたイベントのうちの前記検出された1つの検出の瞬間における前記クロックタイムを表すイベントインジケータを前記中央装置に送信するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の電力システム。
【請求項6】
前記記録装置の前記1つ以上が、前記電力システムの過電流保護装置の作動を検出するように構成される、請求項4又は5に記載の電力システム。
【請求項7】
前記記録装置の前記1つ以上が、前記電力システムの過電圧保護装置の作動を検出するように構成される、請求項4~6のいずれか一項に記載の電力システム。
【請求項8】
前記記録装置の前記1つ以上が、前記電力システムの低電圧保護装置の作動を検出するように構成される、請求項4~7のいずれか一項に記載の電力システム。
【請求項9】
前記記録装置の前記1つ以上が、前記電力システムの過熱保護装置の作動を検出するように構成される、請求項4~8のいずれか一項に記載の電力システム。
【請求項10】
前記記録装置が、タイミングソースから受信したタイミング信号に従って前記クロックタイムを維持するためのプロセッサを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の電力システム。
【請求項11】
前記記録装置が、パケット交換通信プロトコルに従って前記タイミングソースと通信するように構成され、前記記録装置の前記プロセッサが、パケット交換データネットワークに適したタイミングプロトコルに従って前記クロックタイムを維持するように構成される、請求項10に記載の電力システム。
【請求項12】
前記電力システムが、1つ以上の発電機(107)と、アクチュエータを駆動するための1つ以上の電気機械(108、109)と、前記1つ以上の発電機から前記1つ以上の電気機械に電力を転送するための電力制御システムと、を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の電力システム。
【請求項13】
前記電力制御システムが、直流電圧レール(110)と、前記1つ以上の発電機から前記直流電圧レールに電気エネルギーを転送するための1つ以上の第1の電力変換器と(111)、前記直流電圧レールの直流電圧を前記1つ以上の電気機械に適した電圧に変換するための1つ以上の第2の電力変換器(112、113)と、を備える、請求項12に記載の電力システム。
【請求項14】
電力システムを監視するための方法であって、前記方法が、
-前記電力システムの様々な要素において、前記電力システムの前記要素の動作に関連する量の波形サンプルを記録するステップ(201)
を含む、前記方法において、前記方法が、
-前記電力システムの前記要素における前記波形サンプルを記録するときに利用可能なクロックタイムを維持するステップ(202)と、
-前記記録された波形サンプルのそれぞれに、
前記波形サンプルの記録中の前記クロックタイムを示す
タイミング値を関連付けるステップ(203
)であって、前記タイミング値のうちの1つが、前記波形サンプルの開始に対応し、前記タイミング値のうちの他の1つが、前記波形サンプルの終了に対応する、ステップ(203)と、
をさらに含むことを特徴とする、方法。
【請求項15】
前記方法が、前記記録された波形サンプルに関連付けられている前記タイミング値に基づいて、前記記録された波形サンプルによって示される現象の時間的順序を特定するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、前記記録された波形サンプルに関連付けられている前記タイミング値に基づいて、同じ時間軸上で前記記録された波形サンプルを表示するように表示画面を制御するステップを含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記方法が、所定の時間だけ前に記録された対応する古いデータを上書きすることにより新しいデータが記録されるループ記録モードに従って、前記波形サンプルを記録するステップを含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記方法が、前記電力システム内で1つ以上の事前に定義されたイベントのうちのいずれかが発生したか否かを検出するステップを含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記方法が、検出されたイベントを特定し、前記イベントの検出の瞬間における前記クロックタイムを表すイベントインジケータを中央装置に送信するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記波形サンプルが、所定の時間だけ前に記録された対応する古いデータを上書きすることにより新しいデータが記録されるループ記録モードに従って、記録され、各波形サンプルの前記記録が、前記記録された波形サンプルの時間的な長さよりも短い所定の期間、前記検出されたイベントの後に継続される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記方法が、前記電力システムの過電流保護装置の作動を検出するステップを含む、請求項14~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が、前記電力システムの過電圧保護装置の作動を検出するステップを含む、請求項14~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記方法が、前記電力システムの低電圧保護装置の作動を検出するステップを含む、請求項14~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記方法が、前記電力システムの過熱保護装置の作動を検出するステップを含む、請求項14~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記方法が、タイミングソースから受信したタイミング信号に従って前記クロックタイムを維持するステップを含む、請求項14~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記方法が、パケット交換データネットワークに適したタイミングプロトコルに従って前記クロックタイムを維持するステップを含む、請求項14~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記電力システムが、1つ以上の発電機と、アクチュエータを駆動するための1つ以上の電気機械と、前記1つ以上の発電機から前記1つ以上の電気機械に電力を転送するための電力制御システムと、を備える、請求項14~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記電力制御システムが、直流電圧レールと、前記1つ以上の発電機から前記直流電圧レールに電気エネルギーを転送するための1つ以上の第1の電力変換器と、前記直流電圧レールの直流電圧を前記1つ以上の電気機械に適した電圧に変換するための1つ以上の第2の電力変換器と、を備える、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記電力制御システムが、1つ以上の電池要素と、直流電圧レールと
前記1つ以上の
電池要素との間で電気エネルギーを転送するための1つ以上の第3の電力変換器と、を備える、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、必ずしもではないが、発電機、電気機械、及び電力変換器などの要素を備える電力システムに関する。さらに、本開示は、電力システムを監視するための方法に関する。本出願は、欧州特許出願公開第17161993.5号明細書に基づく優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
多くの場合、電力システムは、発電機、電気機械、及び電力変換器などの要素を備える。さらに、電力システムは、例えば、過電流保護装置、過電圧保護装置、低電圧保護装置、及び過熱保護装置などの保護要素を備える場合もある。例えば、過電流保護装置は、電流が危険なほど大きくなったときに電気回路を開放するよう構成されたヒューズ又はリレーなどである。別の例として、過熱保護装置は、1つ以上の温度センサと、1つ以上の測定温度が危険なほど高くなったときに電源を切るように構成されたリレーと、を備える場合がある。
【0003】
電力システムで障害又は別の問題が発生した後、将来同様の問題を回避できるようにするために、どのように電力システムを修正及び/又は使用するべきかを検討するために、問題を分析することが重要である。分析用のデータを提供するために、電力システムには、電力システムの様々な要素に配置され、これらの要素の動作に関連する量の波形サンプルを記録するように構成された記録装置を設けることができる。量は、例えば、電力システムの要素から測定された電流、電圧、及び/又は温度を含むことができる。電力システムは、記録装置に通信可能に接続され、記録装置からの記録された波形サンプルを受信するように構成された中央装置をさらに備える場合がある。記録された波形サンプルは、分析データとしての役割を果たし、この分析データに基づいて、障害又は別の問題が発生する前の電力システムの動作が分析され得る。例えば、電流及び電圧の記録された波形サンプルによって、ある障害に先行して、特定の電圧の突然の低下及び/又は特定の電流の突然の増加があったことが明らかになり得る。しかしながら、多くの場合、例えば記録された波形サンプルによって示される電流及び/又は電圧の急激な変化などの現象のうち、どの現象が原因であり、そしてどの現象が結果であるかを特定することは困難であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下、様々な発明実施形態の一部の態様の基本的な理解を提供するために、簡単な要約を提示する。この要約は、本発明の詳細な概要ではない。本発明の主要又は重要な要素を特定することも、本発明の範囲を正確に記述することも、いずれも意図されていない。以下の要約は、本発明の例示的な実施形態のより詳細な説明の前置きとして、本発明の一部の概念を単純化された形で提示しているにすぎない。
【0005】
本発明によれば、例えば、必ずしもではないが、建物、陸上車両、船舶などの船、航空機、又は作業機械の電力システムであり得る、新しい電力システムが提供される。電力システムが配電網であることも可能である。
【0006】
本発明による電力システムは、
-電力システムの様々な要素に配置され、電力システムの要素の動作に関連する量の波形サンプルを記録するように構成された記録装置と、
-記録装置に通信可能に接続され、記録装置からの記録された波形サンプルを受信するように構成された中央装置と、
を備える。
【0007】
記録装置は、記録装置どうしで共通のクロックタイムを維持するために、互いに対して同期している。さらに、記録装置は、記録された波形サンプルのそれぞれに、検討中の波形サンプルの記録中のクロックタイムを示す1つ以上のタイミング値を関連付けるように構成される。タイミング値を備えた、記録された波形サンプルを受信するように構成された中央装置は、記録装置に対して別個の装置とすることもできるし、又は中央装置と記録装置のうち1つとを単一の装置として実装することもできる。
【0008】
タイミング値は波形サンプルに関連付けられているため、記録された波形サンプルで示される、例えば電流及び/又は電圧の急激な変化などの現象の時間的順序を特定することができる。よって、例えば障害状況の前に何が起こったかを分析する場合に、どの現象が原因であり、そしてどの現象が結果であるかを特定することができる。
【0009】
本発明によれば、電力システムを監視するための新しい方法も提供される。本発明による方法は、
-電力システムの様々な要素において、電力システムの要素の動作に関連する量の波形サンプルを記録するステップと、
-電力システムの要素における波形サンプルを記録するときに利用可能なクロックタイムを維持するステップと、
-記録された波形サンプルのそれぞれに、検討中の波形サンプルの記録中のクロックタイムを示す1つ以上のタイミング値を関連付けるステップと、
を含む。
【0010】
本発明の例示的かつ非限定的な実施形態による方法は、記録された波形サンプルに関連付けられているタイミング値に基づいて、記録された波形サンプルによって示される現象の時間的順序を特定するステップをさらに含む。
【0011】
本発明の複数の例示的かつ非限定的な実施形態は、付随する従属請求項に記載される。
【0012】
本発明の様々な例示的かつ非限定的な実施形態は、その追加の目的及び利点とともに、構造及び動作方法の両方に関して、添付の図面と併せて読めば、以下の具体的な例示的かつ非限定的な実施形態の説明から最もよく理解されるはずである。
【0013】
本明細書では、「備える/含む(to comprise)」及び「備える/含む(to include)」という動詞は、引用されていない特徴の存在を排除するものでも必須とするものでもない、オープンな限定として使用される。従属請求項に記載されている特徴は、別段の明記のない限り、相互に自由に組み合わせることができる。さらに、本明細書を通して、「1つの(a)」又は「1つの(an)」、すなわち単数形の使用は、複数を排除しないことを理解されたい。
【0014】
以下、本発明の例示的かつ非限定的な実施形態及びそれらの利点を、例の意味で、添付の図面を参照して、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1a】本発明の例示的かつ非限定的な実施形態による電力システムを示す図である。
【
図1b】本発明の例示的かつ非限定的な実施形態による電力システムを示す図である。
【
図2】本発明の例示的かつ非限定的な実施形態による、電力システムを監視するための方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明で提供される具体的な例は、添付の特許請求の範囲の範囲及び/又は適用可能性を限定するものとして解釈されるべきではない。説明で提供される例のリスト及びグループは、別段の明記のない限り、網羅的ではない。
【0017】
図1aは、本発明の例示的かつ非限定的な実施形態による電力システムの概略的な図を示している。この例示的なケースでは、電力システムは、船又はフェリーの電気システムの一部である。電力システムは、例えばディーゼルエンジンであり得る燃焼エンジン122で駆動される発電機107を備える。電力システムは、アクチュエータを駆動するための電気機械108及び109を備える。この例示的なケースでは、アクチュエータは、プロペラである。さらに、電力システムは、例えば照明システム120を備えることができる。電力システムは、発電機107から電気機械108及び109、並びに電力システムの他の電力消費負荷に電力を転送するための電力制御システムを備える。この例示的なケースでは、電力制御システムは、直流電圧レール110と、発電機107から直流電圧レール110に電気エネルギーを転送するための第1の電力変換器111と、直流電圧レール110の直流電圧U
DCを電気機械108及び109に適した電圧に変換するための第2の電力変換器112及び113と、を備える。電力制御システムは、電池要素114と、直流電圧レール110と電池要素114との間で電気エネルギーを転送するための第3の電力変換器115と、をさらに備える。さらに、電力制御システムは、直流電圧レール110の直流電圧U
DCを照明システム120に適した電圧に変換するための電力変換器119と、陸側の配電網121から電力を受け取るための電力変換器124と、を備える。
【0018】
電力システムは、電力システムの様々な場所に配置され、電力システムの要素の動作に関連する量の波形サンプルを記録するように構成された記録装置101、102、103、104、及び105を備える。量は、例えば、電力システムの要素から測定された電流、電圧、及び/又は温度を含むことができる。
図1bは、発電機107の一相の電流i
Gの例示的な波形サンプル131と、直流電圧レール110の直流電圧U
DCの例示的な波形サンプル132と、を示している。電力システムは、記録装置101~105に通信可能に接続され、記録装置からの記録された波形サンプルを受信するように構成された中央装置106を備える。記録装置101~105は、記録装置101~105どうしで共通のクロックタイムを維持するために、互いに対して同期している。記録装置は、記録された波形サンプルのそれぞれに、検討中の波形サンプルの記録中のクロックタイムを示す1つ以上のタイミング値を関連付けるように構成される。
図1bに示される例示的なケースでは、波形サンプル131の開始及び終了に対応するタイミング値t
01及びt
11は、波形サンプル131に関連付けられる。それに対応して、波形サンプル132の開始及び終了に対応するタイミング値t
02及びt
12は、波形サンプル132に関連付けられる。
【0019】
タイミング値は波形サンプルに関連付けられているため、記録された波形サンプルで示される、例えば電流及び/又は電圧の急激な変化などの現象の時間的順序を特定することができる。よって、例えば障害状況の前に何が起こったかを分析する場合に、どの現象が原因であり、そしてどの現象が結果であるかを特定することができる。
図1bの部分133は、同じ時間軸上で例示的な波形サンプル131及び132を示している。時間軸上の波形サンプル131及び132の位置は、タイミング値t
01、t
11、t
02、及びt
12を利用して決定され得る。この例示的なケースでは、直流電圧レール110の直流電圧U
DCの低下が、発電機電流i
Gの急激な増加の前に起こることがわかる。
【0020】
本発明の例示的かつ非限定的な実施形態による電力システムでは、中央装置106が、記録された波形サンプルに関連付けられているタイミング値に基づいて、同じ時間軸上で記録された波形サンプルを表示するように表示画面125を制御するように構成される。表示画面125は、例えば
図1bの部分133に示すように、記録された波形サンプルを表示するように制御され得る。
【0021】
本発明の例示的かつ非限定的な実施形態による電力システムでは、記録装置101~105は、所定の時間だけ前に記録されている対応する古いデータを上書きすることにより新しいデータが記録される連続ループ記録モードに従って、波形サンプルを記録するように構成される。所定の時間は、記録された波形サンプルの時間的な長さに対応する。
【0022】
本発明の例示的かつ非限定的な実施形態による電力システムでは、記録装置101~105のうちの1つ以上は、電力システム内で発生し得る1つ以上の事前に定義されたイベントを検出するように構成される。さらに、記録装置101~105のうちの1つ以上は、検出されたイベントを特定し、イベントの検出の瞬間におけるクロックタイムを表すイベントインジケータを中央装置106に送信するように構成され得る。上記の連続ループ記録モードに従って波形サンプルが記録される例示的なケースでは、各波形サンプルの記録は、記録された波形サンプルの時間的な長さよりも短い所定の期間、検出されたイベントの後に継続され得る。よって、記録された各波形サンプルは、検出されたイベントの前に記録された第1の部分と、検出されたイベントの後に記録された第2の部分と、を含む。
【0023】
検出可能なイベントとしては、例えば、過電流保護装置の作動、例えばヒューズをとばすこと、過電圧保護装置の作動、低電圧保護装置の作動、及び/又は過熱保護装置の作動を挙げることができる。例えば、記録装置101は、ヒューズ116がとんだことを検出するように、並びに/又は直流電圧レール110上で起こり得る過電圧及び低電圧状況を検出するように構成され得る。別の例では、記録装置105は、発電機107の過電流状況を検出する、並びに/又は発電機107の過電圧及び低電圧状況を検出する、並びに/又は発電機107の過熱状況を検出するように構成され得る。
【0024】
本発明の例示的かつ非限定的な実施形態による電力システムでは、記録装置101~105は、タイミングソース123から受信したタイミング信号に従って共通のクロックタイムを維持するためのプロセッサを備える。記録装置101~105のうちの1つが、タイミングソースとして機能するマスターデバイスであり、他の記録装置が、マスターデバイスと同期することも可能である。記録装置101~105は、パケット交換通信プロトコルに従って、タイミングソース123と、及び/又は互いに通信するように構成され得る。パケット交換通信プロトコルは、例えば、インターネットプロトコル「IP」、イーサネットプロトコル、又はなんらかの他の適切なパケット交換通信プロトコルであり得る。記録装置101~105のプロセッサは、パケット交換データネットワークに適したタイミングプロトコルに従ってクロックタイムを維持するように構成され得る。タイミングプロトコルは、例えば、IEEE 1588時間分散プロトコルであり、「IEEE」は、米国電気電子学会(the Institute of Electrical and Electronics Engineers)の略称である。
【0025】
中央装置106及び記録装置101~105には、適切なセンサと、プロセッサ回路と、が実装されてもよく、それぞれ、適切なソフトウェアが備えられたプログラム可能なプロセッサ回路、例えば特定用途向け集積回路「ASIC」などの専用ハードウェアプロセッサ、又は例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ「FPGA」などの構成可能なハードウェアプロセッサであり得る。中央装置106及び/又は記録装置101~105を、電力変換器115、112、及び/又は111の一部とすることも可能である。
【0026】
図2は、本発明の例示的かつ非限定的な実施形態による、電力システムを監視するための方法の流れ図を示している。本方法は、以下のアクション、すなわち、
-アクション201:電力システムの様々な要素において、電力システムの要素の動作に関連する量の波形サンプルを記録するアクションと、
-アクション202:電力システムの要素における波形サンプルを記録するときに利用可能な共通クロックタイムを維持するアクションと、
-アクション203:記録された波形サンプルのそれぞれに、検討中の波形サンプルの記録中のクロックタイムを示す1つ以上のタイミング値を関連付けるアクションと、
を含む。
【0027】
本発明の例示的かつ非限定的な実施形態による方法は、記録された波形サンプルに関連付けられているタイミング値に基づいて、記録された波形サンプルによって示される現象の時間的順序を特定するステップを含む。
【0028】
本発明の例示的かつ非限定的な実施形態による方法は、記録された波形サンプルに関連付けられているタイミング値に基づいて、同じ時間軸上で記録された波形サンプルを表示するように表示画面を制御するステップを含む。
【0029】
本発明の例示的かつ非限定的な実施形態による方法は、所定の時間だけ前に記録された対応する古いデータを上書きすることにより新しいデータが記録されるループ記録モードに従って、波形サンプルを記録するステップを含む。
【0030】
本発明の例示的かつ非限定的な実施形態による方法は、電力システム内で1つ以上の事前に定義されたイベントのうちのいずれかが発生したか否かを検出するステップを含む。本方法は、検出されたイベントを特定し、イベントの検出の瞬間におけるクロックタイムを表すイベントインジケータを中央装置に送信するステップをさらに含む。上記のループ記録モードに従って波形サンプルが記録される例示的なケースでは、各波形サンプルの記録は、記録された波形サンプルの時間的な長さよりも短い所定の期間、検出されたイベントの後に継続され得る。本発明の例示的かつ非限定的な実施形態による方法は、電力システムの過電流保護装置の作動を検出するステップを含む。本発明の例示的かつ非限定的な実施形態による方法は、電力システムの過電圧保護装置の作動を検出するステップを含む。本発明の例示的かつ非限定的な実施形態による方法は、電力システムの低電圧保護装置の作動を検出するステップを含む。本発明の例示的かつ非限定的な実施形態による方法は、電力システムの過熱保護装置の作動を検出するステップを含む。
【0031】
本発明の例示的かつ非限定的な実施形態による方法は、タイミングソースから受信したタイミング信号に従って上記のクロックタイムを維持するステップを含む。本発明の例示的かつ非限定的な実施形態による方法は、パケット交換データネットワークに適したタイミングプロトコルに従ってクロックタイムを維持するステップを含む。
【0032】
本発明の例示的かつ非限定的な実施形態による方法では、電力システムは、1つ以上の発電機と、アクチュエータを駆動するための1つ以上の電気機械と、1つ以上の発電機から1つ以上の電気機械に電力を転送するための電力制御システムと、を備える。
【0033】
本発明の例示的かつ非限定的な実施形態による方法では、上記の電力制御システムは、直流電圧レールと、1つ以上の発電機から直流電圧レールに電気エネルギーを転送するための1つ以上の第1の電力変換器と、直流電圧レールの直流電圧を1つ以上の電気機械に適した電圧に変換するための1つ以上の第2の電力変換器と、を備える。本発明の例示的かつ非限定的な実施形態による方法では、上記の電力制御システムは、1つ以上の電池要素と、直流電圧レールと1つ以上のバッテリー要素との間で電気エネルギーを転送するための1つ以上の第3の電力変換器と、を備える。
【0034】
上記の説明で提供された具体的な例は、添付の特許請求の範囲の範囲及び/又は適用可能性を限定するものとして解釈されるべきではない。上記の説明で提供される例のリスト及びグループは、別段の明記のない限り、網羅的ではない。